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Working Paper Series No.24 東アジアの貿易自由化と生産・貿易構造 CGE 及び I-O モデルによる分析― 神戸学院大学経済学部 伴 ひかり 2014 10 THE ECONOMIC SOCIETY OF KOBE GAKUIN UNIVERSITY

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Working Paper Series No.24

東アジアの貿易自由化と生産・貿易構造

―CGE 及び I-O モデルによる分析―

神戸学院大学経済学部

伴 ひかり

2014 年 10 月

THE ECONOMIC SOCIETY OF KOBE GAKUIN UNIVERSITY

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東アジアの貿易自由化と生産・貿易構造

―CGE 及び I-O モデルによる分析―

神戸学院大学 伴ひかり

1.はじめに

東アジア地域包括的経済連携 (Regional Comprehensive Economic Partnership:

RCEP) や日中韓自由貿易協定など,東アジアをめぐる貿易自由化の議論は活発

化している 1.貿易自由化の経済効果に関して,応用一般均衡 (Computable

General Equilibrium: CGE)モデルを用いた分析は数多くある 2.しかし,自由貿

易協定( Free Trade Agreement: FTA)による生産や貿易の構造変化を中心に分析

したものは少ないようである.

生産・貿易構造を理解するには,国際産業連関表 (Interregional input -output

table: 国際 I-O 表 )を利用した産業連関 (I-O)分析は有効である.例えば,Hummels

et al .(2001)では,国際分業の程度を定量評価するために,主として OECD 10 か

国の I-O データを利用し,輸出に内包された海外の付加価値のシェアを計算し

ている.サンプル期間内( 1970 年前後~ 1990 年前後)で,日本を除いてその値

が上昇していることを示した.渡邉・下田・藤川 (2005)は,アジア経済研究所

(IDE)のアジア太平洋地域の国際産業連関表( 1985 年, 90 年, 95 年, 2000 年)

を用い,最終生産物に内包された付加価値をそれがどこの国に帰着するかで分

解している.主要な結論として,東アジア諸国は貿易相手としての連携は強ま

っているものの,付加価値面からみると東アジアを 1 つの独立経済圏とみなす

ことは時期尚早としている. Johnson and Noguera (2012a)は, 2 国間貿易データ

と各国の I-O 表から国際 I-O 表 (1970 年~ 2009 年 )を作成し,輸出に内包された

海外の付加価値のシェアを計算している.その結果から,カナダ・アメリカ自

由 貿 易 協 定 (Canada-United States FTA: CUSFTA)や 北 米 自 由 貿 易 協 定 (North

American FTA: NAFTA)が地域内の国際分業を進展させたことを示唆する.

本章では,東アジアにおける貿易自由化が生産・貿易構造に与える影響を分

析するため,CGE 分析に I-O 分析を組み合わせる.前者は貿易自由化の直接的

な効果を評価するのに優れ,後者は国際的依存関係やその変化の構造分析に適

しているからである.CGE モデルとして,多地域・多部門の CGE モデルの 1 つ

1 東アジアの経済統合についての詳細は経済産業省のウェブページ参照.

ht tp : / /www.met i . go . jp /po l icy/ t r ade_pol icy/eas t_asia / act ivi ty/ about .h t ml ( 2014 年 8 月アクセ

ス). 2 東アジアをめぐる FTA についての CGE 分析として,例えば,伴その他 (1999),川﨑

(1999),堤・清田 (2002),伴 (2006),浦田・安藤 (2010), Urata and Kiyota(2010) , Ban(2013)

など.

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である GTAP(Global Trade Analysis Project)モデルを,データベースとして GTAP

8.1 Data Base(2007 年経済対応 )を用いる 3.ただし,GTAP データベースは国際

産業連関表ではないので,貿易データで按分する.

具体的には,付加価値で評価した生産・貿易構造が東アジア FTA によってど

のように変化するか,また,各産業の生産がどのような要因によって変化する

かについて中国と日本を中心に分析する.付加価値分析は,東アジア FTA によ

り東アジア全体としては自立性をやや高めることを示唆する.しかし,実質で

評価する場合,日本は輸入と国際分業に関して,北米,EU あるいは資源国への

付加価値漏出を高め,東アジアへの依存度を若干低める傾向を示す.要因分析

は,中国では負の技術的変化要因が正の最終需要要因を上回り,総産出が減少

することを示す.

2.CGE 分析

2.1 GTAP モデル

本研究で利用した GTAP モデルは,基本的には,生産要素と生産物の市場均

衡式,及び利潤ゼロ条件から構成される多地域・多部門・静学的 CGE モデルで

ある 4.企業は生産要素と中間投入物を購入し,生産活動を行う.GTAP モデル

における地域家計は民間家計と政府を合わせた主体で,所得を消費支出,政府

支出,貯蓄に振り分ける.グローバルな主体として,グローバル銀行とグロー

バル運輸部門が想定される.前者は各地域から貯蓄を集め,各地域に投資を配

分する.後者は各地域から運輸サービスを購入し,国際運輸サービスの合成物

をつくり提供する.

図 1 は GTAP モデルにおける生産関数を示す.輸入需要に関して,いわゆる

アーミントン (Armington)の仮定が採用されており,生産物は生産地によって差

別化され,不完全代替が仮定される 5.価格を所与として,企業はまず輸入元の

構成を決定する.次に,その輸入合成物価格と国内生産物価格に基づき,輸入

需要と国内需要を決定する.輸入元の間や輸入合成物と国内生産物の間では

CES(Constant Elasticity Substi tution)型が設定されている.付加価値合成物と中

間投入物の選択についてはレオンチェフ (Leontief)型で代替はない.

=== 図 1 ===

3 GTAP については GTAP のウェブページ参照. ht tps : / /www.gtap .agecon .purdue.edu/( 2014 年

8 月アクセス).

4 GTAP モデルについては, Hertel ,ed . (1997)を参照.

5 Armington(1969)を参照.

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GTAP モデルでは,各産業及び地域家計は同じ輸入合成物価格に直面する.

このことは各産業の輸入中間需要及び地域家計の輸入最終需要において輸入元

の比率は全て等しいことを意味する.

ところで,CGE 分析でシミュレーションを実行すると,様々な経路を通じ生

産要素や中間投入物に対する需要が変化する.GTAP 生産関数では付加価値合

成物と各中間投入物への需要は生産量に比例する.生産量変化によって引き起

こされる各生産要素や中間投入物への需要の変化を,以下,産出量効果とよぶ.

また,輸入元,国内生産物と輸入生産物,及び各生産要素間の選択においては,

価格によってその比率が決まってくる.これを以下,代替効果とよぶ 6.

2.2 GTAP データベース

本章で利用した GTAP 8.1 Data Base は 134 の国・地域及び 57 産業から成る

が,後で述べるように,ここでは 14 地域・ 20 産業に統合する.

ところで,GTAP データベースは各国の I-O 表と 2 国間貿易データを含むが,

国際的依存関係を把握するために必要な完全な国際 I-O 表ではない.従って,

自国生産物についての投入係数は導出できるが,特定の国からの輸入生産物に

ついての投入係数は導出できない.このような問題を解決する 1 つの方法とし

て,本章では,Bems et al . (2010, 2011), Koopman et al .( 2010), Johnson and

Noguera (2012b)に従い,貿易データで按分して国際 I-O 表を作成した.つまり,

各産業の輸入中間需要,及び消費・投資・政府支出における輸入元の比率が,

国全体の比率と全て等しいと仮定する.これは,GTAP のアーミントン・アプ

ローチと整合的である.

分析のために GTAP データベースより国際 I-O 表を 3 枚作成した. 1 枚は初

期のデータから,残りはシミュレーション後のデータから作成した表である.

後者のうち 1 枚は価格変化を含むもの(名目),もう 1 枚は初期価格で評価した

もの(実質)である.

3.東アジア FTA のシミュレーション

3.1 シミュレーション・シナリオ

地域と産業に関しては,14 地域(オセアニア,中国,日本,韓国,台湾,ASEAN,

南アジア,北米,中南米,EU,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・

アフリカ,その他世界), 20 産業(農業,畜産,林業,漁業,鉱業,食品,繊

維・衣服,軽工業,石油・石炭製品,化学,重工業,自動車,輸送設備,電子

6 生産要素に対する派生需要についての理論については,レイヤード・ウォルターズ (1982)

の第 9 章参照.

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機器,機械,電力・ガス,水道,建設,運輸,サービス)に分類した 7.

本章では,中国,日本,韓国,台湾,ASEAN を東アジア FTA のメンバーと

し,相互の輸入関税撤廃のシミュレーションを行った(以後,上記 4 ヵ国・1 地

域を東アジアとよぶ).

ところで,FTA の影響は初期関税率に大いに依存する.GTAP 8.1 Data Base に

おける FTA メンバー間の関税率の特徴を,中国を中心に簡単にまとめておく.

中国の農林水産業品に対する関税率については,日本及び ASEAN からの輸入

品に比べて韓国及び台湾からの輸入品への関税率は概ね高い.例えば,農業に

ついては,輸出国が日本,韓国,台湾,ASEAN の順に 3.0%,10.9%,3.9%,1.0%

であり,畜産については,それぞれ 3.7%,7.0%,9.1%,0.3%である.製造業に

ついてみると,中国の関税率は自動車(対 ASEAN 7.1%~対日本 13.5%),輸送

設備(対 ASEAN3.1%~対台湾 8.9%),繊維・衣服(対 ASEAN 5.1%~対日本

8.3%),軽工業(対 ASEAN 3.2%~対台湾 8.2%)をはじめ,台湾と ASEAN から

の電子機器を除いて(各々 0.4%,0.7%)比較的高い.全般的に捉えると,中国

の関税率は,日本,韓国,台湾からの輸入品と比較すると ASEAN からの輸入

品に対して低いといるが,化学製品に対する関税率は例外で,ASEAN からの輸

入品が最も高い 8.

中国の生産物に対する関税率は,日本では農業 18.4%,畜産 4.2%,漁業 4.1%,

食品 14.4%,繊維・衣服 8.1%,軽工業 2.5%であり,それら除くと他は 1%未満

で,特に製造業品への関税率は多くの産業でゼロである.韓国と台湾でも中国

からの農林水産業品や食品,繊維・衣服に対する関税率は高い.韓国の関税率

は農業 30.2%,林業 3.8%,漁業 15.2%,食品 34.3%,繊維・衣服 9.3%で,台湾

の関税率はそれぞれ 10.7%, 4.7%, 12.0%, 17.4%, 9.3%である.畜産について

は,韓国では 8.1%と高いが,台湾では 0.4%と比較的低い.食品及び繊維・衣服

以外の中国の製造業品に対する関税率をみると,韓国では電子機器の 1.2%から

化学の 5.2%,台湾では電子機器の 0.6%から輸送設備の 5.7%と,全ての製造業

において日本の関税率より高い.最後に ASEAN について述べると,農林水産

業に関して日本,韓国,台湾ほど関税率は高くない(例えば,農業 3.4%).一

方,ASEAN の中国の製造業品に対する関税率は,自動車 14.0%,食品 13.7%,

繊維・衣服 12.3%と高く,電子機器 0.7%を除くと,それ以外の製造業でも FTA

メンバーの中でも比較的高い関税率を課している(機械 3.2%~軽工業 7.3%).

7 地域および産業分類の GTAP 8 .1 Data Base との対応は付表 1, 2 を参照.

8 化学製品への中国の関税率は,対日本,韓国,台湾, ASEAN の順に, 5.8%, 5.5%,

6.2%, 8.1%.

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3.2 シミュレーション結果

東アジアにおける貿易自由化の主要なマクロ経済指標への影響をまとめたの

が表 1 である.FTA メンバーの GDP は増加するが,最も高い増加率を示す韓国

で も 0.26%程 度 で 比 較 的 変 化 は 小 さ い よ う で あ る . 等 価 変 分 (equivalent

variation: EV)をみると,日本が最も大きく,交易条件の改善によるところが大

きい.中国では交易条件は悪化し,等価変分も減少する 9.

輸出入の変化率をみると,GDP との比較ではより大きいことがわかる.また,

生産要素価格については,FTA 域内では上昇,域外では低下の傾向がみられる.

生産要素価格のこのような傾向は,東アジアの域外への輸出を減少させ,域外

からの輸入を増加させる方向に働く.

=== 表 1 ===

産業別生産量にも,GDP の変化に比して大きな影響がもたらされる.主な産

業の変化について,実質データの結果をもとに述べる.農業は中国と ASEAN で

は増加し,日本,韓国,台湾では減少する.食品は中国,韓国,台湾,ASEAN

では増加し,日本では減少する.繊維・衣服については全てのメンバーで増加

し,特に台湾及び韓国で高い増加率を示す.石油・石炭製品と化学については

日本,韓国,台湾,ASEAN では増加し,中国では減少する 1 0.

興味深いのは自動車である.FTA メンバー全てで減少し,域外全てで増加す

る(EU 0.1%~旧ソ連・東欧 0.8%).輸送設備については中国で増加し,他のメ

ンバーでは減少する.電子機器は中国と韓国で増加,日本,台湾,ASEAN で減

少する.機械は日本,台湾,ASEAN で増加し,中国,韓国で減少する.輸送設

備,電子機器,機械についても,域外のほとんどで増加傾向がみられる.この

ような傾向は,先に述べた域外における生産要素価格の相対的低下が関係して

いる.

全ての FTA メンバーにおいて建設は増加し,サービスは減少する.運輸は,

中国と ASEAN で増加する他,域外の全てで増加する.GTAP モデルでは各地域

の運輸産業から運輸サービスを購入し,国際運輸サービスとして提供する.よ

って,FTA により国際運輸サービス需要が増加すると,その効果が各国に波及

する.

9 日本では交易条件の改善により等価変分が 121 億ドル増加し,中国ではその悪化により

53 億ドル減少する. GTAP モデルの等価変分の要因分解については Huff and Her te l (2000)

参照.

10 産業別生産の変化率(実質)は付表 3 を参照.

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さらに,中国と日本について第 2 次産業を中心に需要面からも観察しよう.

FTA の中国及び日本の生産と需要への産業別効果について,シミュレーション

前後のデータから作成した国際 I-O 表をもとに実質変化額を計算した 1 1.

3 部門でとらえると,FTA の結果,中国では第 1 次産業の生産の 28 億ドルの

増加,第 2 次産業の 115 億ドルの減少,第 3 次産業の 7 億ドルの減少がみられ

る 1 2.第 2 次産業の減少が大きく,中国経済全体の初期価格で測った生産は減

少する.最終需要合計は 66 億ドル増加するものの,中間需要合計の 159 億ドル

の減少が上回る.

中国の第 2 次産業を詳しくみると,石油・石炭製品,化学,重工業,自動車,

機械の生産が減少する.これらの産業では,重工業を除き,国内需要の減少が

輸出需要の増加を上回り,中間需要も最終需要も減少する.化学と機械産業で

は中間需要の減少が顕著である.一方,食品や電子機器の生産増加は比較的大

きく,これらの産業では国内からの中間需要も増加する.その 1 つの理由とし

て,正の産出量効果が負の代替効果を上回る点が考えられる.

次に FTA の日本への影響について概観する. 3 部門の分類では,第 1 次産業

と第 2 次産業はそれぞれ 16 億ドル, 3 億ドル減少し,第 3 次産業は 38 億ドル

増加する.第 1 次産業の減少は農業の減少が大部分であり,第 3 次産業の増加

は建設産業の増加による.第 2 次産業の合計では減少するが,石油・石炭製品,

化学,重工業などのエネルギー集約産業は大きく増加する(各々 18 億ドル増,

46 億ドル増, 51 億ドル増).

需要面からは,生産が増加する日本の産業(繊維・衣服,石油・石炭製品,

化学,重工業,機械)では中間投入物の輸出増加が主因である.例えば,化学

では中間投入物の輸出が 59 億ドル,重工業では 50 億ドル,機械では 43 億ド

ル増加する.また,自動車,輸送設備,電子機器,機械では,最終生産物輸出

がそれぞれ 31 億ドル, 4 億ドル, 17 億ドル, 10 億ドル減少する.その要因と

して,他の FTA メンバーからの日本製品に対する最終需要は増加するものの,

北米や EU を中心とした域外からの日本製品に対する最終需要の減少が上回る

ことが挙げられる.例えば,自動車に対する他の FTA メンバーからの最終需要

は 44 億ドル増加するが,北米及び EU からの最終需要は,それぞれ 35 億ドル,

13 億ドル減少する.また,電子機器に対する他の FTA メンバーからの最終需要

は 6 億ドル増加するが,北米及び EU からの最終需要はそれぞれ 11 億ドル, 9

億ドル減少する.日本では,域外への最終生産物の輸出は,繊維・衣服が若干

11 付表 4 を参照.

12 付表 2 の産業分類で,第 1 次産業は農業~鉱業,第 2 次産業は食品~機械,第 3 次産業

は電力・ガス~サービスを指す.

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増加傾向を示す他は,減少傾向がみられ,特に先に挙げた 4 産業の減少が著し

い.その原因として,域外の相対的生産要素価格の低下が考えられる.また,

自動車や輸送設備の最終生産物の輸出先として域外が高いことも影響する 1 3.

4.国際 I-O 分析

4.1 付加価値基準の生産・貿易構造

R 地域・N 部門から成る経済を仮定すると,生産物の需給均衡条件は,以下

のようになる.

R

r

sri

R

r

N

j

rj

srij

si RsNifxax

11 1

1,1, (1)

ここで, six は地域 s,産業 i のグロスの生産量, sr

ija は地域 r,産業 j の生産物 1

単位を生産するために必要な地域 s,産業 i の生産物の量を示す直接投入係数,

srif は地域 s,産業 i の生産物に対する地域 r からの最終需要を表す.

(1)式を行列表示すると,

RRRRR

R

Rf

f

x

x

AA

AA

x

x

11

1

1111

(2)

ここで,

sR

Ns

Ns

N

sRss

s

srNN

srN

srN

sr

sr

sN

s

s

fff

fff

aa

aa

x

x

21

12

11

1

1

1111

,, fAx

である. (2)式を解くと,グロスの生産量ベクトル x は,レオンチェフ逆行列 L

と最終需要ベクトル f の積として表される.

Lfx (3)

ここで,

13 初期データにおいて,日本の輸出に占める域外への輸出のシュアは,自動車で 91.5%,輸

送設備で 77.5%,全産業の合計で 71.7%である.

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8

RRRR

R

R

RRRR

R

R

RR

LLL

LLL

LLL

AIAA

AAIA

AAAI

L

f

f

f

f

x

x

x

x

21

22221

112111

21

22221

11211

2

1

2

1

,

である.L s r は地域 r の各産業の最終需要 1 単位の需要を満たすために直接・間

接必要とされる地域 s の各産業の生産物を意味する係数から成る.

さて, v s を直接的な付加価値係数ベクトルとしよう.

sN

sss vvv ,, 21v

(4)

ここで, sjv は地域 s,産業 j の付加価値係数(付加価値 /グロスの生産)である.

また次のような R×NR の付加価値係数行列 V̂を定義する.

Rv

v

v

V

00

0

0

00

ˆ2

1

(5)

付加価値係数行列 V̂をレオンチェフ逆行列 L の前からを掛けると,以下の R×

NR 行列が導出できる.この行列は,各地域・各産業の生産物に対する最終需要

1 単位を満たすために付加価値が地理的にどのように生み出されたかを示す.

RRRRR

R

LvLv

LvLv

LV

1

11111

ˆ

(6)

例えば,v sL s r の各要素は,地域 r で生産された最終生産物 1 単位に内包される

付加価値のうち地域 s に帰着する付加価値を意味する.つまり, LV̂ は,各地

域・各産業の最終生産物 1 単位に直接・間接内包される付加価値の地理的分配

を示す.最終生産物 1 単位に内包される付加価値は完全に分配し尽されるので,

LV̂ 各列の和は 1 である 1 4.導出された付加価値分配行列 LV̂ を利用して,貿易・

生産構造を付加価値基準で評価することができる.

付加価値分配行列 LV̂ を最終需要ベクトル f の前から掛けると,最終需要に

よって誘発される均衡産出量に伴う付加価値が導出される.

14 数学的証明については Wan g et a l . (2009)を参照.

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9

RRRRRR

RR

fLvfLv

fLvfLv

LfV

11

111111

ˆ

(7)

列ベクトル LfV̂ は R 個の要素から成り,最終需要から誘発された生産に伴う付

加価値の各地域の貢献を表す.(7)式を利用すると,特定の地域の最終需要によ

って誘発された付加価値を,それがどこで生み出されたかで分解することがで

き,付加価値貿易の状況を知ることができる.

次に, (8)式のように,最終需要から成る NR×R の行列 F を付加価値分配行

列の後ろから掛けると,各地域の最終生産物合計に内包される付加価値が地理

的にどの地域に帰着するかで分解する R×R の行列を得る.

RRRRRR

RR

R

RRRRR

R

fLvfLv

fLvfLv

f

f

f

LvLv

LvLv

LFV

11

111111

2

1

1

11111

00

0

0

00

ˆ

(8)

例えば LFV̂ の r 番目の列は,地域 r で生産された最終生産物合計に内包される

付加価値の地理的分配を示す.

4.2 生産変化の要因分析

先に導出した (3)式は異なる時点の生産変化の要因分析にも利用できる.ここ

では,シミュレーション前後で比較する.シミュレーション後の変数には「 ´」

をつけることにすれば, (3)式は以下のようになる.

Lfx 及び fLx (9)

従って,グロスの生産の変化は

LffLx (10)

となる.つまり,生産は,最終需要のみならず,投入係数の変化によっても変

化しうる.Miller and Blair (2009, pp.593-607)を参考に,生産変化を次のように

分解する 1 5.

fLLffLx 2/12/1

(11)

右辺の第 1 項は技術的変化による部分(技術的変化効果),第 2 項は最終需要変

化による部分(最終需要変化効果)である.

さらに,最終需要の変化は 3 つの要因に分解できる.まず,次のようなスカ

ラー,行列,ベクトルを定義する.

15 (10)式は次のように表すことができる. fLfLx または fLfLx . 2 つの方

程式を辺々足し合わせ整理すると (11)式を得る.

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10

wy

wy

wy

yfyfyf

yfyfyf

yfyfyf

ywfy

RRRRN

RN

RN

RR

RR

R

r

rR

s

N

i

sri

r

/

/

/

,

///

///

///

,,2

1

2211

12

2122

1112

11

2121

1111

11 1

dB (12)

ここで, y r は地域 r からの最終需要の合計,w は世界全体の最終需要合計であ

る.行列 B は RN 行 R 列から成り,各列は各地域の最終需要合計の NR 種類の

生産物への分布を示す.ベクトル d は各地域からの最終需要の世界全体の最終

需要合計に占める比率を示す. (12)式を用いると,最終需要ベクトル f は,

Bdf w 及び dBf w (13)

と表すことができる.従って,最終需要の変化は

BddBf ww (14)

であり,次のように分解できる 1 6.

dBBdBfdBdBBdf wwwww 2/12/12/1

(15)

(15)式を (11)式に組み込むことによって,最終需要変化効果を,さらに,世界

全体の最終需要合計の水準の変化による部分(最終需要レベル効果),各地域の

最終需要合計の生産物構成の変化による部分(最終需要生産物構成効果),及び

最終需要の地域分布の変化による部分(最終需要地域分布効果)に分解するこ

とができる.

5.国際 I-O 分析の結果

この節では,シミュレーション前後のデータから作成した国際 I-O 表に対し

て,前節で説明した I-O 分析を適用した結果を,付加価値貿易,付加価値基準

の国際分業,生産変化の要因分析の順で報告する.

5.1 付加価値貿易

4-1 項の (7)式を利用し,各地域の最終需要から誘発される生産物に内包され

る付加価値を,それが地理的にどこで生み出されたかで分解した.表 2 は FTA

前(シミュレーション前)のデータを用いて計算したものである.ここで,ROW

はオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサ

ハラ・アフリカ,その他世界を合計したものを表す.

各行は,行見出しの地域で生み出された付加価値がどの地域の最終需要によ

って誘発されたかを示している.行見出しの地域で生み出された付加価値の合

計から,自地域の最終需要によって誘発された部分(対角要素)を差し引くと

付加価値輸出となる.各列は,列見出しの地域の最終需要によって吸収される

16 (14)式は次のように表すことができる. dBdBBdf www または

dBdBdBf www . 2 つの方程式を辺々足し合わせ整理すると (15)式を得る.

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11

付加価値がどの地域で生み出されたかを示している.列見出しの地域で吸収さ

れた付加価値の合計から,自地域で生み出された部分(対角要素)を差し引く

と付加価値輸入となる.初期において, FTA メンバーはいずれも付加価値貿易

収支は黒字であるが,中国は他のメンバーに対しては赤字である.

=== 表 2 ===

=== 表 3 ===

表 3 は, FTA 後(シミュレーション後)の実質データを用いて同様の計算を

したものである.表 2 と比較すると,まず,各 FTA メンバーの付加価値輸出合

計や付加価値輸入合計は増加することがわかる.また,各 FTA メンバー自地域

の最終需要に依存する部分あるいは自地域で吸収される部分(対角要素)は減

少する.特に,中国では自地域への依存部分の減少額は大きい( 246 億ドル減).

一方で,各メンバーの他のメンバーへの付加価値輸出や他のメンバーからの付

加価値輸入は増加する.結果として,全てのメンバーは自地域を含めた東アジ

アへの付加価値輸出やそこからの付加価値輸入を増加させる.自地域を含めた

東アジアへの付加価値輸出の変化額は,中国 36 億ドル,日本 265 億ドル,韓国

86 億ドル,台湾 66 億ドル,ASEAN 71 億ドルで,自地域を含めた東アジアから

の付加価値輸入の変化額は,それぞれ 96 億ドル, 153 億ドル, 122 億ドル, 35

億ドル, 119 億ドルである.

FTA メンバーの北米や EU への付加価値輸出はいずれも減少する.これは,

北米や EU の所得低下による最終需要の減少と, FTA 地域における生産要素価

格の相対的上昇による競争力低下が関係する.北米や EU からの付加価値輸入

については,中国,韓国,ASEAN では減少し台湾ではほとんど変化がない.が,

日本では北米からは 17 億ドル,EU からは 22 億ドル付加価値輸入が増加する

ことが特徴である.この理由として,日本の関税率はもともと低く,特に製造

業はほとんどゼロであるので,関税撤廃による FTA メンバーからの輸入の恩恵

が小さいことに加え,生産要素価格の動向が北米や EU からの輸入を増加させ

る方向に働くことが推測できる.また,日本は ROW からの付加価値輸入の増

加も 20 億ドルと大きく,中東・北アフリカからの付加価値輸入( 11 億ドル増)

が大半を占め,これは鉱業生産物の輸入によると考えられる.

ところで,各地域で生産された付加価値の合計を表 2 と表 3 で比べると,日

本,韓国,台湾,ASEAN では増加し,中国と域外では減少する.生産要素供給

に変化はなく,また,表 3 は FTA 前の価格で評価したものであるが,生産要素

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の産業別配分の変化により,実質データであっても付加価値合計は変動しうる.

表 2 と表 3 をもとに各国の付加価値がどの地域の最終需要によって誘発され

たかの付加価値輸出依存度(横方向のシェア)を計算した 1 7.その結果から次の

ようなことがいえる.まず, FTA 前において,各地域で生み出された付加価値

のうち,自地域の最終需要によって誘発される付加価値のシェアは,東アジア

では日本が最も高く,中国と韓国が中程度で,台湾と ASEAN が低い.また,

自地域を除く東アジアへの輸出依存度は,中国 5.3%,日本 4.6%,韓国 8.8%,

台湾 16.6%,ASEAN 11.7%である.域内の付加価値輸出先としては,中国では

日本が,その他のメンバーでは中国が最も高いシェアを占める.さらに,東ア

ジアでは,北米や EU の最終需要によって誘発されるシェアが高いこともうか

がえる.特に,中国では北米への依存度が 8.1%,EU への依存度が 7.2% と高

い.

FTA 後の実質データから計算した付加価値輸出のシェアを FTA 前のシェア

と比較すると,各メンバーは自地域への付加価値輸出依存度を低めるが,他の

メンバーへの依存度を高め,自地域を含めた東アジアへ依存度は,中国 0.1%ポ

イント,日本 0.6%ポイント,韓国 0.7%ポイント,台湾 1.6%ポイント,ASEAN

0.5%ポイントと高まる傾向がみられる.各メンバーの北米や EU への付加価値

輸出依存度は,変化がほとんどない中国の北米への依存度を除けば,低下傾向

がみられる.台湾の北米依存度 (0.7%ポイント減 )や EU 依存度 (0.6%ポイント減 )

の低下が比較的大きい.東アジアを 1 つの地域とみなして計算すると,東アジ

アの自地域への付加価値輸出依存度は,FTA 前の 82.4%から 82.9%へと上昇し,

自立性をやや高めるようである.

各国の最終需要によって吸収される付加価値がどの地域で生みだされたかを

表す付加価値輸入依存度(表 2 及び表 3 の縦方向のシェア)も計算できる 1 8.

FTA 前のデータを用いた計算では,自地域への依存度は,日本 (87.1%)が高く,

中国 (78.5%)と韓国 (75.8%)が中程度で,台湾 (69.7%)と ASEAN(68.7%)が相対的

に低い.自地域を除く東アジアからの付加価値輸入依存度は,中国 8.0%,日本

4.3%,韓国 9.1%,台湾 12.2%,ASEAN10.6%で,日本の値が低いのが特徴であ

る.域内の付加価値輸入元としては日本,韓国,ASEAN では中国が最も高く

(各々 2.1%, 3.7%, 3.3%),中国と台湾では日本が最も高いシェアを占める(各々

3.2%, 5.7%).北米や EU からの輸入依存度も高く,特に台湾 (北米 5.4%,EU4.9%),

ASEAN(4.5%, 7.4%)で高い.

FTA 後の実質データを用いた計算結果を FTA 前の結果と比較すると,自地

1 7 付加価値輸出依存度については付表 5 を参照. 1 8 付加価値輸入依存度については付表 6 を参照.

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域で生産された付加価値のシェアは低下し,他のメンバーからの付加価値輸入

のシェアは上昇する.日本以外では後者の効果が前者の効果を上回り,自地域

を含む東アジアからの付加価値輸入依存度はやや上昇する(中国 0.3%ポイント,

韓国 0.5%ポイント,台湾 0.1%ポイント,ASEAN 0.5%ポイント).しかし,日

本では逆にそれは 0.1%ポイント程度低下する傾向がみられる.このことは北米

や EU への輸入依存度の動向と関係する.日本以外のメンバー国では,北米や

EU への付加価値輸入依存度は 0.1%ポイントから 0.2%ポイント程度低下するが

(ただし台湾の対 EU 依存度は 0.04%ポイントの低下),日本では低下せず,む

しろわずかであるが上昇傾向がみられる(対北米 0.03%ポイント,対 EU0.04%

ポイント).東アジア全体としては,東アジアの付加価値吸収のうち自地域で生

みだされた部分のシェアは, FTA 前 87.4%から 87.6%へと上昇し,自立性をわ

ずかに高めるようである.

ところで,FTA 後の名目データを利用して計算する場合,いくつか注意すべ

き点がみられる 1 9.まず,自地域に依存する部分は,中国 (253 億ドル減 )及び

ASEAN(7 億ドル減 )では FTA 前に比べ減少するが(実質の場合と同様),日本

(626 億ドル増 ),韓国 (88 億ドル増 ),台湾 (58 億ドル増 )では増加する.また,北

米や EU からの日本の付加価値輸入は,それぞれ 14 億ドル, 19 億ドル増加す

るが,その増加額は実質の場合に比べると小さい.このような実質か名目かに

よって相違が生じる 1 つの要因として,生産要素価格の動向が推測できる.

名目データを用いてシェアを計算した場合,各メンバーの自地域を含む東ア

ジアへの輸出依存度は,全て実質の場合の依存度以上であり,日本の自地域を

含む東アジアへの輸入依存度も FTA 前より高まることがわかる(付表 5・ 6 参

照).さらに,名目で評価する時,東アジアの自地域への付加価値輸出依存度は

83.0%,自地域への輸入依存度は 87.7%であり,実質で測った場合より 0.1%ポ

イント程度高まる.

5.2 付加価値基準の国際分業

ここでは,各地域で生産された最終生産物に内包される付加価値をその帰着

先で分解することにより国際分業の程度を測る 2 0. FTA 前後のデータに (8)式を

適用して計算した FTA 前後(実質)の結果を比べると,全ての FTA メンバーに

おいて自地域に残留する付加価値は減少する一方,他のメンバーに帰着する付

加価値は増加する.自地域を含めた東アジアに帰着する付加価値は,中国 (139

億ドル増 ),韓国 (69 億ドル増 ),ASEAN(90 億ドル増 )では増加するが,日本 (8 億

1 9 名目データを用いた場合の FTA 後の付加価値貿易については付表 7 参照. 2 0 最終生産物に内包される付加価値の帰着先については付表 8 参照.

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ドル減 )と台湾 (6 億ドル減 )では減少傾向がみられる.また,北米,EU,ROW へ

漏出する付加価値は,日本以外では若干の例外を除いて減少するが 2 1,日本で

は,それぞれ 6 億ドル, 11 億ドル, 10 億ドル増加するのが特徴である. 3-2 項

で述べたように,FTA により日本のエネルギー集約産業の生産は増加する.そ

のことが ROW への漏出をより大きくしたと考えられる.

=== 表 4 ===

国際分業の程度をシェアとして示したのが表 4 である.FTA 前の列をみると,

自地域の分業率については日本が最も高く,中国と韓国が中程度で,台湾と

ASEAN が相対的に低いことがわかる.また,日本の生産における他のメンバー

の分業率が比較的低いことも特徴である.このことは,中間コストの面から FTA

の恩恵を小さくし,初期関税率の低さや生産要素価格の相対的上昇とも相まっ

て,北米や EU からの輸入中間投入を増やす方向に働く.

FTA 前後で比較すると,全ての FTA メンバーの生産において,自地域の分業

率の低下と他のメンバーの分業率の上昇がみられる.中国の生産では自地域の

分業率が 0.6%ポイント低下し,日本の分業率は 0.4%ポイント上昇する.日本

の生産においては自地域の分業率は 0.3%ポイント低下し,中国の分業率は 0.1%

ポイント上昇する.韓国,台湾,ASEAN については,自地域の分業率低下に対

し,主として中国や日本の分業率上昇が埋め合わせるようである.東アジア全

体との関係でみると,日本だけが自地域を含む東アジアの分業率を 0.1%ポイン

ト程度低下させる.水準について述べたように,日本では北米,EU 及び ROW

への漏出が増加することが理由である.ただし,名目で評価する場合,日本の

北米,EU 及び ROW への分業率は低下し,日本の生産における自地域を含む東

アジアの分業率も 93.3%と上昇傾向を示す.東アジアの自地域の分業率は,FTA

前は 89.8%,FTA 後,実質では 90.0%,名目では 90.1%であり,FTA の結果,東

アジアの自地域の分業率は若干高まるようである.

5.3 生産変化の要因分析

中国と日本の各産業の生産変化に関して, FTA 前後(実質)の国際 I-O 表を

利用し, (11)式及び (15)式に従い要因分解した 2 2.本分析で利用した生産関数と

シミュレーションの設定(関税撤廃のみ)を考慮すると,投入係数の変化は,

自国生産物と輸入生産物,または輸入先の選択の変化による.

2 1 例外は中国及び台湾の生産における ROW への付加価値漏出で,それぞれ 0.2 億ドル, 1.2

億ドルの増加である. 2 2 付表 9 参照.

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まず,中国について 3 部門で集計した結果から報告する.第 1 次産業の生産

は 28 億ドル増加し,その内訳は 9 億ドル増の技術的変化効果と 19 億ドル増の

最終需要変化効果である.第 2 次産業の生産は 115 億ドル減少で, 267 億ドル

減の技術的変化効果と 152 億ドル増の最終需要変化効果から成る.第 3 次産業

の生産は 7 億ドル減少で, 43 億ドル減の技術的変化効果と 36 億ドル増の最終

需要変化効果から成る.経済全体では最終需要変化効果は 208 億ドル増である

が,技術的変化効果による 301 億ドル減が上回り,生産が 94 億ドル減少する.

中国の第 2 次産業について産業別にみよう.食品,輸送設備,電子機器につ

いては,技術的変化及び最終需要変化による効果は共に正で,生産も比較的大

きく増加する.食品,輸送設備,電子機器以外の第 2 次産業では技術的変化効

果は負である.さらに,自動車と機械では,最終需要変化効果も負である.最

終需要変化効果をさらに分解すると,自動車と機械産業では,最終需要レベル

変化と最終需要地域分布変化による効果は正であるが,最終需要生産物構成変

化の負の効果が支配的である.自動車と機械産業以外は最終需要レベル変化,

地域分布変化,生産物構成変化の効果は全て正である.ここでの技術的変化効

果と最終需要生産物構成変化効果は代替効果の表れと考えることができ,中国

では最終需要よりも中間需要で負の代替効果が強く現れるようである.

ところで,先にみたように(付表 4 参照),FTA により中国の石油・石炭製品

と化学産業への直接的最終需要は減少するが,要因分解では最終需要変化によ

る効果は正である.最終需要変化効果は他産業への最終需要変化による波及効

果も含まれるので,その符号は直接的な最終需要の増減と必ずしも一致しない.

次に,日本の生産変化の要因分析に移ろう.まず, 3 部門の分類で概観する

と,FTA により日本では第 1 次・第 2 次産業から第 3 次産業に生産の比重が移

る.第 1 次産業の生産は 16 億ドル減少し,その内訳は 16 億ドル減の技術的変

化効果と 0.1 億ドル減の最終需要変化効果である.第 2 次産業の生産は 3 億ド

ル減少で,97 億ドル増の技術的変化効果と 100 億ドル減の最終需要変化効果か

ら成る.さらに,第 3 次産業の生産は 38 億ドル増加で, 60 億ドル減の技術的

変化効果と 98 億ドル増の最終需要変化効果から成る.経済全体では技術的変

化効果は 21 億ドル増で,最終需要変化効果の 2 億ドル減を上回り,生産は 19

億ドル増加する.

日本の第 2 次産業についても簡単に述べておく. FTA により生産が減少する

食品,自動車,輸送設備,電子機器産業について,最終需要変化効果は全て負

で,技術的変化効果も自動車産業を除いて負である.自動車産業では技術的変

化効果は正だが,最終需要変化による負の効果が上回り,生産は減少する.先

述したように,北米や EU の自動車への直接的最終需要の減少によるところが

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大きいと推測できる.食品と輸送設備では技術的変化による負の効果が最終需

要変化による負の効果よりかなり大きい.逆に,電子機器産業では最終需要変

化による負の効果が技術的変化による負の効果よりかなり大きい. FTA により

生産が増加する繊維・衣服,石油・石炭製品,化学,重工業,機械産業では,

正の技術的変化効果が支配的である.さらに,最終需要変化効果を分解すると,

最終需要レベル変化効果と地域分布変化効果は全ての第 2 次産業で正であるが,

生産物構成変化効果は繊維・衣服以外で全て負である.

最後に直接的な最終需要変化と比較すると,日本の軽工業や重工業における

最終需要変化効果はそれぞれ正,負であるが,これらの符号は逆であることが

わかる(付表 4 参照).また,自動車産業の技術的変化効果は正であるが,直接

的な中間需要は減少する.これは正の代替効果より負の産出量効果が大きいか

らである.

6.結びにかえて

本章では,CGE モデルに I-O モデルを組み合わせ,東アジア FTA が生産・貿

易構造に与える影響を分析した.主要な結論として,まず,静学的 CGE モデル

での分析では,東アジア FTA は GDP にはそれほど大きな影響を及ぼさないが,

産業別生産や輸出入には比較的大きな影響を及ぼすことが示された.

次に,I-O 分析を用いて生産・貿易構造を付加価値基準で評価すると,FTA に

より東アジア全体としてはその自立性を強めることがわかった.しかし,個々

の FTA メンバーの東アジアとの関係への影響は一様でない.特に,日本は,実

質評価の場合,東アジアへの付加価値輸入依存度や分業率を低める傾向を示し

た.これは輸入や生産における北米,EU あるいは資源国への付加価値依存の高

まりによる.このような動向には FTA の生産要素価格への影響も関係する.域

内の生産要素価格の相対的上昇は,輸出の面からは東アジア地域の自立性を強

める方向に,輸入の面からは弱める方向に働く.ただし,名目評価の場合は,

日本も東アジアへの依存度を強めるようである.

最後に,生産変化の要因分析より,中国では全体としての生産は負の技術的

変化効果が正の最終需要変化効果を上回り減少すること,特に第 2 次産業の負

の技術的変化効果が大きいことがわかった.日本は第 2 次産業の技術的変化に

よる正の効果は大きいが,最終需要変化による負の効果が上回り第 2 次産業全

体としての生産は減少する.第 1 次産業の生産も減少するが,第 3 次産業の生

産の増加が大きいので,経済全体として日本の生産は拡大する.さらに,中国

では FTA による負の代替効果は中間需要に,日本では最終需要に比較的強く現

れることが示された.

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17

謝辞

本研究は 2011~ 2013 年度科学研究費補助金(No.23530254,国際的生産ネッ

トワークに関する理論的・実証的研究,No.23510042,東アジア共生時代の環境

経済政策-計量分析による政策評価-)を受けた.前者の代表者である得津一

郎先生(神戸大学)には,本研究の動機づけと国際産業連関表についての貴重

な情報と基礎知識をご教示頂いた.また,後者の代表である藤川清史先生(名

古屋大学)には付加価値分析の手法と先行研究についてご教示頂いた.また,

本研究の初期のヴァージョンは,2012 年 10 月,日本経済政策学会国際会議(名

古屋学院大学),2012 年 11 月,環太平洋産業連関分析学会(愛知学院大学)お

よび 2013 年 5 月,日本経済学会全国大会(東京大学)で報告し,討論者の藤川

清史先生(名古屋大学),渡邉隆俊先生(愛知学院大学),伊藤俊泰先生(名古

屋学院大学)より貴重なコメントを頂いた.記して感謝する.

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19

図 1 GTAP 生産関数

出所: Hertel , ed . (1997)をもとに筆者作成.

表 1 東アジア FTA のマクロ経済効果

GDP EV 輸出 輸入 物価

生産要素価格

単純労働 技能労働 資本

中国 0.06 -1,878 3.55 4.48 -0.28 0.44 0.18 0.23

日本 0.04 12,647 1.73 4.91 1.71 1.97 2.00 1.96

韓国 0.26 5,095 3.62 5.94 1.14 2.66 2.63 2.65

台湾 0.10 3,658 3.38 5.79 2.56 3.98 3.51 3.39

ASEAN 0.19 3,375 3.21 4.84 -0.02 1.70 1.33 1.43

北米 -0.00 -5,790 0.06 -0.46 -0.38 -0.39 -0.38 -0.38

EU -0.00 -5,294 0.08 -0.17 -0.36 -0.37 -0.36 -0.36

出所: GTAP 8 .1 Data Base をもとに著者計算.

注:等価変分 (EV)の単位は 100 万ドル,それ以外は%.

CES

•••

産出

付加価値合成物 生産物 生産物•••

CES

CES

Leontief

地域 1 地域 R

輸入 合成物

天然資源

単純労働

技能労働

土地 資本 国内 生産物

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20

表2

FTA前

の付

加価

値貿

(単

位10億

ドル

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

北米

E

U

RO

W

合計

輸出

中国

2

,48

9

89

3

5

11

4

6

27

8

24

7

22

3

3,4

17

9

28

日本

1

01

3

,62

3

29

1

9

45

1

81

1

28

1

25

4

,25

1

62

9

韓国

4

8

20

7

13

4

1

4

60

5

7

66

9

81

2

68

台湾

3

9

12

4

2

32

9

4

0

31

2

3

39

0

15

8

AS

EA

N

64

5

8

17

7

7

49

1

14

1

20

1

16

1

,24

6

49

7

北米

8

9

92

3

8

18

4

9

15

,13

0

36

7

34

3

16

,12

5

99

5

EU

1

40

9

7

36

1

6

81

5

39

1

4,0

67

9

12

1

5,8

88

1

,82

1

RO

W

20

2

17

1

68

2

6

96

5

52

9

27

8

,79

2

10

,83

4

2,0

42

合計

3

,17

2

4,1

61

9

40

3

33

1

,09

1

16

,89

3

15

,94

4

10

,59

9

53

,13

3

7,3

37

輸入

6

83

5

39

2

27

1

01

3

42

1

,76

2

1,8

77

1

,80

7

7,3

37

出所:

GT

AP

8.1

Da

ta B

as

eをもとに作成した国際

I-O表により著者計算.

注:

RO

Wはオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・アフリカ,その他世界を合計したもの.

Page 22: CGE 及び I-O モデルによる分析― - Kobe Gakuin Universitykeizai/v02/data/WP-No24.pdfWorking Paper Series No.24 東アジアの貿易自由化と生産・貿易構造 ―CGE

21

表3 FTA後

の付

加価

値貿

易(

単位

10億

ドル

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

北米

E

U

RO

W

合計

輸出

中国

2

,46

5

10

0

43

1

3

53

2

77

2

45

2

21

3

,41

6

95

2

日本

1

18

3

,62

0

33

2

1

52

1

69

1

20

1

19

4

,25

2

63

2

韓国

5

5

21

7

10

4

1

7

58

5

4

63

9

82

2

72

台湾

4

4

12

5

2

30

1

2

37

2

9

21

3

90

1

60

AS

EA

N

69

6

3

19

8

7

43

1

13

1

18

1

14

1

,24

7

50

5

北米

8

5

93

3

7

18

4

8

15

,13

3

36

7

34

4

16

,12

5

99

3

EU

1

33

1

00

3

5

16

7

9

54

0

14

,06

9

91

5

15

,88

8

1,8

19

RO

W

20

2

17

3

66

2

6

95

5

52

9

28

8

,79

1

10

,83

3

2,0

42

合計

3

,17

2

4,1

83

9

49

3

36

1

,09

9

16

,87

9

15

,93

0

10

,58

8

53

,13

5

7,3

75

輸入

7

07

5

63

2

39

1

06

3

56

1

,74

6

1,8

61

1

,79

7

7,3

75

出所:

GT

AP

8.1

Da

ta B

as

eを利用したシミュレーション後のデータから作成した国際

I-O表(実質)により著者計算.

注:

RO

Wはオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・アフリカ,その他世界を合計したもの.

Page 23: CGE 及び I-O モデルによる分析― - Kobe Gakuin Universitykeizai/v02/data/WP-No24.pdfWorking Paper Series No.24 東アジアの貿易自由化と生産・貿易構造 ―CGE

22

表4 付

加価

値基

準の

国際

分業

(単

位%)

F

TA前

FT

A後(実質)

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

中国

8

1.9

1

.2

2.8

2

.5

3.2

81

.3

1.4

3

.4

2.7

3

.6

日本

2

.6

90

.5

2.7

3

.7

2.9

3.0

9

0.3

2

.9

3.9

3

.3

韓国

1

.3

0.3

8

0.0

1

.0

1.0

1.4

0

.3

79

.4

1.1

1

.2

台湾

1

.1

0.2

0

.4

76

.5

0.8

1.2

0

.2

0.4

7

5.9

0

.9

AS

EA

N

1.8

1

.0

1.5

1

.9

77

.0

1

.9

1.1

1

.7

2.1

7

6.2

北米

2

.2

1.5

2

.9

3.5

3

.0

2

.1

1.5

2

.8

3.4

2

.9

EU

3

.3

1.6

2

.9

3.3

4

.9

3

.2

1.6

2

.8

3.2

4

.7

RO

W

5.9

3

.7

6.8

7

.6

7.3

5.9

3

.8

6.6

7

.6

7.1

EA

8

8.6

9

3.2

8

7.4

8

5.7

8

4.9

88

.8

93

.1

87

.8

85

.7

85

.2

EA

*

6.6

2

.7

7.3

9

.2

7.9

7.5

2

.9

8.4

9

.8

9.0

出所:

GT

AP

8.1

Da

ta B

as

eを利用したシミュレーション前後のデータから作成した国際

I-O表(実質)により著者計算.

注:

RO

Wはオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・アフリカ,その他世界を合計したもの.

EAは自

地域を含む東アジア,

EA

*は自地域を含まない東アジア.

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23

付表 1 地域分類

地域名 GTAP での分類

オセアニア Australia, New Zealand

中国 China, Hong Kong

日本 Japan

韓国 Korea

台湾 Taiwan

ASEAN Cambodia, Indonesia, Lao People's Democratic Republ ic, Malaysia ,

Philippines, Singapore, Thailand, Viet Nam, Res t of Southeast Asia

南アジア Bangladesh, India, Nepal, Pakistan, Sri Lanka, Rest of South Asia

北米 Canada, United States of America, Mexico

中南米 Argentina, Bolivia, Brazil, Chile, Colombia, Ecuador, Paraguay, Peru,

Uruguay, Venezuela, Rest of South America, C osta Rica, Guatemala,

Honduras, Nicaragua, Panama, El Salvador, Rest of Central America,

Caribbean

EU Austria, Belgium, Cyprus, Czech Republic, Denmark, Estonia, Finland,

France, Germany, Greece, Hungary, Ireland, Italy, Latvia, Lithuania,

Luxembourg, Mal ta, Netherlands, Poland, Portugal, Slovakia, Slovenia,

Spain, Sweden, United Kingdom, Bulgaria, Romania

旧ソ連・東欧

Albania, Belarus, Croatia , Russian Federation , Ukraine, Rest of Eastern

Europe, Kazakhstan, Kyrgyztan, Rest of Former Soviet Union ,

Armenia, Azerbaijan, Georgia

中東・北アフリカ

Bahrain, Iran Is lamic Republic of, Israel, Kuwait, Oman, Qatar, Saudi

Arabia, Turkey, United Arab Emirates, Rest of Western Asia, Egypt,

Morocco, Tunisia, Rest of North Africa

サ ブ サ ハラ・アフリカ

Benin, Burkina Faso, Cameroon, Cote d 'Ivo ire, Ghana, Guinea, Nigeria,

Senegal, Togo, Rest of Western Africa, Central Africa, South Central

Africa, Ethiopia , Kenya, Madagascar, Malawi, Maurit ius, Mozambique,

Rwanda, Tanzania, Uganda, Zambia, Zimbabwe, Rest of Eastern Africa ,

Botswana, Namibia, Sou th Africa, Rest of South African Customs

その他世界 Rest of Oceania, Mongolia, Rest of East Asia, Rest of North America,

Switzerland, Norway, Rest of EFTA, Rest of Europe, Rest of the World

出所: GTAP 8 .1 Data Base より著者作成.

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24

付表 2 産業分類

産業名 GTAP での分類

農業 Paddy rice, Wheat, Cereal grains, Vegetables/fruit /nuts, Oil seeds,

Sugar cane/sugar beet, Plant -based f ibers, Crops

畜産 Cattle/sheep/goats /horses, Animal products , Raw milk,

Wool/ si lk -worm cocoons

林業 Forestry

漁業 Fishing

鉱業 Coal, Oil, Gas, Minerals

食品 Meat(cat t le /sheep/goats /horse), Meat products , Vegetable oils and

fats, Dairy products , Processed rice, Sugar, Food products,

Beverages and tobacco products

繊維・衣服 Textiles, Wearing apparel

軽工業 Leather products, Wood products, Paper products/publishing,

Metal products, Manufactures

石油石炭製品 Petroleum and coal products

化学 Chemical/rubber/plastic products

重工業 Mineral products, Ferrous metals, Metals

自動車 Motor vehicles and parts

輸送設備 Transport equipment

電子機器 Electronic equipment

機械 Machinery and equipment

電力・ガス Electric ity, Gas manufacture/distr ibution

水道 Water

建設 Construction

運輸 Transport, Sea transport, Air t ransport

サービス Trade, Communicat ion, Financial services, Insurance,

Business services, Recreation and other services,

Public administration/defence/health/education, Dwellings

出所: GTAP 8 .1 Data Base より著者作成.

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25

付表 3 生産量変化率 (%)

中国 日本 韓国 台湾 ASEAN 北米 EU

農業 1.1 -2.0 -4.0 -1.5 0.6 -0.3 0.0

畜産 0.1 -0.8 1.0 1.9 0.5 -0.1 -0.1

林業 -0.4 -1.0 -1.0 0.3 -0.4 0.1 0.0

漁業 0.5 -0.5 -0.7 0.1 0.4 -0.1 -0.0

鉱業 -0.2 -1.2 -2.6 -1.5 -0.6 0.1 0.1

食品 1.7 -1.3 0.5 2.2 1.8 -0.2 -0.1

繊維 0.0 3.4 8.7 14.4 1.5 -0.8 -0.8

軽工業 0.1 -0.2 -0.1 0.6 -0.3 0.0 -0.0

P_C -0.6 0.9 1.9 3.2 0.2 -0.0 0.1

化学 -1.9 1.2 2.5 6.1 2.0 -0.2 -0.1

重工業 -0.2 1.3 -0.3 3.0 -3.0 0.1 -0.1

自動車 -1.7 -0.6 -0.7 -3.5 -1.5 0.5 0.1

輸送設備 2.0 -3.5 -6.7 -5.6 -0.9 0.3 0.4

電子機器 1.9 -1.5 0.4 -6.7 -1.0 0.7 0.9

機械 -1.1 0.3 -0.4 6.9 2.4 0.1 -0.1

E_G -0.4 0.3 0.6 1.8 -0.3 -0.0 -0.0

水 -0.3 0.0 0.4 0.3 -0.4 -0.0 -0.0

建設 0.5 0.8 1.7 2.1 2.5 -0.2 -0.2

運輸 0.1 -0.2 -0.4 -1.3 0.2 0.1 0.3

サービス -0.2 -0.0 -0.2 -0.6 -0.6 0.0 0.0

出所: GTAP 8 .1 Data Base をもとに著者計算.

注: P_C は石油石炭製品, E_G 電力・ガスを表す.

付表 4 生産及び需要の変化額 (100 万ドル )

中国 日本

生産量 中間需要 最終需要 生産量 中間需要 最終需要

農業 2,978 2,918 60 -1,172 -1,039 -133

畜産 286 594 -309 -221 -263 42

林業 -126 -124 -2 -40 -42 2

漁業 282 386 -104 -67 -111 44

鉱業 -609 -609 -0 -103 -103 0

食品 7,785 5,391 2,394 -3,804 -3,592 -212

繊維 160 -624 784 1,374 1,183 191

軽工業 736 104 633 -814 -606 -208

P_C -1,589 -1,524 -65 1,819 1,285 534

化学 -13,369 -13,261 -108 4,634 4,735 -101

重工業 -2,313 -2,335 22 5,087 5,027 60

自動車 -4,584 -3,956 -629 -3,077 -146 -2,931

輸送設備 1,864 789 1,075 -1,680 -1,293 -388

電子機器 9,515 6,206 3,308 -5,129 -2,727 -2,402

機械 -9,697 -8,406 -1,291 1,285 2,881 -1,596

E_G -983 -899 -83 460 237 223

水 -44 -33 -11 2 -2 4

建設 3,953 27 3,926 4,619 -248 4,867

運輸 390 507 -117 -995 -1,006 11

サービス -3,986 -1,085 -2,901 -297 -4,253 3,956

出所: GTAP 8 .1 Data Base を利用したシミュレーション前後のデータから作成した国際 I -O 表

(実質)により著者作成.

注: P_C は石油石炭製品, E_G 電力・ガスを表す.

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26

付表

5

付加

価値

輸出

依存

a)

(%)

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

北米

E

U

RO

W

EA

*

EA

中国

7

2.8

2

.6

1.0

0

.3

1.4

8

.1

7.2

6

.5

5.3

7

8.1

日本

2

.4

85

.2

0.7

0

.4

1.1

4

.3

3.0

2

.9

4.6

8

9.8

韓国

4

.9

2.0

7

2.7

0

.4

1.5

6

.1

5.8

6

.7

8.8

8

1.5

台湾

1

0.1

3

.0

1.1

5

9.5

2

.4

10

.1

7.9

5

.8

16

.6

76

.1

AS

EA

N

5.2

4

.6

1.4

0

.6

60

.1

9.2

9

.6

9.3

1

1.7

7

1.9

北米

0

.5

0.6

0

.2

0.1

0

.3

93

.8

2.3

2

.1

1.8

1

.8

EU

0

.9

0.6

0

.2

0.1

0

.5

3.4

8

8.5

5

.7

2.3

2

.3

b)

FTA後

(実

質)

(%)

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

北米

E

U

RO

W

EA

*

EA

中国

7

2.1

2

.9

1.2

0

.4

1.6

8

.1

7.2

6

.5

6.1

7

8.2

日本

2

.8

85

.1

0.8

0

.5

1.2

4

.0

2.8

2

.8

5.3

9

0.4

韓国

5

.6

2.2

7

2.3

0

.4

1.7

5

.9

5.5

6

.4

9.9

8

2.2

台湾

1

1.3

3

.1

1.3

5

9.0

3

.0

9.4

7

.3

5.5

1

8.8

7

7.8

AS

EA

N

5.6

5

.1

1.5

0

.7

59

.6

9.1

9

.4

9.1

1

2.8

7

2.4

北米

0

.5

0.6

0

.2

0.1

0

.3

93

.8

2.3

2

.1

1.7

1

.7

EU

0

.8

0.6

0

.2

0.1

0

.5

3.4

8

8.5

5

.8

2.3

2

.3

c)

FTA後

(名

目)

(%)

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

北米

E

U

RO

W

EA

*

EA

中国

7

2.2

2

.9

1.2

0

.4

1.6

8

.1

7.2

6

.5

6.1

7

8.3

日本

2

.8

85

.1

0.8

0

.5

1.2

4

.0

2.8

2

.8

5.3

9

0.4

韓国

5

.5

2.2

7

2.4

0

.4

1.7

5

.9

5.5

6

.4

9.8

8

2.2

台湾

1

1.3

3

.1

1.3

5

9.2

3

.0

9.4

7

.3

5.5

1

8.7

7

7.9

AS

EA

N

5.5

5

.0

1.5

0

.7

59

.7

9.0

9

.4

9.1

1

2.8

7

2.5

北米

0

.5

0.6

0

.2

0.1

0

.3

93

.8

2.3

2

.1

1.7

1

.7

EU

0

.8

0.6

0

.2

0.1

0

.5

3.4

8

8.5

5

.8

2.3

2

.3

出所:

GT

AP

8.1

Da

ta B

as

eを利用したシミュレーション前後のデータから作成した国際

I-O表により著者作成.

注:

RO

Wはオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・アフリカ,その他世界を合計したもの.

EAは自

地域を含む東アジア,

EA

*は自地域を含まない東アジア.

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27

付表 6 付加価値輸入依存度

a) 初期 (%)

中国 日本 韓国 台湾 ASEAN 北米 EU

中国 78.5 2.1 3.7 3.3 4.2 1.6 1.6

日本 3.2 87.1 3.1 5.7 4.1 1.1 0.8

韓国 1.5 0.5 75.8 1.1 1.3 0.4 0.4

台湾 1.2 0.3 0.4 69.7 0.9 0.2 0.2

ASEAN 2.0 1.4 1.8 2.1 68.7 0.7 0.8

北米 2.8 2.2 4.1 5.4 4.5 89.6 2.3

EU 4.4 2.3 3.8 4.9 7.4 3.2 88.2

ROW 6.4 4.1 7.2 7.7 8.8 3.3 5.8

EA* 8.0 4.3 9.1 12.2 10.6 4.0 3.7

EA 86.4 91.3 84.9 82.0 79.2 4.0 3.7

b) FTA 後(実質) (%)

中国 日本 韓国 台湾 ASEAN 北米 EU

中国 77.7 2.4 4.5 3.7 4.9 1.6 1.5

日本 3.7 86.5 3.5 6.2 4.7 1.0 0.8

韓国 1.7 0.5 74.8 1.3 1.5 0.3 0.3

台湾 1.4 0.3 0.5 68.5 1.1 0.2 0.2

ASEAN 2.2 1.5 2.0 2.4 67.6 0.7 0.7

北米 2.7 2.2 3.9 5.3 4.4 89.7 2.3

EU 4.2 2.4 3.7 4.9 7.2 3.2 88.3

ROW 6.4 4.1 7.0 7.7 8.7 3.3 5.8

EA* 9.0 4.7 10.5 13.6 12.2 3.9 3.6

EA 86.7 91.2 85.4 82.1 79.8 3.9 3.6

c) FTA 後(名目) (%)

中国 日本 韓国 台湾 ASEAN 北米 EU

中国 77.6 2.3 4.4 3.6 4.8 1.6 1.5

日本 3.8 86.8 3.5 6.2 4.8 1.0 0.8

韓国 1.7 0.5 75.1 1.2 1.5 0.3 0.3

台湾 1.4 0.3 0.5 69.1 1.1 0.2 0.2

ASEAN 2.2 1.5 2.0 2.4 67.7 0.7 0.7

北米 2.7 2.2 3.8 5.2 4.3 89.6 2.3

EU 4.2 2.3 3.7 4.8 7.1 3.2 88.3

ROW 6.3 4.1 6.9 7.5 8.6 3.3 5.8

EA* 9.1 4.6 10.5 13.4 12.2 3.9 3.6

EA 86.8 91.4 85.6 82.5 79.9 3.9 3.6

出所: GTAP 8 .1 Data Base を利用したシミュレーション前後のデータから作成した国際 I -O 表

により著者作成.

注:ROW はオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・

アフリカ,その他世界を合計したもの. EA は自地域を含む東アジア, EA*は自地域を含ま

ない東アジア.

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28

付表

7

FTA後

の付

加価

値貿

易(

名目

(単

位10億

ドル

中国

日本

韓国

台湾

A

SE

AN

北米

E

U

RO

W

合計

輸出

中国

2

,46

4

10

0

43

1

2

53

2

76

2

44

2

20

3

,41

2

94

8

日本

1

20

3

,68

5

34

2

1

53

1

72

1

22

1

21

4

,32

8

64

3

韓国

5

5

21

7

22

4

1

7

58

5

5

63

9

97

2

75

台湾

4

5

13

5

2

38

1

2

38

2

9

22

4

02

1

64

AS

EA

N

70

6

3

19

8

7

49

1

13

1

18

1

14

1

,25

3

50

5

北米

8

5

93

3

7

18

4

8

15

,07

5

36

6

34

2

16

,06

4

98

9

EU

1

33

9

9

35

1

6

79

5

39

1

4,0

18

9

12

1

5,8

31

1

,81

3

RO

W

20

1

17

3

66

2

6

95

5

50

9

25

8

,75

3

10

,78

9

2,0

36

合計

3

,17

3

4,2

47

9

61

3

44

1

,10

5

16

,82

0

15

,87

7

10

,54

8

53

,07

6

7,3

72

輸入

7

09

5

62

2

39

1

06

3

57

1

,74

5

1,8

59

1

,79

5

7,3

72

出所:

GT

AP

8.1

Da

ta B

as

eを利用したシミュレーション後のデータから作成した国際

I-O表(名目)により著者作成.

注:

RO

Wはオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・アフリカ,その他世界を合計したもの.

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29

付表 8 最終生産物に内包される付加価値の帰着先

a) 初期 ( 10 億ドル)

中国 日本 韓国 台湾 ASEAN

中国 2,858 52 28 9 38

日本 90 3,853 27 14 35

韓国 44 12 806 4 12

台湾 37 7 4 281 9

ASEAN 61 43 15 7 908

北米 78 64 30 13 35

EU 116 66 30 12 58

ROW 205 159 68 28 86

合計 3,489 4,256 1,007 367 1,180

EA* 232 113 74 34 93

EA 3,089 3,966 879 315 1,002

b) FTA 後(実質) ( 10 億ドル)

中国 日本 韓国 台湾 ASAEN

中国 2,841 58 34 10 43

日本 104 3,843 30 14 39

韓国 50 13 802 4 14

台湾 41 7 4 278 11

ASAEN 67 45 17 8 904

北米 75 65 28 12 34

EU 112 68 29 12 56

ROW 205 160 67 28 85

合計 3,495 4,258 1,010 366 1,186

EA* 262 122 85 36 107

EA 3,103 3,966 886 314 1,011

c) FTA 後(名目) ( 10 億ドル)

中国 日本 韓国 台湾 ASEAN

中国 2,839 58 34 10 43

日本 106 3,913 30 15 40

韓国 51 13 814 4 14

台湾 42 7 4 287 11

ASEAN 67 45 17 8 909

北米 75 65 28 12 34

EU 111 67 29 12 56

ROW 205 160 66 28 84

合計 3,495 4,327 1,022 375 1,191

EA* 265 123 85 36 108

EA 3,104 4,035 899 323 1,017

出所: GTAP 8 .1 Data Base を利用したシミュレーション後のデータから作成した国際 I -O 表

(名目)により著者作成.

注:ROW はオセアニア,南アジア,中南米,旧ソ連・東欧,中東・北アフリカ,サブサハラ・

アフリカ,その他世界を合計したもの. EA は自地域を含む東アジア, EA*は自地域を含ま

ない東アジア.

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30

付表 9 生産変化の要因分解

a) 中国 (単位 100 万ドル)

生産変化 技術 最終需要

合計 レベル 地域分布 生産物構成

農業 2,978 1,931 1,047 12 65 969

畜産 286 105 181 9 12 159

林業 -126 -194 68 1 3 63

漁業 282 242 39 3 8 29

鉱業 -609 -1,187 578 13 67 497

食品 7,785 4,679 3,106 21 95 2,990

繊維 160 -1,867 2,027 22 152 1,853

軽工業 736 -1,050 1,786 37 61 1,688

P_C -1,589 -1,934 345 12 59 274

化学 -13,369 -14,466 1,097 30 145 922

重工業 -2,313 -4,854 2,540 44 155 2,341

自動車 -4,584 -3,716 -869 12 8 -888

輸送設備 1,864 581 1,283 4 18 1,261

電子機器 9,515 5,018 4,496 22 70 4,405

機械 -9,697 -9,112 -585 37 184 -807

E_G -983 -1,345 362 12 32 319

水 -44 -51 7 1 1 5

建設 3,953 -8 3,961 36 -81 4,006

運輸 390 -439 829 23 63 743

サービス -3,986 -2,444 -1,542 95 95 -1,732

第 1 次 2,811 898 1,912 39 155 1,718

第 2 次 -11,493 -26,719 15,226 240 947 14,040

第 3 次 -670 -4,286 3,617 165 110 3,341

合計 -9,352 -30,107 20,756 444 1,213 19,099

出所: GTAP 8 .1 Data Base を利用したシミュレーション後のデータから作成した国際 I -O 表

(実質)により著者作成.

注: P_C は石油石炭製品, E_G は電力・ガスを表す

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31

b) 日本 (単位 100 万ドル)

生産変化 技術 最終需要

合計 レベル 地域分布 生産物構成

農業 -1,172 -1,033 -138 2 284 -425

畜産 -221 -257 36 1 129 -94

林業 -40 -46 5 0 18 -13

漁業 -67 -110 44 1 67 -24

鉱業 -103 -145 41 0 35 6

食品 -3,804 -3,636 -168 13 1,461 -1,642

繊維 1,374 1,071 303 2 145 156

軽工業 -814 -1,187 374 14 1,365 -1,006

P_C 1,819 1,058 761 9 833 -81

化学 4,634 4,973 -339 17 1,257 -1,613

重工業 5,087 5,133 -46 17 1,244 -1,307

自動車 -3,077 2,469 -5,547 21 860 -6,429

輸送設備 -1,680 -1,233 -447 2 131 -580

電子機器 -5,129 -1,905 -3,224 14 966 -4,204

機械 1,285 2,992 -1,708 18 1,205 -2,931

E_G 460 244 216 7 681 -472

水 2 -9 11 1 125 -115

建設 4,619 -295 4,914 24 2,686 2,204

運輸 -995 -1,456 461 20 1,815 -1,374

サービス -297 -4,521 4,225 197 21,316 -17,288

第 1 次 -1,603 -1,591 -12 5 534 -551

第 2 次 -306 9,736 -10,042 129 9,466 -19,637

第 3 次 3,789 -6,038 9,827 249 26,624 -17,045

合計 1,880 2,107 -227 382 36,623 -37,232

出所: GTAP 8 .1 Data Base を利用したシミュレーション後のデータから作成した国際 I -O 表

(実質)により著者作成.

注: P_C は石油石炭製品, E_G は電力・ガスを表す.