米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学...

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米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学バークレー校の事例から― サンフランシスコ研究連絡センター 段野 真那

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Page 1: 米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学 ......米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学バークレー校の事例から―

米国大学におけるダイバーシティ政策

―カリフォルニア大学バークレー校の事例から―

サンフランシスコ研究連絡センター

段野 真那

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Page 2: 米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学 ......米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学バークレー校の事例から―

1. はじめに

皆さんは「ダイバーシティ」と聞いてどのようなイメージが浮かぶだろうか。ダイバーシティ

は日本語で「多様性」と訳されるが、具体的に「多様性」が何を指し示すのかという定義は文化、

社会、個人間で異なっている。一般的に日本では、「ダイバーシティ=多様性=女性の社会活躍」

が連想されることが多いが、ダイバーシティはもはや女性の社会活躍のみを指し示す言葉ではな

いだろう。では、未来の社会を担っていく学生たちが学ぶ、日本の大学での「ダイバーシティ」

について私たちは今後どのように考えるべきだろうか。 国際協力員1として日本学術振興会サンフランシスコ研究連絡センターへ赴任した際に一番驚

いたことは、オフィス所在地であるバークレーの人種の多様性であった。電車の中、駅構内、レ

ストラン、学校、どこを見渡しても言語や文化の異なる多種多様な人々が共存し、外見のみにお

いて誰が「外国人」であるかなどということを判断するのはもはや不可能である。また、バーク

レーでの生活において、そのように人々を区別する必要性を感じない。このような状況において、

「私は本当にアメリカに住んでいるのだろうか?」という問いが度々浮かんだ。そして、その問

いと同時に「そもそものアメリカという国に対する私のイメージとは何だったのか」、「いわゆる

“アメリカ人”とはどのような人を指し示すのか」、と様々な問いが浮かび、いかに国や人種に対し

ての古いステレオタイプを抱いていたのかということを痛感した。ここバークレーには人種のみ

ならず人々の多様性を許容する文化があることを生活の端々から感じることができる。私はこの

地で「ダイバーシティ」についての考え方や政策について学ぶことで、今後の日本の大学でのダ

イバーシティ政策へのヒントが得られるのではないだろうかと考えた。 筆者の所属する立命館学園では 2030 年に目指すビジョンとして、「学園ビジョン R2030-挑戦

をもっと自由に」2を掲げている。この学園ビジョンは大きくかつ急激に変化する社会、先を見通

すことが難しいこれからの社会動向を見据え、未来社会のあるべき姿を積極的に提案し、その実

現に挑戦することを目指して提案された。このビジョンの中で提案される学園像の一つに、「ダイ

バーシティ&インクルージョンを実現する学園」が設定されている。ダイバーシティ&インクル

ージョンを実現する学園とは、「個人、組織、地域、国、宗教、風習、文化をはじめとする社会の

あらゆる多様性を前提とし、個人の意見や考え方の違いを理解・尊重し、他者と協働しながら多

様な「つながり」を育む学園」と定義されている。このように筆者の所属機関でも「ダイバーシ

ティ」や「インクルージョン」が今後のビジョンとして一層重要視されるようになってきている。

また、文部科学省の「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ女性研究者研究活動支援」事

業3や、経済産業省の「ダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業」を表彰する「ダ

イバーシティ経営企業 100 選」事業4など、教育研究現場および産業界でもダイバーシティに着

1 日本学術振興会 国際学術研修 https://www.jsps.go.jp/j-kaigai_center/kenshu.html (2018 年 12 月 11 日アクセス) 2 学園ビジョン R2030 http://www.ritsumei.ac.jp/features/r2030/ (2018 年 12 月 11 日アクセス) 3 ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ女性研究者研究活動支援 文部科学省 HP より http://www.jst.go.jp/shincho/josei_shien/ (2019 年 1 月 28 日アクセス) 4 ダイバーシティ推進 経済産業省 HP より http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/index.html (2019 年 1 月 28 日アクセス)

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図 2 米国全体と比較したカリフォルニア州の使用言語(18 歳以上)比率

3.カリフォルニア州の大学におけるダイバーシティ 次に人種や文化の多様化が進んでいるカリフォルニア州の大学のダイバーシティについて述べ

る。 米国では日本と異なり各州が教育について独立した権限を保持している。カリフォルニア州で

は、「カリフォルニア高等教育マスタープラン,1960~1975 年」(A Master Plan for Higher Education in California, 1960-1975)7により、州立高等教育機関が①カリフォルニア大学(UCシステム):州の中心的研究機関、②カリフォルニア州立大学(CSU システム):実践的分野及び教

員養成、③カリフォルニア・コミュニティ・カレッジ(CCC システム):職業教育を含めた学部前

半の 2 年間の教育を提供,補習教育および英語教育の 3 つに分けられた。マスタープランは当初、

1960 年から 1975 年の 15 年間を対象として策定されたが、その後の複数回にわたる見直しでも

大幅な変更はなく現在も有効である。 マスタープランにより分類された 3 つの大学システムにおいての人種構成比率の概要は以下の

通りである(図 3)8。カリフォルニア大学では突出して Asian American の比率が高く、反対に

カリフォルニア州立大学やコミュニティカレッジでは Latino の比率が高いことが分かる。しか

し、いずれにしても 3 つの教育機関の全てにおいて多様な人種構成となっていることが分かる。

7 米国「カリフォルニア高等教育マスタープラン」の概要 文部科学省 HP より http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/030301dc.htm (2019 年 1 月 30 日アクセス) 8 以下、全て 2019 年 1 月 30 日アクセス UC システム: THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA AT A ALANCE(Sep 2018) https://www.universityofcalifornia.edu/sites/default/files/uc-at-a-glance-sept-2018.pdf CSU システム: The California State University FACT BOOK2018 https://www2.calstate.edu/csu-system/about-the-csu/facts-about-the-csu/documents/facts2018.pdf CCC システム: Community College League of California FAST FACTS 2018 https://www.ccleague.org/sites/default/files/images/ff2018_league_0.pdf

55.3%

27.8%

4.9% 10.9%1.1%

78.6%

12.8%3.8% 3.7% 1.1%

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

English only Spanish Indo-European Asian/Islander Other

カリフォルニア州 全米

目した事業が行われている。 このような背景から、米国大学においてのダイバーシティ政策、具体的には多様な人々が互い

を尊重し共存する環境がどのような政策によって維持されているのかを学びたいと考えるように

なった。本稿では、カリフォルニア州バークレーに位置するカリフォルニア大学バークレー校(以

下、UC バークレー)のダイバーシティ政策について調査し、日本の大学での「ダイバーシティ」

を今後どのように考えていくのか、筆者なりの考えを述べたい。

2.米国内でのカリフォルニア州のダイバーシティ 本稿で調査対象とする UC バークレーのダイバーシティ政策への理解を深めるために、米国内

でのカリフォルニア州のダイバーシティについて人種構成比率と使用言語比率を用いて理解した

い。人種・言語のみでダイバーシティを定義することはできないが、ひとつの指標として利用す

る。 カリフォルニア州は人口が約 3 億 3000 万人5の米国において、約 4000 万人の全米 1 位の人口6

を誇る。また州の面積は約 42 万 km²で全米で 3 位 6である。日本の面積が約 38 万 km²なので、

カリフォルニア州のみで日本の国土を上回るほどの広さを持っている。米国全体と比較した、人

種構成と使用言語比率については以下の図 1、25, 6 の通りであり、州全体で人種や文化の多様化

が進んでいることが分かる。

図 1 米国全体と比較したカリフォルニア州の人種構成比率

5 アメリカ合衆国基礎データ 外務省 HP より https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/data.html#section1 (2019 年 1 月 28 日アクセス) 6 Census Reporter https://censusreporter.org/profiles/04000US06-california/ (2019 年 1 月 28 日アクセス)

37.5%

5.5% 0.3%14.1%

0.4% 0.3% 3.0%

38.9%

61.1%

12.3%0.7% 5.4% 0.2% 0.2% 2.4%

17.8%

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

White Black Native Asian Islander Other Two+ Hispanic

カリフォルニア州 全米

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図 2 米国全体と比較したカリフォルニア州の使用言語(18 歳以上)比率

3.カリフォルニア州の大学におけるダイバーシティ 次に人種や文化の多様化が進んでいるカリフォルニア州の大学のダイバーシティについて述べ

る。 米国では日本と異なり各州が教育について独立した権限を保持している。カリフォルニア州で

は、「カリフォルニア高等教育マスタープラン,1960~1975 年」(A Master Plan for Higher Education in California, 1960-1975)7により、州立高等教育機関が①カリフォルニア大学(UCシステム):州の中心的研究機関、②カリフォルニア州立大学(CSU システム):実践的分野及び教

員養成、③カリフォルニア・コミュニティ・カレッジ(CCC システム):職業教育を含めた学部前

半の 2 年間の教育を提供,補習教育および英語教育の 3 つに分けられた。マスタープランは当初、

1960 年から 1975 年の 15 年間を対象として策定されたが、その後の複数回にわたる見直しでも

大幅な変更はなく現在も有効である。 マスタープランにより分類された 3 つの大学システムにおいての人種構成比率の概要は以下の

通りである(図 3)8。カリフォルニア大学では突出して Asian American の比率が高く、反対に

カリフォルニア州立大学やコミュニティカレッジでは Latino の比率が高いことが分かる。しか

し、いずれにしても 3 つの教育機関の全てにおいて多様な人種構成となっていることが分かる。

7 米国「カリフォルニア高等教育マスタープラン」の概要 文部科学省 HP より http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/030301dc.htm (2019 年 1 月 30 日アクセス) 8 以下、全て 2019 年 1 月 30 日アクセス UC システム: THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA AT A ALANCE(Sep 2018) https://www.universityofcalifornia.edu/sites/default/files/uc-at-a-glance-sept-2018.pdf CSU システム: The California State University FACT BOOK2018 https://www2.calstate.edu/csu-system/about-the-csu/facts-about-the-csu/documents/facts2018.pdf CCC システム: Community College League of California FAST FACTS 2018 https://www.ccleague.org/sites/default/files/images/ff2018_league_0.pdf

55.3%

27.8%

4.9% 10.9%1.1%

78.6%

12.8%3.8% 3.7% 1.1%

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

English only Spanish Indo-European Asian/Islander Other

カリフォルニア州 全米

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や文化を認め合う、キャンパスのダイバーシティを推し進めてきたことも納得できる。 しかしながら、キャンパスのダイバーシティ推進は容易ではなく、マイノリティグループ

( Underrepresented groups ) と さ れ る 、 African American, Chicano/Latino, Native American/Alaska Native, Pacific islander の学生比率はカリフォルニア州の人口比率と比較し

ても低い(図 4)12。

AFRICAN AMERICAN CHICANX/LATINX NATIVE AMERICAN/ALASKA PACIFIC ISLANDER

図 4 カリフォルニア州の人口比率と比較した UC バークレーにおける African American, Chicano/Latino, Native American/Alaska Native, Pacific islander の学生比率

5. UC バークレーにおけるダイバーシティ政策

前章にて述べたような状況において、キャンパスで多様な人々が互いを尊重し共存する環境をど

のような政策や制度によって維持しているのか、UC バークレーの Division of Equity & Inclusion 内の、Campus Climate, Community Engagement & Transformation に所属する Amy Scharf 氏にインタビューを行った13。Amy Scharf 氏は、教育分野における公平性やダイバーシ

ティの推進について 20 年以上の経験を持ち、UC バークレーでは主に教員に対する公平性やダイ

バーシティの理解促進に向けた取り組みのコーディネートを全て担っている。(以下、インタビュ

ーに基づき筆者編集) 5.1 UC バークレーにおける Diversity, Equity, Inclusion の定義について インタビューの冒頭に、UC バークレーにおける Diversity, Equity, Inclusion それぞれの定義14

について以下の通り共有いただいた。UC バークレーでは、以下の定義を基にダイバーシティ政

12 Diversity Data Dashboard https://diversity.berkeley.edu/reports-data/diversity-data-dashboard(2019 年 1 月 30 日アクセス) 13 インタビュー実施日:2018 年 12 月 19 日 14 UC Berkeley Strategic Plan for Equity, Inclusion, and Diversity-PATHWAY TO EXCELLENCE-2009 https://diversity.berkeley.edu/sites/default/files/speid_final_webversion.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

図 3 マスタープランにより分類された 3 つの教育機関においての人種構成比率

4.カリフォルニア大学 と UC バークレーにおけるダイバーシティ 州の中心的研究機関であるカリフォルニア大学(UC システム)は、カリフォルニア州オークラン

ドに本部を置き、10 校(キャンパス)、3 国立研究所、5 メディカルセンターから構成される米国

最大規模の研究大学群である9。モリル・ランドグラント法(Morrill Land-Grant Colleges Act)の適用を受けたランドグランド大学10として、1868 年にバークレーで開校され、2018 年には創

立 150 周年を迎えた。1868 年は日本では明治維新に該当する。 カリフォルニア大学(UC システム)全体での学生数は 27 万 3,179 名(学部 21 万 6,747 名、大

学院 5 万 6,432 名)で教職員数は 22 万 3,300 名(教員 2 万 2,700 名、教員以外のアカデミック 4万 5,700 名、職員 15 万 4,900 名)である 9。UC バークレー単独での学生数は、4 万 1,910 人(学

部 3 万 574 名、大学院 1 万 1,336 名)である11。また、2018 年時点のノーベル賞受賞者輩出の総

数は 61 名 9にのぼり、日本の 27 名を大きく上回る。31 名のノーベル賞受賞者 11を輩出した UCバークレーのキャンパス内には、ノーベル賞受賞者専用の駐車場も設置され、その功績をうかが

うことができる。 1870 年に初めての女子学生を迎えて以降、UC バークレーでは率先してキャンパスのダイバ

ーシティを推し進めてきた。また、UC バークレーは 1960 年代の米国での学生運動の象徴的な

キャンパスでもある。人種差別に関する抗議、および個人の権利の保障を訴えた公民権運動の興

りが、大学のキャンパス内での学生運動にまで拡大し、Free Speech Movement と呼ばれる学生

組織が UC バークレーで結成された。1964 年のバークレー闘争と呼ばれる抗議活動では、学生

たちは UC 本部へ対して言論の自由・政治活動の権利を訴えた。このような背景が異なる価値観

9 The UC System https://www.universityofcalifornia.edu/uc-system (2019 年 1 月 30 日アクセス) 10 The Morrill Land Grant Act of 1862 http://memory.loc.gov/cgi-bin/ampage?collId=llsl&fileName=012/llsl012.db&recNum=534 (2019 年 1 月 30 日アクセス) 11 Berkeley By the numbers https://www.berkeley.edu/about/bythenumbers (2019 年 1 月 30 日アクセス)

34.0%

22.0% 24.0%

4.0%

16.0%16.0%

24.0%

40.0%

4.0%

17.0%12.0%

26.0%

44.0%

6.0%12.0%

0.0%5.0%

10.0%15.0%20.0%25.0%30.0%35.0%40.0%45.0%50.0%

Asian American White Latino African American Other

カリフォルニア大学 カリフォルニア州立大学 コミュニティカレッジ

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や文化を認め合う、キャンパスのダイバーシティを推し進めてきたことも納得できる。 しかしながら、キャンパスのダイバーシティ推進は容易ではなく、マイノリティグループ

( Underrepresented groups ) と さ れ る 、 African American, Chicano/Latino, Native American/Alaska Native, Pacific islander の学生比率はカリフォルニア州の人口比率と比較し

ても低い(図 4)12。

AFRICAN AMERICAN CHICANX/LATINX NATIVE AMERICAN/ALASKA PACIFIC ISLANDER

図 4 カリフォルニア州の人口比率と比較した UC バークレーにおける African American, Chicano/Latino, Native American/Alaska Native, Pacific islander の学生比率

5. UC バークレーにおけるダイバーシティ政策

前章にて述べたような状況において、キャンパスで多様な人々が互いを尊重し共存する環境をど

のような政策や制度によって維持しているのか、UC バークレーの Division of Equity & Inclusion 内の、Campus Climate, Community Engagement & Transformation に所属する Amy Scharf 氏にインタビューを行った13。Amy Scharf 氏は、教育分野における公平性やダイバーシ

ティの推進について 20 年以上の経験を持ち、UC バークレーでは主に教員に対する公平性やダイ

バーシティの理解促進に向けた取り組みのコーディネートを全て担っている。(以下、インタビュ

ーに基づき筆者編集) 5.1 UC バークレーにおける Diversity, Equity, Inclusion の定義について インタビューの冒頭に、UC バークレーにおける Diversity, Equity, Inclusion それぞれの定義14

について以下の通り共有いただいた。UC バークレーでは、以下の定義を基にダイバーシティ政

12 Diversity Data Dashboard https://diversity.berkeley.edu/reports-data/diversity-data-dashboard(2019 年 1 月 30 日アクセス) 13 インタビュー実施日:2018 年 12 月 19 日 14 UC Berkeley Strategic Plan for Equity, Inclusion, and Diversity-PATHWAY TO EXCELLENCE-2009 https://diversity.berkeley.edu/sites/default/files/speid_final_webversion.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

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図 5 UC システムでの意思決定プロセス Division of Equity & Inclusion の支援制度を Amy Scharf 氏のインタビューに基づき図 616に

示した。留学生に対する支援は別部署が担っているが、その他の多様な学生、教職員への支援は

全てこの部署が担っている。ここでは各部門の支援制度や役割について述べる。

図 6 Division of Equity & Inclusion の支援制度 ①Campus Climate, Community Engagement & Transformation このプログラムは、UC バークレーの学生・教職員の全てが大学に歓迎されていると感じるこ

とができる環境の創出を目的に支援を行っている。学術的な支援というよりは、キャンパス内で

のコミュニティ作りなどの支援を主としている。特に、18~22 歳前後の学生には、自身のアイデ

ンティティへの悩みを抱える者が多く、そのような学生がキャンパス内で孤独感を味わったり、

16 2018 年 12 月 19 日 Amy Scharf 氏インタビューより筆者作成

策を推し進めている。 Diversity 文化・環境の違いから生じた、個人によって異なる経験、価値観、および世界観のことを指す。

文化や環境の違いとは、「人種、民族、性別、性自認、年齢、宗教、言語、障害、性的指向、社会

経済的地位、地理的地域」などが含まれる。 Equity UC バークレーの教育およびキャリアの全段階において、全ての学生・教職員に対する公平な

扱い(教育機会や昇進の均等性等)を保証すること。 また、少数派であるために公平な扱いを受

けてこなかったグループにおいて、何が障害となっているかを特定し排除すること。 Inclusion UC バークレーを構成する全ての個人またはグループが、歓迎され、尊敬され、支持され、そ

して価値があると感じることができる環境を創り出すこと。 また、全ての構成員が大学が提供す

る機会に参加できるように、違いを受け入れ、互いを尊重することを言葉と行動で示すこと。 5.2 Division of Equity & Inclusion の成り立ちと組織構成について Division of Equity & Inclusion は現在から約 10 年前の 2009 年に設立された新しい部署であ

る。2009 年以前にも、現在の Division of Equity & Inclusion が担っている学生支援の役割を果

たす部署は存在していたが、各部署が学内に点在していたため、UC 本部へ意見を述べるだけの

力を持ってはいなかった。そのような状況を打開し、学内への影響を高めることを目的に関連部

署が統合され、Division of Equity & Inclusion ができた。部署ができることにより、Vice Chancellor も配置され、UC 本部へ影響力が高まった。 UC システムでの意思決定プロセスは共同統治(Shared Governance)という形をとっており、

複数の主体が大学の意思決定に関与し、重層的に議論を行い様々な決定を行っていくという特徴

的かつ複雑なものである(図 5)15。以下の図 5 において明らかなことは、ひとつの部署(Division)としてまとまり、Vice Chancellor を置くことで、意思決定プロセスにおいて UC 本部へ直接意

見を述べられるようになったことだ。これによって学内において入学課や教務課等の他部署と同

等の立場を確保することができるようになった。

15 Summary from JUNBA2015 ~共同統治(Shared Governance)とプロボスト(Provost)~2015 年 1 月 9 日 JUNBA 理

事会 http://www.junba.org/docs/junba2015/summary.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

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図 5 UC システムでの意思決定プロセス Division of Equity & Inclusion の支援制度を Amy Scharf 氏のインタビューに基づき図 616に

示した。留学生に対する支援は別部署が担っているが、その他の多様な学生、教職員への支援は

全てこの部署が担っている。ここでは各部門の支援制度や役割について述べる。

図 6 Division of Equity & Inclusion の支援制度 ①Campus Climate, Community Engagement & Transformation このプログラムは、UC バークレーの学生・教職員の全てが大学に歓迎されていると感じるこ

とができる環境の創出を目的に支援を行っている。学術的な支援というよりは、キャンパス内で

のコミュニティ作りなどの支援を主としている。特に、18~22 歳前後の学生には、自身のアイデ

ンティティへの悩みを抱える者が多く、そのような学生がキャンパス内で孤独感を味わったり、

16 2018 年 12 月 19 日 Amy Scharf 氏インタビューより筆者作成

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③Undergraduate Programs このプログラムは学部学生を対象としており、K-12 outreach programs と並んで大きなプログ

ラムである。支援対象学生には、障害のある学生、コミュニティカレッジから編入してきた学生、

社会人学生、子どもを持つ学生、家族の中で初めて高等教育にアクセスした学生(First Generation Student)、ジェンダーマイノリティの学生などが含まれ、留学生を除く多様な学生

への学業面、生活面の支援を行っている。この支援には、undocumented immigrant、直訳する

と書類がない移民、すなわち米国内において滞在を合法とする移民法関連の書類がない者たちへ

の支援も行なっていることが特徴的である。「①Campus Climate, Community Engagement & Transformation」にて既に紹介した、各コミュニティ支援団体も学部生のためのプログラムに含

まれる。 ④Graduate Programs このプログラムでは UC バークレーの学部から大学院へ進学する者のうち、少数派であるため

に公平な扱いを受けてこなかったグループに対しての支援を主として行っている。また、学生達

への支援のみならず、大学院進学希望者の選抜を行うオフィスに対しても支援が行われている。

オフィスへの支援は、志願書類をどのように公平に判断するかというアドバイスなどが該当する。

このアドバイスは、少数派に属する学生を多く大学院に進学させるために学生の数をコントロー

ルするようなものではなく、学生の選抜において常に公平な判断が行われることを目的としてい

る。 5.3 Equity、Inclusion and Diversity の政策について Equity、Inclusion and Diversity についての UC バークレーの方針「UC Berkeley Strategic Plan for Equity, Inclusion, and Diversity-PATHWAY TO EXCELLENCE-2009」は、現在から

約 10 年前の 2009 年に Division of Equity & Inclusion が設立した際に併せて制定された 14。こ

の方針は Division of Equity & Inclusion が部署となってから、初めて構成員が協力して行った協

働業務でもある。方針は 2009 年から 2020 年までの Equity、Inclusion and Diversity について

のミッションが策定されており、現在 2020 年以降の計画を策定する時期が迫っている。 方針の中で述べられている Equity、Inclusion and Diversity の推進へ向けた重要な目標は大き

く 3 点あり、それぞれ、①UC バークレーの構成員が Equity、Inclusion and Diversity への理解

を深めることでキャンパスのみならず社会へも働きかけていくこと、②全ての学生の成功のため

に、教育とキャリアの機会を公平にすること、③UC バークレーを構成する全ての個人またはグ

ループが、歓迎され、尊敬され、支持され、そして価値があると感じることができる環境を創り

出すこと、が掲げられている。 方針を策定することは共通のミッションを共有するうえで重要であることはもちろんだが、

Division of Equity & Inclusion 以外のオフィスの人々を巻き込むうえでも重要な役割を果たし

ている。なぜなら、UC バークレーが策定した方針に対しては、全ての構成員が貢献することが

求められているため、他のオフィスへ方針に沿った改善を要請することができるからである。方

孤立することを防ぐためにコミュニティへの参加を呼びかけている。主なコミュニティ支援団体

は以下の通りであり、それぞれの団体には各コミュニティ出身の教職員がアドバイザーの役割を

担っているため、学生のみの活動団体ではない。また、団体の成り立ちについても、学生の要望

によって団体が生まれたわけではなく、学生のニーズを汲み取って UC バークレー側が団体を設

立した。

主な各コミュニティ支援団体17

African American Student Development

Asian Pacific American Student Development

Chicanx Latinx Student Development

Gender Equity Resource Center

Multicultural Community Center

Native American Student Development

②K-12 outreach programs このプログラムは、UC バークレーがカリフォルニア州の K-1218の教育機関(公立学校のみ)

へ向けて提供するもので、Division of Equity & Inclusion の中でも Undergraduate Programsと並んで大きなプログラムである。米国において K-12 とは、高等教育を受ける前の初等・中等

教育の合計 12 年間を指し、公立学校では無償教育が提供されている。UC バークレーでは少数派

であるために公平な扱いを受けてこなかったグループに対して、初等・中等教育段階での教育機

会の公平性を担保する支援を行っている。この支援の最終目標は、高等教育へのアクセスの機会

を全てのグループにおいて平等にすることである。 また、UC バークレーではアファーマティブ・アクション(少数派であるために公平な扱いを

受けてこなかったグループに対して、入学時に人種的配慮を行うこと)を導入していない。その

理由は、1996 年に California Proposition 209(住民提案 209 号)において公教育、雇用、契約

におけるアファーマティブ・アクションが廃止されたためである19。このような背景から、高等

教育への進学前にマイノリティグループへの支援を行うことは、UC バークレーのダイバーシテ

ィ推進において重要な役割を果たしている。また、この取り組みは公立学校と UC バークレーの

重要なパイプラインと位置づけられている。

17 Campus Climate, Community Engagement & Transformation, Centers for Educational Justice & Community Engagement https://campusclimate.berkeley.edu/students (2019 年 1 月 30 日アクセス) 18 UC Berkeley | Division of Equity & Inclusion,K-12 & Community College https://diversity.berkeley.edu/programs-services/k-12-community-college (2019 年 1 月 30 日アクセス) 19 University of California Guidelines For Addressing Race and Gender Equity in Academic Programs in Compliance with Proposition 209 https://www.ucop.edu/general-counsel/guidance/enhancing-diversity-at-uc.html (2019 年 1 月 30 日アクセス)

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③Undergraduate Programs このプログラムは学部学生を対象としており、K-12 outreach programs と並んで大きなプログ

ラムである。支援対象学生には、障害のある学生、コミュニティカレッジから編入してきた学生、

社会人学生、子どもを持つ学生、家族の中で初めて高等教育にアクセスした学生(First Generation Student)、ジェンダーマイノリティの学生などが含まれ、留学生を除く多様な学生

への学業面、生活面の支援を行っている。この支援には、undocumented immigrant、直訳する

と書類がない移民、すなわち米国内において滞在を合法とする移民法関連の書類がない者たちへ

の支援も行なっていることが特徴的である。「①Campus Climate, Community Engagement & Transformation」にて既に紹介した、各コミュニティ支援団体も学部生のためのプログラムに含

まれる。 ④Graduate Programs このプログラムでは UC バークレーの学部から大学院へ進学する者のうち、少数派であるため

に公平な扱いを受けてこなかったグループに対しての支援を主として行っている。また、学生達

への支援のみならず、大学院進学希望者の選抜を行うオフィスに対しても支援が行われている。

オフィスへの支援は、志願書類をどのように公平に判断するかというアドバイスなどが該当する。

このアドバイスは、少数派に属する学生を多く大学院に進学させるために学生の数をコントロー

ルするようなものではなく、学生の選抜において常に公平な判断が行われることを目的としてい

る。 5.3 Equity、Inclusion and Diversity の政策について Equity、Inclusion and Diversity についての UC バークレーの方針「UC Berkeley Strategic Plan for Equity, Inclusion, and Diversity-PATHWAY TO EXCELLENCE-2009」は、現在から

約 10 年前の 2009 年に Division of Equity & Inclusion が設立した際に併せて制定された 14。こ

の方針は Division of Equity & Inclusion が部署となってから、初めて構成員が協力して行った協

働業務でもある。方針は 2009 年から 2020 年までの Equity、Inclusion and Diversity について

のミッションが策定されており、現在 2020 年以降の計画を策定する時期が迫っている。 方針の中で述べられている Equity、Inclusion and Diversity の推進へ向けた重要な目標は大き

く 3 点あり、それぞれ、①UC バークレーの構成員が Equity、Inclusion and Diversity への理解

を深めることでキャンパスのみならず社会へも働きかけていくこと、②全ての学生の成功のため

に、教育とキャリアの機会を公平にすること、③UC バークレーを構成する全ての個人またはグ

ループが、歓迎され、尊敬され、支持され、そして価値があると感じることができる環境を創り

出すこと、が掲げられている。 方針を策定することは共通のミッションを共有するうえで重要であることはもちろんだが、

Division of Equity & Inclusion 以外のオフィスの人々を巻き込むうえでも重要な役割を果たし

ている。なぜなら、UC バークレーが策定した方針に対しては、全ての構成員が貢献することが

求められているため、他のオフィスへ方針に沿った改善を要請することができるからである。方

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政策立案において法律の施行や政府事業への参加などの大学側の事情を主体として考えるので

はなく、学生や教職員などの構成員を主体として考えることは、一見当たり前のように思えるが

現実は難しい。この考えを Amy Scharf 氏を含めた政策を考える大学側の人々が共通認識として

いることが、UC バークレーでのダイバーシティ政策を推進する機動力となっていると感じた。

6. UC バークレーにおけるダイバーシティ推進へ向けた職員研修 ダイバーシティ政策を全学で推し進めるためには教職員のダイバーシティへの理解と推進へ向

けた努力が欠かせない。そこでダイバーシティ政策を推進するために、教職員へ向けてどのよう

な研修プログラムを行っているかについて UC バークレーの Social Sciences Graduate Diversity Office20に所属する Ira Young 氏にインタビューを行った21。Ira Young 氏は、前章で述

べた Division of Equity & Inclusion が担う役割のうち、大学院生へ向けた Graduate Programsを提供している。特に STEM 分野(科学 Science・ 技術 Technology・工学 Engineering・数学

Mathematics)においてのダイバーシティを確保しマイノリティーグループへの支援プログラム

を行っている。インタビューは Ira Young 氏自身が講師を務める、職員向け研修プログラムの内

容を中心に行った。(以下、インタビューに基づき筆者編集) 6-1.職員向け研修プログラム―Multicultural Education Program― Division of Equity & Inclusion では Multicultural Education Program(多文化共生プログラ

ム)と呼ばれる、職員向けの研修プログラムを実施している22 。この研修は Division of Equity & Inclusion に所属する専門家によって構成されている UC バークレー独自の研修プログラムであ

る。 研修内容は以下(表 1)23の 4 つに分類され、職員は業務時間内に受講することが可能である。

また、受講については各部署の責任者が部下に対して受講を推奨する場合が多く、その他職員個

人が希望しての受講や部署全体の研修として受講されることも多い。 20 Berkeley College of Letters & Science Social Sciences Graduate Diversity Office https://ls.berkeley.edu/academic-programs/social-sciences/social-sciences-graduate-diversity-office (2019 年 1 月 30 日ア

クセス) 21 インタビュー実施日:2018 年 11 月 6 日 22 UC Berkeley Division of Equity & Inclusion Multicultural Education Program https://mep.berkeley.edu/ (2019 年 1月 30 日アクセス) 23 Curriculum Overview for Staff https://mep.berkeley.edu/sites/default/files/mep_staff_curriculum_overview.pdf (2019年 1 月 30 日アクセス)

針の策定によって UC バークレー全体として、ダイバーシティを推進していくことが確認された

ことは一つの成果である。 5.4 UC バークレーのダイバーシティ政策に対する評価システムについて 「 UC Berkeley Strategic Plan for Equity, Inclusion, and Diversity-PATHWAY TO EXCELLENCE-2009」にて定められた UC バークレーのダイバーシティ政策に対する評価シス

テムについては、各部署に配置された Data Analysist (データ分析者)がその役割を担っている。

Data Analysist は各部署に 1 名ずつ配置され、部署が行った取り組みについての学生・教職員か

らの評価や影響について、質問票やインタビュー、UC 全体のデータの分析等を行い、得られた

データを部署へ還元する。 但し、この Data Analysist は各部署での分析や評価のみ担当をしているため、UC バークレー

のダイバーシティ政策全体に対する大規模な調査や全学で統一された評価システムは存在しない。 現在、2020 年以降の計画を策定する時期が迫っている中で、この評価システムに対する在り方

の議論が進んでおり、Vice Chancellor も政策に対する評価システムを今後強化したいと考えてい

る。 5.5 Amy Scharf 氏 ( Division of Equity & Inclusion: Campus Climate, Community Engagement & Transformation)がダイバーシティ政策において重要だと考えること インタビューの最後に、ダイバーシティ政策において重要なことを尋ねたところ、以下の通り

の回答があった。 ・「人類は皆平等であるべきだ」と主張するだけでは、本当のダイバーシティは実現できない。 マイノリティグループに属していることで不当な差別を受けてきた人々についての正しい知

識および歴史的背景を理解し、平等でない部分を改善する努力をすること。そして大学での 政策を考える際には、そのような人々を含めた全構成員に対しての政策であることを常に意 識することが必要である。 ・ダイバーシティ政策は構成員に対する大学の考えを体現したものである。ダイバーシティに 関する新しい法律が政府によって定められたので、大学でも新しい政策を策定するというよ うに、ダイバーシティを推進する理由が“法律”のみによって縛られたものであったら、学

生や教職員たちはどのように受け止めるだろうか。大学の全構成員が歓迎され、尊敬され、 支持され、そして価値があると感じることができる環境を創り出すために、ダイバーシティ を推進する大学こそが学生や教職員たちに魅力的に映るであろう。

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政策立案において法律の施行や政府事業への参加などの大学側の事情を主体として考えるので

はなく、学生や教職員などの構成員を主体として考えることは、一見当たり前のように思えるが

現実は難しい。この考えを Amy Scharf 氏を含めた政策を考える大学側の人々が共通認識として

いることが、UC バークレーでのダイバーシティ政策を推進する機動力となっていると感じた。

6. UC バークレーにおけるダイバーシティ推進へ向けた職員研修 ダイバーシティ政策を全学で推し進めるためには教職員のダイバーシティへの理解と推進へ向

けた努力が欠かせない。そこでダイバーシティ政策を推進するために、教職員へ向けてどのよう

な研修プログラムを行っているかについて UC バークレーの Social Sciences Graduate Diversity Office20に所属する Ira Young 氏にインタビューを行った21。Ira Young 氏は、前章で述

べた Division of Equity & Inclusion が担う役割のうち、大学院生へ向けた Graduate Programsを提供している。特に STEM 分野(科学 Science・ 技術 Technology・工学 Engineering・数学

Mathematics)においてのダイバーシティを確保しマイノリティーグループへの支援プログラム

を行っている。インタビューは Ira Young 氏自身が講師を務める、職員向け研修プログラムの内

容を中心に行った。(以下、インタビューに基づき筆者編集) 6-1.職員向け研修プログラム―Multicultural Education Program― Division of Equity & Inclusion では Multicultural Education Program(多文化共生プログラ

ム)と呼ばれる、職員向けの研修プログラムを実施している22 。この研修は Division of Equity & Inclusion に所属する専門家によって構成されている UC バークレー独自の研修プログラムであ

る。 研修内容は以下(表 1)23の 4 つに分類され、職員は業務時間内に受講することが可能である。

また、受講については各部署の責任者が部下に対して受講を推奨する場合が多く、その他職員個

人が希望しての受講や部署全体の研修として受講されることも多い。 20 Berkeley College of Letters & Science Social Sciences Graduate Diversity Office https://ls.berkeley.edu/academic-programs/social-sciences/social-sciences-graduate-diversity-office (2019 年 1 月 30 日ア

クセス) 21 インタビュー実施日:2018 年 11 月 6 日 22 UC Berkeley Division of Equity & Inclusion Multicultural Education Program https://mep.berkeley.edu/ (2019 年 1月 30 日アクセス) 23 Curriculum Overview for Staff https://mep.berkeley.edu/sites/default/files/mep_staff_curriculum_overview.pdf (2019年 1 月 30 日アクセス)

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この研修において特徴的なのは、その内容だけではなく運営体制だ。上記の研修プログラムの

講師は外部講師ではなく、全て UC バークレーの教職員がボランティアで担っている。講師とし

て選定された者は、1 週間程度の講師向け研修を Division of Equity & Inclusion から受ける。講

師向け研修では、研修プログラムの統一シラバスに基づいて、講師が授業内容を構築するための

支援を行う。このように学内の教職員にダイバーシティ政策推進に向けた研修プログラムの講師

という役割を与えることで、学内のダイバーシティ政策への職員の理解を一層進める効果がある。

また、Division of Equity & Inclusion に所属する教職員数を増やさずとも、研修プログラムを効

果的に運営することができる。

7.考察 UC バークレーのダイバーシティ政策に関する調査で明らかになったことのうち、日本の大学

のダイバーシティを考える鍵は以下の 3 点にまとめられる。 ①到達目標が同様の複数部署を統一してマネジメントし、全学への影響力を強めること ②教職員にダイバーシティ推進へ向けた役割を与えること ③社会課題の解決が学内課題の解決へ繋がる仕組みを生み出すこと ①については、全学への影響力を強めることを目的に、UC バークレーが複数部署を統合して

Division of Equity & Inclusion を設立したことから、新しい政策を推し進める際には、小さな声

を統合してひとつの大きな声として影響力を持つ組織にすることが大切だと学んだ。 ②については、Ira Young 氏へのインタビューで紹介された職員向け研修プログラム―

Multicultural Education Program―を指す。研修プログラムの内容に加え、プログラムの運営

方法における教職員の活用事例に学ぶところが大きい。 ③については、K-12(初等・中等教育段階)の生徒を対象とした支援に代表される、社会課題

の解決へ向けた大学の貢献によって大学自体の課題も解決していくという仕組みを指す。UC バ

ークレーでは、大学の抱える課題の原因を学内に求めるのではなく、広く一般社会に目を向けた

ことで、結果として大学が社会に貢献するという好循環が生み出されている。そしてこの好循環

は学内課題の将来的な解決にも繋がっている。 また、本稿の第 5 章、第 6 章にて述べた UC バークレーのダイバーシティ政策では、表層的な

ダイバーシティである性別、人種、国籍、年齢、身体的な特徴など外見で識別可能な属性と、深

層的なダイバーシティである価値、 態度、嗜好、信条、職歴、スキル、パーソナリティ、考え方、

価値観、仕事観、 文化的背景といった内面上の属性のどちらに対しても支援を行う体制が整って

いた24。日本の大学でのダイバーシティ政策としては、深層的なダイバーシティについての理解

24 谷口真美(2005)『ダイバシティ・マネジメント多様性を活かす組織』(白桃書房) p.44

表 1 Multicultural Education Program(多文化共生プログラム)研修内容 タイトル 到達目標 内容 Looking In& Looking Out: Exploring Workplace Diversity

•自分について知る •身近な他者について学ぶ •アイデンティティの影響を探る •違いを受け入れ、コミュニケー ションをとる方法を学ぶ

時間数:2 時間 対象者:一般職員 個人を特徴づけるものは何か、またそれが

各個人の物事の考え方にどのように影響を

及ぼすのかを学ぶ。参加者同士の対話に

よって、参加者自身について、また参加者

が属する組織について深く理解する。また

違いを受け入れ、コミュニケーションをと

る方法についても学ぶ。 First Take, Second Look: Exploring Unconscious Bias

•無意識の偏見を特定する •無意識の偏見の影響を理解する •無意識の偏見がどのように起こるのか

を説明できるようになる •無意識の偏見への対処を学ぶ

時間数:2 時間 対象者:一般職員 少人数でのディスカッションを通して、無

意識に行っている、「偏見」あるいは「他者

を不快にさせる行動や言動」について理解

する。

Let’s Talk: Engaging in Cross-Cultural Communication

•個人のコミュニケーションの方法に 問題意識を持つ •多様で複雑なコミュニケーションの 方法を理解する •「Intent 対 Impact」モデルの知識と 応用からの解放 •より効果的な異文化間コミュニケーシ ョンに貢献するスキルを学び、実践する

時間数:2 時間 30 分 対象者:一般職員 参加者同士の対話を通して、違いを認め合

いコミュニケーションをとる際の障壁とな

るものについて学ぶ。米国内の情勢や理論

についても学び、本研修が様々な場面に応

用できるようになる。

Creating Inclusive Work Environments

•インクルーシブな職場環境と良い チームを創るために必要なことを知る •異なる価値観や多様な考えについて 問題意識を持つ •コミュニティと公平性・包括性の原則 について理解する •職場環境の調査結果について共有する •ダイバーシティへの理解を職場の管理 に応用する •多文化・多世代の違いに関する知識を 職場の管理に応用する

時間数:8 時間 対象者:管理者 講義と参加者のディスカッションを通し

て、公平性と包括性、感情的知性、そして

多世代労働力の問題の原則を検証し、イン

クルーシブな職場環境と良いチームを造る

重要性について学ぶ。

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この研修において特徴的なのは、その内容だけではなく運営体制だ。上記の研修プログラムの

講師は外部講師ではなく、全て UC バークレーの教職員がボランティアで担っている。講師とし

て選定された者は、1 週間程度の講師向け研修を Division of Equity & Inclusion から受ける。講

師向け研修では、研修プログラムの統一シラバスに基づいて、講師が授業内容を構築するための

支援を行う。このように学内の教職員にダイバーシティ政策推進に向けた研修プログラムの講師

という役割を与えることで、学内のダイバーシティ政策への職員の理解を一層進める効果がある。

また、Division of Equity & Inclusion に所属する教職員数を増やさずとも、研修プログラムを効

果的に運営することができる。

7.考察 UC バークレーのダイバーシティ政策に関する調査で明らかになったことのうち、日本の大学

のダイバーシティを考える鍵は以下の 3 点にまとめられる。 ①到達目標が同様の複数部署を統一してマネジメントし、全学への影響力を強めること ②教職員にダイバーシティ推進へ向けた役割を与えること ③社会課題の解決が学内課題の解決へ繋がる仕組みを生み出すこと ①については、全学への影響力を強めることを目的に、UC バークレーが複数部署を統合して

Division of Equity & Inclusion を設立したことから、新しい政策を推し進める際には、小さな声

を統合してひとつの大きな声として影響力を持つ組織にすることが大切だと学んだ。 ②については、Ira Young 氏へのインタビューで紹介された職員向け研修プログラム―

Multicultural Education Program―を指す。研修プログラムの内容に加え、プログラムの運営

方法における教職員の活用事例に学ぶところが大きい。 ③については、K-12(初等・中等教育段階)の生徒を対象とした支援に代表される、社会課題

の解決へ向けた大学の貢献によって大学自体の課題も解決していくという仕組みを指す。UC バ

ークレーでは、大学の抱える課題の原因を学内に求めるのではなく、広く一般社会に目を向けた

ことで、結果として大学が社会に貢献するという好循環が生み出されている。そしてこの好循環

は学内課題の将来的な解決にも繋がっている。 また、本稿の第 5 章、第 6 章にて述べた UC バークレーのダイバーシティ政策では、表層的な

ダイバーシティである性別、人種、国籍、年齢、身体的な特徴など外見で識別可能な属性と、深

層的なダイバーシティである価値、 態度、嗜好、信条、職歴、スキル、パーソナリティ、考え方、

価値観、仕事観、 文化的背景といった内面上の属性のどちらに対しても支援を行う体制が整って

いた24。日本の大学でのダイバーシティ政策としては、深層的なダイバーシティについての理解

24 谷口真美(2005)『ダイバシティ・マネジメント多様性を活かす組織』(白桃書房) p.44

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Page 15: 米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学 ......米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学バークレー校の事例から―

参考文献

[1] 日本学術振興会 国際学術研修 https://www.jsps.go.jp/j-kaigai_center/kenshu.html (2018 年 12 月 11 日アクセス)

[2] 学園ビジョン R2030 http://www.ritsumei.ac.jp/features/r2030/ (2018 年 12 月 11 日アクセス)

[3] ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ女性研究者研究活動支援 文部科学省 HP より

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[5] アメリカ合衆国基礎データ 外務省 HP より

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[6] Census Reporter https://censusreporter.org/profiles/04000US06-california/ (2019 年 1 月 28 日アクセス)

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[9] The California State University FACT BOOK2018

https://www2.calstate.edu/csu-system/about-the-csu/facts-about-the-csu/documents/facts2018.pdf (2019 年 1 月 30 日ア

クセス)

[10] Community College League of California FAST FACTS 2018

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[12] The Morrill Land Grant Act of 1862

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[13] Berkeley By the numbers https://www.berkeley.edu/about/bythenumbers (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[14] Diversity Data Dashboard https://diversity.berkeley.edu/reports-data/diversity-data-dashboard (2019 年 1 月 30 日ア

クセス)

[15] Student Protest.(1969, Sep). AAUP Bulletin, p.309-326.

[16] 小杉 亮子.(2012).「1960 年代アメリカの学生運動の形成要因―バークレー闘争を例に―」.『社会学年報』.41 巻. p. 67-77.

[17] UC Workforce Diversity

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[18] UC Berkeley Strategic Plan for Equity, Inclusion, and Diversity-PATHWAY TO EXCELLENCE-2009

https://diversity.berkeley.edu/sites/default/files/speid_final_webversion.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[19] Summary from JUNBA2015 ~共同統治(Shared Governance)とプロボスト(Provost)~2015 年 1 月 9 日 JUNBA

理事会 http://www.junba.org/docs/junba2015/summary.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[20] Campus Climate, Community Engagement & Transformation, Centers for Educational Justice & Community

Engagement https://campusclimate.berkeley.edu/students (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[21] UC Berkeley | Division of Equity & Inclusion, K-12 & Community College

や支援体制を今後進めていくべきだと考える。 本稿では米国においての人種・グループに基づいたダイバーシティ政策を調査してきたため、

UC バークレーでの取り組みをそのまま日本の大学に応用できるわけではない。しかしながら、

米国をはじめとする諸外国がダイバーシティをどのように理解しているかを知ることは、世界の

多様な人々とのコミュニケーションを容易にするだろう。また、日本の大学において人種・グル

ープ間での公平性や均等性というものが表立って議論されることは少ないが、米国のダイバーシ

ティ政策を応用することで、全構成員が心地よく過ごすことができる学園創造が可能となるので

はないだろうか。 日本の大学でのダイバーシティ政策の将来像は未だ見えていないが、現代の国際社会において

その重要性は今後より一層大きくなることが予想される。今回の調査を通して学んだ知識や経験

を帰国後に還元できるように引き続き学びを深めていきたい。

8.謝辞

本稿の作成にあたり、お忙しい中インタビューにご協力くださったカリフォルニア大学バークレ

ー校の Amy Scharf 氏、Ira Young 氏、海外研修期間中に大変お世話になった田宮センター長は

じめサンフランシスコ研究連絡センターの皆様に御礼申しあげます。そして、このような貴重な

機会を与えてくださった日本学術振興会と学校法人立命館の皆様に心から感謝申しあげます。本

当にありがとうございました。

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Page 16: 米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学 ......米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学バークレー校の事例から―

参考文献

[1] 日本学術振興会 国際学術研修 https://www.jsps.go.jp/j-kaigai_center/kenshu.html (2018 年 12 月 11 日アクセス)

[2] 学園ビジョン R2030 http://www.ritsumei.ac.jp/features/r2030/ (2018 年 12 月 11 日アクセス)

[3] ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ女性研究者研究活動支援 文部科学省 HP より

http://www.jst.go.jp/shincho/josei_shien/ (2019 年 1 月 28 日アクセス)

[4] ダイバーシティ推進 経済産業省 HP より

http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/index.html (2019 年 1 月 28 日アクセス)

[5] アメリカ合衆国基礎データ 外務省 HP より

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[6] Census Reporter https://censusreporter.org/profiles/04000US06-california/ (2019 年 1 月 28 日アクセス)

[7] 米国「カリフォルニア高等教育マスタープラン」の概要 文部科学省 HP より

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/030301dc.htm (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[8] THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA AT A ALANCE (Sep 2018)

https://www.universityofcalifornia.edu/sites/default/files/uc-at-a-glance-sept-2018.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[9] The California State University FACT BOOK2018

https://www2.calstate.edu/csu-system/about-the-csu/facts-about-the-csu/documents/facts2018.pdf (2019 年 1 月 30 日ア

クセス)

[10] Community College League of California FAST FACTS 2018

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[11] The UC System https://www.universityofcalifornia.edu/uc-system (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[12] The Morrill Land Grant Act of 1862

http://memory.loc.gov/cgi-bin/ampage?collId=llsl&fileName=012/llsl012.db&recNum=534 (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[13] Berkeley By the numbers https://www.berkeley.edu/about/bythenumbers (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[14] Diversity Data Dashboard https://diversity.berkeley.edu/reports-data/diversity-data-dashboard (2019 年 1 月 30 日ア

クセス)

[15] Student Protest.(1969, Sep). AAUP Bulletin, p.309-326.

[16] 小杉 亮子.(2012).「1960 年代アメリカの学生運動の形成要因―バークレー闘争を例に―」.『社会学年報』.41 巻. p. 67-77.

[17] UC Workforce Diversity

https://www.universityofcalifornia.edu/infocenter/uc-workforce-diversity (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[18] UC Berkeley Strategic Plan for Equity, Inclusion, and Diversity-PATHWAY TO EXCELLENCE-2009

https://diversity.berkeley.edu/sites/default/files/speid_final_webversion.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[19] Summary from JUNBA2015 ~共同統治(Shared Governance)とプロボスト(Provost)~2015 年 1 月 9 日 JUNBA

理事会 http://www.junba.org/docs/junba2015/summary.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[20] Campus Climate, Community Engagement & Transformation, Centers for Educational Justice & Community

Engagement https://campusclimate.berkeley.edu/students (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[21] UC Berkeley | Division of Equity & Inclusion, K-12 & Community College

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Page 17: 米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学 ......米国大学におけるダイバーシティ政策 ―カリフォルニア大学バークレー校の事例から―

米国大学の寄付金受入状況

-カリフォルニア州立大学の事例から-

サンフランシスコ研究連絡センター

濱嶋 智衣

https://diversity.berkeley.edu/programs-services/k-12-community-college (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[22] University of California Guidelines For Addressing Race and Gender Equity in Academic Programs in Compliance

with Proposition 209 https://www.ucop.edu/general-counsel/guidance/enhancing-diversity-at-uc.html (2019 年 1 月 30

日アクセス)

[23]「諸外国の教育統計」平成 30(2018)年版 文部科学省 HP より

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/syogaikoku/1404260.htm (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[24] Berkeley College of Letters & Science Social Sciences Graduate Diversity Office

https://ls.berkeley.edu/academic-programs/social-sciences/social-sciences-graduate-diversity-office (2019 年 1 月 30 日ア

クセス)

[25] UC Berkeley Division of Equity & Inclusion Multicultural Education Program

https://mep.berkeley.edu/ (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[26] Curriculum Overview for Staff

https://mep.berkeley.edu/sites/default/files/mep_staff_curriculum_overview.pdf (2019 年 1 月 30 日アクセス)

[27] 谷口真美.(2005).『ダイバシティ・マネジメント多様性を活かす組織』.白桃書房.p.44.

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