ces2016から見えて来たio tの浸透度と今後について

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2016年2月8日 ニフティ株式会社 ビジネス企画部 吉田 耕太郎 CES2016から見えて来た IoTの浸透度と今後について

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Page 1: CES2016から見えて来たio tの浸透度と今後について

2016年2月8日ニフティ株式会社

ビジネス企画部 吉田 耕太郎

CES2016から見えて来たIoTの浸透度と今後について

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自己紹介

1

わたくし、吉田 耕太郎について。

・富士通株式会社ネットマーケ部門にてサービス企画及び営業担当。

・メールメディア事業に関する所属部署のスピンアウト経験。

・2001年、ニフティに異動。広告ビジネス部門、WEBマーケティング業務、会員制度再構築、

CRM関連業務などを経て、2013年よりスマートプラットフォーム事業部にてサービス企画部長

を担務。 「スマートサーブ」のサービス開発を担当。

・2015年東急電鉄およびイッツ・コミュニケーションズと合弁会社設立プロジェクトに担務。

⇒現在は当合弁会社のステアリングコミッティメンバーとして参加し、

ニフティ側の事業キャッチャーを担いながら、IoTビジネスの推進実務を担当。

ニフティ株式会社営業企画本部ビジネス企画部長代理

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CES

2

について。CES2016

・CES: 世界最大の家電見本市・主催: 全米民生技術協会(CTA)従来は全米家電協会

・開催期間: 1月6日~10日(従来より1日延長)・開催地: ラスベガス

今年も過去最大規模のショーとなった

17万人

来場者数(昨年は16万人)

250万

平方フィート(昨年は220万平方フィート)

3,800社

展示(昨年は3,600社)

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3

大盛況です。

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昨年新設されたスマートホーム関連の第2会場に加え、コンテンツ制作やオンラインメディアを集めた

第3会場が新設

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CESのカテゴリー

5

Connected world

Drone,bots&Photography

entertainment

Startups & Fringe tech

Connected home

Connected car

Connected self

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CES2016 トピックス所感(スマートホーム観点)

6

■スマートホーム市場プレーヤーの顔ぶれ

昨年と比較して、プレイヤーの顔ぶれは大きな変化なし(一旦の淘汰が済んだ模様)

⇒クラウドファンディングからの生き残りの難しさが出始めている

■スマートホーム企業の戦略転換?

単独ソリューションモデルが減少傾向

⇒他のプラットフォームと連携・協調していく方向性に転換してきた

■ヨーロッパ勢の台頭

日本からの出展は極少数にとどまる

⇒フランスを中心としたヨーロッパ勢の台頭が目立った

■日本企業の潮目

Softbankをはじめとした日本企業の海外ベンダーへの接触が目立つ

⇒日本市場における潮流の足音(潮目が変わる前に、市場を押さえる必要性)

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全体所感① 家電関連

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• テレビ、冷蔵庫、洗濯機の主要家電は、SamsungとLGがブランド力、技術力、品揃えで圧倒的な存在感を示し、その牙城の一角であるテレビ市場を後追いする中国勢の様相。

• 日本の家電メーカーは、東芝とシャープが展示を見送った為、パナソニックとSONYの2社となり、さらに展示製品も家電に関しては革新性に乏しく、日本の電子・電気産業の凋落を象徴。

• 昨年来の傾向であるコネクティッドカー、コネクディドホーム、ウェアラブル(フィットネス、ヘルスケア)、ロボット、3Dプリンターなどの新サービスや新技術分野の拡大が続いている。

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LG

フレキシブル有機ELディスプレイ

・家電メーカーのIoT展示の中では一番Open戦略を踏襲・AmazonEchoに近いThinQを発表・ADT、iControlともパートナーシップを展示

スマートホームコントロール画面

スマートホームはオープンな互換性を強調

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SAMSUNG

・Smart Things(https://www.smartthings.com/)を買収した・TVがSmartHomeの中心と位置づけ、TVリモコンでOTTサービスを操作・Openではなく垂直統合なイメージが強い

スマートホームの操作をテレビ画面で

スマート冷蔵庫中のモノの賞味期限を可視化

BMWと自動運転やコネクティッドカーの分野で提携

Galaxy携帯は別のフロアで独立して展示

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Panasonic

得意芸の家電領域ではあるが、展示製品に革新性に乏しく、特筆すべきコンセプトの内だしが見られない。各事業の持出しを並べた印象。

コンセプトはスマートシティ

DECT通信利用のスマートホーム

美容家電

多数の画面を駆使するコックピット。運転情報、ナビ情報、エンタメ情報を助手席や後部座席からも操作可能。2017年から納入を開始し、車載機器1兆円の売上を目指す

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SONY

コンベンションセンターでAndroid TVをプラットフォームに採用した4Kテレビや、「4K HDR」対応、薄型化に貢献の「Slim Backlight Drive」技術などのテレビ技術展示が注目を集めたソニー。VRのブースは別ブースに分けて展示。

日本で販売しているQrioスマートロックを展示

スマートホーム展示はごく小さい ゲームとAV、VRを中心とした展開

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その他の日本メーカーブース

CASIO OMRON

三菱電機

スマートウォッチ

キャノン

タニタ

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全体所感② 自動車関連

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• 自動車メーカーはAudi、BMW、Mercedes、Volkswagen、GM、Ford、Chrysler、Hyundai、KIA、Toyotaの10社が展示、部品メーカーが106社で、自動運転など、車とITの融合が進んでいることを実感。

• FordがAmazon Echo(人口知能スピーカ)との提携を発表するなど、コネクティッドカーとコネクティッドホームの融合が加速。

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自動車系企業の展示

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KIA自動走行車

GMシボレー新型EV「Bolt」

Audi3モーター4WD SUV型EV

FordAmazon ecoとの提携

TOYOTA燃料電池車コンセプトカー

BMWカメラ機能と車内ディスプレイを組み合わせることでミラーレス化を実現 「i8 ミラーレス」

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自動車系企業の展示

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NVIDIA (エヌビディア)カリフォルニア州サンタクララの半導体メーカー。Drive PX2エンジンはMacBook Proの140台分のパワーを備え、リアルタイムで 画像分析や画像処理を行う

Volkswagenは、コネクテッドホームの提携先にLGを選んだ

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自動車系企業の展示

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FordとAmazon Echoの提携で車の生活が便利に

声で要求し、結果も声で返答

(家の中から)・ 車のエンジン掛けて・ 車の鍵を掛けて

(車の中から)・ 居間の明かりつけて・ エアコンの温度設定を

28度にして

“Alexa, ask my ford to lock my car.”

FordがAmazon Echoとの提携を発表するなど、コネクティッドカーとコネクティッドホームの融合が台頭

Ford + amazon

Amazon Echo(人口知能スピーカ)

http://www.amazon.com/gp/product/B00X4WHP5E/ref=ods_xs_ae_shurl

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全体所感③ スマートホーム関連

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• スマートホーム関連は、引き続き百科繚乱、群雄割拠の様相。134社が展示。2020年までには5,800万世帯がスマートホームになり、450億ドルの市場になるとの予想。

• 消費者はホームオートメーション付きのセキュリティサービス、特にサーモスタットやドアロックに価値を見出している。

• SamsungやLGなどの大手家電メーカーが戦略的にスマートホーム市場を牽引する様相が顕著で、種々デバイスの相互接続を担保しての囲い込み。

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Lowe’s (ホームセンター)

従来の「売り切りDIYモデル」スマートホームから、サブスクリプションモデルに移行。

従来の「売り切りDIYモデル」からサブスクリプションモデルとなるプロフェッショナルモニタリングを開始

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Icontrol(IoTプラットフォーム)

・ホームセキュリティの顧客基盤からスマートホームへの拡大を図る・OpenHomeとよばれる、各デバイスが連携できるエコシステムを形成・強みは「ホームセキュリティを”簡単”に実現でき、顧客基盤上にエコシステムを形成できる」こと。

システム採用事業者イッツコムやニフティの名も

初めてブースを出し、世界最大のプラットプラットフォーマーをアピール

Icontrol対応ベンダーとそのデバイス類

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Arrayent(IoTプラットフォーム)

・白物家電系デバイス特化のIoTプラットフォーム・ターゲットを完全にナショナルメーカーにシフト・P&GのファブリーズIoTサービスのバックエンドに採用・強みは「安く安全に家電をIoT化できる」こと。

http://www.arrayent.com/

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Ayla Networks(IoTプラットフォーム)

家電メーカー向けに専用のWi-Fiチップセットまで提供することで、簡単、低コスト、セキュリティを維持したうえでWi-Fi対応を可能とするプラットフォーム。各家電のIoT化を促し、接続状況を分析し、ダッシュボードに表示する。日系では富士通ゼネラルが顧客になっている。こちらも強みは「安く安全に家電をIoT化できる」こと。

https://www.aylanetworks.com/

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ADT (ホームセキュリティ大手)

警備会社系がIoT企業とのアライアンスを積極的に推進。IoTによるセルフセキュリティにオプションで駆け付けを付帯させる展開が多い。

Page 24: CES2016から見えて来たio tの浸透度と今後について

VIVINT(ホームセキュリティ大手)

自社製ドアベル

上部のスイッチを押すと動きだすカメラ⇒

当初、Alarm.comをプラットフォームに採用してきたが、自社加入者が伸びたため、独自展開を開始。現在は自社のプラットフォームにてホームセキュリティ顧客獲得を伸張中。

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その他のスマートハウス関連展示

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生活者の面でIoTを要約すると、わかりやすくはこれなのだが…

℃℉

WiFi / Internet Home Security

LIGHTSMOBILE Air-Ctrl Monitoring

Heating/CoolingSecurity Monitoring

SecurityMonitoring

Garage door Access Entrance door AccessPC/digitalnetwork

Connectting, Control, Monitoring,Operating...From anywhere at any time.

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スマートホームとしてのIoTのビジネス

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■このビジネスはスマホビジネスに近いのかもしれない。

-収益モデル①広告

-収益モデル②データ蓄積→活用

-収益モデル③ツール

-収益モデル④セキュリティ

相当数の規模がないと、ビジネスにならない。まだ小さい。

データ活用者まで想定が必要(保険屋?住宅メーカ?リテール?)

効果測定ツール、簡単開発ツールなどは出揃い始めた。

既存のホームセキュリティ市場の新しいポジションを創造し始めた。

■プラットフォーマーの不在(Apple,Googleもまだ本気出してない)

AppleやGoogleなどの大手ITベンダーが本気で動き出していない内に、Icontrol、Arrayent、Ayla Networksなどプラットフォーマ―が市場を台頭し始めているが、普及にはまだ時間がかかる。

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スマートハウス系ベンチャーの方向性

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・売り切りor提携強化の二つの方向性が有力・NEST、Dropcam(NESTcam)の次が出てきていない・August/RingはADT(日本SECOM)との提携を発表

商品ブランド

ハードウェアのカテゴリー サーモスタット 監視カメラ スマートロック ドアベル

ターゲット客層 一般家庭・SOHO 一般家庭・SOHO 一般家庭・SOHO 一般家庭・SOHO

ビジネスモデル 物販 物販+月額課金 物販 物販+月額課金

初期費用 $99/$249 $199 $199 $199

月額費用 -10-days:$100/year

30-day:$300/year-

$3/month or

$30/annually

アプリダウンロード数 50,000-1,000,000 100,000-500,000 10,000-50,000 50,000-100,000

パートナー work with Nest Program -ADT

(API公開)ADT

方向性 Buy Out (Google) Buy Out (NEST) 提携強化 提携強化

nest dropcam august ring

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スタートアップ企業の展示

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Eureka Parkと名づけたスタートアップ企業や団体を一同に集めた一角があり、展示団体数も昨年の375から500に増加し、熱気を帯びていたものの、生き残りが厳しく、既存の大手企業が起こせないデジタル化へシフト。

台湾企業の出展

別フロアーのJETRO提供ブースEureka Park

中国企業の出展

韓国企業の出展

大学の出展

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スタートアップの動き(ウェアラブル市場の企業動向から)

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IPO・Watch発表

に買収

アパレル・アクセサリーメーカー

に買収

スポーツウェア

スポーツウェア

に買収

■単独で勝ち残れるのは1社#一番最初にブランドを作れたところ(Wearableであれば、Fitbit)#Connected homeならWithings、Netatom

■スタートアップは、既存の大手企業が起こせないデジタル化を行う(オープンイノベーション)

fitbit

MISFIT

runtastic

myfitnesspal

adidas

UNDERARMOUR

FOSSIL

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スタートアップへの投資が急速に減速

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2015年のQ3(7-9月)は、「4日に1社」ユニコーンが生まれるという状況だった。⇒四半期での投資額が$38.7Bと、「3ヶ月で4兆円」以上がスタートアップに投じられていた。

上昇基調から一気に30%減少したVC投資額四半期Q4(10-12月)には件数は13%減、投資額は一気に30%減少。米国ではQ3比Q4ではほぼ半減。理由は様々なユニコーン企業の不振が明らかになったこともあり、投資銀行たちに支えられていたメガラウンドが一気に冷却した結果。

既存産業のDisruptionが加速1.San Francisco最大のタクシー会社

Yellow Cab社がChapter11を申請(倒産)。2.GMがLyftに$500M出資。

→若年層や新興国など、これから車を購入するはずのターゲットを奪う脅威であるLyftへの投資。

スマホとソーシャルという大きなドライバーにより、自動車産業を始めとする既存の巨大産業において、本格的にDisruptが加速されはじめている。

2016年、VCは力を蓄える年へ

http://scrum.vc/ja/2016/01/13/silicon-valley-2016/

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全体所感③ 新しい領域

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• 開幕前にメディアが注目したのは、ゴーグル型バーチャルリアリティ(VR)、進化したカメラを搭載するドローンなど。

• ドローンは2025年までに821億ドル、VRは2020年までに300億ドル、3Dプリンターは2020年までに84億ドルの市場創造が報じられている。

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ドローンとVR、3Dプリンタ

手のひらサイズのONAGOfly

EHANG: パイロット不要の1人乗り

XYZprinting:269ドルの民生用3Dプリンター

開幕前にメディアが注目したのは、ゴーグル型バーチャルリアリティ(VR)、進化したカメラを搭載するドローンなどの展示が多数。ドローンは2025年までに821億ドル、VRは2020年までに300億ドル、3Dプリンターは2020年までに84億ドルの市場創造が報じられている。

体験型展示で盛んなVRブース

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ベイビーヘルスケア系

Owlet: 幼児の心拍数、酸素量、体温、睡眠の質、睡眠時姿勢をスマホに通知する靴下

Project nursery: HDカメラでズーム、パン、チルト、双方向音声が可能。親が移動する際はミニモニターを携行

Snuza: 幼児のオムツに取り付け、腹部の異常を検知しアラームをスマホに通知し、カメラと合わせて幼児を見守る

http://www.owletcare.com/

http://us.snuza.com/

http://projectnursery.com/

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アップルやGoogleら大手の動きはどうか

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・Homekitの存在感はほとんど感じられない。Google陣営の優勢か。・NestやNetatmoらと連携する企業が多い(Apple Homekitより勢いがある)・AmazonEchoが目立つが、音声コマンド対応の単体デバイスはまだ少ない(車連携へ)

netatomoが会場の入口を押さえる

人物認識カメラ一度に多数の人物認識を行うことができる展示に注目の人だかり。

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Coway(韓国)Life Care プロダクツ

スマートウォッシュレット

体重、肥満度、尿に含まれる糖分を計測する

ブースの奥にはスマートベッドも展示されており、埋め込まれたセンサーにより、呼吸、心拍、睡眠状態を計測する

韓国、中国を筆頭にアジア勢のIoT関連展示が多いのが特徴的なCES2016

スマート空気清浄機

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CESを見てわかったこと 吉田の私見

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今回のCESでは、技術や品揃えの拡大といった「進歩」は見られたが、サービス=生活者メリット=売り方、訴求シナリオのアピールは見られなかった。

例:AirBnBやUberといった具体的サービス/ビジネスアイデアは見えない。

■CESではIoTプロダクトのアピールにとどまる

IoTデバイス会社は普及のために、サービスプロバイダ(ADTや通信会社)との提携を求めているが、実際の「売り方」「サービスの価値」についてはサービサーに一任しており、ここに具体的な「解」が見つかっていないと感じられた。

また、売り切り事業モデルからストックモデルへシフトが始まっている。

■IoTデバイス企業のトレンド

「T」側からは技術以外のイノベーションは生まれない。

市場を切り拓くには、技術を踏み台に生活の実用価値となるサービスの開発が求められている。

■IoTデバイスはすでにコモディティ化

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もうひとつの「CES」

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展示会場の「外」①

喧騒の大会場ではあくまでも「展示」がメインであり、具体的な商談に発展するケースはマイノリティであるといえる。

実際は会場の「外」、同じラスベガスの地にあるホテルのスイートルームにて、公開されていないデバイスやテクノロジー、実商談が行われており、気がつかないうちに具体的なアライアンスが進行している。

■非公開の場で進む「実商談」

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スイートルーム展示

NDAの事情で具体的な企業名や商談内容はお伝えできません。が、雰囲気だけお伝えします。

【詳しくは】⇒ [email protected] まで(:P

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展示会場の「外」②

「家電見本市」としての性質上、売り手バイアスが強いことを忘れてはいけない。

「CESの活況=世界の傾向」では決してない。小売の店頭を見ると、メーカーや技術者との会話では語られない、実際の生活者とIoTの接点は冷え込み傾向にあることがわかる。

IoTの普及に重要であると「デバイスデザイン」以上に、より具体的なUx、「メリット」をいかに生活文脈に落とし込めるかが、ビジネスの鍵になる。

■生活者に近い「下界」=「小売店頭」の状況に見るIoT

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小売の状況 Lowe’s

DIY大国アメリカ。スマートホームキット購入者の30%は自己設置不能。家電量販とホームセンターの特徴を持つ店舗において、棚写真を見ると「それなりに充実」が伺えるものの、私の所感では売り場面積は昨年比大きく減少。

自社サービス「iris(アイリス)」も売り切りから月額課金モデルにシフトし、挽回を図れるか。

アメリカ合衆国の住宅リフォーム・生活家電チェーン

http://www.lowes.com/

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小売の状況 BEST BUY

IPカメラやサーモスタットはコモディティ化して売り場に並ぶが、テッキー向けに。Lowe’s同様「スマートホーム」としての見せ方では昨年比で売り場面積は縮退傾向。

それでもスマホやテレビなどの販売スペースを追いやるようにウェアラブル機器やカメラ類が棚に多く陳列されている。あくまでも「ガジェット好き」顧客狙いか。

アメリカミネソタ州ミネアポリスに本社を置く世界最大の家電量販店。アメリカの雑誌フォーチュンのフォーチュン100にも選ばれている。

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展示会場の「外」③

IoTやスマートホーム関連サービスは、技術と売手の熱意の結晶かもしれないが、生活者にとっては「本当に必要なものか」という疑念が残る。

IoT/スマートホームの売り方の答えはまだ見つけられていない(チャンス)。確かに一部のデジタルギーク層や新しいもの好きな層の関心は引き込めているが、これだけでは市場はブレークしない。

如何に一般生活者にとって、サービサーにとって、その価値を伝え、どう流通させるかは、CESの会場でもその『外』でも見つけられていないといえ、ここがこれからのビジネスの鍵になる。

■IoTやスマートホームの価値とサービス届け方が鍵

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小売の状況 Apple Store (Palo Alto)

CESでのプレゼンスは今一つのApple。Homekitのアピールはストアで展開。スタンフォード大学のおひざ元の「ハイテクタウン」として有名なPalo AltoにあるApple Store。

CESでは今一つの「Homekit」もここでは思う存分展示されており、IoTデバイスコーナーが拡大。Apple HomeKit対応製品の拡充が進むが・・・

Apple Store

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b8ta

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小売の状況 b8ta (Palo Alto)

ハイテクタウンにあるIoTエッジデバイスの専門店では、デジタルギーク層が支持。店員の教育が行き届き、未発売製品も展示販売。さすがにエッジの効いたデバイスを並べる先鋭店舗なだけあり(街のバックグラウンドともマッチしている)、店頭は平日午前中でもそれなり。ただし、購入者層はデジタルギークな趣味層が多そうな印象。

nestの創業メンバーの一人が2015年12月にオープンした新興IoTデバイスのアンテナショップ。店員の教育が行き届き、未発売製品も展示販売。

製品毎に動画で製品紹介

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小売の状況 Target Open House (SF)

IoTにどのようなメリット、価値があるのか。これを実感できる機会が必要。北米大手ストアのTargetがサンフランシスコ市内にコネクティッドホームのアンテナショップを展開。動画や造作スペースでわかり易い利用シーン訴求で、メーカーが異なる35種類のIOTプロダクトが使えて体感でき、その有用性をアピールしている。

アメリカで1500店舗を有し売上高第5位の小売チェーン「Target」が、IOTプロダクトを実際に体験することができるスマートオープンハウスを運営。

製品毎に動画で製品紹介

生活シーン毎をテーマにした展示

IoTデバイスを実際に体験できる

target

open

house

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CESの「中」と「外」から

■CESの「中」

家電見本市として、メーカー側の視点でIoT市場の盛り上がりを目一杯アピール。それはそれで当然かもしれない。

■CESの「外①:プライベートスィートルーム商談」

公開会場で見せているのはあくまでも「既にあるもの」かコンセプトばかり。

実商談は水面下で着実に始動。何が語られているのか。

■CESの「外②:流通店頭」

スマートホームブースは縮退傾向。単なるデバイスの陳列だけでは

売れない。生活シナリオを店舗で再現する苦労も。

■ギャップ

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「T=Things」の役割は何か。メーカーにとっての商品である以外の市場価値は何か。

生活者に売れていない事実。わざわざ利用シーンを再現しないと伝わらない価値は何か。

誰のための、何のためのモノなのか。

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IoTの本当の価値、ビジネスの価値

■「T」はデータの入り口。データを活用した価値の創造へ。

「T=Things」から吸い上げた情報をを活かす、という考えではなく、サービス価値を創出するために必要となる「データ」を収集する。その為の「Things」。

デバイスとしての良さではなく、サービス価値、Uxとしての価値を生み出すことに思考の起点を設ける。

人が暮らす社会生活において、何のメリットがあるか、どうしてそのソリューションが必要なのかを先に捉え、この実現に必要となる情報を得る、という思考順序が大事。

IoTの価値はデバイスにはない。

プロセスを改善していくためのデータを収集の目的にこのデバイスを採用するだけである。

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IoTの本当の価値、ビジネスの価値

人生活に生じている課題を解決する

必然性

サービス課題を解決するサービス提供

インターフェイス

データ意思決定を適正に判断するために必要となるデータ収集

モノデバイスから情報が吸い上がり、デバイスに結果が戻される

Internet of Things / Everything

interface Connecting

・インターネット/CATV/LTE・SIM/MVNO・VPN・公衆無線・Wifi/WiSUN・Zigbee/Z-waveBluetooth/DECT/and more

Platform

・Icontrol networks・Alarm.com・Ayla Networks・Arrayentand more...

現在の思考順序

本来の思考順序

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生活価値提供のためにIoTデータを利用した事例

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データ活用事例 WeatherBug Home

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https://weatherbughome.com/

https://weatherbughome.com/https://weatherbughome.com/

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データ活用事例 WeatherBug Home

■WeatherBug について

消費者およびプロ向け気象サービスの米国大手プロバイダーであり、気象観測ネットワークの最大手。世界の気象情報を正確に監視・体系化し、発信している。

ウェザーバグは各地域における動的な生データの信頼できる情報源として、気象インテリジェンスを社会に提供し、情報に基づいた適確な意思決定を支援している。

国立観測所などの専門組織は同社の情報をもとに日常活動の予定を立て、人命を守り、事業運営を改善している。

■WeatherBugの気象データ収集方法 について

同社の情報収集の拠点は北米全土に「気象ステーション」としてのセンサーデバイスを公的施設等の屋上などに設置し、ここから情報を収集している。

今回のCES訪問に際し、同社が世界規模で展開する雷見地と厳密な気象予測用ソリューションとしてデバイスを設置する、ネバダ州にある公立シャーロットヒル小学校を視察した。

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Weatherbug Homeの設置状況(小学校の屋上)

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最後に

■IoTの時代において、全ては「当たり前」の存在になる。

今更「インターネットが大事」とは誰も言わない。それは当たり前の存在だから。同様にユーザーインターフェイス(スマートフォンやタブレットおよびそのアプリ)もシナリオに組み込まれて当たり前のモノであり、必然の存在といえる。IoTが関係のない分野の事業はない。

「IoTビジネス」という考え方はむしろ漂白され

すべてのビジネスの中に、その手段としてIoT/IoEがある、という考えになっていく。

その手段から得られるものをフル活用し、生活者にとって必然となる価値を生み出すことが、この時代の答えになる。

そのためにもIoTに立ち向かう人は思考のプロセスを逆転させる必要があるといえるのかもしれない。

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最後に

ご清聴ありがとうございました。

• TM and © 2015 Apple Inc. All rights reserved. 「Apple」、「Apple」ロゴは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。 「AppStore」は、 Apple Inc.のサービスマークです。• 「Google」、「Google」ロゴ、「Googleマップ」、「Google Play」、「Google Play」ロゴ、「Android」、「Android」ロゴは、Google Inc.の商標または登録商標です。• その他の会社名、団体名、製品名、店舗名、商品名は各社の商標または登録商標です。• サイトURLが併記された掲載の写真およびイラストキャプチャーは、各サイトURLより引用しています。

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