人工知能の研究に関する「相談・指導事業 推進計画」 について ... ·...

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- 1 - HP 1704 人工知能の研究に関する「相談・指導事業推進計画」について 平成28年11月10日 第 61 回臨時理事会 承認 1.人工知能の研究開発及び産業化を巡る状況について 人工知能は、数多くの企業において、生産性向上、競争力強化、新規事業創造、社会 的課題解決等のための基盤技術として、研究開発、実用化が積極的に進められている。 政府においても、人工知能技術が、社会・経済の変革をもたらす第4次産業革命を実現 するためのキーテクノロジーであるとして、研究開発に係る予算措置とともに、関係省庁 連携体制の構築により革新的な基礎研究とともに、現保有コア技術との融合等により、産 業化・社会実装までの人工知能研究開発が成長戦略の柱として、戦略的に推進されている。 2.人工知能の研究開発の更なる振興について 当財団は、人工知能の研究振興を目的として、平成2年に、地域の行政、学界、経済 界の全面的なご支援、ご協力のもとに、通商産業省(現経済産業省)の許可を得て、設立 された人工知能の研究に対する助成金の交付を中心としたいわゆる助成財団である。 この研究助成金は、設立以来、応募があった研究のうち300を超えるテーマに交付 してきましたが、人工知能を取り巻く前記のような状況のなかで、当財団においては、 設立趣旨に基づき更なる人工知能の研究の振興と産業での利活用の促進を図るため、一 般財団法人から公益財団法人へ移行することとし、内閣総理大臣の「公益認定」を受け、 平成28年4月1日付けをもって公益財団法人となった。 これを機に、設立当初から実施している研究助成事業の継続的実施に加えて、更なる 研究促進支援のため、次により「人工知能の研究に関する相談・助言事業」の充実に取 り組むこととする。 3.人工知能の研究に関する相談・指導事業の実施について (1)問題意識 現在、人工知能ブームと言われている中で、地域中小企業の中には、自社の製品・サ ービスの変革、生産性の向上へ利活用したいが、何をどうしたらいいか分からない。 また、ブーム故に過度の期待を持ち、単にブームに乗り遅れないようにということで、 具体的な構想等がない状態で、大学、公設試等に相談等が散見されるということを聞き及 ぶ中で、ブームをブームとして終わらせないために、 更に、当財団の研究振興事業において、より多くの有益な研究成果が得られるようにす るためにも、関係支援機関等の協力・連携により、ニーズに対応した人工知能の研究促進 のための相談・指導事業行うとともに、併せて、必要に応じた人工知能の研究開発及び利 活用状況の情報提供を行う必要がある。

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HP 1704

人工知能の研究に関する「相談・指導事業推進計画」について

平成28年11月10日

第 61 回臨時理事会 承認 1.人工知能の研究開発及び産業化を巡る状況について 人工知能は、数多くの企業において、生産性向上、競争力強化、新規事業創造、社会

的課題解決等のための基盤技術として、研究開発、実用化が積極的に進められている。

政府においても、人工知能技術が、社会・経済の変革をもたらす第4次産業革命を実現

するためのキーテクノロジーであるとして、研究開発に係る予算措置とともに、関係省庁

連携体制の構築により革新的な基礎研究とともに、現保有コア技術との融合等により、産

業化・社会実装までの人工知能研究開発が成長戦略の柱として、戦略的に推進されている。

2.人工知能の研究開発の更なる振興について 当財団は、人工知能の研究振興を目的として、平成2年に、地域の行政、学界、経済

界の全面的なご支援、ご協力のもとに、通商産業省(現経済産業省)の許可を得て、設立

された人工知能の研究に対する助成金の交付を中心としたいわゆる助成財団である。 この研究助成金は、設立以来、応募があった研究のうち300を超えるテーマに交付

してきましたが、人工知能を取り巻く前記のような状況のなかで、当財団においては、

設立趣旨に基づき更なる人工知能の研究の振興と産業での利活用の促進を図るため、一

般財団法人から公益財団法人へ移行することとし、内閣総理大臣の「公益認定」を受け、

平成28年4月1日付けをもって公益財団法人となった。 これを機に、設立当初から実施している研究助成事業の継続的実施に加えて、更なる

研究促進支援のため、次により「人工知能の研究に関する相談・助言事業」の充実に取

り組むこととする。

3.人工知能の研究に関する相談・指導事業の実施について (1)問題意識 現在、人工知能ブームと言われている中で、地域中小企業の中には、自社の製品・サ

ービスの変革、生産性の向上へ利活用したいが、何をどうしたらいいか分からない。

また、ブーム故に過度の期待を持ち、単にブームに乗り遅れないようにということで、

具体的な構想等がない状態で、大学、公設試等に相談等が散見されるということを聞き及

ぶ中で、ブームをブームとして終わらせないために、

更に、当財団の研究振興事業において、より多くの有益な研究成果が得られるようにす

るためにも、関係支援機関等の協力・連携により、ニーズに対応した人工知能の研究促進

のための相談・指導事業行うとともに、併せて、必要に応じた人工知能の研究開発及び利

活用状況の情報提供を行う必要がある。

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(2) 相談・指導事業実施体制及びその方法

相談に対する基本的な対応方法は、相談の(a)目的、(b)内容、(c)分野、(d)相談者の確

認を行い、それに基づく支援機関への紹介等は、相談等の内容に応じて、大学・国・地

方における関係機関による技術相談等係る現状のスキームに基づき行う。

なお、当面は、前記により事業を実施するが、事業実施を通じて、関係機関、研究

者等との協力関係の構築などを推進し、当財団が対応すべき研究開発に係る相談ニー

ズの把握とともに、それに対する支援・サポート体制の構築に努めるものとする。 ①相談・指導内容

相談・指導内容は、定款第4条第5号に規定する「人工知能の研究に関する相談」

を対象とし、人工知能の研究者及び製品・サービスの変革を自ら目指す事業者とする。 ②情報提供

前記相談・指導において、必要な範囲において、人工知能の研究開発・利活用状況

の情報提供を行う。 《情報提供例(イメージ): 国の人工知能研究開発体制について、

「別紙 人工知能研究の体制の整備」ほかにおいて行う。》 ③相談内容 想定例 (ア) 財団の助成研究に採択され、研究開発を行っているが、課題をブレークスルーし

所期の成果を上げるために、技術的な助言を受けたい。

《 ※共通キーワード: 何をどうしたらいいか。何から手を付けたらいいのか。》

(イ) 自社工場で○○を生産しているが、人工知能とものづくり技術との融合等により、

生産性の向上、新商品の開発を行うために、大学又は研究機関等と共同研究が行い

たい。 (ウ) 介護施設における介護士の負担軽減、入居者の安全、健康管理等を人工知能等に

よる施設固有のシステムを開発して行いたいが、自社では難しいので、委託研究に

より行いたい。 (エ) 物流業を営んでいるが、物流センターの効率化、省力化を図るためにロボット等

の導入を検討しているが、技術相談とともに、物流効率化の助成制度等を紹介して 欲しい。

(オ) 企業の中長期経営計画の策定に当たって、人工知能の研究開発及び産業化・利活

用状況を知りたい。

④ 相談体制等 (ア)相談を受けたい者は、ホームページからダウンロードして、別添 様式1「人工知

能研究開発相談票」に所定事項を記載し、メール又はFAXにより送付する。

ただし、電話等で対応が可能な相談内容の場合は、この限りでない。 (イ)それを事務局で、書面及び相談者へのヒアリング等により内容を確認する。 (ウ)相談内容により、事務局限りで対応するもの、関係機関を紹介するもの、【 別記

「人工知能研究開発・事業化等 支援・協力機関」】に紹介等するものに区分し、

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それにより対応するものとする。

前記により、支援協力機関を紹介する場合は、事前に紹介先の窓口担当者又はコー

ディネーター等に「相談内容等」を、書面又はメール等で送付し、支援協力依頼を行

う。 (エ)なお、当該相談があった事案には、別紙 様式2「人工知能研究開発 相談等記録

票」にフォローアップも含めて、必要事項を記載し、保存するものとする。

(オ) 本相談・指導事業の具体的な業務については、別に定める「相談・指導事業業

務実施要領」により行うものとする。

⑤秘密の保持 当該事業担当者は、その職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退い

た後も同様とする。

(参考)

○公益財団法人 人工知能研究振興財団 定款 (抜粋) (目 的) 第3条 この法人は、人工知能の研究に対する助成、人工知能に関する講演会、シンポジウ

ム、セミナーの開催等を行うことにより、人工知能に関する研究の振興・産業での活用の

振興を図り、もって産業技術の高度化及び我が国経済の健全な発展に寄与することを目的

とする。 (事 業) 第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。

(1) 人工知能の研究に対する助成 (2) 人工知能に関する講演会、シンポジウム、セミナー等の開催 (3) 人工知能に関する調査・研究 (4) 人工知能に関する情報の収集・提供 (5) 人工知能の研究に関する相談・指導 (6) 前各号に掲げるもののほか、この法人の目的を達成するために必要な事業

2 前項の事業については、日本全国において行うものとする。

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(別記) HP 1704

人工知能研究開発・事業化等 支援・協力機関

平成29年4月1日現在

○ 国立大学法人名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部

○ 国立大学法人 名古屋工業大学 産学官連携センター

○ 国立大学法人 豊橋技術科学大学 研究支援課

○ 愛知県立大学 情報科学部

○ 愛知工業大学 情報科学部・工学部

○ 大同大学 研究支援センター

○ 中京大学 教学部 研究支援課

○ 中部大学 研究推進機構

○ 名城大学 学術研究支援センター

○ 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (※ 窓口調整中)

○ 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

○ 独立行政法人 経済産業研究所

○ 一般社団法人 人工知能学会

○ あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター

○ 名古屋市工業研究所

○ 経済産業省中部経済局 地域経済部 次世代産業課

○ 愛知県 産業労働部 産業振興課 次世代産業室

○ 名古屋市 市民経済局 産業部 次世代産業振興課

○ 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 中部本部

○ 名古屋商工会議所

※一部調整中

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出典:経済産業省『新産業構造ビジョン』中間整理(平成 28 年 4 月 27 日)

出典:経済産業省『産総研AIセンターを中心とした人工知能に関する研究開発について』(平成 28 年 1 月 29 日)

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出典:経済産業省『IoT、AI、ビッグデータに関する経済産業省の取組について』(平成 28 年 5 月 24 日)

出典:経済産業省〔予算・税制・財投〕ホームページ 平成 29 年度経済産業政策の重点、概算要求・税制改正要望について

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出典:経済産業省ホームページ 平成 28 年度第 2 次補正予算案の概要(PR資料)

出典:経済産業省ホームページ 平成 28 年度 第 2 次補正予算案の概要(PR資料)

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出典:経済産業省『新産業ビジョン』中間整理(平成 28 年 4 月 27 日)

出典:経済産業省『新産業ビジョン』中間整理(平成 28 年 4 月 27 日)

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出典:平成 28 年 12 月 22 日 閣議決定 平成 29 年度経済産業省関連予算

出典:平成 29 年 1 月 10 日 『IT導入補助金』経済産業省説明会資料

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出典:平成 29 年 3 月 31 日 人工知能技術戦略会議

出典:平成 29 年 3 月 31 日 人工知能技術戦略会議