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住宅相談と 紛争処理の状況 住宅相談と 紛争処理の状況 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター CHORD REPORT 2013 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 〒102-0073 東京都千代田区九段北 4 丁目1番7号 九段センタービル3階 TEL 03-3261-4567  FAX 03-3556-5109 http://www.chord.or.jp/ 0570-016-100 2013.06

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住宅相談と紛争処理の状況住宅相談と紛争処理の状況

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター

CHORD REPORT 2013

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター〒102-0073 東京都千代田区九段北4丁目1番7号 九段センタービル3階TEL 03-3261-4567  FAX 03-3556-5109 http://www.chord.or.jp/

0570-016-100 2013.06

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電話相談

電話相談

電話相談11 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、住宅に関する電話相談を行っており、住宅の不具合、工事内容、契約、支援制度など、さまざまな相談に一級建築士が対応している。

(1) 相談件数の推移 2012年度における新規相談件数は、20,584件(前年度比0.5%増)となり、うち「新築等住宅に関する相談」は13,266件(前年度比3%減)、「リフォームに関する相談」は7,318件(前年度比8%増)となった(図1)。なお、継続相談を含めた電話相談全件数は、27,827件(前年度比8%増)となった。

② 不具合部位 不具合が多くみられる部位は、戸建住宅では、「外壁」、「床」、「屋根」の順であり、共同住宅(長屋建てを含む。)では、「床」、「内壁」、「設備配管等」の順となっている(図3、図4)。

③ 相談者の解決希望内容 トラブルに対する具体的な解決希望内容は、「修補」を含むものが6割を占め、次いで「損害賠償」、「契約解消」となっている(図5)。(2) 電話相談の内容

 ①から③の項目について、2012年度新規相談20,584件の分析を行った。

① トラブルが生じている相談 不具合や契約上のトラブルが生じている相談は、全体の約7割を占める(図2)。

相談区分新築等住宅に関する相談 :注文または売買等により取得した住宅(中古を含む)に関する相談リフォームに関する相談 :住宅のリフォームに関する相談

トラブルが生じている相談:(1)の相談区分にかかわらず、住宅に不具合があったり、瑕疵のあることが疑われる相談及び契約トラブルの相談

図1 相談件数の推移

図3 相談件数の多い不具合部位   (戸建住宅)

図4 相談件数の多い不具合部位   (共同住宅)

図2 トラブルが生じている相談工事代金関係:(消費者からの相談)工事代金を支払いたくない、減額して欲しい       (事業者からの相談)工事代金を支払って欲しい         など

図5 相談者の解決希望内容

トラブルが生じている相談

72%

修補54%

修補と損害賠償6%

損害賠償11%

契約解消9%

工事代金関係5%

その他14%

その他28%

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

20,584

7,318

13,266

4,499新規相談件数 5,382 7,183 9,182 10,670 11,223 9,087 8,626 12,956 16,792 17,713 20,483 20,584

(年度)

(件)

2012 年度相談件数20,584件

(n=9,160、部位は複数カウント) (n=1,732、部位は複数カウント)

(n=13,216)

27,827

新築等住宅に関する相談   リフォームに関する相談

電話相談全件数

順位 不具合部位不具合が生じている相談件数に対する割合

上記部位の相談で多くみられる不具合事象凡例

第3位 屋根17%

雨漏り、はがれ

第1位 外壁20%

雨漏り、ひび割れ

第2位 床20%

床鳴り、変形

第5位 内壁13%

ひび割れ、はがれ

第4位 開口部・建具14%

作動不良、雨漏り

第6位 基礎・地盤12%

ひび割れ、沈下

第1位 床27%

変形、床鳴り

第2位 内壁18%

はがれ、ひび割れ

第6位 外壁11%

はがれ、ひび割れ

第4位 開口部・建具 13%

作動不良、ひび割れ

第5位 設備機器13%

作動不良、漏水

第3位 設備配管等17%

漏水、排水不良

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専門家相談

専門家相談

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CHORDREPORT

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CHORDREPORT2013

専門家相談 弁護士会と連携して、弁護士と建築士による専門家相談(対面相談)を実施している。相談対象は、評価住宅(建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅)と保険付き住宅(住宅瑕疵担保責任保険が付された住宅)の取得者・供給者、及び住宅リフォーム工事の発注者・発注予定者である。 2010年度より順次開始し、現在は全国52の弁護士会にて実施している。

(1) 専門家相談の実施状況 2012年度における専門家相談の実施件数は1,117件となり、前年度比23%増となった。相談対象では、リフォームに関する相談が全体の約半数を占め、専門家相談を開始した2010年度以降、同様の傾向を示している(図6)。また、住宅形式では、戸建住宅が約8割を占めている(図7)。

(3) 主な助言内容 主な助言内容は、「解決希望に対する弁護士の判断」、「相談の事象に対する建築士の判断」などである(図10)。

(4) 相談者の感想 専門家相談終了後に相談者にアンケートを行った結果、専門家相談を希望した理由は、「弁護士と建築士が同席して相談を聞いてくれるから」が最も多い(図11)。また、相談者の9割弱から対応に満足という感想を得ている(図12)。

(2) 主な相談内容 相談を受けるきっかけは、「不具合が生じている」、「契約と工事の内容が異なる」というケースが多い(図8)。また、相談者の解決希望では、「修補して欲しい」、「損害賠償を請求したい」が多い(図9)。

図6 専門家相談の実施件数推移

図10 主な助言内容

図8 相談のきっかけ 図9 相談者の解決希望内容 図11 専門家相談を希望した理由 図12 専門家相談を利用した感想

図7 住宅形式評価住宅 保険付き住宅 リフォーム

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2010 2011

0%

20%

40%

60%

80%

不具合が

生じている

契約と工事の

内容が異なる

工期が遅れた

追加費用を

請求された

340(54%)

631

214(34%)

65%

40%

7% 4%0%

20%

40%

60%

修補して欲しい

損害賠償を

請求したい

どうしたらいいか

知りたい

契約を解消したい

提案や要求の内容

が妥当か知りたい

解決希望に対する

弁護士の判断

相談の事象に対する

建築士の判断

紛争処理等の

手続きを勧めた

業者との交渉方法に

関するアドバイス

原因等の調査を

勧めた

図面や書類について

不備の有無を指摘

一般的な説明

今後の補修方法等に

関するアドバイス

43%39%

22%

7%11%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

弁護士と建築士が

同席して相談を

聞いてくれるから

無料だから

場所が近いから

日程が都合と

あったから

その他 

88%

49%

6% 10%3%

77(12%)

445(49%)

909

338(37%)

126(14%)

2012

611(55%)

1,117

380(34%)

126(11%)

0%

20%

40%

60%

80%

61%

52%

6% 4% 4%

※共同住宅には長屋建てを含む

戸建住宅82%

共同住宅18%

(n=1,117) (n=1,117、複数カウント)

(n=890、複数回答) (n=890)(n=1,117、複数カウント)(n=1,117、複数カウント)

大いに満足44%

満足45%

不満1%

大いに不満1%

無回答2%どちらとも

いえない8%

(年度)

(件)

22

36% 34%

16%

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リフォーム見積チェックサービス

リフォーム見積チェックサービス

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リフォーム見積チェックサービス33 2010年度よりリフォーム見積チェックサービスを開始し、「リフォームの見積書を事業者から取得したが妥当かどうか不安」などの消費者からの相談に対して、電話で助言を行っている。また、希望に応じて見積書の送付を受け、内容をチェックして助言を行っている。

(1) 見積チェックサービスの件数 2012年度における見積チェックサービスの件数は535件で、前年度比33%増となった。実際に見積書の送付を受けた件数は全体の7割を占めている(図13)。また、住宅形式では、戸建住宅が8割を占めている(図14)。

(3) 主な相談内容 相談者の9割が「単価や合計金額は適正か」について相談している。また、相談者の約6割が「工事内容や工事項目は適切か」について併せて相談をしている(図16)。

(4) 主な助言内容 見積書の合計金額は、工事範囲や項目・仕様など工事の内容によって異なるため、「数量や単価について」に加え「工事範囲など工事内容の確認点について」の助言が多い。また、技術や法律など、様々な側面からの助言を併せて行っている(図17)。(2) 見積書を取得した事業者の数

 相談者が見積書を取得した事業者の数は、「1社」が5割以上を占めており、2社以上取得した相談者の割合は4割強であった(図15)。

図13 見積チェックサービスの件数図14 住宅形式

見積書の送付あり 見積書の送付なし

0

100

200

300

400

500

600

2010 2011 (年度)

(件)

351

182(52%)

402

283(70%)

2012

535

373(70%)

※共同住宅には長屋建てを含む

戸建住宅83%

共同住宅17%

(n=527)

図15 相談者が見積書を取得した事業者の数

(n=492)

1 社56%2社

22%

3社以上22%

図16 主な相談内容

0% 20% 40% 60% 80% 100%

単価や合計金額は適正か

工事内容や工事項目は適切か

事業者の選定はどのようにすればよいか

クーリング・オフや瑕疵保険など法律や制度について知りたい

相見積りのとり方を知りたい

63%

1%

(n=494、複数カウント)

90%

20%

10%

図17 主な助言内容

0% 20% 40% 60% 80% 100%

数量や単価について助言

工事範囲など工事内容の確認点について助言

耐震改修や施工方法など技術的な助言

クーリング・オフや瑕疵保険など法律や制度について助言

相見積りをとることを助言 27%

(n=494、複数カウント)

87%

44%

42%

86%

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住宅紛争処理支援

住宅紛争処理支援

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住宅紛争処理支援44 当財団は、住宅品質確保法に基づき2000年度に国土交通大臣より「住宅紛争処理支援センター」の指定を受け、指定住宅紛争処理機関(全国52弁護士会)による評価住宅の買主・発注者と売主・請負人との紛争処理を支援する業務を行っている。また、住宅瑕疵担保履行法の施行に伴い、2008年度より保険付き住宅の紛争処理支援業務を行っている。

(1) 申請受付件数の推移 2012年度において、受け付けられた評価住宅及び保険付き住宅の紛争処理の件数は128件となり、制度開始後の申請受付件数の累計は496件となった(図18)。

(3) 紛争処理の内容 ①~④の項目について、2013年3月31日までの終結事件423件の分析を行った(速報値)。

① 住宅種別 住宅種別は、「戸建注文」が最も多く、次いで「共同分譲」、「戸建分譲」となっている(図20)。

② 住宅の引渡しから紛争処理申請まで  の期間 住宅の引渡しから紛争処理の申請までの期間は、全体の85%が3年未満となっている(図21)。

③ 紛争処理に要した期間・審理回数 紛争処理に要した期間を見ると、最も割合が多いのは「3ヶ月以上6ヶ月未満」、次いで「6ヶ月以上9ヶ月未満」であり、平均6.8ヶ月となっている(図22)。審理回数は、5回までが6割強を占めており、平均4.8回となっている(図23)。

(2) 終結状況 2013年3月31日までの終結事件件数は423件となり、うち半数以上が調停等の成立により解決している(図19)。

図18 申請受付件数の推移

評価住宅  評価+保険付き住宅  保険付き住宅

0

50

100

150

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 (年度)

(件)

106

17 17

3223

2833 34

27 23 31

4 5

46

6972

105

2012

29

92

128

3 3

図19 終結状況

成立54%

不成立37%

取下げ9%

終結事件423件

図22 紛争処理に要した期間

3ヶ月以上6ヶ月未満34%

3ヶ月未満19%

6ヶ月以上9ヶ月未満22%

9ヶ月以上1年未満12%

1年以上12%

平均6.8 ヶ月

図21 住宅の引渡しから紛争処理申請    までの期間

図20 住宅種別

図23 審理回数

~ 5回64%

戸建注文51%

半年未満20%

半年以上1年未満22%

3年以上15%

2年以上3年未満13%

1年以上2年未満30%

戸建分譲17%

共同注文2%

共同分譲29%

6~ 10 回31%

11 回~4%

申請受付件数の累計 496 件   ・申請人:消費者 434件、事業者 62件               ・住宅紛争処理種別:あっせん 19件、調停 474件、仲裁 3件

7

平均4.8 回

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④ 解決希望内容と終結事件の解決内容 申請時の解決希望内容は、「修補」が約3割、「修補と損害賠償」と「損害賠償」がそれぞれ2割強を占めている(図24)。 終結事件のうち調停等により成立した事件(227件)の解決内容は、「損害賠償」と「修補」がそれぞれ3割、「修補と損害賠償」が2割弱となっている(図25)。

⑤ 紛争処理の争点になった主な不具合事象 2012年3月31日までに終結した298件において、争点になった主な不具合事象は、戸建住宅では「ひび割れ」が多く、共同住宅では「騒音」が多い(表1、表2)。

図24 解決希望内容

修補33%契約解消

5%

修補と損害賠償25%

不具合事象 当該事象が多くみられる部位

ひび割れ 基礎外壁

変形 開口部・建具床

汚れ 床

はがれ 内壁床

雨漏り 外壁、天井開口部・建具

傾斜 床

沈下 地盤

その他12%工事代金の

支払い3%

損害賠償22%

図25 解決内容(終結事件)

修補30%

修補と損害賠償18%

その他16%工事代金の

支払い3%

損害賠償33%

表1 主な不具合事象(戸建住宅)

(n=190、事象は複数カウント)

表2 主な不具合事象(共同住宅)

(n=108、事象は複数カウント)

契約解消0.4%

「住まいるダイヤル」における相談の流れ

評価住宅 保険付き住宅

専用ダイヤル

全国の弁護士会での「専門家相談」(対面相談)

指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会)による紛争処理手続

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター

住宅リフォーム 一般住宅

0570-016-100PHSや一部IP電話からは03-3556-5147

あっせん 調停 仲裁

リフォーム見積チェックサービス

不具合事象 当該事象が多くみられる部位

騒音 床開口部・建具

ひび割れ 開口部・建具床、内壁

異常音 設備配管等

変形 床

結露 開口部・建具

汚れ

21%

11%

9%

22%

12%

10%

床内壁

7%

5%

5%

5%

13%

8%

8%

(%) (%)

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