c型肝炎ウイルス抗体陽性と診断された方へ cs5 1707改訂01 · 2018. 5. 16. · 1 2...
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2017年7月作成DCSJP17PR0085603
医療機関名
医師名
C型肝炎ウイルス抗体陽性と診断された方へ
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社東京都新宿区西新宿6-5-1
監修 埼玉医科大学 持田 智 先生
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C型肝炎ウイルス抗体陽性と言われまし たが、どうしたらよいですか?
まだ医療機関を受診していない方は、一度、肝臓専門医を受診することをおすすめします。C型肝炎ウイルス抗体陽性と判定された方は、現在C型肝炎ウイルスに感染している(HCVキャリア)可能性があります。近年では新しい治療法の選択肢が増え、これまで治療を受けることができなかった患者さんも治療を受けられる可能性がでてきました。
C型肝炎ウイルス抗体陽性と判定されたら、肝炎に詳しい医師による精密検査を受けることからはじめて下さい。まずは、肝臓の状態を確認しましょう。
C型肝炎ウイルスに感染した後は、とくに症状があらわれない場合(不顕性感染)と、急性肝炎を発症する場合があります。
C型肝炎ウイルスが体内にずっと残ってしまい、肝臓の炎症が続いている状態を慢性肝炎といいます。C型慢性肝炎は、ほとんど自覚症状がみられません。そのため、気がつかないまま病気が進んでいきます。
急性肝炎になると、倦怠感や食欲不振、吐き気、黄疸などの症状があらわれることがありますが、これらの症状は数ヵ月以内に治まります。C型肝炎は慢性化しやすく、約70%は慢性肝炎に移行します。
慢性肝炎の症状
自覚症状はほとんどみられない
慢性肝炎
急性肝炎
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特に症状がないのですが、治療が必要 ですか?
放っておくと、気づかないまま、肝臓の状態が悪化していきます。適切な治療を行うことで、病気の進行を抑制することができます。C型慢性肝炎に気がつかないままでいると、ゆっくりとですが確実に症状が進行します。まず、肝臓がだんだん硬くなる「線維化」が進み、一部の患者さんでは肝硬変や肝がんに移行します。肝がんを発症する割合は、病気が進行するほど高くなります。進行のスピードには個人差がありますが、高齢になるほど肝がんを発症するリスクが高くなり、肝硬変に進んでいない場合でも肝がんを発症する場合があります。
次のような方は、肝がんを発症するリスクが高いため、早めに治療することが重要です。
肝がんを発症するリスクが高い方
C型慢性肝炎は、早期に発見し、適切な治療をおこなうことで、病気の進行を抑制することができます。肝機能検査値が正常※であっても肝臓の線維化が進展している可能性もありますので、まずは医師にご相談ください。※一般的にはALT 30IU/L以下が正常値と設定されていますが、医療機関によって異なります。
日本肝臓学会編 慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2013より作成
C型慢性肝炎と肝がんのリスク
●肝臓の線維化が進んでいる方や肝硬変のある方●高齢の方●血清ALTの数値が高値の方●飲酒量の多い方●糖尿病、肥満の方
ウイルス排除・治癒
慢性肝炎
肝がん
肝硬変
肝がん発症のリスクの増大
線維化の進行と肝機能の低下
急性肝炎
約30%
約70%
年間の肝がん発症リスク
0~1%
軽度 中度 重度
1~2% 3~5% 5~7%
慢性肝炎ではほとんど自覚症状がみられません。
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抗ウイルス療法は、C型肝炎ウイルスを排除することを目的としています。体内からウイルスを排除すると、肝臓の状態は徐々に回復していきますが、ウイルスの感染をそのままにしておくと、肝臓の状態が悪化し、肝がんを発症する確率が上がってしまいます。
治療法としては、インターフェロンをベースとした治療法と、飲み薬のみの治療法があります。最近では、C型慢性肝炎の治療は進歩し、これまで治療を受けることができなかった患者さん、インターフェロンが効かなかった患者さんにも有効な治療ができるようになりました。
C型慢性肝炎の治療法には、どんなものが ありますか?⦆
C型慢性肝炎の治療には、体内からウイルスを排除して、治癒を目指すための「抗ウイルス療法」と、肝臓の炎症を抑え、病気の進行を遅らせるための「肝庇護療法」があります。抗ウイルス療法には、近年飲み薬だけで治療する方法が加わりました。これまで治療を受けることができなかった患者さんにも、新しい治療の選択肢となります。
インターフェロン インターフェロン+飲み薬 飲み薬(インターフェロンを
使用しない)
ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・
L-システイン塩酸塩水和物、瀉血など
体内からウイルスを排除し、治癒を目指す
病気の進行を遅らせる
抗ウイルス療法とは?
抗ウイルス療法
肝庇護療法
※詳しくは肝臓専門医にご相談ください。
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日本肝臓学会編 慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2013
C型慢性肝炎の治療法は、どのように決め ますか?
治療法は、ウイルスの遺伝子型、患者さんの年齢や肝臓の状態、これまでの治療の経験などを考慮して決定されます。肝臓専門医を受診し、相談しながら治療をすすめましょう。C型慢性肝炎の治療法は、ウイルスの遺伝子型、患者さんの年齢や肝臓の状態、これまでの治療の経験などによって、効果が異なります。そのため、患者さんにあった治療法を決めるためには、肝臓専門医による詳しい検査や診断が必要です。C型慢性肝炎の治療は、肝臓専門医を受診し、相談しながら進めていきましょう。
C型慢性肝炎の治療には、肝炎に対する医療費助成制度が設けられています。ウイルス性肝炎の治療では、治療費が高額になっても医療費の助成を受けることができます。自己負担は月額1万円または2万円までに軽減されます。実際の必要書類、提出先などは都道府県によって異なりますので、詳しくはお住まいの都道府県または保健所にお尋ねください。
世帯全員の市町村民税(所得割)課税年額の合計額
235,000円以上
自己負担限度額(月額)
20,000円
235,000円未満 10,000円
C型慢性肝炎の医療費助成
医療費助成を受けるためには、お住まいの都道府県から交付される「受給者証」が必要です。
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日常生活で気をつけることはありますか?
C型肝炎ウイルスは、ウイルスに感染した血液が他の人の体内(血液)に入ることで感染します。握手やキス、くしゃみ、入浴、食器の共用など日常的に体がふれあうことで感染することはほとんどありませんが、大切な人に感染させないために、次のことを守りましょう。
また、普段の生活では、規則正しく食事をし、なるべく肝臓に負担をかけないよう、健康的な生活をこころがけましょう。⦆
身近な人への感染を防ぐための注意点
日常生活や食事で気をつけること
●カミソリや歯ブラシなど、血液がつく可能性のあるものは、共用しない。●血液や分泌物がついたものは、しっかり包んで捨てるか、流水でよく洗い流す。●鼻血や傷などはできるだけ自分で手当する。手当を受ける人は、血液にふれないよう伝える。●献血はしない。●乳幼児に口うつしで食べ物を与えない。
●定期的に検査を受け、自分の肝臓の状態を正しく知る。●健康管理や治療について、医師とよく相談する。●適度な運動をし、規則正しい生活をこころがける。●バランスのよい食事をとる。●肝臓に負担をかけるので、できるだけ飲酒はやめる。●肝臓の炎症を悪化させるので、鉄分をとりすぎない。●太りすぎややせすぎを避け、適正な体重を保つ。