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目黒寄生虫館月報 昭和35 7 10 日発行 ・毎月 1 10 日発行 17昭和 35 7

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Page 1: 目黒寄生虫館月報 - Coocankiseichu.la.coocan.jp/news/mpmnews17.pdfDipylidium caninum 久留米医大阿部浩洋樽士来館 6月21日久留米医大教授岡部浩洋博士は,学会の途

目黒寄生虫館月報昭和35年7月10日発行 ・毎月 1回10日発行

第 17号 昭和 35年 7月

Page 2: 目黒寄生虫館月報 - Coocankiseichu.la.coocan.jp/news/mpmnews17.pdfDipylidium caninum 久留米医大阿部浩洋樽士来館 6月21日久留米医大教授岡部浩洋博士は,学会の途

- 1一 目黒寄生虫館月報

帆足延夫氏……海員 6月号

インドより多数の標本を 吉田孝雄氏……大平肺吸虫の新第一中間宿主ヨシダ

カワザンショウに関する研究他2篇

理学博士福井玉夫氏の紹介で Dr.R. S. Tandon

教授 (LucknowUniversity, India)から下記の標本

が寄贈された。

Fasciola indica (寄主 Bosbubalus)

Miracidia of Fasciola indica

Lissemysia ovata (Bivalves)

Olveria indica (Cattle & buffalo)

Mehrorchis romarum (Rana tigrina)

Fischoederius cobboldi (Bos bubalus)

Carmyerius Spatiosus (Cattie & buffalo)

Olveria bosi (Bos bubalus)

Glossiphonia (Limnaea acuminata)

Monocystis (Seminal vesicIes of Pheretima)

Trematoda from liver of toad Bufo

Taenia taeniaefomis

Dipylidium caninum

久留米医大阿部浩洋樽士来館

6月21日久留米医大教授岡部浩洋博士は,学会の途

中来館された。

山本主夫博士来館

6月9日神戸市衛生研究所薬学博士山本丈夫氏は公

衆衛生院山田美恵子女史と共に来館された。

清瀬看護婦学院生徒一行来館

6月16日,国立病院附属清瀬看護婦学院の生徒33名

が,先生2人と来館されて館長から直接説明をうけた。

公衆衛生院団体見学

6月17日, 公衆衛生院西博士他団体23名の来館があ

った。獣医関係の標本を特に興味をも って見学された。

標本及び文献の寄贈

石野 ~氏……多房性包虫の発育像に関する考察他

1篇

湯田和郎氏-… 宮城県産モクズガニの肺吸虫メタセ

ノレカリア寄生状況

黒田徳米氏……カワザンショウガイ新極今一種

武田薬品KK…… 『実験治療』パックナンパー

中川 宏氏…… 「日本フィ リアザラシに寄生するシ

ラミ」他 6篇

吉田義男氏 (獣医師)より爪実条虫(犬)を多数。

NYK三笠丸森山桂氏より Pakistan,Calcutta,

Rangoon, Hongkongのハエ多数。

Dr. R.S. Tandon (India)より 16点

笠川ウメ氏より鬼怒川の淡水魚,マノレタニシ,ア メ

リカザリガニ,シジミ多数

吉田章雄氏……ヨシダカワザ y ショゥ

NYK秋田丸近藤政一氏より Singapolのハエ多数

稲田直道氏よりニゴイ他淡水魚多数

内田至氏より鯨の僻臓標本一点

中川志郎氏(上野勤物園)チンパンジーの Anoplo-

cephala sp.,サパーノレキャットの Dipylidiumsp.,

ブタオザノレの Trichurissp.

短 信

6月1日, 千葉大長島博士,伊藤博士来館。

6月19日, r週刊朝日」に「寄生虫を退治しよう」

という啓蒙記事が,当館と寄生虫予防協会の協同呈供

で掲載された。

6月11日,塑路加短大女子学生数名は,教材の整備

のために来館。

6月14日,目黒学園幼稚園k児30名来館。

6月20日, 同 29名来館。

6月23日,江の島水族館内田至氏来館。

6月30日,上野動物園に出張。

; 特別展示パラサイト

i Ii日本における風土病寄生虫症の分

)布』 四月より日本住血吸虫,肺吸虫,

j肝吸虫,エキノコックス,フ ィラ リ

iァ,顎口虫の六種についてその分布

)持阿波山一見し叩

ょう展示した。

Page 3: 目黒寄生虫館月報 - Coocankiseichu.la.coocan.jp/news/mpmnews17.pdfDipylidium caninum 久留米医大阿部浩洋樽士来館 6月21日久留米医大教授岡部浩洋博士は,学会の途

目黒寄生虫館月報 -2-

野生鳥獣類の寄生虫

本館で解剖に附した鳥獣魚類の数は 2000体をこえているが,その一部の成績は既に学会で発表をしてきた。昭

和 30年末から 31年春までに行った 49例については第 26回日本寄生虫学会 (昭和 32年)で報告}した。

これはその時の報告の再録である。

被 物 名 寄生部位検 h

荒川内

ヤマセ ミ ICeryle lugubris lugubris オオ コノハズク IOtus bakkamoena Semitorques

下ラフズ ク IAsio otus otus コミミズク IAsio flammeus flammeus

フク ロ ウ IStrix oralensis hondoensis

ハヤブサ IFaleo peregrinus leucogenys チョウゲンボウ 'Cerchneis tinnunculus in ter-

stinctus

リ Buteobuteo burmanicus

カ ,Ast gentilis fujiyamae

ギ IEgretta garzetta garzetta ギ INyctit:orax nycticorax nycti-

corax

ノス

オオタ

コサ

ゴイサ

ウミアイサ IMergus serrator ウミウ IPhalacrocorax capillatus

キジノマ ト IStreptopelia orientalis 4

キジノぐ ト Streptopelia orientalis 1

セグロカモメ Larus argentatus vegae 1

カ モ メ Larus canus kamtschatsch- 1 ensls

コジュケイ |…∞latho… 13

ム ササ ピ Petaunstaleucogenys nikkonis I 4

キツネ IVulpes vulpes iaponica

ド ブネズミ IRattus norvegicus norvegicus

I~ .,.1寄生虫|実験|を所有動物数|せる動

|物数

2 I 1

3 I 1

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1 I 1

寄 生虫名

可idaτ

司ム

nU

i

A

Haploparaxis sp

Centrorhynchus elongatus Yamaguti. 1935

Paracladotaenia sp.

太い線虫

(一)

(ー)

Centrorhynchus elong.

(ー)

(一)

(ー)

(ー)

(一)

Centrorhynchus elong.

Centrorhynchus sp.

Porrocsecum reticulatum (Von Linstw. 1899)

(ー)

Contracaecum spiculigerum (Rud.. 1809) Railliet et Henry. 1912

Trichuris sp.

Raillietina sp.

線虫

(ー)

条虫

Tetrabothrius lari Yamaguti. 1935

Heterakis gallinae (Gmelin. 1790)

Spirura sp.

条虫

Syphacia sp.

Trichuris sp.

Pseudolitomosa musasabi Yamaguti. 1941

Toxocara cati (Schrank. 1788 Brumpt. 1927

条虫

(ー)

小腸

/1

/1

小 腸

小腸

胃,小腸

食道,胃

小腸

小腸

小 腸

/1

部H

2

qu'inぺU

1ふ

1A

関東地方を中心とした野生鳥獣類の寄生虫検査 (第1報)より 亀谷了,野k部春登,鈴木俊邦

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-3- 目黒寄生虫館月報 昭和35年7月10日発行(毎月 l値110日発行) ¥. 10

ニューオルリンズ通信⑩ 大島智夫

当地はある意味で米国の寄生虫学の中心地でありま

すので,居ながらにして全米の寄生虫学の消息を知り

得る便があります。訪問者による特別のレクチ ャーも

毎月のようにあります。その中で印象に残りましたの

は N.I.H.の VonBrand博士の二回にわたる寄生

動物の酸素要求についての講演とカナタ.マクギノレ大学

の Faibrain博士による「縮小条虫の物質代謝」の講演

でありました。前者は講演者の長年の無脊椛動物の比

較生理学の深く広い経験の上にたった極めて含畜に富

んだもので無酸素状態で生活する深海生物の生理から

ときおこしチトクロームオキシダーゼをもたね回虫の

不完全酸化にいたる進化論的系統発生学的な考察でさ

すがは大家の貫録を示したものでした。後者は縮小条

虫の成長過程による虫体構成物質の変化,排11止物質の

生化学的な検討を主としたものです。テュレーン大学

の隣り(チャリティ ーホスピタノレをはさんで)にノレイ

ジアナ州立大学医学部があり , そこの薬理学の教J受Dr. Beudingは寄生虫の生化学の第一人者でありま

す。

この三名の学者によって代表される寄生虫学の新し

い分野,つまり 生化学を武器として物質代謝その他の

点、から寄生現象の解明につとめる方向については多く

の期待と又同時に批判がょせられています。

小生の観察する限り, ピーパー教授によって代表さ

れるテュレ-:,/の寄生虫学はこの方向をまともにと り

あげる傾向は今の所あまりありません。その理由の一

つは一見時代の尖:怖をゆくように見えていても,その

成果はその多大の労力にもかかわらず,寄生現象の説

明に寄与するところ比較的少いからではないかと思い

ます。問題は結果の Interpretationでありますから

条虫の機成物質がかくかくであるという結果がでても

結果がでたという事だけに終る危険性があるのではな

いでしょうか。

しかしこれは現状における批判であって将来一つの

決定的な有力な方法になることは明らかであります。

ただ広い深い寄生虫学一般の基礎知識なしにいきなり

回虫の物質代5射にとりくむというやりかた は waste

of timeに終る危険は非常に多いと思います。

東京都目黒区下目黒3-557・電話 (712)4432 開館・午前11時~午後4時 ・月躍 ・祭日休館

ニューオルリンズ通信⑪ 大島智夫

今日は当教室の P.H.D.の学生達が如何に勉強して

いるかを御伝え します。

このごろ少し仕事がつまってきましたので夕食後も

研究室に 8-9時ごろまで成っている事が多くなりま

した。夜、の日本での経験では夜の研究室は静かで淋し

いくらいの感じでしたが,ここでは昼間以上ににぎや

かです。彼等は 51時ごろ夕食に家に一度帰り 7時過ぎ

に又戻ってきます。そうして 10時 11時ごろまで仕事

をしているようです。ビーバー教授は 71侍ごろ帰宅さ

れますので気分的に解放的になり夜の研究室がこんな

ににぎやかで楽しいものだとはおもいませんでした。

朝 8時に出てきて見ると昨夜あった述中は皆もう顔を一

出しています。 学問の成果はある点、からそれに技じた

時間に比例するとも考えられますから 3年4年とこ

うして勉強しているうちに 5時でピタ リと帰り土 ・日

曜を休む人達と格段の実力の差が出てくるのは当然で

しょう 。東洋人 ・中近東の人聞は概して怠惰でデグリ

ーさえとれば良いというようなのが多いようです。そ

の点からは後進国がいつま でも後進国でとどまってい

る大きな理由があるようです。民話己主義だけが進展し

勤勉に働き,学ぶ事がなおざりにされているのは彼等

の大きな不孝でしょう。ビーバー教授は図書室に置い

てある新着の雑誌に日を通していないと「君は怠け者

だ」といわんばかりの不機鍬な顔をされます。

tl主k と燈りのついた夜の研究室になじんでくるとや

はりテュレーンの寄生虫学教室の伝統と実力はこうい

うあたりからきづかれてきたようにおもいます。今夜

は隣室で Heterobilharziaの中間宿主を発見した学

生から詳しくその話を聞きま した。又お便り いたしま

す。

生物学同好会

6月の講義は議(:j!i杉清三郎博土の都合により延期。

御願ぃ |

当館の内容を充実するために寄生虫に関する資 (

|料,標本,文献の術l寄附

財団法人・ 目黒寄生虫館・ 発行館長・医博亀谷 了