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制御理論特論
明治大学 理工学研究科
機械工学専攻
前回までは,バイラテラル制御を学んだ
対称型を除き,トルク検出手段を必要とする
今回から
トルクセンサ
トルクモータ
トルク制御
について扱っていく
トルク制御
基本は通常モータであるが,いくつかの条件がある.
トルクを検出する,あるいは,トルクを推定する手段がある
モータの品質が高く,回転ムラ(コギングトルク)が少ない
モータの回転ムラを抑えるような制御を行う
これらの要素を持ったトルク制御を実現したモータをトルクモータという.
トルクモータとは?
トルクモータ基本構成
DCブラシ付きモータの場合
PWMドライバ
トルクセンサ
ギアヘッド
モータ
アンプ等
サーボドライバ 上位制御系と通信
モータの分類
モータ
DCモータ
DCブラシ付きモータ
DCブラシレスモータ
ACモータ
AC単相モータ
※ このほかに,ステッピングモータ,超音波モータなどもあるが割愛する
AC3相モータ
AC3相同期モータ
AC単相同期モータ
AC単相誘導モータ
AC3相誘導モータ
インバータを使っていれば同じようなもの
モータの原理として,制御がかかればサーボモータと言える.
位置,速度の制御であれば,たいていのモータはサーボモータになる
例外;電源に同期するだけの同期モータ
サーボモータにするには,検出または推定する手段が必要
モータとサーボモータ
トルクに関しても同様,トルクを制御できるようにサーボを構成したもの
DCブラシ付きモータ
電圧と速度が1次遅れの関係にあり,電流とトルクにも1次遅れの関係がある.
電流とトルクに関してはきわめて速い応答であるため,トルクは電流に比例すると言ってよい.
電流を測定すればモータの出力トルク※を推定できる.
シンプルな制御回路で構成できる.
※ 負荷トルクそのものでない点は注意すべき.
サーボに適したモータ
DCブラシレスモータ
3相の界磁コイルにより回転磁界を発生
回転角センサによりロータの同期状態を検出する必要あり
電流と出力トルクの関係から推定が可能
サーボに適したモータ
• 駆動回路は3組必要 • 回転角センサや電流センサの性能が悪いと極端に効率が低下
ACサーボモータ
AC[3相※]同期モータが出発点
エンコーダ,ホール素子による回転角センサを加えたもの
上記はDCブラシレスモータそのものであるため,混同されて論じられる
※3相以外のものも少ないが存在
余談だが,4相はマイコンの計算がしやすい
サーボに適したモータ
同期モータは構造上ロータの極慣性モーメントが小さくできる
DCブラシレス,ACサーボの別の利点
• 応答性が良く,制御性が良い(加速性能に優れる)
• 応答帯域が大きく確保できることから力覚提示性能が優れる
ある極を通過するとき,トルク変動(リップル)が発生
ある極に吸着されるとき,振動が発生
モータ全般の欠点
コアの形状最適化; 磁場解析
ロータの着磁パターンの最適化; 磁場解析
コアをなくし,空芯にして非線形性を改善
コギングトルクの解決法
これらの対策を講じると最大トルクは下がる結果になる
角度依存性を調べ,制御による解決
モータ特性をモデリングすることは難しい
不可能ではないが演算負荷が大きい
近似モデルで代用する方が現実的
純粋な制御理論に対して,実在するモータはあまりに不確定な要素が多い
シミュレーション結果と実験結果が合わない
動力学演算しながら制御を掛けるような場合,合わせ込みが難しいことを知っておく必要がある.
キャリブレーション動作を設定することでパラメータ同定を行うような工夫が必要な場合がある.
モータを扱った理由
トルクモータ基本構成
ブラシレスモータの場合
ギアヘッド
モータ
サーボドライバ
上位制御系と通信
PWMドライバ 電流センサ
角度センサ
PWMドライバ 電流センサ PWMドライバ 電流センサ
電流センサでトルク制御を行うのは限界あり
誤差の要因
コギングトルク
軸受や減速機の摩擦要素が検出できない
これらが非線形性を有し,推測が極めて難しい
電流センサによっては,オフセットやドリフトがあり,トルク検出用に0近傍が扱いにくい場合もある
電流センサは高精度だが・・・
多軸力センサ
対象物への接触状態が把握しやすい
デバイスが高価,演算コスト大
構造部材に配置(アーム,リンク等)
比較的配置しやすく,回路構成も簡潔
構造の設計変更を要し,軸干渉も起こりやすい
出力軸に配置
出力軸,関節に配置し,純粋に計測できる
動く関節にセンサを配置せざるを得ない
アナログではコネクタ・ハーネスの所でノイズ発生
トルクセンサの配置(基本)
単体,複数によらず,多軸のセンシングを行った場合,ある軸の検出した成分が他のセンサにも表れてしまう現象 材料のポアソン比分は直交する部分も変形する
回路も完全に独立しない場合がある(電源回路が共有されているため)
起歪体構造や配置によりある程度低減でき,演算によりある程度推測できるが,結果として分解能を落とす結果になる
軸干渉とは?
起歪体構造の例
Fx, Fy, Fz; 並進成分
Mx, My, Mz; 回転成分
モータの反トルクを計測
モータのケーシングを起歪体で支持
磁界を介すため,不要な高振動数の成分が減衰され,扱いやすいセンサ出力
反面,訛ったセンサ出力となるため利用法を工夫する必要あり
減速機の反トルクを計測
基本はモータ反トルクと同様
機構を介しているだけのため,直接的に伝達されてくる
トルクセンサの配置(研究)
モータのケーシングを軸受で支持する
ロータとステータの相対トルクを利用できる一種の差動機構
簡単に差動機構を構成可能
ステータ側の無限回転利用にはあまり適さない
フロートディファレンシャル
減速機特性をモデリングすることは難しい
不可能ではないが演算負荷が大きい
近似モデルで代用する方が現実的
純粋な制御理論に対して,実在する減速機はあまりに不確定な要素が多い
シミュレーション結果と実験結果が合わない
動力学演算しながら制御を掛けるような場合,合わせ込みが難しいことを知っておく必要がある.
キャリブレーション動作を設定することでパラメータ同定を行うような工夫が必要な場合がある.
減速機を扱った理由
ありません.
ご安心を
今日の課題