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現代社会の特質と協同組合運動の役割
―「地域社会への関与」の観点から―
三重大学大学院生物資源学研究科
教 授 石田 正昭
1. 協同組合の地域社会への関与
経済のグローバル化は、地域社会を人間のくらしの場ではなく、製品市場(マーケッ
ト)としての価値しか認めていない。このため、その進行は、それぞれの地域社会がも
つ「みんなのくらし(the way of life)」を守り・育てる機能を圧迫し続けることになる。
そういう状況のなかで、人びとの自発的な協力組織である協同組合が、地域社会の再生
に向けて何をなすべきか、あるいは何をなせるかが問われている。
一九九五年ICA協同組合原則は、その第七原則で、地域社会コ ミ ュ ニ テ ィ
への関与として「協同
組合は、組合員が承認する政策にしたがって、地域社会の持続可能な発展のために活動
する」と宣言している(注1)。この第七原則は一九九五年原則で新たに加わった新原
則であるが、ICAによる本原則の解説はつぎのとおりである。
協同組合は本来、組合員の利益のために存在している組織である。しばしば特定の地
理的空間における組合員とのこの強い結びつきのゆえに、協同組合はしばしばその地域
社会と密接に結びついている。協同組合は地域社会の経済的、社会的、文化的な発展が
確実に持続するようにする特別な責任をもつ。協同組合は地域社会の環境保護のために
しっかり活動する責任がある。協同組合が地域社会にどのくらい深くどのような形で貢
献すべきかを決定するのは組合員である。しかし、それは組合員が避けることのできな
い責任である。
右の言明は、協同組合が地域社会へ関与することの重要性を指摘したものであり、ま
た同時に、その実践を強く指示したものと受け止めるべきであろう。しかし、それにも
かかわらず、協同組合が地域社会への関与を無条件で進めるべきだと主張していないこ
ともじつは明らかである。
では、この間の微妙なニュアンスはどこから生まれてくるのであろうか。そして、わ
が国の農業協同組合(特定すれば総合JA)はこの間の微妙なニュアンスをどのように
受け止め、総合JAにとって最もふさわしい関与の方法をどのように定めるのが望まし
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いのであろうか。およそこの二点を明らかにするのが小稿の課題である。
協同組合のなすべき地域社会への関与について、微妙なニュアンスが生まれる理由は
大きくいって二つある(注2)。
一つは、協同組合の組織特性からして慎重であるべきだというものである。協同組合
は組合員の助成を目的とした、自助にもとづく相互扶助の組織、すなわち自助組織であ
って、地域社会を構成する不特定かつ多数のものの助成を目的とする共同作業の組織、
すなわち他助組織ではないという点に求められる。かりに一人分だけの仕事や食べもの
が協同組合に残されているとすれば、それを不特定かつ多数のものに区分される地域住
民にではなく、組合員に配るようにするのが協同組合の責務である。これを現場風に解
釈すれば、JA経営に十分な財政的余裕がないときに、地域貢献とか社会貢献を優先す
る経営判断はありえないし、かりにそうしたからといって、他者から非難される理由は
何もないということになる。
もう一つは、「自治と自立」「民主的管理」といった協同組合原則に照らして慎重であ
るべきだというものである。協同組合は組合員の利益の増進のみを追求するのではなく、
地域社会ひいては国家・公共の利益のために奉仕すべきだとする主張は、協同組合をし
て国や地方公共団体の下請機関にする可能性がある。現実に発展途上国や旧社会主義国
の多くで協同組合の国家機関化が進んだが、わが国もその例外でなかったことは歴史的
にも明らかである。現在でも、総合JAが主務官庁の政策対象者のすべてを組織してい
ることから、コメ対策や経営所得安定対策などの主要な政策展開において、協力機関と
しての責務を負わされているのは周知のとおりである。協同組合のルーツが地域社会に
あることから、地域社会に関与するのは当然であるとしても、自治と自立、民主的管理
といった観点から組合員の承認が重視されるのはそのためである。
2. 農業協同組合の公益性
以上から明らかなように、生活地域を共有するローカル・コミュニティであれ、関心
や思いを共有するテーマ・コミュニティであれ(注3)、協同組合が地域社会を構成す
るすべての人びとを組織するということは、その組織的成功にもかかわらず、協同組合
が公共的な性格を帯びることとなり、自らの経済的、社会的、政治的立場をむずかしい
ものにさせる。農業協同組合の公益性とは何かという点について、広く誤解がみられる
のはそのためである。
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以下では農業協同組合の公益性について、どのような見解がありうるのかを紹介し、
そのうえで、今後、協同組合セクターの一員として重視すべき公益性とはどのようなも
のかを明らかにしたい。
その第一は、農業は、国民食料の確保、地域社会の維持、国土の有効利用などの多面
的機能(国土の保全機能、水源のかん養機能、自然環境の保全機能、良好な景観の形成
機能、文化の伝承機能、保健休養機能、地域社会の維持活性化、食料安全保障など)を
発揮しており、したがって、その担い手たる農業者が組織する農業協同組合もまた公益
性を有しているとする考え方である。
これは一見もっとものように聞こえ、かつ賛同者の多い考え方であるが、農業の多面
的機能の発揮は、一義的には自助組織たる協同組合の目的なり課題とはなりえないので
あって、総合JAへの過大かつ不相応な要求につながりかねない。あえていえば、国家
権力が極大化した場合には、戦後食料難の時代のように、農業協同組合が強制的なコメ
供出機関に転化する危険性すらもっている。農政と農協の一体論、ないしは農政の別働
隊論と呼べるものであって、協同組合セクターの一員としては乗り越えなければならな
い考え方である。
第二は、農業者はもともと小規模事業者であって、経済的弱者であり、かつ戦後創設
された零細自作農は、これを二度とふたたび小作農へ転落させてはならず、そのことを
制度的に担保するために農地法と農業協同組合法がつくられたとする考え方である。こ
れはすなわち、法律によって農業協同組合の公益性が担保されているという考え方であ
る。
この見解は特別法としての農業協同組合法の立法趣旨を忠実に反映した考え方であ
って、この法的措置によって、どのような協同組織性を有する農業協同組合であれ、(行
政庁によって認可された)農業協同組合は独占禁止法の適用除外となる仕組みができあ
がっている(法人税軽減措置を含む)。いいかえれば、主務官庁と一体化した制度的農
協の根幹がここにあるわけで、この制度を今後も維持することの妥当性が議論されなけ
ればならない。その場合に想定できる論点は、経済社会の変化や、そのもとで起こって
いる零細自作農の主体的変化とその分化、ならびに会社法、NPO法、一般社団・財団
法人法などの新しい組織法が誕生するなかで、農業協同組合の公益性の根拠を特別法に
求めなければならない特別の理由とは何かという点である。
第三は、現代の経済社会において、農業協同組合が協同組合セクターを構成する一大
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有力組織であることから、職能組織の制約を超えて、地域社会の経済的、社会的、文化
的な発展に責任をもつ協同組合として機能するには、協同組合原則により忠実な運営方
法を導入しなければならないというものである(注4)。
これはすなわち、農業協同組合法の規定では、農業者以外でも組合員の資格を得られ
ることから、員外利用排除の観点を加味しながら、加入脱退の自由や公開的組合員制度
のもつ「すべての人びとに対する門戸開放性」と不分割準備金制度のもつ「利他制度」
をより一層徹底すべきことを要求するものである。というのは、そうすることにより、
農業協同組合は、農業者の職能組織ではあるものの、地域社会を構成する不特定かつ多
数のものの利益の増進に寄与する地域組織としての性格、すなわちより普遍的な意味で
の協同組合の公益性を実質的に担保できるようになるからである。この場合、利他制度
の考え方にしたがえば、各人の出資金を超える解散時の残余財産は、これを同種の協同
組合または国・地方公共団体に帰属するという規定を設けることが必要となる(注5)。
第四は、法律(特別法)ないし主務官庁の裁量(許可・認可主義)によって公益性の
有無を判定するのではなく、その組織の行う活動や事業によって公益性の有無を判定す
るという、透明性のある基準を農業協同組合に適用するものである。
たとえば、その一つの方法として、二〇〇六年に制定された公益法人認定法(公益社
団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)の別表に掲げられた公益目的事業を行
うことをもって、公益性の有無の判定に使用することが考えられる(注6)。別表には
二三の公益目的事業が掲げられているが、そのなかには農業協同組合(もしくはその組
合員)の行う事業、たとえば農業生産とか農産物販売などの記載はないが、学術振興、
文化・芸術振興、高齢者福祉、青尐年育成、自然環境保護、地域社会の健全な発展など
の記載はある。このことはすなわち、地域社会の再活性化のために農業協同組合(もし
くはその組合員)が行うこの種の事業には公益性があることを示している。ただし、こ
の種の事業を行っていても、どのような基準を満たせば公益目的事業と認定されるのか
は現時点では明らかではない。その基準は諮問機関(公益認定等委員会及び都道府県に
置かれる合議制の機関)の審議に委ねられることになっている。
以上から明らかなように、自助組織である総合JAには本来「不特定かつ多数のもの
の利益の増進に寄与する」といった意味の公益性は備わっていないと考えるべきである。
また、農業の協同組合だからとか、農業協同組合法という特別法によって認可されてい
るからという理由だけで、公益性があると申し立てることもむずかしい。しかし、そう
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ではあっても、すべての人びとに対する門戸開放性や利他制度を導入して、不特定かつ
多数のものの利益の増進に寄与するような運営を行っていたり、地域社会の発展に寄与
するような他助組織としての活動や事業を行っていたりすれば、そのかぎりにおいて、
その総合JAには公益性が備わっているとみなすことができるであろう。
一般に、右のような他助組織としての活動や事業、ならびにそのための意思決定の領
域は、社会的経済(ソーシャル・エコノミー)とか私的公共性(民が担う公共性:プラ
イベート・パブリック)と呼ばれている。以下では、どのようにすればこのような性格
の活動や事業、ならびに意思決定の方法を総合JAの運営のなかにとけこますことがで
きるのかを検討したい。このことはすなわち、総合JAにとって最もふさわしい「地域
社会への関与」の方法を提案することと同義である。
3. 総合JAによる経済的目的と社会的目的の統合(注7)
社会システムの縮小・変調と逆襲
人間社会の全体は、人間の生活に必要な財・サービスが生産され、分配されていく経
済システム、人間そのものを再生産する、いいかえれば人間の生活が営まれている社会
システム、そして、通常は一致することのない私的利益と公共的利益を、権力を背景と
する決定と強制によって調整する政治システム、という三つのサブシステムによって運
行されている。
ここで、経済システムには資本制企業が含まれ、社会システムには家族、町内会・自
治会(農業集落を含む)、学校、寺社・教会などが含まれ、政治システムには国、地方
公共団体などが含まれる。これらのサブシステムはおのおのが排他的かつ独立して運行
しているのではなく、相互に影響しあいながら一部で重複し、システム境界を変動させ
ながら運行している。歴史的にみると、最も古くから存在していたのは社会システムで
ある。そこでは人間の生命を再生産するために人びとが協力しあい、自然に働きかけて
生存資料を確保していた。それゆえ、そこで形成される人びとの集団も共同体と表現で
きるような自発的協力の組織という性格をもっていた。
自発的協力の組織は顔見知りの範囲で成立するため、その地理的拡大には限界がある。
この限界を克服し、より広域での利害調整を行うために、強制的協力の組織としての政
治システムが誕生した。しかし、政治システムが膨張すると、経済システムとの癒着を
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引き起こし、その極端な場合は、ナチスドイツや北朝鮮のように、社会システムをとめ
どもなく縮小させるという事態を招いた。また、経済システムが膨張すると、市場原理
のあくなき追求が行われ、グローバル化、金融支配、格差社会などが現出・拡大し、社
会システムに大きな変調を生みだした。
しかし、サブシステム間の相互関係は以上で終焉するわけではない。このような社会
システムの縮小や変調に対して、地域の人びとが自発的に立ち上がり、生活世界を立て
直そうとする社会システムの逆襲が始まる(注8)。それはすなわち社会的企業(ソー
シャル・エンタープライズ)とかコミュニティ・ビジネスとか呼ばれる機能的集団の創
発を意味しているが、これらの集団に共通する特色は、地域社会を単位として、地域社
会のために、地域社会の人びとが集まって共同作業を行う、という他助組織としてのそ
れである。
以下では、右のような他助組織をNPO型組織と呼ぶこととするが、その組織形態は、
わが国では任意組合、NPO、中間法人、小さな株式会社、労働者生産協同組合(法定
化は今後の課題)など、とくに定まったものをもたないことを特徴とする。組織形態は
定まってはいないが、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与するという組織目的は
共通しており、この点で自助組織、すなわち組合員の利益の増進に寄与することを組織
目的とする協同組合とは一線が画されている(もとより、他助組織であるから、非営利
組織であることは協同組合と同じである)。
自助組織としての協同組合と他助組織としてのNPO型組織
自助組織としての協同組合、あるいはそれと同じことであるが、相互扶助の協同組織
としての協同組合は、人的結合体(アソシエーション)であると同時に事業体(エンタ
ープライズ)であるという二重の、しかし矛盾した性質をもっている(注9)。この場
合、人的結合体は社会システムに含まれ、事業体は経済システムに含まれる。このよう
な二重の性質をもつ協同組合ではあるが、その軸足はどちらのサブシステムに置かれて
いるのであろうか。
おそらく「共同体」と表現できるような、顔見知りの範囲で成立する自発的協力の組
織(地域社会という社会システム)では、相互扶助(自助目的の連帯)と共同作業(他
助目的の連帯)は分かちがたく結びついていたはずである。すなわち、人間社会の初発
の段階では、相互扶助と共同作業の協同組織は社会システムのなかで重なり合って存在
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していたはずである。
相互扶助と共同作業が渾然一体となった協同組織は、社会システムのなかでは学校、
寺社・教会などとともに機能的集団を構成し、家族、町内会・自治会(農業集落を含む)
などから構成される基礎的集団の機能を、その集団の外縁部から代行、補完するという
役割を果たしていた。このような役割構造のもとでは、社会システム全体の拡大・発展
も、基礎的集団ではなく、機能的集団の拡大・発展によって規定されるという側面をも
っていた。
ただし、当初は分かちがたく結びついていた相互扶助と共同作業の協同組織ではある
が、一方で社会システムの成員が増大し、他方でその地理的範囲が拡大するにつれて、
両者の機能なり組織は徐々に特化し、分離するようになっていった。すなわち、相互扶
助の協同組織である協同組合は経済システムへ接近し、共同作業の協同組織であるNP
O型組織は政治システムへ接近していった。その結果、もともとのルーツは同じではあ
るものの、いまやその両者はほぼ完全に分離した状態に陥っている。というよりも、正
確には、共同作業の協同組織はその活動実態が極小化しているといったほうが適切かも
しれない。
相互扶助の協同組織(協同組合)が経済システムへ接近していったのは、その機能を
提供するうえで、規模の経済を実現してコストの低減と対抗力の強化を図り、資本制企
業と競争できる条件を確保する必要が生じたからである。また、共同作業の協同組織(N
PO型組織)が政治システムへ接近していったのは、その機能を提供するうえで、権力
という媒体を通してより多くの資金とサービスの対象者を確保し、より大きく、よりイ
ンパクトのある公共的利益を生み出す必要が生じたからである。
協同組合による社会的目的と経済的目的の統合
他助組織、すなわち共同作業の協同組織による社会システムの逆襲とは、社会的経済
ないし私的公共性の観点から、地域においてNPO型組織(社会的企業ないしコミュニ
ティ・ビジネス)の創発が起こり、これまで政治システムに委ねてきた機能ないし任務
を社会システムに再包摂することをいう。ただし、この再包摂のプロセスは、財政再建
や小さな政府を実現するために、政治システムの側からNPO型組織の活用が叫ばれる
のではなく、あくまでもNPO型組織の創発による地域社会の再活性化、いいかえれば
社会システムの拡大・発展を通して実現されるものでなければならない(注10)。
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では、こうした他助組織の動きに呼応して、自助組織である協同組合では、どのよう
な主体的な変革が求められているのであろうか。とりわけ、人的結合体の目的を達成す
るために事業体が稼動するのではなく、事業体の目的を達成するために人的結合体が動
員されるといった、主客転倒の組織統合関係に陥っている大規模な協同組合にあっては、
可及的速やかに何をすることが求められているのであろうか。
その答えはすでにレイドローによって与えられている。レイドローは、信頼性の危機、
経営の危機に加えて、思想的な危機に陥っている協同組合に対して、「協同組合の真の
目的とは何か」という根源的な問いかけを行い、それに対する自らの解答として「協同
組合における社会的な目的と経済的な目的の統合」という新たな課題を提示したのであ
った(注11)。
すなわち、その課題とは、ともすれば経済的な目的を追求しがちな協同組合にあって、
そのことの徹底的追求は協同組合の存在意義の自己否定にほかならず、この陥穽から脱
出するには、社会システムと政治システムに委ねてきた「社会的な問題の解決と生活の
質の向上」という地域再活性化の課題を、自らの機能ないし任務のなかに再包摂しなけ
ればならないというものであった。つまりそれは、人間社会の初発の段階における協同
組織と同じように、相互扶助と共同作業の両方の機能を担うことのできる協同組合へと
転換すべきことを指示したのであった。
ただし、レイドロー報告や協同組合原則をよく読むとわかるのであるが、自助組織で
ある協同組合が、自らの機能を落としてまでも他助組織に方向転換すべきことを指示し
ているわけではない。自助組織としての協同組合が担うべき経済的な目的の追求のなか
で、他助組織としてのNPO型組織が担うべき社会的な目的の追求をとけこます必要が
あることを指示しているのである。
中間支援組織としての機能開発(注12)
では、右で述べたような「経済的な目的の追求のなかに社会的な目的をとけこます」
とは、具体的にどのようなことを指すのであろうか。たとえば、福祉、環境、医療、教
育など公益性の高い事業について、かりにその採算性が確保されるならば、「ゆりかご
から墓場まで」をめざす総合JAにあっては、自らの事業メニューのなかに含めるべき
ことを指しているのであろうか。(全否定ではないが)そうではない。
総合JAが真に担うべきことは、自らの関与する地域社会に対して、NPO型組織が
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創発できるような地域環境をつくりだすこと、いいかえればNPO型組織が行う地域再
活性化のための活動や事業に対して、奨励や支援の手を差しのべることにある。もう尐
し具体的にいえば、組合員を中核として、地域住民や消費者が一体となって進める共同
作業の領域として、食と農、健康、助け合い・福祉、資源・環境、生きがいづくり、都
市農村交流などの「農を中心としたまち・むらづくり」の活動・事業を措定し、これら
の活動・事業を創発するために必要とされる奨励と支援を積極的に講じることを指して
いるのである。
コミュニティ・ビジネスの分野では、この種の支援組織のことをインターミディアリ
ー(中間支援組織)と呼び、これもまたコミュニティ・ビジネスの範ちゅうのなかに含
めている。中間支援組織の活動・事業の範囲は、情報の受発信をはじめ、資源や技術の
仲介、資金の仲介、人材の育成、マネジメント能力の向上、対内的・対外的なネットワ
ークの形成、活動・事業主体の評価、地域社会の価値創出など、広範多岐にわたってい
るが、従来、農業農村の現場でこの種の役割を担ってきたのは行政や普及組織(農業改
良普及員や生活改良普及員)であった。したがって、行政や普及組織に代わって総合J
Aがこの種の役割を担うということは、総合JAが自らの存在価値をかけて、地域再活
性化にかかる責務はこれを他人任せにはしないということを表している。
その場合、総合JAにとって重要なことは、組合員組織活動の再活性化を基本としな
がらも、それに留まることなく、地域協同活動へと発展させることである。そのための
ステップアップの過程はつぎの三段階に分けられる。
第一段階は、組合員組織活動の立て直しである。これは、ローカル・コミュニティ(基
礎的集団)を単位として、集まることそれ自体を目的とする層別組織(農家組合、青年
部、女性部など)のなかに、多種多様なグループ活動を設定し、組合員が自らの意思に
したがって、目的・目標を同じくする仲間づくりを進められるようにすること、すなわ
ちテーマ・コミュニティの形成をめざすことを表している。
第二段階は、組合員組織活動の発展である。これは、組合員大会やグループ活動コン
テストの開催などを通じて、活動成果を発表する場や競い合う場をつくり、その結果を
内外に広報することによって、構成員の満足度を高め、グループ活動のさらなる発展を
期すように仕向けることを表している。とりわけ、これから伸ばしたい活動や日常的な
活動にパワーを与えるという点では、連合組織ではなく、総合JAの段階で発表や表彰
の機会を設けることが効果的である。
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第三段階は、組合員組織活動から地域協同活動へのステップアップである。これは、
地域の問題を解決し、生活の質を向上させるという観点から、組合員組織活動のなかに
地域住民や消費者の参加を積極的に組み込んで、より大きな仲間づくりを進めることを
表している。
その場合に留意すべき点が二つある。一つは生産者部会、女性部、青年部など、既存
の組合員組織の枠組みを越えて、組織横断的に組合員の結集を図らなければならないと
いうことである。もう一つは、そうした目的志向型の組合員の結集に加えて、正・准組
合員、員外といった組合員制度上の垣根を取りはずし、目的・目標を同じくするもの同
士が広く集まって、“楽しかった”“ためになった”“やる気になった”という体験や感
動を共有できるようにしなければならないということである。
以上の段階論は、筆者がJA福岡市の取り組みから着想したものであるが、この種の
取り組みは多かれ尐なかれどの総合JAでも行われていることではある。しかし、JA
福岡市のすぐれているところは「地域に存在感のあるJAづくり」という明快な目標が
役職員、とりわけそのトップ層のあいだで共有されていること、そしてその目標の実現
に向けて、本店は機能・分野特化型の支援を、支店は地域密着型の支援を行うという役
割分担の体制が整備されていることにある。予想に反して、こうした体制整備に要する
費用はそれほど大きなものではない。というのは、この体制整備は経営資源の増大では
なく、経営資源の効率的かつ効果的な動員によって達成されるものだからである。
さらに重要なことは、地域社会の再活性化に向けて投じられる何がしかの労働や金銭
は、費用ではなく投資、すなわち地域社会の未来に対する協同組合の資源投入という性
質をもっていることである。このことは、多くの関係者が指摘するような、経営改善が
進まないと地域貢献はできないという考え方が、じつは誤りであることを示している。
と同時に、総合JAのこうした公益的な取り組みに対しては、区分経理上の特別な配慮
と税制上の優遇措置の検討がなされて然るべきであることも示している。
ローカル・コミュニティとテーマ・コミュニティの融合
すでに述べたように、地域社会には、生活地域を共有するローカル・コミュニティと
関心や思いを共有するテーマ・コミュニティがある。ローカル・コミュニティのなかに
は、町内会・自治会(農業集落を含む)などの地縁型自治組織をはじめとして、小学校
区、中学校区、基礎的自治体(市町村)、郡市、都道府県など、さまざまな範域で成立
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する基礎的集団が含まれる。一方、テーマ・コミュニティについても、協同組合、NP
Oをはじめとして、趣味のサークル、学校、寺社・教会、利益団体・圧力団体など、さ
まざまな主題で成立する機能的集団が含まれる。
ここで公益的な活動を行う集団として、ローカル・コミュニティでは地縁型自治組織
を、テーマ・コミュニティではNPO型組織を想定すると、じつはこの両者は協働とい
うよりも、緊張・競合の関係に陥りやすいことに特徴がある。その理由は、地縁型自治
組織が行政の末端組織として従来から政治システムのなかに組み込まれており、同じく
政治システムとの関係を重視するNPO型組織とのあいだで、さまざまなあつれきが生
じやすいからである。
ただし、この両者の特性は異なっており、目的・目標を共有する人びとによる公益的
なサービスの提供という側面では、自発性、機動性に特徴をもつNPO型組織がすぐれ
ているが、地域社会の意思決定が重要な意味をもつ、より本質的なガバナンス(地域の
人びとによる自己決定、自己統治)という側面では、地域社会の総意機関としての性格
を有する地縁型自治組織が優位に立っていると考えなければならない(注13)。
いいかえれば、NPO型組織は分野別代表、地縁型自治組織は地域別代表という位置
づけが与えられるが、地縁型自治組織と比較してNPO型組織は地縁・血縁を越えたド
ライなネットワーク関係を形成できるという利点をもつ一方で、地域社会との密着性と
か継続的な関係性の構築といった面では务っているために、地域社会の再活性化にあた
ってNPO型組織への一方的なウエイトづけは誤った結論を導きだす可能性がある。
もとより地縁型自治組織が完全に形骸化している都市では、地域社会の再活性化の担
い手をNPO型組織に求めることは間違いではない。しかし、形骸化したとはいえ、あ
る程度機能している農山村では、NPO型組織だけに肩入れすることは適切ではない。
両者を融合ないし協働の関係で結びつけることが大切である。
その融合は必ずしも容易ではない。そうしたなかで考えられる一つの方法は、地縁型
自治組織の特性である地域社会との密着性や継続的な関係性と、NPO型組織の特性で
ある活動・事業の自発性や機動性の両方の要素を併せもつような、ハイブリッドな主体
の設立を奨励、支援することである。そして、その最も有望な主体として想定できるの
は、小学校区単位に設置される地域自治組織である(注14)。
地域自治組織は、住民自治組織、まちづくり委員会(まちづくり協議会)、地域協議
会などの名称で全国各地に誕生しつつあるが、主としてそれらが小学校区単位に設置さ
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れていることから、一方で関心や思いを共有する機能的集団であるというNPO型組織
の特徴と、他方で町内会・自治会を束ねた基礎的集団であるという地縁型自治組織の特
徴の両方を兼ねそなえており、農村の公益的活動の担い手としてすぐれた特性をもって
いると考えられる。
実際、全国各地で地域自治組織はまちづくり活動の中核として立派に育っている。し
かし、よく考えてみると、ローカル・コミュニティとテーマ・コミュニティの融合に成
功しているのは地域自治組織だけではない。これと同類異種のものを数多く指摘できる。
たとえば、行政区単位のむらづくり運動、市町村単位や郡市単位の地域振興公社、集落
営農組織、JAの組合員組織によるまちづくり活動などを指摘できるが、これらはすべ
てローカル・コミュニティのテーマ・コミュニティ化、ないしはテーマ・コミュニティ
のローカル・コミュニティ化のいずれかに類型化できるものである(注15)。
4. 代議制デモクラシー、参加デモクラシー、討議デモクラシー(注16)
協同組合は、出資、利用、参加の三位一体を自らの特質としている。しかし、このう
ちの参加は、大きな協同組合では総代に選ばれないかぎり、実現することはできない。
すなわち、協同組合の民主制は直接民主制ではなく、間接民主制である。これを代議制
デモクラシーと呼ぶ。
大きな協同組合では、この代議制デモクラシーすらも形骸化が進み、総代会、理事会
といった制度的な機関にあっては、地域社会でどのような協同組合をめざし、どのよう
な運営を行うのが望ましいかという点についての、代表者(総代、理事)の徹底討議を
保証するものとはなっていない。徹底討議をしようとすれば、別途、委員会、協議会、
審議会などに付されるのが普通である。
しかし、こうして開かれる委員会、協議会、審議会も、委員の人選からして恣意性が
含まれる。かりに人選にかかる恣意性が排除されたからといって、民主的な意思決定が
可能になるというものでもない。というのは、会合を重ねるにしたがって、内部に発言
力の強い人と弱い人というハイアラーキー(階統制)が生まれ、発言力の強い人の意見
に全体が引っぱられるようになるからである。
このため、地域社会でどのような協同組合をめざし、どのような運営を行うのが望ま
しいかという点についての提案なり議案は、良くも悪くも、日常業務を担当する常勤役
員と幹部職員、より限定していえば、トップマネジメントが考える以上のアイディアは
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出てこないというべきである。
この種の欠陥を補い、尐しでも組合員の意思を反映するために、集落座談会、利用者
懇談会、アンケート調査、コンサルティング、eデモクラシーなどが実施もしくは実施
が検討されている。しかし、これらについても参加者の偏在、情報の非対称性、情報格
差(デジタルディバイド)などの理由から、サンプルの代表性、包含性、透明性にかけ
るという指摘が可能である。
協同組合が何らかの意思決定を行なおうとするときに、組合員の参加を保証するだけ
ではもはや十分ではない。参加のみならず、徹底討議、すなわち討議デモクラシーを保
証することが必要である。では、この討議デモクラシーの原則とは何か、またその具体
的方法とはどのようなものか。
まず、討議デモクラシーの原則については、①無作為抽出の参加者、②討議倫理にも
とづく運営、すなわち参加者への正確な情報の伝達と、異なる立場に立つ人の意見と情
報の公平な提供、③メンバーを固定しない小グループの討論、④討議の進展によって自
らの意見を変更することの重視、といった四原則から構成されている。
こうした四原則を満たしたうえで成立する討議デモクラシーの具体的方法について
は、ドイツ・ヴパタール大学のペーター・C・ディーネル教授が考案したプラーヌンク
スツェレ(Plaunungszelle:計画細胞)という方法がある(注17)。このプラーヌン
クスツェレは、自治体行政(基礎的自治体のまちづくり、具体的には都市計画、交通・
エネルギー問題、環境政策などにかかる諸施策)への市民参加の方法を提案するもので
あるが、ここではこの方法を協同組合に適用することを目的として翻訳風に紹介すると、
およそつぎのとおりである。
「組合員台帳から無作為抽出で選ばれた原則二五人の組合員が、有償で、一定の期間
(四日間が標準)、日々の労働から解放され、事前に与えられた解決可能な計画に関す
る討議に参加する。その際に、委託を受けた中立的な実施機関が参加者の討議すべき課
題と四日間のプログラムを決定し、実施にあたっては二人の進行役がつく。一コマ九〇
分の作業時間のあいだ、参加者は専門家やいろいろな関係者から情報を得て、その後、
五人の小グループで討議し、特定課題に対する意見をまとめる。この小グループは毎回
メンバーの変更が行われる。また、小グループの討議に進行役はまったく関与しない。
あくまでも参加者だけの討議による合意形成が重視される。こうした作業を一日四コマ、
四日間合計一六コマの計画細胞で行い、具体的提言をまとめていく。最終日にすべての
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計画細胞で出された意見を集約し、“組合員答申”として出版物にまとめられ、委託者
である協同組合に提出される。」
右のようなプラーヌンクスツェレは、試行的ではあるが、日本でも東京青年会議所千
代田区委員会や三鷹市青年会議所などで実施に移されている。もちろんそれは、ドイツ
で行われているプラーヌンクスツェレと同一ではない。基本的な性格は同じであるが、
わが国の条件に適合するように、日数やコマ数の短縮などが行われている。こうした取
り組みの結果、わが国への適用にあたっての問題点もいくつか指摘されている。そのな
かでも重要な指摘は「実施を急ぐあまり、ドイツのものに比べてコンパクトなものにな
らないように」というものである(注18)。
以上のような問題はあるが、協同組合の三位一体性における参加の欠如や代議制デモ
クラシーの形骸化を考えるとき、ドイツ版プラーヌンクスツェレが示すような討議デモ
クラシーの導入・確保は、望ましい協同組合の意思決定とはどのようなものか、という
点に関する基本的な視点をわれわれに与えてくれている。また、本章全体を鳥瞰すれば、
地域社会の再活性化のために共同作業に参加する組合員と徹底討議に参加する組合員
をいかに確保・育成するかが、総合JAの今後の課題といえそうである。
【注】
1) 以下の解説を含めて、本原則の訳文は日本協同組合学会訳編〔12〕にしたがって
いる。
2) 栗本昭編著〔6〕一六二~一六四ページを参照されたい。以下の説明もそれにした
がっている。
3) コミュニティとは「文化的・社会的規範を共有する人びとの集まり」と定義できる。
この定義のもとで、コミュニティはローカル・コミュニティとテーマ・コミュニテ
ィに区分される。詳しくは石田〔3〕二八~三一ページを参照されたい。
4) こうした観点から農協の公益性、公共性を論じたものとして、石田〔2〕三八ペー
ジがある。以下の説明もそれにしたがっている。
5) 利他制度の不分割準備金制度は准組合員(非農業者)の正組合員化を可能にする一
つの制度的工夫でもある。詳しくは石田〔1〕を参照されたい。
6) 公益法人認定法と同様に、NPO法の別表を使って公益目的事業を定義することも
できる。NPO法の別表には公益法人認定法とほぼ同様の一七の事業が特定されて
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いる。
7) 本節で展開される社会システム、経済システム、政治システムの説明は基本的に神
野〔10〕五~七ページにしたがっている。
8) この社会システムの逆襲は、ハーバーマスの『公共性の構造転換』を援用した篠原
〔9〕九七~九九ページにしたがっている。
9) 田代〔11〕は、協同組合を運動・組織と事業・経営の矛盾的統合体であると規定
するところから出発し、歴史的個体としての総合JAの行き着く先として、本章と
同様の「地域公共圏の担い手」を見定めている。詳しくは同書四四~四七ページを
参照されたい。
10) このフレーズは、神野〔10〕一三ページの「グラスルーツによるガバナンス」を
参考にして記述している。
11) レイドローによるこの指摘は、さしあたり日本生活協同組合連合会『西暦二〇〇〇
年における協同組合』(一九八〇年)を参照されたい。
12) 本小節「中間支援組織としての機能開発」とつぎの小節「ローカル・コミュニティ
とテーマ・コミュニティの融合」の詳細については石田〔4〕を参照されたい。
13) 地縁型自治組織とNPO型組織の緊張・競合関係と、両組織の性格の違いについて
は、澤井〔7〕を参照されたい。
14) 農山村地域における地域自治組織の展開については、小田切〔5〕に詳しく論じら
れている。
15) 各類型に対応するコミュニティ・ビジネスの具体例については、石田〔4〕を参照
されたい。
16) 討議デモクラシーの重要性に着目し、その概念と具体的方法をいち早くわが国に紹
介したのは篠原〔9〕である。本小節は同書第五章を参考にして記述している。
17) 以下のプラーヌンクスツェレの解説は、篠藤〔8〕一三~一五ページを参考にして
記述している。
18) この指摘は篠藤〔8〕一〇〇ページによる。
【引用文献】
〔1〕 石田正昭「組合員構成の多様化と農協の運営体制の再編方向」『協同組合研究』
第二六巻第一号、二〇〇七年二月。
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〔2〕 石田正昭「農協改革の課題:制度的農協から自主的農協へ」、生源寺眞一・農
協共済総合研究所編『これからの農協―発展のための複眼的アプローチ―』(農
林統計協会、二〇〇七年)。
〔3〕 石田正昭「農村版コミュニティ・ビジネスとは何か」、石田正昭編著『農村版
コミュニティ・ビジネスのすすめ―地域再活性化とJAの役割―』(家の光協
会、二〇〇八年)。
〔4〕 石田正昭「農業・農村はコミュニティ・ビジネスの宝庫」、石田正昭編著(前
掲書)。
〔5〕 小田切徳美「農村地域自治組織の性格と農協」、生源寺眞一・農協共済総合研
究所編(前掲書)。
〔6〕 栗本昭編著『二一世紀の新協同組合原則<新訳版>―日本と世界の生協 この
一〇年の実践』(コープ出版、二〇〇六年)。
〔7〕 澤井安勇「ソーシャル・ガバナンスの概念とその成立条件」、神野直彦・澤井
安勇編著『ソーシャル・ガバナンス―新しい分権・市民社会の構図―』(東洋
経済新報社、二〇〇四年)。
〔8〕 篠藤明徳『まちづくりと新しい市民参加―ドイツ版プラーヌンクスツェレの手
法―』(イマジン出版、二〇〇六年)。
〔9〕 篠原一『市民の政治学―討議デモクラシーとは何か―』(岩波新書、二〇〇四
年)。
〔10〕 神野直彦「新しい市民社会の形成―官から民への分権」、神野直彦・澤井安勇
編著(前掲書)。
〔11〕 田代洋一『農業・協同・公共性』(筑波書房、二〇〇八年)。
〔12〕 日本協同組合学会訳編『二一世紀の協同組合原則―ICAアイデンティティ声
明と宣言―』(日本経済評論社、二〇〇〇年)。
(小池恒男編著『農協の存在意義と新しい展開方向』昭和堂、20008 年 12 月)