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―特別支援教育の充実を目指して― さいたま市教育委員会 平成 24年 3 月作成 特別支援学級担任の手引き

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―特別支援教育の充実を目指して―

さいたま市教育委員会 平成24年 3月作成

特別支援学級担任の手引き

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はじめに

この「特別支援学級担任の手引き」は、特別支援学級設置校、特

別支援学級を担任する教員が障害のある児童生徒一人ひとりに対し

て、より適切な指導や支援を行うことを目的として作成しました。

さいたま市では、昨年4月に「誰もが共に暮らすための障害者の

権利の擁護等に関する条例(ノーマライゼーション条例)」を制定し、

障害のあるなしに関係なく、安心して生活をおくることのできる地

域社会をめざしています。教育委員会といたしましても、一人ひと

りの教育的ニーズに応じた教育の充実を目指して、特別支援教育の

一層の推進を図っています。この手引きは、その一環として、さい

たま市独自で作成したものであり、通常の学級におきましても、特

別支援教育の充実を図る上で非常に大切な内容となっています。

本手引きを、特別支援学級を初めて担任する教員はもちろん、特

別支援学級設置校だけでなく、全ての教職員が活用していただき、

子ども達の笑顔がたくさん見られる指導が展開されることを期待し

ています。

結びに、本手引きを作成するにあたり、御協力いただいた皆様に

厚く御礼申し上げます。

平成24年3月

さいたま市教育委員会指導2課長 野口 浩

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目 次 はじめに

Ⅰ 特別支援学級とは・・・・・・・・・・・・・・P. 1~ 9

1 年間の流れ・学級経営

Ⅱ 特別支援学級の教育課程・・・・・・・・・・・P.10~44

概要・日課表・年間指導計画・学習指導案の作成

Ⅲ 個別の教育支援計画と個別の指導計画・・・・・P.45~55

作成・活用・参考例・潤いファイル

Ⅳ 指導要録の書き方・・・・・・・・・・・・・・P.56~60

Ⅴ 教室環境や授業の工夫・・・・・・・・・・・・P.61~65

Ⅵ 交流及び共同学習・・・・・・・・・・・・・・P.66~75

Ⅶ 特別支援学級の弾力的運用・・・・・・・・・・P.76~83

Ⅷ 産業現場等における実習・・・・・・・・・・・P.84~85

Ⅸ 関係機関との連携・・・・・・・・・・・・・・P.86~90

Ⅹ 初めて特別支援学級を担任するみなさんへ・・・P.91~94

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1

Ⅰ 特別支援学級とは

特別支援学級は、障害がある児童生徒のために小・中学校に障害の種別ごとに置く少人

数の学級です。さいたま市には「知的障害特別支援学級」「自閉症・情緒障害特別支援学級」

「弱視特別支援学級」「身体虚弱特別支援学級」があります。

【 特別支援学級の特長は 】

<少人数の指導>

特別支援学級では1学級を8名以内で編

制し、少人数の集団で児童生徒一人ひとりの

実態に応じた指導を行います。

<個に応じた指導>

各教科の学習の到達度、社会生活における

課題などは、子ども達一人ひとり様々な実態

があります。

特別支援学級では、個に応じて指導の目標や内容、方法を工夫し、一人ひとりの障害の

種類や状態、特性、発達段階に応じた指導を行い、社会参加や自立を目指すための学習を

行います。

特別支援学級では、次のようなことに重点をおいて指導します。

(1) 日常生活についての指導を日々積み重ね、基本的な生活習慣の確立を促します。

(2) 個々の発達段階に応じた目標を設定し、基礎学力の定着・体力の向上に努めます。

(3) 経験を広げ、社会参加への意欲や好ましい人間関係を育てるために、交流及び共同学

習を行います。

(4) 将来の社会的な自立を見通して、進路指導の充実を図ります。

(5) 家庭との連携を密接に取り合い、互いに協力し合います。

※ さいたま市では、障害種別の特別支援学級ごとに居住地により通学区域を設定して

います。

※ 特別支援学級では、学校ごとに見学日を設定します。

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2

1 特別支援学級の1年間

(1) 小学校

小学校では、児童が学校生活に慣れ、基本的な生活習慣を身に付けるとともに、児童一

人ひとりが持っている力を把握し、伸ばすことが大切です。そのため、担当者と保護者の

連携を密にし、6年間を見通した上で1年間の計画を立てます。

準備すること 確認すること 始業式までにやること 3月末~

4月上旬

・新設学級については、特別支援学級の名称を

決める。(例:「さくらんぼ学級」、「たんぽぽ

学級」「なかよし学級」等) ・学級経営案の作成 ・教室環境の整備 児童の障害や実態に合わせてロッカーや机

等の配置をする。不要な物は教室に置かな

い。児童の動線を考える。靴箱、傘立ての準

備。机等必要な物に名前を付ける。 ・出席簿、名簿の作成 出席簿、指導要録は学級ごとに作成 ・教科書の配布準備 ・健康診断票、歯科検診票、身体測定、検診等

について養護教諭と確認をとる。 ・学級事務用品の整備、ゴム印、連絡ノートの

準備 ・学級費や教材費の会計案作成 ・入学式の準備 ・入学式当日に張り出される名簿から、名前が

落ちないようにする。(普段使用する交流学

級の学級名簿に名前を入れる必要ない)

・新入生の保護者と連絡をとり、入学前に顔合

わせをし、小学校や入学式への不安を取り除

くようにする。 ・配布プリントの準備(通常の学級への配布物

は必ず準備する) ・名札・体育着・上履き等にどのように学年学

級名を記入するかを決める。(例:「学年のみ

記入」、「○年さくらんぼ学級」等)

・4月当初の臨時時間割を作成する。

・学校全体に特別支援学級の

理解を図る。 ①管理職と新年度の学級経営

について相談をする ②運営委員会等で学級経営と

児童の様子を話し、学校全

体での協力の理解を得る。 ※交流及び共同学習の方法

を具体的に決める。(交流

の基本方針・学校行事や

学年行事への参加方法・

式、全校朝会、集会、交

流給食への参加方法・一

人ひとりの交流学級)

複数担任の場合は、特別支

援学級の担任が各学年に所

属することで交流及び共同

学習がスムースに実施でき

る。 ※特別教室、体育館、プール 等が使えるように時間割を

配慮してもらう。 ③年度当初の職員会議で学級

経営案及び児童の様子を話

し、共通理解を図る。 ④各学年の交流学級に新年度

の学級発表の名前が入って

いるかを確認する。 ・就学奨励費の事務扱い担当

者を決める。

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・特別の教育課程を作成する。 ・個別の教育支援計画(さいたま市発行の「潤

いファイル」の使用可)、個別の指導計画、

年間計画を作成する。 ・必要な校務分掌の所属を決める。(例:生

徒指導部・体育部・保健部等)

・特に業務主事・事務室・保

健室・給食室等の教職員に

は、児童生徒の情報を伝え

て理解を得ておく。

1学期 ・始業式、入学式 複数担任の場合は、児童について共通理解を

図る。始業式、入学式の役割分担で動く。 ※児童との「出会いの瞬間」や「学級開き」の

授業を充実させる。 ・一人ひとりの児童の「食事・着脱・排泄・言

葉・数・コミュニケーション」の実態を把握

する。 ・初めての授業参観、懇談会の実施 回数及び内容は基本的に、学校全体に合わせ

る。1回目は学級の経営方針を説明する。 ・学級便りの発行 下校時刻、学習、行事等写真を入れながら学

級の様子を家庭に伝える。 ・家庭訪問や面談時に、個別の教育支援計画、

個別の指導計画を渡し、指導内容、方法につ

いて話し合いを持ち共通理解を図る。 ・保護者と担任が共通理解の上で、児童に関わ

れるように日々の連絡を密に行う。

・プールをどのように使用するかを決める。

・夏休み中の課題を作成する。

・学校全体の協力を得られる

ようにする。特に入学式で

は児童が情緒面で不安定に

なることがあり得ることを

話しておく。 ※式前後の動き、入退場、呼

名、突発的な行動への対応 ・学級便りは、事前に管理職

に確認してもらい、教職員

にも配布する。 ・さいたま市「潤いファイル」

又は個別の教育支援計画に

本人・保護者の希望を含め

必要事項を保護者に前もっ

て記入してもらう。 ・受容的態度で家庭訪問を行

い、保護者との信頼関係を

築く。難しい案件は、もち

帰り、管理職に相談し、後

日回答する。 ・学級で使用する時間を確保

する等

・例:夏休みの生活表・絵日

記・学級プリント等 2学期

・2学期の個別の指導計画を作成する。 個別の指導計画を保護者に渡し、2学期の指

導について共通理解を図る。 ・運動会、持久走大会等の学校行事への参加方

法を決める。可能な限り練習に参加してい

く。 ・保護者会、授業参観、学校公開の準備

・個人面談を可能な限り実施

し、個別の指導計画を使用

して児童の課題、指導内容

方法等を保護者と共通理解

を図る。 ・修学旅行及び各学年の校外

学習への参加の仕方

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・就学時健診の担当者としての役割 ・次年度、特別支援学級に入る児童について把

握する。

・気になる児童の把握 ・管理職との連携、特別支援

学級見学日の活用 3学期

・3学期の個別の指導計画を作成する。 個別の指導計画を保護者に渡し、3学期の指

導について共通理解を図る ※3月末には今年度のまとめと次年度の希望

を保護者より聞く。さいたま市「潤いファイ

ル」又は個別の教育支援計画の見直しを保護

者と共に行う。 ・卒業式に向けて、呼名の仕方を含む参加方法

など6年担任と密に連携する。 卒業アルバム、記念品等は、通常の学級と同

じ物を配布する。 ・指導のまとめ、指導要録の作成、引き継ぎ資

料等の作成をする。

・個人面談を可能な限り実施

し、個別の指導計画を使用

して児童の課題、指導内容

方法等を保護者と共通理解

を図る。合わせてさいたま

市「潤いファイル」又は個

別の教育支援計画の見直し

を行う。 ・卒業準備金の集金、卒業ア

ルバムへの写真、文集等に

ついて、担当と確認してお

く。

(2) 中学校 中学校では、卒業後の進路を選択するだけではなく、社会に出て行くための力をつけて

いきます。本人及び保護者の現在及び将来の希望を把握し、3年間を見通した上で1年間

の計画を立てます。 準備すること 確認すること

始業式までにやること 3月末~ 4月上旬

・学級経営案の作成 ・教室環境の整備 生徒の障害や実態に合わせてロッカーや机

等の配置をする。不要な物は教室に置かな

い。生徒の動線を考える。靴箱、傘立ての

準備。机等必要な物に名前を付ける。 ※新設学級は、学級数分の教室を確保する。 ・出席簿、名簿の作成 出席簿、指導要録は学級ごとに作成する。 ・教科書の配布準備 ・健康診断票、歯科検診票、身体測定、検診

等について養護教諭と確認をとる。 ・学級事務用品の整備、ゴム印、連絡ノート

の準備

・学校全体に特別支援学級の

理解を図る。 ①管理職と新年度の学級経営

について相談をする。 ②運営委員会等で学級経営と

生徒の様子を話し、学校全

体での協力の理解を得る。

※交流及び共同学習の方法を

具体的に決める。 複数担任の場合は、特別支

援学級の担任が各学年に所

属することで交流及び共同

学習がスムースに実施でき

る。

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・学級費や教材費の会計案作成 ・入学式の準備 新入生の保護者と連絡をとり、入学前に顔

合わせをし、中学校や入学式への不安を取

り除くようにする。 配布プリントの準備(通常の学級への配布

物は必ずもらう) ・特別の教育課程の作成準備 ・個別の教育支援計画(さいたま市発行の「潤

いファイル」の使用可)、個別の指導計画、

年間計画の作成

※特別教室、体育館、プール

等が使えるように時間割を

配慮してもらう。 ③年度当初の職員会議で学級

経営案及び生徒の様子を話

し、共通理解を図る。 ④各学年の交流学級に新年度

の学級発表の名前が入って

いるかを確認する。 ・4月当初の臨時時間割を作

成する。 1学期 ・始業式、入学式

複数担任の場合は、生徒について共通理解

を図る。始業式、入学式の役割分担で動く。

※1年のスタートを気持ち良く切れるように 準備を十分に整えておく。 ・授業参観、保護者会の実施 回数及び内容は基本的に、学校全体に合わ

せる。1回目は学級の経営方針を説明する。

・学級便りの発行 下校時刻、学習、行事、進路関係等写真を

入れながら学級の様子を家庭に伝える。 ・家庭訪問や面談時に、個別の教育支援計画、

個別の指導計画を渡し、指導内容、方法に

ついて話し合いをもち共通理解を図る。 生徒の日常生活の様子や課題等について実

態把握をしておき、保護者との話し合いに

備える。 ・進路希望調査を1~3年全員対象に行い、

進路への考え方を把握しておく。 ・産業現場等における実習の実施 本人および保護者の希望を聞き、産業現場

等における実習を計画する。 ・夏休みの準備 夏休みの課題、夏休みの部活動、その他学

級独自の活動

・学校全体の協力を得られる

ようにする。特に入学式で

は生徒が情緒面で不安定に

なることがあることを話し

ておく。 ※式前後の動き、入退場、呼

名、突発的な行動への対応

・学級便りは、事前に管理職

に確認してもらい、教職員

にも配布する。 ・さいたま市「潤いファイル」

又は個別の教育支援計画に

本人・保護者の希望を含め

必要事項を保護者に前もっ

て記入してもらう。 ・進路に関わる準備 特別支援学校、専門学校、

作業所等の見学案内を保護

者に配布し、周知を図る。

学級独自で職場見学会を計

画することも考慮する。 ・産業現場等における実習は、

生徒の実態及び希望を考慮

して実習先を決めていく。

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2学期

・2学期の個別の指導計画を作成する。 個別の指導計画を保護者に渡し、2学期の

指導について共通理解を図る。 ・体育祭、合唱コンクール等学校行事への参

加方法を決める。可能な限り練習に参加し

ていく。 ・保護者会、授業参観、学校公開の準備 ・3年生の進路の準備 国立大学附属特別支援学校、通所施設、県

立特別支援学校高等学園、高校内分校、高

等部等の入学、入所選考が2・3学期に実

施されるので、通知書、調査書等の準備を

する。 ・未来くるワークへの実施方法及び参加方法

を検討する。(1年生または2年生) ・特別支援学級見学会の実施 特別支援学級見学者への対応

・個人面談を可能な限り実施

し、個別の指導計画を使用

して生徒の課題、指導内容

方法等を保護者と共通理解

を図る。 ※3年生の進路先については

保護者と十分に話し合いを

持ち、準備を進める。 ※進路希望先の学校見学会、

事前面接が実施される場合

は、必ず保護者に連絡し参

加を促す。

3学期

・3学期の個別の指導計画を作成する。 個別の指導計画を保護者に渡し、3学期の

指導について共通理解を図る ※3月末には今年度のまとめと次年度の希望

を保護者より聞く。さいたま市「潤いファ

イル」又は個別の教育支援計画の見直しを

保護者と共に行う。 ・卒業の準備 卒業式への参加方法、卒業アルバム、記念

品等は、通常の学級と同じにする。 ・新入生体験入学を実施(必要に応じて) 新入生について把握する。学習面、生活面、

健康面、入学に際しての準備等 ・指導のまとめ、指導要録の作成、引き継ぎ

資料等の作成 ・公立高等学校受検については、進路指導主

任と連絡を密にとる。

・個人面談を可能な限り実施

し、個別の指導計画を使用

して生徒の課題、指導内容

方法等を保護者と共通理解

を図る。合わせてさいたま

市「潤いファイル」又は個

別の教育支援計画の見直し

を行う。 ・卒業アルバム、文集等につ

いて担当と確認しておく。

・管理職と新入生の小学校、

児童数、障害種を確認し、

体験入学の案内を出しても

らう。 ・埼玉県公立高等学校入学者

選抜実施要項入学者選抜要

領(埼玉県教育委員会発行)

を参考にする。

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2 特別支援学級の学級経営

(1) 小学校

初めての懇談会のときに以下のような資料を用意し、学級経営方針を確認します。

さくらんぼ学級 懇談会 資料 ①→ 平成○年4月○日(○) 9:30~

学級経営方針 ②↓

1 学校教育目標 知・徳・体の調和のとれた豊かな人間性と、たくましく生きる力を

身につけた児童の育成を図る。

ちからいっぱい やさしく :思いやりのある豊かな子

かしこく :自ら進んで学びとる子

たくましく :心身ともにたくましい子

2 さくらんぼ学級の目標 『じぶんのことはじぶんでやろう』 ③↓

(1) 友達と仲良く遊び、「良いこと・悪いこと」の区別をしっかり身につける。

(2) 友達と協力する中で、友達を理解する気持ちを育てる。

(3) 生活に密着した「ことば・かず」の力を育てる。

(4) 一人ひとりに応じたコミュニケーション能力を高める。

(5) 日常生活習慣を確実に身につける。(排泄・着脱・食事・早寝、早起き・学校の準備等)

(6) 体をたくさん動かし体力をつける。

3 特別支援学級担任としての基本的な考え方

(1) 興味の持てる学習内容を計画して、子ども達の意欲を引き出す。

(2) 一人ひとりに伝わる言葉かけを、教員側が工夫する。

(3) 一緒にできる限りたくさん遊び、子どもの実態を把握し、教員と一緒にルールを

体得させる。

交流及び共同学習についての基本的な考え方

・入学式・朝会・集会・スポーツタイム・各学年の校外学習・運動会・持久走大会・卒業

式等には、できるだけ参加させたいが、さくらんぼ学級児童の実態・交流学級の実態・

行事の内容等に応じて、さくらんぼ学級と該当学年及び管理職とで話し合いながら進め

る。

・2~6年生の交流給食については、週に1度交流学級で食べることを基本とし、曜日や

回数についてはさくらんぼ学級担任と交流学級担任とで話し合いながら進める。1年生

の交流給食については、担任同士が学級の児童の実態を把握してから検討する。

・授業での交流が可能な場合、さくらんぼ学級担任と交流学級担任とで話し合って進める。

(各児童の交流学級と交流学級担任名の一覧表は別紙です。)

・①→:年度当初の懇談会は、通常の学級1年生と同様に、午前中に行いました。

・②↓:初めに学校教育目標について、校長先生から出された内容を伝達し、学校の中の

一つの学級であることを確認します。

・③↓:学級目標の(1)(2)は、学校教育目標のやさしくに対応し、(3)(4)は、かしこ

く、(5)(6)は、たくましくに対応します。

・「特別支援学級担任として」と「交流及び共同学習について」の基本的な考え方を明示しま

す。

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(2)中学校 年度始めに作成する学級経営案のスタイルはいろいろありますが、生徒の障害の状態や

特性、保護者や地域の状況等を考慮して作成します。項目は学校教育目標、学級教育目標、

経営方針、指導の重点、学級の実態(生徒個々の実態、通学方法等)、教室配置、学習指導

形態、交流及び共同学習、その他を入れます。 1 学校教育目標

『 大志を抱け ひとみ輝く ○○中生 』~賢く 豊かに 逞しく~

〈 賢く 〉:自ら考え、進んで学ぶ生徒になろう 〈豊かに〉:心豊かで、思いやりのある生徒になろう 〈逞しく〉:心身を鍛え、逞しい生徒になろう

2 特別支援学級教育目標

「 がんばる力・思いやりの心・たくましい心とからだ 」

生徒個々の教育的ニーズに応じ、個別及び集団による指導を通して自立していくた

めに必要な知識・技能・態度及び習慣を育てる。

・基礎的な学力と基本的生活習慣を身につけ、意欲的に生活する生徒

・友だちと仲よくできる、豊かな心をもった生徒

・個々の目標に向かって努力する、逞しい心と身体をもつ生徒

3 指導の重点

【知的障害学級】

・身辺生活の自立を図る。

・社会生活に必要な基礎的な学力と体力の向上を図る。

・体験的学習を通して生活の幅を広げる。

【自閉症・情緒障害学級】

・人間関係の形成の基礎を育てる。

・認知や行動の手がかりとなる概念の形成を図る。

・コミュニケーションの基礎的能力の向上を図る。

4 経 営 方 針

(1) 個別の指導計画を作成し、発達段階に応じた指導の充実を図る。

(2) 個別及び集団における指導を通して、人間関係の形成に関わるスキルを学ぶ。

集団による指導は、一人ひとりの障害の状態に配慮しながら、知的障害学級と

自閉症・情緒障害学級の合同授業を行う。

(3) 保護者の願いを聞き取り、家庭との連携を強化する。

(4) 将来の社会的自立を見通し、進路指導の充実を図る。

(5) 交流及び共同学習を推進する。

(6) 全校の職員とともに特別支援学級の生徒の育成にあたる。

学級の実態(生徒の実態)、教室配置、学習指導形態・・・略 5 交流及び共同学習

(1)「交流及び共同学習」のねらい

①【特別支援学級の生徒】

・対人関係を学ぶなかで、社会性の伸長を図る。

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・中学生としての自覚を高め、より一層の意欲とたくましさを育てる。

②【通常の学級の生徒】

・特別な支援が必要な人に対しての正しい理解を深め、人権を認め合う心を

育てる。

・互いに関わり合いながら、共に生きていくことの大切さを学ぶ。

(2)「交流及び共同学習」の方法

特別支援学級の生徒は、該当学年の交流学級に所属する。クラスは学年・学級の実態

に応じて決め、交流学級にて交流及び共同学習を行っていく。

①交流及び共同学習を実施するにあたって

交流先学級に特別支援学級の生徒用の机と椅子を用意する。交流学級の朝の会に参

加する。

②通常の学級の授業への参加について

「生徒が自力で参加できる」を基本に、本人・保護者の意向を受け、授業担当者と

話し合って進める。必要に応じて試行期間等を設定する。

③学年集会、朝会について

全校朝会や学年集会時は、特別支援学級の生徒は交流学級の列に背の順に並ぶ。

④行事について

基本的には交流学級に入って参加する。

行事の内容及び生徒個々の参加方法については、担当者と検討する。

⑤給食について

・可能な範囲で交流学級にて給食を食べる機会を設ける。

・教職員との交流給食を実施する。

⑥生徒会委員会、部活動について

・委員会は、学級委員会、給食委員会、整美委員会へ特別支援学級の代表生徒が参

加する。

・部活動は、基本的に特別支援学級の生徒は美術部に属し、個に応じた課題で活動

する。

・「生徒が自力で参加できる」を基本に、本人・保護者の意向を受け、顧問の先生

と相談上、活動可能な部に所属する事もある。

⑦通常の学級の先生とのTTによる授業について

特別支援学級の授業を担当する先生とは事前に綿密な打合せを行い、生徒の実態

に合った授業を行う。

⑧その他

特別支援学級の教員は、各学年の組織に入り通常の学級の生徒を理解すると共に、

交流及び共同学習を進める。職員室内では、特別支援学級の教員と通常の学級の

教員がよりコミュニケーションをとりやすくなるよう机の配置を工夫する。

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Ⅱ 特別支援学級の教育課程

1 知的障害特別支援学級の教育課程

(1) 知的障害とは

知的障害とは一般に、認知や言語などに関わる知的能力や、他人との意思の交換、日常

生活や社会生活、安全、仕事、余暇利用などについて適応能力が同年齢の児童生徒に求め

られているほどまでには至っておらず、特別な配慮が必要な状態とされています。

また、その状態は、環境的・社会的条件で変わり得る可能性があると言われています。

したがって、留意する点は、通常の学級の教科指導や教科書をそのまま教えたり、簡単

にしたり、繰り返し教えたりすることは、適しているとは言えないということです。

大切なことは、一人ひとりの実態に応じながら、具体的な内容を実際の生活場面で学習

することが大切になります。そして、児童生徒の生活を豊かにし、自立と社会参加を目指

して指導をしていきます。

(2) 知的障害特別支援学級の教育課程 【特別の教育課程】

特別支援学級の教育課程は、特別の教育課程によることができます(学校教育法施行規

則)。特別の教育課程の編成に当たっては、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を

参考にし、特に知的障害特別支援学級の場合は、「知的障害者である児童生徒に対する教

育を行う特別支援学校の各教科」の内容を参考にして、教育課程を編成していきます。

<小学校の指導形態> 各教科等を合わせた指導:日常生活の指導 遊びの指導 生活単元学習 教科別の指導:生活 国語 算数 音楽 図画工作 体育 領域別の指導:道徳 特別活動 自立活動 総合的な学習の時間

<知的障害のある児童生徒の学習の特性>

・抽象的な概念を理解しにくく、学習によって得た知識が生活の場に応用されにくい。

・成功体験が少なく、主体的に活動に取り組む意欲が十分に育っていない。

<知的障害のある児童生徒の学習のポイント>

・生活に結び付いた実際的・具体的な活動を指導の中心にし、実際の生活場面で、繰り

返し経験するようにして指導する。

・児童生徒の興味・関心を考慮して、実態に応じた指導を行い、成功経験を豊富にする。

・児童生徒が、自ら見通しをもって行動できるよう、日課や学習環境を分かりやすくす

る。

・自立と社会参加を目指し、日常生活や社会生活に必要な技能や習慣が身に付くよう指

導する。

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ここで言う、「教科別の指導」とは、知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特

別支援学校の各教科であり、小・中学校の学習指導要領の各教科とは、目標や内容が異な

りますので、十分に注意する必要があります。

「各教科等を合わせた指導」の指導内容については、次の内容を参考にして、年間計画

や単元を計画していきます。

日常生活の指導 日常生活の諸活動を学習する。例えば、衣服の着脱、手洗い、排

泄、食事等の基本的生活習慣の内容や、挨拶、言葉遣い、時間や

きまりを守ること等の内容を扱う。朝・帰りの着替えや身支度、

休み時間、給食の時間に指導する。

遊びの指導

(小学校)

遊びを学習活動の中心に据えて、総合的に学習する。児童の興味・

関心に応じた単元設定を行う。広範囲の各教科等に関わる内容を

扱う。

生活単元学習 実際の生活から、児童生徒の実態や興味・関心に応じた内容を単

元に設定して、自立的な生活に必要な事柄を実際的・総合的に学

習する。広範囲の各教科等に関わる内容を扱う。

作業学習

(主に中学校)

作業学習を学習活動の中心に据えて、児童生徒の働く意欲と態度

を養いながら、将来の職業生活や社会自立に必要な事柄を総合的

に学習する。単に職業・家庭科の内容だけではなく、広範囲の各

教科等の内容を扱う。

そして、知的障害のある児童生徒は、教科毎に別々に指導された内容を統合して、生活

に活かすことが苦手なために、図1のように、生活単元学習などの各教科等を合わせた指

導を設定し、生活の中から、まとまりのある活動を設定し、具体的な生活経験をとおして、

学習することが有効です。その際に、行事に関係する単元に偏ることなく、各教科等の目

標や内容を踏まえて単元を設定する必要があります。また、児童生徒の学習全体が、生活

として一つのまとまりになるように、生活単元学習と教科別の指導との関連を図りながら、

年間指導計画を作成していくことが大切になります。

さらに、教科別の指導では、図2のように、生活に結びついた学習内容を設定し、児童

生徒の生活で活かせる力を育成していく必要があります。

<中学校の指導形態> 各教科等を合わせた指導:日常生活の指導 生活単元学習 作業学習 教科別の指導:国語 社会 数学 理科 音楽 美術 保健体育 職業・家庭 外国語

領域別の指導:道徳 特別活動 自立活動 総合的な学習の時間

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生活単元学習「さつまいも

を育てよう」・畑を耕す・植えて、栽培

・収穫(数も数える)・絵を描こう

生活単元学習「さつまいもパーティー

をしよう」・スウィートポテトの作り方を知ろう(校外学習)・スウィートポテトづくり(買い物・調理)・芋版画で招待状・通常の学級の友達・歌やゲーム

生活単元学習「発表会をしよう」・さつまいもを通した学習の発表・保護者へ招待状・会の進行(役割遂行)・もう一度スウィートポテト

1学期 2学期 3学期

各教科等を合わせた指導を大切にして、他の指導形態間と関連を図りながら、1年間を見通して、意図的発展的に指導する。

教科別の指導国語・算数(数学)・読む、書く・買い物・数や量

教科別の指導音楽・体育・歌・ゲーム

繰り返し

コミュニケーションの力などは、一人ひとり応じた方法で、一貫した指導・支援日常生活の指導・自立活動・国語・・全ての授業で

興味関心

生活として一つにまとまるように関連させて指導する。

図1

また、特別支援教育の教育課程には、自立活動の指導があります。自立活動の指導とは、

個々の児童生徒が自立を目指し、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克

服する取組を促す教育活動です。次の点を大切にして、指導を行います。

・児童生徒一人ひとりの実態を的確に把握して、個別の指導目標や具体的な指導内容を定

めた個別の指導計画を作成し、それに基づいて指導を行います。

・自立活動の内容は、学習指導要領及び解説に示される6区分26項目から、児童生徒一

人ひとりに応じて、必要な項目を選定し、それらを相互に関連付けて、具体的な指導内

容を設定していきます。

・ICF(国際生活機能分類)の考え方を大切にし、一人ひとりの児童生徒の生活を豊か

数の学習金銭

<授業>・実物のお金で学習・買い物学習

<家庭と連携>

・家庭での買い物に活かす・家庭で自分で材料をはかってパンケーキをつくる・宿題で生活ノートの日記・暑中見舞いを出す

数の学習重さや量

<授業>・軽量ばかりや軽量カップで実際にはかる学習・パンケーキを作るという目的で材料をはかる・実際にパンケーキをつくる

国語の学習漢字

<授業>・発達段階を大切にしながらも子どもの生活にある漢字将来必要な漢字を取り上げる・生活ノートや暑中見舞いを書く

生活に結びついた学習とは(一例として~)

図2

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にしていくという観点で指導を行います。

・自立活動の指導の時間を設定して指導をするだけでなく、学校の教育活動全体で指導し

ていくことが大切になります。

(3) 日課表・年間指導計画作成例 【知的障害特別支援学級】

ア 小学校の日課表

(ア)基本的な考え方

・見通しを持った生活をするために、帯状の日課を組む等の工夫をします。

このようにすることで、生活のリズムや見通しを持ち、安心して学習活動に取り

組むことができます。

・第1校時に「日常生活の指導」を設定し継続的に指導することで、基本的生活習

慣を確立したり、生活したりする力を身に付けるるようにします。

・総合的な学習の時間については、独立した時数として設定したり、「生活単元学習」

の中に含めたりするなどの工夫をします。

・「生活単元学習」や「作業学習」については、活動のしやすさを考え、時間続きの

設定が望ましいです。

・知的障害特別支援学級と自閉症・情緒障害特別支援学級が設置されている学校に

ついては、日課表の一部において、集団性を育てるために、合同で学習すること

も可能です。

・児童の実態に応じて交流及び共同学習を行っている学級については、交流先の学

級担任と日課表作成時に打ち合わせを行い、「教科別の指導」との教科のバランス

を考慮する必要があります。

・子どもに分かりやすい表示の仕方をします。(例:自立活動→のびっこタイム)

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(イ)小学校 知的障害特別支援学級 日課表例

月 火 水 木 金

日常生活の指導(朝の会)

教科別の指導「体育」

教科別の指導

「国語」 生活単元学習

教科別の指導

「国語(書写)」

生活単元 学習

総合

的な学習

の時間

教科別の指導

「算数」

教科別の指導

「図工」 生活単元学習

教科別の指導

「算数」

給食 昼休み 清掃

のびっこタイム (自立活動)

教科別の指導

「音楽」 教科別の指導

「国語」 教科別の指導 「音楽」

教科別の指導

「国語」

教科別の指導

「算数」 委員会 クラブ

教科別の指導 「国語」

総合的な学習

の時間

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イ 小学校 知的障害特別支援学級 年間指導計画例

指導形態 月 4 月 5 月 6 月 7 月 9 月 10 月 日

の 指

・朝の会 ・休み時間 ・給食 ・清掃

○生活の流れをつかむ ・登校後、荷物整理→着替え

→係り活動→朝の会という

一連の活動に取り組む。 ・休み時間にトイレに行く。

○安全指導 ・避難訓練を行う ・学校でのきまりを守る

○係の仕事に取り組む ・役割分担した自分の仕事

を責任を持って行う

○持ち物の管理をする ・自分のロッカーやフックを

意識して自分から片付ける

○健康な生活 ・外から帰ったらうがい、手洗

いをする。 ・ハンカチ、タオルを使用する。

○登下校の指導 ・場に応じた挨拶を行

う。

領 域 ・ 教 科 を 合 わ せ た 指 導

生活単元学習

『ぼくたち、わたしたちの教

室』 ・教室整備 ・係の仕事決め ・友達との遊び ・みんなのやくそく 『誕生会』

『はたけに何をうえる?』

・植えるものを決める ・種まき、苗植え ・世話をする(みずやり) 『誕生会』

『雨ってたのしいな』 ・雨天の日の過ごし方につ

いて知る。 『誕生会』 ・簡単な調理をして祝う。

『七夕まつりをしよう』 ・内容を考える ・準備をする 『もうすぐ夏休み』 ・夏休みの過ごし方について

知る 『誕生会』

『夏休みの思い出』 ・作ってきた作品や友達の話し

を聞く。 『運動会を頑張ろう』 ・参加する種目を知る ・クラスで練習する 『誕生会』

『はたけに何をうえ

る?』(収穫編) ・収穫したものを調理

し、パーティーを行う。 『交歓会』 ・役割を練習する。 『誕生会』

国 語

○教師の話を聞いて、内容の

あらましがわかる。 ○経験したことを話す。 ○簡単な語句を正しく読む。

○簡単な語句をひらがなで

書く。

○教師の話を聞いて、内容

のあらましがわかる。 ○経験したことを話す。 ○簡単な語句を正しく読

む。 ○簡単な語句をひらがな

で書く。

○経験したことを二語文

以上で表現する。 ○文字カードを使って、身

近な単語を作ったり読む。

○経験したことを二語文以上

で表現する。 ○文字カードを使って、身近

な単語を作ったり読んだりす

る。 ○書き順、とめ、はね、はら

いに気をつけて文字を書く。

○経験したことを二語文以上

で表現する。 ○文字カードを使って、身近な

単語を作ったり読んだりする。

○書き順、とめ、はね、はらい

に気をつけて文字を書く。

○教師の話を聞くこと

ができる。 ○簡単な短文を正しく

読む。 ○身近な出来事を考え

て書く。

書 写

○自分の名前をていねいに書こう(硬筆) ・用具の正しい持ち方・正しい姿勢・ひらがなの練習・カタカナの練習・手本を見て練習 ・漢字の練習

○毛筆の練習 ・用具の正しい使い方と正しい姿勢 ・縦画・横画のみの文字(一・二・三・上・下)

算 数

○具体的な操作を通して物

の分類(形、色、大小)を理

解する。 ○数操作を通して1~10まで

を理解する。

○身近にある具体物を数

える。 ○身近にある物の数量の

初歩的な扱いに関心を持

つ。

○数操作を通して 1~10までの数を理解する。 ○簡単な計算をする。 ○時刻、時間を知る。

○数操作を通して 1~10 まで

の数を理解する。 ○簡単な計算をする。 ○時刻、時間を知る。

○数操作を通して 1~10 まで

の数を理解する。 ○簡単な計算をする。 ○時刻、時間を知る。

○簡単な加法・減法がわ

かる。 ○身近にある数量、重さ

について単位を知り測

定する。 ○実生活に合わせた時

間を理解する。 音 楽

○マイクを使って歌おう ・おはようの歌を歌おう ・お料理しようの歌を歌おう

○楽しく歌って ・手あそび歌・鳴き声や音をまねる歌 ・ことばをまねる歌・合宿で歌う歌

○音楽を目と耳で ・運動会の歌 ・テレビ番組の歌

図 工

○お誕生列車 ・自分の顔 ○こいのぼり

○おかあさんありがとう ○新聞紙をまるめて ○田植えの絵

○おとうさんありがとう ○紙粘土 ○壁を飾ろう①

○七夕の飾り ○夏休みのこと ○運動会の絵 ○交歓会のプレゼント

をつくろう ○壁を飾ろう②

体 育

○マラソン・基本の運動 ○集団活動

○マラソン・基本の運動 ○新体力テスト ○いろいろな動き ○ボール運動

○マラソン・基本の運動 ○ボール運動 ○マット運動

○水泳

○マラソン・基本の運動 ○運動会の種目練習 ○水泳

○マラソン・基本の運動 ○鉄棒 ○ボール運動

総合的な学習の

時間 ○コンピュータに慣れよう

自立活動 個別の指導計画参照

休み調べ・日付・天気・予定・日直の話

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指導形態 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月

の 指

・朝の会 ・休み時間 ・給食 ・清掃

○持ち物の整理整頓を行う。

・自分の持ち物の整理や管理

を行う。 ・教室やプレールームで使用

したものを片付ける。

○健康な生活 ・寒暖の気候に合わせて衣服

の調節を行う。 ・ハンガーを使って衣服を片

付ける。

○冬の生活 ・お正月にちなんだ生活様式

を知る。

○身だしなみ ・鏡を見て、服装の乱れや汚

れなどを確認する。

○1 年間のまとめ ・教室の整理をする。 ・大掃除をする。

領 域 ・ 教 科 を 合 わ せ た 指 導

生活単元学習

『遠足に行こう』 『誕生会』

『クリスマス会をしよう』 ・話し合い ・準備 ・装飾 『誕生会』

『お正月は楽しいな』 ・正月の遊びを行う 『誕生会』 ・簡単な調理をして祝う

『カレンダーを作ろう』 ・紙版画で作る ・お世話になった人に配る 『誕生会』

『1 年間のまとめをしよう』 ・1 年間行ってきた学習を知る

・卒業生を祝う 『お別れ会をしよう』 『誕生会』

国 語

○教師の話を聞くことができ

る。 ○簡単な短文を正しく読む。

○身近な出来事を考えて書

く。

○教師の話、読み聞かせで内

容のあらましがわかる。 ○教科書や絵本を読む。

○教師の話、読み聞かせで内

容のあらましがわかる。 ○教科書や絵本を読む。

○1 年間あったことを理解

して表現する。 ○教科書や絵本を読み感想

を話す。 ○あったことを思い出して

書く。

○1 年間あったことを理解して

表現する。 ○教科書や絵本を読み感想を

話す。 ○あったことを思い出して書

く。 書 写

(毛筆の練習)

○年賀状を書こう ・文面 ・宛名 ・自分の住所、名前

○かきぞめをしよう ・毛筆で書く

○作品展にむけて ・毛筆で練習

○一年間のまとめ ・作品整理 ・反省

算 数

○簡単な加法・減法がわかる。

○身近にある数量、重さにつ

いて単位を知り測定する。 ○実生活に合わせた時間を理

解する。

○繰り上がりのある加法・減

法がわかる。 ○面積、容積について知る。

○お金の計算をする。

○繰り上がりのある加法・減

法がわかる。 ○面積、容積について知る。

○お金の計算をする。

○引き算で計算する。 ○お金の等価関係を知る。 ○お買い物ごっこをする。

○引き算で計算する。 ○お金の等価関係を知る。 ○お買い物ごっこをする。

音 楽

○ドレミで歌おう ○楽器を演奏しよう。 ・キラキラ星 ・こぎつね ・クリスマスの歌

○リズムにのって ○お別れの歌 ・とんでったバナナ ・クラリネットをこわしちゃった ・大きな古時計

図 工

○運動会の絵 ○交歓会のプレゼントをつく

ろう ○壁を飾ろう②

○クリスマス会の準備 ○年賀状のデザイン

○楽しいお正月 ○木を使って家をつくろう

○鬼のお面作り ○おひなさま

○お別れ会の準備 ○壁を飾ろう④

体 育

○マラソン・基本の運動 ○持久走 ○ゴム跳び

○マラソン・基本の運動 ○持久走 ○縄跳び

○マラソン・基本の運動 ○縄跳び ○跳び箱

○マラソン・基本の運動 ○バスケットボール

○マラソン・基本の運動 ○ゲーム ○ダンス

総合的な学習の

時間 ○コンピュータで何ができ

る?

自立活動 個別の指導計画参照

休み調べ・日付・天気・予定・日直の話

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ウ 中学校の日課表 (ア)基本的な考え方 小学校の基本的な考え方と同じです。一日の流れが分かりやすくし、生徒が見通し

をもって生活できるようにします。 (イ) 中学校 知的障害特別支援学級 日課表例

月 火 水 木 金 登 校

朝の会 朝自習

○中タイム 朝 会 ○中タイム ○中タイム ○中タイム

教科別の指導 保健体育

教科別の指導

保健体育

教科別の指導 保健体育

教科別の指導 保健体育

教科別の指導 音 楽

教科別の指導 国 語

教科別の指導

数 学

教科別の指導 国 語

教科別の指導 国 語

教科別の指導 国 語

教科別の指導 数 学

教科別の指導

美 術

教科別の指導 数 学

教科別の指導 数 学

教科別の指導 職業・家庭

総合的な学習

4 英会話

教科別の指導

美 術

生活単元学習

教科別の指導 職業・家庭 (情報)

教科別の指導 職業・家庭

給 食

学 活

作業学習

生活単元学習

作業学習

生活単元学習

作業学習

生活単元学習

作業学習

生活単元学習

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エ 中学校知的障害学級 年間指導計画例 (1)

第 1 学 期 第 2 学 期 第 3 学 期

4 月 5 月 6 月 7月 ・8月 9 月 10月 11月 12月 1 月 2 月 3 月

区 分

行事

教科等

始業式

入学式

新入生歓迎会

学級開き

身体計測

健康診断

部活動開始

2・3年個人面談

1年家庭訪問

3年修学旅行

生徒総会

校外学習

2年管弦楽教室

2年舘岩自然

の教室

1年校外学習

終業式

個人面談

3年産業現場等お

ける実習

校内実習

始業式

体育祭

校外学習

ふれあい体験

合唱コンクール

合同スポーツ

大会

合同交流会

三者面談

終業式

始業式

1・2年未来く

るワーク

合同作品展

校外学習

個人面談

校外学習

個人面談

日常生活

の指導

教科別の指導、領域別、領域・教科を合わせた指導を中心に学校教育全体の中で取り扱う。

身辺自立の確立 …衣服の着脱、排泄処理、食事のマナー、荷物の整理整頓、清掃等を学び、社会自立の基盤を作る

社会性の向上 …朝と帰りの会、連絡ノート記入、係活動、集団遊び、あいさつ、約束・規則を守る等社会生活に必要なルール・マナーを身につける

生活単元

学習

新しい生活

目標、係決め

栽培(年間を

通して全学

年実施)

1年「校外学習

に行こう」

2年「舘岩自然

の教室にいこ

う」

3年「修学旅行

に行こう」

1年「校外学習

に行こう」

2年「舘岩自然

の教室にいこ

う」

3年「修学旅行

に行こう」

1年「校外学習にい

こう」

「進路学習」

「夏の生活」

・夏休みの予定

「2学期の生

活」

学校行事、目標

「体育祭をが

んばろう」

「合同スポー

ツ大会」

「進路を考え

よう」

「合同スポー

ツ大会をがん

ばろう」

「合同交流

会を楽しも

う」

「冬の生活」

寒い季節の過

ごし方

冬休みの過ご

し方

冬の生活

1・2年「未来

くるワーク」

3年「進路学

習」

「校外学習」

「みんなで思い出を

つくろう」

「校外学習」

「みんなで思い出を

つくろう」

アルバム作り

1・2年

「お別れ会を

やろう」

1・2年「お

別れ会を

やろう」

3年「卒業

に向けて」

作業学習

・スウェーデン刺繍(年間を通

して行う)

・箸置き作り

・カレンダー作り1

版彫り、月テーマ版画印刷

・カレンダー作り2

月テーマ版画印刷

数字曜日印刷

・カレンダー作り3

とじ込み、仕上げ

・パズル制作

・貼り絵

総合的 な学習 の時間

身近な地域調べ1

地域の文化、歴史、歩け歩けウォーキング 国際理解教育・英会話(年間を通して実施)

身近な地域調べ2 地域の特産品、有名な所、歩け歩けウォーキング

・ふれあい体験

安全について(防災教育)

国語

グループA

・漢字、作文は年間を通して学習する。 ・詳しく書こう

・ローマ字 ・説明文の読み取り

・丁寧な話し方 ・年賀状書き方

・物語の読み取り

・書写(書き初め) ・まとめの学習

・百人一首

国語

グループB

・ひらがな、カタカナ、漢字の学習は年間を通して学習する。

・ことば、文章の理解

・作文は年間を通して学習する。 ・経験してことを順番に書く。

・物語を読もう ・物語を演じてみよう

・作文に感想を入れて書く。

・書写(書き初め) ・まとめの学習

・簡単な説明文

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中学校知的障害学級 年間指導計画例(2)

第 1 学 期 第 2 学 期 第 3 学 期 区

4 月 5 月 6 月 7 月 9 月 10月 11月 12月 1 月 2 月 3 月

数学

グループA

・四則計算は年間を通して学習する。 ・時間の計算

・温度(目盛りの読み方、文章題グラフ)

・表の読み方・グラフ(折れ線、棒グラフ)

・長さ(目盛りの読み方、文章題、作図、単位の換算)

・重さ(目盛りの読み方、文章題、秤の使用、単位の換算) ・まとめの学習

数学

グループB ・計算の学習は年間を通して学習する。

・数字と物具体物のマッチング

・時計とカレンダー

・重さ(g、kg)・長さ(㎝、m)・いろいろな形

・お金(バス代、買い物)

・まとめの学習

音 楽

・元気に歌おう ・音楽ゲームをしよう

・「こころのうた」を歌おう

・ 合唱コンクールの曲選びをしよう

・合唱コンクールに向けて ・太鼓で表現しよう

クラスの課題曲・自由曲を歌おう ・合唱コンクールで学級の歌を元気に歌おう

・卒業式の歌を覚えよう ・合奏を練習しよう

・卒業式の歌を大きな声

で歌おう

美 術

・写生、自由画 ・友達の絵(絵の具、色鉛筆)

・行事の絵(校外学習、修学旅行) ・粘土で表現

・ 行事の絵(体育祭)

・切り絵

・作品展に向けた制作 ・年賀状

・貼り絵

・折り紙

・造形(粘土)

体 育

・オリエンテーション・体力測定

集団行動、準備体操、ストレッチ、補強運動10分間走(年間を通して実施) ・バスケットボール ・水泳

・体育祭の練習 ・長距離走

・ビーチボールバレー ・マット運動 ・縄跳び

・フットサル ・サッカー

職 業

家 庭

<被服>・針に糸を通す ・玉結び ・玉どめ ・並縫い ・刺し子の作品(巾着袋、コースター、ランチョンマット) <木工>・花びんしきを作ろう・ラックを作ろう ・パズルを作ろう

<調理>・調理の約束 ・身じたく ・準備と後片付け (各学年年間をとおして学習) (全学年)包丁の安全な使い方、ゆでる、煮る、炒める (1年)目玉焼き、カレーライス、焼きそば (2・3年)卵焼き、・スパゲティナポリタン・チャーハン (3年)お弁当つくり

<情報>・自己紹介カードを作ろう ・行事の作文、絵日記の打ち込み ・文集を作ろう

特別活動

・学級活動(係活動、給食、清掃、学級会活動) ・交流及び共同学習 ・生徒会活動

・行事・1年校外学習、3年修学旅行・産業現場等における実習、2年自然の教室・管弦楽教室、 ・合同作品展 ・卒業式 ・体育祭・合同交流会 ・合唱コンクール ・合同スポーツ大会

自立活動

健康の保持、心理的な安定、環境の把握、身体の動き、コミュニケーション、人間関係の形成に関する内容は、領域・教科を合わせた学習、題材学習、領域別

の学習を中心に学校教育活動全体の中で取り扱う。

道 徳 道徳の内容は領域・教科を合わせた指導を中心に学校教育全体の中で取り扱う。

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2 自閉症・情緒障害特別支援学級の教育課程

(1) 対象となる児童生徒

自閉症・情緒障害特別支援学級は、「自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎

通及び対人関係の形成が困難なもの」「主として心理的な要因による選択性かん黙などが

あるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの」を対象としています。「自閉症

又はそれに類する」は、脳の中枢機能障害や機能不全により起こる発達障害であり、心

理的要因による選択性かん黙などとは原因が異なるため、両者の指導内容や方法、学習

環境の設定の方法なども異なります。自閉症・情緒障害特別支援学級で対象とする児童

生徒の実態は多様であり、個々の実態を十分に把握し、個々に応じた指導をしていくこ

とが重要です。

平成21年2月3日付け文部科学省初等中等教育局 1167 号通知において、より、障害

の対象を明確にし、適切な指導を行うため、「情緒障害特別支援学級」から「自閉症・情

緒障害特別支援学級」へと名称が変更されました。

(2) 障害の特性

① 自閉症

自閉症は、乳幼児期に中枢神経系の機能障害や機能不全が原因で起こると考えられて

います。自閉症は、広汎性発達障害に含まれます。「広汎性」とは、「発達において全般

的に不均一に現れる状態」という意味です。自閉症の基本的な特性として①社会性の障

害②コミュニケーションの障害③こだわりや興味の限定の3つが挙げられます。また、

それ以外にも併せ有しやすい特性があります。自閉症の特性の現れ方は個々によって、

また取り巻く周囲の状況等によって異なるため、スペクトラム(連続性)としてとらえ

る「自閉症スペクトラム」という言い方もされます。また、自閉症は、知的な遅れを伴

う場合と伴わない場合があります。自閉症などの診断は専門の医師によってなされます。

【基本的な3つの特性】

○ 社会性の障害

・ 一人遊びが多い。

・ 視線が合いにくい。

・ 平気でどこかに行ってしまう

・ 関わり方が一方的

・状況や相手の気持ちの理解が困難 など

○ コミュニケーションの障害

・ ことばの遅れがみられる。

・ 同じフレーズなどを何度も繰り返す。

・ 人称の使い方が逆転してしまう。

・ 独特な話し方

・ 会話が困難

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・ 冗談やことばの裏の意味を理解するのが困難 など

○ こだわりや興味の限定

・ 手をひらひらさせる、身体をゆらすなどの常同行動がみられる。

・ 自己刺激行動がみられる。

・ 興味の偏り

・ 日課、物の配置、道順など、いつもと同じことへのこだわりがみられる。

・ 同じ質問を何度も繰り返す

・ ファンタジーへの没頭 など

【その他、併せ有しやすい特性】

○ 感覚知覚の問題(過敏性・過度の鈍感性):視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚等

○ 刺激の過剰選択性:シングルフォーカス(一つの要素でしか物事をとらえていな

い状態)

○ 認知能力のアンバランスさ:視覚優位 など

○ 不器用さ:身体の動き、協調運動、姿勢保持、コントロールの苦手さ など

上記のような特性は、学びにくさを引き起こします。個々の特性に応じた教育環

境や指導法を工夫することが学びやすさにつながります。

【特性に応じた教育環境】

○ 活動や時間、手順などについてわかりやすい環境作り

○ 掲示物等刺激を少なくした環境の工夫

○ わかりやすく視覚的な手がかりを活用した指示 など

【特性に応じた指導方法】

・ 自閉症の強い認知特性を活用した指導方法かつ苦手なところを補う支援方法

・ 集団ありきではなく、個別学習を起点とした集団での学習のバランスに配慮した

指導

・ 総合的アセスメントに基づく指導

・ 個別の指導計画に基づき、P(計画)̶D(実践)̶C(評価)̶A(改善)サイクル

による指導

・ 応用行動分析の活用 など

② 心理的要因による情緒障害

自閉症・情緒障害特別支援学級の対象となる心理的要因による情緒障害のため社会

適応が困難なケースとして、選択性かん黙があります。言語能力には問題はないもの

の、特定の場所や人とかん黙の状況になり、コミュニケーションがとりにくい状態を

いいます。

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22

(3) 教育課程の編成

特別支援学級の教育課程は、前述の「知的障害特別支援学級の教育課程」にもある

通り、学校教育法施行規則第 138 条において、特に必要な場合、「特別な教育課程」に

よることができると明記されています。自閉症・情緒障害特別支援学級の教育課程を

編成する場合には、小・中学校の教育課程を基準にし、必要に応じて特別支援学校小

学部・中学部学習指導要領を参考しながら、障害の状態や教育的ニーズをふまえ、学

級や児童生徒の実態に応じた教育課程を編成します。特別支援学校学習指導要領には、

障害に基づく種々の困難さに対する領域として「自立活動」が設けられています。自

閉症・情緒障害特別支援学級の教育課程を編成するにあたっては、「自立活動」が重要

な位置を占めます。また、知的発達の遅れを伴う場合、知的発達の遅れへの対応と自

閉症の特性や情緒障害からくる困難さに対応した教育課程を編成します。知的発達の

遅れへの対応には、「知的障害特別支援学級の教育課程」を参考にし、自閉症の特性や

情緒障害に対しては「自立活動」を中心にしながら教育課程を編成します。自閉症・

情緒障害特別支援学級に在籍している児童の中には、知的な遅れは伴わないものの、

自閉症の特性や情緒障害から種々の困難を抱えている児童生徒がいます。その場合に

は、「自立活動」を取り入れ、小学校・中学校の教育課程を参考にしながら、障害の状

況に合わせて教育課程を編成していきます。

(4) 自立活動

自立活動の指導は、児童生徒一人一人が自立を目指し、障害による学習上又は生活上

の困難を主体的に改善・克服することを目的としています。自閉症や情緒障害のある児

童生徒は障害の特性や状況により、学習のしにくさや生活のしにくさを抱えており、自

立活動の指導が重要になってきます。自立活動の指導にあたっては、個々の実態を的確

に把握し、個別の指導計画に基づき指導することが大切です。自立活動の内容は6つの

区分 26 項目から構成されています。全ての項目を指導するのではなく、個々の実態に応

じて項目を選定して指導を行います。

自立活動の指導は、時間における指導(日課に位置づける)を中心にしながら、各教

科等合わせた指導や各教科等別の指導の中で扱うなど、学校教育全体を通じて行うこと

が大切です。時間における指導については、個別や小集団による指導など、状態に合わ

せて学習形態を工夫します。さらに、各教科、道徳、外国語、総合的な学習の時間及び

特別活動の指導と密接な関連性をもたせることが大切です。指導する内容によっては、

専門的な知識や技能を必要とするので、専門性を高めるとともに、医療機関や専門機関、

特別支援学校などと連携を図ることも必要です。自立活動の指導時間数は、個々の児童

生徒の実態に応じて、適切に確保します。

【自立活動指導例】

「特別支援学校学習指導要領解説自立活動編」(文部科学省 H21 年 6 月)の例示され

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ているものをいくつか抜粋します。なお、下の表は、国立特別支援教育総合研究所「自

閉症スペクトラム障害のある児童生徒に対する効果的な指導導内容と指導方法の実際

研究 平成20年~21年度研究成果報告書」(H22 年3月)をもとにしています。ま

た、( )内の数字は、「特別支援学校学習指導要領自立活動編」のページ数です。

1-(1)健康の保持:生活のリズムや生活習慣の形成に関すること(P36)

1-(4)健康の保持:健康状態の維持・改善に関すること(P41)

2-(1)心理的な安定:情緒の安定に関すること(P43)

「偏食や決まった服しか着ない等、特定のものや行動に対する強いこだわりに対する指導」

学習指導要領解

説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒は、特定の食物や衣服に強いこだわりを示す場合が

ある。そのため、極端な偏食になったり、季節の変化にかかわらず同じ衣服を着

続けたりすることがある。」

指導内容、方法 「無理のない程度の課題から取り組む」

「給食指導等機会利用型の指導」

「場面や状況を設定し、適切な言動がとれるよう時間による意図的な指導」など

「運動量の不足や食生活の偏り等の要因による肥満や体力低下等に対する指導」

学習指導要領解

説の例示

「知的障害や自閉症のある幼児児童生徒の中には、運動量が少なくなり、結果と

して肥満になったり、体力低下を招いたりする者もみられる。」

指導内容、方法 「運動不足の解消をねらいとする指導を体育と重ねて実施」

「適切な運動の取り入れ」

「食生活と健康について生活に即した学習」など

「安心できる場や気持ちの安定につながる活動を設定し、情緒の安定を図ることに関する指導」

学習指導要領

解説の例示

「自閉症スペクトラム障害のある幼児児童生徒は、適切な情報を総合して必要な

情報を入手することが困難であり、様々な状況を想像して対応することが苦手あ

ることも特徴であるため、常に不安感があるといっても過言ではない。そのため、

学校生活の中で安心感や安全感をもつことは重要なことである。」

指導内容、方法 「活動の見通しがもてないことから生まれる不安感や、音の過敏性から起きるパ

ニック、こだわりを維持できない状況で泣き出すなどの言動への対応には、必要

な状況でクールダウンエリアの活用をするなどの機会利用型の指導」

「一日の生活や各授業時間での見通しをもたせるための手立ての活用」

「自立活動の時間における指導などを通して、情緒の安定に関する指導の実施」

など

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2-(2)心理的な安定:状況の理解と変化への対応に関すること(P44)

3-(1)人間関係の形成:他者のかかわりの基礎に関すること(P48)

3-(2)人間関係の形成:他者の意図や感情の理解に関すること(P49)

「急なスケジュールの変更等に伴い混乱したり、不安感を抱いたりすること等に対する指導」

学習指導要領解

説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒は、予告なしに行われる避難訓練や、急な予定の変

更などに対することができず、混乱したり、不安になったりして、どのような行

動したらよいかわからなくなることがある。このような場合には、予想せれる事

態や状況を予告したり、事前に体験できる機会を設定したりすること等が必要で

ある。」

指導内容、方法 「スケジュール表の確認」

「日程や時間の変更に対する早めの予告」

「情報を理解する為の手だての工夫」 など

「直接関与する人との個別的なかかわりや教材等を介して、人との関わりを広げていくことに対す

る指導」

学習指導要領解

説の例示

「他者とのかかわりをもとうとするが、その方法が十分に身に付いていない自閉

症のある幼児児童生徒の場合には、まず、直接的に指導を担当する教師を決める

などして、教師との安定した関係を形成することが大切である。」

指導内容、方法 「体育(保健体育)や自立活動の時間における指導でソーシャルスキルトレーニ

ングを行う」

「学校生活全体を通しての機会利用型指導」など

「適切な規模の集団を設定し、協同学習を取り入れる中で他者の意図や相手の感情を類推する指導」

学習指導要領解

説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒は、言葉や表情、身振りなどを総合的に判断して相

手の心の状態を読み取り、それに応じて行動することが困難な場合がある。また、

言葉を字義通りに受け止めてしまうため、行動や表情に現れている相手の意図を

読み取れないこともある。そこで、生活の様々な場面を想定し、そこで相手の言

葉や表情などから、立場や考え方を類推するような指導を通して、相手とかかわ

る際の具体的な方法を身につけることが大切である。」

指導内容、方法 「国語などの教科指導や生活全般において、状況把握や心理理解のための手がか

りを学ぶ学習」

「自立活動の時間における指導を設定し、ゲームや運動課題を通じて、相手の状

況や感情を理解する指導」など

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3-(3)人間関係の形成:自己理解と行動の調整に関すること(P50)

4-(2)環境の把握:感覚や認知の特性への対応に関すること(P55)

「ソーシャルスキルトレーニング等の方法を活用して、具体的な場面・設定し、人との適切な対応

の仕方等を身につけていくことに対する指導」

学習指導要領解

説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒は、「他者が自分をどう見ているか」「どうしてその

ような見方をするのか」ということの理解が十分でないことから、「自分がどの

ような人間であるのか」といった自己理解が困難な場合がある。そのため、友達

の行動に対して適切に応じることができないことがある。」その解決策の一つと

して、体験的な活動を落通して自己理解を促すことや、他者の意図や感情への対

応方法を学ぶ指導が必要である。」

「自閉症のある幼児児童生徒は、特定の光や音などにより混乱し、行動の調整が

難しくなることがある。そのような光や音に対して少しずつなれたり、それらの

刺激をさけたりすることができるように感覚や認知の特性への対応に関する内

容も関連付けで具体的な指導内容を設定することが求められる。」

指導内容、方法 「適切な対人関係をつくるためには、自立活動の「他者の意図や感情の理解に関

すること」とともに、自分の言動を振り返り柔軟に言動を修正していくスキルを

つけていく指導」

「自立活動の時間における指導の特設などによるゲームや運動活動を通して自

己欲求のコントロールの方法や、状況に応じた適切な言動の在り方の指導」など

「特定の刺激によって引き起こされる行動に対し、自らがより適切な行動に調整するための指導」

学習指導要領解

説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒の場合、聴覚の過敏さのため特定の音に、また、触

覚の過敏さのため身体接触や衣服の材質に強く不快感を抱くことが見られる。そ

れらの刺激が強すぎたり、突然であったりすると、混乱状態に陥ることもある。

そこで、不快である音や感触などを自らさけたり、幼児児童生徒の状態に応じて、

それらに少しずつ慣れていったりするように指導することも大切である。」

指導内容、方法 「不快な刺激を遠ざける指導や配慮」

「見通しがもてる視覚的情報の提示」

「自立活動の時間における指導を特設し、多くの情報から必要な情報を選択し総

合的に思考する指導」 など

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4-(2)環境の把握:感覚や認知の特性への対応に関すること(P56)

5-(5)身体の動き:作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること(P68)

「本人の得意・不得意の認知スタイルを理解した上で、得意とする方法を取り入れるための指導」

学習指導要領解

説の例示

「認知面において不得意なことがある一方で得意な方法を持っていることも多

い。例えば、聴覚からの情報は理解しにくくても、視覚からの情報は優れている

場合がある。したがって、一人一人の認知の特性に応じた指導方法を工夫し、不

得意な課題を少しずつ改善するように指導するとともに、得意な方法を積極的に

活用するよう指導することも大切である。」

指導内容、方法 「学校生活全般において、絵や文字カード等の視覚情報を活用しながら、情報の

受容や伝達に関するスキルの指導」 など

「姿勢保持の困難さや粗大運動のぎこちなさ等に対する指導」

「手足の協応動作、巧緻性、正確さ等作業に必要な微細な運動に対する指導」

学習指導要領解

説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒には、手足を強調させて動かすことや微細な運動を

することに困難が見られることがある。そのため、目的に即して意図的に身体を

動かすことを指導したり、そのため、目的に即して意図的に身体を動かすことを

指導したり、手足の簡単な動きから初めて、段階的に高度な動きを指導したりす

ることが必要である。また、手指の巧緻性を高める為には、幼児児童生徒が興味・

関心をもっていることを生かしながら、道具を使って手指を動かす体験を積み重

ねるとこが大切である。

指導内容、方法 「体育や音楽等の教科指導とともに、自立活動の時間における指導などにおい

て、ゲームや運動課題、作業課題を通しての指導」 など

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6-(1)コミュニケーション:コミュニケーションの基礎的能力に関すること(P69)

6-(2)コミュニケーション:言語の受容と表出に関すること(P70)

「一般的でないコミュニケーション手段を理解するとともに、より適切なコミュニケーション方法

を獲得していくための指導」

学習指導要領

解説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒の場合、持ち主の了解を得ないで、物を使ったり、

相手が使っている物を無理に手に入れようとしたりすることがある。また、他の

人の手を取って、その人に自分が欲しい物を取ってもらおうとすることもある。

このような状態に対しては、周囲の物がそれらの行動は意思や要求を伝達した行

為があると理解するとともに、できれば望ましい方法で意思や要求などが伝わる

経験を積み重ねるよう指導することが大切である。」

指導内容、方法 「学校生活全般において、教師が本人の意思を言語化する」「教師が児童の言動を

読み取って理解する」「二者択一等の方法で実物やカードから要求内容を選択す

る」 など

「コミュニケーションに必要なスキル(例えば話す姿勢や基本的なルール等)の獲得に関する指導」

学習指導要領解説

の例示

「自閉症のある幼児児童生徒の中には、他者の意図を理解したり、自分の考えを

相手に正しく伝えたりすることが難しい場合があることから、話す人の方向を見

たり話を聞く態度を形成したりするなど、他の人とのかかわりやコミュニケーシ

ョンの基礎に関する指導を行うことが大切である。その上で、正確に他者とやり

とりするために、絵や写真等の視覚的な手がかりを活用しながら相手の話を聞く

ことや、絵や¢を示したボタンを押すと音声が出る機器などを活用し自分の話した

いことを相手に伝えるなど、様々なコミュニケーション手段を用いることも有効

である。」

指導内容、方法 「自立活動の時間における指導を特設するなどして、会話のルールの指導や適切

なコミュニケーションスキルの獲得に関する指導」「会話から必要な情報を得て整

理するための指導」 など

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6-(4)コミュニケーション:コミュニケーション手段の選択と活用に関すること(P74)

6-(5)コミュニケーション:状況に応じたコミュニケーションに関すること

6-(5)コミュニケーション:状況に応じたコミュニケーションに関すること(P76)

「それぞれの実態に応じて、話し言葉以外のコミュニケーション手段を活用し、他者の意図を理解

したり、自分の考えを伝えたりできるようにしていくことに対する指導」

学習指導要領

解説の例示

「自閉症のある幼児児童生徒で、言葉でのコミュニケーションが困難な場合には、

まず自分の意思を適切に表し、相手に基本的な要求を伝えられるように身振りな

どを身につけたり、話し言葉を補うために機器等を活用できるようにしたりする

ことが大切である。」

指導内容、方法 「学校生活全般において。言語と併用しながら絵カードや写真カードを利用して、

コミュニケーションへの意欲を促す対応」 など

「場や相手の状況を理解するためのコミュニケーションスキルの獲得に関する指導」

学習指導要領

解説の例示

「学習指導要領解説には例示はないが、自閉症スペクトラム障害のある幼児児童

生徒の認知特性からは、コミュニケーションの中での自分と相手との距離や立場、

文脈などの理解が十分でないことが想像できる。」

指導内容、方法 「自立活動の時間における指導の特設や、学校生活全般を通して、文脈を理解す

る指導や、状況に応じた適切な言動の在り方の指導」 など

「選択性場面かん黙の児童生徒への指導」

学習指導要領

解説の例示

「家庭では普通の会話ができるものの、学校の友達とは話すことができない選択

性かん黙の児童生徒の場合、まず、気持ちを安定させ、安心できる状況作りや信

頼感のある人間関係作りが重要である。その上で、幼児児童生徒の興味・関心の

ある事柄について、共感しながら一緒に活動したり、日記や作文などを通して気

持ちや意思を交換したりする機会を多くすることが大切である。また、状況に応

じて、筆談などの話し言葉以外のコミュニケーション手段を活用することも大切

である。その際に、幼児児童生徒が自信をもち、自己に対して肯定的なイメージ

を保ことができるよう配慮しつつ、自己理解を促す指導をすることが大切であ

る。」

指導内容、方法 「2心理的な安定」や「3人間関係の形成」等の中から必要な項目を選定し、そ

れらを相互に関連させて具体的な指導内容を設定し指導する」

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小学校 自閉症・情緒障害特別支援学級 日課表例

月 火 水 木 金

日常生活の指導(朝の会)

教科別の指導「体育」

教科別の指導

「国語」 のびっこタイム (自立活動)

教科別の指導

「国語(書写)」

生活単元 学習

総合

的な学習

の時間

教科別の指導

「算数」

教科別の指導

「図工」 教科別の指導 「算数」

教科別の指導

「算数」

給食 昼休み 清掃

のびっこタイム (自立活動)

教科別の指導

「音楽」 教科別の指導

「国語」 教科別の指導 「音楽」

教科別の指導

「国語」

のびっこタイム (自立活動)

委員会 クラブ

教科別の指導 「国語」

総合的な学習

の時間

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小学校 自閉症・情緒障害特別支援学級 年間指導計画例

指導形態 月 4 月 5 月 6 月 7 月 9 月 10 月 日

の 指

・朝の会 ・休み時間 ・給食 ・清掃

○生活の流れをつかむ ・登校後、荷物整理→着替え

→係り活動→朝の会という

一連の活動に取り組む。 ・休み時間にトイレに行く。

○安全指導 ・避難訓練を行う ・学校でのきまりを守る

○係の仕事に取り組む ・役割分担した自分の仕事

を責任を持って行う

○持ち物の管理をする ・自分のロッカーやフックを

意識して自分から片付ける

○健康な生活 ・外から帰ったらうがい、手洗

いをする。 ・ハンカチ、タオルを使用する。

○登下校の指導 ・場に応じた挨拶を行

う。

領 域 ・ 教 科 を 合 わ せ た 指 導

生活単元学習

『ぼくたち、わたしたちの教

室』 ・教室整備 ・係の仕事決め ・友達との遊び ・みんなのやくそく 『誕生会』

『はたけに何をうえる?』

・植えるものを決める ・種まき、苗植え ・世話をする(みずやり) 『誕生会』

『雨ってたのしいな』 ・雨天の日の過ごし方につ

いて知る。 『誕生会』 ・簡単な調理をして祝う。

『七夕まつりをしよう』 ・内容を考える ・準備をする 『もうすぐ夏休み』 ・夏休みの過ごし方について

知る 『誕生会』

『夏休みの思い出』 ・作ってきた作品や友達の話し

を聞く。 『運動会を頑張ろう』 ・参加する種目を知る ・クラスで練習する 『誕生会』

『はたけに何をうえ

る?』(収穫編) ・収穫したものを調理

し、パーティーを行う。 『交歓会』 ・役割を練習する。 『誕生会』

国 語

○教師の話を聞いて、内容の

あらましがわかる。 ○経験したことを話す。 ○簡単な語句を正しく読む。

○簡単な語句をひらがなで

書く。

○教師の話を聞いて、内容

のあらましがわかる。 ○経験したことを話す。 ○簡単な語句を正しく読

む。 ○簡単な語句をひらがな

で書く。

○経験したことを二語文

以上で表現する。 ○文字カードを使って、身

近な単語を作ったり読む。

○経験したことを二語文以上

で表現する。 ○文字カードを使って、身近

な単語を作ったり読んだりす

る。 ○書き順、とめ、はね、はら

いに気をつけて文字を書く。

○経験したことを二語文以上

で表現する。 ○文字カードを使って、身近な

単語を作ったり読んだりする。

○書き順、とめ、はね、はらい

に気をつけて文字を書く。

○教師の話を聞くこと

ができる。 ○簡単な短文を正しく

読む。 ○身近な出来事を考え

て書く。

書 写

○自分の名前をていねいに書こう(硬筆) ・用具の正しい持ち方・正しい姿勢・ひらがなの練習・カタカナの練習・手本を見て練習・漢字の練習

○毛筆の練習 ・用具の正しい使い方と正しい姿勢 ・縦画・横画のみの文字(一・二・三・上・下)

算 数

○具体的な操作を通して物

の分類(形、色、大小)を理

解する。 ○数操作を通して1~10まで

を理解する。

○身近にある具体物を数

える。 ○身近にある物の数量の

初歩的な扱いに関心を持

○数操作を通して 1~10までの数を理解する。 ○簡単な計算をする。 ○時刻、時間を知る。

○数操作を通して 1~10 まで

の数を理解する。 ○簡単な計算をする。 ○時刻、時間を知る。

○数操作を通して 1~10 まで

の数を理解する。 ○簡単な計算をする。 ○時刻、時間を知る。

○簡単な加法・減法がわ

かる。 ○身近にある数量、重さ

について単位を知り測

定する。 ○実生活に合わせた時

間を理解する。 音 楽

○マイクを使って歌おう ・おはようの歌を歌おう ・お料理しようの歌を歌おう

○楽しく歌って ・手あそび歌・鳴き声や音をまねる歌 ・ことばをまねる歌・合宿で歌う歌

○音楽を目と耳で ・運動会の歌 ・テレビ番組の歌

図 工

○お誕生列車 ・自分の顔 ○こいのぼり

○おかあさんありがとう ○新聞紙をまるめて ○田植えの絵

○おとうさんありがとう ○紙粘土 ○壁を飾ろう①

○七夕の飾り ○夏休みのこと ○運動会の絵 ○交歓会のプレゼント

をつくろう ○壁を飾ろう②

体 育

○マラソン・基本の運動 ○集団活動

○マラソン・基本の運動 ○新体力テスト ○いろいろな動き ○ボール運動

○マラソン・基本の運動 ○ボール運動 ○マット運動

○水泳

○マラソン・基本の運動 ○運動会の種目練習 ○水泳

○マラソン・基本の運動 ○鉄棒 ○ボール運動

総合的な学習の

時間 ○コンピュータに慣れよう

自立活動 個別の指導計画参照

休み調べ・日付・天気・予定・日直の話

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指導形態 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月

の 指

・朝の会 ・休み時間 ・給食 ・清掃

○持ち物の整理整頓を行う。

・自分の持ち物の整理や管理

を行う。 ・教室やプレールームで使用

したものを片付ける。

○健康な生活 ・寒暖の気候に合わせて衣服

の調節を行う。 ・ハンガーを使って衣服を片

付ける。

○冬の生活 ・お正月にちなんだ生活様式

を知る。

○身だしなみ ・鏡を見て、服装の乱れや汚

れなどを確認する。

○1 年間のまとめ ・教室の整理をする。 ・大掃除をする。

領 域 ・ 教 科 を 合 わ せ た 指 導

生活単元学習

『遠足に行こう』 『誕生会』

『クリスマス会をしよう』 ・話し合い ・準備 ・装飾 『誕生会』

『お正月は楽しいな』 ・正月の遊びを行う 『誕生会』 ・簡単な調理をして祝う。

『カレンダーを作ろう』 ・紙版画で作る ・お世話になった人に配る 『誕生会』

『1 年間のまとめをしよう』 ・1 年間行ってきた学習を知る

・卒業生を祝う 『お別れ会をしよう』 『誕生会』

国 語

○教師の話を聞くことができ

る。 ○簡単な短文を正しく読む。

○身近な出来事を考えて書

く。

○教師の話、読み聞かせで内

容のあらましがわかる。 ○教科書や絵本を読む。

○教師の話、読み聞かせで内

容のあらましがわかる。 ○教科書や絵本を読む。

○1 年間あったことを理解

して表現する。 ○教科書や絵本を読み感想

を話す。 ○あったことを思い出して

書く。

○1 年間あったことを理解して

表現する。 ○教科書や絵本を読み感想を

話す。 ○あったことを思い出して書

く。 書 写

(毛筆の練習)

○年賀状を書こう ・文面 ・宛名 ・自分の住所、名前

○かきぞめをしよう ・毛筆で書く

○作品展にむけて ・毛筆で練習

○一年間のまとめ ・作品整理 ・反省

算 数

○簡単な加法・減法がわかる。

○身近にある数量、重さにつ

いて単位を知り測定する。 ○実生活に合わせた時間を理

解する。

○繰り上がりのある加法・減

法がわかる。 ○面積、容積について知る。

○お金の計算をする。

○繰り上がりのある加法・減

法がわかる。 ○面積、容積について知る。

○お金の計算をする。

○引き算で計算する。 ○お金の等価関係を知る。 ○お買い物ごっこをする。

○引き算で計算する。 ○お金の等価関係を知る。 ○お買い物ごっこをする。

音 楽

○ドレミで歌おう ○楽器を演奏しよう。 ・キラキラ星 ・こぎつね ・クリスマスの歌

○リズムにのって ○お別れの歌 ・とんでったバナナ ・クラリネットをこわしちゃった ・大きな古時計

図 工

○運動会の絵 ○交歓会のプレゼントをつく

ろう ○壁を飾ろう②

○クリスマス会の準備 ○年賀状のデザイン

○楽しいお正月 ○木を使って家をつくろう

○鬼のお面作り ○おひなさま

○お別れ会の準備 ○壁を飾ろう④

体 育

○マラソン・基本の運動 ○持久走 ○ゴム跳び

○マラソン・基本の運動 ○持久走 ○縄跳び

○マラソン・基本の運動 ○縄跳び ○跳び箱

○マラソン・基本の運動 ○バスケットボール

○マラソン・基本の運動 ○ゲーム ○ダンス

総合的な学習の

時間 ○コンピュータで何ができ

る?

自立活動 個別の指導計画参照

休み調べ・日付・天気・予定・日直の話

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中学校 自閉症・情緒障害学級 日課表例

月 火 水 木 金 登 校

朝の会 朝自習

○中タイム

朝 会

○中タイム

○中タイム

○中タイム

教科別の指導 保健体育

教科別の指導

保健体育

教科別の指導 保健体育

教科別の指導 保健体育

教科別の指導 音 楽

教科別の指導 国 語

自立活動

教科別の指導 国 語

教科別の指導 国 語

自立活動

教科別の指導 数 学

教科別の指導

美 術

教科別の指導 数 学

教科別の指導 数 学

教科別の指導 職業・家庭

総合的な学習

4 英会話

教科別の指導

美 術

生活単元学習

教科別の指導 職業・家庭 (情報)

教科別の指導 職業・家庭

給 食

学 活

作業学習

生活単元学習

作業学習

生活単元学習

生活単元学習

作業学習

自立活動

作業学習

生活単元学習

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33

第 1 学 期 第 2 学 期 第 3 学 期 4 月 5 月 6 月 7月・ 8月 9 月 10月 11月 12月 1 月 2 月 3 月

区 分

行事

教科等

始業式

入学式

新入生歓迎会

学級開き

身体計測

健康診断

部活動開始 2・3年個人面談

1年家庭訪問

3年修学旅行

生徒総会

校外学習 2年管弦楽教室

2年舘岩自然

の教室

1年校外学習

終業式

個人面談

3年産業現場等お

ける実習

校内実習

始業式

体育祭

校外学習

ふれあい体験

合唱コンクール

合同スポーツ

大会

合同交流会

三者面談

終業式

始業式

1・2年未来く

るワーク

合同作品展

校外学習

個人面談

校外学習

個人面談

日常生活

の指導

教科別の学習・領域別・領域教科を合わせた指導を中心に学校教育活動全体の中で取り扱う。 身辺自立の確立 …衣服の着脱、排泄処理、食事のマナー、荷物の整理整頓、清掃等を学び、社会自立の基盤を作る

社会性の向上 …朝と帰りの会、連絡ノート記入、係活動、集団遊び、あいさつ、約束・規則を守る等社会生活に必要なルール・マナーを身につける

生活単元

学習

新しい生活

目標、係決め

栽培(年間を

通して全学

年実施)

1年「校外学習

に行こう」

2年「舘岩自然

の教室にいこ

う」

3年「修学旅行

に行こう」

1年「校外学習

に行こう」

2年「舘岩自然

の教室にいこ

う」

3年「修学旅行

に行こう」

1年「校外学習に

いこう」

「進路学習」

「夏の生活」

・夏休みの予定

「2学期の生

活」

学校行事、目標

「体育祭をが

んばろう」

「合同スポー

ツ大会」

「進路を考え

よう」

「合同スポー

ツ大会をがん

ばろう」

「合同交流

会を楽しも

う」

「冬の生活」

寒い季節の過

ごし方

冬休みの過ご

し方

冬の生活

1・2年「未来

くるワーク」

3年「進路学

習」

「校外学習」

「校外学習」

「みんなで思い出を

つくろう」

アルバム作り

1・2年

「お別れ会を

やろう」

1・2年「お別

れ会をやろ

う」

3年「卒業に

向けて」

作業学習

・スウェーデン刺繍(年間を通

して実施)

・箸置き作り

・カレンダー作り1

版彫り、月テーマ版画印刷

・カレンダー作り2

月テーマ版画印刷

暦数字曜日印刷

・カレンダー作り3

とじ込み、仕上げ

・パズル制作 ・貼り絵

総合的な学習 の時間

身近な地域調べ1

地域の文化、歴史、歩け歩けウォーキング 国際理解教育・英会話(年間を通して実施)

身近な地域調べ2 地域の特産品、有名な所、歩け歩けウォーキング

・ふれあい体験

安全について(防災教育)

A ・漢字、作文は年間を通して学習する。 ・ローマ字 ・説明文の読み取り

・丁寧な話し方 ・年賀状書き方

・物語の読み取り

・書写(書き初め) ・まとめの学習

・百人一首

B ・漢字、作文、音読は年間を通して学習する。 ・文を書く(経験したことを順番に書く。)

・助詞の使い方 ・いろいろな言葉(動詞)

・書写 ・いろいろな言葉(形容詞)

・カルタ

国語

C ・カタカナ、漢字、簡単な日常文は年間を通して学習する。 ・文を書く(経験したことを短文にする。)

・助詞の使い方 ・いろいろな言葉(動詞)

・書写 ・いろいろな言葉(形容詞)

・カルタ

A ・四則計算は年間を通して学習する。 ・時間の計算 ・温度(目盛りの読み方、文章題グラフ)

・表の読み方・グラフ(折れ線、棒グラフ)

・長さ(目盛りの読み方、文章題、作図、単位の換算)

・重さ(目盛りの読み方、文章題、秤の使用、単位の換算) ・まとめの学習

B ・加減算(2桁から3桁)、お金、買い物学習は年間を通して学習する。

・お金(1000円まで) ・長さ(ものさしmm、cm、箱つくり)

・重さ(g、kgの使い方) ・大きな数 ・まとめの学習 (10000 までの数字の読み書き、束で数える)

の 指

数学

C ・加減算(1桁から2桁)、お金、買い物学習は年間を通して学習する。

・お金(1000円まで) ・長さ(ものさしmm、cm、箱つくり)

・重さ(g、kgの使い方)

・大きな数 ・まとめの学習 (10000までの数字の読み書き、束で数える)

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中学校自閉症・情緒障害特別支援学級 年間指導計画例 (2)

第 1 学 期 第 2 学 期 第 3 学 期

4 月 5 月 6 月 7 月 9 月 10月 11月 12月 1 月 2 月 3 月

音 楽

・元気に歌おう ・音楽ゲームをしよう

・「こころのうた」を歌おう

・パソコンで作曲しよう

・合唱コンクールの曲選びをしよう

・合唱コンクールに向けて ・太鼓で表現しよう

クラスの課題曲・自由曲を歌おう ・合唱コンクールで5組の歌を元気に歌おう

・卒業式の歌を覚えよう ・季節の歌を覚えよう

・卒業式の歌を大きな声で歌おう

美 術

・写生、自由画 ・友達の絵(絵の具、色鉛筆)

・行事の絵 (校外学習、修学旅行)

・粘土で表現

・ 行事の絵(体育祭)

・切り絵

・作品展に向けた制作

・年賀状を飾る

・貼り絵

・折り紙

・造形(粘土)

体 育

・集団行動 ・体力測定

・水泳

・バスケットボール

・準備体操、ストレッチ、補強運動、ランニング(年間)

・体育祭の練習 ・長距離走

・ビーチボールバレー ・マット運動 ・縄跳び

・フットサル

・サッカー

職 業

家 庭

<被服>・針に糸を通す ・玉結び ・玉どめ ・並縫い ・刺し子の作品(巾着袋、コースター、ランチョンマット) <木工>・花びんしきを作ろう・ラックを作ろう ・パズルを作ろう

<調理>・調理の約束 ・身じたく ・準備と後片付け (各学年年間をとおして学習) (全学年)包丁の安全な使い方、ゆでる、煮る、炒める (1年)目玉焼き、カレーライス、焼きそば (2年)卵焼き、・スパゲティナポリタン・チャーハン (3年)お弁当作り

<情報>・自己紹介カードを作ろう ・行事の作文、絵日記の打ち込み ・文集を作ろう

自立活動

個別の指導計画参照

<健康の保持>生活のリズムや生活習慣の形成に関わる内容…うがい、手洗い、排泄の適切な方法を身につける。

<心理的な安定>情緒の安定に関する内容、状況の変化への適切な対応に関する内容…状況や日課の変化を事前に知らせ、落ち着いた生活ができるようにする。

<環境の把握>認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関する内容…空間・時間の概念を育てる。

<身体の動き>姿勢と運動・動作の基本的技能に関する内容…粗大な動き、微細な動きの向上を図る。

<コミュニケーション>コミュニケーションの基礎的能力に関する内容、言語の受容と表出に関する内容、言語の形成と活用に関する内容、コミュニケーション手段の選択と活用に関する内容、状況に応じたコミュニケーションに関する内容…カード、サイン、文

字、話し言葉によるコミュニケーションスキルの向上を図る。

<人間関係の形成>個別の指導、小集団の指導、知的障害学級との合同授業、通常学級との交流学習を個々の実態に合わせて取り入れ、基本的な行動及び友だちとの関わり方を学ぶ。

特別活動

・学級活動(係活動、給食、清掃、学級会活動) ・交流及び共同学習 ・生徒会活動

・行事・1年校外学習、3年修学旅行・産業現場等における実習、2年自然の教室・管弦楽教室、 ・合同作品展 ・卒業式 ・体育祭・合同交流会 ・合唱コンクール ・合同スポーツ大会

道 徳 道徳の内容は領域・教科を合わせた指導及び領域別の指導を中心に学校教育活動全体の中で取り扱う。

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<弱視の児童生徒の学習の特性> ・細かい部分がよくわからない、遠くのものがよく見えない、動いているものの認知が

難しいなどさまざまな見えにくさがあるため、図、絵、グラフ、ルビ、地図、掲示物、

実験、ボールなど学習の際、見えにくいものがある。 ・視経験の不足から概念の形成や知識、動作、技術などの習得の困難さ、目と手の協応

や運動面のぎこちなさ、取りかかりの遅さなど、生活面での課題がある。 ・視覚からの情報に制限があるため語句の理解が不確かだったり、人の表情が見えにく

かったりするため人間関係に影響が出たりするなど二次的な問題が出てくる場合が

ある。

<弱視の児童生徒の学習のポイント> ・児童生徒の視覚障害の状態等に応じて、指導内容を適切に精選し、基礎的・基本的な

事項の理解や導入段階の指導に重点を置く。 ・児童生徒が空間や時間の概念を活用して、場の状況や活動の過程等を的確に把握でき

るよう配慮し、見通しをもって意欲的な学習活動を展開できるようにする。 ・見えにくい状況にあっても予測ができるよう、体験を中心とした確かな概念の枠組み

を作る指導を行う。

・弱視レンズや拡大読書器等の補助具の操作の仕方を指導したり、拡大 教科書や拡大教材を工夫したりするなど保有する視覚を最大限に活用 できるよう指導する。

・発達段階に応じて自分の視覚障害についてきちんと理解し、安全や健康に考慮する

など自分で視覚が管理できるようにする。

3 弱視特別支援学級の教育課程

(1) 視覚障害とは

視覚障害とは、視機能の永続的な低下の総称で、視力障害、視野障害、色覚障害、光覚

障害などをいいます。片眼だけに視機能の低下がある場合や治療によって良くなる場合、

矯正できる場合は視覚障害とはいいません。見え方はさまざまで一人ひとり違っています。

視覚障害教育の場には、視覚障害の特別支援学校、弱視特別支援学級などがあります。

それぞれの対象となる児童生徒は、特別支援学校の場合「両眼の矯正視力がおおむね0.

3未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度なもののうち、拡大鏡等の使用によっても

通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの」、弱視特別支

援学級の場合「拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な

程度のもの」(埼玉県就学事務手続実施要項 平成 23 年 9 月 1日版)となっています。

一人ひとりの発達段階や視覚障害等に応じた指導を行い、じっくりと見る経験と時間を

確保し、「見えた」「わかった」経験を大切にして学習意欲を高めます。児童生徒が「でき

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る」ことを増やし、自信を持って生活できるようにしていきます。

(2) 弱視特別支援学級の教育課程【特別の教育課程】

弱視特別支援学級の教育課程は、通常の小学校・中学校の教育課程に準じて編成するこ

とが基本となりますが、視覚障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための

自立活動を加えた特別の教育課程を編成することができます。

ア 特別の教育課程

イ 自立活動

自立活動は、個々の児童生徒の障害の状態や発達段階等に即して指導内容や方法を工

夫して行います。そのためには、児童生徒の実態把握が大切です。

<教育課程> ・通常の小・中学校の教育課程に準じるもの 各教科 道徳 外国語活動(小) 総合的な学習の時間 特別活動 ・特別支援学校の学習指導要領の内容から選択するもの

自立活動 <授業形態> ・特別支援学級での個別での学習、小集団での学習 ・「交流及び共同学習」による通常の学級での学習 <授業時数> ・各教科、道徳、外国語活動(小)、総合的な学習の時間、特別活動及び自立活動の 総授業数は通常の小・中学校の各学年における総授業時数に準ずる。

・自立活動の時間に充てる授業時数は、個々の障害の実態に応じて適切に定める。 ・自立活動は自立活動の時間だけでなく、すべての教育活動の中で行う。

<実態把握の例>

(ア)視機能に関すること 眼疾名、遠距離視力(5m視力)、近距離視力(30cm視力)

最大視認力(最も小さいものがよく見える距離と視力)の状態、 光の量に順応する力の状態、眼球運動の障害(眼球振盪)等の状態 (イ)学習活動等に関すること ・上手なものの見方(正確にものを見ようとする態度がどのように育っているか)

・目と手の協応動作(どの程度スムーズに行われているか) ・視覚補助具の活用(上手に活用できているか) ・社会生活に必要な技能(衣食住や外出、趣味、場に応じたコミュニケーション等

将来を見通した社会生活に必要な技能の習得の状態はどうか) ・視覚管理(自分の視覚障害の状態を理解し、配慮や管理ができているか) ・社会性の育成(対人関係や集団生活がスムースにできているか)

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<弱視特別支援学級における自立活動の例>

(ア)日常生活技能の向上

・日常生活の活動(身辺処理、遊び、買い物、調理)

・自然に親しむ(動植物の飼育・栽培)

・情報の収集や選択の仕方

(図書館やインターネットの利用)

(イ)視知覚の向上

・大小・色・形態の弁別

・図解や文字の認知と再生

・空間概念の形成

・動植物の観察

・視覚補助具の操作の習熟

(遠用・近用弱視レンズ、拡大読書器)

(ウ)目と手の協応動作の向上

・折り紙、はさみ、のりなどを使った工作

・紐結び、紐通し

・ペグ刺し

・線たどり、迷路

・定規・コンパスなど作図用具や実験器具の使い方

(エ)健康・安全と視覚管理

・視力検査

・校内外の歩行練習

(校内の模型や地図の作成)

・姿勢や運動動作の習得

・自分の見え方の振返り

(オ)コミュニケーション力の向上

・挨拶や会話の練習

・お礼状や招待状の作成

・友達とのかかわり

・交流学級での障害理解授業

(イ.校外での遠用弱視レンズの練習)

(イ.拡大読書器を使った観察)

(エ.校内の立体模型)

(エ.校内探検地図)

(ウ.ちょう結びの練習)

(イ.近用弱視レンズの練習)

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(3)日課表・年間指導計画

小学校 弱視学級 日課表例(2年生)

時 月 火 水 木 金

読 書 業前運動 朝 会 自 習 自 習

朝の会

1 国 語 国 語

道 徳

(交流)

国 語 国 語

2 国 語 国 語

生 活

(交流)

算 数

生 活

(交流)

20分休み

3 体 育

(交流)

算 数 国 語

生 活

(交流)

算 数

4 算 数 書 写 国 語

体 育

(交流)

音 楽

(交流)

給 食 ・ 歯みがき ・ 清 掃

5 自立活動

図 工

(交流)

算 数 自立活動 自立活動

図 工

(交流)

週 26 時間(ただし、1時間 は 45分)

*(交流)・・交流及び共同学習のこと。交流及び共同学習の内容と各教科等の位置

付けを授業時数等の関連で検討します。

*自立活動の時数は児童生徒の実態に合わせて決めます。

*総授業数は通常の学年の授業時数に準じます。

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年間指導計画の例(小学校2年生)

月 4月 5月 6月 7月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

始業式入学式

身体測定

一斉下校

一年生を迎える会

避難訓練

離任式

視力聴力検査

内科検診

歯科検診

運動会

プール開き

校内硬筆展

体力テスト

個人面談

終業式

夏休み

始業式

避難訓練

引取訓練

身体測定

敬老給食

ふれあい音楽祭

学校祭

学校公開日

持久走会 終業式

冬休み

始業式

一斉下校

身体測定

書き初め会

六年生を送

る会

一斉下校

卒業式

修了式

学年末休業日

〈国語〉・新出漢字は正確に、既出漢字はしっかりとした定着を図る。 ・音読の速度を速くする。 ・速く正確に視写する。

〈算数〉・加減の計算に習熟する。 ・かけ算九九の定着を図る。 ・定規の使い方に慣れ、誤差を少なく書く。

〈生活〉・上級生として1年生に優しく接する。 ・動植物の飼育観察など体験学習をしっかり行う。 ・グループの友達と楽しく学習する。

〈音楽〉・元気よく歌う。 ・鍵盤ハーモニカを5本の指で演奏する。 ・リズムを楽しむ。

〈図工〉・絵の具や身辺材料を使い、楽しく表現する。 ・カッターなどの安全な使い方を身に付ける。

〈体育〉・安全に気をつけながら、身体を精一杯動かすことを楽しむ。

〈道徳〉・周りの人の話をしっかり聴き、自分なりの感想をもつ。

重点指導

〈特別活動〉・係や当番の仕事に責任をもって取り組む。 ・友達と協力して係活動や行事に取り組む。

・日常生活の技能の向上を図る。(動植物を飼育栽培や調理など体験的な学習を行う。)

・視知覚の向上を図る。(拡大読書器を使った動植物の観察、近用レンズ・遠用レンズの段階的な練習を行い、視覚補助具の操作を向上させ、見る意欲を高める。)

・目と手の協応動作の向上を図る。(はさみ、のり、折り紙などを使って季節の掲示を作る。)

・健康・安全に気をつけ、視覚管理する。(校外での安全な歩行を練習する。)(自分の見え方を振返り、障害理解ができるようにする。)

・コミュニケーション力の向上を図る。(交流学級の友達や周りの人達との交流を大切にする。) 自立活動 視覚補助具の練習

遠用レンズ:文字読みピント合わせ(0.4秒/1字) 近用レンズ:文字読み(2秒/1字)

※交流学級で毎日活用する。

視覚補助具の練習 遠用レンズ:短文読み(0.6秒/1字) 近用レンズ:単語読み(2.5秒/1単語)

※交流学級で毎日活用する。 駅で路線図、バスの行き先表示を見る。

視覚補助具の練習 遠用レンズ:短文視写(25点) 近用レンズ:短文読み(0.4秒/1字)

※交流学級で毎日活用する。 校外でも活用する。

≪交流及び共同学習≫ ・生活、音楽、図工、体育、道徳、特別活動 ・朝の会、給食、掃除、帰りの会、行事 ※各教科等の年間指導計画は、通常の各学年の指導計画に準じます。

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4 特別支援学級の学習指導案の作成

特別支援学級の学習指導案は、個に応じた指導を充実させるために、一人ひとりの児童

生徒の実態から、個人の目標、目標を達成するための個別の支援などを考え、それを具体

的に記入していきますので、通常の学級で行う授業の学習指導案とは、異なる部分があり

ます。学習指導案の書式の例を挙げましたので、参考にしてください。

<特別支援学級と通常の学級の学習指導案の違い>

特別支援学級の学習指導案 通常の学級の学習指導案

1 児童生徒の実態

2 単元観

3 指導観

○児童生徒の実態から、始まります。

○「個別の指導計画」を踏まえながら、作成します。

○「~な子どもたち」(児童生徒の実態)なので、「~

な単元を設定」(単元観)して、「~な指導や支援を

行う」(指導観)というように作成すると、なぜこ

の単元を設定したのか、何を指導するのかが明確に

なります。さらに「~ことから、児童生徒に~を育

成~」という展望を記入していき、児童生徒の将来

に向けて、目指す子ども像を明確にしていきます。

1 教材観

2 児童生徒の実態

3 指導観

○教材観から、始まります。

○学習指導要領に基づいた指

導計画により、何を学ぶの

かが最初に明確になってい

るので、教材観から作成す

るのが一般的です。

単元の共通目標 本時の共通目標

単元の個人目標 本時の個人目標

評価の観点

○「個別の指導計画」と単元の共通目標を踏まえなが

ら、個人目標を設定します。

○評価は、一人ひとりに対して、個人目標がどのよう

に達成できたかを丁寧に見取ります。この時に、一

人ひとりの個人目標に対して、評価の観点を設定し

ます。

単元の目標 本時の目標

評価規準

○学習集団共通の目標や評価

規準を設定します。

○一人ひとりに応じて、個別の支援を設定します。そ

の内容を、本時の展開の中に、具体的に記入してい

き、個に応じた指導が展開できるようにします。

○学習集団共通の指導方法を

記入します。

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学習集団+指導の形態+学習指導案 (参考)

日 時 平成○○年○月○日(○) 第○校時 ○:○○~○:○○

場 所 ○○○○ 授業者 ○○○○(T1)○○○○(T2)

1 単元名 「○○○・・・・・」

・活動する事柄の内容が要約されていて、児童生徒の理解しやすい表現にします。 2 単元設定の理由 ・①児童生徒の実態、②単元観、③指導観(展望を含む)の3つの観点から書きます。 ・この理由を明確にすることで、授業で何を学ぶ、何を教えるかが明確になります。 3 児童生徒の実態

児童生徒名 生活全般での実態 単元にかかわる実態 A ・障害の特性をふまえた子どもの

全体像 ・肯定的な表現で書きます。「~な

支援で~できる」「~ができる」

・記述の内容量に個人差がでない

ように、観点を統一して書きま

す。 ・個別の指導計画を活用します。

・単元の学習活動から必要である

と考えられる具体的な実態 ・この実態から個人目標につなが

るようにします。 ・個別の指導計画を活用します。

B 4 目標 (1)共通目標 ○・・・・・ ○・・・・・ ・単元設定の理由を受け、共通する目標を設定します。

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(2)個人目標 児童生徒名 個人目標

A ○・・・・ 実態と共通目標に基づいて設定します。 ○・・・・ 具体的であり、あと少しでできる目標を設定します。 個別の指導計画を活用します。

B 子どもの立場で記入します。 例)~する、~できる ・必要に応じて、目標達成のための個別の支援(手だて)を入れてもよいです。(展開の

中に記入してもよいです。) 5 指導計画(○時間扱い) ・図表等を使い単元の構成及び展開が概観できるように工夫して記述します。 ・本時の授業が全体の時間配分の中で、どの時間数にあたるのかを分数を用いて記述し

ます。(本時○/○) ・知的障害のある児童生徒の授業では、この指導計画がよい授業づくりをするための要

になります。 6 本時の学習 (1)本時の共通目標 ○・・・ ○・・・ ・単元の共通目標に基づいて本時の学習の目標を設定します。 (2)本時の個人目標

児童生徒名 個人目標 A ○・・・・ 単元の個人目標と本時の共通目標に基づいて設定します。

○・・・・ 具体的であり、あと少しでできる目標を設定します。 B 子どもの立場で記入します。 例)~する、~できる

・必要に応じて、目標達成のための個別の支援(手だて)を入れてもよいです。(展開の

中に記入してもよいです。)

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(3)展開 ・個別の支援などは、「~させる」等の使役表現をさけ、「~できるようにする」等の能

動的かつ肯定的な表現で記入します。 例① 時間 学習内容 個別の支援(手だて)、等

評価の観点 備考

・授業の流れ ・児童生徒の活動

・個別の支援 A・・・・ ・評価の観点 B・・・・ ・T の動きや全体への働きかけ

・教材・教具

例② 時間 学習活動 個別の支援(手だて)、評価野観点、等 備考

A B C

・個別の活動

・個別の支援

・評価の観点

・T の動きや全体への働きかけ

・授業の流れ ・児童生徒の活動

・教材・教具

7 評価 (1)本時の共通目標に係る評価の観点 ○・・・ ○・・・ ・本時の共通目標に基づいて評価の観点を設定します。 (2)本時の個人目標に係る評価の観点

児童生徒名 評価の観点 A ○・・・・ 本時の個人目標に基づいて評価の観点を設定します。

○・・・・ 具体的に記述します。 B 子どもの立場で記入します。

・必要に応じて、展開の中に記入してもよいです。 ・必要に応じて、本時の個人目標に係る評価の観点のみでもよいです。

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【評価の観点について】 評価の観点は、目標を裏返した表現ではなく、児童生徒の変容を具体的に捉えられる

ように設定します。 例) *目標 友達の名前を呼んで、会の進行ができる。 評価の観点 △友達の名前を呼んで、会を進行することができたか。 ○自分で名簿を指差しながら、友達の名前を呼んで、会を進行するこ

とができたか。 *目標 ランドの中にある紙がひらひらする遊びに興味を持ち遊ぶ。 評価の観点 △ランドの中にある興味のあるもので遊ぶことができたか。 ○ランドの中にある遊びに興味をもち、自分で手を伸ばすことができ

たか。 8 備考 ・教材や教具、配置図、板書計画を記述

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Ⅲ 個別の教育支援計画と個別の指導計画

1 個別の教育支援計画

(1)個別の教育支援計画とは

個別の教育支援計画は、一人ひとりのニーズを正確に把握し、長期的な視点で乳幼児期

から学校卒業まで一貫して的確な教育的支援を行うための計画です。

校内だけでなく、保護者や関係機関との適切な役割分担のもと、一貫した支援を行うた

めのツールという意味をもっています。

学校や学級種別による違いはありますが、基本的に含まれる項目は以下の通りです。書

式については例(P52)を参考にしてください。

○ 本人の情報 (氏名・生年月日 等)

○ 学校情報 (学年・組・担任 等)

○ 本人の様子

○ 関係機関での支援内容

○ 本人の願い・保護者の願い

○ 教育的ニーズ

○ 長期的目標

○ 支援内容

○ 評価・課題

出典 国立特別支援教育総合研究所HPより

(2)個別の教育支援計画の作成

ア 気づき・計画作成の開始 本人・保護者の同意のもと、関係機関と連携した作成について校内で検討します。

イ 児童生徒の実態把握 本人・保護者や関係機関とともに、情報を把握します。把握する情報は次のような内

容です。また、引き継ぎ資料(「潤いファイル」等)がある場合は、それを活用します。

※個別の支援計画と

個別の教育支援計画

「個別の支援計画」と

「個別の教育支援計画」

の関係については、「個

別の支援計画」を関係機

関等が連携協力して策

定するときに、学校や教

育委員会などの教育機

関等が中心になる場合

に、「個別の教育支援計

画」と呼称しているもの

で、概念としては同じもの

になります。

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ウ 支援の目標、内容及び担当機関等の明確化 (ア)目標の設定

個別の教育支援計画では、保護者や本人の願いを踏まえ、長期目標(3年後等を見

通した目標)を設定します。 (イ)関係機関等の明確化 必要とされる支援について、教育、医療、保健、福祉、労働、家庭等の各支援者(機

関)の役割と支援の内容の調整を図ります。 (4)支援の実施 保護者や関係機関と連携して、学級担任や特別支援教育コーディネーター等が中心と

なって支援を行います。学校での具体的な指導及び支援については、個別の教育支援計

画を踏まえて作成した個別の指導計画等により支援を行います。 (5)評価 支援の目標に基づき、支援の成果について「計画―実施―評価-改善」のマネジメン

トサイクルにおいて評価を行います。また、関係機関の役割に応じて、評価の内容や、

時期、評価者を明確にしておくことも必要です。

2 個別の指導計画

(1)個別の指導計画とは

個別の指導計画は、個別の教育支援計画や教育課程に基づいて、一人ひとりの目標を設

定し、指導内容や指導形態、指導方法等を示した計画です。

書式については、例(P53~P55)を参考にしながら、必要な項目や形式を各学校

で検討して作成してください。

項目などの検討を行う場合は、作成のしやすさだけではなく、個別の指導計画の内容を

充実させ、積極的に活用するという観点からの工夫が必要です。

「個別の指導計画(教科・領域等)」を通知票とリンクさせている学校もあります。

学校や学級種別による違いはありますが、基本的に含まれる項目は以下の通りです。

○ 本人の情報(氏名・学年など)

○ 長期目標

○ 短期の指導目標(学習面・生活面等)

○ 指導内容・手立て・指導形態等(学習面・生活面等)

○ 指導経過と評価・修正

○ 作成者・作成年月日・評価日

・本人の状況(障害や発達状況等) ・本人を取り巻く環境(家族や支援者の状況等) ・本人及び周辺の課題 ・現在及び将来の生活についての希望 ・支援資源の整理 等

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47

(2)個別の指導計画の作成

ア 個別の指導計画作成の手順

イ 児童生徒の実態把握 (ア)情報の収集

以下のように、様々な側面から、児童生徒の実態を把握していきます。 教育的側面 心理学的側面 医学的側面 生活環境的側面

・基本的生活習慣 ・興味・関心 ・学力(教科の視点) ・学習上の配慮事項 ・人や物とのかかわり ・コミュニケーションの

状態 ・身体の動き ・心理的な状態 等

・知能の発達の状態 ・社会性の発達の状態 ・運動機能の発達の状態

・心理的な安定の状態 ・心理検査の結果 ・認知特性 等

・医療機関による診断名

・医学的検査の結果 ・薬の服用や発作等の有

無など健康管理に関 する情報

・身体発達の状態

・生育例や教育歴 ・家族構成や家族環境 ・生活のリズム ・地域の様子 ・保護者の悩みや学校へ

の期待 ・保護者の願いや将来の

希望 ・余暇の過ごし方 等

(イ)実態把握の方法 ①面接やアンケートによる実態把握

医学的な情報や保護者からの情報を得る場合、アンケートや面接等で情報を収集し ます。

②行動観察による実態把握 自然観察法やチェックリストを利用して教育的な情報を得ます。この時、主観的な

解釈にならないような配慮が必要です。 ③検査による実態把握

その子どもの現在の発達の様子、性格や行動の特性などの心理学的な特性を客観的 にとらえるために、標準化された心理検査を行い、指導に役立てることもあります。

「何のために行うか」を明確にして、目的に合わせて検査を選ぶことが必要です。 検査を実施する場合は、保護者と確認を取りながら行う必要があります。

実態把握

目標の設定

③指導計画の作成

(指導内容・手だて・

支援方法等)

指導の展開

指導の評価

保護者への

提示・説明

保護者への

報告・説明

学校教育目標教育課程

次年度の計画

改 善

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● 実態把握のポイント □ 児童生徒がつまずいている領域を発見します。 □ 児童生徒がつまずいている課題を発見します。 □ 児童生徒がどこまで習得しているかを把握します。 □ 児童生徒の得意なこと、好きなことを把握します。 □ 課題に取り組んでいるときの児童生徒の様子について把握します。 □ 児童生徒がつまずいている要因を推定します。 □ どの部分で支援を必要としているかを焦点化します。 □ 本人や家族のニーズについて把握します。 ● 実態の記述について □ 肯定的な書き方にします。どこまでできているかの視点で記述します。

(「~できる。」「~する」→○、「~できない」→×) □ 「こうすれば」という状況や条件をとらえて記述します。 (モデルがあれば、声をかければ、カードによる提示があれば 等) □ 得意な面やその児童生徒の強みをとらえます。

ウ 目標の設定 (ア)長期目標 個別の指導計画では、収集した情報をもとに約1年間を期間とし、1年後を見通し

た長期目標を設定します。 ● 長期目標設定のポイント □ 目標の優先順位を決めます。 □ 達成可能な課題からアプローチします。 □ 次につながるような目標を設定します。 □ 日常生活や社会自立といったことを考慮します。 □ 本人や家族のニーズを考慮します。 □ 立てた目標について保護者や関係機関等の意見を聞きます。

(イ)短期目標 長期目標の達成にむけて、より具体的に学期ごとや単元ごとに短期目標を設定しま

す。 ● 短期目標設定のポイント □ 児童生徒主体の目標にします。(「~する」「~できる」→○「~させる」→×)

□ 肯定的な目標にします。(「~できる」→○、「~しない」→×) □ 一つの目標に対し複数の要素を盛り込まず、一つにします。 □ 条件を示します。 □ 基準を示します。 □ 観察や評価が可能な目標にします。

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● 条件についての記述例 【言語的な要求や指示に関すること】「口頭でのルール説明で」「複数の指示が」 【視覚的に示された指示や教材に関すること】「作業手順を視覚的に提示して」 【デモンストレーションに関すること】「教員が手洗いのモデルを見せると」 【ツールや教材に関すること】「1年生相当の文章題に」「マス目のある用紙で」 【環境設定に関すること】「グループの活動において」「校外の活動で」 【支援の仕方に関すること】「隣で教員が読むのを聞いて」「教員の言葉かけで」 ● 基準についての記述例 【どの程度できれば目標達成かを具体的に】

「○分間で○問の問題を正確に」「毎日○○する。」「算数の時間○○できる」 【しっかり、丁寧に、主体的に等の内容を具体的に】 「ハサミを上手に使う。」→「ハサミで線からずれずに切ることができる。」 「タオルをしっかりたたむ」→「タオルの端と端を合わせてたたむ。」 「着替えを素早く主体的にする。」

→「教員の言葉かけがなくても、一人で5分以内に着替える。」 エ 指導計画の作成

指導内容、指導の手立て、指導方法や指導体制、指導形態を設定します。 ●手立ての設定にあたって 【言語的な要求や指示に関すること】 「短い言葉でいう」「一度に出す指示は一つにする」 【視覚的に示された指示や教材に関すること】 「算数の文章題の説明は視覚的に行う」 「学習開始時に黒板の定位置に授業の流れや目標を示す」 【デモンストレーションに関すること】 「活動前に手順を実演して見せる」 【ツールや教材に関すること】 「1マス○cm四方の原稿用紙を用意する」 「絵や写真を入れた手順表を活用する」

【環境設定に関すること】 「気が散らないように、座席は一番前にする」 「片付けができるように、教室内の置く場所に写真と言葉のカードをはっておく」

【支援の仕方に関すること】 「できたときはすぐにほめる」 「注意を喚起するため、名前を呼んでから指示をだす」

オ 指導の展開 計画を実施します。

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カ 指導の評価 学期ごと、年間ごとに評価を行います。目標について、何がどの程度できるようにな

ったかを具体的に記述しましょう。また、計画(目標、指導内容、手立て等)の妥当性

についての考察も行われるとよいでしょう。

指導の評価は、一連のサイクル(「実態把握」→「指導の計画」→「実際の指導」→「評

価」→「実態把握」・・)として機能していくことが重要です。個別の指導計画を作成す

ることにより、作成者自身が自分の指導を振り返る機会が得られます。このような作成

者のモニタリングも指導者としてのスキルアップにもつながります。

● 評価の記述について

目標の視点 記述例

情意面 ・○○に意欲的に取り組めた。

・○○に大きな伸びがみられた。

行動・技能の獲得 ・○○が補助なしでできた。

・○○は確実だが、△△は不確実。

行動・技能の定着 ・○○は□回、△分でできた。

・指示がなくても○○ができた。

行動上の問題の改善 ・○○が大きく改善でした。

・○○が軽減した。

知識・理解 ・○○が確実にできた。

・○回中△回は正解した。

● 計画の妥当性についての記述例

視点 記述例

目標の妥当性

・○○の目標は難しすぎた。

・○○についてはより細かいステップに分ける必要があ

る。

生活の充実と豊かさ ・○○の目標よりは△△について必要性を感じる。

・○○は△△に好影響を与えた。

指導の手だての

適切さ

・○○の方法は効果的であったが、△△は効果がなかった。

・○○は△△に有効であった。

連携や協力 ・○○は、△△と連携を取りやすく向上がみられた。

・○○は△△の協力が得られた。

キ 次年度の計画の作成

指導の評価をもとに、次年度の計画を作成します。

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3 個別の支援ファイル「潤いファイル」 (1) 個別の支援ファイル「潤いファイル」について 「潤いファイル」は、障害のある児童生徒が、ライフステージに応じて一貫した継

続的な支援を受けるために、保護者と教育・医療・保健・福祉・労働などの各機関が相

互に児童生徒への支援状況に関する情報を共有し、必要な連携を図るためのツールとし

て、さいたま市発達障害者支援体制整備検討委員会で作成したものです。

(2)「潤いファイル」の活用について ア「潤いファイル」の管理について

このファイルには個人情報が記入されるため、保護者(または、本人)が管理しま

す。

イ「潤いファイル」の記入について

基本的には、保護者(または、本人)が記入します。支援のための必要な資料(個

別の教育支援計画や個別の指導計画等)を綴じ込む等、柔軟に活用してください。

ウ「潤いファイル」の書式について

さいたま市のホームページよりダウンロードできます。

(http://gakkoukyouiku.saitama-city.ed.jp/sosiki/sidou2/tokubetunew2009/tokubetutop.html)

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個別の教育支援計画(例)

ふ り が な 性 別 生年月日 本 人 氏 名

取扱注意

ふ り が な 住 所 保 護 者 氏 名 TEL 対 象 期 間 平成 年 月 日( )から平成 年 月 日( )まで3年間

作成年度 学 校 名 校長名 学部・学年・組 記入者名

1 平成○年度 さいたま市立○○小学校 ○○○○ 自閉症・情緒障害学級○年 ○○○○

2 3

特 別 な 教 育 的

ニーズ

・一斉指導において説明を聞いたり周りの様子を見たりして行動することは

難しいが、個別に言葉かけをすると活動に取り組み始められる。

・一定の手順をふむ活動では、1 つ 1 つ教師に確認をするので、手順表など

で随時確認できるようにする必要がある。

・初めての活動や予定の急な変更、自分の思い通りにいかないかもしれない

ことに対して不安を示し何度も教師に確認するので、事前の見通しを伝える

ことが必要である。 ( 追加 )

本人・保護者の願い

・友だちの言動に反応してしまいトラブルになることがある。根本的な友だ

ちとの関係を築きつつ、言われたことを気にしないようになって欲しい。

・字を丁寧に書けるようになってほしい。

・通常の学級との交流で、同年代の友だちとの関わりを経験してほしい。

・社会生活を営んでいく上で必要な生活力や学力を身につけてほしい。

長期目標

・カードや写真を手がかりに、初めてのものや初めてのことへの予測をつけ

ることができる。

・友だちに嫌なことを言われたら、先生に相談することができる。

・交流級で周りの子の様子を見て動くことができる。

目標・機関名 支 援 内 容 評 価

所属校 さいたま市立○○小学

コミュニケーション力の

向上、支援ツールの活用

就学支援委員会の

助言内容

特別支援教育相談セン

ター

就学相談:少人数の学級で

対人関係の基礎を学ぶこ

とが必要(H△年)

自閉症・情緒障害特別支

援学級に就学

教育機関の支援 支援籍、交流及び

共同学習

在籍校通常の学級へ(小

3)

給食、学級活動(レク) 給食は毎日生活班で食べ

た。レクに参加できた。

機 関 名 支 援 内 容

医療・保健 ○○医療センター

○○医師 ・診察、服薬

福祉・労働 ○区生活支援センター

NPO法人○○

・福祉サービスの利用の相談

・移動支援、日中一時支援

関係機関の支援 家庭・地域

・放課後児童クラブ

・放課後英会話教室

・放課後、通常学級の子どもたちとかかわり合い

ながら生活している。

障害の状況 広汎性発達障害、精神発達遅滞(4歳)

生育歴

療育歴

教育歴

○○学園に通園、○○幼稚園通園。(H×年~H△年)

○○療育に、週○回通っている。(H×年~)

相談歴

諸検査

保健センター(3歳児健診後相談)

WISC-Ⅲ(VIQ ○PIQ ○FIQ ○ H○年○月○日 医療機関)

本人のプロフィール

支援内容

その他 療育手帳 C(H△年○月)

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個別の指導計画(例)

本 人 氏 名 ○○ ○○ 学 校 名 ○○小学校

学部・学年・組 自閉症・情緒障害学級 ○年 記入者名 ○○ ○○

取扱

注意

指 導 方 針 ・具体的な場面を取り上げて、ソーシャルスキルトレーニングを行い、質

問をするときや頼むときの言葉遣いや、発表時の話の聞き方・話し方のマ

ナーを身につける。

・活動の流れを文字で視覚的に提示して、活動の見通しを持つ。

・いつどのようにやればよいのかを明確にし、日常の係の仕事や当番活動

で、自分から手がかりを確認して行動できる場面を増やす。

( 追加 )

指 導 に 結 び つ く 実 態

1 健康の保持 (日常生活面、健康面など)

・アレルギーがあり、鼻づまりやくしゃみ、目のかゆみの重い症状が現れる。

マスクの着用を自ら意識してできる。

( 追加 )

2 心理的な安定 (情緒面、状況の理解など)

・期待している計画が思い通りにならないかもしれないとき、強い不安感情

を表し、教師に何度も同じことを言ったり、今すべきことに取り組むことが

難しくなったりする。

・人が怒る、泣く場面に敏感に反応し、独り言が多くなる。

( 追加 )

3 人間関係の形成 (人とのかかわり、集団への参加など)

・交流学級で過ごすことを楽しみにしている。通常の学級の友達と話したり、

「だるまさんが転んだ」や「フルーツバスケット」などのゲームを楽しんだ

りすることができる。

・人前に出て活動することが好きで、物怖じせずに堂々と行う。

・掃除や当番活動の際には、個別の言葉かけがあれば取り組める。

( 追加 )

4 環境の把握 (感覚の活用、認知面、学習面など)

・注意集中の時間は興味がない時は 5分程度である。一度に 1つの指示なら

ば行動できる。手順を書いたメモと教師の言葉かけがあれば、複数の指示で

も行動することができる。

・文章題は挿絵の手掛かりがあると正しく立式できる。

( 追加 )

5 身体の動き (運動・動作、作業面など)

・線上をはみ出さずになぞるように、また、マスから出ずに字をかくように

言うと、意識して行うことができる。筆圧が弱いが、左手の置き方を意識さ

せると少し強く書くことができる。計算中に数字や記号が重なり合ってしま

うため、筆算の符号や枠を示すと計算ミスを減らすことができる。

・指先を使う作業や、はさみ・糊などを使うことは不得手であるが、個別に

指導すると頑張って取り組もうとする。

( 追加 )

6 コミュニケーション (意思の伝達、言語の形成など)

・自分から話をすることは好きであるが、相手に伝わるように声の大きさや

速さを考えて話すことや、文と文の間に間をとって話すこと、丁寧な言葉づ

かいで話すこと、相手の方を見て話たり聞いたりすることは課題である。

( 追加 )

7 その他 (性格、行動特徴、興味関心など)

・「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」等のアニメが好きで、絵やシール

を集めている。

・パズルは 1 時間でもやり続けることができる。

( 追加 )

個別の指導計画(教科・領域など) 例

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長期目標 ・カードや手順表を使って活動することができる。

・人に、「いつ」「どこで」「だれが」「なにをした」という文で伝えることができる。

・モデルや見本を見て、活動することができる。

教科

域等

学期 学習課題・目標 指導内容・方法(手だて) 評 価

・言葉かけを受けて

係や当番活動に取

り組むことができ

る。

・使ったものを片付

ける。

・話のポイントを文字で示し、

直前に声をかける。

・活動を行う時間を毎日同じ時

間に設定する。

・自ら取り組めた時を逃さず

大いに褒める。

・授業や休み時間の最後に、

使った物は片付ける時間を

とり、片付けを習慣化する。

・テレビ係やストローを配る係は取り

組む時を明確にし、直前に「自分か

らやろう」と話しておくと自ら行え

ることがあった。忘れてしまった時

は友だちや教師が言葉かけをすると

取り組み始められた。

・時間を設定して見守ると、取り組む

ことができた。元の場所に戻すこと

は課題である。

・掃除の手順と自分

の取り組むべきこ

とが分かり、友達と

取り組むことがで

きる。

・使ったものを元の

場所に片付けるこ

とができる。

・掃除の手順を文字で示し、次

に何をやるのか、あとどれく

らいあるのかを視覚的に確

かめられるようにする。

・本棚、遊び道具の棚に整理の

仕方が分かるように写真を

貼っておき手掛かりにでき

るようにする。

日常生活の指導

・○年生 1 学期に習

う漢字が読める。

・○年生 1 学期に習

う漢字が正しく書

ける。

・字を丁寧に書くこ

とを心がけて書く。

・昨日の出来事を順

序立てて相手に分

かるように話すこ

とができる。

・既習の漢字の読みに絵を添

えて、イメージ化しながら読

むようにする。

・漢字を空がきし、声に出し

ながら書くようにする。

・字を書くときに、姿勢を正

し、4B 鉛筆を使うように助

言する。

・「僕は昨日」「だれと」「どこ

で」「どんなことを」「どうで

した」と後ろの黒板に書いて

おき、項目に沿って話すよう

にする。

・○年生の漢字の復習を毎日行い、練

習した字 20個のうち 18個は正しく

読め、15個は正しく書けるようにな

った。

・硬筆の学習では、6B 鉛筆を使って、

字の大きさや形が整った筆圧のある

作品を仕上げた。

・黒板に書いてある項目を入れて発表

するように言うと、それを意識して

発表することができた。

・○年生2学期に習

う漢字が読める。

・○年生2学期に習

う漢字が正しく書

ける。

・1ページ程度の文章

を一人で読むことが

できる

・「だれが」「いつ」「ど

こで」「なにを」とい

う簡単な質問に答え

ることができる。

・既習の漢字の読みに絵を添

えて、イメージ化しながら読

むようにする。

・漢字を空がきし、声に出し

ながら書くようにする。

・日記や生活帳などに取り入

れるよう助言する。

・教師が読むのを聞いてから、

一人で読む。

・「だれが」「いつ」「どこで」

「なにを」を色分けし、文意

を正しくとらえられるよう

にする。

国語

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算数

音楽

生活単元学習 3

(省 略) 図工

体育

総合的な学習の時間

1 ・適切な声の大きさで

話すことができる。

・相手のほうを向いて

話を聞くことがで

きる。

・ルールを守って友達

と楽しく遊ぶこと

ができる。

・「声のものさし」で視覚的

に声の大きさを示しなが

ら、適切に話せたときには

大いに称賛する。

・「名人チャレンジ中」を設

定し、区切られた時間の中

で名人の要素を意識して

取り組むようにする。

・遊ぶ前にルールやマナーを

確認する。望ましい行動の

時には全員の前で多いに褒

める。

・名人チャレンジ中は「話し方名人」

「聞き方名人」の要素を意識して、

適切な声の大きさや正しい姿勢で

発表したり聞いたりすることがで

きるようになった。

・活動の初めは守ることができた

が、活動に夢中になると、楽しい

気持ちが優先してしまい、ルール

やマナーを守れないことがあっ

たので、最後まで守ることが課題

である。

・丁寧な言葉で話し

たり、正確に伝えた

りすることができ

る。

・指先を使う活動を

通して指の巧緻性

を高める。

・最後までルールを

守って友だちと楽

しく遊ぶことがで

きる。

・モデルを見て、ポイントと

なる点を教員と確認にして

から取り組むようにする。

・完成作品を見せ、活動に意

欲的に取り組めるようにす

る。

・1 つの遊びの時間を短く設

する。遊びの始めにルール

を見せて確認する。

・最後まで、ルールを守れた

ら、「ルールを守ると楽し

い」ということをフィード

バックする。

自立活動

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Ⅳ 指導要録の書き方

指導要録は、児童生徒の障害の状態等に応じた指導の目標の実現状況の評価や個人内評

価を重視することとし、「自立活動」の欄の設定、個別の指導計画を踏まえた評価の推進、

教育課程や学習指導の状況及び障害の重度・重複化や多様化等に応じた適切な記録をする

ものです。

【 様式について 】

<学籍に関する記録>

通常の学級と同じ様式のものを使用します。

小学校・・・小学校児童指導要録様式1 中学校・・・中学校生徒指導要録様式1

<指導に関する記録>

特別支援学級に在籍する児童生徒については、個別の指導計画を作成する必要があるこ

とから、指導に関する記録を作成するに当たって、個別の指導計画における指導の目標、

内容等を踏まえた記述となるよう留意します。 小学校・・・小学校児童指導要録様式3 中学校・・・中学校生徒指導要録様式3 *弱視特別支援学級においては、様式2を使うこともあります。 *各様式の用紙が必要な場合は、指導2課 特別支援教育係に請求します。 【 記入上の注意 】 指導要録に関する記入上の全般的な注意事項については、「特別支援学級に係る小学校児

童指導要録及び中学校生徒指導要録」Ⅰ記載する事項等を参照します。

<学籍に関する記録>

学級番号、整理番号、年度途中の異動、学級担任氏名の記入について

(1) 「学級」の欄には、特別支援学級の種別が明確になるように記入します。電子端末

で打ち出すと「0」と印字されますので、手書きで訂正します。「0」とし、「知」「情」

「弱」と書き入れます。訂正印は必要ありません。

(2) 同一障害の特別支援学級が複数ある場合は、それぞれ別の特別支援学級として学級

番号をつけます。

(3) 「整理番号」は、学年にかかわりなく通し番号とします。

(4) 各年度に、校長の氏名、学級担任者の氏名を記入します。同一年度内に校長又は学

級担任者が代わった場合には、その都度、後任者氏名を併記し、その期間を記入し

ます。同一年度内に同一校内の特別支援学級から通常の学級へ、又は通常の学級か

ら特別支援学級へ教育形態を変更した場合にも同様とします。なお、学級担任者氏

名欄には、法令に基づいて配当された学級担任者(1名)の氏名のみ記入します。

<指導に関する記録> *記入例を参照します。

<そ の 他>

(1) 取り扱い上の留意点については、通常の学級と同様です。

(2) 指導要録は、一年間の学習指導の過程や成果などを要約して記録するものであり、

その様式や記載方法等を学校と保護者との連絡に用いるいわゆる通信簿等にそのま

ま転用することは必ずしも適切ではありません。したがって、学校においては、指

導要録における各教科等の評価の考え方を踏まえ、児童生徒の学習指導の過程や成

果、一人ひとりの可能性などについて適切に評価し、児童生徒一人ひとりにその後

の学習を支援することに役立つようにする観点から、通信簿等の記載内容や方法、

様式等について工夫改善することが必要です。

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様式3 (指導に関する記録)

自ら掃除に取り組むことができた。雑巾の絞り方やちりとりや箒の使い方が上手になった。

特別

活動

自立活

体 

読み聞かせを楽しんで聞けた。ひらがな清音の読み書きができるようになった。

カタカナ、1年生の漢字の読み書きがで

きた。自分がしたことや気持ちを言葉にすることが増えてきた。

九九ができるようになった。加減算の簡単な文章問題が解けた。定規で何cmを測ることができた。

算 数

音 

図画

工作

生 

6

国 語

各 教 科 ・ 特 別 活 動 ・ 自 立 活 動 の 記 録

1 2 3 4

多少、大小、長短を比べることができた。10までの加減算がブロック使用でできた。時計で何時が

読めた。

2桁同士の繰り上がり、繰り下がりのある加減算ができるようになった。時計が読めるようになっ

た。

マットで前転ができた。短縄で前回しが

20回できた。小型跳び箱で4段が跳べた。鉄棒で前回りができた。

カエル倒立ができた。短縄で後ろ回しが20回できた。大縄で8の字跳びができるようになった。

歌や手遊び歌を覚え友達と楽しく歌うこ

とができた。タンバリンをリズムよく打つことができた。

歌詞を覚え大きな声で楽しく歌うことが

できた。鍵盤ハーモニカで「ジングルベル」など数曲が弾けた。

「世界中のこどもたちが」などの手話を覚えた。鍵盤ハーモニカが指使いを正しく弾けた。

2年生の漢字の読み書きができた。短い

文章を読み内容を理解できるようになった。短い作文を綴れた。

日直や係の仕事を支援されながら行うことができた。特に手紙係の仕事をがんばった。

日直や係の仕事を自分から行うことができた。健康係、電気係、黒板係を行った。

人物画を描くようになった。粘土で団子やドーナツができた。スタンピングを楽しむことができ

た。

絵を進んで描くようになった。自分を大きく描き、友達や動物をたくさん描いた。

手や足に動きのある人物画を描くようになった。自分のイメージした物を紙版画に表すことができ

た。

合図で集まり整列できた。近距離でボールを投げたり捕ったりできた。

「できました」「教えて下さい」など、報告や支援を求める言葉が使えるようになった。簡単なゲームを支援されながら楽しめた。

話を聞くときに、注意を促すと注目する時間が長くなった。ゲームの勝敗にこだわりがあるがルールのあるゲームを楽しむことができた。

言葉が増え自分の気持ちを一生懸命に伝

えようとするようになった。ゲームの勝敗に対するこだわりがややあるが友達と楽しく活動できた。

65

日直や係の仕事に責任を持って取り組んでいた。配り係、テープ係、天気係を行った。

情1学  級

整理番号

区分 学年

情11

32 41

3情2

 朝顔を育て、成長

を楽しみにして水をあげたり、観察したりできた。町探検では、商店の人に自分から挨拶をすることができた。

児 童 氏 名 学  校  名

1

教科等

 準備片付け着替えなどが時間内にでき

るようになった。外から帰ってくると、手洗いうがいを必ず行うようになった。給食で盛りつけられた物は残さず食べる

ようになった。給食後の歯磨きが習慣になった。

学年5

生活

単元学習

日常

生活の指導

体育

特別

活動

自立活

 「学級新聞を作く

ろう。」では、学級内の出来事を記事にすることができた。「磁石で遊ぼう。」では磁石に興味を示し、磁石につく物と

つかない物を調べる活動に意欲を示した。

国語

音楽

図画

工作

 砂場遊びやお店屋

さんごっこなどを友達と一緒に楽しむことができた。

 時間はかかるが、朝や帰りの用意、着

替えなどの身の回りのことは一人でできる。大きい声で挨拶できるようになった。給食では、牛乳が飲め

るようになり、苦手な野菜も一口は食べるようになった。

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58

区分

学年

(注)「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄には、次のような事項を記入する。

③ 交流及び共同学習を実施している児童は、その相手先の学校名や学級名、実施機関、実施した内容や成果等

学習活動への関心・意欲・態度

人と関わる際のスキル

コミュニケーションへの関心・意欲・態度

3

授業日数

5

6

4

出席日数

2

1

備     考忌引等の日数 ならない日数

出席停止・ 出席しなければ

欠席日数

ひらがなの読み書きができ、自分から身の回りにある文字を読むようになった。休み時間には外で遊びチャイムで教室に戻るなど学校の日課に従って生活できるようになった。

市美術展優良賞本が好きになり図書室をよく利用するようになった。表現力がつき劇遊びを楽しめた。書くことや計算することなど、少しずつ着実な力をつけてきた。

1週間に1時間、音楽の教科交流を行い、通常の学級で一緒に学習できた。めあてを持たせ、きちんと評価することで苦手なことにも取り組めるようになった、

出     欠     の     記     録

第1学年 第2学年 第3学年 第4学年 第5学年 第6学年

自分の持ち物はきちんと管理できる。一人遊びや大人との関わりが多かったが、徐々に友だちと関わり一緒に遊べるようになった。

算数の計算や縄跳びなど、苦手なことに何度も挑戦してがんばることができた。勝敗に対するこだわりがあるが、少しずつ軽減してきた。

思い通りに行かないと気持ちが乱れることがあるが、短い時間で自分の気持ちをコントロールして落ち着けるようになってきた。

行  動  の  記  録

第1学年 第2学年 第3学年 第4学年 第5学年 第6学年

入学(入級)時の障害の状態

5

6

潤 い の 時 間 の 記 録

広汎性発達障害初めてのことや集団活動が苦手である

第5学年 第6学年観点

英語でのコミュニケーションを図るスキル

学年

3パソコンを覚えようさつまいもを育てよう

学び方、ものの考え方、関わり合う力

パソコンの文字入力に慣れてきた。さつまいもの栽培に積極的に参加した。

各教科、特別活動、自立活動、総合的な学習の時間、潤いの時間、行動の記録を踏まえ、児童の成長の状況等に関する総合所見

児童の特徴・特技、学校内外におけるボランティア活動等、表彰を受けた行為や活動、標準化された検査の結果など、指導上参考となる諸事項

児童氏名

総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 記 録

学年 学 習 活 動 観   点 評    価

4

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様式3 (指導に関する記録)

職業

・家庭

作業

学習

数 

 買物学習では、100円硬貨と10円硬

貨を用いて、コンビニエンスストアで好きな飲み物を買うことができた。

~以下省略~

社 会

特別活動

自立活動

 「一人で昼食を作ろう」という単元では、焼きそば作りに取り組み、もやしとソーセージを具材にして、IH調理器を用

いて、一人でつくることができた。~以下省略~

 農園芸班に所属した。除草作業では、根

気強く、集中して除草に取り組んだ。ジャガイモの袋詰めでは、指示された数の袋詰めができ、自分から、検品の報告をすることができた。~以下省略~

美術

保健体育

作業学

 和紙の折染めうちわ作りでは、手本を見ながら、和紙を折り、好きな色を自分で選択して、和紙の折染めを作り、その色合い

を楽しむことができた。~以下省略~

 ビーチバレーボールでは、相手のコートにスパイクを打ち、得点をあげることができた。マラソンでは、1kmを○分○秒で走った。~以下省略~

自立活動

保健体育

職業・家

その他

特別活動

美 術

2

整理番号

区分生 徒 氏 名

学年

知1

国 語

学  級

教科等

音 楽

理 

国語

生活単元学習

 「カノン」の合奏で、ハンドベルの

「ミ」と「ラ」の音を教員の指揮をみて、自分から正しく演奏することができた。~以下省略~

 電話の学習では、聞いたことを正しくメ

モにとることができた。~以下省略~

学  校  名

 ○○中クリーン活動では、担当場所を決めるときに、自ら進んで発言し、当日その場所を、友達と一緒に清掃することができた。~以下省略~

3

 「困ったときに、自分から相談することができる」ことを目指して、相談の仕方を学習し、繰り返し取り組んだ。学校内の教員やクラスの友達に、自分から相談できるようになった。~以下省略~

1

学年

2

各 教 科 ・ 特 別 活 動 ・ 自 立 活 動 の 記 録

1

1 3

 特別の教育課程を編成した場合、この欄に、指導形態名を記入し、新たに枠を作ります。枠の大きさは、各学校で、授業時間数にあわせて、設定します。

 右欄の国語、数学・・と表現されているものは、「知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科」の「教科別の指導 国語、数学・・」になります。

 第2学年以降は、このように授業時間数にあわせ、枠の大きさを変えることもできます。

 教育課程の編成が、前年度の内容から変更になった場合は、新たな枠を設けて、記入します。

 記入例は、作業学習の時数を減らし、新たに職業・家庭の時間を加えた場合。

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学年

1学年

第2学年

第3学年

区分 出席停止・ 出 席しな ければ

学年 忌引等の日数 ならない日数

(注)「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄には、次のような事項を記入する。

出     欠     の     記     録

生徒氏名

評  価 リサイクル活動について調べ、ペットボトルのリサイクル活動に

積極的に取り組んだ。

総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 記 録

学 習 活 動 観  点

入学(入級)時の障害の状態

知的障害「リサイクル大作戦」 学び方やものの考え方

行   動   の   記   録第1学年 第2学年 第3学年

 いつも穏やかにクラスの友達と関わることができた。「おはようございます。」と毎朝、教員や友達に自分から挨

拶をすることができる。~以下省略~

第1学年 第2学年 第3学年

総 合 所 見 及 び 指 導 上 参 考 と な る 諸 事 項

 体育祭などの学校行事と週1回の給食の時間に交流及び共同学習を行った。親しくなった友達と一緒に活動することができた。~以下省略~

3

欠席日数 出席日数

1

備     考授業日数

2

① 各教科、特別活動、自立活動、総合的な学習の時間、行動の記録を踏まえ、生徒の成長の状況等に関する総合的所見

② 生徒の特徴・特技、学校内外におけるボランティア活動等、表彰を受けた行為や活動、標準化された検査の結果など、指導上参考となる諸事項

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Ⅴ 教室環境や授業の工夫 自立を目指し、学習や生活を豊かにするために、身に付けたい力や伸ばしたい力を明

確にし、児童生徒が見通しを持って安心して自ら進んで生き生きと取り組めるよう、教

室環境や授業を工夫していきます。

1 教室環境

安全で、落ち着いた、児童生徒にわかりやすい環境づくりを心がけます。

見通しがもてる環境を工夫します。

・ カレンダー、日課表、年間月ごとの行事、個々のスケジュール

・ 時計、タイマー ・ 自ら授業の準備や片付けに主体的に取り組めるよう視覚的提示

・ 手順表

・ 活動内容の視覚提示

・ はじまりと終わりの視覚提示

どこに何があるかわかるように工夫します。

・ 名札や色わけ、ボックスなどの活用

・ 連絡帳や宿題など提出する場所の明確化

どこでどのような活動をするかわかるように工夫します。

・ 場所の視覚的表示

・ スケジュールとあわせて場所の明記

・ エリアの設定

個々に対応した学習環境を工夫します。

落ち着いて取り組める学習スペースやリラックスできるスペースなど教室内の空間を工夫

します。

・ 個別や小グループの学習、集団学習などのエリア

・ 可動式しきり板やホワイトボードの活用 ・ パソコンでの学習エリア

過度な視覚的、聴覚的刺激を取り除く工夫をします。

・ 椅子にテニスボールをつけて音を遮断

・ しきり板やカーテンの活用

・ 掲示物、掲示場所の適正化

危険な道具や安全面の管理をしっかり行います。

・ はさみやカッターなど危険な物の管理

・ 教材教具などの収納

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【教室環境の例】

①教室前方黒板 ②掲示板

⑩ ⑩

⑧テーブル

⑤児童用ロッカー⑥トレイ

⑦畳

カーテン

⑩ 児童用机

③レターケース

・個別、内容、レベル別

教材保管

②週案と個別の学習予定

1 週間の見通しを持たせる

⑥トレイ

配布物等持ち帰る

物を入れる 色で全て表示分け

⑤ロッカー

色分け、絵表示

④個別学習

⑦カーテン

着替え

⑧ テーブル

給食 作業

⑨ホワイトボード

活動エリア分け 個別課題表示

⑦畳コーナー

ままごと、絵本、 ブロック 積み木 遊び学習 自立活動

①1日のスケジュール

前日に明日の予定を同じ形式

の生活ノートの書き入れる

余計な刺激を取り除き、必要な物に注目できる工夫をする。 物や活動の場所、スケジュールをわかりやすく示す。 絵や文字、色分けによる視覚情報を活用する。

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2 授業の工夫

児童生徒が興味関心、意欲をもって自ら学び、達成感、満足感を得られるな授業作り

をします。

○ もう少しでできそうなところを目標にするなど、実態に合った目標を心がけます。

○ スモースステップで根気よく取り組みます。

○ 本人の興味のあるものや得意なものを活用します。

○ 始めと終わりがわかりやすいよう活動へ見通しがもちやすいよう工夫します。

○ 課題にメリハリをもたせます。例えば、1 コマの授業において3つの課題を用意し、

やや難しい課題と、児童生徒が自信をもって取り組める課題、楽しい課題を織り交

ぜて組み立てるなどの工夫をします。

○ 児童生徒がわかりやすい、簡潔で明解な説明と指示を心がけます。また、児童生徒

が指示を理解しているか確認することも大事です。

○ 効果的な評価や賞賛の方法やタイミングなどを工夫します。

○ 絵、写真、図、具体物、見本や手順表などを提示し、やることややりかたがわかる

工夫をします。

○ 知識の習得と合わせて、習得した知識を具体的体験の中で使う活動を設定し、より

確かなものにしていきます。

○ 児童生徒の反応や行動を予測し、予め手立てを考えておきます。

○ 児童生徒が自ら授業の準備や後片付け、また主体的に活動に取り組めるよう、教材

や活動の位置を固定するなど工夫をします。

○ 数の概念がしっかり身につくよう、日常生活の中で物を配ったり、数を数えたり、

分けたりする機会を意識的に設けます。

○ 日常生活の中で、本、連絡帳、日記、新聞など生活の中でことばや文字に接する機

会を意識的に設けるなど、言語環境を整えます。

○ 日頃から、自習できる教材を用意しておきます。

□ 実態把握は適切ですか。

□ 指導目標は適切ですか。

□ 指導内容や手立ては適切ですか。

□ 指導評価は適切ですか。

□ 教材・教具は適切ですか。

□ 学習形態は適切ですか。

□ 課題分析はされていますか。

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【授業の工夫の例】

○ 視覚情報を取り入れた指導・教材の工夫

○ 音楽を取り入れた活動の工夫 ○音楽やドラマを取り入れた表現活動

【授業の工夫の例】

数と計算「ボーリング」

倒れたピンと同じカード、数字、式

数の仕組みとお金「買い物学習」

金種の弁別、位取り、数の仕組み、

作業の段階見本の提示 1 布のはしを 2 つに折る。 2 まちばりでとめる。 3 はりに糸を通す。 4 玉どめをする。 5 はしから1㎝の縫い目で

縫う。 6 はしまでぬったら玉結びをする。 7 糸を切る。

パネルシアター(絵の操作) 音声言語の文字化(吹き出し) 物語全体の概観(粗筋 因果関係の理解)

体育の授業の流れ(年間を通して固定)

○ 集合の音楽(決まった行進曲) 1 はじまりのあいさつ 2 ラジオ体操(ラジオ体操の曲) 3 マラソン(駆け足BGM)

○ 集合の音楽 4 メインの運動 (音楽でセット化)

○ 集合の音楽 5 おわりのあいさつ

音楽劇「スイミー」

動作や台詞を考えて共感・理解・表現

児童生徒の興味関心を生かし、伝わる方法(わかる言葉、絵、文字など)で主体的

に活動できるわかりやすい活動の場と流れを工夫する。小集団での活動の中に個の実

態に合った目標を設定し、意欲的に活動できる計画を立てる。

写真

写真

写真

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【連絡帳書式の参考例】

連絡帳への記入も文字や数、生活について学ぶ大切な学習の機会です。連絡帳の書式に

ついても、児童生徒の実態に応じて工夫して作成します。小学校特別支援学級で作成して

いる書式の例を紹介します。

月がつ

日にち

曜日よ う び

てんき

きょうのできごと 月 日 きのうねたじこく ( 時 分)

けさおきたじこく ( 時 分)

生活や学習のめあて じぶんでふりかえる 先生からひとこと

例:10 分いないで生活ノートをかく

例:5分いないにきがえる

げこうじこく 時 分

手紙( )まい

ぎょうじ・れんらく

もちもの しゅくだい

月 日 曜日

家庭から

学校から

児童生徒の日常生活の指導や自立活動

における課題をとりあげています。

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Ⅵ 交流及び共同学習

1 交流及び共同学習の意義

さいたま市では、「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」が平

成23年4月1日から施行され、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人権と個性を尊

重し合える共生社会実現に向けて、より一層の推進に努めています。

この共生社会実現のためには、障害のある人と障害のない人が互いに理解し合うことが

不可欠であり、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒、あるいは、地域社会の人たち

とが、ふれ合い、共に活動する機会を設けることが大切です。

障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習は、互いに理解し合う

中で、双方に豊かな人間性を育成する機会となります。また、障害のある児童生徒にとっ

ては、社会性を高め、社会に参加し自立できる自信と力を育む上で重要な役割を担ってい

るとともに、障害のない児童生徒にとっては、障害のある児童生徒やノーマライゼーショ

ン理念に対する正しい理解と認識を深める役割を担っています。

このため、さいたま市では、「さいたま市立小・中・特別支援学校の交流及び共同学習の

手引き」を作成して、交流及び共同学習を積極的に推進しています。

2 交流及び共同学習の形態

(1) 小・中学校の通常の学級と特別支援学級の交流(校内交流)

(2) 小・中学校の特別支援学級間の交流(学校間交流)

特別支援学校、幼稚園・保育園との交流

(3) 小・中学校の特別支援学級と地域の人々との交流(地域交流)

<校内交流> 通常の学級⇔特別支援学級 ◎直接交流 ① 行事交流(運動会、遠足、社会科見学等)

② 教科交流(児童の実態による) ③ 日常生活での交流 (朝の会、給食、掃除、休み時間、登下校等)

◎間接交流 ・作文、学級だよりの交換など

<学校間交流> 中学校特別支援学級 小学校特別支援学級 特別支援学校 幼稚園・保育園

<地域交流> 自治会・公民館 商店街(買い物学習)

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3 交流及び共同学習の進め方

(1) 関係者の共通理解を図る

交流及び共同学習の実施にあたっては、保護者を含め、関係者が交流及び共同学習の必

要性や意義等について十分な共通理解をもつことが大切です。交流及び共同学習を効果的

に実施するためには、児童生徒の特性を理解した上での接し方や相手校の教育の実際につ

いて、関係者で話し合いの機会をもち、共通理解を深めるよう努めます。

(2) 組織作りを行う

活動を実施するにあたって、関係者との話し合いや連絡調整を行う組織作りを行います。。

例えば、校内交流の場合は、「1年生の担当はA先生、2年生の担当は…」というように、

各学年との連絡役を決めておくと、連絡調整がスムーズです。

(3) 指導計画の作成をする

交流及び共同学習の年間指導計画や活動ごとの指導計画を作成します。その際には、教

育課程上の位置づけ、評価、形態や内容、回数、時間、場所時間、役割分担、協力体制等

について十分検討することが大切です。

活動を継続するためには、双方に負担がかかるような無理な計画はさけ、できるところ

から交流及び共同学習を行うことが大切です。

(4) 交流及び共同学習の実施にあたって

ア 事前に行うこと

障害のない子どもたちに対する事前指導には、障害についての正しい知識、障害のあ

る子どもたちへの適切な支援や協力の仕方等についての理解を促します。

地域の方や保護者に対しては、障害のある子どもへの教育のあり方について理解につ

ながる取組が大切です。

障害のある子どもたちに対する事前指導では、積極的な行動、支援や協力の求め方・

断り方、自分の気持ちの伝え方等を身につけておくことが必要です

イ 交流及び共同学習の実施時に配慮すること

(ア)子どもたちが主体的に活動に取り組めるようにします。

(イ)活動の状況を常に把握し、指導・助言をします。

(ウ)事故がないように安全に留意します。

ウ 事後に行うこと

実施後、かかわりが深められたか、無理な活動はなかったか等、活動について振り返

りをします。そして、次回の交流及び共同学習につなげていくことが大切です。

エ その他の配慮事項

交流学級に特別支援学級児童の机・椅子を用意しておきます。また、必要に応じて、

昇降口の下足入れも交流学級と同じ場所に用意します。

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4 障害理解教育

(1) 発達段階に応じた指導

「障害理解の発達段階」(徳田,2005)

幼児・小学校低学年 小学校中学年 小学校高学年・中学生

(2) 間違った障害理解教育

障害理解教育や啓発活動の中には、間違った障害観を植え付ける恐れの内容があります。 ア 障害者の苦労を強調しすぎる イ 安易なシミュレーション(擬似体験) ウ 美談仕立てのステレオタイプ エ 「同情してはいけない・みんな同じ」教育

(3) 障害理解教育の進め方

学校教育において障害理解教育を含めた福祉教育は特別な時間に行われる、特別な学習

なのではなく、学校の教育活動全体を通じて行われるものです。また、保護者や地域の方

への理解・啓発は、行事の際に伝えたり、学校便りを配布したりして行うことができます。

ア 11月・2月(就学時健診・入学説明会)校長から保護者へ、特別支援学級の説明。

イ 4月(入学式)保護者・児童へ、特別支援学級の説明。

ウ 4月(朝会)全校児童へ、特別支援学級の紹介。(写真などを使って)

エ 特別支援学級の児童生徒が、交流学級へ行って自己紹介する。

オ 学校行事や学年行事の事前学習の際に、特別支援学級担任が話をする。

第1段階 気づきの 段階

第2段階 知識化の 段階

第3段階 情緒的理解

の段階

第4段階 態度形成 段階

第5段階 受容的行動

の段階

<第1段階> 気づきの段階 障害のある人が存在していることを気付く段階。 <第2段階> 知識化の段階 差異がもつ意味を知る段階。 <第3段階> 情緒的理解の段階 障害者との接触から痛み等をこころで感じる段階。

<第4段階> 態度形成の段階 障害者に対する適切な態度が形成される段階。 <第5段階> 受容的行動の段階 生活場面での受容、援助行動が自然に現れる段階。

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5 特別支援学級と通常の学級の交流及び共同学習 年間活動例

○…障害理解教育を含む

月 行 事 各教科等 個別交流

4 ○入学式 一年生を迎える会

○自己紹介 ○学校探検(1年)生活科

5 交通安全教室(1・3年) 社会科見学(6年)

交流授業・交流給食開始 管弦楽鑑賞教室(5年)音楽

遠足(2年) 社会科見学(3・4年) 自転車免許講習会(4年) 親善球技会(6年) プール開き(6年)

リコーダー講習会(3 年)音楽 プール清掃(6年)体育

7 ○交流会①(3年) 夏季休業中の水泳指導

プラネタリウム学習(4年)理科

8 夏季休業中の水泳指導

9 運動会 鍵盤ハーモニカ講習会(1年)音楽

10

交流給食(1年開始) 遠足(1年) 社会科見学(5年) 修学旅行(6年)

秋祭り(1・2年) ハロウィンパーティ(3年)総合 消防署見学(4年)社会

11 ○○小フェスティバル 校内持久走大会

○福祉学習(5年)総合

1 防犯教室 ○交流会②(3年) 特別支援教育作品展

民謡教室(3年) 携帯電話教室(6年)総合

2 クラブ見学(3~6年) クラブ発表会(3~6年) お別れ球技会(5・6年)

○ブラインドサッカー(5年)総合

3 6年生を送る会 卒業を感謝する会(6年) 卒業式(5・6年)

県立美術館見学(6年)図工

特別活動 クラブ活動 委員会活動 縦割り活動 児童会活動 教科の交流 (児童の実態による) 教科外の交流 (英語・総合等) 日常生活での交流 ・通学班 ・朝自習 ・朝の会 ・休み時間 ・給食 ・掃除 ・一斉下校

その他 ※ PTA 主催の学年活動に親子で参加(希望者)

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(1) 実践事例1(小学校)「日常の交流」 本校の特別支援学級は知的障害学級です。4名の児童を担任と特別支援学級補助員の2

名で指導しています。交流の内容は、朝会、朝自習、朝の会、教科(体育、音楽、家庭科

実習、英語)、各学年の社会科見学、学年行事、宿泊学習に参加しています。この項では、

日常の朝自習、朝会、朝の会の交流を中心に記述していきます。 ア 交流の原則 本校の特別支援学級は交流学級においていくつかの原則があります。一つめは、交流

に担任や特別支援学級補助員が付き添わなくても、自力で準備をして決められた時間に

行き、帰ることが出来ること。二つめは交流学級の担任の指示に従って活動することが

でき、落ち着いて全体の流れに合わせて活動できること。そして最後に、交流学級の児

童と、ある程度の関わりをもつことが出来ること。上記の3つを基本原則として、様々

な状況の変化を勘案しながら交流活動を実施していくことです。 留意事項・原則 (ア) 時間に合わせて自力で準備をして、教室に行き、帰ることが出来る。 (イ) 交流担任の指示に従い、全体の活動に合わせた行動が出来る。 (ウ) 交流学級の児童や担任とある程度の関わり合いを持つことが出来る。

イ 年度末の話し合い活動 年度末に交流学級の担任と必ず来年度の学級編成について打ち合わせをします。その

内容は、1年間を通した人間関係や学習上の懸案事項を考慮するとともに、行動上配慮

することについて交流学級の担任と話し合います。相互に情報交換を行い、交流するこ

とでより教育効果が高まるよう配慮した学級編成とします。 留意事項・担任との話し合い (ア) 来年度の学級編成に向けての情報交換 (イ) 学級編成の具体的な人選について

ウ 1学期始業式 始業式後、学級指導として、交流学級の指導の場に、該当児童と担任が訪問して児童

の自己紹介、担任としての児童紹介(児童のもつ障害に関わることも含めた 紹介)やお願いすることを具体的に説明します。・・・事前に話す内容について保護者の

了解を得ておきます。状況によっては(児童の保護者の了解と担任が様々な面から考慮

して、実施できると判断した場合)、保護者が直接交流学級の児童や担任に自分の子ども

を紹介したり、交流活動に際しての要望等を話してもらったりする場合もあります。始

業式前には、下足箱の位置と記名、交流学級での机と椅子、学年だよりに氏名が掲示さ

れていること、学年便り等の文書配布システム、朝自習や朝会、朝の会の参加や戻り方

等いろいろな約束について打ち合わせをしておくことが重要です。

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留意事項・新年度の実務的な作業 (ア) 児童に直接的に関わること・・・下足箱の位置、記名、教室の机と椅子、

座席の位置、児童番号、自習の内容 (イ) 児童に間接的に関わること・・・・学年便り等の文書の授受方法。

4月の学年便りで児童名が記載されている。 (ウ) 児童の指導に関わること・・・・・交流教室に行き帰る時間、入り方や出方、

挨拶の仕方、友達との関わり方 エ 日常の交流について なるべく担任・特別支援学級等補助員が児童とともに行動をともにすることによって

ある程度実態を把握するようにしています。その後は、児童の様子を見ながら出来るだ

け前述した原則に沿って交流活動に臨ませます。本校の特別支援学級は冒頭で紹介した

内容で交流しておりますが、ここでは毎日交流している朝自習、朝の会、朝会や集会に

ついて述べていきます。 毎朝、登校後の支度や自分の係等の仕事が終了した後、朝会はなにも持たずに、自習

は、朝自習バッグに担任が用意したドリルやプリントを入れて8時15分には出発しま

す。教室に入るときは、必ず「おはようございます」と挨拶するように指導しています。

8時30分より朝自習や朝会が行われます。その後、交流教室での朝の会があります。

朝会の時や朝自習、朝の会は、担任、特別支援学級補助員は分担して児童を見守ります。

いろいろな場面で指導すべきことがある時はすぐその場で指導するようにしています。 朝の会の終了前に、担任は特別支援学級の教室に戻り、各児童の帰りを待ちます。各

児童は交流学級の担任の指示で朝の会の終了を確認し、最後に交流担任に挨拶をして戻

ります。特別支援学級補助員は付き添いが必要な児童につくようにしています。また、

教室に遅れて戻る児童がいないように各教室を確認してから教室に戻るようにしていま

す。児童全員の帰りを確認後特別支援学級の朝の会を始めます。 留意事項・朝会、朝自習、朝の会

(ア) 教室に向かう時間の設定、持ち物の確認 (イ) 教室に出入りする時の確認事項と挨拶の仕方の指導 (ウ) 担任と特別支援学級補助員の役割分担を事前にしておく (エ) 該当児童が教室に戻るまで安全を確認する

目標 (ア) 朝自習・・・教員がいなくても課題を時間内に終了することが出来る。 (イ) 朝の会・・・日程を確認し変更等を認識する。教室に戻って発表出来る。 (ウ) 朝会等・・・交流学級の一員として話しを聞いて行動することが出来る。 以上が朝会や朝自習、朝の会の指導で心がけることになります。

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(2) 実践事例2(小学校)「行事交流」

学年や学校全体の行事および区内や市内の合同行事での交流 事例 〈小学校の運動会〉 本校は全学年4学級の学校です。本校の特別支援学級は、学級数5学級、児童数34名、

教師6名、特別支援学級補助員1名の学級です。各教員は担当の学年を決めています。ま

た主に低学年では、運動会の練習が始まるまでに、学年担当の教師は、障害理解授業とし

て学年の特別支援学級の児童のことを知らせる授業をしています。 本事例は6学年の運動会への取り組みです。

【前日までの取り組み】 ※印は実際の様子です。 ア 練習日程の把握 ○ 練習日程から毎時間の学年練習と練習学年以外の児童の授業及び職員体制を作成しま

す。 ○ 職員の係分担では当日実質動けない(児童に付き添うことになる)ことを前提に係に 入ることを全職員に理解をいただきます。また、当日児童がいる間に動かなければなら ない係は、できるだけ外してもらうよう依頼します。

○ 児童の係への参加を考え、児童の実態から可能であれば係に入ります。 ※特別支援学級は原則6年生が係りに参加しています。6年担任が入退場門係なので、

児童5人は入退場門係に参加しました。 ○ 学年の練習時間や授業変更等は保護者に伝えます。 ※学年便りで連絡をし、詳細は各学級から連絡帳等で連絡しました。

イ 学年種目の確認 ○ 児童の参加種目内容や参加の仕方の案を決めます。

※本校は特別支援学級の参加は原則次の通りにしています。 ・ 個人競技(徒競走や障害走等)は全員参加します。 ・ 団体競技種目は原則全員参加ですが、内容や安全面等を配慮して検討します。 ・ 演技種目は原則全員参加ですが、児童の実態を考慮して検討します。 ○ 学年と打合せをします。 ○ 本人、保護者とも相談します。 ※通常の学級の体育の授業に6年生1名が参加していましたので、学年競技種目の「学

年リレー」に全員参加しました。騎馬戦(5,6年団体種目)は1名が通常の学級で参

加し、4名は特別支援学級でまとまって参加しました。騎馬戦は特別支援学級で紅白1

騎ずつ作り参加しました。組体操は、自分で周りを見て動ける児童は1人から2人組演

技まで通常の学級の列に入り参加し、3人組から特別支援学級の位置に合流しました。

演技内容は全体の動きに合わせながらも、児童が自分たちで作れる内容を創作し取り組

みました。 ウ 練習を進める中で ○ 児童の参加状態を把握します。周りの通常の学級の児童に協力を得る声かけをします。

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練習を進める中でも参加の仕方を本人、学年、保護者と相談しながら検討します。 ※1名が太鼓など大きな音を全く受け付けられないため、その児童の参加する種目では

ピストルは使わない、応援団の応援時や金管バンドの演奏時等では場所を離れるよう

な配慮をしました。 ○ 教師はできるだけ学年の教師と一緒に準備等を行います。 ○ 練習日程から学年練習と練習以外の児童の授業への職員体制の見直しをします。 ○ 学年によっては予定以外にも練習を行うことがあるので連絡を密にとるとともに、突

然の変更への対応の仕方を考えておき、臨機応変な対応が大切となります。 ※1週間毎の学年会で各学年の練習予定や児童の様子等の情報を共有化しました。

○ 児童席の座り方の確認をします。 ※児童の応援席の座る順番を前列より低学年からの学年順にしました。

○ 主任は前日までに学級のPTA役員に協力のお願いをします。 ※当日は児童の応援席の近くにいてもらうこと、児童の様子やトイレへ引率等を依頼し

ました。 ○ 保護者は可能であれば児童席の近くの場所にいてもらう。可能であれば児童席の後に

スペースを確保しておきます。 ○ 担任は練習の状況等を連絡帳等で各保護者に伝えます。 ○ 保護者に衣装準備等の協力を依頼する等を通して、保護者が少しずつ運動会への関心

を高めるようにします。 ○ 衣装の準備等でお手伝いが必要な時は、保護者に予め時間と内容を伝え協力を得ます。 【当日の取り組み】 ○ 職員の動きのタイムテーブルを作成します。応援席、入場門への引率者、入場担当者、

演技中の担当者、退場担当者、退場から応援席までの引率者を決めます。 ※ 必ず教職員が児童の応援席にいるように検討しましたが、教職員が居ない時間ができ

たため、PTA 役員に児童席の見守りをお願いしました。 ○ 教職員はトイレやアクシデントが起きた時の対応の共通理解を図ります。 ○ 児童のトイレへの引率は職員に余裕がなければ保護者や児童係の児童に依頼します。 【事後の取り組み】 ○ 児童が下校するまで児童優先で行動し、下校後は片付けに合流する。 ○ できたら保護者に所属学級の担任や学年主任に一言お礼のことばをお願いする。 ○ 主任は各学年主任等に一言お礼のことばをする。 (3) 実践事例3(中学校)「教科交流」 ア 生徒の実態をつかむ 小学校からの情報(個別の教育支援計画他)や保護者からの情報(生育歴)、特別支援学

級担任による日常的な観察などから生徒の発達(学習状況、得意不得意、運動能力)、障害

の状態(診断名)、健康状態、性格、行動特性などを総合的に把握していきます。

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イ 交流をする教科(学習内容、単元)を決める 生徒の特性をふまえて、理解しやすい学習内容や参加しやすい活動内容を選択し、交流

する教科を決めます。本校では、それらを踏まえて音楽、体育の教科交流を決めました。 次に、音楽と体育の教科交流が可能かどうか、保護者と本人に教科の年間の学習内容を伝

えます。生徒それぞれの特性や保護者および本人の意向を確認したうえで、交流および共

同学習する教科を決めます。ですから、2教科交流する生徒もおれば、1教科交流だけの

生徒もいます。また、本校で実施している合唱祭の練習の期間(約1ヶ月)だけ教科交流

に参加している生徒もいます。 ウ 教科交流する時間を決める 学年の異なる生徒が在籍する特別支援学級で、学級の時間を確保しつつ、交流の時間を

組み込むのは大変な作業となります。そこで本校では、最初に通常の学級の時間割で交流

教科の時間(体育と音楽)を組み入れてから、学級の時間割を作成しています。交流授業

と学級の時間割で、例えば、一週間の中で交流体育と交流国語が何回も重ならないように

配慮しながら、時間割を作成していきます。そのため、時間割を前期・後期で変更して、

計画を立てています。 エ 交流の教科担当者との連携 交流授業には、生徒一人で参加することを原則としていますが、最初の時間や中学校に

慣れない1年生の授業には、特別支援学級の担当者が一緒に交流するようにします。そこ

で、交流および共同学習する担当者との連携が大切になってきます。また、交流授業のた

めの個別の指導計画を作成しています。 教科担当者との連絡は、なかなか時間がとれないのが現実です。しかし、短時間でも連

絡をとる必要性が感じられたことがありました。交流音楽に参加している A さん。今日は、

音楽の歌のテストということでも事前にテストの流れや内容を指導しました。私たちは、

「落ち着いてがんばってきてね。」と送り出しました。テストが終わってニコニコしながら

戻ってきた A さん。「今日は、完璧だった。みんなの前で歌えました。」と話してくれまし

た。それを聞いて、私たちは、「すごいね。がんばったね。」と拍手で賞賛しました。とこ

ろが後日、教科担当の先生と話をしたところ、「実は、みんなの前で歌えなかったの。」と

言われびっくりしてしまいました。 ですから、交流の学習から戻ってきた休み時間の 10 分間でも、こちらから出向いてその

日の教科交流の様子を聞くなどするとよいです。 オ 交流を深めるために 教科交流は、その時間だけのものではありません。交流学級の生徒が特別支援学級の生

徒を常に学級の一員として意識できるようなつながりが大切です。そのために、日頃から

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(ア) 交流学級の名簿に生徒の名前がある (イ) 交流学級に生徒の座席がある (ウ) 学年に対する配布物の漏れがないようにするなどの配慮が必要です。

また、本校では、各学級に「特別支援学級かかり」(2人程度)を作ってもらい、教科交

流のある休み時間に迎えに来てもらうなどしています。迎えが来たときの生徒のうれしそ

うで、かつ恥ずかしそうな姿が印象的です。 さらに、本年は交流音楽の担当の先生に特別支援学級の

音楽授業を見学していただきました。教科交流では、 ほとんどしゃべらない B くんが、にこにこ笑いながら 授業に参加し、元気に歌う姿を見て、その様子の違い にびっくりされていました。 特別支援学級の生徒は、教科交流の時間になると「交 流授業にいってきます。」と元気な声で出かけていきます。 しかし、教科授業から戻ってくると疲れた様子もうかが えます。教科交流に参加することは、特別支援学級の生 徒にとって、とてもエネルギーのいることでもあるよう です。時々、教科交流の様子を本人から聞いて、がんば っていることを褒めたり、授業の様子を見に行くなどし、 本人のエネルギーを補充してあげる必要があります。

生徒が用意している交流授業セ

ット。すぐに授業に参加できるよ

うに必要なものが全部入ってい

ます

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通常の学級

通常の学級の先生

特別支援学級

特別支援学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級の児童生徒交流及び共同学習

通常の学級

通常の学級の先生

特別支援学級

特別支援学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

通常の学級

通常の学級の先生

特別支援学級

特別支援学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

通常の学級

通常の学級の先生

通常の学級

通常の学級の先生

特別支援学級

特別支援学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級

特別支援学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級の児童生徒交流及び共同学習

Ⅶ 特別支援学級の弾力的運用

1 特別支援学級の弾力的運用とは

通常の学級に在籍する特別な配慮を必要とする児童生徒が一人ひとりの教育的ニーズに

応じて、適切な指導や支援を受けるために、特別支援学級の弾力的運用という方法があり

ます。 この特別支援学級の弾力的運用とは、通常の学級に在籍する特別な配慮を要する児童生

徒が、一人ひとりの教育的ニーズに応じて、通常の学級で個別の支援を受けることや特別

支援学級担当教員等の個別指導を受けること、そして、特別支援学級の授業に参加するこ

となどのことで、一人ひとりに応じた適切な指導や支援を受けることができることです。 そして、この特別支援学級の弾力的運用を円滑に進めるためには、特別支援学級の児童

生徒の交流及び共同学習を進めて行き、学校全体で体制を整えていくことが不可欠になり

ます。 2 特別支援学級の弾力的運用の形態

特別支援学級の弾力的運用とは、次のような方法があります。 (1) 特別支援学級担当教員は通常の学級の特別な配慮を必要とする児童生徒と特別支

援学級の児童生徒を一緒に指導します。 (2) 特別支援学級担当教員が通常の学級の特別な配慮を必要とする児童生徒の個別指

導を行います。 ・放課後等の時間を活用 ・特別支援学級の児童生徒が通常の学級に一人で交流及び共同学習に行くことで、特

別支援学級担当教員が個別指導できる時間を確保します。 ・特別支援学級担当でない教員が特別支援学級の指導を行うことで、特別支援学級担

当教員が個別指導できる時間を確保します。

特別支援学級 通常の学級

特別支援学級の先生 通常の学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級 通常の学級

特別支援学級の先生 通常の学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級 通常の学級

特別支援学級の先生 通常の学級の先生

特別支援学級 通常の学級

特別支援学級の先生 通常の学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

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特別支援学級

特別支援学級担当以外の先生

特別支援学級の先生

または

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級の児童生徒交流及び共同学習

通常の学級

通常の学級の先生

特別支援学級の先生

特別支援学級

特別支援学級担当以外の先生

特別支援学級の先生

または

特別支援学級

特別支援学級担当以外の先生

特別支援学級の先生

または

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級の児童生徒交流及び共同学習

通常の学級

通常の学級の先生

特別支援学級の先生

通常の学級配慮を要する児童生徒

特別支援学級の児童生徒交流及び共同学習

通常の学級

通常の学級の先生

特別支援学級の先生

(3) 特別支援学級の担当教員が特別支援学級の児童生徒に付き添って交流及び共同学

習を行う際に、通常の学級の特別な配慮を必要とする児童生徒の支援を行います。 (4) 特別支援学級の担当教員が、通常の学級に行き、特別な配慮を必要とする児童生

徒の支援を行います。 ・特別支援学級の児童生徒が通常の学級に一人で交流及び共同学習に行くことで、特

別支援学級担当教員が通常の学級で指導できる時間を確保します。 ・特別支援学級担当でない教員が特別支援学級の指導を行うことで、特別支援学級担

当教員が通常の学級で指導できる時間を確保します。 3 特別支援学級の弾力的運用の方法

特別支援学級の弾力的な運用として様々な取り組みが考えられます。通常の学級に在籍

する児童への取り組みは、対象児童の状態や通常の学級のクラスの状況、校内の支援体制、

学級等支援員の配置等各学校の条件によって様々です。通常の学級でのトラブルで疲れて

しまった児童が、特別支援学級に来て活動をともにすることにより、心の安定が生まれる

事もあります。しかし、特別支援学級は自分の居場所ではなく、通常の学級に戻りたいと

望んでいる事も多いです。特別支援学級で過ごす児童の様子を見て、通常の学級の担任は

安心しますが、担任として一番大切な事はその児童が過ごしやすい環境を作り、居場所を

確保することです。 (1) 特別支援学級担当者としてできること ・通常の学級担任の話を聞く。(アドバイスができなくても聴いてあげることが大切) ・個別の指導計画のもとを作る。(担任は細かいことを書こうとするので、児童が達成可能

なことを目標にする) ・他機関との連携を図る。(特別支援教育相談センター、相談窓口、通級指導教室、スクー

ルカウンセラー、さわやか相談室、特別支援学校、医療機関等々多くの人たちが関わる

ことが大切) ・保護者面談をする。(就学に関係すると思われ、敬遠されることもあるので注意が必要)

・対象児童、保護者、担任には最大の味方というスタンスを常に心がける。 ・校内の支援体制の確立と運用(理解ある管理職や同僚、職員を巻き込んで、自分一人で

抱え込まないことが最も大切である)

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(2) 具体的な対処方法について ① 入学前に行うと良いこと

・児童の実態、交友関係等配慮することの確認、興奮した時の様子と対処のしかたを聞く。

(保護者、特別支援教育相談センター、就学前施設) ・入学式会場と教室の点検(担任との顔合わせ、教室の確認、式場の配置確認等)をする。

・他の児童の保護者へ、児童の特性についてどの程度説明するかの確認をする。

② 入学直後のサポート ・職員、管理職の役割分担を確認、各行事や日々の生活においての注意、学級支援員、少

人数等支援員、養護教諭や司書に児童の特性について伝え、対応の仕方を打ち合わせす

る。 ・児童の授業への参加の状態を確認後、個別検査を実施して、結果から予想されること(得意な部分と不得意な部分から今後対応が必要になる事象)を担任、保護者に説明する。ス

クールカウンセラーも検査実施、結果の解釈も可能である。 ・不適応行動への対処方法を担任、保護者と話し合う。(スクールカウンセラー、特別支援

ネットワーク連携協議会に巡回相談を依頼) ・児童が気持ちの高揚等で自分の判断で教室から出る場合は行く場所を決めておく。 ・教材や行事への取り組みに関しての対応について担任とは随時話し合う。 ・同じ学年の特別支援学級児童の交流クラスにする。行事や交流及び共同学習として行事、

授業に特別支援学級担任も児童と一緒に参加する。声をかけて特別支援学級児童の助け

を依頼する。 ・特別支援学級の楽しい行事や学習、また、交流給食に招待する。(クラス全員を数人ずつ

のグループに分けて) ③ 不適応行動が著しくなった時のサポート

・特別支援ネットワーク連携協議会、スクールカウンセラー、通級指導教室担当職員に教

育相談や巡回相談を依頼する。 ④ 特別支援学級での関わり方 ア 教室でほとんど過ごしている時期 休み時間や登下校時に積極的に声かけをして友好的な関係を作る。

イ 特別支援学級に気分転換に来る時期 ・1日に○時間程度と上限を決めて、課題を持って特別支援学級で学習する。 ・本児にとって楽しい活動のみだと教室に戻ろうとする気持ちを醸成しにくいため、本児

の課題に合わせた学習を行う。

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ウ 教室には好きな教科や楽しい内容のみしか参加しない時期 ・クラスの担任にお願いして特別支援学級との交流会(お楽しみ会)を計画してもらう。

対象児童をナビゲーターにして、特別支援学級児童の紹介を担当したり、みんなで楽し

く遊べるゲームや演技を考えてもらう。 ・対象児童が校内で過ごすための約束が必要になるので、その話し合いをする。 エ 登校が不安定になった(特別支援学級に登校する)時期 ・登校するのが辛くなり保護者同伴で登校したり、登校してもすぐ下校する場合は一緒に

ゲームをしたり、学校探検をしたりと児童にとって楽しい活動を行う。そして、保護者

面談や適応教室への教育相談を進めることも必要となる。 ・児童の不安を軽減するために学校でどんな活動をしたいのかを児童、担任、保護者を含

めて相談を行う。児童自身が納得できることが大切である。 ⑤ 周囲の環境調整をするために ア 児童が安心できる居場所を確保するための約束づくりをする。(保護者、担任、児童、

特別支援学級担任、関係者立会いのもと、最低限守れそうな内容で児童に確認をする)

・登校できそうな日を表明させ、登校したら一日の予定を立てさせる。 ・学校からの手紙や配布物を教室に取りに行く。 ・児童の好きな部屋でのルール、特別支援学級でのルール(いつ来てもOK、ただし、特

別支援学級児童の邪魔はしない。特別支援学級の児童は自分の課題を行う、担任は対象

児童の相手をしながら授業や活動を続ける)職員室、保健室、図書室でのルールをつく

る。 イ 発想の転換を呼びかける(保護者、担任や管理職に対して)

・活動の場、学習の場を学校以外で見つける。 ・学校に来たり、教室で学習をするのが当然という考え方をやめ、児童が登校したらよく

来たねとほめる。 ・できて当たり前という考えはしない。他の児童にとっては何気なくできる事が、できる

ようになりたいと願っているにもかかわらず難しい児童もいる。 ・どうみてもわがままにしか見えないかもしれないが、本人はできないことに悩み、自己

嫌悪に陥っている。

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ウ 児童や保護者を守るために心がけること ・周囲または,児童の保護(壁)となる。(周囲からの過剰な期待や自分で頑張ろうと思いす

ぎてつぶれてしまう事のないように) ・保護者と常に連絡を取り合い、気持ちの維持、高揚させるための面談を随時行う。 ・他機関と連携する。(例:学習の場は塾や通信講座、趣味等は地域の団体、行政の機関を

利用する) ・医療機関、療育機関から必要に応じて情報を受け、常に現在の状況や児童の実態に合った

支援を行う。 (3) 指導のポイント ・本児の頑張りを誰よりも認める。次の目標を立てさせる時には本児が必ず達成できると共

に今後の自信につながるものとなるように考えて、確認を取って進める。(スモールステ

ップ) ・どんな時でも児童の希望があれば、可能な限り拒否せず受け入れる。 ・児童には行動を強要せずに、複数の方法を提示して選択させる。

どんなアプローチをしても全く変化することなく、かえって状態が悪くなったように

見えることもあります。しかし、必ず飛躍する時が来ます。その時を信じて保護者や児

童を常に支えてあげるということが大切です。

4 特別支援学級の弾力的運用の事例

市内のある小学校では、特別支援学級の弾力的運用を発展させ、「SS(Special

Support)ルーム」を設置し、児童への支援を行っています。

(1) 特別支援教室「SSルーム」の設置と運用

特別支援教室を「SSルーム」と名付け、LD・ADHD・高機能自閉症等の児

童生徒も含め、原則として通常の学級に在籍しながら、教員の適切な配慮、ティー

ム・ティーチング、個別指導や学習内容の習熟に応じた指導などの工夫により通常

の学級において学習をしつつ、必要な時間に取り出し、特別の指導を受ける教室の

ことです。

普段は在籍している学級で学習し、特別な教育的ニーズに応じて、必要な内容を

必要な時間だけ「SSルーム」に通級して指導を受けます。子どもの実態により1

対1の個別指導や小集団指導等を受けます。

特別支援教室「SSルーム」

通級による指導

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児童の教育的ニーズにより、学習面への支援として教科学習の指導、学習障害(LD)

への対応として読み書きの改善を図るための支援や聞く・見る・話す・書く等の多

感覚を利用した支援を受けます。

担当指導者は、子どもたちが在籍学級で生き生きと生活し学習できるよう、個々

の教育的ニーズに応じて担任教師や保護者との情報交換を図りながら、指導内容や

方法の充実に努めます。本校は特別支援学級担任が中心になり、計画、運営にあた

り特別支援学級担任の他、教務主任、初任者指導教諭、通常の学級担任等が空き時

間等を使い「SSルーム」での指導にあたります。

児童用机・椅子・教材・教具・備品の整備・個別ブースの設置

(2)特別支援教室「SSルーム」の対象となる児童

繰り返し同じ行を読んだり似たような字を間違えたりしてしまう

平仮名やカタカナ,漢字を読むことに困難がある

個別に話すと分かるが一斉の指示で分からない

注意しても鏡文字を書いてしまう

不器用で運動も苦手,作業もぎこちない

少しの変化に混乱してしまう

聴覚,視覚,味覚,触覚等が過敏

言葉を字面とおりにとってしまう

興味のあることばかり話して,会話がかみ合わない

冗談が通じにくく,よくトラブルを起こす

担当指導者

支援内容

特別支援教室「SSルーム」の整備

「SSルーム」 個別ブース

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(3)こんな工夫をすると分かりやすくなります。

・指でなぞる。定規を活用する。 ・絵カードの活用

・蛍光ペンやマスキングシートを使用 ・単語カード(5W1H)を活用

・文字カードで単語に親しむ ・簡単なことばあそびやクイズ

・かるたゲームや絵本の活用 ・なぞなぞ作り

・ノートの罫線や升目の使い方を工夫 ・具体物やタイル等を活用

・声に出して読みながら書く ・パソコンや電卓を活用

・ぬり文字 ・なぞり書き ・九九ビンゴ計算クイズ

・刺激の少ない環境(座席の位置)を設定 ・簡単な計算やクイズで集中させる

・音や光りの調整 ・作業活動で気持ちを安定させる

・場所を変えて落ち着くのを待つ ・医療機関との連携を取る

・穏やかにゆっくりとした関わりを持つ ・投薬のサポートをする

集中することが苦手

多動,衝動的な行動がある

些細なことでカッとなりやすい

ケアレスミスが多く,作業が雑である

忘れ物が多く,注意も持続しにくい

「読む」ことが苦手 「話す」ことが苦手

「書く」ことが苦手 「計算する」ことが苦手

外部の刺激に反応しやすい

攻撃的・危険なことをする 落ち着かず授業に集中できない

なかなか授業に入れない

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ひらがなのなぞり

音読指導

絵本を使って

具体物を使って

かけ算・わり算

かくれている数は

かけ算を作る

時間を計りながら

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Ⅷ 産業現場等における実習

1 実施計画作成に当たって

(1) 法的根拠と目的 中学部の職業・家庭科に示す「産業現場等における実習」を他の教科等と併せて実施す

る場合は、作業学習として位置付けられます。 「産業現場等における」実習に示す「産業現場」とは、実際に産業にかかわっている企

業や商店、農場などを指してます。「等」とは、作業所などの福祉施設、市役所などの公的

機関を指しています。 「産業現場等における実習」の目的は、特別支援学校学習指導要領解説では、「一定期間、

職場での生活や仕事を通して、職業生活の実際を経験し、働くことの大切さを感じたり、

職場のきまりを知るなど社会に通用する働く力を身に付けたりすることによって、将来の

進路選択につなげるようにすること」としています。 なお、総合的な学習の時間に行われる「職場体験活動」及び特別活動における勤労生産・

奉仕的行事としての「職場体験」を、「産業現場等における実習」の代替として位置付ける

根拠は認められません。 (1) 実施計画作成上の留意点 産業現場等における実習を計画するに当たっては、生徒の実態に合わせて、充分に協議

する必要があります。また、実習を行う場合は、以下のことに留意することが大切です。 ① 職業・家庭、作業学習、進路指導を教育課程に位置付け、あらかじめ計画します。 ② 関係諸機関や家庭との連携に基づいて実習を計画します。 ③ 実習先の開拓に当たっては、学校の教育活動として行う実習の意義などが実習先に

理解されるようにします。そして、実習先は、生徒の実態に応じて、無理のないよ

うに決定します。 ④ 保護者に対して、産業現場実習の意義やねらい、引率、配慮事項等を十分に説明し、

保護者の理解が得られるようにします。 ⑤ 実習先における担当者と、実習期間や実習時間、仕事内容、指導方法、配慮事項な

どを確認し、生徒一人ひとりに応じた適切な支援ができるようにします。 ⑥ 実習開始前までに、実習先に通うための指導(実習期間にかかる交通費は就学奨励

費の対象となる)を行い、仕事内容や実習先で必要とされる勤務態度などについて

指導します。 ⑦ 実習中における健康・安全に留意し、緊急時の対応などを実習先や保護者と必ず確

認すること(実習中の事故によるけが等については、日本スポーツ振興センターの

保障が適用されます)。また、実習先での、製品の破損や相手への怪我に対する保

険等について、保護者及び実習先との十分な確認を行います。必要に応じて、賠償・

(5) 産業現場等における実習を通して、いろいろな職業や職業生活、進路に関心をもつ。

(特別支援学校学習指導要領解説総則等編 中学部の各教科の内容〔職業・家庭〕より)

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傷害保険等の加入について、保護者に説明をします。 ⑧ 実習中の生徒の評価を行い、実習終了後の指導に生かします。 ⑨ 賃金、給料、手当などの支払いを受けないようにします。

2 実施上の配慮事項

(1) 関係書類の作成 実習先が決定した段階で、実習の実施に必要な関係書類を作成します。教育委員会へは、

実習承認願を20日前までに提出し、承認を得るようにします。さいたま市教育委員会で

は、Sネット上に関係書式の一部を載せています。 ① 必要書類 ア 産業現場等における実習承認願(校長名で教育長へ) イ 産業現場等における実習参加願(保護者から校長へ) ウ 産業現場等における実習依頼書(校長名で実習先の責任者へ) エ 産業現場等における実習承諾書(依頼書の提出と合わせて実習先責任者から学校へ) ② 参考書類 ア 個人票(実習予定生徒の個人別プロフィール) イ 実習評価表(実習責任者に評価を依頼) ウ 実習日誌(生徒が毎日の実習内容や反省を記入し、実習先指導者に提出する) (2) 事前の指導 実習の目的、勤務態度、実習事業所について、仕事内容、実習期間と時間、事前の面接、

服装や持ち物、実習中の家庭生活、通勤練習、実習日誌の記入、緊急時の対応などについ

て指導します。 (3) 実習中の指導 引率指導または巡回指導を行い、事業所の実習担当者と連携を密にして、生徒の実習状

況、作業内容の理解、通勤状況、家庭生活などについて、把握します。必要に応じて、教

員が生徒に付き添って指導に当たり、家庭との連絡を密に取るようにします。 (4) 事後の指導 実習反省会、実習日誌のまとめ、実習報告会、実習先への礼状書き、保護者との面談な

どを行い、頑張ったことを喜び合うとともに、今後の学習に向けて、自分の課題を明らか

にし、生徒が達成感をもち、意欲を高めることができるようにします。

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Ⅸ 関係機関との連携

1 各種制度・福祉サービス

本人や家族に対し、障害の状態に応じた福祉サービスや制度があります。手続きは保護

者の申請によりますが、情報を提供していきましょう。

(1) 手帳の交付

<手続き> 各区役所支援課障害福祉係

<判 定> 児童相談所

① 療育手帳

知的障害の方が各種サービスを受けるために交付されています。

<対 象> 知的障害のある方

② 身体障害者手帳

身体障害者福祉法に基づく各種サービスを受けるために交付されています。

<対 象> 身体に障害(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱等)のある方

③ 精神障害者保健福祉手帳

障害等級により各種税の控除や手当、公共施設の減免を受けることができます。

<対 象> 精神障害のために、長期にわたって日常生活または社会生活への制約

があると認められた方 (2) 手当等 ① 特別児童扶養手当 <手続き・問い合わせ> 各区役所支援課障害福祉係 <対 象> 在宅の20歳未満で、身体障害者手帳1~3級及び4級の一部、療育

手帳○A・A・B、またこれと同程度の状態の児童を養育している保護

者に対して支給されます。(所得制限があります。) ② 特別支援教育就学奨励費

小・中学校の特別支援学級へ通学する児童生徒の保護者の経済的負担を軽減するた め、その世帯の収入額に応じて、必要な経費(学校給食費、校外活動費、学用品費等) の一部を補助します。(生活保護または就学援助制度の対象者は除きます)

小学校、中学校では教育委員会より支給されます。 (3) 生活についての相談・支援 ① 障害者生活支援センター 地域で生活する障害者とその家族等に対する相談支援を行い、情報の提供や、個々

の障害者に即したサービスの利用援助などを行っています。 ② 障害児(者)生活サポート事業 地域での生活を支援するために、さいたま市に登録した団体が、身近な場所での一

時預かりや送迎、外出援助を行います。 <手続き> 各区役所支援課障害福祉係

<対 象> 身体、知的または精神に障害のある方

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③ 日中一時支援事業 障害者等に日中活動の場を提供し、見守り及び、障害者の家族の就労支援及び障害

者を日常的に介護している家族の一時的な休息を目的に預かりを行います。 <手続き> 各区役所支援課障害福祉係

<対 象> 身体、知的または精神に障害のある方

2 医療機関 (1) 総合療育センターひまわり学園 (総合療育センターひまわり学園:西区、療育センターさくら草:桜区) 運動及び精神発達等に心配のある児童に対して診察、検査等を行います。 総合療育センターを受診している児童生徒の生活集団(幼稚園・保育園・学校)

の場に訪問し、現状を確認し、関係者と情報交換を行います。 (2) その他医療機関(心療内科・精神科等) 『こころの健康ガイド』(さいたま市保健福祉局保健部健康増進課発行)を参照し

てください。 3 相談機関

(1) さいたま市特別支援ネットワーク連携協議会 <事務局> 特別支援教育相談センターさくら草

学校のニーズに応じて、学校コンサルテーションやケースカンファレンスをコー ディネートします。

(2) 特別支援教育相談センター (相談センターひまわり:西区、相談センターひまわり窓口:中央区 相談センターさくら草:緑区)

保護者からの申し込みにより発達に関する相談に応じています。 (3) 教育相談室(岸町・下落合・堀崎・北・岩槻) 不登校、いじめ、発達、性格・行動等について幅広い教育相談を行っています。

※ これらの詳細は 『さいたま市の障害福祉ガイド』(さいたま市保健福祉局福祉部障害福祉課発行)

『子育て応援ブック』(さいたま市子ども未来局子どもの育成部子育て支援課発行) に掲載されているので、参照してください。

各区役所、支援課などで手に入れることができます。各学校に 1 冊あると便利です。

※ 医療と連携をする場合は、必ず保護者の承諾が必要です。

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(4) 児童相談所 養護(虐待を含む)、障害(療育手帳の判定を含む)、非行、育成(性格行動、し

つけ等)など、児童の福祉に係る相談、関係機関とのケースカンファレンスを行っ

ています。 (5) こころの健康センター 発達障害から二次的に起きる精神症状や家族支援等、本人、家族、関係者を対象

に、心の問題に関する様々な相談を受けています。 (6) 各区役所支援課家庭児童相談室

子どもについての悩みを持つ親や保護者の相談に応じ、解決のための適切な助言 や指導を行っています。

4 特別支援学校のセンター的機能

特別支援学校には、地域の特別な支援が必要な児童生徒を支援する「センター的機

能」を設けることになっています。

(1) 相談事業 (2) 研修事業

学校公開を通した地域への特別支援教育の情報の発信、小中高等学校への出前授 業などを行っています。

(3) 啓発事業 出前研修、公開講座、学校支援ボランティア養成講座、知的障害や発達障害の理

解、疑似体験等の研修講座の実施.・企画協力、交流及び共同学習の推進を行ってい

ます。 (4) 施設設備の提供 療育サークルや障害者スポーツ団体への体育館・グランドの貸し出し、補装具の

貸し出し等を行っています。

巡回相談 ※これは特別支援ネットワー

ク連携協議会として行ってい

ます。

保育園や幼稚園~高等学校の教職員や関係者からの相

談に対する支援(実態把握、各種発達検査、行動観察、

指導内容や方法、個別の教育支援計画・個別の指導計

画作成、校内委員会の持ち方など)を行います。

教育相談

保護者や本人からの相談に対する支援。教育相談対応

での指導の実施(来校型)。電話による相談。 発達障害児への小集団活動の提供、肢体不自由特別支

援学校の専門性を生かした相談・支援など学校の特性

により様々です。

就学や 転入学に関する相談

就学や転入学に関する情報提供、小中学部体験学習や

高等部見学会、入学選考手続き関係や入学選考事前説

明会のお知らせをしています。

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平成 24 年度さいたま市における通学区域一覧

学 部 種

別 学校名

幼 小 中 高 専さいたま市における通学区域

視覚障害

県立特別支援学校 塙保己一学園

○ ○ ○ ○ ○ 全域

聴覚障害

県立特別支援学校 大宮ろう学園

○ ○ ○ ○ ○ 全域

県立春日部特別支援学校 ○ ○ ○ 岩槻区

県立浦和特別支援学校 ○ ○ ○ 次の中学校区 (岸、大谷場、大谷口、

白幡、南浦和、原山、三室、東浦和、尾

間木、美園)

県立大宮北特別支援学校 ○ ○ ○

次の中学校区 (日進、指扇、土屋、馬

宮、大宮西、植水、宮前、八王子、与野

南、与野東、与野西、桜木、三橋、大

成、常盤、内谷、土合、田島、上大久

保、大久保)

県立上尾かしの木特別支援学校 ○ ○ ○

次の中学校区 (宮原、春里、七里、大

谷、大宮八幡、片柳、大砂土、春野、大

宮東、大宮北、大宮南、第二東、泰平、

植竹、土呂、大原、本太、木崎)

知的障害

埼玉大学教育学部附属特別支援学校 ○ ○ ○ 公共の交通機関による通学時間が1時

間以内の地域

市立ひまわり特別支援学校 ○ ○ ○

北区全域、西区全域、大宮区全域、中

央区全域、桜区全域並びに、見沼区及

び岩槻区の旧国道16号(県道2号)より

北側

市立さくら草特別支援学校 ○ ○ ○ 浦和区全域、緑区全域、南区全域並び

に、見沼区及び岩槻区の旧国道16号

(県道2号)より南側

県立蓮田特別支援学校 ○ ○ ○ 見沼区、緑区、北区・大宮区・浦和区・

南区のうち高崎線より東側

県立和光特別支援学校 ○ ○ ○ さいたま市のうち高崎線より西側

肢体不自由

県立宮代特別支援学校 ○ ○ ○ 岩槻区

県立岩槻特別支援学校 ○ ○ 県立小児医療センターに入院している

児童生徒 病弱 ・ 身体虚弱

県立蓮田特別支援学校 ○ ○ ○ 国立病院機構東埼玉病院に入院・通院

している児童生徒

県立特別支援学校 さいたま桜高等学園

○ 特別支援学校

高等学園 県立特別支援学校

羽生ふじ高等学園 ○

県立大宮北特別支援学校 さいたま西分校

県立三郷特別支援学校 草加分校

特別支援学校高等部

分校

県立川越特別支援学校 たかしな分校

・入学の条件は、

①特別支援学校中学部又は中学校を

卒業した者、他

②保護者とともに県内に居住している者

③知的障害の程度が比較的軽く、自力

通学が可能な者

・通学区域は設けていない。

・療育手帳の写し(療育手帳の写しを提

出できない場合は知的障害である旨の

医師の診断書の写し)が必要書類とな

る。

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☆ 特別支援教育の情報 ☆ 以下のような機関で、特別支援教育の情報が得られます。 ○文部科学省特別支援教育のページ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm ○国立特別支援教育総合研究所 http://www.nise.go.jp/ ○発達障害教育情報センター(国立特別支援教育総合研究所内)

http://icedd.nise.go.jp/blog/ ○発達障害情報センター(厚生労働省所管)

http://www.rehab.go.jp/ddis/index.html ○埼玉県立総合教育センター http://www.spec.ed.jp/ ○埼玉県特別支援教育課 http://www.pref.saitama.lg.jp/

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Ⅹ 初めて特別支援学級を担任するみなさんへ -先輩からのメッセージー

-A先生-

・子どもとのであいの瞬間を大切にしましょう。子ども達は、初めて接したときに「自分を

受け入れてくれるかどうか」「きちんと指導してくれるかどうか」を見抜きます。万全の体

調で自信を持って始業式の日を迎えましょう。

・人それぞれにどのような理由・どのような経緯があって特別支援学級の担任になったと

しても、子どもと保護者にとっては、唯一のかけがえのない先生だと言うことを自覚し

ましょう。

・〈叱る、叱られる〉の関係でお互いに嫌な気持ちになるより、〈ほめる、ほめられる〉の

関係で、お互いに穏やかな気持ちになるほうが、子どもの成長を促し情緒を安定させる

ことができます。

-B先生-

・障がいを持っている人に、周りの人が支援の手を差し伸べることは、必要であると言わ

れる。しかし、本当の意味で支援をするとはいったいどういうことだろう。

たとえば、着替えに時間がかかる生徒がいる。私は、次の時間に間に合わないからと言

ってついつい着替えを手伝ってしまうことがある。確かに時間には、間に合うがこれで

本当によいのだろうかといつも考える。私たちは、将来社会に出て少しでも自立できる

ように生徒を育てなければならないはずである。今、着替えを手伝った大人は、毎時間

いつもそばいるとは限らない。それならば、自分で時間内に着替えられる方法や環境を

考えてあげることの方がその生徒にとって本当の支援ではないのか?

まずは、手を出さないで、こどもの気持ちが「自分でやろう」というふうになるように

援助をする。あせる生徒には「あわてないでいいよ。」、不安な生徒には、「だいじょうぶ、

上手にできているよ。」と心の支援を心がける。そして、どんな支援があれば、この子は

時間内に着替えられるようになるのか、よく観察し、時間内に着替えられる手だてを考

え、「支援」したい。

常に、ついつい手を差し伸べてしまう私とそれを我慢する気持ちとの葛藤の毎日である。

-C先生-

・初めての特別支援学級で、とても緊張されていると思います。 子ども達にとっては、教員の笑顔が何よりの「安心と励まし」になると思います。大変

な時もしんどいなと思う時も有るかもしれませんが、毎日笑顔を忘れずに「明るく、元

気よく、前向き」にがんばってください。 毎日、一生懸命がんばっていると、辛い時大変な時には、 こども達が助けてくれます。

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-D先生-

・適切な課題と先生の愛情があれば、児童は色々なことが必ず出 来るようになります。 可能性を伸ばしてあげてください。

-E先生- ・子どもの一番の理解者は、保護者。分からないことは、保護者

に聞くようにしています。子どもの支援方法のヒントがもらえます。 ・子どもの自立に向けて、色々なアイディアをまずは実践し、振り返りなら修正していく

ことで、教師としての実践力がつくと思います。一緒にがんばりましょう!! -F先生- ・子供たちや保護者の方から学ぶものがたくさんあります。 指導上困ったときには、保護者の方から話を聞き、子どもの様子をじっくりと観察し ちょっとやり方を変えてみてはどうでしょう。怒っても問題は解決しないことが多いか

も。そして、私たち教員もたくさん勉強しましょう。理論や指導スキルを持つことは大

切です。そして何より大切なことは、子どもたちと楽しく学校生活を送ることです。 -G先生- ・子どもが「わかる」「できる」授業を目指し、教材や教具を工夫できることが特別支援 教育の醍醐味です。

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-H先生-

1 誰でも最初は初めて どんなにベテランに見えても、周りの先生が自分よりしっかりしていると思っても誰

もが初めての時がありました。ですから、今がチャンスです。怖がらずに、誰にでも、

どんな事も聞けるのですから。たとえ特別支援学級を担任しているのがあなた一人でも

周りの先生は「先生」です。誰よりも人に教えるのが得意な人ばかりです。あなた自身

が本気で聞けば、きっと答えやヒントを出してくれるでしょう。 2 まずはやってみる

いざ担任になるとわからない事ばかりです。朝の会は?係活動は?交流はどうする

の?時間割は?おたよりは?まして、一人ひとりの発達段階に合わせたカリキュラム、 教材、授業の仕方一つとってもわからないことばかりです。解決の方法は・・・・・ とにかく、恐れずやってみることです。上手くいかなければ修正をしながらやってみる

ことです。そうすれば目の前の子ども達が必ず教えてくれます。

3 学校の一員 今担当している特別支援学級が、その学校に ずっと前からあった学級でも、つい最近出来た 一学級でも通常の学級と同様に一つの学級です。。 自信を持って学校の一員ということを忘れずに 運営して下さい。時には配布物がなかったり、 学年行事に声をかけてもらえなかったりする事 もあるかと思いますが、周りの先生方も悪気が あるのではなく、「ついうっかり」と言う事も 多いので、めげずに声を出してみて下さい。 「その行事は○○学級も参加できますか?」 「ぜひ、一緒にやらせて下さい。」などなど一 つ一つの積み重ねが大きな力になっていきます。

4 保護者との協力

特別支援学級では保護者との連携が特に大切になります。保護者は子どもを特別支援

学級に入級させるにあたり、本当に真剣に色々悩み抜いた方が多く、大変熱心な方も多

いのです。わが子の誕生から今までの苦労や喜び、そして将来に対する不安をいつも抱

き、今何をすべきかを考えています。保護者は学校での様子を知りたいのですが、子ど

もからの情報はとても少なく心配をしています。幸い子ども達の多くは、登下校に保護

者と一緒です。ですからお迎えの時間を利用して、保護者の願いを聞きながら、協力を

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していただき、味方になってもらうのが何より子どもの為になるでしょう。「○○ちゃ

んは何が好きですか?」「どんな事に夢中になっていますか?」「今、どんな力をつけた

いですか?」などと尋ねたり、「今日の朝の会では○○ちゃんはこんな話をしてくれま

したよ。」などと学校でのちょっとした事も伝えたりすると、保護者との距離がどんど

ん近づいてくるはずです。

5 子どもが中心

特別支援学級の担任になると、その学級のことばかりでなく、学校全体の教育相談や

就学相談、通常の学級の担任からも気になる児童の相談を受ける事も多くなってきます。 一人ひとりそれぞれの事情や課題があると思いますが、どんな場合でもブレずに話が進 められる方法があります。それは子ども中心に考えることです。「今のその子の状態」「こ のままだとどうなるかの予想」「今できる支援は?」「将来を見据えての展望は?」すぐ に結論がでない場合も多いのですが、何回も何回も相談を重ねていると見えてくること

が があります。基本姿勢は保護者、担任の先生と一緒に考えて行こうということだと思い

す。

6 先生がヒーローに

子ども達は学校が大好きです。友達と一緒に勉強して遊ぶことが大好きです。そして

何より先生が大好きです。大好きな先生と一緒に勉強してほめられ、苦手な給食をがん ばって食べてほめられ、はりきって掃除をしてほめ

られ、休み時間に一緒に遊んでもらえれば最高です。 子どもは毎朝先生を見つけると、目を輝かせ飛びつ いて来ます。そうなっていれば何も怖い物がありま

せん。先生もこの目の前のかわいい子ども達のため に本当の力をつけて笑顔をさらに輝かせるために 考えてあげれば、すべて正解になるはずです。 特別支援学級

の先生は学校中で一番かっこ良くて、一番子ども 達に人気がなくてはならないと考えています。 いつも子どもの事を考え、子どもと一緒に遊んで くれて、子どものことを守って戦ってくれて、 まさにヒーローです。通常学級の生徒や保護者 からも羨ましがられればしめたものです。 ぜひ、あなたも輝くヒーローになってください。

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【参考資料】

・特別支援学校小学部・中学部学習指導要領(文部科学省)

・特別支援学校学習指導要領解説 総則等編(文部科学省)

・特別支援学校学習指導要領 自立活動編(文部科学省)

・埼玉県特別支援教育教育課程編成要領(1)教育課程の編成(埼玉県教育委員会)

・埼玉県特別支援教育教育課程編成要領(1)

教育課程の編成・指導計画作成のための資料(埼玉県教育委員会)

・埼玉県特別支援教育教育課程編成要領(2)

小学校及び中学校 特別支援学級・通級による指導編(埼玉県教育委員会)

・2007 海津亜希子著「個別の指導計画作成ハンドブック」日本文化科学社 ・中学校学習指導要領 2008 文部科学省 ・中学校学習指導要領解説 2008 文部科学省 ・埼玉県特殊教育教育課程編成要領(3)2001 埼玉県教育委員会 ・指導資料 産業現場等における実習 2002 埼玉県教育委員会 ・特別支援学級担任、通級による指導担当教員のためのサポートブック 高知県教育センター

常盤小学校 外木 盛久

谷田小学校 松本 智彦

仲本小学校 朝倉 明子

尾間木小学校 島津しづ江

大東小学校 村浦 幸子

桜木小学校 秋山 郷思

桜木小学校 荒井 康恵

植水小学校 猪野 愛子

蓮沼小学校 大月 康子

下落合小学校 猪野 新一

東岩槻小学校 栗原 百合

大宮西中学校 石川由美子

八王子中学校 林 すみ江

岩槻中学校 廣川 博之

西原中学校 長谷川則子

(平成23年度)

表紙の絵 栗原 百合

平成24年3月 初版発行

発行:さいたま市教育委員会指導2課

特別支援学級担任の手引き執筆協力員

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この冊子は400部作成し、1部あたりの印刷経費は206円(概算)です。

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