第2回 強度計算の基礎 -...
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第2回
強度計算の基礎
1.荷重の形式
ねじりトルク:
曲げ荷重(モーメント):
トルク:引張り荷重:
圧縮荷重:
F
F
(1) 荷重の空間的に分類:
せん断荷重:
T T
F
RT=FR
P
図1 繰り返し荷重
繰り返し荷重の定義:
両振り荷重と片振り荷重
静的荷重 動的荷重
変動荷重 繰り返し荷重 衝撃荷重
時 間
荷重
𝑃𝑚𝑎𝑥:最大荷重𝑃𝑚𝑖𝑛:最小荷重
𝑃𝑚 =1
2𝑃𝑚𝑎𝑥 + 𝑃𝑚𝑖𝑛 :平均荷重
𝑃𝑟 =1
2𝑃𝑚𝑎𝑥 − 𝑃𝑚𝑖𝑛 :荷重振幅
𝑃𝑟 ≠ 0, 𝑃𝑚 = 0:両振り荷重𝑃𝑚𝑖𝑛 = 0または𝑃𝑚𝑎𝑥 = 0:片振幅荷重𝑃𝑟 = 0, 𝑃𝑚 ≠ 0:静荷重
(2) 荷重の時間的に分類:
(a) ねじりモーメント荷重 (b) 曲げモーメント荷重 (c) ねじりと曲げモーメント荷重
ねじり試験 曲げ試験 ねじり・曲げ試験
試験片 試験片 試験片
𝑇 𝑇 𝑇
𝑻 = 𝑻𝒐𝒓𝒒𝒖𝒆 (トルク)
2.試験片に荷重の加え方(材料強度試験時)
応力とは?
ひずみとは?
変形とは?
引張り応力とは?
圧縮応力とは?
接触応力とは?
曲げ応力とは?
せん断応力とは?
ひずみと変形の関係(区別)?
公称応力と公称ひずみとは?
(英語:Nominal Stress / Engineering Stress / Conventional Stress)材料試験の時,変形による試料の断面積変化を考慮せず,外力をもとの断面積で除した応力値を公称応力という。これに対して瞬間ごとの断面積で外力を除した値は真応力である。
接触応力=面圧
3.変形・応力の概念及び種類
4.ヤング率(縦弾性係数)𝐸の物理的な意味
F
𝐿 ∆𝐿
直径𝜙である丸棒の両端に引張力Fを加えると、丸棒が長さ方向にΔ𝑙伸びる。変形量Δ𝑙が大きくない範囲で、引張力Fと棒の伸びΔ𝑙との間に、比例(線形)関係が成り立つ。この線形関係は次に示すようになる。
𝐹
𝑆= 𝐸
∆𝑙
𝑙
𝜎 = 𝐸𝜀
ここで、𝑆は丸棒の面積、𝜎は引張応力、𝜀はひずみ、𝐸は比例係数
式(1)はフックの法則と呼ばれ、物理・天文学者のRobert Hookeにとって発見されたものである.𝐸はヤング率、または縦弾性係数と呼ばれる
(1)
(2)
5.せん断弾性係数(横弾性係数)𝐺の物理的な意味
せん断力Pが大きくない場合には、せん断力Pとせん断変形∆𝑦との間に、比例(線形)関係が成り立つ。この線形関係は次に示すようになる。
𝑃
𝐴= 𝐺
∆𝑦
∆𝑥
𝜏 = 𝐺𝛾
ここで、Aは梁の断面面積、𝜏はせん断応力、𝛾はせん断ひずみ、𝐺は比例係数、∆𝑥は水平方向の変形量、∆𝑦は垂直(せん断力)方向の変形量であるせん断弾性係数𝐺はまたは横弾性係数と呼ばれる。
(3)
(4)
𝑃∆𝑦
∆𝑥
6.ポアソン比𝜈の物理的な意味
F
直径𝜙である丸棒の両端に引張力Fを加えると、丸棒が長さ方向にΔ𝑙伸びる一方、直径𝜙は∆𝜙減少する。この丸棒直径の減少量∆𝜙と丸棒長さの伸びΔ𝑙との間に、一定の関係のあることが知られている。この関係はずみを用いて次のように表されると、式(5)になる.
横ひずみ:
縦ひずみ:
𝜀𝑦
𝜀𝑥= −𝜈 (ポアソン比)
ここで、𝜀𝑥は丸棒の長さ方向のひずみであり、横ひずみと呼ばれる。𝜀𝑦は直径方向のひずみであり、縦ひずみと呼ばれる。
縦ひずみ𝜀𝑦と横ひずみ𝜀𝑥の比はポアソン比𝜈である
𝜀𝑥 =Δ𝑙
𝑙
𝜀𝑦 =Δ𝜙
𝜙
F
𝐿 ∆𝐿
直径𝝓は∆𝝓減少
(5)
7.破損の形態
(1) 静的破損:
図1 応力-ひずみ線図
降伏点
引張り強さ
材料の引っ張り試験結果
鋳鉄FC25
線形関係(弾性変形)
非線形関係(塑性変形)
脆性材料
延性材料
降伏点
公称ひずみ
公称応力
(M
Pa)
材料の引っ張り試験及び試験機
。
ネジ式引張試験機ネジ式引張試験機のシステム図
荷重-伸び線図
試験片
(引張り強さ)
出典:http://ms-laboratory.jp/zai/tensile/tensile.htm
(2) 動的破損:
図1 S-N曲線
動的荷重を受ける時の破損(疲労現象)
疲労限度繰り返し数(107回)
S-N曲線の意味
動的な荷重によるもの
疲労限度応力(疲れ限度)
許容応力を定める際の基準
繰り返し数 N
応力振幅
S(M
Pa
)
8.疲労強度の評価法
GoodmanとSoderberg線図
引っ張り強さ
降伏応力
応力𝜎
時 間 t
𝜎min
𝜎m
𝜎𝑟
𝜎𝑟
𝜎m𝑎𝑥
繰り返し応力応力振幅
平均応力0
平均応力 𝜎𝑚
応力振幅
𝜎𝑟
グッダマン線(Goodman)
ゾダーベルグ線(Soderberg)
動的な荷重によるもの
疲労限度応力
9.材料の安全率を考慮した場合の疲労強度の評価法
平均応力 𝜎𝑚
応力振幅
𝜎𝑟
標準試験片の疲れ限度線
切欠き効果、寸法効果などを考慮した実物部材の疲れ限度線
(𝜎𝑚, 𝜎𝑟)
ゾダーベルグ線(Soderberg)
10.低サイクル疲れと高サイクル疲れ
低サイクル疲れ:
高サイクル疲れ:
半永久的使用を目的とした機械要素は、許容応力を定める際の基準応力として疲れ強さが一般に採用され、107回程度以上の繰り返し負荷に耐えうることを前提として設計が行われる。このような高繰り返し数(105~107)で破壊する疲れ現象を高サイクル疲れと呼んでいる。
塑性疲れは、通常、104回程度以下の繰り返し数で発生するので、低サイクル疲れと呼ばれる。
11.クリープ現象
• 一定応力の元で、永久ひずみが時間とともに増加する現象
• クリープは温度及び応力に著しく影響され、部材が高温度で長時間使用される場合に起こりやすい。
• クリープ強さは、通常、所定の負荷時間において所定のひずみまたは破断を生じ応力で表される。
クリープの典型的な曲線
ሶ𝜺:ひずみ速度
クリープひずみ𝜀
クリープ→部品の精度が悪くなる→強度が弱まる→早期破損
12.座屈現象
長柱の圧縮荷重による座屈
𝑃𝐶 =𝑛𝜋2𝐸𝐼
𝐿2
𝜎𝐶 =𝑃𝐶𝐴=
𝑛𝜋2𝐸
(𝐿/𝑘)2=𝑛𝜋2𝐸
𝜆2
機械製品の座屈例:波動歯車装置の座屈破損
FS
WG
CS
Boss
Diaphragm
座屈前の様子
座屈後の様子
13.部品同士の接触による破損
(1)金属表面のフレッチング(Fretting)
表面起点破損
ピッチング(Pitting) スポーリング(Spalling)
(2)歯車表面のピッチングとスポーリング
フレーキング(Flaking)
(3)玉軸受のフレーキング破損
内輪レース面
ボール表面
内部起点破損(軸受の正常破損であり、軸受の寿命を決める破損パターン)
軌道面フレーキング
内部起点(き裂)
14.応力集中と応力集中係数(静的な荷重の場合)
小さい円弧
(2)応力集中は部品の隅部形状(丸みRの大きさ)に敏感
(1)応力集中は部品形状が変化するところで発生する
(3)応力集中係数の定義:
大きな円弧 凹み形状
応力集中 応力緩和 応力緩和
(4)応力集中係数の使い方: 最大応力=応力集中係数×公称応力
𝛼 =𝜎𝑚𝑎𝑥
𝜎𝑛=
最大応力
最小断面部での平均(公称)応力