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FANUC Series 30+-MODEL B FANUC Series 31+-MODEL B FANUC Series 32+-MODEL B マシニングセンタ系 取 扱 説 明 書 B-64484JA-2/03

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FANUC Series 30+-MODEL BFANUC Series 31+-MODEL BFANUC Series 32+-MODEL B

マシニングセンタ系

取 扱 説 明 書

B-64484JA-2/03

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・本書からの無断転載を禁じます。 ・本機の外観および仕様は改良のため変更することがあります。

本説明書に記載された商品は、『外国為替及び外国貿易法』に基づく規制対象です。Series 30i-B, Series 31i-B5 の輸出には日本政府の許可が必要です。他の商品も許可が必要な場合

もあります。また、商品によっては米国政府の再輸出規制を受ける場合があります。本商

品の輸出に当たっては当社までお問い合わせ下さい。

本説明書に記載された商品は厳重な品質管理の下に製造しておりますが、本商品の故障に

より重大な事故または損失の発生が予測される場合には、十分な安全に対する配慮を行っ

てください。

本説明書では、できるだけ色々な事柄を書くように努めています。 しかし、こういう事はやってはいけない、こういう事はできないという事は非常に多く 説明書が膨大になり、書ききれません。 したがって、本書で特にできると書いていない事は「できない」と解釈して下さい。

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B-64484JA-2/03 安全にご使用いただくために

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安全にご使用いただくために 「安全にご使用いただくために」は CNC 装置が付いた機械(以下機械と称す)をより安全にご使用いただくために、

CNC 装置に関する安全のための注意事項を説明しています。ご使用いただく CNC 装置によっては、対応する機能が

ないために該当しない注意事項がありますのでその場合、読み飛ばして下さい。 機械の安全に関する注意事項については、機械メーカ殿発行の説明書も参照して下さい。 機械のプログラミングや操作などを行う作業者は、機械メーカ殿の説明書と本説明書を十分に理解した上でご使用下

さい。

目次 警告、注意、注について ............................................................................................................................................................ s-1 一般的な警告および注意 ............................................................................................................................................................ s-2 プログラミングに関する警告および注意 ................................................................................................................................ s-3 操作に関する警告および注意 .................................................................................................................................................... s-4 日常保守に関する警告 ................................................................................................................................................................ s-5

警告、注意、注について

本説明書では、使用者の安全および機械の破損防止のために、安全に関する注意事項の程度に応じて、本文中に『警

告』および『注意』の表記をしています。 また、補足的な説明を記述するために『注』の表記をしています。 使用する前に、『警告』、『注意』、『注』に記載されている事項をよく読んで下さい。

警告 取扱いを誤った場合に、使用者が死亡又は重傷を負う危険の状態が生じることが想定される場合に用いられ

ます。

注意 取扱いを誤った場合に、使用者が軽傷を負うか又は物的損害のみが発生する危険の状態が生じることが想定

される場合に用いられます。

注 警告又は注意以外のことで、補足的な説明を記述する場合に用いられます。

• 本説明書を熟読し、大切に保管して下さい。

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安全にご使用いただくために B-64484JA-2/03

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一般的な警告及び注意

警告 1 ワークを実際に加工する場合には、いきなり起動させずに、シングルブロック、送り速度オーバライド、マ

シンロックなどの機能を利用したり、工具やワークを取り付けずに運転するなどして、試運転で機械の動作

が正しいことを十分に確認しておいて下さい。確認が不十分だった場合、機械の予期しない動きによりワー

クや機械などが破損したり、けがをする可能性があります。 2 入力したいデータが正しく入力されたことを十分確認して、その後の操作を行って下さい。

使用者がデータの誤りに気が付かずに運転すると、機械の予期しない動きによりワークや機械などが破損し

たり、けがをする可能性があります。 3 送り速度は運転内容に対して適正な値が指令されていることを確認して下さい。一般的には機械ごとに最高

送り速度は制限されています。運転の内容によっても最適な速度は異なりますので、機械の説明書にも従っ

て下さい。 正しくない速度で運転すると、機械に予期しない負荷がかかり、ワークや機械などが破損したり、けがをす

る可能性があります。 4 工具補正機能を使用する場合は、補正方向、補正量を十分確認して下さい。使用者がデータの誤りに気が付

かずに運転すると、機械の予期しない動きによりワークや機械などが破損したり、けがをする可能性があり

ます。 5 CNC や PMC のパラメータは最適な値が設定されており、通常は変更の必要がありません。何らかの必要で

パラメータを変更する場合は、そのパラメータの働きを十分に理解した上で実施して下さい。 パラメータの設定を誤ると、機械の予期しない動きによりワークや機械などが破損したり、けがをする可能

性があります。

注意 1 電源投入時には、CNC 装置の画面上に位置表示画面又はアラーム画面が表示されるまで、MDI パネルのキー

には触れないで下さい。 保守用あるいは特殊な操作用に使用されているキーがあり、これらのキーを誤って押すと CNC 装置が予期

しない状態となり、そのまま運転すると機械の予期しない動作を引き起こす可能性があります。 2 取扱説明書ではオプション機能も含めて、その CNC 装置が持つ機能の全体を説明しています。選択されて

いるオプション機能はそれぞれの機械ごとに異なります。したがって、説明書記載の機能で使用できないも

のがありますので、あらかじめ機械の仕様を確認しておいて下さい。 3 機械メーカ殿の組込みにより実現されている機能があります。それらの使用方法や注意事項については機械

メーカ殿の説明書に従って下さい。 4 液晶ディスプレイは非常に精密な加工技術を使用して作られていますが、その特性上画素欠けや常時点灯す

る画素が存在する場合があります。これは故障ではありませんので、あらかじめご了承下さい。

注 プログラム、パラメータ、マクロ変数などは CNC 装置内部の不揮発性メモリに記憶されています。一般に

は電源のオン/オフにより、この内容が失われることはありません。しかし、不注意により消してしまった

り、あるいは障害の復旧のために不揮発性メモリに記憶されている貴重なデータを消さざるをえない事態が

発生することが考えられます。 このような不測の事態が発生した場合に速やかに復旧させるため、事前に各種データの控えを作成しておい

て下さい。 加工プログラムが格納される不揮発性メモリには書き込み回数の制限があります。 上位のパソコンから加工の都度自動的に加工プログラムをダウンロードする使い方など、加工プログラムの

登録・削除を頻繁に繰り返すような使い方の場合には、必ず「高速プログラム管理」をご使用下さい。 「高速プログラム管理」では、プログラムの登録・変更・削除時に不揮発性メモリへの保存が行われません。

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B-64484JA-2/03 安全にご使用いただくために

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プログラミングに関する警告および注意

プログラミングに関する、安全のための主要な注意事項を以下に示します。 プログラミングする際は、取扱説明書を熟読し、内容を十分に理解して下さい。

警告 1 座標系設定 座標系の設定を誤った場合、プログラムの移動指令が正しくても、予期しない動作をします。

その場合、工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能性があります。 2 非直線補間形位置決め 非直線補間形位置決め(始点と終点の間を直線的でない移動をする位置決め方式)の場合は経路をよく確認

してプログラムする必要があります。 位置決めは、早送り速度で行われるため、工具とワークが接触すると工具や機械およびワークを破損したり、

けがをする可能性があります。 3 回転軸が動作する機能 極座標補間や法線方向制御等のプログラムにおいては、回転軸の速度を十分考慮してプログラムして下さい。

プログラムが不適当であると、回転軸の速度が過大になり、ワークの取り付け方によっては遠心力によって

ワークが外れます。 その場合、工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能性があります。

4 インチ/メトリック入力変換 インチ入力とメトリック入力を切換えても、ワーク原点オフセット量、各種パラメータ、現在位置等の単位

は変換されません。運転する前にこれらのデータの単位を充分に確認して下さい。誤ったデータで運転する

と、工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能性があります。 5 周速一定制御 周速一定制御中に周速一定制御軸のワーク座標系での現在位置が 0 に近づくと、主軸速度が非常に過大にな

る場合がありますので最大回転数を正しく指令して下さい。正しく指令しないと、工具や機械およびワーク

を破損したり、けがをする可能性があります。 6 ストロークチェック 手動レファレンス点復帰が必要な機械においては、電源投入後、必ず手動レファレンス点復帰を行って下さ

い。手動レファレンス点復帰を行うまでは、ストロークチェックは無効です。ストロークチェックが無効の

状態では、リミットを越えてもアラームとならず、工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能

性があります。 7 刃物台干渉チェック 刃物台干渉チェックでは、自動運転で指令された工具のデータをもとに干渉チェックが行われます。指令さ

れた工具が実際に使用される工具と一致していないと正しく干渉チェックされず、工具や機械を破損したり、

けがをする可能性があります。 電源投入時や手動で刃物台を選択した後は、使用する工具の工具番号を自動運転で必ず指令して下さい。

注意 1 アブソリュート/インクレメンタルモード アブソリュート値で作成したプログラムをインクレメンタルモードで実行したり、インクレメンタル値で作

成したプログラムをアブソリュートモードで実行すると、機械が予期しない動作をします。 2 平面選択 円弧補間/ヘリカル補間/固定サイクル等において平面指定を間違えると機械が予期しない動作をします。詳

細については、それぞれの機能の説明を参照して下さい。 3 トルクリミットスキップ トルクリミットスキップの前には、必ずトルクリミットを有効にして下さい。

トルクリミットが無効のままで、トルクリミットスキップが指令されると、スキップ動作をすることなく移

動指令が実行されます。 4 プログラマブルミラーイメージ プログラマブルミラーイメージを有効にするとその後のプログラムの動作が大きく変化しますので、注意し

て下さい。 5 補正機能 補正機能モード中に機械座標系での指令、レファレンス点復帰関係等の指令をすると一時的に補正がキャン

セルされるため、機械が予期しない動作する場合があります。 そのため、これらの指令は補正機能モードをキャンセルしてから行って下さい。

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操作に関する警告および注意

操作に関する、安全のための主要な注意事項を以下に示します。 操作をする際には、取扱説明書を熟読し、内容を十分に理解して下さい。

警告 1 手動運転 手動運転を行う際に、工具やワーク等の現在位置を把握して、移動軸、移動方向および送り速度等の選択に

誤りがないか十分確認して下さい。誤って操作すると工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可

能性があります。 2 手動レファレンス点復帰 手動レファレンス点復帰が必要な機械においては、電源投入後、必ず手動レファレンス点復帰を行って下さ

い。手動レファレンス点復帰を行わずに機械を動作させると、予期しない動作をすることがあります。また、

手動レファレンス点復帰をするまでは、ストロークチェックが無効です。 その場合、工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能性があります。

3 手動数値指令 手動数値指令を行う際に、工具やワーク等の現在位置を把握して、移動軸と移動方向、指令の選択および入

力する数値等に誤りがないか十分確認して下さい。 誤った指令で運転すると工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能性があります。

4 手動ハンドル送り 手動ハンドル送りを使用する場合、100 倍などの大きい倍率を選んでハンドルを回すと工具やテーブルなど

の移動速度は速くなります。そのため、注意して動作させないと工具や機械を破損したり、けがをする可能

性があります。 5 オーバライドの無効 ねじ切り中、リジッドタップ中、タッピング中、マクロ変数によるオーバライド無効指定やオーバライドキ

ャンセル等によってオーバライドが無効となっている場合は、予期しない速度となり、工具や機械およびワ

ークを破損したり、けがをする可能性があります。 6 オリジン/プリセット操作 原則としてプログラム実行中にオリジン/プリセット操作をしないで下さい。

もしプログラム実行中にオリジン/プリセット操作を行うとその後のプログラム実行において機械が予期し

ない動作をします。 その場合、工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能性があります。

7 ワーク座標系シフト 手動介入、マシンロック、ミラーイメージ等でワーク座標系がシフトされる場合があります。したがって、

プログラムを実行する前に座標系をよく確認して下さい。 ワーク座標系のシフトを考慮しないでプログラムを実行すると、機械が予期しない動作をします。 その場合、工具や機械およびワークを破損したり、けがをする可能性があります。

8 ソフトウエアオペレータズパネル、メニュースイッチ ソフトウエアオペレータズパネルやメニュースイッチでは MDI パネルからモード変更やオーバライド値の

変更、ジョグ送り指令等、機械操作盤にない操作も含めて指令できます。 このため不用意に MDI パネルのキー操作を行うと機械が予期しない動作をします。その場合、工具や機械お

よびワークを破損したり、けがをする可能性があります。 9 RESET キー

RESET キーを押すと、実行中のプログラムは停止します。その結果として、サーボ軸は停止しますが、RESETキーは MDI パネルの故障等によって機能しない可能性がありますので、安全のためにモータを停止させるこ

とを目的とする場合には RESET キーではなく非常停止ボタンを使用して下さい。

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注意 1 手動介入 プログラム実行途中で手動介入を行った場合、状態によってはその後の再開において移動経路が異なります。

したがって、マニュアルアブソリュートスイッチ、パラメータ、アブソリュート/インクレメンタル指令モー

ド等の状態をよく確認の上、再開して下さい。 2 フィードホールド、オーバライド、シングルブロック カスタムマクロシステム変数#3004 により、フィードホールドやフィードレートオーバライドおよびシング

ルブロックを無効にすることができます。その時はオペレータによるこれらの操作が無効になりますので機

械の操作には注意して下さい。 3 ドライラン ドライランは一般には機械を空送りして動作の確認をする時に使用します。この時の送り速度はドライラン

速度となり、プログラムで指令した送り速度とは異なります。場合によっては早い送り速度で動くことがあ

ります。 4 MDI モードでの工具径補正、刃先 R 補正 MDI モードでの指令に対しては、工具径補正又は刃先R補正は一切行われませんので、移動経路に注意して

下さい。特に工具径補正モード又は刃先R補正モードで自動運転中に MDI からの入力指令を介入させた場合

には、その後の自動運転再開時の移動経路に注意して下さい。詳細については、それぞれの機能の説明を参

照して下さい。 5 プログラムの編集 加工を一時停止して、加工中のプログラムに対し、変更、挿入、削除などを行った後、そのプログラムを続

行すると、機械が予期しない動作をすることがあります。加工中のプログラムに対して、変更、挿入、削除

などは危険なため、原則として行わないで下さい。

日常保守に関する警告

警告 1 メモリのバックアップ用バッテリの交換 本作業は、保守および安全に関して教育を受けた人以外は、作業をしてはいけません。

キャビネットを開けて、バッテリの交換をする際には、高電圧回路部分( マークが付いており、感電防

止カバーで覆われています。)には触れないよう注意して下さい。 カバーが外れていて、その部分に触れると感電します。

注 CNC には、電源オフ時にもプログラム、オフセット量、パラメータなどのデータを保持する必要があるため、

バッテリを使用しています。 バッテリの電圧が低下すると、機械操作盤又は画面上にバッテリ電圧低下アラームが表示されます。 バッテリ電圧低下のアラームが表示されたら、一週間以内にバッテリを交換して下さい。バッテリを交換し

ないと、メモリの内容が失われます。 バッテリの交換手順は、取扱説明書(T 系/M 系共通)のⅣ.保守にあるバッテリの交換方法を参照して下さ

い。

警告 2 アブソリュートパルスコーダ用電池の交換 本作業は、保守および安全に関して教育を受けた人以外は、作業をしてはいけません。

キャビネットを開けて、バッテリの交換をする際には、高電圧回路部分( マークが付いており、感電防

止カバーで覆われています。)には触れないよう注意して下さい。 カバーが外れていて、その部分に触れると感電します。

注 アブソリュートパルスコータは絶対位置を保持する必要があるため、バッテリを使用しています。

バッテリの電圧が低下すると、機械操作盤又は画面上にアブソリュートパルスコーダのバッテリ電圧低下ア

ラームが表示されます。 バッテリ電圧低下のアラームが表示されたら、一週間以内にバッテリを交換して下さい。バッテリを交換し

ないと、アブソリュートパルスコーダ内部の絶対位置データが失われます。 バッテリの交換は、FANUC SERVO MOTOR AMPLIFIER αi series 保守説明書を参照して下さい。

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警告 3 ヒューズの交換 ヒューズの交換作業は、ヒューズが切れた原因を取り除いてから、ヒューズを交換する必要があります。

このため、保守および安全に関して十分に教育を受けた人以外は、作業をしてはいけません。 キャビネットを開けて、ヒューズの交換をする際には、高電圧回路部分( マークが付いており、感電防

止カバーで覆われています。)には触れないよう注意して下さい。 カバーが外れていて、その部分に触れると感電します。

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B-64484JA-2/03 目次

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目次

安全にご使用いただくために ..........................................................................................s-1 警告、注意、注について......................................................................................................................s-1 一般的な警告及び注意 .........................................................................................................................s-2 プログラミングに関する警告および注意 ............................................................................................s-3 操作に関する警告および注意 ..............................................................................................................s-4 日常保守に関する警告 .........................................................................................................................s-5

I. 概要

1 概要 ............................................................................................................................ 3 1.1 本説明書を読むにあたっての注意事項....................................................................................5 1.2 各種データに関する注意事項 ..................................................................................................6

II. プログラミング

1 概要 ............................................................................................................................ 9 1.1 工具形状とプログラムによる工具の動き ................................................................................9

2 準備機能(G 機能) ................................................................................................. 10

3 補間機能 ................................................................................................................... 15 3.1 インボリュート補間(G02.2,G03.2)...................................................................................15

3.1.1 インボリュート補間自動速度制御.................................................................................................18 3.1.2 ヘリカルインボリュート補間(G02.2,G03.3) ............................................................................20 3.1.3 直線と回転軸によるインボリュート補間(G02.2,G03.3) ........................................................20

3.2 ねじ切り(G33)...................................................................................................................22 3.3 連続ねじ切り .........................................................................................................................23 3.4 多条ねじ切り .........................................................................................................................23 3.5 円弧ねじ切り B(G2.1,G3.1) ..............................................................................................24 3.6 連続円運動による溝加工(G12.4,G13.4) ...........................................................................27

4 座標値と寸法............................................................................................................ 37 4.1 極座標指令(G15,G16) .......................................................................................................37

5 プログラミングを簡単にする機能 ........................................................................... 39 5.1 穴あけ用固定サイクル ...........................................................................................................39

5.1.1 高速深穴あけサイクル(G73)......................................................................................................43 5.1.2 逆タッピングサイクル(G74)......................................................................................................44 5.1.3 ファインボーリング(G76)..........................................................................................................46 5.1.4 ドリルサイクルスポットドリリング(G81) ..............................................................................47 5.1.5 ドリルサイクルカウンタボーリング(G82) ..............................................................................49 5.1.6 深穴あけサイクル(G83)..............................................................................................................50 5.1.7 小径深穴加工ドリルサイクル(G83) ..........................................................................................51 5.1.8 タッピングサイクル(G84)..........................................................................................................55 5.1.9 ボーリングサイクル(G85)..........................................................................................................56 5.1.10 ボーリングサイクル(G86)..........................................................................................................58 5.1.11 バックボーリングサイクル(G87) ..............................................................................................59 5.1.12 ボーリングサイクル(G88)..........................................................................................................61 5.1.13 ボーリングサイクル(G89)..........................................................................................................62 5.1.14 穴あけ用固定サイクルキャンセル(G80) ..................................................................................63 5.1.15 穴あけ用固定サイクルの例題.........................................................................................................64

5.2 穴あけ固定サイクル用インポジションチェック切換え機能 .................................................66

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5.3 リジッドタップ ......................................................................................................................79 5.3.1 リジッドタッピング(G84)..........................................................................................................79 5.3.2 リジッド逆タッピングサイクル(G74) ......................................................................................82 5.3.3 深穴リジッドタッピングサイクル(G84 または G74)..............................................................85 5.3.4 固定サイクルキャンセル(G80)..................................................................................................88 5.3.5 リジッドタッピング中のオーバライド.........................................................................................88

5.3.5.1 引き抜きオーバライド...................................................................................................................... 88 5.3.5.2 オーバライド信号 .............................................................................................................................. 89

5.4 任意角度面取り・コーナR....................................................................................................90 5.5 インデックステーブル割り出し機能 .....................................................................................92 5.6 インフィード制御(研削盤用) ............................................................................................94 5.7 研削用固定サイクル(研削盤用) .........................................................................................96

5.7.1 プランジ研削サイクル(G75)......................................................................................................98 5.7.2 プランジ直接定寸研削サイクル(G77) ....................................................................................101 5.7.3 連続送り平研削サイクル(G78)................................................................................................103 5.7.4 間欠送り平研削サイクル(G79)................................................................................................106

5.8 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7, G74.7, G75.7,G76.7) .....................108 5.8.1 外径荒削りサイクル(G71.7).....................................................................................................109 5.8.2 端面荒削りサイクル(G72.7).....................................................................................................120 5.8.3 閉ループ切削サイクル(G73.7).................................................................................................123 5.8.4 仕上げサイクル(G70.7).............................................................................................................126 5.8.5 端面突切りサイクル(G74.7).....................................................................................................129 5.8.6 外径、内径突切りサイクル(G75.7) .........................................................................................130 5.8.7 複合形ねじ切りサイクル(G76.7) .............................................................................................132 5.8.8 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7, G74.7, G75.7, G76.7)における制限事項136

6 補正機能 ................................................................................................................. 138 6.1 工具長補正シフトタイプ .....................................................................................................138 6.2 工具長自動測定(G37)......................................................................................................144 6.3 工具位置オフセット(G45~G48) ....................................................................................146 6.4 工具径補正(G40~G42)の概略説明 ................................................................................151 6.5 刃先R補正(G40~G42)の概略説明 ................................................................................156

6.5.1 仮想刃先 ..........................................................................................................................................156 6.5.2 仮想刃先の方向 ..............................................................................................................................158 6.5.3 オフセット番号と補正量 ..............................................................................................................159 6.5.4 ワーク側の指定と移動指令...........................................................................................................159 6.5.5 刃先 R 補正の注意事項 ..................................................................................................................164

6.6 工具径・刃先R補正の詳細説明 ..........................................................................................166 6.6.1 概要 ..................................................................................................................................................166 6.6.2 スタートアップでの工具の動き...................................................................................................170 6.6.3 オフセットモードでの工具の動き...............................................................................................176 6.6.4 オフセットモードキャンセルでの工具の動き ...........................................................................193 6.6.5 工具径・刃先 R 補正による切り込み過ぎの防止.......................................................................199 6.6.6 干渉チェック ..................................................................................................................................202

6.6.6.1 干渉と判断された場合の動作........................................................................................................ 205 6.6.6.2 干渉チェックアラーム機能............................................................................................................ 205 6.6.6.3 干渉チェック回避機能.................................................................................................................... 207

6.6.7 MDI からの入力に対する工具径・刃先 R 補正 ..........................................................................212 6.7 ベクトル保持(G38) .........................................................................................................214 6.8 コーナ円弧補間(G39)......................................................................................................215 6.9 3 次元工具補正(G40, G41)..............................................................................................217 6.10 工具補正量、工具補正個数およびプログラムによる工具補正量の入力(G10)...............220 6.11 座標回転(G68, G69)........................................................................................................222 6.12 砥石摩耗補正 .......................................................................................................................229 6.13 手動送りによるアクティブオフセット量変更.....................................................................233 6.14 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット...................................................236

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6.15 工具軸方向工具長補正 .........................................................................................................241 6.15.1 工具軸方向工具長補正の制御点補正...........................................................................................245

6.16 スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工具長補正 ...............................................249

7 Series 15 フォーマットでのメモリ運転 ................................................................ 252 7.1 複合形固定サイクル.............................................................................................................252

7.1.1 外径荒削りサイクル(G71.7).....................................................................................................253 7.1.2 端面荒削りサイクル(G72.7).....................................................................................................264 7.1.3 閉ループ切削サイクル(G73.7).................................................................................................268 7.1.4 仕上げサイクル(G70.7).............................................................................................................270 7.1.5 端面突切りサイクル(G74.7).....................................................................................................273 7.1.6 外径、内径突切りサイクル(G75.7) .........................................................................................274 7.1.7 複合形ねじ切りサイクル(G76.7) .............................................................................................276 7.1.8 複合形固定サイクルにおける制限事項.......................................................................................281

8 軸制御機能 ............................................................................................................. 283 8.1 並列軸制御 ...........................................................................................................................283

9 ガス切断機 ............................................................................................................. 288 9.1 工具位置オフセット B 機能 .................................................................................................288 9.2 速度によるコーナ制御 .........................................................................................................291 9.3 自動イグザクトストップチェック .......................................................................................293 9.4 軸切り換え ...........................................................................................................................296 9.5 緩曲線切断 ...........................................................................................................................298 9.6 緩曲法線方向制御 ................................................................................................................300

9.6.1 直線距離指定 ..................................................................................................................................301

III. 操作

1 データの表示と設定 ............................................................................................... 305 1.1 機能キー に属する画面 ...............................................................................................305

1.1.1 工具オフセット量の表示と設定...................................................................................................305 1.1.2 工具長測定 ......................................................................................................................................310 1.1.3 工具長/ワーク原点測定 ..............................................................................................................312 1.1.4 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット量の表示と

設定 ..................................................................................................................................................331 1.1.5 工具補正量測定値直接入力 B.......................................................................................................334 1.1.6 スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工具長補正 ...................................................334

付録

A パラメータ ............................................................................................................. 339 A.1 パラメータの説明 ................................................................................................................339 A.2 データ形式 ...........................................................................................................................380 A.3 標準パラメータ設定表 .........................................................................................................381

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I. 概要

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B-64484JA-2/03 概要 1.概要

- 3 -

1 概要 本説明書は下記の編から構成されています。

説明書の記述内容 Ⅰ. 概要 本説明書の構成、適用機種、関連説明書、および説明書を読むにあたっての注意事項を記述しています。 Ⅱ. プログラミング編 NC 言語でプログラムを作成するためのプログラムのフォーマット、解説、制限事項などについて、機能ごとに

記述しています。

Ⅲ. 操作編 機械の手動運転と自動運転、データの入出力方法、プログラムの編集方法などについて記述しています。 付録 パラメータ、指令値範囲、アラームなどの各種一覧表を記述しています。

注 1 本説明書では、マシニングセンタ系の系統制御タイプにて動作可能な機能についてのみ記述されています。

マシニングセンタ系に特化しない他の機能等については、取扱説明書(旋盤系/マシニングセンタ系共通)

(B-64484JA)を参照して下さい。 2 本説明書に記述されている機能のうち、機種によって使用できないものがあります。詳細については仕様説

明書(B-64482JA)を参照して下さい。 3 本説明書では、本文中で述べている以外のパラメータの詳細については記述しておりませんので、別冊のパ

ラメータ説明書(B-64490JA)を参照して下さい。 パラメータとは、CNC 工作機械の機能や動作状態、良く使用する量などをあらかじめ設定しておくもので

す。通常は、機械メーカにより工作機械が使いやすい状態にパラメータが設定されています。 4 本説明書では、ベーシック機能だけでなく、オプション機能についても記述しています。

納入された装置にどのオプションが実装されているかについては、機械メーカ発行の説明書を参照して下さ

い。

適用機種名 本説明書では、下記の機種について述べています。 また、本文中で下記の略称を使用することがあります。

機種名 略称 FANUC Series 30i-B 30i –B Series 30i FANUC Series 31i-B 31i –B FANUC Series 31i-B5 31i –B5

Series 31i

FANUC Series 32i-B 32i –B Series 32i

注 1 本説明書では、特に断りがない限り、機種名において

31i-B、31i-B5、32i-B をまとめて 30iと表記してあります。ただし、下記 2 の事項に当てはまる場合はこの

限りではありません。 2 本説明書に記述されている機能のうち、機種によって使用できないものがあります。詳細については、仕様

説明書(B-64482JA)を参照して下さい。

記号説明 本文中では、下記の記号を使っています。記号の意味は次のとおりです。

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1.概要 概要 B-64484JA-2/03

- 4 -

・IP X_ Y_ Z_ …のように、任意の軸の組合せを表します。

アドレスに続くアンダーラインの個所には、座標値などの数値が入ります。

(プログラミング編で使用)

・; エンドオブブロックを意味します。

実際には ISO コードでは LF、EIA コードでは CR のことです。

Series 30i- MODEL B Series 31i- MODEL B Series 32i- MODEL B の関連説明書

Series 30i-B, Series 31i-B, Series 32i-B の関連説明書は表1 (a)の通りです。 *は本説明書です。

表1 (a) 関連説明書一覧表 説明書名 仕様番号

仕様説明書 B-64482JA 結合説明書(ハードウェア編) B-64483JA 結合説明書(機能編) B-64483JA-1 取扱説明書(旋盤系/マシニングセンタ系共通) B-64484JA 取扱説明書(旋盤系) B-64484JA-1 取扱説明書(マシニングセンタ系) B-64484JA-2 *

保守説明書 B-64485JA パラメータ説明書 B-64490JA プログラミング関係 マクロエグゼキュータ プログラミング説明書 B-63943JA-2 マクロコンパイラ プログラミング説明書 B-66263JA C 言語エグゼキュータ プログラミング説明書 B-63943JA-3 PMC PMC プログラミング説明書 B-64513JA ネットワーク関係 PROFIBUS-DP ボード 結合説明書 B-63993JA ファストイーサネット/ファストデータサーバ 取扱説明書 B-64014JA DeviceNet ボード 結合説明書 B-64043JA FL-net ボード 結合説明書 B-64163JA CC-Link ボード 結合説明書 B-64463JA 操作ガイダンス機能関係 マニュアルガイド i (旋盤系/マシニングセンタ系共通) 取扱説明書 B-63874JA マニュアルガイド i (マシニングセンタ系) 取扱説明書 B-63874JA-2 マニュアルガイド i 段取り支援機能 取扱説明書 B-63874JA-1 デュアル・チェック・セイフティ デュアル・チェック・セイフティ 結合説明書 B-64483JA-2

サーボモータの関連説明書

サーボモータ αi/βiの関連説明書は表1 (b)の通りです。

表1 (b) SERVO MOTOR αiβi series の関連説明書 説明書名 説明書番号

FANUC AC SERVO MOTOR αi series 仕様説明書 B-65262JA

FANUC AC SPINDLE MOTOR αi series 仕様説明書 B-65272JA

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B-64484JA-2/03 概要 1.概要

- 5 -

説明書名 説明書番号 FANUC AC SERVO MOTOR βi series 仕様説明書 B-65302JA

FANUC AC SPINDLE MOTOR βi series 仕様説明書 B-65312JA

FANUC SERVO AMPLIFIER αi series 仕様説明書 B-65282JA

FANUC SERVO AMPLIFIER βi series 仕様説明書 B-65322JA

FANUC SERVO MOTOR αis series FANUC SERVO MOTOR αi series FANUC AC SPINDLE MOTOR αi series FANUC SERVO AMPLIFIER αi series 保守説明書

B-65285JA

FANUC SERVO MOTOR βis series FANUC AC SPINDLE MOTOR βi series FANUC SERVO AMPLIFIER βi series 保守説明書

B-65325JA

FANUC AC SERVO MOTOR αi series FANUC AC SERVO MOTOR βi series FANUC LINEAR MOTOR LiS series FANUC SYNCHRONOUS BUILT-IN SERVO MOTOR DiS series パラメータ説明書

B-65270JA

FANUC AC SPINDLE MOTOR αi/βi series, BUILT-IN SPINDLE MOTOR Bi series パラメータ説明書

B-65280JA

本説明書で説明する CNC には、上記のサーボおよびスピンドルを接続する事が出来ます。ただし、αi SV シリーズに

つきましては、レベルアップ版のみが接続可能です。また、βi SVSP シリーズは、接続できません。 本説明書内では、主に FANUC SERVO MOTOR αi series として記述していますが、サーボおよびスピンドルに関しま

しては、実際に接続するサーボおよびスピンドルに応じた説明書を別途参照して下さい。

1.1 本説明書を読むにあたっての注意事項

注意 1 CNC 工作機械システムとしての機能は CNC だけで決まるのではなく、機械、機械側強電回路、サーボ系、CNC、

操作盤などの組合わせによって機能が決定します。それらの色々な組合わせの場合についての機能、プログラ

ミング、操作についての説明をすることは不可能です。 本説明書では CNC の側に立って一般的な説明をしていますので、個々の CNC 工作機械についての説明は、

機械メーカから発行される説明書をよくお読み下さい。本説明書より機械メーカから発行される説明書が記

載事項に関し優先します。 2 本説明書は、読者が容易に必要事項を参照できるように、各ページの上部の欄に見出しを付けています。

まずは見出しを見て必要な部分のみ参照することができます。 3 本説明書では、できるだけ色々なことについて書くように努めています。

しかし、こういうことはやってはいけない、こういうことはできないということは非常に多く、説明書が膨

大になり、書ききれません。 したがって、本説明書では、特にできると書いていないことは「できない」と解釈して下さい。

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1.概要 概要 B-64484JA-2/03

- 6 -

1.2 各種データに関する注意事項

注意 加工プログラム、パラメータ、オフセットデータなどは、CNC 装置内部の不揮発性メモリに記憶されていま

す。一般には電源のオン/オフによりこの内容が失われることはありません。しかし、誤操作により消して

しまったり、あるいは障害の復旧のための不揮発性メモリに記憶されている貴重なデータを消さざるをえな

い事態が発生することが考えられます。 このような不測の事態が発生した場合に速やかに復旧させるため、事前に各種データの控えを作成しておい

て下さるようお願いします。 加工プログラムが格納される不揮発性メモリには書き込み回数の制限があります。 上位のパソコンから加工の都度自動的に加工プログラムをダウンロードする使い方など、加工プログラムの

登録・削除を頻繁に繰り返すような使い方の場合には、必ず「高速プログラム管理」をご使用下さい。 「高速プログラム管理」では、プログラムの登録・変更・削除時に不揮発性メモリへの保存が行われません。

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II. プログラミング

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B-64484JA-2/03 プログラミング 1.概要

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1 概要 1 章「概要」は下記の内容で構成されています。 1.1 工具形状とプログラムによる工具の動き ............................................................................................................................9

1.1 工具形状とプログラムによる工具の動き

解説 ・工具の底面で加工する-工具長補正機能 通常 1 つのワークを加工するには、数本の工具を使用します。 各工具は、異なった工具長を持っています。工具に応じてプログラムを変更するのは、大変面倒です。 このため、各工具の工具長をあらかじめ測定し、例えば、標準工具との差を CNC に設定することにより(取扱説明

書(T 系/M 系共通)の「データの表示と設定」の項参照)、工具が交換されても、プログラムを変更しないで、加

工をすることができます。この機能を工具長補正機能と言います。(取扱説明書(T 系/M 系共通)の「工具長補正」

の項参照)

標準 工具

H1 H2 H3 H4

ワーク

・工具の側面で加工する-工具径補正機能

ワーク

工具径補正による工具経路

加工形状

工具

工具には、半径があるため、一般に加工形状に対して、工具経路は、半径だけずれた位置にあります。 工具の半径をあらかじめ、CNC に登録しておくことにより(取扱説明書(T 系/M 系共通)の「データの表示と設

定」の項参照)、加工形状に対して、工具半径だけずれた通路に沿って、工具を動かすことができます。この機能を

工具径補正機能と言います。(「補正機能」の項参照)

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2.準備機能(G 機能) プログラミング B-64484JA-2/03

- 10 -

2 準備機能(G 機能) 準備機能の命令はアドレス G に続く数値によって表現され、ブロックに含まれる命令の意味を規定します。G コード

には次の 2 種類があります。

種別 意味 ワンショットな G コード 指令されたブロックにだけ有効な G コード モーダルな G コード 同一グループの他の G コードが指令されるまで有効な G コード (例)G01,G00 はモーダルな G コードです。

G01 X ; Z ; この間は G01 が有効 X ; G00 Z ; この間は G00 が有効 X ; G01 X ;

解説 1. 電源投入時、又はリセットによりクリア状態(パラメータ CLR(No.3402#6))になった時、モーダルの G コードは

次の状態になります。 (1) 表 2 の記号 つきの G コードの状態になります。 (2) G20 と G21 は、電源投入、又はリセットによるクリア状態で変化しません。 (3) G22 と G23 は、パラメータ G23(No.3402#7)により電源投入時にどちらの G コードの状態にするかを設定でき

ます。なお、リセットによるクリア状態では変化しません。 (4) G00 と G01 は、パラメータ G01(No.3402#0)によりどちらの G コードの状態にするかを設定できます。 (5) G90 と G91 は、パラメータ G91(No.3402#3)によりどちらの G コードの状態にするかを設定できます。 (6) G17、G18 および G19 は、パラメータ G18(No.3402#1)および、パラメータ G19(No.3402#2)によりどの G コー

ドの状態にするかを設定できます。 2. G10 と G11 を除く、00 グループの G コードはワンショットの G コードです。 3. G コード一覧表にのっていない G コードを指令した場合、および対応するオプションがついていない G コードを

指令した場合、アラーム(PS0010)を表示します。 4. 異なるグループの G コードは、同一ブロックに複数個指令できます。

同じグループの G コードを同一ブロックに複数個指令すれば、最後に指令した G コードが有効になります。 5. 穴あけ用固定サイクル中に 01 グループの G コードを指令すると、穴あけ用固定サイクルはキャンセルされます。

すなわち、G80 を指令したのと同じ状態になります。 なお、01 グループの G コードは、穴あけ用固定サイクルの指令 G コードの影響を受けません。

6. G コードはグループ番号ごとに表示されます。 7. G60 のグループは、パラメータ MDL (No.5431#0) によって切換わります。 (MDL=0 : 00 グループ, MDL=1 : 01

グループ)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 2.準備機能(G 機能)

- 11 -

表2 (a) G コード一覧表 (1/4) コード グループ 意味

G00 位置決め(早送り) G01 直線補間(切削送り) G02 円弧補間/ヘリカル補間 CW G03 円弧補間/ヘリカル補間 CCW G02.1, G03.1 円弧ねじ切り B CW/CCW G02.2, G03.2 インボリュート補間 CW/CCW G02.3, G03.3 指数関数補間 CW/CCW G02.4, G03.4

01

3 次元円弧補間 CW/CCW G04 ドウェル G05 AI 輪郭制御(高精度輪郭制御互換指令)、高速サイクル加工、

高速バイナリ運転 G05.1 AI 輪郭制御/ナノスムージング/滑らか補間 G05.4

00

HRV3,4 オン/オフ G06.2 01 NURBS 補間 G07 仮想軸補間 G07.1(G107) 円筒補間 G08 AI 輪郭制御(先行制御互換指令) G09 イグザクトストップ G10 プログラマブルデータ入力 G10.6 工具退避&復帰 G10.9 直径/半径指定プログラマブル切り換え G11

00

プログラマブルデータ入力モードキャンセル G12.1 極座標補間モード G13.1

21 極座標補間モードキャンセル

G12.4 連続円運動による溝加工(時計回り) G13.4

00 連続円運動による溝加工(反時計回り)

G15 極座標指令キャンセル G16

17 極座標指令

G17 XpYp 平面 G17.1 平面変換機能 G18 ZpXp 平面 G19

02

YpZp 平面

ここで Xp: X 軸又はその平行軸 Yp: Y 軸又はその平行軸 Zp: Z 軸又はその平行軸

G20(G70) インチ入力 G21(G71)

06 メトリック入力

G22 ストアードストロークチェック機能オン G23

04 ストアードストロークチェック機能オフ

G25 主軸速度変動検出オフ G26

19 主軸速度変動検出オン

G27 レファレンス点復帰チェック G28 レファレンス点への自動復帰 G28.2 インポジションチェック無効、レファレンス点復帰 G29 レファレンス点からの移動 G30 第 2 , 第 3 , 第 4 レファレンス点復帰 G30.1 フローティングレファレンス点復帰 G30.2 インポジションチェック無効、第 2 , 第 3 , 第 4 レファレンス点復帰

G31 スキップ機能 G31.8

00

EGB 軸スキップ G33 ねじ切り G34 可変リードねじ切り G35 円弧ねじ切り CW G36

01

円弧ねじ切り CCW

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2.準備機能(G 機能) プログラミング B-64484JA-2/03

- 12 -

表2 (b) G コード一覧表 (2/4) コード グループ 意味

G37 工具長自動測定 G38 工具径・刃先 R 補正 ベクトル保持 G39

00 工具径・刃先 R 補正 コーナ円弧補間

G40 工具径・刃先 R 補正キャンセル/3 次元工具補正キャンセル G41 工具径・刃先 R 補正/3 次元工具補正 左 G42 工具径・刃先 R 補正/3 次元工具補正 右 G41.2 3 次元工具径補正 左側(タイプ 1) G41.3 3 次元工具径補正(リーディングエッジオフセット) G41.4 3 次元工具径補正 左側(タイプ 1)(FS16i互換指令) G41.5 3 次元工具径補正 左側(タイプ 1)(FS16i互換指令) G41.6 3 次元工具径補正 左側(タイプ 2) G42.2 3 次元工具径補正 右側(タイプ 1) G42.4 3 次元工具径補正 右側(タイプ 1)(FS16i互換指令) G42.5 3 次元工具径補正 右側(タイプ 1)(FS16i互換指令) G42.6

07

3 次元工具径補正 右側(タイプ 2) G40.1 法線方向制御キャンセルモード G41.1 法線方向制御左側オン G42.1

18 法線方向制御右側オン

G43 工具長補正+ G44 工具長補正- G43.1 工具軸方向工具長補正 G43.3 傾斜ロータリヘッド工具長補正有効 G43.4 工具先端点制御(タイプ 1)

G43.5 工具先端点制御(タイプ 2)

G43.7 工具位置オフセット G44.1

08

工具位置オフセット変換 G45 工具位置オフセット 伸長 G46 工具位置オフセット 縮小 G47 工具位置オフセット 2 倍伸長 G48

00

工具位置オフセット 2 倍縮小 G49(G49.1) 08 工具長補正キャンセル G44.9 スピンドルユニット補正有効 G49.9

27 スピンドルユニット補正キャンセル

G50 スケーリングキャンセル G51

11 スケーリング

G50.1 プログラマブルミラーイメージキャンセル G51.1

22 プログラマブルミラーイメージ

G50.2 ポリゴン加工キャンセル G51.2

31 ポリゴン加工

G50.4 同期制御終了 G50.5 混合制御終了 G50.6 重畳制御終了 G51.4 同期制御開始 G51.5 混合制御開始 G51.6 重畳制御開始 G52 ローカル座標系設定 G53 機械座標系選択 G53.1 工具軸方向制御 G53.6

00

工具先端点保持形工具軸方向制御

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B-64484JA-2/03 プログラミング 2.準備機能(G 機能)

- 13 -

表2 (c) G コード一覧表 (3/4) コード グループ 意味

G54(G54.1) ワーク座標系 1 選択 G55 ワーク座標系 2 選択 G56 ワーク座標系 3 選択 G57 ワーク座標系 4 選択 G58 ワーク座標系 5 選択 G59

14

ワーク座標系 6 選択 G54.2 23 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット G54.4 33 ワーク設置誤差補正 G60 00 一方向位置決め G61 イグザクトストップモード G62 自動コーナオーバライド G63 タッピングモード G64

15

切削モード G65 00 マクロ呼出し G66 マクロモーダル呼出し A G66.1 マクロモーダル呼出し B G67

12 マクロモーダル呼出し A/B キャンセル

G68 座標回転・3 次元座標変換モードオン G69 座標回転・3 次元座標変換モードオフ G68.2 傾斜面割出し指令 G68.3 工具軸方向による傾斜面割出し指令 G68.4

16

傾斜面割出し指令(インクレメンタル多重指令) G70.7 仕上げサイクル G71.7 外径荒削りサイクル G72.7 端面荒削りサイクル G73.7 閉ループ切削サイクル G74.7 端面突切りサイクル G75.7 外径、内径突切りサイクル G76.7 複合形ねじ切りサイクル G72.1 図形コピー(回転コピー) G72.2

00

図形コピー(平行コピー) G73 ペック(深穴)ドリリングサイクル G74

09 逆タッピングサイクル

G75 01 プランジ研削サイクル G76 09 ファインボーリングサイクル G77 プランジ直接定寸研削サイクル G78 連続送り平研削サイクル G79

01 間欠送り平研削サイクル

G80 09

固定サイクルキャンセル/ 電子ギアボックス同期キャンセル

G80.4 電子ギアボックス同期キャンセル G81.4

34 電子ギアボックス同期開始

G80.5 電子ギアボックス 2 組同期キャンセル G81.5

24 電子ギアボックス 2 組同期開始

G81 09 ドリルサイクル、スポットボーリングサイクル/電子ギアボックス同

期開始 G81.1 00 チョッピング

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2.準備機能(G 機能) プログラミング B-64484JA-2/03

- 14 -

表2 (d) G コード一覧表 (4/4) コード グループ 意味

G82 ドリルサイクル、カウンターボーリングサイクル G83 ペック(深穴)ドリリングサイクル G84 タッピングサイクル G84.2 リジッドタッピングサイクル(FS15 フォーマット) G84.3 リジッド逆タッピングサイクル(FS15 フォーマット) G85 ボーリングサイクル G86 ボーリングサイクル G87 バックボーリングサイクル G88 ボーリングサイクル G89

09

ボーリングサイクル G90 アブソリュート指令 G91

03 インクレメンタル指令

G91.1 最大インクレメンタル指令量チェック G92 ワーク座標系の設定/主軸最高回転数クランプ G92.1

00 ワーク座標系プリセット

G93 インバースタイム送り G94 毎分送り G95

05 毎回転送り

G96 周速一定制御 G97

13 周速一定制御キャンセル

G96.1 主軸割出し実行(完了待ちあり) G96.2 主軸割出し実行(完了待ちなし) G96.3 主軸割出し完了確認 G96.4

00

SV 回転制御モード ON G98 固定サイクルイニシャルレベル復帰 G99

10 固定サイクル R 点レベル復帰

G107 00 円筒補間 G112 極座標補間モード G113

21 極座標補間モードキャンセル

G160 インフィード制御キャンセル G161

20 インフィード制御

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

- 15 -

3 補間機能 3 章「補間機能」は下記の内容で構成されています。 3.1 インボリュート補間(G02.2,G03.2)...............................................................................................................................15 3.2 ねじ切り(G33) ................................................................................................................................................................22 3.3 連続ねじ切り.......................................................................................................................................................................23 3.4 多条ねじ切り.......................................................................................................................................................................23 3.5 円弧ねじ切り B(G2.1,G3.1)...........................................................................................................................................24 3.6 連続円運動による溝加工(G12.4,G13.4).......................................................................................................................27

3.1 インボリュート補間(G02.2,G03.2)

概要 インボリュート補間を使用してインボリュート曲線の加工を行うことができます。工具径補正も可能です。インボリ

ュート補間を使用することにより、インボリュート曲線を微小な直線又は円弧で近似する必要がなくなり、微小ブロ

ック高速運転でのパルス分配の途切れがなくなり高速で滑らかな運転が可能になります。また加工プログラムの作成

が簡単になり、プログラム容量も少なくなります。 また、インボリュート補間時には,指令された送り速度に次の 2 通りのオーバライドが自動的にかけられ、より加工

精度の高い良好な切削面を削ることができます。(インボリュート補間自動速度制御機能) ・ 工具径補正モード中のオーバライド ・ 基礎円近傍におけるオーバライド

フォーマット Xp-Yp 平面のインボリュート補間

G17 G02.2 Xp Yp I J R F ; G17 G03.2 Xp Yp I J R F ;

Zp-Xp 平面のインボリュート補間

G18 G02.2 Zp Xp K I R F ; G18 G03.2 Zp Xp K I R F ;

Yp-Zp 平面のインボリュート補間 G19 G02.2 Yp Zp J K R F ; G19 G03.2 Yp Zp J K R F ;

ただし、 G02.2: 時計回りのインボリュート補間 G03.2: 反時計回りのインボリュート補間 G17/G18/G19: Xp-Yp / Zp-Xp / Yp-Zp 平面選択 Xp : X 軸かその平行軸(パラメータ設定) Yp : Y 軸かその平行軸(パラメータ設定) Zp : Z 軸かその平行軸(パラメータ設定) I ,J ,K : 始点から見たインボリュート曲線の基礎円の中心位置 R : 基礎円の半径 F : 切削送りの速度

解説 インボリュート補間を使用してインボリュート曲線の加工を行うことができます。インボリュート補間を使用するこ

とにより、微小ブロックの高速運転でもパルス分配が途切れなくなるので、高速で滑らかな運転が可能になります。

また、加工プログラムの作成が簡単になり、プログラム容量も少なくなります。

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 16 -

Yp Yp

Xp

Pe

0 R

Xp

Ps

基礎円 Pe

Po

PoR

0始点

終点_

終点I

I J

Ps

時計回りのインボリュート補間(G02.2) Yp

Pe

Ps

Po

R0

Pe

0

Yp

Ro始点

終点I

I

終点

始点

R

PsXp Xp

反時計回りのインボリュート補間(G03.2)

J

JJ

図3.1 (a) 実際の動き

・インボリュート曲線

XY 平面のインボリュート曲線を次のように定義します。

Yoθ] cos ) θo(θ[sinθ R)(θ Y

Xoθ]sin ) θo(θ[cosθ R)(θ X

+−−=

+−+=

ただし、 YoXo, : 基礎円の中心座標 R : 基礎円の半径 θo: インボリュート曲線の始まる点の角度 θ: 現在位置から基礎円への接線の接点の角度 )Y(),X( θθ : X 軸と Y 軸の現在位置

基礎円

始点 インボリュート曲線

(X,Y)

終点

θo

(Xo,Yo)

R

θ

X

Y

図3.1 (b) インボリュート曲線

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

- 17 -

ZX 平面および YZ 平面のインボリュート曲線も XY 平面のインボリュート曲線と同様に定義します。

・始点と終点 インボリュート曲線の終点は、アドレス Xp,Yp 又は Zp により指定されます。Xp,Yp,Zp の指令値は、アブソリュート

値又は、インクレメンタル値で表されます。インクレメンタル値の場合は、インボリュート曲線の始点から見た終点

の座標を指令します。 終点が指令されなかった場合、アラーム(PS0241)となります。 始点又は終点の指令が基礎円内の場合、アラーム(PS0242)となります。工具径補正 C によってオフセットベクトルが、

基礎円内に入る場合も同様です。特に、インボリュート曲線の内側にオフセットをかける時は注意が必要です。

・基礎円の指令 基礎円の中心は、X,Y,Z に対応してそれぞれ I,J,K によって指令されます。ただし、I,J,K に続く数値はインボリュート

曲線の始点から基礎円の中心を見たベクトル成分であって G90,G91 のいかんにかかわらず、常にインクレメンタル値

で指令します。I,J,K は方向に応じて符号を付けて下さい。 I,J,K が全て指令されなかった場合、又は I0,J0,K0 の場合、アラーム(PS0241, PS0242)となります。 R が指令されなかった場合、又は R≦0 の場合、アラーム(PS0241,PS0242)となります。

・2 通りのインボリュート曲線の選択 始点と I,J,K だけでは、2 通りのインボリュート曲線、すなわち基礎円に近づくインボリュート曲線と基礎円から遠ざ

かるインボリュート曲線が考えられます。終点が始点に比べて基礎円の中心に近い場合、基礎円に近づくインボリュ

ート曲線になります。遠い場合、基礎円から遠ざかるインボリュート曲線になります。

・送り速度 インボリュート補間の送り速度は、F コードにより指定された切削送り速度となります。そして、インボリュート曲

線に沿った速度(インボリュート曲線の接線方向の速度)が指定された送り速度となるように制御されます。

・平面選択 インボリュート補間を行う平面を、円弧補間と同様に G17,G18,G19 で選択します。

・工具補正 インボリュート曲線に工具径補正をかけて加工することができます。工具径補正の指令は、直線または円弧の場合と

同様に G40,G41,G42 で指令します。 G40:工具径補正キャンセル G41:工具進行方向の左側オフセット G42:工具進行方向の右側オフセット インボリュート曲線の始点と終点での、直線または円弧との交点を近似計算により求めます。求まった始点と終点の

交点を通るインボリュート曲線を工具中心の通路とします。 インボリュート補間モードになる前に G41,G42 を指令し、インボリュート補間キャンセルしてから G40 を指令して下

さい。インボリュート補間モード中に、工具径補正の G41,G42 又は G40 を指令することはできません。

・自動速度制御 インボリュート補間中、指令された送り速度に自動的にオーバライドをかけることにより、加工精度を上げることが

できます。以下の「インボリュート補間自動速度制御」を参照下さい。

・指令可能な G コード インボリュート補間モード中に指令可能な G コードは以下の通りです。 G04:ドウェル G10:プログラマブルデータ入力 G17:X-Y 平面選択 G18:Z-X 平面選択 G19:Y-Z 平面選択 G65:マクロ呼出 G66:マクロモーダル呼出 G67:マクロモーダル呼出キャンセル G90:アブソリュート指令 G91:インクレメンタル指令

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 18 -

・指令可能モード 下記 G コードモード中でもインボリュート補間は可能です。 G41:工具径補正左側 G42:工具径補正右側 G51:スケーリング G51.1:プログラマブルミラーイメージ G68:座標回転

・終点誤差 終点が始点を通るインボリュート補間上にない場合、図 3.1(c)のような曲線になります。 始点を通るインボリュート曲線と終点を通るインボリュート曲線のずれ量が、パラメータ(No.5610)で設定された値よ

り大きくなる場合はアラーム(PS0243)になります。終点誤差のある場合は、送り速度は指令値に対してずれ量だけ変

更されます。

修正後の経路

真のインボリュート曲線

X

Pe

Ps

ずれ量

終点

始点

図3.1 (c) 反時計回りのインボリュート補間(G03.2)の場合の終点誤差

3.1.1 インボリュート補間自動速度制御

インボリュート補間自動速度制御は,インボリュート補間中に、指令された送り速度に次の 2 通りのオーバライドを

自動的にかけることにより、より加工精度の高い良好な切削面を削るための機能です。 ・工具径補正モード中のオーバライド ・基礎円近傍におけるオーバライド

・工具径補正モード中のオーバライド インボリュート補間に工具径補正をかけた場合,通常のインボリュート補間では工具中心の経路(工具中心経路)の

接線方向速度が常に指令した速度となるように制御されています。 この際,実際の切削速度となるプログラム指令経路上の工具外周部(切削点)の速度は,インボリュート曲線の曲率

が時々変化するため,変化してしまいます。 特に,工具がインボリュート曲線の内側にオフセットされた場合には,工具が基礎円に近づけば近づくほど,実際の

切削速度は,指令した送り速度に比べて大きくなってしまいます。 滑らかな加工を行うためには,実際の切削速度が指令した送り速度となるように制御されるのが好ましく,本機能で

は,工具径補正がかかったインボリュート補間モード中に,時々刻々変化するインボリュート曲線の曲率に見合った

オーバライド値を算出し,実際の切削速度である切削点での接線方向速度が常に指令された送り速度となるように制

御されます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

- 19 -

プログラム指令経路

基礎円

切削点

Rcp

Rofs

図3.1 (d) 工具径補正内側オフセット時のオーバライド

内側オフセット時 OVR = Rcp/(Rcp+Rofs) × 100 外側オフセット時 OVR = Rcp/(Rcp-Rofs) × 100 ただし、Rcp :工具中心を通るインボリュート曲線の工具中心における曲率半径 Rofs:工具径半径

・オーバライドのクランプ 工具径補正内側オフセット時のオーバライド、あるいは基礎円近傍におけるオーバライドがかかった場合、基礎円近

傍で工具中心の速度が 0 になってしまうことが考えられます。これを避けるために、パラメータ(No.5620)でオーバラ

イドの下限値を設定します。 内側オフセットの場合、基礎円近傍で工具中心の速度が、非常に小さくなってしまうことが考えられます。これを避

けるために、パラメータ(No.5620)でオーバライドの下限値(OVRlo)を設定します。 これにより、送り速度は、指令速度にオーバライドの下限値(OVRlo)をかけた値を下回ることなくクランプされます。 外側オフセットの場合には、オーバライドが非常に大きくなってしまう場合があります。この場合、送り速度は 大

切削送り速度でクランプされます。

・基礎円近傍における加速度クランプ インボリュート曲線の曲率半径より加速度を算出し、指定されたパラメータ以上の加速度がかかる場合、パラメータ

以下の加速度になるように接線方向速度を制御します。常に一定以下の加速度に押さえることができるため、機械の

限界に合わせた効率的な速度制御が可能となります。また、連続的に滑らかに速度を制御できるので、基礎円近傍で

の加工時のショックなどを低減します。 加速度の算出は、インボリュート曲線の曲率半径と接線方向速度を用い、これらに円弧の加速度の式を適応して計算

します。 加速度 = F × F / R F:接線方向速度 R:曲率半径 許容加速度は、パラメータ(No.1735)で指定します。 加速度が許容加速度よりも大きい場合、送り速度を以下の計算によりクランプします。 クランプ速度 = 許容加速度×曲率半径 この計算の結果、クランプ速度が送り速度下限値を下回った場合、送り速度下限値をクランプ速度とします。送り速

度下限値は、パラメータ(No.1732)で指定します。

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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3.1.2 ヘリカルインボリュート補間(G02.2,G03.3)

本機能は円弧補間に対するヘリカル補間と同様に、インボリュート補間を行う 2 軸と同時に別の軸を 大 4 軸まで移

動させる機能です。

フォーマット Xp-Yp 平面のヘリカルインボリュート補間

G02.2 G17 Xp Yp I J R α β γ δ F ; G03.2

Zp-Xp 平面のヘリカルインボリュート補間 G02.2 G18 Zp Xp K I R α β γ δ F ; G03.2

Yp-Zp 平面のヘリカルインボリュート補間 G02.2 G19 Yp Zp J K R α β γ δ F ; G03.2 α,β,γ,δ:インボリュート補間軸以外の任意の 1 軸。最大 4 軸まで指令可能。

3.1.3 直線と回転軸によるインボリュート補間(G02.2,G03.3)

極座標補間モード中にインボリュート補間を使用してインボリュート曲線の加工ができます。これにより、直線軸と

回転軸との平面上に描かれるインボリュート曲線の加工となります。

フォーマット 直線軸が X 軸かその平行軸の時は、XpYp 平面とみなし I,J で指令します。

G02.2 X C I J R F ; G03.2 直線軸が Y 軸かその平行軸の時は、YpZp 平面とみなし J,K で指令します。

G02.2 Y C J K R F ; G03.2 直線軸が Z 軸かその平行軸の時は、ZpXp 平面とみなし K,I で指令します。

G02.2 Z C K I R F ; G03.2

G02.2: 時計回りのインボリュート補間 G03.2: 反時計回りのインボリュート補間 例)直線軸が X 軸の場合、 X,C: インボリュート曲線の終点の座標値 I,J: 始点から見たインボリュート曲線の基礎円の中心位置 R: 基礎円の半径 F: 切削送り速度

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

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例題 C(仮想軸)

C 軸

工具

X 軸

Z 軸

N200N201N202

N203

N204

N205

工具補正後の経路

プログラムの経路

図3.1 (e) 極座標補間モード中のインボリュート補間

O0001 ; ・ ・ N010 T0101 ; ・ ・ N100 G90 G00 X15.0 C0 Z0 ; 開始位置への位置決め N200 G12.1 ; 極座標補間開始 N201 G41 G00 X-1.0 ; N202 G01 Z-2.0 F ; N203 G02.2 X1.0 C9.425 I1.0 J0 R1.0 ; 極座標補間中のインボリュート補間 N204 G01 Z0 ; N205 G40 G00 X15.0 C0 ; N206 G13.1 ; 極座標補間キャンセル N300 Z ; N400 X C ; ・ ・ M30 ;

制限事項 ・インボリュート曲線の回転数 始点、終点のいずれもインボリュート曲線の始まる点から 100 回転以内になければなりません。1 回転以上回るイン

ボリュート曲線も 1 ブロックで指令することができます。 始点、終点のいずれもインボリュート曲線の始める点から 100 回転を越えた点の指令はアラーム(PS0242)になります。

・指令できない機能 インボリュート補間モード中は、任意角度面取りコーナ R は指令できません。

・指令できないモード 下記モード中は、インボリュート補間は使用できません。

G07.1:円筒補間

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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3.2 ねじ切り(G33)

等リードのストレートねじを切削できます。主軸回転数を、主軸に取り付けられたポジションコーダから時々刻々読

み取り、毎分送りの切削送り速度に変換して工具が送られます。

フォーマット G33IP_ F_ ;

F:長軸方向リード

Z

X

ワーク

解説 一般に、一本のねじを作る場合には、荒削りから仕上げまで、何回も同じ通路でねじ切りを行います。 ねじ切りは主軸に取り付けられたポジションコーダからの一回転信号と同期して開始されるので、何度ねじ切りを行

っても、ワークの円周上の切り始めの点および工具の通路は同じとなります。ただし、荒削りから仕上げまで、主軸

の回転数は一定でなければなりません。主軸の回転数が変化する場合には、ねじが多少ずれることがあります。 ねじの切り始めおよび切り終わりの部分には、サーボ系の遅れなどによりリードの不正な部分ができますから、その

量を考慮して、必要なねじの長さよりも長めに指令する必要があります。 表 3.2 (a)にねじのリードの指令範囲を示します。

表3.2 (a) リードの指令範囲 最小移動単位 リード指令可能範囲

0.001 mm F1 ~ F50000 (0.01 ~ 500.00mm) ミリ入力

0.0001 mm F1 ~ F50000 (0.01 ~ 500.00mm) 0.0001 inch F1 ~ F99999 (0.0001 ~ 9.9999inch)

インチ入力 0.00001 inch F1 ~ F99999 (0.0001 ~ 9.9999inch)

注 1 主軸の回転数には次の制限があります。

1≦主軸の回転数≦(最高送り速度)/(ねじのリード) ただし、主軸の回転数:rpm ねじのリード:mm 又は inch 最高送り速度:mm/min か inch/min で毎分送りの最大指令値と、モータや機械の制限からくる最高送り速度

の小さい方の値 2 ねじ切り中は、切削送り速度オーバライドはかからず 100%に固定されます。 3 変換された切削送り速度に対して、切削送り速度クランプがかかります。 4 フィードホールドはねじ切り中には無効です。ねじ切り中にフィードホールドボタンが押されると、ねじ切

りが終了した(G33 モードでなくなった)次のブロックの終点で停止します。

例題 ピッチ 1.5 mm のねじ切り

G33 Z10. F1.5;

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

- 23 -

3.3 連続ねじ切り

ねじ切りにおいて、連続するブロックの加工での移動のとぎれによる不連続部分が無いように制御するため、ねじ切

りのブロックを続けて指令することが可能です。

解説 ブロックとブロックのつなぎで、主軸との同期ができるだけずれないように制御するため、途中でリード、形状等が

変化する特殊なねじを切ることができます。

G33G33

G33

図3.3 (a) 連続ねじ切り

切込みを変えながら同じ箇所を繰返しねじ切りを行う場合でも、ねじ山を損なうことなく正しく加工できます。

3.4 多条ねじ切り

スピンドルの 1 回転信号からねじ切り開始までの角度を、アドレス Q で指定することにより、ねじ切り開始角度をシ

フトすることができるので、多条ねじを簡単に切ることができます。

L

L:リード

図3.4 (a) 多条ねじ

フォーマット (等リードねじ切りの場合) G33 IP _ F_ Q_ ;

IP : 終点 F_ : 長軸方向のリード

G33 IP _ Q_ ; Q_ : ねじ切り開始角度

解説 ・指令可能なねじ切り

G33 : 等リードねじ切り G34 : 可変リードねじ切り G76.7 : 複合形ねじ切りサイクル

制限事項 ・開始角度の指令 開始角度はモーダルではないので、その都度、開始角度を指令して下さい。特に指令がない場合は、0°とみなされ

ます。

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・開始角度の指令単位 開始角度の指令(Q)の単位は、0.001°です。なお、小数点は指令できません。 例:シフト角度 180°の場合、Q180000 と指令します。 Q180.000 は、小数点付き指令値なので指令できません。

・開始角度の指令範囲 開始角度の指令(Q)の範囲は、0~360000(0.001°単位)です。 360000(360°)以上の値を指令しても 360000(360°)で丸められます。

・複合形ねじ切りサイクル(G76.7) G76.7 の複合形ねじ切りサイクルは、FS15 指令フォーマットを必ず使用して下さい。

例題 二条ねじ(開始角度 0°、180°)の場合

G00 X40.0 ; G33 W-38.0 F4.0 Q0 ; G00 X72.0 ; W38.0 ; X40.0 ; G33 W-38.0 F4.0 Q180000 ; G00 X72.0 ; W38.0 ;

3.5 円弧ねじ切りB(G2.1,G3.1)

概要 円弧ねじ切り B では、2 軸で円弧補間を行うと共に、円弧補間の 2 軸のうち移動量の大きい長軸と他の 2 軸までの任

意軸との間で直線補間を行うことができます。スピンドルモータによる主軸(ワーク)の回転に同期させて工具を動

かす円弧ねじ切りではなく、ワークの回転をサーボモータ(回転軸)で制御して樽形の表面に等ピッチのねじ切り、

溝加工、工具研削などの加工を行うことができます。

適用例 例えば ZpXp 平面の円弧補間と Z 軸 C 軸の直線補間が同期しながら実行し、図 3.3(a)のような溝加工を行うことが可

能です。

X 軸

C 軸

Z 軸

図3.5 (a) 溝加工の例

Page 37: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

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フォーマット XpYp 平面

G17 G02.1 G03.1

X Y α β I J R

F ;

ZpXp 平面

G18 G02.1 G03.1

Z X α β K I R

F ;

YpZp 平面

G19 G02.1 G03.1

Y Z α β J K

R F ;

G02.1: 時計回りの円弧ねじ切り B 指令 G03.1: 反時計回りの円弧ねじ切り B 指令 X,Y,Z: 円弧補間の終点の座標 α,β: 直線補間の終点の座標 I,J,K: 始点から円弧の中心までの距離 R: 円弧の半径 F: 長軸方向の送り速度 α,βは円弧補間軸以外の任意の軸で、最大 2 軸まで指令可能。 X,Y,Z,I,J,K,R は G02,G03 と同様。

R

K

I

始点 終点(X,Z)

C 軸

円弧中心

Z 軸

X 軸

ZpXp 平面、長軸 Z 軸、短軸 X 軸、任意軸 C 軸、時計回りの場合

G91 G18 G02.1 Z_ C_ I_ K_ F_

R_

図3.5 (b)

解説 円弧ねじ切り B では、2 軸で円弧補間を行うと共に、円弧補間の 2 軸のうち移動量の大きい長軸と他の 2 軸までの任

意軸との間で直線補間を行うことができます。スピンドルモータによる主軸(ワーク)の回転に同期させて工具を動か

す円弧ねじ切りではなく、ワークの回転をサーボモータ(回転軸)で制御して樽形の表面に等ピッチのねじ切り、溝加

工、工具研削などの加工を行うことができます。

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・長軸と短軸の関係 長軸と短軸の関係は、図 3.3(c)のようになります。

Y

X

中心

始点

終点

ΔX

ΔY

45°45°

図3.5 (c)

直径指定の場合、長軸と短軸の関係は半径の値で判定します。

・指令可能な円弧の範囲 円弧が図 3.3(d)または(e)の範囲を越えると、アラーム(PS2070)になります。

短軸

長軸

45° 45°45°45°

補間可能範囲 45°~ 135°225°~ 315°

回転軸

90°

図3.5 (d)

長軸

短軸

45°

補間可能範囲 315°~ 45°135°~ 225°

回転軸

45°

45°45°

90°

図3.5 (e)

・速度

長軸の指令速度が F の時、短軸の速度は Fs とα軸の速度 Fαは下記のようになります。

Fα=F× 長軸の長さ

軸の長さa ( 大は軸毎の切削送り 大送り速度)

Fs= F×TANθ θ: 長軸に対する接線の角度

|△X|>|△Y|の時、 長軸は X 軸、短軸は Y 軸となります。 |△X|<|△Y|の時、 長軸は Y 軸、短軸は X 軸となります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

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短軸

長軸

始点

終点

中心

θ

F

Fs

図3.5 (f)

・工具径補正

工具径補正は円弧補間を行う平面の 2 軸に対してのみかかります。

制限事項 ・工具位置オフセット、工具長補正

円弧ねじ切り B を指令するブロックでは、工具位置オフセットと工具長補正を指令することができません。

・I,J,K と R 指令 I,J,K または、R の指令は省略できません。

・使用できない機能 下記の機能と円弧ねじ切り B は併用できません。 ・3 次元工具径補正 ・工具先端点制御

3.6 連続円運動による溝加工(G12.4,G13.4)

概要 溝加工経路プログラムの軸移動とは独立に工具が連続円運動を行い、その連続円運動と溝加工経路プログラムの軸移

動とを重畳することによって、工具径より大きな幅の溝加工を行うことができます。

連続円弧運動

溝加工経路指令通路

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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フォーマット G12.4 P1 I i K k Q q F f ; (モードオン) G13.4 : : (溝加工経路プログラム) : G12.4 P0; (モードキャンセル) G13.4

G12.4: 時計回りの連続円運動 G13.4: 反時計回りの連続円運動 i: 溝幅 k: 工具径 q: 連続円1周に対する溝加工経路方向の移動量(ピッチ) f: 送り速度(連続円運動する工具の中心の速度)

i(溝幅)

q(ピッチ)

k(工具径)

溝加工経路プログラム

注 1 G12.4/G13.4 のブロックには、前記指令以外のアドレスは使用できません。 2 パラメータ GCC(NO.3452#4)=0 の場合は、溝加工経路プログラムの軸移動の停止により、連続円運動は停

止しますが、溝加工経路プログラムの軸移動と連続円運動は独立して動作するため、溝加工経路プログラム

の停止位置とピッチから換算した連続円運動の位置に厳密には停止致しません。

解説 ・モードオン 連続円運動による溝加工モードオン指令は、連続円運動による溝加工モードをオン状態にします。ただし、連続円運

動による溝加工有効信号が"1"である必要があります。もし、連続円運動による溝加工有効信号が"0"でモードオン指

令がされた場合は、アラーム(PS0010)となります。

連続円運動による溝加工モードオン指令では、軸は移動しません。

・モードキャンセル 連続円運動による溝加工モードキャンセル指令では、連続円上の現在位置から溝加工経路プログラムの終了指令位置

(溝の中心)へ切削送り(連続円運動の速度)で移動します。移動終了後、連続円運動による溝加工モードをキャン

セル状態にします。

Page 41: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

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・スタートアップ 溝加工経路プログラムの 初の移動指令ブロックにおいて、連続円上の点へ切削送り(連続円運動の速度)で移動し

ます。連続円上の点へ移動終了後、溝加工経路プログラムの移動指令に同期して連続円運動を開始します。 溝加工経路プログラムの 初の移動指令ブロックによりスタートアップの方向が変わります。 ・平面に垂直な軸指令の場合、または現在選択された平面を構成する軸の移動がない場合

R=(I-K)/2 として、(X、Y)=(-R,0)となります。

X

Y

溝加工経路指令R

スタートアップ

・選択された平面を構成する軸の移動がある場合 現在選択されている平面内に投影される移動方向に対して逆方向

Y

X

溝加工経路指令

スタートアップ

R

始点

終点

・横幅/工具径/ピッチの設定単位 I(横幅)、K(工具径)、Q(ピッチ)の設定単位は、基準軸(パラメータ No.1031)の単位に従います。

・送り速度 送り速度Fは、連続円運動する工具の中心の速度を指令します。 溝加工経路の速度は、以下になります。 溝加工経路の速度 = F×Q/π(I-K)

・ピッチ ピッチが大きい場合は、切り残しが発生する場合があります。工具径>ピッチとする必要があります。

・溝加工経路プログラム 溝加工経路プログラムは、連続円運動中心の軌跡を指令します。

(1) 有効な指令 溝加工経路プログラムは、G01、G02、G03、G04、G90、G91、補助機能の指令のみ可能です。G00 指令は、アラ

ーム(PS5256)となります。ただし 、パラメータ GG0(No.3452#0)の設定により、G00 指令を G01 動作として移動

することもできます。モーダルも G00 が G01 に変化します。

(2) 制御軸の指令 溝加工経路プログラムは、以下の制御軸を指令することが可能です。

・平面を構成する軸の指令 ・平面に垂直な軸の指令(Z軸の単独指令) ・平面を構成する軸以外の直線軸の指令 ・回転軸の指令

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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(3) 移動指令ブロックにおけるピッチの指定 連続円運動による溝加工モードオン指令時のピッチの指定に加え、各移動指令のブロックでもピッチの指令が可

能です。 ピッチの指令はモーダルとし、G12.4P1/G13.4P1 でモードに入った後モードを抜けるまでの間、 後に指令した

ピッチが有効になります。

(4) 指令例 (例 1) 平面に垂直な軸の指令(Z軸の単独指令)の例

・・・・・ G12.4 P1 Ii Kk Ff; G01 Z… Q…; Z 軸のピッチを指令(このブロックのピッチ) X… Y… Q… ; XY 軸のピッチを指令 (以降のブロックのピッチ) ・・・・・・ Z 軸のみの指令では、ピッチはZ軸方向の移動量とみなします。

(例 2) 平面以外の移動指令を含む場合 ・・・・・ G12.4P1 Ii Kk Ff; G01 X… Y… Z … Q … ; 斜め経路上でのピッチになります ・・・・・

ピッチは、X,Y,Z 軸合成方向の移動量になります。

(例 3) ピッチの切換 ・・・・・ G12.4P1 Ii Kk Ff; G01 X… Y… Q… ; X… Y… Q… ; ピッチを変えたいブロックで Q を指令します ・・・・・ ピッチは指令された軸の合成方向の移動量になります。

(例 4) 回転軸を含む指令 ・・・・・ G12.4P1 Ii Kk Ff; G01 A… Q… ; X… Y…; ピッチを変えたいブロックで Q を指令します ・・・・・

Q の単位は基準軸に従います。よって、基準軸が IS-B の場合は、ピッチのQ100 は 0.1°になります。 連続円運動の半径が安定後に Z 軸の切り込みが始まるようにするため、連続円運動による溝加工モードオン指令は、

切り込み位置から 1 回転で移動するピッチ以上の距離を離して空中で指令します。また、加工終了時には連続円運動

をさせたまま Z 軸方向に逃がし、空中に出た後、連続円運動による溝加工モードキャンセル指令を行い連続円運動を

停止させるようにすることで、一定の溝幅での加工が可能になります。

注 連続円運動の半径は、連続円運動の起動時は指令に対して小さくなり、連続円運動が減速停止する時は、逆

に膨らみます。また、定常状態では指令半径に対して小さくなります。これは、補間後加減速およびサーボ

系の遅れにより生じる誤差です。

補間後加減速およびサーボ系の

遅れにより生じる誤差

実軌跡

指令

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

- 31 -

・モード中信号 連続円運動による溝加工モード中であることを PMC 側ヘ通知します。 連続円運動による溝加工モードオンで信号が "1" になります。 連続円運動による溝加工モードキャンセルで信号が "0" になります。

・連続円運動の加速度による送り速度のクランプ G12.4/13.4 のI、Kの指令と連続円運動の加速度クランプ値(パラメータ No.3490)により、連続円運動の送り速度指

令Fをクランプすることができます。 クランプ送り速度F=SQR(パラメータ No.3490 × (I-K) / 2)× 60

例 パラメータ No.3490=100 の場合 G13.4 P1 I10.0 K5.0 Q1.0 F1000 ; の時、クランプ送り速度=948 よって F=948 で実行 G13.4 P1 I10.0 K8.0 Q1.0 F1000 ; の時、クランプ送り速度=600 よって F=600 で実行 G13.4 P1 I10.0 K9.0 Q1.0 F1000 ; の時、クランプ送り速度=424 よって F=424 で実行

クランプした速度に対して、連続円運動送り速度オーバライドがかかります。

・補間後加減速 連続円運動による溝加工モード中は、補間後加減速が有効です。

・停止条件選択

(1) フィードホールド、シングルブロック等による連続円運動の停止 フィードホールド、または、シングルブロック等種々の停止条件で指令動作が停止した時に、連続円運動を続け

るか、止めるかをパラメータにより選択できます。 No.3452#4(GCC) = 0 : 連続円運動を停止します。 = 1 : 連続円運動を続行します。

(2)停止条件/モード切換 停止条件に対する溝加工経路動作、連続円運動の停止動作、および運転モードへの切替え条件は表3.6 (a)のよう

になります。

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 32 -

表3.6 (a) 連続円運動の停止/続行

停止条件 溝加工経路動作停止(GCC=0) 続行(GCC=1)

運転モードの切換

フィードホールド 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 シングルブロック 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 手動モードへの切換 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換わる 自動モード間での切換 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 MDI 運転 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 ピッチオーバライド 0% 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 M/S/T コード FIN 待ち 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 プログラミングエラー 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 オーバヒートアラーム 減速停止 減速停止 続行 経路動作停止後切換可 BG編集アラーム 続行 続行 続行 自動運転は停止しない モード終了 減速停止 半径分引込み

/減速停止 半径分引込み /減速停止

他の停止条件に従う

リセット 減速停止 減速停止 減速停止 全動作停止後切換可 マシンロック *1 減速停止 減速停止 減速停止 ――― サーボオフ *1 減速停止 減速停止 減速停止 ――― インターロック *2 減速停止 減速停止 減速停止 ――― OT アラーム 減速停止 減速停止 減速停止 全動作停止後切換可 DS アラーム 減速停止 減速停止 減速停止 全動作停止後切換可 非常停止 即時停止 即時停止 即時停止 非常停止解除後切換可 PC関連アラーム 即時停止 即時停止 即時停止 アラーム解除後切換可 サーボアラーム 即時停止 即時停止 即時停止 アラーム解除後切換可 スピンドルアラーム 即時停止 即時停止 即時停止 アラーム解除後切換可 システムアラーム 即時停止 即時停止 即時停止 電源の再投入が必要

*1:機能が有効になった軸のみ停止します。 *2:1 軸でも有効になると全軸が停止します。 ・ パラメータ GCC(NO.3452#4)=0 の場合は、溝加工経路プログラムの軸移動の停止により、連続円運動は停止しま

すが、溝加工経路プログラムの軸移動と連続円運動は独立して動作するため、溝加工経路プログラムの停止位置

とピッチから換算した連続円運動の位置に厳密には停止致しません。 ・ モードを手動モードに切替えた後、手動で移動できる軸は、連続円運動を行う軸を除きます。 ・ 連続円運動が続行(パラメータ GCC(No.3452#4)=1)の場合は、連続円運動は動き続けるため半径の変動はありませ

ん。 ・ 連続円運動開始位置への移動、連続円運動終了後の溝加工経路プログラム終了位置への移動は、以下の停止条件

の場合に停止します。 リセット 減速停止 マシンロック 減速停止 サーボオフ 減速停止 インターロック 減速停止 OT アラーム 減速停止 DS アラーム 減速停止 非常停止 即時停止 PC 関連アラーム 即時停止 サーボアラーム 即時停止 スピンドルアラーム 即時停止 システムアラーム 即時停止

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

- 33 -

・送り速度指定・ピッチオーバライド (1) 送り速度の指定 加工時の送り速度は、連続円運動の送り速度を指定します。

この速度は指令速度として表示されます。 (2) 連続円運動送り速度オーバライド 連続円運動の指令速度に対して、送り速度オーバライド信号(*FV0~*FV7)は効きません。連続円運動送り速度オ

ーバライド信号(*CGROV7~*CBROV0)を使用します。連続円運動送り速度オーバライドが 0%の場合は、溝加工

経路の動きとは独立して連続円運動の動きを止めておくことができます。 (3) 送り速度オーバライド 溝加工経路の速度は、ピッチ指令により決定されます。送り速度オーバライド信号(*FV0~*FV7)は、溝加工経路

の速度に対して有効になります。これにより、連続円運動の速度と溝加工経路の速度は独立して変えることがで

きます。 また、溝加工経路の速度は、オーバライドキャンセル信号(OVC)、第 2 送り速度オーバライド信号(オプション

機能)が有効です。 (4) ドライラン ドライラン時は表 3.6 (b)の通りです。

溝加工経路の速度には、ドライランは無効です。 表3.6 (b)

速度 オーバライド 溝加工経路の速度 連続円運動の送り速度 F×ピッチ/2πR 送り速度オーバライド

手動早送り選択信号(RT) 0 1 連続円運動の送り速度

ドライラン速度 (パラメータ No.1410)

JV JVmax JV: 手動送り速度オーバライド JVmax:手動送り速度オーバライドの 大値

(5) 速度の表示 ・ 指令速度の表示は、連続円運動の指令速度を表示します。 ・ 実速度表示は、連続円運動の速度と溝加工経路の速度の合成速度を表示します。 (6) 大切削送り速度によるクランプ 連続円運動の送り速度指令が、 大切削送り速度(パラメータ No.1430)を越える場合には、連続円運動の送り速度

指令をクランプし、溝加工経路の速度を計算します。さらに、各オーバライドがかかった連続円運動の送り速度

および溝加工経路の速度を 大切削送り速度によりクランプします。

制限事項 ・ミラーイメージ ミラーイメージは、溝加工経路の指令に対してのみ有効です。 連続円運動、および、連続円運動開始位置への移動、連続円運動終了後の溝加工経路プログラム終了位置への移動に

は、ミラーイメージがかかりません。

・残移動量 連続円運動開始位置への移動、連続円運動の移動、連続円運動終了後の溝加工経路プログラム終了位置への移動は、

残移動量(ポジション画面等)には反映されません。

・ワーク座標系と機械座標系 連続円運動開始位置への移動、連続円運動の移動、連続円運動終了後の溝加工経路プログラム終了位置への移動は、

ワーク座標系に反映されません。ワーク座標系は、あくまでも溝加工経路プログラムの座標系です。

ただし、機械座標系には、本移動が反映されます。

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 34 -

・軸移動中信号 連続円運動による軸移動により、軸移動中信号は変化しません。

連続円運動による溝加工モード中信号を使用してください。

・グラフィック表示 加工中のプログラムの工具軌跡は、ワーク座標のため溝加工指令経路が描画されます。

・再開機能 プログラム再開、工具待避&復帰等の再開機能により、溝加工経路プログラムの途中から、連続円運動による溝加工

を開始することはできません。

・逆行(リトレース) 連続円運動による溝加工モード中は、使用できません。

・AI 輪郭制御 連続円運動による溝加工モード中は、AI 輪郭制御は無効です。AI 輪郭制御中に連続円運動による溝加工が指令され

た場合は、AI 輪郭制御は一時的にキャンセルされます。連続円運動による溝加工モードがキャンセルされると、AI輪郭制御はオンに復帰します。なお、AI 輪郭制御が無効になりますと、先読み補間前加減速、加加速度制御/ 適ト

ルク加減速も無効となります。

・F1 桁 連続円運動による溝加工モード中は、使用できません。

・割り込み形カスタムマクロ 連続円運動による溝加工モード中は、使用できません。

・連続円運動による溝加工モード中に可能な指令 溝加工経路プログラムは、以下の指令のみ可能です。 ・G01 ・G02、G03 (ヘリカル補間/ヘリカル補間 B を除く) ・G04 ・G90、G91 ・M/S/T(補助機能)、第 2 補助機能 ・G00(パラメータ GG0(No.3452#0)により動作を選択できます。

GG0 = 0:アラーム(PS5256)となります。 GG0 = 1:G00 指令を G01 動作として移動させます。)

・G94(毎分送り)

・連続円運動による溝加工モード指令が不可なモード 以下の機能モード中に連続円運動による溝加工指令を行うことはできません。 補間機能

・ヘリカル補間 ・ヘリカル補間 B ・渦巻補間/円錐補間 ・極座標補間 ・円筒補間/円筒補間切削点補正 ・指数関数補間 ・滑らか補間 ・ナノスムージング ・NURBS 補間 ・仮想軸補間 ・可変リードねじ切り ・円弧ねじ切り ・3 次元円弧補間

・インボリュート補間 ・ねじ切り

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B-64484JA-2/03 プログラミング 3.補間機能

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送り機能 ・F1 桁/毎回転送り/インバースタイム送り ・イクザクトストップ/タッピングモード/自動コーナオーバライド

座標値と寸法 ・極座標指令

プログラミングを簡単にする機能 ・図形コピー ・3 次元座標変換 ・穴あけ用固定サイクル ・リジッドタップ ・インデックス割り出し

補正機能 ・スケーリング ・プログラマブルミラーイメージ ・工具位置オフセット ・工具径補正 ・刃先 R 補正/ベクトル保持/コーナ円弧補間 ・3 次元工具補正 ・座標回転

軸制御機能 ・ポリゴン加工 ・傾斜軸制御

5 軸加工機能 ・5 軸加工用工具先端点制御 ・傾斜面割出し指令 ・傾斜回転軸制御 ・5 軸加工用工具径補正

多系統制御機能 ・系統間待ち合わせ/系統間主軸制御 ・同期/混合/重畳

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3.補間機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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例題 次のプログラムを実行すると、工具の中心は下図のような動きをします。 (このプログラムはあくまでサンプルです。Q、F の指令は加工条件に合わせて決定する必要があります。) O0002 ; N01 G90 G0 X0 Y0 Z0 ; N02 G91 G00 X20.0 Y20.0 ; N03 G01 Z-25.0 F5000 ; N04 G13.4 P1 I20.0 K10.0 Q5.0 F3000 ; N05 Y40.0 ; N06 X40.0 Y20.0 ; N07 G02 X40.0 Y-40.0 R40.0 ; N08 X-20.0 Y-20.0 R20.0 ; N09 G01 X-60. ; N10 G13.4 P0 ; N11 G00 Z25.0 ; N12 X-20.0 Y-20.0 M02 ; %

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B-64484JA-2/03 プログラミング 4.座標値と寸法

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4 座標値と寸法 4 章「座標値と寸法」は下記の内容で構成されています。 4.1 極座標指令 (G15,G16) ..........................................................................................................................................................37

4.1 極座標指令(G15,G16)

終点座標値を半径と角度の極座標で入力することができます。 角度は極座標指令をする平面の第 1 軸の+方向から、反時計方向が正に、時計方向が負になります。 また、半径、角度はアブソリュート/インクレメンタル指令(G90,G91)のどちらでも指令できます。

フォーマット G□□G○○G16; 極座標指令(極座標モード)開始 G00 IP_ ; ・ 極座標指令 ・ G15; 極座標指令(極座標モード)キャンセル

G16 : 極座標指令開始 G15 : 極座標指令キャンセル G□□ : 極座標指令の平面選択(G17,G18 又は G19) G○○ : 極座標指令の中心選択(G90 又は G91) G90 のときワーク座標系の原点が極座標の中心 G91 のとき現在位置が極座標の中心 IP_ : 極座標指令の平面を構成する軸アドレスと指令値 平面の第 1 軸 : 極座標の半径を指令 平面の第 2 軸 : 極座標の角度を指令

・ワーク座標系の原点を極座標の中心にする場合 半径値をアブソリュート値で指令します。 ワーク座標系の原点が極座標の中心になります。 ただし、ローカル座標系(G52)を使用している場合は、ローカル座標系の原点が極座標の中心になります。

指令位置

現在位置角度

半径

指令位置

現在位置角度

半径

角度がアブソリュート指令の場合 角度がインクレメンタル指令の場合

・現在位置を極座標の中心にする場合 半径値をインクレメンタル値で指令します。 現在位置が極座標の中心になります。

角度がインクレメンタル指令の場合

指令位置

現在位置

指令位置

角度

現在位置

角度がアブソリュート指令の場合

半径半径 角度

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4.座標値と寸法 プログラミング B-64484JA-2/03

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例題 ボルトホールサークル

・極座標の原点はワーク座標系の原点 ・平面は X-Y 平面

Y

150°

30°

100mm

270° X

・半径値と角度がアブソリュート指令の場合 N1 G17 G90 G16 ; 極座標指令、X-Y 平面選択 極座標の原点はワーク座標系の原点 N2 G81 X100.0 Y30.0 Z-20.0 R-5.0 F200.0 ; 半径 100mm、角度 30deg N3 Y150.0 ; 半径 100mm、角度 150deg N4 Y270.0 ; 半径 100mm、角度 270deg N5 G15 G80 ; 極座標指令キャンセル

・半径値はアブソリュートで角度がインクレメンタル指令の場合 N1 G17 G90 G16; 極座標指令、X-Y 平面選択 極座標の原点はワーク座標系の原点 N2 G81 X100.0 Y30.0 Z-20.0 R-5.0 F200.0 ; 半径 100mm、角度 30deg N3 G91 Y120.0 ; 半径 100mm、角度+120deg N4 Y120.0 ; 半径 100mm、角度+120deg N5 G15 G80 ; 極座標指令キャンセル

制限事項 ・極座標モードでの半径指令 極座標モードでの円弧補間、ヘリカル補間(G02,G03)の半径指令は、R 指令で行って下さい。

・極座標モードで極座標指令とみなされない軸指令 次の指令に伴う軸指令については、極座標指令とみなされません。 ・ドウェル(G04) ・プログラマブルデータ入力(G10) ・ローカル座標系設定(G52) ・ワーク座標系変更(G92) ・機械座標系の選択(G53) ・ストアードストロークチェック(G22) ・座標回転(G68) ・スケーリング(G51)

・任意角度面取り・コーナ R 極座標モード中に任意角度面取り・コーナ R は指令できません。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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5 プログラミングを簡単にする機能 5 章「プログラミングを簡単にする機能」は下記の内容で構成されています。 5.1 穴あけ用固定サイクル .......................................................................................................................................................39 5.2 穴あけ固定サイクル用インポジションチェック切換え機能 ........................................................................................66 5.3 リジッドタップ ...................................................................................................................................................................79 5.4 任意角度面取り・コーナR ...............................................................................................................................................90 5.5 インデックステーブル割り出し機能 ...............................................................................................................................92 5.6 インフィード制御(研削盤用) .......................................................................................................................................94 5.7 研削用固定サイクル(研削盤用) ...................................................................................................................................96 5.8 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7, G74.7, G75.7,G76.7)..................................................................108

5.1 穴あけ用固定サイクル

概要 穴あけ用固定サイクルは、一般的に使用頻度の高いいくつかの加工動作を数ブロックで指令することなく、G コード

を含む 1 ブロックで指令することができます。このため、プログラムの作成が簡単になります。同時にプログラムを

小さくすることができ、メモリを有効に使用できます。 表 5.1(a)は穴あけ用固定サイクルの一覧です。

表5.1 (a) 穴あけ用固定サイクル一覧表

G コード 穴あけ動作 (-Z 方向) 穴底位置における動作 逃げ動作

(+Z 方向) 用途

G73 間欠送り ――――― 早送り 高速深穴あけサイクル G74 切削送り ドウェル→主軸正転 切削送り 逆タッピング G76 切削送り 主軸オリエンテーション 早送り ファインボーリング G80 ―――― ――――― ――― キャンセル G81 切削送り ――――― 早送り ドリル、スポットドリリング G82 切削送り ドウェル 早送り ドリル、カウンタボーリング G83 間欠送り ――――― 早送り 深穴あけサイクル G84 切削送り ドウェル→主軸逆転 切削送り タッピング G85 切削送り ――――― 切削送り ボーリング G86 切削送り 主軸停止 早送り ボーリング G87 切削送り 主軸正転 早送り バックボーリング G88 切削送り ドウェル→主軸停止 手動 ボーリング G89 切削送り ドウェル 切削送り ボーリング

解説 穴あけ用固定サイクルは、次の 6 つの動作のシーケンスからなっています。 動作 1 X,Y 軸の位置決め(他の軸になることもあります。) 動作 2 R 点レベルまでの早送り 動作 3 穴加工 動作 4 穴底位置における動作 動作 5 R 点レベルまでの逃げ 動作 6 イニシャルレベルまでの早送り

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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動作 1

動作 2

R 点レベル

イニシャルレベル

動作 6

動作 5

動作 3

動作 4早送り

切削送り

図5.1 (a) 穴あけ用固定サイクルの動作シーケンス

・位置決め平面 G17,G18,G19 の平面選択によって決まります。 穴あけ軸以外の軸が位置決め軸になります。

・穴あけ軸 穴あけ用固定サイクルでは、穴あけ以外にもタッピングやボーリングサイクルがありますが、本章では名称を統一す

るために、穴あけと称します。 穴あけ軸は、位置決め平面を構成しない基本軸(X,Y または Z)またはその平行軸になります。 基本軸か、平行軸のどの軸かは G73~G89 の G コードと同じブロックに指令された穴あけ軸の軸アドレスによります。 穴あけ軸の軸アドレスが指定されなかった場合は、基本軸が穴あけ軸となります。

表5.1 (b) 位置決め平面と穴あけ軸 G コード 位置決め平面 穴あけ軸

G17 Xp-Yp 平面 Zp G18 Zp-Xp 平面 Yp G19 Yp-Zp 平面 Xp

Xp : X 軸または X 軸の平行軸 Yp : Y 軸または Y 軸の平行軸 Zp : Z 軸または Z 軸の平行軸

例題 U,V,W がそれぞれ X,Y,Z の平行軸であるというパラメータ(No.1022)が設定されているとします。

G17 G81 Z_ _: ······································································穴あけ軸は Z 軸 G17 G81 W_ _: ·····································································穴あけ軸は W 軸 G18 G81 Y_ _:······································································穴あけ軸は Y 軸 G18 G81 V_ _:······································································穴あけ軸は V 軸 G19 G81 X_ _:······································································穴あけ軸は X 軸 G19 G81 U_ _:······································································穴あけ軸は U 軸

G17, G18, G19 は G73~G89 と同じブロックに指令しなくてもかまいません。

注意 穴あけ軸の切換えは、穴あけ用固定サイクルを一旦キャンセルしてから行って下さい。

注 パラメータ FXY(No.5101#0)により、Z 軸を常に穴あけ軸とすることができます。FXY が 0 の時、常に Z 軸

が穴あけ軸となります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 41 -

・穴あけ軸移動量 G90/G91 穴あけ軸方向の移動量は G90 と G91 の指令に応じて、図 5.1(b)のようになります。

G90(アブソリュート指令) G91(インクレメンタル指令)

Z=0R

Z

R 点

Z 点

R

Z

R 点

Z 点 図5.1 (b) アブソリュート指令とインクレメンタル指令

・穴加工モード

G73/G74/G76/G81~G89 はモーダルな G コードでキャンセルを指定するまで有効です。これを穴加工モードといいま

す。 穴加工データは穴加工モード中は一度指定されると、そのデータの指定が変更されるか、キャンセルされるまで保持

されます。 従って、固定サイクルの開始で必要な穴加工データをすべて指定し、固定サイクル中は変更になるデータのみ指定し

ます。

・復帰点レベル G98/G99 穴底から、工具をR点レベルまで復帰させるかイニシャルレベルまで復帰させるかは、G98,G99で区別します。G98,G99を指令した時の動作を図 5.1(c)に示します。通常、 初の穴あけで G99 を使い、 後の穴あけで G98 を使用します。 G99 のモードで穴加工動作を行っても、イニシャルレベルは変わりません。

G98(イニシャルレベル復帰) G99(R 点レベル復帰)

イニシャル

レベル

R点レベル

図5.1 (c) イニシャルレベルと R 点レベル

・繰返し 等間隔の穴加工を繰り返したい場合は、その回数を K_で指令します。 K は指定されたブロックのみ有効です。 初の穴位置をインクレメンタル(G91)で指令します。

もし、アブソリュート(G90)で指令すると、同一穴位置で繰り返して穴あけが行われます。

繰返し回数 K 最大指令値=9999 K0 を指定すると、穴加工データを記憶するだけで穴加工はしません。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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注 K は 0 または 1~9999 の整数値を指令して下さい。

・シングルブロック 穴加工サイクルをシングルブロックで行った場合、制御装置は図 5.1(a)の動作 1、2、6 の終了点でそれぞれ止まりま

す。従って、1 つの穴をあけるために 3 回起動をかけることになります。動作 1、2 の終了点では、フィードホールド

のランプが点灯して止まります。動作 6 の終了点で、繰り返し回数が残っている場合は、フィードホールドで止まり、

残っていない場合はシングルブロック停止状態で止まります。なお、G87 の R 点は停止しません。G88 は Z 点でドウ

ェル後も停止します。

・キャンセル 固定サイクルのキャンセルは G80 あるいはグループ 01 の G コードで行います。 グループ 01 の G コード G00 : 位置決め(早送り) G01 : 直線補間 G02 : 円弧補間・ヘリカル補間(時計回り) G03 : 円弧補間・ヘリカル補間(反時計回り)

・図の説明 次項より各固定サイクルの説明があります。 それぞれの説明に使用されている図中の記号について説明します。

位置決め(早送り G00) 切削送り(直線補間 G01) 手動送り 主軸オリエンテーション(定回転位置に主軸停止) シフト(早送り G00)

P ドウェル

OSS

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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5.1.1 高速深穴あけサイクル(G73)

深穴を高速で加工します。 穴底まで、間けつ的に切削送りして切屑を穴の外に排出しながら加工していきます。

フォーマット G73 X_ Y_ Z_ R_ Q_ F_ K_ ; X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 毎回の切り込み量 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰り返す必要のある時のみ)

G73(G98) G73(G99)

R 点

q

q

q

d

d

Z 点

イニシャルレベル

R 点レベルR 点

q

q

q

d

d

Z 点

解説 ・動作

Z 軸方向の間けつ送りにより深穴あけにおける切屑の排出を容易にし、逃げ量を微小に設定できますので、高能率な

加工が行えます。 逃げの量 d は、パラメータ(No.5114)に設定します。 逃げは早送りで移動します。

・主軸の回転 G73 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

・補助機能 G73 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 44 -

・穴あけ

X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・Q Q は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルなデ

ータとして記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G73 と同一ブロックで指令しないで下さい。G73 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S2000 ; 主軸起動 G90 G99 G73 X300. Y-250. Z- 150. R-100. Q15. F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.2 逆タッピングサイクル(G74)

逆タッピング加工ができます。 穴底で主軸が正転し、逆タッピングサイクルが行われます。

フォーマット G74 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底まで距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : ドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰り返す必要のある時のみ)

G74(G98) G74(G99)

R 点

Z 点 P

P

主軸正転

主軸逆転

イニシャルレベル

R 点

Z 点 P

P

主軸正転

主軸逆転

R 点レベル

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 45 -

解説 ・動作 主軸を逆回転させて切り込み、穴底で正転し逃げることにより、逆ネジを作ります。

注意 逆タッピング動作中は送り速度オーバライドは無視され、フィードホールドをかけても、復帰動作が完了す

るまで機械は停止しません。

・主軸の回転 G74 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を逆転して下さい。 穴位置およびイニシャルレベルから R 点レベルまでの距離が短い穴あけが連続するする場合、穴の切削動作に入る前

までに主軸が正常回転に達しないことがあります。このような場合には、繰り返し回数 K の指定をしないで、G04 に

よるドウェルを各穴あけ動作の前に挿入して時間をとる必要があります。 機械によっては上記のことを考慮しなくてもよい場合がありますので、機械メーカ発行の説明書を参照下さい。

・補助機能 G74 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・P P は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルなデ

ータとして記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G74 と同一ブロックで指令しないで下さい。G74 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M4 S100 ; 主軸起動 G90 G99 G74 X300. Y-250. Z-150. R -120. F120. ; 位置決め後、ネジ穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、ネジ穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、ネジ穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、ネジ穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、ネジ穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、ネジ穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

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- 46 -

5.1.3 ファインボーリング(G76)

精度のよい中ぐり加工を行います。 穴底で主軸が停止し、ツールがワークから離れて引き抜きます。

フォーマット G76 X_ Y_ Z_ R_ Q_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 穴底でのシフト量 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰り返す必要のある時のみ)

G76(G98) G76(G99)

主軸正転 イニシャル

レベル

R 点

Z 点 q

POSS

主軸正転

R 点レベルR 点

Z 点 q

P OSS

解説 ・動作 穴底で主軸が定回転位置に停止し、刃先と逆方向にシフトしてから引き抜くので、加工面に傷をつけないで高精度で

高能率な中ぐり加工が行えます。

・主軸の回転 G76 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

・補助機能 G76 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

シフト量 q

主軸オリエンテーション

工具

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・P,Q Q の値は必ず正の値で指定します。負の値で指令しても符号は無視されます。シフトの方向はパラメータ(No.5148)に設定します。 P,Q は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルな

データとして記憶されません。

注意 Q(穴底でのシフト量)は、穴あけ用固定サイクル中ではモーダルな情報で、G73,G83 の切り込み量として

も使用しますので、注意して下さい。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G76 と同一ブロックで指令しないで下さい。G76 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S500 ; 主軸起動 G90 G99 G76 X300. Y-250. 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰 Z-150. R-120. Q5. 穴底でオリエンテーション後 5mm シフト P1000 F120. ; 穴底で 1 秒停止 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.4 ドリルサイクルスポットドリリング(G81)

通常の穴あけ加工に使用します。 穴底まで切削送りし、穴底から早送りで逃げます。

フォーマット G81 X_ Y_ Z_ R_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰り返す必要のある時のみ)

G81(G98) G81(G99)

イニシャルレベル

R 点

Z 点

R 点レベルR 点

Z 点

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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解説 ・動作

X,Y 軸を位置決め後、R 点レベルまで早送りで移動します。 その後、R 点レベルから Z 点まで穴あけ加工をします。 逃げは早送りで移動します。

・主軸の回転 G81 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

・補助機能 G81 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G81 と同一ブロックで指令しないで下さい。G81 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S2000 ; 主軸起動 G90 G99 G81 X300. Y-250. Z-150. R -100. F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

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5.1.5 ドリルサイクルカウンタボーリング(G82)

通常の穴あけ加工に使用します。 穴底まで切削送りし、穴底でドウェルを行って穴底から早送りで逃げます。 穴の深さの精度が向上します。

フォーマット G82 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰り返す必要のある時のみ)

G82(G98) G82(G99)

イニシャルレベル

R 点

Z 点 P

R 点レベル R 点

Z 点 P

解説 ・動作

X,Y 軸を位置決め後、R 点レベルまで早送りで移動します。 その後、R 点レベルから Z 点まで穴あけ加工をします。 穴底でドウェルを行い、逃げは早送りで移動します。

・主軸の回転 G82 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

・補助機能 G82 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・P P は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルなデ

ータとして記憶されません。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 50 -

・キャンセル

01 グループの G コード(G00~G03 等)を G82 と同一ブロックで指令しないで下さい。G82 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S2000 ; 主軸起動 G90 G99 G82 X300. Y-250. Z-150. R -100. P1000 F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、穴底で 1 秒ドウェル、 R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.6 深穴あけサイクル(G83)

深穴を加工します。 穴底まで、間けつ的に切削送りして切屑を穴の外に排出しながら加工していきます。

フォーマット G83 X_ Y_ Z_ R_ Q_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 毎回の切込み量 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰り返す必要のある時のみ)

G83(G98) G83(G99)

R 点

q

q

q

d

Z 点

イニシャルレベル

d

R 点

q

q

q

d

Z 点

R点レベル

d

解説 ・動作

Q は 1 回当たりの切り込み量で、常にインクレメンタル量で指令します。 2 度目以降の切り込みの際、直前に加工した位置の d だけ手前で早送りから切削送りに変わります。d はパラメータ

(No.5115)に設定します。 Q の指令値は必ず正の値にして下さい。負の値を指令しても無視されます。

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・主軸の回転 G83 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

・補助機能 G83 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・Q Q は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルなデ

ータとして記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G83 と同一ブロックで指令しないで下さい。G83 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S2000 ; 主軸起動 G90 G99 G83 X300. Y-250. Z-150. R-100. Q15. F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.7 小径深穴加工ドリルサイクル(G83)

過負荷トルク検出機能付アーバを使用して、ドリル加工において過負荷トルク検出信号(スキップ信号を使用)を受

けた際に工具を退避させ、主軸回転数、および切削送り速度を変更して再度加工を行うことを繰り返すペックドリリ

ングサイクルです。 パラメータ(No.5163)に設定されている M コードを指令することにより、小径深穴加工ドリルサイクルモードに入り

ます。このモードにおいて G83 を指令することにより、小径深穴加工ドリルサイクルを実行できます。小径深穴加工

ドリルサイクルモードは、G80 指令またはリセットにて解除されます。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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フォーマット G83 X_ Y_ Z_ R_ Q_ F_I_ K_P_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 毎回の切込み量 F_ : 切削送り速度 I_ : 前進及び後退速度(フォーマットは F と同じ)(省略した場合は、パラメータ(No.5172,5173)の値)

K_ : 繰返し回数(繰り返す必要のある時のみ) P_ : 穴底でのドウェル時間(省略した場合は P0 とみなす)

G83(G98) G83(G99)

Z 点

R 点

q

イニシャルレベル

ドウェル

過負荷トルク

Z 点

R 点

q

ドウェル

過負荷トルク

Δ : R 点に戻る時の最初の微小逃げ量及び、2 回目以降の切削における、穴底とのクリアランス量(パラメータ

(No.5174)) q : 1 回あたりの切込み量 で示される移動経路は、早送り速度での移動を示します。 で示される移動経路は、プログラム指令による切削送り速度での移動を示します。 で示される移動経路は、パラメータにより設定されるサイクル中の前進、後退速度での移動を示します。

( )

解説 ・サイクルを構成する動作

*X,Y 軸位置決め *Z 軸の R 点への位置決め *Z 軸切り込み(1 回目、切り込み量 Q、インクレメンタル) 後退動作(穴底→微小逃げ量Δ、インクレメンタル) 後退動作(穴底→R 点へ) 前進動作(R 点→穴底+クリアランス量Δの点へ) 切り込み(2 回目以降、切り込み量 Q+Δ、インクレメンタル) *ドウェル *Z 軸 R 点(またはイニシャル点)復帰=サイクル終了 後退、および前進動作は、切削送り加減速時定数によって加減速制御され、さらに後退動作時には R 点にてインポジ

ションチェックが行われます。

・指令 M コード パラメータ(No.5163)に設定されている M コードを指令することにより、小径深穴加工ドリルサイクルモードに入り

ます。 ただし、この M コードは FIN を待ちません。従って他の M コードと同一ブロックに指令する場合は注意が必要です。 (例) M03 M□□ ; →FIN を待つ。 M□□ M03 ; →FIN を待たない。

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・指令 G コード 小径深穴加工ドリルサイクルモードにおいて、G83 を指令することにより、小径深穴加工ドリルサイクルが実行され

ます。 G83 はモーダルな G コードで、1 度指令されると他の固定サイクルが指令されるか固定サイクルをキャンセルする Gコードが指令されるまで変化しません。従って、同一の穴加工を連続して行う場合には、1 ブロックごとに穴加工デ

ータを指定する必要はありません。

・サイクル実行中信号 本サイクルモード中、G83 が指令され穴位置への位置決め動作の後、穴あけ方向の軸の R 点位置決め開始時に小径深

穴加工ドリルサイクル実行中信号が"1"になります。他の固定サイクルが指令されるか、G80、リセットまたは非常停

止にて本モードがキャンセルされると、本信号は"0"になります。詳細は機械メーカ発行の説明書を参照下さい。

・過負荷トルク検出信号 過負荷トルク検出信号はスキップ信号を使用します。スキップ信号は、穴あけ方向の軸が R 点と Z 点の間にあり、か

つ前進又は切削動作中にのみ有効(後退動作を行う)です。詳細は機械メーカ発行の説明書を参照下さい。

注 前進動作中過負荷トルクを検出した場合、後退動作(微小逃げ量Δ+R 点への移動)を行った後、次の前進

動作では、前回の切削終了時の微小逃げ量Δの後退動作が完了した位置まで移動します。

・切削条件の変更 1 回の G83 サイクル中、ペッキング動作(前進→切削→後退)ごとに切削条件を変更します。パラメータ

OLS,NOL(No.5160#1,#2)の設定により切削条件を変更しないようにすることもできます。 1 切削送り速度の変更

F コードでプログラムされた切削送り速度を 2 回目以降の切削動作ごとに変更します。前回の切削動作でスキッ

プ信号を受けた場合と受けなかった場合のそれぞれの変更割合をパラメータ(No.5166,5167)に設定します。

切削送り速度=F×α

<1 回目> α=1.0 <2 回目> α=α×β÷100 βは 1 回の変更割合 前回の切削でスキップあり:β=b1%(パラメータ(No.5166)) 前回の切削でスキップなし:β=b2%(パラメータ(No.5167))

切削送り速度の変更割合αがパラメータ(No.5168)に設定された割合を下回ると、切削送り速度の変更をやめま

す。また、変更された切削送り速度の上限は 大切削送り速度です。 2 主軸回転数の変更

S コードでプログラムされた主軸回転数を 2 回目以降の前進動作開始時に変更します。前回の切削動作でスキッ

プ信号を受けた場合と受けなかった場合のそれぞれの変更割合をパラメータ(No.5164, No.5165)に設定します。

主軸回転数=S×γ

<1 回目> γ=1.0 <2 回目> γ=γ×δ÷100 δは 1 回の変更割合 前回の切削でスキップあり:δ=d1%(パラメータ(No.5164)) 前回の切削でスキップなし:δ=d2%(パラメータ(No.5165))

切削送り速度が下限にクランプされている場合、主軸回転数の変更をやめます。また、変更された主軸回転数の

上限は S アナログデータの 大値に相当する値です。

・前進・後退動作 前進・後退動作は早送り位置決めではなく、切削送りと同じ補間動作として実行されます。ただし、工具寿命管理機

能では、前進・後退動作中は工具寿命をカウントアップしません。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・アドレス I の指令 前進・後退速度をアドレス I で指令する場合、フォーマットはアドレス F と同じになります。すなわち、 G83 I1000;(小数点なし指令) G83 I1000.;(小数点付き指令) いずれの場合も速度は 1000mm/min となります。G83 モーダル状態で指令されたアドレス I は、G80 指令又はリセッ

トされるまで有効です。

注 I の指定が省略され、パラメータ(No.5172)(後退動作時)、パラメータ(No.5173)(前進動作時)の設定値も

0 の場合、移動速度は F で指令された速度と同じ速度となります。

・指令可能な機能 小径深穴加工ドリルサイクルモード中では、以下の指令が可能です。 ・穴あけ軸以外の軸の穴位置指令 ・カスタムマクロによる演算、分岐 ・サブプログラム(穴位置群等)呼出し ・アブソリュート/インクレメンタルの切替え ・座標回転 ・スケーリング指令(切込み量 Q 及び微小逃げ量Δにはかかりません) ・ドライラン ・フィードホールド

・シングルブロック シングルブロック ON で、後退動作ごとに停止します。また、パラメータ SBC(No.5105#0)の設定により、サイクルご

とに停止させることも可能です。

・送り速度オーバライド サイクル中の切込み・後退・前進の各動作に対して、送り速度オーバライドが有効です。

・カスタムマクロ・インタフェース パラメータ(No.5170, No.5171)に設定したカスタムマクロのコモン変数(#100~#149)に、切削中の後退動作の合計回

数および、過負荷トルク検出信号受信による後退動作の合計回数を出力させることができます。ただし、パラメータ

(No.5170, No.5171)共に、100~149 以外の値を設定することはできません。 パラメータ(No.5170):切削中の後退動作の合計回数を出力するコモン変数番号を設定します。 パラメータ(No.5171):切削中の過負荷トルク検出信号受信による後退動作の合計回数を出力するコモン変数番号を設

定します。

注 カスタムマクロのコモン変数に出力される合計回数の値は、小径深穴加工ドリルサイクルモードに入った後

の G83 指令により、ゼロ・クリアされます。

制限事項 ・サブプログラム呼出し 小径深穴加工ドリルサイクルモード中のサブプログラム呼出し指令 M98P_は、単独ブロックで指令してください。

例題 M3 S2000 ; 主軸起動 M□□ ; "小径深穴加工ドリルサイクル"モード切替え G90 G99 G83 X_ Y_ Z_ R_ Q_ F_ I_ K_ P_ ; "小径深穴加工ドリルサイクル"指令 X_ Y_ ; 穴位置を変えて実行 : : G80 ; "小径深穴加工ドリルサイクル"モードキャンセル

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5.1.8 タッピングサイクル(G84)

タッピング加工ができます。 穴底で主軸が逆転し、タッピングサイクルが行われます。

フォーマット G84 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : ドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G84(G98) G84(G99)

R 点

Z 点 P

P

主軸逆転

主軸正転

イニシャルレベル

R 点

Z 点 P

P

主軸逆転

主軸正転

R点レベル

解説 ・動作 主軸を正回転させて切り込み、穴底で逆転し逃げることにより、ネジを作ります。

注意 タッピング動作中は送り速度オーバライドは無視され、フィードホールドをかけても、復帰動作が完了する

まで機械は停止しません。

・主軸の回転 G84 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。 穴位置およびイニシャルレベルから R 点レベルまでの距離が短い穴あけが連続するする場合、穴の切削動作に入る前

までに主軸が正常回転に達しないことがあります。このような場合には、繰り返し回数 K の指定をしないで、G04 に

よるドウェルを各穴あけ動作の前に挿入して時間をとる必要があります。 機械によっては上記のことを考慮しなくてもよい場合がありますので、機械メーカ発行の説明書を参照下さい。

・補助機能 G84 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・P P は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルなデ

ータとして記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G84 と同一ブロックで指令しないで下さい。G84 がキャンセルされます。

例題 M3 S100 ; 主軸起動 G90 G99 G84 X300. Y-250. Z-150. R-120. P300 F120. ; 位置決め後、ネジ穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、ネジ穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、ネジ穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、ネジ穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、ネジ穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、ネジ穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.9 ボーリングサイクル(G85)

ボーリング加工に使用します。

フォーマット G85 X_ Y_ Z_ R_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G85(G98) G85(G99)

R 点

Z 点

イニシャルレベル

R 点

Z 点

R 点レベル

解説 ・動作

X,Y 軸を位置決め後、R 点レベルまで早送りで移動します。 その後、R 点レベルから Z 点まで穴あけ加工をします。 Z 点へ到達後、R 点まで切削送りで復帰します。

・主軸の回転 G85 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

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・補助機能 G85 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G85 と同一ブロックで指令しないで下さい。G85 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S100 ; 主軸起動 G90 G99 G85 X300. Y-250. Z-150. R-120. F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 58 -

5.1.10 ボーリングサイクル(G86)

ボーリング加工に使用します。

フォーマット G86 X_ Y_ Z_ R_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G86(G98) G86(G99)

R 点

Z 点

イニシャル

レベル

主軸停止

主軸正転

R 点

Z 点

R 点レベル

主軸停止

主軸正転

解説 ・動作

X,Y 軸を位置決め後、R 点レベルまで早送りで移動します。 その後、R 点レベルから Z 点まで穴あけ加工をします。 穴底で主軸が停止した後、逃げは早送りで移動します。

・主軸の回転 G86 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。 穴位置およびイニシャルレベルから R 点レベルまでの距離が短い穴あけが連続するする場合、穴の切削動作に入る前

までに主軸が正常回転に達しないことがあります。このような場合には、繰り返し回数 K の指定をしないで、G04 に

よるドウェルを各穴あけ動作の前に挿入して時間をとる必要があります。 機械によっては上記のことを考慮しなくてもよい場合がありますので、機械メーカ発行の説明書を参照下さい。

・補助機能 G86 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G86 と同一ブロックで指令しないで下さい。G86 がキャンセルされます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S2000 ; 主軸起動 G90 G99 G86 X300. Y-250. Z-150. R-100. F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.11 バックボーリングサイクル(G87)

精度のよい中ぐり加工を行います。

フォーマット G87 X_ Y_ Z_ R_ Q_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 穴底でのシフト量 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G87(G98) G87(G99)

シフト量 q

主軸オリエンテーション

工具

主軸正転

イニシャル

レベル

R 点

Z 点

q

P

OSS

OSS

主軸正転

使用しません。

解説 X,Y 軸方向の位置決め後、定回転位置に主軸が停止し、刃先と逆方向にシフトした後、早送りで穴底(R 点)に位置

決めします。 この位置で刃先方向にシフトし主軸正転動作を行い Z 軸の正方向 Z 点まで加工します。 この位置で再度定回転位置に主軸を停止させた後、刃先と逆方向にシフトし、イニシャルレベルに復帰後、刃先方向

にシフトし主軸正転を行い次ブロックの動作に移ります。

・主軸の回転 G87 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。 穴位置およびイニシャルレベルから R 点レベルまでの距離が短い穴あけが連続するする場合、穴の切削動作に入る前

までに主軸が正常回転に達しないことがあります。このような場合には、繰り返し回数 K の指定をしないで、G04 に

よるドウェルを各穴あけ動作の前に挿入して時間をとる必要があります。 機械によっては上記のことを考慮しなくてもよい場合がありますので、機械メーカ発行の説明書を参照下さい。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・補助機能 G87 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・P, Q Q の値は必ず正の値で指定します。負の値で指令しても符号は無視されます。シフトの方向はパラメータ(No.5148)に設定します。 P,Q は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルな

データとして記憶されません。

注意 Q(穴底でのシフト量)は、穴あけ用固定サイクル中ではモーダルな情報で、G73,G83 の切り込み量として

も使用しますので、注意して下さい。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G87 と同一ブロックで指令しないで下さい。G87 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S500 ; 主軸起動 G90 G87 X300. Y-250. 位置決め後、穴 1 加工 Z-150. R-120. Q5. イニシャルレベルでオリエンテーション後 5mm シフト P1000 F120. ; Z 点で 1 秒停止 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

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5.1.12 ボーリングサイクル(G88)

ボーリング加工に使用します。

フォーマット G88 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G88(G98) G88(G99)

主軸正転

イニシャル

レベル

R 点

Z 点P

ドウェル後 主軸停止

主軸正転

R 点レベル R 点

Z 点

P ドウェル後 主軸停止

解説 ・動作

X,Y 軸を位置決め後、R 点レベルまで早送りで移動します。 その後、R 点レベルから Z 点までボーリング加工をします。 その後、穴底でドウェルを行った後、主軸が停止し休止状態となります。したがってこの時, 手動モードに切替えて、

手動で工具を動かすことができます。どのような手動動作を行ってもかまいませんが、 終的には、工具を穴から引

き抜いた状態にしておいた方が安全です。 加工を再開するときは、DNC 運転モードあるいはメモリモードにして起動をかけると G98,G99 に従ってイニシャル

レベル,R 点レベルに復帰した後、主軸正転し、その後、次のブロックのプログラム指令にしたがって動作を再開しま

す。

・主軸の回転 G88 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

・補助機能 G88 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・P

P は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルなデ

ータとして記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G88 と同一ブロックで指令しないで下さい。G88 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S2000 ; 主軸起動 G90 G99 G88 X300. Y-250. Z-150. R-100. P1000 F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰、穴底で 1 秒停止 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.13 ボーリングサイクル(G89)

ボーリング加工に使用します。

フォーマット G89 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G89(G98) G89(G99)

R 点

Z 点

イニシャルレベル

P

R 点

Z 点

R 点レベル

P

解説 ・動作

G85 と同じですが、穴底でドウェルを行います。

・主軸の回転 G89 を指令する前に、補助機能(M コード)で主軸を回転して下さい。

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・補助機能 G89 指令と M コードを同一ブロックで指令すると、 初の位置決め時に M コードが実行されます。繰り返し回数 Kが指令されている場合は、 初の回のみ上記の動作をし、2 回目以降は M コードは実行しません。

・工具長補正 穴あけ用固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した場合、R 点への位置決め以降に補正がかかります。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、穴あけ用固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。

・穴あけ X,Y,Z,R,付加軸のいずれも含まないブロックでは穴あけはしません。

・P P は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の行われないブロックで指令してもモーダルなデ

ータとして記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03 等)を G89 と同一ブロックで指令しないで下さい。G89 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 穴あけ用固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

例題 M3 S100 ; 主軸起動 G90 G99 G89 X300. Y-250. Z-150. R-120. P1000 F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰、穴底で 1 秒停止 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰 G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰 M5 ; 主軸停止

5.1.14 穴あけ用固定サイクルキャンセル(G80)

穴あけ用固定サイクルをキャンセルします。

フォーマット G80 ;

解説 全ての穴あけ用固定サイクルをキャンセルし、以後通常の動作を行わせます。 R 点レベル、Z 点もキャンセルされます。 その他の穴加工データもすべてキャンセルされます。

例題 M3 S100 ; 主軸起動 G90 G99 G88 X300. Y-250. Z-150. R-120. F120. ; 位置決め後、穴 1 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 2 加工、R 点レベル復帰 Y-750. ; 位置決め後、穴 3 加工、R 点レベル復帰 X1000. ; 位置決め後、穴 4 加工、R 点レベル復帰 Y-550. ; 位置決め後、穴 5 加工、R 点レベル復帰

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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G98 Y-750. ; 位置決め後、穴 6 加工、イニシャルレベル復帰 G80 G28 G91 X0 Y0 Z0 ; レファレンス点復帰、固定サイクルキャンセル M5 ; 主軸停止

5.1.15 穴あけ用固定サイクルの例題

オフセット番号 11 に+200.0、オフセット番号 15 に+190.0、オフセット番号 31 に+150.0 をオフセット量としてそ

れぞれ設定します。 プログラム例 ; N001 G92 X0 Y0 Z0 ; N002 G90 G00 Z250.0 T11 M6 ; N003 G43 Z0 H11 ; N004 S30 M3 ; N005 G99 G81 X400.0 Y-350.0 Z-153.0 R-97.0 F120 ; N006 Y-550.0 ; N007 G98 Y-750.0 ; N008 G99 X1200.0 ; N009 Y-550.0 ; N010 G98 Y-350.0 ; N011 G00 X0 Y0 M5 ; N012 G49 Z250.0 T15 M6 ; N013 G43 Z0 H15 ; N014 S20 M3 ; N015 G99 G82 X550.0 Y-450.0 Z-130.0 R-97.0 P300 F70 ; N016 G98 Y-650.0 ; N017 G99 X1050.0 ; N018 G98 Y-450.0 ; N019 G00 X0 Y0 M5 ; N020 G49 Z250.0 T31 M6 ; N021 G43 Z0 H31 ; N022 S10 M3 ; N023 G85 G99 X800.0 Y-350.0 Z-153.0 R47.0 F50 ; N024 G91 Y-200.0 K2 ; N025 G28 X0 Y0 M5 ; N026 G49 Z0 ; N027 M0 ;

レファレンス点で座標系設定 工具交換 イニシャルレベル、工具長補正 主軸起動 位置決め後#1 穴加工 位置決め後#2 穴加工、R 点レベル復帰 位置決め後#3 穴加工、イニシャルレベル復帰 位置決め後#4 穴加工、R 点レベル復帰 位置決め後#5 穴加工、R 点レベル復帰 位置決め後#6 穴加工、イニシャルレベル復帰 レファレンス点復帰、主軸停止 工具長補正キャンセル、工具交換 イニシャルレベル、工具長補正 主軸起動 位置決め後#7 穴加工、R 点レベル復帰 位置決め後#8 穴加工、イニシャルレベル復帰 位置決め後#9 穴加工、R 点レベル復帰 位置決め後#10 穴加工、イニシャルレベル復帰 レファレンス点復帰、主軸停止 工具長補正キャンセル、工具交換 イニシャルレベル、工具長補正 主軸起動 位置決め後#11 穴加工、R 点レベル復帰 位置決め後#12、#13 穴加工、R 点レベル復帰 レファレンス点復帰、主軸停止 工具長補正キャンセル プログラムストップ

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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400 150 250 250 150

Y

X

X

Z

T 11 T 15 T 31

#1 #11

#7

#3

#2

#8

#13

#12

#10

#9

#6

#5

#4

#1~6 10Φの穴加工#7~10 20Φの穴加工#11~13 95Φのボーリング加工(深さ 50mm)

190200 150

250

100

100

100

100

350

200

50 50 30 20

工具長補正、固定サイクルを使用したプログラム

レファレンス点

リトラクト位置

イニシャルレベル

200

図5.1.15 (a) 穴あけ用固定サイクルの例題

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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5.2 穴あけ固定サイクル用インポジションチェック切換え機能

概要 本機能では、穴あけ固定サイクル実行中に、専用のインポジション幅を使用することが可能となります。 専用インポジション幅は、穴底用と穴底以外の動作用の 3 種類(計 4 種類)が有効となります。精度が要求されない

箇所での動作用のインポジション幅をやや大きく設定することで、穴あけ固定サイクル動作の高速化を実現すること

ができます。

解説 パラメータ ICS(No.5107#4)=1 にすることにより、穴あけ固定サイクル専用のインポジション幅を使用することが可能

となります。専用インポジション幅は、穴底用と穴底以外の動作用の 3 種類(計 4 種類)が有効となります。 従来の穴あけ固定サイクルでは、全て同じインポジション幅を使用しているため、精度をあまり要求されない箇所図

5.2 (a)の A)でのサイクル間のインポジションチェック動作においても、精度の要求される穴底(図 5.2 (a)の B)と同

じインポジションチェック動作が行われていました。 本機能を使用した場合、穴底用は精度を出すため、インポジション幅を小さく設定し、穴底以外はインポジション幅

をやや大きく設定することでインポジションへの到達時間を短縮し、サイクルタイムの短縮を実現することが可能と

なります。

図5.2 (a)

・インポジション幅のパラメータ

本機能では、以下のインポジション幅が適用されます。

穴底以外用インポジション幅(通常)(パラメータ No.5184) 穴底以外用インポジション幅(深穴あけサイクルの逃げ動作用)(パラメータ No.5185) 穴底以外用インポジション幅(ボーリングサイクル(G76、G87)のシフト動作用)(パラメータ No.5186) 穴底用インポジション幅(パラメータ No.5187)

・対応可能な穴あけ用固定サイクル

本機能が有効な固定サイクルの一覧を以下の表に示します。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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M 表5.2 (a) 本機能が有効な穴あけ用固定サイクル一覧(旋盤系)

G コード 用途 G73 高速深穴あけサイクル G74 逆タッピングサイクル G76 ファインボーリング G81 ドリルサイクルスポットドリリング G82 ドリルサイクルカウンタボーリング G83 深穴あけサイクル/小径深穴加工ドリルサイクル G84 タッピングサイクル G85 ボーリングサイクル G86 ボーリングサイクル G87 バックボーリングサイクル G88 ボーリングサイクル G89 ボーリングサイクル

・高速深穴あけサイクル(G73)

M 高速深穴あけサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。

G73 X_ Y_ Z_ R_ Q_ F_ K_ ; X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 毎回の切込み量 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G73(G98) G73(G99)

R 点

Q

Q

Q

d

d

Z 点

イニシャルレベル

R 点レベルR 点

Q

Q

Q

d

d

Z 点

d:パラメータ(No.5114)で設定された逃げ量

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底以外用インポジション幅(深穴あけサイクルの逃げ動作用)

穴底用インポジション幅

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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注 のインポジション幅は逃げ量 d(パラメータ No.5114)の値に注意し、設定を行って下さい。インポ

ジション幅が d に対して大き過ぎると、逃げ動作を行わない場合があります。 ・逆タッピングサイクル(G74)

M 逆タッピングサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。

G74 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ; X_Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底まで距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : ドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G74(G98) G74(G99)

R 点

Z 点P

P

主軸正転

主軸逆転

イニシャルレベル

R 点

Z 点 P

P

主軸正転

主軸逆転

R 点レベル

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

注意

イニシャルレベル復帰時には、R 点とワークの距離に注意して のインポジション幅を設定して下さい。

R 点とワークの距離に対してインポジション幅が大き過ぎると、ワークから工具が抜けきる前に早送りに変

わり、ワークや工具が破損する危険性があります。

注 穴底でのインポジションチェックを有効にするには、パラメータ No.5103#6=1 にする必要があります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 69 -

ファインボーリング(G76) M

ファインボーリングで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G76 X_ Y_ Z_ R_ Q_ P_ F_ K_ ; X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底まで距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 穴底でのシフト量 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G76(G98) G76(G99)

シフト量 q

主軸オリエンテーション

工具

主軸正転 イニシャル

レベル

R 点

Z 点 Q

POSS

主軸正転

R 点レベルR 点

Z 点 Q

P OSS

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底以外用インポジション幅(ボーリングサイクル(G76、G87)のシフト動作用) 穴底用インポジション幅

注 のインポジション幅は注意して設定を行って下さい。ドウェルを行わずに設定幅が大き過ぎると、ワー

クの穴底で削り残りが生じる可能性があります。

経路を内回りし、 削り残りが発生します。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・ドリルサイクルスポットドリリング(G81) M

ドリルサイクルスポットドリリングで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G81 X_ Y_ Z_ R_ F_ K_ ; X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G81(G98) G81(G99)

イニシャルレベル

R 点

Z 点

R 点レベル R 点

Z 点

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

・ドリルサイクルカウンタボーリング(G82)

M ドリルサイクルカウンタボーリングで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。

G82 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ; X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G82(G98) G82(G99)

イニシャルレベル

R 点

Z 点 P

R 点レベル R 点

Z 点 P 穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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・深穴あけサイクル(G83) M

深穴あけサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G83 X_ Y_ Z_ R_ Q_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 毎回の切込み量 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G83(G98) G83(G99)

R 点

Q

Q

Q

d

Z 点

イニシャルレベル

d

R 点

Q

Q

Q

d

Z 点

R点レベル

d

d : パラメータ(No.5115)で設定されたクリアランス量 穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 72 -

・小径深穴加工ドリルサイクル(G83) M

小径深穴加工ドリルサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G83 X_ Y_ Z_ R_ Q_ F_I_ K_P_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 毎回の切込み量 F_ : 切削送り速度 I_ : 前進及び後退速度(フォーマットは F と同じ)

(省略した場合は、パラメータ(No.5172,5173)の値) K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ) P_ : 穴底でのドウェル時間

(省略した場合は P0 とみなす)

G83(G98) G83(G99)

Z 点

R 点

Q

イニシャルレベル

ドウェル

過負荷トルク Z 点

R 点

Q

ドウェル

過負荷トルク

Δ : R 点に戻る時の最初の微小逃げ量及び、2 回目以降の切削における、

穴底とのクリアランス量(パラメータ(No.5174)) で示される移動経路は、早送り速度での移動を示します。 で示される移動経路は、プログラム指令による切削送り速度での

移動を示します。 で示される移動経路は、パラメータにより設定されるサイクル中 ( ) の前進、後退速度での移動を示します。

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底以外用インポジション幅(深穴あけサイクルの逃げ動作用) 穴底用インポジション幅

注 のインポジション幅はクリアランス量Δ(パラメータ No.5174)の値に注意し、設定を行って下さい。

インポジション幅が d に対して大き過ぎると、逃げ動作を行わない場合があります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 73 -

・タッピングサイクル(G84) M

タッピングサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G84 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : ドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G84(G98) G84(G99)

R 点

Z 点P

P

主軸逆転

主軸正転

イニシャルレベル

R 点

Z 点 P

P

主軸逆転

主軸正転

R点レベル

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

注意 イニシャルレベル復帰時には、R 点とワークの距離に注意して のインポジション幅を設定して下さ

い。R 点とワークの距離に対してインポジション幅が大き過ぎると、ワークから工具が抜けきる前に早送り

に変わり、ワークや工具が破損する危険性があります。

注 穴底でのインポジションチェックを有効にするには、パラメータ No.5103#6=1 にする必要があります。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 74 -

・ボーリングサイクル(G85) M

ボーリングサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G85 X_ Y_ Z_ R_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G85(G98) G85(G99)

R 点

Z 点

イニシャルレベル

R 点

Z 点

R 点レベル

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

注 イニシャルレベル復帰時には、R 点とワークの距離に注意して のインポジション幅を設定して下さい。

R 点とワークの距離に対してインポジション幅が大き過ぎると、ワークから工具が抜けきる前に早送りに変

わる可能性があります。 穴底でのインポジションチェックを有効にするには、イグザクトストップモード(G61)にする必要がありま

す。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 75 -

・ボーリングサイクル(G86) M

ボーリングサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G86 X_ Y_ Z_ R_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G86(G98) G86(G99)

R 点

Z 点

イニシャル

レベル

主軸停止

主軸正転

R 点

Z 点

R 点レベル

主軸停止

主軸正転

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 76 -

・バックボーリングサイクル(G87) M

バックボーリングサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G87 X_ Y_ Z_ R_ Q_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 Q_ : 穴底でのシフト量 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G87(G98) G87(G99)

シフト量 Q

主軸オリエンテーション

工具

主軸正転

イニシャル

レベル

R 点

Z 点

Q

P

OSS

OSS

主軸正転

使用しません。

穴底以外用インポジション幅(ボーリングサイクル(G76、G87)のシフト動作用) 穴底用インポジション幅

注意 のインポジション幅は、R 点とワークの距離、主軸オリエンテーションに注意して設定を行って下さ

い。インポジション幅が大き過ぎると、経路をショートカットし、早送りで工具がワークに干渉する危険性

があります。

!!!!!!

経路をショートカットし、

工具がワークに干渉する

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 77 -

・ボーリングサイクル(G88) M

ボーリングサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G88 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G88(G98) G88(G99)

主軸正転

イニシャル

レベル

R 点

Z 点 P

ドウェル後

主軸停止

主軸正転

R 点レベル R 点

Z 点

P ドウェル後 主軸停止

穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 78 -

・ボーリングサイクル(G89) M

ボーリングサイクルで、専用インポジション幅が適用される箇所を下図に示します。 G89 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底でのドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G89(G98) G89(G99)

R 点

Z 点

イニシャルレベル

P

R 点

Z 点

R 点レベル

P 穴底以外用インポジション幅(通常) 穴底用インポジション幅

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 79 -

5.3 リジッドタップ

タッピングサイクル(G84)、逆タッピングサイクル(G74)には、従来モードとリジッドモードがあります。 従来モードは、タッピング軸の動きに合わせて M03(主軸正転)、M04(主軸逆転)、M05(主軸停止)の補助機能

により主軸を回転、あるいは停止させてタッピングを行う方法です。 リジッドモードでは、主軸モータをサーボモータのように制御し、タッピング軸と主軸を補間させてタッピングを行

います。 リジッドモードによるタッピングでは、タッピング軸の一定送り(ねじリード)ごとに主軸が一回転します。加減速

時も変わりません。 したがって、従来モードによるタッピングのようにフロートタッパを用いる必要がなく、高速で高精度のタッピング

を行うことができます。

5.3.1 リジッドタッピング(G84)

リジッドモードにて主軸モータをサーボモータのように制御することにより、高速なタッピングサイクルを行います。

フォーマット G84 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離および穴底位置 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底および R 点復帰時のドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G84.2 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ L_ ; (FS15 フォーマット) L_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G84(G98) G84(G99)

イニシャルレベル

R 点

主軸停止主軸正転

Z 点 P

R 点レベル

動作 2動作 1

動作 6

動作 3

動作 4

動作 5

主軸停止 主軸逆転

主軸停止

P

R 点

主軸正転

Z 点 P

R 点レベル

主軸停止 主軸逆転

主軸停止

主軸停止P

解説 X,Y 軸を位置決め後、R 点レベルまで早送りで移動します。 そして R 点レベルから Z 点までタッピング加工をし、終わると主軸が停止しドウェルが行われます。その後、停止し

た主軸が逆回転して R 点レベルまで引き抜かれて主軸が停止した後イニシャルレベルまで早送りで移動します。 タッピング動作中は、送り速度オーバライドおよび主軸オーバライドは 100%とみなされます。ただし、送り速度オ

ーバライドについては、設定により有効にすることが可能です。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 80 -

・リジッドモード リジッドモードの指令は、次の 3 つの指令方法があります。 ・ タッピング指令に先立ち M29 S*****を指令する。 ・ タッピング指令と同じブロックに M29 S*****を指令する。 ・ G84 をリジッドタッピング G コードとして指令する。(パラメータ G84 (No.5200#0)を 1 と設定する。)

・ねじのリード 毎分送りモードでは、送り速度÷主軸速度=ねじリードです。 毎回転送りモードでは、送り速度=ねじリードです。

・工具長補正 固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した時は、R 点への位置決め時に、オフセットがかかります。

・FS15 フォーマット指令 リジッドタッピング機能を FS15 フォーマット指令で可能とするもので、リジッドタッピングのシーケンス(PMC と

のやりとりなど)や制限事項などは、本章の説明に従います。

・補間後加減速 直線形加減速または、ベル形加減速をかけることができます。

・先読み補間前加減速 先読み補間前加減速は無効です。

・オーバライド 各種オーバライドは無効ですが、パラメータ設定により次のオーバライドを有効にすることができます。 ・引き抜きオーバライド ・オーバライド信号 詳細は、後述します。

・ドライラン ドライランは、G84(G74)にも有効です。したがって、G84(G74)の穴あけ軸の速度にドライランがかけられると、それ

に合わせてタッピングを行います。 ドライラン速度が早いと主軸の速度も早くなりますので注意してください。

・マシンロック マシンロックは、G84(G74)にも有効です。 マシンロック状態で G84(G74)を実行しても穴あけ軸の動きはありません。したがって主軸も動作しません。

・リセット リジッドタップ中にリセットすると、リジッドタップモードを解除し、主軸モータは通常のモードになります。ただ

し、G84(G74)モードはパラメータ CLR (No.3402#6)により、解除されない場合もありますので注意が必要です。

・インタロック インタロックは、G84(G74)にも有効です。

・フィードホールド、シングルブロック G84(G74)モード中、フィードホールド、シングルブロックは、パラメータ FHD (No.5200#6)に 0 を設定すると無効に

なります。1 を設定すると有効になります。

・手動送り 手動ハンドル送りでリジッドタップを行う場合は、『手動ハンドルによるリジッドタッピング』の項を参照下さい。 それ以外の手動送りでは、リジッドタップはできません。

Page 93: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 81 -

・バックラッシ補正 リジッドタップモードでは、主軸正転、逆転の際のロストモーションを補正するため、バックラッシ補正を行います。

パラメータ(No.5321~5324)にバックラッシ量を設定してください。 穴あけ軸については従来から行われています。

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。リジッドモード中に切換ると、アラ

ーム(PS0206)になります。

・S 指令 • 使用するギアの最高回転数以上の回転数を指令すると、アラーム(PS0200)になります。 • リジッドタッピングで使用された S は、リジッドタッピングの固定サイクルキャンセル時にクリアされて、S0 が

指令された状態になります。

・主軸の分配量 シリアルスピンドルの場合、8msec あたり 32767pulse までです。(診断データの No.451 で表示されます。)この値は、

ポジションコーダのギア比設定や、リジッドタップの指令によって変りますが、この上限を越えるような指令がなさ

れた場合には、アラーム(PS0202)が発生します。

・F 指令 切削送り速度上限値以上を指令するとアラーム(PS0011)になります。

・F 指令の単位 ミリ入力 インチ入力 備考

G94 1mm/min 0.01 inch/min 小数点指定可能 G95 0.01 mm/rev 0.0001 inch/rev 小数点指定可能

・M29

M29 と G84 の間に S 指令、および軸移動を指令するとアラーム(PS0203)になります。また、タッピングサイクル中に

M29 を指令すると、アラーム(PS0204)になります。

・P P は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の無いブロックで指令してもモーダルなデータと

して記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03,G60(パラメータ MDL(No.5431#0)が 1 のとき))を G84 と同一ブロックで指令

しないで下さい。G84 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

・プログラム再開 リジッドタップ中は、プログラム再開を行うことはできません。

・サブプログラム呼出し 固定サイクルモード中のサブプログラム呼出し指令 M98P_は、単独ブロックで指令してください。

例題 Z 軸送り速度 1000mm/min 主軸回転数 1000 min–1 ねじのリード 1.0mm

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 82 -

<毎分送りのプログラミング> G94 ; 毎分送り指令 G00 X120.0 Y100.0 ; 位置決め M29 S1000 ; リジッドモード指令 G84 Z-100.0 R-20.0 F1000 ; リジッドタップ加工 <毎回転送りのプログラミング> G95 ; 毎回転送り指令 G00 X120.0 Y100.0 ; 位置決め M29 S1000 ; リジッドモード指令 G84 Z-100.0 R-20.0 F1.0 ; リジッドタップ加工

5.3.2 リジッド逆タッピングサイクル(G74)

リジッドモードにて主軸モータをサーボモータのように制御することにより、高速なタッピングサイクルを行います。

フォーマット G74 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ K_ ;

X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離および穴底位置 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底および R 点復帰時のドウェル時間 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G84.3 X_ Y_ Z_ R_ P_ F_ L_ ; (FS15 フォーマット) L_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G74(G98) G74(G99)

イニシャルレベル

R 点

主軸停止主軸逆転

Z 点 P

R点レベル

動作 2 動作 1

動作 6

動作 3

動作 4

動作 5

主軸停止 主軸正転

主軸停止

P

R 点

主軸逆転

Z 点 P

R 点レベル

主軸停止 主軸正転

主軸停止

主軸停止P

解説 X, Y 軸を位置決め後 R 点レベルまで早送りで移動します。 そして R 点レベルから Z 点までタッピング加工をし、終わると主軸が停止しドウェルが行われます。その後停止した

主軸が正回転して R 点レベルまで引き抜かれて主軸が停止した後イニシャルレベルまで早送りで移動します。 タッピング動作中は、送り速度オーバライド及び主軸オーバライドは 100%とみなされます。ただし、送り速度オー

バライドについては、設定により有効にすることが可能です。

・リジッドモード リジッドモードの指令は、次の 3 つの指令方法があります。 ・ タッピング指令に先立ち M29 S*****を指令する。 ・ タッピング指令と同じブロックに M29 S*****を指令する。 ・ G74 をリジッドタッピング G コードとして指令する。(パラメータ G84 (No.5200#0)を 1 と設定する)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 83 -

・ねじのリード 毎分送りモードでは、送り速度÷主軸=ねじリードです。 毎回転送りモードでは、送り速度=ねじリードです。

・工具長補正 固定サイクル中に工具長補正(G43,G44,G49)を指令した時は、R 点への位置決め時に、オフセットがかかります。

・FS15 フォーマット指令 リジッドタッピング機能を FS15 フォーマット指令で可能とするもので、リジッドタッピングのシーケンス(PMC と

のやりとりなど)や制限事項などは本章の説明に従います。

・補間後加減速 直線形加減速または、ベル形加減速をかけることができます。

・先読み補間前加減速 先読み補間前加減速は無効です。

・オーバライド 各種オーバライドは無効ですが、パラメータ設定により次のオーバライドを有効にすることができます。 ・引き抜きオーバライド ・オーバライド信号 詳細は、後述します。

・ドライラン ドライランは、G84(G74)にも有効です。したがって、G84(G74)の穴あけ軸の速度にドライランがかけられると、それ

に合わせてタッピングを行います。 ドライラン速度が早いと主軸の速度も早くなりますので注意してください。

・マシンロック マシンロックは、G84(G74)にも有効です。 マシンロック状態で G84(G74)を実行しても穴あけ軸の動きはありません。したがって主軸も動作しません。

・リセット リジッドタップ中にリセットすると、リジッドタップモードを解除し、主軸モータは通常のモードになります。ただ

し、G84(G74)モードはパラメータ CLR (No.3402#6)により、解除されない場合もありますので注意が必要です。

・インタロック インタロックは、G84(G74)にも有効です。

・フィードホールド、シングルブロック G84(G74)モード中、フィードホールド、シングルブロックは、パラメータ FHD (No.5200#6)に 0 を設定すると無効に

なります。1 を設定すると有効になります。

・手動送り 手動ハンドル送りでリジッドタップを行う場合は、『手動ハンドルによるリジッドタッピング』の項を参照下さい。 それ以外の手動送りでは、リジッドタップはできません。

・バックラッシ補正 リジッドタップモードでは、主軸正転、逆転の際のロストモーションを補正するため、バックラッシ補正を行います。

パラメータ(No.5321~5324)にバックラッシ量を設定してください。 穴あけ軸については従来から行われています。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 84 -

制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。リジッドモード中に切換るとアラー

ム(PS0206)になります。

・S 指令 • 使用するギアの最高回転数以上の回転数を指令すると、アラーム(PS0200)になります。 • リジッドタッピングで使用された S は、リジッドタッピングの固定サイクルキャンセル時にクリアされて、S0 が

指令された状態になります。

・主軸の分配量 シリアルスピンドルの場合、8msec あたり 32767pulse までです。(診断データの No.451 で表示されます。) この値は、ポジションコーダのギア比設定や、リジッドタップの指令によって変りますが、この上限を越えるような

指令がなされた場合には、アラーム(PS0202)が発生します。

・F 指令 切削送り上限値以上を指令すると、アラーム(PS0011)になります。

・F 指令の単位 ミリ入力 インチ入力 備考

G94 1mm/min 0.01inch/min 小数点指定可能 G95 0.01mm/rev 0.0001inch/rev 小数点指定可能

・M29

M29 と G84 の間に S 指令、および軸移動を指令するとアラーム(PS0203)になります。 また、タッピングサイクル中に M29 を指令すると、アラーム(PS0204)になります。

・P P は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の無いブロックで指令してもモーダルなデータと

して記憶されません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03, G60(パラメータ MDL(No.5431#0)が 1 のとき))を G74 と同一ブロックで指令

しないで下さい。G74 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

・サブプログラム呼出し 固定サイクルモード中のサブプログラム呼出し指令 M98P_は、単独ブロックで指令してください。

例題 Z 軸送り速度 1000mm/min 主軸回転数 1000min-1 ねじのリード 1.0mm <毎分送りのプログラミング> G94 ; 毎分送り指令 G00 X120.0 Y100.0 ; 位置決め M29 S1000 ; リジッドモード指令 G74 Z-100.0 R-20.0 F1000 ; リジッドタップ加工 <毎回転送りのプログラミング> G95 ; 毎回転送り指令 G00 X120.0 Y100.0 ; 位置決め M29 S1000 ; リジッドモード指令 G74 Z-100.0 R-20.0 F1.0 ; リジッドタップ加工

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 85 -

5.3.3 深穴リジッドタッピングサイクル(G84 またはG74)

リジッドタッピング加工において、深いタップを切削する場合、切粉がからまったり、切削抵抗が大きくなり加工し

づらいことがあります。 そういう時に、穴底まで何回かにわけて切削する本機能が便利です。本機能には、高速深穴タッピングサイクルと深

穴タッピングサイクルがあり、パラメータ PCP(No.5200#5)でどちらかを選択することができます。

フォーマット

G84 (又は G74) X_ Y_ Z_ R_ P_ Q_ F_ K_ ; X_ Y_ : 穴位置データ Z_ : R 点から穴底までの距離および穴底位置 R_ : イニシャルレベルから R 点までの距離 P_ : 穴底および R 点復帰時のドウェル時間 Q_ : 毎回の切込み量 F_ : 切削送り速度 K_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G84.2 (又は G84.3) X_ Y_ Z_ R_ P_ Q_ F_ L_ ; (FS15 フォーマット) L_ : 繰返し回数(繰返す必要のある時のみ)

G84, G74 (G98) G84, G74 (G99) ・高速深穴タッピングサイクル (パラメータ PCP(No.5200#5)が 0 の

場合) ①は通常切込み速度、通常時定数を用

います。 ②は引抜きオーバライド有効で、引抜

き時定数を用います。

イニシャルレベル

d

Z 点

R 点

q

q

q

d

①②

R点レベル

d=逃げ量

d

Z 点

R 点

q

q

q

d

① ②

R 点レベル

・深穴タッピングサイクル (パラメータ PCP(No.5200#5)が 1 の

場合) ①は通常切込み速度、通常時定数を用

います。 ②は引抜きオーバライド有効で、引抜

き時定数を用います。 ③は引抜きオーバライド有効で、通常

時定数を用います。

イニシャルレベル

d

Z 点

R 点

q

q

q

d

①②

R 点レベル

d=切削開始距離

d

Z 点

R 点

q

q

q

d

① ②

R 点レベル

‡③

Page 98: B 64484 ja-2-03

5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 86 -

解説 ・高速深穴タッピングサイクルの場合

X,Y 軸を位置決め後 R 点レベルまで早送りで移動します。そして R 点レベルから毎回の切込み量 Q だけ切込み、逃げ

量 d だけ逃げます。逃げる時、パラメータ DOV(No.5200#4)の指定によりオーバライドが有効・無効となります。Z 点

まで到達すると、主軸が停止した後逆回転しながら引き抜きます。 逃げ量 d は、パラメータ(No.5213)に設定します。

・深穴タッピングサイクルの場合 X,Y 軸を位置決め後 R 点レベルまで早送りで移動します。そして R 点レベルから毎回の切込み量 Q だけ切込み、R点まで復帰します。逃げる時、パラメータ DOV(No.5200#4)の指定によりオーバライドが有効・無効となります。R点から前回の切込み点から d だけ離れた位置まで切削送り速度 F で移動し、そこから切削を開始します。この時の切

削送り速度 F の移動にもパラメータ DOV (No.5200#4)が有効になります。Z 点まで到達すると、主軸が停止した後逆

回転しながら引き抜きます。 切削開始距離 d は、パラメータ(No.5213)に設定します。

・補間後加減速 直線形加減速または、ベル形加減速をかけることができます。

・先読み補間前加減速 先読み補間前加減速は無効です。

・オーバライド 各種オーバライドは無効ですが、パラメータ設定により次のオーバライドを有効にすることができます。 ・引き抜きオーバライド ・オーバライド信号 詳細は、後述します。

・ドライラン ドライランは、G84(G74)にも有効です。従って、G84(G74)の穴あけ軸の速度にドライランがかけられると、それに合

わせてタッピングを行います。 ドライラン速度が早いと主軸の速度も早くなりますので注意してください。

・マシンロック マシンロックは、G84(G74)にも有効です。 マシンロック状態で G84(G74)を実行しても穴あけ軸の動きはありません。従って主軸も動作しません。

・リセット リジッドタップ中にリセットすると、リジッドタップモードを解除し、主軸モータは通常のモードになります。ただ

し、G84(G74)モードはパラメータ CLR (No.3402#6)により、解除されない場合もありますので注意が必要です。

・インタロック インタロックは、G84(G74)にも有効です。

・フィードホールド、シングルブロック G84(G74)モード中、フィードホールド、シングルブロックは、パラメータ FHD (No.5200#6)に 0 を設定すると無効に

なります。1 を設定すると有効になります。

・手動送り 手動ハンドル送りでリジッドタップを行う場合は、『手動ハンドルによるリジッドタッピング』の項を参照下さい。 それ以外の手動送りでは、リジッドタップはできません。

・バックラッシ補正 リジッドタップモードでは、主軸正転、逆転の際のロストモーションを補正するため、バックラッシ補正を行います。

パラメータ(No.5321~5324)にバックラッシ量を設定してください。 穴あけ軸については従来から行われています。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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制限事項 ・軸の切換 穴あけ軸の切換は、固定サイクルをいったんキャンセルしてから行って下さい。リジッドモード中に切換るとアラー

ム(PS0206)になります。

・S 指令 • 使用するギアの最高回転数以上の回転数を指令すると、アラーム(PS0200)になります。 • リジッドタッピングで使用された S は、リジッドタッピングの固定サイクルキャンセル時にクリアされて、S0 が

指令された状態になります。

・主軸の分配量 シリアルスピンドルの場合、8msec あたり 32767pulse までです。(診断データの No.451 で表示されます。) この値は、ポジションコーダのギア比設定や、リジッドタップの指令によって変りますが、この上限を越えるような

指令がなされた場合には、アラーム(PS0202)が発生します。

・F 指令 切削送り速度の上限値以上を指令すると、アラーム(PS0011)になります。

・F 指令の単位 ミリ入力 インチ入力 備考

G94 1mm/min 0.01inch/min 小数点指定可能 G95 0.01mm/rev 0.0001inch/rev 小数点指定可能

・M29

M29 と G84 の間に S 指令、および軸移動を指令すると、アラーム(PS0203)になります。 また、タッピングサイクル中に M29 を指令すると、アラーム(PS0204)になります。

・P/Q P, Q は穴あけ動作が行われるブロックで指令して下さい。穴あけ動作の無いブロックで指令してもモーダルなデータ

として記憶されません。 Q0 が指令されると、深穴リジッドタッピングサイクルは行なわれません。

・キャンセル 01 グループの G コード(G00~G03,G60(パラメータ MDL(No.5431#0)が 1 のとき))を G84 と同一ブロックで指令

しないで下さい。G84 がキャンセルされます。

・工具位置オフセット 固定サイクルモード中は、工具位置オフセットは無視されます。

・サブプログラム呼出し 固定サイクルモード中のサブプログラム呼出し指令 M98P_は、単独ブロックで指令してください。

・戻り量・切削開始距離 戻り量および切削開始距離(No.5213)は R 点を越えないように設定してください。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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5.3.4 固定サイクルキャンセル(G80)

リジッドタッピングの固定サイクルをキャンセルします。 指令方法は、穴あけ用固定サイクルキャンセルと同じですので「穴あけ用固定サイクルキャンセル」の項を参照して

下さい。

注 リジッドタッピングの固定サイクルキャンセル時には、リジッドタッピングで使用していた S の値もクリア

されます。(S0 を指令した状態と等価になります。) すなわち、リジッドタッピングのために指令した S を、リジッドタッピングの固定サイクルをキャンセルし

た後に続くプログラムで利用することはできません。 リジッドタッピングの固定サイクルをキャンセルした後には、必要に応じて S を指令しなおしてください。

5.3.5 リジッドタッピング中のオーバライド

各種オーバライドは無効ですが、パラメータ設定により次のオーバライドを有効にすることができます。 ・引き抜きオーバライド ・オーバライド信号

5.3.5.1 引き抜きオーバライド

引き抜きオーバライドは、パラメータ設定された固定のオーバライド値か、プログラムにて指定されたオーバライド

値のいずれかを、引き抜き時(深穴/高速深穴時のリトラクト時を含みます)に有効とすることができます。

解説 ・パラメータ指定 パラメータ DOV(No.5200#4)に 1 を設定し、オーバライド値をパラメータ(No.5211)に設定します。 オーバライド値は、0~200%まで 1%刻みで設定可能です。また、パラメータ OVU(No.5201#3)に 1 を設定すると、10%刻みで 0~2000%まで設定可能となります。

・プログラム指定 パラメータ DOV(No.5200#4)とパラメータ OV3(No.5201#4)に 1 を設定すると、引き抜き時の主軸回転数をプログラム

にて指令できます。 リジッドタップの指令ブロックに「J」アドレスを用いて引き抜き時の主軸回転数指定します。 例)切込み時 S=1000min-1 引き抜き時 S=2000min-1の場合 ・ M29 S1000 ; G84 Z-100. F1000. J2000 ; ・ 実際のオーバライド値への換算は、以下のように計算します。 従って、引き抜き時の主軸回転数が「J」アドレスにて指定された回転数と一致しない場合があります。また、オーバ

ライド値が 100%~200%の範囲を外れた場合は、100%となります。

100S

J×=

指令)主軸回転数(

指令)数(引き抜き時の主軸回転オーバライド値(%)

パラメータ設定と指令により実際に有効となるオーバライドは、表 5.3.5.1 (a)のようになります。

表5.3.5.1 (a) DOV=1 パラメータ設定

指令 OV3=1 OV3=0 DOV=0

100~200%の範囲内 プログラム指令 アドレス「J」による引き抜き時の

主軸回転数指令あり 100~200%の範囲外 100% アドレス「J」による引き抜き時の主軸回転数指令なし パラメータ(No.5211)

パラメータ

(No.5211) 100%

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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注 1 アドレス「J」の指令には、小数点を使用しないで下さい。

小数点を使用した場合は、以下のようになります。 例)基準軸の設定単位が IS-B の場合 ・電卓形小数点入力でない場合、指令値が最小設定単位を考慮した値に変換されます。 “J200.” は、200000min-1

となります。 ・電卓形小数点入力の場合、小数点以下を切り捨てた値に変換されます。 “J200.” は、200min-1

となります。 2 アドレス「J」の指令には、マイナス符号を使用しないで下さい。

マイナス符号を使用した場合は、100~200%の範囲外を指令したものと見なされます。 3 引き抜きオーバライド値をかけた主軸回転数が、使用中のギアの最高回転数(パラメータ(No.5241~

No.5244))を超えないように、オーバライドの最大値を下記計算により求めます。そのため、オーバライド

の値によっては、主軸最高回転数と一致しない場合があります。

100S

×=指令)主軸回転数(

メータ設定)主軸最高回転数(パラ(%)オーバライドの最大値

4 引き抜き時の主軸回転数を指定するアドレス「J」は、リジッドタップモード中に指令されると、固定サイク

ルがキャンセルされるまで有効となります。

5.3.5.2 オーバライド信号

パラメータ OVS(No.5203#4)に 1 を設定すると、リジッドタップ中の切込み/引き抜き動作に下記のようにオーバライ

ドをかけることができます。 ・ 送り速度オーバライド信号でオーバライドをかける

(第 2 送り速度オーバライド信号が"1"の場合は、送り速度オーバライドがかかった後の速度に対し第 2 送り速度

オーバライドがかかります) ・ オーバライドキャンセル信号にてオーバライドをキャンセル 本機能と各動作のオーバライドの関係は、次のようになります。 ・ 切込み時 オーバライドキャンセル信号が"0"の場合、オーバライド信号で指令された値 オーバライドキャンセル信号が"1"の場合、100% ・ 引き抜き時 オーバライドキャンセル信号が"0"の場合、オーバライド信号で指令された値 オーバライドキャンセル信号が"1"の場合で引き抜きオーバライドが無効な場合、100% 引き抜きオーバライドが有効な場合、引き抜きオーバライドにて指定された値

注 1 オーバライド値をかけた主軸回転数が、使用中のギアの最高回転数(パラメータ(No.5241~No.5244))を超

えないように、オーバライドの最大値を下記計算により求めます。そのため、オーバライドの値によっては、

主軸最高回転数と一致しない場合があります。

100S

×=指令)主軸回転数(

メータ設定)主軸最高回転数(パラ(%)オーバライドの最大値

2 オーバライドの操作については、ご使用の機械によって異なりますので機械メーカの説明書を参照して下さ

い。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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5.4 任意角度面取り・コーナR

概要 次のような補間の間に、面取り、コーナ R のブロックを自動的に挿入することができます。 ・直線補間と直線補間の間 ・直線補間と円弧補間の間 ・円弧補間と直線補間の間 ・円弧補間と円弧補間の間

フォーマット ,C_ 面取り ,R_ コーナ R

解説 直線補間(G01)又は円弧補間(G02,G03)を指令するブロックの最後に上記フォーマットを指令すると面取りまたはコー

ナ R が挿入されます。 面取りおよびコーナ R の指令をしたブロックを 2 つ以上連続することもできます。

・面取り C に続く数値は面取りをしなかったと仮定した時の仮想コーナ交点からの、面取り開始点、終了点までの距離を指令

します。

C

C

仮想コーナ交点

挿入された面取りのブロック

① G91 G01 X100.0 ,C10.0 ; ② X100.0 Y100.0 ;

・コーナ R R に続く数値はコーナ R の半径値を指令します。

① G91 G01 X100.0 ,R10.0 ;② X100.0 Y100.0 ;

コーナ R の円弧の中心

R挿入されたコーナ Rのブロック

例題 N001 G92 G90 X0 Y0 ; N002 G00 X10.0 Y10.0 ; N003 G01 X50.0 F10.0 ,C5.0 ; N004 Y25.0 ,R8.0 ; N005 G03 X80.0 Y55.0 R30.0 ,R8.0 ; N006 G01 X50.0 ,R8.0 ;

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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N007 Y70.0 ,C5.0 ; N008 X10.0 ,C5.0 ; N009 Y10.0 ; N010 G00 X0 Y0 ; N011 M0;

0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 80.0 70.060.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

Y

X N001

N002 N003

N005

N004

N006

N007

N008

N009

N010 N011

制限事項 ・無効な指令 直線補間(G01)及び円弧補間(G02,G03)以外のブロックに面取り(,C)またはコーナ R(,R)の指令をしても、無視します。

・直後のブロック 面取りまたはコーナ R を指令したブロックの直後のブロックは、直線補間(G01)または(G02,G03)の移動指令のブロッ

クでなければなりません。それ以外の指令をすると、アラーム(PS0051)となります。 ただし、それらのブロックの間に、G04(ドウェル)を 1 ブロックだけ挿入することができます。ドウェルは、挿入

された面取り・コーナ R のブロックを実行した後で、実行されます。

・移動範囲を超えた場合 面取りまたはコーナ R のブロックを挿入した結果、もとの補間の移動範囲を越えてしまった場合、アラーム(PS0055)となります。

CC

実線は面取りが無い時の工具の通路

挿入しようとした面取りのブロック

G91 G01 X30.0 ; G03 X7.5 Y16.0 R37.0 ,C28.0 ; G03 X67.0 Y-27.0 R55.0 ;

図5.4 (a) 移動範囲を超えた場合

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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・平面選択 面取りまたはコーナ R のブロックは、同一平面内の移動指令に対してのみ挿入されます。 例: U 軸を基本 X 軸の平行軸とした場合(パラメータ(No.1022)=5)、次のプログラムでは U 軸の切削送りと Y 軸の

切削送りの間で面取りが行われます。 G17 U0 Y0 G00 U100.0 Y100.0 G01 U200.0 F100 ,C30.0 Y200.0

しかし、次のプログラムではアラーム(PS0055)になります。(平面選択されていない、X 軸の移動ブロックに面

取り指令をしているため) G17 U0 Y0 G00 U100.0 Y100.0 G01 X200.0 F100 ,C30.0 Y200.0

次のプログラムでもアラーム(PS0055)になります。(面取り指令の次のブロックが、平面選択されていない、X軸の移動ブロックであるため)

G17 U0 Y0 G00 U100.0 Y100.0 G01 Y200.0 F100 ,C30.0 X200.0

面取りまたはコーナ R を指令した次のブロックで平面選択(G17, G18, G19)を指令するとアラーム(PS0051)になります。

・移動量 0 直線補間⇔直線補間のとき、2 直線間の角度差が±1°以内の場合、面取りまたはコーナ R のブロックは移動量 0 のブ

ロックとして処理されます。直線補間⇔円弧補間のときは、直線と交点における円弧の接線との角度差が±1°以内

の場合コーナ R のブロックは、移動量 0 のブロックとして処理されます。円弧補間⇔円弧補間のときは、交点におけ

る円弧の接線間の角度差が±1°以内の場合コーナ R のブロックは、移動量 0 のブロックとして処理されます。

・シングルブロック運転 面取り及びコーナ R の指令されているブロックをシングルブロックで運転すると、新たに挿入された面取りまたはコ

ーナ R のブロックの終点まで続けて実行し、その終点でフィードホールド停止します。ただしパラメータ

SBC(No.5105#0)=1 とすると、挿入された面取りまたはコーナ R のブロックの始点でもフィードホールド停止します。

注 1 「,C」と「,R」を同一のブロックに指定した時は、後で指定した方が有効となります。 2 ねじ切りの指令ブロックに「,C」または「,R」を指令するとアラーム(PS0050)となります。

5.5 インデックステーブル割り出し機能

割出し軸(回転軸 A,B,C の 1 つ)の割り出し位置(角度)を指令することにより、マシニングセンタのインデックス

テーブルの割出しを行うことができます。 インデックステーブルの移動の前後には、自動的にアンクランプ又はクランプが行なわれます。

解説 ・割出し位置 アドレスは、A,B,C のいずれかで割り出し位置を指令します。 割出し位置は、次のいずれかになります(パラメータ G90(No.5500#4)の設定)。

1. 常にアブソリュート値 2. アブソリュート/インクレメンタル指令 G コード G90/G91 に従った値

割り出し位置は、反時計方向が+で、時計方向が-の値になります。 インデックステーブルの最小割り出し角度は、パラメータ(No.5512)で設定された値になります。設定された整数倍の

値が、割り出し角度として指令できます。整数倍以外の値が指令されると、アラーム(PS1561)になります。また、小

数点位置を度の単位とする小数点入力も可能です。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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0°-45°

+60°

A から B への指令値(上記 2 の場合)

G90 B-45.0 ; 又は G91 B-105.0;

A

B

・回転方向と回転量 回転方向と回転量については次のようになり、いずれになるかは、機械メーカ発行の説明書を参照して下さい。 1. パラメータ(No.5511)で設定した補助機能を使用する方法 (アドレス)(割り出し位置) (補助機能) ; -方向へ回転 (アドレス)(割り出し位置) ; +方向へ回転 (補助機能指令なし) 回転量はパラメータ ABS(No.5500#2)の設定により、1 回転以内にまるめられます。例えば、0 度の位置から G90

B400.0(補助機能); と指令すれば、-方向へ 40 度回転します。 2. 補助機能を使用しない方法 パラメータ ABS,INC,G90(No.5500#2,#3,#4)を設定することにより、次の 2 種類ができます。 いずれにするかは、機械メーカ発行の説明書を参照して下さい。

① 近回りの方向 アブソリュート指令にのみ有効で、回転量はパラメータ ABS (No.5500#2)の設定により、1 回転以内にまるめ

られます。 例えば、0 度の位置から G90 B400.0 ; と指令すれば、+方向へ 40 度回転します。 ② 指令されている方向アブソリュート指令の時、回転量はパラメータ ABS(No.5500#2)の設定により、1 回転以

内にまるめるのとまるめないのとがあります。インクレメンタル指令の時は、回転量はまるめられません。 例えば、まるめない時、0 度の位置から G90 B720.0 ; と指令すれば回転量は、+方向へ 2 回転します。

・送り速度 インデックス割出し軸は、常に早送りで回転します。 インデックス割出し軸に対しては、ドライランは無効です。

注意 1 インデックステーブル割出し軸移動中にリセットした場合には、以後インデックステーブル割出しを行う前

に必ずレファレンス点復帰を行って下さい。 2 インデックステーブル割出し機能を使わない系統は、インデックステーブル割出し機能を無効(パラメータ

ITI(No.5501#0)=0)にして下さい。

注 1 インデックステーブル割出し軸と他の制御軸とが同じブロックで指令されると、パラメータ

SIM(No.5500#6)、IXS(No.5502#0)により、アラーム(PS1564)になるか、指令を実行します。 2 インデックステーブルのクランプ/アンクランプ完了待ちの状態は、診断データ(No.12)に表示されます。 3 負方向指定の補助機能は、CNC の内部で処理されますが、機械側との間で M コード信号および完了信号の

やりとりがあります。 4 クランプ完了待ち、又はアンクランプ完了待ちの状態でリセットされた時は、クランプ信号、又は、アンク

ランプ信号はクリアされます。また、CNC は完了待ちの状態より抜け出します。

・インデックス割出し機能と他の機能 表5.5 (a) インデックス割出し機能と他の機能

項目 説明 相対位置表示 パラメータ REL(No.5500#1)の設定でまるめた値にできます。 絶対位置表示 パラメータ ABS(No.5500#2)の設定でまるめた値にできます。 一方向位置決め 指令できません。 第 2 補助機能(B コード) インデックス割出し軸のアドレスが B でなければ可能です。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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項目 説明

インデックステーブル割り出し軸移動中の操作

機械側で特殊な処理をしていなければ、フィードホールド、インタ

ロック、および非常停止は有効です。 マシンロックは、割出し終了後有効になります。

サーボオフ信号 無効です。 通常、割出し軸は、サーボオフの状態です。

インデックステーブル割出し軸 へのインクレメンタル指令

インデックステーブル割出し軸の機械座標系とワーク座標系は、常

に一致させておきます(ワーク原点オフセット量は 0)。

インデックステーブル割出し軸の操作

JOG,INC,および HND モードでの手動運転は無効です。 手動レファレンス点復帰は可能です。 手動レファレンス点復帰中に、軸選択信号を"0"にすると移動は停

止し、クランプ指令は行なわれません。 磁極位置検出機能 磁極位置検出機能を使用する軸では、本機能は使用できません。

5.6 インフィード制御(研削盤用)

概要 テーブルスウィング終点で機械操作盤上のスイッチを入力するごとに、指定した Y - Z 平面上のプログラム形状にそ

って一定量ずつ切り込みます。これにより、研削と切り込みをタイミング良く行なえ、プロファイルを持ったワーク

の研削が容易に行なえます。

図5.6 (a) 例えば、図 5.5(a)のような Y – Z 平面上を直線補間‐円弧補間‐直線補間でプログラムした形状のワークを加工するこ

とができます。 X=0 の位置にセンサを配置し、センサが砥石を検知したら機械操作盤上のスイッチを入力するようにします。A 点で

プログラムを開始すると、まず機械操作盤上のスイッチ入力待ち状態となります。ここでセンサが砥石を検知すると

機械操作盤上のスイッチが入力され、指定した Y – Z 平面上のプログラム形状にそって一定量αだけ切り込みを行い、

B 点に移動します(動作①)。そして再び機械操作盤上のスイッチ入力待ち状態となり、この間に X 軸方向への研削

動作を行います。B 点から C 点へ研削(動作②)し、C 点から B 点へ戻りの研削(動作③)を行います。B 点へ戻っ

たら再びセンサが砥石を検知するので機械操作盤上のスイッチが入力され、αの切り込みを行いD点に移動します(動

作④)。D 点で X 軸方向への研削動作を行います。 以後、機械操作盤上のスイッチを入力するごとに形状プログラムにそってαの切り込みを行い、図 5.5(a)のような形

状のワークが加工されます。

Y

Z

X

α

① ④ •

A

B

C•

D •

E•

外部信号

入力

X=0 センサ配置

X=a

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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フォーマット G161 R_ ;

G160 ;

解説 ・G161 R_ 動作モードおよび形状プログラムの開始を指令します。 また R により切り込み量を指定します。

・形状プログラム 直線補間(G01)あるいは円弧補間(G02,G03)により、Y – Z 平面上でのワークの形状をプログラムします。複数ブロック

指令が可能です。 形状プログラムを開始すると、機械操作盤上のスイッチの入力待ち状態となります。この状態で機械操作盤上のスイ

ッチを入力すると R で指定した切り込み量だけ切り込みを行います。以後、プログラムの終点まで、機械操作盤上の

スイッチを入力するごとに切り込みを行います。最後の切り込みが R に満たない場合は、残移動量が切り込み量とな

ります。 送り速度は F コードにてプログラム指定された速度となります。通常の直線補間(G01)あるいは円弧補間(G02,G03)と同様にオーバライドをかけられます。

・G160 動作モードのキャンセル(形状プログラムの終了)を指令します。

制限事項 ・G161 R_

R 指令がない、または R の指令値が負のときアラーム(PS0230)になります。

・形状プログラム 形状プログラムの中では直線補間(G01)あるいは円弧補間(G02,G03)以外の移動指令をしないで下さい。

注意 形状プログラムの中で直線補間(G01)あるいは円弧補間(G02,G03)以外の移動指令をすると予期しない動き

をする可能性があります。

・研削動作 本動作モード中、砥石を往復させる研削動作を NC プログラムでは指令できません。他の方法で行って下さい。

・ブロックオーバラップ 動作モード中、ブロックオーバラップは無効です。

・機械操作盤上のスイッチ 形状プログラムを開始する前に機械操作盤上のスイッチを入力しても無効です。形状プログラム開始後、機械操作盤

上のスイッチの入力待ち状態で機械操作盤上のスイッチを入力して下さい。また、切り込み中に機械操作盤上のスイ

ッチを入力しても次の切り込みとして受け付けませんので、切り込み終了後、機械操作盤上のスイッチの入力待ち状

態で入力して下さい。

形状プログラム

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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例題 O0001 ;

: N0 G161 R10.0 ; N1 G91 G01 Z-70.0 F100 ; N2 G19 G02 Z-80.0 R67.0 ; N3 G01 Z-70.0 ; N4 G160 ;

:

図5.6 (b) 上記プログラムにより、機械操作盤上のスイッチ入力ごとに図 5.5(b)の加工形状にそって、10.000 移動します。 α=機械操作盤上のスイッチ入力ごとの移動量。 送り速度は F コードにてプログラム指定された速度となります。

注 注 インフィード制御中に手動介入した場合、手動介入後の工具経路は通常の直線/円弧補間と同様、マニュアル

アブソリュートオン/オフによって切替えることができます。マニュアルアブソリュートオンの時、アブソリ

ュート指令、またはパラメータ ABS(No.7001#1)=1 でインクレメンタル指令の場合はプログラム経路に戻り

ます。

5.7 研削用固定サイクル(研削盤用)

研削用固定サイクルは、通常数ブロックで指令する研削加工に特有な繰り返し加工動作を G 機能を含む1ブロックで

指令することができますので、プログラムの作成が簡単になります。同時にプログラムを小さくでき、メモリを有効

に使用できます。研削用固定サイクルには、次の 4 種類があります。 ・ プランジ研削サイクル (G75) ・ プランジ直接定寸研削サイクル (G77) ・ 連続送り平研削サイクル (G78) ・ 間欠送り平研削サイクル (G79) 以降の説明では砥石の切込みを行う軸,砥石の研削を行う軸,ドレッサの切込みを行う軸を次のように表現します。 砥石の切込みを行う軸: 切込み軸 砥石の研削を行う軸: 研削軸 ドレッサの切込みを行う軸: ドレッシング軸 研削用固定サイクル実行中、以下の機能を使用することはできません。 ・ プログラマブルミラーイメージ ・ スケーリング ・ 座標回転 ・ 3次元座標変換 ・ F1 桁送り ・ 工具長補正

70.0 80.0 70.0

N1 N3

N2

R=67.000

Y

Z

α

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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切込み軸の切込み量、および研削軸の研削量の設定単位は、基準軸(パラメータ(No.1031))の設定単位(パラメータ

(No.1013))に従います。基準軸(パラメータ(No.1031))の設定値が 0 の場合は、第1軸目の設定単位に従います。

警告 研削用固定サイクルの G コード(G75,G77,G78,G79)は 01 グループの G コードです。穴あけ用固定サイクル

の G80 のようなキャンセルするための G コードはありません。G04 以外の 00 グループの G コードを指令

することにより切込み量などのモーダル情報はクリアされますが、研削用固定サイクルをキャンセルするこ

とはできません。研削用固定サイクルをキャンセルするには、G75,G77,G78,G79 以外の 01 グループの G コ

ードを指令する必要があります。したがって、研削用固定サイクルから他の軸移動指令に切換える際には、

必ず G00,G01 のような 01 グループの G コードを指令して研削用固定サイクルをキャンセルして下さい。も

しキャンセルしないで他の軸移動指令を行った場合、サイクルが継続されるため思わぬ動作をする可能性が

あります。

注 1 研削用固定サイクルの G コード(G75,G77,G78,G79)が指令され、本サイクルが有効な間は、その後の指令ブ

ロック中に G75,G77,G78,G79 の指令がなくても、モーダルデータとして保存されている I,J,K,α,R,F,P の値

に従って研削用固定サイクルが実行されます。 例. G75 I_ J_ K_ α_ R_ F_ P_ ; ; ← 空のブロックでも研削用固定サイクルが実行される % 2 穴あけ用固定サイクルから研削用固定サイクルに切換える場合には、G80 を指令して、固定サイクルをキャ

ンセルして下さい。 3 研削用固定サイクルから他の軸移動指令に切換える場合には、前記警告に記述されている方法で、固定サイ

クルをキャンセルして下さい。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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5.7.1 プランジ研削サイクル(G75)

プランジ研削サイクルを行います。

フォーマット G75 I_ J_ K_ α_ R_ F_P_ L_ ;

I_ : 第1切込み量(切込み方向は符号によります。) J_ : 第2切込み量(切込み方向は符号によります。) K_ : 総切込み量(切込み方向は符号によります。) α_ : 研削範囲(研削方向は指令の符号によります。) R_ : I,J の送り速度 F_ : αの送り速度 P_ : ドウェル時間 L_ : 砥石磨耗補正番号(連続ドレッシング時のみ)

G75

注 αはパラメータ(No.5176)により決まる、研削軸の任意の軸アドレスです。

解説 プランジ研削サイクルは、6 つの動作シーケンスから成っています。 ①から⑥までの動作を切込み量がアドレス K で指令された総切込み量に達するまで繰返します。シングルブロックの

場合、①から⑥までの動作を一度のサイクルスタートで実行します。

・サイクル中の動作シーケンス ①砥石切込み 第 1 切込み量 I で指定された量だけ、切削送りで Y 軸方向に切込みます。送り速度は R で指定した速度になります。

②ドウェル P で指定された時間だけドウェルを行います。

③研削 αで指定された量だけ切削送りで移動します。研削軸の指定をパラメータ(No.5176)で設定します。送り速度は F で指

定した速度になります。連続ドレッシング機能有効時に L を指令した場合は切込み軸,ドレッシング軸によるドレッ

シングが行われます。ドレッシング軸はパラメータ(No.5180)で設定します。 ④砥石切込み 第 2 切込み量 J で指定された量だけ、切削送りで Y 軸方向に切込みます。送り速度は R で指定した速度になります。

⑤ドウェル P で指定された時間だけドウェルを行います。

α

I

J

①(R)

②P

③(F)

④(R)

⑤P⑥(F)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 99 -

⑥研削(戻り方向) αで指定された量だけ逆方向に F で指定した速度で送られます。連続ドレッシング機能有効時に L を指令した場合は

切込み軸,ドレッシング軸によるドレッシングが行われます。

・連続ドレッシング 連続ドレッシング機能が有効な場合、研削実行中、L で指令されたドレッシング量に応じて、砥石の切込みおよびド

レッサの切込みを連続的に補正します。 すなわち連続ドレッシングはサイクル中の動作シーケンスの研削動作ごとに行われ、研削軸の移動と同時に、切込み

軸方向の補正およびドレッシング軸方向の補正による同時 3 軸補間となります。このとき、切込み軸の移動量(補正

量)は指定されたドレッシング量となり、ドレッシング軸の移動量は指定されたドレッシング量の 2 倍(直径)の値

となります。 ドレッシング量はアドレス L によりオフセット番号(砥石摩耗補正番号)を指定します。オフセット番号は、最大 400個(L1~L400)まで指令できます。補正量をオフセット番号に対応して MDI パネルにより、あらかじめオフセット

メモリに設定しておきます。 以下の場合、補正動作は行われません。 連続ドレッシング機能が無効な場合。 L が指令されていない場合。 L0 が指令されている場合。

制限事項 ・切込み軸 切込み軸は、制御軸の第 2 軸となります。パラメータ FXY(No.5101#0)=1 とすることにより、平面選択指令

(G17,G18,G19)による切換えが可能です。

・研削軸 研削軸はパラメータ(No.5176)に、切込み軸以外の軸番号を設定します。

・ドレッシング軸 ドレッシング軸はパラメータ(No.5180)に切込み軸,研削軸以外の軸番号を設定します。

・α,I,J,K α,I,J,K の指令は、すべてインクレメンタル指令です。 次の場合はスパークアウト(研削方向の移動のみ実行)となります。 ・I, J を指定しない場合または I=J=0 の場合 ・K を指定しない場合または K=0 の場合 I,J を指定しない場合または I=J=0 の場合で、さらに K≠0 の場合は研削動作が無限に行われます。

・クリア 固定サイクル中のデータ I,J,K,α,R,F,P は、G75,G77,G78,G79 に共通なモーダル情報なので、新たに指令しない限り以

前に指令されたデータが有効となります。このデータは、G04以外の00グループのGコードあるいはG75,G77,G78,G79以外の 01 グループの G コードを指令するとクリアされます。L は指定したブロックでのみで有効となります。

α

ワーク

a

2a

a:ドレッシング量 ドレッサ

砥石

ドレッシング軸

研削軸

切込み軸

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 100 -

・総切込み量に達した場合の動作

I 又は J による切込み時に、総切込み量に達する場合、以降の動作シーケンス(⑥まで)を実行した後サイクルを終了

します。 なお、この場合の切込み量は総切込み量位置までとなります。 ・ I または J による切込み動作により総切込み量に達する場合

・ I または J の切込み動作の途中で総切込み量に達する場合

注 1 I,J,K の符号が異なる場合には、アラーム(PS0455)となります。 2 G75 指令時、研削軸の指令を行わなかった場合は、アラーム(PS0455)となります。 3 切込み軸番号,研削軸番号,ドレッシング軸番号のいずれかが同一軸番号となった場合、アラーム(PS0456)

となります。 4 本サイクルが有効な間、G90(アブソリュート指令)を行った場合でも、 α,I,J,K の指令はインクレメンタ

ル指令となります。

I

J

② ③

④ ⑥

K

K

I

⑤ ③

① ②

⑤ ④

I

J

② ③

K

⑤ ⑥

K

I ③ ① ②

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 101 -

5.7.2 プランジ直接定寸研削サイクル(G77)

プランジ直接定寸研削サイクルを行います。

フォーマット G77 I_ J_ K_ α_ R_ F_P_ L_ ;

I_ : 第1切込み量(切込み方向は符号によります。) J_ : 第2切込み量(切込み方向は符号によります。) K_ : 総切込み量(切込み方向は符号によります。) α_ : 研削範囲(研削方向は指令の符号によります。) R_ : I,J の送り速度 F_ : αの送り速度 P_ : ドウェル時間 L_ : 砥石磨耗補正番号(連続ドレッシング時のみ)

G77

注 αはパラメータ(No.5177)により決まる、研削軸の任意の軸アドレスです。

解説 プランジ直接定寸研削サイクルは、6 つの動作シーケンスから成っています。 ①から⑥までの動作を切込み量がアドレス K で指令された総切込み量に達するまで繰返します。シングルブロックの

場合、①から⑥までの動作を一度のサイクルスタートで実行します。 ・サイクル中の動作シーケンス ①砥石切込み 第 1 切込み量 I で指定された量だけ、切削送りで Y 軸方向に切込みます。送り速度は R で指定した速度になります。

②ドウェル P で指定された時間だけドウェルを行います。

③研削 αで指定された量だけ切削送りで移動します。研削軸の指定をパラメータ(No.5177)で設定します。送り速度は F で指

定した速度になります。連続ドレッシング機能有効時に L を指令した場合は切込み軸,ドレッシング軸によるドレッ

シングが行われます。ドレッシング軸はパラメータ(No.5181)で設定します。 ④砥石切込み 第 2 切込み量 J で指定された量だけ、切削送りで Y 軸方向に切込みます。送り速度は R で指定した速度になります。

⑤ドウェル P で指定された時間だけドウェルを行います。

α

Y α

I

J

①(R)

②P

③(F)

④(R)

⑤P⑥(F)

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 102 -

⑥研削(戻り方向) αで指定された量だけ逆方向に F で指定した速度で送られます。連続ドレッシング機能有効時に L を指令した場合は

切込み軸,ドレッシング軸によるドレッシングが行われます。

・連続ドレッシング 連続ドレッシング機能が有効な場合、研削実行中、L で指令されたドレッシング量に応じて、砥石の切込みおよびド

レッサの切込みを連続的に補正します。詳細は G75 の解説を参照して下さい。

・スキップ信号入力時の動作 G77 においては、サイクル中にスキップ信号を入力することにより、現在の動作シーケンスを中断させた後(又は現

在の動作シーケンスを終了させた後)サイクルを終了させることができます。 以下に各動作シーケンスにおけるスキップ信号入力時の動作を示します。 ・ 動作シーケンス①、④中(I,J 移動時)の場合、切込みを即座に中止しサイクルスタート時のα座標に戻ります。

・ 動作シーケンス②、⑤中(ドウェル中)の場合、ドウェルを即座に中止しサイクルスタート時のα座標に戻りま

す。 ・ 動作シーケンス③、⑥中(研削移動時)の場合αの移動が終わってからサイクルスタート時のα座標に戻ります。

制限事項 ・切込み軸 切込み軸は、制御軸の第 2 軸となります。パラメータ FXY(No.5101#0)=1 とすることにより、平面選択指令

(G17,G18,G19)による切換えが可能です。 ・研削軸 研削軸はパラメータ(No.5177)に、切込み軸以外の軸番号を設定します。

・ドレッシング軸 ドレッシング軸はパラメータ(No.5181)に切込み軸,研削軸以外の軸番号を設定します。

・α,I,J,K α,I,J,K の指令は、すべてインクレメンタル指令です。 次の場合はスパークアウト(研削方向の移動のみ実行)となります。 ・ I,J を指定しない場合または I=J=0 の場合 ・ K を指定しない場合または K=0 の場合 I,J を指定しない場合または I=J=0 の場合で、さらに K≠0 の場合は研削動作が無限に行われます。

(終了)

スキップ信号 スキップ信号

(終了)

(終了)

スキップ信号

スキップ信号

(終了)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 103 -

・クリア 固定サイクル中のデータ I,J,K,α,R,F,P は、G75,G77,G78,G79 に共通なモーダル情報なので、新たに指令しない限り以

前に指令されたデータが有効となります。このデータは、G04以外の00グループのGコードあるいはG75,G77,G78,G79以外の 01 グループの G コードを指令するとクリアされます。L は指定したブロックでのみで有効となります。

・総切込み量に達した場合の動作 I 又は J による切込み時に、総切込み量に達する場合の動作については G75 と同じです。G75 の制限事項を参照して

下さい。

注 1 I,J,K の符号が異なる場合には、アラーム(PS0455)となります。 2 G77 指令時、研削軸の指令を行わなかった場合は、アラーム(PS0455)となります。 3 切込み軸番号,研削軸番号,ドレッシング軸番号のいずれかが同一軸番号となった場合、アラーム(PS0456)

となります。 4 本サイクルが有効な間、G90(アブソリュート指令)を行った場合でも、 α,I,J,K の指令はインクレメンタ

ル指令となります。

5.7.3 連続送り平研削サイクル(G78)

連続送り平研削サイクルを行います。

フォーマット G78

注 αはパラメータ(No.5178)により決まる、研削軸の任意の軸アドレスです。

解説 連続送り平研削サイクルは、4 つの動作シーケンスから成っています。 ①から④までの動作を切込み量がアドレス K で指令された総切込み量に達するまで繰返します。シングルブロックの

場合、①から④までの動作を一度のサイクルスタートで実行します。

・サイクル中の動作シーケンス ①ドウェル

P で指定された時間だけドウェルを行います。 ②砥石切込み+研削 切込み軸(Z 軸)と研削軸が同時に切削送りを行います。切込み軸の移動量(切込み量)は第 1 切込み量 I で指定さ

れた量、研削軸の移動量はαで指定された量となります。研削軸の指定をパラメータ(No.5178)で設定します。送り速

度は F で指定した速度になります。連続ドレッシング機能有効時に L を指令した場合は切込み軸,ドレッシング軸に

よるドレッシングが行われます。ドレッシング軸はパラメータ(No.5182)で設定します。

α

I

I(J)

①P②(F)

③P④(F)

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 104 -

③ドウェル P で指定された時間だけドウェルを行います。

④砥石切込み+研削(戻り方向) 切込み軸(Z 軸)と研削軸が同時に切削送りを行います。切込み軸の移動量(切込み量)は第 2 切込み量 J で指定さ

れた量、研削軸の移動量はαで指定された量の逆方向となります。送り速度は F で指定した速度になります。連続ド

レッシング機能有効時に L を指令した場合は切込み軸,ドレッシング軸によるドレッシングが行われます。

・連続ドレッシング 連続ドレッシング機能が有効な場合、研削実行中、L で指令されたドレッシング量に応じて、砥石の切込みおよびド

レッサの切込みを連続的に補正します。詳細は G75 の解説を参照して下さい。

制限事項 ・切込み軸 切込み軸は、制御軸の第 3 軸となります。パラメータ FXY(No.5101#0)=1 とすることにより、平面選択指令

(G17,G18,G19)による切換えが可能です。

・研削軸 研削軸はパラメータ(No.5178)に、切込み軸以外の軸番号を設定します。

・ドレッシング軸 ドレッシング軸はパラメータ(No.5182)に切込み軸,研削軸以外の軸番号を設定します。

・J J が指令されていない場合は、J=I とみなされます。 J 指令は指令されたブロックのみで有効です。

・α,I,J,K α,I,J,K の指令は、すべてインクレメンタル指令です。 次の場合はスパークアウト(研削方向の移動のみ実行)となります。 ・I, J を指定しない場合または I=J=0 の場合 ・K を指定しない場合または K=0 の場合 I,J を指定しない場合または I=J=0 の場合で、さらに K≠0 の場合は研削動作が無限に行われます。

・クリア 固定サイクル中のデータ I,K,α,F,P は、G75,G77,G78,G79 に共通なモーダル情報なので、新たに指令しない限り以前に

指令されたデータが有効となります。このデータは、G04 以外の 00 グループの G コードあるいは G75,G77,G78,G79以外の 01 グループの G コードを指令するとクリアされます。J,L は指定したブロックでのみで有効となります。

・総切込み量に達した場合の動作 I 又は J による切込み時に、総切込み量に達する場合、以降の動作シーケンス(④まで)を実行した後サイクルを終了

します。 なお、この場合の切込み量は総切込み量位置までとなります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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・ I または J による切込み動作により総切込み量に達する場合

・ I または J の切込み動作の途中で総切込み量に達する場合

注 1 I,J,K の符号が異なる場合には、アラーム(PS0455)となります。 2 G78 指令時、研削軸の指令を行わなかった場合は、アラーム(PS0455)となります。 3 切込み軸番号,研削軸番号,ドレッシング軸番号のいずれかが同一軸番号となった場合、アラーム(PS0456)

となります。 4 本サイクルが有効な間、G90(アブソリュート指令)を行った場合でも、 α,I,J,K の指令はインクレメンタ

ル指令となります。

I

J

① ②

K

I

J

① ②

K

I

J

① ②

K

I ①

③ ④

K

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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5.7.4 間欠送り平研削サイクル(G79)

間欠送り平研削サイクルを行います。

フォーマット G79 I_ J_ K_ α_ R_ F_P_ L_ ;

I_ : 第1切込み量(切込み方向は符号によります。) J_ : 第2切込み量(切込み方向は符号によります。) K_ : 総切込み量(切込み方向は符号によります。) α_ : 研削範囲(研削方向は指令の符号によります。) R_ : I,J の送り速度 F_ : αの送り速度 P_ : ドウェル時間 L_ : 砥石磨耗補正番号(連続ドレッシング時のみ)

G79

注 αはパラメータ(No.5179)により決まる、研削軸の任意の軸アドレスです。

解説 間欠送り平研削サイクルは、6 つの動作シーケンスから成っています。 ①から⑥までの動作を切込み量がアドレス K で指令された総切込み量に達するまで繰返します。シングルブロックの

場合、①から⑥までの動作を一度のサイクルスタートで実行します。

・サイクル中の動作シーケンス ①砥石切込み 第 1 切込み量 I で指定された量だけ、切削送りで Z 軸方向に切込みます。送り速度は R で指定した速度になります。

②ドウェル P で指定された時間だけドウェルを行います。

③研削 αで指定された量だけ切削送りで移動します。研削軸の指定をパラメータ(No.5179)で設定します。送り速度は F で指

定した速度になります。連続ドレッシング機能有効時に L を指令した場合は切込み軸,ドレッシング軸によるドレッ

シングが行われます。ドレッシング軸はパラメータ(No.5183)で設定します。 ④砥石切込み 第 2 切込み量 J で指定された量だけ、切削送りで Z 軸方向に切込みます。送り速度は R で指定した速度になります。

⑤ドウェル P で指定された時間だけドウェルを行います。

α

I

J

①(R)

②P

③(F)

④(R)

⑤P⑥(F)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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⑥研削(戻り方向) αで指定された量だけ逆方向に F で指定した速度で送られます。連続ドレッシング機能有効時に L を指令した場合は

切込み軸,ドレッシング軸によるドレッシングが行われます。

・連続ドレッシング 連続ドレッシング機能が有効な場合、研削実行中、L で指令されたドレッシング量に応じて、砥石の切込みおよびド

レッサの切込みを連続的に補正します。詳細は G75 の解説を参照して下さい。

制限事項 ・切込み軸 切込み軸は、制御軸の第 3 軸となります。パラメータ FXY(No.5101#0)=1 とすることにより、平面選択指令

(G17,G18,G19)による切換えが可能です。

・研削軸 研削軸はパラメータ(No.5179)に、切込み軸以外の軸番号を設定します。

・ドレッシング軸 ドレッシング軸はパラメータ(No.5183)に切込み軸,研削軸以外の軸番号を設定します。

・α, I, J, K α,I,J,K の指令は、すべてインクレメンタル指令です。 次の場合はスパークアウト(研削方向の移動のみ実行)となります。

・I,J を指定しない場合または I=J=0 の場合 ・K を指定しない場合または K=0 の場合 I,J を指定しない場合または I=J=0 の場合で、さらに K≠0 の場合は研削動作が無限に行われます。

・クリア 固定サイクル中のデータ I,J,K,α,R,F,P は、G75,G77,G78,G79 に共通なモーダル情報なので、新たに指令しない限り以

前に指令されたデータが有効となります。このデータは、G04以外の00グループのGコードあるいはG75,G77,G78,G79以外の 01 グループの G コードを指令するとクリアされます。L は指定したブロックでのみで有効となります。

・総切込み量に達した場合の動作 I 又は J による切込み時に、総切込み量に達する場合の動作については G75 と同じです。G75 の制限事項を参照して

下さい。

注 1 I,J,K の符号が異なる場合には、アラーム(PS0455)となります。 2 G79 指令時、研削軸の指令を行わなかった場合は、アラーム(PS0455)となります。 3 切込み軸番号,研削軸番号,ドレッシング軸番号のいずれかが同一軸番号となった場合、アラーム(PS0456)

となります。 4 本サイクルが有効な間、G90(アブソリュート指令)を行った場合でも、 α,I,J,K の指令はインクレメンタ

ル指令となります。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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5.8 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7, G74.7, G75.7,G76.7)

複合形固定サイクルは、プログラムをより容易にするために予め用意された数種の固定サイクルです。例えば、仕上

げ形状のみの情報を与えることによって、途中の荒削りの工具経路は自動的に決定することができます。 また、ねじ切り用の固定サイクルも用意されています。

注 1 本章の説明図は、平面を ZX 平面、X 軸を直径指定、Z 軸を半径指定としています。X 軸が半径指定の場合は、

U/2 のところは U、X/2 のところは X として下さい。 2 複合形固定サイクルを行う平面は、任意平面で行うことができます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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5.8.1 外径荒削りサイクル(G71.7)

外径荒削りサイクルのタイプには、タイプⅠとタイプⅡがあります。 タイプⅡを使用する場合は、「複合形固定サイクル 2」のオプション機能が必要です。

フォーマット ZpXp 平面 G71.7 U(Δd) R(e) ; G71.7 P(ns) Q(nf) U(Δu) W(Δw) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; YpZp 平面 G71.7 W(Δd) R(e) ; G71.7 P(ns) Q(nf) V(Δw) W(Δu) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; XpYp 平面 G71.7 V(Δd) R(e) ; G71.7 P(ns) Q(nf) U(Δw) V(Δu) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; △d : 切り込み量

切込み方向は、A A'の方向によって決まります。この指定は、モーダルで次に指定されるまで有効で

す。また、パラメータ(No.5132)でも設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。

e : 逃げ量 この指定はモーダルで次に指定されるまで有効です。また、パラメータ(No.5133)でも設定でき、プ

ログラム指令によりパラメータ値も変わります。 ns : 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf : 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号 Δu : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の仕上げ代の距離 Δw : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の仕上げ代の距離 f,s,t : サイクル中は、ns~nf 間のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは、T 機能が無視されます。

そして、G71 のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは T 機能のデータが有効となります。

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力 △d 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 e 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 Δu 基準軸の設定単位に従う 平面第 2 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 Δw 基準軸の設定単位に従う 平面第 1 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能

A→A’→B の仕上形状の移動指令をシーケンス番号

ns から nf までのブロックで指令します。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 110 -

CB

(R)

(R)

(F)

(F)

A

△u/2

△d

A’

△W

仕上げ形状

45° e

(F):切削送り

(R):早送り

+X

+Z e:逃げ量

図5.8.1 (a) 外径荒削りサイクルの切削経路(タイプⅠ)

解説 ・動作 プログラムで A→A’→B 間の仕上げ形状を与えるとΔu/2、Δw の仕上げ代を残して切り込み量Δd ずつ削り取って行

きます。最後の切り込みで平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向に切り込んだ後、仕上げ形状に沿って荒削り仕上

げ切削を行います。荒削り仕上げ切削が終わると、Q で指定したシーケンスブロックの次のブロックが実行されます。

注 1 △d と△u は共に同じアドレスで指定しますが、この区別は、P、Q の指定の有無により判断します。 2 サイクル動作は、P、Q の指定された G71.7 指令で行います。 3 A-B 間の移動指令中に指定された F、S および T 機能を無視し、G71.7 指令のブロックまたはそれ以前に指

定した値が有効になります。また、M 機能、第 2 補助機能についても F、S、T 機能と同様の扱いとなります。 4 周速一定制御オプション機能付きの場合、A-B 間の移動指令中に指令した G96 または G97 は無視されます。

A-B 間の移動中に G96 または G97 を有効にしたい場合は、G71.7 のブロックまたはそれ以前のブロックで

G96 または G97 を指令して下さい。

・仕上げ形状 パターン

G71.7 で切削する形状には、図 5.7.1(b)の 4 つのパターンが考えられます。いずれも平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)

に平行な移動によりワークを切削し、その時の△u、△w の仕上げ代の符号は次のようになります。

直線、円弧補間

とも可能です。

A'

B U(+)…W(+)

A'

B A

U(+)…W(-)

A'

B AU(-)…W(+)

A'

B AU(-)…W(-)

A

+X

+Z

図5.8.1 (b) 4 パターンの仕上げ形状

制限

(1) U(+)の場合は、サイクル開始点より高い位置を持つ形状は加工することができません。 U(-)の場合は、サイクル開始点より低い位置を持つ形状は加工することができません。

(2) タイプⅠの場合は、平面第 1 軸、平面第 2 軸ともに単調増加あるいは単調減少の形状でなくてはなりません。 (3) タイプⅡの場合は、平面第 1 軸が単調増加または単調減少の形状でなくてはなりません。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 111 -

・先頭ブロック 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロックで A-A'間の指令)で、G00 または G01 を含む

指令をする必要があります。指令しない場合は、アラーム(PS0065)になります。 G00 指令の場合は、A-A'に沿って位置決めを行います。G01 指令の場合は、A-A'に沿って切削送りで直線補間を行い

ます。 また、この先頭ブロックで、タイプⅠあるいはタイプⅡを選択します。

・チェック機能 サイクル動作中は、常に仕上げ形状が単調増加または単調減少となっていることをチェックします。

注 刃先 R 補正をかけている場合は、補正がかかった仕上げ形状でチェックします。

また、以下のチェックを行うことができます。

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存在す

ることをサイクル動作前にチェックする。 QSR(No.5102#2)=1 で有効とな

ります。 仕上げ形状をサイクル動作前にチェックする。 (アドレス Q で指定されるシーケンス番号の存在チェックも行います。)

FCK(No.5104#2)=1 で有効とな

ります。

・タイプⅠとタイプⅡ 使い分け

G71.7 には、タイプⅠとタイプⅡがあります。 仕上げ形状にポケットがある場合は、必ずタイプⅡを使用して下さい。 また、タイプⅠとⅡでは、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向への荒削りを行った後の逃げが異なります。タイ

プⅠは 45°方向へ逃げますが、タイプⅡは仕上げ形状に沿って切り上げます。仕上げ形状にポケットが無い場合は、

逃げの仕方により使い分けて下さい。

注 タイプⅡを使用するには、複合形固定サイクルⅡのオプションが必要です。

選択方法 仕上げ形状の先頭ブロック(シーケンス番号 ns)で、タイプⅠあるいはタイプⅡを選択します。 (1) タイプⅠの選択

平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の指令のみを行います。平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令があっては

いけません。 (2) タイプⅡの選択

平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)と平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令を行います。 もし、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の移動がなくタイプⅡを使用する場合は、移動量が 0 になるよう指令

します。

・タイプⅠ (1) シーケンス番号 ns のブロックで、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の指令のみを行う必要があります。

例 ZX 平面

G71.7 U10.0 R5.0 ; G71.7 P100 Q200....; N100 X_ ; (平面第 2 軸の指令のみを行う。) : ; : ; N200..............;

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 112 -

(2) A'-B 間の形状は平面構成軸(ZX 平面の場合 Z 軸、X 軸)方向ともに、単調増加または減少でなくてはなりませ

ん。図 5.7.1(c)のようにポケットがあってはいけません。

ポケットがあってはいけません。

A

A’

X

Z

B

図5.8.1 (c) 単調増加または減少でない形状(タイプⅠ)

注意 平面第 1 軸あるいは第 2 軸が単調変化でない場合は、アラーム(PS0064)またはアラーム(PS0329)になりま

す。ただし、微少な単調変化でない移動であり危険が無いと判断できる場合は、パラメータ(No.5145,No.5146)に許容量を設定し、アラームにしないようにすることができます。

(3) 荒削り後の逃げは、45°方向に切削送りで逃げます。

逃げ量 e(指令またはパラメータ(No.5133)) 45°

図5.8.1 (d) 45°方向の切り上げ(タイプⅠ)

(4) 最後の荒削り仕上げ切削は、最後の切り込み後、すぐさま仕上げ形状プログラムに沿って荒削り仕上げ切削を行

います。また、パラメータ RF1(No.5105#1)に 1 を設定することで荒削り仕上げ切削を行わなくすることもできま

す。

・タイプⅡ C

B

(F)

A

△u/2

△d

A’

△W

仕上げ形状

(F):切削送り (R):早送り

+X

+Z

(R)

△d

(F)

(F)

(R)(R)

図5.8.1 (e) 外形荒削りサイクルの切削経路(タイプⅡ)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 113 -

図 5.7.1(e)のように仕上げ形状プログラムで A→A’→B 間の形状を与えるとΔu/2、Δw の仕上げ代を残して切り込み

量Δd ずつ削り取って行きます。タイプ I の場合とは、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の荒削りの後、形状に

沿って切り上げる点が異なります。 最後の切り込みで削り取った後、一旦、G71.7 の開始点まで戻り、仕上げ形状プログラムに沿ってΔu/2、Δw の仕上

げ代を残して荒削り仕上げ切削を行います。 タイプⅡはタイプⅠに対して次の点が異なります。 (1) シーケンス番号 ns のブロックで、平面を構成する 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸、Z 軸)の指令を行う必要がありま

す。ZX 平面でもし初めのブロックに Z 軸の移動がなく、タイプⅡを使いたい時は、Z 軸の移動量が 0 になるよう

指令します。

例 ZX 平面

G71.7 U10.0 R5.0; G71.7 P100 Q200........; N100 X_ Z_ ; (平面を構成する 2 軸の指令を行う。) :; :; N200..............;

(2) 形状が平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向に単調増加または単調減少ではなくてもよく、くぼみの部分(ポケ

ット)を設けることができます。

10 ・・・ 3 2 1

+X

+Z

図5.8.1 (f) ポケット形状(タイプⅡ) ただし、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向には、単調変化でなければいけません。図 5.7.1(g)のような形に

なっていると、加工できません。

Z が単調変化でない。

+X

+Z

図5.8.1 (g) 加工できない形状(タイプⅡ)

注意 平面第 1 軸が切削途中で逆方向に移動するような形状(円弧指令による頂点も含む)の場合、バイト等がワ

ークに接触する危険がありますので、このような単調変化でない形状の場合、アラーム(PS0064)またはアラ

ーム(PS0329)になります。ただし、微少な単調変化でない移動であり危険が無いと判断できる場合は、パラ

メータ(No.5145)に許容量を設定し、アラームにしないようにすることができます。 初めの切込み部分も垂直でなくてもよく、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向に単調変化であればどのよう

な形状でもかまいません。

Page 126: B 64484 ja-2-03

5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 114 -

+X

+Z

図5.8.1 (h) 加工できる形状(タイプⅡ) (3) 旋削後の逃げはワークの形状に沿って切り上げ、切削送りで逃げます。

逃げ量 e (指令またはパラメータ No.5133)

切込み量Δd(指令または パラメータ No.5132)

切上げ後の逃げ

図5.8.1 (i) ワークに沿った切り上げ(タイプⅡ)

切り上げた後の逃げ量 e は指令(R で指定)、または、パラメータ(No.5133)で設定することができます。

ただし、谷底からの逃げは、45°方向に切削送りで逃げます。

e (指令またはパラメータ No.5133) 45°

谷底

図5.8.1 (j) 谷底から 45°方向への逃げ

(4) 仕上げ形状のうち、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)に平行なブロックは、ポケットの谷底とみなします。 (5) 最後の荒削り仕上げ切削は、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の全ての荒削りが終了したあと、一旦、開始点

へ戻ります。その際、サイクル開始点と等しい高さの形状がある場合は、その高い形状からΔd の切込量を余計

に逃げた位置を通り、開始点へ戻ります。 次に、仕上げ形状に沿って荒削りの仕上げ切削を行います。この場合の開始点への戻りもΔd の切込量を余計に

逃げた位置を通ります。 荒削り仕上げ切削は、パラメータ RF2(No.5105#2)に 1 を設定することで行わなくすることも可能です。

Page 127: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 115 -

切込み量Δd

○ 開始点○

荒削り終了後の逃げ 荒削り仕上切削後の逃げ

図5.8.1 (k) 開始点へ戻るさいの逃げ(タイプⅡ)

(6) ポケットの荒削り順序と経路

荒削り順序は、次の例のようになります。 (a) 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)が単調減少の場合

①②③

①→②→③の順で右側のポケットから順番に荒削りを行います。

+X

+Z

図5.8.1 (l) 単調減少の荒削り順序(タイプⅡ) (b) 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)が単調増加の場合

③②①

①→②→③の順で左側のポケットから順番に荒削りを行います。

+X

+Z

図5.8.1 (m) 単調増加の荒削り順序(タイプⅡ)

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 116 -

荒削り経路は、図 5.7.1(n)のようになります。

18

23

28 30 27

26

24 25

22

9 102

14 20

7

1319

5 1

611

1216

17

8

4

21

15

29

3

31 32 33

34

35

図5.8.1 (n) 複数ポケットの切削経路(タイプⅡ)

ポケットの荒削りが終わったのちの詳細な動きは、図 5.7.1(o)のようになります。

19

20

22 21●

g 早送り

谷底からの逃げ

切削送り

D

図5.8.1 (o) ポケット切削後の詳細(タイプⅡ)

切削速度で切り上げ後、45 度方向への逃げを行います。(19 の動作) 次に D 点の高さまで早送りで移動します。(20 の動作) 次に D 点から g 量手前の位置まで早送りで移動します。(21 の動作) そして、D 点まで切削送りで移動します。 g の切削送り開始位置までのクリアランス量は、パラメータ(No.5134)で設定します。 ただし、最後のポケットの場合は、底を削り終わった後、45 度方向への逃げを行い、開始点へ早送りで戻ります。(34,35の動作)

注意 1 ポケットの削り方が、FANUC Series 16i/18i/21iとは異なります。

手前のポケットから切削を始め、ポケットの切削が終了すると奥のポケットへ移り、切削を行います。 2 ポケットがある場合は、一般に仕上げ代を△w=0 と指定します。さもないと、片側の壁に食い込んでしまい

ます。 3 旋削後の切り上げの経路は、ワーク形状により、FANUC Series 16i/18i/21iとは異なります。切り上げ中、

ワーク形状が平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)のみの移動となると、平面第2軸(ZX 平面の場合 X 軸)の逃げ

動作に移ります。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正を使用する場合は複合形固定サイクル指令(G70.7,G71.7,G72.7,G73.7)より前のブロックで刃先 R 補正指令

(G41,G42)を行い、キャンセル指令(G40)は仕上げ形状プログラム(P で指令したブロックから Q で指令したブロック)

の外で指令します。もし、仕上げ形状プログラム内に刃先 R 補正が指令されている場合は、アラーム(PS0325)”形状プ

ログラムで使用できない指令です”となります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 117 -

プログラム例 G42; ----------- 複合形固定サイクル指令の前に指令します。 G71.7U1.R.5; G71.7P10Q20; N10G00X0; : N20X50.; G40; ----------- 仕上げ形状プログラムの後に指令します。 刃先 R 補正モード中に本サイクルを指令した場合、開始位置への移動で一時的にオフセットのキャンセルを行い、最

初のブロックでスタートアップを行います。また、サイクル動作が終了しサイクル開始点へ戻る時にも一時的にオフ

セットのキャンセルを行い、次の移動指令でスタートアップを行います。図 5.7.1(p)のようになります。

サイクル開始点

スタートアップ

オフセットキャンセル

スタートアップ

オフセットのキャンセル

図5.8.1 (p)

本サイクルは、開始点 A のオフセットベクトルが 0、A-A’のブロックでスタートアップを行った時の刃先 R 補正経路

の形状に対してサイクル動作が行われます。

刃先R補正がかかっていない仕上げ形状プログラム

+X

+Z

B A

A’

G42による刃先R補正がかかっている時の刃先中心の経路

A-A’でスタート アップした位置

図5.8.1 (q) 刃先 R 補正中の経路

Page 130: B 64484 ja-2-03

5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 118 -

刃先R補正がかかっていない仕上げ形状プログラム

+X

+Z G42による刃先R補正がかかっている時の刃先中心の経路

B A

A’

A-A’でスタート アップした位置

図5.8.1 (r)

注 刃先 R 補正モードでポケット加工を行う場合は、A-A‘の直線ブロックをワークの外で指令し、それから

実際のポケットの形状を指令するようにします。そうすることにより、ポケットの食い込みを避けることが

できます。

・サイクルタイムの短縮 G71.7 および G72.7 において、パラメータ ASU(No.5107#0)を1に設定することにより、前回の旋削開始点への移動(動作 1)を早送りによる移動に変更できます。 パラメータ ASU(No.5107#0)は、タイプⅠ指令、タイプⅡ指令共に有効です。

タイプⅠ指令の場合

+X

+Z :早送りを選択可能 :先頭ブロックのモードに従う

動作 1

動作 2

前回の旋削点

今回の旋削点

図5.8.1 (s)

タイプⅠ指令の G71.7 および G72.7 において、パラメータ ASC(No.5107#1)を1に設定することにより、今回の旋削開

始点への動作(動作 1、動作 2)を 2 サイクルから 1 サイクルに変更できます。送りモードは、形状プログラムの先頭ブ

ロックのモード(G00,G01)に従います。 パラメータ ASC(No.5107#1)は、タイプⅠ指令のみ有効です。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 119 -

タイプⅠ指令の場合

+X

+Z

動作 1

動作 2

前回の旋削点

今回の旋削点

図5.8.1 (t)

Page 132: B 64484 ja-2-03

5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 120 -

5.8.2 端面荒削りサイクル(G72.7)

G71.7 と同様ですが、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行な動作により切削が行われます。

フォーマット ZpXp 平面 G72.7 W(Δd) R(e) ; G72.7 P(ns) Q(nf) U(Δu) W(Δw) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; YpZp 平面 G72.7 V(Δd) R(e) ; G72.7 P(ns) Q(nf) V(Δw) W(Δu) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; XpYp 平面 G72.7 U(Δd) R(e) ; G72.7 P(ns) Q(nf) U(Δw) W(Δu) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; △d : 切り込み量

切込み方向は、A A'の方向によって決まります。この指定は、モーダルで次に指定されるまで有効で

す。また、パラメータ(No.5132)でも設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。 e : 逃げ量

この指定はモーダルで次に指定されるまで有効です。また、パラメータ(No.5133)でも設定でき、プロ

グラム指令によりパラメータ値も変わります。 ns : 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf : 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号 Δu : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の仕上げ代の距離 Δw : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の仕上げ代の距離 f,s,t : サイクル中は、ns~nf 間のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは、T 機能が無視されます。そ

して、G72 のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは T 機能のデータが有効となります。

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力 △d 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 e 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 Δu 基準軸の設定単位に従う 平面第 2 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 Δw 基準軸の設定単位に従う 平面第 1 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能

A→A’→B の仕上形状の移動指令をシーケンス番号

ns から nf までのブロックで指令します。

Page 133: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 121 -

A'

Δu/2

Δd

B

工具経路 (F)

(R)

e

45°

(R)

(F)

A

C

Δw

仕上げ形状

(F):切削送り (R):早送り

+X

+Z

図5.8.2 (a) 端面荒削りサイクルの切削経路(タイプⅠ)

解説 ・動作 プログラムで A→A'→B 間の仕上げ形状を与えると、△u/2, △w の仕上げ代を残して、切込み量△d ずつ削り取りま

す。

注 1 △d と△u は共に同じアドレスで指定しますが、この区別は、P、Q の指定の有無により判断します。 2 サイクル動作は、P、Q の指定された G72.7 指令で行います。 3 A-B 間の移動指令中に指定された F、S および T 機能を無視し、G72.7 指令のブロックまたはそれ以前に指

定した値が有効になります。また、M 機能、第 2 補助機能についても F、S、T 機能と同様の扱いとなります。 4 周速一定制御オプション機能付きの場合、A-B 間の移動指令中に指令した G96 または G97 は無視されます。

A-B 間の移動中に G96 または G97 を有効にしたい場合は、G72.7 のブロックまたはそれ以前のブロックで

G96 または G97 を指令して下さい。

・仕上げ形状 パターン

G72 で切削する形状には、図 5.7.2(b)の 4 つのパターンが考えられます。いずれも平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)

に平行な移動によりワークを切削し、その時の△u、△w の仕上げ代の符号は次のようになります。

直線、円弧補間とも

可能です。

+X

+Z B

A

U(-)…W(+)…

A'

B

A

U(-)…W(-)…

A'

B

A

U(+)…W(+)…

A'

B

A

U(+)…W(-)…

A'

図5.8.2 (b) 端面荒削りサイクル U,W の指令値の符号

Page 134: B 64484 ja-2-03

5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 122 -

制限 (1) W(+)の場合は、サイクル開始点より大きい位置を持つ形状は加工することができません。

W(-)の場合は、サイクル開始点より小さい位置を持つ形状は加工することができません。 (2) タイプⅠの場合は、平面第 1 軸、平面第 2 軸ともに単調増加あるいは単調減少の形状でなくてはなりません。 (3) タイプⅡの場合は、平面第 2 軸が単調増加または単調減少の形状でなくてはなりません。

・先頭ブロック 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロックで A-A'間の指令)で、G00 または G01 を含む

指令をする必要があります。指令しない場合は、アラーム(PS0065)になります。 G00 指令の場合は、A-A'に沿って位置決めを行います。G01 指令の場合は、A-A'に沿って切削送りで直線補間を行い

ます。 また、この先頭ブロックで、タイプⅠあるいはタイプⅡを選択します。

・チェック機能 サイクル動作中は、常に仕上げ形状が単調増加または単調減少となっていることをチェックします。

注 刃先 R 補正をかけている場合は、補正がかかった仕上げ形状でチェックします。

また、以下のチェックを行うことができます。

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存在す

ることをサイクル動作前にチェックする。 QSR(No.5102#2)=1 で有効とな

ります。 仕上げ形状をサイクル動作前にチェックする。 (アドレス Q で指定されるシーケンス番号の存在チェックも行います。)

FCK(No.5104#2)=1 で有効とな

ります。

・タイプⅠとタイプⅡ 使い分け

G72.7 には、タイプⅠとタイプⅡがあります。 仕上げ形状にポケットがある場合は、必ずタイプⅡを使用します。 また、タイプⅠとⅡでは、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向への荒削りを行った後の逃げが異なります。タイ

プ I は 45°方向へ逃げますが、タイプⅡは仕上げ形状に沿って切り上げます。仕上げ形状にポケットが無い場合は、

逃げの仕方により使い分けて下さい。

選択方法 仕上げ形状の先頭ブロック(シーケンス番号 ns)で、タイプⅠあるいはタイプⅡを選択します。 (1) タイプⅠの選択

平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令のみを行います。平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の指令があっては

いけません。 (2) タイプⅡの選択

平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)と平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令を行います。 もし、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の移動がなくタイプⅡを使用する場合は、移動量が 0 になるよう指令

します。

・タイプⅠ G71.7 と異なる点を以下に記します。 (1) G72.7 は、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行な移動によりワークを切削します。 (2) 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロック)に指令する軸は、平面第 1 軸(ZX 平面

の場合 Z 軸)の指令のみを行う必要があります。

・タイプⅡ G71.7 と異なる点を以下に記します。 (1) G72.7 は、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行な移動によりワークを切削します。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 123 -

(2) 形状が平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向に単調増加または単調減少ではなくてもよく、くぼみの部分(ポ

ケット)を設けることができます。ただし、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向には、単調変化でなければ

いけません。 (3) 仕上げ形状のうち、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行なブロックは、ポケットの谷底とみなします。 (4) 最後の荒削り仕上げ切削は、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の全ての荒削りが終了したあと、一旦、開始点

へ戻り、それから荒削りの仕上げ切削を行います。

・刃先 R 補正 G71.7 の頁を参照してください。

・サイクルタイムの短縮 G71.7 の頁を参照してください。

5.8.3 閉ループ切削サイクル(G73.7)

一定の切削パターンを、位置を少しずつずらしながら繰返し動作させることができます。このサイクルにより、鍛造

や鋳造などの前加工にて素材形状ができているワークを、効率よく切削することが可能です。

フォーマット ZpXp 平面 G73.7 W(Δk) U(Δi) R(d) ; G73.7 P(ns) Q(nf) U(Δu) W(Δw) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; YpZp 平面 G73.7 V(Δk) W(Δi) R(d) ; G73.7 P(ns) Q(nf) V(Δw) W(Δu) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; XpYp 平面 G73.7 U(Δk) V(Δi) R(d) ; G73.7 P(ns) Q(nf) U(Δw) V(Δu) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; △i : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の逃げの距離

この指定はモーダルで、次に指定されるまで有効です。また、パラメータ(No.5135)でも設定でき、プ

ログラム指令によりパラメータ値も変わります。 △k : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の逃げの距離

この指定はモーダルで次に指定されるまで有効です。また、パラメータ(No.5136)でも設定でき、プロ

グラム指令によりパラメータ値も変わります。 d : 分割回数

荒削りの回数と等しくなります。この指定はモーダルで、次に指定されるまで有効です。また、パラ

メータ(No.5137)でも設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。 ns : 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf : 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号 Δu : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の仕上げ代の距離 Δw : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の仕上げ代の距離 f,s,t : ns~nf 間のブロックのどれかに F 機能、S 機能あるいは、T 機能が指定されても無視されます。そし

て、G73 のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは T 機能のデータが有効になります。

A→A’→B の仕上形状の移動指令をシーケンス番号

ns から nf までのブロックで指令します。

Page 136: B 64484 ja-2-03

5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 124 -

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力 △i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 有り 可能 ΔK 基準軸の設定単位に従う 半径指定 有り 可能 Δu 基準軸の設定単位に従う 平面第 2 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 Δw 基準軸の設定単位に従う 平面第 1 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能

d は小数点入力可能ですが、パラメータ DPI(No.3401#0)に関係なく四捨五入した値が分割回数となります。

整数値を入力した場合は、その値が分割回数となります。

Δw

A'

Δu/2 Δi+Δu/2

B

D Δk+Δw

C

Δw

Δu/2

仕上げ形状 (F):切削送り (R):早送り

(R)

+X

+Z

(R)

A

(F)

図5.8.3 (a) 閉ループ切削サイクルの切削経路

解説 ・動作 プログラムで A→A'→B 間の仕上げ形状を与えると、△u/2, △w の仕上げ代を残して、指定分割回数の荒削りを行い

ます。 注 1 △i、△k と△u、△w は共に同じアドレスで指定しますが、この区別は P、Q の指定の有無により判断します。 2 サイクル動作は、P、Q の指定された G73.7 指令で行なわれます。 3 サイクルが終了すると、工具は A 点に戻ります。 4 A-B 間の移動指令中に指定された F、S および T 機能を無視し、G73.7 指令のブロックまたはそれ以前に指

定した値が有効になります。また、M 機能、第 2 補助機能についても F、S、T 機能と同様の扱いとなります。

・仕上げ形状 パターン 仕上げ形状は、G71.7 と同様に 4 つのパターンがありますので、プログラムする際に△u、△w、△i、△k の符号に注

意して下さい。

・先頭ブロック 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロックで A-A'間の指令)で、G00 または G01 を含む

指令をする必要があります。指令しない場合は、アラーム(PS0065)になります。 G00 指令の場合は、A-A'に沿って位置決めを行います。G01 指令の場合は、A-A'に沿って切削送りで直線補間を行い

ます。

・チェック機能 以下のチェックを行うことができます。

Page 137: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 125 -

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存在す

ることをサイクル動作前にチェックする。 QSR(No.5102#2)=1 で有効とな

ります。

・刃先 R 補正 G71.7 と同様に本サイクルは、開始点 A のオフセットベクトルが 0、A-A’のブロックでスタートアップを行った時の

刃先 R 補正経路の形状に対してサイクル動作が行われます。

Page 138: B 64484 ja-2-03

5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 126 -

5.8.4 仕上げサイクル(G70.7)

G71.7、G72.7、G73.7 によって荒削り切削を行った場合、次の指令によって仕上げ切削を行うことができます。

フォーマット G70.7 P(ns) Q(nf) ;

ns : 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf : 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号

解説 ・動作 シーケンス番号 ns から nf までの仕上げ形状プログラムを実行し、仕上げ切削を行います。G71.7,G72.7 あるいは G73.7のブロックで指令されているF,S,T,M,第2補助機能を無視し、シーケンス番号nsよりnfの間で指令されているF,S,T,M,第 2 補助機能を有効にします。 サイクルが終了したら、早送りで始点に戻します。そして、G70.7 のサイクルの次のブロックを読込みます。

・仕上げ形状 チェック機能 以下のチェックを行うことができます。

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存在す

ることをサイクル動作前にチェックする。 QSR(No.5102#2)=1 で有効とな

ります。

・P、Q ブロックの記憶 G71.7、G72.7、G73.7 に荒削り切削を実行した時、P、Q ブロックのメモリアドレスを3個所まで記憶します。これに

より、G70 を実行する際に P、Q のブロックをメモリの先頭よりサーチすることなく、P、Q で示すブロックを即座に

見つけます。また、いくつかの G71.7、G72.7、G73.7 の荒削りサイクルを実行した後に G70.7 の仕上げサイクルをま

とめて行うこともできます。その際に、荒削りサイクルの 4 つ目以降は、メモリサーチを行い P、Q ブロックを見つ

けますのでサイクルタイムが長くなります。

例 G71.7 P100 Q200 ・・・;

N100 ・・・; ・・・; ・・・; N200 ・・・; G71.7 P300 Q400 ・・・; N300 ・・・; ・・・; ・・・; N400 ・・・; ・・・; ・・・; G70.7 P100 Q200 ; (3 つまではサーチすることなく実行) G70.7 P300 Q400 ; (4 つ以上はサーチした後実行)

注 G71.7、G72.7、G73.7 による荒削りサイクルによって記憶した P、Q ブロックのメモリアドレスは、G70.7

実行後に消去します。 また、リセットによっても記憶したすべての P、Q ブロックのメモリアドレスは消去します。

・サイクル開始点への戻り 仕上サイクルは、仕上げ形状の終点まで切削すると、サイクル開始点へ早送りで戻ります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 127 -

注 サイクル開始点への戻りは、パラメータ LRP(No.1401#1)とは関係なく常に非直線形位置決めとなります。

G71.7、G72.7 でポケットを削った仕上げ形状で仕上サイクルを行う場合は、仕上げ形状の終点からサイク

ル開始点へ戻る間に、工具がワークに干渉することがないか注意して下さい。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正を使用する場合は、複合形固定サイクル指令 (G70.7)より前に刃先 R 補正指令(G41,G42)を行い、キャン

セル指令(G40)は、複合形固定サイクル指令 (G70.7)より後に指令します。 プログラム例 G42; ----------- 複合形固定サイクル指令の前に指令します。 G70.7P10Q20; G40; ----------- 複合形固定サイクル指令の後に指令します。 G71.7 と同様に本サイクルは、開始点 A のオフセットベクトルが 0、A-A’のブロックでスタートアップを行った時の

刃先 R 補正経路の形状に対してサイクル動作が行われます。

例題 端面荒削りサイクル(G72.7)

(X 軸直径指定、ミリ入力)

N010 G90G92 X220.0 Z190.0 ; N011 G00 X176.0 Z132.0 ; N012 G72.7 W7.0 R1.0 ; N013 G72.7 P014 Q019 U4.0 W2.0 F0.3 S550 ; N014 G00 Z56.0 S700 ; N015 G01 X120.0 Z70.0 F0.15 ; N016 Z80.0 ; N017 X80.0 Z90.0 ; N018 Z110.0 ; N019 X36.0 Z132.0 ; N020 G70.7 P014 Q019 ; 逃げ量 1.0 仕上げ代(X 方向 直径 4.0,Z 方向 2.0)

φ12

0

φ80

φ40

φ16

0

20 2

88

始点

Z 軸

X 軸

20 10 60 10 10

190

110

7

2

2

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 128 -

閉ループ切削サイクル(G73.7)

(直径指定、ミリ入力)

φ80

φ18

0

Z 軸

X 軸

220

B

2

130

16

16

110

14

φ16

0

2 14

0

20

φ12

0

40 10 40 20 4010

N010 G90G92 X260.0 Z220.0 ; N011 G00 X220.0 Z160.0 ; N012 G73.7 U14.0 W14.0 R3 ; N013 G73.7 P014 Q019 U4.0 W2.0 F0.3 S0180 ;N014 G00 X80.0 Z120.0 ; N015 G01 Z100.0 F0.15 S0600 ; N016 X120.0 Z90.0; N017 Z70.0 S0400 ; N018 G02 X160.0 Z50.0 R20.0 ; N019 G01 X180.0 Z40.0 S0280 ; N020 G70.7 P014 Q019 ;

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 129 -

5.8.5 端面突切りサイクル(G74.7)

外径削りでの切くず処理が可能です。また、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)、アドレス P を省略すると平面第 1軸(ZX 平面の場合 Z 軸)だけの動作となり深穴ドリルサイクルとなります。

フォーマット G74.7R (e) ; G74.7X_ Z_ P(Δi) Q(Δk) R(Δd) F (f ) ;

e : 戻り量 この指定はモーダルで次に指定されるまで有効です。また、パラメータ(No.5139)でも設定でき、プ

ログラム指令によりパラメータ値も変わります。 X_,Z_ : B 点の平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の値と

C 点の平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の値 アブソリュート指令の時は座標値(X,Z) インクレメンタル指令の時は移動量(Δx,Δz) Δi : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の移動量 Δk : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の切込み量 Δd : 切底での工具の逃げ量 f : 送り速度

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力 e 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 △i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可 Δk 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可 Δd 基準軸の設定単位に従う 半径指定 注 可能

注 通常、正の値で指定しますが、X と△i を省略した場合は逃がしたい方向の符号をつけて指定します。

Δx/2

Δz

Δd

Δi’

C

Δk' Δk Δk Δk Δk

A

(R)

(R)

(F)

(R) (R) (R)

(F) (F)

(F)

Δi

Δi

e

B

[0<Δk’≦Δk]

X Z

(R)

[0<Δi’≦Δi]

(R)…早送り (F)…切削送り

+X

+Z

図5.8.5 (a) 端面突切りサイクルの切削経路

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 130 -

解説 ・動作 △k 切り込み、e 戻るサイクル動作を繰り返します。 切り込みが C 点に達すると工具を△d 逃がし、早送りで戻り、B 点方向ヘ△i 移動し、再び切り込みを行います。

注 1 e と△d は、共に同じアドレスで指定しますが、この区別は X,Y,Z 等の軸指定の有無により行います。つま

り、軸指定が指令されると△d の指定となります。 2 サイクル動作は、軸指定された G74.7 指令で行なわれます。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正をかけることはできません。

5.8.6 外径、内径突切りサイクル(G75.7)

G74.7 において、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)と平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)を入れ換えたものに相当し

ます。このサイクルにより、端面切削時の切りくず処理が可能となります。また、外径削りにおける溝入れ加工や、

突切り加工(平面第 1 軸の場合 Z 軸、Q を省略)を行えます。

フォーマット G75.7R (e) ; G75.7X_ Z_ P(Δi) Q(Δk) R(Δd) F (f ) ;

e : 戻り量 この指定はモーダルで次に指定されるまで有効です。また、パラメータ(No.5139)でも設定でき、プ

ログラム指令によりパラメータ値も変わります。 X_,Z_ : B 点の平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の値と

C 点の平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の値 アブソリュート指令の時は座標値(X,Z) インクレメンタル指令の時は移動量(Δx,Δz) Δi : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の切込み量 Δk : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の移動量 Δd : 切底での工具の逃げ量 f : 送り速度

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力 e 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 △i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可 Δk 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可 Δd 基準軸の設定単位に従う 半径指定 注 可能

注 通常、正の値で指定しますが、Z と△k を省略した場合は逃がしたい方向の符号をつけて指定します。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

- 131 -

Δz

Δd

A

(R)

(F) Δi

e

ZΔk

X

(F)

(F)

(R)

(F)

(R)

(R)

(F)

(R)

Δx/2

(R)…早送り (F)…切削送り

(R)

B

C

Δi

Δi

Δi

+X

+Z

Δi’

図5.8.6 (a) 外径、内径突切りサイクル

解説 ・動作 △i 切り込み、e 戻るサイクル動作を繰り返します。 切り込みが B 点に達すると工具を△d 逃がし、早送りで戻り、C 点方向ヘ△k 移動し、再び切り込みを行います。 G74.7 も G75.7 も突切り、溝切りあるいは穴あけに用いられ、工具を自動的に逃がすサイクルで、それぞれ互いに対

称な4つのパターンが考えられます。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正をかけることはできません。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 132 -

5.8.7 複合形ねじ切りサイクル(G76.7)

片刃切削で切削量一定のねじ切りサイクルを行います。

フォーマット G76.7 P(m) (r) (a) Q(Δdmin) R(d ) ; G76.7 X_ Z_ R(i ) P(k ) Q(Δd) F (L ) ;

m: 終仕上げ繰返し回数 1~99 この指定はパラメータ(No.5142)でも設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。

r: ねじの切り上げ(チャンファリング)量 0~99 リードを L とすると、0.0L~9.9L の範囲で 0.1 きざみで2桁の数値で指定します。また、パラメー

タ(No.5130)でも設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。 a: 刃先の角度(ねじ山の角度)80°,60°,55°,30°,29°,0° 6 種類を選択でき、その角度の数値をそのまま 2 桁で指定します。また、パラメータ(No.5143)でも

設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。 m,r,a は、共にアドレス P で一度に指定します。

(例) m=2, r=1.2L, a=60°の時(L は、ねじのリード)、

次のようになります。

P 02 12 60

a

r

m Δdmin: 最小切込み量 1 回の切込み量が△dmin よりも小さくなった時、△dmin にクランプされます。また、パラメータ

(No.5140)でも設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。 d: 仕上げ代 この指定は、パラメータ(No.5141)でも設定でき、プログラム指令によりパラメータ値も変わります。

X_,Z_: 長手方向切削終了点(図 5.7.7(a)の D 点) アブソリュート指令の時は座標値(X,Z) インクレメンタル指令の時は移動量(Δx,Δz)

i: テーパ量 i=0 とするとストレートねじ切りとなります。

k: ねじ山の高さ Δd: 第 1 回目の切込量 L: ねじのリード

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力

Δdmin 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可 d 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 有り 可能 k 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可

Δd 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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Δz

C

(F)

(R) A

Δx/2

Δd

E

i X

Z

r

D k

(R)

B

+X

+Z

(R)

図5.8.7 (a) 複合形ねじ切りサイクルの切削経路

k

Δd

Δd√n 1 回目

3 回目

2 回目

n 回目

刃先

a

B

d

図5.8.7 (b) 切り込み詳細

・最終仕上げ繰返し回数 最後の仕上げサイクル(仕上げ代を削り取るサイクル)を繰り返し行います。

+X

+Z

k

d(仕上げ代) 最後の仕上げサイクル

図5.8.7 (c)

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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解説 ・動作 ねじ切りサイクルは、C,D 間のみリードが F コードで指令された長さとなるようなねじ切りを行います。他は早送り

となります。

注 1 P,Q,R によって指定されるデータはアドレス X(U),Z(W)の有無によって区別されます。 2 アドレス X,Z が指定された G76.7 指令で、サイクル動作をします。 3 アドレス P,Q,R による指定は、モーダルで次に指定されるまで有効です。 4 仕上げ代は、ねじ山の高さより小さい値を指令して下さい。(d<k)

注意 ねじ切りに関する注意事項は、G33 のねじ切りの場合と同様です。ただし、ねじ切り中のフィードホールド

については、後述の「ねじ切りサイクル中のフィードホールド」を参照してください。

・テーパ量の符号と工具経路の関係 インクレメンタル量の符号は、図 5.7.7(a)のサイクルの場合、次のようになります。 X,Z の長手方向切削終了点: 負(通路 A→C,C→D の方向により決まります。) i のテーパ量 負(通路 A→C の方向により決まります。) k のねじ山の高さ: 正(常に正で指定します。) Δd の第 1 回目の切込量: 正(常に正で指定します。) 各アドレスの符号を考慮することにより、表 5.7.7(a)の 4 つのパターンが考えられ雌ねじを切ることもできます。

表5.8.7 (a) 外径加工 内径加工

1. Δ x < 0, Δ z < 0, i < 0 2. Δ x > 0, Δ z < 0, i > 0

3. Δ x < 0, Δ z < 0, i > 0 ただし |i |≦ |Δ x / 2|

4. Δ x > 0, Δ z < 0, i <0 ただし |i |≦ |Δ x / 2|

X

Z

Δ x/2 3(R)

4(R)

1(R)

2(F) Δ z

iX/2

X

Z

Δ x/2 3(R)

4(R)

1(R)

2(F)

Δ z

i

X/2

X

Z

Δ x/2 3(R)

4(R)

1(R)

2(F)

Δ z

i

X/2

X

Z

Δ x/2 3(R )

4(R)

1(R)

2(F)

Δ z

i X/2

・ねじ切りの補間後加減速 ねじ切りの補間後加減速度は、指数関数形加減速ですが、パラメータ THLx(No.1610#5)により、切削送りと同じ加減

速を選択できます(パラメータ CTBx,CTLx(No.1610#1,#0)に従います)。ただし、時定数と FL 速度はねじ切りサイク

ルのパラメータ(No.1626,No.1627)を使用します。

・ねじ切りの時定数、FL 速度 パラメータ(No.1626)のねじ切りの補間後加減速の時定数、パラメータ(No.1627)の FL 速度を使用します。

・ねじの切り上げ ねじの切り上げ(チャンファリング)が可能です。ねじの切り上げをするかしないかは、機械側の信号によります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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ねじの切り上げ r の値は、指令ですと 99(9.9L)までですが、パラメータ(No.5130)を使用すると 0.1L~12.7L の範囲で、

0.1L きざみで任意の値をで選択することができます。 ねじの切り上げ角度は、パラメータ(No.5131)で 1 度~89 度までを指定することができます。パラメータ値が 0 の場合

は、45°となります。 ねじの切り上げは、ねじ切りと同じ補間後加減速タイプ、補間後加減速の時定数、FL 速度を使用します。

・切上げ後の逃げ 切上げ後の逃げの速度および、補間後の加減速タイプ、時定数は表 5.7.7(b)の通りです。

表5.8.7 (b) パラメータ

CFR(1611#0) パラメータ(No.1466) 内容

0 0 以外 ねじ切り時の補間後加減速のタイプでねじ切りの時定数(パラメー

タ(No.1626))、FL 速度(パラメータ(No.1627))、パラメータ

(No.1466)の逃げ動作速度を使用します。

0 0 ねじ切り時の補間後加減速のタイプでねじ切りの時定数(パラメー

タ(No.1626))、FL 速度(パラメータ(No.1627))、パラメータ

(No.1420)の早送り速度を使用します。

1 逃げ動作の前に指令速度が 0(加減速の遅れが 0)になったかのチェ

ックを行い、早送りの補間後加減速のタイプで、早送りの時定数、

パラメータ(No.1420)の早送り速度を使用します。 切上げ後の逃げ動作の速度に対して、パラメータ ROC(No.1403#4)に 1 を設定することで、早送りオーバライドを無効

とすることができます。

注 逃げ動作中は、パラメータ RF0(No.1401#4)には関係なく、切削送り速度オーバライド 0%で停止しません。

・開始角度シフト ねじ切りの開始角度シフトは、できません。

・ねじ切りサイクル中のフィードホールド ねじ切りサイクルリトラクト機能が付いていない場合は、ねじ切り中にフィードホールドをかけると切り上げ後の逃

げの終点(複合形ねじ切りサイクルの切削経路の E 点)で停止します。

・ねじ切りサイクルリトラクト機能付きでのフィードホールド 「ねじ切りサイクルリトラクト」オプション機能が付いた場合、複合形ねじ切りサイクル(G76.7)でねじ切り中にフィ

ードホールドをかけると、ねじ切りの切り上げ(チャンファリング)を行い、ねじ切りサイクルの開始点へ戻り停止

します。 再びサイクルスタートをかけると、フィードホールドをかけたねじ切りのサイクルから再開します。

ここでフィードホールドになった

出発点

(△ dn 切り込んだ位置)

通常の時のサイクル

早送り

フィードホールド時の動き

X 軸

Z 軸

逃げる時のチャンファリングの角度は、終点におけるチャンファリングの角度と同じです。

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5.プログラミングを簡単にする機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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注意 逃げている最中にさらにフィードホールドは効きません。

・インチねじ切り アドレス E 指定によるインチねじ切りを行うはできません。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正をかけることはできません。

例題

G80 X80.0 Z130.0; G76.7 P011060 Q100 R200 ; G76.7 X60.64 Z25.0 P3680 Q1800 F6.0 ;

1.8

3.68

6

Z 軸

105 25

φ60

.64

1.8

X 軸

0

φ68

5.8.8 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7, G74.7, G75.7, G76.7)における制限事項

プログラム指令 ・プログラムメモリ

G70.7,G71.7,G72.7,G73.7 を使用したプログラム群は、プログラムメモリに記憶しておく必要があります。プログラム

メモリに記憶したプログラムを呼び出して運転する方法を行えば、MEM モード以外でもこれらの指令を実行するこ

とができます。 G74.7,G75.7,G76.7 の指令は、プログラムメモリに記憶しておく必要はありません。

・複合形固定サイクル指令のブロック P,Q,X,Z,U,W,R など必要なパラメータは、ブロックごとに正しく指令しなければなりません。 G70.7,G71.7,G72.7,G73.7 を指令したブロックでは、次の指令をすることはできません。 ・ カスタムマクロのマクロ呼び出し

(単純呼び出し、モーダル呼び出し、サブプログラム呼び出し)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 5.プログラミングを簡単にする機能

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・仕上げ形状のブロック G71.7,G72.7,G73.7 のブロックでPで指定したシーケンス番号のブロックでは、グループ 01 の G コードの G00 あるい

は G01 を必ず指令しなければなりません。指令しないとアラーム(PS0065)となります。 G70.7,G71.7,G72.7,G73.7 の P および Q で指定したシーケンス番号の間のブロックでは、以下の指令が行えます。 ・ ドウェル(G04) ・ G00,G01,G02,G03 円弧指令(G02,G03)は、円弧の始点と終点とで半径差があってはいけません。半径差があると正確に仕上げ形

状が認識できないため切込み過ぎ等が発生する場合があります。 ・ カスタムマクロの分岐、繰り返し指令

ただし、飛び先は P および Q で指定したシーケンス番号の間でなくてはなりません。また、パラメータ

MSG,HGO(No.6000#1,#4)による高速分岐は無効です。カスタムマクロのマクロ呼び出し(単純呼び出し、モーダ

ル呼び出し、サブプログラム呼び出し)は指令できません。 G70.7,G71.7,G72.7,G73.7 を実行する時、1 つのプログラム内に P,Q で複数の同一シーケンス番号を指定できません。 カスタムマクロにおいて、#1=2500 を実行した場合、#1 には 2500.000 と入力されますが、このときの P#1 は P2500と等価です。

他の機能との関係 ・手動介入 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7, G74.7, G75.7,G76.7)の実行途中で動作を一旦停止させ、手動介入さ

せることは可能です。 手動運転のマニュアルアブソリュートオン・オフに従います。

・割込み形マクロ 複合形固定サイクル実行中に割込み形マクロプログラムを実行することはできません。

・プログラム再開、工具退避&復帰 複合形固定サイクル途中のブロックから行うことはできません。

・軸名称、第 2 補助機能 軸名称あるいは第 2 補助機能でアドレス U,V,W を使用する設定の場合でも G71.7,G72.7,G73.7 ブロックに指令された

アドレス U,V,W の指令は、複合形固定サイクルの指令とみなします。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正を使用する場合は、複合形固定サイクル指令(G70.7,G71.7,G72.7,G73.7)より前のブロックで刃先 R 補正指

令(G41,G42)を行い、キャンセル指令(G40)は仕上げ形状プログラム(P で指定したブロックから Q で指定したブ

ロック)の外で指令します。もし、仕上げ形状プログラム内に刃先 R 補正が指令されている場合は、アラーム(PS0325) "形状プログラムで使用できない指令です"となります。

・マルチスピンドル マルチスピンドル制御のアドレス P による主軸選択が有効な場合、複合形固定サイクル(G71.7~G73.7)の指令ブロッ

クにて S コードを指令することはできません。(アラーム(PS5305)”主軸選択 P 指令に誤りがあります”となります。) この場合、複合形固定サイクル(G71.7~G73.7)の指令ブロックで S コードを指令するのではなく、複合形固定サイク

ル(G71.7~G73.7)の前のブロックにおいて、S コードを分けて指令して下さい。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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6 補正機能 6 章「補正機能」は下記の内容で構成されています。 6.1 工具長補正シフトタイプ .................................................................................................................................................138 6.2 工具長自動測定(G37) ..................................................................................................................................................144 6.3 工具位置オフセット(G45~G48)................................................................................................................................146 6.4 工具径補正(G40~G42)の概略説明............................................................................................................................151 6.5 刃先R補正(G40~G42)の概略説明............................................................................................................................156 6.6 工具径・刃先R補正の詳細説明 .....................................................................................................................................166 6.7 ベクトル保持(G38) ......................................................................................................................................................214 6.8 コーナ円弧補間(G39) ..................................................................................................................................................215 6.9 3 次元工具補正(G40, G41) ..........................................................................................................................................217 6.10 工具補正量、工具補正個数およびプログラムによる工具補正量の入力(G10) ...................................................220 6.11 座標回転(G68, G69) .....................................................................................................................................................222 6.12 砥石摩耗補正.....................................................................................................................................................................229 6.13 手動送りによるアクティブオフセット量変更..............................................................................................................233 6.14 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット..........................................................................................236 6.15 工具軸方向工具長補正 .....................................................................................................................................................241 6.16 スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工具長補正 ......................................................................................249

6.1 工具長補正シフトタイプ

概要 工具長オフセットの動作をプログラム座標系のシフトにより行う事ができます。工具長補正の掛かる軸の座標系を工

具長補正量だけシフトします。パラメータ TOS(No.5006#6)、またはパラメータ TOP(No.11400#2)により、工具長補正

シフトタイプを選択できます。 G43、G44 又は G49 の指令と共に移動指令がない時は、軸は移動しません。G43、G44 又は G49 の指令と共に移動指

令がある時は、座標系がシフトされた後、軸の移動が行われます。 工具長補正ができる軸の種類によって次の三種類の方式があります。 ・工具長補正 A Z 軸方向の工具長の値を補正します。 ・工具長補正 B X 軸方向、Y 軸方向、Z 軸方向のいずれかの工具長の値を補正します。 ・工具長補正 C 指定された軸方向の工具長の値を補正します。

フォーマット ・工具長補正 A

G43 Z_ H_ ; Z 軸方向に補正量だけ+側に座標系がシフト G44 Z_ H_ ; Z 軸方向に補正量だけ-側に座標系がシフト

G43(又は G44) :工具長補正開始+(又は-)側オフセット H_ :工具長補正量指定アドレス

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

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・工具長補正 B G17 G43 Z_ H_ ; Z 軸方向に補正量だけ+側に座標系がシフト G17 G44 Z_ H_ ; Z 軸方向に補正量だけ-側に座標系がシフト G18 G43 Y_ H_ ; X 軸方向に補正量だけ+側に座標系がシフト G18 G44 Y_ H_ ; X 軸方向に補正量だけ-側に座標系がシフト G19 G43 X_ H_ ; Y 軸方向に補正量だけ+側に座標系がシフト G19 G44 X_ H_ ; Y 軸方向に補正量だけ-側に座標系がシフト

G17(又は G18、G19) :平面選択 G43(又は G44) :工具長補正開始+(又は-)側オフセット H_ :工具長補正量指定アドレス

・工具長補正 C

G43α_ H_ ; 指定軸方向に補正量だけ+側に座標系がシフト G44α_ H_ ; 指定軸方向に補正量だけ-側に座標系がシフト

G43(又は G44) :工具長補正開始+(又は-)側オフセット α_ :任意の 1 軸のアドレス H_ :工具長補正量指定アドレス

・工具長補正キャンセル

G49 ;又は H0 ; 工具長補正キャンセル G49(又は H0) :工具長補正キャンセル

解説 ・オフセット方向

H コードで指定された(オフセットメモリに設定されている)工具長補正量が G43 の時は+側に、G44 の時は-側に

座標系がシフトされます。工具長補正値の符号が-の時は符号がそれぞれ逆方向になります。G43、G44 はモーダル

な G コードで、同一グループ内の他の G コードが使われるまで有効です。

・工具長補正量の指定 H コードにより、指定された番号(オフセット番号)に対応する(オフセットメモリに設定されている)工具長補正

量を使用します。オフセット番号 0 に対応する工具長補正は、常の 0 を意味します。H0 に対応する工具長補正量を設

定する事はできません。

・補正軸 工具長補正 A/B/C のいずれをパラメータ TLC,TLB(No.5001#0,#1)で指定します。

・2 軸以上のオフセット指定 工具長補正 B では複数のブロックでオフセット軸を指定する事により、2 軸以上のオフセットが可能になります。 X、Y 軸をオフセットする場合 G19 G43 H_ ; X 軸をオフセット G18 G43 H_ ; Y 軸をオフセット 工具長補正 C では、パラメータ TAL(No.5001#3)を 1 に設定する事により、同時に 2 軸以上オフセットしてもアラー

ムとしない事もできます。

・工具長補正のキャンセル オフセットをキャンセルする場合、G49 又は H0 を指令します。キャンセルを行うと、座標系のシフトが元に戻りま

す。また、この時移動指令がなければ軸は移動しません。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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制限事項 工具長補正の開始およびキャンセル時の動作について 工具長補正シフトタイプを使用する(パラメータ TOS(No.5006#6)=1 またはパラメータ TOP(No.11400#2)=1)とき、工

具径補正等のモード中(※1)に、工具長補正等(※2)の開始、または、キャンセルが指令されたとき、開始また

はキャンセルの指令されたブロックが終了するまで、以降のブロックの先読みは行われません。このため、以下のような動作とな

ります。 ・ 開始またはキャンセルの指令されたブロックで、一旦、減速停止します。 ・ 先読みが行われないため、工具径補正の補正ベクトルは、開始またはキャンセルの指令された直前のブロックに

垂直なベクトルとなります。このため、この指令の前後において、切り込み過ぎや切り込み不足が発生する可能

性があります。 ・ 開始またはキャンセルの指令されたブロックが完了するまで、以降に指令したカスタムマクロは実行されません。 ※1 以下の指令において、ブロックの先読みが行われなくなります。

・ グループ 07 の G コードが G40 以外の場合 (工具径補正(G41/G42), 3 次元工具径補正(G41.2/G42.2/G41.3/G41.4/G42.4/G41.5/G42.5/G41.6/G42.6) の各モー

ド中の場合) なめらか補間(G05.1Q2)モード中の場合 ※2 以下の指令が該当します。

・ 工具長補正(G43/G44) ・ 工具軸方向工具長補正(G43.1) ・ 工具先端点制御(G43.4/G43.5)

工具径補正において切り込み過ぎが発生する例) 工具径補正モード中に工具長補正の開始またはキャンセルを行うと、切り込み過ぎが発生する可能性があります。 :

G40 G49 G00 G90 X0 Y0 Z100. ; N1 G42 G01 X10. Y10. F500 D1 ; 工具径補正開始 N2 G43 Z0. H2 ; 工具長補正開始 N3 X100. ; N4 Y100. ; N5 X10. ; N6 Y10. ; N7 G49 Z100. ; 工具長補正キャンセル N8 #100=#5023 ; カスタムマクロ命令 N9 G40 X0 Y0 ; 工具径補正キャンセル

: N2 は工具径補正(G42)モード中の G43(工具長補正の開始)のため、N3 以降のブロックの先読みが行われません。 この結果、 ・ N2-N3 の間で、一旦、減速停止します。 ・ N1 の終点での工具径補正のベクトルは、N1 のブロックに垂直となります。(切り込み過ぎとなる可能性があり

ます。)先読みが行われたと仮定した場合、N2 の始点に垂直なベクトルとなり、切り込み過ぎは発生しません。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

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先読みが行われた場合の工具中心経路

先読みが行われなかった場合の工具中心経路

プログラム指令経路

先読みが行われなかった場合の工具径補正ベクトル

先読みが行われた場合の工具径補正ベクトル

工具

N7 は G42 モード中の G49(工具長補正のキャンセル)のため、N8 以降のブロックの先読みが行われません。 この結果、 ・ N7 の終点で、一旦、減速停止します。 ・ N8 のカスタムマクロ命令は、N7 の終了を待ってから実行されます。すなわち、この例では、#100 は N7 の終点

位置での Z 軸の機械座標値となります。(#5023:第 3 軸の機械座標値) 先読みが行われたと仮定した場合、N8 の実行は N8 の先読みされた時点、すなわち N7 の終了前に実行されるた

め、#100 は N7 の終点よりも手前の位置となります。 ・ N6 の終点での工具径補正のベクトルは、N6 のブロックに垂直となります。(切り込み過ぎや切り込み不足とな

る可能性があります。) 工具径補正において切り込み過ぎが発生しない例(推奨) 工具径補正モードの前に工具長補正を開始しておきます。 :

G40 G49 G00 G90 X0 Y0 Z100. ; N1 G43 G01 Z100. F500 H2 ; 工具長補正開始 N2 G42 X10. Y10. D1 ; 工具径補正開始 N3 Z0 ; N4 X100. ; N5 Y100. ; N6 X10. ; N7 Y10. ; N8 G40 X0 Y0 ; 工具径補正キャンセル N9 G49 Z100. ; 工具長補正キャンセル N10 #100=#5023 ; カスタムマクロ命令

: N1 は工具長補正の開始指令ですが、前述「※1」のモードではないため、N2 以降のブロックも先読みされます。こ

の結果、工具径補正の経路も正しく求まります。また、N1, N9 のブロックでは減速停止しません。N10 のカスタムマ

クロ命令は、N9 の終了を待たずに実行されます。

工具長補正モード中に工具長補正量を変更した場合の動作について 工具長補正シフトタイプを使用する(パラメータ TOS(No.5006#6)=1、またはパラメータ TOP(No.11400#2)=1)とき、

工具径補正等のモード中(※1)かつ、工具長補正等(※2)のモード中に、工具長補正量を変更(※3)した場合

の動作をパラメータ MOF(No.5000#1)で選択することができます。 ・ パラメータ MOF(No.5000#1)=0 :

工具長補正量の変更された量だけ軸が移動します。 ・ パラメータ MOF(No.5000#1)=1 : 工具長補正量が変更されたあと、補正軸のアブソリュート指令がされるまで、工具長補正量の変更分の移動を行

いません。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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※1 以下の指令が該当します。 ・ グループ 07 の G コードが G40 以外の場合 工具径補正(G41/G42), 3 次元工具径補正(G41.2/G42.2 / G41.3 / G41.4/G42.4 / G41.5/G42.5 / G41.6/G42.6) の各

モード中の場合) ・ なめらか補間(G05.1Q2)モード中の場合

※2 以下の指令が該当します。 ・ 工具長補正(G43/G44) ・ 工具軸方向工具長補正(G43.1) ・ 工具先端点制御(G43.4/G43.5)

※3 工具長補正量の変更とは、以下の場合が該当します。 ・ プログラム中に H コード(旋盤系の拡張工具選択機能では D コード)を指令した場合 ・ G43/G44 を指令し、工具長補正の方向が変更された場合 ・ パラメータ EVO(No.5001#6)=1 で工具補正量をオフセット画面、G10 指令、システム変数、ウィンドウ機能

等により補正量変更した場合 ・ 工具長補正中に G53, G28, G30, G30.1 で一時的にキャンセルされた工具長補正ベクトルが復活する場合

H コードにより工具長補正量を変更した場合の例) 工具長補正モード中にオフセット番号を変更した場合の動作について説明します。 :

G40 G49 G00 G90 X0 Y0 Z100. ; N1 G43 G01 Z100. F500 H2 ; 工具長補正開始 N2 G42 X10. Y10. D1 ; 工具径補正開始 N3 Z0 ; N4 X100. ; N5 Y100. ; N6 H3 ; 工具長補正量(番号)変更 N7 X10. ; N8 Y10. ; N9 G91Z-5. ; 補正軸のインクレメンタル指令 N10 G90 Z-5. ; 補正軸のアブソリュート指令

: N6 では、工具径補正(G42)モード、かつ、工具長補正(G43)モードの状態で工具長補正量の変更(H コード)が指令され

ています。このときの動作は、パラメータ MOF(No.5000#1)の設定により、以下の通りとなります。 ・ パラメータ MOF(No.5000#1)=0 :

N6 のブロックで、工具長補正量の変更された量だけ軸が移動します。 ・ パラメータ MOF(No.5000#1)=1 :

N6 のブロックでは、移動は行われません。 N9 のブロックはインクレメンタル指令のため、工具長補正の変化分の移動は行われません。プログラムで指令さ

れた移動量(-5.000)だけ移動します。 N10 のブロックは工具長補正量の変更後に最初に指令された補正軸のアブソリュート指令であるため、工具長補

正量の変更された分は、このブロックで反映されます。 運転中に工具長補正量を書き換えた場合の例) パラメータ EVO(No.5001#6)=1 で以下のプログラムを連続運転で実行し、N3 の実行中に工具補正量の No.2 を変更し

た場合の動作について説明します。 :

G40 G49 G00 G90 X0 Y0 Z100. ; N1 G43 G01 Z100. F500 H2 ; 工具長補正開始 N2 G42 X10. Y10. D1 ; 工具径補正開始 N3 Z0 ; 実行途中に工具長補正量(No.2)変更 N4 X100. ; N5 Y100. ; N6 X10. ; N7 Y10. ; N8 G91Z-5. ; 補正軸のインクレメンタル指令 N9 G90 Z-5. ; 補正軸のアブソリュート指令

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

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・ パラメータ MOF(No.5000#1)=0 :

N6(工具補正量を変更後、最初にバッファリングされたブロック)で、工具長補正量の変更された分だけ軸が移

動します。 ・ パラメータ MOF(No.5000#1)=1 :

N6 のブロックは工具補正量を変更後、最初にバッファリングされたブロックですが、このブロックでは補正軸の

指令がないため、工具長補正量の変更された分の移動は行われません。 N8 のブロックでは、補正軸の指令はありますが、インクレメンタル指令のため工具長補正量の変更された分の移

動は行われません。プログラムで指令された移動量(-5.000)だけ移動します。 N9 のブロックが工具長補正量の変更後に最初に指令された補正軸のアブソリュート指令であるため、工具長補正

量の変更された分の移動は、このブロックで行われます。

注意 1 工具長補正(シフトタイプ)を指令した後、インクレメンタル指令を行うと、機械の移動量に工具長補正量

は反映されず、座標値にのみ反映されます。アブソリュート指令では、機械の動き、座標値共に工具長補正

量が反映されます。 2 プログラマブルミラーイメージが有効の場合、工具長オフセットは指令した方向に掛かります。 3 工具長オフセット量にはスケーリング倍率が掛かりません。 4 工具長オフセット量には座標回転が掛かりません。工具長オフセットはオフセットを掛けた軸方向に有効と

なります。 5 工具長オフセットに対しても 3 次元座標変換が掛かります。この時、複数軸に工具長オフセットを有効にし

た場合、工具長オフセットのキャンセルは 1 軸ずつ行ってください。 6 WINDOW 命令では、自動運転中にパラメータ TOS(No.5006#6)、またはパラメータ TOP(No.11400#2)を変

更しても工具長オフセットのタイプは変化しません。 7 工具長補正 B で、2 軸以上オフセットされている時は、G49 の指令で全軸キャンセルされ、H0 では指定平

面に垂直な軸のみキャンセルされます。 8 オフセット番号を変更して工具長補正量が変わった場合は、新しい工具長補正量に変わるだけで、新しい工

具長補正量が古い工具長補正量に加算される訳ではありません。 9 レファレンス点復帰(G28、G30、G30.1)が指令されている場合、レファレンス点へ位置決めした際に指令し

た軸の工具長オフセットはキャンセルされます。しかし、指令がなかった軸の工具長オフセットはキャンセ

ルされません。また、工具長オフセットキャンセル(G49)と同一ブロックにレファレンス点復帰が指令され

ている場合は、指令した軸と指令がなかった軸共に、中間点へ位置決めした際に工具長オフセットはキャン

セルされます。 10 機械座標系指令(G53)では、指令点へ位置決めした際に指令した軸の工具長オフセットはキャンセルされま

す。 11 工具長補正中に G53、G28、G30、G30.1 を指令してキャンセルされた工具長補正ベクトルは次の条件によ

って復活します。 ・ 工具長補正 A/B では、パラメータ EVO(No.5001#6)が 1 の時は次にバッファリングするブロックで復活

します。0 の時は工具長補正 A/B/C 共に、H 指令又は G43、G44 指令のあるブロックで復活します。 12 工具長補正シフトタイプを使用するとき、工具径/刃先 R補正モード中に工具長補正等の開始またはキャンセ

ルを指令した場合、先読みが行われません。その結果、開始またはキャンセルのブロックの前後で切り込み

過ぎや切り込み不足が発生する可能性がありますので、工具長補正の開始とキャンセルは、工具径/刃先 R

補正のモードに入る前に指令するか、加工に影響のない場所で指令してください。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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6.2 工具長自動測定(G37)

G37 を指令することにより、工具は測定位置に向かって移動を開始し、途中で速度を落し、測定器から測定位置到達

信号が出るまで移動します。すなわち工具先端が測定位置に到達すると工具移動を止めます。 測定位置に到達した時、座標値とG37で指令された座標値の差を、現在使用されている工具長の補正量に加算します。

補正量=(現在の補正量)+〔(工具停止時の座標値)-(測定位置の指令された座標値)〕

計測速度

早送り

Z

X0

A(出発位置)

G37 で測定位置を指令

B(減速位置)

C(測定位置)測定位置到達信号 ON で工具は禁止

図6.2 (a) 工具長自動補正

フォーマット G92 IP_ ; ワーク座標系の設定 G54~G59 でも可能。取扱説明書(T 系/M 系共通)「座標系」の項参照。 H○○ ; 工具長補正のオフセット番号指定 G90 G37 IP_ ; アブソリュート指令 G37 は指令されたブロックにのみ有効。IP _は X_, Y_, Z_ 又は第 4 軸のいずれか。

解説 ・ワーク座標系の設定 工具を測定位置に移動させて測定するために、ワーク座標系を設定します。プログラムするためのワーク座標系と共

通な座標系にします。

・G37 の指令 測定位置の正しい位置をアブソリュート値で指令します。この指令によって、工具は早送りで測定位置に向かい、減

速位置で減速し、測定器からの到着信号が出るまで減速した速度で移動します。工具先端が測定位置に到達すると、

測定器より測定位置到達信号が CNC に出力され、その信号により CNC が工具の移動を止めます。

・補正量の変更 測定位置に到達した時の工具の座標値と G37 で指令された値の差を現在使用されている工具の補正量に加算(パラメ

ータ MDC(No.6210#6)=1 の場合減算)します。 補正量 =(現在の補正量)+〔(測定位置に到達した時の工具の座標値)-(G37 の指令値)〕

この補正量は MDI により、マニュアル操作で任意の値に変更することもできます。

・アラーム 工具長自動測定の工具の移動は図 6.2 (b)のようになります。 工具が BC 間を通る時に測定位置到達信号が"1"になるとアラームになります。また工具が F 点を通過するまでに測定

位置到達信号が"1"にならない時もアラームになります。いずれのアラームもアラーム(PS0080)になります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

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出発位置

早送り測定位置到達信号 ON

G37 で指令位置

測定位置到達信号許可範囲

A B D E F

減速速度(計測速度)

C

図6.2 (b) 測定位置への工具の移動

注意

計測速度で移動中に、手動による移動を介入させた場合、介入後、必ず介入前の位置に戻してから再開して

下さい。

注 1 G37 と同じブロックで H コードが指令されるとアラームとなります。H コードは G37 のブロックよりも前

で指令して下さい。 2 計測速度(FP),γ,εはパラメータ(FP : No.6241,γ: No.6251,ε: No.6254)として、機械メーカによって設定さ

れます。εは必ず正数であり、かつγ>εの条件を満足するデータを設定して下さい。 3 工具補正メモリ A の時、補正量を変更します。

工具補正メモリ B の時、摩耗補正量を変更します。 工具補正メモリ C の時、H コード用摩耗補正量を変更します。

4 測定位置到達信号検出の遅れ・ばらつきは、PMC 側を除き、CNC 側だけで 0~2msec(高速測定位置到達

信号入力(オプション)では、0.1msec 以下)です。したがって測定誤差は、この 2msec に PMC 側のスキ

ップ信号の伝達の遅れ・ばらつき(レシーバの遅れ・ばらつきも含む)を加算したものに、パラメータ(No.6241)で設定された送り速度を掛け合わせた量になります。

5 測定位置到達信号検出後、送りを停止させるまでの遅れ・ばらつきは 0~8msec です。行き過ぎ量を計算す

るには、さらに加減速の遅れ、サーボの遅れ、PMC 側の遅れを考慮する必要があります。

例題 G92 Z760.0 X1100.0 ; プログラムアブソリュート原点に対する ワーク座標系設定 G00 G90 X850.0 ; X850.0 に移動(測定位置から Z 軸方向にある距離だけ離れたところに移動) H01 ; オフセット番号 1 G37 Z200.0 ; 測定位置に移動 G00 Z204.0 ; Z 方向に少し逃げる Z198.0;の値の時、測定位置に達した場合、測定位置の正しい寸法は 200mm なので 198.0-200.0=-2.0mm だけ補正

量を変更します。

200

760

850 1100 X

Z

Z 軸測定位置

0

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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6.3 工具位置オフセット(G45~G48)

指令された工具の移動距離を指令された工具位置オフセット量だけ、伸長、縮小、又は 2 倍伸長、2 倍縮小させるこ

とができます。 工具位置オフセットは付加軸にも有効です。

プログラムされた経路 工具中心経路 工具

ワーク

フォーマット G45 IP_ D_ ; 工具位置オフセット量だけ伸長 G46 IP_ D_ ; 工具位置オフセット量だけ縮小 G47 IP_ D_ ; 2 倍の工具位置オフセット量だけ伸長 G48 IP_ D_ ; 2 倍の工具位置オフセット量だけ縮小

G45~48: ワンショットの伸長、縮小の G コード IP_ : 工具の移動指令 D_ : 工具位置オフセット量の指定コード

解説 ・伸長、縮小 指定された工具位置オフセット量によって、表 6.3 (a)のように、工具の移動距離が伸長、縮小されます。 アブソリュート指令の時も、前ブロックの終点から G45~G48 があるブロックで指令された位置への移動の向きに伸

長、縮小されます。

表6.3 (a) 工具移動距離の伸長、縮小 G コード 工具位置オフセット量が正 工具位置オフセット量が負

G45

始点 終点

終点 始点

G46

終点始点

始点 終点

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

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G コード 工具位置オフセット量が正 工具位置オフセット量が負

G47

始点 終点

始点 終点

G48

始点 終点

始点 終点

プログラムの移動距離 工具位置オフセット量 実際の移動距離

インクレメンタル指令(G91)のモードの時、移動量を 0 として指令すれば、工具は指定された工具位置オフセット量だ

け動きます。 アブソリュート指令(G90)のモードの時、移動量を 0 とすると、工具は動きません。

・工具位置オフセット量 工具位置オフセット量は D コードにより、一度選択されると他の工具位置オフセット量が選択されるまで変化しませ

ん。 工具位置オフセット量として設定できる値の範囲は以下の通りです。 なお、D0 の工具位置オフセット量は常に 0 です。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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注意 1 同時 n(n=1~6)軸の移動指令に対して、G45~G48 を指令した場合は n 軸ともに補正がかかります。 テーパ加工では、工具の半径分又は直径分を補正しただけでは、切込み過ぎか切込み不足を生じます。 したがって、この場合にはⅡ-6.4 又はⅡ-6.6 の工具径補正(G40~G42)を使用して下さい。

実際に加工される形状

希望する加工形状

切込み過ぎ X 軸

Y 軸

G01 X_ F_ ;G47 X_ Y_ D_ ;

Y_ ;

実際に加工される形状

希望する加工形状

切込み不足 X 軸

Y 軸

G01 G45 X_ F_ D_; X_ Y_ ;

G45 Y_ ;

2 G41 か G42(工具径補正)モード中に、G45~G48(工具位置オフセット)を使用してはいけません。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

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注 1 縮小により指令方向が逆転した場合、逆方向に移動します。

工具の移動 例

G46 X2.50 ; 工具位置オフセット量

+3.70

プログラム指令

等価指令 X-1.20;

始点 終点

工具位置オフセット量

2 円弧補間(G02, G03)に対しては、パラメータ設定により、I, J, K 指定による 1/4 円、3/4 円の場合にのみ、

G45~G48 の指令で補正をかけることができます。 ただし、座標回転は行っていない場合とします。 この機能は従来の工具径補正機能のない CNC プログラムとの互換性のため用意しています。 新しくパートプログラムを作成する場合は、この機能を利用しないようにして下さい。 円弧補間の工具位置オフセット

N1

N2

N3N4

プログラムで指令した工具経路

実際の工具経路

N1 G46 G00 X_ Y_ D_ ;N2 G45 G01 Y_ F_ ;N3 G45 G03 X_ Y_ I_ ;N4 G01 X_ ;

プログラム

3 工具位置オフセット量は原則として、D コードで指令します。 4 G45~G48 は固定サイクルモード中は無視されます。G45~G48 による工具位置オフセットは固定サイクル

モードに入る前になって、固定サイクルが終了し、固定サイクルモードでなくなってからオフセットキャン

セルして下さい。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 150 -

例題

工具径 : 20φ オフセット番号 : 01 工具位置オフセット量 : +10.0

80 50

40

30R

50

40

30R

N1 N2

N3

N4

N5

N6 N7

N8

N9N10

N11

N12

N13

N14

30 30 40 X 軸

Y 軸

工具位置オフセットを使用したプログラム

原点

・プログラム N1 G91 G46 G00 X80.0 Y50.0 D01 ;

N2 G47 G01 X50.0 F120.0 ; N3 Y40.0 ; N4 G48 X40.0 ; N5 Y-40.0 ; N6 G45 X30.0 ; N7 G45 G03 X30.0 Y30.0 J30.0 ; N8 G45 G01 Y20.0 ; N9 G46 X0 ; (移動量が 0 で+方向に対して縮小します。オフセット分だけ-X 方向に動きます。)

N10 G46 G02 X-30.0 Y30.0 J30.0 ; N11 G45 G01 Y0 ; (移動量が 0 で+方向に対して伸長します。オフセット分だけ+ Y 方向に動きます。)

N12 G47 X-120.0 ; N13 G47 Y-80.0 ; N14 G46 G00 X-80.0 Y-50.0 ;

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 151 -

6.4 工具径補正(G40~G42)の概略説明

工具の半径値だけ、工具をオフセットして移動させることができます。(図 6.4 (a)) 工具の半径値だけ工具をオフセットするために、 初に値が工具半径となるオフセットベクトルを作ります(スター

トアップ)。 オフセットベクトルは、工具の進行方向に直角で、ワークから工具中心の方向を向いています。 スタートアップの後に、直線補間、円弧補間などを指令するとオフセットベクトルだけ工具をオフセットして加工す

ることができます。 後に、出発点に工具をもどすために工具径補正をキャンセルします。

スタートアップ

工具径補正キャンセル

図6.4 (a) 工具径補正 概略説明図

フォーマット ・スタートアップ(工具径補正開始)

G00(又は G01)G41(又は G42)IP_ D_ ; G41 : 工具径補正 左(グループ 07) G42 : 工具径補正 右(グループ 07) IP_ : 軸移動の指令値 D_ : 工具径補正量指定コード(1~3 桁) (D コード)

・工具径補正キャンセル(オフセットモードキャンセル)

G40 IP_ ; G40 : 工具径補正キャンセル(グループ 07)

(オフセットモードキャンセル) IP_ : 軸移動の指令値

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 152 -

・オフセット平面の選択 オフセット平面 平面選択指令 IP_

XpYp G17 ; Xp_Yp_ ZpXp G18 ; Xp_Zp_ YpZp G19 ; Yp_Zp_

解説 ・オフセットキャンセルモード

CNC は電源を投入した当初、オフセットキャンセルモードになっています。オフセットキャンセルモードでは、オフ

セットベクトルの大きさは 0 で、工具中心経路はプログラムされた経路と一致します。

・スタートアップ オフセットキャンセルモードで、工具径補正の指令(G41 又は G42、および D0 でない D コードの指令)がされると、

CNC はオフセットモードになります。このときの工具の動きをスタートアップといいます。 スタートアップは、位置決め(G00)又は直線補間(G01)で指令します。 円弧補間(G02,G03)やインボリュート補間(G02.2,G03.2)など指令するとアラーム(PS0034)になります。 スタートアップおよびそれ以後のブロックに対して、CNC はパラメータ(No.19625)に設定された先読みブロック数分

のブロックを先読みをします。

・オフセットモード オフセットモード中では、位置決め(G00)、直線補間(G01)、円弧補間(G02,G03)などで補正が行なわれます。 オフセットモード中に、移動のあるブロックを 3 ブロック以上読み込めなかった場合、切込み過ぎ、又は切込み不足

を生じる場合があります。 また、オフセットモード中にオフセット平面を切換えるとアラーム(PS0037)が発生し、工具は停止します。

・オフセットモードキャンセル オフセットモードにおいては、次の条件のうち、一つでも満足するブロックが実行されたとき、CNC は(オフセット)

キャンセルモードになり、このときの動きをオフセットキャンセルといいます。 1. G40 が指令されている。 2. 工具径補正量指定コード(D コード)として 0 が指令されている。

オフセットキャンセルを行なう場合は、円弧指令(G02,G03)やインボリュート指令(G02.2,G03.2)であってはいけません。

これらのモードで指令すると、アラーム(PS0034)が表示され工具は停止します。オフセットキャンセルのときは、1ブロック入力指令を読み込み、工具径補正用のバッファ(表示することはできません)に入っていたブロックを含め

て、2 ブロックで実行されます。 なお、シングルブロックモードの場合、1 ブロックを読み込み、1 ブロックを実行後、起動ボタンを再び押すことに

より、次のブロックを読み込むことなく、もう 1 ブロック実行されます。 以後、キャンセルモードとなり、通常バッファレジスタには、次に実行されるブロックのみが入ります。

オフセットキャンセルモード

オフセットモードオフセットモード

キャンセル(G40/D0)

スタートアップ(G41/G42)

図6.4 (b) オフセットモードの変更

・工具径補正量の変更 工具径補正量の変更は一般には、キャンセルモードで工具が交換されたときに行ないます。オフセットモードで変更

する場合、ブロックの終点におけるベクトルは、同じブロックで指定された工具径補正量を用いて計算されます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 153 -

ブロック N6 で指定されているオフセット量から計算されます。

ブロック N7 で指定されているオフセット量から計算されます。

N8N6

N7

プログラムされた経路

図6.4 (c) 工具径補正量の変更

・工具径補正量の正負と工具中心経路 工具径補正量を負(-)の値にすると、プログラムの G41 と G42 とをすべて入れ換えた場合と等価な工具の動きになり

ます。従って、ワークの外側を回っていた工具は内側を回り、内側を回っていた工具は外側を回ります。 図 6.4 (d)に例を示します。 一般に工具径補正量は正(+)の値としてプログラムします。 プログラムで①のような工具中心経路を指定した場合に、工具径補正量を負(-)の値にすると②のように動きます。

初に②のようにプログラムしたとき、工具径補正量を負(-)の値にすれば①のように動きます。 従って、1 つのプログラムで雌雄両方の形を切削することができ、両者のギャップは工具径補正量を適当に選ぶこと

により任意に選べます。 ただし、スタートアップ、オフセットキャンセルはタイプ A とします。 (工具径補正の開始(スタートアップ) を参照)

工具中心経路

プログラムされた経路

① ②

図6.4 (d) 補正量の正負による工具中心経路

・工具径補正量の設定 工具径補正量は、プログラム上で指令される D コードに対応づけて、MDI パネルから設定しておきます。

注 D コードが 0 に対応する工具径補正量は常に 0 を意味します。

D0 に対応する工具径補正量を設定することはできません。

・補正量の設定範囲 補正量として設定できる値の範囲は、パラメータ OFE,OFD,OFC,OFA(No.5042 #3~#0)により以下のいずれかとなりま

す。 補正量の設定範囲(メトリック入力)

OFE OFD OFC OFA 設定範囲 0 0 0 1 ±9999.99mm 0 0 0 0 ±9999.999mm 0 0 1 0 ±9999.9999mm 0 1 0 0 ±9999.99999mm 1 0 0 0 ±999.999999mm

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 154 -

補正量の設定範囲(インチ入力) OFE OFD OFC OFA 設定範囲

0 0 0 1 ±999.999inch 0 0 0 0 ±999.9999inch 0 0 1 0 ±999.99999inch 0 1 0 0 ±999.999999inch 1 0 0 0 ±99.9999999inch

オフセット番号 0 に対応する補正量は常に 0 を意味します。 オフセット番号 0 に対応する補正量を設定することはできません。

・オフセットベクトル オフセットベクトルは大きさが D コードで指定された工具径補正量に等しい 2 次元のベクトルで、制御装置の内部で

計算され、工具の進行に伴ってベクトルの方向は、ブロックごとに書替えられます。 ベクトルはリセットにより消去されます。

・工具径補正量の指定 工具径補正量の指定は、D コード(アドレス D に続く 1~3 桁の数値)によって工具径補正量の番号を指定すること

により行ないます。 D コードは、一度指令すると以後別の D コードが指令されるまで有効です。 D コードは、工具径補正の補正量を指定する以外に、工具位置補正量を指定する目的にも使われます。

・平面選択とベクトル オフセット計算は、平面選択の G コード G17,G18,G19 で決定される平面内で行なわれます。オフセット計算を行なう

平面をオフセット平面と呼びます。 オフセット平面外の軸の座標値は、オフセットの影響を受けず、プログラムされた指令値がそのまま用いられます。

同時 3 軸指令の場合には、オフセット平面に投影した形状がオフセットされるように動きます。 平面の切換は、オフセットキャンセルモードで行ないます。 オフセットモード中に平面を切換えるとアラーム(PS0037)が表示され、工具は停止します。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 155 -

例題

Y 軸

X 軸 単位:mm

N1

出発点

650RC2 (1550,1150)

650R

C3 (-150,1150)

250R

C1(700,1300)

P4(500,1150) P5(900,1150)

P6(950,900)

P9(700,650)P8(1150,550)

P7(1150,900)

P1(250,550)

P3(450,900)P2(250,900)

N2

N3N4

N5

N6N7

N8

N9N10

N11

G17 G92 X0 Y0 Z0 ; .....................................................アブソリュート座標値で指令。出発点(X0,Y0,Z0)へ位置決め。 N1 G90 G00 G41 D07 X250.0 Y550.0 ; ...........................工具径補正開始(スタートアップ)。工具進行方向の左側に、

D07 に設定された値だけオフセット以後、工具径だけオフセッ

トされます(オフセットモード)。 D07=15 とあらかじめ設定済(工具径=15mm)

N2 G01 Y900.0 F150 ; ........................................................P1→P2 間の加工 N3 X450.0 ; ........................................................................P2→P3 間の加工 N4 G03 X500.0 Y1150.0 R650.0 ; ......................................P3→P4 間の加工 N5 G02 X900.0 R-250.0 ; ...................................................P4→P5 間の加工 N6 G03 X950.0 Y900.0 R650.0 ; ........................................P5→P6 間の加工 N7 G01 X1150.0 ; ...............................................................P6→P7 間の加工 N8 Y550.0 ; ........................................................................P7→P8 間の加工 N9 X700.0 Y650.0 ; ............................................................P8→P9 間の加工 N10 X250.0 Y550.0 ; ............................................................P9→P1 間の加工 N11 G00 G40 X0 Y0 ;...........................................................オフセットモードをキャンセル。出発点(X0,Y0,Z0)へ復帰。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 156 -

6.5 刃先R補正(G40~G42)の概略説明

工具刃先が持っている丸みによる誤差分を、自動的に補正するのが刃先 R 補正です。

切込み不足分

刃先 R 補正を行なわない時の加工形状

補正前の経路

補正後の経路

刃先

R

ワーク

図6.5 (a) 刃先 R 補正の工具経路

6.5.1 仮想刃先

仮想刃先とは、実際には存在しない点ですが、図 6.5.1 (a)の A 点のことをいいます。なぜ、仮想刃先を想定するかと

いいますと、出発位置又はある基準位置に刃先 R 中心を合わせるのがむずかしいことが多く、仮想刃先の方が出発位

置又はある基準位置に合わせやすいからです。 工具を出発位置に合わせたときの位置関係を図 6.5.1 (a)に示します。

出発位置出発位置

刃先 R 中心を出発位置

に合わせた場合 仮想刃先を出発位置

に合わせた場合

A

図6.5.1 (a) 刃先 R 中心と仮想刃先

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 157 -

注意 レファレンス点を持つような機械ではタレット中心などの基準点を出発位置に合わせることが可能です。そ

の基準点から刃先 R 中心又は仮想刃先までの距離を工具長補正により補正します。基準点から刃先 R 中心ま

でを補正量として設定した場合は、出発点に刃先 R 中心を合わせたのと同様に考えられます。また、基準点

から仮想刃先までを補正量として設定した場合は、出発点に仮想刃先を合わせたのと同様に考えられます。 この補正量設定のため、基準点から仮想刃先までの計測の方が刃先 R 中心までの計測より容易なのが普通で

す。

刃先 R 中心までの距離を工具長補正により補正

刃先 R 中心に出発

仮想刃先先端までの距離を工具長補正により補正

仮想刃先先端に出発位置を合わせた場合に相当

OFX (X の工具長補正)

OFX (X の工具長補正)

OFZ (Z の工具長補正)

OFZ (Z の工具長補正)

図6.5.1 (b) タレット中心を出発点に合わせるときの工具長補正

刃先 R 補正を行なわないと、刃先 R 中心通路はプログラムされた通路と同じになります。

刃先 R 補正を行なうと、切込み過多や切込み不足なく切削できます。

スタートアップ

スタートアップ

プログラムされた経路 プログラムされた経路

刃先 R 中心経路

刃先 R 中心経路

図6.5.1 (c) 刃先 R 中心を出発点に合わせて加工する場合の工具経路

刃先 R 補正を行なわないと、刃先 R 中心通路はプログラムされた通路と同じになります。

刃先 R 補正を行なうと、切込み過多や切込み不足なく切削できます。

スタートアップ

スタートアップ

プログラムされた経路 プログラムされた経路

仮想刃先経路

仮想刃先経路

図6.5.1 (d) 仮想刃先を出発点に合わせて加工する場合の工具経路

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 158 -

6.5.2 仮想刃先の方向

刃先 R 中心から見た仮想刃先の方向は、切削時の工具の向きにより決まるので、補正量と同様に前もって設定してお

かねばなりません。 仮想刃先の方向は、8 種類のうちから選ぶことができます。8 種類の仮想刃先の方向と対応するコード(番号)を図

6.5.2 (a)に示します。図 6.5.2 (a)では、工具と出発点との位置関係を表しています。矢印の先端が仮想刃先です。

仮想刃先番号 1 仮想刃先番号 2

仮想刃先番号 3 仮想刃先番号 4

仮想刃先番号 5 仮想刃先番号 6

仮想刃先番号 7 仮想刃先番号 8

X

Z G18

Y

X G17

Z

Y G19

図6.5.2 (a) 仮想刃先の方向

なお、仮想刃先 0 および仮想刃先 9 は、刃先 R 中心を出発点に合わせた場合に使用します。この仮想刃先番号を、オ

フセット番号に対応してオフセットメモリの OFT の場所に設定します。

仮想刃先番号 0 か 9

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 159 -

6.5.3 オフセット番号と補正量

解説 ・オフセット番号と補正量

刃先 R 補正量(刃先 R 半径値)

表6.5.3 (a) オフセット番号と補正量(例) オフセット番号 最大 999 組 (工具補正量) (仮想刃先方向)

001 002 003 004 005 :

0.200 0.250 0.120 : : :

1 2 6 : : :

・オフセット量の指令

D コードでオフセット番号を指令します。

・補正量の設定範囲 補正量として設定できる値の範囲は、パラメータ OFE,OFD,OFC,OFA(No.5042 #3~#0)により以下のいずれかとなりま

す。 補正量の設定範囲(メトリック入力)

OFE OFD OFC OFA 設定範囲 0 0 0 1 ±9999.99mm 0 0 0 0 ±9999.999mm 0 0 1 0 ±9999.9999mm 0 1 0 0 ±9999.99999mm 1 0 0 0 ±999.999999mm

補正量の設定範囲(インチ入力) OFE OFD OFC OFA 設定範囲

0 0 0 1 ±999.999inch 0 0 0 0 ±999.9999inch 0 0 1 0 ±999.99999inch 0 1 0 0 ±999.999999inch 1 0 0 0 ±99.9999999inch

オフセット番号 0 に対応する補正量は常に 0 を意味します。 オフセット番号 0 に対応する補正量を設定することはできません。

6.5.4 ワーク側の指定と移動指令

刃先 R 補正をするために、プログラム経路のどちらがワーク側かを指令しなければなりません。

G コード ワーク側 工具経路 G40 どちらでもない プログラム経路上を動く G41 進行方向右側 プログラム経路の進行方向左側を動く G42 進行方向左側 プログラム経路の進行方向右側を動く

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 160 -

工具はワークの無い側にオフセットされます。

ワーク側

G42

G41

G40

G40

X

Z

仮想刃先番号 1~8 仮想刃先番号 0

仮想刃先点がプログラム経路上

図6.5.4 (a) ワーク側の指定

座標系のとり方によってワーク側が逆になります。

ワーク側

G41(進行方向左側が ワーク)

G42(進行方向右側が ワーク)

X

Z

注 刃先 R 補正量が負の値のときも

ワーク側が逆になります

図6.5.4 (b) ワーク側が逆になる場合 G40,G41,G42 はモーダルな G コードです。 G41 モード中には G41 モードを指定しないで下さい。指定すると、特殊な補正方法になります。 G42 モード中に G42 を指定する場合も同様です。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 161 -

以下、G41/G42 の G コードが指定されていない G41 モードのブロックを(G41)、G42 モードのブロックを(G42)と書く

ことがあります。

注意 補正量の正負を逆にすると、刃先 R 補正のオフセットベクトルは逆になりますが、仮想刃先の方向は変化し

ません。従って、出発点に仮想刃先を合わせる使用法の場合は、想定したプログラムに対する補正量の正負

を逆にしないで下さい。

解説 ・ワーク側が変わらないときの工具の移動 ワークに刃先 R が接して移動します。

拡大図

(G42) (G42) (G42)

(G42)(G42) (G42)

図6.5.4 (c) ワーク側が変わらないときの工具の移動

・ワーク側が変化するときの工具の移動 ワーク側が変化したブロックのつなぎ目で両ワークに接します。

G41 G42

G41

G42

A

A

B

B

C

C

ワーク側

ワーク側

図6.5.4 (d) ワーク側が変化するときの工具の移動

A→B の右側に実際はワークが無くても、CNC はワークが右側にあると考えます。 ワーク側をスタートアップのすぐ次のブロックで変えてはいけません。 図 6.5.4(d)で A→B がスタートアップのときは図のようになりません。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 162 -

・スタートアップ G40 モードから G41 又は G42 モードになる始めのブロックをスタートアップのブロックといいます。 G40 - ; G41 - ; (スタートアップのブロック) スタートアップのブロックではオフセットされる過渡的な動きをします。スタートアップのブロックの次のブロック

の始点ではそのブロックに直角な位置に刃先中心が来ます。

G42(スタートアップ)

(G42)

G40

図6.5.4 (e) スタートアップ

・オフセットキャンセル

G41 又は G42 モードで G40 を指令したとき、そのブロックをオフセットキャンセルのブロックといいます。 G41 - ; G40 - ; (オフセットキャンセルのブロック) オフセットキャンセルのブロックの一つ手前のブロックでは、終点でそのブロックに直角な位置に刃先 R 中心がきま

す。 G40 のブロックでは、工具が終点に来るように動きます。

終点

(G42)

G40

図6.5.4 (f) オフセットキャンセル

・補正量の変更 一般には、オフセットキャンセルモードで工具が交換されたときに補正量を変更します。しかし、オフセットモード

中に補正量が変更された場合、ブロックの終点におけるベクトルは、同じブロックで指定された補正量を用いて計算

されます。 また、仮想刃先方向、工具位置補正量の変更も同様です。

ブロック N6 で指定されている補正量から計算されます。

ブロック N7 で指定されている補

正量から計算されます。

N8N6

N7

プログラムされた経路

図6.5.4 (g) 補正量の変更

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 163 -

・G41/G42 モードでの G41/G42 の指定 G41 又は G42 モード中に、再び G41 又は G42 の G コードが指定されているブロックでは、前のブロックに直角な位

置に刃先 R 中心がきます。

G42

(G18) G42 G91 Z-500.0 X-500.0 ;

(G42)(G42)

図6.5.4 (h) G41/G42 モードでの G41/G42 の指定

G40 モードから、G41 又は G42 モードになった 初のブロックでは、この規則はあてはまりません。

・G40(オフセットキャンセル)と同じブロックで指定する移動指令の方向がワーク形状の方向と違

う場合の工具の移動 図 6.5.4(i)のようなワーク形状において、 初のブロックの切削の終りで X,Z の方向に刃先 R 補正をキャンセルして逃

したい場合、次のように指令します。 G40 X_ Z_ I_ K_ ; ここで、I,K は次のブロックのワーク形状の方向であり、インクレメンタルで指令します。

I,K

G40 X_ Z_ I_ K_ ;

(G42)

G40

X,Z 実際の移動指令

図6.5.4 (i) G40 と同じブロックで I,K を指定する場合

これにより、図 6.5.4(j)のように、工具が切り込みすぎるのを防ぎます。

G40 X_ Z_ ;

(G42)

G40

X,Z 実際の移動指令

図6.5.4 (j) G40 と同じブロックで切り込み過ぎとなる場合

I_K_で指令されるワーク形状のワーク側はその前のブロックと同じ側です。 I_ K_ ; は G40 と同じブロックで指令して下さい。G02,G03 と同じブロックで指令すると円弧の中心と見なされます。 G40 X_ Z_ I_ K_ ; 刃先 R 補正 G02 X_ Z_ I_ K_ ; 円弧

オフセットキャンセルモードで、G40 と同時に I_K_が指令されると、I_K_は無視されます。また、I,K は常に半径指

定で指令します。 G40 G01 X_ Z_ ; G40 G01 X_ Z_ I_ K_ ;オフセットキャンセルモードです。(I,K は無視されます)

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 164 -

例題

X

Z 120

200

30 150

φ 60

φ 300

①②

0

(G40 モード) ①G42 G00 X60.0 ; ②G01 X120.0 Z - 150.0 F10 ; ③G40 G00 X300.0 Z0 I40.0 K - 30.0 ;

6.5.5 刃先R補正の注意事項

解説 ・オフセットモード中に指令された移動のないブロック

① M05 ; M コード出力 ② S210 ; S コード出力 ③ G04 X10.0 ; ドウェル ④ G22 X100000 ; 加工領域設定 ⑤ G91 G01 X0 ; 移動量が 0 ⑥ G90 ; G コードのみ ⑦ G10 L11 P01 R10.0 ; オフセット書替え このようなブロックが N-2 ブロック(N はオフセットモード中の読み込みブロック数(パラメータ(No.19625))より

多く連続して指令された場合、前のブロックの終点でこのブロックに垂直な位置に工具がきます。 ただし、移動量が 0 である場合(⑤)は、ブロックが 1 つであってもそのようになります。

N6

刃先 R 中心の動き

N7 N8

N9

(G42 モード) N6 G91 Z100.0 ; N7 S21 ; N8 M04 ; U9 X- 100.0 Z100.0 ; (オフセットモード中の 読み込みブロック数=3)

プログラム経路

図6.5.5 (a)

従って、図 6.5.5(a)のように、切込みを生じることがあります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 165 -

・面取りのときの刃先 R 補正 補正後の動きは図 6.5.5(b)のようになります。

(G41)

プログラムされた経路

(G42)

(G42 モード) G91 G01 Z-20.0 ,C10.0 ; X20.0 ;

図6.5.5 (b)

・コーナ R のときの刃先 R 補正 補正後の動きは図 6.5.5(c)のようになります。

(G42 モード) G91 G01 Z-20.0 ,R10.0 ; X20.0 ;

(G41)

プログラムされた経路

(G42)

図6.5.5 (c)

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 166 -

6.6 工具径・刃先R補正の詳細説明

6.6.1 概要

以下の説明では工具径補正について主に説明しますが、刃先 R 補正についても同様の動作となります。

・内側と外側 プログラムの 2 ブロックの移動指令の交角をワーク側で測って、180°以上のときは「内側」、0~180°のときは「外

側」といいます。

α

プログラム経路

ワーク プログラム経路

ワーク

内側 外側

180°≦α 0°≦α<180°

α

・外側コーナの接続方式 工具径補正モード中に外側コーナを回る場合、パラメータ CCC(No.19607#2)により、補正ベクトル間を直線補間にて

接続するか、円弧補間にて接続するかを選択することができます。

①直線接続タイプ[パラメータ CCC=0] ②円弧接続タイプ[パラメータ CCC=1] ベクトル間を直線補間で接続します ベクトル間を円弧補間で接続します

・キャンセルモード 次のいずれかの条件下では、工具径補正はキャンセルモードとなっています。(機械メーカの仕様によってはキャン

セルモードにならない場合もあります) ① 電源投入直後 ② MDI パネルのリセットボタンを押した後 ③ M02,M30 を実行することによりプログラムが終了した後 ④ 工具径補正キャンセル指令(G40)を実行した後 キャンセルモードでは、補正ベクトルの大きさは常に 0 であり、工具中心経路はプログラムされた経路と一致します。

プログラムの最後は、キャンセルモードで終わらせなければなりません。工具径補正モードのまま終わると、終点に

位置決めできずに補正ベクトル分だけ離れた位置でプログラムを終了することになります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 167 -

注 工具径補正中にリセット操作を行ったときの動作は、パラメータ CLR(No.3402#6)により異なります。

- パラメータ CLR=0 のとき リセット状態となります。グループ 07 のモーダルは G41/G42 が保持されますが、工具径補正を行うには

オフセット番号(D コード)を再度指令する必要があります。 - パラメータ CLR=1 のとき クリア状態となります。グループ 07 のモーダルは G40 となり、工具径補正を再度行うには G41/G42 と

オフセット番号(D コード)の指令を行う必要があります。

・スタートアップ キャンセルモードにおいて、次の条件をすべて満足するブロックが実行されたとき、CNC は工具径補正モードになり

ます。このときの動作をスタートアップといいます。 ① G41 または G42 が指令されている。または、既に指令されていて G41 または G42 モードになっている。 ② 0 < 工具径補正の補正番号 ≦ 最大補正番号 である。 ③ 位置決め(G00)または直線補間(G01)モードである。 ④ 移動量が 0 でない補正平面内の軸指令がされている。(ただしスタートアップタイプ C 以外) スタートアップが円弧補間(G02,G03)モード等で指令された場合、アラーム(PS0034)になります。 スタートアップのブロックでワーク座標系の切換え(G54~G59)は指令できません。 スタートアップの動作は、パラメータ SUP(No.5003#0)およびパラメータ SUV(No.5003#1)の設定により、次に示すタ

イプ A、タイプ B、タイプ C の 3 つのタイプを選択することができます。ただし内側を回る場合の動作は、タイプに

よる違いはありません。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 168 -

表6.6.1 (a) スタートアップ/キャンセルの動作 SUV SUP タイプ 動作

0 0 タイプA スタートアップの次のブロック/キャンセルの前のブロックに垂直な補正ベクトル

が出力されます。

工具中心経路

プログラム経路

N1

N2 G41

0 1 タイプB スタートアップのブロック/キャンセルのブロックに垂直な補正ベクトル、および交

点ベクトルが出力されます。

工具中心経路

プログラム経路

N1

N2

交点

G41

1 0 1

タイプC スタートアップのブロック/キャンセルのブロックが移動のないブロックのとき、ス

タートアップの次のブロック/キャンセルの前のブロックに垂直な方向に工具径・刃

先 R 補正量分移動します。

N1

N2 N3

工具中心経路

プログラム経路

交点

移動 G41

移動のあるブロックの場合、SUP の設定に従い、0 の場合はタイプA、1 の場合はタ

イプBになります。

・工具径補正モード中の入力指令の読み込み 工具径補正モード中は、キャンセル指令が来るまでの間、移動のあるブロック/ないブロックに関わらず通常 3 ブロ

ック、またパラメータ(No.19625)の設定により最大 8 ブロックの入力指令を読み込み、交点計算および後述の干渉チ

ェックを行います。 交点計算を行うには、移動のあるブロックを最低 2 ブロック以上読み込む必要があります。また、干渉チェックを行

うためには、移動のあるブロックを最低 3 ブロック以上読み込む必要があります。 パラメータ(No.19625)の設定、すなわち読み込みブロック数が多いほど、切り込み過ぎ(干渉)の予測がより先の指

令まで可能になります。ただし、読み込んで解析するブロック数が増えるため、読み込みと解析に時間がかかります。

Page 181: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 169 -

・工具径補正の終了(キャンセル) 工具径補正モードにおいては、次の条件のうち一つでも満足するブロックが実行されたとき、工具径補正はキャンセ

ルされます。 ① G40 が指令されている ② 工具径補正の補正番号として D00 が指令されている 工具径補正キャンセルを行う場合は、円弧指令(G02,G03)であってはいけません。円弧で指令すると、アラームになり

ます。 キャンセルの動作は、スタートアップと同様にパラメータ SUP(No.5003#0)およびパラメータ SUV(No.5003#1)の設定

により、タイプ A、タイプ B、タイプ C の 3 つのタイプを選択することができます。ただし内側を回る場合の動作は、

タイプによる違いはありません。

・パラメータ SBK(No.5000#0) パラメータ SBK(No.5000#0)=1 とすることにより、工具径補正のために内部的に作られたブロックでシングルブロッ

ク停止することができます。 工具径補正を含むプログラムのチェックに使用します。

注 図の N1 ブロックにおいて補助機能(M コード)/主軸機能(S コード)/工具機能(T コード)/第 2 補

助機能(B コード)を指令したとき、内部的に作られたブロックの停止点(シングルブロック停止点以外)

で停止しているときは FIN を受け付けません。

・図中の記号 以降で説明している図中にでてくる記号の意味は以下の通りです。 ・ S はシングルブロックを 1 回実行する点です。 ・ SS はシングルブロックを 2 回実行する点です。 ・ SSS はシングルブロックを 3 回実行する点です。 ・ L は直線で動くことを示します。 ・ C は円弧で動くことを示します。 ・ r は工具径・刃先 R 補正量です。 ・ 交点とはプログラムされた経路を r だけオフセットした形状を作ったとき、2 つのブロックのオフセットした形状

の交点のことをいいます。 ・ は工具の中心を表しています。

シングルブロック停止点 S

内部的に作られたブロックの停止点

プログラムされた経路

工具中心経路 N1 N2

N1

N1

N2

Page 182: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 170 -

6.6.2 スタートアップでの工具の動き

オフセットキャンセルモードからオフセットモードになるときの工具の動き(スタートアップ)を説明します。

解説 ・内側を回る場合(180°≦α)

直線→直線

α

プログラムされた経路

工具中心経路 LS

G42 r

L

直線→円弧 α

S

G42 r

L

プログラムされた経路 工具中心経路

C

ワーク

ワーク

出発点

出発点

Page 183: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 171 -

・スタートアップが移動のあるブロックで、外側を鈍角に回る場合(90°≦α<180°) 2 つのタイプ A, B があり、どちらにするかはパラメータ SUP(No.5003#0)で設定します。

直線→直線

直線→円弧 タイプ

A

直線→直線 (直線接続

タイプ)

タイプ

B 直線→円弧 (直線接続

タイプ)

プログラムされた経路 工具中心経路

出発点

L

α

SC

G42

ワーク r

α

プログラムされた経路

工具中心経路 S

G42

L

ワーク

出発点

r

L

r

α

プログラムされた経路

工具中心経路 LS

G42

L

ワーク

出発点

プログラムされた経路 工具中心経路

出発点

L

L

r

交点

α

SC

G42

ワーク r

交点 L

L

r

Page 184: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 172 -

タイプ

B

直線→直線 (円弧接続

タイプ)

直線→円弧 (円弧接続

タイプ)

プログラムされた経路 工具中心経路

出発点

L

α

SC

G42

ワーク rr

r

α

プログラムされた経路

工具中心経路 LS

G42

L

ワーク

出発点

r

C

C

Page 185: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 173 -

・スタートアップが移動のあるブロックで、外側を鋭角に回る場合(α<90°) 2 つのタイプ A, B があり、どちらにするかはパラメータ SUP(No.5003#0)で設定します。

直線→直線

直線→円弧 タイプ

A

タイプ

B

直線→直線 (直線接続

タイプ)

直線→円弧 (直線接続

タイプ)

プログラムされた経路

α

G42

出発点

L

LS

r

工具中心経路

出発点

ワーク

α

G42

L

S

r

プログラムされた経路

工具中心経路

C

ワーク

プログラムされた経路

αG42

出発点 L

L L

L

S

r

r

工具中心経路

αG42

出発点

L

L

L

S

r

r

プログラムされた経路

工具中心経路 C

L

L

ワーク

ワーク

Page 186: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 174 -

タイプ

B

直線→直線 (円弧接続

タイプ)

直線→円弧 (円弧接続

タイプ)

プログラムされた経路

αG42

出発点 L

L

C

S

r

r

工具中心経路

α G42

出発点

L

C

S

r

r

プログラムされた経路

工具中心経路 C

ワーク

ワーク

・1°以下の鋭角の外側を直線→直線で回る場合(α<1°)

出発点

工具中心経路

プログラムされた経路 r

G41

(G41)

L

L

S

1°以下

・スタートアップ時に指令された移動のないブロック タイプ A,タイプ B の場合 スタートアップ時に移動のないブロックが指令された場合、オフセットベクトルは作られません。したがってスター

トアップのブロックでは動作しません。

プログラムされた経路

工具中心経路

S

N9

N6

N7

N8

SS

G40 … ; N6 G91 X100.0 Y100.0 ; N7 G41 X0 ; N8 Y-100.0 ; N9 X100.0 Y-100.0 ;

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 175 -

タイプ C の場合 スタートアップの次の移動のあるブロックに垂直な方向に、補正量分シフトします。

プログラムされた経路

工具中心経路

S

交点

α

L

L

移動なし

S

Page 188: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 176 -

6.6.3 オフセットモードでの工具の動き

オフセットモード中は、直線補間、円弧補間はもちろん、位置決め指令であっても補正が行われます。交点計算を行

うには、移動のあるブロックを最低 2 ブロック以上読み込む必要があります。このためオフセットモード中は、補助

機能単独指令、ドウェル等、移動を伴わないブロックを連続して指令することにより移動のあるブロックを 2 ブロッ

ク以上読み込めなかった場合、交点計算ができずに切り込み過ぎまたは切り込み不足を生じることがあります。パラ

メータ(No.19625)で決まるオフセットモード中の読み込みブロック数を N、また読み込んだ N ブロックのうち移動を

伴わないブロックの指令数を M とすると、交点計算が可能な条件は (N-2) ≧ M となります。例えばオフセットモー

ド中の最大読み込みブロック数が 5 のとき、移動のないブロックを 3 ブロックまで指令しても交点計算が可能です。

注 後述の干渉チェックのために必要な条件はこれとは異なります。詳しくは、干渉チェックの項を参照して下

さい。 また、バッファリングが抑制される G コード、M コードが指令された場合は、パラメータ(No.19625)の設定によらず、

そのブロックの実行前に先の指令を読み込むことはできません。このため交点計算ができずに、切り込み過ぎまたは

切り込み不足を生じることがありますので注意して下さい。

Page 189: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 177 -

・内側を回る場合(180°≦α) 直線→直線

α

プログラムされた経路

工具中心経路L

L

直線→円弧

α

プログラムされた経路工具中心経路

C

ワーク

ワーク

S

L

交点

S交点

α

プログラムされた経路

工具中心経路C

L

S交点

円弧→直線

円弧→円弧

C

ワーク

S交点

C

プログラムされた経路工具中心経路

ワーク

α

・1°以下の内側を回り、オフセットベクトルが異常に大きくなったときの直線→直線

r

r

プログラムされた経路

工具中心経路

交点 S

r

交点

Page 190: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 178 -

円弧→直線, 直線→円弧, 円弧→円弧の場合も同様にして類推して下さい。

・外側を鈍角に回る場合(90°≦α<180°) 直線→直線

(直線接続 タイプ)

直線→円弧

(直線接続 タイプ)

円弧→直線(直線接続 タイプ)

円弧→円弧

(直線接続 タイプ)

α

プログラムされた経路

工具中心経路L

r

α

プログラムされた経路工具中心経路

C

ワーク

ワーク

S

L

交点

S交点

α

プログラムされた経路

工具中心経路

C

LS交点

ワーク

L

L

r

L

α

ワークプログラムされた経路

工具中心経路 LLS

交点

rr

C

C

Page 191: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 179 -

直線→直線

(円弧接続 タイプ)

円弧→円弧(円弧接続 タイプ)

直線→円弧

(円弧接続 タイプ)

直線→円弧(円弧接続 タイプ)

α

プログラムされた経路

工具中心経路L

r

α

プログラムされた経路工具中心経路

C

ワーク

ワーク

S

L

S

α

プログラムされた経路

工具中心経路

C

LS

ワーク

L

C

r

C

α

ワークプログラムされた経路

工具中心経路

S

rr

C

C

C

rr

r

r

C

Page 192: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 180 -

・外側を鋭角に回る場合(α<90°) 直線→直線

(直線接続 タイプ)

直線→円弧(直線接続 タイプ)

円弧→直線(直線接続 タイプ)

円弧→円弧

(直線接続 タイプ)

α

プログラムされた経路

L

L L

L

S

r

r

工具中心経路

α

L

L

S

r

r

プログラムされた経路工具中心経路

C

L

L

L

α

プログラムされた経路

L L

L

r

r

工具中心経路

L

S

α

L

S

r

r

L

C

CL

プログラムされた経路工具中心経路

ワーク

ワーク

ワーク

ワーク

C

Page 193: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 181 -

直線→直線

(円弧接続 タイプ)

円弧→直線

(円弧接続 タイプ)

直線→円弧(円弧接続 タイプ)

円弧→円弧

(円弧接続 タイプ)

α

プログラムされた経路

L

LS

r

r

工具中心経路

α

S

r

r

プログラムされた経路工具中心経路

C

C

C

L

α

プログラムされた経路

C

L

r

r

工具中心経路S

α

S

r

r

C

C

C

プログラムされた経路工具中心経路

ワーク

ワーク

ワーク

ワーク

C

Page 194: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 182 -

・例外的な場合 円弧の終点が円弧上にない場合 円弧の終点が円弧上にない場合、円弧終点を通り指令された円弧中心を中心とする仮想円を考え、仮想円について工

具径補正してきたものと考えベクトルを作成し、補正します。「円弧→円弧」の場合も同様に考えて下さい。

プログラムされた経路

工具中心経路rr

円弧中心

仮想円

円弧終点

L

LL

r C

S

ワーク

内側の交点が存在しない場合 工具径・刃先 R 補正量が小さいときはオフセット経路での円弧の交点 P が存在しても、工具径・刃先 R 補正量が大き

くなると交点が存在しなくなる場合があります。そのときは、前のブロックの終点でアラーム(PS0033)となり停止し

ます。 例えば、工具径・刃先 R 補正量が小さいときは円弧 A と円弧 B のオフセットされた経路の交点 P が存在しても、工

具径・刃先 R 補正量が大きくなると交点が求まりません。

P

r r

工具径・刃先 R 補正量が小さいときの工具中心経路

工具径・刃先 R 補正量が大きいときの工具中心経路

プログラム経路

アラームが表示され停止します。

円弧 A の中心円弧 B の中心

円弧 A 円弧 B

Page 195: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 183 -

・中心と始点または終点が一致している場合の円弧 中心と始点または終点が一致している円弧の場合は、アラーム(PS0041)が表示され、工具は円弧の前のブロックの始

点で停止します。

プログラムされた経路

工具中心経路

N6 N7

N8

(G41)N5 G91 G01 X50.0 ;N6 X50.0 ;N7 G02 X100.0 I0 J0 ;N8 G01 Y-100.0 ;

N5

アラーム停止します

・オフセットモード中でのオフセット方向の変更

オフセットの方向は、工具径・刃先 R 補正の G コード(G41,G42)と工具径・刃先 R 補正量の符号により、次のように

決まります。

工具径・刃先 R 補正量の符号

G コード + -

G41 左側オフセット 右側オフセット G42 右側オフセット 左側オフセット

オフセットモード中にオフセット方向を変更できます。

変更した場合、手前のブロックの工具中心経路と変更したブロックの工具中心経路との交点にベクトルが作成されま

す。

ただし、スタートアップのブロックと次のブロックでは変更できません。

Page 196: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 184 -

・ 交点のあるオフセット経路の場合

L

直線→直線

直線→円弧

プログラムされた経路

工具中心経路

円弧→直線

円弧→円弧

L

L

S

r r

G42

G41

G41G42

r

r

S

C

工具中心経路

プログラムされた経路

工具中心経路

プログラムされた経路

r

r

LC

S

S

プログラムされた経路

工具中心経路

G41

G41

G42

G42

C

C

r

r

ワーク

ワーク

ワーク

ワーク

ワーク

ワーク

ワーク

ワーク

交点

交点

交点

交点

Page 197: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 185 -

・交点のないオフセット経路 ブロック A からブロック B に G41, 42 を切換えようとして、交点がなかった場合は、ブロック B の始点に垂直なベク

トルが作られます。

終点が円弧上にない円弧  C

工具中心経路

L L

G41

C

C

r

r r

(G42)

S

S中心中心

直線→円弧

G41B

工具中心経路

プログラムされた経路

G42 (G42)

L

L

L

A

r

r

S

プログラムされた経路

工具中心経路

G42

G41

L S

L

S

(G41) G42

AB

プログラムされた経路

工具中心経路

L

S

r

円弧→円弧

ワーク

ワーク

(G41)

直線→直線

プログラムされた経路

(G42)

交点

S

r

Page 198: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 186 -

・1 周以上になる円弧 一般の交点の場合はこの可能性はありませんが、G41,G42 の切換による方向切換の場合と、後述する I,J,K を伴う G40の場合にはこの可能性があります。 円は一周以上の円にならず、P1から P2へ短く回る円弧になります。場合によっては、後述する「干渉チェック」によ

ってアラームになります。一周以上の円弧を実行するには円弧を分割して指令しなければなりません。

N7

P1 P2

(G42)N5 G01 G91 X500.0 Y-700.0 ;N6 G41 G02 J-500.0 ;N7 G42 G01 X500.0 Y700.0 ;

N6

N5

工具中心経路 プログラムされた経路

・オフセットモード中での工具径補正の G コード指令 オフセットモード中に、工具径補正の G コード(G41,G42)を特に指令することにより、次に示すように、内側、外側

による場合に関係なくオフセットベクトルをその前のブロックの移動方向と直角に立てることができます。 円弧指令の場合、これを行うと、正しい円弧にならなくなります。 ただし、工具径補正の G コード(G41,G42)を指令することにより、オフセット方向が変化する場合は、本項の「オフ

セットモード中でのオフセット方向の変更」の項を参照下さい。

G42 を指令したブロック

直線→直線

工具中心経路

円弧→直線

r

G42 モード

プログラムされた経路

r

C

交点

G42 を指令した

ブロック

交点

S

LL

S

LG42 モード

Page 199: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 187 -

・一時的にベクトルをなくす指令 オフセットモード中に G92(ワーク座標系設定)、G52(ローカル座標系設定)を指令をすると、一時的にオフセッ

トベクトルがなくなり、その後、自動的にオフセットモードに復元します。 この場合、オフセットキャンセルの動きはせず、交点ベクトルから直接にベクトルのない点、すなわちプログラムの

指令点に行きます。 オフセットモードに復元する時も直接交点へ行きます。

S

工具中心経路

プログラムされた経路

LL L

L

S

SN5 N6

N7N8

G92 のブロック(G41)N5 G01 X700.0 Y300.0 ;N6 X600.0 Y-300.0 ;N7 G92 X200.0 Y100.0 ;N8 G01 X800.0 Y400.0 ;

G28(レファレンス点復帰)、G29(レファレンス点からの復帰)、G30(第 2、第 3、第 4 レファレンス点復帰)、

G30.1(フローティングレファレンス点復帰)、G53(機械座標系選択)の指令は、オフセットモードを G40 によりキ

ャンセルしてから行って下さい。オフセットモード中に指令すると、オフセットベクトルは一時なくなります。

・G00/G01 モードブロックに I,J,K が指令されたとき 工具径補正開始時またはモード中において、位置決めモード(G00)または直線補間モード(G01)のブロックに、I,J,K を

指令することにより、そのブロックの終点における補正ベクトルを、I,J,K で指定された方向に垂直な方向とすること

ができます。これにより、補正方向を意図的に変えることができます。

IJ タイプベクトル(XY 平面) 補正平面が XY 平面(G17 モード)において作られる補正ベクトル(IJ タイプベクトル )について説明します。(G18平面の KI タイプベクトル、G19 平面の JK タイプベクトルについても同様に考えて下さい。)IJ タイプベクトルはプ

ログラムされた経路の交点計算をせずに、I,J で指定された方向に垂直で補正量分の大きさのベクトルを補正ベクトル

とします。I,J の指定は工具径補正開始時でもモード中でも指令できます。補正開始時に指令した場合、パラメータに

設定されたスタートアップタイプはどのタイプであっても無効となり、IJ タイプベクトルとなります。

オフセットベクトルベクトルの方向 G41 モードのとき、I,J,K で指令された方向を仮想的な工具進行方向とし、それに対して垂直でかつ左側に、オフセッ

トベクトルが作られます。

補正ベクトル

I, J, K

Page 200: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 188 -

G42 モードのとき、I,J,K で指令された方向を仮想的な工具進行方向とし、それに対して垂直でかつ右側に、オフセッ

トベクトルが作られます。

補正ベクトル

I, J, K

例題

プログラム経路

D1

N10

N50N40N30N20 N60

(G40) N10 G91 G41 X100.0 Y100.0 I1 D1 ; N20 G04 X1000 ; N30 G01 F1000 ; N40 S300 ; N50 M50 ; N60 X150. ; 注)N10 では、I1 により、

X 軸に垂直な方向に

D1 の大きさのベクトル を指令しています

補正開始時(移動あり)に I,J を指令した場合

工具中心経路

補正開始時(移動なし)に I,J を指令した場合

(G40) N10 G41 I1 D1 ; N20 G91 X100. Y100. ; N30 X150. ; 注)N10 では、I1 により、

X 軸に垂直な方向に

D1 の大きさのベクトルを指令しています

工具中心経路

プログラム経路

N10

N20

N30

D1

Page 201: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 189 -

(G17 G41 G91 D1) N10 G00 X150. J50. ; N20 G02 I50. ; N30 G00 X-150. ; 注)N10 では、J50.により、

Y 軸に垂直な方向に

D1 の大きさのベクトル

を指令しています

①IJ タイプベクトル ②交点計算によるベクトル

補正モード中(移動あり)に I,J を指令した場合

プログラム経路

工具中心経路

交点計算による経路 (I,J の指令がない場合)

(I,J)

N10 N20 N30

スタートアップ/キャンセル タイプC

N10 G41 D1 G01 F1000 ; N20 G91 X100. Y100. ; N30 I10. ; N40 X150. ; N50 G40 ;

補正モード中に移動のないブロックで I,J を指令した場合

N10

N30

N20

N40

N50

S S

D1

工具中心経路

プログラム経路

(I, J)

制限事項 IJ タイプベクトルを指定した場合、方向によってはそのベクトル単独で工具干渉が生じることがあります。この場合

は干渉アラームにもなりませんし、干渉回避も行われません。したがって、切り込み過ぎを生じる場合があります。

スタートアップ/キャンセル

タイプC

N10 G42 D1 F1000 ; N20 G91 X100. ; N30 X100. Y100. I10. ; N40 X100. Y-100. ; N50 G40 ;

N10

N30

N20

工具中心経路

N40

N50

切り込み過ぎ

プログラム経路

(I, J)

Page 202: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 190 -

・移動のないブロック 次のようなブロックを移動のないブロックといい、そのブロックではオフセットによって移動が生じることはありま

せん。 M05 ; S21 ; G04 X10.0 ; G22 X100000 ; G10 L11 P01 R10.0 ; (G17) Z200.0 ; G90 ;, O10 ;, N20 ; G91 X0 ;

:M コード出力 :S コード出力 :ドウェル :加工領域設定 :工具径補正量の設定/変更 :オフセット平面外の移動 :G、O、N コードのみの指令 :移動量が 0 である軸指令

・オフセットモード中に指令された移動のないブロック 移動のないブロックが、オフセットモード中に N-2 ブロック(N はオフセットモード中の読み込みブロック数(パラ

メータ(No.19625))より多く連続して指令されない限り、ベクトルと工具中心経路は通常どおりとなり、このブロッ

クはシングルブロック停止点で実行されます。

プログラム経路

ブロック N7 はここで実行されます。

工具中心経路

L

N6

N7 N8

L

SS

N6 G91 X100.0 Y100.0 ; N7 G04 X10.0 ; N8 X100.0 ;

移動のないブロックを、オフセットモード中に、N-2 ブロック(N はオフセットモード中の読み込みブロック数(パ

ラメータ(No.19625))より多く連続して指令してはいけません。もし、指令した場合、その前のブロックの移動方向

に直角に、オフセット量に等しい大きさのベクトルが作成されます。このような指令を行う場合は、切り込み過ぎを

生じるかもしれないので注意して下さい。

L

N6

N7,N8 N9

L

SSS

N6 G91 X100.0 Y100.0 ; N7 S21 ; N8 G04 X10.0 ; N9 X100.0 ; (オフセットモード中の 読み込みブロック数=3)

プログラム経路

ブロック N7,N8 はここで実行 されます。

工具中心経路

・バッファリングを抑制する M コード/G コードが指令された場合 オフセットモード中に、バッファリングを抑制する M コード/G コードが指令された場合、パラメータ(No.19625)で決まるオフセットモード中の読み込みブロック数によらず、それ以降のブロックを読み込んで解析することができな

くなります。よって、交点計算および後述の干渉チェックはできなくなります。この場合、直前のブロックに垂直ベ

クトルが出力されるため、切り込み過ぎを生じることがあります。

Page 203: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 191 -

バッファリングを抑制する M コード(M50)を指令しない場合

プログラム経路

交点

工具中心経路

L

N5

N6

L

S

(G42) N5 G91 G01 X40.0 Y40.0 ;N6 X40.0 ; : :

バッファリングを抑制する M コード(M50)を指令した場合

L

N5

N6 N7

L

SS

(G42) N5 G91 G01 X40.0 Y40.0 ;N6 M50 ; N7 X40.0 ; : :

プログラム経路

ブロック N6 はここで実行されます。

工具中心経路

・オフセットモード中のワーク座標系またはローカル座標系指令 ローカル座標系(G52)またはワーク座標系(G92)を指令したとき、工具径補正(G41/G42)または3次元工具径補正(G41.2~G41.6,G42.2~G42.6)中の場合、G52,G92 をバッファリングを抑制する G コードとします。G52,G92 のブロックが実

行されるまでそれ以降のブロックは実行されません。

・コーナ移動 ブロックの終点でオフセットベクトルが 2 個以上作成される場合は、そのベクトル間を直線的に移動します。これを

コーナ移動といいます。 ベクトルがほとんど一致している場合(パラメータ(No.5010)の設定により、そのベクトル間のコーナ移動の距離が短

いと判定された場合)、コーナ移動は行なわれません。この場合、シングルブロック停止点へのベクトルが優先され

て残り、それ以外のベクトルが無視されます。これにより、工具径補正を行うことにより生じる微小な移動を無視し、

バッファリングの途切れによる速度変化を防ぐことができます。

ΔVX≦ΔVlimit, ΔVY≦ΔVlimit

の時であっても、シングルブ

ロック停止点へのベクトルは

残ります。工具中心経路

プログラム経路

ΔVX≦ΔVlimit, ΔVY≦ΔVlimit の時

このベクトルは無視されます。

S ΔVY

ΔVX

r

r

N1

N2

ΔVlimitは、パラメータ(No.5010)の設定により決まります。

Page 204: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 192 -

ベクトルがほとんど一致していると判断されない(すなわち消去されない)場合は、コーナを回るための移動が行な

われます。シングルブロック停止点より前のコーナ移動は前のブロックに、またシングルブロック停止点より後のコ

ーナ移動は後のブロックにそれぞれ属します。

この移動はブロック N7 に属します。したがって、送り速度はブロック N7 で指定されている速度となります。

S

N6 N7

この移動はブロック N6 に属します。したがって、送り速度はブロック N6 で指定されている速度となります。

ただし、次のブロックが半円以上の円弧の場合、ベクトルは無視されません。 これは、次のような事を防ぐためです。

N4 G41 G91 G01 X150.0 Y200.0 ;N5 X150.0 Y200.0 ;N6 G02 J-600.0 ;N7 G01 X150.0 Y-200.0 ;N8 G40 X150.0 Y-200.0 ; P1

P2 P3 P4 P5

P6

N5

N6

N4

N7

N8

プログラムされた経路

工具中心経路

ベクトルを無視しなければ、P1→P2→P3→(一周円弧)→P4→P5→P6と動きますが、もし P2-P3の距離が十分小さく P3

が無視されると、円弧が P2から P4と小さくなってしまい、一周しません。

・手動運転の介入 オフセットモード中に手動介入を行った場合については、「マニュアルアブソリュートオン・オフ」を参照して下さ

い。

Page 205: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 193 -

6.6.4 オフセットモードキャンセルでの工具の動き

解説 ・キャンセルが移動のあるブロックで、内側を回る場合(180°≦α)

α

プログラムされた経路

工具中心経路 L S

G40r

L

直線→直線

円弧→直線α

S

G40r

L

プログラムされた経路 工具中心経路

C

ワーク

ワーク

Page 206: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 194 -

・キャンセルが移動のあるブロックで、外側を鈍角に回る場合(90°≦α<180°) 2 つのタイプ A,B があり、どちらにするかはパラメータ SUP(No.5003#0)で設定します。

直線→直線

円弧→直線

タイプA

タイプB

直線→直線

(直線接続 タイプ)

円弧→直線(直線接続

タイプ)

r

α

プログラムされた経路

工具中心経路 L S

G40

L

ワーク

プログラムされた経路 工具中心経路

L

α

SC

G40

ワークr

r

α

プログラムされた経路

工具中心経路 LS

G40

L

ワーク

プログラムされた経路 工具中心経路

L

L

交点

α

SC

G40

ワーク r

交点 L

r

Page 207: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 195 -

タイプB

直線→直線(円弧接続 タイプ)

円弧→直線(円弧接続

タイプ)

r

α

プログラムされた経路

工具中心経路C S

G40

L

ワーク

プログラムされた経路 工具中心経路

L

α

C

G40

ワーク rr

C S

Page 208: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 196 -

・キャンセルが移動のあるブロックで、外側を鋭角に回る場合(α<90°) 2 つのタイプ A,B があり、どちらにするかはパラメータ SUP(No.5003#0)で設定します。

直線→直線

円弧→直線

タイプA

タイプB

直線→直線

(直線接続 タイプ)

円弧→直線

(直線接続 タイプ)

プログラムされた経路

αG40

L

L S

r

工具中心経路

αL

S

r

プログラムされた経路

工具中心経路C

ワーク

ワーク

G42

G40

G42

プログラムされた経路

αG40

L

LL

L

Sr

r

工具中心経路

α

L

L

L

Sr

r

プログラムされた経路

工具中心経路C

L

L

ワーク

ワーク

Page 209: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 197 -

タイプB

直線→直線(円弧接続 タイプ)

円弧→直線(円弧接続 タイプ)

プログラムされた経路

αG40

L

L

S

Cr

r

工具中心経路

α

L

S

S

r

r

プログラムされた経路

工具中心経路C

C

ワーク

ワーク

・キャンセルが移動のあるブロックで、1°以下の鋭角の外側を直線→直線で回る場合 (α≦1°) 工具中心経路

プログラムされた経路r

G40

(G42)

L

L

S

1°以下

・オフセットキャンセルと共に指令された移動のないブロック タイプ A、タイプ B の場合 キャンセルの前のブロックにおいて、垂直な方向に工具径・刃先R補正量に等しい大きさのベクトルが作成されます。

キャンセルのブロックでは動作しません。残されたベクトルは、次の移動指令とともにキャンセルされます。

工具中心経路

L

N6

N7 N8

Lプログラムされた経路 SS

N6 G91 X100.0 Y100.0 ;N7 G40 ;N8 X130.0 ;

Page 210: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 198 -

タイプ C の場合 キャンセルの前のブロックに垂直な方向に、補正量分シフトします。

工具中心経路

プログラムされた経路

G40(移動なし)

α

L

SL

S

・G40 と I_J_K_が指令されたブロック そのブロックの手前のブロックが G41 又は G42 モード

G40 と I_,J_,K_が指令されたブロックの手前のブロックが、G41 又は G42 モードのとき、手前のブロックの終点から

ベクトル(I,J),(I,K)又は(J,K)の方向に指令がされているかのように考えます。オフセット方向は手前のブロックと同じ

です。

E(a, b)

プログラムされた経路

工具中心経路

r

N1 (G42 モード) ;N2 G40 Xa Yb I_ J_ ;

(I, J)

r

P

S

N2

N1

(G42)

N1 のブロックでは工具中心は P に行く。N2 のブロックでは工具中心は E に行く。

ワーク

G40

この場合、内側外側にかかわらず必ず交点を求めようとするので注意が必要です。

プログラムされた経路

工具中心経路

r

P

S

(G42)

E

G40

r

(I, J)

交点が求まらなかった場合は、G40 の前のブロックに垂直な位置にきます。

Page 211: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 199 -

E

プログラムされた経路

工具中心経路

(I, J)

r

S

G40P

r

(G42)

・一周以上の円弧 下記の場合、円は一周以上にならず、P1から P2へ短く回る円弧になります。後述の干渉チェックにより、アラームに

なる場合もあります。 一周以上の円弧を作るには、円弧を分割してプログラムしなければなりません。

プログラムされた経路

工具中心経路

(I, J)N5

N6

N7

P1

P2

(G41)N5 G01 G91 X100.0 ;N6 G02 J-60.0 ;N7 G40 G01 X50.0 Y50.0 I-10.0 J-10.0 ;

6.6.5 工具径・刃先R補正による切り込み過ぎの防止

解説 ・工具直径より小さい溝の加工 工具中心経路が、工具径補正することによりプログラムされた経路と逆方向になる場合、切り込み過ぎを生じるので、

その直前のブロックの開始直後にアラームになり停止します。

プログラムされた経路

工具中心経路

ワーク

アラーム、停止

そのまま進めば生じる切り込み過ぎ 図6.6.5 (a) 工具直径より小さい溝の加工

Page 212: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 200 -

・工具半径より小さい段差の加工 ワークの段差を円弧で指令した形状の場合、工具中心経路は図 6.6.5 (b)のようになります。ここで、段差が工具半径

より小さい場合、図 6.6.5 (c)のように通常通り補正された工具中心経路ではプログラムされた経路と逆方向になるこ

とがあります。そのような場合は、最初のベクトルは無視され、2 番目のベクトルへ直線的に移動し、そこがシング

ルブロックのときの停止点となり、シングルブロックでない場合は自動運転は続行されます。

段差が直線で指令されている場合は、アラームとならず正しく補正されます。ただし、切り残りが生じます。

プログラムされた経路

工具中心経路

ワーク 円弧中心

シングルブロック停止点

S

S

図6.6.5 (b) 工具半径より大きな段差の加工

プログラムされた経路

工具中心経路

ワーク

円弧中心

直線的に移動します。

最初のベクトルは無視されます。

シングルブロック停止点

最初のベクトルは無視されるので、このような切り込みを生じません。ただし、円弧で移動する部分はなくなります。

S

無視されない場合の経路

円弧

図6.6.5 (c) 工具半径より小さな段差の加工

・補正開始と Z 軸の切り込み動作 切削の開始時に、ワークから離れた位置であらかじめ工具径補正(通常 XY 平面)をかけておき、その後、Z 軸で切

り込むという方法は一般的によく行なわれます。このとき、Z 軸の動作を早い送りとワークに接近してからの遅い送

りとの二段階に分けて行いたい場合、以下の点に注意してプログラムして下さい。 工具径補正モード中の読み込みブロック数(パラメータ(No.19625))を 3 と仮定し、図 6.6.5 (d)のようなプログラムを

考えます。

Page 213: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 201 -

ワーク

N1

N1 G91 G00 G41 X500.0 Y500.0 D1 ;N3 G01 Z-300.0 F100 ;N6 Y1000.0 F200 ;

N3 : Z 軸降下(1 ブロック)

N6

補正後

図6.6.5 (d)

図 6.6.5 (d)のプログラムならば、N1 の補正開始時に N6 ブロックまで読み込むことができるので、N1 と N6 との関係

を判断して、図 6.6.5 (d)のように正しく補正が行なわれます。 ここで、N3 のブロックを、図 6.6.5 (e)のように N3 と N5 の 2 つに分けたとします。

N1

N6

N1 G91 G00 G41 X500.0 Y500.0 D1 ; N3 G01 Z-250.0 ; N5 G01 Z-50.0 F100 ; N6 Y1000.0 F200 ;

N3, N5 : Z 軸降下(2 ブロック)

補正後

ワーク

図6.6.5 (e)

このとき、読み込みブロック数が 3 のため、N1 の補正開始時に N5 までは読めますが、N6 のブロックまで読むこと

ができません。結局、N1 のブロックの情報だけをもとにして補正を行うことになり、補正開始ブロックの終点に垂直

なベクトルを作ります。したがって、図 6.6.5(e)のように普通は切り込み過ぎが生じます。 このような場合、上記の規則を利用して Z 軸が切り込んだ後、進行方向と全く同じ方向の指令をあらかじめ Z 軸の切

り込み直前に指令しておくことにより、切り込み過ぎを防ぐことができます。

Page 214: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 202 -

N1 G91 G00 G41 X500.0 Y400.0 D1 ; N2 Y100.0 ; N3 Z-250.0 ; N5 G01 Z-50.0 F100 ; N6 Y1000.0 F200 ;

N3, N5 : Z 軸降下(2 ブロック)

ワーク

N1

N6補正後

N2

図6.6.5 (f)

N2 で、N6 の進行方向と同じ方向を指令しているので正しく補正されます。 また、スタートアップのブロックに、N1 G91 G00 G41 X500. Y500. I0 J1 D1;のように、IJ タイプベクトルを Z 軸が切

り込んだ後進行する方向と同じ方向に指令しても、同様に切り込み過ぎを防ぐことができます。

6.6.6 干渉チェック

工具がワークに切込んでしまうことを干渉といい、干渉をある程度未然に防ごうとする機能を干渉チェックといいま

す。ただし、干渉チェック機能によってすべての干渉を防げるわけではなく、また実際には干渉しないけれどチェッ

クされる場合もあります。

解説 ・干渉チェックが可能な条件 干渉チェックを行うには、移動のあるブロックを最低 3 ブロック以上読み込む必要があります。このためオフセット

モード中は、補助機能単独指令、ドウェル等、移動をともなわないブロックを連続して指令することにより、移動の

あるブロックを 3 ブロック以上読み込めなかった場合、干渉チェックができずに切り込み過ぎまたは切り込み不足を

生じることがあります。パラメータ(No.19625)で決まるオフセットモード中の読み込みブロック数を N、また読み込

んだ N ブロックのうち移動をともなわないブロックの指令数を M とすると、干渉チェックが可能な条件は (N-3) ≧ M となります。例えばオフセットモード中の最大読み込みブロック数が 8 のとき、移動のないブロックを 5 ブロックま

では指令しても干渉チェックが可能です。ただしこの場合は、隣接する 3 ブロック間の干渉はチェックできますが、

その先で生じる干渉については検出できません。

・干渉チェックの方法 干渉チェックの方法には、後述の方向チェックおよび円弧角度チェックの 2 種類があります。パラメータ

CNC(No.5008#1)およびパラメータ CNV(No.5008#3)により、これらの方法および有効/無効を設定します。 パラメータ CNV パラメータ CNC 動作

0 0 干渉チェックは有効であり、方向チェックおよび円弧角度チェックを行いま

す。 0 1 干渉チェックは有効であり、円弧角度チェックのみ行います。 1 - 干渉チェックは無効です。

注 方向チェックのみ行うという設定はありません。

Page 215: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 203 -

・干渉とみなす基準①(方向チェック) 工具径補正中の読み込みブロック数を N とすると、最初に今回出力されるべき(ブロック 1-ブロック 2)間で計算

される補正ベクトル群と、(ブロック N-1-ブロック N)間で計算される補正ベクトル群とをチェックし、交差が生

じていれば干渉と判断します。なければ順次 (ブロック 1-ブロック 2)と(ブロック N-2-ブロック N-1) (ブロック 1-ブロック 2)と(ブロック N-3-ブロック N-2)

: :

(ブロック 1-ブロック 2)と(ブロック 2-ブロック 3) のように今回出力される補正ベクトル群に近づく方向にチェックしていきます。補正ベクトル群は、複数生じる場合

でも、すべてのペアについてチェックします。 判断の方法は、(ブロック 1-ブロック 2)と(ブロック N-1-ブロック N)の補正ベクトル群のチェックの場合、指

令された(ブロック 1 の終点)から(ブロック N-1 の終点)への方向ベクトルと、(ブロック 1 の終点にチェックす

る補正ベクトルを加えた点)から(ブロック N-1 の終点にチェックする補正ベクトルを加えた点)への方向ベクトル

を比較し、方向が 90°以上 270°以下である場合に交差であり、干渉と判断します。これを方向チェックといいます。 干渉とみなす基準①の例 (ブロック 1 の終点ベクトルとブロック 7 の終点ベクトルが交差する場合)

ブロック 1 ブロック 8 ブロック 2 ブロック 7

ブロック 4 ブロック 5

ブロック 6

プログラム経路

工具中心経路

180°方向が相違します

ブロック 3

干渉とみなす基準①の例 (ブロック 1 の終点ベクトルとブロック 2 の終点ベクトルが交差する場合)

プログラム経路工具中心経路

方向が違っている (180°)

ブロック 1

ブロック 2

Page 216: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 204 -

・干渉とみなす基準②(円弧角度チェック) 隣接する 3 ブロック間のチェック、すなわち(ブロック 1-ブロック 2)間で計算される補正ベクトル群と(ブロッ

ク 2-ブロック 3)間で計算される補正ベクトル群とのチェックにおいては、ブロック 2 が円弧の場合、①の方向チ

ェックに加えて、プログラム経路の始点-終点間の円弧角度と、補正後経路の始点-終点間の円弧角度をチェックし

ます。そして、この差が 180°以上の場合、干渉と判断します。これを円弧角度チェックといいます。 ②の例(ブロック 2 が円弧でかつ補正後の円弧の始点と終点が一致する場合)

プログラム経路工具中心経路

ブロック 1

ブロック 2

ブロック 3

プログラム経路

・実際は干渉しなくても干渉するとみなされる場合

① 工具径・刃先 R 補正量より小さいくぼみ

プログラムされた経路 工具中心経路

AB

C

停止

実際は干渉しませんが、ブロック B においてプログラムの方向と工具径補正が行なわれた後の経路の方向とが逆

なので干渉とみなしアラームで停止します。

Page 217: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 205 -

② 工具径・刃先 R 補正量より小さい溝

B C

停止

プログラムされた経路 工具中心経路

A

①と同様、ブロック B において方向が逆になるため、干渉とみなしアラームで停止します。

6.6.6.1 干渉と判断された場合の動作

干渉チェックにより干渉(切り込み過ぎ)が発生したと判断された場合の動作は、パラメータ CAV(No.19607#5)の設

定により次の 2 種類を選択することができます。

パラメータ CAV 機能 動作

0 干渉チェックアラーム機能 切り込み過ぎ(干渉)が発生するブロックの実行前で、アラ

ーム停止します。

1 干渉チェック回避機能 切り込み過ぎ(干渉)が発生しないように工具経路を変更し、

加工を続行します。

6.6.6.2 干渉チェックアラーム機能

・隣接する 3 ブロック間以外での干渉 図 6.6.6.2 (a)のように、ブロック 1 の終点ベクトルとブロック 7 の終点ベクトルとの間で干渉と判断された場合、ブロ

ック 1 の動作を行う前にアラームとなり、停止します。この場合、ベクトルの消去は行われません。

ブロック 8

ブロック 7

ブロック 3

ブロック 4 ブロック 5

ブロック 6

ブロック 2

停止

工具中心経路

プログラム経路

ブロック 1

図6.6.6.2 (a)

Page 218: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 206 -

・隣接する 3 ブロック間での干渉 隣接する 3 ブロックの間で干渉と判断された場合、干渉しているベクトルおよびそれより内側に存在するベクトルを

消去し、残りのベクトルを接続する経路を作ります。図 6.6.6.2 (b)の例では、V2 と V5 が干渉しているため、V2、V5およびその内側の V3、V4 が消去され、V1→V6 と接続されます。なお、この間の動作は直線補間となります。

工具中心経路

プログラム経路

V4

V2

V3

V1

V5

V6

図6.6.6.2 (b)

ベクトルの消去後、最後の 1 つのベクトルになってもまだ干渉しているか、または最初から 1 つずつのベクトルしか

なくて干渉している場合、前のブロックの開始直後(シングルブロックのときは終点)でアラームとなり停止します。

図 6.6.6.2 (c)の例では、V2と V3が干渉していますが、これを消去しても最後の V1と V4も干渉するためアラームにな

ります。

停止 工具中心経路

プログラム経路

V4 V1

V3 V2

図6.6.6.2 (c)

Page 219: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 207 -

6.6.6.3 干渉チェック回避機能

概要 干渉チェックアラーム機能において干渉アラームとなる条件が満たされるような指令がされた場合、本機能が選択さ

れているときは干渉アラームとはせずに、干渉を回避する経路となる新しい補正ベクトルを計算し、加工を続行させ

ます。ただし、干渉が回避された経路は、プログラム経路に対して切り込み不足になります。また、指令形状によっ

ては干渉を回避する経路が求められない場合や、干渉回避の経路が危険であると判断されることがあります。このよ

うな場合にはアラーム停止します。したがってすべての指令に対して干渉が回避できるわけではありません。

・干渉の回避方法 (ブロック 1-ブロック 2)間の補正ベクトルと、(ブロック N-1-ブロック N)間の補正ベクトルとで干渉が生じる

場合を考えます。ブロック 1 の終点からブロック N-1 の終点への方向ベクトルをギャップベクトルといいます。この

とき(ブロック 1-ギャップベクトル)間の補正後の交点ベクトルと、(ギャップベクトル-ブロック N)間の補正

後の交点ベクトルを求めて、これを接続する経路を作ります。

ブロック 7 の移動

ブロック 1-ギャップベクトル間の

補正後交点ベクトル ギャップベクトル-ブロック 8 間の

補正後交点ベクトル

補正後経路

プログラム経路

ブロック 1ブロック 8

ブロック 2ブロック 7

ギャップベクトル

ブロック 3 ブロック 6

ブロック 4 ブロック 5

この場合、補正後のブロック 2~ブロック 6 の終点はブロック 1 の終点に一

致するようになります。よってブロック 2~ブロック 6 は、補正後は移動の

ないブロックになります。

図6.6.6.3 (a) (ブロック 1-ギャップベクトル)の補正後の交点ベクトルと、(ギャップベクトル-ブロック N)の補正後の交点

ベクトルがさらに交差する場合、まず「隣接する 3 ブロックの間での干渉」と同様の方法でベクトル消去を行います。

そして最後に残ったベクトルがまだ交差する場合、(ブロック 1-ブロック N)の補正後の交点ベクトルを再度計算

して求めます。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 208 -

この場合、補正後のブロック 2~ブロック 7 の終点は、

ブロック 1 の終点に一致するようになります。

よってブロック 2~ブロック 7 は、補正後は移動のない

ブロックになります。

ブロック 3

ブロック 1-ギャッ

プベクトル間の補正

後交点ベクトル

再計算

ブロック 8

ブロック 2

ブロック 3

ブロック 4 ブロック 5

ブロック 6

ブロック 7

補正後経路

プログラム経路

ブロック 8

ブロック 7

ブロック 6

ギャップベクトル-ブロ

ック 8 間の補正後交点

ベクトル

ブロック 1 ブロック 1

ブロック 1-ブロ

ック 8間の補正後

交点ベクトル

ギャップブロック 2

ブロック 4 ブロック 5

図6.6.6.3 (b)

また、図 6.6.6.3 (c)のように指令された円弧の半径より工具径・刃先 R 補正量が大きく、かつ円弧の内側に対して補

正されるような指令がされた場合、円弧の指令は直線とみなして交点計算を行うことにより、干渉を回避します。こ

の場合、回避ベクトル間は直線補間で接続されます。

プログラム経路

補正後経路

図6.6.6.3 (c)

Page 221: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 209 -

・干渉回避ベクトルが存在しない場合 図 6.6.6.3 (d)のような平行ポケットを加工する場合、ブロック 1 の終点ベクトルとブロック 2 の終点ベクトルとの間で

干渉と判断され、干渉回避ベクトルとしてブロック 1 の補正後経路とブロック 3 の補正後経路の交点ベクトルを計算

しようとします。この場合、ブロック 1 とブロック 3 が平行であるため、交点が存在しません。このような場合ブロ

ック 1 の直前でアラームとなり停止します。

ブロック 1

ブロック 2

ブロック 3

プログラム経路

工具中心経路 停止

図6.6.6.3 (d)

また図 6.6.6.3 (e)のような円弧のポケットを加工する場合、ブロック 1 の終点ベクトルとブロック 2 の終点ベクトルと

の間で干渉と判断され、干渉回避ベクトルとしてブロック 1 の補正後経路とブロック 3 の補正後経路の交点ベクトル

を計算しようとします。この場合、ブロック 1 とブロック 3 が円弧で補正後の交点が存在しなくなります。このよう

な場合も先の例と同様にブロック 1 の直前でアラームとなり停止します。

プログラム経路 工具中心経路

ブロック 1

ブロック 2

ブロック 3

停止

図6.6.6.3 (e)

・干渉を回避すると危険と判断される場合 図 6.6.6.3 (f)のような鋭角ポケットを加工する場合、ブロック 1 の終点ベクトルとブロック 2 の終点ベクトルとの間で

干渉と判断され、干渉回避ベクトルとしてブロック 1 の補正後経路とブロック 3 の補正後経路の交点ベクトルを計算

しようとします。この場合、回避後経路の移動方向が元の指令方向に対して極端に異なる方向となってしまいます。

このように回避後の経路が元の指令に対して極端に異なる(90°以上 270°以下である)場合、干渉回避動作は危険

であると判断し、ブロック 1 の直前でアラームとなり停止します。

Page 222: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 210 -

工具中心経路

プログラム経路

ブロック 1

ブロック 2

ブロック 3

停止

補正後のブロック 1 と

ブロック 3 の交点

図6.6.6.3 (f)

また図 6.6.6.3 (g)のように入り口より底のほうが広いポケットを加工する場合、ブロック 1 の終点ベクトルとブロック

2 の終点ベクトルとの間で干渉と判断され、干渉回避ベクトルとしてブロック 1 の補正後経路とブロック 3 の補正後

経路の交点ベクトルを計算しようとします。この場合、ブロック 1 とブロック 3 の関係が外側と判定されるため、回

避後経路が元の指令に対して切り込み過ぎとなってしまいます。このような場合も同様に干渉回避動作は危険である

と判断し、ブロック 1 の直前でアラームとなり停止します。

工具中心経路

プログラム経路

補正後のブロック 1 と

ブロック 3 の交点

ブロック 1

ブロック 2

ブロック 3

停止

図6.6.6.3 (g)

・干渉回避ベクトルに対してさらに干渉が生じる場合 図 6.6.6.3 (h)のようなポケットを加工する場合、読み込みブロック数が 3 ならばブロック 1 の終点ベクトルとブロック

2 の終点ベクトルとの間で干渉と判断され、干渉回避ベクトルとしてブロック 1 の補正後経路とブロック 3 の補正後

経路の交点ベクトルを計算します。しかしこの場合、次に計算されるブロック 3 の終点ベクトルが、先の干渉回避ベ

クトルに対してさらに干渉してしまいます。このように一度作成され出力された干渉回避ベクトルに対してさらに干

渉が生じる場合、そのブロックの移動は行われず直前でアラームとなり停止します。

Page 223: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 211 -

工具中心経路

プログラム経路

ブロック 1

ブロック 2

ブロック 3

ブロック 5

ブロック 3 とブロック 4の交点ベクトルがさらに

干渉

停止

ブロック 4

図6.6.6.3 (h)

注 1 「干渉を回避すると危険と判断される場合」および「干渉回避ベクトルに対してさらに干渉が生じる場合」

については、パラメータ NAA(No.19607#6)の設定により、アラームとせず加工を続行させることができま

す。ただし、「干渉回避ベクトルが存在しない場合」については、本パラメータの設定によらずアラームを

回避することはできません。 2 干渉回避動作中にシングルブロック停止し、手動介入、MDI 介入、工具径・刃先 R 補正量の変更等、元の移

動と異なるような操作を行った場合、新しい経路での交点計算を行います。よってこのような操作を行った

場合は、干渉回避されていたものがまた干渉してしまうことがありますので、注意して下さい。

Page 224: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 212 -

6.6.7 MDIからの入力に対する工具径・刃先R補正

解説 ・MDI 運転

MDI 運転、すなわちリセット状態において MDI モードにてプログラム指令をしてサイクルスタートをかけた場合、

メモリ運転/DNC 運転と同様に交点計算が行われて補正されます。MDI 運転によりプログラムメモリ中のサブプロ

グラムを呼出した場合も同様に補正されます。

プログラムメモリ中の

サブプログラム

O9000 ;N1 G41 G17 G91 G01 X10. Y10. D1 ;N2 Y15. ;N3 X15. ;N4 Y-15. ;N5 X-15. ;N6 G40 X-10. Y-10. ;M99 ;

MDI 指令

G90 G00 X0 Y0 ;M98 P9000 ;M02 ;

N6

N2

N3

N4

N5

N1

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 213 -

・MDI 介入 MDI 介入、すなわちメモリ運転/DNC 運転等の途中でシングルブロック停止させて自動運転停止状態とし、MDI モードにてプログラム指令をしてサイクルスタートをかけた場合、工具径補正は交点計算を行わずに、介入前の最後の

補正ベクトルを保持し続けます。

MDI 介入

MDI 介入

G91 X30. ;X20. Y20. ;X20. Y-20. ;

MEM モード

(G41)N2 G91 X10. Y30. ;N3 X10. Y-30. ;N4 X40. ;

N2 N3 N4プログラム指令

最後の補正ベクトル

保持された補正ベクトル

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 214 -

6.7 ベクトル保持(G38)

工具径・刃先 R 補正において、オフセットモード中に G38 を指令することにより、交点計算を行わずに前のブロック

の終点位置での補正ベクトルを保持することができます。

フォーマット (オフセットモード中)

G38 IP_ ; IP:軸移動の指令値

解説 ・ベクトル保持 上記の指令をすることにより、G38 の 1 つ前のブロックの終点において、そのブロックに垂直なベクトルが出力され

ます。そして、G38 のブロックでは、前のブロックで出力された垂直なベクトルが保持されます。G38 は、ワンショ

ット G コードです。従って、G38 指令のない次の移動指令で補正ベクトルは作り直されます。

制限事項 ・モード

G38 は G00 または G01 モードで指令して下さい。G02 または G03(円弧補間)モードで指令した場合は、始点と終点

で半径誤差を生じることがあります。

・スタートアップ/キャンセル スタートアップ/キャンセルにおいては、スタートアップでの工具の動きの項およびオフセットモードキャンセルで

の工具の動きの項に記載の動作となります。従って、次のブロックでは、G38 を指令することはできません。 1) スタートアップ指令(G41、G42)のブロック 2) キャンセル指令(G40)のブロック 3) キャンセル指令(G40)の1つ前のブロック

例題

Y 軸

X 軸

(10.0, 0.0)

(15.0, 5.0)

ブロック N1 オフセットベクトルブロック N2

ブロック N3

プログラム指令

工具中心経路

: : (オフセットモード中)

(G90)N1 G38 X10.0 Y0.0 ;N2 G38 X15.0 Y5.0 ;N3 G38 X10.0 Y0.0 ;N4 X20.0 ; :

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 215 -

6.8 コーナ円弧補間(G39)

工具径・刃先 R 補正において、オフセットモード中に、G39 を指令することにより、コーナにおいて補正量を半径と

するコーナ円弧補間を行うことができます。

フォーマット セットモード中に

G39 ; 又は

I_ J_ G39 I_ K_ ; J_ K_

解説 ・コーナ円弧補間 上記の指令をすることによりコーナにおいて、補正量を半径とするコーナ円弧補間を行うことができます。円弧が右

回りか、左回りかは、その前に指令されている G41、G42 によって決まります。G39 は、ワンショット G コードです。

・I,J,K 指令がない場合の G39 G39 を指令すると、円弧の終点ベクトルが次のブロックの始点に垂直となるコーナ円弧を作ります。

・I,J,K 指令がある場合の G39 I,J,K 指令をすると、円弧の終点ベクトルが I,J,K で指定されたベクトルに垂直となるコーナ円弧を作ります。

制限事項 ・移動指令

G39 のブロックでは、移動を指令することはできません。アラームとなります。

・内側コーナ 内側コーナのブロック間に対して、G39 を指令することはできません。指令した場合は、切り込み過ぎを生じます。

・コーナ円弧の速度 G00 モードで G39 によりコーナ円弧を指令した場合でも、コーナ円弧のブロックの速度は前に指令された F 指令によ

る速度となります。プログラム中に一度も F 指令がされていない状態において G39 が指令された場合は、コーナ円弧

のブロックの速度はパラメータ(No.1411)に設定された速度となります。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 216 -

例題 ・I,J,K 指令がない場合の G39

: :(オフセットモード中) (G90) N1 X10.0 ; N2 G39 ; N3 Y-10.0 ; : :

Y 軸

X 軸

(10.0, 0.0)

(10.0, -10.0)

ブロック N1 オフセットベクトル

ブロック N2(コーナ円弧)

ブロック N3

プログラム指令

工具中心経路

・I,J,K 指令がある場合の G39 :

:(オフセットモード中)

(G90) N1 X10.0 ; N2 G39 I1.0 J-3.0 ; N3 X0.0 Y-10.0 ; : :

Y 軸

X 軸

ブロック N1 オフセットベクトル

ブロック N2(コーナ円弧)

ブロック N3

工具中心経路

(I=1.0, J=-3.0)

(0.0, -10.0)

プログラム指令

(10.0, 0.0)

Page 229: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 217 -

6.9 3 次元工具補正(G40, G41)

工具径補正が選択された平面内で 2 次元的にオフセットされるのに対して、3 次元工具補正は 3 次元のオフセット方

向をプログラムによって指定することで、工具を 3 次元的にオフセットさせることができる機能です。

フォーマット ・スタートアップ(3 次元工具補正開始)

工具径補正キャンセルモードにおいて次の指令を実行すると、3 次元工具補正モードとなります。

G41Xp_Yp_Zp_ I_ J_ K_D_ ; Xp : X 軸又はその並行軸 Yp : Y 軸又はその並行軸 Zp : Z 軸又はその並行軸 I : J : 解説を参照して下さい。 K : D : 工具補正量指定コード(1~3 桁)(D コード)

・3 次元工具補正キャンセル

3 次元工具補正モードにおいて次の指令を実行すると、工具径補正キャンセルモードとなります。

・移動と共にキャンセルする場合 G40 Xp_Yp_Zp_ ; 又は Xp_Yp_Zp_ D00 ;

・ベクトル分だけキャンセルする場合 G40; 又は D00;

・オフセット空間の選択

3 次元工具補正を行う 3 次元空間は、G41 が指令されたスタートアップのブロックで指令された軸アドレスにより

決まります。Xp,Yp,又は Zp が指令されなかった場合は基本3軸である X,Y,又は Z が指令されたとみなされます。

(例) X と U, Y と V, Z と W が平行軸の場合 G41 X_I_J_K_D_; X, Y, Z 空間 G41 U_V_Z_I_J_K_D_; U, V, Z 空間 G41 W_I_J_K_D_; X, Y, W 空間

解説 ・3 次元工具補正ベクトル

3 次元工具補正モード中の各ブロックの終点では、以下に述べるような 3 次元工具補正ベクトルが作りだされます。

プログラムされた経路

3 次元工具補正された経路

3 次元工具補正ベクトル

G41

G40

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 218 -

3 次元工具補正ベクトルは、次式により求まります。 i・r

Vx= p

(Xp 軸方向のベクトル成分)

j・r Vy=

p (Yp 軸方向のベクトル成分)

k・r Vz=

p (Zp 軸方向のベクトル成分)

i,j,k はそのブロックで指令された、アドレス I,J,K の値です。r は指令されたオフセット番号に対応するオフセット値

です。 p は次式により求まる値です。 p= i2+j2+k2 3 次元工具補正ベクトルの方向のみならず、その大きさの成分もプログラムで指定したい場合は、Vx,Vy,Vz を求める

式における p の値を、定数としてパラメータで設定することができます。 (パラメータ(No.5011)) ただし、パラメータの設定値が 0 の場合は、 p= i2+j2+k2 とみさなれます。

・他の補正機能との関係

工具長補正 指令した通路に対して 3 次元工具補正が行われ、それ以後の通路に対しては工具長補正が行わ

れます。

工具位置補正 3 次元工具補正モード中に工具位置補正を指令すると、 アラームとなります(アラーム(PS0042))。

工具径補正 スタートアップ時において、アドレス I、J、K の 3 つを全て指令すると 3 次元工具補正モード

となり、二つ以下の場合は工具径補正モードとなります。従って、3 次元工具補正モード中に

工具径補正を、また、工具径補正モード中に 3 次元工具補正を指令することはできません。

・I, J, K の場合 スタートアップ時にはアドレス I、J、K 全てを指令しなければなりません。1 つでも欠けると 2 次元の工具径補正の

スタートアップとなります。また、3 次元工具補正モード中で、I、J、K の全てが省略されたブロックでは、前のブロ

ックで作られたベクトルと同じベクトルがブロックの終点に作られます。

・G42 一般にスタートアップ時には G41 を指令しますが、G42 を指令してもスタートアップは行え、G41 の場合と逆方向に

補正を行います。

・各補間でのオフセットベクトル 円弧補間、ヘリカル補間(いずれも G02、G03)およびインボリュート補間(G02.2、G03.2)を指令すると、前のブロッ

クで作られたベクトルがそのまま保存されます。

円弧の前のブロックのベクトル

プログラムされた通路 3 次元工具補正された通路 3 次元工具補正ベクトル

同じベクトルが作られる。

・レファレンス点復帰チェック(G27) レファレンス点復帰チェック(G27)を指令するときは、3 次元工具補正をキャンセルしてから行ってください。G27 の

指令で到達する位置は、補正モード中であればオフセット量を加味した位置となります。従って、そこがレファレン

ス点でなければ、レファレンス点復帰ランプは点灯しません(アラーム(PS0092))。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 219 -

・各レファレンス点への復帰(G28, G30, G30.1) レファレンス点への復帰(G28)、第 2、第 3、又は第 4 レファレンス点への復帰(G30)、フローティングレファレンス点

への復帰(G30.1)を指令すると、ベクトルは中間点でクリアされます。

・スタートアップ時のアラーム 3 次元工具補正のスタートアップ時に、以下の条件があるとアラームが発生します。 ・ 同方向の軸が 2 軸以上指令されている(アラーム(PS0047))。 ・ Xp、Yp、Zp が省略された場合に、基本 3 軸が設定されていない(アラーム(PS0048))。

・3 次元工具補正モード中のアラーム 3 次元工具補正モード中に以下の G コードを指令すると、アラームが発生します。

G05 高速サイクル加工(アラーム(PS0178)) G31 スキップ機能(アラーム(PS0036)) G51 スケーリング(アラーム(PS0141))

・ベクトルがクリアされる指令

3 次元工具補正モード中に以下のG コードを指令すると、ベクトルがクリアされます。 G73 ペックドリリングサイクル G74 逆タッピングサイクル G76 ファインボーリング G80 固定サイクルキャンセル G81 ドリルサイクル・スポットボーリング G82 ドリルサイクル・カウンタボーリング G83 ペックドリリングサイクル G84 タッピングサイクル G85 ボーリングサイクル G86 ボーリングサイクル G87 バックボーリングサイクル G88 ボーリングサイクル G89 ボーリングサイクル G53 機械座標系選択

・同じベクトルが作られる指令

3 次元工具補正モード中に以下の G コードを指令すると、前のブロックで作られたベクトルと同じベクトルが、次の

移動の終点に作られます。 G02 円弧補間/ヘリカル補間(CW) G03 円弧補間/ヘリカル補間(CCW) G02.2 インボリュート補間(CW) G03.2 インボリュート補間(CCW) G04 ドウェル G10 データ設定 G22 ストアードストロークチェック機能 ON

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 220 -

6.10 工具補正量、工具補正個数およびプログラムによる工具補正量の

入力(G10)

工具補正量には、形状補正量と摩耗補正量とがあります(図 6.10 (a))。

OFSG

OFSWOFSG : 形状補正量OFSW : 摩耗補正量

基準点

図6.10 (a) 形状補正量と摩耗補正量

工具補正量は、CNC のメモリに MDI から設定したり(Ⅲ-1.1.1 参照)、プログラム入力することができます。 CNC に設定(入力)された工具補正量は、プログラムでアドレス H 又は D に続くコードで指定されて、工具長補正、

工具径補正および工具位置オフセットの補正量として用いられます。 工具補正メモリには補正量の構成に従って工具補正メモリ A/B/C の 3 種類があり、いずれかを選択することができま

す。

解説 ・工具補正メモリ A 工具補正メモリ A では形状補正用メモリと摩耗補正用メモリの区別がありません。従って形状補正と摩耗補正を合わ

せた量を補正メモリに設定します。また、工具径補正用(D コード用)と工具長補正用(H コード用)の区別もあり

ません。

設定例 オフセット番号 補正量(形状+摩耗) D コード/H コード共通

001 10.000 D コード用 002 20.000 D コード用 003 100.000 H コード用 ・・・ ・・・ ・・・

・工具補正メモリ B 工具補正メモリ B では形状補正用メモリと摩耗補正用メモリが別々に用意されます。従って形状補正量と摩耗補正量

を別々に設定することができます。ただし、工具補正用(D コード用)と工具長補正用(H コード用)の区別はあり

ません。

設定例 オフセット番号 形状補正用 摩耗補正用 D コード/H コード共通

001 10.100 0.100 D コード用 002 20.200 0.200 D コード用 003 100.000 0.100 H コード用 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

Page 233: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 221 -

・工具補正メモリ C 工具補正メモリ C では形状補正用メモリと摩耗補正用メモリが別々に用意されます。従って形状補正量と摩耗補正量

を別々に設定することができます。さらに、工具補正用(D コード用)と工具長補正用(H コード用)に別々のメモ

リが用意されています。 設定例

D コード H コード オフセット番号

形状補正用 摩耗補正用 形状補正用 摩耗補正用 001 10.000 0.100 100.000 0.100 002 20.000 0.200 200.000 0.300 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

さらに、切削点指令のオプションが有効な場合、コーナ R オフセット用(D コード用)に別のメモリが用意されてい

ます。

設定例 D コード

(工具補正用) D コード

(コーナ R オフセット用)H コード

オフセット番号 形状補正用 摩耗補正用 形状補正用 摩耗補正用 形状補正用 摩耗補正用

001 10.000 0.100 1.000 0.100 100.000 0.100 002 20.000 0.200 2.000 0.400 200.000 0.300 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

・工具補正量の単位と設定範囲 工具オフセット量の単位と設定範囲は、パラメータにより以下のいずれかを選択できます。

補正量の単位と設定範囲(メトリック入力) OFE OFD OFC OFA 単位 設定範囲

0 0 0 1 0.01mm ±9999.99mm 0 0 0 0 0.001mm ±9999.999mm 0 0 1 0 0.0001mm ±9999.9999mm 0 1 0 0 0.00001mm ±9999.99999mm 1 0 0 0 0.000001mm ±999.999999mm

補正量の単位と設定範囲(インチ入力)

OFE OFD OFC OFA 単位 設定範囲 0 0 0 1 0.001inch ±999.999inch 0 0 0 0 0.0001inch ±999.9999inch 0 0 1 0 0.00001inch ±999.99999inch 0 1 0 0 0.000001inch ±999.999999inch 1 0 0 0 0.0000001inch ±99.9999999inch

・工具補正個数 システム全体で使用する工具補正データの個数は、機械によって異なりますので機械メーカ発行の説明書を参照して

ください。

フォーマット 工具補正メモリの種類によってプログラミングのフォーマットが異なります。 工具補正メモリ A の場合

G10 L11 P_ R_ Q_ ; P_ : 工具補正番号 R_ : 工具補正量 Q_ : 仮想刃先番号

Page 234: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 222 -

工具補正メモリ B の場合 G10 L_ P_ R_ Q_ ;

L_ : 補正メモリの種類 L10 : 形状補正量 L11 : 摩耗補正量 P_ : 工具補正番号 R_ : 工具補正量 Q_ : 仮想刃先番号

工具補正メモリ C の場合

G10 L_ P_ R_ Q_ ; L_ : 補正メモリの種類 L10 : H コードに対応する形状補正量 L11 : H コードに対応する摩耗補正量 L12 : D コードに対応する形状補正量 L13 : D コードに対応する摩耗補正量 L110 : D コード(コーナ R オフセット用)に対応する形状補正量 L111 : D コード(コーナ R オフセット用)に対応する摩耗補正量 P_ : 工具補正番号 R_ : 工具補正量

Q_ : 仮想刃先番号 G10 の指令により工具補正量の設定/変更ができます。 アブソリュート入力(G90)で G10 を指令すると、指令された値が新たな工具補正量となります。 インクレメンタル入力(G91)で指令すると、現在設定されている工具補正量に指令された値を加算したものが新たな工

具補正量となります。

注 1 アドレス R は工具オフセット量の設定単位に従います 2 従来の CNC フォーマットとの互換性のため、L を省略した場合、L1 を指令した場合は L11 と同様の動作と

なります。 3 仮想刃先番号は工具径補正機能があり、仮想刃先方向を使用する場合に設定します。

6.11 座標回転(G68, G69)

プログラムで指令される形状を回転させることができます。この機能を使用することにより、例えば、取付けたワー

クが機械の座標に対して回転した位置にある場合に回転指令により補正することができます。また、1 つの形状を回

転したようなパターンがある場合、その形状のプログラムをサブプログラムとして回転させて呼び出すことにより、

プログラムの作成時間及び長さを短縮できます。

回転角

回転中心

Y

X O

図6.11 (a) 座標回転

Page 235: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 223 -

フォーマット G17 G18 G68α_β_R_ ; 座標回転開始 G19 : 座標回転モード : (座標回転します。) G69 ; 座標回転キャンセル

G17(G18 又は G19) : 回転する形状が存在する平面選択 α_β_: 現在指定されている平面選択指令(G17~G19 のいずれか)と一致する X,Y,Z のうちの 2 軸のアブ

ソリュート指令。 G68 以降の指令値に対する回転中心の座標値

R_: 反時計方向を十とする回転角度の指令パラメータ RIN(No.5400#0)の設定により、常にアブソリュ

ート指令とするか G コードのアブソリュート(G90)/インクレメンタル(G91)の指令に従うかの選択

が可能。 単位: 0.001deg 指令範囲: -360,000~360,000

(α,β)

回転角度 R(インクレメンタル値)

回転中心

X

Y

回転角度 R(アブソリュート値)

図6.11 (b) 座標回転

注 回転角度指令(R_)に小数点を使用した時、小数点の位置は度の単位になります。

解説 ・平面選択 G コード G17,G18 又は G19 平面選択の指令 G コード(G17,G18,G19)は、座標回転の指令Gコード(G68)よりも前のブロックで指令することができ

ます。G17,G18,又は G19 は、座標回転モードでは指令しないで下さい。

・座標回転モードでのインクレメンタル指令 G68 が指令された後にアブソリュート指令が来るまでのインクレメンタル指令に対しては、G68 が指令された時の工

具の位置が回転中心になります(図 6.11 (c))。

・回転中心 回転中心α_、β_が指令されない時、G68 が指令された時の工具の位置が回転中心になります。

・回転角度指令 回転角度指令(R_)を省略するとパラメータ(No.5410)に設定された値が角度となります。 回転角度指令(R_)は、パラメータ FRD(No.11630#0)を 1 に設定すると、0.00001deg 単位(10 万分の 1)にすることが

できます。この場合の指令範囲は、-36000000 ≦ R ≦ 36000000 となります。

・座標回転キャンセル 座標回転キャンセル指令の G コード(G69)は他の指令と同一ブロックに入ってもかまいません。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 224 -

・工具補正 工具径・刃先 R 補正、工具長補正、工具位置オフセットなどの補正動作は座標回転後、行われます。

・3 次元座標変換(G68,G69)との関係 座標回転は 3 次元座標変換と共通の G コード、すなわち G68,G69 を用います。I,J,K の指令があれば 3 次元座標変換

とみなされ、I,J,K の指令がなければ、2 次元の座標回転の指令とみなされます。

制限事項 ・レファレンス点復帰/座標系関係 座標回転モード中にレファレンス点復帰関連の G コード(G27,G28,G29,G30 等)、座標系を変更する指令(G52~G59,G92 等)を指令することはできません。これらの G コードを指令する場合はモードをキャンセルしてから行って

下さい。

・インクレメンタル指令 座標回転キャンセル(G69)の後の最初の移動指令は必ずアブソリュートで指令して下さい。インクレメンタル指令の場

合は正しく移動しません。

・座標回転の 1 軸指令の注意 以下のパラメータにより、アブソリュートモードで 1 軸指令した場合の移動位置を選択できます。2 軸指令の場合は、

パラメータに関係なく同じ位置に移動します。 パラメータ AX1(No.11600#5) 座標回転モードにおいて、アブソリュートモードで1軸指令した場合 0: まず、回転前の座標系で指令位置を算出し、座標を回転します。 1: まず、座標系が回転し、次にその座標系上で指令位置に移動します。(FS16i/18i/21i互換仕様) 本パラメータにより、指令していない軸の座標の取扱いが変わるため、移動する位置が異なります。

(例)

G90 G0 X0 Y0 G01 X10. Y10. F6000 G68 X0 Y0 R45. ・・・・座標回転指令 Y14.142 ・・・・・・・ 1 軸指令 -------------- ① G69 AX1(No.11600#5)=0 の場合: 回転前の座標系(XY)で指令位置を算出し、座標を回転します。そのため、①における指令では、指令されて

いない X 軸の位置は X10 となり、指令位置は(X10,Y14.142)となります。次に 45 度回転させた移動位置

(X-2.929,Y17.071)に移動します。

Y

座標回転指令前の座標値

:X10,Y1045 度

移動位置

:X-2.929,Y17.071

X

指令位置

:X10,Y14.142

工具経路

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 225 -

AX1(No.11600#5)=1 の場合: ①における指令では、座標回転指令前の座標値(X10,Y10)を 45 度回転した座標系(X'Y')における座標値

(X'14.142,Y'0)に変換します。次に指令位置(X'14.142,Y'14.142)、すなわち移動位置(X0,Y20)に移動します。

回転後の座標系における座標値

:X'14.142,Y'0

Y

座標回転指令前の座標値

:X10,Y10

45 度

X

X'

Y' ●

指令位置

:X'14.142,Y'14.142

移動位置

:X0,Y20

変換

工具経路

例題 ・アブソリュート/インクレメンタル指令

N1 G92 X-500.0 Y-500.0 G69 G17 ;N2 G68 X700.0 Y300.0 R60.0 ;N3 G90 G01 X0 Y0 F200 (G91X500.0Y500.0)N4 G91 X1000.0 ;N5 G02 Y1000.0 R1000.0 ;N6 G03 X-1000.0 I-500.0 J-500.0 ;N7 G01 Y-1000.0 ;N8 G69 G90 X-500.0 Y-500.0 M02 ;

N3 がカッコ内に示したインクレメンタル指令のとき 元のプログラム

60°

(-500.0,-500.0)

(0,0)

回転中心(700.0,300.0)

回転後の工具経路

図6.11 (c) 座標回転モードでのアブソリュート/インクレメンタル

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 226 -

・工具径補正と座標回転

N1 G92 X0 Y0 G69 G01 ;N2 G42 G90 X1000 Y1000 F1000 D01 ;N3 G68 R-30000 ;N4 G91 X2000 ;N5 G03 Y1000 R1000 J500 ;N6 G01 X-2000 ;N7 Y-1000 ;N8 G69 G40 G90 X0 Y0 M30 ;

座標回転しない時のプログラム

座標回転後のプログラム

30°

工具経路

(0,0)

工具径補正モード中に G68,G69 を指令することも可能です。

回転平面と工具径補正の平面は一致していなければなりません。

図6.11 (d) 工具径補正と座標回転

・スケーリングと座標回転 スケーリングモード(G51 モード)中に座標回転を指令すると、回転中心の座標値(α,β)にもスケーリングがか

かります。しかし、回転角度(R)にはかかりません。移動指令に対しては、まずスケーリングがかかった後座標回転が

行われます。 また工具径補正モード(G41,G42)中でかつスケーリングモード(G51)中は、座標回転(G68)を指令することができません。

必ず工具径補正モードにする前に座標回転を指令して下さい。 1. 工具径補正モードでない時の指令順序

G51; スケーリングモード開始 G68; 座標回転モード開始

G69; 座標回転モードキャンセル G50; スケーリングモードキャンセル

2. 工具径補正モードの時の指令順序(図 6.11 (e)) (工具径補正キャンセル) G51; スケーリングモード開始 G68; 座標回転モード開始 : G41; 工具径補正モード開始 :

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 227 -

座標回転だけかかった場合

スケーリングと座標回転がともにかかった場合

スケーリングだけかかった場合

加工プログラム

0

100.0

200.0

200.0 400.0X

Y

G92 X0 Y0 ;G51 X300.0 Y150.0 P500 ;G68 X200.0 Y100.0 R45.0 ;G01 X400.0 Y100.0 ;Y100.0 ;X-200.0 ;Y-100.0 ;X200.0 ;

図6.11 (e) 工具径補正モードの時のスケーリングと座標回転

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 228 -

・繰り返して指令する座標回転 1 つのプログラムをサブプログラムとして登録しておき、角度を変えながらそのプログラムを呼び出すことができま

す。

プログラムされた経路

オフセットを かけた場合の経路

(0, 0)

(0, -10.0)

サブプログラム

パラメータ RIN(No.5400#0)が 1 で回転角度がアブロリュート/インクレメンタル

指令(G90/G91)に従うとした時のプログラム (例) G92 X0 Y0 G69 G17 ; G01 F200 H01 ; M98 P2100 ; M98 P072200 ; G00 G90 X0 Y0 M30 ; O 2200 G68 X0 Y0 G91 R45.0 ; G90 M98 P2100 ; M99 ; O 2100 G90 G01 G42 X0 Y-10.0 ; X4.142 ; X7.071 Y-7.071 ; G40 ; M99 ;

図6.11 (f) 座標回転指令

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 229 -

6.12 砥石摩耗補正

指定された補正平面において指定された点(補正中心)から指令終点位置に向かう直線の延長線上に補正ベクトルを

作成します。

補正ベクトル

プログラム経路

工具中心経路

補正中心

図6.12 (a)

フォーマット

補正中心の選択 G41 P_(n=1,2,3);

G41P1:第1補正中心選択 座標値(パラメータ(No.5081,No.5082)) G41P2:第2補正中心選択 座標値(パラメータ(No.5083,No.5084)) G41P3:第3補正中心選択 座標値(パラメータ(No.5085,No.5086))

スタートアップ

D_; 0 でない D コード

補正モードキャンセル D0;

補正ベクトル保持

G40; 解説 ・補正中心の設定と選択 補正中心は 3 個あり、中心の座標値はパラメータ(No. 5081~5086)で設定します。 この 3 個の中心のうちのどれを使用するかは、G41Pn(n=1, 2, 3)により選択します。

G41 P1 ; ·····························································第 1 補正中心選択 G41 P2 ; ·····························································第 2 補正中心選択 G41 P3 ; ·····························································第 3 補正中心選択

補正中心を選択する際、必ず P1、P2、又は、P3 を同時に指令してください。 P の指令がない場合、または、1~3 以外の値を指令した場合は、アラーム(PS 1618)"P データ誤り(砥石摩耗補正)"にな

ります。 また、補正中心の座標値(パラメータ(No.5081~5086))は、ワーク座標系での値を設定します。

スタートアップ 補正中心が指令され、0 でない D コードを指令することにより、補正モードとなります。 D コードが指令されたブロックに移動指令がない場合でも、補正ベクトルは作成され、移動が行われます。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 230 -

・補正ベクトル 補正中心から指令終点位置に向かう直線の延長線上に、Dコードによるオフセット番号で指定されたオフセット量の

長さの補正ベクトルを作成します。(図 6.12 (a)参照) オフセット量が正の場合、補正ベクトルは指令終点位置に加算され、オフセット量が負の場合、補正ベクトルは指令

終点位置から減算されます。

+ Z

Y+

補正中心

補正ベクトル (+)

プログラム経路

工具中心経路

図6.12 (b) オフセット量(+)

補正中心

+ Z

Y+

補正ベクトル (-)

プログラム経路

工具中心経路

図6.12 (c) オフセット量(-)

補正モードキャンセル

D0 を指令することにより、補正モードはキャンセルされ、補正ベクトルは作成されなくなります。

・補正ベクトル保持 G40 を指令することにより、そのとき作成されている補正ベクトルを保持するモードにすることができます。次の新

たな補正モードになるまで、指令終点位置が、そのベクトル分シフトされます。 補正ベクトル保持モード中に D0 を指令した場合、保持ベクトルもクリアされ、補正モードキャンセルとなります。

・円弧・ヘリカル補間 この補正は円弧補間に対しても有効です。円弧始点での半径と終点での半径が相違する場合は、正しい円弧になりま

せん。螺旋形になります。 ヘリカル補間に対しても同様です。

補正ベクトル

工具中心経路

プログラム経路

補正中心

円弧中心

図6.12 (d)

補正された後の値に対しても、円弧半径誤差限界値(パラメータ(No.3410))のチェックは行われます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 231 -

・G40 モードでの円弧補間 G40 モード円弧指令を行うと円弧中心もベクトル分シフトされます。そのことにより、螺旋形でなく円弧となります。

プログラム円弧中心 保持ベクトル

工具中心経路

プログラム経路

図6.12 (e)

指数関数補間 この補正は、指数関数補間に対しても有効です。補正をかけた後の位置に対して指数関数補間を行います。

・補正平面とG17/G18/G19 による平面選択 補正モード中(補正ベクトル保持モードも含む)は、パラメータによって決められた補正平面の軸に対して、常に補

正ベクトルを作成します。補正ベクトルの作成は、G17/G18/G19 による平面選択とは無関係です。 XY(G17)平面で円弧補間をさせながら、補正平面(例えば YZ 平面)では、補正をかけることが可能です。 補正モード中に、補正軸の一方に移動指令のある場合、補正ベクトル作成により、もう一方の軸の補正ベクトル成分

に変化があれば、その軸の移動を伴うことになります。 (例 1) 補正軸 Y・Z 軸に設定し、X・Y 軸で直線補間指令を行った場合

プログラム通路 a → b 補正後通路 a’ → b’

a

b

a'

b'

Vay

Vby

Y

X

図6.12 (f) XY 平面での通路

a

b

a'

b'

Vay

Vby

Y

Z 補正中心

Vaz

Vb

Vby

Vbz

Va

図6.12 (g) YZ 平面での通路

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 232 -

(例 2) 補正軸 Y・Z 軸に設定し、X・Y 軸で円弧補間指令を行った場合。

プログラム通路 a → b 補正後通路 a’ → b’

a

b

a'

b'

Y

X

円弧中心

図6.12 (h) XY 平面での通路

a'

b'

Vay

Vby

Y

Z 補正中心

Vaz

Vb

Vby

Vbz

Va

a

b

図6.12 (i) YZ 平面での通路

・補正キャンセルモード 電源投入した当初、および、リセット後は、補正キャンセルモードになっています。

・座標系の変更 座標系を変更をする場合は、補正モードをキャンセルしてから指令して下さい。

・レファレンス点への復帰(G28, G30) レファレンス点への復帰(G28, G30)を指令する時には、補正モードをキャンセルしてから指令してください。

制限事項 ・座標変換機能との関係 補正中心の座標値には、プログラマブルミラーイメージ・スケーリング・座標回転等は、かかりません。

・他のオフセット機能との関係 本補正のついたシステムでは、工具径補正・3次元工具補正は使用できません。工具長オフセット・工具位置オフセ

ットとは同時に使用できます。

・補正軸の変更 補正軸の変更は、補正キャンセルモードで行ってください。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 233 -

6.13 手動送りによるアクティブオフセット量変更

概要 荒加工/中仕上げを 1 本の工具で行いたい場合、工具長補正量や工具径補正量を微調整することにより行う場合があ

ります。また、段取り時に、一度設定されたワーク原点オフセット量を微調整したい場合があります。本機能により、

指定されたオフセット量(工具長補正量/工具径補正量/ワーク原点オフセット量)のうち現在有効となっているオ

フセット番号またはワーク座標系に対し、手動送りにより送られた軸の移動量分を自動的に加算することにより、こ

れらのオフセット量を変更することができます。

解説 ・アクティブオフセット量変更モード アクティブオフセット量変更モード信号により指定します。このモード中は、指定されたオフセット量(工具長補正

量/工具径補正量/ワーク原点オフセット量)のうち現在有効となっているオフセット番号またはワーク座標系に対

し、手動送りにより送られた軸の移動量分が自動的に加算されます。本モード中にオフセット量の変更が可能な手動

送りは、手動ハンドル送り/インクレメンタル送り/ジョグ送りです。

注意 1 補正量を変更しようとする軸が移動中の場合は、アクティブオフセット量変更モードにしないで下さい。 2 アクティブオフセット量変更モード中は、相対座標値の 0 リセット、もしくは指定値へのプリセットは行わ

ないで下さい。

・変更するオフセット量の指定 アクティブオフセット選択信号により、工具長補正量/工具径補正量/ワーク原点オフセット量のうちのどれか 1 つ

を指定します。アクティブオフセット量変更モード中は、どのオフセット量が選択されているかを、次の様に画面上

の状態表示の部分に点滅表示します。

選択されているオフセット量 状態表示 工具長補正量 LEN 工具径補正量 RAD

ワーク原点オフセット量 WZR

注意 アクティブオフセット量変更モード中に、補正量を変更する軸が移動中の場合は、変更するオフセット量の

指定を変更しないで下さい。

・工具長補正量の変更 自動運転中に指令された H コードに対応するオフセット番号の工具長補正量が変更されます。サイクルスタート後、

一度も H コードが指令されていない場合などのように、現在有効な工具長補正量が存在しない場合、手動送りにより

軸移動が行われても、工具長補正量の変更は行なわれません。 直線軸の移動により、工具長補正量を変更することができます。回転軸の移動により変更することはできません。ま

た、工具長補正量の変更中は、手動送りで同時に移動できる軸は 1 軸のみです。

例 ・指令された H コード:H10 ・オフセット番号 10 に設定されている値:54.700mm ・手動送りによる Z 軸の移動量: -2.583mm のとき、オフセット番号 10 の値は、54.700+(-2.583) = 52.117mm となります

注意 工具長補正量の変更は、直線軸であればどの軸の移動に対しても有効です。万が一、移動に対するオフセッ

ト量の変更を行いたくない軸がある場合は、該当する軸をインタロックして下さい。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 234 -

注 変更された工具長補正量の扱いは、パラメータ EVO(No.5001#6)、パラメータ AON(No.5041#6)の設定に従

います。

・工具径補正量の変更 自動運転中に指令された D コードに対応するオフセット番号の工具長補正量が変更されます。サイクルスタート後、

一度も D コードが指令されていない場合などのように、現在有効な工具径補正量が存在しない場合、手動送りにより

軸移動が行われても、工具径補正量の変更は行なわれません。 直線軸の移動により、工具径補正量を変更することができます。回転軸の移動により変更することはできません。ま

た、工具径補正量の変更中は、手動送りで同時に移動できる軸は 1 軸のみです。 工具径補正モード中に停止して工具径補正量を変更する場合、停止時の補正ベクトルが例えどの方向であっても、移

動できる 1 軸分の移動量が加算されます。

例 ・指令された D コード:H15 ・オフセット番号 15 に設定されている値:6.500mm ・手動送りによる X 軸の移動量: 2.379mm ・手動送りによる Y 軸の移動量: -0.572mm のとき、オフセット番号 15 の値は、6.500+2.379+(-0.572) = 8.307mm となります。

注意 工具径補正量の変更は、直線軸であればどの軸の移動に対しても有効です。万が一、移動に対するオフセッ

ト量の変更を行いたくない軸がある場合は、該当する軸をインタロックして下さい。

注 変更された工具径補正量の扱いは、パラメータ EVR(No.5001#4)の設定に従います。

・ワーク原点オフセット量の変更 自動運転中に指令された G54~G59、および G54.1P1~P48(300)に対応するワーク座標系のワーク原点オフセット量が

各軸毎に変更されます。現在有効なワーク座標系は必ず存在するため、手動送りにより軸移動が行われると、そのワ

ーク座標系のワーク原点オフセット量が必ず変更されます。直線軸/回転軸の区別なく、任意の軸の移動により、変

更することができます。また、ワーク原点オフセット量の変更中は、手動送りにより複数の軸を同時に移動できます。

例 ・指令されたワーク座標系:G56 ・G56 のワーク原点オフセット量(X 軸): 50.000 ・G56 のワーク原点オフセット量(Y 軸): -60.000 ・G56 のワーク原点オフセット量(Z 軸): 5.000 ・G56 のワーク原点オフセット量(A 軸): 5.000 ・G56 のワーク原点オフセット量(B 軸): 15.000 ・手動送りによる X 軸の移動量: -10.000mm ・手動送りによる Y 軸の移動量: -5.000mm ・手動送りによる Z 軸の移動量: 10.000mm ・手動送りによる A 軸の移動量: 8.000mm ・手動送りによる B 軸の移動量: -2.000mm のとき、G56 のワーク原点オフセット量は次のようになります。 ・X 軸: 50.000+(-10.000) = 40.000 ・Y 軸: -60.000+(-5.000) = -65.000 ・Z 軸: 5.000+10.000 = 15.000 ・A 軸: 5.000+8.000 = 13.000 ・B 軸: 15.000+(-2.000) = 13.000

・工具補正メモリの違いによる動作 工具補正メモリ A/B/C の違いにより、変更されるオフセット量が以下の様に異なります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 235 -

工具補正メモリ 変更されるオフセット量

A 工具長補正量と工具径補正量の区別はありません。 現在有効なHコードもしくはDコードと同じオフセット番号の内容が変更されます。

B

工具長補正量と工具径補正量の区別はありません。 現在有効なHコードもしくはDコードと同じオフセット番号の内容が変更されます。

形状補正量と摩耗補正量については、パラメータ ASG (No.5000#4)の設定に従い、

どちらか一方が変更されます。

C

現在有効な H コードおよび D コードの値に対応したオフセット番号の工具長補正量

および工具径補正量が、それぞれ変更されます。 形状補正量と摩耗補正量については、パラメータ ASG (No.5000#4)の設定に従い、

どちらか一方が変更されます。

・相対位置表示のプリセット パラメータ APLx(No.3115#5)=1 とすることにより、アクティブオフセット量変更モードが選択された時、自動的に相

対位置表示(カウンタ)を 0 にプリセットすることが可能です。この場合、相対位置表示(カウンタ)が 0 の位置ま

で手動送りで戻すことにより、変更されたオフセット量を元の値に戻すことができます。

・非常停止、サーボアラーム 非常停止やサーボアラームが発生した時やサーボの励磁が落ちた状態の時、アクティブオフセット量変更モード中は、

フォローアップにより軸移動した移動量分についても、オフセット量の変更が行なわれます。

注 変更するオフセット量として、工具長補正量/工具径補正量を選択している場合、回転軸がフォローアップ

により軸移動した移動量分は、オフセット量の変更が行われません。

制限事項 ・アクティブオフセット量の変更できない手動運転 手動ハンドル送りモード/インクレメンタル送りモード/ジョグ送りモード以外でのアクティブオフセット量の変

更はできません。 また、手動レファレンス点復帰モードでもアクティブオフセット量の変更はできません。 上記モード中であっても次の操作では、アクティブオフセット量の変更は行わないで下さい。 ・ 3 次元手動送り ・ 手動数値指令 ・ PMC 軸制御

・アクティブオフセット量の変更できない軸 回転軸の場合、本機能を使って工具長補正量/工具径補正量を変更することはできません。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 236 -

6.14 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット

概要 ロータリテーブルのある位置においてワークの位置を基準フィクスチャオフセット量にセットしておけば、ロータリ

テーブルが回転してもロータリテーブルの角度から自動的にそのときのフィクスチャオフセット量を計算しその値

に基づいてワーク座標系を作成します。このことにより、一度基準フィクスチャオフセット量にセットしておけばロ

ータリテーブルがどの位置になってもその位置に対応してダイナミックにワーク座標系を保持することができます。

フィクスチャオフセット量にワーク原点オフセット量が加算された位置が、ワーク座標原点になります。

X

Y

X

Y

X

Y

F0F

θ0θ

Z

W

機械座標の原点

W : ワーク原点オフセット量 θ0 : 基準角 F0 : 基準フィクスチャオフセット量 θ : 回転軸の角度 F : フィクスチャオフセット量

C

回転軸中心

図6.14 (a) フィクスチャオフセット

フォーマット ・フィクスチャオフセット指令

G54.2 Pn; n: 基準フィクスチャオフセット量の番号(1~8)

・フィクスチャオフセットキャンセル指令

G54.2 P0;

注 1 G54.2 モード中にパラメータあるいは基準フィクスチャオフセット量を変更したときは、次にバッファリン

グされるブロックから有効になります。 2 フィクスチャオフセットのベクトルが変化したことによる移動は、その時のグループ 01 のモーダル G コー

ドに従いますが、G00,G01 モード以外のとき(G02,G03 等)は、一時的に G01 として移動します。 3 G54.2 モード中にフィクスチャオフセットに関係する回転軸の移動を指令した場合、そのブロックの終点で

の回転軸の座標値を使用してベクトルの計算を行い、そのベクトルが示すワーク座標系上の指令位置への移

動が行われます。 4 フィクスチャオフセットの計算で使用する回転軸の座標値はワーク座標系での座標値を使用しますが、工具

位置オフセット等のオフセットがかかっている場合はオフセットがかかる前の座標値を使用します。また、

ミラーイメージ、スケーリングに対してもかかる前の座標値を使用します。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 237 -

解説 ・フィクスチャオフセット指令

G54.2Pn の指令により、回転軸の回転角および n で指定されたデータからフィクスチャオフセット量を計算し、フィ

クスチャオフセットを有効にします。 n=0 で指令したときは、フィクスチャオフセットをキャンセルします。

・G54.2 モード中に回転軸の移動を指令した場合 G54.2 モード中にフィクスチャオフセットに関係する回転軸の移動を指令した場合、そのブロックの終点での回転軸

の座標値を使用してフィクスチャオフセット量の計算を行い、そのフィクスチャオフセット量が示すワーク座標系上

の指令位置への移動が行われます。

・リセット時の動作 リセットしたときに、フィクスチャオフセットをキャンセルするかしないかは、パラメータ CLR(No.3402#6)、C23(No.3408#7)に従います。 CLR=0 または、CLR=C23=1 のときは、リセット前のベクトルが保存されます。CLR=1 かつ C23=0 のときは、ベクト

ルがクリアされます。ただし、パラメータ FTP(No.7570#0)に関係なく、クリアしたベクトル分、機械が移動すること

はありません。

・データの設定 ① 回転軸と回転平面を構成する直線軸 2 軸を指定する 3 個 1 組のパラメータ (パラメータ(No.7580~7588)) 各組は、1 個目が回転軸番号、2 個目と 3 個目が直線軸番号です。2 個の直線軸番号の並び方は、2 個目の直線軸

の正方向から 3 個目の直線軸の正方向への回転が 1 個目の回転軸の正方向の回転とします。 例)右手系の(X,Y,Z)座標系と Z 軸の正から負の方向に見た時に Z 軸回りに反時計方向を正方向として回転する回

転軸を C 軸とする 4 軸の機械を考えます。この時のパラメータは次のようになります。 1 個目: 4 (C 軸) 2 個目: 1 (X 軸) 3 個目: 2 (Y 軸)

このようなパラメータの設定を最大 3 組まで設定できます。フィクスチャオフセット量の計算は、まず、1 組目

の回転軸に対する計算を行い、その結果に対して 2 組目,3 組目の計算を行います。回転軸が 2 軸以上あり、他

の回転軸の回転により回転平面が変化する場合は、回転軸の位置が 0°のときの回転平面を設定します。 ② 回転軸の基準角とその時の基準フィクスチャオフセット量 回転軸のある位置(基準角)とその時のフィクスチャオフセット量(基準フィクスチャオフセット量)を設定し

ます。 設定は、フィクスチャオフセットの画面で行います。 組数は 8 組あります。 ③ 軸ごとのフィクスチャオフセット有効/無効のパラメータ (パラメータ FAX(No.7575#0)) フィクスチャオフセットを有効にする軸に 1 を設定します。 回転軸には設定する必要はありません。 ④ フィクスチャオフセットのタイプ(パラメータ FTP(No.7570#0)) フィクスチャオフセットのベクトルが変化したとき(G54.2 の指令、または G54.2 モード中に回転軸を移動させ

たとき)に、ベクトルの変化分を移動させるか、させないかを設定します。 0 のときは移動します。 (現在位置のワーク座標は変化せず、機械座標が変化します。) 1 のときは移動しません。 (現在位置のワーク座標が変化し、機械座標は変化しません。)

・フィクスチャオフセット量の入出力 下記のように、プログラムによる設定、および外部とのデータの入出力が可能です。 ① G10 による基準フィクスチャオフセット量の設定 G10 L21 Pn P ;

n:基準フィクスチャオフセット番号 P:各軸の基準フィクスチャオフセット量または基準角

の指令により、プログラムにより基準フィクスチャオフセット量あるいは基準角の設定が可能です。 G90 モードで実行したときは、その値そのものが設定されます。 G91 モードで実行したときは、実行する前の値に指令した値を加算した値が設定されます。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 238 -

② カスタムマクロのシステム変数による読み書き 以下のシステム変数番号を使用することにより基準フィクスチャオフセット量あるいは基準角の読み書きが可能

です。ただし、n=0 のシステム変数領域(5500~5508)に書き込むことはできません。 システム変数番号=5500+20*n+m n: フィクスチャオフセット番号(1~8) (n=0 とするとカレントオフセットとなります。) m: 軸番号(1~制御軸数)

注 カスタムマクロの機能が必要です。

③ 外部機器への出力 フィクスチャオフセットの画面で出力のソフトキーを選択することにより RS-232C を経由して、データをフロッ

ピィカセット等の外部機器に出力することが可能です。出力されるデータは、プログラム番号の付かない G10 の

形式で出力されます。

注 リーダパンチャインタフェースの機能が必要です。

④ 外部機器からの入力 プログラム編集の画面で入力のソフトキーを選択することにより RS-232C を経由して、データをフロッピィカセ

ット等の外部機器から入力することが可能です。(NCプログラムとして入力し、実行することによりフィクス

チャオフセット量が設定されます。)

注 リーダパンチャインタフェースの機能が必要です。

・フィクスチャオフセット量の計算方法 ① 回転軸と直線軸の関係 1 組目:4(B 軸),3(Z 軸),1(X 軸) 2 組目:5(C 軸),1(X 軸),2(Y 軸) 3 組目:0 ,0 ,0 ② 基準角と基準フィクスチャオフセット量 X:F0X Y:F0Y Z:F0Z B:θ0 C:φ0 と設定したときに O :ロータリテーブルの中心 W :ワーク原点オフセット量 F0 :B=θ0,C=φ0のときのフィクスチャオフセット量 FA :B=0,C=0 のときのフィクスチャオフセット量(FAX,FAY,FAZ) F :B=θ,C=φのときのフィクスチャオフセット量(FX,FY,FZ) とすると、計算方法は以下のようになります。

( ) ( )

( ) ( )

( ) ( )( ) ( )

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡−−−−−

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−−−

−−=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

Z

Y

X

AZ

AY

AX

FFF

FFF

0

0

0

00

00

00

00

1000cossin0sincos

cos0sin010

sin0cosφφφφ

θθ

θθ

( ) ( )( ) ( )

( ) ( )

( ) ( ) ⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡ −=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

AZ

AY

AX

Z

Y

X

FFF

FFF

θθ

θθφφφφ

cos0sin010

sin0cos

1000cossin0sincos

Page 251: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 239 -

・回転軸に手動介入した場合 G54.2 モード中に SBK 停止等で自動運転を停止し、手動で回転軸を移動したときは、フィクスチャオフセットのベク

トルは変化しません。自動運転あるいは MDI 運転で回転軸の指令、あるいは G54.2 を指令したときにベクトルの計算

を行います。 ただし、パラメータ CFA(No.7570#3)=0 かつマニュアルアブソリュートスイッチ ON の状態で手動介入した後、イン

クレメンタルモード(G91 モード)で回転軸を指令したときは、手動介入量を反映しない座標値を用いてベクトルの

計算を行います。 例) N1 G90 G00 C10.0 ; N2 G54.2 P1 ; を実行後、マニュアルアブソリュートスイッチ ON の状態で手動介入し、C 軸を+20.0 移動します。再開後、 N3 G91 C30.0 ; を指令すると、C 軸のワーク座標系での座標値は 60.0 になりますが、フィクスチャオフセット量の計算では C 軸の座

標値=40.0 として計算します。 N3 においてパラメータ CFA(No.7570#3)=1 かつパラメータ ABS(No.7001#1)=1 であれば、C 軸の座標値は指令通り

10.0(30.0-20.0)として計算します。

制限事項 ・多系統システム 本機能は多系統システムに対応しておりません。

・フィクスチャオフセットの計算を行わない指令 G54.2 モード中に回転軸に対して以下の指令を行った場合、フィクスチャオフセットのベクトルの計算は行いません。 機械座標系での指令(G53) ワーク座標系の変更(G54~G59,G54.1,G92,G52) レファレンス点復帰関係(G27,G28,G29,G30,G30.1)

・フィクスチャオフセットで使用する回転軸 極座標補間(G12.1)で使用する回転軸に対しては、フィクスチャオフセットの回転軸の設定はできません。

・回転軸のロールオーバ使用時の移動量の設定 回転軸のロールオーバ機能を使う場合は、回転軸1回転当たりの移動量を必ず 360°として下さい。

・制限される機能 下記の機能は G54.2 のモード中に指令できません。また、下記モード中に G54.2 は指令できません。 座標回転機能 図形コピー機能

例題 パラメータ 7580=4(C 軸) 7581=1(X 軸) 7582=2(Y 軸) 7583~7588=0 7575#0(X)=1(X 軸有効) 7575#0(Y)=1(Y 軸有効) 7570#0=0([ ]内は,7570#0=1 のとき) n=1 のデータ C= 180.0(基準角) X= -10.0 Y= 0.0 が設定されているときの動作は以下のようになります。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 240 -

表6.14 フィクスチャオフセットの例題 ワーク座標での位置

(ABSOLUTE) 機械座標での位置

(MACHINE) フィクスチャ オフセット量 プログラム

X Y C X Y C X Y C N1 G90 G00 X0 Y0 C90. ; 0.0 0.0 90.0 0.0 0.0 90.0 0.0 0.0 0.0 N2 G54.2 P1 ; 0.0

[0.0 0.0

-10.090.0 90.0]

0.0 [0.0

10.0 0.0

90.0 90.0]

0.0 [0.0

10.0 10.0

0.0 0.0]

N3 G01 X10. Y2. F100. ; 10.0 2.0 90.0 10.0 12.0 90.0 0.0 10.0 0.0 N4 G02 X2. Y10. R10. ; 2.0 10.0 90.0 2.0 20.0 90.0 0.0 10.0 0.0 N5 G01 X0 Y0 ; 0.0 0.0 90.0 0.0 10.0 90.0 0.0 10.0 0.0 … ([ ]内は、パラメータ FTP(No.7570#0)=1 の場合)

N2

Y

X

機械座標原点

[N3]

N3

N5

N4

C=180°

C=90°

C

図6.14 (b) フィクスチャオフセットの例題

N2 のブロックで G54.2P1 を指令したとき、フィクスチャオフセットのベクトル(X=0,Y=10.0)が計算されます。このベ

クトルはワーク原点オフセット量と同様に扱われ、この時点でのワーク座標での現在位置は(X=0,Y=-10.0)となります。

パラメータ FTP(No.7570#0)=0 のときは、さらにこのベクトル分、実際に機械が移動し、結果的にワーク座標での現在

位置は、指令前の値(X=0,Y=0)になります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 241 -

6.15 工具軸方向工具長補正

概要 工具を回転させる回転軸を 2 軸持つ 5 軸加工機において、回転軸で指定された工具軸方向に工具長補正をかけること

ができます。工具軸方向工具長補正モード中に回転軸が指令されると、回転軸で指令された工具軸方向に H コードで

指令された補正量分の工具長補正を行います。すなわち、直線軸 3 軸(Xp,Yp,Zp)を動かします。 なお、本機能の説明では特に断らない限り回転軸 2 軸を B 軸、C 軸として説明を行います。

CB

Z

Y

X

ワーク

CB

工具軸方向

図6.15 (a) 工具軸方向工具長補正

フォーマット ・工具軸方向工具長補正の指令

G43.1 Hn; n: オフセット番号

・工具軸方向工具長補正のキャンセル指令

G49;

解説 ・工具軸方向工具長補正の指令 工具補正ベクトルは、オフセット量の変更または回転軸が移動することにより変化します。工具補正ベクトルが変化

すると、X,Y,Z 軸はその変化量分の移動を行います。 回転軸のみの指令の場合は指令の前後での工具先端位置は変化しません。(ただし、回転軸の移動中は工具先端は移

動します。)

・機械構成例と回転軸の計算式 Vx,Vy,Vz :X,Y,Z 軸方向の工具補正ベクトル Lc :オフセット量 a,b,c :A,B,C 軸の絶対座標値 とすると、機械構成による各軸の工具補正ベクトルは次のようになります。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 242 -

(1) A&C 軸、工具軸は Z 軸の場合

C A

Z

X

Y

ワーク

CA

Vx = Lc * sin(a) * sin(c)

Vy = -Lc * sin(a) * cos(c)

Vz = Lc * cos(a)

(2) B&C 軸、工具軸は Z 軸の場合

CB

Z

Y

X

ワーク

CB

Vx = Lc * sin(b) * cos(c)

Vy = Lc * sin(b) * sin(c)

Vz = Lc * cos(b)

Page 255: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 243 -

(3) A&B 軸、工具軸は X 軸の場合

ワーク

B

A

Z

Y

X

A

B

Vx = Lc * cos(b)

Vy = Lc * sin(b) * sin(a)

Vz = -Lc * sin(b) * cos(a)

(4) A&B 軸、工具軸は Z 軸、B 軸マスタの場合

B

A

Z

YX

ワーク

B

A

Vx = Lc * cos(a) * sin(b)

Vy = -Lc * sin(a)

Vz = Lc * cos(a) * cos(b)

Page 256: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 244 -

(5) A&B 軸、工具軸は Z 軸、A 軸マスタの場合

B

A

Z

X

Y

ワーク

A

B

Vx = Lc * sin(b)

Vy = -Lc * sin(a) * cos(b)

Vz = Lc * cos(a) * cos(b)

・ツールホルダオフセット 工具軸を回転させる回転軸(A,B 軸、A,C 軸および B,C 軸)の回転中心から工具取り付け位置までの機械固有部

分の長さをツールホルダオフセットと呼びます。ツールホルダオフセット量は工具長オフセット量とは別にパラメー

タ(No.19666)に設定します。工具軸方向工具長補正では、ツールホルダオフセット量と工具長オフセット量を足し合

わせた量を工具長として補正計算を行います。

工具長オフセット量

ツールホルダ

オフセット量

回転中心

工具長

図6.15 (b) ツールホルダオフセット

・パラメータによる回転角度の指定 工具補正ベクトルは、工具軸の方向を制御する回転軸の座標値から求めます。しかし、機械構成によっては、工具軸

は固定されたアタッチメントにより傾ける機械もあります。このような場合、回転軸の回転角度をパラメータにより

設定することができます。 パラメータ RAP(No.19650#1)を 1 にし、座標値はパラメータ(No.19658)に設定します。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 245 -

・回転軸の原点補正 熱変位などにより微妙にずれた回転軸の原点を補正します。補正量はパラメータ(No.19660)に設定します。 工具軸が Z 軸方向で回転軸が B,C 軸の場合、補正ベクトルは次のように計算します。 Xp = Lc * sin(B-Bz) * cos(C-Cz) Yp = Lc * sin(B-Bz) * sin(C-Cz) Zp = Lc * cos(B-Bz) Xp,Yp,Zp :原点のずれを補正した後の各軸の補正パルス Lc :オフセット量 B,C :B 軸および C 軸の機械位置 Bz,Cz :B 軸および C 軸の原点補正量

・回転軸オフセット 回転軸の回転角度に対するオフセットをパラメータ(No.19659)に設定します。補正ベクトルの計算式は、Bp,Cp が回転

軸オフセットに変わる以外は回転軸の原点補正の場合と同じです。 回転軸の原点補正と回転軸オフセットを同時に設定した場合、両方の補正がかかります。 工具軸が Z 軸方向で回転軸が B,C 軸の場合、補正ベクトルは次のように計算します。 Xp = Lc * sin(B-(Bz+Bo)) * cos(C-(Cz+Co)) Yp = Lc * sin(B-(Bz+Bo)) * sin(C-(Cz+Co)) Zp = Lc * cos(B-(Bz+Bo)) Bz,Cz :B 軸および C 軸の原点補正量 Bo,Co :B 軸および C 軸の回転軸オフセット量

制限事項 ・自動レファレンス点復帰指令(G28,G29,G30) 工具軸方向工具長補正モード中に自動レファレンス点復帰指令(G28,G29,G30)はしないで下さい。

・機械座標系位置決め(G53) 工具軸方向工具長補正モード中に機械座標系位置決め(G53)はできません。

6.15.1 工具軸方向工具長補正の制御点補正

工具軸方向工具長補正の制御点は、通常、回転軸2軸の中心の交点となります。機械座標値もこの制御点の位置を示

しています。 ここでは、工具軸方向工具長補正における回転軸2軸の中心が交わらない場合や、制御点を機械上のわかりやすい位

置にする方法を説明します。

解説 ・回転軸2軸の回転中心の補正 回転軸2軸の回転中心が異なっている場合の補正を行います。 工具取り付け位置から1番目の回転軸中心までの長さは、ツールホルダオフセット量としてパラメータ(No.19666)に設定します。 1番目の回転軸中心から2番目の回転軸中心までのベクトルは、回転中心補正ベクトルとしてパラメータ(No.19661)に設定します。パラメータ(No.19661)は軸形のパラメータのため、3軸分(X,Y,Z)の補正量が設定できます。

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6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 246 -

ワーク

工具長補正量

ツールホルダオフセット

回転中心補正ベクトル

A軸中心

B軸中心

B

A

Z

YX

B

A

図6.15 (c) 回転軸 2 軸の回転中心の補正

機械のタイプごとに表 6.15 (a)の値を設定します。

表6.15 (a) ツールホルダオフセットと回転中心補正ベクトルの設定

機械のタイプ ツールホルダオフセット パラメータ(No.19666)

回転中心補正ベクトル パラメータ(No.19661)

(1) A&C 軸、工具軸は Z 軸 工具取り付け位置から A 軸中心までの長さ

A 軸中心から C 軸中心までのベクトル

(2) B&C 軸、工具軸は Z 軸 工具取り付け位置から B 軸中心までの長さ

B 軸中心から C 軸中心までのベクトル

(3) A&B 軸、工具軸は X 軸 工具取り付け位置から B 軸中心までの長さ

B 軸中心から A 軸中心までのベクトル

(4) A&B 軸、工具軸は Z 軸 B 軸マスタ

工具取り付け位置から A 軸中心までの長さ

A 軸中心から B 軸中心までのベクトル

(5) A&B 軸、工具軸は Z 軸 A 軸マスタ

工具取り付け位置から B 軸中心までの長さ

B 軸中心から A 軸中心までのベクトル

注 次項の主軸中心の補正を使用するときは、ツールホルダオフセットには、工具取り付け位置から主軸中心ま

での長さを設定します。

・主軸中心の補正 主軸中心の補正を行います。 主軸中心の補正量は、パラメータ(No.19662)に設定します。パラメータ(No.19662)は軸形のパラメータのため、3軸分

(X,Y,Z)の補正量が設定できます。

Page 259: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 247 -

工具先端 (プログラム点)

工具長補正量

2 番目の回転軸中心 (制御点)

回転中心補正ベクトル パラメータ(No.19661)

1 番目の回転軸中心

ツールホルダオフセット パラメータ(No.19666)

工具取り付け位置

主軸中心

主軸中心補正ベクトル パラメータ(No.19662)

機械座標原点

ワーク座標原点

図6.15 (d) 主軸中心の補正

・制御点のシフト 従来は、回転軸の中心が制御点となっていましたが、図のように制御点をシフトすることができます。 このことにより、工具軸方向工具長補正(G43.1)においても、回転軸0度のとき通常の工具長補正(G43)と同じ位

置を制御点とすることができます。 ここで制御点とは機械座標値です。 また、例えば直線補間が指令されたとき、この制御点が直線の動きをします。

シフト ベクトル

通常の工具長補正(G43) 工具軸方向工具長補正(G43.1):工具が傾いていない場合

制御点

シフト前の制御点

制御点

工具軸方向工具長補正(G43.1):工具が傾いている場合

機械座標原点

ワーク座標原点

工具長補正 ベクトル

図6.15 (e) 制御点のシフト

Page 260: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 248 -

制御点のシフトの方法は下記のパラメータで選択することができます。

表6.15 (b) 制御点シフトの方法 パラメータ SVC(No.19665#5)

パラメータ SBP(No.19665#4) 制御点のシフト

0 - 従来通り、シフトしません。

1 0

シフトし、シフトベクトルは次のように自動的に計算されます。 -( 回転中心補正ベクトル(パラメータ(No.19661)) + 主軸中心補正ベクトル(パラメータ(No.19662)) + 工具軸方向のツールホルダオフセット(パラメータ(No.19666)))

1 1 シフトし、シフトベクトルはパラメータ(No.19667)に設定されたベクト

ルです。

・ 機械のタイプごとの計算式 Vx,Vy,Vz :工具長補正ベクトル A,B,C :A,B,C 軸の絶対座標値 To :工具オフセット量 Ho :ツールホルダオフセット量 Jx,Jy,Jz :回転中心補正ベクトル Cx,Cy,Cz :主軸中心補正ベクトル Sx,Sy,Sz :シフトベクトル とすると、機械のタイプごとの各軸の工具長補正ベクトルは次のように計算します。 (1) A&C 軸、工具軸は Z 軸の場合

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎟⎟⎟

⎜⎜⎜

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

++⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡−

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡ −=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

SzSySx

JzJyJx

CzHoToCyCx

AAAACC

CC

VzVyVx

cossin0sincos0001

1000cossin0sincos

(2) B&C 軸、工具軸は Z 軸の場合

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎟⎟⎟

⎜⎜⎜

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

++⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡ −=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

SzSySx

JzJyJx

CzHoToCyCx

BB

BBCCCC

VzVyVx

cos0sin010

sin0cos

1000cossin0sincos

(3) A&B 軸、工具軸は X 軸の場合

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎟⎟⎟

⎜⎜⎜

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡ ++

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡−=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

SzSySx

JzJyJx

CzCy

CxHoTo

BB

BB

AAAA

VzVyVx

cos0sin010

sin0cos

cossin0sincos0001

(4) A&B 軸、工具軸は Z 軸、B 軸マスタの場合

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎟⎟⎟

⎜⎜⎜

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

++⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡−

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

SzSySx

JzJyJx

CzHoToCyCx

AAAA

BB

BB

VzVyVx

cossin0sincos0001

cos0sin010

sin0cos

(5) A&B 軸、工具軸は Z 軸、A 軸マスタの場合

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎟⎟⎟

⎜⎜⎜

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

++⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡−=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

SzSySx

JzJyJx

CzHoToCyCx

BB

BB

AAAA

VzVyVx

cos0sin010

sin0cos

cossin0sincos0001

シフトベクトル(Sx,Sy,Sz)は次のように計算します。 (A) パラメータ SVC(No.19665#5)=0 のときは 0 となります。 (B) パラメータ SVC(No.19665#5)=1、パラメータ SBP(No.19665#4)=0 のとき 機械タイプが(3)以外のとき

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

++++

−=⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

HoJzCzJyCyJxCx

SzSySx

Page 261: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 249 -

機械タイプが(3)のとき

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

++++

−=⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

JzCzJyCy

HoJxCx

SzSySx

(C) パラメータ SVC(No.19665#5)=1、パラメータ SBP(No.19665#4)=1 のときはパラメータ(No.19667)で指定されたベク

トルとなります。

6.16 スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工具長補正

概要 複数のスピンドルユニットを持つ機械において、ユニットごとに固有なパラメータ、補正量、工具軸の方向等を設定

します。加工を行うときに、選択されているユニットの補正をかけることにより、スピンドルユニット補正量/工具

長補正量に影響されずにプログラムを作成することができます。 またスピンドルユニットが回転軸によって制御されている場合には、回転軸の回転角度から自動的に補正量を計算し

て補正をかけます。

適用例 図 6.16 (a)のように、C 軸で制御されるスピンドルユニットを考えます。回転軸(C 軸)が回転したときは、その角度

からスピンドルユニット補正ベクトル/傾斜ロータリヘッド工具長補正ベクトルを計算し、補正をかけます。

X

Y

Z

C C

C 軸が基準位置のとき C 軸が基準位置から 180°だけ回転したとき

S S

VS0VS0

VS1VS1

VN VN

S : 基準点

P : 指令点

: 基準工具

VS0 、VS1 : スピンドルユニット補正ベクトル

VN : 傾斜ロータリヘッド工具長補正ベクトル

基準工具がない場合、VNは工具先端点から指令点までのベクトルとなります。

P P

図6.16 (a) スピンドルユニット補正ベクトルと傾斜ロータリヘッド工具長補正ベクトルの例

フォーマット ・スピンドルユニット補正

G44.9 ; スピンドルユニット補正有効

G49.9 ; スピンドルユニット補正キャンセル G44.9 の指令により、設定されたデータおよび回転軸の角度からスピンドルユニット補正量を計算し、補正を有効に

します。 G49.9 の指令により、スピンドルユニット補正をキャンセルします。

Page 262: B 64484 ja-2-03

6.補正機能 プログラミング B-64484JA-2/03

- 250 -

また、G44.9 モード中にスピンドルユニット補正に関係する回転軸を回転した時は、その回転軸の終点値を用いてベ

クトルの再計算を行います。

・傾斜ロータリヘッド工具長補正 G43.3 Hn ; 傾斜ロータリヘッド工具長補正有効

G49 ; 傾斜ロータリヘッド工具長補正キャンセル

n : 工具補正量の番号 G43.3 の指令により、n で指定された工具補正量のデータおよび回転軸の角度から工具長補正量を計算し、補正を有効

にします。 G49 の指令により、工具長補正をキャンセルします。 また、G43.3 モード中に工具長補正に関係する回転軸を回転したときは、その回転軸の終点値を用いて工具長補正の

ベクトルの再計算を行います。

・モード保持機能 スピンドルユニット補正(G44.9)および傾斜ロータリヘッド工具長補正(G43.3)において、電源投入時およびリセ

ット時に G44.9,G43.3 のモード、工具補正量およびベクトルを保持します。 ① G44.9,G43.3 のリセット時、電源投入時におけるモード保持

以下のいずれかのパラメータ設定を行うことにより、リセット時、電源投入時に G44.9 のモードを保持します。 ・パラメータ CLR(No.3402#6)=0 ・パラメータ CLR(No.3402#6)=1、かつパラメータ C27(No.3409#3)=1 以下のいずれかのパラメータ設定を行うことにより、リセット時、電源投入時に G43.3 のモードおよび H コード

を保持します。 ・パラメータ CLR(No.3402#6)=0 ・パラメータ CLR(No.3402#6)=1、かつパラメータ C08(No.3407#0)=1、かつパラメータ CFH(No.3409#7)=1

② G44.9,G43.3 の電源投入時におけるベクトル計算 パラメータ SCV(No.25860#2)を 1 と設定することにより、電源投入時にスピンドルユニット補正のベクトル計算

を行います。 パラメータ NCV(No.25860#3)を 1 と設定することにより、電源投入時に傾斜ロータリヘッド工具長補正のベクト

ル計算を行います。

パラメータ #7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

3402 CLR

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#6 CLR MDI パネルのリセットキー、外部リセット信号、リセット&リワインド信号、および非常停止によ

り 0: リセット状態とします。 1: クリア状態とします。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

3406 C07 C06 C05 C04 C03 C02 C01

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

3407 C15 C14 C13 C12 C11 C10 C09 C08

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

3408 C23 C22 C20 C19 C18 C17 C16

Page 263: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 6.補正機能

- 251 -

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 3409 CFH C30 C29 C28 C27 C26 C25 C24

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット形

C01~C30 パラメータ CLR(No.3402#6)=1 のとき、MDI パネルのリセットキー、外部リセット信号、リセット

&リワインド信号、または非常停止信号により CNC がリセットされたとき、クリア状態とする Gコードのグループを設定します。

各ビットと G コードグループの対応は図 6.16 (a)のようになります。 各ビットの設定は以下の意味を持ちます。

0: クリア状態とします。 1: クリア状態としません。

表6.16 (a) パラメータ G コードグループ

C01 01 C02 02 C03 03

・・・ ・・・ C30 30

#7 CFH パラメータ CLR(No.3402#6)が 1 の時、MDI パネルのリセットキー、外部リセット信号、リセット

&リワインド信号、または非常停止信号により CNC がリセットされたとき、F コード、H コード

(M 系の場合)、D コード(M 系の場合)、T コード(T 系の場合)を 0: クリア状態とします。 1: クリア状態としません。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

25860 NCV SCV

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#2 SCV 電源投入時にスピンドルユニット補正のベクトルを

0: 計算しません。 1: 計算します。

注 このパラメータは、以下のいずれかの設定の場合に有効です。

・ パラメータ CLR(No.3402#6)=0 ・ パラメータ CLR(No.3402#6)=1、かつパラメータ C27(No.3409#3)=1

#3 NCV 電源投入時に傾斜ロータリヘッド工具長補正のベクトルを

0: 計算しません。

1: 計算します。

注 このパラメータは、以下のいずれかの設定の場合に有効です。

・ パラメータ CLR(No.3402#6)=0 ・ パラメータ CLR(No.3402#6)=1、かつパラメータ C08(No.3407#0)=1、かつパラメー

タ CFH(No.3409#7)=1

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プログラミング B-64484JA-2/03

- 252 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

7 Series 15 フォーマットでのメモリ運転 概要

セッティングパラメータ FCV(No.0001#1)を 1 に設定することにより、Series 15 のプログラムフォーマットで作成した

プログラムをメモリに登録してメモリ運転することができます。

解説 本 CNC と Series 15 とで相違している、工具径補正、サブプログラムの呼出し、および固定サイクルのプログラムフ

ォーマットを処理して、メモリ運転することができます。 その他のプログラムフォーマットについては、本 CNC に合わせる必要があります。 また、本 CNC の指令値範囲外の値が登録されるとアラームになります。 本 CNC に無い機能については、登録およびメモリ運転することができません。

・工具径補正のオフセット番号のアドレス Series15 ではオフセット番号をアドレス D で指令します。 アドレス D でオフセット番号を指令した場合、すでに指令されているアドレス H のモーダル値が指令されたアドレス

D の指令値に書き換わります。

・サブプログラムの呼出し サブプログラム番号を 4 桁以上指令すると、下 4 桁がサブプログラムの番号になります。 また、繰返し回数が指定されていなければ、繰返し回数は 1 回になります。

表7 (a) サブプログラム呼出しのプログラムフォーマット 機種 プログラムフォーマット

Series 15 M98 P○○○○ L○○○○ ; P : サブプログラム番号 L : 繰返し回数(1~9999)

Series 30

M98 P○○○ □□□□ ; 繰返し回数 サブプログラム番号 (1~9999)

ただし、カスタムマクロのオプションが有効な場合、両方の指令が可能です。

・穴あけ用固定サイクルの繰り返し回数のアドレス 穴あけ用固定サイクルでは表 7 (b)のようにくり返し回数のアドレスが異なります。

表7 (b) 穴あけ用固定サイクルのくり返し回数のアドレス 機種 アドレス

Series 15 L Series 30 K

7.1 複合形固定サイクル

複合形固定サイクルは、プログラムをより容易にするためにあらかじめ用意された数種の固定サイクルです。例えば、

仕上げ形状のみの情報を与えることによって、途中の荒削りの工具経路は自動的に決定することができます。また、

ねじ切り用の固定サイクルも用意されています。

注 1 本章の説明図は、平面を ZX 平面、X 軸を直径指定、Z 軸を半径指定としています。X 軸が半径指定の場合は、

U/2 のところは U、X/2 のところは X として下さい。 2 複合形固定サイクルは、任意平面(平行軸を含む)で行うことができます。

Page 265: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 253 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

7.1.1 外径荒削りサイクル(G71.7)

外径荒削りサイクルのタイプには、タイプⅠとタイプⅡがあります。 タイプⅡを使用する場合は、「複合形固定サイクル 2」のオプション機能が必要です。

フォーマット ZpXp 平面 G71.7 P(ns) Q(nf) U(Δu) W(Δw) I(Δi) K(Δk) D(Δd) F(f ) S(s ) T(t ); N (ns) ; ・・・ N (nf) ; YpZp 平面 G71.7 P(ns) Q(nf) V(Δw) W(Δu) J(Δk) K(Δi) D(Δd) F(f ) S(s ) T(t ); N (ns) ; ・・・ N (nf) ; XpYp 平面 G71.7 P(ns) Q(nf) U(Δw) V(Δu) I(Δk) J(Δi) D(Δd) F(f ) S(s ) T(t ); N (ns) ; ・・・ N (nf) ; △d: 切り込み量

切込み方向は、A A'の方向によって決まります。 ns: 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf: 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号 Δu: 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の仕上げ代の距離 Δw: 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の仕上げ代の距離 Δi: 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の荒削り仕上げ代の距離 Δk: 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の荒削り仕上げ代の距離 f,s,t: サイクル中は、ns~nf 間のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは、T 機能が無視されます。

そして、G71.7 のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは T 機能のデータが有効となります。

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力

△d 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可 Δu 基準軸の設定単位に従う 平面第 2 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 Δw 基準軸の設定単位に従う 平面第 1 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 △i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 △k 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能

A→A’→B の仕上げ形状の移動指令をシーケンス番

号 ns から nf までのブロックで指令します。

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プログラミング B-64484JA-2/03

- 254 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

CB

(R)

(R)

(F)

(F)

A

△u/2

△d

A’

△W

仕上げ形状

45° e

(F):切削送り

(R):早送り

+X

+Z e: 逃げ量(パラメータ No.5133)

図7.1.1 (a) 荒削り仕上げ代なしの外径荒削りサイクルの切削経路(タイプⅠ)

C

B (R)

(R)

(F)

(F)

A

△u/2

△d

A

△W

仕上げ形状

45° e

(F):切削送り

(R):早送り

+X

+Z

(R)

△K

△i

e: 逃げ量(パラメータ No.5133) 図7.1.1 (b) 荒削り仕上げ代ありの外径荒削りサイクルの切削経路(タイプⅠ)

解説 ・動作 プログラムで A→A’→B 間の仕上げ形状を与えると、切り込み量Δd ずつ削り取っていきます。荒削り仕上げ代を指

定した場合と指定しない場合とでは、経路が以下のように違います。 (1) 荒削り仕上げ代を指定しない場合

Δu/2、Δw の仕上げ代を残して切り込み量Δd ずつ削り取っていき、最後の切り込みの後、仕上げ形状プログラ

ムに沿って荒削り仕上げ切削を行います。 (2) 荒削り仕上げ代を指定した場合

Δu/2+Δi、Δw+Δk の取り代を残して切り込み量Δd ずつ削り取っていき、最後の切り込みの後、一旦、開始点

(A)に戻り、その後、仕上げ形状に沿ってΔi、Δk の取り代を取り除くように荒削り仕上げ切削を行います。 荒削り仕上げ切削が終わると、Q で指定したシーケンスブロックの次のブロックが実行されます。

Page 267: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 255 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

注 1 A-B 間の移動指令中に指定された F、S および T 機能を無視し、G71.7 指令のブロックまたはそれ以前に指

定した値が有効になります。また、M 機能、第 2 補助機能についても F、S、T 機能と同様の扱いとなります。 2 周速一定制御オプション機能付きの場合、A-B 間の移動指令中に指令した G96 または G97 は無視されます。

A-B 間の移動中に G96 または G97 を有効にしたい場合は、G71.7 のブロックまたはそれ以前のブロックで

G96 または G97 を指令して下さい。

・逃げ量(e) 逃げ量(e)は、パラメータ(No.5133)に設定します。

No. 単位 直径/半径指定 符号 5133 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し

・仕上げ形状 パターン

G71.7 で切削する形状には、次の 4 つのパターンが考えられます。いずれも平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)に平行

な移動によりワークを切削し、その時の△u、△w の仕上げ代の符号は次のようになります。

直線、円弧補間 とも可能です。

A'

B U(+)…W(+)

A'

BA

U(+)…W(-)

A'

B AU(-)…W(+)

A'

BAU(-)…W(-)

A

+X

+Z

図7.1.1 (c) 4 パターンの仕上げ形状

制限 (1) U(+)の場合は、サイクル開始点より高い位置を持つ形状は加工することができません。

U(-)の場合は、サイクル開始点より低い位置を持つ形状は加工することができません。 (2) タイプⅠの場合は、平面第 1 軸、平面第 2 軸ともに単調増加あるいは単調減少の形状でなくてはなりません。 (3) タイプⅡの場合は、平面第 1 軸が単調増加または単調減少の形状でなくてはなりません。

先頭ブロック 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロックで A-A'間の指令)で、G00 または G01 を含む指令

をする必要があります。指令しない場合は、アラーム(PS0065)"形状プログラムの先頭ブロックに G00/G01 がありませ

ん"になります。 G00 指令の場合は、A-A'に沿って位置決めを行います。G01 指令の場合は、A-A'に沿って切削送りで直線補間を行い

ます。 また、この先頭ブロックで、タイプ I あるいはタイプⅡを選択します。

チェック機能 サイクル動作中は、常に仕上げ形状が単調増加または単調減少となっていることをチェックします。

注 刃先 R 補正をかけている場合は、補正がかかった仕上げ形状でチェックします。

Page 268: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 256 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

また、以下のチェックを行うことができます。

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存在

することをサイクル動作前にチェックする。 パラメータ QSR(No.5102#2)=1 で有効となります。

仕上げ形状をサイクル動作前にチェックする。 (アドレス Q で指定されるシーケンス番号の存在チェックも行います。)

パラメータ FCK(No.5104#2)=1 で有効となります。

・タイプⅠとタイプⅡ 使い分け

G71.7 には、タイプⅠとタイプⅡがあります。 仕上げ形状にポケットがある場合は、必ずタイプⅡを使用して下さい。 また、タイプ I とⅡでは、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向への荒削りを行った後の逃げが異なります。タイ

プ I は 45°方向へ逃げますが、タイプⅡは仕上げ形状に沿って切り上げます。仕上げ形状にポケットが無い場合は、

逃げの仕方により使い分けて下さい。

注 タイプⅡを使用するには、複合形固定サイクルⅡのオプションが必要です。

選択方法 仕上げ形状の先頭ブロック(シーケンス番号 ns)で、タイプ I あるいはタイプⅡを選択します。 (1) タイプⅠの選択

平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の指令のみを行います。平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令があっては

いけません。 (2) タイプⅡの選択

平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)と平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令を行います。 もし、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の移動がなくタイプⅡを使用する場合は、移動量が 0 となるよう指令

します。 ・タイプⅠ

(1) シーケンス番号 ns のブロックで、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の指令のみを行う必要があります。 例 ZX 平面

G71.7 P100 Q200....; N100 X_ ; (平面第 2 軸の指令のみを行う。) : ; : ; N200..............;

(2) A'-B 間の形状は平面構成軸(ZX 平面の場合 Z 軸、X 軸)方向ともに、単調増加または減少でなくてはなりませ

ん。図 7.1.1 (d)のようにポケットがあってはいけません。

ポケットがあってはいけません。

A

A’

X

Z

B

図7.1.1 (d) 単調増加または減少でない形状(タイプⅠ)

Page 269: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 257 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

注意 平面第 1 軸あるいは第 2 軸が単調変化でない場合は、アラーム(PS0064)"仕上げ形状が単調変化でありませ

ん(平面第 1 軸)",(PS0329)"仕上げ形状が単調変化でありません(平面第 2 軸)"になります。ただし、微少な単

調変化でない移動であり危険が無いと判断できる場合は、パラメータ(No.5145,No.5146)に許容量を設定し、

アラームにしないようにすることができます。 (3) 荒削り後の逃げは、45°方向に切削送りで逃げます。

逃げ量 e(パラメータ(No.5133)) 45°

図7.1.1 (e) 45°方向の切り上げ(タイプⅠ)

(4) 最後の荒削り仕上げ切削は、最後の切り込み後、すぐさま仕上げ形状プログラムに沿って荒削り仕上げ切削を行

います。また、パラメータ RF1(No.5105#1)に 1 を設定することで荒削り仕上げ切削を行わなくすることも可能で

す。ただし、荒削り仕上げ代が指定されている場合は、必ず荒削り仕上げ切削を行います。

・タイプⅡ C

B

(F)

A

△u/2

△d

A’

△W

仕上げ形状

(F):切削送り

(R):早送り

+X

+Z

(R)

△d

(F)

(F)

(R)(R)

図7.1.1 (f) 外形荒削りサイクルの切削経路(タイプⅡ)

A→A’→B 間の仕上げ形状プログラムを指令することで、切り込み量Δd ずつ削り取っていきます。タイプ I の場合と

は、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の荒削りの後、形状に沿って切り上げる点が異なります。 荒削り仕上げ代を指定した場合と指定しない場合とでは、経路が以下のように違います。 (1) 荒削り仕上げ代を指定しない場合

Δu/2、Δw の仕上げ代を残して切り込み量Δd ずつ削り取っていき、最後の切り込みで削り取った後、(図 7.1.1 (f)では Pn→Pm が Z 軸に平行なため 1 つのポケットとみなし、その区域も削り取った後)一旦、開始点(A)まで戻

り、仕上げ形状プログラムに沿ってΔu/2、Δw の仕上げ代を残して荒削り仕上げ切削を行います。 (2) 荒削り仕上げ代を指定した場合

Δu/2+Δi、Δw+Δk の取り代を残して切り込み量Δd ずつ削り取っていき、最後の切り込みの後、一旦、開始点

(A)に戻り、その後、仕上げ形状プログラムに沿ってΔi、Δk の取り代を取り除くように荒削り仕上げ切削を行い

ます。 荒削り仕上げ切削が終わると、Q で指定したシーケンスブロックの次のブロックが実行されます。 タイプⅡはタイプⅠに対して次の点で変わります。 (1) シーケンス番号 ns のブロックで、平面を構成する 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸、Z 軸)の指令を行う必要がありま

す。ZX 平面でもし初めのブロックに Z 軸の移動がなく、タイプⅡを使いたい時は、Z 軸の移動量が 0 となるよう

指令します。

Page 270: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 258 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

例 ZX 平面

G71.7 P100 Q200........; N100 X_ Z_ ; (平面を構成する 2 軸の指令を行う。) :; :; N200..............;

(2) 形状が平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向に単調増加または単調減少ではなくてもよく、くぼみの部分(ポケ

ット)を設けることができます。

1 2 3 10 ・・・

+X

+Z

図7.1.1 (g) ポケット形状(タイプⅡ) ただし、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向には、単調変化でなければいけません。次のような形になって

いると、加工できません。

Zが単調変化でない。

+X

+Z

図7.1.1 (h) 加工できない形状(タイプⅡ)

注意 平面第 1 軸が切削途中で逆方向に移動するような形状(円弧指令による頂点も含む)の場合、バイトなどが

ワークに接触する危険がありますので、このような単調変化でない形状の場合、アラーム(PS0064)"仕上げ

形状が単調変化でありません(平面第 1 軸)",(PS0329)"仕上げ形状が単調変化でありません(平面第 2 軸)"にな

ります。ただし、微少な単調変化でない移動であり危険が無いと判断できる場合は、パラメータ(No.5145)に許容量を設定し、アラームにしないようにすることができます。

初めの切込み部分も垂直でなくてもよく、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向に単調変化であればどのよう

な形状でもかまいません。

+X

+Z

図7.1.1 (i) 加工できる形状(タイプⅡ)

Page 271: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 259 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

(3) 旋削後の逃げはワークの形状に沿って切り上げ切削送りで逃げます。

逃げ量 e (指令またはパラメータ No.5133)

切込み量Δd(指令または パラメータ(No.5132))

切上げ後の逃げ

図7.1.1 (j) ワークに沿った切り上げ(タイプⅡ)

切り上げた後の逃げ量 e は、パラメータ(No. 5133)に設定します。

ただし、谷底からの逃げは、45°方向に切削送りで逃げます。

e (パラメータ(No.5133)) 45°

谷底

図7.1.1 (k) 谷底から 45°方向への逃げ

(4) 仕上げ形状のうち、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)に平行なブロックは、ポケットの谷底とみなします。 (5) 最後の荒削り仕上げ切削は、平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の全ての荒削りが終了したあと、一旦、開始点へ

戻ります。その際、サイクル開始点と等しい高さの形状がある場合は、その高い形状からΔd の切込量を余計に

逃げた位置を通り、開始点へ戻ります。 次に、仕上げ形状に沿って荒削りの仕上げ切削を行います。この場合の開始点への戻りもΔd の切込量を余計に

逃げた位置を通ります。 荒削り仕上げ切削は、パラメータ RF2(No.5105#2)に 1 を設定することで行わなくすることも可能です。

切込み量Δd

○ 開始点○

荒削り終了後の逃げ 荒削り仕上切削後の逃げ

図7.1.1 (l) 開始点へ戻るさいの逃げ(タイプⅡ)

(6) ポケットの荒削り順序と経路

荒削り順序は、次の例のようになります。 (a) 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)が単調減少の場合

Page 272: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 260 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

①②③

①→②→③の順で右側のポケットから順番に荒削りを行います。

+X

+Z

図7.1.1 (m) 単調減少の荒削り順序(タイプⅡ) (b) 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)が単調増加の場合

③②①

①→②→③の順で左側のポケットから順番に荒削りを行います。

+X

+Z

図7.1.1 (n) 単調増加の荒削り順序(タイプⅡ) 荒削り経路は、図 7.1.1 (o)のようになります。

18

23

28 30

27

26

24

2522

9 102

14 20

7

1319

5 1

611

1216

17

8

4

21

15

29

3

31 32

33

34

35

図7.1.1 (o) 複数ポケットの切削経路(タイプⅡ)

ポケットの荒削りが終わったのちの詳細な動きは図 7.1.1 (p)のようになります。

Page 273: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 261 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

19

20

22 21g

早送り

谷底からの逃げ

切削送り

D ●

図7.1.1 (p)

切削速度で切り上げ後、45 度方向への逃げを行います。(19 の動作) 次に D 点の高さまで早送りで移動します。(20 の動作) 次に D 点から g 量手前の位置まで早送りで移動します。(21 の動作) そして、D 点まで切削送りで移動します。 g の切削送り開始位置までのクリアランス量は、パラメータ(No.5134)で設定します。 ただし、最後のポケットの場合は、底を削り終わった後、45 度方向への逃げを行い、開始点へ早送りで戻ります。(34,35の動作)

注意 1 ポケットの削り方が、FANUC Series 16i/18i/21i とは異なります。

手前のポケットから切削を始め、ポケットの切削が終了すると奥のポケットへ移り、切削を行います。 2 ポケットがある場合は、一般に仕上げ代を△w=0 と指定します。さもないと、片側の壁に食い込んでしまい

ます。 3 旋削後の切り上げの経路は、ワーク形状により、FANUC Series 16i/18i/21iとは異なります。切り上げ中、

ワーク形状が平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)のみの移動となると、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の逃

げ動作に移ります。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正を使用する場合は複合形固定サイクル指令(G70.7,G71.7,G72.7, G73.7)より前のブロックで刃先 R 補正指令(G41,G42)を行い、キャンセル指令(G40)は仕上げ形状プログラム(P で指

令したブロックから Q で指令したブロック)の外で指令します。もし、仕上げ形状プログラム内に刃先 R 補正が指令

されている場合は、アラーム(PS0325)”形状プログラムで使用できない指令です”となります。 プログラム例 G42; ----------- 複合形固定サイクル指令の前に指令します。 G71.7P10Q20D10000; N10G00X0; : N20X50.; G40; ----------- 仕上げ形状プログラムの後に指令します。 刃先 R 補正モード中に本サイクルを指令した場合、開始位置への移動で一時的にオフセットのキャンセルを行い、最

初のブロックでスタートアップを行います。また、サイクル動作が終了しサイクル開始点へ戻る時にも一時的にオフ

セットのキャンセルを行い、次ぎの移動指令でスタートアップを行います。図 7.1.1 (q)のようになります。

Page 274: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 262 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

サイクル開始点

スタートアップ

オフセットキャンセル

スタートアップ

オフセットのキャンセル

図7.1.1 (q)

本サイクルは、開始点 A のオフセットベクトルが 0、A-A’のブロックでスタートアップを行った時の刃先 R 補正経路

の形状に対してサイクル動作が行われます。

刃先 R 補正がかかっていない仕上げ形状プログラム

+X

+Z

B A

A’

G42 による刃先 R 補正がかかっている時の刃先中心の経路

A-A’でスタート アップした位置

図7.1.1 (r) 刃先 R 補正中の経路

刃先R補正がかかっていない仕上げ形状プログラム

+X

+Z G42による刃先R補正がかかっている時の刃先中心の経路

B A

A’

A-A’でスタート アップした位置

図7.1.1 (s)

Page 275: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 263 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

注 刃先 R 補正モードでポケット加工を行う場合は、A-A’の直線ブロックをワークの外で指令し、それから実

際のポケットの形状を指令するようにします。そうすることにより、ポケットの食い込みを避けることがで

きます。

・サイクルタイムの短縮 G71.7 および G72.7 において、パラメータ ASU(No.5107#0)を 1 に設定することにより、前回の旋削開始点への移動(動

作 1)を早送りによる移動に変更できます。 パラメータ ASU(No.5107#0)は、タイプⅠ指令、タイプⅡ指令共に有効です。

タイプⅠ指令の場合

+X

+Z :早送りを選択可能 :先頭ブロックのモードに従う

動作 1

動作 2

前回の旋削点

今回の旋削点

図7.1.1 (t)

タイプⅠ指令の G71.7 および G72.7 において、パラメータ ASC(No.5107#1)を 1 に設定することにより、今回の旋削開

始点への動作(動作 1、動作 2)を 2 サイクルから 1 サイクルに変更できます。送りモードは、形状プログラムの先

頭ブロックのモード(G00,G01)に従います。 パラメータ ASC(No.5107#1)は、タイプⅠ指令のみ有効です。

タイプⅠ指令の場合

+X

+Z

動作 1

動作 2

前回の旋削点

今回の旋削点

図7.1.1 (u)

Page 276: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 264 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

7.1.2 端面荒削りサイクル(G72.7)

G71.7 と同様ですが、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行な動作により切削が行われます。

フォーマット ZpXp 平面 G72.7 P(ns) Q(nf) U(Δu) W(Δw) I(Δi) K(Δk) D(Δd) F(f ) S(s ) T(t ); N (ns) ; ・・・ N (nf) ; YpZp 平面 G72.7 P(ns) Q(nf) V(Δw) W(Δu) J(Δk) K(Δi) D(Δd) F(f ) S(s ) T(t ); N (ns) ; ・・・ N (nf) ; XpYp 平面 G72.7 P(ns) Q(nf) U(Δw) V(Δu) I(Δk) J(Δi) D(Δd) F(f ) S(s ) T(t ); N (ns) ; ・・・ N (nf) ; △d : 切り込み量

切込み方向は、A A'の方向によって決まります。 ns : 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf : 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号 Δu : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の仕上げ代の距離 Δw : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の仕上げ代の距離 Δi : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の荒削り仕上げ代の距離 Δk : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の荒削り仕上げ代の距離 f,s,t : サイクル中は、ns~nf 間のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは、T 機能が無視されます。

そして、G72.7 のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは T 機能のデータが有効となります。

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力

△d 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可 Δu 基準軸の設定単位に従う 平面第 2 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 Δw 基準軸の設定単位に従う 平面第 1 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 △i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 △k 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能

A→A’→B の仕上形状の移動指令をシーケンス番号

ns から nf までのブロックで指令します。

Page 277: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 265 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

A'

Δu/2

Δd

B

工具経路 (F)

(R)

e

45°

(R)

(F)

A

C

Δw

仕上げ形状

(F):切削送り (R):早送り

+X

+Z

e: 逃げ量(パラメータ No.5133) 図7.1.2 (a) 荒削り仕上げ代なしの端面荒削りサイクルの切削経路(タイプⅠ)

解説 ・動作 プログラムで A→A'→B 間の仕上げ形状を与えると、△u/2, △w の仕上げ代を残して、切込み量△d ずつ削り取りま

す。

注 1 A-B 間の移動指令中に指定された F、S および T 機能を無視し、G72.7 指令のブロックまたはそれ以前に指

定した値が有効になります。また、M 機能、第 2 補助機能についても F、S、T 機能と同様の扱いとなります。 2 周速一定制御オプション機能付きの場合、A-B 間の移動指令中に指令した G96 または G97 は無視されます。

A-B 間の移動中に G96 または G97 を有効にしたい場合は、G72.7 のブロックまたはそれ以前のブロックで

G96 または G97 を指令して下さい。

・逃げ量(e) 逃げ量(e)は、パラメータ(No.5133)に設定します。

No. 単位 直径/半径指定 符号 5133 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し

・仕上げ形状 パターン

G72.7 で切削する形状には、次の 4 つのパターンが考えられます。いずれも平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平

行な移動によりワークを切削し、その時の△u、△w の仕上げ代の符号は次のようになります。

Page 278: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 266 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

直線、円弧補間とも 可能です。

+X

+Z B

A

U(-)…W(+)…

A'

B

A

U(-)…W(-)…

A'

B

A

U(+)…W(+)…

A'

B

A

U(+)…W(-)…

A'

図7.1.2 (b) 端面荒削りサイクル U,W の指令値の符号

制限

(1) W(+)の場合は、サイクル開始点より大きい位置を持つ形状は加工することができません。 W(-)の場合は、サイクル開始点より小さい位置を持つ形状は加工することができません。

(2) タイプⅠの場合は、平面第 1 軸、平面第 2 軸ともに単調増加あるいは単調減少の形状でなくてはなりません。 (3) タイプⅡの場合は、平面第 2 軸が単調増加または単調減少の形状でなくてはなりません。

先頭ブロック 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロックで A-A'間の指令)で、G00 または G01 を含む

指令をする必要があります。指令しない場合は、アラーム(PS0065)"形状プログラムの先頭ブロックに G00/G01 があり

ません"になります。 G00 指令の場合は、A-A'に沿って位置決めを行います。G01 指令の場合は、A-A'に沿って切削送りで直線補間を行い

ます。 また、この先頭ブロックで、タイプ I あるいはタイプⅡを選択します。

チェック機能 サイクル動作中は、常に仕上げ形状が単調増加または単調減少となっていることをチェックします。

注 刃先 R 補正をかけている場合は、補正がかかった仕上げ形状でチェックします。

また、以下のチェックを行うことができます。

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存

在することをサイクル動作前にチェックする。 パラメータQSR(No.5102#2)=1で有

効となります。 仕上げ形状をサイクル動作前にチェックする。 (アドレス Q で指定されるシーケンス番号の存在チェックも行います。)

パラメータ FCK(No.5104#2)=1 で有効となります。

・タイプⅠとタイプⅡ 使い分け G71.7/G72.7 においてタイプⅠとタイプⅡがあります。 仕上げ形状にポケットがある場合は、必ずタイプⅡを使用します。 また、タイプ I とⅡでは、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向への荒削りを行った後の逃げが異なります。タイ

プ I は 45°方向へ逃げますが、タイプⅡは仕上げ形状に沿って切り上げます。仕上げ形状にポケットが無い場合は、

逃げの仕方により使い分けて下さい。

Page 279: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 267 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

選択方法 仕上げ形状の先頭ブロック(シーケンス番号 ns)で、タイプ I あるいはタイプⅡを選択します。 (1) タイプⅠの選択

平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令のみを行います。平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の指令があっては

いけません。 (2) タイプⅡの選択

平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)と平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の指令を行います。 もし、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の移動がなくタイプⅡを使用する場合は、移動量が 0 となるよう指令

します。

・タイプⅠ G71.7 と異なる点を以下に記します。 (1) G72.7 は、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行な移動によりワークを切削します。 (2) 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロック)に指令する軸は、平面第 1 軸(ZX 平面

の場合 Z 軸)の指令のみを行う必要があります。

・タイプⅡ G71.7 と異なる点を以下に記します。 (1) G72.7 は、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行な移動によりワークを切削します。 (2) 形状が平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向に単調増加または単調減少ではなくてもよく、くぼみの部分(ポ

ケット)を設けることができます。ただし、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向には、単調変化でなければ

いけません。 (3) 仕上げ形状のうち、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)に平行なブロックは、ポケットの谷底とみなします。 (4) 最後の荒削り仕上げ切削は、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の全ての荒削りが終了したあと、一旦、開始点

へ戻り、それから荒削りの仕上げ切削を行います。

・刃先 R 補正 G71.7 の頁を参照してください。

・サイクルタイムの短縮 G71.7 の頁を参照してください。

Page 280: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 268 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

7.1.3 閉ループ切削サイクル(G73.7)

一定の切削パターンを、位置を少しずつずらしながら繰返し動作させることができます。このサイクルにより、鍛造

や鋳造などの前加工にて素材形状ができているワークを、効率よく切削することが可能です。

フォーマット ZpXp 平面 G73.7 P(ns) Q(nf) U(Δu) W(Δw) I(Δi) K(Δk) D(d) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; YpZp 平面 G73.7 P(ns) Q(nf) V(Δw) W(Δu) J(Δk) K(Δi) D(d) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; XpYp 平面 G73.7 P(ns) Q(nf) U(Δw) V(Δu) I(Δk) J(Δi) D(d) F(f ) S(s ) T(t ) ; N (ns) ; ・・・ N (nf) ; △i : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の逃げの距離 △k : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の逃げの距離 d : 分割回数

荒削りの回数と等しくなります。 ns : 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf : 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号 Δu : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の仕上げ代の距離 Δw : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の仕上げ代の距離 f,s,t : ns~nf 間のブロックのどれかに F 機能、S 機能あるいは、T 機能が指定されても無視されます。そ

して、G73.7 のブロックで指定した F 機能、S 機能あるいは T 機能のデータが有効になります。

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力 △i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 有り 可能 ΔK 基準軸の設定単位に従う 半径指定 有り 可能 Δu 基準軸の設定単位に従う 平面第 2 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能 Δw 基準軸の設定単位に従う 平面第 1 軸の直径/半径指定に従う 有り 可能

A→A’→B の仕上形状の移動指令をシーケンス番号

ns から nf までのブロックで指令します。

Page 281: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 269 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

Δw

A'

Δu/2 Δi+Δu/2

B

D Δk+Δw

C

Δw

Δu/2

仕上げ形状 (F):切削送り (R):早送り

(R)

+X

+Z

(R)A

(F)

図7.1.3 (a) 閉ループ切削サイクルの切削経路

解説 ・動作 プログラムで A→A'→B 間の仕上げ形状を与えると、△u/2, △w の仕上げ代を残して、指定分割回数の荒削りを行い

ます。 注 1 サイクルが終了すると、工具は A 点に戻ります。 2 A-B 間の移動指令中に指定された F、S および T 機能を無視し、G73.7 指令のブロックまたはそれ以前に指

定した値が有効になります。また、M 機能、第 2 補助機能についても F、S、T 機能と同様の扱いとなります。

・仕上げ形状 パターン 仕上げ形状は、G71.7 と同様に 4 つのパターンがありますので、プログラムする際に△u、△w、△i、△k の符号に注

意して下さい。

先頭ブロック 仕上げ形状プログラムの先頭ブロック(シーケンス番号 ns のブロックで A-A'間の指令)で、G00 または G01 を含む指令

をする必要があります。指令しない場合は、アラーム(PS0065)"形状プログラムの先頭ブロックに G00/G01 がありませ

ん"になります。 G00 指令の場合は、A-A'に沿って位置決めを行います。G01 指令の場合は、A-A'に沿って切削送りで直線補間を行い

ます。

チェック機能 以下のチェックを行うことができます。

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存在す

ることをサイクル動作前にチェックする。 パラメータ QSR (No.5102#2) =1 で有効となります。

・刃先 R 補正

G71.7 と同様に本サイクルは、開始点 A のオフセットベクトルが 0、A-A’のブロックでスタートアップを行った時の

刃先 R 補正経路の形状に対してサイクル動作が行われます。

Page 282: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 270 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

7.1.4 仕上げサイクル(G70.7)

G71.7、G72.7、G73.7 によって荒削り切削を行った場合、次の指令によって仕上げ切削を行うことができます。

フォーマット G70.7 P(ns) Q(nf) ;

ns : 仕上げ形状のブロック群の最初のブロックのシーケンス番号 nf : 仕上げ形状のブロック群の最後のブロックのシーケンス番号

解説 ・動作 シーケンス番号 nsから nf までの仕上げ形状プログラムを実行し、仕上げ切削を行います。G71.7, G72.7あるいはG73.7のブロックで指令されている F, S, T, M, 第 2補助機能を無視し、シーケンス番号 nsより nf の間で指令されている F, S, T, M, 第 2 補助機能を有効にします。 サイクルが終了したら、早送りで始点に戻します。そして、G70.7 のサイクルの次のブロックを読込みます。

・仕上げ形状 チェック機能 以下のチェックを行うことができます。

チェック内容 関連パラメータ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラムに存在す

ることをサイクル動作前にチェックする。 パラメータQSR (No.5102#2)=1で有効となります。

・P、Q ブロックの記憶

G71.7、G72.7、G73.7 に荒削り切削を実行した時、P、Q ブロックのメモリアドレスを 3 個所まで記憶します。これに

より、G70.7 を実行する際に P、Q のブロックをメモリの先頭よりサーチすることなく、P、Q で示すブロックを即座

に見つけます。また、いくつかの G71.7、G72.7、G73.7 の荒削りサイクルを実行した後に G70.7 の仕上げサイクルを

まとめて行うこともできます。その際に、荒削りサイクルの 4 つ目以降は、メモリサーチを行い P、Q ブロックを見

つけますのでサイクルタイムが長くなります。

例 G71.7 P100 Q200 ・・・;

N100 ・・・; ・・・; ・・・; N200 ・・・; G71.7 P300 Q400 ・・・; N300 ・・・; ・・・; ・・・; N400 ・・・; ・・・; ・・・; G70.7 P100 Q200 ; (3 つまではサーチすることなく実行) G70.7 P300 Q400 ; (4 つ以上はサーチした後実行)

注 G71.7、G72.7、G73.7 による荒削りサイクルによって記憶した P、Q ブロックのメモリアドレスは、G70.7

実行後に消去します。 また、リセットによっても記憶したすべての P、Q ブロックのメモリアドレスは消去します。

・サイクル開始点への戻り 仕上サイクルは、仕上げ形状の終点まで切削すると、サイクル開始点へ早送りで戻ります。

Page 283: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 271 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

注 サイクル開始点への戻りは、パラメータ LRP(No.1401#1)とは関係なく常に非直線形位置決めとなります。

G71.7、G72.7 でポケットを削った仕上げ形状で仕上サイクルを行う場合は、仕上げ形状の終点からサイク

ル開始点へ戻る間に、工具がワークに干渉することがないか注意して下さい。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正を使用する場合は、複合形固定サイクル指令 (G70.7)より前に刃先 R 補正指令(G41,G42)を行い、キャン

セル指令(G40)は、複合形固定サイクル指令 (G70.7)より後に指令します。 プログラム例 G42; ----------- 複合形固定サイクル指令の前に指令します。 G70.7P10Q20; G40; ----------- 複合形固定サイクル指令の後に指令します。 G71.7 と同様に本サイクルは、開始点 A のオフセットベクトルが 0、A-A’のブロックでスタートアップを行った時の

刃先 R 補正経路の形状に対してサイクル動作が行われます。

例題 端面荒削りサイクル(G72.7)

(X 軸直径指定、ミリ入力)

N011 G90 G92 X220.0 Z190.0 ; N012 G00 X176.0 Z132.0 ; N013 G72.7 P014 Q019 U4.0 W2.0 D7000 F0.3 S550 ; N014 G00 Z56.0 S700 ; N015 G90 G01 X120.0 Z70.0 F0.15 ; N016 Z80.0 ; N017 X80.0 Z90.0 ; N018 Z110.0 ; N019 X36.0 Z132.0 ; N020 G70.7 P014 Q019 ; パラメータ No.5133=1.0(逃げ量) 仕上げ代(X 方向 直径 4.0,Z 方向 2.0)

φ12

0

φ80

φ40

φ16

0

20 2

88

始点

Z 軸

X 軸

20 10 60 10 10

190

110

7

2

2

Page 284: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 272 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

閉ループ切削サイクル(G73.7)

(直径指定、ミリ入力)

φ80

φ18

0

Z 軸

X 軸

220

B

2

130

16

16

110

14

φ16

0

2 14

0

20

φ12

0

40 10 40 20 4010

N011 G90 G92 X260.0 Z220.0 ; N012 G00 X220.0 Z160.0 ; N013 G73.7 P014 Q019 U4.0 W2.0 I14.0 K14.0 D3 F0.3 S0180 ; N014 G00 X80.0 Z120.0 ; N015 G01 Z100.0 F0.15 S0600 ; N016 X120.0 Z90.0; N017 Z70.0 S0400 ; N018 G02 X160.0 Z50.0 R20.0 ; N019 G01 X180.0 Z40.0 S0280 ; N020 G70.7 P014 Q019 ;

Page 285: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング

- 273 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

7.1.5 端面突切りサイクル(G74.7)

外径削りでの切くず処理が可能です。平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)、アドレス P を省略すると平面第 1 軸(ZX平面の場合 Z 軸)だけの動作となり深穴ドリルサイクルとなります。

フォーマット G74.7X_ Z_ I(Δi) K(Δk) D(Δd) F(f ) ;

X_,Z_ : B 点の平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の値と

C 点の平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の値 アブソリュート指令の時は座標値(X,Z) インクレメンタル指令の時は移動量(Δx,Δz) Δi : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の移動量 Δk : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の切込み量 Δd : 切底での工具の逃げ量 f : 送り速度

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力

△i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 Δk 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 Δd 基準軸の設定単位に従う 半径指定 注 1 不可

注 通常、正の値で指定しますが、X と△i を省略した場合は逃がしたい方向の符号をつけて指定します。

Δx/2

Δz

Δd

Δi’

C

Δk' Δk Δk Δk Δk

A

(R)

(R)

(F)

(R) (R) (R) (F)

(F) (F)

(F)

Δi

Δi

e

B

[0<Δk’≦Δk]

X Z

(R)

[0<Δi’≦Δi]

(R)…早送り (F)…切削送り

+X

+Z e: 戻り量(パラメータ No.5139) 図7.1.5 (a) 端面突切りサイクルの切削経路

Page 286: B 64484 ja-2-03

プログラミング B-64484JA-2/03

- 274 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

解説 ・動作 △k 切り込み、e 戻るサイクル動作を繰り返します。 切り込みが C 点に達すると工具を△d 逃がし、早送りで戻り、B 点方向ヘ△i 移動し、再び切り込みを行います。

・戻り量(e) 戻り量(e)は、パラメータ(No.5139)に設定します。

No. 単位 直径/半径指定 符号 5139 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し

・刃先 R 補正 刃先 R 補正をかけることはできません。

7.1.6 外径、内径突切りサイクル(G75.7)

G74.7 において、平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)と平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)を入換えたものに相当しま

す。このサイクルにより、端面切削時の切りくず処理が可能となります。また、外径削りにおける溝入れ加工や、突

切り加工(平面第 1 軸の場合 Z (W)軸、Q を省略)を行えます。

フォーマット G75.7 X_ Z_ I(Δi) K(Δk) D(Δd) F (f ) ;

X_,Z_ : B 点の平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)の値と C 点の平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)の値 アブソリュート指令の時は座標値(X,Z) インクレメンタル指令の時は移動量(Δx,Δz) Δi : 平面第 2 軸(ZX 平面の場合 X 軸)方向の切込み量 Δk : 平面第 1 軸(ZX 平面の場合 Z 軸)方向の移動量 Δd : 切底での工具の逃げ量 f : 送り速度

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力

△i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 Δk 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能 Δd 基準軸の設定単位に従う 半径指定 注 1 不可

注 通常、正の値で指定しますが、Z と△k を省略した場合は逃がしたい方向の符号をつけて指定します。

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B-64484JA-2/03 プログラミング

- 275 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

Δz

Δd

A

(R)

(F) Δi

e

ZΔk

X

(F)

(F)

(R)

(F)

(R)

(R)

(F)

(R)

Δx/2

(R)…早送り (F)…切削送り

(R)

B

C

Δi

Δi

Δi

+X

+Z

Δi’

e: 戻り量(パラメータ No.5139) 図7.1.6 (a) 外径、内径突切りサイクル

解説 ・動作 △i 切り込み、e 戻るサイクル動作を繰り返します。 切り込みが B 点に達すると工具を△d 逃がし、早送りで戻り、C 点方向ヘ△k 移動し、再び切り込みを行います。 G74.7 も G75.7 も突切り、溝切りあるいは穴あけに用いられ、工具を自動的に逃がすサイクルで、それぞれ互いに対

称な 4 つのパターンが考えられます。

・戻り量(e) 戻り量(e)は、パラメータ(No.5139)に設定します。

No. 単位 直径/半径指定 符号 5139 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し

・刃先 R 補正 刃先 R 補正をかけることはできません。

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プログラミング B-64484JA-2/03

- 276 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

7.1.7 複合形ねじ切りサイクル(G76.7)

4 つの切り込み方法が選択できるねじ切りサイクルです。

フォーマット G76.7 X_ Z_ I(i) K(k) D(Δd) A(a) F(L) P(p) Q(q) ;

X_,Z_ : 長手方向切削終了点(図の D 点) アブソリュート指令の時は座標値(X,Z) インクレメンタル指令の時は移動量(Δx,Δz) a : 刃先の角度(ねじ山の角度)1 度単位、範囲は 0~120 (省略時は 0 度とみなします。) i : テーパ量 i=0 とするとストレートねじ切りとなります。 k : ねじ山の高さ Δd : 第 1 回目の切込量 L : ねじのリード p : 切り込み方法(省略時と P0 は切削量一定の片刃切削) P1:切削量一定の片刃切削 P2:切削量一定の千鳥切削 P3:切り込み量一定の片刃切削 P4:切り込み量一定の千鳥切削 q : ねじ切り開始角度シフト (0.001 度単位、範囲 0~360 度)

注 1 アドレス A は、小数点を付けても無効です。すなわち、120 度を指令する場合、A120.と A120 は等価となり

ます。 2 P2~P4 の切込を使用するには、複合形固定サイクルⅡのオプションが必要です。

単位 直径/半径指定 符号 小数点入力 i 基準軸の設定単位に従う 半径指定 有り 可能 k 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 可能

Δd 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し 不可

Δz

C

(F)

(R) A

Δx/2

Δd

E

i X

Z

r

D k

(R)

B

+X

+Z

(R)

r: ねじの切り上げ量(パラメータ No.5130)

図7.1.7 (a) 複合形ねじ切りサイクルの切削経路

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B-64484JA-2/03 プログラミング

- 277 -

7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

解説 ねじ切りサイクルは、C, D 間のみリードが F コードで指令された長さとなるようなねじ切りを行います。他は早送り

となります。

注意 ねじ切りに関する注意事項は、G33 のねじ切りの場合と同様です。ただし、ねじ切り中のフィードホールド

については、後述の「ねじ切りサイクル中のフィードホールド」を参照してください。

・切込み方法 4 つの切り込み方法があります。

刃先

k

Δd

Δd√n 1 回目

3 回目 2 回目

n 回目

a

B

切削量一定の片刃切削(P1)

a

刃先

切削量一定の千鳥切削(P2)

d(仕上げ代)

√2・Δd / 2

d(仕上げ代)

k

1回目

2回目

3回目 4回目

5回目

6回目

図7.1.7 (b) 切削量一定の片刃切削/千鳥切削 (P1/2)

刃先

Δd

k

d (仕上げ代)

a

Δd

Δd

Δd

Δd

切込み量一定の片刃切削(P3)

d (仕上げ代)

a

刃先

Δd

Δd

Δd

Δd

k

切込み量一定の千鳥切削(P4)

図7.1.7 (c) 切込み量一定の片刃切削/千鳥切削 (P3/4)

・最終仕上げ繰返し回数 最後の仕上げサイクル(仕上げ代を削り取るサイクル)を繰り返し行います。 繰り返し回数は、パラメータ(No. 5142)に設定します。 設定値が 0 の時は、1 回行います。

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プログラミング B-64484JA-2/03

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7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

+X

+Z

k

d(仕上げ代) 最後の仕上げサイクル

・最小切込み量 切削量一定の切込みを選択した場合(P1,P2)は、切込み量が余り小さくならないように最小切込み量でクランプするこ

とができます。 最小切込み量は、パラメータ(No. 5140)に設定します。

No. 単位 直径/半径指定 符号 5140 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し

・仕上げ代 仕上げ代は、パラメータ(No. 5141)に設定します。

No. 単位 直径/半径指定 符号 5141 基準軸の設定単位に従う 半径指定 無し

注 仕上げ代は、ねじ山の高さより小さい値を設定して下さい。(No.5141<k)

・テーパ量の符号と工具経路の関係 インクレメンタル量の符号は、図 7.1.7 (a)のサイクルの場合、次のようになります。

X, Z の長手方向切削終了点: 負(通路 A→C, C→D の方向により決まります。) i のテーパ量: 負(通路 A→C の方向により決まります。) k のねじ山の高さ: 正(常に正で) Δd の第 1 回目の切込量: 正(常に正)

各アドレスの符号を考慮することにより、表 7.1.7 (a)の 4 つのパターンが考えられ雌ねじを切ることもできます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング

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7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

表7.1.7 (a) 外径加工 内径加工

1. Δ x < 0, Δ z < 0, i < 0 2. Δ x > 0, Δ z < 0, i > 0

3. Δ x < 0, Δ z < 0, i > 0 ただし |i |≦ |Δ x / 2|

4. Δ x > 0, Δ z < 0, i <0 ただし |i |≦ |Δ x / 2|

X

Z

Δ x/2 3(R)

4(R)

1(R)

2(F) Δ z

iX/2

X

Z

Δ x/2 3(R)

4(R)

1(R)

2(F)

Δ z

i

X/2

X

Z

Δ x/2 3(R)

4(R)

1(R)

2(F)

Δ z

i

X/2

X

Z

Δ x/2 3(R )

4(R)

1(R)

2(F)

Δ z

i X/2

・ねじ切りの補間後加減速 ねじ切りの補間後加減速度は、指数関数形加減速ですが、パラメータ THLx(No.1610#5)により、切削送りと同じ加減

速を選択できます。(パラメータ CTBx,CTLx(No.1610#1,#0)に従います)。ただし、時定数と FL 速度はねじ切りサイ

クルのパラメータ(No.1626,No.1627)を使用します。

・ねじ切りの時定数、FL 速度 パラメータ(No. 1626)のねじ切りの補間後加減速の時定数、パラメータ(No.1627)の FL 速度を使用します。

・ねじの切り上げ ねじの切り上げ(チャンファリング)が可能です。ねじの切り上げをするかしないかは、機械側の信号によります。 ねじの切り上げ r の値は、パラメータ(No. 5130)でリードを L とすると 0.1L~12.7L の範囲で、0.1L きざみで任意の値

をで選択することができます。 ねじの切り上げ角度は、パラメータ(No.5131)で 1 度~89 度までを指定することができます。パラメータ値が 0 の場合

は、45°となります。 ねじの切り上げは、ねじ切りと同じ補間後加減速タイプ、補間後加減速の時定数、FL 速度を使用します。

・切上げ後の逃げ 切上げ後の逃げの速度および、補間後の加減速タイプ、時定数は表 7.1.7 (b)の通りです。

表7.1.7 (b) CFR(1611#0) 1466 内容

0 0 以外 ねじ切り時の補間後加減速のタイプでねじ切りの時定数(パラメータ

(No.1626))、FL 速度(パラメータ(No.1627))、パラメータ(No.1466)の逃げ動作速度を使用します。

0 0 ねじ切り時の補間後加減速のタイプでねじ切りの時定数(パラメータ

(No.1626))、FL 速度(パラメータ(No.1627))、パラメータ(No.1420)の早送り速度を使用します。

1 逃げ動作の前に指令速度が 0(加減速の遅れが 0)になったかのチェックを行

い、早送りの補間後加減速のタイプで、早送りの時定数、パラメータ

(No.1420)の早送り速度を使用します。 切上げ後の逃げ動作の速度に対して、パラメータ ROC(No.1403#4)に 1 を設定することで、早送りオーバライドを無効

とすることができます。

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プログラミング B-64484JA-2/03

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7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

注 逃げ動作中は、パラメータ RF0(No.1401#4)には関係なく、切削送り速度オーバライド 0%で停止しません。

・開始角度シフト ねじ切りの開始角度をアドレス Q の指令によりシフトすることが可能です。 開始角度の指令(Q)の単位は、0.001 度で、範囲は 0~360 度です。なお、小数点指令はできません。

・ねじ切りサイクル中のフィードホールド ねじ切りサイクルリトラクト機能が付いていない場合は、ねじ切り中にフィードホールドをかけると切り上げ後の逃

げの終点(複合形ねじ切りサイクルの切削経路の E 点)で停止します。

・ねじ切りサイクルリトラクト機能付きでのフィードホールド 「ねじ切りサイクルリトラクト」オプション機能が付いた場合、複合形ねじ切りサイクル(G76)でねじ切り中にフィー

ドホールドをかけると、ねじ切りの切り上げ(チャンファリング)を行い、ねじ切りサイクルの開始点へ戻り停止し

ます。 再びサイクルスタートをかけると、フィードホールドをかけたねじ切りのサイクルから再開します。

ここでフィードホールドになった

サイクル開始点

通常の時のサイクル

早送り

フィードホールド時の動き

X 軸

Z 軸

切削送り

逃げる時のチャンファリングの量は、終点におけるチャンファリングの量と同じです。

注意 逃げている最中にさらにフィードホールドは効きません。

・インチねじ切り

アドレス E 指定によりインチねじ切りを行うことができます。 ・刃先 R 補正 刃先 R 補正をかけることはできません。

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B-64484JA-2/03 プログラミング

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7.Series15 フォーマットでの

メモリ運転

例題

G00 X80.0 Z130.0; G76.7 X60.64 Z25.0 K3680 D1800 A60 P1 F6.0 ; パラメータ(No.5130)=10(1.0L)

1.8

3.68

6

Z 軸

105 25

φ60

.64

1.8

X 軸

0

φ68

7.1.8 複合形固定サイクルにおける制限事項

プログラム指令 ・プログラムメモリ

G70.7, G71.7, G72.7, G73.7 を使用したプログラム群は、プログラムメモリに記憶しておく必要があります。プログラ

ムメモリに記憶したプログラムを呼出して運転する方法を行えば、MEM モード以外でもこれらの指令を実行するこ

とができます。 G74.7, G75.7, G76.7 の指令は、プログラムメモリに記憶しておく必要はありません。

・複合形固定サイクル指令のブロック P, Q, X, Z, U, W, R など必要なパラメータは、ブロックごとに正しく指令しなければなりません。 G70.7, G71.7, G72.7, G73.7 を指令したブロックでは、次の指令をすることはできません。 ・カスタムマクロのマクロ呼出し (単純呼出し、モーダル呼出し、サブプログラム呼出し)

・仕上げ形状のブロック G71.7, G72.7, G73.7 のブロックで P で指定したシーケンス番号のブロックでは、グループ 01 の G コードの G00 ある

いは G01 を必ず指令しなければなりません。指令しないとアラーム(PS0065)"形状プログラムの先頭ブロックに

G00/G01 がありません"となります。 G70.7, G71.7, G72.7, G73.7 の P および Q で指定したシーケンス番号の間のブロックでは、以下の指令が行えます。 ・ドウェル(G04) ・G00, G01, G02, G03 円弧指令(G02,G03)は、円弧の始点と終点とで半径差があってはいけません。半径差があると正確に仕上げ形状が

認識できないため切込み過ぎなどが発生する場合があります。

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プログラミング B-64484JA-2/03

- 282 -

7. Series15 フォーマットでの メモリ運転

・カスタムマクロの分岐、繰り返し指令 ただし、飛び先は P および Q で指定したシーケンス番号の間でなくてはなりません。また、パラメータ

MGO,HGO(No.6000#1,#4)による高速分岐は無効です。カスタムマクロのマクロ呼出し(単純呼出し、モーダル呼

出し、サブプログラム呼出し)は指令できません。 G70.7, G71.7, G72.7, G73.7 を実行する時、1つのプログラム内に P、Q で複数の同一シーケンス番号を指定できませ

ん。 カスタムマクロにおいて、#1=2500 を実行した場合、#1 には 2500.000 と入力されますが、このときの P#1 は P2500と等価です。

他の機能との関係 ・手動介入 複合形固定サイクル(G70.7,G71.7,G72.7,G73.7,G74.7,G75.7,G76.7)の実行途中で動作を一旦停止させ、手動介入させる

ことは可能です。 手動運転のマニュアルアブソリュートオン・オフに従います。

・割込み形マクロ 複合形固定サイクル実行中に割込み形マクロプログラムを実行することはできません。

・プログラム再開、工具退避&復帰 複合形固定サイクル途中のブロックから行うことはできません。

・軸名称、第 2 補助機能 軸名称あるいは第 2 補助機能でアドレス U,V,W,A を使用する設定の場合でも G71.7,G72.7,G73.7 ブロックに指令され

たアドレス U,V,W,A の指令は、複合形固定サイクルの指令とみなします。

・刃先 R 補正 刃先 R 補正を使用する場合は、複合形固定サイクル指令(G70.7,G71.7,G72.7,G73.7)より前のブロックで刃先 R 補正指

令(G41,G42)を行い、キャンセル指令(G40)は仕上げ形状プログラム(P で指定したブロックから Q で指定したブロッ

ク)の外で指令します。もし、仕上げ形状プログラム内に刃先 R 補正が指令されている場合は、アラーム(PS0325)"形状プログラムで使用できない指令です"となります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 8.軸制御機能

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8 軸制御機能 8 章「軸制御機能」は下記の内容で構成されています。 8.1 並列軸制御 ...........................................................................................................................................................................283

8.1 並列軸制御

概要 一台の機械にヘッドやテーブルが複数あって同時に複数の同じワークを加工するような場合、一つのプログラム軸に

対する移動指令によって同じ軸名称が付けられている複数の制御軸を同時に動かすことができます。これを、並列運

転と呼びます。 また、一つのプログラム軸の指令、すなわち一つのアドレスでの指令がなされた時に同時に並列に動く 2 つ以上の軸

のことを並列軸と呼びます。 この機能は、1 系統マシニングセンタ系の自動運転、MDI 運転、手動数値指令に対して有効です。通常の手動運転で

は並列運転はできませんので、それぞれの制御軸が独立に動きます。 並列運転においては、一つのプログラム軸に属する制御軸は原則として同じ動きをしますが、外部信号を用いること

で、複数ある並列軸の中から指定した軸だけ選び出して運転する(パーキング)ことができます。

Z2

Z1

Y1

Y2

X

図8.1 (a)

図 8.1 (a)で、Y1と Y2は並列軸で一つのアドレス Y の指令で並列に動きます。 Z1と Z2も並列軸で一つのアドレス Z の指令で並列に動きます。 各並列軸の動きには、次の 2 つがあり、その 2 つの選択は外部入力信号で行われます。 ・ノーマル(パーキングオフ): 指令通りに動きます。 ・パーキング(パーキングオン): 指令を無視して動きません。

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8.軸制御機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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注 1 並列軸制御機能は 1 系統のマシニングセンタ系のみで有効です。 2 並列軸制御は以下の機能に対応しません。

(1) なめらか補間 (2) ナノスムージング (3) 3 次元座標変換 (4) 3 次元工具補正 (5) 工具軸方向工具長補正 (6) 工具先端点制御 (7) 工具姿勢制御 (8) 3 次元工具径補正 (9) 傾斜面割出し指令 (10) ナノスムージング 2 (11) ワーク設置誤差補正 (12) タンデム制御 (13) ツインテーブル制御 (14) 同期・混合制御 (15) 重畳制御

3 座標回転(G68)を指令する際には、並列軸同士のプログラム座標系が一致している必要があるため、直前の

ブロックで並列軸全てに対してアブソリュート指令(G90)で移動指令を行う必要があります。(指令さえあ

ればパーキング中の軸があっても構いません。) 並列軸同士のプログラム座標系が一致していない場合、アラーム(PS0508)”G90 が必要な G コードです(並列

軸)”となります。

並列軸における軸構成 並列軸制御における軸構成には、以下の制限事項があります。 (1) 並列軸の各軸は同じ軸名称としてください。 異なった軸名称を設定した場合、並列軸どうしとして認識できません。 (2) 並列軸どうしを区別するために、それぞれの軸の添字を指定してください。 (3) 並列軸は制御軸として、それぞれの速度は実速度表示に加えられます。スレーブ軸の速度を実速度表示に加えな

いようにすることができます(パラメータ NDFx(No.3115#3)=1)。 (4) 円弧補間や工具径補正を行う時、パラメータ(No.1022)に各軸がどの基本座標系になるかを設定します。このとき、

並列軸どうしは同じ設定をして下さい。 (5) 並列軸制御と送り軸同期制御を併用する場合、送り軸同期制御を行う軸同士は必ず異なる軸名称を設定してくだ

さい。 以下に X,Y1,Y2,Z1,Z2 の 5 軸の機械で並列軸制御を行う場合の例を示します。 制御軸数 = 5

軸番号 表示 軸名称

軸名称 (No.1020)

添字 (No.3131)

基本座標軸設定 (No.1022)

サーボ軸番号 (No.1023)

1 X 88 0 1 1 2 Y1 89 1 2 2 3 Y2 89 2 2 3 4 Z1 90 1 3 4 5 Z2 90 2 3 5

並列軸における座標系の選択 同一のプログラム軸に属する制御軸に対して個別のワーク座標系オフセット量を設定できますので、それぞれの制御

軸に対して独立に座標系を考えてプログラムすることができます。 例えばヘッドが 2 つあり、それぞれのヘッドが二つの制御軸(X,Y)を持つ場合、工具の動きは次のようになります。

Page 297: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 8.軸制御機能

- 285 -

X1

Y1

X2

Y2ヘッド1の レファレンス点

Y

X

(d)

(b) (c)

(a)

(a)

(b)

(c)(d)

ヘッド2の レファレンス点

ヘッド1の工具の 現在位置

ヘッド2の工具の

現在位置

ヘッド1のワーク座標系

ヘッド2のワーク座標系 ヘッド1の ワーク原点オフセット

ヘッド2の ワーク原点オフセット

機械座標系の原点

(e)

(e)

ヘッド1の

中間点

(f)

ヘッド2の 中間点

(f)

(a) インクレメンタル指令による移動 (例)G91 X_ Y_; (b) アブソリュート指令による移動 (例)G90 X0 Y0; (c) 機械座標系による移動指令 それぞれの軸は機械座標系の一点に移動します。 (例)G90 G53 X_ Y_; (d) 自動レファレンス点復帰(G28,G30) それぞれの軸はパラメータで個別に設定されたそれぞれの制御軸のレファレンス点に復帰します。 (例)G91 G28 X0 Y0; (e) レファレンス点復帰チェック(G27) それぞれの軸が、それぞれのレファレンス点に復帰したかどうかチェックします。 (例)G91 G27 X0 Y0; (f) レファレンス点からの自動復帰(G29) それぞれの軸が、それぞれの中間点を経由して指令された位置へ位置決めを行います。 (例)G91 G29 X30. Y50.;

並列軸における工具長補正と工具位置オフセット H コード番号と、この番号に対応して選択されるオフセットデータ番号との差、すなわちバイアス量を各軸ごとにパ

ラメータに設定して、各軸ごとに異なる工具の工具長補正を行うことができます。また、工具位置オフセットの場合

も同様にオフセットを行うことができます。 工具長補正のバイアス量はパラメータ(No.10361)に設定します。 工具位置オフセットのバイアス量はパラメータ(No.10360)に設定します。

Page 298: B 64484 ja-2-03

8.軸制御機能 プログラミング B-64484JA-2/03

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ε1 ε2

プログラム 位置

ヘッド1の工具 ヘッド2の工具

ヘッド オフセット番号 バイアス量 オフセットデータ番号 オフセット量 ヘッド 1 07 10 17 ε1 ヘッド 2 07 20 27 ε2

第 3 軸、第 4 軸を Z1,Z2 軸として並列運転を行う場合、例えば、各軸のバイアス量としてパラメータ(No.10361)の Z1軸 10、Z2 軸に 20 を設定したとします。工具長補正の指令 G43 H07 ; を指令すると、ヘッド 1 の工具の場合オフセッ

ト量としてオフセットデータ番号 17(=07+10)の値を、ヘッド 2 の場合はオフセットデータ番号 27(=07+20)の値

を使って工具長補正を行います。

注 オフセット番号 00、すなわち H00 に対するオフセット量は、バイアス量に無関係に常に 0 です。

並列軸の移動量 並列軸の移動量は、インクレメンタル指令とアブソリュート指令で下記のように異なります。 (1) インクレメンタル指令の場合

・ 早送り・直線補間 すべての並列軸の移動量は同じになります。 ・ 円弧補間・ヘリカル補間 すべての並列軸の移動量は同じになります。 すなわち、同時に同じ円弧を複数補間することになります。

(2) アブソリュート指令の場合

・ 早送り・直線補間 すべての並列軸の終点が同じになります。 すなわち、開始位置が異なる場合、各並列軸の移動量は異なります。 ・ 円弧補間・ヘリカル補間 制御軸の並びが一番若いパーキングされていない軸のデータを用いて補間を行い、他の並列軸はその補間し

たデータと同じデータを出力します。 すなわち、アブソリュート指令であっても、開始位置が補間される軸と異なる場合は指令した終点とは異なる位

置に移動します。

送り速度の計算 並列運転時の送り速度は、直線補間の場合、並列軸の中で移動距離が一番長い軸を選んで計算します。それ以外の並

列軸のデータは送り速度の計算には反映されません。 (例) X 軸が並列軸(X1,X2)の場合 始点位置 X1:0.0 X2:5.0 Y :0.0 指令 G01 G90 X10. Y20. F500

Page 299: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 プログラミング 8.軸制御機能

- 287 -

X1の移動距離=10.0、X2の移動距離=5.0 であるため、移動距離の長い X1の距離を用いて次のように速度計算を行いま

す。 各軸の送り速度

22 2010 +=L としたときに、

X1:500 * 10 / L X2:500 * 5 / L Y :500 * 20 / L となります。

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9.ガス切断機 プログラミング B-64484JA-2/03

- 288 -

9 ガス切断機 9 章「ガス切断機」は下記の内容で構成されています。 9.1 工具位置オフセット B 機能 ...............................................................................................................................................288 9.2 速度によるコーナ制御 .......................................................................................................................................................291 9.3 自動イグザクトストップチェック....................................................................................................................................293 9.4 軸切り換え ...........................................................................................................................................................................296 9.5 緩曲線切断 ...........................................................................................................................................................................298 9.6 緩曲法線方向制御 ...............................................................................................................................................................298

9.1 工具位置オフセットB機能

概要 G43H_、G44H_の指令により、ミラーイメージの影響を受けない工具位置オフセットをかけることができます。 G49 の指令により、ミラーイメージの影響を受けずに工具位置オフセットをキャンセルすることができます。 補正する軸は、平面選択の第 1 軸目と第 2 軸目です。

フォーマット G43 H ;指定方向に補正量だけ+側に座標系がシフト G44 H ;指定方向に補正量だけ-側に座標系がシフト G49;または G43(または G44)H0;工具位置オフセット B キャンセル

G43(または G44) :工具位置+(または-)側オフセット G49(または H0) :工具位置オフセットキャンセル H_:工具位置オフセット番号

(G43,G44,G49:モーダル G コード)

解説 パラメータ GOB(No.5033#0)を 1 と設定し、 G43H_; または、G44H_; の指令により、ミラーイメージの影響を受けない工具位置オフセットをかけることができます。この機能を利用して、

プログラムした時の工具位置と実際に加工を行う時に使用する工具位置とのずれをオフセットメモリに設定するこ

とにより、プログラムを変更することなく補正することができます。 H コードにより工具位置オフセット量が設定されているオフセットメモリ番号を指定します。 オフセット方向は、図 9.1 (a)のように G43,G44 おのおの 8 通りあり、それをパラメータ(No.5032)で選択します。

Y

X

1

0

76

5

4

3 2

G43 の場合

5

4

3 2

1

0

76

G44 の場合

図9.1 (a)

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B-64484JA-2/03 プログラミング 9.ガス切断機

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オフセット方向およびの方向 パラメータ(No.5032)の設定値

G43 G44 0 X+a X-a 1 X+a Y+a X-a Y-a 2 Y+a Y-a 3 X-a Y+a X+a Y-a 4 X-a X+a 5 X-a Y-a X+a Y+a 6 Y-a Y+a 7 X+a Y-a X-a Y+a

a:H コードで指定されたオフセットメモリの番号に設定されたオフセット量 G49 ; の指令により、ミラーイメージの影響を受けずに工具位置オフセットをキャンセルすることができます。 この機能の具体的な利用例として、実際の加工を行うガス切断機のノズルの位置と、プログラムのチェックを行う描

画用のマーキングペンとの位置が異なっているとき、プログラムを変更することなく、その位置を補正することがで

きます。 また、次のプログラム例のように、オフセット番号 02 にガス切断機のノズルの位置とマーキングペンの位置との差

をオフセット量として設定しておき、ガス切断の加工を行うときには、オプショナルブロックスキップ信号 BDTnを”1”とし、マーキングを行うときには、オプショナルブロックスキップ信号 BDTn を”0”にすれば、プログラムを変

更する必要がありません。 O0001; : /G43 H02; : /G49; : %

注 G43、G44、G49 のブロックでは、移動指令を行うことはできません。 アラームが発生します。

パラメータ #7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5033

GOB

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形 #0 GOB 工具位置オフセット B 機能(ガス切断機用)が、

0: 無効です。 1: 有効です。

注 このパラメータを設定した場合には、一旦電源を切断する必要があります。

5032 工具位置オフセット B の方向

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~7 工具位置オフセット B(G43,G44)のオフセット方向を指定します。

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9.ガス切断機 プログラミング B-64484JA-2/03

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Y

X

1

0

76

5

4

3 2

G43 の場合

5

4

3 2

1

0

76

G44 の場合

図9.1 (b)

オフセット方向およびの方向 パラメータ(No.5032)の設定値

G43 G44 0 X+a X-a 1 X+a Y+a X-a Y-a 2 Y+a Y-a 3 X-a Y+a X+a Y-a 4 X-a X+a 5 X-a Y-a X+a Y+a 6 Y-a Y+a 7 X+a Y-a X-a Y+a

a:H コードで指定されたオフセットメモリの番号に設定されたオフセット量

注意事項 ・ 本機能は、オプション機能です。工具位置オフセット B 機能の指定が必要です。 ・ 本機能は、M 系のみ使用できます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 9.ガス切断機

- 291 -

9.2 速度によるコーナ制御

概要 切削送りのブロックから次の切削送りのブロックへと続くとき、実行中のブロックにおいて、各軸の自動加減速回路

における減速時の速度がそれぞれパラメータ(No.1474)で設定された速度以下になったとき、その軸の自動加減速回路

の溜りパルスが 0 となったとみなし、次のブロックに進みます。

解説 切削送りのブロック(ブロック A)から切削送りのブロック(ブロック B)へと続くときブロック A において、各軸の

自動加減速回路における減速時の速度がそれぞれパラメータ(No.1474)で設定された速度以下になったとき、その軸の

自動加減速回路の溜りパルスが 0 となったとみなし、次のブロック B に進みます。 ブロック A からブロック B へと続く場合であって、下記 1)~4)のいずれかに該当するとき、この機能が有効になりま

す。つまり、図 9.2 (a)のように時間 t の時点では、溜りパルスは、実際には斜線部だけ残っていますが、自動加減速

回路の速度がパラメータ設定速度以下となったため、次のブロックに進みます。 1) ブロック A に G09(イグザクトストップチェック)が指令されているとき 2) ブロック A が G61 モード(イグザクトストップチェックモード)であるとき 3) 自動イグザクトストップチェックのとき、ブロック A とブロック B のなす角度が自動イグザクトストップチェッ

ク臨界角度(パラメータ(No.1496))以下の場合 4) インポジションチェック信号 SMZ<Gn053.6>が”1”のとき

時間

ブロックB ブロックA

送り速度

パラメータ 設定速度

図9.2 (a)

インポジションチェック信号については、

結合説明書(機能編)B-64483JA-1 の加減速制御の項目 を参照下さい。

パラメータ #7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

1403

EDT

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形 #3 EDT 速度によるコーナ制御機能(ガス切断機用)が、

0: 無効 1: 有効。

パラメータ(No.1474)の溜りパルス 0 とみなす送り速度以下になったとき、 次のブロックに進みます。

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9.ガス切断機 プログラミング B-64484JA-2/03

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1474

溜りパルス 0 とみなす送り速度(速度によるコーナ制御(ガス切断機用))

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] mm/min,inch/min,deg/min (機械単位) [データ範囲] 0~32767 切削送りのブロック(ブロック A)から切削送りのブロック(ブロック B)へと続くときブロック

A において、各軸の自動加減速回路における減速時の速度がそれぞれ本パラメータで設定された速

度以下になったとき、その軸の自動加減速回路の溜りパルスが 0 となったとみなし、次のブロック

B に進みます。 速度によるコーナ制御(ガス切断機用)で使用します。

注意事項 1) 本機能は、オプション機能です。速度によるコーナ制御機能の指定が必要です。 2) 本機能は、M 系のみ使用できます。 3) 切削送りのブロックから補助機能単独ブロックあるいは早送りのブロックに移る

などの場合には、溜りパルスが実際に 0 になったことをもって次のブロックに進みます。 4) パラメータ EDT(No.1403#3)に 1 を設定して本機能を有効にする場合は、

パラメータ NCI(No.1601#5)に 1 を設定し、減速時に指令速度が 0 になる(加減速の遅れが 0 になる)ことのみ確

認するようにして下さい。 5) パラメータ(No.1474)を 0 以外に設定したとき、各軸の自動加減速回路における減速時の速度がパラメータ

(No.1474)で設定された速度以下になったとき、その軸の自動加減速回路の溜りパルスが 0 となったとみなし、次

のブロックに進みますので、図 9.2 (b)のようにコーナを丸く曲がる場合があります。

プログラム経路

実際の工具中心の経路 X

Y

図9.2 (b)

したがって特にシャープなコーナを出したい場合には、切削送りのブロックと切削送りのブロックの間に、ドウ

ェル(G04)などのブロックを挿入して下さい。 <例>

G09 G01 X Y ; G04 X0; G09 G01 X Y ;

(6) 補間前加減速を行うとき、本機能は無効となります。 (7) 連続するブロックのうち、いずれかで毎回転送りが指令されているとき本機能は無効となります。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 9.ガス切断機

- 293 -

9.3 自動イグザクトストップチェック

概要 本機能は、連続する直線補間(G01)または円弧補間(G02,G03)のブロック間のコーナ内角を割り出し、パラメータに設

定された臨界角度以下である場合に、このブロック間で自動的にイグザクトストップを行うものです。

解説 切削モード(G64)において、直線補間(G01)または円弧補間(G02,G03)のブロックが連続する場合には、このブロック間

の現在選択されている平面内でのコーナ内角を割り出し、自動的にイグザクトストップをするか否かを判断します。

下図において、コーナ内角θがパラメータ(No.1496)に設定された臨界角度以下のとき、ブロック A の終点で自動的に

イグザクトストップが行われます。すなわち、ブロック A においてイグザクトストップ(G09)が指令された場合と等

価になります。

θ

A (G01)

B (G01) θ

A (G01)

B (G03)

θ

A (G02)

B (G01) θ

A (G02)

B (G02)

(1) (2)

(3) (4)

工具径補正モード中の場合も、プログラムされた指令経路のコーナ内角で自動イグザクトストップチェックを行いま

す。またこの時、イグザクトストップが行われる位置は、図中 A、B 点です。(S 点はシングルブロック停止点を示

します。)

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9.ガス切断機 プログラミング B-64484JA-2/03

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θ •A (S)

θ •A (S)

θ

A • •

B (S)

補正後経路

プログラム指令経路

θ

•A (S) 補正ベクトル

θ

A • •

B (S)

θ

•A (S)

θ

A • •

B (S)

θ

•A

S

θ

A • •

B (S)

θ

•A (S)

(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

直線補間(G01)のブロックでかつ現在選択されている平面の 2 軸の移動量が共にパラメータ(No.1497)の設定値よりも

小さい微小ブロックのとき、そのブロックにおける自動イグザクトストップチェックを無効とすることができます。 A→B→C→D と直線補間(G01)を行う場合、B 点では直線 AB と BC のなす角度θ1、C 点では直線 BC と CD のなす角

度θ2 をもとに自動イグザクトストップチェックを行います。ここで、BC のブロックのうち現在選択されている平面

の 2 軸(図の例では X、Y 軸)の移動量が共にパラメータ(No.1497)の設定値よりも小さい時は、C 点において直線 ABと CD のなす角度θ3 をもとに自動イグザクトストップチェックを行います。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 9.ガス切断機

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θ1

A

θ2

θ3 B

C

D Y

X

G17 平面

注 1 パラメータ(No.1497)の設定値よりも小さい微小ブロックが連続した場合は、最初の微小ブロックでは自動イ

グザクトストップチェック無効、次の微小ブロックでは自動イグザクトストップチェック有効、以後無効/

有効が交互に行われます。 2 工具径補正モード中は、パラメータ(No.1497)により自動イグザクトストップチェックを無効とすることはで

きません。

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9.ガス切断機 プログラミング B-64484JA-2/03

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9.4 軸切り換え

概要 メモリ運転、DNC 運転および MDI 運転により指令された X,Y,Z の指令で実際に移動する機械軸をセッティングデ

ータ(No.10371)または機械操作盤上のスイッチなどにより切り換えます。 次の例のように、プログラム指令で想定した座標と実際にワークを取り付けた座標が切換わってしまった場合などに

有効です。

Y

X

Y

X

X 軸の指令を Y 軸の指令に切り換え

Y 軸の指令を X 軸の指令に切り換え

Z 軸の指令を Z 軸の指令に切り換え

プログラム指令で想定した座標 ワークを取付けた座標

解説 ・軸切り換え番号

次の 6 通りの軸切り換えが可能です。各軸切り換えでのプログラムアドレス X,Y,Z は、実指令軸 x,y,z に対応

します。

プログラムアドレス 軸切り換え番号

X Y Z 0 x y z 1 x z y 2 y x z 3 y z x 4 z x y 5 z y x

軸切り換え番号の“0”は、軸切り換えを行わないことを意味します。

・軸切り換えの指定方法 (1) セッティングデータによる指定 セッティングデータ(No.10371)に軸切り換え番号(0∼5)を設定します。 (2) プログラム指令による指定 プログラマブルパラメータ入力(G10L52)を指令して、セッティングデータ(No.10371)に軸切り換え番号(0∼5)を設

定します。 (3) 機械操作盤上のスイッチなどによる指定 使用方法につきましては、機械メーカ発行の説明書を参照下さい。 セッティングデータによる指定(プログラム指令による指定も含む)と機械操作盤上のスイッチなどによる指定の関

係は次の通りです。

セッティングデータ (No.10371)の設定

機械操作盤上の スイッチの設定 有効となる設定

1 0 0 軸切り換え無効 2 1∼5 0 セッティングデータ 3 0 1∼5 機械操作盤上のスイッチ 4 1∼5 1∼5 機械操作盤上のスイッチ

軸切り換えを行わない場合は、セッティングデータと機械操作盤上のスイッチの両方を“0”にして下さい。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 9.ガス切断機

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・軸切り換えが無効になる場合

次の指令時、軸切り換えは無効です。 (1) 手動運転 (2) 特定な機械位置への移動指令、機械座標に関連する指令および座標系設定の指令

(a) 自動レファレンス点復帰 G28、G30

(b) フローティングレファレンス点復帰 G30.1

(c) レファレンス点からの復帰 G29

パラメータ RPC(No.10370#0)を“1”にすると、G29 指令に対して軸切り換えがかかります。 (d) ストアードストロークチェック

G22、G23 (e) 座標系設定

G92、G68.2、G52 (f) オフセット量の設定

G10 (g) ドウェル

G04 (h) 機械座標位置決め

G53 (3) リアルタイムカスタムマクロ

例題 軸切り換えは、プログラム指令を軸切り換え番号に応じてアドレスを変更して指令したのと同等のプログラム解釈を

行い、指令を実行します。 例)軸切り換え番号=4 を指定した場合: 指令ブロック :G00 X100.0 Y200.0 Z300.0; 軸切り換えの指令解釈 :G00 X200.0 Y300.0 Z100.0;

注 1 同じプログラムを軸切り換えで使い分けて使用する場合など、開始位置およびプログラムがインクレメンタ

ル指令であるかアブソリュート指令であるかにより、移動量および方向が軸切り換えによって変わりますの

で注意して下さい。

(例) 開始位置は同じで、軸切り換えによりインクレメンタル指令の移動方向が異なる場合

Y

X

Y

X

X 軸の指令を Y 軸の指令に切り換え

Y 軸の指令を X 軸の指令に切り換え

Z 軸の指令を Z 軸の指令に切り換え

プログラム指令の座標 軸切り換え後の座標

開始位置 開始位置

2 固定サイクルおよび工具長補正における穴あけ軸および工具長補正がかかる軸は、パラメータ

TLB,TLC(No.5001#1,#0)およびパラメータ FXY(No.5101#0)により Z 軸に固定することができますが、その

場合でも軸切り換えによりプログラムアドレス Z を機械軸 x または y に切り換えた場合には、穴あけ軸およ

び工具長補正がかかる軸も x または y に切り換わります。

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9.ガス切断機 プログラミング B-64484JA-2/03

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9.5 緩曲線切断

概要 Y 軸の平行軸として V 軸を付加した場合、緩曲線切断キャンセルモード(G13)では、V 軸は Y 軸の並列軸として扱わ

れ、Y 軸の指令だけで、その指令が V 軸にもされたとみなし、V 軸も移動することができます。 緩曲線切断モード(G12)では Y 軸の指令は Y 軸だけ、V 軸の指令は V 軸だけに有効となります。

x1

x1

x2

x2

y1

v1 v2

y2

G12 ;

G01 Xx1 Yy1 Vv1 F ;

Xx2 Yy2 Vv2 ;

注 G12,G13 は必ず単独ブロックで指令して下さい。

機能説明 Y 軸の平行軸として V 軸を付加した場合、緩曲線切断キャンセルモード(G13)では、V 軸は Y 軸の並列軸として扱わ

れ、Y 軸の指令だけで、その指令が V 軸にもされたとみなし、V 軸も移動することができます。つまり、Y 軸の平行

軸の設定により、Y 軸と同じ軸名称を指定したのと等価になります。ただし、V 軸は Y 軸のスレーブとして扱われま

すので、V 軸に指令を行うことはできません。もし指令するとアラーム(PS009)"アドレス入力に誤りがあります"とな

ります。並列軸についての詳細は、並列軸制御の項目を参照して下さい。 緩曲線切断モード(G12)では Y 軸の指令は Y 軸だけ、V 軸の指令は V 軸だけに有効となります。 G13; 緩曲線切断モードキャンセル G12; 緩曲線切断モード <プログラム例> Y の移動量 V の移動量 G13; G91 Y1000.0; 1000 1000 Y500.0; 500 500 G12; Y35.0V50.0; 35 50 Y40.0V120.0; 40 120

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B-64484JA-2/03 プログラミング 9.ガス切断機

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注 1 G13,G12 は必ず単独ブロックで指令して下さい。 2 基本軸の軸番号が平行軸の軸番号より小さくなるようにして下さい。逆転した場合、G13 モードで V 軸は動

作しません。 3 G13 モードにおいて V 軸指令がなされたときは、アラーム(PS009)"アドレス入力に誤りがあります"となり

ます。 4 G12 モードでは、円弧補間(G02, G03)の指令を行わないで下さい。 5 G12 モードでは、必ず G40(工具径補正キャンセル)モードにして下さい。

パラメータ 1022 各軸が基本座標系のどの軸になるかの設定

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト軸形 [データ範囲] 0 ~ 7

円弧補間、工具径補正などの平面 G17 :Xp-Yp 平面 G18 :Zp-Xp 平面 G19 :Yp-Zp 平面 および三次元工具補正空間 XpYpZp を決めるために、各制御軸が基本座標系の基本 3 軸 X, Y, Z のど

れか、または、その平行軸かを設定します。 基本 3 軸 X, Y, Z の設定はどれか 1 つの制御軸に対してのみ可能です。 2 つ以上の制御軸を同じ基本軸の平行軸として設定できます。

設定値 意味

0 回転軸(基本 3 軸でも平行軸でもない) 1 基本 3 軸の X 軸 2 基本 3 軸の Y 軸 3 基本 3 軸の Z 軸 5 X 軸の平行軸 6 Y 軸の平行軸 7 Z 軸の平行軸

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9.ガス切断機 プログラミング B-64484JA-2/03

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9.6 緩曲法線方向制御

概要 緩曲法線方向制御は、法線方向制御による回転軸(C 軸)の移動を直線軸(X,Y 軸)の移動と同時に行うことが可能

となります。このことにより、ガス切断機への応用が可能です。

解説 緩曲法線方向制御は、法線方向制御により生成された C 軸の回転角度が、パラメータ No.5485 の値より小さい場合、

C 軸の回転と X,Y 軸の移動を同時に行います。

T1

T2

N1 N2

N3

X

Y

α:パラメータ No.5485 に設定された角度

T1 :N1→N2 間で回転する角度(T1<α)

T2 :N2→N3 間で回転する角度(T2≧α)

図9.6 (a) 図 9.6 (a)のように、N1→N2→N3 の指令を行った時の移動は、以下のようになります。 1) N1→N2 では、T1<αのため、N2 の X,Y 軸の移動と共に C 軸が T1 だけ回転します。この時、C 軸の移動量を速

度計算に含めず、XY 平面上の速度が F で指令された速度となります。(緩曲法線方向制御) 2) N2→N3 では、T2≧αのため、従来通り N3 の X,Y 軸の移動の前に C 軸が単独で T2 だけ回転します。(法線方向

制御) なお、直線と円弧、および、円弧と円弧のなす角度が、パラメータ No.5485 に設定された角度以下の場合も、直線と

直線の場合と同様に C 軸は X,Y 軸の移動と共に移動します。

注 1. C 軸の回転を X,Y 移動ブロックに含めて同時に行う時、直線補間(切削)の場合、実速度表示は下記の

計算で求められた速度になります。 F’ = F × √(X2+Y2+C2) / √(X2+Y2) 2. C 軸は、X,Y 軸の移動に合せて移動を行うが、C 軸の送り速度が最大切削速度や、早送り速度を越える

場合は、最大切削速度や、早送り速度でクランプされます。そのため、X,Y 軸の送り速度は指令された

速度と違う場合があります。

制限事項 (1) 本機能を使用するためには、法線方向制御機能が必要です。 (2) C 軸動作を含めた制御軸数が同時制御軸数の範囲を越える場合、同時制御軸拡張機能のオプションが必要です。 (3) F1 桁指令はできません。 (4) 法線方向制御の制限事項は本機能でも制限されます。

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B-64484JA-2/03 プログラミング 9.ガス切断機

- 301 -

9.6.1 直線距離指定

解説 法線方向軸の回転が終了するまでに移動するブロックの距離をパラメータ(No.5486)に設定することにより、指令ブロ

ックと同時に回転を始め、パラメータで指定された距離を移動した時点で法線方向軸の回転が終了するように制御し

ます。 指令ブロックと同時に法線方向軸が回転する緩曲法線方向制御が実行される条件が成り立つ場合において、有効とな

ります。 パラメータ(No.5486)が a とすると、N2 ブロックが実行を開始し、距離 a に達すると、法線方向軸が T1 角度回転しま

す。 N2 ブロックの移動距離がパラメータ(No.5486)より、小さい場合や等しい場合は、その移動距離で法線方向軸が移動

します。

T1

T2

N1 N2

N3

X

Y

a

・条件 緩曲法線方向制御が実行される条件とは、以下の全ての条件が満たされた場合です。 ① 緩曲法線方向制御が有効。(パラメータ No.5484#0=1) ② 指令ブロックの移動距離が前ブロックの法線方向角度維持のパラメータ No.5483 以上である。 ③ 法線方向制御で計算した回転角度が法線方向制御軸の回転のパラメータ(No.5482)より大きい。 ④ 法線方向制御で計算した回転角度が緩曲法線方向制御の回転のパラメータ(No.5485)より小さい。 本機能は、緩曲法線方向制御が実行される条件が満たされ、さらに、指令ブロックの移動距離がパラメータ(No.5486)より大きい場合に、パラメータ(No.5486)の移動距離で法線方向軸の回転を行います。

・制限事項 ・ 指令ブロックが円弧指令の場合は、本機能は無効です。通常の緩曲法線方向制御となります。 ・ 本機能は、インバースタイム送りモードでは使用できません。

注 1 法線方向軸は、X,Y 軸の移動に合せて移動を行いますが、法線方向軸の送り速度が最大切削速度や、早送り

速度を越える場合は、最大切削速度や、早送り速度でクランプされます。そのため、X,Y 軸の送り速度は指

令された速度より遅くなる場合があります。 2 位置決め指令ブロックの場合は、法線方向軸の回転終了後、指令ブロックの残距離の移動が始まる前に、イ

ンポジションのチェックが行われます。

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III. 操作

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B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

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1 データの表示と設定 1 章「データの表示と設定」は下記の内容で構成されています。

1.1 機能キー に属する画面 .............................................................................................................................................305

1.1.1 工具オフセット量の表示と設定.............................................................................................................................305 1.1.2 工具長測定 ................................................................................................................................................................310 1.1.3 工具長/ワーク原点測定 ........................................................................................................................................312 1.1.4 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット量の表示と設定 .....................................................331 1.1.5 工具補正量測定値直接入力 B.................................................................................................................................334 1.1.6 スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工具長補正 .............................................................................334

1.1 機能キー に属する画面

機能キー を押すと、工具オフセット量や各種のセッティングデータを表示、設定することができます。

ここでは、以下のデータを表示、設定することができます。 1. 工具オフセット量 2. 工具長測定 3. 工具長/ワーク原点測定 4. ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット 5. 工具補正量 6. スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工具長補正

1.1.1 工具オフセット量の表示と設定

工具位置オフセット量、工具長補正量、工具径補正量は、プログラムでは D コード、H コードで指令されています。 D コード、H コードに対応する補正量をこの画面で表示、設定します。

工具オフセット量の表示と設定(8.4/10.4"表示器の場合)

手順 1 機能キー を押します。

2 系統制御の場合は、どちらの系統の工具オフセット量を設定するかを、あらかじめ、系統選択スイッチで選択

しておきます。 2 章選択のソフトキー[オフセット]を押します。

または、 を何度か押し、工具補正画面を表示させます。

工具補正メモリのタイプにより、表示される画面が異なります。

Page 318: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 306 -

図1.1.1 (a) 工具補正メモリ A の場合(10.4”表示器)

図1.1.1 (b) 工具補正メモリ B の場合(10.4”表示器)

Page 319: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 307 -

図1.1.1 (c) 工具補正メモリ C の場合(10.4”表示器)

切削点指令のオプションが有効な場合、工具補正メモリ C の画面において、さらに、MDI キー

を数回押すと、

コーナ R オフセット量の設定画面が表示されます。

図1.1.1 (d) 切削点指令で使用する画面(10.4”表示器)

3 ページキー、カーソルキーを使って、設定/変更したい補正量の位置にカーソルを移動させます。

または、設定/変更したい補正量の補正番号をキー入力し、ソフトキー[NO.サーチ]を押します。 4 補正量を設定したい場合は、補正量をキー入力し、ソフトキー[入力]を押します。

補正量を変更したい場合は、増減したい量をキー入力しソフトキー[+入力]を押します。 または、新しい補正量を入力し、ソフトキー[入力]を押します。

Page 320: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 308 -

工具オフセット量の表示と設定(15/19"表示器の場合)

手順 1 機能キー を押します。

2 系統制御の場合は、どちらの系統の工具オフセット量を設定するかを、あらかじめ、系統選択スイッチで選択

しておきます。 2 章選択の縦ソフトキー[オフセット]を押します。

または、機能キー を何度か押し、工具補正画面を表示させます。

工具補正メモリのタイプにより、表示される画面が異なります。

図1.1.1 (e) 工具補正メモリ A の場合(15”表示器)

図1.1.1 (f) 工具補正メモリ B の場合(15”表示器)

Page 321: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 309 -

図1.1.1 (g) 工具補正メモリ C の場合(15”表示器)

切削点指令のオプションが有効な場合、工具補正メモリ C の画面において、さらに、MDI キー

を数回押すと、

コーナ R オフセット量の設定画面が表示されます。

図1.1.1 (h) 切削点指令で使用する画面(15”表示器)

3 ページキー、カーソルキーを使って、設定/変更したい補正量の位置にカーソルを移動させます。

または、設定/変更したい補正量の補正番号をキー入力し、横ソフトキー[NO.サーチ]を押します。 4 補正量を設定したい場合は、補正量をキー入力し、横ソフトキー[入力]を押します。

補正量を変更したい場合は、増減したい量をキー入力し横ソフトキー[+入力]を押します。 または、新しい補正量を入力し、横ソフトキー[入力]を押します。

解説 ・小数点入力 小数点を使って補正量を入力することができます。

Page 322: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 310 -

・他の設定方法 工具オフセット量は、外部入出力機器を使って入出力することも可能です。 取扱説明書(T 系/M 系共通)Ⅲ-8「データの入出力」を参照して下さい。 また、次項の工具長測定を使用して工具長補正を設定することも可能です。

・工具補正メモリ 工具補正メモリには A,B,C があり、下記のように補正量のデータを区別しています。 工具補正メモリ A D コード/H コードの区別、形状/摩耗の区別がありません。 工具補正メモリ B 形状/摩耗の区別がありますが、D コード/H コードの区別がありません。 工具補正メモリ C D コード/H コードの区別、形状/摩耗の区別があります。

・補正量の入力禁止 パラメータ WOF,GOF(No.3290#0,#1)によって、補正量の入力が禁止されます。(工具補正メモリ A にはありません) また、その時入力禁止とする工具オフセット量の先頭番号をパラメータ(No.3294)に、その先頭番号からの個数をパラ

メータ(No.3295)に設定することにより、任意に指定された範囲の工具オフセット量を MDI から入力禁止とすること

ができます。 連続入力を行った場合は下記の通りになります。 1) 入力可能のオフセット番号から入力禁止のオフセット番号へ続けて入力した時、ワーニングとなりますが、入力

可能のオフセット番号の範囲までの補正量が設定されます。 2) 入力禁止のオフセット番号から入力可能のオフセット番号へ続けて入力した時、ワーニングとなり補正量は設定

されません。

1.1.2 工具長測定

基準工具と測定したい工具とを、機械のある固定点につきあてることにより、測定すべき工具の工具長が、工具長補

正量として登録できます。 工具長の方向は、X 軸, Y 軸, Z 軸のいずれの方向からも可能です。

工具長測定(8.4/10.4"表示器の場合)

1 手動運転で基準工具を機械固定点(またはワーク上の固定点)につきあてます。

2 機能キー を何度か押し、相対座標の位置表示画面を表示します。

図1.1.2 (a) 現在位置表示画面(10.4”表示器)

Page 323: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 311 -

3 Z 軸の相対座標値を"0"にリセットします。

4 機能キー を何度か押し、工具補正画面を表示します。

5 手動運転で測定したい工具を同じ機械固定点につきあてます。 この時、相対座標値(工具補正画面にも表示されています。)には、基準工具と測定したい工具との差分が示さ

れています。 6 測定値を設定したい工具オフセット番号の所へカーソルを移動します。

(カーソルの移動は工具オフセット量の設定の時と同じです。)

7 アドレス を押します。

アドレス の代わりに または を押すと、それぞれ X 軸または Y 軸の相対座標値が工具長補正量と

して入力されます。 8 ソフトキー[C 入力]を押します。

Z 軸の相対座標値が工具長補正量として入力されて表示されます。

この差が工具長補正量として設定される。

基準工具

固定点

工具長測定(15/19"表示器の場合)

1 手動運転で基準工具を機械固定点(またはワーク上の固定点)につきあてます。

2 機能キー を押し、総合位置表示画面を表示します。

図1.1.2 (b) 現在位置表示画面(15”表示器)

Page 324: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 312 -

3 Z 軸の相対座標値を"0"にリセットします。

4 機能キー を何度か押し、工具補正画面を表示します。

5 手動運転で測定したい工具を同じ機械固定点につきあてます。 この時、相対座標値(工具補正画面にも表示されています。)には、基準工具と測定したい工具との差分が示さ

れています。 6 測定値を設定したい工具オフセット番号の所へカーソルを移動します。

(カーソルの移動は工具オフセット量の設定の時と同じです。)

7 アドレス を押します。

アドレス の代わりに または を押すと、それぞれ X 軸または Y 軸の相対座標値が工具長補正量と

して入力されます。 8 横ソフトキー[C 入力]を押します。

Z 軸の相対座標値が工具長補正量として入力されて表示されます。

この差が工具長補正量として設定される。

基準工具

固定点

1.1.3 工具長/ワーク原点測定

工具長を測定するための機能として、プログラム指令(G37)によって自動的に工具長を測定する方法(工具長自動測定

(II.6.2)参照)、および工具を手動送りで移動させワークの上面などに工具を突当てて測定する方法(工具長測定 (III.1.1.2)参照)が用意されていますが、工具長/ワーク原点測定では工具長測定に対して操作の簡略化を図り、加工

の段取り作業が簡単にかつ短時間で行うことができます。さらにワーク原点補正量も簡単に測定することができます。 また、工具長補正量測定画面において、手動数値指令により、T コード指令と M コード指令およびレファレンス点復

帰の指令ができます。

工具長補正量の測定手順(8.4/10.4"表示器の場合)

手順 手動運転で工具をワークまたは基準ブロックに接触させることにより工具長補正量を測定することができます。 実際の操作については、機械メーカ発行の説明書を参照して下さい。 1 手動レファレンス点復帰などの操作で機械を工具交換位置に移動させます。 2 モード選択スイッチのうち、ハンドルスイッチ、またはジョグ送り(JOG)スイッチを押します。 3 機械操作盤上の工具補正量測定モードスイッチをオンにすると、画面が自動的に工具長補正量測定の画面に切換

わり、画面下の状態表示に"OFST"と点滅表示します。 工具長補正量測定の画面は、工具補正メモリ A、B(形状補正用と摩耗補正用の区別あり)、C(形状補正用と摩

耗補正用の区別があり、かつ径補正用と長補正用の区別あり)によって若干異なります。

Page 325: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 313 -

図1.1.3 (a) 工具補正メモリ A の場合の工具長補正量測定画面(10.4”表示器)

図1.1.3 (b) 工具補正メモリ B の場合の工具長補正量測定画面(10.4”表示器)

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1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 314 -

図1.1.3 (c) 工具補正メモリ C の場合の工具長補正量測定画面(10.4”表示器)

アドレス T と M の表示は、 キーを押すと"0"になります。ただし、MEM モードまたは MDI モードに切

り換えると、モーダルの T コードと M コードを表示します。 4 基準測定面から測定面までの距離を数値キーでキー入力し、ソフトキー[HM 入力]を押して設定してください。

基準測定面と測定面については後述の解説を参照してください。 5 工具長補正量の測定を行う工具を選択します。

工具長補正量測定画面において、画面下の状態表示に"OFST"と点滅表示している時、手動ハンドル送りまたはジ

ョグ送りモードで T コードおよび M コードのプログラム指令ができます(手動数値指令)。まず、Ttttt をキー入

力した後に、機械操作盤または MDI ユニット上のサイクルスタートボタンを押すと、Ttttt のプログラム指令を実

行して測定する工具を選択します。一般には、その工具は主軸の位置に持ってくるために"M06"の指令をキー入

力して実行させます。以上の操作で工具長補正量の測定を行う工具が主軸の位置に選択されます。この後、その

工具の工具長補正量を設定したい工具補正番号にカーソルをあてます。補正番号にカーソルをあてる操作はオペ

レータが行いますが、機械によってはパラメータ QNI (No.5005#5)=1 と設定することにより工具の選択が完了し

たとき、その工具に対する工具補正番号に自動的にカーソルをあてることができます。 6 手動ハンドル送りもしくはジョグ送りで工具をワークまたは基準ブロックの測定面に近づけて、接触させます。 7 ソフトキー[測定]を押します。すると、工具長補正量が工具補正メモリに設定されます。工具補正メモリ B、C の

場合には工具長補正量が工具形状補正量として設定され、工具摩耗補正量は 0 に設定されます。工具補正番号の

カーソルの位置は変わりません。もし、設定後自動的に次の工具補正番号にカーソルの位置を進める場合には、

ソフトキー[測定+]を押します。 8 工具長補正量が設定されると、工具交換位置に工具が自動的に移動します。 9 以上でひとつの工具に対する工具長補正量の測定の手順が完了です。

以降の工具に対しては、手順 5~8 を繰返して下さい。 10 すべての工具に対する工具長補正量の測定が終了したならば、機械側操作盤上の工具長補正量測定モードスイッ

チをオフにします。工具長補正量測定画面下の"OFST"の点滅表示が消えます。

工具長補正量の測定手順(15/19"表示器の場合)

手順 手動運転で工具をワークまたは基準ブロックに接触させることにより工具長補正量を測定することができます。 実際の操作については、機械メーカ発行の説明書を参照して下さい。 1 手動レファレンス点復帰などの操作で機械を工具交換位置に移動させます。 2 モード選択スイッチのうち、ハンドルスイッチ、またはジョグ送り(JOG)スイッチを押します。 3 機械操作盤上の工具補正量測定モードスイッチをオンにすると、画面が自動的に工具長補正量測定の画面に切換

わり、画面下の状態表示に"OFST"と点滅表示します。

Page 327: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 315 -

工具長補正量測定の画面は、工具補正メモリ A、B(形状補正用と摩耗補正用の区別あり)、C(形状補正用と摩

耗補正用の区別があり、かつ径補正用と長補正用の区別あり)によって若干異なります。

図1.1.3 (d) 工具補正メモリ A の場合の工具長補正量測定画面(15”表示器)

図1.1.3 (e) 工具補正メモリ B の場合の工具長補正量測定画面(15”表示器)

Page 328: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 316 -

図1.1.3 (f) 工具補正メモリ C の場合の工具長補正量測定画面(15”表示器)

アドレス T と M の表示は、 キーを押すと"0"になります。ただし、MEM モードまたは MDI モードに切

り換えると、モーダルの T コードと M コードを表示します。 4 基準測定面から測定面までの距離を数値キーでキー入力し、横ソフトキー[HM 入力]を押して設定してください。

基準測定面と測定面については後述の解説を参照して下さい。 5 工具長補正量の測定を行う工具を選択します。

工具長補正量測定画面において、画面下の状態表示に"OFST"と点滅表示している時、手動ハンドル送りまたはジ

ョグ送りモードで T コードおよび M コードのプログラム指令ができます(手動数値指令)。まず、Ttttt をキー入

力した後に、機械操作盤または MDI ユニット上のサイクルスタートボタンを押すと、Ttttt のプログラム指令を実

行して測定する工具を選択します。一般には、その工具は主軸の位置に持ってくるために"M06"の指令をキー入

力して実行させます。以上の操作で工具長補正量の測定を行う工具が主軸の位置に選択されます。この後、その

工具の工具長補正量を設定したい工具補正番号にカーソルをあてます。補正番号にカーソルをあてる操作はオペ

レータが行いますが、機械によってはパラメータ QNI(No.5005#5)=1 と設定することにより工具の選択が完了した

とき、その工具に対する工具補正番号に自動的にカーソルをあてることができます。 6 手動ハンドル送りもしくはジョグ送りで工具をワークまたは基準ブロックの測定面に近づけて、接触させます。 7 横ソフトキー[測定]を押します。すると、工具長補正量が工具補正メモリに設定されます。工具補正メモリ B、C

の場合には工具長補正量が工具形状補正量として設定され、工具摩耗補正量は 0 に設定されます。工具補正番号

のカーソルの位置は変わりません。もし、設定後自動的に次の工具補正番号にカーソルの位置を進める場合には、

横ソフトキー[測定+]を押します。 8 工具長補正量が設定されると、工具交換位置に工具が自動的に移動します。 9 以上でひとつの工具に対する工具長補正量の測定の手順が完了です。

以降の工具に対しては、手順 5~8 を繰返して下さい。 10 すべての工具に対する工具長補正量の測定が終了したならば、機械側操作盤上の工具長補正量測定モードスイッ

チをオフにします。工具長補正量測定画面下の"OFST"の点滅表示が消えます。

Page 329: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 317 -

解説 ・工具長補正量の考え方 工具長補正量をどのように定義するか、これには一般に下記の 2 通りの方法があります。いずれの方法にせよ、それ

ぞれの工具の刃先位置から基準工具の刃先位置までの距離を工具長補正量にするという基本的な考え方に変わりは

ありません。 (1) 方法 1

第 1 の方法は、実際の工具長を工具長補正量とする方法です。この方法における基準工具というのは、機械が Z軸の機械座標系原点にいるときに刃先が機械原点上にある仮想的な工具です。それぞれの工具の刃先位置と基準

工具の刃先位置との差分、すなわち機械が Z 軸の機械原点にいるときのそれぞれの工具の刃先位置から機械原点

までの Z 軸の距離を工具長補正量とするものです。 (2)

基準工具

(基準工具の刃先位置)

機械原点

OFSL03

OFSL02

OFSL01 : 工具 T01 の工具長補正量

OFSL02 : 工具 T02 の工具長補正量OFSL03 : 工具 T03 の工具長補正量

OFSL01

工具T01 工具

T02工具T03

ところで、本機能では工具をジョグ送りで移動させて工具の刃先をワークまたは基準ブロックの上面に突き当て

ます。この面を測定面と呼びます。この測定面を機械のテーブルの上面にすることは実際には機械の損傷の点か

らできませんが、仮に測定面を機械のテーブルの上面にしたとします。機械原点から機械のテーブルの上面まで

の距離を L とすると、L は機械に固有な値です。したがって距離 L をパラメータ(No.5022)に設定しておき、測定

面を機械のテーブルの上面にしたと仮定して、工具を機械のテーブルの上面に接触させたときの工具の機械座標

値を Zt とすれば工具長補正量 OFSL は L と Zt から容易に求めることができます。ただし、実際の測定面を機械

のテーブルの上面にすることはできませんので、機械のテーブルの上面を基準測定面と定義し、基準測定面から

実際の測定面までの距離すなわちワークまたは基準ブロックの高さ(Hm)を別途設定しておくことによって(手順

参照)工具長補正量 OFSL は次式から求めることができます。

Page 330: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 318 -

(基準工具の刃先位置)

ワーク

測定面

OFSL OFSL

測定面

Hm

機械原点

Zm

Zm

L

 Hm

基準ブロック

基準測定面

L : 基準工具の刃先位置から基準測定面までの距離(基準測定面の機械座標値)

Hm : 基準測定面から実際の測定面までの距離

Zm : 機械原点での測定工具の刃先位置から測定面までの距離

Zt : 機械原点での測定工具の刃先位置から基準測定面までの距離OFSL:工具長補正量(OFSL = Zm-Hm-L)

Zt

機械のテーブル 機械のテーブル

工具T01

工具T01

この方法では、実際の工具長を工具長補正量として設定しますので、摩耗がないとすればワークが変わっても測

定し直す必要がないという利点があります。またいくつものワークを一度に加工する場合にはそれぞれのワーク

に対してワーク座標系を G54~G59 に割り振るようにしておき、それぞれのワーク原点補正量を別途設定してお

くだけで工具長補正量を設定し直す必要がないという利点もあります。

Page 331: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 319 -

(2) 方法 2 第 2 の方法は、機械が Z 軸の機械座標系原点にいるときの工具の刃先位置からワーク座標系の原点までの距離を

工具長補正量とする方法です。この工具長補正量の考え方も、基準工具の工具長との差を工具長補正量とする上

では方法 1 となんら変わるところはありません。異なるのは、この方法における基準工具というのは、機械が Z軸の機械座標系原点にいるときに刃先がワーク座標系の原点上にある仮想的な工具であるという点です。

基準工具

機械原点

OFSL01

OFSL03

ワーク座標系原点

ワーク

OFSL01 : 工具 T01 の工具長補正量

OFSL02 : 工具 T02 の工具長補正量OFSL03 : 工具 T03 の工具長補正量

OFSL02

工具T01 工具

T02工具T03

この第 2 の方法では、基準測定面はワーク座標系の原点になります。一方、基準工具の刃先位置もワーク座標系

の原点ですので、基準工具の刃先位置から基準測定面までの距離である L は 0 になります。したがって距離 L の

パラメータ(No.5022)は 0 を設定しておきます。実際の測定面も一般にはワーク座標系の原点である基準測定面と

同じになります。ただし、測定面を基準ブロックの上面にしたような場合あるいはワークの上面をワーク座標系

の原点にしない場合、(例えば取代分だけワーク座標系の原点をワークの上面からずらす場合)には、基準測定

面から実際の測定面までの距離を Hm として別途設定しておくことによって工具長補正量 OFSL は方法 1 の場合

と同じ式から求めることができます。

Page 332: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 320 -

ワーク

(基準測定面)

測定面

機械原点

Zm

OFSL

Zm

OFSL

Hm

ワーク座標系原点

Hm

基準ブロック

L : 基準工具の刃先位置から基準測定面までの距離(=0) Hm : 基準測定面から実際の測定面までの距離 Zm : 機械原点での測定工具の刃先位置から測定面までの距離

OFSL:工具長補正量(OFSL = Zm-Hm-L)

機械テーブル 機械テーブル

測定面

工具T01

工具T01

この第 2 の方法では、機械が機械原点にいるときに刃先位置がワーク座標系の原点上にある工具を基準工具としてい

ますので、一般にワークが変われば工具長補正量を測定し直さなければなりません。ただし、別のワークに変更した

ときにも工具長補正量の設定値はそのままにしておき、新たなワークのワーク座標系原点と工具長補正量を測定した

ときのワーク座標系原点の差分を G54~G59 のいずれかのワーク原点補正量に設定すればワークが変わったときでも

工具長補正量を測定し直す必要はなくなります。 この方法での工具長補正量は別の観点から言うと『それぞれの工具の工具長補正量にワーク原点補正量を設定してい

る』ことになります。

・任意軸の工具長補正量測定 一般に工具は Z 軸方向に平行に取付けてありますので、工具を Z 軸方向に移動させて工具長補正量の測定を行います。

ところが、機械によっては Z 軸に平行な W 軸を持っいて、W 軸方向に工具を移動させて工具長補正量を測定したい

場合があります。さらには、アタッチメントなどによって工具を Z 軸以外の軸と平行に取付けることができる機械も

あります。このような機械のために Z 軸方向だけではなく任意の軸で工具長補正量を測定することがパラメータ

TMA(No.5007#2)=1 と設定することにより可能です。任意の軸で行う場合は、まず、基準工具の刃先位置から基準測

定面までの距離 L を Z 軸方向だけではなく、測定することがあり得る軸方向の L を軸ごとにあらかじめパラメータ設

定(No.5022)しておきます。次に基準測定面から実際の測定面までの距離 Hm は測定すべき軸方向の距離を設定します

(後述の解説参照)。そして工具を測定すべき軸方向に動かしてワークもしくは基準ブロックに接触させた後、ソフ

トキーの[測定]または[測定+]を押す前に測定軸の軸名称をキー入力します。例えば、W 軸で測定した場合、W をキ

ー入力した後ソフトキーの[測定]または[測定+]を押します。

Page 333: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 321 -

・工具交換位置 工具交換位置はあらかじめパラメータ TC3,TC2(No.5007#1,#0)で選択しておきます。

表1.1.3 (a) TC3 TC2 意味

0 0 工具交換位置は第 1 レファレンス点 (G28) 0 1 工具交換位置は第 2 レファレンス点 (G30P2) 1 0 工具交換位置は第 3 レファレンス点 (G30P3) 1 1 工具交換位置は第 4 レファレンス点 (G30P4)

ワーク原点補正量の測定手順(8.4/10.4"表示器の場合)

工具長方向の軸、すなわち Z 軸のワーク原点補正量のみならず、Z 軸に直交する平面の X 軸と Y 軸のワーク原点補正

量も簡単に測定することができます。X 軸と Y 軸のワーク原点補正量についてはワークのある面をワーク原点とする

場合と、ある加工穴の中心をワーク原点とするいずれの場合でも簡単に測定が可能です。 実際の操作については機械メーカ発行の説明書を参照して下さい。

・Z 軸ワーク原点補正量の測定手順 1 まず、任意の工具を主軸の位置に選択します。工具の選択は MDI 指令などで選択しておきます(工具長補正量の

測定手順参照)。ただし、選択した工具の工具長補正量はすでに測定されているものでなければなりません。 2 モード選択スイッチのうち、ハンドルスイッチ、またはジョグ送り(JOG)スイッチを押します。 3 機械操作盤上のワーク原点補正量測定モードスイッチをオンすると、画面が自動的にワーク原点補正量の画面に

切換わり、画面下の状態表示に"WOFS"と点滅表示します。 4 選択した工具の工具長補正量をワーク原点補正量の画面から入力します。工具長補正量を数値キーで入力した後、

ソフトキー[TL 入力]を押します。

図1.1.3 (g) ワーク原点補正量設定画面(10.4”表示器)

5 設定したい G54~G59 のいずれかのワーク原点補正量のところにカーソルをあてます。Z 軸のワーク原点補正量

の所にあたってなくてもかまいません。 6 手動ハンドル送りもしくはジョグ送りで工具をワークの上面に近づけて接触させます。 7 軸名称の Z をキー入力した後、ソフトキー[測定]を押し、続いてソフトキー[入力]を押します。これによって、Z

軸のワーク原点補正量が設定されます。カーソルは設定された Z 軸のワーク原点補正量の位置にあたっています。

ワーク原点補正量の測定はZ軸しか行わないというパラメータWMA(No.5007#3)=0である設定の場合には軸名称

の Z をキー入力する必要はありません。 もし、ワークの上面をワーク座標系の原点にしない場合、例えば取代分だけワーク座標系の原点をワークの上面

からずらすような場合にはその量(図 1.1.3 (h)での S)を数値キーで入力してからソフトキー[測定]を押し、続い

てソフトキー[入力]を押します。

Page 334: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 322 -

ワーク座標系原点

S

ワーク

図1.1.3 (h)

8 次のワーク原点補正量を測定したい場合には、工具をワークから逃がして手順 5~7 を繰返します。

・基準面による X 軸/Y 軸ワーク原点補正量の測定手順 X 軸または Y 軸のワーク原点をワークのある面にする場合の測定手順はパラメータ WMA(5007#3)=1 と設定すること

により基本的に Z 軸のワーク原点補正量を測定する場合と同じです。異なるのは、手順 4 において、選択した工具の

工具径補正量をワーク原点補正量の画面から入力します。工具径補正量を数値キーで入力した後、ソフトキー[TL 入

力]を押します。

注意 工具径補正量をキー入力する際、その符号に注意して下さい。

・測定面を工具の+方向とするときには-の符号をつけてキー入力する ・測定面を工具の-方向とするときには+の符号をつけてキー入力する

・基準穴による X 軸/Y 軸ワーク原点補正量の測定手順

1 センサ付の測定用プローブを主軸に取付けます。 2 モード選択スイッチのうち、ハンドルスイッチ、またはジョグ送り(JOG)スイッチを押します。 3 機械操作盤上のワーク原点補正量測定モードスイッチをオンにすると、画面が自動的にワーク原点補正量の画面

に切換わり、画面下の状態表示に"WOFS"と点滅表示してワーク原点補正量の測定のための準備が完了した旨を知

らせます。 4 設定したい G54~G59 のいずれかのワーク原点補正量のところにカーソルをあてます。X 軸もしくは Y 軸のワー

ク原点補正量の所にあたってなくてもかまいません。 5 手動ハンドル送りもしくはジョグ送りで測定用プローブを穴の外周に近づけて接触させます。同時に動かす軸は

必ず 1 軸にして下さい。 6 接触したことをセンサで感知したら、機械側ではスキップ信号を入力し、手動ハンドル送りもしくはジョグ送り

の軸移動が止まります。同時に、その位置を第 1 番目の測定点として記憶します。記憶した測定点の機械座標値

は図 1.1.3 (i)のように画面の右下部分に表示します。

Page 335: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 323 -

図1.1.3 (i) ワーク原点補正量設定画面(10.4”表示器)

7 第 2 番目の測定点へ測定用プローブを動かします。このとき、現在の測定点へ接触させた方向へは動かないよう

CNC はインタロックをとっています。例えば+X 方向に動かして測定点に接触させた後、次の測定点へ動かそう

とした場合、-X 方向への移動を可能にし、+X、+Y および-Y 方向の移動に対してはスキップ信号が"0"になるま

でインタロックをかけます。第 2 番目の測定点に接触した後の扱いについては、第 1 番目の測定点の場合とまっ

たく同じです。 8 第 3 番目の測定点に接触させた後、ソフトキー[測定]を押し、続いてソフトキーの[中心]を押します。これによっ

て、測定された 3 点の座標値から中心を求め、X 軸および Y 軸のワーク原点補正量を設定します。もし、途中で

測定をやり直したい場合には、 キーを押して下さい。 キーが押されると、それまで記憶していた測定

点の座標値はすべてクリアされます。

ワーク原点補正量の測定手順(15/19"表示器の場合)

工具長方向の軸、すなわち Z 軸のワーク原点補正量のみならず、Z 軸に直交する平面の X 軸と Y 軸のワーク原点補正

量も簡単に測定することができます。X 軸と Y 軸のワーク原点補正量についてはワークのある面をワーク原点とする

場合と、ある加工穴の中心をワーク原点とするいずれの場合でも簡単に測定が可能です。 実際の操作については機械メーカ発行の説明書を参照して下さい。

・Z 軸ワーク原点補正量の測定手順 1 まず、任意の工具を主軸の位置に選択します。工具の選択は MDI 指令などで選択しておきます(工具長補正量の

測定手順参照)。ただし、選択した工具の工具長補正量はすでに測定されているものでなければなりません。 2 モード選択スイッチのうち、ハンドルスイッチ、またはジョグ送り(JOG)スイッチを押します。 3 機械操作盤上のワーク原点補正量測定モードスイッチをオンすると、画面が自動的にワーク原点補正量の画面に

切換わり、画面下の状態表示に"WOFS"と点滅表示します。 4 選択した工具の工具長補正量を、ワーク原点補正量の画面から入力します。工具長補正量を数値キーで入力した

後、横ソフトキー[TL 入力]を押します。

Page 336: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 324 -

図1.1.3 (j) ワーク原点補正量設定画面(15”表示器)

5 設定したい G54~G59 のいずれかのワーク原点補正量のところにカーソルをあてます。Z 軸のワーク原点補正量

の所にあたってなくてもかまいません。 6 手動ハンドル送りもしくはジョグ送りで工具をワークの上面に近づけて接触させます。 7 軸名称の Z をキー入力した後、横ソフトキー[測定]を押し、続いて横ソフトキー[入力]を押します。これによって、

Z 軸のワーク原点補正量が設定されます。カーソルは設定された Z 軸のワーク原点補正量の位置にあたっていま

す。ワーク原点補正量の測定は Z 軸しか行わないというパラメータ WMA(No.5007#3)=0 である設定の場合には軸

名称の Z をキー入力する必要はありません。 もし、ワークの上面をワーク座標系の原点にしない場合、例えば取代分だけワーク座標系の原点をワークの上面

からずらすような場合にはその量(図 1.1.3 (k)での S)を数値キーで入力してから横ソフトキー[測定]を押し、続

いて横ソフトキー[入力]を押します。

ワーク座標系原点

S

ワーク

図1.1.3 (k)

8 次のワーク原点補正量を測定したい場合には、工具をワークから逃がして手順 5~7 を繰返します。

・基準面による X 軸/Y 軸ワーク原点補正量の測定手順 X 軸または Y 軸のワーク原点をワークのある面にする場合の測定手順はパラメータ WMA(5007#3)=1 と設定すること

により基本的に Z 軸のワーク原点補正量を測定する場合と同じです。異なるのは、手順 4 において、選択した工具の

工具径補正量をワーク原点補正量の画面から入力します。工具径補正量を数値キーで入力した後、横ソフトキー[TL入力]を押します。

注意 工具径補正量をキー入力する際、その符号に注意して下さい。

・測定面を工具の+方向とするときには-の符号をつけてキー入力する ・測定面を工具の-方向とするときには+の符号をつけてキー入力する

Page 337: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 325 -

・基準穴による X 軸/Y 軸ワーク原点補正量の測定手順 1 センサ付の測定用プローブを主軸に取付けます。 2 モード選択スイッチのうち、ハンドルスイッチ、またはジョグ送り(JOG)スイッチを押します。 3 機械操作盤上のワーク原点補正量測定モードスイッチをオンにすると、画面が自動的にワーク原点補正量の画面

に切換わり、画面下の状態表示に"WOFS"と点滅表示してワーク原点補正量の測定のための準備が完了した旨を知

らせます。 4 設定したい G54~G59 のいずれかのワーク原点補正量のところにカーソルをあてます。X 軸もしくは Y 軸のワー

ク原点補正量の所にあたってなくてもかまいません。 5 手動ハンドル送りもしくはジョグ送りで測定用プローブを穴の外周に近づけて接触させます。同時に動かす軸は

必ず 1 軸にして下さい。 6 接触したことをセンサで感知したら、機械側ではスキップ信号を入力し、手動ハンドル送りもしくはジョグ送り

の軸移動が止まります。同時に、その位置を第 1 番目の測定点として記憶します。記憶した測定点の機械座標値

は図 1.1.3 (l)のように画面の右下部分に表示します。

図1.1.3 (l) ワーク原点補正量設定画面(15”表示器)

7 第 2 番目の測定点へ測定用プローブを動かします。このとき、現在の測定点へ接触させた方向へは動かないよう

CNC はインタロックをとっています。例えば+X 方向に動かして測定点に接触させた後、次の測定点へ動かそう

とした場合、-X 方向への移動を可能にし、+X、+Y および-Y 方向の移動に対してはスキップ信号が"0"になるま

でインタロックをかけます。第 2 番目の測定点に接触した後の扱いについては、第 1 番目の測定点の場合とまっ

たく同じです。 8 第 3 番目の測定点に接触させた後、横ソフトキー[測定]を押し、続いて横ソフトキーの[中心]を押します。これに

よって、測定された 3 点の座標値から中心を求め、X 軸および Y 軸のワーク原点補正量を設定します。もし、途

中で測定をやり直したい場合には、 キーを押して下さい。 キーが押されると、それまで記憶していた

測定点の座標値はすべてクリアされます。

解説 ・Z 軸ワーク原点補正量 工具長補正量の測定手順の解説『工具長補正量の考え方』において述べた方法 1 および方法 2 は Z 軸のワーク原点補

正量に関する一般的な考え方についても以下のようにあてはまります。

Page 338: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 326 -

(1) 方法 1 方法 1 においては、Z 軸のワーク原点補正量は図 1.1.3 (m)のように機械座標系の原点からワーク座標系の原点ま

での距離とします。

ワーク (G55)

機械原点

OFSL

OFSWG54

ZmG54

(G55)

(G54) ワーク (G54)

OFSL : ワーク原点オフセット量を測定した時の工具の工具長補正量 ZmG54 : 工具長が OFSL の工具で測定した時の機械原点から G54 のワーク原点までの移動量 ZmG55 : 工具長が OFSL の工具で測定した時の機械原点から G55 のワーク原点までの移動量 OFSWG54 : G54 のワーク原点オフセット量 OFSWG55 : G55 のワーク原点オフセット量

OFSWG55 ZmG55

ワーク座標系原点

ワーク座標系原点

工具

図1.1.3 (m)

図 1.1.3 (m)からわかるように、Z 軸ワーク原点補正量は次式から求めることができます。 OFSW=Zm-OFSL ここで、

OFSW: ワーク原点補正量 OFSL: ワーク原点補正量を測定した時の工具の工具長補正量 Zm: 工具長が OFSL の工具で測定した時の機械原点からワーク原点までの移動量

Page 339: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 327 -

(2) 方法 2 方法 2 での工具長補正量は前にも述べましたように Z 軸のワーク原点補正量そのものに他なりません。したがっ

て、一般にはワーク原点補正量は設定する必要がありません。ただし、あるワークに対して工具長補正量を測定

した後、新たなワークに変更した場合あるいは一度にいくつものワークを加工する場合などに G54~G59 のワー

ク座標系を割り振るときには以下のようにワーク原点補正量を設定すれば、工具長補正量を測定し直す必要がな

くなります。

機械原点

OFSL

ワーク (G55) (G54)

ワーク (G54)

(G55)

OFSWG55

ZmG55

OFSL : G54 のワークで測定した工具長補正量 ZmG55 : 工具長が OFSL の工具で G55 のワーク原点を測定した時の機械原点から G55 のワーク原点までの移動量

OFSWG55 : G55 ワーク原点オフセット量(G54 ワーク原点オフセット量は 0)

ワーク座標系原点

ワーク座標系原点

工具

図1.1.3 (n)

方法 2 の場合でも、方法 1 とまったく同じ式でワーク原点補正量を求めることができます。

OFSW=Zm-OFSL ここで、

OFSW: ワーク原点補正量 OFSL: ワーク原点補正量を測定したときの工具の工具長補正量 Zm: 工具長が OFSL の工具で測定した時の機械原点からワーク原点までの移動量

・X 軸/Y 軸ワーク原点補正量

X 軸と Y 軸のワーク原点補正量については、ワークのある面をワーク原点とする場合およびある加工穴の中心をワー

ク原点とする場合のいずれでも簡単に測定することができます。

Page 340: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 328 -

(1) 面をワーク原点とする場合

ワーク

Y 軸ワーク

機X 軸ワーク原点オフセット

+Y

+X

ワーク座標系原点

原点オフセット量

図1.1.3 (o)

図 1.1.3 (o)のように、ワークの側面をワーク原点とする場合です。X 軸あるいは Y 軸のワーク原点をワークのある面

とする場合の補正量の測定の考え方は、Z 軸ワーク原点補正量の場合と基本的に同じです。異なるのは、Z 軸の場合

には測定した時の工具の工具長を加味してワーク原点補正量を求めるのに対して、X 軸あるいは Y 軸の場合には工具

長が工具径に代わるという点です。

Page 341: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 329 -

+Z

+ +X

ワーク

OFSW

OFSR : ワーク原点オフセット量を測定した時の工具の工具径補正量 Xm : 工具径が OFSR の工具で測定した時の機械原点からワーク原点までの移動量 OFSW : ワーク原点オフセット量

OFSR

Xm

ワーク原点 機械原点

工具

図1.1.3 (p)

図 1.1.3 (p)からわかるようにワーク原点補正量は次式から求めることができます。 OFSW=Xm-OFSR ただし、工具径補正量の OFSR の符号に注意が必要です。 測定面が工具の中心より+方向の時 OFSR の符号は- 測定面が工具の中心より-方向の時 OFSR の符号は+

Page 342: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 330 -

(2) 穴中心をワーク原点とする場合

Y 軸ワーク

機械原点

X 軸ワーク原点オフセット量

+Y

+X

原点オフセット量

ワーク座標系原点

ワーク

図1.1.3 (q)

図 1.1.3 (q)のように、ワークのある穴の中心をワーク原点とする場合です。この場合の測定方法は下図のように先端

にセンサが付いた測定用プローブで穴の外周の任意の 3 点の位置を測定します。3 点を通る円は一義的に決りますの

で、その中心を X 軸と Y 軸のワーク原点とします。また、パラメータ WMH(No.5007#4)=1 と設定して下さい。

+Z

+X

+Y

++X

センサ付の測定用プローブ

・スキップ信号の使用 Z 軸のワーク原点補正量の測定ならびに面基準による X 軸/Y 軸原点補正量の測定の場合でも、基準穴による X 軸/Y軸ワーク原点補正量の測定と同様にセンサ付の測定用プローブを使用してもさしつかえありません。ワークの面に測

定用プローブが接触したとき、スキップ信号が入力されると送りは自動的に止まります。その後は、手順で述べた操

作と同じになります。

Page 343: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 331 -

1.1.4 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフセット量の表示と 設定

フィクスチャオフセットの画面は、現在選択されているフィクスチャオフセット量を確認することができる画面(フ

ィクスチャオフセット(ACT)画面)と 8 組のフィクスチャオフセット量を設定および確認することができる画面(フ

ィクスチャオフセット画面)があります。

アクティブフィクスチャオフセット表示画面(8.4/10.4"表示器の場合)

手順 1 機能キー を押します。

2 ソフトキー[F-ACT]が表示されるまで、継続メニューキー を押します。 3 ソフトキー[F-ACT]を押します。

フィクスチャオフセット(ACT)画面が表示されます。 現在選択されているフィクスチャオフセット番号(P)とフィクスチャオフセットのベクトルが表示されます。

図1.1.4 (a) アクティブフィクスチャオフセット表示画面(10.4”表示器)

アクティブフィクスチャオフセット表示画面(15/19"表示器の場合)

手順 4 機能キー を押します。

5 縦ソフトキー[F-ACT]が表示されるまで、縦ソフトキー[次ページ]を押します。 6 縦ソフトキー[F-ACT]を押します。

フィクスチャオフセット(ACT)画面が表示されます。 現在選択されているフィクスチャオフセット番号(P)とフィクスチャオフセットのベクトルが表示されます。

Page 344: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 332 -

図1.1.4 (b) アクティブフィクスチャオフセット表示画面(15”表示器)

フィクスチャオフセット設定画面(8.4/10.4"表示器の場合)

手順 1 機能キー を押します。

2 ソフトキー[F-オフセット]が表示されるまで、継続メニューキー を押します。 3 ソフトキー[F-オフセット]を押します。

フィクスチャオフセット画面が表示されます。 なお軸数により 1 画面に表示される組数は 1~4 組となります。

図1.1.4 (c) フィクスチャオフセット設定画面(10.4”表示器)

Page 345: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 333 -

操作 ・数値入力 ソフトキー[(操作)]を押すことにより下記に示す各ソフトキーが表示されます。

・ ページキー、カーソルキー、ソフトキー[NO.サーチ]により、設定したい項目にカーソルを合わせます。 ・ データを入力し、ソフトキー[入力]を押します。 ・ すでに入力されているデータに加算する場合は、ソフトキー[+入力]を押します。

MDI キーの INPUT で設定することもできます。 ・フィクスチャオフセットの組数

No.01~No.08 はフィクスチャオフセット量の組の番号を示します。組は、8 組あります。ソフトキー[NO.サーチ]によ

り、設定したい項目にカーソルを合わせます。 ・ 入力 メモリカードなどの媒体からフィクスチャオフセットデータを読出します。 ・ 出力 メモリカードなどの媒体へフィクスチャオフセットデータを出力します。

フィクスチャオフセット設定画面(15/19"表示器の場合)

手順 1 機能キー を押します。

2 縦ソフトキー[F-オフセット]が表示されるまで、縦ソフトキー[次ページ]を押します。 3 縦ソフトキー[F-オフセット]を押します。

フィクスチャオフセット画面が表示されます。 なお軸数により 1 画面に表示される組数は 1~8 組となります。

図1.1.4 (d) フィクスチャオフセット設定画面(15”表示器)

操作 ・数値入力 ・ ページキー、カーソルキー、横ソフトキー[NO.サーチ]により、設定したい項目にカーソルを合わせます。 ・ データを入力し、横ソフトキー[入力]を押します。

Page 346: B 64484 ja-2-03

1.データの表示と設定 操作 B-64484JA-2/03

- 334 -

・ すでに入力されているデータに加算する場合は、横ソフトキー[+入力]を押します。 MDI キーの INPUT で設定することもできます。

・フィクスチャオフセットの組数

No.01~No.08 はフィクスチャオフセット量の組の番号を示します。組は、8 組あります。横ソフトキー[NO.サーチ]により、設定したい項目にカーソルを合わせます。 ・ 入力 メモリカードなどの媒体からフィクスチャオフセットデータを読出します。 ・ 出力 メモリカードなどの媒体へフィクスチャオフセットデータを出力します。

1.1.5 工具補正量測定値直接入力B

解説 ・工具補正量設定の基本的な手順 工具補正量設定の基本的な手順は、以下の通りです。

(1) 手動レファレンス点復帰を行います。 (2) 手動ハンドル送りモードまたはジョグ送りモードを選択し、工具補正量書込みモード選択信号 GQSMC を"1"にし

ます。 (3) 測定する工具を選択します。 (4) 工具補正番号選択信号 OFNC0~OFNC9 により設定したい工具補正番号を選択します。 (5) 手動運転により工具をタッチセンサに近付けます。 (6) 工具刃先がタッチセンサの接触面に当り工具補正量書込み信号+MIT1 が出力されることにより、以下のようにな

ります。 i) 移動中の軸方向に軸インタロックがかかり、手動運転が自動的に停止します。 ii) 演算された工具補正量が、工具補正番号選択信号 OFNC0~9 で設定された工具補正番号に設定されます。

(7) X 軸、Z 軸ともに(5)~(6)の操作により補正量を設定します。 (8) (3)~(7)の操作を必要な工具について繰り返します。 (9) 工具補正量書込みモード選択信号 GQSMC を"0"にします。

1.1.6 スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工具長補正

スピンドルユニット補正/傾斜ロータリヘッド工具長補正の画面には、 ・パラメータ(No.25861~25888) ・スピンドルユニット補正ベクトル ・傾斜ロータリヘッド工具長補正ベクトル が表示されます。パラメータ SU3(No.25860#7)の値が 1 のときは、パラメータの入力が可能です。 画面の名称とパラメータの番号の対応は、以下の通りです。

表1.1.6 パラメータ一覧表 番号 画面の名称 意味

25861 (セット 1) R-AX 回転軸 の軸番号 (1 組目)

25862 (セット 1) L-AX1 直線軸 1 の軸番号 (1 組目)

25863 (セット 1) L-AX2 直線軸 2 の軸番号 (1 組目)

25864 (セット 1) L-AX3 直線軸 3 の軸番号 (1 組目)

25865 (セット 1) 傾角 傾角 (1 組目)

25866 (セット 2) R-AX 回転軸 の軸番号 (2 組目)

25867 (セット 2) L-AX1 直線軸 1 の軸番号 (2 組目)

25868 (セット 2) L-AX2 直線軸 2 の軸番号 (2 組目)

25869 (セット 2) L-AX3 直線軸 3 の軸番号 (2 組目)

25870 (セット 2) 傾角 傾角 (2 組目)

25871 (V2/SU) 1 行目 V2ベクトルの直線軸 1 の成分 25872 (V2/SU) 2 行目 V2ベクトルの直線軸 2 の成分

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B-64484JA-2/03 操作 1.データの表示と設定

- 335 -

番号 画面の名称 意味 25873 (V2/SU) 3 行目 V2ベクトルの直線軸 3 の成分 25874 (V1/SU) 1 行目 V1ベクトルの直線軸 1 の成分 25875 (V1/SU) 2 行目 V1ベクトルの直線軸 2 の成分 25876 (V1/SU) 3 行目 V1ベクトルの直線軸 3 の成分 25877 (V0/SU) 1 行目 V0ベクトルの直線軸 1 の成分 25878 (V0/SU) 2 行目 V0ベクトルの直線軸 2 の成分 25879 (V0/SU) 3 行目 V0ベクトルの直線軸 3 の成分 25880 (S0/SU) 1 行目 1 組目の回転軸の基準角 25881 (S0/SU) 2 行目 2 組目の回転軸の基準角 25882 (S1/SU) 1 行目 1 組目の回転軸の補正量 25883 (S1/SU) 2 行目 2 組目の回転軸の補正量 25884 (S0/工具) 1 行目 1 組目の回転軸の基準角 25885 (S0/工具) 2 行目 2 組目の回転軸の基準角 25886 (角度/工具) RA 工具軸の基準角度(直線軸 2-3 平面内) 25887 (角度/工具) RB 工具軸の基準角度(直線軸 3-1 平面内) 25888 (SU 角度補正) 傾角の補正量

スピンドルユニット補正/傾斜ロータリヘッド工具長補正表示画面

手順 1 機能キー を押します。

2 ソフトキー[SU オフセット]が表示されるまで、継続メニューキー を押します。 3 ソフトキー[SU オフセット]を押します。

スピンドルユニット補正/傾斜ロータリヘッド工具長補正の画面が表示されます。

図1.1.6 スピンドルユニット補正/傾斜ロータリヘッド工具長補正表示画面

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付録

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B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 339 -

A パラメータ ここでは、本取扱説明書で記載されているパラメータをまとめて掲載しています。 本取扱説明書に無いパラメータやその他、パラメータに関しての詳細についてはパラメータ説明書を参照して下さい。 付録 A「パラメータ」は下記の内容で構成されています。 A.1 パラメータの説明 ...............................................................................................................................................................339 A.2 データ形式 ...........................................................................................................................................................................380 A.3 標準パラメータ設定表 .......................................................................................................................................................381

A.1 パラメータの説明

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 0001 FCV

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] ビット系統形

#1 FCV プログラムフォーマットを

0: Series 16 標準フォーマットとします。 1: Series 15 フォーマットとします。

注 1 以下に示す機能について、Series 15 のプログラムフォーマットで作成されたプログラム

を運転することができます。 サブプログラムの呼出し M98 複合形固定サイクル G71.7~G76.7(M 系) 穴あけ用固定サイクル G73,G74,G76,G80~G89(M 系) 2 Series 15 プログラムフォーマットを使用する場合、指令値の範囲などに本 CNC としての

制限が加わるものがあります。取扱説明書を参照してください。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 1013 ISEx ISDx ISCx ISAx

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット軸形

注 このパラメータを設定した場合には一旦電源を切断する必要があります。

#0 ISAx #1 ISCx #2 ISDx #3 ISEx 各軸の設定単位

設定単位 #3 ISE #2 ISD #1 ISC #0 ISA IS-A 0 0 0 1 IS-B 0 0 0 0 IS-C 0 0 1 0 IS-D 0 1 0 0 IS-E 1 0 0 0

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A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 340 -

1020 各軸のプログラム軸名称

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト軸形 [データ範囲] 65~67,85~90 軸名称(軸名称第 1:パラメータ(No.1020))は'A', 'B', 'C', 'U', 'V', 'W', 'X', 'Y', 'Z'の中から任意に選択

することができます。また EEA(No.1000#0)=1 の場合、軸名称第 2(パラメータ(No.1025))、軸名称

第 3(パラメータ(No.1026))を設定することにより、軸名称を最大 3 文字まで拡張することができ

ます。(拡張軸名称) 軸名称第 2,3 は、'0'~'9', 'A'~'Z'の文字を ASCII コードにより任意に設定することができます。ただ

し、各軸において軸名称第 2 が設定されていなければ、軸名称第 3 が有効になりません。また、軸

名称第 2 に'0'~'9'を設定した場合、軸名称第 3 には'A'~'Z'を設定しないでください。

(参考) アスキーコード 軸名称 X Y Z A B C U V W 設定値 88 89 90 65 66 67 85 86 87

注 1 複合形旋削用固定サイクルを使用する場合、対象となる軸のアドレスに、'X','Y','Z'以外は使

用できません。 2 指定方向工具長補正機能、工具先端点制御機能で使用される回転軸のアドレスに、'A','B','C'

以外は使用できません。 3 カスタムマクロ機能が有効な場合、予約語と同じ拡張軸名称は使用できません。予約語と

見なされます。 また、カスタムマクロの予約語等の関係で、下記の 2 文字で始まる拡張軸名称は使用でき

ません。 AB,AC,AD,AN,AS,AT,AX,BC,BI,BP,CA,CL,CO,US,WH,WR,XO,ZD,ZE,ZO,ZW 4 マクロ呼出しにおいて、引数に拡張軸名称は使用できません。

1022 各軸が基本座標系のどの軸になるかの設定

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト軸形 [データ範囲] 0 ~ 7 円弧補間、工具径補正等の平面

G17 :Xp-Yp 平面 G18 :Zp-Xp 平面 G19 :Yp-Zp 平面 および三次元工具補正空間 XpYpZp を決めるために、各制御軸が基本座標系の基本 3 軸 X, Y, Z のど

れか、または、その平行軸かを設定します。 基本 3 軸 X, Y, Z の設定はどれか 1 つの制御軸に対してのみ可能です。 2 つ以上の制御軸を同じ基本軸の平行軸として設定できます。

設定値 意味

0 回転軸(基本 3 軸でも平行軸でもない) 1 基本 3 軸の X 軸 2 基本 3 軸の Y 軸 3 基本 3 軸の Z 軸 5 X 軸の平行軸 6 Y 軸の平行軸 7 Z 軸の平行軸

一般に、平行軸と設定する軸の設定単位ならびに直径/半径指定の設定は、基本 3 軸の設定と同じ

にします。

Page 353: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 341 -

1023 各軸のサーボ軸番号

注 このパラメータを設定した場合には一旦電源を切断する必要があります。

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト軸形 [データ範囲] 0~制御軸数 各制御軸が何番目のサーボ軸に対応するかを設定します。通常は制御軸の番号とサーボ軸番号は同

じ値を設定します。 制御軸の番号とは、軸形のパラメータや軸形の機械信号の配列番号を表します。 ・ Cs 輪郭制御/主軸位置決めを行う軸は、サーボ軸番号に-(主軸番号)を設定して下さい。

例) 第 4 制御軸で第 1 主軸を使用した Cs 輪郭制御を行う場合は、-1 を設定します。

・ タンデム制御軸及び電子ギアボックス(以下、EGB)制御軸の場合、2 軸を 1 組に設定する必要が

あるため、以下の様に設定してください。 タンデム軸: マスター軸に奇数(1,3,5,7,・・・)サーボ軸番号のいずれかを設定します。組になるスレーブ軸に

はマスター軸の設定値に 1 足した値を設定します。 EGB 軸: スレーブ軸に奇数(1,3,5,7,・・・)サーボ軸番号のいずれかを設定します。組になるダミー軸には

スレーブ軸の設定値に 1 足した値を設定します。

1031 基準軸

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 1~制御軸数 ドライラン速度や F1 桁送り速度等の全軸に共通のパラメータの中には、単位が設定単位により異な

るものがあります。設定単位は軸毎にパラメータで選択できるため、このようなパラメータの単位

は基準軸の設定単位に対応させます。基準軸を第何軸にするかを設定します。 一般に、基本 3 軸のうち、一番細かい設定単位の軸を基準軸とします。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

1401 RF0 LRP

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#1 LRP 位置決め(G00)は

0: 非直線補間形位置決めです。(各軸独立に早送りで移動します。) 1: 直線補間形位置決めです。(工具通路は直線になります。)

3 次元座標変換を使用するときは、1 を設定して下さい。

# 4 RF0 早送り時、切削送り速度オーバライドが 0%で 0: 停止しません。 1: 停止します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

1403 ROC EDT

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形 #3 EDT 速度によるコーナ制御機能(ガス切断機用)が、

0: 無効です。 1: 有効です。

Page 354: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 342 -

パラメータ(No.1474)の溜りパルス 0 とみなす送り速度以下になったとき、 次のブロックに進みます。

# 4 ROC ねじ切りサイクル G76.7 において、ねじの切上げ後の逃げ動作に早送りオーバライドは

0: 有効です。 1: 無効です。(オーバライド 100%)

1410 ドライラン速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm/min, inch/min, 度/min(機械単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+999000.0) ジョグ送り速度指定ダイヤルの 100%の位置のドライラン速度を設定します。データ単位は基準軸の

設定単位によります。

1411 切削送り速度

注 このパラメータを設定した場合には一旦電源を切断する必要があります。

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm/min, inch/min, 度/min(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+240000.0) 加工中に切削送り速度を余り変える必要のない機械のために、切削送り速度をパラメータで指定す

ることができます。これにより NC 指令データ中で切削送り速度(F コード)を指令する必要がな

くなります。

1420 各軸の早送り速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] mm/min, inch/min, 度/min(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+240000.0) 早送りオーバライドが 100%の時の早送り速度を軸毎に設定します。

1430 軸毎の最大切削送り速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] mm/min, inch/min, 度/min(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+240000.0) 最大切削送り速度を軸毎に設定します。

1466 ねじ切りサイクル G76.7 の逃げ動作時の送り速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形

Page 355: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 343 -

[データ単位] mm/min, inch/min(機械単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+999000.0) ねじ切りサイクル G76.7 では、ねじの切り上げ後に逃げ動作が行われます。この逃げ動作の送り速

度を設定します。

注 パラメータ CFR(No.1611#0)に 1 が設定されている場合、あるいは、本パラメータの設定

値が 0 の場合は、パラメータ(No.1420)の早送り速度が使用されます。

1474 溜りパルス0とみなす送り速度(速度によるコーナ制御(ガス切断機用))

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] mm/min,inch/min,deg/min (機械単位) [データ範囲] 0~32767 切削送りのブロック(ブロック A)から切削送りのブロック(ブロック B)へと続くときブロック

A において、各軸の自動加減速回路における減速時の速度がそれぞれ本パラメータで設定された速

度以下になったとき、その軸の自動加減速回路の溜りパルスが 0 となったとみなし、次のブロック

B に進みます。 速度によるコーナ制御(ガス切断機用)で使用します。

1496 自動イグザクトストップチェックの臨界角度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ単位] 度 [データ範囲] 0 ~ 179 自動イグザクトストップチェックにおいて、イグザクトストップを行うコーナ内角の臨界角度を 1

度単位で設定します。0 が設定された場合には、自動イグザクトストップチェックは無効となりま

す。

1497 自動イグザクトストップチェックにおける微小ブロックの移動量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 自動イグザクトストップチェックを無効とする微小ブロックの移動量を設定します。指令ブロック

の現在選択されている平面の2軸の移動量が、本パラメータの設定値よりも共に小さい場合には、

そのブロックにおける自動イグザクトストップチェックが無効となります。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 1601 NCI

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#5 NCI インポジションのチェックは

0: 減速時に指令速度が 0(加減速の遅れが 0)になり、更に機械位置が指令位置に到達した(サー

ボの位置偏差量が、パラメータ(No.1826)に設定されたインポジションの幅に入った)ことも確

認します。 1: 減速時に指令速度が 0 になる(加減速の遅れが 0 になる)ことのみを確認します。

Page 356: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 344 -

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 1610 THLx JGLx CTBx CTLx

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット軸形

#0 CTLx 切削送り・切削送り時のドライランの加減速は、

0: 指数関数形加減速とします。 1: 直線形加減速とします。

#1 CTBx 切削送り・切削送り時のドライランの加減速は、 0: 指数関数形、または直線形加減速とします。

(パラメータ CTLx(No.1610#0)の設定に従います) 1: ベル形加減速とします。

#4 JGLx ジョグ送りの加減速は,

0: 指数関数形加減速とします。 1: 切削送りと同じ加減速とします。

(パラメータ CTBx,CTLx( No.1610#1,#0)に従います)

#5 THLx ねじ切りサイクルでの加減速は 0: 指数関数形加減速とします。 1: 切削送りと同じ加減速とします。

(パラメータ CTBx,CTLx(No.1610#1,#0)に従います) ただし、時定数と FL 速度はねじ切りサイクルのパラメータ(No.1626、No.1627)が使用されます。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

1611 CFR

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形 #0 CFR ねじ切りサイクル G76.7 においてねじの切上げ後の逃げは

0: ねじ切り時の補間後加減速のタイプで、ねじ切りの時定数(パラメータ(No.1626))、FL 速度(パ

ラメータ(No.1627))を使用します。 1: 早送りの補間後加減速のタイプで、早送りの時定数を使用します。

注 本パラメータに 1 を設定した場合は、逃げ動作の前に指令速度が 0(加減速の遅れが 0)に

なったことをチェックします。また、逃げ動作の速度は、パラメータ(No.1466)には関係な

く早送り速度(パラメータ(No.1420))を使用します。本パラメータに 0 を設定した場合の

逃げの速度は、パラメータ(No.1466)を使用します。なお、逃げ動作の加減速は、補間後加

減速のみとなります。先読み補間前早送りおよび最適トルク加減速は無効です。

1626 軸毎のねじ切りサイクルでの加減速用時定数

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード軸形 [データ単位] msec [データ範囲] 0 ~ 4000 ねじ切りサイクル G76.7 における補間後加減速の時定数を軸ごとに設定します。

1627 軸毎のねじ切りサイクル加減速の FL 速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] mm/min, inch/min, 度/min(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。

Page 357: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 345 -

[データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照 (IS-B の場合、0.0~+999000.0)

ねじ切りサイクル G76.7 における補間後加減速の FL 速度を軸ごとに設定します。特殊な場合を除

いて 0 を設定します。

1732 円弧補間での加速度による減速機能の下限速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm/min, inch/min, 度/min(機械単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+240000.0) 円弧補間での加速度による減速機能では、円弧補間で移動方向が変化することによって生じる加速

度がパラメータ(No.1735)で指定された許容加速度以下になるように最適な速度を自動的に計算し

ます。 ところが、円弧の半径が非常に小さい場合は、計算された速度が非常に小さくなる場合があります。 このような場合に、送り速度が低くなり過ぎるのを防ぐために、本パラメータ以下の速度に減速し

ないようにします。

注 インボリュート補間中は、インボリュート補間自動速度制御の「基礎円近傍における加速

度クランプ」の送り速度下限値となります。

1735 円弧補間での加速度による減速機能における各軸の許容加速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] mm/sec/sec, inch/sec/sec, 度/sec/sec(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(D)参照

(ミリ系の場合、0.0~+100000.0、インチ系の場合、0.0~+10000.0) 円弧補間での加速度による減速機能の許容加速度を設定します。 円弧補間で、移動方向が変化することにより生じる加速度が、本パラメータの値以下になるように、

送り速度を制御します。 本パラメータに 0 が設定された軸については、加速度による減速機能は無効となります。 本パラメータに軸毎に異なる値が設定されている場合は、指令された円弧軸 2 軸の内、小さい方の

加速度をもとに送り速度が決定されます。

注 インボリュート補間中は、インボリュート補間自動速度制御の「基礎円近傍における加速

度クランプ」の許容加速度となります。

1826 軸毎のインポジションの幅

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワード軸形 [データ単位] 検出単位 [データ範囲] 0 ~ 99999999 インポジションの幅を軸毎に設定します。 機械位置と指令位置のずれ(位置偏差量の絶対値)がインポジションの幅よりも小さい場合、機械

が指令位置に達している、すなわちインポジションとみなします。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 3115 APLx NDFx

[入力区分] パラメータ入力

Page 358: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 346 -

[データ形式] ビット軸形

#3 NDFx 選択された軸の移動速度を実速度表示の計算において 0: 考慮します。

1: 考慮しません。

#5 APLx 手動送りによるアクティブオフセット量変更モードを選択した時、相対位置表示を自動的に、 0: プリセットしません。 1: プリセットします。

手動送りによるアクティブオフセット量変更モード中に、変更したオフセット量を変更前の元の値

に戻したい場合に使用します。相対位置表示(カウンタ)が 0 の位置になるように手動送りで軸を

移動させることにより、オフセット量を元の値に戻すことができます。

3131 軸名称の添字

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト軸形 [データ範囲] 0~9, 65~90 並列運転、同期制御、タンデム制御される軸どうしを区別するために、それぞれの軸の添字を指定

します。

設定値 意味 0 並列軸、同期制御軸、タンデム制御軸でない軸に設定します。

1~9 設定した数値が添字になります。 65~90 設定した英文字(アスキーコード)が添字になります。

例) 軸名称が X の軸の場合、次のようになります。

設定値 位置表示画面等で表示される軸名称

0 X 1 X1

77 XM 83 XS

多系統システムで、その系統において拡張軸名称が使用されていない、あるいはパラメータ EAS

(No.11308#2)が有効、かつ軸名称の添字が設定されていない場合、自動的に系統番号が軸名称の

添字となります。軸名称の添字を表示させたくない場合は、軸名称の添字のパラメータに ASCII コードで空白(32)を設定してください。

注 パラメータ EAS(No.11308#2)が 0 のとき、系統内で1軸でも拡張軸名称を使用した場合、

その系統において軸名称の添字は使用できなくなります。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 3290 GOF WOF

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 WOF MDI からのキー入力操作による工具オフセット量(工具摩耗オフセット量)の設定を

0: 禁止しません。 1: 禁止します。(変更を禁止するオフセット番号の範囲をパラメータ(No.3294)とパラメータ

(No.3295)により設定して下さい。)

Page 359: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 347 -

注 M 系で工具補正メモリ A を選択した場合、オフセット量の設定はパラメータ

WOF(No.3290#0)に従います。

#1 GOF MDI からのキー入力操作による工具形状オフセット量の設定を 0: 禁止しません。 1: 禁止します。(変更を禁止するオフセット番号の範囲をパラメータ(No.3294)とパラメータ

(No.3295)により設定して下さい。)

3294 MDI からの入力を禁止する工具オフセット量の先頭番号

3295 MDI からの入力を禁止する工具オフセット量の先頭番号からの個数

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ範囲] 0 ~ 999 パラメータ WOF(No.3290#0)、およびパラメータ GOF(No.3290#1)により、MDI からのキー入力操作

による工具オフセット量の変更を禁止する場合、本パラメータによりその禁止範囲を設定します。 変更を禁止する工具オフセット量の先頭のオフセット番号と先頭番号からの個数を、それぞれパラ

メータ(No.3294)とパラメータ(No.3295)に設定します。 ただし、以下の場合は全ての工具オフセット量の変更を禁止します。 パラメータ(No.3294)の値が 0 または負の場合 パラメータ(No.3295)の値が 0 または負の場合 パラメータ(No.3294)の値が工具補正番号の最大値を超えている場合 また、以下の場合はパラメータ(No.3294)の値から工具補正番号の最大値までの変更を禁止します。 パラメータ(No.3294)+パラメータ(No.3295)の値が工具補正番号の最大値を超えている場合 禁止されている番号のオフセット量を MDI から入力した場合、ワーニング"WRITE PROTECT"とな

ります。 [例]下記設定の場合、オフセット番号 51~60 に対応する工具形状オフセット量と工具摩耗オフセッ

ト量の両方の変更が禁止されます。 パラメータ GOF (No.3290#1)=1(工具形状オフセット量の変更を禁止する) パラメータ WOF (No.3290#0)=1(工具摩耗オフセット量の変更を禁止する) パラメータ(No.3294)=51 パラメータ(No.3295)=10 上記設定のうち、パラメータ WOF(No.3290#0)の設定値を 0 にした場合は、工具形状オフセット量の

み変更が禁止され、工具摩耗オフセット量の変更は許されます。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 3401 DPI

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 DPI 小数点を使用できるアドレスで、小数点を省略した時

0: 最小設定単位とみなします。(通常の小数点入力) 1: mm,inch,度,sec の単位とみなします。(電卓形小数点入力)

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

3402 G23 CLR G91 G19 G18 G01

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 G01 電源投入時およびクリア状態時は

0: G00 モード(位置決め)です。 1: G01 モード(直線補間)です。

Page 360: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 348 -

#1 G18 電源投入時およびクリア状態時は 0: G17 モード(X-Y 平面)です。 1: G18 モード(Z-X 平面)です。

#2 G19 電源投入時およびクリア状態時は

0: パラメータ G18(No.3402#1)に従います。 1: G19 モード(Y-Z 平面)です。

本ビットを 1 とするとき、パラメータ G18(No.3402#1)=0 として下さい。

#3 G91 電源投入時およびクリア状態は 0: G90 モード(アブソリュート指令)です。 1: G91 モード(インクレメンタル指令)です。

#6 CLR MDI パネルのリセットキー、外部リセット信号、リセット&リワインド信号、および非常停止によ

り 0: リセット状態とします。 1: クリア状態とします。

リセット状態とクリア状態については、取扱説明書の付録を参照してください。

#7 G23 電源投入時は 0: G22 モード(ストアードストロークチェックオン)です。 1: G23 モード(ストアードストロークチェックオフ)です。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

3408 C23

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット形

#7 C23 電源投入時は パラメータ CLR(No.3402#6)が 1 の時、MDI パネルのリセットキー、外部リセット信号、リセット&

リワインド信号、または非常停止信号により CNC がリセットされた時、グループ番号 23 の G コー

ドを 0: クリア状態とします。 1: クリア状態としません。

3410 円弧半径誤差限界値

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 円弧補間の指令で,始点での半径値と終点での半径値の差として許容できる限界値を設定します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

3452 GCC GC0

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 GC0 連続円運動による溝加工モード中の G00 の指令を

0: P/S アラームとします。 1: G01 指令とみなし実行します。

Page 361: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 349 -

#4 GCC 溝加工経路動作が停止したとき、連続円運動を 0: 停止します。 1: 続行します。

3490 連続円運動の加速度クランプ値

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数形 [データ単位] mm/sec/sec, inch/sec/sec, 度/sec/sec (入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(D)参照

(ミリ系の場合、0.0~+100000.0、インチ系の場合、0.0~+10000.0)(IS-B の場合、0.0~+240000.0) G12.4/G13.4 の I,K の指令と本パラメータ値により、連続円運動の送り速度指令Fをクランプするこ

とができます。 クランプ送り速度F=SQR(パラメータ No.3490×(I-K)/2)×60 クランプした速度に対して、連続円運動送り速度オーバライドがかかります。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5000 ASG MOF

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] ビット系統形

#1 MOF 工具長補正シフトタイプ(パラメータ TOS(No.5006#6)=1、またはパラメータ TOP(No.11400#2)=1)

を使用するとき、工具長補正モード中(注1)、かつ、ブロックが先読みされた状態(注2)で工具長補

正量の変更(注3)が行われたとき、 0: 補正量の変更分を移動タイプとして補正を行います。 1: 工具長補正の指令(オフセット番号)と補正軸のアブソリュート指令がされるまで、変更分の

補正を行いません。

注 1 工具長補正モードとは、以下の状態のことを指します。 ・ 工具長補正(G43/G44) ・ 工具軸方向工具長補正(G43.1) ・ 工具先端点制御(G43.4/G43.5) 2 ここでの「ブロックが先読みされた状態」とは、以下の状態のことを指します。 ・ グループ 07 のGコード(工具径・刃先 R 補正など)のモーダル G コードが G40 以外のと

き ・ なめらか補間(G05.1Q2)モード中 自動運転中の1ブロック先読みや、AI 輪郭制御モード中の多ブロック先読みは、ここでの

「ブロックが先読みされた状態」には含まれません。 3 ここでの工具長補正量の変更とは、以下のことを指します。 ・ H コードで工具長補正番号が変更された場合(旋盤系の拡張工具選択機能の場合は D コー

ド) ・ G43/G44 を指令し、工具長補正の方向が変更された場合 ・ パラメータ EVO(No.5001#6)=1 のとき、自動運転起動中にオフセット画面、G10 指令、シ

ステム変数、または PMC ウィンドウ等により工具長補正量が変更された場合

#4 ASG 工具補正メモリ B/C(M 系)が有効な場合、手動送りによるアクティブオフセット量変更により変

更する補正量は、 0: 形状補正量です。 1: 摩耗補正量です。

Page 362: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 350 -

注 工具補正メモリ B/C(M系)のオプションがある場合に有効です。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5001 EVO EVR TAL TLB TLC

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 TLC #1 TLB 工具長補正のタイプを選択します。

タイプ TLB TLC 工具長補正 A 0 0 工具長補正 B 1 0 工具長補正 C - 1

各タイプに応じて工具長補正をかける軸は次のようになります。 工具長補正 A:常に Z 軸 工具長補正 B:指定された平面(G17/G18/G19)に垂直な軸 工具長補正 C:G43/G44 と同一ブロックに指定された軸

#3 TAL 工具長補正 C において

0: 2 軸以上補正した場合はアラームとします。 1: 2 軸以上補正した場合はアラームとしません。

#4 EVR 工具径・刃先 R 補正モード中に工具オフセット量が変更された場合

0: 次に D または H コードが指令されたブロックから有効とします。 1: 次にバッファリングされるブロックから有効とします。

#6 EVO 工具長補正 A または工具長補正 B において、オフセットモード中(G43、G44)に工具補正量が変更さ

れた場合 0: 次に G43、G44 または H コードが指令されたブロックから有効とします。 1: 次にバッファリングされるブロックから有効とします。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5003 SUV SUP

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 SUP #1 SUV 工具径・刃先 R 補正のスタートアップ/キャンセルのタイプを指定します。

SUV SUP タイプ 動作 0 0 タイプ A スタートアップの次のブロック/キャンセルの前のブロック に垂

直な補正ベクトルが出力されます。

刃先 R 中心経路/工具中心経路

N1

N2

G41プログラム経路

Page 363: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 351 -

SUV SUP タイプ 動作 0 1 タイプ B スタートアップのブロック/キャンセルのブロックに垂直な補正

ベクトル、および交点ベクトルが出力されます。

1 0

1 タイプ C スタートアップのブロック/キャンセルのブロックが移動のない

ブロックのとき、スタートアップの次のブロック/キャンセルの前

のブロックに垂直な方向に補正量分移動します。

移動のあるブロックの場合、SUP の設定に従い、0 の場合はタイ

プ A、1 の場合はタイプ B になります。

注 SUV,SUP=0,1(タイプ B)としたときに、FS16i-T と同等の動作となります。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5005 QNI

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#5 QNI 工具長測定機能または工具補正量測定値直接入力 B において、工具補正番号の選択は

0: オペレータが MDI からの操作(カーソルによる操作選択)で行います。 1: PMC からの信号入力によって行います。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5006 TOS

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット形

#6 TOS 工具長補正、工具位置補正の動作を設定します。

0: 補正は軸移動により行います。 1: 補正は座標系のシフトにより行います。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5007 WMH WMA TMA TC3 TC2

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

刃先 R 中心経路/工具中心経路

N1

N2

交点

G41

N2N3

刃先 R 中心経路/工具中心経路

交点

移動

G41

プログラム経路

プログラム経路

N1

Page 364: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 352 -

#0 TC2 #1 TC3 工具長測定において、ソフトキー[測定]または[測定+]を押して工具長補正量が設定されると、

自動的に工具が工具交換位置に移動します。その時の工具交換位置が、どのレファレンス点となる

かを設定します。

TC3 TC2 意味 0 0 工具交換位置は第 1 レファレンス点復帰 0 1 工具交換位置は第 2 レファレンス点復帰 1 0 工具交換位置は第 3 レファレンス点復帰 1 1 工具交換位置は第 4 レファレンス点復帰

#2 TMA 工具長の測定は

0: Z 軸のみ可能とします。 1: 各軸毎に可能とします。

#3 WMA 面基準によるワーク原点補正量の測定は

0: Z 軸のみ可能とします。 1: 各軸毎に可能とします。

#4 WMH 穴基準によるワーク原点補正量の測定は

0: できません。 1: できます。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5008 CNV CNC

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#1 CNC #3 CNV 工具径・刃先 R 補正モード中の干渉チェックの方法を選択します。

CNV CNC 動作 0 0 干渉チェックは有効であり、方向チェックおよび円弧角度チェックを行います。

0 1 干渉チェックは有効であり、円弧角度チェックのみ行います。 1 - 干渉チェックは無効です。

干渉チェックによって干渉(切り込み過ぎ)が発生したと判断された場合の動作については、パラ

メータ CAV(No.19607#5)を参照下さい。

注 方向チェックのみ行うという設定はできません。

5010 工具径・刃先 R 補正により作られた小さな移動量を無視する限界値

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 工具径補正・刃先 R 補正をかけてコーナの外側を工具が動く時、補正により作られた小さな移動量

を無視する限界値を設定します。これによって、コーナ部で作られる小さな移動量によるバッファ

リングのとぎれ、およびそれによる速度変化を防ぐことができます

Page 365: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 353 -

ΔVx≦ΔVlimit, ΔVY≦ΔVlimit

の時であっても、シングルブ

ロック停止点へのベクトルは残ります。

工具中心経路

プログラム経路

ΔVx≦ΔVlimit, ΔVY≦ΔVlimit の時このベクトルは無視されます。

S ΔVY

ΔVx

r

r

N1

N2

ΔVlimitは、パラメータ(No.5010)の設定により決まります。

5011 3 次元工具補正または指定方向工具長補正に使用する分母定数

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 3 次元工具補正の 3 次元工具補正ベクトルを求める式 priVx /・= prjVy /・= prkVz /・= における p の値を設定します。ただし、 VzVyVx ,, : x,y,z 軸またはその平行軸の 3 次元工具補正ベクトルの各成分 kji ,, : プログラム中のアドレス I,J,K で指令された値 r : 補正量 p : パラメータ設定値 とします。

設定値が 0 のときは、 222 KJIp ++= とみなされます。

5022 基準工具の刃先位置から基準測定面までの距離(L)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] mm, inch(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 機械が機械原点にあるときの基準工具の刃先位置から基準測定面までの距離 L を軸毎に設定します。

Page 366: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 354 -

(基準工具の 刃先位置)

ワーク

測定面

OFSL OFSL

測定面

Hm

機械原点

Zm

Zm

L

Hm

基準ブロック 基準測定面

L : 基準工具の刃先位置から基準測定面までの距離(基準測定面の機械座標値) Hm : 基準測定面から実際の測定面までの距離 Zm : 機械原点での測定工具の刃先位置から測定面までの距離 Zt : 機械原点での測定工具の刃先位置から基準測定面までの距離 OFSL:工具長補正量(OFSL = Zm-Hm-L)

Zt

機械のテーブル 機械のテーブル

工具T01

工具 T01

5032 工具位置オフセット B の方向

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~7 工具位置オフセット B(G43,G44)のオフセット方向を指定します。

Y

X

1

0

76

5

4

32

G43 の場合

5

4

32

1

0

76

G44 の場合

図 A.1 (a)

オフセット方向およびの方向

パラメータ(No.5032)の設定値G43 G44

0 X+a X-a 1 X+a Y+a X-a Y-a 2 Y+a Y-a

Page 367: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 355 -

オフセット方向およびの方向 パラメータ(No.5032)の設定値

G43 G44 3 X-a Y+a X+a Y-a 4 X-a X+a 5 X-a Y-a X+a Y+a 6 Y-a Y+a 7 X+a Y-a X-a Y+a

a : H コードで指定されたオフセットメモリの番号に設定されたオフセット量

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5033 GOB

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

注 このパラメータを設定した場合には一旦電源を切断する必要があります。

#0 GOB 工具位置オフセット B 機能(ガス切断機用)が、

0: 無効 1: 有効。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5041 AON

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#6 AON 手動送りによるアクティブオフセット量変更機能により、工具補正量(M 系の場合は工具長補正 A/B

における工具長補正)が変更された場合、 0: M 系の場合、次に G43、G44 または H コードが指令されたブロックから有効とします。 1: 次にバッファリングされるブロックから有効とします。

注 1 本パラメータは、パラメータ EVO(No.5001#6)=0 の時に有効です。 2 本パラメータが 1 の設定の場合、変更された補正量が有効となるまでの間に、更に MDI に

よる入力や G10 指令などにより同一補正量が変更された場合でも、本パラメータの動作が

有効となります。 3 本パラメータが 1 の設定の場合、変更された補正量が有効となるまでの間にリセット操作

を行うと、本パラメータの動作は無効となります。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5042 OFE OFD OFC OFA

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

注 このパラメータを設定した場合には一旦電源を切断する必要があります。

#0 OFA #1 OFC #2 OFD #3 OFE 工具オフセット量の設定単位と設定範囲を選択します。

Page 368: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 356 -

メトリック入力の場合 OFE OFD OFC OFA 単位 設定範囲

0 0 0 1 0.01mm ±9999.99mm 0 0 0 0 0.001mm ±9999.999mm 0 0 1 0 0.0001mm ±9999.9999mm 0 1 0 0 0.00001mm ±9999.99999mm 1 0 0 0 0.000001mm ±999.999999mm

インチ入力の場合

OFE OFD OFC OFA 単位 設定範囲 0 0 0 1 0.001inch ±999.999inch 0 0 0 0 0.0001inch ±999.9999inch 0 0 1 0 0.00001inch ±999.99999inch 0 1 0 0 0.000001inch ±999.999999inch 1 0 0 0 0.0000001inch ±99.9999999inch

5081 砥石摩耗補正における補正中心 1 の第 1 軸座標値

5082 砥石摩耗補正における補正中心 1 の第 2 軸座標値

5083 砥石摩耗補正における補正中心 2 の第 1 軸座標値

5084 砥石摩耗補正における補正中心 2 の第 2 軸座標値

5085 砥石摩耗補正における補正中心 3 の第 1 軸座標値

5086 砥石摩耗補正における補正中心 3 の第 2 軸座標値

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 砥石摩耗補正における補正中心の座標値(ワーク座標系での値)を設定します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5101 FXY

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 FXY 穴あけ用固定サイクルの穴あけ軸、または研削用固定サイクルの切込み軸は、

0: 穴あけ用固定サイクルのとき 常に Z 軸です。 研削用固定サイクルのとき G75,G77 指令のとき、Y 軸です。 G78,G79 指令のとき、Z 軸です。

1: プログラムで選択された軸です。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5102 QSR

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

Page 369: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 357 -

#2 QSR 複合形固定サイクル G70.7~G73.7 において、アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロ

ックがプログラム中に存在するか固定サイクルを開始する前に 0: チェックしません。 1: チェックします。

チェックする設定でアドレス Q で指定されたシーケンス番号が見つからない場合は、アラーム

(PS0063)"指定シーケンス番号のブロックが見つかりません"とし、固定サイクルを実行しません。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5104 FCK

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#2 FCK 複合形固定サイクルの G71.7, G72.7 において加工形状を

0: チェックしません。 1: チェックします。

G71.7, G72.7 で指令される仕上げ形状について加工動作前に以下のチェックを行います。 ・ 仕上げ代の符号がプラスで指令さているにも関わらず、固定サイクル開始点が加工形状の

最大値よりも小さい場合はアラーム(PS0322)"仕上げ形状が開始点を越えています"としま

す。 ・ 仕上げ代の符号がマイナスで指令さているにも関わらず、固定サイクル開始点が加工形状

の最小値よりも大きい場合はアラーム(PS0322)"仕上げ形状が開始点を越えています"とし

ます。 ・ タイプⅠの指令の場合は、切込み方向の軸の指令が単調変化でない場合は、アラーム

(PS0064)"仕上げ形状が単調変化でありません(平面第 1 軸)"または(PS0329)"仕上げ形状が

単調変化でありません(平面第 2 軸)"とします。 ・ 荒削り方向の軸の指令が単調変化でない場合は、アラーム(PS0064)"仕上げ形状が単調変化

でありません(平面第 1 軸)"または(PS0329)"仕上げ形状が単調変化でありません(平面第 2軸)"とします。

・ アドレス Q で指定されるシーケンス番号を持つブロックがプログラム中に存在しない場合

は、アラーム(PS0063)"指定シーケンス番号のブロックが見つかりません"とします。なお、

このチェックはパラメータ QSR(No.5102#2)には関係なく行います。 ・ 刃先 R 補正の素材側指令(G41/G42)が不適当な場合はアラーム(PS0328)"刃先 R 補正の素材

側指定に誤りがあります"とします。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5105 RF2 RF1 SBC

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 SBC 穴あけ用固定サイクル、面取り・コーナ R のサイクルごとで

0: シングルブロック停止しません。 1: シングルブロック停止します。

#1 RF1 複合形固定サイクル G71.7, G72.7 のタイプⅠにおいて、荒削り仕上げ切削を

0: 行います。 1: 行いません。

注 Series 15 プログラムフォーマットで、荒削り仕上げ代(Δi/Δk)が指令されている場合は、

本パラメータに関係なく荒削り仕上げ切削を行います。

#2 RF2 複合形固定サイクル G71.7,G72.7 のタイプⅡにおいて、荒削り仕上げ切削を 0: 行います。 1: 行いません。

Page 370: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 358 -

注 Series 15 プログラムフォーマットで、荒削り仕上げ代(Δi/Δk)が指令されている場合は、

本パラメータに関係なく荒削り仕上げ切削を行います。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5107 ASC ASU

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 ASU G71.7,G72.7 において、前回の旋削開始点への移動を

0: 切削送りとする。 1: 早送りとする。

今回の旋削開始点へ向かう 2 サイクルによる動作において、1 番目のサイクル (前回の旋削開始点への移動)の送りを、本パラメータで選択します。2 番目のサイクル(前回の

旋削開始点から今回の旋削開始点への移動)の送りは、形状プログラムの先頭ブロックの送りに従

います。 本パラメータは、タイプⅠ指令、タイプⅡ指令共に有効です。

#1 ASC G71.7,G72.7 の TYPE1 指令において、今回の旋削開始点へ向かう動作を

0: 2 サイクルとする。 1: 1 サイクルとする。

今回の旋削開始点へ向かう 2 サイクルによる動作を 2 サイクルから 1 サイクル に変更できます。送りモードは、形状プログラムの先頭ブロックのモード(G00,G01)に従います。本

パラメータは、タイプⅠ指令のみ有効です。

5114 高速深穴あけサイクルの戻り量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 高速深穴あけサイクルの戻り量を設定します。

G73(M 系)

q

q

q

d

d

q : 切り込み量

d : 戻り量 R点

Z 点

5115 深穴あけサイクルのクリアランス量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。

Page 371: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 359 -

[データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照) (IS-B の場合、-999999.999~+999999.999)

深穴あけサイクルのクリアランス量を設定します。

G83(M 系)

q

q

q

d

d

q : 切り込み量 d : クリアランス量

R点

Z 点

5130 ねじ切りサイクル G76 .7 の切り上げ量(チャンファリング量)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ単位] 0.1 [データ範囲] 0 ~ 127 複合形固定サイクルのねじ切りサイクル(G76.7)の切り上げ量(チャンファリング量)を設定します。 切り上げ量は、リードを L とすると、0.1L~12.7L の範囲まで可能です。 たとえば、切り上げ量を 10.0L とする場合は、本パラメータに 100 を設定します。

5131 ねじ切りサイクル G76.7 の切り上げ角度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ単位] 度 [データ範囲] 1 ~ 89 ねじ切りサイクル G76.7 におけるねじの切り上げ角度を設定します。 設定値が 0 の場合は、45 度となります。

5132 複合形固定サイクル G71.7、G72.7 の切込み量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 複合形固定サイクル G71.7、G72.7 における切込み量を設定します。 本パラメータは、Series 15 プログラムフォーマットでは使用しません。

注 常に半径値で設定します。

5133 複合形固定サイクル G71.7、G72.7 の逃げ量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。

Page 372: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 360 -

[データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照) (IS-B の場合、0.0~+999999.999)

複合形固定サイクル G71.7、,G72.7 における逃げ量を設定します。

注 常に半径値で設定します。

5134 複合形固定サイクルの G71.7、G72.7 のクリアランス量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 複合形固定サイクルの G71.7、G72.7 における切削送り開始点までのクリアランス量を設定します。

注 常に半径値で設定します。

5135 複合形固定サイクル G73.7 の逃げの距離(平面第 2 軸)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 複合形固定サイクル G73.7 における平面第 2 軸の逃げの距離を設定します。本パラメータは、Series

15 プログラムフォーマットでは使用しません。

注 常に半径値で設定します。

5136 複合形固定サイクル G73.7 の逃げの距離(平面第 1 軸)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 複合形固定サイクル G73.7 における平面第 1 軸の逃げの距離を設定します。 本パラメータは、Series 15 プログラムフォーマットでは使用しません。

注 常に半径値で設定します。

5137 複合形固定サイクル G73.7 の分割回数

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワード系統形 [データ単位] 回 [データ範囲] 1 ~ 99999999 複合形固定サイクル G73.7 における分割回数を設定します。 本パラメータは、Series15 プログラムフォーマットでは使用しません。

Page 373: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 361 -

5139 複合形固定サイクル G74.7、G75.7 の戻り量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 複合形固定サイクル G74.7、G75.7 における戻り量を設定します。

注 常に半径値で設定します。

5140 複合形固定サイクル G76.7 の最小切込み量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 複合形固定サイクル G76.7 において切込みが切削量一定の場合に切込み量が余り小さくならないよ

うに最小の切込量を設定します。

注 常に半径値で設定します。

5141 複合形固定サイクル G76.7 の仕上げ代

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 複合形固定サイクル G76.7 における仕上げ代を設定します。

注 常に半径値で設定します。

5142 複合形固定サイクル G76.7 の仕上げ繰返し回数

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワード系統形 [データ単位] 回 [データ範囲] 1 ~ 99999999 複合形固定サイクル G76.7 における最後の仕上げサイクルの繰返し回数を設定します。 設定値が 0 の場合は、1 回行います。

5143 複合形固定サイクル G76.7 の刃先角度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ単位] 度 [データ範囲] 0,29,30,55,60,80

Page 374: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 362 -

複合形固定サイクル G76.7 における刃先の角度を設定します。 本パラメータは、Series15 プログラムフォーマットでは使用しません。

5145 複合形固定サイクル G71.7,G72.7 の許容量 1

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) タイプ I、タイプ II における荒削り方向の軸は、単調変化でないとアラーム(PS0064)"仕上げ形状が

単調変化でありません(平面第 1 軸)"またはアラーム(PS0329)"仕上げ形状が単調変化でありません

(平面第 2 軸)"となりますが、プログラムを自動的に作成した場合など、微少な単調変化でない形

状が作成される場合があります。この単調変化でない量を符号なしで許容量として設定します。そ

うすることで、単調変化でない形状が含まれたプログラムであっても G71.7、G72.7 のサイクルを行

うことができます。 例) 切込み方向の軸(X 軸)がマイナス方向、荒削り方向の軸(Z 軸)がマイナス方向の G71.7 指令に

おいて、仕上げ形状プログラムに Z 軸がプラス方向に 0.001mm 移動する単調変化でない指令がされ

ているとした場合、本パラメータに 0.001mm と設定しておけば、アラームにならずにプログラムの

形状で荒削りを行うことができます。

注 単調変化の形状かどうかのチェックは、G71.7、G72.7 のサイクル動作中、常に行います。

チェックは、形状(プログラム通路)で行いますが、刃先R補正を行っている場合は、補

正後の通路で行います。また、パラメータ FCK(No.5104#2)に 1 を設定している場合は、

G71.7、G72.7 のサイクル動作前にもチェックを行いますが、プログラム通路でのチェッ

クで刃先R補正後の通路ではありません。 許容量を設定することでアラームにならなくなりますので、十分注意して下さい。 また、本パラメータは常に半径値で設定します。

5146 複合形固定サイクル G71.7,G72.7 の許容量 2

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0~切り込み量 タイプ I における切込み方向の軸は、単調変化でないとアラーム(PS0064)"仕上げ形状が単調変化で

ありません(平面第 1 軸)"またはアラーム(PS0329)"仕上げ形状が単調変化でありません(平面第 2軸)"となりますが、プログラムを自動的に作成した場合など、微少な単調変化でない形状が作成さ

れる場合があります。この単調変化でない量を符号なしで許容量として設定します。そうすること

で、単調変化でない形状が含まれたプログラムであっても G71.7、G72.7 のサイクルを行うことがで

きます。なお、許容量は複合形固定サイクル指令の切り込み量でクランプされます。 例) 切込み方向の軸(X 軸)がマイナス方向、荒削り方向の軸(Z 軸)がマイナス方向の,G71.7 指令に

おいて、切込み底から終点へ向かう仕上げ形状プログラムに X 軸がマイナス方向に 0.001mm 移動す

る単調変化でない指令がされているとした場合、本パラメータに 0.001mm と設定しておけば、アラ

ームとならずにプログラムの形状で荒削りを行うことができます。

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B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 363 -

注 単調変化の形状かどうかのチェックは、G71.7、G72.7 のサイクル動作中、常に行います。

チェックは、形状(プログラム通路)で行いますが、刃先R補正を行っている場合は、補

正後の通路で行います。また、パラメータ FCK(No.5104#2)に 1 を設定している場合は、

G71.7、G72.7 のサイクル動作前にもチェックを行いますが、プログラム通路でのチェッ

クで刃先R補正後の通路ではありません。 許容量を設定することでアラームにならなくなりますので、十分注意して下さい。 また、本パラメータは常に半径値で設定します。

5148 ファインボーリングサイクル、バックボーリングサイクルのオリエンテーション後の工具を逃がす方向

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト軸形 [データ範囲] -24 ~ 24 ファインボーリングサイクル、バックボーリングサイクルにおいて、主軸オリエンテーション後の

工具を逃がす軸と方向を設定します。各穴あけ軸に対応して、オリエンテーション後の工具を逃が

す軸と方向を設定することができます。符号付きの軸番号を設定します。

例) 穴あけ軸が X 軸の場合のオリエンテーション後の工具を逃がす方向は-Y 穴あけ軸が Y 軸の場合のオリエンテーション後の工具を逃がす方向は+Z 穴あけ軸が Z 軸の場合のオリエンテーション後の工具を逃がす方向は-X の場合、次のように設定します。 (ただし第 1,第 2,第 3 軸が X, Y, Z 軸の場合) 第 1 軸のパラメータには、-2 (工具を逃がす方向は-Y) 第 2 軸のパラメータには、 3 (工具を逃がす方向は+Z) 第 3 軸のパラメータには、-1 (工具を逃がす方向は-X) その他の軸には 0 を設定します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5160 NOL OLS

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#1 OLS 小径深穴加工ドリルサイクル実行中に過負荷トルク検出信号を受信した際に、送り速度と主軸回転

数を 0: 変更しません。 1: 変更します。

#2 NOL 小径深穴加工ドリルサイクル実行中に過負荷トルク検出信号を受信せずに 1 回当りの切込み量に達

した時に送り速度と主軸回転数を 0: 変更しません。 1: 変更ます。

5163 小径深穴加工ドリルサイクルモード指令 M コード

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワード系統形 [データ範囲] 1 ~ 99999999 小径深穴加工ドリルサイクルモードを指令する M コードを設定します。

5164 過負荷トルク検出信号受信時、次回前進動作開始時の主軸回転数変更割合

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ単位] %

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A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 364 -

[データ範囲] 1 ~ 255 過負荷トルク検出信号を受けて後退動作を行った後、次回の前進動作開始時に主軸回転数を変更す

る割合を設定します。 S2=S1×d1÷100 S1: 変更する前の主軸回転数 S2: 変更した後の主軸回転数 上記の d1 を%で設定します。

注 設定値が 0 の場合には、主軸回転数は変更されません。

5165 過負荷トルク検出信号受信無し時、次回前進動作開始時の主軸回転数変更割合

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ単位] % [データ範囲] 1 ~ 255 過負荷トルク検出信号を受けないで後退動作を行った後、次回の前進動作開始時に主軸回転数を変

更する割合を設定します。 S2=S1×d2÷100 S1: 変更する前の主軸回転数 S2: 変更した後の主軸回転数 上記の d2 を%で設定します。

注 設定値が 0 の場合には、主軸回転数は変更されません。

5166 過負荷トルク検出信号受信時、次回切削開始時の切削速度変更割合

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ単位] % [データ範囲] 1 ~ 255 過負荷トルク検出信号を受けて後退・前進動作を行った後、切削開始時に切削送り速度を変更する

割合を設定します。 F2=F1×b1÷100 F1: 変更する前の切削送り速度 F2: 変更した後の切削送り速度 上記の b1 を%で設定します。

注 設定値が 0 の場合には、切削速度は変更されません。

5167 過負荷トルク検出信号受信無し時、次回切削開始時の切削速度変更割合

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ単位] % [データ範囲] 1 ~ 255 過負荷トルク検出信号を受けないで後退・前進動作を行った後、切削開始時に切削送り速度を変更

する割合を設定します。 F2=F1×b2÷100 F1: 変更する前の切削送り速度 F2: 変更した後の切削送り速度 上記の b2 を%で設定します。

Page 377: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 365 -

注 設定値が 0 の場合には、切削速度は変更されません。

5168 小径深穴加工ドリルサイクル実行中の切削速度割合の下限値

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ単位] % [データ範囲] 1 ~ 255 指令された切削送り速度に対し、変更を繰り返していった後の切削送り速度のとる割合の下限値を

設定します。 FL=F×b3÷100 F: 指令された切削送り速度 FL: 変更した後の切削送り速度 上記の b3 を%で設定します。

5170 切削中の後退動作の合計回数が出力されるマクロ変数番号

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ範囲] 100 ~ 149 切削中の後退動作の合計回数が出力されるカスタムマクロのコモン変数番号を設定します。#500 番

台のコモン変数に出力はできません。

5171 過負荷トルク検出信号による後退動作の合計回数が出力されるマクロ変数番号

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワード系統形 [データ範囲] 100 ~ 149 切削中の過負荷トルク検出信号受信による後退動作の合計回数が出力されるカスタムマクロのコモ

ン変数番号を設定します。#500 番台のコモン変数に出力はできません。

5172 I が指令されなかった場合の、R 点への後退動作時の移動速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm/min, inch/min(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+240000.0) I が指令されなかった場合の、R 点への後退動作時の移動速度を設定します。

5173 I が指令されなかった場合の、穴底手前への前進動作時の移動速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm/min, inch/min(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+240000.0) I が指令されなかった場合の、直前に加工された穴底手前への前進動作時の移動速度を設定します。

5174 小径深穴加工ドリルサイクル実行時のクリアランス量

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位)

Page 378: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 366 -

[データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 小径深穴加工ドリルサイクル実行時のクリアランス量を設定します。

5176 プランジ研削サイクル(G75)実行時の研削軸の軸番号

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 プランジ研削サイクル(G75)の研削軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸と同じ軸番号を指定した場合、実行時

アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に誤り"となります。また、本パ

ラメータ設定値が 0 の状態で研削サイクルを実行した場合もアラーム(PS0456)となりま

す。

5177 プランジ直接定寸研削サイクル(G77)実行時の研削軸の軸番号

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 プランジ直接定寸研削サイクル(G77)の研削軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸と同じ軸番号を指定した場合、実行時

アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に誤り"となります。また、本パ

ラメータ設定値が 0 の状態で研削サイクルを実行した場合もアラーム(PS0456)となりま

す。

5178 連続送り平研削サイクル(G78)実行時の研削軸の軸番号

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 連続送り平研削サイクル(G78)の研削軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸と同じ軸番号を指定した場合、実行時

アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に誤り"となります。また、本パ

ラメータ設定値が 0 の状態で研削サイクルを実行した場合もアラーム(PS0456)となりま

す。

5179 間欠送り平研削サイクル(G79)実行時の研削軸の軸番号

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 間欠送り平研削サイクル(G79)の研削軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸と同じ軸番号を指定した場合、実行時

アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に誤り"となります。また、本パ

ラメータ設定値が 0 の状態で研削サイクルを実行した場合もアラーム(PS0456)となりま

す。

Page 379: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 367 -

5180 プランジ研削サイクル(G75)におけるドレッシング軸の軸番号(M 系)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 プランジ研削サイクル(G75)中のドレッシング軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸、または研削軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸、または研削軸と同じ

軸番号を指定した場合、実行時アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に

誤り"となります。また 0 を設定した状態で、実行時 L の指定を行った場合もアラーム

(PS0456)となります。

5181 プランジ直接定寸研削サイクル(G77)におけるドレッシング軸の軸番号(M 系)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 プランジ直接定寸研削サイクル(G77)中のドレッシング軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸、または研削軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸、または研削軸と同じ

軸番号を指定した場合、実行時アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に

誤り"となります。また 0 を設定した状態で、実行時 L の指定を行った場合もアラーム

(PS0456)となります。

5182 連続送り平研削サイクル(G78)におけるドレッシング軸の軸番号(M 系)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 連続送り平研削サイクル(G78)中のドレッシング軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸、または研削軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸、または研削軸と同じ

軸番号を指定した場合、実行時アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に

誤り"となります。また 0 を設定した状態で、実行時 L の指定を行った場合もアラーム

(PS0456)となります。

5183 間欠送り平研削サイクル(G79)におけるドレッシング軸の軸番号(M 系)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 間欠送り平研削サイクル(G79)中のドレッシング軸の軸番号を設定します。

注 切込み軸、または研削軸以外の軸番号の指定が可能です。切込み軸、または研削軸と同じ

軸番号を指定した場合、実行時アラーム(PS0456)"研削用固定サイクルでパラメータ設定に

誤り"となります。また 0 を設定した状態で、実行時 L の指定を行った場合もアラーム

(PS0456)となります。

Page 380: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 368 -

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5200 FHD PCP DOV G84

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 G84 リジッドタッピングの指令方法は

0: G84 指令(又は G74 指令)に先立って、リジッドタッピングモード指令の M コード(パラメー

タ(No.5210))を指令する方式とします。 1: リジッドタッピングモード指令の M コードを使用しない方式とします。

(G84, G74 は、タッピングサイクル(G84), 逆タッピングサイクル(G74)の G コードとしては使

用できなくなります。)

#4 DOV リジッドタッピングにおいて、引き抜き動作のときオーバライドを 0: 無効とします。 1: 有効とします。(オーバライド値はパラメータ(No.5211)に設定します。ただし、リジッドタッ

プ戻しのオーバライド値はパラメータ(No.5381)に設定します。)

#5 PCP リジッドタッピングにおいて 0: 高速深穴タップサイクルとします。 1: 高速深穴タップサイクルとしません。

#6 FHD リジッドタッピングにおいて、フィードホールド、シングルブロックを

0: 無効とします。 1: 有効とします。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5201 OV3 OVU

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#3 OVU リジッドタッピングの引き抜きオーバライドのパラメータ(No.5211)の設定単位を

0: 1%とします。 1: 10%とします。

#4 OV3 プログラムによって引き抜き時の主軸回転数を指令し、それによって引き抜き動作にオーバライド

を 0: 無効とします。 1: 有効とします。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5203 OVS

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#4 OVS リジッドタッピングにおいて、送り速度オーバライド選択信号によるオーバライドとオーバライド

キャンセル信号を 0: 無効とします。 1: 有効とします。

送り速度オーバライドを有効にすると、引き抜きオーバライドは無効となります。 主軸オーバライドは、本パラメータに関係なくリジッドタッピング中は 100%固定となります。

5211 リジッドタッピングの引き抜き動作時のオーバライド値

[入力区分] パラメータ入力

Page 381: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 369 -

[データ形式] ワード系統形 [データ単位] 1%または 10% [データ範囲] 0 ~ 200 リジッドタッピングの引き抜き動作時のオーバライド値を設定します。

注 パラメータ DOV(No.5200#4)が 1 のとき有効となります。パラメータ OVU(No.5201#3)が

1のときは、設定データの単位が 10%となり、最高 2000%まで引き抜き動作時にオーバラ

イドをかけることができます。

5213 深穴リジッドタッピングサイクルの戻り量

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 穴あけ軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) 深穴タッピングサイクルの戻り量又はクリアランス量を設定します。

パラメータ PCP(No.5200#5)が 0 のとき (高速深穴タップサイクル)

パラメータ PCP(No.5200#5)が 1 のとき (深穴タップサイクル)

q : 切込み量 d : 戻り

R 点

Z 点

q : 切込み量 d : クリアランス量

R 点

Z 点

q d

dq

q

d

d

q

q

q

5241 リジッドタッピングにおける主軸最高回転数(ギア 1 段目)

5242 リジッドタッピングにおける主軸最高回転数(ギア 2 段目)

5243 リジッドタッピングにおける主軸最高回転数(ギア 3 段目)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワードスピンドル形 [データ単位] min-1 [データ範囲] 0 ~ 9999 主軸 ポジションコーダギア比 1 : 1 0 ~ 7400 1 : 2 0 ~ 9999 1 : 4 0 ~ 9999 1 : 8 0 ~ 9999 リジッドタッピングにおける各ギアの主軸最高回転数を設定します。 ギア 1段のシステムでは、パラメータ(No.5241)と同じ値をパラメータ(No.5243)に設定してください。

ギア 2段のシステムでは、パラメータ(No.5242)と同じ値をパラメータ(No.5243)に設定してください。

設定しないとアラーム(PS0200)"主軸回転指令が範囲外です"になります。これらは M 系に適用され

ます。

Page 382: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 370 -

5321 リジッドタッピングにおける主軸のバックラッシ量(ギア 1 段目)

5322 リジッドタッピングにおける主軸のバックラッシ量(ギア 2 段目)

5323 リジッドタッピングにおける主軸のバックラッシ量(ギア 3 段目)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ワードスピンドル形 [データ単位] 検出単位 [データ範囲] -9999 ~ 9999 リジッドタッピングにおける主軸のバックラッシ量を設定します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5400 RIN

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 RIN 座標回転(G68)の回転角度の指定(R)は

0: 常にアブソリュート指令で行います。 1: アブソリュート指令(G90)/インクレメンタル指令(G91)に従います。

5410 座標回転で回転角度の指令がない時に用いる回転角度

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] 2ワード系統形 [データ単位] 0.001 度 [データ範囲] -360000 ~ 360000 座標回転の回転角度を設定します。G68 と同一ブロック内に、アドレス R により座標回転の回転角

度が指令されていない場合、本パラメータの設定値が座標回転の回転角度として用いられます。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5431 MDL

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

注 このパラメータを設定した場合には一旦電源を切断する必要があります。

#0 MDL G コード G60(一方向位置決め)は、

0: 1 ショットの G コード(00 グループ)にします。 1: モーダルの G コード(01 グループ)にします。

5480 法線方向制御を行う軸の軸番号

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 1, 2, 3, . . . . , 最大制御軸番号 法線方向制御を行う軸の制御軸番号を設定します。

5481 法線方向制御軸の回転速度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数軸形 [データ単位] 度/min

Page 383: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 371 -

[データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照 法線方向制御において、ブロックの始点に挿入された法線方向制御軸の移動の送り速度を設定しま

す。

5482 法線方向制御軸の回転挿入を無視する限界値

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] 度 [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照) 法線方向制御で計算された回転挿入角度が、この設定値よりも小さい時、法線方向制御軸の回転ブ

ロックは挿入されません。 無視された回転角度は次回の回転挿入角度に加わり、ブロック挿入の判定が行われます。

注 1 360 度以上を設定すると回転ブロックは挿入されません。 2 180 度以上を設定すると円弧補間で 180 度以上でない限り回転ブロックは挿入されませ

ん。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5484 SDC

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形 SDC 緩曲法線方向制御機能は 0: 無効です。 1: 有効です。

5485 緩曲法線方向制御機能の回転を単独ブロックで行う限界値

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] 度 [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0~360 パラメータ SDC(No.5484#0)=1 の場合は本パラメータは有効です。 緩曲法線方向制御は計算された回転挿入角度がこの設定値より小さい時、法線方向制御軸の回転移

動は、X,Y 軸の移動ブロックと同時に移動します。設定値より大きい時は、法線方向制御軸の回転

移動は、単独ブロックで移動します。

注 パラメータ No.5482 と No.5483 の設定値により、法線方向制御軸の回転移動を行う場合の

み、本パラメータは有効です。 本パラメータを 360 以上を設定すると、360 にみなし、法線方向制御軸の回転移動は X,Y

軸の移動ブロックと同時に移動します。 本パラメータを180以上設定すると、円弧補間でない限り法線方向制御軸の回転移動はX,Y

軸の移動ブロックと同時に移動します。 本パラメータを負の値を設定すると、0 とみなし、法線方向制御軸の回転移動は単独ブロ

ックで移動します。

5486 法線方向制御軸の回転が終了するまでに移動するブロック距離

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch (入力単位)

Page 384: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 372 -

[データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分 法線方向軸の回転が終了するまでに移動する指令ブロックの距離を設定します。0 が設定されてい

る場合は、本機能は無効です。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5500 SIM G90 INC ABS REL

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#1 REL インデックステーブル割出し軸の相対座標系の位置表示は 1 回転以内で

0: 丸めません。 1: 丸めます。

#2 ABS インデックステーブル割出し軸の絶対座標系の位置表示は 1 回転以内で

0: 丸めません。 1: 丸めます。

#3 INC 負方向回転指令 M コード(パラメータ(No.5511))が設定されていない場合、G90 モードでの回転方

向を近回りの方向と 0: しません。 1: します。

#4 G90 インデックステーブル割出し軸の指令は

0: アブソリュート/インクレメンタルモードに従います。 1: 常にアブソリュート指令とみなします。

#6 SIM インデックステーブル割出し軸の指令と他の制御軸の指令が同一ブロックに指令されたとき

0: パラメータ IXSx(No.5502#0)の設定に従う。 1: 指令を実行する

注 本パラメータを 1 と設定した場合でも、G00、G28、G30(または G00 モード)以外のブ

ロックではアラーム(PS1564)"インデックステーブル割り出し軸-その他 同時指令"とな

ります。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 5501 ITI

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#0 ITI インデックステーブル割り出し機能は

0: 有効です。 1: 無効です。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

5502 IXSx

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット軸形

#0 IXSx インデックステーブル割出し軸の指令と同一ブロックで指令を行った場合、

0: アラーム(PS1564)"インデックステーブル割り出し軸-その他 同時指令"とする。

1: 指令を実行する。

Page 385: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 373 -

パラメータ SIM(No.5500#6)=1 の場合は、本パラメータによらず、インデックステーブル割出し軸以

外の全ての軸と同時動作が可能です。 各軸毎に同時動作が可能な軸を設定する場合は、SIM=0 とし、本パラメータにより設定を行ってく

ださい。

注 本パラメータを 1 と設定した場合でも、G00、G28、G30(または G00 モード)以外のブ

ロックではアラーム(PS1564)"インデックステーブル割り出し軸-その他 同時指令"とな

ります。

5511 インデックステーブル割出し 負方向回転指令 M コード

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワード系統形 [データ範囲] 0 ~ 99999999

0: インデックステーブル割出し軸の移動方向はパラメータ設定(パラメータ INC(No.5500#3))と

指令によって決ります。 1~99999999: インデックステーブル割出し軸は常に正方向に移動します。移動指令と共に設定された M コー

ドを指令した時のみ負方向に移動します。

注 パラメータ ABS(No.5500#2)は必ず 1 に設定してください。

5512 インデックステーブル割出し軸 最小位置決め角度

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] 度 [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) インデックステーブル割出し軸の最小位置決め角度(移動量)を設定します。位置決め指令の移動

量は必ず、この設定値の整数倍にする必要があります。0 の場合は移動量のチェックをしません。 最小位置決め角度のチェックは指令だけでなく、座標系設定やワーク原点オフセットも対象となり

ます。

5610 インボリュート補間初期許容誤差限界値

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm, inch(入力単位) [データ最小単位] 基準軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 0 または正の最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(B)参照)

(IS-B の場合、0.0~+999999.999) インボリュート補間の指令で,始点を通るインボリュート曲線と終点を通るインボリュート曲線の

ずれ量として許容できる限界値を設定します。

5620 インボリュート補間中の自動速度制御によるオーバライドの下限値

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ単位] % [データ範囲] 0 ~ 100 インボリュート補間自動速度制御の「工具径補正モード中のオーバライド」において、内側オフセ

ットの場合、基礎円近傍で工具中心の速度が、非常に小さくなってしまうことが考えられます。こ

れを避けるために、このパラメータでオーバライドの下限値を設定します。

Page 386: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 374 -

これにより、送り速度は、指令速度にこのオーバライドの下限値をかけた値を下回ることなくクラ

ンプされます。

注 0、または、設定範囲外の値を設定すると、インボリュート補間自動速度制御(「工具径補

正モード中のオーバライド」と「基礎円近傍における加速度クランプ」)は無効となりま

す。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 6000 HGO MGO

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#1 MGO カスタムマクロ制御指令の GOTO 文を実行した際、運転開始から実行した 20 個のシーケンス番号

ヘ 0: 高速で分岐しません。 1: 高速で分岐します。

#4 HGO カスタムマクロ制御指令の GOTO 文を実行した際、実行された直前までの 30 個のシーケンス番号

へ 0: 高速で分岐しません。 1: 高速で分岐します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

6210 MDC

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#6 MDC 工具長自動測定(M 系)の工具の測定量を、現在のオフセット量に

0: 加算します。 1: 減算します。

6241 工具長自動測定(M 系)の計測時の送り速度(XAE1,GAE1 信号用)

6242 工具長自動測定(M 系)の計測時の送り速度(XAE2,GAE2 信号用)

6243 工具長自動測定(M 系)の計測時の送り速度(XAE3,GAE3 信号用)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 実数系統形 [データ単位] mm/min, inch/min, 度/min(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 標準パラメータ設定表(C)参照

(IS-B の場合、0.0~+240000.0) 工具長自動測定(M 系)の計測時の送り速度を設定します。

注 パラメータ(No.6242,No.6243)の設定値が 0 の場合、パラメータ(No.6241)の設定値が有効

となります。

Page 387: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 375 -

6251 工具長自動測定(M 系)のγの値(XAE1,GAE1 信号用)

6252 工具長自動測定(M 系)のγの値(XAE2,GAE2 信号用)

6253 工具長自動測定(M 系)のγの値(XAE3,GAE3 信号用)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワード系統形 [データ単位] mm, inch, 度(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 順に工具長自動測定(M 系)におけるγの値を設定します。

注 1 M 系の場合パラメータ(No.6252,No.6253)の設定値が 0 の場合、パラメータ(No.6251)の設

定値が有効となります。 2 直径指定/半径指定にかかわらず常に半径の値で設定します。

6254 工具長自動測定(M 系)のεの値(XAE1,GAE1 信号用)

6255 工具長自動測定(M 系)のεの値(XAE2,GAE2 信号用)

6256 工具長自動測定(M 系)のεの値(XAE3,GAE3 信号用)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] 2 ワード系統形 [データ単位] mm, inch, 度(機械単位) [データ最小単位] 該当軸の設定単位に従います。 [データ範囲] 最小設定単位の 9 桁分(標準パラメータ設定表(A)参照)

(IS-B の場合、-999999.999~+999999.999) 順に工具長自動測定(M 系)におけるεの値を設定します。

注 1 M 系の場合パラメータ(No.6252,No.6253)の設定値が 0 の場合、パラメータ(No.6251)の設

定値が有効となります。 2 直径指定/半径指定にかかわらず常に半径の値で設定します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

7001 ABS

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#1 ABS マニュアルアブソリュートオンで手動介入した後の移動指令がアブソリュート(G90)とインクレメ

ンタル(G91)で 0: 異なる通路になります。

1: 同じ通路になります(アブソリュートの場合の通路)。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 7570 CFA FTP

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

Page 388: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 376 -

#0 FTP フィクスチャオフセットのタイプの設定 0: 移動タイプです。

(フィクスチャオフセットが変化したときに移動します。) 1: シフトタイプです。

(フィクスチャオフセットが変化しても移動しません。)

#3 CFA フィクスチャオフセット機能使用時、マニュアルアブソリュートスイッチ ON の状態で手動介入し

た後、インクレメンタルモード(G91 モード)で回転軸を指令したときは、 0: 手動介入量を反映しない座標値を用いてベクトルの計算を行います。 1: 手動介入量を反映した座標値を用いてベクトルの計算を行います。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

7575 FAXx

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット軸形

#0 FAXx 各軸のフィクスチャオフセットの有効/無効の設定

0: 無効です。 1: 有効です。

7580 フィクスチャオフセットを行う回転軸(1 組目)

7581 フィクスチャオフセットを行う直線軸 1(1 組目)

7582 フィクスチャオフセットを行う直線軸 2(1 組目)

7583 フィクスチャオフセットを行う回転軸(2 組目)

7584 フィクスチャオフセットを行う直線軸 1(2 組目)

7585 フィクスチャオフセットを行う直線軸 2(2 組目)

7586 フィクスチャオフセットを行う回転軸(3 組目)

7587 フィクスチャオフセットを行う直線軸 1(3 組目)

7588 フィクスチャオフセットを行う直線軸 2(3 組目)

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~制御軸数 フィクスチャオフセットを行うための回転軸と回転平面を構成する直線軸 2 軸を指定します。2 個

の直線軸の順番は、直線軸 1 の正方向から直線軸 2 の正方向への回転が回転軸の正方向になるよう

にします。このような回転軸と直線軸 2 軸の設定を、最大 3 組まで設定できます。フィクスチャオ

フセット量の計算は、1 組目の回転軸に対する計算を行い、その結果に対して順次 2 組目、3 組目と

行います。3 組まで必要ないときは、回転軸に 0 を設定します。

10360 各軸の工具位置オフセットのオフセット番号のバイアス量

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] ワード軸形 [データ範囲] 0~工具オフセット個数 並列運転を行う場合、各軸の工具位置オフセットのオフセット番号のバイアス量を指定します。す

なわち、指令されたオフセット番号にパラメータで指定した値を加えた番号のオフセットデータを

その軸の工具位置オフセット量として使用します。

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B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 377 -

10361 各軸の工具長補正のオフセット番号のバイアス量

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] ワード軸形 [データ範囲] 0~工具オフセット個数 並列運転を行う場合、各軸の工具長補正のオフセット番号のバイアス量を指定します。すなわち、

指令されたオフセット番号にパラメータで指定した値を加えた番号のオフセットデータをその軸の

工具長補正量として使用します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 10370 RPC

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] ビット系統形

#0 RPC レファレンス点からの復帰(G29)において、軸切り換えを

0: 無効とします。 1: 有効とします。

10371 軸切り換え番号

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 0~5

6 通りの軸切り換えが選択でき、その軸切り換え番号を設定します。プログラムアドレス X,Y,Zに対応する機械軸 x,y,z は次表の通りです。

プログラムアドレス

軸切り換え番号 X Y Z

0 x y z 1 x z y 2 y x z 3 y z x 4 z x y 5 z y x

軸切り換え番号の 0 は、軸切り換えを行わないことを意味します。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

11400 TOP

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#2 TOP 工具長補正、工具位置補正の動作を設定します。

0: 補正は軸移動により行います。 1: 補正は座標系のシフトにより行います。

注 本パラメータは、パラメータ TOS(No.5006#6)の系統形のパラメータです。 各系統で、補正の動作を変えたい場合は、パラメータ TOS を 0 にし、パラメータ

TOP(No.11400#2)で、各系統切り換えてください。パラメータ TOS(No.5006#6)が 1 の場

合、パラメータ TOP(No.11400#2)が 0 でも 1 相当で動作します。

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A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 378 -

11600 AX1

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#5 AX1 座標回転モードにおいて、アブソリュートモードで1軸指令した場合、

0: まず、回転前の座標系で指令位置を算出し、座標を回転します。 1: まず、座標系が回転し、次にその座標系上で指令位置に移動します。 (FS16i/18i/21i互換仕様)

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

11630 FRD

[データ形式] ビット系統形 #0 FRD 座標回転および 3 次元座標変換の回転角度の最小指令単位は 0: 0.001 度です。 1: 0.00001 度です。(10 万分の 1)

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0

19607 NAA CAV CCC

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#2 CCC 工具径・刃先 R 補正モード中の外側コーナの接続方式は

0: 直線接続タイプです。 1: 円弧接続タイプです。

#5 CAV 干渉チェックにより干渉(切り込み過ぎ)が発生したと判断された場合、

0: アラーム(PS0041)"工具径・刃先 R 補正で切り込み過ぎが発生"となり、加工を停止します。 (干渉チェックアラーム機能)

1: 干渉(切り込み過ぎ)が発生しないように工具経路を変更し、加工を続行します。(干渉チェ

ック回避機能) 干渉チェックの方式については、パラメータ CNC(No.5008#1)、パラメータ CNV(No.5008#3)を参照

下さい。

#6 NAA 干渉チェック回避機能により、回避動作が危険、あるいは干渉回避ベクトルに対してさらに干渉す

ると判断された場合、 0: アラームとします。

回避動作が危険と判断された場合、アラーム(PS5447)"G41/G42 で干渉回避すると危険です"とな

ります。 干渉回避ベクトルに対してさらに干渉すると判断された場合、アラーム(PS5448)"G41/G42 で回

避動作に干渉しました"となります。 1: アラームとせず、回避動作を続行します。

注 通常は 0 を設定して下さい。

19625 工具径・刃先 R 補正モードにおける読み込みブロック数

[入力区分] セッティング入力 [データ形式] バイト系統形 [データ範囲] 3 ~ 8 工具径・刃先 R 補正モードにおいて読み込むブロック数を指定します。3 以下の値が設定された時

は 3 ブロック、8 以上の時は 8 ブロックとみなされます。読み込みブロック数が多いほど、切り込

み過ぎ(干渉)の予測がより先の指令まで可能になります。ただし、読み込んで解析するブロック

数が増えるため、ブロックプロセッシングタイムは長くなります。

Page 391: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 379 -

また、本パラメータは、工具径・刃先 R 補正モード中に停止して MDI モードにて変更しても、すぐ

に有効とはなりません。一度工具径・刃先 R 補正モードをキャンセルして、再度モードに入った時

に新しい設定が有効となります。

#7 #6 #5 #4 #3 #2 #1 #0 25860 NCV SCV

[入力区分] パラメータ入力 [データ形式] ビット系統形

#2 SCV 電源投入時にスピンドルユニット補正のベクトルを

0: 計算しません。

1: 計算します。

注 このパラメータは、以下のいずれかの設定の場合に有効です。

・ パラメータ CLR(No.3402#6)=0 ・ パラメータ CLR(No.3402#6)=1、かつパラメータ C27(No.3409#3)=1

#3 NCV 電源投入時に傾斜ロータリヘッド工具長補正のベクトルを

0: 計算しません。

1: 計算します。

注 このパラメータは、以下のいずれかの設定の場合に有効です。

・ パラメータ CLR(No.3402#6)=0 ・ パラメータ CLR(No.3402#6)=1、かつパラメータ C08(No.3407#0)=1、かつパラメー

タ CFH(No.3409#7)=1

Page 392: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 380 -

A.2 データ形式

パラメータはデータ形式により次のように分類されています。

データ形式 データ範囲 備考 ビット形 ビット機械グループ型

ビット系統形

ビット軸形

ビットスピンドル形

0 または 1

バイト形 バイト機械グループ型 バイト系統形 バイト軸形 バイトスピンドル形

-128~127 0~255

パラメータにより符号無しのデータとして

扱われるものがあります。

ワード形 ワード機械グループ型 ワード系統形 ワード軸形 ワードスピンドル形

-32768~32767 0~65535

パラメータにより符号無しのデータとして

扱われるものがあります。

2 ワード形 2 ワード機械グループ型 2 ワード系統形 2 ワード軸形 2 ワードスピンドル形

0~±999999999 パラメータにより符号無しのデータとして

扱われるものがあります。

実数形 実数機械グループ型 実数系統形 実数軸形 実数スピンドル形

標準パラメータ 設定表参照

注 1 ビット形、ビット機械グループ型、ビット系統形、ビット軸形、ビットスピンドル形のパラメータは、1 つ

のデータ番号に対し 8 ビット(8 個の異なる意味を持つパラメータ)で構成されます。 2 機械グループ形とは、最大機械グループ数分のパラメータが存在し、機械グループごとに独立なデータを設

定することができることを表します。 3 系統形とは、最大系統数分のパラメータが存在し、系統ごとに独立なデータを設定することができることを

表します。 4 軸形とは、最大制御軸数分のパラメータが存在し、制御軸ごとに独立なデータを設定することができること

を表します。 5 スピンドル形とは、最大主軸数分のパラメータが存在し、スピンドル軸ごとに独立なデータを設定すること

ができることを表します。 6 データ範囲は一般的な範囲です。パラメータによりデータ範囲は異なりますので詳細は各パラメータの説明

を参照して下さい。

Page 393: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 付録 A.パラメータ

- 381 -

A.3 標準パラメータ設定表

データ形式が実数形、実数機械グループ形、実数系統形、実数軸形および実数スピンドル形のパラメータの標準デー

タ最小単位、標準データ範囲を規定します。

注 1 データ最小単位より小さい値は四捨五入されます。 2 データ範囲とは、データ入力の限界値を意味し、実際の性能を表す数値とは異なる場合があります。 3 CNC への指令範囲については、取扱説明書(T 系/M 系共通)にある付録の指令範囲一覧表を参照下さい。

(A)長さ、角度のパラメータ(タイプ 1)

データ単位 設定単位 データ最小単位 データ範囲 IS-A 0.01 -999999.99 ~ +999999.99 IS-B 0.001 -999999.999 ~ +999999.999 IS-C 0.0001 -99999.9999 ~ +99999.9999 IS-D 0.00001 -9999.99999 ~ +9999.99999

mm 度

IS-E 0.000001 -999.999999 ~ +999.999999 IS-A 0.001 -99999.999 ~ +99999.999 IS-B 0.0001 -99999.9999 ~ +99999.9999 IS-C 0.00001 -9999.99999 ~ +9999.99999 IS-D 0.000001 -999.999999 ~ +999.999999

inch

IS-E 0.0000001 -99.9999999 ~ +99.9999999 (B)長さ、角度のパラメータ(タイプ 2)

データ単位 設定単位 データ最小単位 データ範囲 IS-A 0.01 0.00 ~ +999999.99 IS-B 0.001 0.000 ~ +999999.999 IS-C 0.0001 0.0000 ~ +99999.9999 IS-D 0.00001 0.00000 ~ +9999.99999

mm 度

IS-E 0.000001 0.000000 ~ +999.999999 IS-A 0.001 0.000 ~ +99999.999 IS-B 0.0001 0.0000 ~ +99999.9999 IS-C 0.00001 0.00000 ~ +9999.99999 IS-D 0.000001 0.000000 ~ +999.999999

inch

IS-E 0.0000001 0.0000000 ~ +99.9999999

(C)速度、角速度のパラメータ データ単位 設定単位 データ最小単位 データ範囲

IS-A 0.01 0.00 ~ +999000.00 IS-B 0.001 0.000 ~ +999000.000 IS-C 0.0001 0.0000 ~ +99999.9999 IS-D 0.00001 0.00000 ~ +9999.99999

mm/min 度/min

IS-E 0.000001 0.000000 ~ +999.999999 IS-A 0.001 0.000 ~ +96000.000 IS-B 0.0001 0.0000 ~ +9600.0000 IS-C 0.00001 0.00000 ~ +4000.00000 IS-D 0.000001 0.000000 ~ +400.000000

inch/min

IS-E 0.0000001 0.0000000 ~ +40.0000000

Page 394: B 64484 ja-2-03

A.パラメータ 付録 B-64484JA-2/03

- 382 -

(D)加速度、角加速度のパラメータ データ単位 設定単位 データ最小単位 データ範囲

IS-A 0.01 0.00 ~ +999999.99 IS-B 0.001 0.000 ~ +999999.999 IS-C 0.0001 0.0000 ~ +99999.9999 IS-D 0.00001 0.00000 ~ +9999.99999

mm/sec2 度/sec2

IS-E 0.000001 0.000000 ~ +999.999999 IS-A 0.001 0.000 ~ +99999.999 IS-B 0.0001 0.0000 ~ +99999.9999 IS-C 0.00001 0.00000 ~ +9999.99999 IS-D 0.000001 0.000000 ~ +999.999999

inch/sec2

IS-E 0.0000001 0.0000000 ~ +99.9999999

Page 395: B 64484 ja-2-03

B-64484JA-2/03 索引

i-1

索引

<数字> 3 次元工具補正(G40, G41) ...................................217

<M> MDI からの入力に対する工具径・刃先 R 補正 .....212

<S> Series 15 フォーマットでのメモリ運転...................252

<あ> 穴あけ固定サイクル用インポジションチェック切

換え機能 ....................................................................66 穴あけ用固定サイクル ................................................39 穴あけ用固定サイクルキャンセル(G80)..............63 穴あけ用固定サイクルの例題 ....................................64 安全にご使用いただくために ...................................s-1

<い> 一般的な警告及び注意 ...............................................s-2 インデックステーブル割り出し機能 ........................92 インフィード制御(研削盤用) ................................94 インボリュート補間(G02.2,G03.2) .......................15 インボリュート補間自動速度制御 ............................18

<え> 円弧ねじ切り B(G2.1,G3.1)....................................24

<お> オーバライド信号 ........................................................89 オフセット番号と補正量 ..........................................159 オフセットモードキャンセルでの工具の動き ......193 オフセットモードでの工具の動き ..........................176

<か> 概要........................................................................3,9,166 各種データに関する注意事項 ......................................6 ガス切断機..................................................................288 仮想刃先......................................................................156 仮想刃先の方向..........................................................158 緩曲線切断..................................................................298 緩曲法線方向制御 ......................................................300 間欠送り平研削サイクル(G79) ...........................106 干渉チェック..............................................................202 干渉チェックアラーム機能 ......................................205 干渉チェック回避機能 ..............................................207 干渉と判断された場合の動作 ..................................205

<き> 機能キー に属する画面 .....................................305

逆タッピングサイクル(G74) .................................44 極座標指令(G15,G16) .............................................37

<け> 警告、注意、注について ........................................... s-1 研削用固定サイクル(研削盤用) ............................96

<こ> 工具位置オフセット(G45~G48) ........................146 工具位置オフセット B 機能 .....................................288 工具オフセット量の表示と設定 ..............................305 工具径・刃先 R 補正による切り込み過ぎの防止 ..199 工具径・刃先R補正の詳細説明 ..............................166 工具形状とプログラムによる工具の動き ..................9 工具径補正(G40~G42)の概略説明 ....................151 工具軸方向工具長補正..............................................241 工具軸方向工具長補正の制御点補正 ......................245 工具長/ワーク原点測定 ..........................................312 工具長自動測定(G37) ...........................................144 工具長測定..................................................................310 工具長補正シフトタイプ ..........................................138 工具補正量、工具補正個数およびプログラムによ

る工具補正量の入力(G10) ...............................220 工具補正量測定値直接入力 B ..................................334 高速深穴あけサイクル(G73) .................................43 コーナ円弧補間(G39) ...........................................215 固定サイクルキャンセル(G80) .............................88

<さ> 座標値と寸法................................................................37 座標回転(G68, G69) ..............................................222

<し> 仕上げサイクル(G70.7) .................................126,270 軸切り換え..................................................................296 軸制御機能..................................................................283 自動イグザクトストップチェック ..........................293 手動送りによるアクティブオフセット量変更 ......233 準備機能(G 機能) ....................................................10 小径深穴加工ドリルサイクル(G83) .....................51

<す> スタートアップでの工具の動き ..............................170 スピンドルユニット補正、傾斜ロータリヘッド工

具長補正...........................................................249,334

<そ> 操作に関する警告および注意 ................................... s-4 速度によるコーナ制御..............................................291 外径、内径突切りサイクル(G75.7) .............130,274 外径荒削りサイクル(G71.7) .........................109,253

<た> 多条ねじ切り................................................................23 タッピングサイクル(G84) .....................................55

Page 396: B 64484 ja-2-03

索引 B-64484JA-2/03

i-2

<ち> 直線距離指定..............................................................301 直線と回転軸によるインボリュート補間

(G02.2,G03.3) .......................................................20

<て> データ形式..................................................................380 データの表示と設定 ..................................................305

<と> 砥石摩耗補正..............................................................229 ドリルサイクルカウンタボーリング(G82)..........49 ドリルサイクルスポットドリリング(G81)..........47

<に> 日常保守に関する警告 ...............................................s-5 任意角度面取り・コーナR ........................................90

<ね> ねじ切り(G33) .........................................................22

<は> 刃先R補正(G40~G42)の概略説明.....................156 刃先 R 補正の注意事項 .............................................164 端面荒削りサイクル(G72.7) .........................120,264 端面突切りサイクル(G74.7) .........................129,273 バックボーリングサイクル(G87) .........................59 パラメータ..................................................................339 パラメータの説明 ......................................................339

<ひ> 引き抜きオーバライド ................................................88 標準パラメータ設定表 ..............................................381

<ふ> ファインボーリング(G76) .....................................46 深穴あけサイクル(G83) .........................................50 深穴リジッドタッピングサイクル(G84 または

G74) .........................................................................85 複合形固定サイクル ..................................................252 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7,

G74.7, G75.7, G76.7)における制限事項 .............136 複合形固定サイクル(G70.7, G71.7, G72.7, G73.7,

G74.7, G75.7,G76.7) .............................................108 複合形固定サイクルにおける制限事項 ..................281 複合形ねじ切りサイクル(G76.7) .................132,276 プランジ研削サイクル(G75) .................................98 プランジ直接定寸研削サイクル(G77) ...............101 プログラミングに関する警告および注意 ...............s-3 プログラミングを簡単にする機能 ............................39

<へ> 閉ループ切削サイクル(G73.7) .....................123,268 並列軸制御..................................................................283 ベクトル保持(G38) ...............................................214 ヘリカルインボリュート補間(G02.2,G03.3)........20

<ほ> ボーリングサイクル(G85) .....................................56 ボーリングサイクル(G86) .....................................58 ボーリングサイクル(G88) .....................................61 ボーリングサイクル(G89) .....................................62 補間機能 .......................................................................15 補正機能 .....................................................................138 本説明書を読むにあたっての注意事項 ......................5

<り> リジッド逆タッピングサイクル(G74) .................82 リジッドタッピング(G84) .....................................79 リジッドタッピング中のオーバライド ....................88 リジッドタップ............................................................79

<れ> 連続円運動による溝加工(G12.4,G13.4) ...............27 連続送り平研削サイクル(G78) ...........................103 連続ねじ切り................................................................23

<ろ> ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフ

セット......................................................................236 ロータリテーブルダイナミックフィクスチャオフ

セット量の表示と 設定 .........................................331

<わ> ワーク側の指定と移動指令 ......................................159

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B-64484JA-2/03 説明書改版履歴

r-1

説明書改版履歴 版数 年月 変更内容

03 平成 23 年 8 月

・ 下記の項目を削除しました。 - チョッピング機能 - フレキシブル同期制御によるチョッピング機能

・ 誤記訂正

02 平成 22 年 10 月 ・ 下記の G コードを追加しました。

- 平面変換機能 ・ 誤記訂正

01 平成 22 年 6 月

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追加資料

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版 承認担当

年月日 担当 変更内容

作成 2012.01.27 1/2

ページ

FANUC Series 30i/31i/32i-MODEL B Series 15 フォーマットでのメモリ運転

B-64484JA-2/03-01

FANUC Series 30i/31i/32i-MODEL B Series 15 フォーマットでのメモリ運転

1.適用される技術資料の種類

名 称 FANUC Series 30i-MODEL B FANUC Series 31i-MODEL B FANUC Series 32i-MODEL B 取扱説明書(マシニングセンタ系)

仕様番号/版数 B-64484JA-2/03

2.変更内容

分 類 名称/概説 新規・追加

修正・削除

適用 時期

ベイシック機能

オプション機能 オプション機能という説明を追加しました。 追加 即時

ユニット

保守部品

注意事項

誤記訂正

その他

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版 承認担当

年月日 担当 変更内容

作成 2012.01.27 2/2

ページ

FANUC Series 30i/31i/32i-MODEL B Series 15 フォーマットでのメモリ運転

B-64484JA-2/03-01

FANUC Series 30i/31i/32i-MODEL B 取扱説明書(マシニングセンタ系)(B-64484JA-2)の7「Series 15 フォーマットでのメモリ運転」の項に下線の記述を追加下さい。

7 Series 15 フォーマットでのメモリ運転 概要

セッティングパラメータ FCV(No.0001#1)を 1 に設定することにより、Series 15 のプログラムフォーマットで作成したプログ

ラムをメモリに登録してメモリ運転することができます。 本機能はオプション機能です。