ニトリが上智大学と共同研究し商品化した子ども目...
Post on 12-Jun-2020
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ニトリが上智大学と共同研究し商品化した子ども目線のランドセルを発売
株式会社ニトリ(本社:札幌市北区、代表取締役社長 : 武田政則、以下 : ニトリ)は、上智大学
(東京都千代田区、学長:曄道佳明 )とおよそ2年にわたり実施した「子どもにとって快適なランドセル」
に関する共同研究に基づき開発した、21 年度入学モデルランドセルをニトリ公式通販サイト及び
ニトリ店舗で 3 月中旬より順次販売を開始いたします。※ニトリ公式通販サイト 先行発売 3 月 13 日
本商品は、子供の主観で快適で且つ身体負荷の軽減が見込まれるランドセルを目的として商品化された
ものです。
共同研究の研究成果に基づき開発されたランドセル
ニトリのランドセル わんぱく組メチャ!ピカ & わんぱく組 cubee は、科学的な研究成果に基づき
子どもたちの負担軽減を追求したデザインと機能性が高く評価され、2019 年度グッドデザイン賞
(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。
学習指導要領の改定に伴う学習内容の増加によって、近年、小学生の教科書の重量が増しています。
子どもの荷物が過重になることで、子どもたちの身体の健やかな発達に影響が生じかねない等の懸念が
挙げられており、学校現場では、家庭学習で使用する予定のない教材等を、机の中などに置いて帰る
いわゆる「置き勉」を認めることや、携行品の分量が特定の日に偏らないような工夫がなされています(注1)。
子どもの往復通学時間は、全国平均で 40 分以上(注2)となっており、特に体の小さな低学年の子どもに
とって、通学時の身体的負荷が大きいことから、現在市場にあるランドセルには、各社の工夫により
軽量化が図られています。
ランドセルの「軽さ」を謳った商品が多くある一方で、教科書等の内容物が重いため、子どもが背負う荷物
全体の重さの中で、ランドセル自体の重量の占める割合は減っています。そのことから、相対的にみると、
「ランドセル自体を軽くすること」が背負い心地に与える影響は小さくなっていることが予想されます。
また、ランドセルには、頑丈さや十分な容量など、軽さ以外にも多くの機能が求められ、更なる軽量化は
簡単なことではありません。
本研究チームは、ユーザーである子どもたちが、ランドセルの背負い心地に対してどのような評価構造を
持っているのかを明らかにし、さらに数値シミュレーションを用いて身体負荷の解析を行うことで、
学術的な根拠に基づく「子どもにとって快適なランドセル」の開発を目指しました。
注1)子どもの荷物の重さや量への配慮:文部科学省から 2018 年 9 月に発出された事務連絡「児童生徒の携行品に係る配慮について」より。
注2)平均往復通学時間:総務省 統計局「平成 28 年社会生活基本調査」によるデータでは、10 歳以上の小学生の往復通学時間
(国公立 /私立、平日、電車・バス等の利用含む)の全国平均が 48 分(最長 64 分、最短 39 分)となっている。
1.開発背景
令和 2年 3月 13 日株式会社ニトリホールディングス
NEWS RELEASE
各 位
本研究では、子どもたちの評価構造を見える化する心理的なアプローチ、および、身体負荷軽減の
解析を行う力学的なアプローチの両面から、「子どもにとって快適なランドセル」を追求しました。
心理的なアプローチでは、感性工学的な観点から子どもにとっての「快適」についての理解を深め、
快適につながる要因を探し、数値化することを目指しました。まず、SD 法(注3)を用いて、仕様の
異なるランドセルに対する子どもたちの評価を分析しました。さらに、SD法アンケートを統計的に分析し、
質問項目とその背景にある要因との因果関係を探りました。そして、「良い」に最も大きく影響する要素を
重回帰分析(注4)によって抽出しました。その結果、「良い」に最も大きく影響する要素は、
「(背中が )気持ちいい」と「走りやすい」であることがわかりました。
これらは、親を対象にしたアンケートでは、重要な要素として出てこなかったキーワードです。
注3)SD法(semantic differential method):反対の意味を持つ形容詞を尺度の両端に置いた評定尺度群を用いて、対象の与える感情的なイメージを5~7段階程度で評定する方法。注4)重回帰分析:一つの評価項目を複数の評価項目で表す式を作成する方法。
2.研究の成果
図 1:共同研究と商品開発の流れ
代表者
コメント
上智大学 理工学部機能創造理工学科 准教授 竹原 昭一郎
株式会社ニトリ 商品部シーゾナル・EC・育成企画 バイヤーマネジャー 高嶋 久弥
・子どもたちが、ランドセルの背負い心地に対してどのような評価構造をもっているかを明らかにする ことで、学術的な根拠に基づく「子どもにとって快適なランドセル」の開発を目指した。・子供たちの評価で、「良い」に最も大きく影響する要素は、「(背中が)気持ちいい」と「走りやすい」。・ランドセルの生地で、背中と接する面の滑りにくさを上げることで、子どもの身体負荷軽減につながる 結果が得られた。・子どもの主観で快適であり、さらに身体負荷の軽減が見込まれるランドセルが生まれた。
注5)マルチボディダイナミクス:多数の物体や部品からなる構造物や機械の運動や制御を扱う学問。複雑な物体の動力学の解析に用いられる。
次にマルチボディダイナミクス(注5)を用い、頭部、胸部、腹部からなる人体モデルに対して、
ランドセルモデルをばねで接続した数値シミュレーションモデルを開発し、ランドセルの特性が
ランドセルの動的な挙動へ与える影響を検証する力学的なアプローチを行いました。関節を動かすために
使う力を表す「関節トルク」を指標に検証したところ、生地の滑りにくさを示す摩擦係数を上げることで、
身体負荷軽減につながる結果が得られました。
また、「(背中が)気持ちいい」というキーワードの実現には、「エアリーグリップ」のもう一つの特長
である帝人コードレ独自技術の含侵表面加工で、
ミクロ単位の微穴を無数に作り出し、通気性に優れ、
背中が蒸れにくいといった快適性を継承しつつ、
(参考資料:図2) 圧力分散性能を向上させた
新しい背あて生地を採用することにより、ランドセルを
背負った際の心地よさを高めました。
(参考資料:図3)
ニトリのランドセル機能説明動画 https://youtu.be/CD12Ld_eUzg で配信中。
上智大学との共同研究から抽出された「(背中が)気持ちいい」と「走りやすい」というキーワードを
具現化する手段をニトリで検討しました。
「走りやすい」のキーワードの実現には、ランドセルを背負った際の揺動を制御する必要があるとの
仮説から、8年前よりランドセル生地を共同開発している帝人コードレ株式会社
(本社:大阪府大阪市北区、代表取締役社長:宮堂倉一、以下:帝人コードレ)と、摩擦係数を大幅に向上
させた、背あて生地「エアリーグリップ」を開発しました。
Hexabee( ヘキサビー)4 つの構造大マチ奥行 12.5㎝で収納力アップしても軽くて、強く、しなやかな理由
4
現行モデル (U型) 試作 A(逆Ω型) 試作C(逆Ω型)試作B(W型)
背あて形状
圧力分布
最大圧( ㎜ Hg) 79.5 80.0 77.5139.8接触面積( ㎠ ) 90.6 89.1 103.463.8
通気実験写真
※エアリーグリップは通気性に優れているため気泡が出ます
4.今後の取組 このランドセルの商品化を通じて、お子様が健やかに、楽しく成長していく未来をしっかりサポート
していくとともに、科学的エビデンスに基づいた商品開発の拡大に努めてまいります。
図3:背あての圧力分散評価試験結果
図2:背あての通気実験写真
採用
【本リリースに関する企業様からのお問合せ先】株式会社ニトリホールディングス 広報部 Tel:03-6741-1213
3.ニトリでの商品開発プロセス
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