ゼローダ+オキサリプラチン療法の副作用対策につ...
Post on 21-Apr-2020
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胃癌術後の補助化学療法
平成28年5月2日
化学療法委員会
ゼローダ+オキサリプラチン療法の副作用対策について
胃癌の補助化学療法とは
• 適応症例は⇒StageⅡ~Ⅲ胃癌治癒切除後
• 胃癌術後補助療法の標準治療とは
⇒・TS-1単独療法
4投2休 1年間
・ゼロ-ダ+オキサリプラチン療法
1投2休 8コース 半年間
ゼローダ+オキサリプラチン療法
• 飲み薬のゼローダと注射薬のオキサリプラチンンを組み合わせて使う化学療法です
*3週間1コース・ゼローダ(カペシタビン)・・癌細胞の増殖抑制
14日間服用、1週間休薬。1日目夕食後から開始、15日朝食後まで服用。朝食後と夕食後、1日2回内服・エルプラット(オキサリプラチン)・・白金製剤グループに属する抗がん剤でがん細胞の遺伝子(DNA)に働きかけ、増殖を抑える薬剤
↓1日目のみ点滴投与
ゼロ-ダ1週間 ゼロ-ダ1週間 休薬1週間
治療を続けるには?
①抗がん剤の副作用の出現
+
②胃癌術後の全身状態不安定
↓
ダブルパンチ
・消化器症状の悪化
⇒
・栄養状態の悪化
半年~1年の治療が完遂できない
抗がん剤の副作用
• 消化器症状 ➟吐き気、嘔吐、食欲不振
下痢、便秘、腹痛、口内炎
味覚障害
↓
コントロールが大事
対応策• 消化器症状*エルプラットは、催吐性は中等度で30~90%ゼローダは、軽度で10~30%①エルプラット点滴1時間前に制吐剤イメンド内服②投与30分前にデキサート3.3㎎+アロキシ1A③2日目、3日目にデカドロン4㎎/日内服④屯用で、ナウゼリン、プリンペラン内服処方
*下痢➟軽度。1~2日休薬で回復しやすい1日4~5回以上時は、2時間おきにロペミン内服し症状回復するまで継続する。
対応策
・味覚障害
➟5~10%に味覚障害が起きる
亜鉛欠乏が疑われる場合、亜鉛製剤の処方又は補助食品摂取を進める
胃癌術後に化学療法を行う際の問題点
• 栄養状態の変化
⇒・胃の喪失で食物の通過スピードが速くなる
・ホルモン不足で食欲が減退し体重が低下
・ダンピング症候群➟早期
血圧低下、めまい、動悸、脱力感、
冷汗、腹部膨満感、腹痛、下痢
➟後期
脱力感、倦怠感、頭痛、眠気など
➟その他の不快症状
ゲップ、おなら、下痢、
胸のつかえ、胸やけ
症例1
• 48歳 男性
• 職種:自衛隊 事務職
• 疾患名:胃癌
• 現病歴
X年.12.9 開腹胃全摘術施行(T4a、N0、Mo stageⅢc)
X+1年.2.4 XELOX療法初回開始
3.25 外来化療へ移行予定だったが、FA(発熱性好中球減少症)にて
治療延期し入院。G-CSF製剤使用、抗生剤投与
3.15~25 体重4kg減少(56㎏➟52㎏)見られ、栄養補助食品使用勧めたが、
エネーボ、エンシュアは甘すぎて内服継続出来ず市販のメイバ
ランスコンポタージュ味を勧めたが、飲めず。さらに1週間で体
重-4kg減少し48kg。1日3回食後に下痢にてロペミン開始するも、
便秘を心配し内服できず下痢持続。
4.7 栄養状態改善と下痢コントロール目的のため入院
R-Y法
• 61歳 男性
• 職種:会社員
• 既往歴
Y年.11.10 多発大腸癌(全結腸切除)
Y+1年.3.4 小腸がん(K大 腹腔鏡下小腸切除術)
Y+4年.5 膀胱がん(M医療センター 内視鏡的腫瘍切除術)
7.14 狭心症(M病院 薬剤ステント留置)
0.14 胃癌(当院 幽門側胃切除術)
症例2
ビルロートⅠ
症例2
• 現病歴
Z年.8.10 貧血精査(Hb8.2)入院。胃カメラ生検施行。胃癌の診断
10.14 幽門側切除術施行
12.4~術後補助療法としてTS-1内服開始。(4投2休)
Z+1年.2.26~下痢出現、食欲不振と嘔気持続するため、TS-1内服中止
3.1 ゼローダ+オキサリプラチン療法を外来にて開始
3.4 全身倦怠感、集中力の低下、食欲減退、口内炎、味覚の変化
あり体調に合した仕事量の調整の指導、補中益気湯開始
口内炎に対しハチアズレ処方(1日5~8回程度の含嗽指導)
その後口内炎は悪化せず食事可能となり、倦怠感悪化も無く
自宅療養で経過すことができ、化療は予定通りに継続
看護
消化器症状~栄養指導~
・ダンピング症候群を抑える食べ方を指導(パンフレット用いる)・食物の腸への急速な流入で便通反射が亢進するのでゆっくり食べる。・空気をためる場所がなくなる為ゲップとおならが多くなるので術後3カ月は1回の食事量を少なくする。・胸のつかえ、胸やけを起こすのでゆっくり食べ食後30分は横にならない。就寝2時間前以降の飲食もさける。・食がすすまない時は、栄養補助食品を積極的に利用し体重の減少を防ぐ。市販の栄養保持食品でも食べやすいものがあれば利用する。
看護
消化器症状に対する支持療法の指導
・嘔気・嘔吐に対してエルプラット開始1時間前にイメンドカプセル内服する。
点滴開始の30分前にステロイド併用することで強力な制吐作用
を得られる。
化療の翌日から2日間デカドロンを内服する。
在宅で対処出来る様に屯用でナウゼリンやプリンペランを処方
積極的に使用する。
・下痢に対して
1日4~5回ある時は、ロペミン1回1capを2時間おきに症状が軽減
するまで内服する。予防的に半夏寫心湯投与する
まとめ
• 胃切除術後の患者さんは、胃切除自体がもたらす栄養摂取障害と抗がん剤の副作用で体重減少を生じ治療の継続性が損なわれて胃癌術後再発予防としての化学療法の効果が低下する
• 問題解決への取り組みが「栄養サポート」であり、化学療法の開始前から栄養状態の改善に取り組むことが大切である
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