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総合科学の基礎C

哲学思想の基礎

2019/06/28

デカルトによる転回

10ケタの学生番号を記入

10ケタの学生番号を鉛筆でマーク

名前 今日の日付 哲学

マークシートの記入要領

ここに注意!

小テストなどに使います。

全体的な構成(予定)

はじめに

1)哲学とは何か

存在論

2)存在の何が問題か

3)イデア論

4)カテゴリー論

5)質料形相論

神学

6)キリスト教と哲学

7)アリストテレスの神学

8)トマス・アクィナスの神学

9)神と人との逆転

認識論

10)デカルトの心身二元論

11)マルブランシュの解決

12)バークリの解決

13)感情の大逆転

おわりに

14)知識の体系

15)全体のまとめ

これまでの要点=前回の宿題

• アリストテレスの神学理論について説明する。

–不動の動者について。

• どういう理由で想定されたのか。

–この世界には常に運動があるから。

• どういうものか。

–現在において存在する。

–それ自身は動かず、他の物を動かす。

–ほかの物の運動の目的である。

–魂(プシューケー)について。

• どのようなものか

–身体が活動能力を保持していること。

–植物(栄養摂取・成長)、動物(感覚・運動)、人間(知性)という、生命活動の具体的なあり方。

–そうした活動の原理。

–その生物が死ねば失われる。

• 「知性」について。

–プシューケーの一部分だが、身体と離れて存在できるとされた。

– 以上の2点について、その後のキリスト教神学で何が問題になったのか。

–宇宙に始まりも終わりもないのは、聖書の創世記に反する。

–死後の魂が存在しないのは、最後の審判と反する。

小テストの解答

問1

• アリストテレスの「不動の動者」について正しいのはどれか。

①因果関係を無限にさかのぼっていった過去に存在する。

②現在において存在する。

③ほかの物を動かす動力である。

④世界を創造した。

60%

問2

• 自然法則(自然科学における真理)について正しいのはどれか。

①経験(実験)に先立って知られる。

② 「仮定」という手法をとっている時点で事実とはいえない。

③経験(実験)によって検証されない。

④現時点では反証されていない仮説である。

58%

問3

• アリストテレスにおける「プシューケー」として、適切でないものはどれか。

①身体が活動する能力を持っていること。

②生物が行う様々な活動の「原理」。

③ 「形の原理」としてのエイドス。

④身体とは別に存在する「魂」。

75%

問4

• 「知性のみは、神と一体化し永遠に存続する」とアリストテレスが言うことの意味は、

① よく分からないので、その後の哲学における論争の種になった。

② 死後も魂が存続して最後の審判を受けるという意味。

③ 知性は身体から離れることができないという意味。

④ 神とは物体なので、知性は物体と一体化しているという意味。

85%

問5

• 「知能」と「知性」はどう違うか。

①違いはない。

②知能は、20世紀になって心理学において作られた概念。

③知性はテストによって測られる。

④知能にはテストで測れるような優劣はない。

74%

デカルト思想の概略

• デカルト『方法序説』『省察』など。

–スコラ哲学=アリストテレス哲学を批判。

• 「絶対確実なものが何もない」

→「絶対確実なもの=私はある」

– 「私はある」を出発点として、学問の体系を再構築しようとする。

• しかし、「私はある」だけが確実なら、世界の存在も、身体の存在も、不確実ということになる。

–デカルトは、「神の存在証明」を行い、「神の誠実性」を根拠として、世界の存在を取り戻す。

神と人との逆転

• 「私はある:ego sum」

–神の名=「私は存在するものだ:Ego sum qui sum」

→存在(being)は、神から人へ。

– イデアは、人の心の中にあるもの=観念。

–物の種類は、神のうちにあるイデアによって決まっているのでなく、人間が分類する。

–神は、人間の心が生み出したフィクションだということになる。

心身二元論 =心と身体(=物体)は、別の実体(substance)。

• アリストテレスの「ウーシアー(substance)」の二義性

– 『カテゴリー論』:個物

– 『形而上学』:エイドス→『魂について』では「プシューケー=エイドス」とされた。

–従来の哲学的議論:どちらが真のウーシアーなのか?

→デカルトの考え:両者は別のウーシアーだ。

心=精神=意識

• アリストテレスのプシューケー – 栄養摂取、成長、感覚、運動、知性。

• デカルトのmens(英語:mind), esprit – 知性のみ。

– 栄養摂取、成長、感覚、運動=身体

• 意識(consciousness / conscience):ロック、マルブランシュが使用 – 「自分の存在を自覚しているもの:Cogito, ergo sum.」

– デカルト以降、「私=心=精神=意識」 • 私の身体は、「私」ではない!

物体=物質

• アリストテレス:物は、形(エイドス)と素材(ヒューレー:material)に分けられる。

– 「純粋な素材」は純粋な可能性(デュナミス)=理論的な想定上の存在。

• デカルト:物は、同じ素材が形や位置を変えたものだ。

–物体と素材(material)の区別がなくなる=materialは、物体とほぼ同じ意味の「物質」に。

• 「物の形(エイドス)」の役割がなくなる。

• アリストテレスでは、エイドスがウーシアーだったのに、デカルト以降、素材(物質)が物体だということになる。

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