Ⅱ 災害時における防災活動 - 山梨県 · 2018. 8. 17. · Ⅱ...
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Ⅱ 災害時における防災活動
1 時間経過に伴う自主防災活動(1)地震災害時の主な活動災害時の活動は、災害発生からの時間の推移により変化するため、時期に応じた的
確な活動が求められます。
自主防災組織として、災害時に何をすれば良いか、時間の経過とともに想定される
状況と活動をシュミレーションし、確認することが大切です。
地震発生
○防災知識の普及
○防災訓練の実施 など
災害時の状況 自主防災組織に期待される活動・役割
発
生
前
○自身と家族の安全確保
○近隣での助け合い
・出火防止
・初期消火
・救出・救助 など
発
生
直
後
○地域内の安否確認や被害情報収集
○初期消火
○救出活動
○負傷者の手当・搬送
○住民の避難誘導活動
○災害時要援護者の避難支援 など
○町に協力して避難所運営
○町及び関係機関への情報伝達
○避難住民への広報・情報伝達
○災害時要援護者への配慮
○災害ボランティアとの連携 など
数
時
間
後
数
日
後
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(2)風水害時の主な活動突然襲ってくる地震とは異なり、風水害はその発生までにある程度の時間があるた
及ぶ危険を避けるために早期に情報伝達や避難といった行動をとることによめ、被害がって、大規模な被害を抑えることができます。
したがって、風水害時の活動内容については、避難後の行動等、地震災害時の活動を基
ほか、次のような事前行動が求められます。本とする
災害発生
災害時の状況 自主防災組織に期待される活動・役割
※ラジオ・テレビなどの気象情報に注
意し、避難準備情報や避難勧告・指
示に備えて行動する。○早期の情報収集・情報伝達・事前行
動が必要
○土砂災害等の前兆現象などに注意
○異常があれば自主避難し町に通報
○住民への避難の呼びかけ
○土嚢積み等、被害を抑える行動
○災害時要援護者の避難支援 など
発
生
前
発
生
直
後
数
時
間
・
数
日
後
※被害を抑えるための行動
○水防活動
○安否確認や被害情報収集
○救出・救助活動
○負傷者の手当・搬送
など○住民の避難誘導活動
※避難誘導・避難所運営
○町に協力して避難所運営
○町及び関係機関の情報伝達
○避難住民への広報・情報伝達
○災害時要援護者への配慮
○災害ボランティアとの連携 など
○自身と家族の安全確保
○近隣での助け合い
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2 自主防災組織の応急活動(1)情報収集及び伝達について大規模災害が発生する恐れがある場合又は現に発生した場合に、デマ等によるパニ
、 。ックが起こらないように 災害情報の正確かつ迅速な収集及び伝達が必要不可欠です
、 、 、 、災害情報は 地域の実情により また災害の種別により 様々な内容となりますが
伝達すべき情報を事前に地域毎に定めておき、これについて町と住民が共通の認識を
持ちましょう。
-伝達されるべき災害情報の例示-<地震が発生した場合>
・被害の状況(火災、崖崩れ等の状況並びに建物、道路及び橋等の被害状況)
・電気、ガス、水道、電話などの状況及び復旧見通し
・避難の勧告、指示の状況(避難の状況)
・救援活動の状況
・給食・給水、生活必需品の配給、衛生上の注意 など
<風水害の場合>
・気象注意報、警報
・被害の状況(住宅、浸水、崖崩れ など)
・避難の勧告、指示の状況(避難の状況)
<東海地震で警戒宣言が発せられた場合>
・地震情報(観測情報、注意情報、予知情報(警戒宣言 ))
・被害を軽減するために必要な情報(交通規制、避難勧告又は指示)
・生活情報
(交通機関の運行、道路交通、電気・ガス・水道の供給、食料等の需要等の情報)
-ポイント-○自主防災組織を災害情報の中継点として位置づけ、町及び消防機関から伝達すべき情
報を流します。
○逆に住民の避難状況等 や地域の被害(→P64【様式5:避難所開設状況票(例 ))】
状況 を自主防災組織で収集し、町に報(→P65【様式6:被害状況報告票(例 ))】
告することができるように地域の実情にあった仕組みを確立しておくことが必要で
す。
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(2)被災者の救出・救護活動について大地震発生時には、家屋の倒壊や落下物等により多数の負傷者が発生し、消防等の
防災機関だけでは十分な対応が出来ません。
地域の自主防災組織が協力して、倒壊物やガレキの下敷きになった人を救出・救助
し、また負傷者には、応急手当等を行い、病院へ搬送する等の役割が求められます。
-救出活動の手順-①自分の安全を確認したら、家族・隣人を救出
・大きな声をあげて反応を確かめ、負傷者などの居場所の情報を集める。
・居場所を確認したら、救出のための人を集める。
・ノコギリ、ハンマー、バール、ジャッキ、ロープなどの資機材で救出する。
②自主防災組織による救出
・特技者によるチェーンソー、可搬ウインチ、エンジンカッターなどを利用した救出
・被災者の埋没位置や人数などを的確に把握する。
③消防署等による救出
・大規模な救出や専門的な技術者等による救出が必要な場合は、消防署等の出動を要請
する。
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(3)消火活動について地震による火災を防ぐには、各家庭による防火対策が一番重要です。
それでも出火した場合は、自主防災組織が協力して初期消火活動にあたります。
ただし、地域で行う初期消火活動は、あくまで火災の延焼防止が目的ですので、決
して無理はしないように注意してください。
消防団員や消防署員が到着したら、その指示に従いましょう。
-消火活動の手順-
揺れが収まってから、素早く火の始末をする。【地震発生】
▼
消化器、くみ置き水などで、自ら消火活動を行う。【出 火】
▼
可搬ポンプ、バケツリレーなどによる初期消火活動を行う。【火災発生】
▼ 消防署員が消火を開始したら指示に従う。
。 。【 】延焼拡大 消防署員による消火活動 避難誘導班の指示に従って避難を開始する
▼
【避 難】
消火器の使用方法
水バケツによる消火方法
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(4)避難誘導・安否確認について避難活動の中心的役割は、自主防災組織が担当しなければなりません。町と十分協議の
上、自主防災組織毎に避難計画をつくり、住民に周知徹底しておきましょう。
、 、 、 、また 避難場所については 町の地域防災計画において定めているので 事前に確認し
住民に周知徹底しておくことが大切です。
-避難計画策定にあたっての注意事項-
○集合場所
住民がよく知っている広くて危険のない場所を、あらかじめ一次避難地と決め、住民
に周知徹底しておく。
○安全な経路
自主防災組織の責任者は安全な避難経路を幾つか選定しておく。
○避難誘導
、 。・避難誘導の責任者を決め 全員が指示に従ってまとまって避難できるようにしておく
・落下物等に注意し、ブロック塀、自動販売機の近くを歩かないようにする。
・自主避難をした際は、町に避難場所、人数等を報告する。
・災害弱者に対する配慮を怠らず、全員が安全に避難できるよう便宜を図る。
○安否確認
・あらかじめ世帯台帳等を備え、安否確認を行う。
・家族同士、友人、知人の安否確認は、災害伝言ダイヤル「171」や携帯電話による
災害用伝言板等のサービスにより行う。
○避難訓練
日頃から訓練を繰り返し、避難方法や集合場所などを住民に周知徹底しておく。
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(5)給食・給水について災害により、停電、断水、ガスの供給停止に加えて、食料、飲料水、生活用水も不足す
ることも予測されることから、自主防災組織としては、避難所等での安心・安全な生活支
援として、食料や飲料水、救援物資の配分を行うほか、炊き出しを行う必要があります。
炊き出しを行う際は、衛生面に十分配慮し、食中毒等の二次災害を出さないよう心がけ
ましょう。
また、住民への給水・給食にあたっては、災害時要援護者や自宅で避難生活を送ってい
て調理ができずに食事を求めて避難所へ来る人、帰宅困難となった地域外の人等がいるこ
とを認識し、柔軟で的確な対応が求められます。
-留意事項-
○自分で水や食事を取りにくることができない人、アレルギー体質の人等、様々な事情
を抱えている人への配慮
○高齢者や病人、乳幼児などは、一般の防災備蓄食品が合わない場合もあるため、でき
るだけそれぞれの人に合わせた食べ方への配慮
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○近年の豪雨災害では、浸水により膝
よりも上まで水がきているような危険
な状況の中で避難するような事態も見
られ、そこで亡くなられた方もいまし
た。
避難勧告等を聞いていながら避難し
、「 」なかった人からは 大丈夫だと思った
「避難する方が危険 「子どもや年寄り」
の避難が大変」などの意見がみられ、
住民が自らの危険を認識できていない
こと、切迫性のない状況での避難には
限界があることなど 「避難」に関する、
課題が挙げられました。
個人として、地域として、町長から
発令される情報をしっかり理解し、ど
のような行動を取るべきなのか考え、
備えることが大切です。