災害時保健医療支援活動における...

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災害時保健医療支援活動における 情報共有とプライバシー保護 国立保健医療科学院 健康危機管理研究部 金谷泰宏 災害・危機管理ICTシンポジウム2018 災害時の情報流通とプライバシー保護 平成3029日(金) 13:4014:30

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災害時保健医療支援活動における情報共有とプライバシー保護

国立保健医療科学院 健康危機管理研究部 金谷泰宏

災害・危機管理ICTシンポジウム2018

災害時の情報流通とプライバシー保護

平成30年2月9日(金) 13:40〜14:30

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災害時保健医療支援活動における情報共有とプライバシー保護

災害時における保健医療活動

- 阪神淡路大震災、東日本大震災を踏まえた災害医療体制

- 熊本地震における課題と体制の見直し

災害急性期に求められる情報の共有と保護

- 医療機関情報(広域災害救急医療情報システム:EMIS)

- 広域医療搬送における重傷者の情報管理

災害亜急性期以降に求められる情報の共有と保護

- 医療救護活動における保健医療情報の共有

- 心のケア情報(災害精神保健医療情報支援システム:DMHISS)

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阪神大震災 (消防庁 2006年5月19日)

東日本大震災 (警察庁 2011年10月12日)

災害の特徴 クラッシュ症候群をはじめとする 重傷者への医療提供の必要性

避難所生活の長期化に伴う 公衆衛生対策の必要性

発生日時 1995年1月17日 2011年3月11日 マグニチュード 7.3 (直下型) 9.0 (海溝型)

被災者数 50,229 25,661 死者数 6,434 15,822 重軽傷者数 43,792* 5,942

行方不明者数 3 3,897

避難者数(1週) 316,678 386,739

避難者数(6月) 17,569 73,249*

わが国における主たる広域災害の特徴

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阪神淡路大震災を踏まえた災害医療体制

• 災害医療を担う病院がなかった。

– 災害拠点病院

• 急性期の被災地における医療が欠落していた。

– DMAT

• 重症患者の広域搬送が行われなかった。

– 広域医療搬送計画

• 医療情報が全く伝達されなかった。

– 広域災害救急医療情報システム(EMIS)

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慢性期

亜急性期

急性期(48時間以内)

災害応急対策の概要

広域災害 救急医療情報システム

広域搬送拠点

被災患者 広域搬送

医療機関 (災害拠点病院除く)

救命医療

応急医療

災害拠点病院

災害拠点病院

広域搬送 拠点

医療施設

指定行政機関

指定公共機関

被災地域外

都 道 府 県

防災業務計画

防災基本計画

地域防災計画

災害対策基本法

情報把握と調整

人的、物的支援

市町村•保健所

健康管理

避難所

医師派遣

保 健 師 派 遣

時間

発災

保健師派遣

災害救助法

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DMAT

集中治療 医療機関の耐震化 緊急時備蓄 教育訓練

疾病管理・予防 健康的生活の再建

超急性期

急性期

亜急性期

慢性期

復興期

準備期

JMAT

JRAT

救命・救助

メンタルケア

3日

1週間

1ヶ月

1年 JMATⅡ

DPAT

日赤救護班 DPAT

疾病管理・予防

日赤救護班

DMAT: 災害派遣医療チーム DPAT: 災害派遣精神医療チーム JMAT: 日本医師会災害医療チーム JRAT: 日本リハビリテーション支援チーム JDA-DAT 日本栄養士会災害支援チーム

JDA-DAT

災害の各段階における保健医療対策と組織間連携

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早期段階

からの

迅速な対応

地域保健 に関する 調整機能

迅速な 保健ニーズ の把握

東日本大震災への対応を踏まえた大規模災害時 の保健活動のあり方

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非被災自治体

厚 生 労 働 省 調整・派遣依頼

広域かつ重大な被害発生時における 地域保健に関する調整機能の確保

保健所管内

都道府県(災害対策本部)

派遣要請 どこに、どれくらい

派遣要請

市町村

仮設住宅群

避難所

仮設住宅群 一次情報

避難所 避難所

派遣

・情報通信技術の活用によ り、効果的に保健関連情 報を把握・共有・活用で きる枠組みの構築 ・枠組みを運用するための 研修等の実施

被災地における保健関連情報の把握・共有・活用

情報共有

情報 共有

情報 共有

情報 共有

地域災害医療対策会議

厚生労働省 第5回地域保健対策検討会(平成23年10月28日)資料 一部改変

「地域保健に関する調整機能確保」・ 「情報の把握・共有・活用を可能とする枠組み」の構築

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厚生労働省

現地対策本部

連携

<課 題> ○ 被災都道府県、保健所、保健医療活動チームの間で被害状況・保健医療ニーズ等、保健医療活動チームの活動状況等について 情報連携が行われず、保健医療活動が効率的に行われない場合があった。

<原 因> ○ 被災都道府県及び保健所における、保健医療活動チームの指揮・情報連絡系統が不明確で、保健医療活動の総合調整を十分に 行うことができなかった。

都 道 府 県

保 健 所

避難所 避難所 避難所

保 健 所

避難所 避難所 避難所

保 健 所

避難所 避難所 避難所

どこで、何の活動をするのが効率的かわからない

チームの活動状況等を 詳しく知りたい

被害状況・保健医療ニーズ等 について、より多くの情報が欲しい

医 務 主管課

保健衛生 主管課

精神保健 主管課

指揮系統・情報連絡系統が不明確 ⇒ 情報連携が行われず、保健医療活動を効率的に行えない場合あり

(※) (凡例) : 保健医療活動チーム(DMAT、JMAT、日本赤十字社の救護班、国立病院機構の救護班、歯科医師チーム、薬剤師チーム、看護師チーム、保健師チーム、管理栄養士チーム、DPAT等)

薬 務 主管課

3 4 5 6 7 8 9

保健医療活動チーム(※)

1 2 3 4 5 6 8 9

市 町 村 市 町 村 市 町 村

支援が必要だが、チームが来ない

熊本地震における課題と原因

1 2

市 町 村

7

市 町 村

支援に来たが、既に多くのチームが活動中だった

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科 発 0705 第3号

医政発 0705 第4号

健 発 0705 第6号

薬生発 0705 第1号

障 発 0705 第2号

平成29年 7 月 5 日

大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について

大規模災害時の被災者に対する保健医療活動に係る体制については、これまで、「災害時における医療体制の充実

強化について」(平成24年3月21日医政発0321第2号厚生労働省医政局長通知)等により整備がなされ、救護班 (医療

チーム)の派遣調整等については平成24年医政局長通知に基づく派遣調整本部、被災都道府県における保健衛生活動

を行う保健師チーム等の派遣調整については各都道府県の担当課が行ってきたところである。

平成28年熊本地震における対応に関して、内閣官房副長官(事務)を座長とする平成28年熊本地震に係る初動対応

検証チームにより取りまとめられた「初動対応検証レポート」(平成28年7月20日)において、医療チーム、保健師チーム

等の間における情報共有に関する課題が指摘され、 今後、「被災地に派遣される医療チームや保健師チーム等を全体

としてマネジメントする機能を構築する」べきこととされた。

こうした点を踏まえ、各都道府県における大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備に当たり、保健医療活動

チームの派遣調整、保健医療活動に関する情報の連携、整理及び分析等の保健医療活動の総合調整を行う保健医療

調整本部を設置することとした。

ついては、各都道府県における大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備に当たっての留意事項を下記の

とおり示すので、今後の体制整備の参考にしてもらうとともに、関係機関への周知をお願いする。

なお、本通知医は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であること及び

内閣府(防災担当)と調整済みであることを申し添える。

「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」 大臣官房厚生科学課長、医政局長、健康局長、医薬・生活衛生局長、社会・援護局障害保健福祉部長 通知

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相互連携

厚生労働省

現地対策本部

連携

被 災 都 道 府 県 に 設 置 さ れ た 保 健 医 療 調 整 本 部 に お い て 、 保 健 所 と 連 携 し 、 ① 保 健 医 療 活 動 チ ー ム に 対 す る 指 揮 又 は 連 絡 及 び 派 遣 調 整 ② 保 健 医 療 活 動 チ ー ム と 情 報 連 携 ( 様 式 の 統 一 ) ③ 収 集 し た 保 健 医 療 活 動 に 係 る 情 報 の 整 理 及 び 分 析 を 一 元 的 に 実 施 し 、保 健 医 療 活 動 を 総 合 調 整 す る 体 制 を 整 備 す る。

都 道 府 県 保 健 医 療 調 整 本 部

保 健 所

避難所 避難所 避難所

保 健 所

避難所 避難所 避難所

保 健 所

避難所 避難所 避難所

(※) (凡例)

: 保健医療活動チーム(DMAT、JMAT、日本赤十字社の救護班、国立病院機構の救護班、歯科医師チーム、薬剤師チーム、看護師チーム、保健師チーム、管理栄養士チーム、DPAT 等)

3 4 5 6 7 8 9

1 2 3 4 5 6 8 9

市 町 村 市 町 村 市 町 村

今後の大規模災害時の体制のモデル

1 2

市 町 村

7

市 町 村

都 道 府 県 内 の 保 健 医 療 活 動 を 総 合 調 整

相互連携 薬務主管課 精神保健主管課 保健衛生主管課 医務主管課

① 保健医療活動チームの指揮・派遣調整等 ② 保健医療活動チームと情報連携(様式の統一) ③ 収集した情報の整理及び分析

連絡窓口

① 保健医療活動チームへの指揮・派遣調整等 ② 保健医療活動チームと情報連携(様式の統一) ③ 保健所での情報分析の取りまとめ

保健医療活動チーム(※)

1 2 3

4 5 6

7 8 9

本 部 長

医療保健ニーズ等の 分析結果を把握

十分な情報を 収集・分析

チームを 適正配置

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保健医療活動チームと情報連携(様式の統一)

被災者の診療録の様式 避難所の状況等に関する記録

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災害診療記録の位置づけ

「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会 (平成27年2月) 討議の概要」より引用

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災害時保健医療支援活動における情報共有とプライバシー保護

災害時における保健医療活動

- 阪神淡路大震災、東日本大震災を踏まえた災害医療体制

- 熊本地震における課題と体制の見直し

災害急性期に求められる情報の共有と保護

- 医療機関情報(広域災害救急医療情報システム:EMIS)

- 広域医療搬送における重傷者の情報管理

災害亜急性期以降に求められる情報の共有と保護

- 医療救護活動における保健医療情報の共有

- 心のケア情報(災害精神保健医療情報支援システム:DMHISS)

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広域災害救急医療情報システム(EMIS)の活用

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医療機関等・支援状況モニター 医療機関の被災状況だけでなく、DMAT等による支援状況についても、モニターから一覧確認することができます。

支援中の チームを表示

本画面イメージは開発中のものであるため、実際に提供するものとデザインが異なる可能性が有ります。

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DMAT (遠隔地)

DMAT (近隣地域)

災害拠点病院 (対策本部)

被災地域

Prehospital and Disaster Medicine (2009)

重傷者の広域医療搬送の仕組み

救護活動 医療機関の支援

広域搬送拠点

被災地域外

DMAT

DMAT DMAT

DMAT

都道府県の要請 に応じた対応 DMAT

重傷者

広域搬送拠点

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広域医療搬送患者想定の根拠

=阪神淡路大震災(緊急医療が必要だった傷病者)

想定搬送時間

体幹四肢外傷

患者数 頭部外傷 患者数 クラッシュ症候群

患者数 広範囲熱傷 患者数 合 計

3時間 ショック 5 6≦GCS≦8

5 (救出) (輸液) 10

8時間 手術適応 30 手術適応 10 乏尿症例 (輸液後)

50 (輸液) 90

24時間 集中治療適応

50 集中治療 適応

20 広範囲熱傷搬送終了後

200 20≦BI≦50

10 280

72時間 120 120

合 計 85 35 370 10 500

広域搬送適応患者数 24時間以内 380例 その後 120例

出典:災害時における広域緊急医療のあり方に関する研究(平成15年度報告書) 全体の約75%

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石巻運動公園

石巻市立病院 (孤立状態)

霞目駐屯地 (宮城)

仙台医療センター 東北大学病院等

自衛隊仙台病院

石巻赤十字病院

域外病院

国立保健医療科学院健康危機管理研修(高度技術編)資料より引用

東日本大震災における広域医療搬送の実施

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救護所で

SCUで

患者情報共有の難しさ

広域医療搬送における患者名簿の扱い・・大規模災害時の患者把握

病院で

飛行場で

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情報の伝達 状態、状況、ルート、ドレーンなど必須項目に限定する

それにより情報伝達による混乱を避けられる

医療搬送用カルテ (災害時診療情報提供書)の使用

多くの人手を介して搬送される

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医療搬送カルテ (災害時診療情報

提供書)

多くのDMATの手

を経て搬送されるので、情報を伝えるために利用する。

※現時点ではアナログ (広域医療搬送のみMATTS使用)

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EMISにおける医療搬送患者の管理 医療搬送(MATTS : Medical Air Transport Tracking System)

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資源消費大

緊急度高

Packaging完了

搬送手段確保

搬送先確保

搬送順位決定に関する原則

Bed1 Bed2 Bed3 Bed4 Bed5 Bed6

緊急度の高い(病院での緊急治療を要する)患者の抽出し、 資源消費を考慮しながら、パッケージングが完了し、 搬送手段と搬送先の確保されたものから搬出する。

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救命処置

身体所見

検査所見

画像所見

患者情報 患者の識別・搬送管理

肋骨骨折 血気胸

骨盤骨折 挫滅症候群

硬膜外血腫 気道熱傷

FiO2 1.0下の 人工呼吸で

SpO2 85%

要止血治療 輸液1.0ℓ後、 利尿なし

GCS 13以下 瞳孔不同 片麻痺

航空搬送不可 航空搬送可 航空搬送可

搬送先医療機関の決定

航空機による搬送 ヘリによる搬送 車両による搬送

SpO2 95%未満

2 受入医療機関までの搬送(経路選択・時間)

緊急度A 8時間以内

患者搬送カルテの電子化

人工知能による最適化支援

4 医療機関の設備(人工透析、熱傷治療ユニット等)

3 病態に対応できる診療科

1 病態に対応できる搬送手段

5 受け入れ病床数

EM

IS情報

省庁情

災害時広域搬送適応基準

胸部外科 整形外科 脳 外 科

高度救命 高度救命

医療搬送カルテの電子化により、重傷患者の搬送先医療機関の確定までの処理時間を約50倍まで高速化可能 ・・・課題は、搬送車両の不足、平時における情報把握

緊急度A 8時間以内

重傷患者-搬送先医療機関マッチング

広域医療搬送能力の向上に向けた重傷者情報の共有と利活用

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医療情報化タスクフォースで議論した取組に対する災害対応の観点からの評価 ~東日本大震災の経験を踏まえて~

医療情報化に関するタスクフォース報告書(平成23年5月) 1 震災の影響・・・震災による医療現場への影響、医療情報化に係る課題 2 災害対応と「どこでもMY病院」構想・・・携帯電話の活用、継続的な医療の提供 3 災害対応とシームレスな地域連携医療・・・情報通信技術を活用した専門医による支援 個人情報の管理及び提供のあり方

生体認証情報

患者登録 フォーム

患者情報 身体所見 検査所見 画像所見 救命処置

実証サーバ

患者ID 患者ID+生体認証情報入力

患者ID+患者情報

災害拠点病院 (被災地域内)

照合 確認

広域医療搬送拠点 受け入れ病院 (被災地域外)

地域内搬送 地域外搬送

搬送先照会

照合 確認

EMIS

個人情報DB 生体認証を用いた患者情報保護

指紋認証 指静脈認証

広域医療搬送における重傷者の医療情報管理

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②SCUにおける状態把握(H28)

① 災害拠点病院における状態登録(H27)

③IoTセンサーによる状態把握(H29)

遠隔地のSCU でも事前に患者 情報が詳細に 把握でき、搬入 前に後送病院 選定が可能に!

IoT生体センサー からの情報を 移動中の救急 車両から搬送 先のSCUで リアルタイムに 把握可能に!

実証実験の課題(H29.7) 患者認証とカルテ情報との連接

広域災害拠点

内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における技術開発

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災害時における保健医療活動

- 阪神淡路大震災、東日本大震災を踏まえた災害医療体制

- 熊本地震における課題と体制の見直し

災害急性期に求められる情報の共有と保護

- 医療機関情報(広域災害救急医療情報システム:EMIS)

- 広域医療搬送における重傷者の情報管理

災害亜急性期以降に求められる情報の共有と保護

- 医療救護活動における保健医療情報の共有

- 心のケア情報(災害精神保健医療情報支援システム:DMHISS)

28

災害時保健医療支援活動における情報共有とプライバシー保護

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医療救護チームとの連携

域外への搬送 (避難行動支援)

災害時における要配慮者への対応

災害発生時避難行動が困難 (例) 1 介護保険の要介護度 ・要介護3以上の居宅生活者

2 障害程度 ・身体障害(1,2級) ・知的障害(療育手帳A)

3 その他 ・一人暮らし高齢者、高齢者のみの世帯

避難生活の長期化で支援の必要性が高い (例) 1 慢性疾患患者、持病のある方 ・生活習慣病、虚弱高齢者

2 集団生活に馴染むことが困難な方 ・精神疾患患者 ・認知症患者 ・発達障害児 ・乳幼児 ・妊産婦

避難生活環境によって生命の危機や病状悪化の可能性が高い (例) 1.高度医療を必要とする者 ・人工呼吸器、酸素療法 ・人工透析

2.特殊薬剤,特殊栄養食品等を必要とする者 ・インシュリン治療を行っている糖尿病患者 ・内分泌疾患などによるホルモン療法患者 ・抗がん剤、ステロイド剤などの薬剤使用患者 ・アレルギー疾患患者(児) ・特殊栄養食品を要する方、嚥下困難者など

時間 発災 24時間 48時間 1週間 2週間

(例:災害時要援護者の避難支援ガイドライン)

日常的に医療、保健、福祉、介護サービス等を利用しているケース

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避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針 平成25年8月内閣府(防災担当)

第2 避難行動要支援者名簿の作成等

避難行動要支援者名簿の作成等に当たって留意すべき事項は、以下のとおりである。

(2)都道府県等からの情報の取得

例えば難病患者に係る情報等、市町村で把握していない情報の取得が避難行動要支援者名簿の作成のため必要があると認められるときは、関係都道府県知事その他の者に対して、情報提供を求めることができることとされているが、積極的に必要な情報の取得に努められたいこと

(法49 条の10 第4 項)。

なお、情報提供の依頼及び提供に際しては、法令に基づく依頼又は提供であることを、書面をもって明確にすること。

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災害時要配慮者の避難支援計画の具体化

避難支援者の定め方

市町村は、自助、地域(近隣)の共助の順で避難支援者を定め、地域防災力を高める。

さらに、避難行動要支援者について、市町村は、関係機関(消防団員、警察の救援機関を含む。)、自主防災組織、近隣組織、福祉サービス提供者、障害者団体等の福祉関係者、患者搬送事業者(福祉タクシー等)、地元企業等の様々な機関等と連携を図り、避難支援者の特定を進めること。なお、避難支援者等は要援護者との信頼関係の醸成に努めること。

災害時要援護者の避難支援ガイドライン(平成18年3月災害時要援護者の避難対策に関する検討会)

人工呼吸器、酸素供給装置等を使用している在宅の難病患者等に対しては、保健所、消防署、病院など関係する機関と連携し、避難支援者とともに、病院等への搬送などの避難計画を具体化しておく。

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災害時における医療救護活動記録の活用

石巻医療圏では、各避難所における救護記録(書式)を統一化

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石巻医療圏における災害時診療記録の管理

資料提供:宮城県石巻圏合同救護チーム

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医療救護記録の解析に向けて

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医療救護記録の解析に向けて

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解析に応じたデータベースの構築と情報抽出の自動化 医療救護情報の構造化

情報抽出・集計プログラムの開発

情報抽出・集計プログラムの構造

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対象:石巻圏合同医療チーム救護記録 小 児(15歳未満) ・・1,247人 成 人(15歳以上65歳未満) ・・4,111人 高齢者(65歳以上) ・・2,576人 期間:平成23年3月11日〜10月28日 調査項目:既往歴、傷病名(ICD10)、理学所見、投薬・処置

救護所の配置

被災地域における医療需要の分析・評価

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合計 7,934名

小児 1,247名 高齢者 2,576名

成人 4,111名

アトピー性 皮膚炎

医療救護所受診者の年齢構成別の既往歴

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(%)

患 者 数

医療需要の増大への迅速な対応 (域外からの医療支援の調整)

医療需要の変化に応じた対応 (域内の受入れ体制の確保)

(人)

H23 厚労科学特別研究「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査」による

1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 発災

呼吸器感染症、胃腸炎等の急性疾患(発災〜1ヶ月)

高血圧、不眠症等の慢性疾患(発災後1ヶ月〜)

石巻市内の救護所を受診した被災者(7934名)対象

被災地域における保健医療需要の推移

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【心のケアチーム派遣状況】

平成23年3月~24年3月までの累計で、 57チーム、のべ3,504人が活動に参画。

宮城県

三重県・福岡県

富山県 国府台病院・

長野県

鹿児島県

福島県

国立精神・神経 医療研究センター

岡山県

岩手県

琉球病院・静岡県

高知県

神奈川県・山形県

宮崎県

久里浜アルコール症センター

東京都

岡山県

秋田県・佐賀県

和歌山県・大阪市

栃木県

横浜市 埼玉県

群馬県 京都府 福井県

岐阜県

愛知県

香川県

兵庫県・徳島県

長崎県・東尾張病院

大阪府・鳥取医療センター

石川県

新潟県

沖縄県

千葉県

滋賀県

北海道・山梨県・奈良県

【提供】 厚生労働省 河嶌 讓 先生

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被災都道府県外での活動(イメージ)

被災地域

被災都道府県

DPAT

厚生労働省

被災地域外の都道府県

病院

保健所等 避難所や住宅

派遣斡旋の要請

被災地域外の都道府県

DPAT

派遣調整

災害派遣精神医療チーム:DPAT (Disaster Psychiatric Assistance Team)

精神科医師 看護師 事務職員等

派遣要請

災害対策基本法第74条

自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの大規模災害等の後、被災地域に入り、精神科医療及び精神保健活動の支援を行う専門的なチーム。

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DMHISS

有事に備えた事前準備

DPAT

活動記録 情報掲示板

傾向分析による 施策立案等の支援

集計による 「報告書等の作成支援

厚生労働省

支援自治体 被災自治体

派遣要請

派遣計画立案 活動地域割当

派遣元都道府県

C県チーム

a 平常時

b 災害発生時(主に初動)

災害発生時(主に活動中)

随時(活動中・後)

被災地へのDPAT派遣 全国統一の 相談・診療記録 DMHISS

情報掲示板

DPAT 活動記録の蓄積

診察

DPAT 被災者

被災地情報等の 情報提供

保健師チーム、DMAT等 との情報連携

活動記録の蓄積とフィードバック

活動記録等の効果的な活用

・厚生労働省 ・災害時こころの情報 支援センター ・都道府県等 ・都道府県等担当窓口

・DPAT体制 等の事前登録

災害精神保健医療情報支援システム;Disaster Mental Health Information Support System(DMHISS)

情報支援システム演習(H25年2月) ;災害時こころの情報支援センター <対象者>精神保健福祉センター長、精神科医、担当課職員 <参加自治体>56都道府県・政令市(全67か所中)計155人

厚生労働省 災害時健康支援システム (国立保健医療科学院)

EMIS (DMAT)

派遣斡旋 派遣申入れ

保健師チーム、 DMATとの連携

・厚生労働省 ・災害時こころの情報 支援センター ・都道府県等

災害時健康 支援システム

EMIS

DPAT DMAT 保健師

国立精神・神経医療研究センター委託

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広域災害に向けた超スマート社会サービスプラットフォームの活用

インターフェース、 データ

フォーマット標準化

セキュリティ-の 高度化・社会実装

標準的データ の活用

情報通信基盤 の開発強化

新サービス向け 規制・制度改革

人材の育成

新しい事業・サービス

測位・認証等の既存システムも活用

超スマート社会 サービスプラットフォーム

カスタマイズケア、 目的地まで バリアフリー移動

エネルギー需給 の効率化、クリーン

エネルギーの 安定供給

必要な材料の 要求、ニーズに応 えた材料の提供

効果的な保守 タイミングの設定、 タイムリーな保守 部材の提供

おもてなしシステム エネルギー

バリューチェーン

インフラ 維持管理・更新

新たな ものづくりシステム

総合型材料開発 システム

地球環境情報 プラットフォーム

スマート生産 システム 地球環境情報

プラットフォーム

自然災害に対する 強靭な社会

地域包括 ケアシステム

高度道路交通 システム

複数システムの連 携・統合により得られ る新しい価値の例

厚生労働省が、2020年までに実現するインフラ ①医療連携や医学研究に利用可能な番号の導入 ②医療機関のデータのデジタル化 ③地域の医療機関間のネットワーク化 ④医療データの利用拡大のための基盤整備

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ご清聴ありがとうございました

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