ノルウェーのレジリエントな地域づくり

49
ノノノノノノ ノノノノノノノノノノノノ ノノノノノノ

Upload: tsutomi-hiroshi

Post on 16-Apr-2017

506 views

Category:

Lifestyle


2 download

TRANSCRIPT

Page 1: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

ノルウェーのレジリエントな地域づくり津 富  宏静岡県立大学

Page 2: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

オスロ

Page 3: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

BUA(ノルウェー生命科学大学)テレマルク研究所

Page 4: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

僕の行けなかったノルウェー

Page 5: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

目的ノルウェーにおける、持続可能な地域づくりについて学ぶキーワード  sustainable development, community resilience

Page 6: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

日程2015年 6月11日  BUA(ノルウェー生命科学大学にある学生団体)12日 テレマルク研究所13日  ByBi       Abels Hage    トランジション・サーゲナ     Rodeløkkens Koronihager        

Page 7: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

ある研究所にて

Page 8: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

テレマルク研究所• テレマルク州の Bøにある• テレマルク州による、独立した研究所• 地域の発展のための研究

• ノルウェー、欧州レベルでの研究を実施• 研究分野

• 文化政策• 地方、文化、経済開発• 地域の魅力• 地域財政及び組織• 健康福祉

• 30人の研究者 Bøの風景

Page 9: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

テレマルク研究所 Centre for nature and culture-based innovation

• ローカルな/地域のレジリエンス• 生態学の概念であったレジリエンスに、人間の要素を付け加えた• 持続可能性という概念とも似ており、地域の発展に適用

• トランジション運動の影響が大きい• レジリエント・エコノミー レジリエント・エコロジー

• 農家数:  1990年  11万戸   2015年  4万5千戸• 人口:  1905年 地方人口 95%  2015年 都市人口 90%

Per Ingvar Haukeland先生

Page 10: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

歴史的変遷第Ⅰ期 伝統的コミュニティの時期

• すべてが手づくり コミュニティの結束が固い第Ⅱ期 近代的な産業時代  1910年~ 1920年に始まる• 都市の発展 標準化 トラクターによる農業• 輸送の時代 グローバル化第Ⅲ期 ポストモダン  1980年代• 差異が求められる 伝統的な生活も差異として興味の対象となる• Re-skilling第Ⅳ期 グローカル・コミュニティ  2000年~• 気候変動 国際的連帯 • ローカルな違いに対する グローバルな感受性• グローバルな問題に対する ローカルな解決

Page 11: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

これからは「場所」を中心に考える•何が(外から)人をそこに引き付けるか•どんな経済がその場所を支えるか•経験経済( experiential economy) これはポストモダン•住民はどのような動機で住み続けるのか

Page 12: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

増加するコミュニティ・ファーム•都市周辺の農家の「株」を買うことで、都市住民が農家を支える• 地域住民による所有 

•伝統的な野菜を食べられる•安心した食べ物を手に入れることができる•付き合いも広まる 農家で一緒に調理しご飯を食べる• 効率を重視した近代では孤立化する それを乗り越える

Page 13: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

これからの時代• 石油ではなく、頭脳の力を使う時代• レジリエントな経済をつくる• ピークオイルまでに、急速に豊かに/賢くなった人々の力を使う

• 4つの時代は、層のように重なっており、前の時代がなくなってしまうわけではない どれかの層が支配的になってしまうことが問題

Page 14: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

ポストモダンの時代• 価格が上昇する 需要―供給曲線がシフトする• 「経験」にお金を払うから• 今、食べ物に使うお金は 15% だがもっと上がりうる

•ポストモダンは確かにお金持ちの時代• しかし、ノルウェーには石油のおかげで貧困の問題はない• お金がない人も、エコロジカルな商品を買いコミュニティファームに参加している

Page 15: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

先生の講義

Page 16: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Bøでの取り組み• 既存の団体(音楽、コーラス、スカウト、スポーツ、園芸・・・)をオーガナイズしている• トランジションの団体はつくらずに、既存の団体をトランジションの考え方を元に、リ・オーガナイズ

• 例) イベント• 自転車屋さん(ボランティア) 自転車を無料で直しますというサービス• 園芸のグループ 森に入って食べられる植物・ハーブを探す

•始めるときは モチベーションの高い人を対象とする• そして、それを広報する  FACEBOOKを用いて

Page 17: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Place-based sustainable community development• Landscape economy 景観経済• 景観には、自然と文化(mentalなもの)が含まれる

• European Landscape Convention 欧州景観条約•景観とは四つの時期を表したもの• 伝統→近代→ポストモダン(ライフスタイル)→グローカル(=トランジション)

•景観は私有でありかつ公有 • 農業景観に価値があれば、農民だけでなく市民が負担する必要がある• プライベートな製品に対してパブリック(土地)がストーリーを供与し、その製品が売れることでストーリーが強化される

Page 18: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Place-based sustainable community development

• 起業にあたって、自然と文化遺産を活用する• 何がこの場所を「ユニーク」なものにしているか • アイデンティティ形成のもととなっているか

• 価値を創りだす 文化的、社会的、生態学的価値•景観を守っていく単位 自然文化公園• 自治体では小さい いくつかの自治体を合わせたくらい

•経験経済の方向へ リ・エコノミーしていく

Page 19: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

先生のプレゼンを見てみましょうLandscape Economyhttps://www.telemarksforsking.no/publikasjoner/filer/1819.pdf

Page 20: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

大学のキャンパスにて

Page 21: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

ノルウェー生命科学大学https://www.nmbu.no/en

• 2キャンパスある• オスロ近郊のÅsキャンパスを訪問• 5000人の学生• 1700人の教職員• 環境、持続的開発、人間及び動物の健康、再生可能エネルギー、食糧生産、土地資源利用に関するグローバルな課題に取り組む• 食糧、健康、環境保護、気候、自然資源の持続的利用に関する学際的研究を行う• Google map で行ってみよう

Page 22: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

BUA  アンナさんノルウェー生命科学大学

•学生と地元の人からなる協同組合• 50人程度の運営メンバー(学生)/

150人の会員•安心で公正な食品を売る店をキャンパスで経営• お客さんは学生と近所の人

•目的は公正な食べ物を提供すること

https://www.facebook.com/buafairdeal/

Page 23: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

地域の農家でつくられたものを直接仕入れて安価に販売小麦粉、はちみつ、いろいろなハーブティーなど、自分たちの目で安全と確認したものだけを選んでおいている

Page 24: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

BUA

• 2年前に始めたときは、たった 3人で、そこから発展させてきた • よりよい食べ物を食べるという選択肢をもちたい仲間を増やして来た

• 最初は、お店を十分に開けることもできなかった。• 今は、地元の人のためにも、週末もあけることができている

• communication/gardening/ordering/economy/event グループがある• 運営の仕方: それぞれのグループが代表( representative)というか

coordinatorを出して話しあう•大学が電気代を持ってくれる。借りるのもそもそもただ。非営利だから、家賃もただ。利益を出したら、税金を払わなければいけない

Page 25: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

お店の周りでは作物を育てている誰でも安全な食べ物をつくれるというメッセージ

Page 26: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

オスロにて

Page 27: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Abels Hage

トランジション・サーゲナ

再開発地域

rodelokkens kolonihager

Hausmania

Page 28: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

ByBi  アグネスさん http://www.bybi.no/https://www.facebook.com/bybizzzzz

• 2012年にできた• 蜂を飼う団体 環境に関心のある人たちが集まっている 啓発が目的• 蜂は、環境大使。蜂のほかにも授粉昆虫はたくさんいる。

• 生態系のサイクルの中で果たしている役割が重要。• 地表の 85%は人間活動の結果変容している農場が全土の3%しかなく、農薬もあまり使われていないので、ノルウェーのミツバチは健康。たとえば、育てるのに抗生物質は使っていない。• 牧草地が減って(ここを刈り取ると花が咲く)、蜂にとって住みにくくなった• 農地の花が減っている一方、都市には花がある

• 特にたくさんの人が住んでいるので、啓発として有効• 蜂にやさしい、多様な植物からなる環境をつくる

Page 29: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

ByBi • プロジェクト「蜂の回廊」

• 養蜂箱をあちこちにおく• 基地を三か所つくる(オスロの西部、中部、東部)

• 地図づくり• 蜂や授粉昆虫を見つけたらネット上のマップに上げていく• レストラン=花/ホテル=住まい/ビジター=ほかの授粉昆虫• そのほか、イベントや実現したいことなどもアップしていく

• この地図を世界中に広げていきたい• 小さな行動が、景観を創りだしていく

• 人と人との関係、人と他の種との関係、人と水などの大切な要素の関係が変わっていく• これが、ローカルなコミュティづくりとなる インターネットを使えば、バタフライ効果も得られる

• ミツバチは食べ物を得ることで授粉という形で他に価値を与える。私たちも景観を変えて、蜂に価値を返していきたい

Page 30: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

ByBi• 環境プロジェクトには創造性が必要

• 車をなくすだけではビジネスがうまくいかなくなる 持続性への配慮が必要• ビジネスとの協力

• 屋上に蜂を飼いたいと言ってきてもダメ• そうするなら、まず花を植えてもらうのが先• 養蜂箱だけ持つのはだめ

• 教会との協力• 教会の庭に花を植えていく

• 観光局との協力• 観光客が通るルートに花を植えていく

• 種を配ってみんなをつなげていく• アートはエコロジーと相性がいい

• アートは、ストーリーや感情を伝えるのに向いている• 栽培もいい 場所が具体的にあり、一緒に働ける

Page 31: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Abels Hagehttp://xn--kulturslyfa-ngb.no/?cat=6

オスロの住宅街にある、とあるラウンドアバウト

Page 32: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Abels Hage

• きっかけは、「Meeting placeがなくなる ?」• 交差点に、カフェと本屋があったが、スーパーがやってきてなくなってしまうという。

• 「場/場所」が必要• 意見形成のできるプラットフォームをネット上に作り、いろんな感情を表出できるようにした• 区に使用許可をもらって、カフェの前の緑地で、ガーデニングやアピールを始めた

• 意見を書いてもらってプラスチックでコーティングして洗濯物みたいにぶら下げて読めるようにした• 庭造りをはじめて、そこでダイアローグを始めた• パビリオン(小屋)を立てて、そこをmeeting placeにした• 文化祭りをした。歌ったり、詩を読んだり、スピーチをした。

Page 33: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Abels Hage• 持続可能性とは コミュニティの生態学的、社会的、文化的、経済的なもの

• 経済的な部分しか表に見えないので、ほかの部分を見える化することが大事• 見える化するために• ウェブページやフェイスブックを使う• 彫刻を置いてみる 

• この地域にかつて住んでいた数学者のオブジェを置いて その他の部分はどう測ればいいのだろうという言葉をつけた• イベントをする

• キャンドルナイト、歴史の展示、地域の歴史ウォーク、昔の様式でつくったベンチをつくる、ダンスなど• ガーデンを始める Abels Hagen(Abelsの庭 Abelsはカフェの名前) 

• みんなに来てもらって一緒に植える よりたくさんの人が来るようになった • 野菜という目に見える資源を使って、ネットワークという目に見えない資源を育てていく

Page 34: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

Abels Hage• 生態系はそもそもネットワーク

• 授粉しながら広げていくイメージ• そして、アイデンティティ、所属感( belonging)、所有感( ownership)を育てていく

• 健康的で創造的に• 本物の「参加」が大事

• 小規模なら「結果」が出るという実感が大事• 結果

• カフェを再開する• ミーティングプレースもつくる• 年に一度お祝いをする• コミュニティセンターを手に入れる

Page 35: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

トランジション・サーゲネ シーネさんhttps://www.facebook.com/Omstilling-Sagene-191121680940374/

• トランジションタウンは 2006年に始まり、 2009年のコペンハーゲンの集まりで爆発的に広がった。具体的な経験を通じて、地元で誰でも参加できるのが強み。• トランジション運動とは、意識( awareness を高める運動)

• 特に、実際の活動( hands-on activity)を通してできるところがよい• 話を聞くより、活動を通じて全体が理解できる• 12の原則がある これにしたがって、グループを始めることができる。

• トランジションタウンは、ノルウェーでは、サーゲネのほかに、オスロのもう一つの地区(ガムル・オスロ)とバーゲン市にある。

Page 36: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

トランジション・サーゲネ• サーゲネは、オスロ市の区の一つ 人口 5万人  

• 環境への意識が高く、緑も多い地域• サーゲナの支部は、 2010年にできた。シーナさんが加わったのは 2012年。• 運営委員会は 5人で回している。全員ボランティア。

• NPO 職員/生物学者/起業家(コーヒーの石鹸をつくった)・緑の党の政治家/市の建築家・都市計画家/国際問題の修士/元軍人• メンバーは 1500人。メーリングリストや FBでつながっている• いろんなプロジェクトがある

• 自分がやるなら手を挙げられる。仲間を募り、 2 週間後にはスタート。• 毎週月曜に集まって会議をする(会議は 特に議題がなくてもやる• 年に一度、アイディア出しのプロジェクトもする • お互いのプロジェクトから学び、また、いろんな人を刺激する

Page 37: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

トランジション・サーゲネ• T-グループ: 運営グループ。ボード(運営委員会)と同じ• イベント・グループ: いろんなコース(やってみる機会)をつくる。スタディ・サークルみたいなもの

• 発酵とか、食べ物とか、イースト菌なしのパン焼きとか• 食べ物・栽培プロジェクト 

• とれた野菜は自分たちで食べる • トランジションカフェというお食事会を毎月する

• スクールヤードプロジェクト• 20人から30人が携わっている• 始めて 1年間。手軽に参加できるのがよい。• スクールヤードと言うが、学校とは関係のない、市民農園のプロジェクト。• 市民農園はいろんな団体が借りている 移民の団体や幼稚園など。

• 町のあちこちにいろんなものを植えるプロジェクト• Exchange market プロジェクト: 本とか洋服を交換する• 発酵プロジェクト: ピクルスとかつくる 人参とか

Page 38: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

スクールヤードプロジェクトの行われている市民農園

Page 39: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

トランジション・サーゲネ•地域のいろんな団体と協働している サーゲナには似たような考えのいろんな団体がある•たとえば• Local exchange trading system スキルを交換し合う• Stop shop 野菜と本当に必要なもの以外は買わない お母さんたちの運動

• Exchange market で協力し合う•年報には、これらの団体に対する謝辞を載せる•地域の人はいろいろつながっている• 友だち、なんか面白そうと思う人、環境運動家などなどが集まってくる

Page 40: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

再開発地域の都市農業•団地開発に伴い、新住民が市民農園を開園する鍬入れ式•すでに市民農園を少しやっていて、開園予定地は、高架下。

Page 41: ノルウェーのレジリエントな地域づくり
Page 42: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

• コミュニティ・ファームと契約している住民団体が主催• 全国各地のコミュニティ・ファームの土を持ってきて、土を入れるイベント• 全国のコミュニティ・ファームとの連帯を示す

Page 43: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

•食べ物も一緒に•将来はレストランもつくる

Page 44: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

おまけ1  Rodeløkkens Koronihagerhttp://www.rodelokkenskolonihager.no/•オスロ市に何十年も前からある、市営の「小さな貸別荘」地帯• 緑のある生活を楽しむために、市民が借りる

Page 45: ノルウェーのレジリエントな地域づくり
Page 46: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

おまけ2Hausmaniahttp://hausmania.org/portal/

•オスロの一地区を不法に占拠し、今や、若者文化のメッカとした団体。•驚くべきことは、この団体にオスロ市がお金を出し、育ててきた。• 今は観光地!

Page 47: ノルウェーのレジリエントな地域づくり
Page 48: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

まとめ

Page 49: ノルウェーのレジリエントな地域づくり

• 住民と住民のつながりを通じて、人と自然の関係の創りなおしが行われる• コミュニティ・ファーム• 都市農業• トランンジション運動

• さまざまな場面において、コミュニティの組織化が行われる• 大学のキャンパスで• 住宅街で• 再開発地域で

• きちんとした理論的背景• 時代の変化を踏まえた方向性の示唆• 価値創造と持続可能性の関連付け

教訓と思うこと