(4)成形技術の開発のまとめ(4)成形技術の開発のまとめ … · 209...

44
207 (4) (4) (4) (4)成形技術の開発のまとめ 成形技術の開発のまとめ 成形技術の開発のまとめ 成形技術の開発のまとめ ダーから (ペレット PP フィルムを する するため い、以 た。 ・ギアポンプ +ギアポンプ)が エネルギー、 れており、SPM に したシステム あるこ を確 した。 スクリュに し、 い、 スクリュがフラフ よう しており、 く、 く、 れているこ を確 した。 した スクリュ し、 した ペレット きるこ を確 した。 にこ をフィルムメーカー インに み、ロングラン テストを い、 られた BOPP フィルム )がペレット あるこ エネルギー があるこ を確 した。 により、フィルム SPM した する について きた える。 < > 1)エドワード・P・ムーア ポリプロピレンハンドブック(1998)、P211 2)Coperion Werner&PfleiderGmbH&co.KG 、 11-512666 3)伊 プラスチックシート 、P63 (1969) 4) スクリュ システム 、IPA TechnologyExpo2001

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207

(4)(4)(4)(4)成形技術の開発のまとめ成形技術の開発のまとめ成形技術の開発のまとめ成形技術の開発のまとめ

重合パウダーから現行製品(ペレット成形)と同程度の製品物性のPPフィルムを成形する技術を開

発するための検討を行い、以下に示す成果を得た。

・ギアポンプ押出方式(二軸押出機+ギアポンプ)が省エネルギー、樹脂温度制御性及び押出圧

力変動の何れも優れており、SPMに適したシステムであることを確認した。

・二軸押出機のスクリュに関し、超深溝と標準溝の比較検討を行い、超深溝スクリュがフラフの

ような低嵩密度材料添加系の成形加工に適しており、局部発熱が少なく、押出圧力変動が小さ

く、樹脂温度制御性に優れていることを確認した。

・開発した超深溝スクリュ二軸押出機を使用し、実用化を想定した材料系でペレットの場合と同

等品質の原反が成形できることを確認した。更にこの二軸押出機をフィルムメーカーの生産ラ

インに組み込み、ロングランでの実証テストを行い、得られたBOPPフィルムの品質(外観、物

性)がペレット成形品と同等であること、省エネルギー効果があることを確認した。

以上により、フィルム用途SPMの開発で目標とした成形に関する基盤技術については確立できたと

考える。

<参考文献>

1) エドワード・P・ムーア編著、保田哲男、佐久間 暢 訳、ポリプロピレンハンドブック、工業調査会(1998)、P211

2) Coperion Werner&PfleiderGmbH &co.KG 、特表平11-512666

3) 伊藤公正、 プラスチックシートの押出技術、工業調査会、P63 (1969) 4) 吉川秀雄、二軸スクリュ押出し機内樹脂流動解析システム開発、IPA Technology Expo 2001

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2.22.22.22.2インジェクション用途インジェクション用途インジェクション用途インジェクション用途

2.2.1 2.2.1 2.2.1 2.2.1 触媒、重合技術の触媒、重合技術の触媒、重合技術の触媒、重合技術の開発開発開発開発

インジェクション法で成形加工される PP は、小型の日用品から大型の工業材まで多様な用途分野

で使用されており、各用途分野に必要とされる樹脂特性も広範囲に及ぶ。例えば電子レンジ対応食品

容器等では、高剛性、高耐熱性が必要とされる為、プロピレンモノマーが単独重合されたホモタイプ

が好適であり、また各種透明容器では、透明性の良好なプロピレンとエチレンがランダム共重合され

たランダムタイプが好適であり、また自動車部品のバンパー材等では、剛性のみならず耐衝撃性も必

要とされる為、プロピレンにエチレン等のコモノマーをブロック共重合(ゴム成分)したインパクト

コポリマータイプが好適である。インパクトコポリマーを製造するには、ホモのPPとゴム成分を重合

槽内でin situ混合する方法とゴム材を複合工程で後添加する方法がある。

インジェクション用途 PP へのゴム材の後添加と複合工程を省略するには、必要なゴム材を重合工

程で合成し、重合パウダー内に適切に分散することにより、射出成形機での均質化を促進する必要が

ある。現在一般にPPの製造に用いられているチーグラー触媒は、製品ポリマーの分子量分布が広いこ

とが特徴であるが、ゴム材は耐衝撃効果を発揮するために分子量分布が狭いことが必要と考えられ、

必ずしも適当ではない。一方、ペレットと同等の取り扱いをするためにも、チーグラー・ナッタ触媒

系では、低分子量・低結晶成分により重合パウダーのベタツキが生じ、パウダー同士の固着が生じる

など取り扱い困難な点が多いが、メタロセン触媒では、ベタツキの原因となる低分子量・低結晶成分

の生成を格段に低減することができると考えられる。本研究開発では、ポリマーとしての性能上およ

びパウダーの製造上の点で適していると考えられるメタロセン触媒を用いて検討に使用した。

メタロセン触媒は、1980年kaminsky、Sinn1)等により発見され、メタロセン錯体とメチルアルミノ

キサン(MAO)から成り、遷移金属当たりの活性が極め高く、活性点の性質が均一であることから、得

られるポリマーの分子量分布や組成分布が狭い特徴を持つ。図Ⅲ.2.2.1-1にメタロセン触媒の基本構

成と特徴を示した。1984年には、Ewenが架橋型メタロセンであるEt(Ind)2TiCl2錯体のうち、C2対称

性を有するラセミ型錯体からアイソタクチック PP を与えることを推定した 2)。また、1985 年に

Brintzinger等はラセミ体のEt(Ind)2TiCl2およびEt(IndH4)2TiCl2を単離し、メタロセン触媒によるア

イソタクチックPPを得ることをに成功した 3)。しかし、Ewen や Brintzinger によりもたらされたメ

タロセン触媒によるアイソタクチックPPは、立体規則性、分子量ともにかなり低く、実用化には程遠

いものであった。さらに従来の固体型触媒にはほとんどみられない位置不規則性も観測され、これら

を改良する多くの研究がなされた。Spaleck等は架橋インデン型錯体の各位の置換機効果を検討した。

その結果、2位にメチルやエチルのアルキル基、4位にフェニルやナフチル等の嵩高い置換基を導入し

たZr錯体は重合活性が非常に高く、分子量・融点共に従来触媒並みのPPを与えることを見出した4)。

また、プロセス適性を付与するために担持技術の開発も盛んに行われ、スラリーや気相といった不均

一系重合プロセスにも適応できる触媒系が完成しつつある。しかしながら商業化されているものはま

だ少なく、ホモポリマーやランダムコポリマーに限られており、インパクトコポリマーの工業化の例

はまだない。

従来から知られているメタロセン触媒とは異なり、メチルアルミノキサンやホウ素化合物等の活性

化剤を一切使用しない粘土鉱物を活性化剤として使用したメタロセン触媒によるランダムコポリマー

の商業化が報告されている 5)。この触媒系は、エチレンの導入とともに分子量が向上するという特徴

を有している。これはメタロセン錯体の配位子設計により、エチレン挿入後のプロピレンモノマーへ

の連鎖移動反応に於ける遷移状態の形成を立体的に不利にさせることで、連鎖移動反応の進行を防止

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209

している。この分子量増大の特徴はインパクトコポリマーのゴム部を製造する際にも有利に働くこと

が期待される。また、重合粒子の付着に関して、低融点ランダムコポリマーの製造時には反応器、ポ

リマー移送ライン、脱ガス槽の各部において器壁への付着を起こし、ポリマー粒子同士の凝集によっ

てライン閉塞等のトラブルが起こるのを、粘土鉱物の化学処理による粘土鉱物の化学的・物理的性質

の改良、造粒技術の改良による凝集原因粒子の除去、担持技術の改良によって、解決している。

この粘土鉱物担持型メタロセン触媒は、特定の処理をされた粘土鉱物が、メタロセン錯体の活性化剤

としての機能を有し、かつ形状や粒径を制御する担体としての機能を併せ持つことから、大粒径メタ

ロセン触媒の開発には最適である。重合パウダーの形状と粒径は、一般に粒子化された触媒の形状と

粒径を反映するので、本研究開発では、球形で粒径が大きい触媒粒子を形成する触媒担体技術を開発

する。さらに重合パウダーの粒径は、触媒の重合効率も反映するので、上記と併せて 充分な重合効率

を持つメタロセン触媒技術を開発する。図Ⅲ.2.2.1-2に粘土鉱物メタロセン触媒を用いた大粒径ポリ

マーの製造を示した。

図Ⅲ.2.2.1-1 メタロセン触媒の基本構成と特徴

図Ⅲ.2.2.1-2 粘土鉱物担持型メタロセン触媒による大粒径パウダーの製造

分子量分布イメージ

分子量 →

Z-N触媒 メタロセン触媒

抽出成分Me-Al-O-Al-O- -O-Al-Me・・・

Me Me Me

メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成

メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒

(活性化剤:MAO等)

Zr ClCl

等 (メチルアルモキサン)

メタロセン触媒の利点メタロセン触媒の利点メタロセン触媒の利点メタロセン触媒の利点

触媒作用点が単一種→分子量分布が狭い→抽出成分が少ない

分子量分布イメージ

分子量 →

Z-N触媒 メタロセン触媒

抽出成分

分子量分布イメージ

分子量 →

Z-N触媒 メタロセン触媒

抽出成分Me-Al-O-Al-O- -O-Al-Me・・・

Me Me Me

メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成

メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒

(活性化剤:MAO等)

Zr ClCl

等 (メチルアルモキサン)

Me-Al-O-Al-O- -O-Al-Me・・・Me Me Me

メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成メタロセン触媒の基本構成

メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒メタロセン錯体+共触媒

(活性化剤:MAO等)

Zr ClCl

等 (メチルアルモキサン)

メタロセン触媒の利点メタロセン触媒の利点メタロセン触媒の利点メタロセン触媒の利点

触媒作用点が単一種→分子量分布が狭い→抽出成分が少ない

粘土鉱物

メタロセン錯体

触媒(大粒径)(球形)

大粒径PPパウダー

大粒径PPパウダー

Support-Activator重合

(相似)

粘土鉱物

メタロセン錯体

触媒(大粒径)(球形)

大粒径PPパウダー

大粒径PPパウダー

Support-Activator重合

(相似)

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(1)(1)(1)(1)大粒径メタロセン触媒の製造技術開発大粒径メタロセン触媒の製造技術開発大粒径メタロセン触媒の製造技術開発大粒径メタロセン触媒の製造技術開発

粘土鉱物担持型メタロセン触媒は、メタロセン錯体と粘土鉱物をベースとした触媒技術であり、担

体として機能する粘土鉱物の粒径、形状等を制御することで得られる触媒および重合ポリマーの粒径、

形状等を制御することができる。そこで、まずは大粒径ポリマーを得るための触媒担体の製造技術を

開発した。その後、その触媒担体を用いたメタロセン触媒の製造技術の開発を行った。

① 大粒径メタロセン触媒担体製造技術

ペレットと同等に扱うことのできる粒径と形状の重合パウダーの目標値を達成するために触媒担

体として必要な要件は、以下の3点が挙げられる。

・ 所定の活性で目標の重合パウダー粒径を達成するための担体粒径を有すること。

・ 目標の粒度分布の重合パウダーを達成するための粒度分布を有すること。

・ 高ゴム含有量の重合パウダーでも目標の嵩密度を達成するための担体細孔容積を有すること。

これらの目標を達成するために、触媒担体の製造技術開発を実施した。

図Ⅲ.2.2.1(1)①-1に目標とする重合パウダーを示した。

図Ⅲ.2.2.1(1)①-1 目標とする重合パウダー

a. 触媒担体の大粒径化検討

粘土鉱物担持メタロセン触媒によって得られる重合粒子も、従来のチーグラー触媒系と同様に、触

媒の形状と相似形になる(レプリカ則)。一般にポリマー粒径は、元の触媒の粒径と、到達重合活性の

双方の関数となる。ポリマー内が均質で見かけの比重が一定ならば、ポリマー粒子の体積(同様に重

量)は粒径の3乗に比例する。

すなわち、目標とする大粒径パウダーを重合反応系内で製造するためには、触媒の粒径を大きくす

る方法と触媒効率を上げる方法が挙げられ、触媒粒径を大きくする方法が効果的である。一般に触媒

粒径は担体の大きさで決まってくるので、触媒粒径の制御は、担体粒径を制御することと考えてよい。

図Ⅲ.2.2.1(1)①-2 に、重合途中で破砕やパウダー溶解などの異常重合が起こらない様な理想的な重

合反応を仮定した際の、担体粒径に対して異なる触媒効率を与えたときの重合パウダーの推定値の関

現状パウダー

不定形~1mmφ

不十分なし

種類

形状粒径流動性安定剤

目標パウダー

準球形2~5mmφ

良好直接添加

現状ペレット

準球形3~4mmφ

良好溶融して添加

粒径≧2mm粒径分布n≧10嵩密度≧0.40g/cm3

現状パウダー

不定形~1mmφ

不十分なし

種類

形状粒径流動性安定剤

目標パウダー

準球形2~5mmφ

良好直接添加

現状ペレット

準球形3~4mmφ

良好溶融して添加

粒径≧2mm粒径分布n≧10嵩密度≧0.40g/cm3

粒径≧2mm粒径分布n≧10嵩密度≧0.40g/cm3

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係を示した。この図から、2mm以上の重合パウダーを得るには、触媒効率20,000g/g~50,000g/gの範

囲で、40μm~57μmであることが必要であることがわかった。

一方、触媒担体は粘土鉱物を造粒して製造する。原料は粘土鉱物スラリーとして入手し検討に用い

た。造粒方法は、噴霧造粒法を用いた。図Ⅲ.2.2.1(1)①-3 に噴霧造粒機の概略フロー図を示した。

噴霧造粒法において、回転ディスク方法を用いた際の造粒粒子の粒径は、次式で示される。

Dp=α・Q0.2・N-0.6・D-0.3・μ0.2

ここで、Dpは平均粒径[μm]、Qはスラリー供給量[g/h]、Nはディスク回転数[rpm]、Dはディスク

径[mm]、μはスラリー粘度[cp]を示す。

図Ⅲ.2.2.1(1)①-4 にディスク回転数による造粒粒子の粒径変化を示した。ディスク回転数を低下

させることで、粒径が大きくなくことが確認された。しかしながら、ディスク回転数7000rpmでも、

造粒粒子の粒径は36μmであり、触媒担体の目標には到達しなかった。ディスク回転数7000rpmは装

置上の最低回転数であり、これ以上の低下させることはできない。次に給液量を 0.7L/h から 1.5L/h

に増加させた。ディスク回転数 7000rpm において、45μm の造粒粒子を造粒することができた。しか

し、目標の40~57μmの範囲で制御することはできない。スラリー粘度が増大することからこれ以上

の給液量の増加はできない。さらに、このようにして造粒した粒子は、扁平または凹型をしており、

触媒担体としての使用には適さないことがわかった。この扁平粒子は、造粒時の乾燥温度を変更して

も改善されなかった。図Ⅲ.2.2.1(1)①-5に 22μmの比較的形状の良好な粒子と45μmの扁平な粒子

のSEM観察図を示した。

これらの結果から、このままのスラリー性状では大粒径造粒粒子を製造することは困難であると判

断した。そこで、スラリー性状の改良を検討した。球形で大粒径の造粒粒子を得るには、スラリー濃

度を増加させる必要があると考えた。スラリー濃度を増加させるには、原料粘土鉱物の粘性を低下さ

せることが必要で、そのためには、一度微粒子状に造粒し、再度スラリーとして調製し、再び造粒す

る2段造粒方法を検討した。さらに酸処理を施して粘土鉱物の膨潤性を低下させることも効果的であ

り、一度造粒した粒子を、酸処理を実施した後2段目の造粒をした。

その結果、スラリー濃度を5wt%から20wt%に増加させることができた。図Ⅲ.2.2.1(1)①-6に 2段

造粒方法で実施した造粒検討におけるディスク回転数と得られた粒子の粒径との関係を示した。さら

に、図Ⅲ.2.2.1(1)①-7に2段造粒方法で得た粒子のSEM観察図を示した。球形で形状の揃った造粒

粒子で、かつ粒径を40μm~70μmの範囲で制御が可能となった。

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図Ⅲ.2.2.1(1)①-2 触媒担体粒径による重合パウダー推定値

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

0 20 40 60 80 100

触媒担体粒径 (μm)

重合

パウダー粒径

 (m

m)

活性 20000g/g

    30000g/g

    40000g/g

    50000g/g

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

0 20 40 60 80 100

触媒担体粒径 (μm)

重合

パウダー粒径

 (m

m)

活性 20000g/g

    30000g/g

    40000g/g

    50000g/g

エアヒーター

俳風機

アトマイザー

外気

製品受器

原液スラリー

ポンプ

ディスク型スプレードライヤーによる粒径制御

Dp = αααα・・・・Q0.2 ・・・・N----0.6 ・・・・D----0.3 ・μ・μ・μ・μ0.2

Q ; スラリー供給量 (装置能力)N ; ディスク回転数 (装置固有)D ; ディスク径 (装置固有)μ ; スラリー粘度

図Ⅲ.2.2.1(1)①-3 噴霧造粒機フロー

エアヒーター

俳風機

アトマイザー

外気

製品受器

原液スラリー

ポンプ

ディスク型スプレードライヤーによる粒径制御

Dp = αααα・・・・Q0.2 ・・・・N----0.6 ・・・・D----0.3 ・μ・μ・μ・μ0.2

Q ; スラリー供給量 (装置能力)N ; ディスク回転数 (装置固有)D ; ディスク径 (装置固有)μ ; スラリー粘度

図Ⅲ.2.2.1(1)①-3 噴霧造粒機フロー

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図Ⅲ.2.2.1(1)①-4 ディスク回転数と造粒粒径

図Ⅲ.2.2.1(1)①-5 造粒粒子SEM観察図

10.0

100.0

1000 10000 100000

ディスク回転数N (rpm)

平均

粒径

Dp 

(μm

)

給液量Q=0.7L/h

   Q=1.5L/h

平均粒径24μm 平均粒径45μm

20μm 20μm

平均粒径24μm 平均粒径45μm

20μm20μm 20μm20μm

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図Ⅲ.2.2.1.(1)①-6 ディスク回転数と粒径

図Ⅲ.2.2.1(1)①-7 2段造粒粒子のSEM観察図

10.0

100.0

1000 10000 100000

ディスク回転数N (rpm)

平均

粒径

Dp 

(μm

)2段造粒方法

通常造粒方法

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b. 触媒担体の狭粒径分布化

粒度分布の狭い重合パウダーを製造するために、触媒担体の粒度分布を狭くする検討を実施した。

重合パウダーの粒径分布を示すRosin-Rammler分布におけるn項は、上記開発の大粒径担体を用いる

と7~8を示した。これを目標のn≧10を達成するためには、微粉側の10~20%を除去することが必要

である。すなわち、30μm~60μmにおいて50%分離径を得られるような分級方法を採ることが必要で

ある。

必要な分級粒径を達成するには、種種の分級方法および分級機があるが、前後の工程を考慮し、粒

子の破砕が生じない乾式方法から選択し、振動篩による方法を検討した。

単なる振動篩では、篩開始すぐ目詰まりが生じ、ほとんど分級することができなかったため、超音

波式振動篩機を使用して分級した。その結果、比較的効率よく分級することができた。

44μmの目開きのフィルターを備えた超音波式振動篩機を使用して、平均粒径61μm、44μm以下の

存在割合は12%の造粒粒子を分級した。その結果、平均粒径73μm、44μm以下の存在割合が1%である

粒子を得ることができた。図Ⅲ.2.2.1.(1)①-8に、平均粒径71μmの未分級造粒粒子を比較した粒径

分布を示した。

図Ⅲ.2.2.1.(1)①-8 分級有無による粒径分布比較

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

10 100 1000

粒径Dp (μm)

積算量

Q 

(%)

分級なし

分級あり分級あり 分級なし

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c. 触媒担体の細孔容積

インパクトコポリマーを製造する場合には、粒子中にゴム成分を含有するため、一般的にはゴム成

分量が増加するに従いゴム成分によるベタツキが生じ、粒子同士の凝集が起こり、粒子性状が悪化し、

嵩密度が低下してしまう。高ゴム含有量のインパクトコポリマーでもベタツキが抑制され、目標の嵩

密度を達成するためには、ゴム成分を粒子内に保持できるモルフォロジーを有することが必要と考え

る。そのために触媒担体には、高い細孔容積を有することが求められる。

前項で開発した2段造粒粒子は、1段造粒粒子を再び造粒していることから、一個粒子内に1段造

粒粒子内の細孔と 1段造粒粒子間の細孔とが存在し、1段造粒した粒子に対して高い細孔容積を有す

ることがわかった。

図Ⅲ.2.2.1.(1)①-9に 1段造粒した粒子と2段造粒粒子の水銀圧入法による細孔分布を示した。1

段造粒粒子(a)は、細孔半径が2nm~100nmの範囲で粒子内細孔を持ち、その容量は0.36ml/gであっ

た。細孔半径3μm付近に大きな細孔が見られるが、これは粒子間細孔であると考えられる。一方、2

段造粒粒子(b)は、2nm~100nm の範囲と 100nm~4μm の範囲で粒子内細孔が見られ、容量はそれぞれ

0.34ml/g、0.18ml/gであった。細孔半径1μm付近の細孔は1次造粒粒子間の細孔と考えられ、細孔

半径20μm付近の細孔は2段造粒粒子間の細孔と考えられる。2段造粒粒子は、大きいサイズの粒子

内細孔が多く、約1.4倍の細孔容量を持つことがわかった。

図Ⅲ.2.2.1.(1)①-9 造粒粒子の細孔分布

a) 1段造粒粒子

b) 2段造粒粒子

0

0.3

0.6

0.9

1.2

1.5

1.E+01 1.E+02 1.E+03 1.E+04 1.E+05 1.E+06 1.E+07

Pore Radius (A)

Cum

ulative

Int

rusi

on (m

L/g

)

0.0

0.6

1.2

1.8

2.4

3.0

Log

Diff

erentia

l Int

rusi

on (

ml/

g)

Cumulative Intrusion Log Differential Intrusion

b) 2段造粒粒子の細孔分布

0

0.3

0.6

0.9

1.2

1.5

1.E+01 1.E+02 1.E+03 1.E+04 1.E+05 1.E+06 1.E+07

Pore Radius (A)

Cum

ulat

ive

Intrusion (m

L/g

)

0.0

0.6

1.2

1.8

2.4

3.0

Log

Diffe

rent

ial I

ntru

sion

(m

l/g)

Cumulative Intrusion Log Differential Intrusion

a) 1段造粒粒子の細孔分布

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217

②大粒径メタロセン触媒の製造技術

上記開発の大粒径触媒担体とメタロセン錯体との技術融合により、高活性で粉体性状に優れた大粒

径PPパウダーが製造可能な触媒を開発することを目的として検討した。使用したメタロセン錯体は、

日本ポリプロ(株)が開発したものを用いた。

a. 粘土鉱物触媒担体の活性化

メタロセン錯体の活性化剤として固体酸が挙げられ、酸強度と触媒活性がよい相間を示すことが知

られている。粘土鉱物の酸点数の増加と酸強度の制御のために、酸と接触させて脱Al反応を起こす酸

処理を行った。その結果を図Ⅲ.2.2.1(1)②-1.に示した。脱Alの進行に伴って重合活性は極大値を持

つことがわかった。高活性な脱Al処理条件を把握した。また、滴定による酸強度測定も実施した。

脱Al割合の測定は、蛍光X線測定装置を用いて、ガラスビード法によってあらかじめ検量線を作成

して、以下の条件で実施した。

装置 : XRF 理学電機工業(株) ZSX-100e

前処理 : 試料+溶融+剥離剤+混合+ビード作成

図Ⅲ.2.2.1(1)②-1 脱Al処理による重合活性

さらに粘土鉱物の層間カチオンを異種の金属と置換させて層電荷を変える各種無機・有機塩との塩

処理等からなる化学処理を実施した。その結果を図Ⅲ.2.2.1(1)②-2 に示した。特定の塩処理によっ

て、高活性を与える条件を把握した。無機塩と有機塩では、無機塩の方が高活性を示した。無機塩の

含有量による活性の変化は見られなかった。

なお、無機塩処理した際の組成は以下の方法で分析した。

装置 : ICP-AES (株)堀場製作所 JY-138U

前処理 : 試料→硫酸+HF分解→定容

0 20 40 60 80

脱Al割合 (%)

重合活性

 →

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218

図Ⅲ.2.2.1(1)②-2 各種塩処理による重合活性

また、処理された粘土鉱物の構造変化を把握するために、XRD 測定装置を用いて層間の変化を確認

した。処理による層間変化は見られたが触媒活性との相関は見られなかった。また、TEM による観察

も実施したが、酸処理による相違はなかった。

これらの検討によって、使用した錯体に合った高活性を与える活性化機能を持つ粘土鉱物担体を調

製することができた。

b. メタロセン触媒の調製

メタロセン錯体と活性化処理した大粒径触媒担体とを用いてメタロセン触媒を製造する。標準的な

調製方法は次のように行った。

<メタロセン触媒の調製方法>

1Lガラス製フラスコに大粒径触媒担体を入れ、ヘプタンでスラリー化した。そこに有機アルミニウ

ム化合物を所定量加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで十分洗浄し、最後にヘプタンを

加えスラリー量を調製した。

メタロセン錯体をトルエンに溶解し、そこに有機アルミニウム化合物を所定量加え、30分撹拌した。

これを先に調製した大粒径触媒担体スラリーに添加し、1時間撹拌した。

触媒製造装置に上記スラリーを加え、全量が500mlとなるようにヘプタンを追加した。撹拌を開始

し、オートクレーブ内が所定の温度となり、安定したところで、プロピレンをフィードした。必要に

応じて温度の再調製を行い、所定時間反応を継続した。その後残存ガスをパージし、触媒をオートク

レーブより回収した。

回収した触媒スラリーを静置し、上澄みを抜き出した後、減圧乾燥して固体触媒を得た。触媒調製

フローを図Ⅲ.2.2.1(1)①-3に示した。

無機塩A 無機塩B 無機塩C 無機塩D 有機塩A 有機塩B

重合活

性 →

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219

図Ⅲ.2.2.1(1)②-3 メタロセン触媒調製フロー

メタロセン錯体と活性化処理した大粒径触媒担体および有機アルミニウム化合物との接触温度、濃

度、時間、反応量を検討し、最も高活性を与える条件を見出した。一方、重合ポリマー粒子の形状は

触媒の形状と相似形になることが知られているが、その条件としては、触媒粒子中に活性点が均一に

高分散していることが必要である。活性点が不均一に分布していると重合成長が不均一に進行し、粒

子の破砕や局所的な発熱による凝集等が生じる。重合ポリマーの形態や嵩密度を観察しながら、触媒

の調製検討を実施した。その結果、高活性で粒子性状に優れる重合ポリマーを製造することができた。

図Ⅲ.2.2.1(1)②-4 に大粒径メタロセン触媒と触媒担体と比較した SEM 概観写真を示した。大粒径メ

タロセン触媒は、担体の形状を反映した形態を示した。

図Ⅲ.2.2.1(1)②-4 大粒径メタロセン触媒担体と触媒のSEM観察図

20μm 20μm触媒担体触媒担体触媒担体触媒担体 メタロセン触媒メタロセン触媒メタロセン触媒メタロセン触媒

メタロセン錯体溶液

予備重合

洗浄

乾燥 大粒径メタロセン触媒

大粒径触媒担体

有機アルミニウム

メタロセン錯体溶液

有機アルミニウム

メタロセン錯体溶液

予備重合

洗浄

乾燥 大粒径メタロセン触媒

大粒径触媒担体

有機アルミニウム

メタロセン錯体溶液

有機アルミニウム

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220

また、触媒調製における破砕や微粉発生は見られなかった。図Ⅲ.2.2.1(1)②-5 に大粒径触媒担体

と比較して、メタロセン触媒の粒径分布図を示した。メタロセン触媒の粒径分布は大粒径触媒担体の

粒径分布とほぼ相似形であった。

図Ⅲ.2.2.1(1)②-6 大粒径メタロセン触媒の粒径分布

図Ⅲ2.2.1(1)②-7に調製した大粒径メタロセン触媒のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用

いて観察した際の活性成分の分布図を示した。大粒径触媒担体自体が空隙の多い粒子であるので、そ

れを反映して触媒粒子も空隙が多くなっていた。大粒子を形成している小粒子中では活性成分が比較

的均一に分布していた。

EPMAの観察は以下の様に実施した。

装置 : 島津製作所(株)製 EPMA-1600

前処理 : 試料を樹脂包埋後研磨し、Au蒸着後測定

また、触媒粒子中の活性成分の電子状態を把握するためにXPS測定を行ったが、電子状態の変化は

観察されなかった。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

10 100 1000

粒径Dp (μm)

積算量

Q 

(%)

大粒径メタロセン触媒

大粒径触媒担体

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221

図Ⅲ2.2.1(1)②-7 大粒径メタロセン触媒のEPMA

SEM 触媒成分分布SEM 触媒成分分布

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222

③ 大粒径メタロセン触媒の重合性能

この様にして調製した大粒径メタロセン触媒を用いて、重合評価を実施した。触媒の性能評価は、

主にプロピレンバルク系でのホモ重合で実施した。標準的な重合方法を以下に示す。

<プロピレンホモバルク重合方法>

内容積3Lの誘導撹拌式オートクレーブに有機アルミニウム化合物のヘプタン溶液を所定量、液化プ

ロピレンを750g、水素を所定量加えた後、所定温度まで昇温し、安定させた。そこに所定量の大粒径

メタロセン触媒をアルゴンガスで圧入し、重合を開始した。1 時間重合を行った。その後、エタノー

ルを添加して重合を停止し、未反応の残存ガスをパージした。オートクレーブより重合パウダーを取

り出し重量を測定して、生成ポリマー量とした。

また、得られた重合パウダーの分析は以下のように行った。

<パウダーの嵩密度(Bulk Density)>

重合パウダーを規定の高さにセットされた5mmφ流出孔径を有するステンレス製ロートから、100cm3

の容器に排出し、容器上部の山になった部分を取り除いたときの試料重量を測定し、1cm3当たりの重

さで表示した。

<メルトフローレート(MFR)>

メルトフローレートは、JIS-6758に従って測定した。

<粒度分布>

Retsch Technology社製デジタル画像解析式粒度分布測定装置「カムサイザー」を用いて、Size class

を14μm、30μm、106μm、300μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、

1700μm、2000μm、2360μm、2800μm、3350μm、4000μm、coverd areaが0.5%以下の条件で測定し

た。粒度分布計算プログラムを使用して、平均粒径とRosin-Rammlarプロットにおける粒度分布n項

を求めた。

重合時の水素添加量を変化させて重合評価を実施した。それによって、得られるMFRと触媒活性と

の関係を図Ⅲ.2.2.1(1)③-1に示した。MFRの上昇に伴って重合活性は増加した。また、評価したMFR

範囲内でパウダー嵩密度は0.40~0.42g/cm3であった(図Ⅲ.2.2.1(1)③-2)。

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223

0.30

0.35

0.40

0.45

0.50

1 10 100 1000

MFR (g/10min)

嵩密度

 (g

/cm

3)

図Ⅲ.2.2.1(1)③-1 MFRと触媒活性との関係

図Ⅲ.2.2.1(1)③-2 MFRとパウダー嵩密度

1 10 100 1000

MFR (g/10min)

触媒活

性 →

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224

重合温度を変えて重合評価を実施した。その結果を図Ⅲ2.2.1(1)③-3に示した。重合温度の上昇に

伴って触媒活性は増加した。65℃重合に対して、75℃重合では触媒活性は、64%増加した。

図Ⅲ.2.2.1(1)③-3 触媒温度と触媒活性との関係

重合時間を変えた実験を行い、触媒活性の時間依存性を調べた。結果を図Ⅲ.2.2.1(1)③-4 に示し

た。触媒活性が次の一次式に従って経時変化すると仮定したときの、減衰の程度を表す一次劣化定数

をフィッティングにより求めた。

図Ⅲ.2.2.1(1)③-4 触媒活性の時間依存性

60 65 70 75 80

重合温度 (℃)

触媒

活性

 →

0 1 2 3 4

重合時間 (hr)

触媒

活性

 →

kd=0.31

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225

●触媒活性の一次減衰

これを積分して

重合速度を時刻0からtまで積分することにより積算重合活性を得る

t:重合開始からの経過時間 [h]

Rt:時刻tの瞬間重合速度 [kg/g-cat・h]

R0:初期重合速度 [kg/g-cat・h]

kd:一次劣化定数 [1/h]

CEt:時刻tまでの積算重合活性 [kg/g-cat]

この結果、kd の値は、0.31[1/h]と比較的小さい。このように減衰が小さいことは、特にインパクトコポリマー製造の多段重合において好ましいことである。

大粒径メタロセン触媒の触媒活性向上については、先に述べた触媒担体の活性化をはじめ、触媒調

製時のメタロセン錯体と有機アルミニウム化合物の反応条件、メタロセン錯体と触媒担体の接触条件、

予備重合反応条件等の検討によって、触媒活性が向上することがわかった。これらの検討による活性

向上推移を図Ⅲ2.2.1(1)③-5に示した。この結果、触媒活性が5万g/g固体触媒を達成することがで

きた。

)]exp(1[0 tkkRCE dd

t ⋅−−⋅=

tdt Rk

dtdR ⋅−=

)exp(0 tkRR dt ⋅−⋅=

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226

図Ⅲ.2.2.1(1)③-5 触媒向上検討による触媒活性向上推移

また、得られた最も高活性な触媒から得られた重合パウダーの粒径分布を、検討初期の担体を用い

た触媒系と比較して、図Ⅲ.2.2.1(1)③-6に示した。検討初期の触媒系から得られた重合パウダーは、

平均粒径2.1mm、粒度分布n項7.2であったのに対して、改良触媒から得られた重合パウダーは、平

均粒径2.5mm、粒度分布n項11であった。目標の粉体性状を維持したまま、目標の触媒活性を達成す

ることができる触媒系を開発することができた。

図Ⅲ.2.2.1(1)③-6 重合パウダーの粒度分布

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1000 10000粒径(μm)

積算

量(w

t%)

改良前

改良後

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1000 10000粒径(μm)

積算

量(w

t%)

改良前

改良後

0

10

20

30

40

50

60

検討初期

担体活性化

錯体

/Al接触検討

錯体

/担体接触検討

予備重合反応条件

触媒活

性 

(kg/

g固体

触媒

)

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227

(2)(2)(2)(2)大粒径大粒径大粒径大粒径PPPPPPPPパウダパウダパウダパウダーの製造技術開発ーの製造技術開発ーの製造技術開発ーの製造技術開発

開発した大粒径メタロセン触媒を用いて、大粒径PPパウダーの製造技術の開発を行った。まず、触

媒の開発と共に実施したベンチスケールの重合評価および重合技術開発について検討した。また、同

時にメタロセン触媒の評価およびサンプル製造のための新規重合評価装置の設計、設置、運転検討を

実施した。さらに、ベンチでの触媒性能、重合挙動の確認、プロセス的な問題点把握のためにパイロ

ット試作検討を行った。

① 大粒径PPパウダー重合技術開発

a. モノマー精製強化

大粒径で粉体性状の良好な重合パウダーを安定かつ高効率に製造する重合技術を開発するために、

まず原料モノマーの精製強化を行った。

重合で用いるモノマー(プロピレンおよびエチレン)は、精製して使用しているが、特にメタロセ

ン触媒系では重合活性に及ぼすモノマーの不純物の影響が大きく、場合によっては重合活性を大きく

低下させてしまうことがある。そこで、重合検討を行う前にモノマー精製設備を設置した。

設置した精製設備は、プロピレン用の精製塔1基、エチレン用の精製塔2基とした。この精製塔の

設置有無による重合活性の変化を図Ⅲ.2.2.1(2)①-1に示した。

図Ⅲ.2.2.1(2)①-1 精製塔有無による重合活性比較

(精製塔あり重合活性を1とした)

その結果、精製塔を用いないモノマーを使用した重合活性は、精製塔を通したモノマーを使用した

重合活性の1/10であった。また、この精製塔を通したモノマーを用いた場合には、3ヶ月経過しても

重合活性は低下せず、安定に評価できることがわかった。これまでの知見による、モノマー中の被毒

物質の分析からも、精製塔を通すことで被毒物質の濃度が低下していることが確認された。なお、精

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

精製塔なし 精製塔あり

重合活性相対比

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228

製塔の破過に与える影響はモノマーの流通量(吸着物質の吸着量)によることから、モノマーの流量

計を設置し、使用量をチェックし、一定量を使用した後には、精製塔の再生を実施するようにした。

b. 大粒径PPパウダーの製造

大粒径メタロセン触媒を用いて、大粒径パウダーの製造検討を実施した。検討は、誘導撹拌翼を備

えた3Lのオートクレーブで、プロピレンバルク重合により実施した(詳細は3.2.3.項に記載)。得ら

れた重合パウダーの実体顕微鏡写真を図Ⅲ.2.2.1(2)①-2に示した。得られた重合ポリマーの形態は、

触媒および触媒担体の形態と相似形であり、微粉や粗粉は見られなかった。

図Ⅲ2.2.1(2)①-2 重合パウダーの形態

また、図Ⅲ.2.2.1(2)①-3 には、触媒効率とポリマー粒径の関係を示した。ポリマー粒子の重量は

成長の倍率、すなわち触媒効率に比例する。ポリマー内部が均質で見かけの比重が一定とみなせるな

ら、重量は体積に比例する。ポリマー体積は、ポリマー粒径の3乗に比例するので、重合活性はポリ

マー粒径の3乗に比例するはずである。

(ポリマー粒径)/(触媒粒径) ∝(触媒効率)1/3×[(触媒密度)/(ポリマー密度)] 1/3

図Ⅲ.2.2.1(2)①-3 にはこのような相関式に従った理論値を実線で示したが、得られた重合パウダ

ーの触媒効率とポリマー粒径の値もほぼこの理論上にあり、重合が均質に進行し、破砕や微粉発生等

の異常重合が生じていないと考える。

1mm

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229

図Ⅲ.2.2.1(2)①-3 触媒効率とポリマー粒径

c. 狭粒度分布のPP重合パウダーの製造

触媒担体の粒度分布を改良した触媒から得られた重合パウダーの粒度分布を、改良前の触媒から得

られた重合パウダーと比較して、図Ⅲ.2.2.1(2)①-4に示した。

図Ⅲ.2.2.1(2)①-4 重合ポリマー粒度分布

粒度分布を示すRosin-Rammler分布のn項は、改良前は、n項7~8であるの対して、改良後は、n

項10~11とすることができた。さらに、触媒活性が改良された触媒系を用いて重合条件を変えても、

1

10

10 100

触媒効率 (kg/g)

ポリマー粒

径 

(mm

)

実験値

理論値

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1000 10000粒径(μm)

積算量

(wt%

)

改良前

改良後

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230

粒度分布の目標値であるn項10以上を維持したまま、大粒径化できることがわかった。

c. 大粒径インパクトコポリマーPPの嵩密度

大粒径ホモPP重合ポリマーの嵩密度は、0.40~0.42g/cm3を示し、目標の嵩密度を達成した。一方、

インパクトコポリマーはPP粒子中にゴム成分を含有するため、ゴムの粒子表面への流出などで嵩密度

が低下することが多い。大粒径インパクトコポリマーすを製造して、ゴム含有量と嵩密度との関係を

検討した。重合は、バルク(プロピレンホモ重合)-ガス(プロピレン-エチレン共重合)の2段重

合を実施して検討した。標準的な重合方法を以下に示した。

<インパクトコポリマー重合方法(バルク-ガス)>

内容積3Lの誘導撹拌式オートクレーブに有機アルミニウム化合物のヘプタン溶液を所定量、液化

プロピレンを750g、水素を所定量加えた後、所定温度まで昇温し、安定させた。そこに大粒径メタロ

セン触媒を所定量アルゴンガスで圧入し、重合を開始した。所定時間重合を行った。その後、未反応

の残存ガスをパージした。アルゴンガスにより反応系内を置換し、サンプリングチューブによりホモ

重合パウダーを数gサンプリングした。

所定の温度に調整した後、所定のガス濃度に調製したプロピレン/エチレン混合ガスを供給し、所

定の圧力としプロピレン-エチレン共重合を開始した。所定時間重合行った後、未反応の残存ガスを

パージした。撹拌を停止し、温度を室温まで下げた後、オートクレーブより重合パウダーを取り出し

重量を測定して、生成ポリマー量とした。

図Ⅲ.2.2.1(2)①-5 にインパクトコポリマーのゴム含有量を増加させたときの嵩密度の変化を示し

た。ホモポリマーはゴム含有量0wt%に当たる。ゴム含有量を50wt%まで増加させても嵩密度は微増し、

その後低下するが、目標の嵩密度0.4g/cm3以上を達成することができた。これは、ゴム成分中のエチ

レンの含有量を、一般的に使用される領域内で変化させても挙動は同様であった。

図Ⅲ.2.2.1(2)①-5 インパクトコポリマーのゴム含有量と重合パウダー嵩密度

0.30

0.35

0.40

0.45

0.50

0 20 40 60 80

ゴム含量 (wt%)

嵩密度 

(g/cm

3)

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231

インパクトコポリマーでは、粒子中にゴム成分を含有するため、一般的にはゴム成分量が増加する

に従いゴム成分によるベタツキが生じ、粒子同士の凝集が起こり、粒子性状が悪化し、嵩密度が低下

してしまう。しかしながら、この触媒系は、粒子内部の空孔度が高いためにゴム成分を内部に保持し

て表面への流出を防止し、粒子同士の付着を起こりにくくしているものと考える。

また、重合形態を考慮し、ガス(プロピレンホモ重合)-ガス(プロピレン-エチレン共重合)の

2段重合による検討も実施した。標準的な重合方法を以下に示した。

<インパクトコポリマー重合方法(ガス-ガス)>

内容積3Lの誘導撹拌式オートクレーブに分散剤を100g入れ、90℃-1hr減圧乾燥した。有機アル

ミニウム化合物のヘプタン溶液を所定量、水素を所定量加えた後、所定温度まで昇温し、プロピレン

ガスを所定の圧力まで供給した。そこに大粒径メタロセン触媒を所定量アルゴンガスで圧入し、重合

を開始した。所定時間重合を行った。その後、未反応の残存ガスをパージした。アルゴンガスにより

反応系内を置換し、サンプリングチューブによりホモ重合パウダーを数gサンプリングした。

所定の温度に調整した後、所定のガス濃度に調製したプロピレン/エチレン混合ガスを供給し、所

定の圧力としプロピレン-エチレン共重合を開始した。所定時間重合行った後、未反応の残存ガスを

パージした。撹拌を停止し、温度を室温まで下げた後、オートクレーブより重合パウダーを取り出し

重量を測定して、生成ポリマー量とした。

ガス-ガス重合法では、分散剤とオートクレーブ内の撹拌翼と内壁との空間が不適切だと触媒の分

散や除熱との関係から、粒子の破砕や塊状物ができることがあり、それを調整することで問題なく重

合パウダーを製造することができた。分散剤としては、NaCl粒子やテフロンペレット、PPパウダー、

無機ビーズなどを用いて検討したが、無機ビーズ以外はいずれも良好に重合することができた。無機

ビーズは嵩密度が高すぎ(2~4g/cm3)、触媒の分散がうまくできなかったものと考える。良好な条件

でのガス-ガス重合法による重合パウダーとバルク-ガス重合法による重合パウダーの粒子性状比較

を表Ⅲ.2.2.1(2)①-1 に示した。ガスーガス重合法によってもバルク-ガス重合法と同様に粉体性状

の良好な粒子を得ることができた。

表Ⅲ.2.2.1(2)①-1 重合方法の違いによる粉体性状

以上の結果から、目標とする粒子性状の重合パウダーを製造することが可能となった。重合パウダ

ーの製造目標値(触媒技術の開発の目標値)に対する達成状況を表Ⅲ.2.2.1(2)①-2に示した。

粒径(mm) n項(-) 嵩密度 (g/cm3) ゴム含量 (wt%)

ガス-ガス重合法 2.0 10 0.41 16

バルク-ガス重合法 2.1 11 0.41 15

粒径(mm) n項(-) 嵩密度 (g/cm3) ゴム含量 (wt%)

ガス-ガス重合法 2.0 10 0.41 16

バルク-ガス重合法 2.1 11 0.41 15

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232

表Ⅲ.2.2.1(2)①-2 重合パウダー製造技術まとめ

② 大粒径触媒性能評価装置の設計、設置および評価

a. 大粒径触媒性能評価装置の概念

大粒径 PP パウダーをサンプルとして製造するにあたって、従来の重合開発で起用されてきたベン

チスケール、および中間試験プラントスケールに加え、新たなプロセスのコンセプトによる大粒径触

媒性能評価装置を開発した。

ベンチスケールにおいては、通常、反応器容積が3L程度の(セミ)バッチ式の重合反応が採用され

る。反応器としては、攪拌式が用いられ、触媒はバッチ式に投入される。モノマーは反応初期に反応

器に導入され、その後、反応過程を通じてまったく追加を行わない「バッチ重合」と、適宜モノマー

等を追加する「セミバッチ重合」がある。本方式では、反応の自由度は比較的広くとれるものの、得

られるサンプル量としては数100g程度と、成型加工をはじめとする材料評価には不十分であるという

問題がある。また、メタロセン触媒の場合、重合反応に対する水素の影響が非常に大きく、極めて低

濃度で制御する必要がある。また、共重合を行った場合には、アゼオトロープ組成を取りうる条件で

ない限り、重合系内のモノマー組成は反応の進行とともに変化してしまう。したがって、いわゆるセ

ミバッチ方式で共重合を行おうとすれば、重合で消費されたモノマーと同等量を反応器に供給するこ

とが必要となり、事実上、これは非常に難しい操作となる。以上述べたとおり、ベンチスケールでは

スケールが小さいことから比較的手軽に重合試験を行うことはできるが、得られるサンプル量と反応

条件の精密制御という面では問題があると言える。

一方、中間試験プラントスケールでは、通常、連続操作において重合が行われる。すなわち、触媒

および原料とも連続的に系内に投入され、反応は定常状態で行われる。この場合、製品は数 10kg/H

の重合レートで得られることから、成型評価まで含めた評価に必要なサンプルは容易に得ることがで

きる。一方で、このようなスケールでの反応条件は、事実上、そのプラントの設計条件やプロセスコ

ンフィグレーションに依存する部分が大きく、とり得る反応条件の自由度には制限がある。たとえば、

取り扱いができるポリマー粒子の物理的な条件によっても、運転の可否に制限を及ぼすこともある。

たとえば、SPM 触媒による大粒径ポリマーを重合しようとする場合、攪拌槽、流動層のそれぞれの反

51,600

0~~~~70

0.41

11

2~~~~2.5

達成状況達成状況達成状況達成状況

0~80

≧0.4

≧10

2~5

目 標

g/g触媒活性

wt%ゴム含有量

g/cm3

嵩密度

-粒度分布n項

mm平均粒径

51,600

0~~~~70

0.41

11

2~~~~2.5

達成状況達成状況達成状況達成状況

50,000

0~80

≧0.4

≧10

2~5

目 標

g/g触媒活性

wt%ゴム含有量

g/cm3

嵩密度

-粒度分布n項

mm平均粒径

51,600

0~~~~70

0.41

11

2~~~~2.5

達成状況達成状況達成状況達成状況

0~80

≧0.4

≧10

2~5

目 標

g/g触媒活性

wt%ゴム含有量

g/cm3

嵩密度

-粒度分布n項

mm平均粒径

51,600

0~~~~70

0.41

11

2~~~~2.5

達成状況達成状況達成状況達成状況

50,000

0~80

≧0.4

≧10

2~5

目 標

g/g触媒活性

wt%ゴム含有量

g/cm3

嵩密度

-粒度分布n項

mm平均粒径

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233

応器とも、予め操作が可能となるような配慮が必要となる。前者において液相重合を行う場合には、

ポリマー粒子が大きいことよる沈降を防止する措置を考える必要があり、また、後者においては固体

粒子を流動させるためのガス流速、いわゆる最小流動化速度が大きくなることを考える必要がある。

いずれも、装置の大きさがラボスケールに比べて大きくなるがゆえに、それぞれの条件によって容易

に対応することが難しくなる。このように、中間試験プラントスケールでは、安定した重合条件で大

量のサンプルを得ることができる一方で、従来に無い条件を採用したい場合には難しい場合もある。

さらに、中間試験プラントを運転するために触媒も大量に必要となる。

以上のような特性に鑑み、今回SPM検討のために新たなコンセプトに基づく大粒径触媒性能評価装

置を開発することとした。大粒径触媒の適用が可能で、評価に必要な大粒径重合サンプル量を確保で

きるような装置とした。

図Ⅲ.2.2.1(2)②-1に、開発する装置系の概念図を示した。本装置系の特徴は、「触媒粒子に関して

はバッチ操作、原料成分に関しては連続操作」を行うことにあり、これまでポリオレフィンの重合系

にはなかったものである。本装置における反応器には、モノマーや有機アルミニウム成分を含む原料

が連続的に導入される入口と、これらが連続的に排出される出口が備えられる。一方で固体触媒成分

はバッチ式に反応器に投入されるが、反応器から触媒成分および生成したポリマー成分は内部に保持

される機構が具備される。連続的に導入される原料は、重合反応で消費される量よりも大過剰で供給

することを特徴としており、このことから反応組成は供給する原料組成で精度高く制御することが可

能となる。反応相としては、液相(プロピレンバルク)でも気相でも可能である。本システムでは、

反応器は1基ではあるが、導入する原料組成、あるいは反応条件(温度・圧力)を逐一変化させるこ

とで、いわゆる多段重合を自由度高く実施することが可能となる。

図Ⅲ.2.2.1(2)②-1 大粒径触媒性能評価装置の概念

b. プロセス検討と設計

ここでは、上述した大粒径触媒性能評価装置を実現するためのプロセス検討、および設計について

モノマーモノマーモノマーモノマーコモノマーコモノマーコモノマーコモノマー助剤助剤助剤助剤 等等等等〔〔〔〔連続供給連続供給連続供給連続供給〕〕〕〕

Excess

SPMSPMSPMSPM触媒触媒触媒触媒〔〔〔〔バッチ供給バッチ供給バッチ供給バッチ供給〕〕〕〕

反応器反応器反応器反応器〔〔〔〔温度温度温度温度////圧力制御圧力制御圧力制御圧力制御〕〕〕〕

モノマー成分(液・ガス)モノマー成分(液・ガス)モノマー成分(液・ガス)モノマー成分(液・ガス) :通過:通過:通過:通過固体成分(触媒固体成分(触媒固体成分(触媒固体成分(触媒→→→→ポリマー)ポリマー)ポリマー)ポリマー) :ブロック:ブロック:ブロック:ブロック

[PPY

] PPY

+ET

Y

Time

触媒投入

Homo EPR

Ex. ICP(2段)の場合

モノマーモノマーモノマーモノマーコモノマーコモノマーコモノマーコモノマー助剤助剤助剤助剤 等等等等〔〔〔〔連続供給連続供給連続供給連続供給〕〕〕〕

Excess

SPMSPMSPMSPM触媒触媒触媒触媒〔〔〔〔バッチ供給バッチ供給バッチ供給バッチ供給〕〕〕〕

反応器反応器反応器反応器〔〔〔〔温度温度温度温度////圧力制御圧力制御圧力制御圧力制御〕〕〕〕

モノマー成分(液・ガス)モノマー成分(液・ガス)モノマー成分(液・ガス)モノマー成分(液・ガス) :通過:通過:通過:通過固体成分(触媒固体成分(触媒固体成分(触媒固体成分(触媒→→→→ポリマー)ポリマー)ポリマー)ポリマー) :ブロック:ブロック:ブロック:ブロック

[PPY

] PPY

+ET

Y

Time

触媒投入

Homo EPR

Ex. ICP(2段)の場合

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234

述べる。当該システムがコンセプトに基づく性能を発揮できるか否かは、「原料系(液体・気体)は通

過させ、触媒を含む固体は通過させない」仕組みの成否にかかっている。広く知られているとおり、

オレフィンの重合では大きな反応熱を発生し、しかも反応温度が比較的生成ポリマーの融点に近いと

いう条件がある。また、固体触媒は重合の進行とともにその大きさを拡大し、最近の高活性触媒では

触媒粒子の数10倍まで成長する。このような特徴により、反応器内では反応熱の除熱を十分に行い、

また、固体触媒成分から成長したポリマー粒子までを問題なく取り扱える物理的な環境が必要とされ

る。

以上のような制約条件のなかで、固体のみを通過させない機構として、フィルターの適用を試みる

こととした。適用に際しては、まずモデル的に気体や液体を通過させて圧力損失のレベルを確認し、

さらに、固体触媒成分のモデルを同時に混入させ、閉塞による圧力損失上昇の有無を確認することを

行った。

図Ⅲ.2.2.1(2)②-2 検討用モデル装置フローシート

図Ⅲ.2.2.1(2)②-2 には、検討用のモデル装置のフローシートを示した。このなかで、反応器モデ

ルにフィルターを装入し、気体および液体の線速をそれぞれ変化させ、フィルター前後に生ずる圧力

損失を差圧計にて測定した。気体のモデルとしては窒素ガスを用い、液体としてはノルマルヘキサン

を使用した。フィルターとしては、SPM 触媒の粒径分布をも考慮して SPM 触媒を通過させることはな

い目開きのものを用いた。図Ⅲ.2.2.1(2)②-3 には、窒素ガスの通過線速と生じる圧力損失の計測結

果を示した。線速を上げるに伴い、フィルターに現れる圧力損失も直線的に上昇することがわかる。

また、図Ⅲ.2.2.1(2)②-4にはノルマルヘキサンの通過線速とフィルターの圧力損失を示した。また、

別の実験として、SPM 触媒を失活させた「モデル触媒粒子」を投入し、フィルターの圧力損失の上昇

度を調べた。投入触媒の量が多くなるに従い、圧力損失は増加する、すなわち閉塞度は増すことが確

認できたが、その度合いは許容できる程度のものであった。以上の結果より、当該フィルターが実機

に適用できると判断し、大粒径触媒性能評価装置の設計を行うこととした。

パージ

窒素

恒温槽

流量計(気体用)

流量計(液体用)

遠心ポンプ

FI FI

PdI 差圧計

モデルベッセル

攪拌槽

パージ

窒素

恒温槽

流量計(気体用)

流量計(液体用)

遠心ポンプ

FI FI

PdI 差圧計

モデルベッセル

攪拌槽

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235

図Ⅲ.2.2.1(2)②-3 窒素ガス通過線速とフィルター圧力損失

図Ⅲ.2.2.1(2)②-4 ヘキサン通過線速とフィルター圧力損失

1 10 1000.01

0.1

1

10

空塔線速 [cm/s]

フィルター差圧

流動層全差圧

分散板差圧

流量計読み [Nm3/H]

カタログ値

21℃

-空気

40℃

30℃

20℃

10℃

1 2 3 4 5 6 8 10

圧力損失

[

kP

a]

0.1 1 100.01

0.1

1

10

空塔線速 [cm/s]

フィルター差圧

流動層全差圧

分散板差圧

流量計読み [kg/H]

カタログ値

20℃

-水

70℃

50℃

30℃

10℃

20 30 40 50 100 150 200

圧力損失

[

kP

a]

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236

プロセスの設計を行うにあたり、まず決定すべきは反応器形式の選定である。流動層式と攪拌式に

ついて、それぞれの項目において比較を行った結果を示した。すでに述べたとおり、オレフィンの重

合には大きな発熱が伴うが、この観点からは反応器外部に熱交換器が設置できる流動層式が有利であ

る。ところが、流動層式では、SPM パウダーのように大粒径粒子を操作しようとする場合、大きな流

動線速が必要であるだけでなく、均一な流動が得られにくいことも考えられる。図Ⅲ.2.2.1(2)②-5、

および図Ⅲ.2.2.1(2)②-6には、プロピレンバルク重合(70℃)、気相重合(70℃-1.8MPaG、プロピレ

ンガス組成=55mol%)のそれぞれにおけるPP粒径に対する最小流動化速度;Umf、および終末速度;Ut、

を示した。流動層は、UmfとUtの間で操作され、通常のポリオレフィン商業プラント(気相法)では、

Umfの数倍が採用されることが多い。SPMによるPP粒子を約2ミリメートルとすると、現行採用され

ている条件よりもかなり高い線速での運転が必要であることがわかる。一方、攪拌槽式では、除熱の

問題を除けば反応器操作の最適化で対応が可能と判断された。そこで、保有ガス量の多寡等も考慮し

た上で、反応器形式としては、攪拌槽式を採用することとした。

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237

図Ⅲ.2.2.1(2)②-5 バルク重合における最小流動化速度

図Ⅲ.2.2.1(2)②-6 気相重合における最小流動化速度

10 100 1000 100000.01

0.1

1

10

100

1000

Particle Diameter [μm]

UtUmf

Velo

city ;

Um

f&U

t

[cm

/s]

10 100 1000 100000.01

0.1

1

10

100

1000

Particle Diameter [μm]

UtUmf

Velo

city ;

Um

f&U

t

[cm

/s]

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238

図Ⅲ.2.2.1(2)②-7 に大粒径触媒性能評価装置の概略フローシートを示した。以下、簡単に当該シ

ステムの概要について述べる。モノマーや水素、有機アルミニウム成分等は原料としてひとつのライ

ンにまとめられ、反応器に入る前に予熱される。反応器の原料出口部にはフィルターが設置されてお

り、固体成分はここから排出することができない。触媒は、直接反応器に投入されるよう専用シリン

ダーが設置されている。反応器は、ジャケットが設置されており、重合熱は主にここで除去され所定

の重合温度に調整される。また、反応器内には攪拌翼が設置されており、液相重合、気相重合とも生

成ポリマーは反応器内で均一に攪拌がなされる。排出された原料成分は、フィルターを透過して原料

パージ系へ抜き出される。この際、気相重合の場合は反応器内の圧力を検出し、これが所定となるよ

う排出側ラインの制御弁をコントロールすることにより(PIC 制御)運転が行われる。液相重合の場

合には、反応器内は満液となるので、原料パージ系に設置された中間槽に液を導き、この液面レベル

を一定とするよう、出口ラインに設置された制御弁をコントロールすることにより(LIC 制御)運転

を行う。排出された原料は、必要な条件に調整され、回収系へ送られる。

図Ⅲ.2.2.1(2)②-7 大粒径触媒性能評価装置概略フローシート

原料供給系は、正確に流量の制御ができるよう、流量計や流量制御弁、マスフローコントローラな

どを設置した。有機アルミニウム成分の供給は、その流量が非常に小さいこともあり、あえて流量計

を設置することはせず、容積式のプランジャーポンプを設置し、ストロークとインバータによる周波

数制御を組み合わせて制御を行った。また、全システムの計装データは、パソコンDCSに取り込み、

予め設定した運転シーケンスを動作させることにより運転を行った。これらのプロセスの設計は、表

Ⅲ.2.2.1(2)②-1に示したデザインベースに基づいて行った。ここには、SPM触媒による典型的な重合

条件と必要な操作条件が規定されている。

ところで、大粒径触媒性能評価装置のひとつの特徴は、前述したとおり供給側の組成を逐一変化さ

せることで、反応器サイドの条件を追随させて変えることができる点にある。しかし、反応器は有限

の容積を持っており、均一に混合が行われていると仮定した場合、供給系の原料組成を瞬間的に変え

ることができた場合でも、反応器内の組成を同じように変えることはできない。たとえば、図 3.5-8

プロピレン

水素

有機アルミ

回収系

LIC

原料供給系 重合反応器系 原料パージ系

プロピレン

水素

有機アルミ

回収系

LIC

原料供給系 重合反応器系 原料パージ系

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239

には、反応器での流体の平均滞留時間を0.05時間から0.1、0.3時間に変えた際、応答の速度がどう

変わるかを計算で求めたものである。反応器での平均滞留時間は、反応器実効容積を原料の体積流量

で除して求められることから、平均滞留時間が短いことは、反応器容積が原料の流量に比べて小さい、

もしくは、原料の流量が反応器容積に比べて大きいことを意味する。反応器内組成をできる限り速く

変化させたい場合には、原料供給量を多くすれば良いわけである。これらの挙動を実際に確認するた

め、重合反応無しの条件において実験を行った。図Ⅲ.2.2.1(2)②-9 に、結果を示した。ここでは、

水素なしの条件で液化プロピレンを連続的に供給し、ある瞬間から水素の供給をマスフローコントロ

ーラを通じて開始した。その際の反応器出のガスを逐一サンプリングし、原料中の水素濃度とあわせ

て比較を行っている。原料平均滞留時間は約0.1時間であったが、計測結果はほぼ計算値から推定さ

れる挙動を示した。

これらの計算は、化学工学物性推算ができるソフトウェア「PPDS」を用いて行った。エンタルピー

をはじめとした熱力学物性と、粘度や密度などの輸送物性の値を高温、高圧、混合物条件下である程

度の精度で推算できた。

また、インパクトコポリマーを製造する際には、1 段目の重合後にすみやかに内部ガスを置換する

必要があり、そのために窒素コンプレッサーを設置した。三国重工業社製の立型2段単動水冷無給由

式Vベルト駆動で、能力60kg/hr(48m3/hr)、吐出圧力4.9MPaである。これにより高精度でインパク

トコポリマーの製造が可能となった。

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240

表Ⅲ.2.2.1(2)②-1 大粒径触媒性能評価装置設計のデザインベース

SPM SPMHomo-Bulk RCP-Gas

Liquid GasMFR=70 MFR=11段目 2段目

温度 [℃] 65 65圧力(回転機器ヘッド除く) [kgf/cm2-A] 28.85 18

プロピレン [mol%] 99.9963 37エチレン [mol%] 0 63水素 [mol%] 0.00365 0.006

触媒滞留時間(重合時間) [H] 1 1モノマー滞留時間 [H] 0.544 0.116触媒 触媒量 [mg] 96.5 96.5

アルミ種 TIBA TIBAAl/Monomer(f) [mol.ppm] 50 50溶媒種 HPT HPT同伴供給量 [g/H] 200 200密度 [kg/m3] 419.802 23.2932定圧比熱 [cal/g.deg] 0.835729 0.448037粘度 [Pa.s] 5.56E-05 1.15E-05Ro [kg/g.H] 24 10kd [H-1] 0.3 0.3平均粒径 Dcat (裸) [μm] 50.2 50.2形状係数 φ [ - ] 0.9 0.9

前段CE [kg/g] 0 30.0プロピレン [wt%] 100 75エチレン [wt%] 0 25

プロセス条件 総容積 [L] 30 30ジャケットU [kcal/m2.H.deg] 300 100実効伝面 [m2] 0.3 0.3

重合条件

ケース

触媒

重合タイプ種別

溶媒

エンジ物性

アルミ

相備考

ステージ

モノマー組成

反応系

反応前提

Kinetics

触媒

コポリマー組成

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241

図Ⅲ.2.2.1(2)②-8 原料平均滞留時間と反応器内濃度応答(計算値)

-20 0 20 40 60 80 100

原料系X成分濃度

反応器X成分濃度

反応器X成分濃度

反応器X成分濃度

原料平均滞留時間=0. 05 [H]

原料平均滞留時間=0.1 [H]

原料平均滞留時間=0. 3 [H]

時間 [min]

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242

図Ⅲ.2.2.1(2)②-9 バルク重合における供給水素濃度変更と反応系内応答

0

100

200

300

400

0 20 40 60 800

100

200

300

400

原料系

[H2]

[m

ol.ppm

]反応系

[H2]

[m

ol.ppm

]

経過時間 [min]

重合開始 水素供給開始 反応停止

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243

c. 大粒径触媒性能評価装置による評価

ここでは、前述の大粒径触媒性能評価装置を実際に用い、評価を行った結果を述べる。

まず、プロピレンバルク重合においてホモ1段重合を行った。図Ⅲ.2.2.1(2)②-10には、ここで得

られたサンプルの分子量分布曲線を示した。図Ⅲ.2.2.1(2)②-10では、ベンチバッチ重合で得られた

サンプルの分子量分布曲線を同時に表示しているが、大粒径触媒性能評価装置で重合を行ったサンプ

ルのほうが、より狭い分子量分布を示していることがわかる。これまでの検討から、当該触媒系にお

いて重合を行うと、反応中に水素が発生しこれが自らの重合生成物の分子量を変えるという挙動を示

すことがわかっている。ベンチバッチ重合では、この効果のために反応の進行とともに系内の水素濃

度が上がっていき、結果的には分子量分布が反応環境の変化の影響を受けて広くなっているものと推

定される。これに対し、大粒径触媒性能評価装置では基本的に反応系内に水素が蓄積することはなく、

したがって、触媒の本来の特性にしたがった狭い分子量分布を示したものであろう。なお、本バルク

重合において、反応器内に設置したフィルターの差圧上昇は見られなかった。以上の実験より、ほぼ

目的とした機能を有する装置が設計できたことを確認した。

次に大粒径触媒性能評価装置を用いてSPM評価用サンプルを製造した結果について述べる。エチレ

ンプロピレンゴム成分中のエチレン含有量 30%および 50%の条件でゴム含量を各種変化させて製造し

た。重合はいずれも 1段目はプロピレンバルク重合によるホモを、2段目はエチレンとプロピレンの

混合ガスによる気相重合を行っている。製品量としては、各バッチあたり2.5kgから3.5kgと、材料

特性の試験に必要な十分量を得ることができた。サンプルは3.8項で述べる重合パウダーの材料物性

の評価に用いた。また、安定剤の添加技術の開発用のサンプルも本装置で製造した。なお、評価に用

いた触媒系は標準の条件では、目標の触媒活性を得ることを確認しているが、記載した検討では条件

やポリマーの効果的な設計のために、触媒活性を制御して運転した。

図Ⅲ.2.2.1(2)②-10 ホモ1段重合による分子量分布制御性

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0

Log MW

---- 大粒径触媒性能評価装置

---- ベンチバッチ重合

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244

③ 大粒径PPパウダー製造パイロット試作

大粒径PPパウダー製造のためのパイロット試作は、合計4回実施した。各々の目的等は以下のとおり

である。

・第1回:開発した大粒径メタロセン触媒の性能評価

・第2回:安定剤(既存)添加重合評価

・第3回:安定剤(新規)添加重合評価

・第4回:安定剤(新規)添加重合評価

以下、各回の結果をまとめる。

a. 第1回パイロット試作

これまでに開発してきた大粒径メタロセン触媒のパイロットスケールでの性能確認、また、粉体性

状に問題がないかどうかを確認するために、パイロット試作を実施した。製造ポリマーのMFRの目標

を3レベル(7, 30, 80)として重合を行った。

その結果、得られた重合パウダーは、平均粒径2.2mm、粒度分布n項10、嵩密度0.41g/cm3を示し、

ベンチスケールで製造した重合パウダーと同等の粉体性状のパウダーが得られた。重合活性はベンチ

スケールから予想された活性を示した。また、重合パウダーの乾燥や輸送についても閉塞等のトラブ

ルなく安定に運転することができた。

b. 第2回パイロット試作

SPM 技術のもう一つの鍵となる安定剤の添加方法として、有機アルミニウム化合物をマスキング剤

として使用し、重合時にあらかじめ添加しておく、という技術が開発され、ベンチスケールの重合で、

その有効性が確認された。この処方がパイロットスケールの重合でも問題なく適用可能かどうかを確

認するために、第2回のパイロット試作を行った。使用した安定剤は、旭電化工業(株)社製の市販

品であるAO-330(フェノール系酸化防止剤)と2112(リン系添加剤)である。これらの安定剤は重合

開始前に予め有機アルミニウムと接触させた後、反応機に導入する方法でポリマーの製造を行った。

ベースデータとして安定剤添加なしの重合評価を行った後、安定剤添加重合を実施した。MFR の目標

は、安定剤あり/なしとも同一とし、安定剤添加による粉体性状、運転上の問題点を把握した。

その結果、安定剤添加あり/なしで、重合活性はほぼ同等であることが確認された。粒径、粒度分

布、嵩密度の粉体性状は、全く影響を受けないことが確認された。このことから、新たに開発された、

安定剤を有機アルミニウムでマスキングし、あらかじめ重合系に添加するという技術は、重合面では

パイロットスケールでも問題なく適用可能であることが確認された。なお、熱劣化に対する安定剤添

加重合の効果に関しては、市販のペレットと同等以上の安定化効果を確認した。しかしながら、重合

パウダーの色は若干黄変しており、安定剤未添加パウダーが無着色であったことから、安定剤による

着色であると推定される。

c. 第3回パイロット試作

第 3 回目のパイロット試作は、SPM 技術向けに新たに旭電化工業(株)で開発されたフェノール系

添加剤「AO-1」を用いて、その重合挙動に与える影響の確認を目的として行った。リン系添加剤につ

いては、第2回と同様2112を使用した。

Page 39: (4)成形技術の開発のまとめ(4)成形技術の開発のまとめ … · 209 している。この分子量増大の特徴はインパクトコポリマーのゴム部を製造する際にも有利に働くこと

245

その結果、重合活性や粉体性状といった触媒性能は、安定剤添加の影響を全く受けないことが確認

された。また、第2回のパイロット評価で問題となった重合パウダーの黄変も見られなかった。この

ことから、新たに開発された安定剤である「AO-1」は、重合面ではパイロットスケールでも問題なく

適用可能であることが確認された。熱劣化に対する安定剤添加重合の効果に関しては、市販のペレッ

トと同等以上の安定化効果を確認した。

d. 第4回パイロット試作

これまで3回の試作はいずれもホモポリマーのみの製造であった。しかしながら、インジェクショ

ン用途としては、インパクトコポリマーもよく使用されている。そこで、第4回目のパイロット試作

では、インパクトコポリマーを製造し、その際の触媒性能を確認することを目的とした。さらに、安

定剤の添加についても、連続重合法に与える影響についての知見を得ることを目的とした。インパク

トコポリマーを生産するには、2段重合を行う必要があるので 2槽連続の重合パイロット設備を用い

て検討を行った。まず、1槽目でホモポリマーの製造を行い、重合が安定したところで、2槽目をつな

ぎ込み、エチレン-プロピレン共重合体を重合させることで、インパクトコポリマーの製造検討を行

った。安定剤の添加なしの条件でベースデータを取得し、その後、安定剤を添加しての重合検討を行

った。インパクトコポリマーのMFRの目標は60、2槽目重合槽で重合されるゴム成分ポリマーの割合

の目標を30wt%とした。

その結果、MFR、ゴム含有量とも目標とするサンプルを得ることができた。その際の粉体性も良好で

あり、ポリマー製造や輸送、乾燥系へのトラブルはなかった。安定剤添加はの触媒性能(活性や粉体

性状など)に対する影響は全く受けないことが確認された。

プロセス適性も含めたさらなる種種のインデックスにおけるポリマーの製造検討と得られたポリマ

ーの材料評価を進めることは、今後の工業化検討における課題である。

④ 大粒径PPパウダーの直接成形評価

大粒径メタロセン触媒から製造したホモポリマーおよびインパクトコポリマーのベース材料として

の基本性能を確認する目的で、重合パウダーから直接成形した成形品と造粒ペレット化を経て成形し

た通常成形品との基本的物性を評価した。用いた重合パウダーは安定剤の添加手法として、重合パウ

ダーに直接安定剤を粉体添加した系と安定剤を重合系で添加した系を用いた。

a. 安定剤粉体添加品の機械物性評価用試料の作製

インジェクション用途 PP グレードとしては汎用的なホモポリマーおよびインパクトコポリマーの

インデックスで製造した重合パウダーに安定剤を規定量添加し、ハンドブレンドした。通常成形とし

て造粒する際の造粒条件は、単軸タイプのスクリュー径30mm、L/D 32の造粒機を用いて、シリンダ

ー温度200℃、スクリュー回転数100rpmでペレットを作製した。

試験片の成形は、型締力100T、射出容量130cm3、スクリュー径36mmの汎用成形機で、射出成形条

件は樹脂温度200℃、金型表面温度40℃、充填時間2sec、保圧時間38sec、1サイクル60sec の ISO

成形条件で成形した。金型はISO金型タイプAを使用した。

Page 40: (4)成形技術の開発のまとめ(4)成形技術の開発のまとめ … · 209 している。この分子量増大の特徴はインパクトコポリマーのゴム部を製造する際にも有利に働くこと

246

b. 安定剤粉体添加品の直接成形品物性評価

図Ⅲ.2.2.1(2)④-1にホモポリマーとインパクトコポリマーの機械物性を通常成形(造粒ペレット)

を100としたときの直接成形品の物性を示した。各測定項目について、有意差は認められず同等品質

であった。大粒径メタロセン触媒から重合したパウダーに安定剤を粉体添加した系で、直接成形品と

通常成形品との基本的機械物性差はなく、ベース材としてのポテンシャルが確認できた。

c. 安定剤重合系添加品の機械物性評価用試料の作製

インジェクション用途 PP グレードとしては汎用的なホモポリマーおよびインパクトコポリマーの

インデックスで製造した重合パウダーの製造において、重合系に安定剤を添加し重合パウダーを得た。

このパウダーを用いて、通常成形(造粒ペレット化あり)と直接形成比較を実施した。通常成形とし

て造粒する際の造粒条件は、単軸タイプのスクリュー径30mm、L/D32の造粒機を用いて、シリンダー

温度200℃、スクリュー回転数75rpmでペレットを作製した。

試験片の成形は、型締力100T、射出容量130cm3、スクリュー径36mmの汎用成形機で、射出成形条

件は樹脂温度200℃、金型表面温度40℃、充填時間2sec、保圧時間38sec、1サイクル60sec の ISO

成形条件で成形した。金型はISO金型タイプAを使用した。

測定項目は引張り強伸度、三点曲げ弾性率、三点曲げ応力、シャルピー衝撃(23℃、-30℃)ロッ

クウェル硬度、熱変形温度の物性を測定した。

d. 安定剤重合系添加品のホモ、インパクトコポリマーパウダーの直接成形品物性

MFR 10g/min 、密度 0.90g/cm3のホモポリマー 、MFR 20g/min 、密度 0.89g/cm3、ゴム含有量

32% のインパクトコポリマーパウダーを汎用の射出成形機で直接成形し、造粒したペレットからの成

形品と機械物性を比較評価した。

ホモパウダーの直接成形品は引張り強伸度、曲げ剛性、衝撃強度、熱変形温度、何れも造粒品と同

等であった。インパクトコポリマーの直接成形品も引張り強度、曲げ剛性、衝撃強度、熱変形温度、

何れも造粒品と同等であった(図Ⅲ.2.2.1(2)④-2)。

e. 安定剤重合系添加品のホモ、インパクトコポリマーパウダーとタルクをブレンドした直接成形品

物性

ホモポリマー、インパクトコポリマーパウダーはⅢ.2.2.1(2)④-d項で使用したパウダーを使用し、

タルク添加は汎用の射出成形機で成形する為、タルク分散を考慮し、インパクトコポリマーベースの

タルク60%のマスターバッチを33%ドライブレンドし材料中のタルク濃度を20%としコンパウンドした

ペレットからの成形品と機械物性を比較評価した。

図Ⅲ.2.2.1(2)④-3 にホモポリマーおよびインパクトコポリマーの物性評価結果を示した。ホモポ

リマー/タルク 20%の直接成形品は引張り強伸度、曲げ剛性、衝撃強度、熱変形温度、何れも造粒品

と同等であった。インパクトコポリマー/タルク 20%の直接成形品も引張り強度、曲げ剛性、衝撃強

度、熱変形温度、何れも造粒品と同等であった。また、シート片の表面観察において違いは見られな

かった。

Page 41: (4)成形技術の開発のまとめ(4)成形技術の開発のまとめ … · 209 している。この分子量増大の特徴はインパクトコポリマーのゴム部を製造する際にも有利に働くこと

247

図Ⅲ.2.2.1(2)④-1 安定剤粉体添加系の物性評価

図Ⅲ.2.2.1(2)④-2 ホモ、インパクトコポリマー無造粒品の物性評価

直接成形 [原料パウダー+添加剤] → 射出成形通常成形 [原料パウダー+添加剤] → 30mm押出 → 射出成形

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

シャルピー

ロックウェル硬度

熱変形温度

通常成形品(100とする)直接成形品(無造粒)

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

シャルピー

ロックウェル硬度

熱変形温度

HOMO ICP

直接成形 [原料パウダー+添加剤] → 射出成形通常成形 [原料パウダー+添加剤] → 30mm押出 → 射出成形

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

シャルピー

ロックウェル硬度

熱変形温度

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

シャルピー

ロックウェル硬度

熱変形温度

通常成形品(100とする)直接成形品(無造粒)通常成形品(100とする)直接成形品(無造粒)

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

シャルピー

ロックウェル硬度

熱変形温度

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

シャルピー

ロックウェル硬度

熱変形温度

HOMO ICP

HOMO

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

曲げ最大応力

シャルピー23℃

熱変形温度

ICP

0

50

100

150引張降伏応力

曲げ弾性率

曲げ最大応力

シャルピー23℃

シャルピー30℃

熱変形温度

通常成形品を100としたときの直接成形品の値を示した。

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248

図Ⅲ.2.2.1(2)④-3 ホモ/タルク、インパクトコポリマー/タルク無造粒品の物性評価

(タルク添加はタルクマスターバッチ使用)

以上の結果から、大粒径メタロセン触媒から製造し、安定剤を重合系に添加して得られたホモポリマ

ーおよびインパクトコポリマーは、複合なしの系およびタルクマスターバッチを用いたタルク複合系

において、直接成形品と通常成形品との基本的機械物性差はなく、ベース材としてのポテンシャルが

確認できた。

HOMO/タルク 20%

0

50

100

150引張降伏応力

引張破断伸び

曲げ弾性率

曲げ最大応力

シャルピー23℃

熱変形温度

ICP/タルク 20%

0

50

100

150引張降伏応力

曲げ弾性率

曲げ最大応力

シャルピー23℃

シャルピー30℃

熱変形温度

通常成形品を100としたときの直接成形品の値を示した。

Page 43: (4)成形技術の開発のまとめ(4)成形技術の開発のまとめ … · 209 している。この分子量増大の特徴はインパクトコポリマーのゴム部を製造する際にも有利に働くこと

249

(3)(3)(3)(3)市場調査市場調査市場調査市場調査

重合パウダー製造技術の要素技術としての事業化への課題を把握するために、現行パウダーグレー

ドで出荷されているPPの用途、市場規模、添加剤処方、問題点について調査を実施した。パウダーグ

レードとは、重合後に造粒をせずに出荷されるPP全般を指し、微粒のパウダーやフレーク状の粒子も

含んでいる。

① 国内の状況

a. 市場規模と用途

2004年の国内PPパウダー出荷量は1000tである(ただし、韓国から輸入されるValtecパウダーは

含んでいない)。用途は、メルトブローンとその他でそれぞれ50%を占める。メルトブローン用途では、

MFR が高すぎて造粒できないために使用される。その他では、様々な用途での複合工程での改質剤に

使用される。

国内でのインジェクション用途はない。

b. 市場の推移

メルトブローン用途では、年間5%程度の成長があり、衛生、医療用に用いられている。その他用途

では、ほとんど成長していない。この用途ではユーザーが通常ペレットを使用しているプロセスとは

異なるパウダーでの特殊な取り扱いをしなければならないことが問題となっているようである。これ

は成形に適した重合パウダーがないためで、ペレットと同等に扱うことのできるパウダー製造技術に

とって好適な用途の様である。

c. 添加剤処方

添加剤は、溶液、粉体、溶融コーティングによってパウダーに添加される。または、成形加工時に

添加されることもある。

d. 問題点

メルトブローン用途をみると、造粒できないことからパウダーとして使われているため、造粒コス

トの削減ができるが、取り扱い上ペレットと同様にできないためにユーザーにとっては、受け入れら

れにくくなっている。特に嵩密度が低いこと、微粉が多いこと、静電気が発生することなどが問題点

として挙げられる。

② 国外での状況

北アメリカでのパウダーグレードを商業レベルで生産してるのは、Basell Polyolefines、BP

Chemicals、Sunoco Chemicals、ExxonMobil Chemicalsである。2004年の出荷量は438ktである。西

ヨーロッパでパウダーグレードを商業レベルで生産しているのは、Basell Polyolefines、BP Chemicals、

Borealisである。2004年の出荷量は117ktである。用途としては、繊維、複合時の改質剤カラーマス

ターバッチなどが挙げられる。

パウダーの利点は、顔料の分散がよいこと、フィラーの取り込みがよいこと、過酸化物変成での制

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250

御がしやすいことが挙げられる。一方、パウダーでの欠点は、取り扱い難さである。輸送、貯蔵にお

ける静電気や粉塵は安全上問題となる。また成形時の原料の供給不安定さや閉塞なども問題として挙

げられる。

③ SPM市場調査まとめ

PPパウダーの市場調査により、実用におけるパウダーの問題点及び適用範囲の制約原因が明らかと

なった。現時点で使用されている用途も限定的であり、またその使用においても必ずしも十分な技術

レベルにないため、今後の普及に対してもあまり大きな成長は期待されていない。一方、本プロジェ

クトで開発したSPM技術は、ラボスケールでの技術確立ではあるが、従来技術における問題点を十分

解決する可能性が高く、従来技術では適用困難で市場実績のないインジェクション用途においても、

使用できる可能性が高くなった。

今後、SPM 技術のインジェクション用途への適用に際しては、調査で明らかとなった問題点に十分

留意し、より精度の高い検討を継続していく必要がある。

④メタロセン触媒技術の競合機関等の状況

メタロセン触媒技術に関して、競業機関等の注目すべき実績と当該プロジェクトとの技術比較を実

施し、表Ⅲ.2.2.1(3)④-1 に示した。大粒径メタロセン触媒技術は世界でも製造実績がない。

表Ⅲ.2.2.1(3)④-1 競合機関等の注目すべき実績と当該プロジェクトとの比較

1) H.Sinn, W.Kaminsky, H.J.Vollmer, R.Woldt, Angew.Chem.,92929292,390(1980) 2) J.A.Ewen, J.Am.Chem.Soc.,106106106106,6355(1984) 3) W.Kaminsky, K.Kulpper, H.H.Brintzinger, F.R.W.P.Wild, Angew.Chem.Int.Ed.

Engl.,24242424,507(1990) 4) W.Spaleck, F.Kueber, A.Winter, J.Rohmann, B.Bachmann, M.Antberg, V.Dolle, E.F.Paulus,

Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,31313131,1347(1992) 5) 菅、鈴木、菅野、田谷野、清水,高分子論文集59(4),178(2002)

インジェクション用途ではない。

低分子量、低融点である。

パウダー状メタロセンPPワックス(LICOCENE)を上市。

Clariant

インジェクション用途ではない。

パウダーグレード保有せず。

メタロセンPP(押出グレード)は上市している。

Total Petrochem ical

チーグラー触媒系であり、インジェクション用途でもない。

ホモPPのみ。融点低い

メルトブローン用パウダー状 (小粒子 )ポリマーを上市 (Escoreneなど)。

メタロセンPPグレード開発も実施。

ExxonMobil

大粒径無造粒ポリマー (valtec)を上市しているが、インジェクション用途ではなく、また、チーグラー触媒を使用している

チーグラー触媒を用いた valtecポリマーを上市。メタロセンPPグレード開発も行っている。

Basell

当該プロジェクトとの比較注目すべき実績競合機関(企業)

インジェクション用途ではない。

低分子量、低融点である。

パウダー状メタロセンPPワックス(LICOCENE)を上市。

Clariant

インジェクション用途ではない。

パウダーグレード保有せず。

メタロセンPP(押出グレード)は上市している。

Total Petrochem ical

チーグラー触媒系であり、インジェクション用途でもない。

ホモPPのみ。融点低い

メルトブローン用パウダー状 (小粒子 )ポリマーを上市 (Escoreneなど)。

メタロセンPPグレード開発も実施。

ExxonMobil

大粒径無造粒ポリマー (valtec)を上市しているが、インジェクション用途ではなく、また、チーグラー触媒を使用している

チーグラー触媒を用いた valtecポリマーを上市。メタロセンPPグレード開発も行っている。

Basell

当該プロジェクトとの比較注目すべき実績競合機関(企業)