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タブレットPCと電子黒板を活用した授業等の実践収録 平成27年3月 秋田市教育委員会 平成26年度 ICT活用推進委員会活動成果

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タブレットPCと電子黒板を活用した授業等の実践収録

平成27年3月秋田市教育委員会

平成26年度

ICT活用推進委員会活動成果

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はじめに

近年、学校教育においては、「情報化」が一

層進展しつつあります。一人一台のタブレッ

トPCや電子黒板等のICT機器を活用し

て、子どもの興味・関心を喚起するとともに、

協働的に学ぶ授業づくりをめざした取組が、

全国各地で実践されており、その成果と課題

が次第に明らかになってきました。また、ク

ラウドコンピューティングの利用が進み、授

業支援システムや校務支援システム等が、低

予算で安全に運用できる環境も整備されて

きました。 こうした状況を踏まえ、今年度、本市では、

各小・中学校に一体型電子黒板とタブレット

PCを導入するとともに、データセンターを

活用した教育クラウドの基盤を整備したと

ころであり、ICT活用推進委員会では、I

CT機器の活用場面とその効果、課題等が明

らかになるよう、タブレットPCと電子黒板

を活用した授業等の実践についての提案に

取り組んでまいりました。 本実践集録が、各校のICTを活用した情

報教育推進の一助となれば幸いです。 平成27年3月

秋田市教育委員会

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目 次

【小学校における実践報告】

○SKYPEのビデオ通話による小学校間の交流活動 1

○第4学年 算数科 5

○第5学年 算数科 10

○第1学年 生活科 16

○第4学年 国語科 22

【中学校における実践報告】

○第3学年 技術・家庭科(技術分野) 25

○第1学年 社会科 29

○全校集会 33

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1

小学校 Skypeのビデオ通話による小学校間の交流活動 実践事例

1 はじめに

秋田市立学校間の教育情報ネットワーク「はばたけ秋田っ子ネット」が初めて運用さ

れた際、Phoenix(フェニックス)等のテレビ会議システムを使った実践がいくつか報

告されたが、回線速度が遅く接続が不安定だったり、必要とする機材も多かったりした

ため、「いつでも」「誰でも」手軽に実践することは、困難だった。

今年度、新教育情報ネットワークの運用開始に伴い、回線速度が向上し、また各校に

タブレットPCと電子黒板が導入されたことにより、テレビ会議の実践を困難にしてい

た要因がほぼ解消され、テレビ会議(ここではSkypeによるビデオ通話)を手軽に行う

ことができる条件が整った。

2 Skypeによるビデオ通話の準備

(1)必要な機材等

タブレットPCには、カメラとマイクが内蔵さ

れているため、1対1のビデオ通話については、

タブレットPCだけで可能である。接続確認や事

前の教師間の打合せ等は、タブレットPCのみで

行った。(写真1)

教科等の学習では、以下の機材が揃えば、より

便利である。(写真2)

・タブレットPC

・電子黒板

・タブレットフォルダー

・三脚

教科等の学習では、たくさんの子どもたちの映

像や動きのある映像を映し出すことになるため、

電子黒板やタブレットフォルダー、三脚を準備す

る必要がある。タブレットフォルダーは、量販店

で2,000円ほどで購入でき、三脚に固定するため

のアタッチメントも付属されている。三脚は、学

校のビデオカメラ用を使用した。

写真1:タブレットPCによるビ

デオ通話

写真2:教科等の学習を想定した

機材の準備

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2

(2)Skypeのダウンロード

職員室用に納入されたタブレットPCには、すでにSkypeがインストールされてい

るが、マイクロソフトアカウントがないとログインできないため、「Skype for Windo

wsデスクトップ」を新たにインストールする必要があった。検索エンジンからダウン

ロードページを探し(http://www.skype.com/ja/download-skype/skype-for-compute

r/)、ダウンロードした。

なお、児童生徒用ネットワークからは、フィルタリングを解除しないとダウンロー

ドページに接続できないため、手続き(市教委へ「情報設定依頼書」を提出)をして

解除を依頼するか、教師用ネットワークに接続してダウンロードする必要がある。Sk

ypeのインストールと設定の仕方は、ヘルプデスクにマニュアルを作成していただき、

『学校間共有』の『17_情報』フォルダーに保存しているので、必要に応じて活用し

てほしい。

3 Skypeのビデオ通話による交流活動

小規模校では、児童数が少ないため集団

による教育効果が得にくい傾向があること

から、近隣の学校との交流活動を行ってい

る学校が多く見られる。交通費等の関係で

回数は限定されるため、多くの学校がネッ

トワークを使った間接交流と直接交流を組

み合わせて計画しているが、ネットワーク

を使った交流では、前述のように接続が不

安定であったり、準備に手間がかかったり

するため、円滑な実施が困難である。

今回、Skypeのビデオ通話により、他の小

規模の小学校と打合せや準備等も含め、交

流活動を行った。本時は交流活動の最初の

時間だったことから、内容は自己紹介と学

校・地域紹介を中心にした。画面に映し出

される相手校の子どもたちと楽しく交流し、

活発な意見交換ができた。多少画像の粗さ

が気になったが、回線の切断や機器の不備

等のトラブルもなく、手軽に実践できた(写

真3~6)。

※交流活動の計画案は、最終ページに掲載

写真3:後ろ姿が本校3年生、画面が相

手校の小学校3年生

写真4:画像の乱れを防ぐため、提示す

る資料は譜面台に固定

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なお、本番の交流活動の前に、校内でリ

ハーサルを行ったところ、画像の粗さが気

になったので、タブレットPCの内蔵カメ

ラでなく、Webカメラ(320万画素)を使っ

たビデオ通話を行ってみた。しかし、画像

がさらに粗くなり乱れた。画素数が増え、

回線速度を超えるデータ量が送受信された

ことが原因と思われる。鮮明な画像で交流

活動ができるよう、現在、改善策をネット

ワークの請負業者と協議しているところで

ある(写真7)。

4 おわりに

Skypeによるビデオ通話は、今回実践した

交流活動だけでなく、遠隔地にいる外部講師

の活用や遠隔地間のパネルディスカッション

なども可能になる。また、Skypeには複数箇

所からの通話やファイル転送、画面共有など

の機能もあり、様々な学習での活用が考えら

れる。さらに、これらの機能を活用すること

により、教師間の情報交換や教材の共有化な

どの実践も手軽に行うことができると考え

る。

今後も実践を重ねるとともに、互いの実

践事例を共有するなど、新教育情報ネット

ワークの活用を図っていきたい。

写真5:電子黒板を見ながら意見交換

写真6:相手校の小学校3年生

写真7:校内でのビデオ通話(Webカメラ

使用)

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交流活動計画案

日 時:平成27年2月下旬 10時45分~11時30分

場 所:本校校長室および相手校の校長室

時活 動 内 容

形態具体的な内容

間 本 他

5 1 はじめの会 話 聞 ・相手校の児童が司会を務める。

10 2 自己紹介 話 聞 ・自分の名前と好きなものを書いた紙を見

・名前 ↓ ↓ せながら自己紹介をし、その後は相手に

・好きな○○ 聞 話 名前が見えるように持って座る。

・一言 ・1人15秒程度

10 3 学校や地域の紹介 話 聞 ・全校の人数、学級の人数などの紹介やそ

(5) ・○○小学校には、ど ↓ ↓ の学校ならではの行事を紹介する。

んな行事があるのか。 答 問 ・どんな地域なのか、地域でどのようなこ

・○○小学校がある地 とが行われているのかなどを紹介する。

(5) 域はどんなところか。 聞 話 ・それぞれの学級へ質問できる時間を設け

・本校には、どんな行 ↓ ↓ る。

事があるのか。 問 答

・本校がある地域はど

んなところか。

10 4 ゲーム ・画面に映った相手の名前と好きな○○を

・他己紹介 答える。

10 5 おわりの会 話 聞 ・相手校の児童が司会を務める。

↓ ↓ ・感想発表

聞 話

※準備する物

○自己紹介カード ○学校、地域紹介に使う物

な ま え好きな食べ物

カレーライス

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第4学年 算数科 実践事例 1 単元名 垂直、平行と四角形 2 目標 〇直線の垂直や平行の関係について理解する。また、垂直や平行の関係にある直線を

かくことができる。 〇台形、平行四辺形、ひし形について理解する。また、これらの四角形の対角線の性

質について調べる。 〇台形、平行四辺形、ひし形を作ったりかいたりできる。 3 全体計画(全 13 時間)

小単元名 ねらい 学習活動 垂直と平行 (5時間)

・垂直、平行の意味、性質を理解する。 (3時間)

・垂直、平行の作図ができ る。 (2時間)

・地図を見て道の交わり方や並び方を調べ、垂直、平行の意味を知る。

・一組の三角定規を用いた、垂直・平行な直線のかき方を考える。

四角形

(6時間)

・台形、平行四辺形、ひし形の意味、性質を理解する。 (3時間)

・平行四辺形、台形、ひし形の作図ができる。

(2時間)

・対角線の意味、四角形の対角線の性質を理解する。 (1時間)

・長方形の紙に、三角定規やものさしを重ねてできたいろいろな四角形を分類し、台形や平行四辺形、ひし形の性質を知る。

・三角定規、コンパス、分度器を用いて、台形や平行四辺形、ひし形の作図の仕方を考える。

・対角線について知り、長さや交わり方を調べる。また、対角線を用いたひし形などのかき方を考える。

練習 (1時間)

・小単元(四角形)の練習問題を解くことができる。 (1時間)

・「四角形」の練習問題を解く。

まとめ

(1時間)

・単元のまとめ(1時間)

・単元のまとめをする。

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4 本時の学習(1/13) (1)ねらい

・垂直の意味、性質を理解することができる。

(2)学習の流れ

学習活動 指導の手立て 評価 ICT活用 1.課題を把握する 2.2本の直線の交わり方

を調べ、垂直の定義を理解する。

3.垂直な直線を弁別する。 4.学習をまとめ、確認す

る。

◎電子黒板・タブレットPC ・話合いの場を設定し、直角、斜めなど、交わる角度への気付きを引き出していく。

・道を直線と見なして予想させてから、分度器で角度を測ったり、三角定規の直角部分をあてたりして調べていく。

・「垂直」とは、2直線の位置関係を表すものであり、形としての「直角」とは異なることに気付かせる。

◎電子黒板・タブレットPC

◎電子黒板・タブレットPC ・記号の部分だけでなく、直線を延ばすことで、他にも垂直になっている部分を見つけさせる。

◎電子黒板・タブレットPC 垂直の意味・性質を理解している。(知識・理解)

教科書の地図を拡大した図を提示して、学習への

興味・関心を高める。

十字に交わる以外に、T字、L字に交わったときも「垂直」であることが言えることを確認する。

直線アを延ばすと直線イと直角に交わることから、2直線が交わっていない場合でも、垂直になることをおさえる。

適用問題に取り組む。

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5 本時のICT活用の実践

(1)新しい単元の導入で意欲を喚起する

本時の学習の導入段階では、教科書に

載っている地図をよく観察し、児童同士

が気付きを共有することが大切である。

そこで、事前に教科書に載っている地図

をスキャンして画像データにし、タブレ

ットPCに取り込んで電子黒板に投影

した(写真1)。 電子黒板によるカラー地図の提示を

見た児童からは、「きれい」「見やすい」

といった声があがった。

児童には、提示された電子黒板の画像を見

せながら、道路の交わり具合に関して気付い

たことを自由に発言(「十字に交わっている」

「L字に交わっている」「ななめに交わって

いる」「直角に交わっている」など)させて

いった。発言があった箇所の交わりの部分を

適宜ピンチアウトして拡大提示することで、

児童の注目度が高まり、話題から逸れたり、

別の交わっている場所と勘違いしたりする

ことがほとんどなく、意見交換を行うことが

できた(写真2)。 (2)定規の使い方を演示する

めあての提示後、地図上の道路の交差部分に三角定規の直角の部分をあて、直角に

なっているかどうかを調べさせる前に、教師が電子黒板上で実際に三角定規をあてて

調べ方を実演した。また、道路が十字に交わっている時は○印、L字は△印、T字は

□印というように記号を書くように指示したことで、児童はスムーズに活動に入るこ

とができた。活動後は、電子黒板の画面上で交わっている部分を順次拡大提示し、全

体で確認した。確認する活動をとおして、常に十字の交わりで角度が90度(直角)

の時だけが垂直なのではなく、T字やL字に交わったときもその交わりの角度が90

度(直角)であれば、垂直であることを確認して、理解を深めさせた。

写真1:導入場面での地図の提示

写真2:ピンチアウトの機能で適宜拡大し

て提示する

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次に地図上では交わっていないが、その

直線を伸ばしていくと交わり、直角ができ

る場合でも垂直になるということをおさえ

た。電子黒板上で線を延ばして提示した上

で、実際に2枚の三角定規をあてる作業を

教師が演示し、それをもとに児童が教科書

の地図に同様に書き込むという形で進めた。

教科書と同じ電子黒板の画像を利用して演

示することで、児童に分かりやすく伝える

ことができた(写真3)。 (3)適用問題で習熟を図る 適用問題のシートをタブレットPCに取り込んでおき、電子黒板に提示して、答え

合わせに活用した。画像を使って解答を解説することで、誤答の理由等を分かりやす

く伝えることができた。 6 本時のICT活用の効果と課題

(1)効果

児童の意欲喚起

教科書を拡大提示することで、児童の学習意欲が高まった。導入で、児童の興味・

関心を高めることは、課題解決への意欲をもたせるために重要なことである。電子黒

板を活用することで、その目的を果たすことができたと考える。特に、本単元は図形

領域であり、図を大きく、カラーで提示できることは、極めて効果的であった。 授業の展開の場面でも、指定した角(交わっている道路)に着目させるとき、「青い

屋根の家から下に行って…」と説明する代わりに、教師の手元のタブレットPCに書

き込みながら場所を示すことで、指定した角を全員の児童に短時間で伝えることがで

きた。このことも学習への意欲の持続につながったと考える。 児童に極力背を向けない指導

タブレットPCと電子黒板を接続し、書き込んだり拡大したりして提示する場面で

は、板書するときとは異なり、児童に背中を向けることなく授業を進めることができ

る(または、背中を向ける時間が短くなる)という利点があった。 また、板書では、提示した図と書き込む教師の背中が重なり、座席によっては見る

ことができなくなるため、ストレスを感じる児童がいた。タブレットPCに書き込み、

電子黒板に投影する場合は、教師が電子黒板の横でタブレットPCの操作をするため、

教師の背中が障害とならない。教師も児童の説明に対する反応を見ながら授業を進め

ることができる。

写真3:問題場面の提示

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書き込み画像で理解が深まる

電子黒板はタッチペンを使用し、自在に書き込んだり、消したりすることができる。

また、書き込んだ画像を保存しておくこともできる。教科書の図を拡大コピーした場

合は、書き込むと消せないことや、間違えて書き込みをしたときにやり直しがきかな

いことが難点であった。特に、指名された児童が書き込む場合は、書き間違えること

も多いため、電子黒板を使用することにより、「書き間違えても大丈夫」という安心感

をもって書き込み、発表することができる。 さらに、本時に使った画像を複数保存しておくことで、次時の復習場面において、

状況に応じて提示したり、プリントアウトして配付したりして利用することができる。 (2)課題 ・電子黒板にタッチペンで書いたり、動画を比較して提示したりするなどの操作には、

教師、児童共に、ある程度の「慣れ」が必要である。今後、児童一人に1台ずつタブ

レットPCを配付して、教師・児童間の双方向の授業を展開していくためには、習熟

の時間を確保する必要があると考える。 ・電子黒板・タブレットPCに突然不具合等があった場合、授業がストップしてしまう

ため、回復するまでの時間が長い場合、児童の学習意欲が低下してしまうことが懸念

される。 7 実践を終えて

本単元では、作図方法を事前にタブレットPCに撮影して電子黒板に投影し、児童の

様子を見ながら指導することで、児童のつまずきや習熟の度合いを把握して授業を進め

ることができた。また、繰り返し再生することで、児童にとっては作図のヒントコーナ

ーにもなった。 このように、図形領域の学習において電子黒板とタブレットPCを使って児童に提示

することは、とても有効であると感じた。今後も有効と思える単元では、積極的に活用

して、実践事例を積み上げたいと考える。

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小学校 第5学年 算数科 実践事例(TT)

1 単元名 ともなって変わる量

2 目標

○2つの数量の変わり方に関心をもち、その特徴を導き出そうとする。

○比例する2つの数量の関係を表やグラフに表し、その特徴を考えることができる。

○比例する2つの数量の関係を式や表、グラフに表すことができる。

○比例の意味や比例する2つの数量の変化と対応の関係について、理解することがで

きる。

3 全体計画(全6時間)

主 な 学 習 活 動 時数 教師の支援 評価の観点(目指す子どもの姿)

○伴って変わる2つの数量 2 ○2つの数量の変わり方に共通する 【関心・意欲・態度】

を考察する。

表があることに気付くことができ ・伴って変わる2つの量

・身の回りの事象につい 本 るように、友達の考え方との共通 に関心をもち、その関

て、伴って変わる2つ 時 点や相違点に着目するよう助言す 係を調べたり、考察し

の量を見付け、それら 1 る。 たりしている。(行動観

の関係を調べる。 / 察・記録)

6 【数学的な考え方】)

・2つの数量の関係につ

いて、表に数量を当ては

めて調べていく中で、2

つの数量の対応や変わ

り方の特徴を考えるこ

とができる。(発言・記

録)

○比例の意味や比例のグラ 2 ○4学年の「変わり方」で、2つの 【知識・理解】

フの特徴を理解する。 数量の関係を式やグラフに表した ・比例の意味や比例の関

・比例する2数の関係を ことを想起させ、比例についても 係を表すグラフの特徴、

式やグラフに表す。 表してみようという意欲を喚起す 「きまった数×○=△」

る。 の式に表す方法につい

て理解している。(行動

観察・記録)

【技能】

・比例関係にあるものを

グラフに表したり、よ

んだりすることができ

る。(発言・記録)

○2つの数量の関係を、○、1 ○記号を用いた式で表すことが困難 【数学的な考え方】

△を使って式に表すこと な場合は、言葉の式で表してから ・2つの数量が伴って変

ができる。また、変わり 置き換えることを助言する。 わる関係について、○

方を調べ、比例を見付け や△を用いた式で表し

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ることができる。 ○2つの量の変わり方を記号を用い たり、表を使って調べ

・いろいろな2つの量の た式に表すことのよさに気付くこ たりできる。(発言・記

変わり方を○、△を とができるように、○や△にはど 録)

使って式に表したり、 んな数が入ってもいいことや、「き 【技能】

比例しているのは「ど まった数×○=△」になることを ・数量の関係を○や△な

れか」について調べ 理解できるようにする。 どを用いた式に表した

たりする。 り、表から比例関係を

判断したりすることが

できる。(発言・記録)

○既習事項の練習をする。 1 ○全員が意欲的に練習問題に取り組 【技能】

・既習事項や公式を適用 むことができるように、個に応じ ・表から比例関係を判断

して、問題を解決する。 た様々な問題を準備する。 することができたり、

数量の関係を○、△な

どを用いた式に表した

りする。(行動観察・記

録)

4 本時の実際(1/6)

(1)ねらい

・伴って変わる2つの量に関心をもち、その関係を調べ、共通なきまりを見付け出

そうとしている。

(2)学習の流れ

指導の手立て 評価

学 習 活 動

T1 T2 ICT活用

1.本時の学習課題をつ ・本時の学習課題 ・支援の必要な

かみ、問題解決の見 の参考になるよ 児童について、 表を提示し、

通しをもつ。 うに、4年生の 一緒に確認す 考えを出しやす

学習を想起させ る。 くする。

る。

◎電子黒板

4つの表の数の変わり方について調べ、気付いたことを発

表しよう。

【関心・意欲・

2.4つの表の数の変わ ・表に数を書き込 ・支援の必要な 態度】

り方を調べ、共通点 んだり、図を書 児童について、 ・伴って変わる

を考える。 いたりしながら 自力解決でき 2つの量に関

考えることがで るよう補助線 心をもち、そ

きるよう、シー シートを準備 の関係を調べ

トを準備する。 する。 たり、考察し

たりしている。

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(行動観察、記

3.考えを発表し、共通 ・複数の考え方を ・小グループで 録)

点を話し合う。 比較・検討でき はタブレット、

るように、タブレ 全体では電子

ットPCを使い、 黒板を用い、

小グループで考 分かりやすく グループでは

えを交流する場 説明できるよ タ ブ レ ッ ト P

を設ける。 う支援する。 C、全体では電

子 黒 板 を 活 用

・表を比べる際に、 し、4つの表に

友達の考えとの ついて、伴って

共通点や相違点 変わる2つの数

に着目するよう 量の対応や変わ

助言する。 り方の特徴につ

いて話し合う。

4.本時の学習をまとめ、・児童の言葉でま ・まとめがノー

振り返りをする。 とめられるよう トに正しく書

に、共通した考 かれているか

えを確認する場 確認する。 【数学的な考え

を設ける。 方】

・2つの数量の

関係について、

表に数量を当

てはめて調べ

ていく中で、

2つの数量の

対応や変わり

方の特徴を考

えることがで

きる。(発言、

記録)

2つの数量があって、一方の値が2倍、3倍・・・

になると、それにともなってもう一方の値も2倍、

3倍・・・になるとき、この2つの数量は比例する

といいます。

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5 本時のICT活用の実践

(1)問題解決の見通しをもたせる

課題を把握し、既習事項やこれまでの学習

経験を生かしながら、課題解決の見通しを

もつことができるよう、前年度に学習した

問題を電子黒板で提示し、説明した(写真

1)。

電子黒板を活用して、既習事項をおさえる

ことができたことで、その後の児童一人一

人の自力解決につながった。

(2)一人一人の考えをグループで話し合う

自分の考えを分かりやすく他者に伝える

ことができるよう、考える時間を保障した。

その際、電子黒板やタブレットPCを活用

して、学び合う場を設定したことにより、

自分の考えを意欲的に表現しようとする姿

が見られた(写真2)。

(3)グループの考えを全員で比較・検討する

発表グループの画像の文字等が小さかったため、画像を電子黒板と他のグループの

タブレットPCに転送した。発表者は、電子黒板に自分の考えを書き込みながら説

明することで、分かりやすく発表することができた(写真3)。

また、画面を別のグループの発表画面と瞬時に切り替えることができるため、互い

の考えを比較・検討するのに効果的であった(写真4)。

今回、実践はできなかったが、共通点を話し合う場面では、4グループの画面を一

度に表示できるように操作できれば、より効果的だったと考える。

写真1:前年度の教科書の問題を解く様子

写真2:グループの意見をタブレット端末上の画面に書き込み、話し合っている様子

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(4)本時のまとめをする

本時のまとめでは、電子黒板で提示さ

れた児童の考えをもとに、共通点を見付

け出し、全体で共有した(写真5)。

最後に、次時は比例の表について学習

していくことを確認し、授業を終えた。

6 本時のICT活用の効果と課題

(1)効果

学習意欲の高まり

一人一人の考えを小グループで話し合う際、

タブレットPCを活用することで、話合いの

流れに合わせて、内容を容易に書き加えたり

修正したりすることができる。意見がたくさ

んでても、画用紙に書くより、簡単に追加し

てまとめられるため、児童は、自分の意見が

グループの発表内容に反映されやすくなると

写真3:グループの意見を電子黒板上の

画面に書き込み、発表している様子

写真4:比較・検討している様子

写真5:電子黒板でキーワードを確認

写真6 グループの話し合い

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感じ、積極的に意見を出していた(写真6)。

また、全体の話合いの場面でも、電子黒板とタブレットPCを併用することで、児

童は見やすい画面の方を見ることができ、発表に集中することができた。

(2)課題

・比較・検討する場面で学習を深めるため

には、児童一人一人のタブレットPCか

ら、意見を集約したり、グループでタブ

レットPCを使って、意見を分類したり

する機能を効果的に活用する必要がある

と感じた(写真7)。

7 実践を終えて

電子黒板やタブレットPCを活用することにより、児童一人一人が、自分の考えを意

欲的に表現したり、発表したりすることにつながることが分かった。また、分かりやす

く他者に伝える表現力をはぐくんだり、多様な考えを分類、比較、検討しながら、数理

的なよさに気付かせたりする場面でも、効果があると感じた。

今後も、ICT機器をどんな教科、教材、場面で活用すればより効果的かを考え、実

践を積み上げていくことが重要であると考える。

写真7:比較・検討している場面

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小学校 第1学年 生活科 実践事例

1 単元名 みんなの にこにこ 大さくせん ~いっしょにあそぼう(昔遊び)~

2 目標

○友達や先生、地域の方々に目を向け、学校生活の中で自分ができることを増やし、

楽しみながら活動しようとしている。

○友達と共に遊んだり考えを聞いたりして、分かったことを表現するとともに、「に

こにこ」を増やすために自分に何ができるか考え、計画を立てて活動することが

できる。

○友達や自分の「にこにこ」が、自分の学校生活と深く関係していることに気付く

ことができる。

3 全体計画(全 11 時間)

※形態の「大」は学年または1~3学級、「中」は学級、「小」はグループを表す。

時間 過程・学習活動 形態 教師の主な支援 評 価 規 準

★関連

①「にこにこ大さくせん」の

計画を立てる。

○自分が「にこにこ」して

いる時はどんな時か、考

えたことや思ったことな

どを友達と伝え合い、も

っと「にこにこ」を増や

すにはどうしたらよいか

問いかける。

【思考・表現】

・自分が「にこに

こ」している時

はどんな時か思

い 起 こ し て い

る。

★学級活動「寒い

日の遊び方を考

えよう」

1 ②「クラスのともだちといっ

しょにあそぼう!」

・学級の友達といろいろな

昔遊びを楽しむ。

中 ○これまでの遊びから、さ

らにいろいろな遊びに目

を向け、「にこにこ」で遊

ぶことができるように昔

遊びを紹介する。

【気付き】

・友達と関わって

遊ぶと「にこに

こ」が増えるこ

とに気付いてい

る。

2 ③「いろんなあそびにちょう

せんしよう!」

・いろいろな昔遊びに挑戦

する。

(こま・おはじき・あやと

り・おりがみなど)

3C

○みんなが「にこにこ」で

遊びを楽しめるように、

困ったことがないか、遊

びのルールや片付けの約

束はどうかなどについて

話し合う場を設定する。

【思考・表現】

・遊びのルールや

約束、片付け方

や 用 具 の 使 い

方、安全に気を

付けて遊んでい

る。

★道徳「みんなの

こうえん」

2 ④「ともだちといっしょに、

むかしあそびにちょうせ

んしよう!」

3C

○いろいろな友達との遊び

や関わりに意欲をもち、

楽しむことができるよう

【関心・意欲・態度】

・いろいろな友達

と関わって遊ぼ

みんなの にこにこ 大さくせん ~いっしょにあそぼう~

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17

・隣のクラスの友達や先生

と一緒にいろいろな遊び

を楽しむ。

見守るとともに、関わっ

たり遊んだりしている場

面における「にこにこ」

の様子を紹介する。

うとしている。

★図工「うごくお

もちゃをつくろ

う」

1 ⑤「いろんな人とあそんでみ

よう!」

・校内のいろいろな先生や

友達と一緒に昔遊びを楽

しむ。

3C

○意欲をもって遊び、いろ

いろな人との関わりを楽

しむことができるよう、

遊び方や遊びのこつをい

ろいろな先生に教えても

らうとよいことに気付か

せ、交流を促す。

【関心・意欲・態度】

・昔遊びに関心を

もち、友達や先

生と遊びを楽し

んでいる。

本時

⑥「いろんな人とたのしくあ

そぼう!」

・校内のいろいろな先生や

友達と一緒に昔遊びを楽

しむ。

3C

○様々な友達や先生と関わ

る楽しさやよさに気付く

ことができるよう、上手

に声をかけていたり、友

達と楽しく遊んでいたり

する子どもの様子を紹介

する。

【関心・意欲・態度】

・友達やいろいろ

な先生と進んで

関わり、昔遊び

を 楽 し ん で い

る。

2 ⑦「もっともっとあそんでみ

よう」

・地域の名人やおうちの人

と一緒に昔遊びを楽し

む。

6C

○様々な人と遊ぶ楽しさや

進んで関わることのよさ

に気付くことができるよ

う、保護者や地域の人と

一緒に遊ぶ場を設定す

る。

【関心・意欲・態度】

・友達や地域の方

と遊んだり、伝

え合ったりする

こ と を と お し

て、関わること

のよさや楽しさ

に 気 付 い て い

る。

1 ⑧「もっと『にこにこ』大さ

くせん」

・自分やみんなの「にこに

こ」が増えたかを振り返

り、次の活動への意欲と

見通しをもつ。

中 ○自分や友達の「にこにこ」

が増えたことに気付くこ

とができるよう、これま

での活動を振り返り、紹

介し合う場を設定する。

【思考・表現】

・いろいろな人と

遊んで楽しかっ

たことや、関わ

ることのよさを

振り返り、表現

している。

4 本時の学習(8/11 3C3T)

(1)ねらい

・昔の遊びに関心をもち、いろいろな先生や友達と進んで関わりながら、楽しく

遊ぶことができる。

(2)学習の流れ ・学習形態[中集団→小集団→中集団] ・学習の場[さくらっ子ホール、1年1組教室、1年3組教室 ]

みんなの にこにこ 大さくせん ~にこにこ パワーアップ~

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時間 学習活動 指導の手立て・評価 ICT 活用 7

20

15

1.本時のめあてと学習の流れを確認す

る。

2.コースに分かれて昔遊びをする。 【遊びのコース】 ・おりがみ、あやとり、お手玉コース ・けん玉、こまコース

・めんこ、おはじき、だるまおとしコ

ース 〈予想される児童の反応〉

・前よりも上手にできるようになり

たいな。 ・どうやったらうまくできるかな。 ・○○さんと一緒にやってみようか

な。 ・△△先生にきいてみようかな。 ・聞いてみたいけれど、ちょっとはず

かしいな。 ・上手にできたからみんなに見せたい

な。 3 片付けをする。 4 本時の振り返りをする。 〈振り返りの視点〉 ・友達に教えてもらったらできたよ。 ・○○さんと初めて話したよ。

・友達や先生と競争したら楽しかっ

たよ。 ・先生にこんなことを教えてもらっ

たよ。

◎電子黒板・タブレットPC ・遊ぶ場所や時間、みんなで話し合っ

た遊びのルールなどを確認する。 ・遊びのこつを伝え合ったり、いろい

ろな先生や友達に教えてもらった

りすることができるよう、様子を観

察し関わりを促す。 ・戸惑っている児童には、自分から遊

びに入っていくよう、声を掛け励ま

す。 ・教師も教わったり、質問したりする

ことによって、関わりやすい雰囲気

をつくる。

○次も気持ちよく遊ぶために、始めた

ときと同じように片付ける約束を

確かめる。 ○「またやりたい」「もっとうまくな

りたい」という児童の声を取り上

げ、次時の学習につなげていくよう

にする。 ○友達のよいところや関わり、感謝の

気持ちなどにも気付くことができ

るように声を掛ける。 ○次は地域の名人さんや家の人と一

緒に遊ぶ活動であることを伝え、さ

らに意欲を高めていくようにする。

いろんな人と たのしくあそぼう ~やってみよう!

きいてみよう!~

昔の遊びに関心をもち、友達や

いろいろな先生と進んで関わりな

がら、楽しく遊んでいる。 (行動観察・発言・シート)

児童が本時のめあてを意識して、

意欲をもって学習できるよう、これ

までの遊びでできるようになった

ことや、遊んでいる様子などを写真

や動画で紹介する。

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5 本単元のICT活用の実践

(1)導入を工夫する

本単元では、各時間の導入や振り返

り、まとめの場面において、タブレッ

トPCやデジタルカメラで撮影した

写真と動画を大型モニターで提示し

た。

導入では、「自分が『にこにこ』し

ているときはどんなとき?」という発

問に児童が答える際に、各クラスの担

任等が、単元に入る前の児童の「にこ

にこ」の様子を撮影した画像を提示す

ることで、具体的な場面を想起できる

よう支援した。

(2)振り返りを工夫する

コース別に分かれて活動している

ときに、教師が全体の様子を見ながら、

関わり方や活動意欲が伝わる場面を

数枚撮影し、電子黒板にサムネイル表

示した。

個々の振り返りでは、その画像を提

示しながら、「これはどんなふうにお

話ししていたのかな?」「どんな気持

ちでしたか?」などと問いかけること

で、心情を引き出すことができるよう

支援した。

また、次時への意欲につながるよう、

できなかったけん玉やコマ回しが成

功した時の画像や、動画を児童の言葉

と共に電子黒板で提示した。

写真1:児童の発言を補足する写真を

その場で提示

写真2:活動中の関わり方の様子が

よく分かる写真を提示

写真3:サムネイルから写真を選んで

大きく提示

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6 本単元のICT活用の効果と課題

(1)効果

分かりやすく伝えるために

「自分が『にこにこ』しているときは

どんなとき?」という発問をする際、そ

の場面に即した画像を電子黒板で提示

することで、児童は、その時の様子や心

情、発言の意図を分かりやすく発表する

ことができた。

半数以上の児童は、タブレットPCを

家庭で使用したことがあり、画像や動画

を撮影する機能にも慣れた様子であっ

た。本時のように、撮影した画像や動画

を電子黒板で紹介する操作は、比較的容

易であり、低学年児童が自分で操作し発

表に活用することも可能であると考え

る。 意欲を高め、かかわりを広げるために

自分の活動の様子が撮影された画

像や動画が、電子黒板を使ってみんな

に紹介されることで、児童の学習意欲

が高まった。「今日は誰が紹介される

かな?」「ほかの友達はどんなことを

していたのかな?」など、画像や動画

で、自分や友達の活動の様子が紹介さ

れることを楽しみにしている発言が

多く聞かれた

さらに、「自分もあんなふうにやっ

てみたい」「あの子に教えてもらいたい」

など、進んで他者と関わろうとする、

本時のねらいの達成のためにも、電子

黒板の活用は有効であると考える。

写真4:前時の活動を写真で振り返る

写真5:単元名はパワーポイントで

壁紙に

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見とりや評価に生かす

コース別の活動では、遊びが多様になり、丁寧に見とることができないことが

多い。しかし、振り返りやまとめの場面において、電子黒板に活動の様子を大き

く表示し、教師が「これはどんなふうにお話ししていたのかな?」「このときは、

どんな気持ちでしたか?」などと問いかけたり、心情を引き出したりすることで、

見とりを補足し評価に生かすことができる。

7 実践を終えて

生活科の授業では、以前から見とりと評価のために、デジタルカメラで活動の様

子を撮影し保存していたが、今回、デジタルカメラに加え、タブレットPCと電子

黒板を活用し、活動中に撮影した画像や動画をその場で、児童に提示することで、

興味・関心を高め、児童同士の関わりを広げるきっかけとしたり、相互評価に役立

てたりすることができた。また、操作の簡単なタブレットPCと情報の共有化を図

りやすい大型の電子黒板を組み合わせての活用は、低学年の児童の発言を補完し、

関連付けたり、価値付けたりするためにも有効であると感じた。

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小学校 第4学年 国語科 実践事例

1 単元名 のはらうた ~詩を楽しもう~

2 目標

○野原の住人の性格や思いを想像しながら「のはらうた」を読むことができる。○思い浮かぶ様子を発表し合い、一人一人の感じ方に違いがあることに気付くことができる。

3 全体計画(全3時間)

第1次(2時間)・詩を読んで、感想をもつ。・野原の仲間の性格を考えながら、お気に入りの詩を選び、音読の工夫を考える。・詩に描かれている様子に合う写真について話し合う。(本時)第2次(1時間)・詩に描かれている様子を想像して、音読に表し友達と聞き合う。

4 本時の学習(2/3)

(1)ねらい

・詩の様子に合う写真について、選んだ理由を説明することができる。

(2)学習の流れ

学習活動 指導の手立て 評価 ICT活用

1.前時の学習を振り返り、 ・本時の見通しをもつことができるように、めあてと学本時のめあてを確かめ 習の流れを提示する。る。

・本時の学習の進め方を確認し、学習への意欲を高める。◎電子黒板

2.季節をイメージしやすい ・季節の根拠となるものや場所にタッチペンでマークし写真を使い、考えの根拠 ながら話し合う。 ◎電子黒板を話し合う。

・「根拠のある考え」の発表をイメージできるように、季節をイメージしやすい写真を提示し、全体で季節の確認をする

3.詩に描かれている様子に ・タブレットで詩の様子に合う写真を選び、簡潔に理由合う写真を選び、話し合 をまとめる。 ◎電子黒板、タブレットPCう。

詩の様子に合う写真について、選んだ理由を説明している。(ノート、発表)

4.本時の学習を振り返り、 ・写真を選んだ根拠を分かりやすく記録するよう声を掛次の活動の見通しをも ける。つ。

・クラスの詩集作りのイメージをふくらませ、これからの意欲付けを図る。

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5 本時のICT活用の実践

(1)課題を明確にする活用

導入時に、単元名や本時のめあて、本時の学習

の流れを電子黒板に提示し、学習の見通しをもた

せた。また、本時のめあてなど、1時間をとおし

て提示したいものは、黒板にも板書した(写真1)。

(2)比較画面で違いを確認

作者の名前のイメージに合う写真を選ぶ活動で

は、視覚的な比較が簡単にできるよう、2枚の写真

を並べて電子黒板に提示したり、写真を拡大表示し

てより詳細な情報を提示したりすることで、児童が

選択の根拠を明確にできるようにした(写真2)。

(3)発表の支援と学びの共有

選んだ写真や考えを記したノートを電子黒板に提

示したり、書き込んだりしながら発表することで、

根拠を明らかにした分かりやすい説明をすることが

できた。また、発表を聞く児童たちも、発表者の考

えを音声と具体物で共有でき、共感しながら聞くこ

とができた(写真3)。

(4)個別の活動

終末時に、詩のイメージに合う池の写真を個別に

選ぶ活動に取り組んだ。児童は、タブレットPC上

の画面にある池の写真に、新たにタイトルを書き込

んだり、作者名を考えたりするという活動を行った。

自分で考えたタイトルを友達に紹介するなど、自然

に交流する姿が見られた(写真4)。

写真1:学習の流れを提示

写真2:写真の比較

写真3:発表している場面

写真4:タブレットPCを活用した個別の活動

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6 本時のICT活用の効果と課題

(1)効果

学習意欲の高まり

写真から情報を読み取ったり比較したりする場合、

プリンターで印刷した紙の資料より大きく鮮明であ

ることから、分かりやすく、児童の学習意欲も高ま

ると感じた。

また、自分の考えが電子黒板で取り上げられるこ

とで、発表にも意欲的に取り組む姿勢が見られた(写

真5)。

思考を深めるための支援

タブレットPCで、自分の考えを書いたり、修正し

たりすることを繰り返すことで、思考を深めることが

できると感じた。

また、自分で選択した写真をタブレットPCの画面

に映し、容易にグループで見せ合うことができるため、

様々な意見をもらいながら思考を深めることもでき

た。個の考えを共有し思考を深める道具として、タブ

レットPCは有効な手段であると考える(写真6)。

学び合いのための支援

児童のノートを撮影し電子黒板に提示することによ

り、鮮明で見やすい多くの画像を比較・検討すること

が可能となり、積極的に他者の考えを自分の考えに生

かそうとする姿が見られるなど、学び合いに広がりと

深まりを感じることができた。

(2)課題

・複数ページに渡る資料やたくさん書き込ませたい資料等については、画面が小さいタブレ

ットPC上ではなく、紙媒体で準備するなど、タブレットPCと紙の使い分けが大切であ

る。

・限られた授業時間の中で、発生する機器のトラブルに対応できるようにするには、機器の

機能等をよく理解しておく必要がある。

7 実践を終えて

児童はタブレットPC等のICT機器を扱う授業を好む傾向がある。電子黒板を立ち上

げる前から「今日は何をやるのかな?」という期待の声が聞こえる。さらに、自分の考え

やノートが電子黒板で取り上げられることで、自信をもつ児童も見られる。児童の関心や

意欲、集中力を高めるなどの効果を最大限に生かした授業づくりを今後も継続していきた

い。

写真5:発表の様子

写真6:タブレットPCを活用した個別学習

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中学校 第3学年 技術・家庭科(技術分野) 実践事例 1 題材名 プロロボを制御するためのプログラムの作成 D(3)イ

2 目標

○情報に関する技術を適切に評価し活用しようとしている。

○目的や条件に応じて情報処理の手順を工夫している。 ○簡単なプログラムを作成できる。 ○コンピュータを用いた計測・制御の基本的なしくみについての知識を身に付けてい

る。 3 全体計画 (全8時間)

題材名 題材の目標 主な学習内容・活動 時数

・プログラムに

よる計測・制

・コンピュータを用いた制御技

術が、生活の中で利用されて

いることが分かる。 ・計測・制御の基本的なしくみ

が説明できる。 ・プログラムの役割を理解し、

具体的な仕事の流れ図が作成

できる。 ・目的や条件に合う動作を考え、

プログラムを作成することが

できる。

・コンピュータが組み込まれ

ている機器や機械を調べ

る。 ・身の回りにある計測・制御

システムと人の行動を対比

させて考える。 ・身近な動作や作業を正しい

順に並べ替え、流れ図を作

成する。 ・指定された動きをプログラ

ムにし、模型を動かす。

・情報とわたし

たち

・情報の技術と社会・環境との

関わりを考える。 ・情報社会を生きるために心が

けるべきことが理解できる。

・情報の技術の発達により、

社会や環境がどのような変

化したのか調べる。 ・自分の将来や生き方に、情

報に関する技術をどのよう

に活用すべきかを考える。

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4 本時の学習(7/8) (1)ねらい ・センサを利用して、ロボットを指定されたコースどおり通過させることができる。 (2)学習の流れ

学習活動

1.前時の学習を振り返る。 2.フローチャートの作り方

を確認する。 3.本時の学習課題を知る ・フローチャート作成の手順

を確認する。

①分岐の考え方の確認 ②YES,NO の次の動き

【課題1】

センサを利用したプログ

ラムをつくり、課題のコース

をクリアする。 【課題2】

「交差したコースを通過

させるためのプログラム」を

考える。 4.まとめと次時の予告をす

る。

・学習の見通しをもつことができるよう助言する。

・本時の学習課題を提示する。 ・プログラム作成の進め方を確認する。

◎電子黒板 ・4通りの分岐になることを確認する。

◎電子黒板

・参考例を入力しながら工程を考えさせる。 ・考えた順番を生徒に問いかけながら、プログラムの

手順を補足していく。 ・交差時のセンサの状態が理解できるよう、話合いの

場を設定する。

※制御の学習のため、タブレットPCは生徒によって常時使用されている。

ICT活用 評価 指導の手立て

自分で考えたプログラムをフローチャートで表

現できる。(観察・画面の確認)

プログラムが作成できる。(観察・画面の確認)

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5 本時のICT活用の実践 (1)フローチャートの作成手順を確認する 接触型センサにおける分岐の働きについ

て復習し、照度センサの働きとコースとの 関係について確認する。

ライントレースによる制御となるため、 これまでの接触型センサではなく、照度で 判断するユニットとなる。新しいユニット ではあるが、条件分岐は既習内容の応用で あることを、電子黒板を活用して確認した。

(2)自分の考えをフローチャートに表し、友達と検討する

ロボットに装着したユニットが、コー

ス上の照度を判断して進む方向を判断

し修正する働きを理解する活動である。 デスクトップPCに比べ、タブレット

PCを使用した場合、周囲の友達との情

報交換が活発になった。タブレットPC

のキーボードを分離することで、タブレ

ットを持ち運びやすくなり、周囲の友達

と比較したり、アドバイスし合ったりす

ることが容易になった。学び合いが自然

発生的に生まれ、理解が深まった(写真

1)。 (3)コンピュータに縛られない学習形態 次に、電子黒板とホワイトボードで4通

りの分岐になることを確認した上で、課題

1のプログラム作成と実行を行ったが、ロ

ボットが思いどおりに進まず、立ち往生す

る事例が続出した。プログラムに何か不足

している部分があることに気付いている

様子だったが、どのように対処すべきかが

問題となった。 そこで、作業を中断し、改善点を話し合

う場面を設けた。これまでは、ディスプレ

イに遮られ、移動することでしかできなか

った話合い活動を、広い机上でタブレット

PCのディスプレイを示しながら行うこ

とできた(写真2)。

フローチャート上の「条件分岐」

のイメージ

開 始

NO YES

センサ

写真1:生徒同士による学び合いの

場面1

写真2:生徒同士による学び合いの

場面2

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6 本時のICT活用の効果と課題 (1)効果 学習形態の自由化

これまでのコンピュータ室に比べ、自由に活用できるスペースが広がった。コン

ピュータの配置に影響されずに、隣同士の相談や小グループの話合いを行うことが

可能となった。現在、コンピュータ室の机の配置変更はしていないが、今後、配置

変更等により、様々な学習形態が可能になると考える。 学び合いの活性化

以前のデスクトップPCを使用した活動では、生徒の机上が狭く、シート記入な

どで苦労していた。特に、本時のような「プログラム作成・転送・動作確認」まで

行う授業では、生徒同士が場所を譲り合わなければならかった。生徒同士の学び合

いの際にも、プログラムを直接比較することができず、何度も自席との往復を繰り

返すなど、ストレスを抱えながらの学習であった。 タブレットPCの導入により、机上の空間が大きく確保され、前述のような問題

は、ほぼ解消された。また、離れた生徒同士が、タブレットPCを持ち寄ることが

可能となり、比較や検討が容易になった。生徒同士が、互いのアイディアを披露し

合うことで、より活発な学習ができるようになった。今後は、「迷路抜け」の学習

でタブレットPCの威力が発揮できることが期待される。例えば、教室中央に複数

の異なる迷路を設定し、その周辺で生徒がコース状況を把握しながら、その場でプ

ログラムの調整をタブレットPCで行うなど、ロボコンさながらの授業展開が可能

となる。 (2)課題

・タブレットPCを連続して使用する際、バッテリー切れを起こすことがしばしば

あった。対策として、省電力モードで使用した場合は、画面が暗くなり、生徒の

身体への負担も大きくなる。画面照度とバッテリーの持続時間の調整が難しいと

感じた。 7 実践を終えて

技術分野「D 情報に関する技術」の学習では、コンピュータ室を利用することが

多く、デスクトップPCによって学習形態に制約を受けることが多かったが、今回の

タブレットPCによる学習は、コンピュータ室に自由度を与え、学習形態の工夫や、

学び合いを引き出すことができた。特に「考えを深めるためのアイテム」としてのタ

ブレットPCの価値は高く、これまではICTの導入が見送られてきた題材での活用

が考えられる。思考する時間を確保し、様々な考えを共有するために、タブレットP

Cの効果的な活用を考えていきたい。

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中学校 第1学年 社会科 実践事例

1 単元名 世界の様々な地域 -世界の様々な地域の調査-

2 目標

○世界の様々な地域の調査とその地域的特色に対する関心を深め、意欲的に課題を追究しようとしている。

○世界の様々な地域の地域的特色をとらえる適切な主題を設定し、多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現することができる。

○世界の様々な地域の調査とその地域的特色に関する様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりすることができる。

○世界の様々な地域の調査において、地域的特色とともに、世界の様々な地域の調査を行う際の視点や方法を理解し、その知識を身に付けている。

3 全体計画(全7時間)

第1時 調査主題の決定と調査方法の確認第2時 資料の収集と選択1(図書館)第3時 資料の収集と選択2(コンピュータ室)第4時 調査結果のまとめ(コンピュータ室)第5時 調査結果の検証第6時 発表準備第7時 調査結果の発表(本時)

4 本時の学習(7/7)

(1)ねらい

・世界の国々の地理的事象に関する調査結果の発表を聞き、環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し、地域的特色や地域の課題をとらえ、適切に表現することができる。

(2)学習の流れ

学 習 活 動 指導の手立て 評価 ICT活用

1.本時のめあてを確認す

る。

2.作成したレポートの発表

を聞き、感想を発表する。

3.それぞれのレポートをも ・世界の国々の一般的共通性と、地域的特殊性につい

とに、世界の国々の地理 て取り上げ、考察の視点がぶれないよう助言する。

的事象の比較・考察を行

い 、 自 分 の 言 葉 で ま

とめる。

写真1:調査学習の様子

互いの発表を聞き合い、世界の国々の様子をつかもう

生徒の調べている国の位置関係を電子黒板上の電子地球儀と世界地図で提示することで、興味・関心を高める。

レポートを電子データ化し保存したタブレットPCを電子黒板に接続し、地図やグラフ、写真などを見やすく拡大しながら発表できるよう助言する。

電子黒板・タブレットの機能を使い、それぞれが作成したレポートを並べて、比較・考察ができるようにする。

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4.本時の振り返りを行う。 ・調査結果だけでなく、調査方法やまとめ方に関わる

部分についても考えさせる。

5.単元の学習のまとめを行 ・2年生で学習する「日本の様々な地域」の学習にも

う。 関連することを説明する。

世界の国々の地理的事象に関する調査結果を

環境条件や人間の営みなどと関連付けて考察し、

国の地域的特色や地域の課題をとらえ、表現す

ることができる。(観察・ワークシート)

5 本時のICT活用の実践

(1)電子黒板のメリットを生かして教材を提示

する

電子黒板上で、電子地球儀(写真2)およ

び世界地図(写真3)を提示することで、世

界の諸地域、世界各国の相対的な位置、距離

関係を明確にとらえさせることができた。

電子地球儀や世界地図は、特定箇所の拡大

・縮小が容易であることもメリットである。

従来の掛け地図では、教室後方の生徒が見づ

らいこともあったが、電子黒板の機能を活用

することで見やすく提示することが可能であ

る。

(参考)

・Flash 3Dバーチャル地球儀 http://earth.watype.net

・世界地図 http://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/worldmap.pdf)

写真2:電子地球儀

写真3:世界地図

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(2)電子黒板を活用してレポートを発表する

本時では、生徒が作成したレポートを電子

データにし、電子黒板上に提示して発表会を

行った。レポート用紙に書いた内容を拡大表

示できることは大きなメリットである。特に、

グラフ、表、地図などは、レポート用紙に載

せる際、どうしても小さくなってしまうため、

拡大提示することでより分かりやすい発表を

することができる(写真4)。

(3)タブレットPCを活用して地理的事象の比

較・考察をする

電子化されたレポートを一人一台のタブレ

ットPC上で見て、世界の各地域および世界

の国々の一般的共通性と地域的特殊性につい

て考察した。

互いのレポートを手元で見て、じっくり考

え、比較・考察することで、個々の考えがよ

り深まったと感じた。

6 本時のICT活用の効果と課題

(1)効果

発表におけるタブレットPCと電子黒板の活用

本実践では、書籍やインターネットで調査した結果をレポートにまとめた上で、

スキャナを活用して電子化し、タブレットPCおよび電子黒板で発表できるように

した。通常のレポートでは、決められた用紙の中に調査内容を書かなければならな

いため、文字が小さくなってしまい、発表の際には大変見づらくなりがちである。

しかし、タブレットPCでは画面拡大が容易なため、自分の発表に合わせて、文字

やグラフ、写真を見やすく拡大し、分かりやすく説明することができた。画面その

ものにも直接書き込みできるため、発表者が強調したいところをタッチペンで容易

に囲んだり、線を引いたりすることができることも利点と考える。

① 調査結果の分析・比較・意見交換のしやすさ

タブレットの画面を、授業サポーターの機能を活用して電子黒板の画面上に

配信したり、並べたりして共有することで、調査の視点やまとめ方の違い、調

査結果などについて分析・比較・意見交換することが容易にできる。

また、各自がタブレットPCで、他の生徒のレポートを受信し、必要に応じ

ていつでも、拡大などの操作を行いながら見ることができる。さらに、コメン

写真4:電子黒板を活用した発表

写真5:タブレットPCを活用して考察

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ト機能で他の生徒のレポートに、感想や意見を添えることも容易にできるので、

これまでとは違った形で発表会を進めることも可能である。

② 参考資料等をストックして利用

限られたレポート紙面では、自分で収集した全ての資料を掲載することは難

しい。しかし、調査主題を多面的・多角的に調査・考察・分析するためには、

様々な地図や統計資料、グラフなどが不可欠であり、他の生徒に分かりやすく

伝える際にも必要となる。共有サーバーのマイフォルダに必要とする資料を保

存しておくことで、発表の際に簡単に提示できる。

③ 発表の仕方を自分で考察

レポート用紙だけではできなかった、様々な資料を織り交ぜた「分かりやす

い発表」の仕方について、考えることができた。

④ ICT機器を使った学び合い

電子化されたレポートに、ジャス

トジャンプの「マイフォルダ」の「コ

メントを書く」機能を使用し、教師

や生徒がコメントを付け、良かった

点や次回への改善点をアドバイスす

るなどの意見交換を行うことができ

た(写真6)。

(2)課題

・本年度はタブレットパソコンが導入された初年度ということもあり、生徒の基本操

作の習得に時間がかかった。また、自宅にタブレットPCがある生徒とない生徒で

は、操作スピードの差が大きく、操作の習熟の程度が、授業の進行に影響を及ぼし

かねないと感じた。技術・家庭科の授業と連携を図り、生徒のスキルの差を埋める

ことが必要である。

・電子黒板のタッチパネルで画像を動かしたり、注目するポイントをペンで囲んだり

するなど、より効果的に活用するためには、教師の習熟が必要である。

7 実践を終えて

タブレットPCと電子黒板を活用した授業づくりにあたっては、指導にあたる教員

も機能や操作方法を知り、「どの場面で」「どのように」活用するか、事前にしっかり

計画を立てて進める必要がある。今回の実践では、ICT機器を活用することで各教

科等の授業も大きく「変わる」可能性があると感じた。

一方、黒板やノートを使い、まとめる学習も大切と考える。それぞれの良さを生か

し、使う場面を見極め、授業を組み立てていくことも忘れてはならないと考える。

写真6:レポートへの教師のコメント

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中学校 全校集会 実践事例

1 活用場面 全校集会「3年生を励ます会」

2 時期と会場 12月上旬 多目的ホール

3 目的

○1、2年生から激励の気持ちを伝えることで、入試を控えた3年生の、夢や希望

に向かってさらに努力していこうとする気持ちを高める。

4 内容

(1)3年生入場

(2)生徒会長あいさつ

(3)生徒会総務企画

(4)1、2年生からの発表

(5)スライドショー「3年間の思い出」

(6)お世話になった先生方からのメッセージ

◎電子黒板

(7)3年生の代表からお礼の言葉

(8)校長先生のお話

(9)3年生退場

5.ICT活用の実践

多目的ホールに電子黒板を運び、タブレッ

トとつないで3年生のこれまでの歩みをプレ

ゼンテーションソフトを使って映した。

また、お世話になった先生方からのメッセ

ージ(動画)も映した(写真1)。

写真1:全校集会の様子

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6 ICT活用の効果と課題

(1)効果

鮮明な画面と使い勝手のよさ

昨年度までは、ノートパソコンとプロジェクターを使って映していたが、本校

の多目的ホールは暗幕がなく、天候によっては周りが明る過ぎて見えづらいこと

があった。一方、電子黒板は、画面が明るく解像度も高いので、はっきりした画

面や動画を映すことができた。また、本校のような小規模校(全校生徒数約150

名)では、60インチの電子黒板の画面は適度な大きさであると感じた。

従来、全校集会や学校祭において視聴覚機器を使用する際には、デジタルビデ

オカメラやプロジェクター、ノートパソコン、スクリーン等たくさんの機器の準

備が必要であり、それらを接続する配線も複雑であったが、同じことがタブレッ

トPCと電子黒板のみでできることは、便利であると感じた。

7 実践を終えて

各学校にタブレットと電子黒板が学校現場に導入され、その効果的な活用方法に

悩む場面も少なくないと思われる。効果的な活用方法を見いだすためには、その新

しい機器が「どのような特徴を持っていて、どんなことができるのか」をまず理解

することが必要であるが、今回の本校での実践は、これまで多くの学校で行われて

きたプレゼンテーション場面での活用であり、比較的どの学校でも実践可能な内容

である。機器自体(電子黒板)が大きいので、生徒だけで準備したり、事前に会場

に運んでリハーサルを行ったりすることは、安全面で配慮する必要もあるが、今後、

生徒主催の集会や行事、部活動等で活用することも考えられる。

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平成26年度ICT活用推進委員会

○会 長

林 良雄 秋田大学教育文化学部教授

○副会長

今田 智範 秋田市立岩見三内小・中学校長

○委 員

加藤 康 秋田市立浜田小学校教諭

秋元真由美 秋田市立仁井田小学校教諭

森川 寛子 秋田市立桜小学校教諭

利部 久孝 秋田市立御所野小学校教諭

松渕 公明 秋田市立山王中学校教諭

斉藤 洋貴 秋田市立下浜中学校教諭

武藤 浩一 秋田市立河辺中学校教諭