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2019 グローバルコンタクトセンターサーベイ

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Page 1: 2019 グローバルコンタクトセンターサーベ …...CRMシステムへの投資対効果(ROI)に満足している企業 はわずか16%だった。多くの企業は、従来のビジネスプロ

2019グローバルコンタクトセンターサーベイ

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

はじめに今日、顧客は、カスタマージャーニー(※1)のあらゆるステップにおいて、企業への期待値が高まり続けている。そのため、企業側は、カスタマーエクスペリエンス(CX)の高度化に向けた戦略の立案・実行に、一層注力している。特にコンタクトセンターは、企業と顧客間の繋がりの強化、信頼の獲得およびロイヤルティの醸成のための重要なタッチポイントである。今ではCXの高度化を最優先事項として、多くのコンタクトセンターが、応答率の改善、パーソナライズ化の強化および対話の簡素化に対応しうる新たなテクノロジーへの投資を行っている。あらゆるチャネルから、いつでも、どこにいてもアクセスできることがあたりまえになっている今、コンタクトセンターは、オムニチャネル化を実現し、一貫したCXを提供しなければならない。

CX高度化へのさらなる注力と、新しいテクノロジーの継続的な導入により、今後2年間でコンタクトセンターのサービスレベルはさらに向上すると予想される。

今回が4回目となるデロイトのグローバルコンタクトセンターサーベイは、世界各国のコンタクトセンター長または企画担当管理職に対して、現在の課題への対応方針と、今後数年間でビジネスがどのように発展していくのかについて調査した。

さらに、今回初めて日本企業も調査対象に加え、日本企業に特化した分析を実施した。結果は、後頁Appendixを参照頂きたい。

(※1)カスタマージャーニーとは、顧客(=消費者、カスタマー)が企業や企業が提供する商品・サービスと接する一瞬一瞬のシーンが時系列に繋がったもの

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

主な考察調査結果から明らかとなった7つの考察

・ カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが最大の差別化要因企業にとって競合他社との差別化や競争優位の確保のためには、高度なカスタマーエクスペリエンス(CX)の実現が重要である。特に、パーソナライズ化、応答率の向上および迅速な問題解決能力はCX高度化の有力な手段であり、その実現にはテクノロジーや人材への投資が必須である。

・ CX提供水準の高度化現在、多くのコンタクトセンターではCX高度化のために繋がりやすさや信頼性を重視し、応答率の向上や正確な応対など当然の顧客ニーズを充足するための施策を行っている。しかし、今後は、より高度な顧客ニーズへの対応方法として、エフォートレスエクスペリエンスやパーソナライズ化が重視される見込みである。

・ オムニチャネルの重要性企業はマルチチャネル化を促進しているものの、顧客への適切なチャネルの誘導に苦労している。顧客は、チャネルの自由な使い分けに加え、チャネル横断で一貫したCXが実現されていることに当然の期待を持っている。企業は、その期待に応え優れたCXを提供するために、コスト効率を維持した適切なチャネルへの誘導とオムニチャネル化を実現する必要がある。

・ 進むクラウド化CRMとナレッジ管理を筆頭に、コンタクトセンターにおいてもクラウド化が進んでいる。一部領域は、現行システムの償却期間中であることやセキュリティ面への懸念などからクラウド化が遅れているが、オムニチャネル化の浸透やテクノロジーの進化に伴って、今後2年間でクラウド化は更に普及すると予想される。

・ テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化多くの企業でCX高度化に貢献するテクノロジーとして人工知能(AI)とプロセス自動化(RPA)への投資が計画されている。AIの主な活用用途は、顧客との対話内容の分析や、エージェントへのリコメンデーションおよび顧客の嗜好性を捉えた応対のパーソナライズ化である。又、RPAの主な活用用途は、データ入力などエージェントの手作業を削減することであり、それによってエージェントは顧客との関係構築・強化など、ヒトにしかできない高付加価値な業務に専念できるようになる。

・ テクノロジーありきは本末転倒CRMシステムへの投資対効果(ROI)に満足している企業はわずか16%だった。多くの企業は、従来のビジネスプロセスを前提にCRMシステムをカスタマイズしており、新たなCXやサービスモデルの実現には至っていないためである。一方でそれらを実現できている企業は、CRMシステム、基幹システムやその他システムとデータを連携させることでタイムリーかつパーソナライズ化された応対やチャネル横断でシームレスな応対を行っている。

・ 人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入今後2年間で、在宅勤務を導入している企業数は、現在の34%から56%に増加すると予想される。在宅勤務を推進することで、コンタクトセンターは、エージェントが重視する柔軟な働き方を担保し、且つ高度化するスキルレベルに見合う人材を確保することができる。

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主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

CXこそが最大の差別化要因今回の調査では、世界各国のコンタクトセンターに対して、センター運営上重視するポイントを質問した。その結果、カスタマーエクスペリエンス(CX)が、現在・2年後ともに最も優先度の高い取り組みと見なされていることが明らかとなった(現在:57%、2年後:67%)。一般的に、顧客との繋がりの強化、ロイヤルティの醸成および価値の創造の3点が、優れたCXを提供する上での重要事項である。また、顧客だけでなく、エージェントとのエンゲージメント強化を重視する傾向も確認された。多くのコンタクトセンターでは、エージェントとのエンゲージメント強化が、優秀な人材確保に加え、顧客と長期的な関係を持続するためにも重要であると認識されている。結果として、エージェントエクスペリエンス(AX)への投資の重要度が今後2年間で最も高い伸び率となっている。(現在の7%に対して、2年後には11%)。

現在、コンタクトセンターにとって、コストの最適化は優先事項の一つではあるが、将来的にはその優先度が低くなると考えられている(現在の54%に対して、2年後には15%)。しかし、CXやAXへ投資を行う際も、費用対効果の視点は欠かせず、CXやAX高度化とコスト効率をいかに両立するかが、コンタクトセンターにとっての今後の課題になると考えられる。

テーマ 1

現在

2年後

57% 33% 10%

CX

67% 27% 6%

CX

15% 42% 43%

コスト

16% 27% 57%

収益

16% 41% 43%

ブランド力

11% 39% 50%

AX

54% 17% 29%

コスト14% 30% 56%

収益

13% 38% 49%

ブランド力

7% 37% 56%

AX

凡例

高優先度 中優先度 低優先度

貴社のコンタクトセンターでは、コスト、収益、ブランド力、カスタマーエクスペリエンス(CX)、エージェントエクスペリエンス(AX)のうち、どれを最も重視していますか?

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主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

CXこそが最大の差別化要因コンタクトセンターにおける投資目的を尋ねたところ、現在はCXやロイヤルティの向上およびサービス/品質の向上が上位となった(CX:85%、サービスの向上:78%)。この結果から、コンタクトセンターは、企業にとって競合との差別化を実現する上で重要な顧客接点になっていると考えられる。

今後も多くのコンタクトセンターが、競合との差別化および顧客の獲得・維持を狙い、CXの高度化やサービス向上に投資し続けていくだろう。

テーマ 1

貴社がコンタクトセンターへ投資を行う際の主な目的は何ですか?(複数回答可)

凡例

2015

2017

2019

カスタマーエクスペリエンス(CX)やロイヤルティの向上

71%88%

85%

事業の成長

78%43%

56%

その他事業戦略の実行

49%35%

33%

競争優位性の確保

24%29%

34%

サービス/製品の取り扱い範囲の拡大

59%36%

31%

サービス提供地域の拡大

33%16%

13%

投資目的

サービス/品質の向上

57%73%

78%

回答者の割合%

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

CX高度化施策優れたCXを提供するために、現在、最も重視されていることは、繋がりやすさである。具体的には、多くのコンタクトセンターが応答率の向上、チャネルの拡大、適切な営業時間の設定、多言語対応などの対策を進めている。次に重視されていることは信頼性であり、具体的には正確な応対、一貫性のある応対および情報の質の向上に取り組んでいる。

それらの実現後、次のステップとしてエフォートレスエクスペリエンス(=努力を要さない体験)等の高度なサービス提供に着手されるようになる。加えて、データの活用によって、よりパーソナライズ化された応対も可能となる。例えば、チャネル、顧客の嗜好性および行動履歴などに基づいた最適な応対が実現できるようになる。

テーマ 2

現在

2年後

39% 38% 23%

繋がりやすさ

15% 34% 51%

繋がりやすさ

25% 65% 10%

信頼性

29% 52% 19%

エフォートレス

31% 49% 20%

パーソナライズ化

29% 60% 11%

信頼性20% 63% 17%

エフォートレス

12% 39% 49%

パーソナライズ化

凡例

高優先度 中優先度 低優先度

貴社コンタクトセンターでは、以下のカスタマーエクスペリエンスの要素について、どれを優先度していますか?

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

オムニチャネルの重要性コンタクトセンターの活用用途は、各種問合せ、通信販売、返品手続き、トラブルシューティングなど様々である。チャネルも多岐に渡るため、用途に応じた適切なチャネルの使い分けが重要である。本テーマでは、複雑な問合せへの対応や顧客の自己解決(セルフサービス化)促進のために、コンタクトセンターがどのようなチャネルを提供し、どのように適切なチャネルへ顧客を誘導しているかについて調査を行った。

コンタクトセンターへの問合せ量と問合せ内容の変化について質問したところ、53%の企業が、今後2年間で問合せ量が増加すると予測している。また、62%の企業が、問合せ内容が複雑化すると予測しており、その背景として単純な問合せはセルフサービス化が進み、複雑な問合せがコンタクトセンターに集中すると考えられている。

テーマ 3

凡例

問合せ内容はより複雑化する 問合せ内容はより簡単になる 問合せ内容は変わらない

53%

問合せ量が増加する

42%6%5%

17%

問合せ量は変わらない

6%8%3%

30%

問合せ量が減少する

14%

15%1%

貴社コンタクトセンターへの問合せ量と問合せ内容は、今後2年間でどのように変化すると予想していますか?

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

オムニチャネルの重要性問合せ量の増加や顧客行動の多様化に対応するため、今日のコンタクトセンターは、音声(電話)、インスタントメッセージ(チャット・メッセージングアプリ)、メール、ソーシャルメディア(SNS)、ファックス・郵便など、様々な問合せチャネルを提供している。当然、チャネルごとに特性があることを顧客も企業も認識しており、チャネル特性や問合せ内容の複雑さに応じて、チャネルを使い分ける必要がある。

現在と2年後で、問合せ内容の複雑さと使用チャネルの関係性の変化について、調査結果を以下に記載する。

音声(電話):複雑な内容の問合せに対応する手段として最も活用されているチャネルである。また、スマートスピーカー、車載ソリューションなどの電話以外の新しい音声チャネルも台頭している。他にも、ビデオチャットは音声チャネル独自の特性を一層活かせるチャネルとして有効活用できると考えられる。

インスタントメッセージ:電話をかけたくない、あるいは別の作業と並行して問合せを行いたい顧客にとっては、重宝されるチャネルである。エージェントは、複数の問合せ案件を同時に処理できるため、インスタントメッセージによる問合せが増えるにつれ、運用の効率化が可能となる。簡単な内容の問合せ対応や、問合せ案件の割り振りや優先順位付けにチャットやチャットボットを使用している企業もあれば、インスタントメッセージのリアルタイム性を活かし、複雑な問合せ対応に活用する企業もある。

メール:B to B 企業では、顧客とのコミュニケーションにおける主要なチャネルであり続けているが、ほとんどのB to C 企業は、電子メールからウェブ問合せフォーム形式へと移行し、効率化を図っている。

テーマ 3

複雑

簡単

100%

100%

80%

80%

60%

60%

40%

40%

20%

20%

注:円の大きさは各チャネルの使用量を示す

SNS

メール ファックス・郵便

音声(電話)

インスタントメッセージ

現在、簡単な問合せと複雑な問合せのそれぞれにおいて、主にどのチャネルが使用されていますか?

簡単

複雑

100%

100%

80%

80%

60%

60%

40%

40%

20%

20%

注:円の大きさは各チャネルの使用量を示す

SNS

メール

ファックス・郵便

音声(電話)

インスタントメッセージ

2年後は、簡単な問合せと複雑な問合せのそれぞれにおいて、主にどのチャネルが使用されていると予想しますか?

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

オムニチャネルの重要性企業は迅速にチャネルの拡充を行っているが、顧客は概して新たなチャネルへのシフトが遅い。チャネル拡充の効果を調査したところ、81%の企業がマルチチャネル対応を行っているが、その大半の企業(全体の44%)は期待する投資対効果を得られていないという結果となった。また、33%の企業が、より利便性が高い、もしくはより低コストのチャネルへ顧客を誘導することに苦戦している。また、11%の企業では、チャネルを拡充したことにより、問合せ量が増加する結果となった。

一方で、37%の企業では、適切なチャネルへの誘導とチェンジマネジメント戦略の実践により、顧客はより利便性が高い、またはより低コストのチャネルを多く利用するようになっている。その結果、問合せ内容に適したチャネル選択が進み、CX高度化と運用効率化を両立させている。

オムニチャネ化の成果を調査したところ、90%の企業は、複数のチャネル横断で一貫したCXの提供に努めているものの、その過半(全体の54%)が、実現に苦労している。理由として、顧客は1件の問合せ案件に対しても複数のチャネルを使い分けるということがよくあり、かつ一貫したサービス提供を期待しているためである。オムニチャネル化を成功するためには、より精緻なカスタマージャーニーマップの作成、分析システムやテクノロジーの導入およびチェンジマネジメントの実践が不可欠である。

テーマ 3

はい。より低コスト、より利便性の高いチャネルにうまく切り替えることができた

該当しない。一つのチャネルしか使用していない

いいえ。顧客のためにチャネルを追加したが、全体的な問合せ量が増加した

いいえ。他のチャネルを利用可能にしたが、顧客側が過去数年間に使用していたチャネルを継続している

37% 33%

19% 11%

マルチチャネル化により、より低コスト、または利便性の高いチャネルへの切り替えに成功できましたか?

複数のチャネル横断で一貫したCXを提供できていますか?

チャネル毎にCXは一貫していないが、改善の取り組みを行っている

54%

チャネル毎にCXは一部異なる

25%一貫したCXを提供している

11%

一貫したCXを提供しておらず、統一する予定もない

マルチチャネル化していない

5%5%

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

進むクラウド化ビジネスのあらゆる領域でクラウド化が進行しているが、コンタクトセンターも例外ではない。

各コンタクトセンターに対して、進むクラウド化と、クラウド化対象のテクノロジーについての調査を行った結果、55%の企業が、テクノロジー戦略の一環としてコンタクトセンターのへのクラウドの導入を実行・計画している。一方、残り45%の企業は、クラウド化に対して否定的、或いは消極的であった。その主な理由は、現行システムの減価償却期間中であることおよびセキュリティなど技術面への懸念が根強いこと、の2点である。

現在、クラウドを導入済みの多くのコンタクトセンターが、テクノロジーを部分的にクラウド化するハイブリッド戦略を採用し、オンプレミスの既存システムと、新たに導入したクラウドを併用している。オンプレミスの現行システムは、保守切れ、減価償却期間の満了、或いはその他の理由によりリプレイスの必然性が生じるまで、利用され続けるだろう。

テーマ 4

はい。既にクラウドを導入済みである

はい。2年以内にクラウドを導入予定である

いいえ。自社のビジネスニーズに合わない、または導入できないため

いいえ。セキュリティなど技術面の信頼性が低いため

25% 15%

30% 30%

貴社コンタクトセンターではクラウドを導入済みまたは導入計画中ですか?

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

進むクラウド化テクノロジー全般のクラウド化が進展するにつれ、コンタクトセンターはより多くの機能をクラウド化するだろう。

クラウド化予定のテクノロジーを調査したところ、57%の企業がCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)を、56%の企業がナレッジ管理機能を、それぞれクラウド化済み/計画中である。また、音声分析やセルフサービスソリューションの領域におけるテクノロジーも進化し続けているため、クラウド型のIVR(自動音声応答装置)は、近年、需要が高まっている。

一方、60%を超える企業が自社のACD(自動着信呼分配装置)またはWFM(ワークフォース・マネジメント)をクラウド化することに消極的である。その主な理由は、多額の投資を行い、現行システムを構築済だからである。ただし、コンタクトセンターにとってオムニチャネル対応が不可欠になるにつれ、ACDやWFMのクラウド化も進展すると予想される。

テーマ 4

15%

WFM(ワークフォース・マネジメント)

23%62%

23%28%

49%録音

25%31%

44%ナレッジ管理

18%29%

54%IVR(自動音声応答装置)

29%28%

43%CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

16%22%

62%ACD(自動着信呼分配装置)

凡例

クラウド化済

クラウド化計画中

クラウド化の予定無し

貴社ではどのテクノロジーがクラウド化対象ですか?

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化今回の調査結果では、今後2年間のテクノロジー投資計画として、人工知能(AI)とプロセス自動化(RPA)への投資が上位を占めた。AIを本格導入済の企業はまだ少数だが、将来的にはセルフサービス化の促進や、エージェントの業務効率化に有用と考えられているため、今後の普及が見込まれる。さらには、AIがCX高度化に向けた示唆を与えてくれるようになることも期待されている。

AIの主な活用用途は、顧客との対話内容の分析や、エージェントへのリコメンデーションおよび顧客の嗜好性を捉えた応対のパーソナライズ化である。又、RPAの主な活用用途は、CX高度化や顧客との関係構築・強化など、ヒトにしかできない高付加価値な業務にエージェントを専念させる為に、データ入力などエージェントの手作業を削減することである。

今回の調査で、AIは各社に大きな変化をもたらすと認識されていることが明らかとなった。56%の企業が自社のコンタクトセンターの幅広い領域でAIを活用することを検討している。又、61%の企業が、エージェントの業務支援、71%の企業がバーチャルアドバイザー/チャットボットを導入済または導入予定である。

まずは自社の社員向けのアシストツールとしてAIを活用することでデータ収集や学習を行い、その後に顧客向けサービスとして展開している企業が、AI導入に成功していると考えられる。

テーマ 5

プロセス自動化(RPA)73%

人工知能(AI)76%

最先端アナリティクス59%

顧客・エージェントの声の分析60%

WFM(ワークフォース・マネジメント)47%

新規チャネル57%

ルーティング54%

貴社では今後2年間でどのテクノロジーに投資予定ですか?(複数回答可)

導入済 導入予定なし導入予定・検証中

エージェントの顧客応対の支援

バーチャルアドバイザー/チャットボット

59%

57% 39%

28%13%

4%

凡例

活用予定:AIを様々な領域で活用したい

活用時期を見定め中:AIは技術が成熟しておらず、時期尚早である

活用予定無し:AIは有望だが、自社の顧客や文化には不向きである

12%56% 32%

貴社は今後AIを活用していきたいと考えていますか?

貴社はAIを以下のどの用途において導入しましたか?または導入予定ですか?

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法

テクノロジーありきは本末転倒今回の調査の結果、多くのコンタクトセンターにおいてCRMシステム全体の投資対効果(ROI)に対する満足度は決して高くないことが判明した。具体的にはわずか16%の企業のみがROIに満足していると回答した。

CRMシステムのROIを最大化するためには、より広範なオペレーティングモデルとサービスモデルへの変革が必要である。多くの企業は、長年維持している既存のビジネスプロセスを前提にCRMシステムをカスタマイズしており、新たなCXやサービスモデルの実現には至っていない。一方でそれらを実現できている企業は、CRMシステム、基幹システムやその他システムとデータを連携させることでタイムリーかつパーソナライズ化された応対やチャネル横断でシームレスな対応を行っている。

テーマ 6

26% 49% 25%ユーザートレーニング

14% 55% 31%システム構造の容易さ

18% 61% 21%ナレッジ管理

16% 50% 34%システム運用コスト

17% 51% 32%パーソナライズされた応対

15% 38% 47%営業活動管理

23% 51% 26%応対履歴管理

13% 41% 46%WEBアクセス者への声かけ

16% 63% 21%数値分析

7% 44% 49%オムニチャネル

15% 46% 39%エージェント満足度確認

11% 32% 57%リコメンデーション

15% 40% 45%顧客情報の一覧表示

満足 不満足 現在使用していない凡例

貴社のCRMシステムについて満足している機能・要素と不満足の機能・要素を教えてください。

CRMシステム全体に対する投資対効果(ROI)

37%現在使用していない

不満足47%

満足

16%

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

調査方法

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入直近の投資計画にサービス提供地域の拡大が含まれると答えたコンタクトセンターは、わずか13%であり、過去の調査から比較しても大幅に減少している。

コンタクトセンターの拠点の重要性が低下する主な理由は2つある。まず、チャットの普及により1人のエージェントが複数の問合せ案件を同時に処理できるようになったため、必要人数が減少傾向にあることである。次に、多くの企業が在宅勤務を推進していることである。いまやグローバルでテクノロジーやデータの共同利用が可能な為、エージェントはどこにいても高品質のサービスを効率的に提供することが可能となっている。

テーマ 7

凡例

2015

2017

2019

カスタマーエクスペリエンス(CX)や顧客ロイヤルティの向上

71%88%

85%

事業の成長

78%43%

56%

その他事業戦略の実行

49%35%

33%

競争優位性の確保

24%29%

34%

サービス/製品の取り扱い範囲の拡大

59%36%

31%

サービス提供地域の拡大

33%16%

13%

最下位となった投資の促進要因

サービス/品質の向上

57%73%

78%

貴社がコンタクトセンターへ投資を行う際の主な目的は何ですか?(複数回答可)

回答者の割合%

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

調査方法

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入企業が従業員に対して多様な働き方を促進する傾向が強まる中、コンタクトセンターもその例外ではない。エージェントはより柔軟な働き方を求めており、そのニーズに応えるため、企業は在宅勤務(=リモートワーク)の導入に着手している。今後2年間で、在宅勤務を導入している企業数は、現在の34%から56%に増加すると予想される。

一方、エージェントに期待されるスキルレベルは高度化が進んでおり、エージェントはパーソナライズされた応対や、同時に複数案件の応対を求められる傾向にある。在宅勤務を推進することで、コンタクトセンターは、エージェントが重視する柔軟な働き方を担保し、且つ高度化するスキルレベルに見合う人材を確保することができる。

テーマ 7

貴社コンタクトセンターにおける現在の在宅勤務の導入状況および2年後の見込みを教えてください。

2年後

2年後には56%の企業のコンタクトセンターが在宅勤務を導入している見込み

2年後も44%の企業のコンタクトセンターが在宅勤務を未導入の見込み

現在

34%の企業のコンタクトセンターが在宅勤務を導入済

66%の企業のコンタクトセンターは在宅勤務を未導入

在宅勤務導入

在宅勤務未導入

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カスタマーエクスペリエンス(CX)こそが差別化要因

主な考察

CX提供水準の高度化

オムニチャネルの重要性

進むクラウド化

テクノロジーとヒトの最適な分業によるCX高度化

テクノロジーありきは本末転倒

人材確保にむけ加速する在宅勤務の導入

調査方法デロイトでは、世界各国のコンタクトセンターを対象に、「グローバルコンタクトセンターサーベイ」を実施している。2013年以降、隔年で実施しており、今回で第4回目となる。今回の調査概要は、以下の通りである。●実施期間:2018年11月~2019年2月●回答者:世界各国のコンタクトセンター長または企画担当管理職●業種:①金融、②消費財・産業用製品製造・販売、③サービス業・アウトソーシング、④テクノロジー・メディア・通信、⑤ライフサイエンス・ヘルスケア、⑥資源・エネルギー、⑦政府・公共サービス、の7業種●サービス提供先:B2C、B2B、社内向けサービス●本部所在地:4地域16ヶ国●調査内容:現状および2021年の予測・計画

25%

オセアニア

欧州 北米・中南米

アジア(日本含む)

5%

2019

31%

39%

回答企業の所在地

31%個人向け(B2C)-サービス/サポート

22%企業向け(B2B)-サービス/サポート

15%個人向け(B2C)-販売

13%企業向け(B2B)-販売

8%社内向け(ITまたは人事ヘルプデスクなど)

6%個人向け(B2C)-マーケティング調査

4%法人向け(B2B) -マーケティング調査

26%金融

24%消費財・産業用製品製造・販売

13%サービス業・アウトソーシング

13%テクノロジー・メディア・通信

11%ライフサイエンス・ヘルスケア

9%資源・エネルギー

4%政府・公共サービス

業種

サービス提供先とサービス内容(複数回答可)

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Appendix日本版グローバルコンタクトセンターサーベイ

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カスタマーエクスペリエンス(CX)実現の戦略拠点化が進化の機会

マルチチャネル化するもチャネルシフトに苦戦

人材不足・採用難を背景にAXが更に重要に

クラウド化と業務改革は両輪の関係

調査方法

主な考察

日本版エグゼクティブ・サマリーデロイトでは、グローバルコンタクトセンターサーベイを、2013年以降、隔年で実施しているが、今回は日本企業が初めて調査対象に加わった。   本稿では、「戦略」「業務」「人材」「IT」の観点から日本とグローバル全体を比較し、日本のコンタクトセンターにおける特徴的な傾向を考察として示す。(各考察の詳細は後頁を参照)

人材不足・採用難を背景にエージェント体験(AX)が更に重要にAXを重視するコンタクトセンターは、グローバル全体が2年後に50%なのに対して日本企業は63%と高い。採用難・人材不足は今後も重要課題であり、人材確保に向けた取り組みがより一層強化されると見込まれる。

人材

クラウド化と業務改革は両輪の関係今後2年間でクラウド化を予定している企業は、グローバル全体が30%なのに対して、日本企業は16%と慎重である。日本企業はコンタクトセンターの業務が複雑化している傾向にあり、クラウド化に際しては業務改革とセットでの推進が必須と考えられる。

IT

マルチチャネル化するもチャネルシフトに苦戦電話から低コスト、または利便性の高いチャネルへの切り替えに成功している企業は、グローバル全体は37%であるのに対して日本企業は16%と低い。日本企業は顧客に対して他チャネルへの誘導が行えていない、または最適なチャネルを案内できていないことが考えられる。

業務

CX実現の戦略拠点化が進化の機会コンタクトセンターへの投資目的として、グローバル全体は「事業戦略の実行」が33%である一方、日本企業は10%であり、事業戦略との結びつきが弱い傾向にある。顧客の声の活用等によって部門横断での連携を強化し、全社のCX戦略実行への貢献強化が進化の機会となる。

戦略

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主な考察

マルチチャネル化するもチャネルシフトに苦戦

人材不足・採用難を背景にAXが更に重要に

クラウド化と業務改革は両輪の関係

調査方法

CX実現の戦略拠点化が進化の機会カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上がコンタクトセンターの重要な役割であることは、日本企業とグローバル全体共通の見解である。一方で、日本企業に特徴的な傾向は、コンタクトセンターと事業戦略との結びつきが弱い点にある。

投資の主目的として、グローバル全体は「その他事業戦略の実行」が33%であり、事業戦略との連携が確認できるが、日本企業は10%である。同様の示唆は、テクノロジー投資からも窺える。

日本企業では、「顧客・エージェントの声の分析」や「最先端アナリティクス」への投資予定がグローバル全体と比較して約20%低い。コンタクトセンターの重要性について経営層の認知を高め、コンタクトセンター単独のサービス向上ではなく、他部門と連携しながらCX高度化に寄与することが、日本企業の課題であると同時に進化の機会であるといえる。

戦略

人工知能(AI)73%

76%

プロセス自動化(RPA)61%

73%

顧客・エージェントの声の分析

WFM(ワークフォース・マネジメント)20%

47%

ルーティング

新規チャネル

最先端アナリティクス

57%54%

43%60%

25%59%

35%57%

貴社では今後2年間でどのテクノロジーに投資予定ですか?(複数回答可)

凡例

グローバル全体

日本

カスタマーエクスペリエンス(CX)や顧客ロイヤルティの向上88%

85%

サービス/品質の向上78%78%

事業の成長

サービス提供地域の拡大2%

13%

サービス/製品の取り扱い範囲の拡大

その他事業戦略の実行

競争優位性の確保

8%31%

47%56%

39%34%

10%33%

貴社がコンタクトセンターへ投資を行う際の主な目的は何ですか?(複数回答可)

回答者の割合%

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主な考察

カスタマーエクスペリエンス(CX)実現の戦略拠点化が進化の機会

人材不足・採用難を背景にAXが更に重要に

クラウド化と業務改革は両輪の関係

調査方法

マルチチャネル化するもチャネルシフトに苦戦日本企業は電話から新規チャネルへのシフトに苦戦している傾向が確認できた。チャネルシフトに成功していると回答した企業は、グローバル全体が37%であるのに対して日本企業は16%と低い。チャネルシフトに苦戦していると回答した43%の日本企業の内、33%は「新しいチャネルを用意しても、顧客は従来のチャネルを引き続き使用している」と回答している。

その原因として、UX/UIや導線の課題から、顧客を新規チャネルに誘導できていないことが考えられる。また、10%の企業は「新しいチャネルを用意したことにより、問合せの総量が増加した」と回答している。問合せ量の増加は、新たな顧客層を開拓できているというポジティブな要素とセルフサービス化が不十分という課題の両面から考えることができる。

業務

はい。電話から低コスト、または利便性の高いチャネルへの切り替えに成功している

どちらでもない。 (例. マルチチャネル対応していないため)

いいえ。新しいチャネルを用意したことにより、問合せの総量が増加した

いいえ。新しいチャネルを用意しても、顧客は従来のチャネルを引き続き使用している

16% 33%

41% 10%

はい。電話から低コスト、または利便性の高いチャネルへの切り替えに成功している

どちらでもない。 (例. マルチチャネル対応していないため)

いいえ。新しいチャネルを用意したことにより、問合せの総量が増加した

いいえ。新しいチャネルを用意しても、顧客は従来のチャネルを引き続き使用している

37% 33%

19% 11%

貴社はマルチチャネル化することで、電話から低コスト、または利便性の高いチャネルへの切り替えに成功していますか?

日本企業 グローバル全体

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主な考察

カスタマーエクスペリエンス(CX)実現の戦略拠点化が進化の機会

マルチチャネル化するもチャネルシフトに苦戦

クラウド化と業務改革は両輪の関係

調査方法

人材不足・採用難を背景にAXが更に重要に日本企業、グローバル全体共に多くのコンタクトセンターが、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」を重要視していることは前々頁で述べた通りである。一方で、「エージェント体験(AX)」重視の傾向は、グローバル全体と比較した際の日本企業の特徴である。63%の日本企業が2年後もAXを重要視している見込みだと回答しており、グローバル全体の50%よりも多い。これは日本のコンタクトセンターが抱えている人材不足や採用難への対応意識の表れといえる。

今後は業務システムだけでなく、エージェントを対象としたロイヤルティ調査やタレントマネジメントシステム(※1)等を活用した社内のリソース状態の可視化など、人材最適化に向けた取り組みがさらに進むと見込まれる。

(※1)タレントマネジメントシステム:社員が持つスキル、経験値などを可視化・元管理し、適材適所に人材配置や人材育成などに活かすシステム。

人材

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

現在

2年後

59%

35%

6%

CX コスト 収益 ブランド AX CX コスト 収益 ブランド AX

53%

41%

6%

37%

28%

35%

22%

33%

45%

4%

29%

67%

6%

27%

67%

8%

49%

43%

10%

45%

45%

2%

49%

49%

10%

53%

37%

57%

33%

10%

67%

27%

6%

54%

17%

29%

15%

42%

43%

14%

30%

56%

16%

27%

57%

13%

38%

49%

16%

41%

43%

7%

37%

56%

11%

39%

50%

日本企業 グローバル全体

貴社のコンタクトセンターでは、コスト、収益、ブランド力、カスタマーエクスペリエンス(CX)、エージェント体験(AX)のどれを最も重要視していますか?

高優先度 中優先度 低優先度凡例

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主な考察

カスタマーエクスペリエンス(CX)実現の戦略拠点化が進化の機会

マルチチャネル化するもチャネルシフトに苦戦

人材不足・採用難を背景にAXが更に重要に

調査方法

クラウド化と業務改革は両輪の関係コンタクトセンターシステムのクラウド化を行っている日本企業の割合は、グローバル全体と大きく差異がない。しかし、今後2年間でクラウド化を予定している企業は、グローバル全体が30%なのに対して、日本企業は16%と消極的な傾向が見られる。

クラウド化を検討していないと回答した57%の日本企業の内、41%以上が「自社の事業形態にそぐわない、または導入出来ない」と回答した。

その背景には、コンタクトセンターの業務が複雑化しており、クラウド型パッケージ製品を簡易に導入しにくい状況にあることが考えらえる。コンタクトセンターのクラウド化を行う際は、複雑な業務を簡素化・標準化する業務改革とセットで検討する必要がある。

I T

はい。既にクラウド化済である

はい。今後2年以内にクラウド化予定である

いいえ。自社の事業形態にそぐわない、または導入出来ない

いいえ。セキュリティなど技術面の信頼性が低い

27% 16%

16% 41%

はい。既にクラウド化済である

はい。今後2年以内にクラウド化予定である

いいえ。自社の事業形態にそぐわない、または導入出来ない

いいえ。セキュリティなど技術面の信頼性が低い

25% 15%

30% 30%

貴社はクラウド型のコンタクトセンターシステムの導入を検討されていますか?

日本企業 グローバル全体

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主な考察

カスタマーエクスペリエンス(CX)実現の戦略拠点化が進化の機会

マルチチャネル化するもチャネルシフトに苦戦

人材不足・採用難を背景にAXが更に重要に

クラウド化と業務改革は両輪の関係

回答企業属性(日本)今回の調査には、50社以上の日本企業の協力を得た。

コンタクトセンターの所在地は主に日本だが、業種によっては海外にも拠点を構えている。

回答企業の業種は「金融」が37%と最も多く、次に多い「消費財・産業用製品製造・販売」と「サービス業・アウトソーシング」がそれぞれ20%を占める。また、サービス提供先は、「個人向けサービス/サポート」を提供している企業が45%という結果になった。

45%個人向け(B2C)-サービス/サポート

24%企業向け(B2B)-サービス/サポート

17%個人向け(B2C)-販売

7%企業向け(B2B)-販売

7%社内向け(ITまたは人事ヘルプデスクなど)

37%金融

20%消費財・産業用製品製造・販売

20%サービス業・アウトソーシング

17%テクノロジー・メディア・通信

6%資源・エネルギー

業種

サービス提供先とサービス内容(複数回答可)

4.6%

オセアニアアフリカ

欧州

北米・中南米中東

アジア(日本含む)

4.6%4.6%

2019

78.5%

4.6%3.1%

コンタクトセンター所在地

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デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約40都市に1万名以上の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(�DTTL�)ならびにそのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人のひとつまたは複数を指します。DTTL(または �Deloitte Global�)および各メンバーファームならびにそれらの関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。デロイト アジア パシフィック リミテッドはDTTLのメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、東ティモール、ミクロネシア連邦、グアム、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ニュージーランド、パラオ、パプアニューギニア、シンガポール、タイ、マーシャル諸島、北マリアナ諸島、中国(香港およびマカオを含む)、フィリピンおよびベトナムでサービスを提供しており、これらの各国および地域における運営はそれぞれ法的に独立した別個の組織体により行われています。

Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、税務およびこれらに関連する第一級のサービスを全世界で行っています。150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じFortune Global 500®の8割の企業に対してサービス提供をしています。�Making an impact that matters� を自らの使命とするデロイトの約286,000名の専門家については、(www.deloitte.com)をご覧ください。

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