2009年夏の天候の支配因子と2003年夏の天 候の支 …¨pjパターン...

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2009年夏の天候の支配因子と2003年夏の天 候の支配因子とを比較して

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Page 1: 2009年夏の天候の支配因子と2003年夏の天 候の支 …¨PJパターン (a)冬季のエルニーニョに伴う波列パターン(PNA) 2009年夏にも同様パターン現われた

2009年夏の天候の支配因子と2003年夏の天候の支配因子とを比較して

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両年夏の天候の共通点と相違点

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共通点

北の高気圧強く、太平洋高気圧の日本への張り出し弱い

梅雨明け遅いか特定できず

寒帯前線ジェットが強く、寒気が入りやすい

アジアジェットは南偏

全般的に気温が低い

8月に台風による大雨

アジアモンスーン弱く、チベット高気圧の勢力弱い

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相違点

2009年夏 2003年夏

エルニーニョの

直接的影響

シングルジェット

大陸高気圧優勢

温帯低気圧発達

記録的豪雨

太平洋高気圧は東偏

8月中旬以降東谷型

エルニーニョの

間接的影響

ダブルジェット

オホーツク海高気圧優勢

顕著な低温

太平洋高気圧は南偏

8月下旬から9月中旬、西日本・東日本は残暑と西谷型

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2009年夏の天候の支配因子

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2009年7月北半球月平均200hPa風速及び風ベクトル

北半球全般に亜熱帯ジェット強い

アジア付近、シングルジェットの傾向

(寒帯前線ジェットと亜熱帯ジェットが合流)

アジアジェットは平年より南偏

北アメリカ西部で北上、東部で南下

PNAパターン

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2009年8月北半球月平均200hPa風速及び風ベクトル

アジアジェット、平年より強く、南偏

ほぼシングルジェット

太平洋高気圧は東偏

エルニーニョ現象に伴う風分布は7月と同様

ヨーロッパでは弱風域に入り、高気圧に覆われる

高温・少雨傾向

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2009年7月上、中、下旬10日間平均海面水温偏差図

期間を通してB海域で正偏差持続

エルニーニョ現象が顕在化

フィリピン東方沖の対流活動弱い

太平洋高気圧が東偏

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2009年8月上、中、下旬10日間平均海面水温偏差図

7月と同じく全般にB海域で正偏差

エルニーニョ現象持続

中、下旬でインドネシア海域海面水温上昇

中国大陸で上層高気圧発達

東谷型へ

西・東日本は晴天

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PNAとPJパターン

(a)冬季のエルニーニョに伴う波列パターン(PNA)

2009年夏にも同様パターン現われた

(b)日本の盛夏期に現われる典型的波列パターン(PJ)

2009年7月は逆パターンとなった

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2009年夏の特徴 7月中、下旬は顕著な西谷型、太平洋高気圧の縁辺流と上層寒冷トラフとが激しく作用

温帯低気圧発達と活発な前線活動により大雨

エルニーニョにより太平洋高気圧東偏で梅雨明け遅れ

8月上旬は北の高気圧と太平洋高気圧との融合で梅雨明け、9,10日に台風9号からの暖湿流により、西日本豪雨

8月中旬以降、太平洋高気圧後退インドネシア対流活発で大陸に高気圧

東谷型 西・東日本乾燥した晴天

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2003年日本の冷夏

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2003年7月の北半球月平均200hPa風速及び風ベクトル

アジアジェット強く、南偏

寒帯前線ジェット強い

ダブルジェット顕著

北ヨーロッパ、東シベリアが弱風域

ブロッキング高気圧が顕著に発達

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2003年8月の北半球月平均200hPa風速及び風ベクトル

アジアジェット、非常に強く、南偏

7月と同様寒帯前線ジェット強い

ダブルジェット顕著

ヨーロッパ上層高気圧で熱波

オホーツク海高気圧強い

日本の冷夏へ

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北半球西風強度分布の2003年7月と平年7月との比較

左上:2003年7月西風強度分布

右上:平年の7月西風強度分布

左下:左上の分布から右上の分布を差し引いた偏差

北欧からロシア西部、モンゴルから東シベリアで極端な弱風域

強いブロッキング高気圧の存在示す

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2003年夏の特徴 7月上旬、北欧上空にブロッキング高気圧が発達

ヨーロッパ諸国で熱波による被害甚大

7月中旬以降、北欧のブロッキング高気圧からのロスビー波伝搬で東シベリア上空にもブロッキング高気圧発達

オホーツク海高気圧優勢、8月中旬近くまで日本に冷夏をもたらす

8月中旬以降太平洋高気圧が北上、西日本から東日本に本来の残暑もたらす(エルニーニョの名残の影響薄れる)

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2003年日本の冷夏の原因

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2003年7月上、中、

下旬の太平洋平均海面水温偏差図

B海域では期間を通して海面水温は平年並み

エルニーニョでもラニーニャでもない

日本近海負偏差目立つ

やませによる低温の原因のひとつ

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2003年8月上、中、下旬

の太平洋平均海面水温偏差分布図

7月と同じく期間を通してB海域の海面水温は平年並み

エルニーニョ、ラニーニャいずれでもない

日本近海負偏差持続

下旬にフィリピン東沖で昇温

太平洋高気圧持ち直す

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2003年冷夏の原因のまとめ インド洋SSTの正偏差はエルニーニョ現象と連動して発生し、さらに1~2季節遅れて変化する

エルニーニョ現象終息後の春から夏に正偏差が持続

その結果:夏季アジアモンスーン弱化、下層太平洋高気圧の日本への張り出し弱化、アジアジェットの南偏

ベンガル湾からフィリピン東海上へ向かう下層のモンスーンが弱化 負のPJパターンへ

インド洋SST正偏差時、東シベリア南部に東風偏差

弱風域の強化 ブロッキング高気圧発達

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総括2009年夏の天候不順はエルニーニョ現象の直接的影響で亜熱帯高気圧を弱めて起こった。また強い寒帯前線ジェットと亜熱帯ジェットが合わさったシングルジェットで前線活動が活発になった。

類似例:1982年冷夏、1997年冷夏

2003年日本の冷夏はその前の冬におけるエルニーニョ現象の間接的(遅発的)影響で太平洋高気圧を弱めて起こった。また寒帯前線ジェットと亜熱帯ジェットとのダブルジェットの形成で両者の間にブロッキング高気圧が卓越し、強いオホーツク海高気圧の形成・張り出しで起こった。

類似例:1980年冷夏、1988年冷夏、1993年冷夏

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今後の研究課題オホーツク海高気圧の動向と冬季NAOとの関係

成層圏-対流圏相互作用

エルニーニョ・ラニーニャの影響の即発性・遅発性の支配因子

重要ポイント 「太陽活動」

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ご清聴ありがとうございました