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2013 JA 年鑑 不許複製 52 第2章 各事業連の取り組み

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2013 JA 年鑑

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第2章 各事業連の取り組み

2013 JA 年鑑

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Ⅰ.経済事業

1.JAグループの経済事業の動向

(1)JA

23年度のJA段階における経済事業の取扱高は、販売事業では約4兆2,260億

円で前年比100%、購買事業では約2兆9,662億円で前年比99%と、ほぼ前年並

みとなった。

(2)県連

23年度の県連段階における経済事業の取扱高は、販売事業では1兆6,201億

円で前年比99%、購買事業では9,951億円で前年比103%と、購買事業が前年

を上回っている。

(3)JA全農

24年度の取扱高は、販売事業では2兆3,577億円で前年比100%、購買事業で

は2兆4,673億円で前年比100%となった。

<事業別内訳 > (単位:億円、%)

事 業 実 績 前年比

米 穀 事 業 7,282 105

園 芸 農 産 事 業 11,016 97

畜 産 事 業 10,638 102

営農・生産資材事業 8,589 100

生 活 関 連 事 業 10,725 100

合 計 48,250 100

主な要因としては、販売事業では、農畜産物価格が低迷したものの、米の

販売価格が上昇したこと、購買事業では、800 セルフ SS の達成により燃料

油の取扱数量が拡大したことが挙げられる。

①販売事業の動向

米穀事業では、JAグループを挙げた集荷拡大に取り組むとともに、パール

ライス精米の販売を拡大し、取扱高は前年を上回った。

園芸事業では、前年からつづく風評被害による価格低迷や青果物の相場低迷

等の影響から、取扱高は前年を下回った。

農産事業では、国産大豆の安定供給に向け契約栽培を拡大するとともに、産

地との連携によりでん粉の取り扱いを強化したことから取扱高が増加し、前年

を上回った。

畜産事業では、農家手取りを向上させるこだわり商品の販売や、国産畜産物

の消費拡大および消費者の理解醸成をはかる広報活動を展開したことから取

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扱高は前年を上回った。

酪農事業では、業務用牛乳や液状乳製品の販売拡大の取り組みにより取扱高

は前年を上回った。

②購買事業の動向

生産資材事業では、省力化やコスト低減に向けて低成分肥料などの系統独自

商品の推進強化や出荷資材コスト抑制に向け低コスト原紙への切替促進の継

続した取り組みを通じて、取扱高は前年並みとなった。

飼料事業では、生産性を向上する商品・技術の開発・普及、産地多元化によ

る飼料原料の安定確保、災害に強い飼料工場づくり等による配合飼料の安定供

給に取り組んだ。大型生産者の廃業等により、飼料の取扱数量は減少したもの

の、飼料原料価格が上昇したことから、取扱高は前年を上回った。

燃料事業では、燃料油の需要が減少するなか、3か年(22~24年度)の目標

に掲げた800セルフSSの達成により燃料油の取扱数量を拡大したこと、また、

ガス事業の小売強化策として燃転による給湯器拡販の取り組みをすすめたこ

となどから、取扱高は前年を上回った。

生活事業では、安心して快適に暮らせる地域づくりのために「JAくらしの

宅配便」の利用拡大のほか、国産農畜産物の販売拡大に向けた直売所等でのエ

ーコープマーク品の取扱拡大などに取り組んだが、長引くデフレや個人消費の

伸び悩みを受けて、取扱高は前年を下回った。

2.JA全農の経営 24 年度の取扱高は、計画 4 兆 7,356 億円に対して実績 4 兆 8,250 億円、計画

比 102%と計画を上回った。 事業総利益は、営農・生産資材事業の取扱増にともなう収益増があるものの、

飼料原料価格高騰による収益減が影響し、計画 101,095 百万円に対して実績

97,592 百万円(計画比 97%)と計画を下回った。

事業管理費は、全会的な経費削減をすすめたことにより、事務費・業務費・施

設費を中心に計画より 3,937 百万円削減し 96,849 百万円(計画比 96%)となっ

た。

こうしたことにより、事業利益は、計画 308 百万円に対して実績 742 百万円

と計画を上回った。

経常利益は、計画 9,567 百万円に対して実績 11,071 百万円と計画を上回った。

特別損益は、計画外で減損損失等を計上する一方、外部出資等処分益や原発補

償金の受入などにより、計画△1,117 百万円に対して実績 1,772 百万円と計画を

上回った。

その結果、税引前当期利益は計画 8,450 百万円に対し実績 12,843 百万円と計

画を大きく上回った。

法人税・住民税および事業税は、地方税均等割額の 328 百万円を計上した。

法人税等調整額は、3 か年計画策定にともなう将来の課税所得変動等から繰延

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税金資産の取崩が発生し 1,804 百万円を計上した。

以上により当期剰余金は計画 7,000 百万円に対し、実績 10,711 百万円と計画

を上回った。

3.販売事業

(1)米穀

①米穀の生産・集荷動向

ア.生産動向

24年産米の作況指数は102の「やや良」となり、主食用生産量は821万トン

と前年産を8万ン上回った。

イ.集荷状況

連合会出荷米の集荷実績は、277万トン(前年産対比104%)となっている。

地域別には、北海道、九州・沖縄が前年を下回ったものの、それ以外の地

域では、前年産を上回る結果となっている。(図表1)

図表1 24年産米の集荷実績(連合会出荷米) (単位:千トン)

① ② ③=①/② ④ ⑤ ⑥=④/⑤ ⑦=①/④ ⑧=②/⑤

北海道 410 410 100% 426 426 100% 96% 96%

東北 795 797 100% 763 770 99% 104% 103%

関東・甲信 333 334 100% 313 315 99% 106% 106%

北陸 475 474 100% 431 433 100% 110% 109%

東海 118 118 100% 110 111 100% 107% 107%

近畿 135 135 100% 124 125 99% 109% 109%

中国 183 183 100% 179 179 100% 102% 102%

四国 70 70 99% 65 65 100% 108% 109%

九州・沖縄 251 251 100% 255 255 100% 98% 98%

全国計 2,771 2,772 100% 2,666 2,679 100% 104% 103%

地域 集荷実績最終

集荷見込

24年産米

進度

前年比

集荷実績集荷実績(前年同期)

最終集荷最終

集荷実績

23年産米

進度

(注)加工用米、新規需要米を除く

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②米穀の需要実績

24年7月から25年6月までの1年間の米穀の需要実績(速報値)は779万トンと

なり、前年から35万トン減少している。(図表2)

図表2 平成24/25年の需要実績(速報値)

(注)「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」(平 成 24年7月、農林水産省)による。

③米穀の販売状況

ア.主食うるち米

24 年産米は、需給が引き締まった状態で出回りが開始したこともあり、

契約実績は 221 万トンと前年産を上回っているが、価格上昇などの要因によ

り販売数量は 124 万トンと 23 年産を下回っている。(図表 3)

図表3 24年産米契約・販売状況(25年3月末現在)

(単位:千トン)

年産 契約数量 販売数量

24 年産米 2,210 1,236

23 年産米 2,173 1,306

前年比 102% 95%

前年差 +37 ▲70

イ.もち米

24年産もち米の集荷見込数量12万2千トンに対し、25年3月末の契約実

績は10万6千トンと、未契約が1万6千トンとなっている。

また、25年3月末の販売実績は2万7千トンと、前年同期(23年産米)

に比べ2千トン減少している。

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ウ.酒造好適米

24年産酒米の25年3月末の契約実績は、4万9千トンとなっており、契約はほ

ぼ完了している。

また、25年3月末の販売実績は4万3千トンとなっており、前年同期(23年産

米)に比べ3千トン増加している。

④麦関係

24年産麦の作柄は、全国的に播種期以降の天候不順等により生育の遅れお

よび分げつ不足がみられた。4月以降天候に恵まれたことから品質は良好なが

ら、数量は茎数不足等により一部産地を除き平年を下回る状況となった。

JAグループの24年産麦集荷数量は、87万2千トンで前年産対比115%となって

いる。また、ビール大麦の集荷実績は4万8千トンとなった。(図表4)

図表4 24年産麦品目別集荷実績

(単位:千トン)

区分

品目 24 年産 23 年産 前年比

民間流通麦 872 760 115%

ビール大麦 48 39 123%

(2)園芸

①野菜

ア.作付面積

23年産野菜の作付面積は49万400ha(前年比99%)となった。品目別の

前年比では、根菜類99%、葉茎菜類100%、果菜類98%、果実的野菜97%と

なっている。(40品目計)

イ.国内生産

24年産野菜について、冬春期は低温・曇雨天等天候不順の影響を受けて

作柄が悪く、葉茎菜類・果菜類・根菜類中心に出回りが少なかった。その後、

6月以降は好天に恵まれ生育は概ね回復し、順調な出回りとなった。特に露

地野菜中心に豊作基調となり、少なかった前年を大きく上回った。

ウ.消費

24年の生鮮野菜の1世帯当たり(2人以上の世帯)年間購入数量は173kg

(前年比99%)、同支出金額は64,299円(前年比100%)となり、ほぼ前年

並みであった。

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エ.輸入

24年の生鮮野菜の輸入数量は、国産が冬春期の低温・曇雨天等天候不順

の影響により出回りが少なかったことにより、94万9千トン(前年比104%)

と増加した。また、冷凍野菜の輸入数量も、97万1千トン(同105%)と増加

した。

*生鮮野菜の輸入量には、馬鈴しょ・しいたけ・まつたけおよび果実的野菜

(メロン・イチゴ・スイカ等)なども含む。

生鮮野菜の輸入量の多い品目としては、たまねぎ 34万2千トン(前年比 92%)、

かぼちゃ8万5千トン(同109%)、にんじん及びかぶ8万3千トン(同104%)、ねぎ

5万2千トン(同99%)、ブロッコリー5万トン(同136%)、ごぼう 4万8千トン(同

106%)となっている。

オ.価格

24年の野菜の卸売価格(主要都市の市場計)は、6月以降が豊作基調で価

格が低迷したため、価格安であった前年並みのkg当り201円(前年比100%)

となった。

②果実

ア.結果樹面積

結果樹面積は引き続き減少し、23年産では、「みかん」が800ha減の4万

5,300ha、「りんご」が300ha減の3万7,800haとなっており、全体では2,600ha

減少の19万7,900ha(前年比99%)となった。(14品目計)

イ.国内生産状況

24年の春先は、主力のかんきつ類が表年であり前年を上回る出回りとな

ったが、りんごは産地在庫が少なかったこと、およびメロン・スイカ類の生

育遅れ等により果実全般で出回りは少なかった。

その後、生育遅れが徐々に回復し順調な出回りとなった。しかし、記録的

な高温・少雨等の影響により夏期の出回りは少なかった。主力秋果実である

みかん・りんご・柿の生育が良く、潤沢な出回りとなった。

ウ.消費

24年の果実の1世帯当たり(2人以上の世帯)年間購入数量は、生鮮果物

でみると、5年前の18年の88kgから85kgまで減少(18年比96%、前年比

101%)したが、購入金額では34,832円と前年を上回った(前年比103%)。

エ.輸入

24年の生鮮果実の輸入数量は、180万4千トン(前年比105%)であった。

これは、輸入量の6割を占めるバナナが増加したためであり、結果、前年

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を上回った。生鮮果実における輸入上位3品目は、バナナ(108万6千トン、同

102%)、パイナップル(17万4千トン、同114%)、グレープフルーツ(15

万1千トン、同95%)である。

*生鮮果実の輸入数量には果実的野菜(メロン・イチゴ・スイカ等)は含んでいない。

オ.価格

24年の果実の卸売価格(主要都市の市場計)は、果実総計でkg当り296

円(前年比100%)、内国産果実は340円(同101%)とほぼ前年並みであっ

た。また、輸入果実についても170円(同99%)とほぼ前年並みであった。

*野菜・果実に係わる統計数値は、全て当該年の 1~12月の累計である。

(3)農産

①大豆

ア.生産・集荷動向

24年産大豆の作付面積は13万1,100haで、前年に比べて5,600ha(4%)減

少した。収穫量は23万5,900トンで、前年に比べて1万7,100トン(8%)増加し

た。本会集荷数量は、他用途米等の伸長による面積の減少と北海道・東北の

収穫期における天候不順の影響があったものの、総じて単収が向上し、前年

対比108%の18万0,700トンとなった。(図表5)

図表5 JA全農の集荷数量・販売単価の推移

0

5

10

15

20

25

6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24年産

万トン

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

円/60kg集荷数量 販売単価

イ.需要・販売動向

国産需要拡大の取り組みにより、需給環境は改善しつつある。全国の入札

平均価格は、前年対比145円安の8,157円 /60kgとなった。契約栽培や相対取

引を加えた総平均価格(25年7月末現在)は、前年同期545円高の7,463円程

度となっている。

しかしながら、食品大豆需要は長らく減少傾向にあり製品価格も低迷して

いることから、急激な価格上昇による実需者の国産離れが懸念されている。

契約栽培の円滑な受け渡しや相対取引による安定供給対応により国産需

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要の維持に努めている。

②いも・でん粉

ア.生産量

24年産馬鈴しょの北海道における作付面積は5万3千ha(前年比100%)と

輪作体系をとるなか概ね前年並みを確保した。収穫量は、6月から7月にか

けて比較的天候に恵まれたため、天候不順による植え付けの遅れや台風の影

響があった前年と比較して、192万1千トン(同103%)と増加した。それに伴

い、馬鈴しょでん粉の生産量は、依然として低い水準ではあるものの、18

万1千トン(同105%)となった。

24年産甘しょの作付面積(南九州)は1万7千ha(前年比100%)、甘しょ

収穫量は39万9千トン(同95%)となった。甘しょでん粉の生産量は、でん粉

原料用甘しょの反収の減少や焼酎用への売渡の増加により3万8千トン(同

84%)と大幅な減産となった。(図表6)

図表6 24年産いも・でん粉の収穫・生産ならびにJAの生産状況

いも収穫量

(前年比)

でん粉生産量

(前年比)

でん粉の JA 生産量

(生産量に占めるシェア)

馬鈴しょ (北海道 )

1,921 千㌧

( 103%)

181 千㌧

( 105%)

172 千㌧

( 95%)

甘しょ

(南九州 )

399 千㌧

( 95%)

38 千㌧

( 85%)

12 千㌧

( 32%)

イ.需要動向

23でん粉年度(23年10月~24年9月)における国内のでん粉の総需要量

は、268万3千トン(前年比96%)と推定されるが、そのうち国内産でん粉需

要量は21万3千トン(同93%)である。

23でん粉年度における固有用途需要量は、景気低迷が続くなかで片栗粉

や春雨の減少が見られ12万トン(同89%)の実績となった。

交付金対象用途向けの需要の中心である異性化糖は、販売量が23年度で

119万5千トン、24年度で118万トンと微減となった。

また、19でん粉年度(19年10月以降)より、以前の抱合せ制度が廃止さ

れ、糖価調整法等を改正しコーンスターチ用とうもろこし等から新たに調整

金を徴収する仕組みが導入されたことから、国産でん粉の内外価格差をその

調整金を財源に農畜産業振興機構から交付金として補填する制度になった。

(図表7)

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図表7 農畜産業振興機構買入・売戻価格(24でん粉年度)

円/トン

24 年 10- 12 月 25 年 1- 3 月 25 年 4- 6 月 25 年 7- 9 月

輸入でん粉機構買入価格 67,210 67,190 72,630 73,590

輸入でん粉機構売戻価格 71,439 71,420 76,567 77,475

輸入でん粉売買差額(調整金) 4,229 4,230 3,937 3,885

国産でん粉売戻価格(中京CIF基準) 67,720 67,700 72,580 73,440

(4)畜産販売

①肉牛

ア.需給動向

長期にわたる景気低迷により、消費者の低価格志向が継続、さらには人口

の減少や少子高齢化の影響もあり、需要は減少している。

生産動向について、交雑牛では飼養頭数の増加が見込まれるものの、和牛

は大規模畜産生産者の経営破綻や原発事故による繁殖母牛の減少から、出荷

頭数は減少しており、この傾向は当面続くものと思われる。

イ.価格動向

24年度の牛枝肉卸売価格は、前年度の震災による低価格での取引価格か

らの回復もあり、前年を上回り、東京市場の年度平均価格は和牛去勢A4が

1,703円(前年比112.3%)、乳牛去勢B 2が639円(同139.5%)となった。

②肉豚

ア.需給動向

24 年度は、23 年度需要量とほぼ同量ベースで推移(245 万トン、前年比

99.5%)し国内需要は安定している。

生産動向については、約 130 万トン(前年比 101.5%)と過去2年間と比較

すると回復している。

イ.価格動向

国内マーケットでは輸入豚肉が定着しており、国内の枝肉相場が上昇する

と輸入品へ需要のシフトが生じる。また、家計消費が主体となっているもの

の、人口減少による消費の減少に加え、高齢化により調理品(中食)需要が

増加することから、安価な原料として輸入品の引き合いが強く、相場は低位

で安定している。24 年度の東京市場の年度平均価格は、上規格で 445 円(前

年比 97.6%)となっている。

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③鶏卵

ア.需給動向

24 年度の推定出回り量は 262 万 9 千トン(国産 250 万 7 千トン、輸入 12 万

3 千トン)と前年度と同水準となっている。家計消費量は微減という状況だが、

惣菜やおでん種としての加工需要が好調に推移していることから、全体とし

て消費量は概ね横ばいとなっている。

イ.価格動向

24 年度の鶏卵価格(JA 全農たまご・東京 M 基準値平均)は、上期にお

いては生産量の増加により相場は低迷したが、餌付け羽数減少の影響等によ

り年末は前年度を上回る水準となり、平均価格は 181 円(前年比 96%)と

なった。

④食鳥

ア.需給動向

24 年度の推定出回り量は 188 万トン(国産 147 万 5 千トン、輸入 42 万 3 千

トン)と前年度から微増という状況である。一方消費動向は消費者における低

価格志向・節約志向を受け、食肉のなかでも価格帯が低い鶏肉の消費は堅調

に推移している。加えて惣菜やコンビニのホットコーナー等調理済加工品が

好調であるが、その大部分は調製品として輸入されているため、タイや中国

からの調整品輸入量が増加(24 年度 45 万 3 千トン、20 年度 31 万 1 千トン)し

ている。

イ.価格動向

24年度の食鳥相場は、安価な輸入品に押され国産品の余剰感が強まるな

かで、食鳥産業は装置産業化しているために減産が困難であること、品種改

良による成績向上により生産量が増加していることなどを受け、平均価格で

は、もも肉が565円(前年比91%)、むね肉も195円(前年比80%)と前年を

大きく下回った。

(5)酪農

①生産動向

24 年度の生乳生産量については、23 年度から 2 ヵ年連続の増産方向の生乳

計画生産対策もあって、全国で 733 万トン(前年比 101%)、北海道で 383 万

トン(同 101%)、都府県で 350 万トン(同 101%)となり、都府県においても前

年度を上回った。

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②消費動向

牛乳の消費量(24年度)は、305万kl(前年比99% )と前年を下回り、加工乳や

成分調整牛乳を加えた飲用牛乳等の消費量についても、355万kl(同97%)と

前年を下回った。

③乳製品在庫量の動向

25年3月末の乳製品の在庫量は、脱脂粉乳4万9千トン(前年同月比104%)、

バター2万3千トン(同123%)となり、期首(24年4月)より増加した。

④価格動向

24年度の乳価交渉は、飲用向け乳価については、据え置きで決着した。

なお、24年度の総合乳価(生産者の手取乳価)については、全国で90.7円 /

㎏ (前年比101% )となった。

⑤JA全農の取り扱い

24年度のJA全農の再委託生乳取扱数量は、143万トンとなり、広域指定団体の

生乳受託数量の約20%となっている。

なお、広域指定団体の受託数量(24年度)は733万トンであり、全国の生乳生

産量の96%となっている。

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4.購買事業

(1)肥料

①需要動向

化学肥料は農業生産にとって必要不可欠な基礎資材である。しかしながら、

近年は農産物全体の作付面積の減少が続いており、さらには良質米生産指向に

伴う単位当たり施肥量の減少や、環境に配慮した適正施肥などにより需要量の

減少傾向が続いている。また、最近では国際的な原材料相場の高騰に起因する

価格の乱高下により、一層の施肥節減の動きがみられた。

窒素・りん酸・加里の3成分の内需合計が7肥料年度にはおよそ200万トンあっ

たのが、22肥料年度では約130万トンとなっている。

製造メーカーも生産拠点の再編合理化をすすめるなど市場変化への対応をす

すめているが、供給過剰の状態が続いている。また、流通面においても、ホー

ムセンター等の市場参入もすすみ、販売競争が激化している。

こうした状況の中で、系統肥料事業も商系業者との競争の激化から、主要15

品目の系統シェアは、1肥料年度には73%であったものが、23肥料年度は63%

となり低下している。また、高機能・省力化・低価格など、多様化する農家の

ニーズに応えるため、省力・低コスト資材の普及や、土壌分析にもとづく適正

施肥の推進などに系統一丸となって取り組んでいる。21年から、全国9か所の

広域土壌分析センターが稼動している。

また、低コスト資材の普及に関しては、系統の粒状配合肥料(BB肥料)は、

23肥料年度で約62万トンの出荷となっている。(図表8)

図表8 化学肥料の生産、輸入、内需、輸出の推移(成分別) (単位:純成分千トン)

生産・輸入

内需 輸出生産・輸入

内需 輸出生産・輸入

内需 輸出生産・輸入

内需 輸出

11 1,007 801 223 571 569 6 398 407 1 1,976 1,776 23112 1,028 828 205 563 583 2 340 397 2 1,931 1,809 20913 939 765 175 507 472 3 377 359 2 1,822 1,597 18014 952 767 201 486 512 2 326 340 2 1,764 1,620 20515 906 730 199 468 508 2 369 369 2 1,743 1,607 20316 941 755 181 524 511 3 366 352 2 1,831 1,617 18717 901 728 175 470 465 3 350 360 3 1,721 1,553 18018 880 710 180 456 470 3 317 350 3 1,653 1,530 18619 866 700 180 471 486 3 373 352 3 1,710 1,538 18620 707 545 124 318 283 2 273 220 2 1,298 1,048 12821 688 522 168 269 297 2 227 276 2 1,184 1,095 17222 635 602 170 375 385 3 270 309 2 1,280 1,296 175

合計肥料年度

窒素質肥料 りん酸質肥料 加里質肥料

資料:「肥料時報(肥料経済研究所)」

2013 JA 年鑑

不許複製 65

(2)農薬

①需要動向

近年の国内農薬市場は、昭和62年以降減少の一途をたどっている。過去の

農薬工業会実績をみると、6農薬年度(5年12月~6年11月)に4,175億円が24

農薬年度には3,330億円となり、△845億円、約20%も縮小した。その理由は、

減反による水稲面積の減少のほか、安全・安心志向の高まりに伴う減農薬栽培

面積の拡大による影響が大きいと考えられている。

このため、農薬業界では利益の確保をめざした販売競争が激化するとともに、

海外メーカーの販売会社を経由しない直接販売の実施や、メーカーの合併・再

編がすすむなど、大きく変化してきている。

このような状況の中、系統農薬事業も苦戦を強いられており、JAグループ

では、こうした状況を打破するため、MY-100やAVH-301をはじめとする

高性能な農薬原体の開発・普及と系統一元品目の設定、割安な大型規格の普

及、マイナー作物への適用拡大、ホームセンター価格調査等にもとづいた地

域別の弾力的価格の設定など、農家の満足度向上に向けた取り組みを積極的

に展開している。(図表9)

図表9 JAグループ農薬取扱シェア・JAの県連・県本部利用率および総需要の推移

4,1754,144

4,058

3,993

3,5413,508

3,5943,607

3,6313,682

3,553 3,623

3,832

4,132

4,0523,953

3,961

3,982

3,841

3,934

3,873

3,807

3,545

3,737

3,8133,74256 56 55

57

4951

5351 51

47 46 4542 42 41 41 40 41

4341 41 41

43 43

39 39

74 74 73

64

6870 69 69 68 68

6164 65 65

63 62 6260 60

5855 56 57

59

7679

75 76 75 75 74 7472 72

70 69 69 68 68 67 67 67 66 66 65 65 6467 66

66

76

75

20

30

40

50

60

70

80

90

100

昭和

60年

昭和

61年

昭和

62年

昭和

63年

平成

元年

平成

2年

平成

3年

平成

4年

平成

5年

平成

6年

平成

7年

平成

8年

平成

9年

平成

10年

平成

11年

平成

12年

平成

13年

平成

14年

平成

15年

平成

16年

平成

17年

平成

18年

平成

19年

平成

20年

平成

21年

平成

22年

  シェア・利用率(%)

3,000

3,200

3,400

3,600

3,800

4,000

4,200

 JAシェア

JAの県連・県本部

利用率

県連・県本部シェア

資料: 「農薬要覧」 「総合農協統計表」 「全農肥料農薬部資料」

総需要(億円)

2013 JA 年鑑

不許複製 66

(3)園芸資材・包装資材

①園芸資材

ア.需要動向

24年度の主な被覆資材出荷量は、農ビ出荷量が1億692万m(前年比98%:

日本ビニル工業会調べ)、農PO出荷量が2万5,829トン(前年比104%:農PO

フィルム懇話会調べ)となった。

JA全農は、省力化・低コスト化および環境保全対策として、生分解性フ

ィルムを利用したマルチや、中長期の展張が可能な農POフィルムなどの普

及拡大をすすめている。また、自然災害に対し生産者が安心して営農を継続

できるように「系統パイプハウス補償制度」を制定し活用をすすめている。

②農産物包装

ア.米麦用包装容器の需要動向

24年産米麦用容器の日本穀物検定協会による検査証明実績は、1億4,466

万袋(30kg換算)であり、そのうち紙袋が1億4,387万袋(前年比101%)と

全容器の99%を占めている(他の容器は麻袋、樹脂袋)。

こうしたなか、低コスト化のため米麦用輸入フレキシブルコンテナの取扱

拡大をすすめている。また、産地直売所や通販等の流通チャネルの多様化に

対応した精米用小容量紙袋等の取扱拡大に取り組んでいる。

イ.青果物用段ボールの需要動向

24年度の段ボール生産量は、133億㎡(前年比102%:全国段ボール工業

組合連合会調べ)となった。

青果物用段ボール箱の需要は約17億ケースで、段ボール箱全体の約9%の

ウェイトと見込まれる(JA全農推定)。

JA全農は、青果物の販売価格が低迷していることをふまえ、より一層の

出荷資材コスト抑制に向け、低コスト原紙の導入など段ボールの低コスト化

をすすめている。

さらに、量販店・消費者ニーズや多様な流通チャネルに対応するため、店

舗でそのまま陳列できる段ボール箱や、産地直売所用に美粧性に富んだ包装

容器、環境に配慮した植物由来樹脂を原料とする青果物用パックなどを担い

手や産地JAに提案する「総合資材提案活動」に取り組んでいる。

2013 JA 年鑑

不許複製 67

(4)農業機械

①需要動向

東日本大震災からの復興に加え、米価格が堅調に推移したことにより、担い

手向けの大型トラクタや多条刈コンバインなどを中心に出荷台数・金額が増加

した。このため、24年の主要農機・国内出荷額は、2,939億円(前年比107%)

と前年を上回った。

今後は、担い手への農地利用集積が進むと想定されることから、農業機械ユ

ーザーは、大規模化した担い手が中心となり、それに対応できる体制を整える

ことが求められる。

JAグループとして、地域の多様なニーズに応えるための修理整備、中古農

機、リース、レンタル、作業受託などの提案型サービスを提供する体制の整備

をすすめる。

(5)燃料

①石油

ア.原油の価格動向

世界原油市場の指標価格である WTI 原油の先物価格は、24 年 9 月時点で

は不安定な中東情勢を受け、105~110 ドル/バーレルへと上昇したまま高値での

推移しているものの、中・長期的にはシェールオイルの増産等から 80 ドル/

バーレル台へ下降するものと想定されている。

イ.国内動向

燃料油の国内需要は、低燃費車の普及などを中心とした省エネ志向により

減少している。そのため小売段階での競争が激しくなり、SS数も減少してい

る。

そのなかで10年に解禁されたセルフSSは、コスト競争力に勝ることから

増加しており、25年3月末時点で全国8,862か所と全SS数(36,349か所)の

24%を占め、今後も増加することが予想される。

JAグループにおいても積極的にセルフSS建設を進め、同29%と、業界平

均を上回る販売基盤を形成している。

JA全農は、これまですすめてきたJAブランド戦略をさらに発展強化させ、

セルフSSを中心としたJA-SSネットワークの構築をめざしている。

②LPガス

ア.需要動向

24年度における家庭業務用の国内LPガス需要量は、前年度の冬場の寒波

の反動、電化等のエネルギー間競争によるLPガス顧客流出、省エネ・節約

志向等の影響により減少し、827万トン(前年比96%)となった。

JAグループにおいても、総世帯数の減少、高齢化の加速による人口の減

少やエネルギー間競争等によって供給戸数・数量の減少に歯止めがかからな

2013 JA 年鑑

不許複製 68

い状況下にあり、給湯需要のガス化(燃転)を中心とした小売販売力の強化、

新エネルギー事業の取り組みをすすめている。

イ.輸入価格動向

24年度の輸入価格は、24年7月まで中東の潤沢な供給余力等により下落し

たが、24年8月から12月にかけて原油価格の上昇、極東における堅調な需要

等により上昇し、24年度平均のプロパンCP価格 (サウジアラムコの輸出港本

船積荷価格 )は、前年度比+15ドル/トンの887ドル/トンとなった。

(6)建設

①施設

JAが保有する共乾施設を中心とした共同利用施設は、基幹施設として大き

な役割を果たしているが、運営収支の赤字や施設の老朽化等の課題を抱えてい

ることから、JA全農では、JA所有施設の最適化と施設コスト削減を目的とし

た共同利用施設の再編・補改修など、既存施設の改善を提案する取り組みをお

こなっている。

21年度から、カントリーエレベーター(CE)を中心にJAの施設配備の最適

化・運営の効率化を目的としたCE総合コンサルに取り組んでおり、24年度ま

でに累計10JAで取り組みに着手、内8JAでコンサル提案を完了している。

②農住

JAグループでは、FP(ファイナンシャルプランナー)の養成等をおこない、

組合員の資産管理に関する総合相談機能強化をはかっている。

24年度の農住事業取扱実績(JA全農・経済連・県JA)は、新築賃貸住宅1,133

棟、新築戸建住宅390戸と前年並みとなっている。

(7)畜産生産・飼料

①全国の畜産生産

ア.生産動向

24年度の全国の畜産生産動向は、飼養戸数・飼養頭羽数ともに各畜種で

前年を下回った。特に肉用牛は、飼養戸数が94%(3,900戸減)、飼養頭数

では97%(8万1千頭減)と前年を下回った。小規模生産者の廃業等により、

各畜種において1戸あたりの飼養頭羽数は増加した。(農林水産省「畜産統

計」)

イ.飼料需要

24年度の全国の配合・混合飼料の出荷数量は、東日本大震災と原発事故

の影響からの回復が遅れていることなどもあり、2,419万9千トン(前年比

99.5%)と前年を下回った。畜種別には、乳牛用飼料と肉牛用飼料はいずれ

も前年比100.1%と前年を上回り、養豚用飼料と養鶏用飼料がそれぞれ前年

2013 JA 年鑑

不許複製 69

比99.8%、98.6%と前年を下回った。(農林水産省「飼料月報」)

②JA全農グループの飼料事業

ア.配合飼料

24年度のJA全農グループの配合飼料・混合飼料の取扱数量は、723万1千

トン(前年比99%)と前年を下回った。畜種別には、ブロイラー用飼料が101%、

養豚用飼料が102%と前年を上回ったものの、採卵鶏用飼料が98%、乳牛用

飼料が99%、肉牛用飼料が97%、と前年を下回った。

全国の出荷数量に対するシェアは約30%で前年と同等であった。畜種別

には、養豚用飼料は前年を上回ったものの、養鶏用飼料は前年と同等、乳牛

用飼料と肉牛用飼料は前年を下回った。

イ.単味飼料

24年度のJA全農の単味飼料の取扱数量は、配合飼料への移行に加え飼料

需要全体の縮小により90万9千トン(前年比95%)と前年を大きく下回った。

品目別には、穀類、そうこう類、ビートパルプ類等のそれぞれが前年を下回

った。

ウ.飼料価格

24年度における配合飼料の価格改定(JA全農の全国全畜種総平均)は、

第1四半期および第2四半期は共に1トンあたり約900円の値上げ、第3四半

期は米国産地の干ばつによる生産量の大幅な減少により主原料であるとう

もろこし、大豆粕が値上がりしたことから1トンあたり約4,300円の大幅な値

上げとなった。第4四半期は据え置きとなった。

飼料価格の値上がりによる生産者の急激な負担増を緩和するために、配合

飼料安定基金から第2四半期450円、第3四半期5,450円、第4四半期4,300円

の補てんが発動された。

③畜産農家経営の安定対策

ア.畜産農家の生産性向上支援

畜産農家の生産性向上の取り組みの充実をはかっている。

畜産農家への巡回対応に加え、機能性飼料や低コスト飼料の開発・提案、

情報発信の強化、優良素畜・ET受精卵の供給や研究所による技術指導・情

報提供などにより、畜産農家の生産性向上を支援している。

また、国内外で重大疾病が発生している状況をふまえ、家畜予防衛生対策、

クリニックの強化をすすめている。

イ.配合飼料の安定供給

配合飼料の主原料であるとうもろこしの主産地米国における豊凶変動等

の供給環境の大きな変化に対応するため、米国子会社の集荷・保管・船積能

2013 JA 年鑑

不許複製 70

力の拡充をすすめるとともに、南米(ブラジル・アルゼンチン)、ウクライ

ナ、南アフリカなど米国以外の産地国における農協組織等との取引提携強化

を通して産地の多元化に取り組み、輸入主原料の安定的な確保につとめてい

る。

(8)物流

JAグループの物流改革は、全国での取り組みが拡大しており、24年度末ま

でに42県域191か所(266JA)の拠点を整備した(前年度比1JA増)。このう

ち農家戸配送業務(注文から入出庫・保管・配送まで)を連合会が受託する「県

域物流」による広域農家配送拠点は、37県域121か所(197JA)となっている

(前年度比4JA増)。

5.生活事業

(1)全体動向

組合員・利用者が地域で安心して快適に生活するために、「生産者と消費者

を結ぶ懸け橋」として、「国産最優先」、「地産地消」の商品政策にもとづい

た国産農畜産物および国産原料を使用した加工品の開発・取扱拡大や、「JA

くらしの宅配便」の導入による組合員・利用者の利便性・満足度向上、「新た

なJA生活事業の展開」によるJA生活事業の基盤拡大に取り組んでいる。JA生

活購買事業の取扱高は、9,575億円(22年度実績、LPガス・米を含む)となっ

ており、JAの購買事業の32%を占めている。シェアについては、JAの生活事

業は農村需要の13%を占めていると推定される。(図表10)

図表 10 JA 段階における生活資材取扱高とシェアの推移

12 年 度 17 年 度 19 年 度 20 年 度 21 年 度 22 年 度

農 村 基 準 組 合 員 戸 数 (千 戸 ) 5,489 5,219 5,091 5,022 4,952 4,882

農 村 需 要 (億 円 ) 93,148 74,626 82,652 79,486 77,035 74,737

農 協

農 協 取 扱 高 (億 円 ) 14,733 10,673 9,791 9,353 9,396 9,575

1 戸 あたり取 扱 高 (千 円 ) 268 205 192 186 190 196

農 協 のシェア(%) 16 14 12 12 12 13

*農 協 取 扱 高 は 19 年 度 から調 査 方 法 の変 更 により米 、LPG を含 む。これより各 年 度 および農 村 需 要 も見 直 した。

(2)組織購買事業の動向

①生活用品

衣料品・耐久財等の従来品目は、個人消費の低迷に加えて単価の下落、量販

店の郊外進出等により、JAの取扱高は年々減少を続けているが、一方で省エ

ネ家電であるLED照明や冷凍ストッカーなどは、省エネに向けた買換え需要

により取り扱いが拡大している。

2013 JA 年鑑

不許複製 71

②葬祭事業

高齢化に伴い葬祭事業の需要は増しており、特にJAでは、近年増加してい

る斎場葬に対応するため斎場設置を積極的にすすめている。組合員への最後の

ご奉仕として、葬祭用品・ギフト等幅広く取り組むとともに、相続等の相談対

応等組合員の利便性に寄与している。

③家庭薬

配置家庭薬は、全国35県で取り組んでおり、24年度末現在の取扱高は71億

円(前年比95%)と、17年度を除き減少傾向が続いているが、組合員への訪

問頻度のアップ、商品力・提案力の強化等により組合員の健康維持・疾病予防

に貢献している。

④「JAくらしの宅配便」

組合員・利用者の利便性・満足度向上のため、22年4月よりインターネット

を活用した個配事業システム「JAくらしの宅配便」が稼動し、25年8月末時点

で17県73JA、会員数15万2千人に拡大している。

⑤食材宅配

JA食材宅配は、加入者数11万5千人(24年度末現在)と減少傾向にあるが、

地域インフラとしてふれあいを通じた高齢者等の生活支援、国産農畜産物の消

費拡大等、事業の今日的意義は高く、選択性の拡大やJA・宅配員(ふれあい

さん)によるふれあい活動の強化等、事業基盤の維持拡大をはかっている。

⑥食品

JA生活事業のシンボル的商品としてエーコープマーク品(24年度末現在

1,203品目)がある。不必要な添加物を極力排除し、原料には国産農畜産物を

優先的に使用するなど安全・安心にこだわった商品となっており、JAの共同

購入やAコープ店舗、農産物直売所で好評を得ている。

(2)店舗購買事業の動向

A コープ店舗事業は、19 年 3 月末に「全国 A コープチェーン」を解散し、

経営や運営を一体化した県域・会社による「全国 A コープ協同機構」を4月

から本稼動した。全国Aコープ協同機構の規模は、16 社 1 県本部、511 店舗、

供給高 2,916 億円(24 年度末現在)となっている。

全国Aコープ協同機構では、JA・JA全農グループの理念にもとづく「国産

こだわり宣言」、産地交流等による「国産最優先」・「地産地消」の強化、メンバ

ーの結集による商品や備品の共同仕入、共通システムの構築等によるコスト削

減、教育研修の充実等をすすめている。

2013 JA 年鑑

不許複製 72

Ⅱ 信用事業

1.農林中央金庫の経営

(1)中期経営計画(平成25年~27年度)の概要

当金庫は、平成 25 年度から平成 27 年度までの 3 年間を計画期間とする新

たな「中期経営計画(平成 25~27 年度)」を策定した。

中期経営計画においては、「新たなステージへの挑戦」を掲げ、さらなる収

益力・組織力の強化を図ることにより、わが国の成長産業と期待されている農

林水産業の成長実現や被災地復興を含めた地域の持続的発展、ならびに人材育

成をはじめとする系統信用事業(JA バンク・JF マリンバンク)の将来的な強

化に資する取組みに率先して挑戦し、「農林水産業と食と地域のくらしを支え

るリーディングバンク」の実現に向けて邁進していくこととしている。

(2)平成24年度の主な取組み

①復興支援の取組み

当金庫は、農林水産業を基盤とする協同組織中央機関・専門金融機関として、

東日本大震災により甚大な被害を受けた農林水産業の復興を全力かつ多面的

に支援するため、平成 23 年度に「復興支援プログラム」(期間 4 年程度、支

援額 300 億円)を創設している。

その内容は、①被災された農林水産業者等への支援、②被災会員への事業・

経営支援とし、復興支援の推進にあたり、職員派遣等による人的支援もあわせ

て行っている。

対象者 内容

金融支援プログラム 農 林 水 産 業

者等

金融対応(利子補給,復興再生ロー

ン(低利融資)等)

事業・経営支援プログラム 会員組織 事業復旧(店舗, ATM,端末等のイ

ンフラ復旧支援)

経営対策(会員の経営基盤強化のた

めの支援等)

ア.生産者・地域への復興支援

被災された農林水産業者等の経営再建に向けて、復興ローン(東北農林水

産業応援ローン)等による長期低利資金の供給や、当金庫の関連法人である

アグリビジネス投資育成(株)を通じた復興ファンド(東北農林水産業応援

ファンド)による資本供与、再建計画の策定支援等を実施している。また、

JA バンク・JF マリンバンクによる農漁業者への災害資金の利子補給を通じ

て、農漁業者の金利負担を支援している。平成 24 年 7 月には、被災された

農業者の早期経営再開を後押しするため、JA(農協)等を通じて農機等を

2013 JA 年鑑

不許複製 73

リース方式で取得する農業者へのリース料助成を新たに開始した。

このほか、被災された漁業者には、養殖ワカメ・コンブ共同出荷用のダン

ボールケース費用の助成や、水揚げされた鮮魚を運ぶための魚箱の寄贈を実

施した。また、被災地域の地元産木材を使用したベンチ・テーブルを地域の

コミュニティスペースに寄贈。平成 25 年度は、被災された稲作農業者に、

営農再開に向けた生産資材費用の助成を新たに開始した。

平成 25 年 3 月には、仙台市内で東北 6 県合同の「東北復興商談会」を開

催し、被災された農林漁業者の販路拡大に取り組んだ。

商品名 件数 金額

復興ローン(東北農林水産業

応援ローン)

(平成 23 年 12 月取扱開始)

融資件数

45 件

融資残高

17,073 百万円

復興ファンド(東北農林水産

業応援ファンド)

(平成 24 年 2 月取扱開始)

投資件数

9 件

投資残高

165 百万円

リース料助成

(平成 24 年 7 月取扱開始)

助成件数

370 件

リース料総額

1,586 百万円

*平成 25 年 3 月末までの累計実績

イ.会員・利用者への復興支援

被災された JA バンク・JF マリンバンクの利用者には、JA バンクにおけ

る相談窓口(コールセンター)の継続設置や、甚大な被害を受けた JF への

可動式端末機の寄贈等を通じて、安定的な金融機能を提供している。また、

JA バンク・JF マリンバンクによる復興応援定期貯金・復興応援ローンの取

組み支援や、二重債務問題・防災集団移転促進事業への適切な対応等を通じ

て、被災された利用者の生活再建を支援している。

さらに,震災特例支援の枠組みにより資本増強支援を実施した JA(農

協)・JF(漁協)には,職員派遣などを通じた信用事業強化指導計画に基づ

く指導・助言等を実施し、金融機能の維持・発揮に向けた取組みを支援して

いる。

今後とも,本支店役職員と被災会員に派遣した職員等が一体となり、行

政・関係団体とも連携しつつ,震災復興に向けた取組みを進めていく。

②農林水産金融の取組み

当金庫は会員および農林水産業への貢献を第一に、協同組織中央機関として

の一層の機能発揮のための取組みを展開している。平成 25 年度からの中期経

営計画においても、農林水産業と食の発展や地域の活性化に貢献することを同

計画における 4 つの核となる取組方針の一つとして位置付けている。国の成長

2013 JA 年鑑

不許複製 74

戦略(「攻めの農林水産業」)を踏まえ,率先して地域の農林水産業をリードす

る担い手への支援や、事業力強化支援、地域活性化支援を行うことを目指し、

農林水産業者のみなさまの多様なニーズに多面的に対応するため、新たな金融

ツールや施策の開発・展開に取組んでいく。

当金庫は農林水産業者の前向きな資金ニーズ等にこたえるため、農林水産業

者向け融資を拡充するとともに、農業法人の育成を目的とした資本供与の枠組

みを創設するなど、総合的な金融サービスを提供し,農林水産金融機能の強化

を図っている。

また、農林水産業・農山漁村の 6 次産業化に向けたサポートとして、商談会

の開催や輸出サポート、ビジネスマッチングに取り組んでいる。

ア.融資の拡充

当金庫は,農林水産業のメインバンクとして,系統独自の融資制度である

「農林水産業振興資金」を備え,農林水産業の担い手の育成や環境保全型農

業の振興を図るなど、わが国の農林水産業と系統団体の発展を金融面から支

援している。

具体的には、農林水産業者のみなさまに対し、農林水産物の生産および

加工・流通・販売等に必要な設備・運転資金について、担保・保証に過度に

依存せず幅広くニーズにおこたえする「農林水産環境ビジネスローン」、経

営改善に積極的に取り組まれる農林水産業者等向けの「経営改善サポート資

金」、中核的担い手の農業法人の方に対し、農業生産および農産物の加工・

流通・販売等に関する運転資金等の新規取引ニーズにおこたえするため、1

法人あたり 10 百万円を上限として原則無担保・無保証で貸付を行う「農業

法人育成貸出(愛称:アグリシードローン)」などを取り扱っている。

商品名 融資件数 融資残高

農林水産環境ビジネスローン

(平成 21 年 10 月取扱開始) 131 件 36,066 百万円

アグリシードローン

(平成 21 年 12 月取扱開始) 26 件 223 百万円

※平成 25 年 3 月末までの累計実績

また、当金庫は、第一次産業のメインバンクとして、農林水産業者等のみ

なさまからの経営相談、経営ニーズなどに迅速かつ的確におこたえしている。

具体的には、経営改善計画の策定支援、ビジネスマッチング情報の提案

など、農林水産業者等のみなさまとのリレーションシップを構築しながら積

極的な取組みに努めている。

なお、平成 23 年 12 月には,東日本大震災で被災された生産者の復旧の

加速と経営の安定を後押しするため、当面の元利払負担を軽減した「東北農

林水産業応援ローン」を創設した。

2013 JA 年鑑

不許複製 75

イ.資本供与スキームの拡充

平成 22 年度より,農業生産法人を含む農業法人へ資本を供与する新たな

枠組み(「アグリシードファンド」)を創設し、資本過小ながら技術力のある

農業法人へ原則 1 法人あたり 10 百万円を上限として出資し、地域農業の担

い手を育成している。

また、「アグリ・エコファンド」は、農業振興・環境貢献・社会貢献に積

極的に取り組む経営体を支援することを目的に、JA バンクアグリサポート

事業(CSR 事業)の一環として、資本提供を行っている。

商品名 投資件数 投資残高

アグリシードファンド

(平成 22 年 4 月取扱開始)

63 件 563 百万円

アグリ・エコファンド

(平成 21 年 10 月取扱開始)

33 件

1,172 百万円

*平成 25 年 3 月末までの累計実績

なお、東日本大震災で被災された農林水産業法人等を対象とする「東北農

林水産業応援ファンド」を創設し,平成 24 年 2 月より取扱いを開始してい

る。

ウ.農林水産業の6次産業化に向けたサポート

JA バンクと JF マリンバンクは、農林水産業者による生産・加工・流通

(販売)の一体化や、第 2 次・第 3 次産業との連携を促進する「6 次産業化」

の取組みをサポートしており、その一環として,系統の持つ強みや特色を活

かした各種商談会の開催やビジネスマッチング、輸出サポート等に取組んで

いる。また、「6 次化ファンド」を創設し、6 次産業化への取組みを資金面・

事業面・経営面から支援していく。

ⅰ)商談会・ビジネスマッチングへの取組み

平成 24 年度は、大阪および金沢で地域商談会、東京で全国商談会を開

催した。また、仙台で復興商談会を開催し、「地域産業の復興を強く支援」

をコンセプトに、被災沿岸地域の生産者からも多くの参加があり、参加し

たセラー団体およびバイヤー企業から高い評価をいただいた。

ⅱ)輸出サポートの取組み

会員・農林水産業者向け輸出サポートでは,平成 24 年 8 月にアジア最

大級の食の商談会である「香港フード・エキスポ 2012」に JA(農協)・

農業法人とともに参加した。また、平成 25 年 3 月には、系統団体および

農業法人等を対象として、香港・シンガポールの海外バイヤーを講師とし

て招聘し「食のアジア販路開拓セミナー2013」(東京・大阪)を開催して

2013 JA 年鑑

不許複製 76

いる。

平成 24 年度 商談会開催実績

開催地 開催時期 名称 セラー団体数 バイヤー企業数 商談数

大阪 平成 24 年 11 月 JA・JF グループ近畿商談会 24 団体 24 社 137 件

金沢 平成 24 年 12 月 JA グループ・JF グループ北陸商談会 37 団体 32 社 174 件

東京 平成 25 年 2 月 JA グループ国産農畜産物商談会 144 団体

4,523 名

1,794 件

(来場者数)

仙台 平成 25 年 3 月 JA グループ主催 東北復興商談会 51 団体 44 社 250 件

ⅲ)農林水産業協同組合ファンド

(通称:JA・6 次化ファンド、JF・6 次化ファンド、JForest・6 次化ファンド)

当金庫を含む JA グループは、一体となってグループの総合力・組織力

を発揮し、6 次化ファンドを含む施策の戦略的活用を通じて、その具体的

促進を図っていく方針を打ち出している。こうした方針を受け、(株)農

林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE-J)と系統の出資によるサブファン

ド「農林水産業協同組合ファンド(通称:JA・6 次化ファンド、JF・6

次化ファンド、JForest・6 次化ファンド)」を立上げ,6 次産業化に取り

組む個別の農業経営体や JA(農協)、パートナー企業が構成する事業体に

対し、資金面・事業面・経営面での支援を行うこととしている。

なお,本ファンドについては,農業分野のみならず、水産業者・林業者

および協同組合、パートナー企業等が構成する事業体に対しても対応を行

う予定。

エ.環境金融への取組み

当金庫は,平成 22 年に環境分野に配慮した取組みを実践している会員・

企業を評価する制度として「農林水産環境格付制度」を導入した。本制度

の評価対象項目には環境保全型の農林水産業への取組み,生物多様性の維持、

6 次産業化への取組みなどを取り入れており,平成 24 年度は本制度に基づ

く貸出を 50 億円実行した。

平成 24 年 3 月にはオフセット・クレジット(J-VER)の媒介業務を開始。

J-VER 制度は国が運営する国内排出権取引制度で,省エネ設備導入等によ

る温室効果ガスの排出削減、森林間伐等による温室効果ガスの吸収が排出権

発行の対象となる。農林水産業由来の J-VER の売買取引を媒介することで、

森林整備などの環境配慮型農林業への取組みや企業等の環境対策をサポー

トすることを目指す。

2013 JA 年鑑

不許複製 77

オ.再生可能エネルギー事業への取組み

当金庫は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入を契機として、

再生可能エネルギー事業に関する専担部署の設置および関係団体との連携

など、取組態勢を強化しており、リスク分析手法や事業化ノウハウの獲得に

努めるとともに、再生可能エネルギー事業向け資金枠の準備を進めている。

今後は,資金ツールの活用に加え、再生可能エネルギーの導入が地域活性

化につながる側面を有していることを踏まえ、金融面に限らず事業化に必要

なサポートを提供していくことを目指す。

③CSRの取組み

JA バンクの CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、JA バンクが設

立した「一般社団法人 JA バンクアグリ・エコサポート基金」を実施主体に、

農業振興や環境保全等への貢献を目的に「JA バンクアグリサポート事業」を

展開している。

平成 24 年度は、農業担い手への支援として、JA が行う約 7 万 8 千件の農

業関連融資の利用者から、総額約 13 億円の助成申請を受付。前年度受付分と

して 69,469 件、12 億 1,300 万円の助成金を交付した。「投資事業」では、農

業振興・環境貢献・社会貢献に積極的に取り組む企業経営体を育成支援するた

めに、アグリエコファンドを通じ平成 25 年 3 月末までに 28 社、11 億 7,200

万円の投資を実行した。また,将来の農業担い手の育成を支援するため、新規

就農希望者を受け入れる農家・JA 等への費用助成を行う「新規就農応援事業」

については、平成 24 年度は 545 件、5,600 万円の計画を受付。前年度受付分

として 515 件、5,100 万円の助成金を交付した。

また、農業および地域社会に貢献する取組みへの支援として、「JA バンク

食農教育応援事業」において、食農・環境・金融経済をテーマとする小学校

高学年向けのオリジナル教材本を制作し、全国約 2 万校の小学校および海外

日本人学校に約 142 万冊を贈呈した。さらに、全国の JA 等が実践する、子

どもを対象とする食農教育等をテーマとした活動に対し費用助成を行ってお

り、平成 23 年度下期受付分および 24 年度上期受付分として 2,233 件、4 億

8,400 万円の助成金を交付した。

(3)平成24年度決算と自己資本の状況

平成 24 年度決算 (単体 )は、経常利益 881 億円、純利益 1,068 億円と、目標水

準(500~1000 億円)を確保の上で前期比増益となった。また、有価証券等の

評価差額については、前期比+1 兆 2,366 億円の 1 兆 7,409 億円と大幅に増加し

た。

自己資本比率は、平成 25 年 3 月末より国際統一基準行としてバーゼルⅢが適

用されているが、普通出資等 Tier1 比率 15.98%、Tier1 比率 16.10%、送自己

資本比率 23.77%と、新しい基準においても、引き続き高水準を維持している。

2013 JA 年鑑

不許複製 78

○単体決算の概要

平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度

経常利益 1,173 億円 684 億円 881 億円

当期純利益 1,443 億円 616 億円 1,068 億円

純資産 42,504 億円 48,204 億円 57,349 億円

普通出資等 Tier1 比率(*) - - 15.98%

Tier1 比率(*) 16.80% 18.22% 16.10%

自己資本比率(*) 22.76% 24.83% 23.77%

有価証券等の評価差額 △3,429 億円 5,042 億円 17,409 億円

(*)平成 24 年度以降は,バーゼルⅢ基準(自己資本比率は総自己比率)

2.JA信用事業

(1)JA貯金の動向

平成 23 年度の JA 信用事業は 3 月に発生した東日本大震災の影響を大きく受

けており、24 年度は特に貯金を中心にその反動が現れた。

①JA貯金の概要

JA 貯金の前年同月比増加率は、22 年 3 月以降ほぼ 1.5%程度の水準で推移

していたが、23 年3月以降上昇し 24 年 1 月には 2.9%となった(第 1 図)。

これは、東日本大震災の被災地で共済金や義援金が貯金口座に入金されたこ

とが影響している。その後徐々にこうした資金流入は弱まり、貯金の前年比増

加率も低下した。25 年に入ってからは横ばい圏内で推移し、25 年 3 月の前年

比増加率は 1.7%となった。

JA 貯金の前年比増加率を、東北、三大都市圏、それ以外の地域の 3 つに分

けてみると、23 年 3 月以降、東北の前年比増加率が大きく上昇し、その後低

下に転じたことが分かる(第 2 図)。これは、前述のとおり東日本大震災の直

後に、被災地で、共済金や義援金が貯金口座に入金されたことが影響したから

である。

東北以外の地域では、三大都市圏の前年比増加率が、それ以外の地域に比べ

ると相対的に高い。

2013 JA 年鑑

不許複製 79

1.6

2.9 2.8 2.5

1.9 1.8 1.7

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

23/3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 24/1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 25/1

2 3

(%) 第1図 JA貯金の前年比増加率と貯金種類別寄与度

定期性貯金 流動性貯金 貯金計

資料 農中総研「農協残高試算表」

0

2

4

6

8

10

12

14

23/3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 24/1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 25/1

2 3

(%) 第2図 JA貯金の地域別前年比増加率

東北

三大都市圏(関東・東海・近畿)

東北・三大都市圏以外の地域

資料 農中総研「農協残高試算表」

2013 JA 年鑑

不許複製 80

第 3 図は、預入者別に貯金の動向をみたものであるが、24 年 3 月末以降、

公金貯金の前年比増加への寄与度は、概ね 0.2~0.5%の水準で推移している。

一方、23 年 3 月からは、個人貯金の寄与度が拡大したが、これは前述のと

おり、東日本大震災の影響によるものである。

24 年に入ってからは、個人貯金の増加率も低下傾向となったが、依然とし

て JA 貯金の前年比増加に大きく寄与しているのは個人貯金である。そこで、

JA の個人貯金の動向の背景となる、家計の金融資産、他業態の個人貯金の動

きをみることとする。

②家計の金融資産の動向

日銀の資金循環統計によると、家計の金融資産残高は、25 年 3 月には前年

比 51.8 兆円(3.4%)増加し、約 1,568.4 兆円となった(第 1 表)。金融市場

の活況により、投資信託受益証券が前年比 20.1%、株式が同 21.7%増加して

おり、これが金融資産の前年比増加率の上昇につながっている。

24 年末からの株高によって個人の株式取引額は増加したが、25 年 3 月末の

時点では売却額と購入額はほぼ一致しており、株式の前年比増加分のほとんど

は株価の上昇によるものとみられる。一方で、投資信託受益証券は、基準価額

の上昇だけでなく、大幅な買い越しとなったため、前年比大幅増となった。

預金については、引き続き流動性預金の前年比増加率が比較的高いが、定期

性預貯金は前年比ほぼ横ばいの水準となった。一方、国債・財融債は、過去に

販売した個人向け国債が償還を迎えているが、新規発行分の金利水準が低いこ

とから多くは再購入には向かわなかったとみられ、残高の大幅減少が続いてい

る。

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

23/

3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 24/

1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 25/

1

2 3

(%) 第3図 JA貯金の前年比増加率と利用者別寄与度

その他 個人貯金 公金貯金 貯金計

資料 農中総研「農協残高試算表」

2013 JA 年鑑

不許複製 81

③JAの個人貯金と他業態の個人預貯金との比較

次に業態別の個人預貯金の前年比増加率をみると、震災後はいずれの業態で

も増加率が上昇したが、その後は低下傾向となった(第 4 図)。震災を契機と

して、家計が手元に流動性資金を確保したことや、震災の被害に対して保険金

が支払われたことが預金の増加につながったが、震災から時間がたつにつれ、

そうした影響は薄れた。そうしたなかで 24 年半ばからは、国内銀行と信金、

JA の前年比増加率の差が拡大する傾向がみられる。

ゆうちょ銀行においては、預金残高が長い間前年比減少していたが、23 年

12 月には増加に転じ、その後はプラスを維持している。一時はゆうちょ銀行

の預金残高が年間 10 兆円以上前年比減少し、それが JA も含めた他の民間金

融機関の預貯金増加の原資となっていた時期もあったが、そうした動きは足元

ではなくなっている。

先にみたとおり、25 年 3 月末の家計の金融資産における預金の前年比増加

率は 1.6%であり、信金とJAの前年比増加率は、ほぼそれと同じ水準である。

したがって、国内銀行の預金の増加率の水準が相対的に高いとみることがで

きる。国内銀行では、定期性預金は前年比減少する一方で、流動性預金の前年

比増加率が 6%台と高い水準であり、待機的な資金が流入し滞留している可能

性も想定される。

(2.0)

(1.0)

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

23年 24年 25年

(%) 第4図 業態別個人預貯金の前年比増加率

国内銀行 信用金庫 ゆうちょ銀行 JA

資料 日銀「預金者別預金」,ゆうちょ銀行決算資料,農中総研「農協残高試算表」より作成

(注) JA,国内銀行,信金は流動性(要求払)個人預貯金および定期性個人預貯金の合

計(末残),ゆうちょ銀行は要求払貯金と定期性貯金の合計(末残)。

第1表 家計の金融資産の動向(単位 兆円、%)

残高 構成比前年比増加額

25/3 25/3 25/3 24/3 6 9 12 25/3

金融資産合計 1,568.4 100.0 51.8 1.1 0.2 1.5 2.9 3.4うち現金・預金 847.4 54.0 14.3 2.2 1.8 1.9 2.0 1.7

現金 53.8 3.4 1.4 2.0 3.0 3.2 3.9 2.7預金 787.5 50.2 12.6 2.2 1.7 1.8 1.8 1.6

流動性預金 322.6 20.6 12.0 4.9 4.0 4.1 3.9 3.8定期性預金 464.9 29.6 0.7 0.5 0.2 0.4 0.5 0.1

外貨預金 6.1 0.4 0.3 3.5 0.9 1.2 5.3 4.9国債・財融債 24.2 1.5 △ 3.5 △ 11.1 △ 11.1 △ 13.5 △ 14.0 △ 12.5投資信託受益証券 71.2 4.5 11.9 △ 4.9 △ 11.3 2.0 13.3 20.1株式 76.5 4.9 13.6 △ 0.2 △ 6.9 △ 2.1 15.5 21.7対外証券投資 8.1 0.5 △ 0.8 18.9 27.8 40.1 25.4 △ 9.0年金準備金 232.1 14.8 8.7 2.3 2.5 2.9 3.5 3.9保険準備金 200.6 12.8 1.5 △ 0.6 △ 0.5 0.6 1.4 0.8

資料 日銀「資金循環統計」(注) 金融資産合計には表掲載以外の科目が存在するので内訳の計は合計とは一致しない。

前年比増加率

2013 JA 年鑑

不許複製 82

(3)JA貸出金の動向

①JA貸出金の概要

JA 貸出金の前年比増加率は、22 年 9 月からマイナスが続いており、25 年 3

月末は△2.0%となった。前年比減少となった要因としては、過去には増加の

牽引役であった地方公共団体貸付(市町村貸付金、地方公社貸付金の合計)の

減少が続き、自己居住用住宅資金(以下「住宅ローン」という)が増えなくな

ってきたことが考えられる(第 5 図)。

そこで、こうした資金の動きがどのような要因から起こったかをみるため、

まず家計負債の動向をみたあと、住宅ローンと地方公共団体貸付をとりまく環

境について以下でみていくこととする。

(2.0)

(1.0)

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

23年 24年 25年

(%) 第4図 業態別個人預貯金の前年比増加率

国内銀行 信用金庫 ゆうちょ銀行 JA

資料 日銀「預金者別預金」,ゆうちょ銀行決算資料,農中総研「農協残高試算表」より作成

(注) JA,国内銀行,信金は流動性(要求払)個人預貯金および定期性個人預貯金の合

計(末残),ゆうちょ銀行は要求払貯金と定期性貯金の合計(末残)。

2013 JA 年鑑

不許複製 83

②家計負債の動向

日銀の資金循環統計によれば、家計の金融負債のうち貸出合計は、25 カ月

連続で前年比減少が続いていたが、25 年 3 月には前年比 0.3%増の約 298.6

兆円となった(第 2 表)。

貸出合計においては民間金融機関と公的金融機関の住宅貸付の合計額が家

計負債の 6 割以上を占めている。民間金融機関の住宅貸付の前年比増加率は、

1.5%近辺で推移しているのに対し、公的金融機関の住宅貸付は前年比減少が

続いているが、減少幅はやや縮小した。貸出合計が増加に転じた背景には、公

的金融機関の住宅貸付と、民間金融機関貸付のうち消費者信用の減少幅が縮小

したことが影響しているとみられる。

第2表 家計の金融負債の動向(単位 兆円、%)

残高 構成比前年比増加額

25/3 25/3 25/3 24/3 6 9 12 25/3金融負債のうち貸出合計 298.6 100.0 0.8 △ 1.2 △ 1.0 △ 1.0 △ 0.5 0.3

民間金融機関貸付 250.6 83.8 2.0 △ 0.9 △ 0.5 △ 0.5 0.1 0.8住宅貸付 a 166.7 55.0 2.5 1.5 1.5 1.3 1.4 1.5消費者信用 22.4 8.0 △ 0.3 △ 9.9 △ 6.9 △ 4.3 △ 2.8 △ 1.2

公的金融機関貸出 42.0 14.1 △ 1.1 △ 0.7 △ 1.1 △ 1.1 △ 2.9 △ 2.6住宅貸付 b 26.0 9.2 △ 1.3 △ 4.6 △ 4.9 △ 5.1 △ 5.3 △ 4.9

(参考)住宅貸付計 a+b 192.7 64.1 1.1 0.6 0.5 0.4 0.4 0.6資料 日銀「資金循環統計」

(注) 金融負債のうち貸出合計には表掲載以外の科目が存在するので内訳の計は合計とは一致しない。

前年比増加率

-2.5

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

23 24 25

(%) 第5図 JA貸出金の前年比増加率と種類別寄与率

地方公共団体貸付

その他

貸出金

資料 農中総研「農協残高試算表」

注 貸出金は、日本政策金融公庫貸付、共済貸付、金融機関貸付を除く

2013 JA 年鑑

不許複製 84

③住宅ローン

住宅ローンにおいては、22 年 2 月に開始したフラット 35S(優良住宅取得

支援制度)の金利引下げ幅の拡大によって、一時期、住宅金融支援機構の買取

債権残高(フラット 35S 等フラット 35 全体の残高を含む)の前年比増加率が

50%を超えた。フラット 35S の金利引下げ幅拡大は 23 年 9 月末で終了したた

め、前年比増加率は低下したものの、25 年 3 月末の時点でも 15.9%と高い水

準である。

これに比べると民間金融機関では、最も高い国内銀行でも前年比増加率は

3%台である。JA の住宅ローン残高には、一部賃貸住宅資金が含まれる影響も

あり、25 年 3 月末の時点では前年比減少となっている。

④地方公共団体貸付

地方公共団体貸付は、民間金融機関全体でみると増加が続いている。これは、

13 年度からの財政投融資改革のなかで、地方公共団体の負債増加に占める民

間からの借入の割合が増加していることが影響している。特に 19 年度以降は

民間金融機関の貸付残高の前年比増加率が上昇したが、その要因としては 19

年度から 24 年度まで「地方向け財政融資資金の繰上償還にかかる補償金免除」

が実施され、公的金融機関から民間金融機関への借換えが進んだことが影響し

ている。

しかし、前述のとおり JA の地方公共団体向け貸付の前年比増加率は、前年

比減少が続いている。JA の場合、地方公共団体向けのなかでも、地方公社貸

付金が近年大きく減少しているためである。一部の JA でのヒアリングでは、

地方公社の事業の終了にともない貸付金が償還されたため、残高が減少したと

の話が聞かれた。新聞記事等によれば、地方公社の解散や株式会社化などが各

地で進展しているようであり、そうしたケースが増えつつあるとも考えられる。

2013 JA 年鑑

不許複製 85

Ⅲ 共済事業

1.JA共済連の経営

(1)平成24年度決算の特徴

平成24年度は、生命総合共済の一時払契約の伸展を主な要因として、受入

共済掛金が過去最高水準の 6 兆 6,595 億円となるとともに、総資産は 50 兆円

を超えた。

一方で、一時払契約の伸展に伴い、将来の共済金の支払いなどに備えるため

の共済契約準備金も増加し、負債の部合計では 47 兆円を超えた。

このような状況のなかで、決算処理については、経営の健全性の確保と契約

者・会員還元とのバランスを考慮し、以下のとおり行った。

①リスク担保力の強化

建物更生共済の共済リスクに備える異常危険準備金は、平成 22 年度決算に

おいて東日本大震災の発生等に伴い取崩しを行ったが、未だその復元が図れて

いないことから、将来の巨大災害時の共済金支払いに備え異常危険準備金残高

の早期復元を図るための積立てを行った。

また、価格変動準備金は、リスク担保力を強化するための積立てを行った。

②契約者割戻し

生命総合共済の割戻率は前年度と同率とし、建物更生共済(まもり)の危

険差割戻率は東日本大震災の影響を大きく受けた前年度に比べて引き上げた。

この結果、契約者割戻準備金繰入額は前年度より 102 億円増加し、727 億

円となった。

(2)財務状況について

平成24年度末の総資産は、前年度末より3兆577億円増加し、50兆6,909

億円(前年比 106.4%)となった。

総資産の 95.8%を占める運用資産は、一時払契約の伸展に伴い運用資金が

増加したことなどから、前年度末より 2 兆 8,408 億円増加し、48 兆 5,829 億

円(前年比 106.2%)となった。このうち有価証券は、前年度より 3 兆 24 億

円増加し、45 兆 3,930 億円(前年比 107.1%)となった。

これにより、運用資産に占める構成割合は、有価証券が 93.4%、次いで貸

付金が 3.9%となっている。

一方、負債の部合計は、一時払契約の伸展に伴い共済契約準備金が増加した

ことなどから、前年度末より 2 兆 5,894 億円増加し、47 兆 7,300 億円(前年比

105.7%)となった。

2013 JA 年鑑

不許複製 86

表1 財務の状況

(3)収支状況について

経常収益は、東日本大震災にかかる支払備金戻入額のあった前年度に比べて

共済契約準備金戻入額が大きく減少したものの、受入共済掛金および財産運用

収益が増加したことなどから、前年度より 895 億円増加し、7兆 7,906 億円(前

年比 101.2%)となった。

経常費用は、責任準備金繰入額が増加した一方で、支払共済金が減少したこ

となどから、前年度より 209 億円減少し、7 兆 5,891 億円(前年比 99.7%)

となった。

なお、財産運用収益から財産運用費用を差し引いた正味財産運用益は、利息

及び配当金収入が増加したことなどから、前年度より 400 億円増加し、8,626

億円(前年比 104.9%)となった。

この結果、経常利益は、前年度より 1,105 億円増加し、2,015 億円(前年比

221.5%)となった。

また、当期剰余金は、前年度より 1,867 億円増加し、918 億円となり、当期

未処分剰余金は、前年度より 644 億円増加し、1,337 億円(前年比 193.0%)

となった。

(単位:百万円、%)

24 年 度 末 23 年 度 末 増 減 額 前 年 比

48,582,956 45,742,127 2,840,829 106.2

45,393,011) ( 42,390,526) ( 3,002,485) ( 107.1) (

1,880,098) ( 2,124,314) ( 244,216) ( △ 88.5) (

20,145 38,496 18,350 △ 52.3

87,121 84,193 2,928 103.5

100,000 100,000 - 100.0

312,139 318,617 6,478 △ 98.0

895,074 955,950 60,876 △ 93.6

7,036 △ 10,690 △ 3,654 65.8

200 △ 724 △ 524 27.6

700,790 405,259 295,530 172.9

50,690,991 47,633,229 3,057,762 106.4

46,626,339 44,292,134 2,334,204 105.3

777,807) ( 726,260) ( 51,546) ( 107.1) (

45,285,368) ( 43,011,343) ( 2,274,024) ( 105.3) (

285,913 88,062 197,850 324.7

38,457 38,750 292 △ 99.2

755,796 704,233 51,562 107.3

23,540 17,397 6,143 135.3

47,730,047 45,140,579 2,589,468 105.7

752,327 691,858 60,468 108.7

1,662,728 1,583,720 79,008 105.0

260,718) ( 257,513) ( 3,205) ( 101.2) (

1,402,010) ( 1,326,207) ( 75,802) ( 105.7) (

2 △ 1 △ 0 △ 164.3

545,890 217,071 328,818 251.5

2,960,943 2,492,649 468,294 118.8

50,690,991 47,633,229 3,057,762 106.4

貸 倒 引 当 金

外 部 出 資 等 損 失 引 当 金

そ の 他

運 用 資 産

未 収 再 保 険 勘 定

業 務 用 固 定 資 産

資 本 貸 付 金

( 有 価 証 券 )

( 貸 付 金 )

出 資 金

その他有価証券評 価差 額金

共 済 契 約 準 備 金

外 部 出 資

( そ の 他 利 益 剰 余 金 )

そ の 他

負 債 の 部 合 計

資  産  の  部

資 産 の 部 合 計

諸 引 当 金

価 格 変 動 準 備 金

( 支 払 備 金 )

そ の 他 負 債

繰 延 税 金 資 産

科   目

負  債  の  部

純資産の部

負債及び純資産の部合計

利 益 剰 余 金

( 利 益 準 備 金 )

( 責 任 準 備 金 )

処 分 未 済 持 分

純 資 産 の 部 合 計

2013 JA 年鑑

不許複製 87

(単位:百万円、%)

24 年 度 23 年 度 増 減 額 前 年 比

7,790,680 7,701,082 89,597 101.2

6,731,287 6,042,038 689,248 111.4

6,659,519) ( 5,885,192) ( 774,326) ( 113.2) (

61,003) ( 146,439) ( 85,435) ( △ 41.7) (

74,648 746,980 672,331 △ 10.0

- 654,284 654,284 △ -

74,648 92,695 18,046 △ 80.5

973,452 901,203 72,249 108.0

11,291 10,860 430 104.0

7,589,119 7,610,099 20,979 △ 99.7

4,907,493 5,742,763 835,269 △ 85.5

1,380,868) ( 1,280,363) ( 100,505) ( 107.8) (

3,367,607) ( 4,289,468) ( 921,861) ( △ 78.5) (

2,347,323 1,508,498 838,825 155.6

55,384 - 55,384 -

2,281,392 1,497,764 783,628 152.3

10,546 10,733 186 △ 98.3

110,764 78,530 32,234 141.0

51,562 103,046 51,484 △ 50.0

24,769 24,974 204 △ 99.2

106,134 108,546 2,411 △ 97.8

41,070 43,739 2,669 △ 93.9

201,560 90,983 110,576 221.5

8,027 6,712 1,314 119.6

1,683 7,918 6,234 △ 21.3

207,903 89,777 118,126 231.6

43,336 122,236 78,899 △ 35.5

103,708 6,766 96,941 1,532.6

60,372 △ 115,469 175,841 △ -

72,735 62,496 10,239 116.4

91,832 94,954 △ 186,786 -

3,506 13,317 9,810 △ 26.3

427 5,251 4,823 △ 8.1

- 104,619 104,619 △ -

14,858 15,603 745 △ 95.2

23,127 25,476 2,349 △ 90.8

133,752 69,314 64,438 193.0

共 済 契 約 特 別 積 立 金 取 崩 額

経 常 収 益

経 常 利 益

経 常 費 用

( 再 保 険 金 )

事 業 管 理 費

そ の 他 経 常 費 用

特 別 利 益

特 別 損 失

税 引 前 当 期 剰 余

災 害 救 援 積 立 金 取 崩 額

交 通 事 故 対 策 基 金 取 崩 額

当 期 剰 余金 又は 当期 損失 金( △)

契 約 者 割 戻 準 備 金 繰 入 額

法 人 税 等 合 計

法 人 税 、 住 民 税 及 び 事 業 税

法 人 税 等 調 整 額

( 支 払 返 戻 金 )

( 支 払 共 済 金 )

割 戻 金 据 置 利 息 繰 入 額

当 期 未 処 分 剰 余 金

経 営 基 盤 整 備 積 立 金 取 崩 額

当 期 首 繰 越 剰 余 金

共 済 契 約 準 備 金 戻 入 額

契 約 者 割 戻 準 備 金 戻 入 額

支 払 備 金 戻 入 額

財 産 運 用 収 益

事 業 普 及 費

支 払 備 金 繰 入 額

責 任 準 備 金 繰 入 額

財 産 運 用 費 用

共 済 契 約 準 備 金 繰 入 額

価 格 変 動 準 備 金 繰 入 額

そ の 他 経 常 収 益

科      目

直 接 事 業 収 益

( 受 入 共 済 掛 金 )

直 接 事 業 費 用

表2 損益の状況

(4)経営指標について

支払余力(ソルベンシー・マージン)比率は、諸準備金の積立てやその他有

価証券評価差額金の増加などにより支払余力の総額が増加したことから、前年

度より 75.4%増加し、708.8%となった。

基礎利益は、利差損益が改善したことから、前年度より 462 億円増加し、

4,983 億円となった。

実質純資産額は、責任準備金対応債券等の有価証券の評価差額が増加したこ

となどから、前年度より2兆 7,081 億円増加し、11 兆 9,001 億円となった。

表3 経営指標

(単位:億円)

24年度 23年度 前年差

支払余力(ソルベンシー・マージン)比率 708.8% 633.4% 75.4%

基礎利益 4,983 4,521 462

実質純資産額 119,001 91,919 27,081

2013 JA 年鑑

不許複製 88

2.共済事業をめぐる情勢

(1)生保業界

生保 43 社の平成 24 年度の新契約高については、引き続き銀行窓販が好調

であり、個人保険は 73 兆 2,046 億円(前年度比 108.0%)となった。また、

個人年金保険については、昨年度と同様に定額年金保険が好調だったことから、

8 兆 5,507 億円(同 107.5%)となった。

一方、保有契約高は年々減少しており、個人保険は 861 兆 6,513 億円(同

99.6%)となった。

収支面では、経常収益 54 兆 8,035 億円(同 107.4%)、経常費用 52 兆 2,392

億円(同 107.9%)となり、経常利益は 2 兆 5,642 億円(同 99.2%)となった。

生保事業成績

(単位:億円、%)

金 額 金 額

前年比 前年比

732,046 108.0 8,616,513 99.6

(2,873) (116.9) (46,809) (99.0)

85,507 107.5 1,035,181 104.7

(5,268) (114.7) (191,116) (101.3)

30,414 100.7 3,701,126 99.9

198 221.9 318,153 102.1

(うち変額年金)

団 体 保 険

団 体 年 金 保 険

保有契約

個 人 保 険

(うち医療保険)

個 人 年 金 保 険

  新契約

生保主要収支

(単位:億円、%)

前年比

経常収益 548,035 107.4

うち保険料等収入 380,690 102.8

うち資産運用収益 118,353 145.4

経常費用 522,392 107.9

うち保険金等支払金 316,857 101.5

うち事業費 43,494 99.9

うち資産運用費用 17,347 91.8

経常利益 25,642 99.2

 金 額

出典:生命保険協会調べによる全 43 社合計値

2013 JA 年鑑

不許複製 89

(2)損保業界

損保 26 社の平成 24 年度の正味収入保険料は、料率改定や新車販売増加に

よる自賠責保険や自動車保険の増収等により、7 兆 3,718 億円(前年度比

103.6%)となった。

収支面では、保険引受収益が 8 兆 7,829 億円(同 93.6%)、保険引受費用が

7 兆 6,864 億円(同 90.4%)となり、経常利益は 3,777 億円(同 471.5%)と

なった。

損保事業成績

(単位:億円、%)

正味収入保険料

前年比

10,718 103.8

6,780 102.4

36,147 103.2

9,186 106.6

2,337 100.8

8,547 103.4

73,718 103.6

自 動 車 保 険

新 種 保 険

自 賠 責 保 険

火 災 保 険

傷 害 保 険

海 上 ・ 運 送

合 計

損保主要収支

(単位:億円、%)

金 額

前年比

保険引受収益 87,829 93.6

うち正味収入保険料 73,718 103.6

保険引受費用 76,864 90.4

うち正味支払保険金 47,748 86.7

資産運用収益 6,644 102.4

資産運用費用 1,550 67.0

営業費及び一般管理費 12,076 98.2

その他経常損益 △ 204 △ 199.8

経常利益 3,777 471.5

出典:日本損害保険協会調べによる全 26 社合計値

2013 JA 年鑑

不許複製 90

(3) かんぽ生命

平成 19 年 10 月の民営化で、かんぽ生命は、日本郵政公社から簡易生命保

険にかかる業務および機能を引き継ぎ、生命保険業を開始している。

平成 24 年度の新契約高については、個人保険は 6 兆 5,158 億円(前年度比

104.8%)、個人年金保険は 6,334 億円(同 87.7%)となった。

保有契約高については、平成 19 年 10 月以降引受の契約のみが保有契約と

なるため、個人保険は 28 兆 4,807 億円(同 123.6%)、個人年金保険は 3 兆

1,946 億円(同 114.9%)と大幅に増加している。

収支面では、経常収益 11 兆 8,349 億円(同 94.4%)、経常費用 11 兆 3,055

億円(同 94.2%)となり、経常利益は 5,293 億円(同 99.6%)となった。

かんぽ生命事業成績

(単位:億円、%)

金 額 金 額

前年比 前年比

65,158 104.8 284,807 123.6

(18,470) (110.8) (73,153) (126.9)

(44,359) (102.8) (195,924) (122.4)

(2,314) (100.2) (15,574) (124.4)

6,334 87.7 31,946 114.9

(6,334) (88.0) (30,944) (115.7)

 

(うち養老保険)

(うち終身保険)

個 人 保 険

(うち学資保険)

(うち定期年金)

個 人 年 金 保 険

新契約 保有契約

かんぽ生命主要収支

(単位:億円、%)

金 額

前年比

経常収益 118,349 94.4

うち保険料等収入 64,817 94.5

うち資産運用収益 15,607 95.7

経常費用 113,055 94.2

うち保険金等支払金 106,730 94.1

うち事業費 5,129 99.4

うち資産運用費用 295 46.8

経常利益 5,293 99.6

 

出典:かんぽ生命の現状 2013 より

2013 JA 年鑑

不許複製 91

3.共済事業の動向

(1)長期共済

長期共済の新契約実績は、生命総合共済で保障共済金額12兆2,540億円(前

年度比 122.0%)、建物更生共済で保障共済金額 11 兆 1,707 億円(同 74.3%)

となり、財産形成貯蓄共済を含めた長期共済全体では保障共済金額 23 兆 4,260

億円(同 93.4%)となった。

期末保有契約高は、生命総合共済で保障共済金額 152 兆 1,658 億円(同

96.5%)、建物更生共済で保障共済金額 145 兆 1,535 億円(同 99.4%)となり、

財産形成貯蓄共済を含めた長期共済全体では保障共済金額 297 兆 3,299 億円

(同 97.9%)となった。

長期共済新契約高 (単位:件、億円、%)

件数 保障共済金額 件数 保障共済金額 件数 保障共済金額

前年比 前年比

終 身 共 済 707,872 79,667 741,811 71,413 1,101,136 148.4 95,844 134.2

定 期 生 命 共 済 9,552 1,330 6,681 927 5,914 88.5 838 90.4

養 老 生 命 共 済 487,544 28,030 427,051 22,258 398,933 93.4 21,148 95.0

(うちこども共済) (84,992) (4,831) (113,060) (4,100) (106,515) (94.2) (3,623) (88.4)

医 療 共 済 966,586 6,270 770,253 5,306 740,373 96.1 4,706 88.7

が ん 共 済 83,202 547 77,621 525 159,809 205.9 1 0.4

定 期 医 療 共 済 7,023 23 4,287 - 3,292 76.8 - -

年 金 共 済 197,223 0 198,986 0 190,263 95.6 0 187.5

( 年 金 年 額 ) (1,161) (1,142) (1,106) (96.8)

計 2,459,002 115,870 2,226,690 100,431 2,599,720 116.8 122,540 122.0

749,813 110,665 949,401 150,403 758,052 79.8 111,707 74.3

2,284 14 2,382 14 1,909 80.1 12 90.9

3,211,099 226,550 3,178,473 250,849 3,359,681 105.7 234,260 93.4

 注1:JA共済連「JA共済連の現状 2013」より。

 注2:生命総合共済の計欄および合計欄の「保障共済金額」には、年金共済の年金年額を含まない。

 注3:年金共済の平成22年度~平成24年度の保障共済金額(定期特約共済金額)は、それぞれ6,500万円・800万円・1,500万円である。

合   計

       年度・項目

 共済種類

平成22年度 平成24年度

生命総合共済

建 物 更 生 共 済

財 産 形 成 貯 蓄 共 済

平成23年度

長期共済保有契約高 (単位:件、億円、%)

件数 保障共済金額 件数 保障共済金額 件数 保障共済金額

前年比 前年比

終 身 共 済 5,821,394 923,643 6,254,692 916,680 6,975,421 111.5 918,643 100.2

定 期 生 命 共 済 88,370 9,985 82,091 8,960 77,322 94.2 8,313 92.8

養 老 生 命 共 済 6,626,807 648,860 6,319,515 593,367 5,996,331 94.9 539,383 90.9

(うちこども共済) (1,410,452) (92,316) (1,443,032) (93,063) (1,470,747) (101.9) (93,337) (100.3)

医 療 共 済 1,238,342 35,139 1,958,166 36,604 2,624,111 134.0 36,707 100.3

が ん 共 済 630,945 4,185 682,570 4,526 761,533 111.6 3,976 87.9

定 期 医 療 共 済 501,966 13,284 462,909 11,574 429,808 92.8 10,268 88.7

年 金 共 済 3,219,900 5,069 3,244,323 4,718 3,242,386 99.9 4,363 92.5

( 年 金 年 額 ) (19,565) (19,473) (19,235) (98.8)

計 18,127,724 1,640,168 19,004,266 1,576,431 20,106,912 105.8 1,521,658 96.5

11,095,912 1,470,612 10,871,890 1,460,776 10,696,698 98.4 1,451,535 99.4

9,821 97 10,237 100 10,624 103.8 105 105.0

29,233,457 3,110,878 29,886,393 3,037,308 30,814,234 103.1 2,973,299 97.9

 注1:JA共済連「JA共済連の現状 2013」より。

 注2:平成5年度以前に契約された終身共済、養老生命共済、こども共済、年金共済については、生命総合共済の終身、養老生命(こどもを

    含む。)、年金の各共済に合算している。

 注3:生命総合共済の計欄および合計欄の「保障共済金額」には、年金共済の年金年額を含まない。

平成23年度

合   計

平成24年度

生命総合共済

建 物 更 生 共 済

財 産 形 成 貯 蓄 共 済

       年度・項目

 共済種類

平成22年度

(2)

2013 JA 年鑑

不許複製 92

(2)短期共済

短期共済の新契約実績は、自動車共済で契約件数 842 万件(前年度比

99.8%)・共済掛金 3,464 億円(同 107.9%)となった。また、自動車損害賠

償責任共済で契約件数 344 万件(同 99.8%)・共済掛金 732 億円(同 101.2%)

となった。この結果、短期共済全体では契約件数 2,605 万件(同 100.4%)・

共済掛金 4,764 億円(同 105.7%)となった。

短期共済新契約高 (単位:件、百万円、%)

契約件数 共済掛金 契約件数 共済掛金 契約件数 共済掛金

前年比 前年比

1,422,765 17,427 1,435,747 17,272 1,435,498 100.0 17,320 100.3

8,393,070 317,560 8,442,203 320,968 8,428,378 99.8 346,478 107.9

12,116,147 12,327 11,961,257 12,130 12,138,502 101.5 11,856 97.7

183,829 22,333 177,991 21,907 160,176 90.0 21,967 100.3

3,448,393 64,638 3,449,641 72,305 3,443,623 99.8 73,207 101.2

452,734 5,773 480,022 6,040 451,529 94.1 5,623 93.1

26,016,938 440,059 25,946,861 450,625 26,057,706 100.4 476,454 105.7

 注1:JA共済連「JA共済連の現状 2013」より。

 注2:共済掛金はJAが契約者から収納した共済掛金を表示している。

 注3:「その他短期共済」とは、団体建物火災共済、定額定期生命共済および賠償責任共済の合計である。

合   計

そ の 他 短 期 共 済

火 災 共 済

傷 害 共 済

団 体 定 期 生 命 共 済

自 動 車 損害 賠償 責任 共済

自 動 車 共 済

平成24年度       年度・項目

 共済種類

平成22年度 平成23年度

(3)支払共済金

共済金の支払実績は、生命総合共済では、事故共済金と満期共済金合計で 2

兆 942 億円(前年度比 96.3%)、建物更生共済では、事故共済金と満期共済金

合計で 9,796 億円(同 54.0%)となった。この結果、財産形成貯蓄共済を含

めた長期共済全体では、事故共済金と満期共済金合計で 3 兆 751 億円(同

77.1%)となった。

また、短期共済では、自動車共済の事故共済金が 2,196 億円(同 101.7%)、

自動車損害賠償責任共済の事故共済金が 408 億円(同 98.0%)となり、この

結果、短期共済全体の事故共済金は 2,935 億円(同 97.9%)となった。

以上の結果、その他の共済も含めた全事業種類合計の支払共済金は 3 兆

4,066 億円(同 78.6%)となった。

2013 JA 年鑑

不許複製 93

支払共済金 (単位:百万円、%)

事故共済金 満期共済金 計 事故共済金 満期共済金 計 事故共済金 満期共済金 計

前年比 前年比

終 身 共 済 282,990 6,328 289,318 302,185 6,533 308,718 106.7 280,607 4,914 285,521 92.5

定 期 生 命 共 済 1,816 326 2,142 2,062 308 2,370 110.6 1,782 107 1,889 79.7

養 老 生 命 共 済 236,946 1,103,179 1,340,126 240,566 948,890 1,189,457 88.8 213,940 913,353 1,127,293 94.8

(うちこども共 済) (6,908) (125,926) (132,834) (7,635) (141,400) (149,036) (112.2) (6,908) (136,167) (143,075) (96.0)

医 療 共 済 5,849 - 5,849 16,043 - 16,043 274.3 24,828 - 24,828 154.8

が ん 共 済 4,876 - 4,876 5,664 - 5,664 116.2 6,504 - 6,504 114.8

定 期 医 療 共 済 4,227 - 4,227 4,859 919 5,779 136.7 4,691 794 5,486 94.9

年 金 共 済 21,563 618,672 640,236 20,731 624,880 645,612 100.8 19,316 623,441 642,758 99.6

( 年 金 ) (618,645) (624,832) (623,404)

計 558,270 1,728,506 2,286,777 592,113 1,581,533 2,173,646 95.1 551,672 1,542,610 2,094,283 96.3

65,192 1,006,589 1,071,781 969,068 845,630 1,814,699 169.3 168,398 811,292 979,691 54.0

- 1,420 1,420 - 1,567 1,567 110.4 1 1,130 1,131 72.2

623,462 2,736,516 3,359,978 1,561,182 2,428,731 3,989,913 118.7 720,072 2,355,033 3,075,105 77.1

5,752 - 5,752 5,145 - 5,145 89.5 6,495 - 6,495 126.2

206,184 - 206,184 215,996 - 215,996 104.8 219,686 - 219,686 101.7

8,272 - 8,272 8,794 - 8,794 106.3 8,226 - 8,226 93.5

13,499 - 13,499 14,394 - 14,394 106.6 13,491 - 13,491 93.7

42,619 - 42,619 41,694 - 41,694 97.8 40,854 - 40,854 98.0

1,680 - 1,680 13,879 - 13,879 826.1 4,827 - 4,827 34.8

278,008 - 278,008 299,904 - 299,904 107.9 293,582 - 293,582 97.9

901,471 2,736,516 3,637,987 1,861,086 2,428,731 4,289,818 117.9 1,013,654 2,355,033 3,368,687 78.5

6,056 31,961 38,017 13,544 32,789 46,334 121.9 5,961 32,015 37,977 82.0

907,527 2,768,477 3,676,005 1,874,631 2,461,520 4,336,152 118.0 1,019,615 2,387,049 3,406,664 78.6

注1:JA共済連「JA共済連の現状 2013」より。

注2:平成5年度以前に契約された終身共済、養老生命共済、こども共済、年金共済については、生命総合共済の終身、養老生命(こどもを含む。)、年金の各共済に合算して

   いる。

注3:「その他短期共済」とは、団体建物火災共済、定額定期生命共済および賠償責任共済の合計である。

注4:「その他の共済」とは、退職年金共済、国民年金基金共済、確定拠出年金共済および建物短期再共済の合計である。

平成24年度

自 動 車 共 済

傷 害 共 済

団 体 定 期 生 命 共 済

       年度・項目

 共済種類

平成22年度 平成23年度

合   計

長 期 共 済 ・ 短 期 共 済 合 計

そ の 他 の 共 済

短期共済

火 災 共 済

そ の 他 短 期 共 済

自動車損害賠償責任共済

長期共済

生命総合共済

建 物 更 生 共 済

財 産 形 成 貯 蓄 共 済

2013JA 年鑑

94 不許複製

Ⅳ 保健・医療・高齢者福祉事業

1.保健・医療・高齢者福祉事業をめぐる情勢

(1)保健・医療・高齢者福祉事業の動向

わが国は、平成 17 年度に総人口がピークを迎え、以降は、総人口が減少に転ずる人口

減少社会が到来したとみられている。年齢階層別にみると 0~64 歳の人口が減少してい

く一方、65 歳以上の人口が増加をたどり、その割合は 2020 年には 29.1%に、2050 年

には 38.8%となることが予測されている。(表 3-4-1 参照)。

国民医療費は、平成 12 年度の介護保険制度の開始や平成 14 年度の診療報酬の初のマ

イナス改定により前年度と比べ減少した年があったものの、年々増加傾向にある(表 3

-4-2 参照)。

このような状況の中、少子高齢化の進展を背景に医療費抑制策をはじめとする社会保

障費の削減が進められた。

①健康増進面

健康増進面では、平成 25 年度から実施される「21 世紀における第2次国民健康づく

り運動(健康日本 21(第2次))」に向けて、栄養・食生活、身体活動・運動などの分野

で目標が設定された。

なお、特定健康診査・特定保健指導の実施状況(平成 23 年度速報値)は、特定健診

45.0%(前年度比 1.8 ポイント増)、特定保健指導 15.9%(前年度比 2.8 ポイント増)と

なったが、目標値(特定健診 70%、特定保健指導 45%)には到達していない状況である。

②医療面

医療面では、平成 24 年 4 月、病院・病床機能の分化・強化や在宅医療の推進に重点を

置いた診療報酬改定が行われ、全体で 0.004%(診療報酬改定(本体)1.379%・薬価等

△1.375%)のプラス改定となった。

近年の医師不足に対応するため、平成 9 年の閣議決定により 7,625 人まで抑制されて

いた医学部入学定員が平成 20 年度以降増員され、平成 24 年 4 月時点で 8,991 人にまで

増加している。今後も、平成 31 年まで都道府県ごとに 10 人以内の増員が認められてい

る。

③高齢者福祉面

高齢者福祉面では、平成24年4月、介護報酬改定が行われ、全体で1.2%(在宅分1.0%・

施設分0.2%)のプラス改定となった。

地域包括ケアシステムの構築を推進するため、(ア)在宅・居住系サービスや施設の機能

を強化する基盤強化、(イ)医療と介護の役割分担・連携強化、(ウ)介護人材の確保等が図

2013JA 年鑑

95 不許複製

られた。

表3-4-1 総人口及び年齢構造係数〔出生中位(死亡中位)〕の将来推計

年 次 人 口(千人) 割 合(%)

総 数 0~14歳 15~64歳 65歳以上 0~14歳 15~64歳 65歳以上

平成 17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

32(2020)

42(2030)

52(2040)

62(2050)

127,768

127,762

127,694

127,568

127,395

128,057

124,100

116,618

107,276

97,076

17,585

17,436

17,238

17,023

16,763

16,839

14,568

12,039

10,732

9,387

84,422

83,729

83,010

82,334

81,644

81,735

73,408

67,730

57,866

50,013

25,761

26,597

27,446

28,211

28,987

29,484

36,124

36,849

38,678

37,676

13.8

13.6

13.5

13.3

13.2

13.1

11.7

10.3

10.0

9.7

66.1

65.5

65.0

64.5

64.1

63.8

59.2

58.1

53.9

51.5

20.2

20.8

21.5

22.1

22.8

23.0

29.1

31.6

36.1

38.8

資料:「日本の将来推計人口(平成 24年 1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)より作成。

注:各年 10月1日現在人口。平成 17(2005)年、平成 22(2010)年は、総務省統計局『国政調査報告』(年齢「不詳

人口」を按分補正した)人口による。

表3-4-2 国民医療費・国民一人当たり医療費・対国民所得割合の推移

年 度

国民医療費 国民一人当た

り医療費(千

円)

国民医療費の国

民所得に対する

割合(%)

国民所得

(億円) 総額

(億円)

対前年度

増減率(%)

昭和 30年度 (1955)

40 (1965)

50 (1975)

60 (1985)

平成 元年度 (1989)

5 (1993)

10 (1998)

11 (1999)

12 (2000)

13 (2001)

14 (2002)

15 (2003)

16 (2004)

17 (2005)

18 (2006)

19 (2007)

20 (2008)

21 (2009)

22 (2010)

23 (2011)

2,388

11,224

64,779

160,159

197,290

243,631

295,823

307,019

301,418

310,998

309,507

315,375

321,111

331,289

331,276

341,360

348,084

360,067

374,202

385,850

11.0

19.5

20.4

6.1

5.2

3.8

2.3

3.8

△1.8

3.2

△0.5

1.9

1.8

3.2

△0.0

3.0

2.0

3.4

3.9

3.1

2.7

11.4

57.9

132.3

160.1

195.3

233.9

242.3

237.5

244.3

242.9

247.1

251.5

259.3

259.3

267.2

272.6

282.4

292.2

301.9

3.4

4.2

5.2

6.2

6.2

6.7

8.0

8.4

8.1

8.5

8.5

8.6

8.7

8.9

8.8

9.0

9.8

10.5

10.7

11.1

69,733

268,270

1,239,907

2,605,599

3,208,020

3,653,760

3,689,757

3,643,409

3,718,039

3,667,838

3,638,901

3,681,009

3,700,883

3,740,848

3,781,051

3,810,615

3,547,672

3,425,189

3,492,777

3,467,557

資料:「平成 22年度国民医療費」(厚生労働省統計情報部)より作成。

注: 1)平成 12年4月から介護保険制度が施行されたことに伴い、従来国民医療費の対象となって

いた費用のうち、介護保険の費用に移行したものがあるが、これらは平成 12年度以降、国民医療費に含まれ

ていない。

2)国民所得は、内閣府発表の「国民経済計算」による。

3)人口一人当たり国民医療費を算出するために用いた人口は、総務省統計局による「国勢調査」及び「推計人

口」の総人口である。

2013JA 年鑑

96 不許複製

(2)JA厚生事業の概要

JA の医療事業は、明治 33 年に制定された産業組合法の下で、大正 8 年 11 月、窮乏し

ている農村地域の無医地区の解消と低廉な医療供給を目的に、島根県青原村信用購買生産

組合が医療事業を兼営したのが始まりである。その後、多くの産業組合は農業会に改組、

昭和 23 年に農業会が解散、農協法の下で厚生連がこれを継承し、現在に至っている。

JA の医療事業は、農協法第 10 条第 1 項第 11 号に「医療に関する施設」と規定されて

いる。昭和 26 年 8 月 22 日、「全国厚生農業協同組合連合会の会員である厚生農業協同組

合連合会」は、医療法第 31 条に規定する公的医療機関の開設者として、厚生省(当時)か

ら指定告示を受けて以来、特に農山村地域の医療・保健活動を積極的に推進している。

昭和 45 年以来、JA グループの生活活動を推進するため厚生連の組織づくりがすすみ、

直近では平成 4 年 7 月に JA 滋賀厚生連が設立されている。

平成 25 年 3 月 31 日現在、厚生連は 33 都道県にわたり 111 の病院を有し、厚生連未設

置府県は青森、宮城、山形、石川、京都、大阪、奈良、和歌山、鳥取、福岡、佐賀、長崎、

宮崎、沖縄の 14 府県となっている。これら 14 府県における保健・医療・高齢者福祉活動

のあり方については、平成 18 年 10 月の第 24 回 JA 全国大会で JA グループが一体となっ

て検討することが決議された。これを受け平成 19 年 1 月、JA 全中、JA 共済連、JA 全厚

連の 3 者で「厚生連未設置府県にかかる協議会」を設置・検討を行い、保健・医療・高齢

者福祉サービスを享受しにくい地域の組合員・住民に対する支援体制を確保する観点から、

「JA グループにおける保健・医療・高齢者福祉の展開方法」を取りまとめた。さらに、組

合員や地域住民が住み慣れた地域で暮らせるよう、きめ細かいケアを切れ目なく受けられ

る「地域包括ケアシステムの構築」をJAグループで推進するため、JA 全中と JA 全厚連

が共同で先進地域(秋田県、長野県、新潟県、広島県)の実態調査を行い、平成 21 年 3

月、「JA 版地域包括ケアシステム」モデル事業を構築するための中間取りまとめを行って

いる。

2.保健事業

JA の健康増進(保健)事業は、組合員とその家族の健康向上を目的として、「予防は治

療に勝る」をスローガンに、健康診断、検診後の結果報告・事後指導や健康会議・健康講

演会などの健康教育を実施し、農村地域で健康で安心して暮らせる生活の維持に貢献して

いる。

JA グループは、昭和 60 年の第 17 回全国農協大会で「農協生活活動基本方針」を決議

し、年 1 回以上の検診受診の呼びかけを行った。健康増進に対する啓発活動に取り組んで

いく中、現在における健康増進活動の実施人数は、昭和 60 年と比べ約 1.7 倍増加し、約

400 万人となっている。

2013JA 年鑑

97 不許複製

(1)健康診断、健康教育活動

平成 24 年度に厚生連が実施した健康診断(一般健診+人間ドック)と健康教育の実施人

数は、表 3-4-3 のとおりとなっている。

表3-4-3 厚生連の健康増進活動の概況

区 分 年 度 実施人員(人)

一般健診

(生活習慣病健診)

平成 22

23

24

2,876,942

2,710,577

2,929,735

人間ドック

平成 22

23

24

489,562

490,128

487,111

健康教育

平成 22

23

24

704,587

662,797

598,996

合 計

平成 22

23

24

4,071,091

3,863,502

4,015,842

資料:JA全厚連

健康診断は、検査項目が比較的容易な一般健診をはじめ、各種がん検診を加え検査項目

が多岐にわたる人間ドック、骨密度を測定する骨粗鬆症検診のほか、農薬使用者検診や農

業従事者検診など農作業に起因する疾病予防の検診等を実施している。

健康診断には、過疎化・高齢化がすすむ農村地域での利便性を考慮した検診車による巡

回検診と、人間ドックのように検査内容が多項目のものや、脳・肺ドックなどの特定部位

に対する施設検診があり、近年は検査内容が充実した施設検診のニーズが高まっている。

厚生労働省は、従来、成人病と呼ばれていた、がん、脳卒中、糖尿病などの疾患が、個

人の生活に起因するものとして、平成 8 年に生活習慣病の概念を導入した。平成 12 年か

らは、従来の早期発見・早期治療へ主眼を置いた健康対策ではなく、生活習慣の改善によ

る疾病の発症予防の重視と健康寿命の延伸等を図るため、9 分野・70 項目の健康づくり目

標値を提示した「21 世紀における国民健康づくり運動」(健康日本 21)を展開し、平成 14

年 8 月に「健康増進法」として法制化(平成 15 年 5 月施行)された。(なお、平成 25 年

度より「21 世紀における第2次国民健康づくり運動(健康日本 21(第 2 次))」が実施さ

れる)

また、政府は平成 15 年 8 月、生活習慣病対策、女性のがん緊急対策、介護予防対策の

推進を主な内容とする「健康フロンティア戦略」を策定し、平成 17 年度から 10 年間にわ

たり「明るく活力ある社会」の構築へ取り組んでいくこととした。

さらに、糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群の減少と、それによる中長期的な医療費

の伸びの適正化を図るため、平成 20 年4月から、すべての医療保険者に対して、40 歳以

上の者への内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の概念を導入した標準的な健診・

保健指導の実施を義務付けた。

2013JA 年鑑

98 不許複製

厚生連の健康増進事業は、健康診断に限らず上記のような公的な取り組みや制度と連携

して幅広く事業を展開しており、組合員やその家族および地域住民の生活習慣の改善を促

すため、健康会議や栄養(食生活)指導、健康相談、運動指導等の健康教育・啓発活動に

取り組んでいる。

(2)検診施設等

全国の厚生連病院のほとんどで人間ドック等の施設検診を実施しているほか、農村特有

の疾病を中心とする疾病予防及び健康増進のための活動の場として、国(厚生労働省)が

整備を進めている「農村検診センター」が北海道(3)、秋田県(2)、福島県(1)、茨城県

(1)、東京都(1)、神奈川県(1)、山梨県(1)、富山県(2)、長野県(1)、静岡県(2)、

愛知県(1)、広島県(1)、徳島県(1)、香川県(1)、高知県(1)、大分県(1)、鹿児島県

(1)の 17 都道県に 22 施設設置されているほか、厚生連単独で設置・運営している検診

施設がある。

このほか、へき地巡回診療車 18 台、胃胸部等を透視するX線テレビ装置や CT を搭載し

た各種生活習慣病(がん等)検診車 201 台を有している。

2013JA 年鑑

99 不許複製

3.医療事業

(1)組織の概況

平成 25 年 3 月 31 日現在における JA 全厚連の会員数は 37 で、この内訳は、病院をも

つ厚生連が 22、病院をもたない厚生連が 12、全国連が 3(JA 共済連、JA 全農、JA 新聞

連)となっている。

また、厚生連病院は、日本赤十字社病院や社会福祉法人恩賜財団済生会病院とともに、

医療法による公的医療機関の指定を受け、自治体病院と同様に救急医療、災害時における

医療、へき地の医療、周産期医療及び小児医療等の政策医療を担い、地域において安全・

安心な医療提供体制を確保する役割を果たしている。

なお、昭和 59 年からは、厚生連の行う医療保健業について、一定の要件のもとに法人税

等が課税されないこととなった。

(2)施設状況・職員数

平成 25 年 3 月 31 日現在、厚生連は全国に 111 病院、63 診療所を有し、このうち、

23 病院が厚生労働省のへき地中核病院・へき地医療拠点病院の指定を受けている。

また、帯広厚生病院(北海道)、総合病院土浦協同病院、茨城西南医療センター病院、

なめがた地域総合病院(以上、茨城県)、厚生連高岡病院(富山県)、佐久総合病院(長

野県)、中濃厚生病院(岐阜県)、安城更生病院、豊田厚生病院(以上、愛知県)、廣島総

合病院(広島県)の 10 病院が 24 時間診療体制で脳卒中・心筋梗塞・頭部損傷等の重篤

な救急患者の受け入れを行う救命救急センターの指定を受けている。そのほかに、臨床

研修指定病院として 83 病院が指定を受けている。

病床数は総計 35,149 床で、前年に比べ 980 床減少した。

また、厚生連は、医師、看護師、薬剤師など各種国家資格を有する職員等で構成され

ている。平成 25 年 3 月末の全職員数は 5 万 1,573 人で、職種別では、看護職員が 2 万

6,166 人で全体の 50.7%と最も多く、次いで、事務職等が 1 万 1,210 人(21.7%)、医

療技術員 8,157 人(15.8%)、医師 4,782 人(9.3%)、薬剤師 1,258 人(2.4%)となっ

ている。

このほか、看護師を養成・教育するための看護師養成所は全国に 15 施設あり、毎年約

2,000 名を養成している。

厚生連(病院)の大きな特徴は、人口 5 万人未満の市町村に 46 病院(厚生連病院全

体の 41.4%)が立地しており、農山村・過疎地域における医療サービス等の提供に大き

く貢献している点である。都市部に立地している病院が多い日赤病院や済生会病院と比

べ、厚生連病院は立地条件が非常に不利なため、医師不足が大きな課題となっている。

2013JA 年鑑

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4.高齢者福祉事業

人口の急速な高齢化は、農山村地域において特に著しい傾向にあり、多くの高齢者およ

びその家族が様々な支援を必要としていることから、厚生連においてもその対応が求めら

れている。

このため厚生連では、介護を必要とする高齢者および家族を支援するため、平成25年3

月末で介護老人保健施設(33施設)、訪問看護ステーション(105施設)、在宅介護支援

センター(10施設)、地域包括支援センター(14施設)を開設し、高齢者に対する医療管

理を加えた介護の提供やその家族に対する介護相談の対応、訪問看護等を実施している。

こうした状況のもとで、平成12年度から実施された介護保険制度の実施に対応するため、

指定居宅介護支援事業(ケアプラン作成機関)をはじめ、指定居宅サービス事業ならびに

施設サービス(サービス提供機関)の指定を受けている(表3-4-4参照)。

さらに、平成19年12月の老人福祉法改正に伴い、厚生連が特別養護老人ホームの直接運

営が可能になって最初の厚生連直営による特別養護老人ホームが平成21年4月に1施設(北

海道・摩周)が開設され、同年5月に1施設(静岡・清水)、さらに、平成23年4月に1施設

(長野・富士見)の計3施設が開設された。

表3-4-4 厚生連における介護保険制度に係る指定施設数

サービス名 指定数

居宅介護支援事業者 102

居宅サービス

福祉関係

訪問介護 6

訪問入浴介護 1

通所介護 7

短期入所生活介護 3

認知症対応型共同生活介護 2

医療関係

訪問看護 7

訪問リハビリテーション 29

居宅療養管理指導 25

通所リハビリテーション 12

短期入所療養介護 11

施設サービス

介護老人福祉施設 3

介護老人保健施設 33

介護療養型医療施設 8

資料:JA全厚連

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5.第61回日本農村医学会学術総会の開催

(1)日本農村医学会の設立経過と現状

日本農村医学会は、昭和27(1952)年に、厚生連病院に勤務する医師が中心となり、

農村医学の向上に資することを目的に設立され、農村の保健・医療の問題を農業・農家・

農村という3つの視点から社会的病因を含めて分析し、その対策等の研究を進めてきた。

また、同学会は、昭和37年に日本医学会の第50分科会として認められ、昭和42年には

厚生省(当時)から社団法人として認可された。平成23年10月には、一般社団法人及び

一般財団法人に関する法律に基づき、「一般社団法人 日本農村医学会」への移行を行っ

た。

会員の構成は、厚生連病院に勤務する医師の割合が高く、ほかに大学の教授をはじめ

保健所や診療所の勤務医師、開業医、保健師・看護師、栄養士等が加入し、平成24年度

末の会員数は約4,500人となっている。

平成24年度の主な事業内容は、①機関誌『日本農村医学会雑誌』(年6回)、英文誌

『Journal of Rural Medicine』(年2回)の発行、②「農薬中毒」「農機具災害」「農村の

生活習慣病」「農村の食と健康」に関する共同研究プロジェクト事業の実施、③JA共済

連委託研究事業の受託、④学術総会の開催、⑤国際学会との交流、⑥創立60周年記念事

業の実施―等となっている。

(2)第61回学術総会の開催

第61回日本農村医学会学術総会が島根大学の塩飽邦憲理事・副学長を学会長として、

平成24年11月1日(木)・2日(金)の両日にわたり、松江市・島根県民会館において開催され

た。「食と環境を支える農村の再生」を学術総会のメインテーマとし、学会長講演をはじ

め特別報告、特別講演2題、教育講演1題、公開講座2題、シンポジウム2題、ワークショ

ップ6題、日本医師会認定産業医研修会2題、ランチョンセミナー6題、臨床研修医セッ

ション32題、一般演題434題が行われた。

「食と環境を支える農村の再生-大学に問われるもの-」のテーマで行われた学会長

講演では、島根大学が中山間地域農村の再生のために行っている多目的コホート研究の

成果と課題について報告がなされた。

その他の講演等のテーマは次のとおり。

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【特別報告】

東日本大震災・原発事故による福島県下病院の被災状況

白河厚生総合病院長 前原 和平 氏

【特別講演】

①地域医療の再生戦略

島根大学学長 小林 祥泰 氏

②Academic Knowledge Centers(AKCs):a unique concept in Swedish primary care

Lund University,Sweden,Professor,Kristina Sundquist

【教育講演】

介護予防の戦略

東京都健康長寿医療センター部長 新開 省二 氏

【公開講座】

①食と健康―その最先端科学の歩みをたどり、食育への応用の途をさぐる―

東京大学名誉教授 阿部 啓子 氏

②食と日本人の知恵

東京農業大学名誉教授 小泉 武夫 氏

【シンポジウム】

①農村の環境保全と持続可能な開発

②食と健康―農村地域からの提言―

【ワークショップ】

①高齢者ケア

②ITを活用した地域医療連携

③医療への地理情報システムの活用

④口腔ケアからはじめる地域健康づくり

⑤農作業事故防止に向けた日韓の取組み

⑥Social capital and health

【日本医師会認定産業医研修会】

①対人サービス業務でのメンタルヘルス

②病院内感染対策の展望

【臨床研修医セッション】

32題の応募がありすべて採用し、優秀演題4題を学会長が表彰した。

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【一般演題】

434題(口演248題、ポスター186題)で行われ、地域医療連携、生活習慣、医療安全

管理、臨床研修・教育、病院運営・管理/施設管理、画像診断/放射線診断、看護、リ

ハビリテーション、臨床検査・薬剤等多岐にわたり、聴衆も多く活発な質疑応答が行わ

れた。

なお、第62回日本農村医学会学術総会は、平成25年11月7日(木)・8日(金)、福島県福

島市において、白河厚生総合病院の前原和平病院長を学会長に開催される。

(メインテーマ:地域コミュニティーの復興・再生と包括的地域医療)

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Ⅴ 新聞情報・教育文化・観光事業

1.新聞事業(株式会社日本農業新聞・全国新聞情報農業協同組合連合会)

(1)株式会社日本農業新聞の概要

株式会社日本農業新聞は、平成 14 年 7 月に全国新聞情報農業協同組合連合会(JA 新

聞連)の子会社として設立された。JA 新聞連はじめ全国の JA、都道府県中央会・連合

会、全国連などオール JA 出資(株主 760 名)により、「日本農業新聞」を発行している。

24 年 7 月に株式会社設立 10 周年、25 年 3 月には創刊 85 周年を迎えた。24 年度は資

本金 9 億円、従業員 320 人で、北海道から沖縄まで毎日 35 万部(日本 ABC 協会調査)

の新聞を届けている。

設立時に掲げた「食と農の総合情報メディア」として、食の安全・安心、国産農畜産

物、農業・農村・農政の動向を積極的に報道している。また、本社や支所・支局・駐在

(10)、通信部(29)の取材記者のほか、JA・県中央会など約 1,300 人の通信員取材網

を生かし、「JA グループの情報受発信センター」として JA 組織の情報共有、担い手に

役立つ専門情報の提供に努めている。紙面・取材情報を活用して、ホームページ「e 農

net」や消費者向け広報誌など多様な媒体を展開し、食と農を守る国民世論の形成に取り

組んでいる。

(2)新聞業界の動向

日本新聞協会調査の総発行部数(24 年 10 月)は 4,777 万部で、8 年連続で減少した。

23 年度の総売上高は 1 兆 9,529 億円で、販売収入、広告収入とも前年度を下回った。

新聞各社は印刷・配達の共同化、記事の相互利用など、他社との共存を図りながら経

営の効率化を進めている。また、新聞部数が減少する中で、ウェブ事業の有料化や電子

新聞などの取り組みが増えている。特に近年は、スマートフォン(多機能携帯電話)、タ

ブレット端末(画面を触って操作する端末)を利用した情報提供が急速に進み、新聞本

体以外の新規事業で収益確保を模索している。

(3)報道活動

24 年度の紙面改善を 4 月 1 日付から行った。農業経営をサポートする紙面として、土

曜日付に「経営特報」面(カラー)を新設、月曜付の「生産資材」面を「資材・業界」

面に衣替えし、営農・販売・業界情報を充実した。月曜付の「直売」面もワイド化し、

もうかる・集客に役立つ情報を増やした。親子で楽しめる食農関係の話題を特集してい

る土曜日付の「ぽぽる」面をカラー4 ページに拡大。農業・農村の現場から課題を提起

する大型ルポ「現場から」を 1 面でスタートさせた。

年間重点報道では、環太平洋連携協定(TPP)の危険性に警鐘を鳴らし交渉参加反対

2013JA 年鑑

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を主張する「ふるさと危機 TPP 反対」キャンペーンに全力を挙げ、海外を含めたルポ、

識者インタビューを中心に紙面展開したほか、各界各層の TPP 反対の動きも幅広く伝え

た。重大ニュースは「e 農 net」で速報したほか、4 月の JA グループなどによる TPP 阻

止国民集会時には号外を作成し、デモ参加者に配布。25 年 2 月の日米首脳会談時にも号

外を作成し「e 農 net」にもアップした。

24 年は国連が定めた「国際協同組合年」となり、1 面で JA など協同組合の良さをア

ピールする「きずな新時代」キャンペーンを展開した。地域に根差し、地域を支える協

同組合の国内の現状を伝えたほか、協同組合大国・インドの現状もルポした。経済評論

家・内橋克人氏をはじめ識者にインタビューし、JA の今後のあり方を提言。10 月の第

26 回 JA 全国大会を盛り上げ、決議実践の意識を高める報道にも力を入れた。

本紙は創刊 85 周年を迎え、それを記念する「農幸民族」キャンペーンを、専任取材班

を設けて展開した。農業が持つ“幸福創造”機能をアピールするルポを、デンマーク取材

を含めて連載。25 年 3 月 20 日付の創刊 85 周年特集の一環として農幸民族・識者座談会

を掲載し、キャンペーンを締めくくった。

農家が暮らしで困っている問題と向き合おうと、認知症問題を一緒に考える「チェン

ジ!認知症」キャンペーンもくらし面を中心に展開した。

東日本大震災後 2 年目に入っても、原発事故の風評被害も収まらず、被災地の復旧・

復興遅れに農業関係者の苦渋は続き、その報道に努めた。震災から 1 年半の 24 年 9 月

11 日付、丸 2 年の 25 年 3 月 11 日付を中心に各面で特集・企画を掲載し、復興状況と今

後の課題を伝えた。また、賠償請求の動きを随時伝え、早期支払いを訴える報道にも力

を入れた。

12 月の衆院選も総力を挙げて報道した。首相の解散表明から選挙までの間が短かった

中で、TPP 交渉参加問題、戸別所得補償等の経営安定対策をはじめとした各党の農政の

相違点を浮き彫りにし、読者に投票の判断材料を届ける報道に取り組んだ。各党首脳イ

ンタビュー、本紙独自の各党公約アンケート、注目の選挙区ルポ、農政モニター調査な

どを実施。締め切り時間を大きく遅らせた特別印刷体制を敷いて、投開票結果と解説、

今後の政局見通しなどの記事を可能な限り入れた。

市況関係では、インターネット市況「net アグリ市況」をより使いやすくするため、

10 月にリニューアル。画面のトップページを見やすく改善したほか、グラフ表示できる

品目の拡大にも取り組んだ。「net アグリ市況」運営と「日農 INDEX」算出をする「新

市況システム 2010」は、日本新聞協会技術委員会賞を受賞した。営農関係では、農家の

工夫を応援する「営農技術アイデア大賞」を創設。4~12 月に本紙に掲載された記事を

予備審査し、学識経験者らで構成する審査会で大賞と優秀賞 3 点を決め、受賞が決まっ

た農家に表彰状と副賞を授与した。

2013JA 年鑑

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(4)普及・販売活動

24 年度は、全 JA 参加による JA 中央会と一体となった普及運動に努め、「組合員・JA

情報共有運動」を掲げて年間平均目標 43 万部の達成を目指したが、農家戸数の減少や農

家の高齢化、景気の後退感などが響き、前年度に比べて減部となった。

前年度平均部数を上回ったのは 15 都府県。このうち 100 部以上上回ったのは愛知、

福島、岩手、静岡、神奈川、石川、千葉の 7 県。全 JA での取り組みを目指した結果、

普及に取り組んだ JA は前年度を上回った。年間平均部数が上回った JA は 243JA だっ

た。

本紙を採用内定者研修に活用する取り組みは 380JA、受講者はのべ 10,857 人で、JA、

受講者数ともに増えた。

(5)広報・広告活動

24 年度の広報版売上は、全国連統一広報(大地の絆通信)が大幅減となったが、JA

共済連や衆議院選に伴う全国農政連の政党別公開質問広報など、タイムリーな出稿によ

り目標を上回った。開発事業は、JA 全国大会資料、TPP ニュース・特集号の発行、地

域営農ビジョンパンフレットなど新しい事業に取り組んだものの、前年度の震災関連の

受注の落ち込みをカバーしきれなかった。JA ホームページ制作運営事業のアナザー・ス

タッフはさらに会員を増やし、年度末では 134 会員となった。

広告は、農業専門紙としての特性を訴え、園芸施設資材、農業機械、農薬、精密・事

務機器、自動車・関連など商品掲載を進めた。24 年度は、衆議院選、JA 大会、国際協

同組合年、創刊 85 周年など例年にない広告提案機会が多かった。これらに加え、農業者

年金企画の拡大、トマト特集・直売所企画の年2回実施や耕作放棄地対策、経営安定対

策、TPP 対策運動、JA グループへの米集荷徹底、補正予算企画、再生可能エネルギーな

どの書籍企画などを掲載し、広告事業全体では前年度を上回った。

(6)JA新聞連の活動

JA 新聞連(全国新聞情報農業協同組合連合会)は、昭和 23 年に「日本農業新聞」(創

刊時は「市況通報」)を創刊した帝国農会を引き継ぎ、同紙を制作・発行する専門農協連

として設立した。平成 14 年の株式会社日本農業新聞発足にともない、主たる業務は同社

に移管し、親組織として、JAグループの広報活動の支援事業などに取り組んでいる。

会員は、全国連、県連を中心に 75 会員(うち正会員 73:24 年度末現在)となってい

る。

24 年度末時点で、「JA 広報通信」の会員は全国で 610、CD-ROM 版の会員は 255 会

員となっている。JA 全中と共催で開催している各種広報セミナーは、24 年度は年 3 回

開催した。

JA 全農や JA 共済連などの会員連合会などからの受託印刷物の編集・制作では、「JA

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全農ウィークリー」「農政運動ジャーナル」などを発注組織と連携して発行した。また、

JA 全中ウェブサイト内における、全国のJAから寄せられる農村情報を紹介するコーナ

ー「JA 歳時記」の運営管理を 23 年度から行っている。

なお、日本農業新聞グループ 3 団体が総合力を発揮し、効率的に事業を展開するため

に、親組織である本会が中心となり、課題解決に向けた協議を行っている。

2.JA教育文化活動(一般社団法人家の光協会)

平成 24 年度は、「平成 22~24 年度 家の光事業 3 か年計画」の最終年次として、第 25

回 JA 全国大会で決議された「教育文化活動の充実・強化」に向け、総合的な事業機能発

揮に努めるとともに、平成 23 年度に引き続き編集・普及・活用各部署が一体となった東日

本大震災からの復興支援の取り組みを進めた。

(1)JA教育文化活動の促進・強化

JA 役職員に対し、JA 教育文化活動の今日的意義と役割についての認識を深め、家の

光事業への理解促進をはかるために、以下の活動を実施した。

会議・研究集会・セミナー等として、全国段階では「家の光文化賞 JA トップフォー

ラム 2012」を 8 月 6~7 日に東京で開催し、221JA415 名の参加を得た。

ブロック段階としては「JA 生活文化活動担当者研究集会」を 6~7 月に全国 3 地区で

開催し 114JA281 名が参加、また「JA 教育文化活動実践研究集会」を 11~12 月に全国

2 地区で開催し、128JA272 名の参加を得た。

都道府県段階では「トップセミナー」等を 23 都道府県 40 会場で開催。JA 段階では

「教育文化セミナー」等は25府県53JA63会場で、「家の光事業研究会」等を29県54JA56

会場で、それぞれ開催した。また、都道府県段階の「家の光事業推進協議会」は、10 道

府県で設置されており、全県運動もしくは重点 JA を中心とした普及運動をすすめてい

る。

さらに JA 段階の「教育文化・家の光プランナー」の設置を促進し、3 月末現在、47

都道府県 329JA508 名が登録されている。奈良県、香川県では県域で「プランナー研修

会」を開催し、県内のプランナーの情報交換や相互研鑽を行った。

このほか、第 63 回「家の光文化賞」には静岡県JA静岡市、山口県 JA 山口中央、福

岡県 JA 筑前あさくらの 3JA が、平成 24 年度「家の光文化賞促進賞」には東京都 JA 東

京むさし、静岡県 JA とぴあ浜松、愛知県 JA なごやの 3JA が決定し、第 55 回全国家の

光大会で表彰した。

また、6JA の常勤役員と本会 2 名の常務理事を委員とし、滋賀県立大学の増田佳昭教

授をコーディネーターとする「支点を核とした組織基盤強化検討委員会」を開催し、教

育文化活動をはじめとする支店協同活動についての重要性・促進方法などを検討した。

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(2)『家の光』『地上』『ちゃぐりん』『やさい畑』「家の光図書」の企画・制作

①『家の光』

「協同組合の家庭雑誌」という媒体特性を踏まえ、次の 3 点を柱に企画制作を行った。

1 点めは、「食と農」「暮らし」「協同」「家族」という基本テーマをたいせつにするこ

と。この基本テーマを追求することで、「農家・農村で暮らしてよかった」「地域に JA

があってよかった」と読者に感じてもらうことをめざした。

2 点めは、東日本大震災等の被災地にしっかり寄り添うこと。昨年度から継続する「復

興へ きずなの力」プロジェクトの趣旨に沿って、地域のライフラインを担う JA や組

合員組織があることの重みに触れつつ、被災地からのレポートを発信し、「いまわたした

ちになにができるのか」を問い続けた。

3 点めは国際交渉や農政課題、消費動向などの重点課題をわかりやすく伝えること。

とくに TPP(環太平洋連携協定)については、さまざまな視点から、その危険性をわ

かりやすく伝える記事づくりに努めた。

また平成 24 年度は、編集のキーワードとして「つながる」を掲げ、記事を通して人と

人、人と JA 女性組織、人と JA のきずなを深めることをめざした。

国際交渉等の重点課題については、とくに TPP に的を絞り、環太平洋の国々からの現

地レポートを交えることで、生活者の目線から実感をもって TPP の危険性が感じ取れる

ような記事づくりに努めた。

②『地上』

TPP は多角的に企画を展開。柱となったのは海外リポートで、取材先は、韓国、アメ

リカ、メキシコ、ニュージーランド、マレーシアの 5 か国。政府の動きなどについては

連載の「時評」「Yes 農政」で随時取り上げた。

平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災・福島第一原発事故からの復旧・復興、その後

の現地の様子、放射能問題も継続してフォローした。

農業情勢や農業政策については、第 26 回JA全国大会の議案とも絡めて、人・農地・

地域の問題が深くかかわっている「人・農地プラン」「地域営農ビジョン」について取り

上げた。このほか、食料自給率、六次産業化、戸別所得補償制度の法制化、新年度予算、

米価、政権交代に伴う変化などについて、その都度、問題点の指摘や、背景のわかりや

すい解説を行った。

読者の核となる担い手・後継者や JA 青年組織を意識した企画としては、組織活動な

どを毎月取り上げたほか、11 月号で JA 青年組織応援企画を大々的に展開した。

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③『ちゃぐりん』

子どもたちに対する食農教育活動が、全国的に盛り上がりを見せるなか、JA グルー

プの食農教育をすすめる子ども雑誌『ちゃぐりん』は、JA グループの食農教育活動や

小学校の授業等で、活用しやすい内容で、食・農・環境の 3 本柱を中心に企画・制作し

た。

別冊付録は 8 月号の「食べ物 生き物 ごはん茶わん1ぱいから考えよう!」、1 月号

の「料理と遊びわくわく 12 か月」、4 月号の「食農どきどきクイズカレンダー」を制作。

さまざまな場面で年間通して活用できる付録にした。

また、国際協同組合年関連企画として、伝記まんが「いのちの歴史」で、9 月号で大

原幽学、12 月号で志村源太郎、1 月号で新渡戸稲造と、協同組合の偉人の生きざまや考

え方を子どもたちにわかりやすく伝えた。

④『やさい畑』

市民農園の利用者をはじめとする家庭菜園愛好者に、菜園生活を通じて「自然と暮ら

す豊かなライフスタイル」を提案する雑誌として、「育てる(栽培技術)」「食べる(料理・

加工)」「健康(安心・安全)」「遊ぶ(買い物・ホビー)」の 4 つのテーマに基づき、野菜

づくりを通した農業理解の促進にもつながるよう企画・制作した。

また、別冊として 11 月に『花ぐらし バラの春準備&クリスマスローズ』、12 月に第

5 回家庭菜園検定の参考テキストとなる『野菜づくり名人のとっておきのコツ』、3 月に

は『花ぐらし 庭を彩るバラと宿根草』『はじめてのやさい畑』を制作・刊行した。

⑤「家の光図書」

心豊かで健康的な生活に役だつ企画、食と農業のたいせつさをアピールする企画、協

同組合運動を活性化させる企画などに重点を置き、生活実用書、教養書、農業書、協同

組合書、教育図書の 5 つのジャンルで、JA および JA 組合員、一般読者のさまざまな

ニーズに応える新刊図書を 56 点刊行した。

農業書では、TPP をテーマにした「1 時間でよくわかる」シリーズの第 3 弾『見え

てきた TPP の正体』や『ここが間違っている! 日本の農業問題』のほか、『地域から

はじまる日本農業の「再生」』『放射能汚染から食と農の再生を』等を刊行した。

協同組合書では、未曾有の被害をもたらした東日本大震災からの地域・農業の復興へ

のプロセスで JA グループが果たした役割をまとめた『東日本大震災 復興に果たす JA

の役割』のほか、『現場からの JA 運動 JA 運動のダイナミズムを再生するために』『な

ぜJAは将来的な脱原発をめざすのか』を刊行した。

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(3)普及運動

①『家の光』

平成 24 年度は、「家の光事業 3 か年計画」の最終年次として、「人と JA と地域をつな

ぐ『家の光』長期愛読者拡大運動」を展開した。その結果、年度末 5 月号の定期部数は

564,786 部となり、平月号目標を達成したのは、岩手県、秋田県、埼玉県、神奈川県、

兵庫県、奈良県、島根県、長崎県、熊本県の 9 県(前年対比 1 県減)であった。年間累

計対比(12・1 月号を除く)では、青森県をはじめ 17 都府県(前年対比 7 都県増)が前

年度を上回り躍進した。また、5 月号で前年同月号対比を上回ったのは、青森県をはじ

め 32 都府県(前年対比 20 都県増)と大きな飛躍をみせ、前年同月号対比は 33 部増と

なり、平成 23 年 3 月号以来に前年同月号対比を上回る結果となった。

「ライフプラン・家計簿『家の光』12・1 月号普及活用全国特別運動」は、7 月期理事

会決定にもとづき、全国で 12・1 月号特別運動に加え、長期愛読者拡大運動に取り組ん

だ。普及結果は 12 月号定期部数 762,659 部で 41 府県(前年対比 6 県増)が目標達成。

1 月号は定期部数 633,726 部、15 府県(前年対比 1 県増)が目標達成した。

②『地上』

家の光三誌総合普及をはじめ、各号の「特集・特別企画」や「別冊付録」の企画を活

用した普及活用運動に取り組んだ。年度末 5 月号の定期部数は 21,724 部、前年同月号対

比を上回ったのは宮城県をはじめ 10 都府県(前年対比 7 道県減)となった。

年度目標を達成したのは、宮城県、奈良県、島根県、岡山県、熊本県の 5 県(前年対

比 1 県減)であった。年間累計対比で前年度を上回ったのは、青森県をはじめ 14 都県(前

年対比 2 道府減)であった。

11 月号においては全国農協青年組織協議会と連携し、別冊付録「用語解説集 そうだ

ったのか そうだよね 農業と国際経済」、JA 青年組織応援企画「ポリシーブック活用

の可能性を探る」などの活用を呼びかけ、盟友皆読運動を展開した。定期部数は 32,722

部であった。

③『ちゃぐりん』

JA 食農教育を支援する長期愛読者拡大運動の取り組みとして、「食・農・いのち 仲

間を広げる『ちゃぐりん』普及活用運動」を展開した。年度末 5 月号の定期部数は 49,415

部であった。前年同月号対比を上回ったのは北海道をはじめ 28 都道県(前年対比 4 道県

増)で、前年同月対比は 67 部の増となった。

年度目標は、岩手県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、東京都、神奈川県、奈良県、

岡山県、熊本県、宮崎県の 11 都県(前年対比 1 県増)が達成した。年間累計対比(8 月

号を除く)で前年度を上回ったのは、北海道をはじめ 23 都道県(前年対比 5 道県増)で

あった。

2013JA 年鑑

111 不許複製

8 月号普及活用全国特別運動については、定期部数は 119,914 部、前年同月号対比で

は 31 部の増となった。42 都府県(前年対比同)が目標達成し、全国でも目標を 14,914

部上回って目標達成した。

「入学・進級お祝い『ちゃぐりん』4・5 月号普及活用運動」の取り組みは、食農教育活

動での活用や学校寄贈をさらに促進し、入学・進級を機に長期愛読者の拡大をすすめる

運動として取り組んだ。

また、食農教育活動のテキストとして、岩手県 JA いわて花巻をはじめ、数多くの JA

あぐりスクール等で会員の年間を通じた購読がなされている。

④『やさい畑』

平成 24 年初夏号から平成 25 年春号までの販売促進を展開した。平成 25 年春号は 3

月末現在で書店販売分 68,247 部、JA 組織・個人ほか 8,414 部の販売状況となっている。

JA における取り組みとしては、JA 利用者の目に触れるよう支店への見本誌展示に取

り組んだほか、春号を契機とした特別普及運動を展開した。ファーマーズマーケットや

直売所での委託販売および出荷会員に対する PR をすすめながら普及運動を展開した。

また、3 月 24 日に「第五回家庭菜園検定」を実施した。今年も昨年に引き続き 1 級、

2 級、3 級を設定し、仙台・東京・名古屋・大阪・福岡の 5 会場で開催。受験者はのべ

1,309 名となった。

⑤「家の光図書」

新刊 56 点、重版 76 点を発刊し、販売部数は 715,828 部(市販 321,474 部、JA 組織

396,354 部)で、前年対比 72,223 部の減部(市販 50,169 部減、JA 組織 22,054 部減)

となった。

5 月末発刊の TPP シリーズ第 3 弾『見えてきた TPP の正体 迫りくる脅威とこれか

らの日本の選択』は、JA での学習テキスト等に 7,528 部が活用された。なお『TPP を考

える』は 42,330 部、『TPP が暮らしを壊す』は 8,203 部となっている。

2013JA 年鑑

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(4)記事活用・文化活動

①家の光大会の開催

288JA で開催、また都道府県家の光大会は 46 会場で開催された。第 55 回全国家の光

大会は、前日の都道府県代表体験発表大会に引き続き 2 月 6 日に横浜市で 2,500 名の参

集者を得て開催した。

②「ライフプラン・家計簿」学習・実践運動

JA 全中、JA 共済連、JA 全国女性組織協議会などと共励し、JA の総合力を生かした

「ライフプラン・家計簿」セミナーの開催を促進した。2 年ぶりに全国域のセミナー

を開催、26JA から 46 名の参加を得た。県域、JA では、それぞれ 16 府県 19 会場、96JA207

会場での開催となった。

このほか「農家の家計実態調査」「ライフプラン・家の光家計簿」体験文の募集を JA

全国女性組織協議会と共催して実施した。

③『家の光』記事活用グループ

記事活用グループの登録状況は、265JA で 4,701 グループ。前年対比で 5JA285 グ

ループの拡大となった。また、グループの交流会は 10JA で開催した。

④読書学習活動・ふれあい活動

『家の光』6・7 月号 JA 女性組織学習月間「きずなの力 復興へ向かって」を契機と

して、持ち寄り読書の活性化を促進する企画や資材を開発するとともに、記事活用グル

ープに対しても読書会の積極開催を呼びかけた。

また JA ふれあい活動として、日本レクリエーション協会と連携した「JA 家の光健康

教室」、日本絵手紙協会と連携した「JA 家の光絵手紙教室」、『家の光』記事と連動し、

資材提供各社と連携した「JA 家の光手芸教室」の開催を促進した。手芸教室は 203JA545

会場で実施された。

⑤食農教育(組合員、地域住民、消費者を対象とする活動)

ア.「JA家の光(親子)クッキング・フェスタ」の開催促進

「やっぱり国産農畜産物推進運動~みんなのよい食プロジェクト~」と連携し、

58JA73 会場で開催、12,590 人が参加した。

イ.「JA家の光(親子)料理教室」の開催促進

「いっしょに作ると あったかい みんなで食べると おいしいね」をテーマに農林

水産省ほか関連団体の後援を受けて取り組んだ。料理教室は、164JA1,571 会場で開催

し、参加者は 39,527 人であった。

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ウ.「第10回 ザ・地産地消 家の光料理コンテスト」の実施

JA 全国女性組織協議会との共催で実施。「健康おかず部門」「スイーツ部門」の 2

部門に、379 点の応募があった。「スイーツ部門」の最優秀賞は、横浜のロイヤルパ

ークホテルのメニューに採用(期間限定)となった。

エ.「都道府県JA家の光食農教育リーダー研修会」の開催促進

子どもたちやその親を対象にする食農教育リーダーの育成を目的とした研修会は、

和歌山県、広島県、佐賀県の 3 県で開催された。

⑥食農教育(子どもたちを対象とする活動)

ア.JAちゃぐりんフェスタ」「都道府県ちゃぐりんフェスタ」の開催促進

127JA306 会場で開催、参加者は 20,987 人だった。県域では 5 県で開催され、1,215

人が参加した。

イ.「あぐりスクール」の開校支援

今年度新たに開校した 9JA を加え、現在 159JA が登録して活動中である。

ウ.「第8回 あぐりスクール全国サミット」の実施

広島県 JA 三次管内にて 7 月 12~13 日に開催した。JA および JA 中央会役職員や

JA 女性組織・青年組織、行政、教育関係者ら 309 名が参加した。

エ.「食農教育紙芝居コンクール」の実施

87 点の応募があった。最優秀賞と優秀賞の入賞作品を「家の光ネット」よりダウン

ロードを可能にし、だれでも活用できるようにした。

⑦読書運動

ア.「読書サポーター研修会」の開催促進

8JA で「JA 読書サポーター研修会」、4 府県で「都道府県読書サポーター研修会」

が開催された。

イ.「第10回家の光読書ボランティア養成講座」、「第 7 回家の光読書ボランティアス

キルアップ講座」の実施

「養成講座」は、6 月に長崎県長崎市、8 月に山形県山形市、兵庫県神戸市で開催し

た。「スキルアップ講座」は、8 月に神奈川県横浜市で開催した。

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ウ.「第67回全国農村読書調査」の実施・報告

7 月に全国 60 の調査地点で実施し、12 月に『2012 農村と読書』としてまとめ、JA・

マスコミなどに配布した。また、67 回におよぶこれまでの「全国農村読書調査」の歴

史と概要をまとめる作業を行い、25 年度に配布を予定している。

エ.「第12回家の光読書エッセイ」の募集

876 編の応募があった。12 月 14 日に審査会を開き、家の光読書エッセイ賞 1 編、

優秀賞 3 編、佳作 7 編を選出した。

⑧JA女性組織の活動支援

『家の光』6、7 月号を活用した学習運動が展開された。①『家の光』持ち寄り読書を

通じた仲間づくり、②7 月号「これなら簡単 1 日 1 回健康体操」「手拭いで作るクール

ネックスカーフ」の活用と、JA 全国女性組織協議会の「全国統一 みんなで工夫消費電

力マイナス 10%大作戦 PART2」を後押しする 7 月号記事「これぞ達人!衣食住夏を乗

りきる知恵」の活用をすすめた。

JA 女性組織の次世代を担うフレッシュミズ層を主な対象にした「JA 女性大学」の開

講・運営を支援し、JA 全中とともに「第 2 回ヒントをつかもう!『JA 女性大学』全国交

流集会」を開催した。

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3.JA旅行事業およびJA旅行事業にかかわる地域振興体験交流事業等

(株式会社農協観光)

(1)農協観光の事業の概要

平成24 年度の主な事業活動は、次のとおりです。

第26 回JA 全国大会で決議された「豊で暮らしやすい地域社会の実現」に向けた実践策

として、『旅行がもつふれあい機能』を積極的に活用し、旅行を通じた様々な「交流」を

通じて、「地産地消運動の展開」「JA 食農教育の推進」「都市農村交流」、更には、JA

事業・活動への理解促進や、参画意識を高めることを目的とした、JAにおける地域支援活

動、及び地域コミュニティ活性化の「場」として“JA1支店1企画”の提案を促進し、利用者

とJA との接点強化や絆を深める取組等、各事業の向上に貢献できる「JA 旅行事業」の取

組みを促進しました。

(2)旅行事業取扱高

平成24年度は取扱高817 億83 百万円であり、部門別の内訳は次のとおりです。

①国内旅行部門

東日本大震災による被災地復興を支援するため、引き続き「JA グループ支援隊ツアー」

やJA女性部によるボランティア活動による送客の取組み等東北地区への送客や企画提案

等、積極的な取組みを行いました。

JA 事業ならびに組織の活性化に積極的に寄与する取組みとして、多彩なテーマ別行動

に沿った「JA 女性組織仲間づくり旅行」の提案、食農教育活動への取組として、「JA 地

産地消ツアー・JA 持参地消ツアー」や「食と農」をテーマとした地産地消企画として、

「北海道 食の夕べin SAPPRO」、「ハイ祭 沖縄イベント」を始め、全国各地で「ま

るごと食の旅」を開催し、付加価値のある取組みを展開しました。

また、グリーン・ツーリズム事業においては、「食農教育」や「農業・自然体験学習」

をテーマとした「教育旅行」や行政と連携した「受託事業」にも積極的に取組みました。

その結果、取扱高は679 億4 百万円となりました。

②海外旅行部門

地域空港の活性化と地域密着事業展開を進展させるため、地元空港発着の海外チャー

ター企画の拡充等、円高の影響もあり「アメリカ・カナダ」、「ヨーロッパ」など、中・

長距離旅行が順調に推移しましたが、中国・韓国の領土問題や年末からの急激な円安の

影響もあり、取扱高は116 億60 百万円となりました。

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③外国人旅行部門

上半期においては、総じて東日本大震災や福島原発事故の影響から回復傾向にて推移

しました。下期に入り領土問題や欧州債務危機、急激な円高の影響を受け減少に転じま

したが、日本政府観光局(JNTO)シンガポール事務所の支援によるJR北海道との貸切

列車企画の実施や官公庁からの受注拡大、神戸で開催されたICAアジア大会の取扱いな

どにより、取扱高は11 億13 百万円と大きく増加しました。

(3)JA旅行センターの事業状況

平成25 年3 月31 日現在のJA旅行センター数は182JA 、平成24 年度の1JA 当たりの

取扱高は1 億48 百万円となっている。

4.地域振興・体験交流、教育文化活動に係る各種事業

(一般社団法人全国農協観光協会)

(1)都市農村交流・地域支援活動に係る取組

平成24年度の当会事業は国民の環境問題や食の安全・安心に対する意識や、農業・農村

に対する関心が高まるなか、農山漁村地域をはじめとする地域振興・活性化に向けた取組

を行うことを基本としました。

農村と都市との交流促進、食と農への理解促進を中心に援農ボランティアや農業体験・

交流企画の実施、地域の受入体制整備ならびに観光振興・活性化を促進する人材育成をは

じめとする各種支援、地域伝統文化の保存普及活動に積極的に取組みました。

公益法人制度改革に基づく法人移行については、平成25年4月1日より一般社団法人へ移

行することとなりました。

①農山漁村地域の景観保全、農地保全・活用を支援する援農ボランティアの実施

本会援農ボランティア組織「快汗!猫の手援農隊」の活動地域の拡大ならびに会員拡

大に務めるなか、会員相互の交流と地域の交流を発展させることにより活動の拡充と農

業の多面的機能の理解促進や景観保全・活用の重要性の理解促進に取組みました。

全国19箇所において参加者数556名、21企画を実施した。活動実績の主なものは以下の

とおりです。

りんご摘果・収穫隊(長野県中野市)、鳥取ゴールド二十世紀梨小袋かけ隊・収穫隊

(鳥取県倉吉市)、「森のワーキングホリデー」(長野県黒岩山)、徳島すだち収穫隊

(徳島県名東郡)、京丹波黒大豆収穫・仕分け隊(京都府船井郡)、越前さといも収穫・

仕分け隊(福井県大野市)、次郎柿収穫隊(愛知県豊橋市)、大井町温州みかん収穫隊

(神奈川県大井町)、淡路島カーネーション摘蕾隊(兵庫県淡路島)、カーネーション

ン片づけ隊(神奈川県秦野市)、援農モニター茶摘隊(神奈川県相模原市)、にんにく

収穫・植え付け隊(新潟県長岡市)、加工用トマト収穫隊(新潟県中魚沼郡)、野沢菜

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援農体験モニター(長野県野沢温泉村)、援農モニターやまぶどう収穫隊(山梨県南巨

摩郡)、三ケ日みかん収穫隊(静岡県浜松市三ヶ日町)、“幻の”国分にんじん収穫隊

(群馬県高崎市)、与論島サトウキビ収穫・快汗!猫の手援農交流隊(鹿児島県与論島)

②食と農の体験・交流企画による食農教育の推進

食と農を学ぶ「食農教育」の実践・教育の場として、田植え・稲刈り等の体験企画や

都市部在住の大人や親子を対象とした農業・農村体験を通した食農教育の推進に係る体

験・交流企画を全国3箇所5企画実施しました。

里山の棚田でお米作りスクール(千葉県鴨川市)、能勢の棚田でお米作りスクール(大

阪府能勢町)、水仙の郷ウォーク(千葉県鴨川市)

③地域資源を活用し、農山漁村の魅力を伝える体験交流の実施

農山漁村のもつ地域資源を発掘・活用する体験交流企画を実施し、地域における新た

な交流需要に取組みました。

また、本会の都市と農村を結ぶ会員組織「ふるさと倶楽部」会員の加入促進と活動強

化を図り、農業・農村が有する多面的機能の啓発・理解促進に繋がる活動を展開しまし

た。

本年度は全国6箇所において6企画79名の参加者がありました。

また、ふるさと倶楽部会員については、819名の新規加入者があり、総会員数22,695

名になりました。

答志島の島暮らし(三重県答志島)、早川町田舎暮らし(山梨県南巨摩郡)、飛島の

漁村の浜暮らし(山形県酒田市)、真鍋島の島暮らし(岡山県笠岡市)、民俗芸能を訪

ねる旅「備中神楽のふるさとを訪ねる旅」(岡山県新見市)、祖谷の奥山暮らし(徳島

県三好市)

④地域の受入体制整備に係る研修・相談などの地域活性化支援

グリーン・ツーリズムを通じ、農山漁村地域の受入体制整備に向けて取組んできた当

会のノウハウ、受入地域のネットワークを活用し、「JA都市農村交流全国協議会」会員

の人材育成支援やモデル的事業への支援として、基礎研修(東京20名)現地研修(鳥取

14名)インストラクター研修(千葉・22名)を実施しました。

また、「子ども農山漁村交流プロジェクト」の取組については、普及・啓蒙と位置づ

け、地域振興・活性化へ向けた支援として、研修会(447名の参加)を実施しました。

その他、地方自治体等と連携し、地域活性化へ向けた取組として新潟県下および新潟

県佐渡市、群馬県利根郡みなかみ町、鹿児島県種子島などで体制整備支援を行いました。

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⑤地産地消の支援

消費者の安全・安心、旬へのこだわりや「生産者の顔が見える」関係作りを推進する

ため、地域の特産品、加工品などの地域食文化情報を「ふるさとふれあい便」として販

売し、生産地と消費者とを身近にする地産地消運動の支援を行い、販売高は14,649千円

となりました。

(2)教育文化・調査研究・広報活動事業に係る取組

①観光促進のための資格取得・人材育成研修会の企画・実施

観光振興による地域活性化を促進・支援するため、観光人材育成に関わる各種研修会・

講座等を積極的に開催しました。

総合旅程管理研修会として全国34会場、受講者数279名、国内旅程管理研修会に全国

15会場、受講者数488名、旅行業務管理者資格取得のための対策講座(国内管理者)に全

国9会場、163名、同じく(総合管理者)2会場、119名の実績がありました。

JATA総合管理者研修補習講座(東京会場)には15名の参加者がありました。

訪日観光客、特に中国からの観光客を受入る受入施設のホスピタリティ向上のための

研修会「中国人観光客対応スキルアップ研修会」には5会場163名の参加者がありました。

②農業・農村の理解促進ならびに将来の農業の担い手育成に向けた調査・研究

国民の「農業」、「環境」、「食」に関する意識は近年急速に高まっており、「農業・

農村の理解促進ならびに将来の農業の担い手育成・支援」に向け、日本農業検定協会を

通じ、小中学校における「食」や「農」に関する理解の状況について調査研究を行いま

した。

③農山漁村地域における民俗文化資源の保存・普及支援

農山漁村地域の人々が伝承してきた民俗芸能とその地域の暮らしなどを紹介し、民俗

文化資源の保存および普及を支援するため、本年は岩手県一関市南沢地区に伝わる「南

沢神楽」を東京に招聘し、「第24回民俗芸能と農村生活を考える会」を日本教育会館一

ツ橋ホール(一ツ橋)において平成25年2月に開催しました。

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5.役職員の福利厚生対策(農林漁業団体職員共済組合)

(1)団体数と役職員数

特例業務負担金を負担している農林漁業団体は、統合時、農林漁業団体職員共済組合法

の適用を受けていた団体(統合後合併等で権利義務を継承した団体を含む)で、24 年度末

現在 5,463 団体である。

これらの農林漁業団体に常時勤務している役職員数は、24年度末現在、男子242,771人、

女子 167,232 人、合計 410,003 人となっている。役職員数は平成 6 年度末の 511,219 人を

ピークに毎年減少しきたが、21 年度末 2,900 人、22 年度末 2,273 人の増加となり、減少

傾向が一旦落ち着いた形となった。しかし、23 年度から再び減少に転じ 24 年度末におい

ては 23 年度末に比べ 3,352 人の減少となった。

(2)特例年金受給権者数及び平均年金額

平成 24 年度末の特例年金受給権者数は、396,649 人となり、23 年度末に比べて 945 人

の減少となった。平成 22 年度に導入した一時金払い制度により、24 年度においては 9,435

人が年金払いに代えて特例老齢農林一時金(平均額 1,135,896 円)を選択した。これによ

り平成 22 年度以降一時金を選択した者は、累計で 62,033 人(平均額 1,264,874 円)とな

った。

年金受給権者の内訳をみると、退職給付 340,772 人(特例老齢農林年金 129,532 人、特

例退職共済年金 172,084 人、特例退職年金 28,014 人、特例減額退職年金 4,229 人、特例

通算退職年金 6,913 人)、障害給付 4,061 人(特例障害共済年金 2,780 人、特例障害年金

1,281 人)、遺族給付 51,816 人(特例遺族共済年金 40,281 人、特例遺族年金 10,449 人、

特例通算遺族年金 1,086 人)となっている。

24 年度末における特例年金の一人当たりの平均年金額は 114,435 円(退職給付 108,302

円、障害給付 227,252 円、遺族給付 145,926 円)となっている。

(3)収支の状況

平成 24 年度の収入合計は 346 億 85 百万円(特例業務負担金 294 億 22 百万円、国庫補

助金 10 億 56 百万円、運用収入 40 億 49 百万円、その他 1 億 57 百万円)、支出合計 547

億 3 百万円(給付費 531 億 22 百万円、事務費繰入金 15 億 29 百万円、その他 52 百万円)

収支残▲200 億 18 百万円、年度末保有資産 2,361 億 1 百万円となっている。

(4)給付金の支給状況

平成 24 年度の特例年金の支給状況は、退職給付 450 億 90 百万円、障害給付 7 億 21 百

万円、遺族給付 73 億 11 百万円となり、特例年金給付費の総額は 531 億 22 百万円となっ

ている。

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(5)保有資産の運用状況

平成 24 年度末における保有資産は 2,361 億 1 百万円(流動資産 359 億 50 百万円+固定

資産 2,002 億 10 百万円-流動負債 59 百万円)となっている。資産構成は、投資有価証券

2,002 億 10 百万円、現金・預金 349 億円 2 百万円等となっている。

24 年度における運用収入は、40 億 49 百万円となり、運用利回りは 1.674%(前年度比

0.154 ポイント増)となった。

(6)保有資産と責任準備金

平成 24 年度末時点における特例年金の責任準備金は 2,846 億円である。これに対して保

有資産は 2,361 億円であることから、決算処理において不足責任準備金 485 億円を計上し

ている。

(7)年金額の改定

特例年金の基本額は、公的年金のような物価や賃金によるスライドは適用されないが、

平成 14 年 4 月の厚生年金との統合前から年金を受給していた者の年金額については、統

合後支給される移行年金(厚生年金)と特例年金の基本額との合計が、統合日前日の額

を下回る場合、特例年金にその差額を加えて支給する特例措置が設けられた。移行年金

(厚生年金)と特例年金の基本額及びこの差額の合計額を従前額と呼んでいる。

この従前額については平成 15 年の物価水準を上限として、物価の変動等により改定さ

れることとなっている。

平成 24年度の年金額は、従前額の基準となる平成 15年の指数 100.7を下回っており、

かつ前年の平成 22 年の指数は 100.0 に比べ 0.3%下落したため、従前額について 24 年 4

月分より 0.3%の減額改定を行った。

(単位:団体、人、円)

うち農協 うち農協 退職給付 障害給付 遺族給付 合 計 退職給付 障害給付 遺族給付 全平均

5,463 1,358 410,003 343,455 340,772 4,061 51,816 396,649 108,302 227,252 145,926 114,435

注: 1) 農林業業団体職員共済組合「24年度事業統計年報」による。

2) うち農協とは、全国連、都道府県連、総合農協、開拓農協、専門農協を含む。

農林年金対象団体及び役職員数と特例年金受給権者の状況(平成25年3月末現在)

特例年金受給権者数 特例年金平均年金額役職員数団体数

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6.農協役職員退職金共済事業(一般財団法人全国農林漁業団体共済会)

一般財団法人全国農林漁業団体共済会(以下:JA 全国共済会)および 8 府県に設置され

ている共済会は、JA・関係団体等の経営および役職員の退職後の生活基盤の安定化のため

の事業として、所得税法施行令第 73 条に定める要件を備えた「特退共制度」および税制

上任意の「任意積立制度」を実施している。

JA 全国共済会の退職金共済事業は、府県共済会が設置されていない 39 都道府県の JA

および関係団体を対象としており、平成 24 年度末現在、93.7%の JA(25 の都府県では全

ての JA)が活用している。

平成 24 年度末における事業概況は表 1 の通りである。また、JA 全国共済会と府県共済

会の加入状況は表2の通りである。

(1)特退共制度

「特退共制度(JA 全国共済会における通称:制度)」は、掛金が全額損金になるうえ、

掛金に対し年複利 1.05%(JA 全国共済会における平成 24 年度の給付還元利率)の利息が

非課税で付加され、また職員個人ごとの退職金要支給額に連動した退職金原資の積み立て

が図れるなど、JA の退職金原資積立制度として、最適な制度である。

(2)任意積立制度

JA 全国共済会の「任意積立制度(通称:施設)」の契約形態には、役職員個人ごとに掛

金を定めて契約の管理を行う個人別加入契約と加入団体ごとに契約の管理を行う団体口加

入契約とがあり、掛金に対して年複利 1.05%(平成 24 年度の給付還元利率)の利息が付

加される。この「施設」は、「制度」と異なり、役員の加入が可能なため、役員退職慰労金の

積立・支給の制度化や役職員個人の財産形成として活用するのに適した積立制度である。

(3)退職年金制度

JA 全国共済会では、「制度」および「施設」(個人別加入契約)に加入している役職員が、

退任(職)時に支給される退職給付金を年金として受給することができる「退職年金制度」

の取り扱いを行っており、据置期間・受給期間を一定の範囲内で設定できるため、受給者

のライフプランに合わせた年金受給が可能である。

(4)効率的な退職金原資積立の提案

JA 全国共済会では、「制度」の活用を促進するため、加入団体をはじめ未加入 JA・JA

関係団体を対象に、「退職金管理設計システム」を活用して効率的な退職金原資積立方策の

提案を行っている。

2013JA 年鑑

122 不許複製

(5)“安全・安心、確実”をモットーとした事業運営

JA 全国共済会は、“安全・安心、確実”をモットーに次の取り組みを行っている。

・クーポン収入を主体として、ハイリスク型を排除した安定的な資産構成

・投資適格銘柄でかつ、投資対象商品・発行体ごとに保有限度を設定し、分散投資

・中長期的に安定的な運用利回りの確保を目指した“ラダー型”ポートフォリオの構

築への取組み

・運用資産が減価した場合の給付保証に備えての「事業基盤強化準備金(旧「給付保

証準備金」)」の計画的積立(平成 24年度末の積立額は 290.5億円)による財務基盤

の強化

・財務の健全性を期すための財政計算の毎年2回実施

・内部検査および外部監査の実施による内部牽制の充実・透明性の確保

(6)JA全国共済会における「第2次中期経営3ヶ年計画」の推進

JA 全国共済会は、「第 2 次中期経営 3 ヶ年計画」の第 2 年度として、次の事項の取り

組みを展開した。

・退職金共済契約の拡大促進計画の実践

・資産の効率運用と安定的な還元力の確保

表 1 JA 全国共済会の事業概況(平成 24 年度末現在)

制度 施設 合計

加入団体数 (団体 ) 994 755 1,749

加入人数 (人 ) 121,442 64,465 185,907

加入口数 (千口) 23,355 2,549 25,904

掛金収益 (百万円) 27,811 5,966 33,777

年金収益 (百万円) 2,017 1,158 3,175

給付金費用 (百万円) 29,687 4,913 34,599

年金費用 (百万円) 2,419 1,594 4,013

責任準備金 (百万円) 404,774 93,575 498,348

資産総額 (百万円) 443,262 103,411 546,858

注:1) JA 全国共済会調べ。

2) 「加入口数」は、掛金額を定める単位

で、1 口月額 100 円である。

3) 「責任準備金」=「給付責任準備金」

+「年金支払準備金」

4) 「給付金費用」および「責任準備金」

は、百万円未満四捨五入しているため

「制度」・「施設」の合計と合計欄は一致

しない。

5) 「資産総額」の合計欄には、一般会計に

係る資産を含むため、「制度」・「施設」

の合計とは一致しない。

2013JA 年鑑

123 不許複製

表 2 全国および府県共済会加入状況(平成 24 年度末現在)

注:JA全国共済会調べ。 (単位:団体、人、百万円)

全国共済会 府県共済会 合計

特退共制度 任意積立制度 特退共制度 任意積立制度 特退共制度 任意積立制度

加入団体数 994 755 344 371 1,338 1,126

加入人数 121,442 64,465 47,716 46,971 169,158 111,436

資産総額 443,262 103,411 199,369 48,061 642,631 151,472

2013JA 年鑑

124 不許複製

Ⅵ IDACAにおける途上国農協育成協力

1.人材養成のための受入研修の実施

一般財団法人アジア農業協同組合振興機関(IDACA)は、日本全国の農業協同組合の拠

金並びに政府の協力によって 1963 年 7 月 8 日に設立され、今年で設立 50 周年を迎えた。

当機関は、開発途上国における農民の生活向上、農村地域の開発には農協組織の存在が不

可欠であるとの観点から、わが国政府および農協関係機関の支援・協力のもと、わが国農

協(JA グループ)の国際協力事業の一環として海外の農協人養成研修並びに調査研究・開

発協力機関として役割を担っている。

わが国政府開発援助は、国際社会が共有する重要な開発目標である貧困削減、地球温暖

化をはじめとする環境・人口・食料等の地球的規模の問題への取り組みを重点課題として

進められている。こうした中で、開発途上国の要請や農村での女性が果たす役割の重要性

を踏まえ、研修テーマに農協を通じた貧困削減・農家所得向上、農村女性による起業活動、

農協を通じた農産物の販売強化、農協の組織・事業の強化、農村リーダーの育成等を取り

上げ、農水省・JA 全中・国際協力機構(JICA)・国際協同組合同盟(ICA)等との連携の

もとに研修事業を実施している。

また、わが国の農業・農村に大きな影響を及ぼしかねない経済連携協定(EPA・TPP)

の課題を研修内容に織り込み、JA 全中の活動と一体となって、わが国とJAグループの主

張への理解促進に努めた。

平成 24 年度(平成 24 年 6 月~25 年 5 月)に実施した受入研修は次表のとおりである。

8 コースの集団研修の人数は 131 名(39 カ国)となっている。設立以降の研修員累計数は

115 カ国、5869 名に上っているが、集団研修の国別参加数で見るとタイ(660 名)、韓国

(596 名)、インド(355 名)、インドネシア(315 名)、マレーシア(317 名)、フィリピ

ン(299 名)となっており、最近 10 年間ではタイ(188 名)、韓国(77 名)、マレーシア

(70 名)、フィリピン(69 名)、ベトナム(61 名)となっている。近年の傾向としては、

わが国政府がメコン川流域国や南アジアの後発開発国の支援に力を入れていることから、

カンボジア、ラオス、ミュンマー、ベトナムの 4 ケ国(CLMV)に重点を置き、更に南ア

ジア諸国からは、ネパール、スリランカ、ブータン、バングラデュ、パキスタン、モルデ

ィブ等農協組織活動がまた活発でない国々を中心に研修を行った。また、集団研修への女

性の参加率も年々上昇傾向にあり、参加研修員の年齢層の若年化も目立ってきている。

2013JA 年鑑

125 不許複製

2.専門家派遣と事後指導(フォローアップ・調査)

農林水産省、JICA 等の関係機関との連携をふまえ、随時、海外に農協育成の専門家とし

て IDACA スタッフを派遣し、農協育成指導の取り組みを行った。

また、ICA との連携のもとに IDACA で実施した研修効果の把握と事後指導のため、現

地に赴き元研修員に対するフォローアップを実施した。加えて受益国のニーズや現状を把

握する目的で元研修員及びその所属機関等に対するアンケート調査等を実施し、研修事業

の改善と充実に努めた。

3.人的ネットワークの構築

5,800 名を超える元研修員とその所属機関等国内外に対しホームページや年 3 回発行す

る海外向け「IDACA ニュース(英文)」および国内関係機関向け「IDACA だより(和文)」

等の広報紙を通して、IDACA の活動や JA グループの取り組みなどを発信し、積極的な情

報提供を通じた人的ネットワークの構築と強化を図っている。

2013JA 年鑑

126 不許複製

4.研修員受入状況 (1)集団研修・個別研修受入状況(累計人数)(昭和38年度~平成24年度)

(平成 25 年度 5 月末現在)

研修区分

24 年 5

末累積

23 年 6 月~24 年 5 月末 25 年 5 月

末累積 受入数 研修略称

集団研修 4,925 131 5,056

1.JICA 農協コース 902 17 同左 919

2.RECA セミナー 480 0 同左 480

3.ICA 中核リーダー育成研修 385 24 同左 409

4.ICA 女性地域活性化研修 177 13 同左 190

5.ICA 農産物品質管理研修 214 13 同左 227

6.JICA プロジェクト等研修 514 0 514

7.協定等研修 432 - 432

8.上記以外 1,821 64

JICA 農業政策企画研修(15)

JICA アフリカ・アグリビジネス研修(19)

JICA マレーシア・マーケティング研修(10)

ASEAN キャパシティビルディング研修(20)

1,885

(うち ICA 共催) (697) (-) (697)

個別研修 809 4 813

1週間以上 163 4 マレーシア協同組合大学研修(4) 167

1週間未満 646 646

合計 5,734 135 5,869

注1:「集団研修」とは、参加者数 12 名以上かつ研修期間 28 日以上ないしこれに準ずる研修である。

注2:「JICA プロジェクト等研修」とは、JICA 農協コース以外の JICA 研修や JICA 技術協力プロジェクトの

カウンターパート研修などである。

注3:「協定等研修」とは、IDACA と海外農協全国組織・研修機関等との協定に基づく研修ないしこれに準

ずる研修である。

注4:JICA 農協コースに JICA 技術協力プロジェクトのカウンターパートが員外で研修の 8 割以上参加した場

合は当該コースの参加者数にカウントするなど、一定の条件を設けて員外参加者を当該集団研修の参加

者数にカウントしている。

2013JA 年鑑

127 不許複製

(2)集団研修における参加者数上位 10 カ国(平成 15 ~24 年度) (平成 25 年度 5 月末現在)

順 位 国 名 参加者数(人) 参加者総数に対

する比率(%)

1 タイ 188 15.4

2 韓国 77 6.3

3 マレーシア 70 5.7

4 フィリピン 69 5.6

5 ベトナム 61 5.0

6 インド 57 4.7

7 ルーマニア 52 4.3

8 ミャンマー 51 4.2

カンボジア 51 4.2

9 ラオス 50 4.1

10 インドネシア 45 3.7

中国 45 3.7

その他 407 33.3

合 計 1,223 100.0

2013JA 年鑑

128 不許複製

(3)集団研修における女性参加者比率上位 10 カ国(平成 15~24 年度) (平成 25 年度 5 月末現在)

順 位 国 名 参加者総数(人)

内、女

参加

者数

(人)

女性比率(%)

1 ベトナム 61 42 68.9

2 タイ 188 124 66.0

3 フィリピン 69 44 63.8

4 ミャンマー 51 27 52.9

5 マレーシア 70 35 50.0

6 モンゴル 16 8 50.0

7 スーダン 13 6 46.2

8 ルーマニア 52 23 44.2

9 スリランカ 25 11 44.0

10 バングラデシュ 14 6 42.9

その他 664 175 26.4

合計 1,223 501 41.0

昭和 38 年~平成 24 年度累計 5,056 940 18.6

注:過去 10 年間において 10 名以上の参加者があった国を対象とする。

2013JA 年鑑

129 不許複製

(4)年度別集団研修参加者数(昭和38年度~平成23年度) (平成 24 年 5 月末現在)

年度別

参加者数

(人) 累計 (人) 年度別

参加者数

(人) 累計 (人)

昭和 38 年(1963) 14 14 平成元年(1989) 107 2,185

39 14 28 2 104 2,289

40 87 115 3 99 2,388

41 91 206 4 111 2,499

42 61 267 5 117 2,616

43 56 323 6 126 2,742

44 128 451 7 138 2,880

45 94 545 8 148 3,028

46 102 647 9 129 3,157

47 88 735 10 108 3,265

48 69 804 11 125 3,390

49 66 870 12 145 3,535

50 74 944 13 145 3,680

51 75 1,019 14 107 3,787

52 69 1,088 15 124 3,911

53 93 1,181 16 107 4,018

54 107 1,288 17 128 4,146

55 86 1,374 18 131 4,277

56 105 1,479 19 157 4,434

57 104 1,583 20 126 4,560

58 63 1,646 21 127 4,687

59 100 1,746 22 121 4,808

60 88 1,834 23 117 4,925

61 52 1,886 24 131 5,056

62 95 1,981 23 117 5,173

63 97 2,078 24 131 5,304

2013JA 年鑑

130 不許複製

(5)地域別国別集団研修参加者数(昭和38年度~平成24年度) No. 地域 国  名 参加者数 (人 ) No. 地域 国  名 参加者数 (人 )

1 アフガニスタン 19 23 ニジェール 5

2 アラブ首長国連邦 2 24 ボツワナ 1

3 イエメン 7 25 ブリキナファソ 4

4 イスラエル 6 26 ベナン 3

5 イラク 20 27 マダカスカル 2

6 イラン 49 28 マラウイ 13

7 インド 355 29 マリ 3

8 インドネシア 315 30 モーリシャス 14

9 オマーン 15 31 モーリタニア 2

10 カンボジア 71 32 モザンビーク 3

11 キプロス 1 33 モロッコ 19

12 サウジアラビア 1 34 リビア 4

13 シリア 19 35 リベリア 5

14 シンガポール 25 36 ルワンダ 9

15 スリランカ 227 37 中央アフリカ 1

16 タ イ 660 38 南アフリカ 4

17 トルコ 9 39 トーゴ 1

18 ネパール 101 40 レソト 2

19 パキスタン 74

20 バングラデシュ 149 小  計 411

21 フィリピン 299 1 ドミニカ 4

22 ブータン 14 2 エルサルバドル 5

23 ブルネイ 19 3 グレナダ 1

24 ベトナム 188 4 グアテマラ 3

25 マレーシア 317 5 メキシコ 14

26 ミヤンマー 105 6 ニカラグア 6

27 モルジブ 8 7 パナマ 3

28 モンゴル 31 8 セントクリフトファー・ネイビス 1

29 ヨルダン 30 9 セントルシア 2

30 ラオス 77 10 ハイチ 1

31 レバノン 12

32 東ティモール 4

33 韓 国 596 小  計 40

34 台 湾 74 1 アルゼンチン 4

35 中 国 256 2 ボリビア 12

36 日 本 41 3 ブラジル 168

4 コロンビア 13

小  計 4,196 5 パラグアイ 23

1 オーストラリア 3 6 ペルー 5

2 フイジー 10 7 ウルグアイ 2

3 パプアニューギニア 10 8 ベネズエラ 5

4 トンガ 3

5 ミクロネシア連邦 2

6 ソロモン諸島 1 小  計 232

7 バヌアツ 2 1 アルバニア 1

小  計 31 2 アルメニア 1

1 アンゴラ 1 3 ウズベキスタン 13

2 アルジェリア 3 4 グルジア 1

3 ウガンダ 9 5 タジキスタン 5

4 エジプト 56 6 ハンガリー 1

5 エチオピア 27 7 フランス 1

6 エリトリア 1 8 ブルガリア 2

7 ガーナ 49 9 ポーランド 1

8 カーボベルデ 1 10 ボスニア・ヘルツェゴビナ 2

9 カメルーン 6 11 モルドバ共和国 1

10 ギニア 3 12 ラトビア 1

11 ケニア 27 13 ルーマニア 58

12 コートジボアール 8 14 ロシア 4

13 コンゴ民主共和国 1

14 サントメ・プリンシベ 1

15 ザンビア 16 小  計 92

16 シェラレオーネ 4 国際機関 54

17 スーダン 32 個 短期(1週間以上) 167

18 セネガル 10 別 (1週間未満) 646

19 タンザニア 27 小  計 813

20 チュニジア 2 合  計 5,869

21 ナイジェリア 26 参加国数 11522 ナミビア 6

ヨ―

ロッ

2013JA 年鑑

131 不許複製

(6)海外農協指導者受入研修一覧表(2012 年 5 月~2013 年 5 月) 実施期間 参加国 研修

員数現地

研修先テーマ

JICA「農協の組織と事業の強化」コース2012年5月6日

~7月14日

ブータン (2)

ケニア (1)

ラオス (2)

レソト (2)

モーリタニア (1)

モンゴル (1)

ミャンマー (1)

ネパール (2)

ルワンダ (1)

南アフリカ (1)

タイ (1)

ウガンダ (1)

ベトナム (1)

17名新潟高知

農協の組織と事業の強化

ICA農村女性地域活性化支援研修2012年7月10日

~8月4日

カンボジア (2)

インド (1)

ラオス (2)

ミャンマー (2)

ネパール (1)

フィリピン (1)

タイ (1)

ベトナム (2)

モルジブ (1)

13名 福島 農村女性リーダー育成

JICA「農業政策企画」コース2012年8月19日

~9月15日

アフガニスタン (2)

エチオピア (1)

ガーナ (1)

インドネシア (1)

イラク (1)

モンゴル (2)

ミャンマー (1)

ネパール (1)

パラグアイ (1)

スリランカ (1)

セネガル (1)

スーダン (1)

タンザニア (1)

15名 熊本 農業政策の企画力育成

ICA農産物品質・安全管理研修2012年9月9日

~10月3日

ブータン (1)

カンボジア (2)

インド (2)

ラオス (2)

モルディブ (1)

ミャンマー (2)

ネパール (1)

ベトナム (2)

13名 兵庫 農産物の品質向上と安全管理の手法

ICA農協中核リーダー育成支援研修

(第1回目 )

2012年10月9日

~11月3日

ブータン (2)

カンボジア (2)

ラオス (2)

ミャンマー (1)

ネパール (1)

スリランカ (1)

ベトナム (2)

11名 青森 農協の中核リーダー育成

JICA「アフリカ地域アグリビジネスの実施と振興」コース2012年10月28日

~12月8日

ザンビア (1)

タンザミア (1)

ウガンダ (2)

トーゴ (1)

ガーナ (1)

ベナン (1)

ケニア (1)

コートジボアール (1)

モザンビーク (1)

カメルーン (1)

スーダン (1)

ナミビア (2)

セネガル (1)

ブルキナファッソ (2)

ナイジェリア (1)

19名 長野アフリカ地域のアグリビジネスの実施と振興

JICAマレーシア農業協同組合

「マーケティング能力強化」コース

2012年12月2日

~12月21日マレーシア (10) 10名

千葉愛媛

マレーシア農業協同組合におけるマーケティング能力の強化

ICA農協中核リーダー育成支援研修

(第2回目 )

2013年3月18日

~4月12日

バングラディシュ (1)

ブータン (2)

カンボジア (1)

インド (2)

ラオス (1)

モルディブ (1)

ミャンマー (2)

ネパール (1)

スリランカ (1)

ベトナム (1)

13名 静岡 農協の中核リーダー育成

2013JA 年鑑

132 不許複製

Ⅶ.専門JAの事業

1.全国酪農業協同組合連合会

(1)組織の概要

全酪連の平成 25 年 3 月末における会員数は、正会員 183、準会員 15 で、合計 198 会

員である。

全酪連正会員の内訳

連合会 単協 合計

酪農協 25 81 106

畜産農協 2 3 5

開拓農協 2 2 4

JA 9 59 68

合計 38 145 183

(2)事業の概況

本会は、平成 24 年度に酪農生産基盤の維持・拡大を図るため、『全酪連将来ビジョン』

を掲げた。これは、本会が全国連としての果たすべき役割として、会員農協・酪農家が、

地域社会に根ざした安定した酪農経営が継続でき、酪農後継者や新規就農者が従事しや

すく将来に希望を持てる環境を作り、消費者が求める安全・安心で良質な国産生乳を安

定して生産し供給することとしている。平成 24 年度は、①酪農生産環境整備の推進 ②

酪農生産現場の生産性の向上 ③酪農生産物の有利販売の強化 ④組織運営の効率化と

財務体質の強化 ⑤コンプライアンス経営の推進という基本方針のもと、酪農専門農協

全国連として会員・酪農家の様々な取組みを支援し、期待と信頼に応え得る組織である

ことを最大の目的として役職員一丸となって事業に取り組んだ。

(3)事業部門別概況

①指導事業

会員組織の経営基盤及び機能の強化を図るべく、それぞれの地域に応じて検討を行い、

組織整備が進展中の地域には組織整備推進アドバイザーや職員を派遣するなど、組織再

編整備に向けての指導や支援を実施した。また、会員及び本会職員、監事・役職員のス

キルアップを図ることを目的に、各種研修会を開催した。さらに、関係団体を通じ国に

対して、TPP 参加による酪農現場への影響を訴えるとともに、東日本大震災からの復興

支援について、短期、長期の視点に立った様々な提案を行った。一方、酪農後継者の育

成を目的として、全国酪農青年女性酪農発表大会など酪農青年女性会議が行っている

様々な事業を積極的に支援するとともに、新規就農希望者の支援について関係団体と情

報交換を行った。また、酪農青年女性会議が実施する「父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!

2013JA 年鑑

133 不許複製

キャンペーン」への支援など、関係団体との連携により牛乳消費拡大の取組みを実施し

た。

②酪農事業

生乳共販事業は、①生乳の安定的販売の実施、②受給調整機能の発揮の 2 点を重点実

施施策として、東日本大震災や原発事故による放射能問題等、生産や消費、生乳需給に

与える影響に注視しながら広域生乳の安定供給と自工場や関連乳業者等との連携による

需給調整に取り組んだ。昨年度から取り組んだ全体的な需給調整手法(都府県の需要は

まず都府県の生産で充当する方策)を引き続き実施し、本会再委託取引においても安定

供給を実施したことから、生乳取引数量は計画を達成したが、北福岡工場においては東

北地域の生産増はあったものの、同地域の生乳の有利販売に積極的に取り組んだ結果、

同工場への集乳量は計画を下回った。以上のことから、取扱数量は 290 千トン(前年比 101.

5%)となった。

乳食品販売事業は、①液状乳製品(生クリーム)・脱脂粉乳及びバターの安定的販売、

②チーズの販売拡大の 2 点を重点実施策として国産乳製品の販売推進に取り組んだ結果、

脱脂粉乳の取扱数量は 4,046 トン(同 86.2%)、粉乳類合計 5,273 トン(同 92.8%)、

バター1,833 トン(同 119.3%)、生クリーム 1,013 トン(同 126.2%)、チーズ 4,

060 トン(同 101.5%)となった。

以上の結果、酪農事業総取扱実績は 360 億円(同 101.7%)となった。

③購買事業

平成 24 年度の配合飼料価格は、シカゴ相場の上昇、アメリカ中西部を中心とした記録

的な干ばつの影響などにより、依然として高水準にある。また酪農生産者の廃業が続い

ていることから、物量維持のため商系他社との競争が激化する事業環境下にある。こう

した情勢の中、購買事業は、技術指導だけでなく経営指導も重視した総合的な指導購買

を実施し、物量の維持・拡大に努め、さらに原発事故の影響で自給飼料の利用が不可能

となった地域への代替粗飼料の円滑な供給に取り組んだ結果、直営製品の供給数量は

698 千トン(前年比 100.6%)、粗飼料の供給数量は 414 千トン(同 105.2%)となった。

畜産事業は、生乳生産の重要な基盤となる搾乳用後継牛確保のため、会員と協力して

優良搾乳用素牛の安定供給と販売預託事業の普及・拡大を推進した結果、搾乳用素牛は

取扱頭数 7,778 頭(同 94.2%)、肥育用素牛は取扱頭数 15,195 頭(同 101.1%)、

経産肥育牛は取扱頭数 2,334 頭(同 97.8%)、肥育牛は取扱頭数 3,781 頭(同 102.

2%)となった。また食肉原料の取扱数量は 522 トン(同 79.6%)となった。

以上の結果、購買事業取扱高は、759 億円(同 105.3%)となった。

2013JA 年鑑

134 不許複製

2.日本園芸農業協同組合連合会

日園連は果樹専門農協全国連で、平成 25 年 3 月末における会員数は、正会員 12(1 全

国連〔11 県本部〕、6 県連合会、2 県域農協、3 単位農協)、准会員 8 の合計 20 会員である。

(1)果樹をめぐる動向

平成 24 年産果実は、冬季が低温であったため初期生育が平年より遅れ、その後も集中豪

雨や、梅雨明け以降の干ばつ等気象災害の影響をうけ、全般的に平年並みの作柄であった

ものの小玉傾向となった。

(2)事業概要

①指導事業

ア.生産・販売対策

「果樹経営支援対策事業」や「果樹未収益期間支援事業」及び「果実需給安定対策

事業」を活用し、果実の価格安定のため、前年度に引き続き高品質果実の計画生産と

需給調整対策の推進に積極的に取り組んだ。

平成 24 年産のうんしゅうみかんは、うら年にあたり開花時点では前年を下回る生産

量が見込まれたことから、需要量は 96 万トン程度が見込まれたものの、適正生産量を

91 万トンとする「適正生産出荷見通し」に即して日園連かんきつ生産対策会議、全果

協かんきつ部会、みかん主産農協販売担当者会議を開催し、適正着果対策の徹底と高

品質果実生産に向けた取り組みを推進した。

平成 24 年産うんしゅうみかん対策については、目標とする品質基準など次の事項を

生産販売対策会議で決定し、生産段階からその徹底に努めた。

・出荷時期別の品質基準の設定と低品位果実の徹底排除

・生食向け適正出荷量に基づき、10 地域市場を対象とする県別・旬別出荷計画の策定

と計画的出荷の励行

・極早生みかんは 10 月までに販売を終了するなど品種・系統毎の出荷時期の徹底

落葉果樹は、落葉果実6品目(りんご・もも・ぶどう・なし・かき・キウイフルー

ツ)について、全国果実生産出荷安定協議会落葉部会と連携し、品目毎に4大市場向

け出荷計画を策定するとともに、低品位果実の出荷規制等に努めた。もも、ぶどう、

かきについては、別途主産県会議を開催し、生産・出荷の安定に努めた。さらに、急

速に増加しているぶどうのシャインマスカットについての情報交換会を開催し、果実

品質などについて検討を行った。

主要果樹及び施設果樹について、全国果樹研究連合会とともに栽培面積・収穫量・

生育状況等を調査するとともに、果実品質の安定・向上を目的に、柑橘類の糖度・酸

度、もも、なし、ぶどう等の糖度を定期的に分析し会員に提供した。

2013JA 年鑑

135 不許複製

生産現場における指導方針や諸対策を推進するため、農協の技術指導員を対象とし

た柑橘技術員研修会を神奈川県で開催した。さらに果樹農業の活性化を図るため、「全

国果樹技術・経営コンクール」を共催で実施し、優良経営者を表彰した。

イ.消費拡大対策

消費拡大対策は、「食生活指針」や「食事バランスガイド」に基づいたくだもの摂取

を目的とし、「毎日くだもの 200 グラム運動」及び「国産果実の持つ栄養・効能等や機

能性」の普及・推進、「国産果実のイメージアップや話題性の醸成」及び「食育啓発活

動」を基本に事業を実施した。

「毎日くだもの 200 グラム運動」及び「国産果実の持つ栄養・効能や機能性」の普

及・推進では、品目別の販売強化期間を設定し、共通の販促資材を活用しながら、果

樹産地一体となった販売促進活動を実施した。

また、人気歌手のワイド番組内のラジオCMや医療機関配信型の健康情報誌を活用

し、国産果実の栄養・効能や機能性等の情報提供、プレゼントパブリシティによる消

費の掘り起しを図った。さらに「くだもの農協」のホームページを開設するとともに、

柑橘類については「関根麻里」をイメージキャラクターに起用し、β-クリプトキサ

ンチン等の栄養・効能や機能性等の普及を図ったほか、くだものと健康に関する疫学

研究を支援するとともに、これまで蓄積してきた研究成果について、マスメディアや

シンポジウム等を通じて広報活動を行った。

「食育啓発活動」については、全国の小学校高学年を対象に「くだもの副読本」を

作成・配布し授業で活用したほか、大都市圏を中心とした小学校おいて出前授業を行

うとともに、作文・新聞コンクールを実施した。また、社会人、企業を対象とした普

及啓発活動を実施し、みかんの優れた機能性等の理解促進を図り、職場内での果実摂

取を促し新たな需要創造を図った。

「食育実践活動推進事業」を活用した、成人男性参加型の「ヘルシーメニュー教室」

を開催し、メタボ対策などの食育セミナーや国産果実を使ったバランスの良いヘルシ

ーメニューの実践講習により、20~40 代男性の食生活改善を図った。

ウ.加工対策

平成 24 年産うんしゅうみかんの「適正生産出荷見通し」における果汁原料用出荷

量の目標達成に向けた取り組みを推進した。

エ.情報対策

果実の需給調整関連情報等の発信に努めるとともに「日園連情報」「加工情報」「果

樹統計」「柑橘販売年報」「落葉果実・果菜類販売年報」等を発行した。

2013JA 年鑑

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オ.農政対策

農林水産省をはじめとして、自由民主党「果樹農業振興議員連盟」等に対して、果樹

経営者への支援対策、果樹の需給調整対策など果樹振興対策の実現に向けた要請活動

を展開した。

さらに、TPP 交渉参加阻止について、JA グループ関係機関と連携した要請活動

を実施するとともに、前年とりまとめた「TPP 参加が我が国果樹農業に及ぼす影響」

について、講演会を開催するとともに日本農業新聞の紙面において公表した。

②出版事業

果樹専門誌である月刊誌「果実日本」では、全国の果樹生産者・産地指導者等幅広い

読者の要望に応えるため、経営・技術・作業等の多面的な記事を掲載するとともに、今

後の果樹産業を展望した生産・流通・消費の先端情報の掲載にも努めた。

また、果実の消費拡大の一環として、「果実日本」の素材を活用し制作した単行本「見

直そう!くだもののちから」の拡販に努めた。

③購買・貿易事業

段ボール原紙は、柑橘類がうら年・小玉傾向であったこと等から主力の段ボール原紙、

段ボール箱・化粧箱の取扱量は前年を下回った。また、本会オリジナル資材や高品質果

実生産に資する資材の供給に努めた。

貿易事業は、為替相場等依然として厳しい輸出環境であったが、カナダ向けみかんと

東南アジア向けなしを軸に積極的な輸出に努めた結果、原発事故の影響を受けた前年を

上回る輸出量となった。

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3.全国畜産農業協同組合連合会

(1)組織の概要

全国畜産農業協同組合連合会(全畜連)は、肉用牛、酪農、養豚の畜産専門の農業協同

組合連合会である。

昭和 23 年 11 月、全国畜産販売農業協同組合連合会として設立、昭和 29 年に現名称に

変更、その後、昭和 32 年に全国養豚農業協同組合連合会及び全国和牛農業協同組合連合会

を吸収合併して現在の組織体制となった。会員数は平成 25 年 3 月末現在 43 会員で、その

構成は、全国連 1、県連合会 10、単位農協 32 となっている。

全畜連の会員構成(平成 25 年 3 月末現在)

連合会 単位農協 合計

畜産農協 6 3 9

酪農協 0 10 10

JA 4 20 24

計 10 33 43

業務執行のため、本所(東京都)、研修牧場(栃木県)、支所(宮城県、東京都、福岡県)、

事業所(北海道、兵庫県、宮崎県)及び食肉販売事業所(全国 5 ヶ所)を設置。

(2)畜産をとりまく状況

平成 24 年末に衆議院の総選挙が行われ、政権が代わり、新しい内閣が発足し、TPP(環

太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加問題や長く続いているデフレ経済からの脱却・景気

浮揚対策の実施等、期待と不安の中で新政権の施策方針が最大の関心事となった。

平成 24 年度は東日本大震災と原発事故の災害から 2 年目を迎えたが、今だその影響は

大きく、畜産農家の減少、牛枝肉価格の低迷に加えてセシウムの汚染問題によって東日本

地域から生産された牛肉の市況は低落したまま推移する等、相変わらず厳しい状況にあり、

特に福島県下の主要な畜産農協・酪農協等は原発事故によって避難や離農・廃業が相次ぎ、

組合としての機能を失い、家畜市場の閉鎖の止む無きに至った会員もある。

そしてまた、酪農・畜産の生産物の安全性に対する風評被害は根深く、生産現場におい

ても放射能の除染が思うように進まず、飼料作物の作付け・利用が制限される等、今後と

も東北地方での畜産の復興や振興は厳しい状況にある。

飼料状況は、米国における 2012 年産のトウモロコシが大旱魃により減産となり、現地

相場は 8 ドル/bu に迫る高騰になった上、在庫率も歴史的な低水準になった結果、年度早々

から配合飼料価格は再び上昇し、結果として平成 24年度は第1~第3四半期にかけて6,900

円/トンの値上げとなり、我が国の畜産・酪農経営において大幅なコスト上昇となった。そ

して、食肉市況の低迷により畜産経営の収益悪化が続き、肉用牛のセーフティーネットで

ある肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン事業)の交付金は毎月発動される等、厳しい

経営環境にあった。

2013JA 年鑑

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(3)事業の概要

全畜連は、会員・組合員へ家畜生産に必要な生産資材の斡旋供給を行う購買事業、会員・

組合員の生産した肉畜等の生産物を販売する販売事業、地域銘柄確立のための肉用牛の肥

育用素牛の貸付事業、和牛繁殖の生産基盤を確立し、素牛の流通を促進するための繁殖雌

牛の貸付事業、研修牧場の運営、会員・組合員の経営支援、組織基盤の維持発展を図るた

めの指導・広報活動事業を行なっている。

①事業別概況

ア.購買事業

飼料価格の高止まりにより、全支所での取り扱いは、前年より減少した。

イ.販売事業

枝肉研究会等の開催や新規開拓による集荷・販売対策により肉用牛の取扱頭数・金

額ともに増加した。

ウ.肉用牛貸付事業

肥育用素牛の貸付事業実績は減少したが、繁殖雌牛の貸付事業実績は増加した。

エ.研修牧場事業

畜産専門連としての機能を発揮し、会員・組合員の技術・経営向上を図るための施

設として研修牧場を設置し、繁殖豚 1,200 頭の養豚一貫経営及び肉用牛 200 頭、めん

羊 50 頭を飼養している。

主な事業は、増殖した種豚・繁殖母豚・経済性の高い肥育用素豚の供給、配合設計飼料

の場内での飼養管理実証及び製品化、生産技術の調査・開発・実証を行なうと伴にこれら

の情報の提供、研修・研究会の開催、研修生の受け入れ等。

なお、肉豚生産に関しては、特定飼料の給与、適正な飼養管理により、安全・安心でお

いしい豚肉の生産を銘柄化して行い、地産地消を実践する地域の量販店との提携による販

売を行っている。

平成 24 年度の販売総額は、養豚部門は下期の枝肉相場が低迷したこともあり販売総額は

前年をやや下回ったが、肥育牛部門は牛枝肉の格付成績の向上により

前年を大幅に上回ることが出来た。

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オ.指導事業

農山漁村 6 次産業化対策事業、肉用牛経営安定対策補完事業を実施し、農林水産祭

参加事業として全畜連肉用牛枝肉共進会を開催、さらには各種の共励会や共進会を開

催した。

また、本会 研修牧場にて黒毛和種肥育における新たなる“飼料米の給与”に関する

調査事業を開始した。

広報活動等としては、月間機関誌「全畜連情報」の発行およびホームページ

(http://www.zenchikuren.or.jp)を利用して行政施策、新技術等に関する各種の情報の

提供を行なったほか、国のプレスリリ-ス等による情報の迅速な伝達・指導に努めた。

2013JA 年鑑

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4.日本養鶏農業協同組合連合会

平成 25 年 3 月末現在の日鶏連の会員数は、25 会員となっている。会員構成の内訳は表

表 1 のとおりである。

表 1 日鶏連会員構成(平成 25 年 3 月末現在) 注:「平成 24 年度事業報告書」による。

区 分 連 合 会 単位農協 農協法第 12条

第 2項第 2号 法人

合 計 総数

うち 経済連

総数 うち

総合農協

正会員 3 0 21 4 ― 24

准会員 1 1

合 計 3 0 21 4 1 25

平成 24 年度(平成 24 年 4 月~25 年 3 月)における日鶏連の品目別取扱高は表 1 のと

おりである。

(1) 購買事業

配合飼料については、主原料の価格が少ない在庫量ながら円高の要因もあり比較的に安

定して推移したため、飼料基金契約数量も伸びたことから、供給数量が前年対比で 5 %程

度の増加となった。一方、単味飼料については、依然として競合激化が続いており、19%

程度の減少となった。

また、環境衛生資材については、新規商品の開発を行い販路拡大に向けた取組みを始め

ている。さらに、畜舎用の LED 照明(電球)等、高品質・低価格で会員生産者が望む商

品の開発に着手している。

(2) 販売事業

配合飼料の販売に絡めた鶏卵取扱量の増加が見られる。

また、会員の製造する食品加工品について販売量拡大の方策を検討している。

(3) 指導事業

指導事業としては、引き続き農家の経営改善、飼養技術向上のための情報提供を行っ

て行く。

2013JA 年鑑

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表 1 品目別取扱実績(単位:t,千円) 注:「平成 24 年度事業報告書」による。

分 類 数 量 金 額

配合飼料 委託配合 668,914 28,434,862

小 計 668,914 28,434,862

政府操作 大麦・小麦 6,270 189,872

飼料 小 計 6,270 189,872

一般単味 トウモロコシ

85,485 2,854,764 飼料 大豆粕

魚 粉

小 計 85,485 2,854,764

資 材 64,072

鶏 卵 2,113 299,116

鶏肉・加工製品 2,533

鶏ふん 126 1,061

合 計 762,908 31,846,280

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5.全国開拓農業協同組合連合会 全開連の平成 25 年 7 月末現在の会員数は正会員 31、准会員 2 の 33 会員である。その

構成は開拓農協連合会 4、県広域開拓農協 9、地域開拓農協 5、総合農協 8、その他 5 とな

っている。これら組織傘下の開拓農家は、ほとんどが畜産、酪農、果樹、そ菜などに特化

した大規模専業農家である。

(1)生産事業

全開連は、酪農、肉牛及び養豚事業に特化した全国連として、安心、安全な畜産物の生

産と酪農・畜産経営の安定に向けて、事業を推進している。

①肉牛事業

全開連の肉牛事業は、生産においては一貫経営を基本において推進している。そのた

め、スモールを主に良質な肥育用素畜の安定的確保に努め、新たな調達先の開発に積極

的に取り組んでいる。和牛生産では肥育生産に加え、繁殖(子牛生産)へと取り組みを

広げている。

『開拓牛』はつねに「安心・安全」をモットーに肥育事業を進めている。また、低コ

スト生産体系の開発と安価で優良な生産資材の供給等生産を意識した事業推進と指導強

化に取り組んでいる。

②養豚事業

養豚事業では、品質の斉一化のために優良種豚の安定供給に努めるとともに、会員と

協調して銘柄豚確立に向けた低廉良質な生産資材の供給、定期的な現地巡回、研修会等

を実施し情報提供と生産技術指導を行っている。

③酪農事業

酪農関係では、後継牛の円滑な導入と生乳生産量の増加を図るため、分割払い方式に

よる初任牛供給事業の取り扱いを推進している。また、酪農家における和牛繁殖育成事

業の取り組みを推進している。

(2)購買事業

購買事業での中心的な取り扱い品目は配合飼料、乾牧草・稲わら等の粗飼料、肥育用素

畜等の家畜である。(表 1)

粗飼料については、TMR飼料原料を中心に取り組みを推進している。また、補助事業

を活用して、国産稲わらの取り扱いを拡大するとともに飼料用稲WCSの取り扱いを推進

している。

家畜では、肉牛事業の基盤となる肥育用素畜、酪農事業では初任牛、養豚事業では種豚

の取り扱いを推進している。

(3)販売事業

販売事業では、生協、量販店など消費者に近づいた販売体制の促進と産地ブランド化に

よる有利販売体制を強化している。国産食肉ブランド化対策事業を活用して、地域の特性

を活かしたブランドの浸透、定着化を図るため各種展示会に積極的に参加し、牛肉の消費

喚起と新規販売先の獲得に努めている。また、和牛や肉専用種等も地域ブランド確立を目

指した取り組みにより、新たな販路確保に努めている。

開拓豚については、地域ブランド肉豚の消費を拡大するため、消費者に対するアピール

を行っている。

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協同会社への生乳の供給や農産物の販売に、会員と協力して取り組んでいる。

(4)研究開発・指導事業

研究開発については、畜産技術センター、岩手畜産センター及び九州畜産センターにお

いて各種試験を実施し、その成果を製品の開発や生産現場での指導に役立てている。飼料

用稲 WCS 給与試験、交雑種去勢牛の血中ビタミン A 濃度追加試験、マイクロセルロース

添加給与試験などを行い、結果を情報誌に掲載するとともに、会員を参集した技術研修会

等で報告している。また、飼料用米給与試験、乳用種低コスト配合飼料開発試験を開始し

ている。

生産指導については、海外悪性伝染病の侵入に備えた農場防疫体制の強化、および生産

性向上を目的として生産技術指導に取り組んでいる。また、専任の担当者を適切に配置し

経営改善指導に努めており、支所、事業所では各種研修会を開催し生産技術の向上を図っ

ている。

(5)組織整備活動

経営の健全化に努めている会員に対して、関係機関と連携して協力と支援を行っている。

また、金融情勢が大きく変化する中、融資機関と会員・組合員への事業資金の円滑な融資

に向け取り組みを行っている。

一方、農協における労務管理の向上に資するため、総務責任者による研修会を開催して

いる。

(6)農政活動

農政活動では、全日本開拓者連盟及び(公社)全国開拓振興協会と共に開拓中央 3 団体

として、生産資材高騰で酪農畜産経営が厳しさを増す中、酪農・肉牛等政策要望打合せ会

議、畜産酪農の振興に関する意見交換会を開催し、政策への反映を求め要請活動を行う他、

他団体とも協調して TPP への参加反対運動を展開し、畜産酪農の基盤が損なわれることの

無いように政府へ関連要請を行った。

また、放射能汚染地域における粗飼料の安定確保対策、並びに汚染牧草や堆肥の最終処

分の為の支援について、全日本開拓者連盟と共に要請を行った。

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表 1 全開連の購買・販売取扱実績

(平成 24 年 8 月~平成 25 年 7 月)

(単位: t, 頭, 百万円)

区 分 取扱数量 取扱金額

配 合 飼 料 204,990 11,385

単味・粗飼料 21,809 885

( 飼 料 計 ) 226,800 12,270

肥 料 4,508 241

家 畜 5,668 1,007

資 材 - 94

計 - 13,614

開拓牛等肉牛 49,809 24,256

部 分 肉 2,506 3,281

開 拓 豚 40,222 1,501

素 牛 ・ 素 豚 7,818 1,691

生 乳 7,612 860

農 産 - 169

計 - 31,760

合 計 - 45,374

(注)全開連資料による。

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6.日本文化厚生農業協同組合連合会

(1)組織の概要

文化連は、昭和 23 年 9 月 23 日に創立され、会員は、各県の厚生連と単位農協の直接加

入によって主に構成されている。平成 25 年 3 月末の会員は正会員 85、准会員 2 ある。

(表 1 参照)

(表 1)文化連の会員構成(平成 25 年 3 月 31 日現在)

正会員 単位農協 62

連合会

(うち厚生連)

23

(21)

准会員 2

計 87

(2)事業の概要

文化連の主な事業として、共同購買を通じた厚生連病院に対する医薬品、医療資材、医

療機器の供給、単位農協に対する食品、保健福祉資材の斡旋・供給を行なう。また会員に

対する教育・研修ならびに機関誌発行などを行っている。

①医薬品事業部門

医薬品事業では、会員厚生連と協同した医薬品の購買事業を実施している。現在、東

北・関東・信越地区、中国四国地区の 9 厚生連 40 病院による大手製薬メーカーを対象と

した共同購入を推進し、廉価購入に取り組んでいる。

さらに、厚生連薬剤師が参画した「厚生連薬剤選択委員会」を設置し、廉価購入と合

わせた医薬品の採用基準策定や推奨品目選定、適正使用に取り組んでいる。

後発医薬品の使用調査や臨床検査用試薬についても、会員と協同した取り組みを実施

している。

②医療材料事業部門

医療材料事業では、医療材料全国共同購入委員会に 16 厚生連 70 病院が参加し、会員

厚生連と協同した医療材料の購買事業を実施している。同委員会では、廉価な同等品へ

の切り替えによる経済効果を含めた廉価購入を進めている。さらに、臨床工学技士が参

画した「全国共同購入委員会臨床工学部会」を設置し、適正使用と廉価購入を推進する

ことにより、病院経営の改善に取り組んでいる。

また県単位の共同購入だけでなく、各地域ブロック(関東・東海・中国四国)での共

同購入や、健康管理厚生連の要望に応えた医療材料の供給など会員との協同活動を充実

させている。

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③医療器械事業部門

医療器械事業では、CT や MRI など高額医療機器の保守メンテナンス料金の適正化

対策に取組んでいる。17 厚生連 53 病院の参加のもと、厚生連の代表委員による「厚生

連保守問題ワーキングチーム」を設置している。故障状況データを分析・比較すること

により、大手医療機器メーカーに対し保守費用の削減と品質改善を要求してきた。また、

より良い機器の廉価購入から保守メンテナンスにわたる運用効率(ライフサイクルコス

トの低減)を踏まえた購入・管理についての取り組みも強化している。さらに、電子カ

ルテ、遠隔診断等 IT 化に対応した医療機器システム(PACS)や病院新築移転について

も、総合的支援を実施している。

④病院システム支援部門

DPC 病院の拡大のもと、診断内容の比較・分析が可能となり、そのためには医療材

料のマスター情報が重要となっている。現在、医療材料のマスター情報(約 25 万件)に

ついて、保険請求関連を中心としたマスター情報のメンテナンス業務に取り組んでいる。

このことで、厚生連間での統一した比較・分析が可能となり、診療内容に対して、廉

価で質的に変更可能な商品の選択を進めている。また、病院の医療材料の管理・運営、

さらには各種データの提示が可能となる医療材料管理システム(SPD)の更新・導入を

推進している。

⑤DPC・ベンチマーク対策支援部門

DPC 診療報酬請求データおよび共同購入データを比較分析する取り組みを推進する

ため、「DPC 対策研究会」や「厚生連看護部 DPC 研修会」の開催、内部システム等の整

備を実施している。

⑥治験ネットワーク事業部門

治験を通じた医療の質の向上や病院経営に寄与するために、「厚生連病院治験ネットワ

ーク」を 10 厚生連 20 病院の参加により設立した。治験コーディネーター業務や治験事

務局業務、研修会などを実施している。

また厚生連共同治験審査委員会を設置し、受託案件の拡大、案件の集中的・効率的な

審査を進めている。

⑦生活・保健・介護資材事業部門

健康と農業を守る安心・安全な食品の共同購入(新予約共同購入運動)や介護資材や

福祉設備の供給を推進している。食、医療・福祉、健康づくりをテーマとした研修会へ

の講師派遣や「農協生活活動活性化研究会」を開催し、多くの生活指導員や女性理事、

農協女性部リーダーがともに学び合う場としている。

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⑧文化・研修・指導事業部門

「厚生連医療経営を考える研究会」、「厚生連病院と単協をつなぐ医療・福祉研究会」

など会員厚生連・単協の経営改善と業務の高度化を目的とした教育・研修や、「薬剤師研

修会」「薬局管理者研修会」「院内感染予防対策研修会」などの専門職の研修、さらには

医薬品・医療材料・医療機器に関した研修会や対策会などを時々の情勢に見合った内容

として計画的に実施している。

また機関誌『文化連情報』(月刊)、『くらしと健康』(季刊)を発行し、厚生連・単協

経営に役立つ的確な情報提供に努めている。

平成 24 年度供給実績(単位:千円)

購買品供給高

医 薬 品 31,375,175

医 療 材 料 33,254,101

医 療 器 械 4,102,706

単 協 資 材 625,166

そ の 他 供 給 高 159,836

合 計 69,516,984