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- 127 - 1-1-4 短期予測 (1) 予測事項 二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の 1 時間値の最高値 (2) 予測対象時期 予測対象時期は、建設機械からの大気汚染物質排出量が最大となる時期(着工後 12 ヶ月目)における、建設機械稼働時間帯の 1 時間とした。(予測時期の検討は、 資料3-2(資料編 p39)参照) (3) 予測場所 予測範囲は、長期予測と同じとした。 (4) 予測方法 建設機械の稼動による大気汚染の短期予測(1時間値)は、大気拡散式を用いて、 図 2.1-9 に示す手順で行った。 図 2.1-9 建設機械の稼働による大気汚染予測手順(短期予測) 気象条件の設定 予測地域及び 予測地点設定 施工範囲の設定 工事計画 ・稼 ・稼働時間、台数 排出源高さの風速の設定 (1.0m/s) 排出源位置の設定 ・煙 源 位 置 ・排出源高さ 拡散幅等の設定 単位時間当たり 排出量の計算 気象条件の設定(想定条件) ・年間主風向NW ・年間最多大気安定度D ・風速1.0m/s 拡散式による濃度計算 ・有風時:プルーム式 (風下側) 1時間値の窒素酸化物、 浮遊粒子状物質濃度の算出 バックグラウンド濃度 1時間値の二酸化窒素、 浮遊粒子状物質濃度 機械別排出量算出 ・燃料使用量 ・機 窒素酸化物を二酸化窒素へ変換する式 NOx変換式

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1-1-4 短期予測

(1) 予測事項

二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の 1 時間値の最高値

(2) 予測対象時期

予測対象時期は、建設機械からの大気汚染物質排出量が最大となる時期(着工後

12 ヶ月目)における、建設機械稼働時間帯の 1 時間とした。(予測時期の検討は、

資料3-2(資料編 p39)参照)

(3) 予測場所

予測範囲は、長期予測と同じとした。

(4) 予測方法

建設機械の稼動による大気汚染の短期予測(1 時間値)は、大気拡散式を用いて、

図 2.1-9 に示す手順で行った。

図 2.1-9 建設機械の稼働による大気汚染予測手順(短期予測)

気象条件の設定予測地域及び予測地点設定

施工範囲の設定工事計画

・稼 働 日 数・稼働時間、台数

排出源高さの風速の設定(1.0m/s)

排出源位置の設定・煙 源 位 置・排出源高さ

拡散幅等の設定単位時間当たり排出量の計算

 気象条件の設定(想定条件)  ・年間主風向NW  ・年間最多大気安定度D  ・風速1.0m/s

拡散式による濃度計算・有風時:プルーム式

(風下側)

 1時間値の窒素酸化物、 浮遊粒子状物質濃度の算出

バックグラウンド濃度

 1時間値の二酸化窒素、 浮遊粒子状物質濃度

機械別排出量算出・燃料使用量・機 関 出 力

窒素酸化物を二酸化窒素へ変換する式 NOx変換式

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① 予測手法

予測式は以下に示すプルーム式によった。

1 Qp y2

C(x,y,z)= 2π

・ σy・σz・u

・ exp(- 2・σy

2 )

(z-He)2 (z+He)2 ・[exp{-

2σz2

}+exp{- 2σz

2 }]

C(x,y,z) : 計算点(x,y,z)における濃度

x : 風向に沿った風下距離(m)

y : x 軸に直角な水平距離(m)

z : x 軸に直角な鉛直距離(m)

Qp : 点煙源強度(m3N/s)

u : 風速(m/s)

He : 有効煙突高(m)

σy : y 方向拡散パラメータ

(図 2.1-10、表 2.1-16 参照)

σz : z 方向拡散パラメータ(前掲図 2.1-6、表 2.1-6(p114)

参照)

なお、拡散幅σy は、表 2.1-16 に示す近似式を用い、以下に示す時間希釈率の補

正を行った。

σy=σyp(T/Tp)r

σy :評価時間 T に対する値

σyp :表 2.1-16 の近似関数による値

T :短期予測の評価時間(T=60 分)

Tp :表 2.1-16 の評価時間(Tp=3 分)

r :べき指数(r=0.25)

図 2.1-10 風下距離とσy の関係

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表 2.1-16 パスキル・ギフォード図の近似関数σy

σyp(x)=γy・xα y

安定度 αy γy 風下距離x(m)

A 0.901 0.851

0.426 0.602

0~1,000 1,000~

B 0.914 0.865

0.282 0.396

0~1,000 1,000~

C 0.924 0.885

0.1772 0.232

0~1,000 1,000~

D 0.929 0.889

0.1107 0.1467

0~1,000 1,000~

E 0.921 0.897

0.0864 0.1019

0~1,000 1,000~

F 0.929 0.889

0.0554 0.0733

0~1,000 1,000~

G 0.921 0.896

0.0380 0.0452

0~1,000 1,000~

出典)「窒素酸化物総量規制マニュアル[新版]」 (公害研究対策センター、平成 12 年)

② 予測条件

ア 気象条件の設定

気象条件の設定は、表 2.1-17 に示すとおりとした。

表 2.1-17 短期予測の気象条件

項 目 気象条件

風 向 年間主風向として NW

風 速 風下側で高濃度になる条件として 1.0m/s

大気安定度 D:昼間の最多頻度

イ 排出源条件の設定

(ア) 排出源(煙源)の配置

排出源(煙源)の配置は、図 2.1-11 に示すとおり工事開始後 12 ヶ月目の建設機

械の配置とした。

本事業においては、事前配慮に基づき、工事期間中を通して高さ 3mの仮囲いを

設置するが、予測対象時期である着工後 12 ヶ月目は、仮囲い高さを 5mとすること

から、排出源高さは 6mとした。

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図 2.1-11 短期予測時の煙源配置図

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(イ) 排出量の算定

窒素酸化物及び浮遊粒子状物質の排出量の算定は、長期予測と同様の手法により、

建設機械の定格出力、稼働率、排出係数原単位、燃料消費量を基に 1 時間あたりの

排出量を算出した。表 2.1-18 に排出ガス諸元を示した。

表 2.1-18 排出ガス諸元(短期予測)

建設機械種類

規格

定格

出力

(kw)

稼働台数

(台) 稼働率

燃 料

消費量

(L/h・台)

窒 素

酸化物

(m3/時)

浮遊粒子

状 物 質

(kg/時)

ラフタークレーン 50t 254 2 0.55 26.16 0.29 0.02

クローラクレーン 80t 170 8 0.57 15.13 0.69 0.04

泥水プラント 200KVA 75 2 0.69 67.50 0.93 0.07

バックホウ 0.4m3 64 4 0.53 11.20 0.24 0.02

コンクリートミキサー車 10t 213 2 0.50 12.57 0.13 0.01

ダンプトラック 10t 246 2 0.59 12.30 0.15 0.01

排 出 量 合 計 2.43 0.17

注)稼働率は、「平成 20 年度版 建設機械損料表」(社団法人 日本建設機械化協会、平成 20 年)

の年間標準運転日数及び使用日数から算出した。

③ 予測対象時間帯

予測時間帯は、建設機械の稼働時間帯である、8~17 時(昼休時の 12~13 時を除

く。)の 1 時間とした。

(5) 予測結果

二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の短期予測結果(敷地境界付近の最高値)は、表

2.1-19 並びに図 2.1-12 に示すとおりである。

これによると、最高濃度出現地点における 1 時間値の最高値は、二酸化窒素は

0.164ppm、浮遊粒子状物質は 0.083mg/m3 と予測される。

表 2.1-19 建設機械の稼働による1時間値の最高値(短期予測)

項 目 寄与濃度バックグラウンド濃度

1時間値の 最高値

二酸化窒素(ppm) 0.140 0.024 0.164 浮遊粒子状物質(mg/m3 ) 0.051 0.032 0.083

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図 2.1-12(1) 建設機械の稼働による二酸化窒素の予測結果(短期予測)

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図 2.1-12(2) 建設機械の稼働による浮遊粒子状物質の予測結果(短期予測)

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1-1-5 環境の保全のための措置

予測の前提とした環境保全措置は以下のとおりである。

・仮囲いを設置する。

・低排出型の建設機械を採用する。

本事業の実施にあたっては、さらに以下に示す環境保全措置を講ずることにより、

周辺の環境に及ぼす影響について、低減に努める。

・建設機械の機種の選定に際しては、施工段階において、導入可能な最新の低排

出型のものを導入する。

・工事の際は作業区域を十分考慮し、できる限り使用機械を敷地中央寄りに配置

する。

・各機械が同時に稼働する時間をできる限り少なくするように、施工計画を立案

する。

・ダンプトラックなど運搬車両のアイドリングについて、作業時以外は停止する

よう努める。

・建設機械の使用に際しては、負荷を小さくするよう心掛けるとともに、十分な

点検・整備を適宜実施する。

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1-1-6 評 価

予測結果によると、予測の前提とした措置を講ずることにより、建設機械の稼働

による年平均値は、二酸化窒素が 0.031ppm、浮遊粒子状物質が 0.035mg/m3 である。

また、建設機械の稼働による 1 時間値の最高値は、二酸化窒素が 0.164ppm、浮遊粒

子状物質が 0.083mg/m3 である。以上のことから、周辺の環境に及ぼす影響は低減さ

れるものと判断する。

大気汚染に係る環境基準及び名古屋市の大気汚染に係る環境目標値等との対比を

行った結果を以下に示す。

[長期的評価]

建設機械の稼働による二酸化窒素の日平均値の年間 98%値は、環境基準の値を下

回るものの、名古屋市の大気汚染に係る環境目標値を上回る。

浮遊粒子状物質の日平均値の 2%除外値は、環境基準の値及び環境目標値を下回

る。

[短期的評価]

建設機械の稼働による二酸化窒素の 1 時間値の最高値については、環境基準や環

境目標値の設定はないが、中央公害対策審議会の専門委員会による指針値注)である、

「短期暴露については 1 時間暴露として 0.1~0.2ppm」が示されており、この範囲

内にある。

浮遊粒子状物質の 1 時間値の最高値は、環境基準の値及び環境目標値を下回る。

本事業の実施にあたっては、建設機械の稼働による寄与をできるだけ小さくする

ために、施工段階において導入可能な、最新の低排出型建設機械を使用する等の環

境保全措置を講ずることにより、周辺の環境に及ぼす影響のさらなる低減に努める。

注)「中央公害対策審議会の専門委員会による指針値」:中央公害対策審議会大気部会に設置された

「二酸化窒素に係る判定条件等専門委員会」により、昭和53年3月20日付けの報告書にて提案され

た指針値。

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1-2 解体工事による粉じん

1-2-1 概 要

既存施設の解体工事による粉じんの飛散について検討を行った。

1-2-2 調 査

既存資料により、現況の把握を行った。

(1) 調査事項

気象(風向・風速)の状況

(2) 調査方法

風向・風速は、中村保健所における測定結果の資料収集によった。

(3) 調査結果

調査結果は、1-1「建設機械の稼働による大気汚染」に示すとおりである。(1-1-2

「調査」(p107)参照)

1-2-3 予 測

(1) 予測事項

既存施設の解体工事による粉じん

(2) 予測対象時期

既存施設の解体工事時

(3) 予測場所

事業予定地周辺

(4) 予測方法

粉じんは、乾燥した強風時に飛散しやすいことから、表 2.1-20 に示すビューフォ

ート風力階級の風力階級 4「砂ぼこりが立ち、紙片が舞い上がる。」以上の風速(風

速 5.5m/s 以上)の出現頻度を求めることにより、粉じんの飛散について予測した。

既存施設の解体工事は、最高 20m程度の高さで行うため、予測対象高さを地上 20

m、10m、0mとして、風力階級 4 以上の出現頻度を求めた。

なお、ビューフォート風力階級を用いる際には、予測対象高さより 10m高い位置

における風速が必要なため、地上 20mについては地上 30mの、地上 10mについて

は地上 20mの、地上 0mについては地上 10mの風速を用いて出現頻度を整理した。

予測条件である気象の状況は、中村保健所での平成 17 年度測定結果について整理

した。中村保健所における風速は、地上 26mに設置された風速計の値であり、得ら

れた値を各予測対象高さ+10mの高さに補正した。

風速の補正に用いた式は、1.1-3 (4)② ア「気象条件の設定」(p116)に示すとお

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りである。(べき指数は、表 2.1-21 に示す大都市の郊外周辺、市街地の 0.250 を用

いた。)

表 2.1-20 ビューフォートの風力階級

風力

階級

風 速 注)

(m/s) 説 明 ( 陸 上 )

0 0.0 から 0.3 未満 静穏。煙はまっすぐに昇る。

1 0.3 以上 1.6 未満 風向きは、煙がなびくのでわかるが、風見には感じない。

2 1.6 以上 3.4 未満 顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動き出す。

3 3.4 以上 5.5 未満 木の葉や細い小枝がたえず動く。軽い旗が開く。

4 5.5 以上 8.0 未満 砂ぼこりが立ち、紙片が舞い上がる。小枝が動く。

5 8.0 以上 10.8 未満 葉のあるかん木がゆれはじめる。池や沼の水面に波がしらが立つ。

6 10.8 以上 13.9 未満 大枝が動く。電線が鳴る。かさは、さしにくい。

7 13.9 以上 17.2 未満 樹木全体がゆれる。風に向かって歩きにくい。

8 17.2 以上 20.8 未満 小枝が折れる。風に向かっては歩けない。

9 20.8 以上 24.5 未満 人家にわずかの損害がおこる。(煙突が倒れ、かわらがはがれる。)

注)開けた平らな地面から 10mの高さにおける相当風速

出典)「地上気象観測指針」(気象庁、2002 年)より作成

表 2.1-21 べき指数

地表面の状況 α

平野、草原 0.143

森林、高い建物のない市街地、住宅地 0.200

大都市の郊外周辺、市街地 0.250

大都市の中心付近 0.333

出典)「新・ビル風の知識」(風工学研究所、1989 年)

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(5) 予測結果

気象の状況を整理して、高さ別に風力階級 4 以上の出現頻度を求めた。出現頻度

の状況は表 2.1-22、風力階級 4 以上の場合における年間の風配図は図 2.1-13 に示

すとおりである。(高さ別、風速階級別出現頻度は、資料3-6(資料編 p44)に示

す。)

粉じんが飛散する条件である風力階級 4 以上の年間の出現頻度は、地上 20mが

6.6%、10mが 4.8%、0mが 2.0%であり、北西の風の時に多く発生すると予測され

る。また、月別の出現頻度は 1~5 月に多く、冬季から春季に多く発生すると予測さ

れる。

表 2.1-22 高さ別、風力階級 4 以上の出現頻度

単位:%

平 成 17 年 度 予測対

象高さ 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 年間

20 m 9.2 10.2 1.1 5.5 4.4 7.2 2.2 2.8 3.5 9.0 9.0 15.7 6.6

10 m 6.5 7.1 1.0 4.8 2.6 5.7 1.2 1.4 2.6 6.0 6.4 12.5 4.8

0 m 3.8 2.7 0.7 3.0 0.9 2.5 0.3 0.4 0.5 1.7 2.8 5.2 2.0

注)表中の値は、地上からの高さに 10mを加算した高さにおける出現頻度を示す。

図 2.1-13 風力階級 4 以上による年間風配図注)(地上 20m)

注)地上 20mの高さに 10mを加算した高さにおける風配図である。

単位:%

-100

102030405060

N

NNE

NE

ENE

E

ESE

SE

SSE

S

SSW

SW

WSW

W

WNW

NW

NNW

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1-2-4 環境の保全のための措置

本事業の実施にあたっては、以下に示す環境保全措置を講ずることにより、粉じ

んによる影響について低減に努める。

・解体工事には防音パネル及び防じんシートを設置し、粉じんの飛散の防止に努

める。

・防音パネルの高さは、既存施設の高さを上回る高さ(最高 22m)とする。

・解体工事箇所の散水及び清掃を適宜実施し、粉じん発生量の低減に努める。

・気象情報などに注意を払い、粉じんの飛散が考えられるような強風時には、集

積された解体ガラをシートで覆うなどして、粉じん発生量の低減に努める。

・運搬作業では、粉じんが飛散しないように、工事用運搬車両に飛散防止シート

を装着するなどして、粉じん発生量の低減に努める。

・工事用運搬車両のタイヤに付着した泥・土の飛散を防止するために、出入口に

水洗いを行う洗車施設を設置し、粉じん発生量の低減に努める。

・周辺の住民からの苦情に対する連絡の窓口を設け、適切に対応する。

1-2-5 評 価

予測結果によると、粉じんの飛散が考えられる気象条件は、地上 20mにおいて年

間 6.6%の出現頻度である。

本事業の実施にあたり、気象情報などに注意を払い、粉じん飛散が考えられるよ

うな強風時には、集積された解体ガラをシートで覆う等の環境保全措置を講ずるこ

とにより、粉じんによる影響は低減されるものと判断する。

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1-3 解体工事によるアスベスト

1-3-1 概 要

既存施設においては、耐火被覆等のためにアスベストが使用されている可能性が

あるため、解体工事によるアスベストの飛散について検討を行った。

1-3-2 調 査

聞き取り調査をもとに、既存施設で使用の可能性が考えられるアスベストの量を

推計した。

(1) 調査事項

アスベストの使用状況及び存在量

(2) 調査方法

聞き取り調査によった。

(3) 調査結果

既存施設においては、吹付ロックウールが約 70m2、成形板が約 3,200m2 使用さ

れていた。また、アスベスト含有率の規定値(0.1%)を上回る施設が存在した。

1-3-3 予 測

(1) 予測事項

アスベストの飛散

(2) 予測対象時期

既存施設の解体工事時

(3) 予測場所

事業予定地内

(4) 予測方法

① 予測手法

工事計画からの推定によった。

② 予測条件

使用されているアスベストは、「大気汚染防止法」(昭和 43 年法律第 97 号)に基

づき適切に処理・処分する。アスベストが使用されてる建築物及び工作物の解体作

業は、「建築物解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル 2007」(環境省、平成 19

年)に示された手順に基づき行う。作業手順のフローは、次頁に示すとおりである。

なお、発生したアスベストを含む廃棄物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法

律」(昭和 45 年法律第 137 号)に基づき特別管理型産業廃棄物として適正に処理する 。

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ア 吹付ロックウールの処理手順

吹付ロックウールの処理手順は以下に示すとおりである。

出典)環境省ホームページより

処理作業にあたっては、事業予定地外部へのアスベスト飛散がないことを確認す

るため、処理作業前(作業場の内及び外)、作業中(作業場の内及び外、負圧・集じ

ん装置の排出口、対象建物の周囲)及び作業後(作業場内及び外)に、アスベスト

濃度の測定を行う。

届出

提示、作業場の隔離

集じん・排気装置の設置

特定建築材の除去

特定建設材の湿潤化

作業場内の清掃

隔離シートの撤去

・特定粉じん排出等作業実施届出

・掲示板の設置

・作業場の隔離

・前室の設置

・負圧に保ち、HEPA フィルタを付けた

集じん・排気装置を使用して排気

・除去する特定建築材料を薬液等によ

り湿潤化

・除去後、特定粉じんの飛散を抑制す

るための薬液等を除去部分に散布

・作業場内の特定粉じんを除いた後、

十分な換気をし、隔離を解く。

届出

前処理

除去作業

事後処理

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- 142 -

イ 成形板の処理手順

成形板の処理手順は以下に示すとおりである。

注)1:粉じんの飛散が多量となる恐れが

ある場合に適用する。

2:除去は、原則として手ばらしとする。

出典)環境省ホームページより

(5) 予測結果

予測条件に示した措置を確実に実行することにより、アスベストの大気への飛散

はないと考えられる。

1-3-4 評 価

予測結果によると、アスベストの大気への飛散はないと考えられることから、ア

スベストの影響は回避されるものと判断する。

・「解体工事等の作業に関するお知ら

せ」掲示

・作業場の外周部飛散養生

・作業場のアスベスト含有成形板の表

・飛散養生(開口部等)

・清掃用具の設置

・室内の機械解体により粉じんが多量

に出る場合には、HEPA フィルタ付集

じん・排気装置を使用して排気する。

・除去するアスベスト含有成形板を散

水等により湿潤化する。やむを得ず

湿潤化できない場合は HEPAフィルタ

付局所排気装置で対応措置をとる。

・作業場内のアスベスト粉じんを清掃

後、養生を解体する。

前処理

除去作業

事後処理

解体施工部分の養生

集じん・排気装置の設置注 1)

アスベスト含有成形板の湿潤化

アスベスト含有成形板の除去注 2)

解体施工部分の清掃

養生シートの撤去

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1-4 工事関係車両の走行による大気汚染

1-4-1 概 要

新建築物の建設時における工事関係車両の増加に起因する二酸化窒素及び浮遊粒

子状物質について検討を行った。なお、建設機械の稼働と工事関係車両の走行によ

る複合影響予測については、資料3-14(資料編 p62)に示すとおりである。

1-4-2 調 査

既存資料により、現況の把握を行った。

(1) 調査事項

① 気象(風向・風速)の状況

② 大気質(二酸化窒素)の状況

③ 大気質(浮遊粒子状物質)の状況

(2) 調査方法

① 気象(風向・風速)の状況

風向・風速は、中村保健所における測定結果の資料収集によった。

② 大気質(二酸化窒素)の状況

二酸化窒素は、中村保健所における測定結果の資料収集によった。

③ 大気質(浮遊粒子状物質)の状況

浮遊粒子状物質は、中村保健所における測定結果の資料収集によった。

(3) 調査結果

1-1「建設機械の稼働による大気汚染」に示すとおりである。(1-1-2「調査」(p107)

参照)

1-4-3 長期予測

(1) 予測事項

・二酸化窒素の年平均値及び日平均値の年間 98%値

・浮遊粒子状物質の年平均値及び日平均値の 2%除外値

(2) 予測対象時期

工事計画の概要で示した工事関係車両の運行計画(前掲図 1.3-8(p41)参照)よ

り、工事関係車両からの大気汚染物質排出量が最大となる時期(工事着工後 13 ヶ月

目)とし、これが 1 年間続くものとした。(予測時期の検討は、資料3-7(資料編

p45)参照)

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(3) 予測場所

工事関係車両の運行ルート及び運行割合は、以下に示す事前配慮に基づき、関係機関と

の協議の上、図 2.1-14 に示すとおり設定した。予測場所は、工事関係車両の運行ルート

に該当する№1~7 の 7 断面とした。

・短時間に工事関係車両が集中しないように、適切な配車計画を行うとともに、

特定の道路に工事関係車両が集中しないように運行ルートを分散させる。