指定管理の進む 公民館の自立 - tome-svr.jpwing-k/pdf/h22_syakai.pdf · 平成22年度...

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Page 1: 指定管理の進む 公民館の自立 - tome-svr.jpwing-k/pdf/h22_syakai.pdf · 平成22年度 指定管理の進む 公民館の自立 に向けた支援に関する一考察

平成22年度

指定管理の進む公民館の自立

に向けた支援に関する一考察

社会教育研究部

登米市教育研究所

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社会教育研究部

【研究主題】

「指定管理の進む公民館の自立に向けた支援に関する一考察」

~米山町域における公民館指定管理の現状分析を通して~

も く じ 1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 研究のねらい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 3 研究の過程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 4 研究の方法と内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

5 研究の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

1)登米市の公民館指定管理者制度導入の基本方針・計画について・・・3

2)登米市米山地区3公民館の現状について・・・・・・・・・・・・・7

6 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

1)公民館の自立に向けた教育事務所の支援体制の整備・・・・・・・・14

2)公民館の自立に向けた社会教育主事の役割・・・・・・・・・・・・15

3)おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

【 研 究 員 】 所 属 職 名 氏 名

迫 教 育 事 務 所 主 幹 須 藤 幸 喜 豊里教育事務所 副所長 三 浦 京 子 米山教育事務所 主 査 佐々木 誠 逸 石越教育事務所 主 幹 千 葉 秀 樹 生 涯 学 習 課 主 事 佐 藤 祐 一 【指導・助言】 東和中学校 校長 吉 沢 真 介

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社-1

1 はじめに

平成21年12月に登米市教育委員会において,「公民館指定管理者制度導入の基本方

針」が示され,基本方針に基づき平成22年4月から米山町域3公民館(米山・吉田・

中津山)に指定管理者制度が導入された。更に,市内他地区での平成23年4月からの

指定管理者制度導入に向けた,組織の体制整備が図られているところである。

公民館の目的は,「市町村その他一定区域内の住民のために,実生活に即する教育,

学術及び文化に関する各種の事業を行い,もって住民の教養の向上,健康の増進,情操

の純化を図り,生活文化の振興,社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」と社

会教育法第20条で定めている。つまり,公民館は社会教育施設であり,社会教育を実

施する機能を保有していなければならないということである。

これまでの登米市の公民館は,住民の自主的な学習活動の場としての配慮はされてき

たが,行政により社会教育事業を進めてきた傾向があった。これからは行政と連携し,

公民館指定管理者が自らの発想で社会教育事業を実施していくこととなり,地域の特性

を生かした住民のニーズに即した事業展開が期待できる。

本研究では,登米市の指定管理者制度導入に関する基本方針と,既に指定管理者制度

を導入した米山町域の現状を分析することで,公民館の社会教育機能を維持・継続させ

るための教育事務所の役割や,配置される社会教育主事が果たさなければならない役割

を明確にし,指定管理の進む公民館の自立に向けた支援について考えていくものである。

2 研究のねらい

3 研究の過程

5月12日(水)教育研究部会総会及び第1回社会教育研究部会

平成22年度の研究を進めるにあたって,総会の中で運営計画が示された。その後,

研究部ごとに打合せを行い,主任と副主任を決定した。引き続き研究テーマについて検

討した。

指定管理の進む公民館において,社会教育機能を維持・継続させるために,教育事

務所や配置される社会教育主事の役割を明らかにする。

【研究主題】

指定管理の進む公民館の自立に向けた支援に関する一考察

~米山町域における公民館指定管理の現状分析を通して~

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社-2

6月 3日(木)第2回社会教育研究部会 研究テーマの検討

研究テーマについて検討し,以下のように設定した。

「公民館の自立における支援プロジェクト」

10月14日(木)第3回社会教育研究部会 研究の流れの確認

指定管理における現状把握の必要性について検討した。

登米市職員の中で,社会教育主事の資格を有している方を対象としたアンケートの実

施について検討をした。

10月20日(水)教育研究部代表者会議

平成22年度に作成する研究記録について,各教育研究部の進捗状況を確認した。更

に,今後の研究の進め方,研究資料のまとめ方についての説明があった。

11月 4日(木)第4回社会教育研究部会 研究テーマに沿った内容の検討

前回の教育研究部代表者会議について報告した。

テーマの再確認を行い,「指定管理の進む公民館の自立に向けた支援に関する一考察」

と改定した。

11月22日(月)第5回社会教育研究部会 研究の骨格・内容の検討

今年度のまとめ方について検討を行った。研究の目的で何を伝えたいか,思いが読

み手に伝わるような内容であるべきではないかなど,述べるべき事項の確認を行った。

12月 6日(月)第6回社会教育研究部会 サブタイトルの検討

サブタイトルを検討し,厚みのある内容となるよう検討した。

12月20日(月)第7回社会教育研究部会 研究のまとめ

研究のねらいと考察との整合性について検討し,全体のまとめへの足がかりを作った。

1月17日(月)第8回社会教育研究部会 原稿の推敲について

原稿としてのページ割を含め,全体的な推敲を行った。

※研究部会は,すべて視聴覚センターで開催した。

4 研究の方法と内容

登米市の指定管理に関する施策及び米山町域の指定管理者制度導入の現状を把握・分

析することで,指定管理の進む公民館の自立に向けた支援について考察する。

1)登米市公民館指定管理者制度導入の基本方針・計画の把握・分析

2)先行して指定管理者制度が導入された米山町域の現状分析

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社-3

5 研究の概要

1)登米市の公民館指定管理者制度導入の基本方針・計画について

(1)公民館指定管理者制度導入の基本方針

平成21年12月に登米市教育委員会より示された「公民館指定管理者制度導入の

基本方針」は以下①~⑤の構成となっている。

①公民館自主管理,自主運営の必要性【資料1】

②指定管理者制度の導入

③指定管理者制度導入後の公民館【資料2】

④公民館事業の内容【資料3】

⑤公民館指定管理者支援体制イメージ図【資料4】

(2)考察資料

公民館指定管理者制度導入の基本方針より,本研究に関わりのある資料を抜粋して

掲載する。

【資料 1】公民館自主管理,自主運営の必要性

① 公民館自主管理,自主運営の必要性

A 地域の自立に向けて

地方分権一括法の施行により,これまでの国を中心とした中央集権から国と地方

の役割分担が明確化されました。それに伴って,地方公共団体は,従来の公共サー

ビスの提供だけでなく,行政が担っていた事業の民間への委任・委譲も視野に入れ

ながら,特色ある地域づくりなど,あらゆる面で住民の活動をサポートするという

新しい役割が求められています。

これは,行政と民間との関係が縦断的な構造から横断的な構造へ,すなわち行政

と民間とが対等な立場で地域経営に携わるという新たなパートナーシップに基づ

く関係へと移行していくことを意味します。

登米市総合計画の基本理念は「地域の自立」を掲げています。この理念を目指し

た地域社会を実現していくためには,地域の実情に応じ,公的分野をコミュニティ,

NPO,民間企業との間で適切に役割分担する仕組みを構築していく必要がありま

す。

従って,市民の皆様にも,従来のように公共サービスの提供を行政から受ける受

動的な立場だけでなく,地域の課題を行政と対等な立場で主体的に考え,コミュニ

ティ活動や地域の振興に関する事業にも積極的に取り組んでいただくことが必要

になります。

こうした市民の積極的な行政への参画により,多種多様な個性ある地域づくりが

生み出され,そのことが「協働のまちづくり」を促進するとともに,地方行財政の

効率化にもつながっていくことになります。

B 公民館の自主管理,自主運営の基本的な考え方

社会教育法は,その制度の特徴として住民の自主的な社会教育活動を尊重しつ

つ,行政の役割は主としてそれを奨励,支援(第5条)することにあるとしていま

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社-4

す。

特に,社会教育施設である公民館の運営については住民参加を基本としており,

行政は,地域の状況と住民の意思を十分に踏まえた社会教育を提供するにあたっ

て,住民が自主的に運営や事業に参加できる環境の整備が不可欠であるとしていま

す。

従って,本市においても市民の学習ニーズが多様化,高度化している今日,こう

した状況に的確に対応することが必要です。社会教育施設である公民館の,市民に

よる「公民館の自主管理,自主運営」を奨励し,地域の実情とニーズに即した管理

運営を図り,地域の自立を支援することによって,登米市総合計画の基本理念であ

る「地域の自立」を促進します。

C 各種計画との整合性

登米市総合計画におけるまちづくりの基本理念は,「市民との協働による登米市

の持続的な発展」を目指すとしており,施策の大綱では「豊かな心と個性を育むふ

れあいのまちづくり」を掲げています。地域で培われてきた文化・芸術,スポーツ

などを生涯にわたって学び,楽しむことにより,豊かな心と個性を育み,さらに活

動を通じて多様な交流の活発な展開を目指します。登米市総合計画基本計画の生涯

学習の推進は,指定管理者制度の活用を含め,市民ニーズに合った生涯学習機能の

整備・充実を図ることとしています。

また,登米市行財政改革大綱では, 「公共施設の管理運営の見直し」を図ると

ともに,「最適なサービスを展開する仕組みの改革」「時代の変化に対応した組織の

改革」「市民の力の発揮に向けた改革」「地域自治の確立に向けた改革」を改革の方

向性として示しています。さらに,登米市生涯学習推進計画では,生涯学習関連施

設の効果的な管理・運営として,市民,住民参加の施設整備や運営を掲げ,地域施

設(公民館)の指定管理者制度の導入を進めるとしています。

【資料2】指定管理者制度導入後の公民館

① 指定管理者制度導入後の公民館

A 公民館事業

公民館の事業は,(社会教育法第 22 条)公民館の設置及び運営に関する基準(社

会教育法第 23 条の 2)に基づき,下記のとおり行ないます。

a 地域の学習拠点とした講座の開設や講習会等を開催する。

b 家庭教育に関する学習機会及び学習情報の提供を行い,家庭教育の支援の充実

に努める。

c 奉仕活動・体験活動に関する学習機会及び学習情報の提供の充実に努める。

d 事業実施に際し,学校,家庭及び地域社会との連携の推進に努める。

e 地域の実情に応じ,地域住民の意向を適切に反映した事業の実施や施設の管理

に努める。

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社-5

B 職員の体制

指定管理者制度導入後の職員体制は,館長 1 人(非常勤)と事務員 2 人(常勤)

を基本として配置します。

C 支援体制(教育事務所の役割)

公民館の指定管理者制度の導入は,その目的を公民館の自主管理,自主運営と

していることから,各教育事務所と指定管理者の役割分担を明確にし,連携を強

化することが必要です。教育事務所は,所管の事務分掌(社会教育法第 5 条,登

米市教育委員会の組織等に関する規則第 9 条)を行い,町域事業の実施や各種事

業の奨励と指定管理者に対する組織の育成を担うことになります。また,各教育

事務所の設置位置は,各総合支所とします。

【資料3】公民館事業の内容

①基本事業

事 業 種 別 内 容

世 代 別 等 事 業 乳幼児,青少年,成人,高齢者,女性等各世代別を対象

とした学級・講座・講演

家 庭 教 育 事 業 地域の父母等を対象とする学級・講座・講演

親子の親睦や世代間交流を目的とした事業

今 日 的 課 題 学 習 事 業 政治・経済・環境・健康・福祉・情報・男女共同参画等社会

情勢の変化に伴う学級・講座・講演等

趣 味 的 講 座 芸術・文化・歴史・創作・料理等の講座

健康増進・スポーツ事業 ニュースポーツ講座,各種スポーツ大会

②地域特性事業

事 業 種 別 内 容

地 域 理 解 学 習 事 業 地区の文化・歴史・自然を学習する事業

発表会、文化祭、展示会

等 開 催 事 業

地区の各種団体,サークル活動や学級・講座の成果の発表

機会を提供する事業

そ の 他 事 業 地区の伝統文化や特色ある素材を生かした事業

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社-

【資料4

】 公民館指定管理者支援体制イメージ図

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社-7

(3)公民館指定管理者制度導入の基本方針から読み取れること

①公民館の自主管理,自主運営の必要性(【資料1】より)

登米市総合計画の基本理念である,「地域の自立」と「市民との協働による登米市の

持続的な発展」を実現するため,指定管理者制度を導入し,公民館の自主管理・自主

運営による地域の自立を支援するとしている。

②指定管理者制度導入後の公民館について(【資料2】より)

社会教育法第 22 条及び第 23 条の 2 に基づき,地域の学習拠点とした講座の開設,

家庭教育の支援の充実,奉仕・体験活動に関する学習機会や情報の提供,地域住民の

ニーズに合わせた事業の実施,学校・家庭・地域社会との連携の推進に努めることと

している。

また教育事務所の支援体制として,町域事業の実施や指定管理者に対する組織の育

成を担うこととしている。

③指定管理者制度導入後の公民館事業の内容について(【資料3】より)

これまでに取り組んできた事業を「基本事業」とし,伝統文化や市民活動,地域イ

ベントなど,指定管理者の創意工夫による取組を「地域特性事業」として分類してい

る。

④公民館指定管理者が,社会教育機能を維持・継続させながら自立していくための支

援体制について(【資料4】より)

A 教育委員会教育事務所(9箇所)による,各公民館への支援・指導体制が計画

されている。

B 各教育事務所には,社会教育主事を配置し,支援・指導をする計画となってい

る。

C 教育委員会(生涯学習課)の直接支援として,指定管理者が雇用する職員のた

めの研修会派遣が計画されている。

2)登米市米山地区3公民館の現状について

(1)米山地区3公民館の指定管理の概要

米山公民館 吉田公民館 中津山公民館

指 定

管 理 者

西野コミュニティ運営

協議会

吉田コミュニティ運営

協議会

中津山コミュニティ運

営協議会

代 表 者 会長 小林 秀一郎 会長 高橋 正司 会長 大立目 伸

指定期間 平成 22 年 4 月 1 日から

平成 27 年 3 月 31 日まで

平成 22 年 4 月 1 日から

平成 27 年 3 月 31 日まで

平成 22 年 4 月 1 日から

平成 27 年 3 月 31 日まで

職員構成 館長 1 名,事務員 2 名 館長 1 名,事務員 2 名 館長 1 名,事務員 2 名

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社-8

指定管理

者が行う

業 務

・施設の利用許可に関す

る業務

・施設の利用料金の徴収

に関する業務

・施設及び設備等の維持

管理に関する業務

・公民館事業に関する業

・地域特性事業に関する

業務

・農村の環境整備を組織

的に推進する事業に関

する業務

・施設の利用許可に関す

る業務

・施設の利用料金の徴収

に関する業務

・施設及び設備等の維持

管理に関する業務

・公民館事業に関する業

・地域特性事業に関する

業務

・施設の利用許可に関す

る業務

・施設の利用料金の徴収

に関する業務

・施設及び設備等の維持

管理に関する業務

・公民館事業に関する業

・地域特性事業に関する

業務

(2)平成22年度米山地区公民館の実施事業の概要

①高齢者教育

米山公民館 吉田公民館 中津山公民館

AED講習会 ミニボーリング大会 グラウンドゴルフ

パークゴルフ大会 グラウンドゴルフ 移動研修

移動研修 移動研修 望年会

3B健康体操 ノルディックウォーキング とっておきの学習会

とっておきの学習会 室内ゲートボール大会 講話

とっておきの学習会 ニュースポーツ大会

高齢者に向けた学習会は,各公民館で内容に

ばらつきはあるが,高齢者に即した事業内容と

なっている。

参加状況は他の事業よりも多く,主催者側と

しても多くのものが得られた。

半面,受身による学習傾向が続いており,自

主的活動とは言い難い。 ノルディックウォーキング

②家庭教育

米山公民館 吉田公民館 中津山公民館

講話による学習会 講話による学習会 講話による学習会

人形劇 人形劇 人形劇

親子でクッキング 親子でクッキング 親子でクッキング

親子でレクリエーション 親子でレクリエーション 親子でレクリエーション

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社-9

各公民館とも,概ね統一したメニューによ

り年間の計画がなされた。

親と子のコミュニケーション向上を図る

事業を展開した。

人形劇

③婦人教育

米山公民館 吉田公民館 中津山公民館

フラワーアレンジ教室 布草履作 水中ウォーキング

陶芸教室 パッチワーク パークゴルフ

ヨガ教室 ニュースポーツ体験 パッチワーク

移動研修 クッキング フラワーアレンジメント

とうほく蘭展見学 とうほく蘭展見学 とうほく蘭展見学

とっておきの学習会 とっておきの学習会 とっておきの学習会

上記の事業を実施した。地域の女性リーダー養成を主眼として実施しているが,物づ

くり・趣味的要素による,カルチャースクールとなってきている傾向にある。

パッチワーク フラワーアレンジ教室

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社-10

④青少年教育

マリンスポーツフェスティバル,ニュースポーツフェスティバル,長沼レガッタは米

山教育事務所とB&Gによる連携事業であり,3地区合同による取り組みとして実施し

た。他の事業については,各地区の特色を生かし実施した。

水辺の安全教室 海洋性スポーツ体験

林間学校(ドラム缶風呂) スキー教室の風景

米山公民館

(かかしっこ)

吉田公民館

(吉田自然体験塾)

中津山公民館

(ちびっこ大学)

映画鑑賞 映画鑑賞 水辺の安全教室

水辺の安全教室 水辺の安全教室 カヌー教室

カヌー教室 カヌー教室 料理教室

林間学校 林間学校 林間学校

マリンスポーツフェスティバル マリンスポーツフェスティバル マリンスポーツフェスティバル

長沼レガッタ 長沼レガッタ 長沼レガッタ

工作教室 料理教室 スケート教室

スケート教室 スケート教室 スキー教室

ニュースポーツフェスティバル ニュースポーツフェスティバル ボーリング大会

冬休み子供フェスティバル 冬休み子供フェスティバル 冬休み子供フェスティバル

スキー教室 スキー教室

料理教室 ミニボーリング大会

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⑤コミュニティ事業

各公民館のコミュニティ団体が主催する活動で,米岡地域(米山公民館)の盆まつり

など,地域の特色を生かした事業となるよう工夫して実施した。

ふれあい盆踊り大会 新婚さんお祝い会

ふるスポ

秋の歩け歩け大会 運動会

米山公民館 吉田公民館 中津山公民館

春の歩け歩け大会 春の歩け歩け大会 春の歩け歩け大会

盆まつり ふれあい盆踊り大会 グラウンドゴルフ大会

移動研修会 吉田地区運動会 中津山地区運動会

西野地区運動会 秋の歩け歩け大会 パークゴルフ大会

秋の歩け歩け大会 移動研修会 秋の歩け歩け大会

新春懇談会 新春交歓会 ニュースポーツ大会

新婚さんお祝い会 新婚さんお祝い会 移動研修会

ふるスポソフトボール大会 ふるスポソフトボール大会 新婚さんお祝い会

ふるスポバレーボール大会 ふるスポバレーボール大会 ふるスポソフトボール大会

よねやま秋まつり 世代間交流レクリエーション大会 ふるスポバレーボール大会

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⑥その他事業

各地区の特色を生かした独自な事業である。

定着してきた事業もあり,活動を自主サークル化するためのリーダー養成を目指す。

ヨガ教室 陶芸教室

(3)米山地区3公民館の指定管理者制度導入の成果と課題

①米山地区3公民館の指定管理者制度導入の成果

A 事業の継続性

指定管理前の事業を継承しつつ,地域住民への各種事業や学習機会を提供するこ

とができ,地域住民の視点で見た事業の継続性を確保することができた。

B 指定管理者職員への引き継ぎ

事業は,米山教育事務所の指導により実施したが,昨年の米山教育事務所の臨時

職員を指定管理者の事務員として採用したため,事業の継続性を確保しながら,比

較的スムーズに事業を実施することができた。

C 地域特性事業の実施

休止していた米岡地区盆まつりを復活させた事業など,地域の特色を生かした,

住民のニーズに即した事業を実施することができた。

米山公民館 吉田公民館 中津山公民館

専門講座 吉田クッキング 料理教室

陶芸教室 花倶楽部 写真教室

ヨガ教室 リフレッシュスポーツ教室 絵手紙教室

料理教室

パッチワーク教室

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社-13

②米山地区3公民館の指定管理者制度導入の課題

A 参加者の固定化

学級・講座・教室の学習活動への参加者が,限られた人たちを中心としたものに

なっている。

B 学級・講座の企画・立案等について

学級・講座の企画・立案・運営等が公民館にまかされがちになり,参加者自身に

よる主体的な活動ではなく、受動的な学習となっている事業がある。

C 指定管理者制度導入の課題

指定管理者制度導入直後は,施設管理・事業実施についての経験が少なく戸惑い

がみられた。

(4)平成22年度米山教育事務所の現状

①米山教育事務所の概要

職 員 数 5名(所長,副所長,主幹,主査,主事,各1名)

社会教育主事の配置 1名

主 な 業 務

・指定管理者への指導助言

・関係機関及び関係施設との連絡調整

・社会教育団体の育成指導

・文化財保護

・生涯学習ボランティア

・スポーツ少年団の育成指導

平 成 2 2 年 度 に

実施した公民館への

指 導 ・ 支 援

・職員による巡回指導

・米山地区公民館長会議の開催

・米山地区公民館事務員研修会の開催

・事業の実施支援

・学習情報の提供

②平成22年度の公民館支援の成果

A 教育事務所職員の指導

4月には教育事務所職員が一日の大半を公民館への指導・助言に費やしていたが,

現在では要請のない日もあるなど,導入直後に多少の混乱があったものの,事業実

施という視点でみると現在はスムーズに事業が展開されるようになった。

B 館長会議の開催

「米山地区公民館長会議」を開催し,施設の管理や公民館事業など,公民館の運

営について,教育事務所と3地区公民館の連携・情報の共有に努めた。

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社-14

C 研修の実施

「米山地区公民館事務員研修会」を開催し,公民館のあるべき姿など,基本とな

る知識を習得する場を設けた。

D 社会教育主事の配置

米山教育事務所には,社会教育主事が 1 名配置されており,指定管理者に対しよ

り専門的な指導・助言を行った。

6 まとめ

1)公民館の自立に向けた教育事務所の支援体制の整備

公民館の指定管理は今後さらに進み,登米市内の公民館の多くが指定管理となる見込

みである。公民館は社会教育の拠点であり,指定管理後の公民館であっても社会教育機

能を維持・継続しなければならない。教育事務所は,公民館の自立を支援するため,指

定管理者との連絡調整や社会教育主事の派遣,人材育成など,指定管理者との連携・協

力が必要であり,支援機関として重要な役割を担っていると考えられる。

(1)受託団体との連絡調整

教育事務所は指定管理者から見れば,一番身近な相談機関となり,事業の企画・実

施に対するサポートを行わなければならない。米山教育事務所で実施しているように,

定期的な意見交換の場を設け,お互いの意思疎通を図り,指導・助言ができる体制を

整備することが大切である。

(2)社会教育主事の派遣

【資料4】(社―6)で示されているように,各教育事務所に,社会教育に関する専

門的な研修を積んだ社会教育主事を配置することは,極めて大切なことだと考える。

また社会教育主事を指定管理者の求めに応じ,いつでも派遣できるような体制を整備

することも重要となる。

指定管理者制度の中で,公民館が社会教育機能を維持・継続していくためには,社

会教育に関する専門的・技術的な力量をもった社会教育主事を,各教育事務所に1名

以上配置することは必須であると考える。

(3)指定管理者への人材育成の支援

米山町域の事例から,社会教育講座・学習プログラムの固定化,或いは利用者の固

定化がみられる事業もある。それを防ぐためにも,指定管理者への研修を重ね,地域

の課題に即した学習活動を行っていくことが求められる。そのためには,指定管理者

が社会教育や公民館の運営について,十分な研修ができる体制を整備することが大切

である。

また,地域住民が自発的に活動できる事業とするため,企画段階から住民参画を推

進することも,自立支援へと繋がっていくと考える。

地域における課題の把握を行い,地域に即した活動を行うこととなるが,指定管理

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社-15

者制度導入後の公民館においても,社会教育機能が十分果たせ,住民の生涯学習や地

域づくりを通じて人おこしが進み,地域の発展に寄与し続けることが望まれる。

2)公民館の自立に向けた社会教育主事の役割

地域住民が主体的に自立をして行くためには,学習プログラム,地域における生涯学

習計画が必要であり,その計画を作成・推進する社会教育主事の役割は極めて大きい。

専門職員である社会教育主事を各教育事務所へ配置し,地域課題の把握と目的意識を持

った団体の育成,そして登米市のビジョンに沿った取り組みと,適切な研修・指導・支

援をしなければならない。

(1)地域課題を踏まえた事業計画の作成

公民館では,地域の状況と住民の学習ニーズに合った事業展開が求められ,一定の

事業に偏らないような年間事業計画の作成が必要である。専門的知識を有している社

会教育主事により作成・推進されることが望ましい。

指定管理者が事業計画に基づき,自主的に運営できるようになることが,地域の自

立に繋がっていくことになると考える。

(2)専門的な指導・助言

社会教育主事は指定管理者に対し,専門的な指導・助言を行わなければならない。

そのためには,資格取得後も定期的な研修を受け,自らのスキルを向上させる必要が

ある。

登米市は,仙台市を除けば県内唯一の研究・研修機関である「登米市教育研究所」

をもっている。現在登米市教育研究所で実施している研究員制度の中で,社会教育研

究員に,今後市内で発令される社会教育主事を充てることは有意義な手立てであると

考えられる。

社会教育主事個人のスキルアップにもなるが,市内の社会教育の現状について情報

交換をし,市全体の課題を研究テーマとすることで,登米市全体の社会教育の底上げ

になり,指定管理者制度が導入される公民館への指導・助言も効果的なものになって

くると考える。

(3)登米市の社会教育主事有資格職員について

現在の登米市職員において,社会教育主事の有資格者は42名いるが,そのうち5

0%以上が50歳以上である。管理職に昇格している職員もおり,現場での実働とし

て考えると不安が残る。(【資料5】参照)

また社会教育主事の資格を取得しても,職員の多くが3年で異動する現状であり,

時間をかけて実践を省察し研究することは困難である。社会教育現場での取り組みを

P※1

DCAサイクルにのせ,実践と省察のサイクルを積み重ねることのできる環境を構

築すべきだと考える。人事面からの手立てや,実践現場での引き継ぎの手法などで検

討の余地があると考えられる。

社会教育主事は,社会教育を支える重要な基盤であることから,企画立案能力や連

Page 18: 指定管理の進む 公民館の自立 - tome-svr.jpwing-k/pdf/h22_syakai.pdf · 平成22年度 指定管理の進む 公民館の自立 に向けた支援に関する一考察

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絡調整能力等を備えた高度で専門的な人材の養成を行うことが必要であり,5年,1

0年先を見据えた人事配置と,若年層の資格取得への取り組みを一層充実していく必

要がある。

【資料5 登米市職員における社会教育主事有資格者の状況】

3)おわりに

本研究では,指定管理者制度導入後の公民館が,社会教育機能を維持・継続しながら

自立していくための支援の在り方を,教育事務所及び社会教育主事が果たさなければな

らない役割を明らかにすることで探ってきた。

「地域住民による公民館の自主管理・自主運営」をとおして,「地域の自立」と「市

民と行政との協働による登米市の持続的な発展」を果たすためには,やはり,公民館が

社会教育施設として機能しなければならないことを改めて考えさせられた。

そのためには,指定管理者(市民)と行政が,車の両輪のように互いに連携していく

ことが重要である。今後,登米市における公民館の指定管理により,地域の自立と市民

との協働により,より良く地域が発展をしていくことを願ってやまない。

[用語解説] P※1

DCA サイクル Plan/Do/Check/Action の頭文字を揃えたもので、計画(Plan)→実行(Do)→検

証(Check)→改善(Action)の流れを次の計画に活かしていくプロセスのことを言う。