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日 本 海 運 の 現 状 2011年1月 社団法人 日本船主協会

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日 本 海 運 の 現 状

2011年1月

社団法人日本船主協会

2011年1月

〒102-8603 東京都千代田区平河町2-6-4 海運ビルtel. (03)3264-7174  fax. (03)5226-9166http://www.jsanet.or.jpe-mail:[email protected]

日 本 海 運 の 現 状社団法人日本船主協会

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目   次

Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動1.主要資源の対外依存度 …………………………………………………………… 12.わが国貿易に占める海上貿易の割合 …………………………………………… 23.世界の海上輸送量と船腹量推移 ………………………………………………… 34.わが国商船隊の輸送量推移 ……………………………………………………… 45.わが国商船隊の船腹量推移 ……………………………………………………… 56.わが国商船隊の構成 ……………………………………………………………… 67.わが国商船隊の積取比率の推移 ………………………………………………… 78.世界の船齢別船腹量 ……………………………………………………………… 89.世界の商船建造量と竣工予定 …………………………………………………… 910.世界の船舶解撤量の推移 ………………………………………………………… 10

Ⅱ.海運経営1.海運市況 …………………………………………………………………………… 112.わが国商船隊の運賃収入の推移 ………………………………………………… 123.外航海運企業の損益状況 ………………………………………………………… 134.外航海運企業の財務内容 ………………………………………………………… 145.対米ドルレート為替相場の推移 ………………………………………………… 156.外航海運のドル建て比率と他産業の海外売上比率の比較 …………………… 167.アジア/北米航路及び日本/アジア航路におけるコンテナ輸送の現状 ……… 178.一船当たりの年間船員費の例 …………………………………………………… 189.諸外国の海運強化策一覧 ………………………………………………………… 1910.主要国の海運強化策の概要 ……………………………………………………… 2011. トン数標準税制一覧 ……………………………………………………………… 2412.日本と欧州主要国の船舶償却制度の比較 ……………………………………… 2913.タックスヘイブン対策税制 ……………………………………………………… 30

Ⅲ.外航船員1.外航船員数の推移 ………………………………………………………………… 312.年齢・階層別の船員数 …………………………………………………………… 32

Ⅳ.内航海運1.国内輸送機関別にみた貨物輸送の推移 ………………………………………… 332.内航海運の企業規模 ……………………………………………………………… 343.内航海運暫定措置事業 …………………………………………………………… 354.内航燃料油価格の推移 …………………………………………………………… 36

[付録]海運年表

注)① 年次は「年度」と記したもの以外は、暦年である。  ② 単位に満たない数は原則として四捨五入したため、合計欄の数値と一致しない場合がある。

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Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

1 .主要資源の対外依存度

●わが国は、エネルギー資源のほぼ全量を海外に依存し、衣食住の面で欠くことのできない多くの資源を輸入に頼っている。●わが国海運は、こうした海外からの貿易物質の安定輸送に大きな役割を果たしている。

注)「食料需給表」、「木材需給表」2008 年版、「エネルギー白書」、「鉄鋼統計要覧」2010 年版による 2008 年の数値

原  油

99.6%

天然ガス

96.4%

鉄 鉱 石

100.0%

羊  毛

100.0%

綿  花

100.0%

大  豆

94%

小  麦

86%

木材

76.0%

石  炭

100%

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Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

2 .わが国貿易に占める海上貿易の割合

●2009 年のわが国の貿易量(輸出入合計)は、トン数ベースでは前年比 14.2%減の 8億3,500 万トン、金額ベースでは 34%減の 106 兆円となった。●このうち海上貿易は、金額ベースで 68.1%、トン数ベースで 99.7%を占めており、海運はわが国の貿易にとって不可欠な輸送手段となっている。

7080 60 50 40 30 20 10 0 0 10 20 30 40 50 60 7090

1985µ

1990µ

1995µ

2000µ2005µ

2006

2007

80(兆円)

輸  出 輸  入

86.7%

82.0%

75.3%

63.3%

69.5%

86.5%

77.1%

73.3%

68.9%

72.9%

69.9% 74.2%

65.9% 71.5%

200867.7%

貿易全体に占める海上貿易の割合(%)µ

74.9%200965.7% 70.7%

金額ベース

トン数ベース

(単位:兆円)

年 輸   出 輸   入 輸出入合計総 額 海上貿易額(%) 総 額 海上貿易額(%) 総 額 海上貿易額(%)

1985 42 36(86.7) 31 27(86.5) 73 63(86.6)1990 41 34(82.0) 34 26(77.1) 75 60(79.8)1995 42 31(75.3) 32 23(73.3) 73 54(74.5)2000 52 33(63.3) 41 28(68.9) 93 61(65.8)2005 66 46(69.5) 57 41(72.9) 123 87(71.0)2006 75 53(69.9) 67 50(74.2) 143 103(71.9)2007 84 55(65.9) 73 52(71.5) 157 108(68.5)2008 81 55(67.7) 79 59(74.9) 160 114(71.2)2009 54 36(65.7) 51 36(70.7) 106 72(68.1)

(単位:百万トン)

年 輸   出 輸   入 輸出入合計総 量 海上貿易量(%) 総 量 海上貿易量(%) 総 量 海上貿易量(%)

1985 94 94(99.5) 604 603(99.9) 698 697(99.9)1990 85 84(99.1) 712 712(99.9) 798 796(99.8)1995 117 116(99.3) 772 771(99.8) 889 886(99.8)2000 131 130(99.0) 808 807(99.8) 940 937(99.7)2005 136 134(98.8) 817 816(99.8) 953 950(99.6)2006 146 144(98.8) 816 815(99.8) 962 959(99.7)2007 152 150(98.9) 815 814(99.8) 967 964(99.7)2008 155 154(99.0) 818 816(99.8) 973 970(99.7)2009 145 144(99.2) 690 689(99.8) 835 833(99.7)

注)① 1985 ~ 2000 年は、金額・トン数ともに日本関税協会「外国貿易概況」に基づき、当協会が作成。② 2004 年以降は、金額・トン数ともに国土交通省「海事レポート」各年版、財務省貿易統計を基に当協会が作成。

   (2004 年以降の作成数値については、2005 年 11 月以降の財務省貿易統計に海上貿易量が掲載されなくなった事による。)  ③ 海上貿易額(量)は、総額(量)から航空貨物と船舶を除いたものである。

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Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

3 .世界の海上輸送量と船腹量推移

●2008 年の世界海上輸送量は前年比 4.3%増の 77 億 4,500 万トンとなったが、そのうち石油輸送量は 2.0%増の 23 億 7,500 万トンとなった。●2008 年の世界船腹量は、前年対比 6.7%増の 11 億 570 万重量トンとなった。

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

1985 1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

海上輸送量

うち石油

(百万重量トン)

うちタンカー船腹量µ

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

1100

1200

7,000

(百万トン)

8,000

2008(年)

年海上輸送量(百万トン) 船腹量(百万重量トン)総  計 うち石油 総  計 うちタンカー

1985199019951996199719981999200020012002200320042005200620072008

3,2933,9324,7124,9065,1685,1725,2965,5955,6535,8206,1336,4936,6047,0557,4287,745

1,1591,5261,7961,8701,9291,9371,9652,0272,0172,0022,1132,2152,2152,2812,3282,375

6746677187407587667787928028238478899511,0151,0841,157

268257269266270271278282284280288300317332347357

注)① 海上輸送量は Fearnleys「REVIEW 2008」による。ただし、2008 年は推計値である。② 1992 年までの船腹量については、Lloyd's Register of Shipping「STATISTICAL TABLES」各年版による年央値であり、1993 年以降は同「WORLD FLEET STATISTICS」による年末値である。

  ③ 1993 年以降の船腹量は、漁船等を除いた値である。  ④ 世界の海上輸送量について、2009 年の統計が Fearnleys より公表されていないため、2008 年の統計となっている。

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Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

4 .わが国商船隊の輸送量推移

●2009 年のわが国商船隊の輸送量は、対前年比約 5,230 万トン(6.0%)減の約 8.1億トン。●対前年比で輸入は 16.9%減、輸出は 9.9%減、三国間輸送は 16.6%増。

(単位:百万トン)

年輸 出 量 輸 入 量 三国間輸送量 合    計日 本 商 船 隊 日 本 商 船 隊 日 本 商 船 隊 日 本 商 船 隊

日本籍船 外国用船 日本籍船 外国用船 日本籍船 外国用船 日本籍船 外国用船1985 15.0 29.2 44.2 242.9 157.7 400.6 36.6 67.6 104.2 294.5 254.5 549.11990 4.8 28.1 33.0 199.9 269.7 469.6 21.5 73.8 95.2 226.3 371.5 597.81995 3.0 35.8 38.8 152.7 377.2 530.0 14.0 120.9 134.9 169.7 533.9 703.62000 1.5 33.4 35.0 98.1 440.7 538.9 13.2 152.3 165.5 112.9 626.5 739.42001 1.5 32.2 33.7 85.3 429.3 514.6 18.1 140.0 158.1 104.9 601.6 706.52002 1.5 34.8 36.3 75.9 430.1 506.0 11.4 147.4 158.8 88.8 612.3 701.12003 1.5 37.4 38.9 64.3 490.6 554.9 7.9 170.4 178.3 73.7 698.4 772.12004 1.8 40.2 42.0 60.3 487.3 547.6 6.7 179.8 186.5 68.8 707.3 776.12005 1.8 43.5 45.3 53.5 476.2 529.7 5.8 198.3 204.1 61.1 718.0 779.12006 2.1 50.5 52.6 44.9 449.1 494.0 9.3 235.4 244.7 56.4 735.0 791.42007 2.4 54.3 56.7 43.1 484.3 527.5 8.9 240.2 249.0 54.4 778.8 833.22008 1.8 46.0 47.8 52.7 495.2 547.9 8.2 262.5 270.8 62.7 803.7 866.52009 1.3 41.8 43.0 49.1 406.3 455.4 10.0 305.8 315.7 60.3 753.8 814.2

注)① 国土交通省「海事レポート」(旧運輸省「日本海運の現況」)各年版による。② 端数処理のため末尾の数字が合わない場合がある。

  ③ 2009 年の数値は暫定値。

1

2

3

4

5

6

7

8

9

輸送量(億トン)

三国間

外国用船

日本籍船

外国用船

外国用船

日本籍船

日本籍船

グラフ内の数値は構成比(%)

2.7

12.3

6.7

28.7

44.2

5.3

0.8

12.8

3.6

45.1

33.4

4.7

0.4

17.2

2.0

53.6

21.7

5.1

0.2

21.0

1.8

59.3

13.1

4.5

0.2

19.8

2.6

60.8

12.1

4.6

0.2

21.0

1.6

61.3

10.8

5.0

0.2

22.1

1.0

63.5

8.3

4.8

0.2

23.2

0.9

62.8

7.8

5.2

0.2

25.4

0.7

61.1

6.9

5.6

1985 1990 1995 2000 2001 2002 2003 2004 2005

0.3

29.4

1.2

56.9

5.7

6.5

0.3

28.8

1.1

58.1

5.2

6.5

2006 2007

0.2

30.3

1.0

57.1

6.1

5.3

0.2

37.6

1.2

49.9

6.0

5.1

2008 2009 (年)

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Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

5 .わが国商船隊の船腹量推移

●2009 年央のわが国商船隊の船腹量は、2,535 隻(前年比 118 隻減)、約 1億 5,032 万重量トン(同 1.0%減)であった。●そのうち日本籍船は 107 隻、964 万重量トンとなっている。

注)① 国土交通省「海事レポート」(旧運輸省「日本海運の現況」)各年版による。② 2,000 総トン以上の外航に従事している船舶。

  ③ 年央の値である。

0

1,000

2,000

3,000

4,000

1985 1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

(隻)

0

5,000

10,000

(万重量トン)

15,000

日 本 籍 船

外 国 用 船外 国 用 船

日 本 籍 船

隻 数重量トン

( )内は構成比(%)

(9.6)

10,565

9,120

9,874 9,852

10,313

9,89910,076

10,252

10,767

5,014(47.5)

5,804(63.6)

7,706(78.0)

7,879(80.0)

8,433(81.8) 8,139

(82.2)

8,409(83.5)

8,814(86.0)

9,568(88.9)

10,185

9,057(88.9)

2,435

1,992 1,999 2,007 2,0211,970 1,996

2,0392,100

1,9885,551(52.5)

3,316

449

(36.4)

2,168

218

(22.0) 1,973

191

(20.0)1,880

182

(18.2)1,760

168

(17.8)1,667

154

(16.5) 1,438

134

(14.0) 1,199

117

(11.1)1,128

110

(11.1)

1,028

10,330

9,332(90.3)

1,896

994

99

(8.1)

11,766

10,809(91.9)

2,009

957

95

(6.9)

12,817

11,932(93.1)

2,223

885

95

(6.7)

13,625

12,716(93.3)

2,214

909

92

2008

(5.7)

15,175

14,309(94.3)

2,555

867µ

98

10,160

9,078(89.4)

1,873

1,081

103

(10.6)

(年)2009

(6.4)

15,032

14,068(93.6)

2,428

964

107

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6

Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

6 .わが国商船隊の構成

●2009 年 7 月 1 日現在、外航に従事する 2,000 総トン以上のわが国商船隊は 2,535 隻、うち日本籍船は 107 隻。●上記日本籍外航船 107 隻のうち「国際船舶」は 106 隻。

日本商船隊の構成推移

日本籍船 107 隻の内訳(2009 年 7 月 1 日現在)注)③

在来船他

1隻

国際船舶 106 隻

新たなマルシップ混乗船1 隻

近代化船(混乗)2隻

LNG船27 隻

承認船員配乗船76 隻

注)① 日本商船隊の構成推移については、国土交通省「海事レポート」(旧運輸省「日本海運の現況」)各年版による。  ② 国際船舶は、以下のa~d全てに該当する日本籍船である。(海上運送法施行規則第 43 条)

a.2,000 総トン以上の船舶b.船舶安全法上の航行区域が遠洋または近海であることc.専ら外航に使用されている船舶(国際航海に 100%使用されており、海上運送法、内航海運業法の事業計画により国内旅客、内航海運に使用されていないこと)

d.以下のいずれかに該当する船舶    ・近代化船(船舶職員法第 2 条第 3 項で定める基準に適合する船舶)    ・新たなマルシップ混乗船(海外貸渡方式による平成 2 年以降承認された混乗船=船舶職員法第 20 条特例船)    ・LNG船(液化天然ガス)    ・RORO船(ロールオン/ロールオフ船:トラック等が船内に自走して出入りし、荷役する方式の船)

・承認船員(外国人船舶職員)配乗船(船舶職員法第 23 条の 2第 1項の承認を受けたものが船舶職員として乗り組んでいる船舶)

③ 日本籍船の隻数内訳は、国土交通省海事局調べによる。

0

500

1,000

1,500

2,000

2.500

3,000

3,500

(隻)

1970 1980 1985 1990 1995 2004

単純外国用船

仕組船

日本籍船

1,508

3,016

1,508

844

2,505

485

1,176

878

2,435

529

1,028

1,053

1,992

490

449

1,154

1,999

627

218

1,169

1,896

628

99

2005

1,140

2,009

774

95

2006

1,362

2,223

766

95

2007

1,506

2,306

92

708

2008

1,809

2,653

98

746

(年)2009

1,676

2,535

107

752

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Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

7 .わが国商船隊の積取比率の推移

●2009 年のわが国の海上輸送量は、輸出が対前年比 6.7%減少、輸入が 15.6%減少した。 そのうちわが国商船隊の輸送量は、輸出が対前年比 9.9%減少、輸入が 16.9%減少した。 また、わが国商船隊の積取比率は、輸出が 1.0 ポイント減少、輸入が 1.0 ポイント減少した。

輸       出 輸       入輸送量(万トン) 積取比率(%) 輸送量(万トン) 積取比率(%)

日本商船隊日本籍船 日本商船隊

日本商船隊日本籍船 日本商船隊

日本籍船 外国用船 日本籍船 外国用船1985 8,180 1,497 2,924 18.3 54.0 59,073 24,294 15,769 41.1 67.81990 7,042  485 2,812 6.9 46.8 69,930 19,994 26,967 28.6 67.21995 9,738  298 3,578 3.1 39.8 75,684 15,274 37,719 20.2 70.02000 10,174  151 3,345 1.5 34.4 78,800 9,814 44,073 12.5 68.42001 10,699  153 3,224 1.4 31.6 77,300 8,526 42,933 11.0 66.62002 11,939  148 3,484 1.2 30.4 76,233 7,594 43,008 10.0 66.42003 12,071  147 3,740 1.2 32.2 79,606 6,431 49,063 8.1 69.72004 12,987  181 4,016 1.4 32.3 81,187 6,026 48,734 7.4 67.42005 13,437  180 4,350 1.3 33.7 81,563 5,346 47,624 6.6 64.92006 14,437  214 5,256 1.5 37.9 81,457 4,593 45,722 5.6 61.82007 15,022  235 5,435 1.6 37.7 81,384 4,314 48,433 5.3 64.82008 15,392  179 4,599 1.2 31.0 81,617 5,273 49,516 6.5 67.12009 14,365  126 4,178 0.9 30.0 68,886 4,911 40,627 7.1 66.1

注)① 国土交通省「海事レポート」(旧運輸省「日本海運の現況」)各年版による。  ② 日本商船隊の積取比率は、日本籍船に外国用船を加えたものである。  ③ グラフ内の数字は積取比率(%)である。  ④ 2009 年の数値は暫定値である。

輸送量(千万トン)輸送量(千万トン)

[輸 出] [輸 入]

グラフ内の数値は構成比(%)

141516 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

外国船 外国用船 日本籍船

1985

1990

1995

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

外国船外国用船日本籍船

46.0

53.2

65.6µ

68.4µ

69.6µ

67.8µ

66.3

18.3

6.9

1.5

1.4

1.2

1.2

1.3

35.7

39.9

32.9µ

30.1µ

29.2µ

31.0µ

32.4

32.2

32.8

31.6µ

33.4µ

33.6µ

30.3µ

35.1

28.6

12.5µ

11.0µ

10.0µ

8.1µ

6.6

38.6

55.9µ

60.2 3.136.7 30.020.2 49.8

55.5µ

56.4µ

61.6µ

58.4

62.1 1.536.4 38.25.6 56.1

62.3 1.636.2 35.25.3 59.3

200869.0 1.229.9 32.96.5 60.7

200970.0 0.929.1 33.97.1 59.0

67.7 1.430.9 32.67.4 60.0

41.1 26.7µ

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8

Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

8 .世界の船齢別船腹量

●2009 年末の世界船腹量 8億 8,260 万トンのうち、船齢 20 年以上の船腹量が占める割合は約 21.2%。●特に船齢 25 年以上の老齢船の中には、国際基準を満たしていない「老朽サブスタンダード船」が相当量含まれていると考えられ、海難事故の防止、地球環境保護の観点から早期排除が必要である。

(単位:百万総トン)

船 齢 1985 1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

0~4 79.0 63.6 98.2 107.5 113.8 118.9 126.6 135.9 141.8 124.3 160.6 173.6 189.4 210.2 234.0 265.3 302.2

5~9 106.9 88.6 72.3 71.8 77.4 86.7 91.8 98.6 107.6 119.2 119.2 127.3 136.7 142.1 150.2 161.7 174.6

10~14 128.9 103.1 92.5 91.2 86.1 80.2 75.2 72.4 72.0 86.8 86.8 91.9 98.6 107.7 114.7 119.4 128.0

15~19 56.4 109.3 104.7 94.9 87.5 85.0 88.7 92.3 90.5 79.9 79.9 74.7 72.2 71.9 76.7 86.1 90.7

20~24 24.2 35.4 87.4 102.1 111.8 112.0 102.7 91.6 84.5 80.6 77.5 82.1 87.9 88.1 84.1 77.9 66.6

25~  20.8 23.6 35.7 40.5 45.6 49.1 58.7 67.2 78.2 94.8 81.3 83.6 90.4 101.8 114.8 120.0 120.5

合 計 416.3 423.6 490.8 507.9 522.2 531.9 543.6 558.1 574.6 585.6 605.2 633.3 675.2 721.8 774.5 830.4 882.6

注) 1992 年までの船腹量については、Lloyd's Register of Shipping「STATISTICAL TABLES」各年版による年央値であり、1993 年以降は同「WORLD FLEET STATISTICS」 による年末値である。

25年~

20~24年

15~19年

10~14年

5~9年

0~4年

1985 1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 (年)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900 (百万総トン)

2006 2007 20092008

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Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

9 .世界の商船建造量と竣工予定

●2009 年の世界の商船建造量(竣工ベース)は 7,707 万総トン。今後、建造量は大幅に増加する見通しである。ここ数年、わが国と韓国、中国が世界の 9割以上を占める三大造船国となっている。

注)① 建造量(2009 年までの数値)は、Lloyd's World Fleet Statistics に基づき、算出した。  ② 発注済み船舶の竣工予定(2010 年~2012 年の数値)は、Lloyd's World Shipbuilding Statistics に基づき算出した。  ③ EU内の主要造船国は、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、イギリス等。    2007 年以降、EUは 27ヶ国で算出した。  ④ その他に含まれる主要造船国は、台湾、シンガポール等。  ⑤ 2012 年の竣工予定は、同年以降の発注を含む。  ⑥ 1995 年の中国建造量は、その他に含む。

6,769

グラフ内の数値は構成比(%)

発注済み船舶の竣工予定(2010年3月現在)

1995 2000 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 20110

1,000

2,000

4,000

3,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

11.68.8

6.49.0

36.8

36.1

7.8

37.9

35.1

4,697

5,212

6.7

6.9

13.8

37.7

35.0

6.9

7.6

14.7

35.9

34.9

18.4

20.6

35.9

5,732

6.3

8.8

30.6

5.1

7.7

39.0

27.6

7,707

28.5

4.6

4.9

37.4

24.6

その他

EU計

中国

日本

韓国

13,172

(万総トン)

41.5

7.7

3.8

31.2

15.8

10,654

38.3

7.6

2.4

34.8

16.8

10.4

2,260

3,170

15.3

16.1

27.5

41.2

7.910.45.238.6

37.9

11,000

12,000

13,000

14,000

15,000

(万総トン)

4,017

3,613

2012(年)

7,548

26.4

8.5

2.8

39.4

23.0

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10

Ⅰ.世界海運とわが国海運の輸送活動

10.世界の船舶解撤量の推移

●2009 年の船舶解撤量は、深刻な海運市況悪化の影響により著しく増加し 2,500 万総トン(前年比 200.7%増)となった。国別解撤量については、中国 770 万総トン、インド760 万総トン、バングラディシュ 660 万総トン、パキスタン 210 万総トンで、この 4ヶ国で世界の解撤量の 96%を占めている。●1970 年代の建造ブーム時に大量の船舶が建造されていること、また 2008 年後半からの世界経済の急激な悪化による荷動きの大幅な減少により、老齢船の解撤が進んでいる。●国際海事機関(IMO)において、環境および労働者の安全と健康に配慮しつつ円滑な船舶解撤を行うことを目的として検討されてきた「シップリサイクル条約」が 2009 年5 月に採択され、早ければ 2013 年度中にも発効することが見込まれている。

注) 1993 年までは、Lloyd's Register of Shipping「CASUALTY RETURN」各年版、1994 年以降は同「WORLD CASUALTY STATISTICS」 による。

8.3

0

2

4

6

8

10

16

18

20

22

24

1985 1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009(年)

1.8

8.5

9.7

8.7

12.3

16.2

12.3

14.3

16.4

22.2

25

15.9

7.2

バングラディシュ

パキスタン

その他

中国

台湾

インド

中国

その他

パキスタン

バングラディシュ

3.8

12

14

(百万総トン)

26

韓国

インド

4.64.2

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Ⅱ.海運経営

1 .海運市況

●2010 年の不定期船市況は、これまで市場を牽引してきた中国の鉄鉱石輸入量が、鉄鉱石価格の上昇等により前年に比べ減少したものの、低迷していた日本・欧州等の先進国向け粗鋼生産が回復したことに加え、インド等新興国向け石炭・穀物需要の旺盛な伸び等を背景に幅広い船種で比較的堅調に推移した。●2010 年のタンカー市況は、シングルハルタンカーの解撤が進んだことや中国をはじめとする新興国の原油輸入量拡大による市況の下支えがあったものの、欧米を中心とした石化・石油製品の需要の伸び悩みにより供給圧力の吸収には至らず、昨年に引き続き低調に推移した。

注)① 出所:BDI(The Baltic Exchange)およびWS(中東/極東)は、トランプデータサービス集積資料による。  ② BDI(Baltic Dry Index):乾貨物の海上輸送運賃指数(総合指数、1985 年 1 月を基準(= 1,000))    The Baltic Exchange が毎営業日に、ドライマーケットの成約情報を 1985 年以来、一定の基準で継続発表している指数

であり、乾貨物運賃の変動推移を示している。  ③ WS(World Scale Rate)は VLCC(24 万 D/W)、積地は中東/揚地は極東。

600

0

2,000

4,000

10,000

8,000

6,000

12,000

WS(PG/FE)

BDI(Baltic Dry Index)

WS

BDI

0

100

200

300

500

400

85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 1009 (年)

プラザ合意'85

イラン・イラク戦争停戦'88

イラクのクウ

ト侵攻'90

湾岸戦争'91

円一時80円台突破'95

アジア通貨危機'97

米国同時多発テロ'01

イラク戦争'03

��������'08

WS

BDI

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Ⅱ.海運経営

2 .わが国商船隊の運賃収入の推移

●2009 年(暦年)のわが国商船隊の運賃収入は、全体では対前年比 1兆 2,541 億円(38.1%)減の 2兆 373 億円となった。

トン当り運賃の年間平均

年年間平均 1985 1990 1995 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

油 類(千円/トン) 2.2 1.6 1.3 1.3 1.4 1.2 1.4 1.5 1.6 1.9 1.9 2.2 1.6乾貨物(千円/トン) 6.1 4.4 2.8 2.6 2.7 2.8 2.8 3.5 3.9 4.7 6.2 5.9 2.8

全 体(千円/トン) 4.7 3.4 2.3 2.2 2.3 2.3 2.4 2.6 2.8 3.3 4.1 3.8 2.5

注)① 国土交通省「海事レポート」(旧運輸省「日本海事の現況」)各年版による。  ② 2009 年の数値は暫定値である。

2,037

1,691

347

2009

3,291

2,771

520

2008

0

1,000

2,000

3,000

4,000

1985 1990 1995 2000 2001 2002 2003 2004

2,556

2,037

1,605

2,102

1,675

1,274

454362 331

1,598 1,619 1,585

1,286 1,303 1,305

312 316 280

2,033

1,661

371

2005 2006

2,210

1,839

372

1,828

1,489

339

運賃収入(10億円) トン当り運賃の

年間平均(千円/トン)

乾貨物µ

油 類µ

全 体

トン当り運賃の年間平均推移

乾貨物運賃収入

油類運賃収入

運賃収入合計µ

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

2,597

2,200

397

2007 (年)

3,398

2,944

454

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Ⅱ.海運経営

3 .外航海運企業の損益状況

●2009 年度の外航海運大手(3社)の営業収益は 2兆 4,795 億円と対前年度比 1兆 2,493億円(33.5%減)の減収となり、営業費用については、2兆 5,922 億円と同 9,099 億円(26.0%減)の減少となった。この結果、経常損失 681 億円と同 3,750 億円(122.2%減)と著しい減益となった。●2009 年度の業績は、不定期船のうちドライバルク市況は中国等新興国による鉄鉱石輸入量の急増等に支えられ比較的堅調に推移したものの、2008 年秋以降の世界的な景気後退による需要低迷からの回復が遅れたタンカー、自動車船、コンテナ船等においては荷動き・運賃水準の低下等の影響を強く受け、全体としては対前年度比で著しい減収減益となった。●わが国の外航海運会社は、円高ドル安への対応として、緊急雇用対策の実施を始め、コストのドル化や外国人船員との混乗など様々な対応を続けてきた。2009 年度においては、世界同時不況による海運マーケットの急落等を受け、海運各社は係船、解撤前倒し等の船隊規模の縮小を含むあらゆるコスト削減に取り組んだものの、収入減を償うには至らなかった。

注)① 1998(平成 10)年 10 月 1 日に日本郵船と昭和海運が合併したため、対象会社が 5社から 4社(日本郵船、大阪商船三井船舶、 川崎汽船、ナビックスライン)に変更になった。

  ② 1999(平成 11)年 4月 1日に大阪商船三井船舶とナビックスラインが合併したため、対象会社が 4社から 3社(日本郵船、 商船三井、川崎汽船)に変更になった。

3,069

(年度)

2008

-681

2009

(円/US$)µ

60

80

100

120

140

160

180

200

220

240

260

280

290

400

0

800

1,200

1,600

2,000

2,400

2,800

3,200

3,600

4,000

4,400

(億円)

4,800

-1,000

236

-13-268

12447

111

323 358453 468

735

1,190

814882

1,890

3,391

2,717

2,134

4,547

1985 1986 1987

1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

µ

2007

対USドル円相場の推移µ

海運大手の損益状況推移(経常損益)µ

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Ⅱ.海運経営

4 .外航海運企業の財務内容

●外航海運企業大手 3社の 2010 年 3 月期の財務内容(単体ベース)は、総資本利益率が減少(前年度比 13.6 ポイント減)、自己資本比率(同 1.7 ポイント減)、負債比率(同1.7 ポイント増)および内部留保金(剰余金)(同 131 ポイント減)それぞれ前年から悪化した。

注)① 外航海運企業については有価証券報告書による。  ② 外航海運企業については、大手 3社。  ③ 全産業については主要 9業種の上位 4~5社の有価証券報告書による。

大手外航海運企業の貸借対照表

(金額単位:億円)

区 分2008 年度(3社) 2009 年度(3社)

金額(億)構成比(%)金額(億)構成比(%)

資 

産 

の 

流動資産 9,693 36.6 11,949 40.0固定資産 16,741 63.3 17,901 59.9・有形固定資産 3,354 12.7 3,363 11.3  船舶 1,774 6.7 1,822 6.1  建設仮勘定 424 1.6 416 1.4  その他 1,157 4.4 1,125 3.8・無形固定資産 196 0.7 135 0.5・投資・その他資産 13,191 49.9 14,403 48.2繰延資産 17 0.1 23 0.1

資 産 合 計 26,449 100.0 29,873 100.0

負 

債 

の 

流動負債 6,362 24.1 5,730 19.2固定負債 8,151 30.8 11,192 37.5・社債 3,159 11.9 4,295 14.4・長期借入金 4,550 17.2 6,155 20.6・負債性引当金 74 0.3 55 0.2・その他 367 1.4 687 2.3

負 債 合 計 14,513 54.9 16,922 56.6

純資産の部

資本金 1,999 7.6 2,748 9.2・資本準備金 1,683 6.4 2,459 8.2その他 8,256 31.2 7,745 25.9

 純資産合計 11,937 45.1 12,952 43.4

負 債 純 資 産 26,449 100.0 29,873 100.0

0

10

20

30

40

50

(%)

(%)

0

20

40

60

80

100

純資産

負債純資産

負債

負債純資産

54.9

69.456.6

43.4

58.0

42.045.1

30.6

(%)

0

100

200

300

400

海運業 全産業

海運業 全産業

海運業 全産業

剰余金対資本金比率= ×100

負債比率= ×100

自己資本比率= ×100

(純資産-(資本金+資本準備金))

資本金

412.9

200.0

281.9

198.0

(%)

総資本利益率(ROI)= ×100経常利益

(前期負債純資産+当期負債純資産)÷2

11.2

5.8

-2.4

0.80

5

-5

10

15

海運業 全産業 2008 2009(年度)

凡例

500

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Ⅱ.海運経営

5 .対米ドルレート為替相場の推移

●外航海運の業績は、運賃の多くがドル建のため自国通貨の対米ドルレート為替相場に大きく左右される。●各国通貨の対米ドルレートの変動を指数で見ると、1980 年を 100 とした場合、2009 年の日本円は 41.27 と半分以下になっている。つまり、円換算した運賃水準が半分以下まで目減りしたことになる。

対米ドルレートの推移 1980 年= 100(年平均指数)

各国通貨の対米ドルレートと 1980 年を 100 とした場合の指数

国 名 通 貨1980 年 2009 年

対米ドルレート 指 数 対米ドルレート 指 数日 本 円 226.74 100.0 93.57 41.27英 国 ポンド 0.43 100.0 0.64 148.69ドイツ ユーロ 0.93 100.0 0.72 77.28韓 国 ウォン 607.43 100.0 1,269.61 209.01

注)1995 年までは、IMF「International Financial Statistics」による。  1996 年以降は日本船主協会調べ。

1980 1985 1990 1995 2000

(指数)

240µ

220µ

200µ

180µ

160µ

140µ

120µ

100µ

80µ

60µ

40

ウォン

(プラザ合意)

ポンド

ユーロ(マルク)

2005µ2009(年)

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Ⅱ.海運経営

6 .外航海運のドル建て比率と他産業の海外売上比率の比較

●わが国外航海運の全売上高に占めるドル建て金額の比率は 82%であり、他産業と比較して為替レートの影響を非常に受けやすい収支構造となっている。●為替レートの影響をミニマイズして安定した経営を確立するため、ドル建て収支バランスをとるためのコストのドル化に努めてきた。

外航海運企業のドル建て比率と他産業の海外売上比率との比較

大手外航海運企業のドル建て比率

注)① 外航海運業は、国土交通省「海事レポート」平成 22 年版による。    他産業は主要各社の有価証券報告書により作成。(2009 年度の数値)  ② 海外売上比率=(海外売上高÷連結売上高)× 100 とした。  ③ 外航海運業はドル建て収入分。ただし、CAF等によりカバーされている分等は除く。

(単位:%)

年 度 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

営業収益 73.9 73.2 76.1 77.5 79.3 78.6 80.3 84.1 86.7 87.1 88.5 81.9

営業費用 68.0 65.4 69.7 70.3 72.1 69.2 70.7 70.6 76.5 78.0 74.9 67.4

注)1998 年度は大手 4社、1999 年度からは大手 3社。

(%)µ0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

外航海運µ

自動車µ

精密機械µ

家電

µ

タイヤ・ゴムµ

造船重機µ

繊維µ

電気機械µ

化学

µ鉄鋼

µ

75.1

56.5

62.6

54.5

50.6

40.5

37.1

35.8

34.8

81.9

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Ⅱ.海運経営

7 .アジア/北米航路及び日本/アジア航路におけるコンテナ輸送の現状

●2008 年秋以降の世界的な景気悪化に伴う荷動き量の低迷により、アジアから北米向けの荷動き量は 2009 年通年で前年比 14.8%減を記録した。2010 年に入ると同航路の荷動きは回復傾向を示し、2010 年 1 - 6 月の累計では、前年同期比 17.5%増の 614.0 万TEUにまで戻したものの、2008 年同期比では 10%程度下回っている。●2008 年の日本発着貨物量は中国および韓国に対して前年比減を記録したが、ASEAN加盟各国に対しては増加した。

アジア発北米向けコンテナ貨物荷動き

アジア域内における日本発着コンテナ荷動量推移

注)国土交通省「海事レポート」(旧運輸省「日本海運の現況」)各年版による。

注)① PIERSデータをもとに日本海事センターがまとめた資料による。  ② 対象国は 2006 年版から従来の 12 カ国・地域(日本、韓国、台湾、中国、香港、マカオ、シンガポール、フィリピン、

マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム)に新たに 6カ国(カンボジア、ミャンマー、インド、パキスタン、    スリランカ、バングラディシュ)を加えた 18 カ国となったため、過去の本欄資料と数字が合わない場合がある。

2001 2002 2003 2004 20050

10,000

12,000

2,000

4,000

6,000

0

40

50

60

14,000 70

16,000 80

10

20

30

8,000

(千TEU) (%)

インバランス(復航/往航)

インバランス(復航/往航)

うち中国・香港出しうち日本出し

7,520

9,030

9,854

11,318

4,221(56.1%)

5,388(59.7%)

6,083(61.7%)

7,393(65.3%)

45

39 4037

35

12,878

8,628(67.0%)

2006

34

14,251

9,808(68.6%)

736(9.8%)

736(8.2%)

773(7.8%)

813

(7.2%)

873

(6.8%)

883

(6.2%)

2007

40

14,411

10,079(69.9%)

828

(5.7%)

2008

46

13,304

11,337

9,171(68.9%)

743

(5.6%)

2009

53

7,867(69.4%)

515(4.5%)

2011~6月

0

50

6,140

4,201(68.4%)

290(4.7%)

*グラフ上部の数値は発着合計

*グラフ下部の数値は日本発数

日本発着(千TEU)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2007年 2008年2006年

ベトナム韓国インドネシアマレーシアシンガポールタイフィリピン香港台湾中国

3,125 3,156

965

279

189

552

328 186

85

559

233 145

93 98

249198

89

523

237

982

260

175

481

300 188

92

565

253

102 123

147

96

289191

6

103

218

587

277

144119102

168268189297

221

958

3,027

371

483

70

590

229318

19

166

305

138

6281

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Ⅱ.海運経営

8 .一船当たりの年間船員費の例

●船員費は船舶の国際競争力を左右する主要因のひとつであり、外航船舶の乗組員は日本人船員を含むさまざまな国籍の外国人船員により構成されている。●わが国では、外航日本籍船の日本人船・機長配乗要件の撤廃について、2008 年夏から各船社と全日本海員組合との間で協議が開始され、順次外国人全乗の日本籍船が誕生している。

注)① 日本船主協会試算による。    ※ ここでは参考値として、船種をバルカー(ばら積み船)とし、国際船舶については、日本人 4名・東南

アジア船員 19 名、全員外国人船員については全て東南アジア船員が乗船した場合について試算した。  ② 1ドル= 83 円とした。(2010 年 11 月平均)  ③ 日本人船員の予備員率= 53%とした。  ④ 国際船舶の隻数については、6頁「Ⅰ.-6 わが国商船隊の構成」参照。

国 際 船 舶

4名日本人船員+19 名外国人船員

約 190 万ドル

全員外国人船員

外国人船員23 名

約 93 万ドル

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Ⅱ.海運経営

9 .諸外国の海運強化策一覧

●特に欧州諸国においては、国際競争力強化のため、各国とも海運強化策を積極的に採り入れている。

ベルギー

デンマーク

フィンランド

フランス

ドイツ

ギリシャ

アイルランド

イタリア

オランダ

ノルウェー

ポルトガル

スペイン

スウェーデン

イギリス

アメリカ

韓国日本

1 償却制度上の優遇措置 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

2 船舶の買換特例(圧縮記帳) ○ ○ ○ ○ ○ ○

3 トン数標準税制(みなし利益に対する課税) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

4 第二船籍制度など船籍制度 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

5 船員所得税の免除・軽減 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

6 船員の社会保険料の軽減 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

7 船員の派遣・帰国費補助 ○ ○

8 船員の訓練費補助 ○ ○ ○

9 海運事業者への直接補助 ○ ○

注)日本船主協会、運輸政策研究機構、日本海運振興会(旧海事産業研究所)、㈶日本海事センター調べ。(2010 年 12 月現在把握している施策。)

1 償却制度上の優遇措置加速度償却(通常より償却年数を短縮)、事前償却(船舶取得年度以前より償却可能)、初期償却(通常の償却に加えて、取得年度に一定の償却率を上乗せ)および船舶の取得にかかる償却率の優遇措置(償却可能限度額 100%など)。

2 船舶の買換特例(圧縮記帳)売船益にかかる税金を繰延べすることができる等、船舶の買い換え時の特例措置。

3 トン数標準税制(みなし利益に対する課税)海運業にかかる法人税額を算出するにあたり、従来の「所得課税方式」と、「トン数標準課税方式(船舶の運航純トン数に基づく課税方式)」との選択ができる制度(24~28 ページ参照)。

4 第二船籍制度など船籍制度一定の条件のもとに、外国人船員を出身国の賃金水準で雇用することや、船員所得税の減免等を認めるもの。(日本の場合は、国際船舶制度)

5 船員所得税の免除・軽減自国籍船または前述の第二船籍の船に配乗される船員の所得税の一部または全額を船主あるいは船員に還付。

6 船員の社会保険料の軽減自国籍船または前述の第二船籍の船に配乗される船員の社会保険料の一部または全額を船主あるいは船員に還付。

7 船員の派遣・帰国費補助 船員の海外乗下船地への送還費用の一部を補助。

8 船員の訓練費補助自国籍船員確保のため船員訓練費用の一部を補助。

9 海運事業者への直接補助米国は、国家安全保障を理由として、自国商船隊に対して政府助成を行う新運航補助制度(MSP)を実施(23 ページ参照)。韓国は、非常事態に国民経済に緊急な物資と軍需物資を輸送するための船舶を国家必須船舶として制度化。

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Ⅱ.海運経営

国 名 主 な 海 運 強 化 策 関 連 事 項

10.主要国の海運強化策の概要

イギリス ○配乗要件の緩和 (1995年 8月~)

○危機発生時に徴用する戦略上重要な英国籍船の船長を英国・英連邦・EU・WATO加盟国各国籍に限定し、その他一切の国籍要件を廃止。

○マン島籍 ○マン島籍の英連邦籍の船舶にも適用。○乗組員について国籍に関する規制はなく、船長・機関長は英国発行の資格免状、EEAまたはNATO諸国の資格免状のいずれかを取得していればよい。○他の職員はSTCW条約締約国発行の資格免状を取得することが必要。○戦略上重要な一部のケミカルタンカーおよびRORO船の船長は英国、英連邦、EU、NATO加盟国籍に限定。

○圧縮記帳制度 Roll-over relief

○貿易目的で 100GT以上の船舶を購入し、英国、英連邦、EEAまたはEU籍とした場合、売船益への課税を6年間繰り延べ。○トン数税を選択している場合、適用されない。

○Finance Act 1996 で可決。 (1997年よりグループ内での売船により生じた売船益も対象)

○船員の所得税免除 UKForeign Earning Eduction

○年間 183日以上海外にいる場合、所得税が免除され、船員に還付。国籍・船籍に関係なく適用。

○毎年約 16,000 名の船員が申請を行い、約 160百万ポンド(約 208億円)が還付されている。

○船員の訓練費補助 (1998年 4月~) SMarT: Support for  MaritimeTraining

○ SMarT1:1回目(最初)の海技免状取得の為の全ての訓練。1人当たり限度額 12,000 ポンド(約 156万円)。○SMarT2:2回目(上級)海技免状取得の為の陸上訓練。1人当たり限度額 6,000ポンド(約 78万円)。○SMarT3:部員の技術向上の為の陸上訓練。○SMarT4:改正STCW条約に対応する為の職員の陸上訓練。

○SMarTは、改正STCW条約との整合性および運営の効率性から、従来のGAFT(初級海技免状取得を目指す訓練生に対する訓練費補助)とDOCS(上級の免状取得を目指すジュニアオフィサーに対する訓練費補助)を統合した制度。

○Tonnage Tax P26参照

ノルウェー ○ノルウェー国際船舶登録制度(NIS) (1987年 7月~)

○配乗要件に国籍要件はなく、STCW 条約締約国の海技免状およびノルウェーの有資格証明書を所有する者(但し、船長については、一定要件を具備していれば外国人の配乗可能)。○船長以外は外国人船員を出身国の賃金水準で雇用できる。(船長も例外規定があり弾力的に運用、実際にNIS船の約 55%はノルウェー人職員非配乗)

○ 2007年 7月 1日現在のNIS登録船:627隻 2,080 万D/W。

○船員特別控除制度 (1992年導入、2003年改正)

○総所得の 30%または最高 80,000NKr(約 111万円)を所得控除可能(NIS及びNOR(ノルウェー登録船舶)が対象)。

○ 130日以上乗船する船員、または海運会社に正規雇用されている船員でEU/EEA諸国の国籍を有する者。

※雇用費用還付制度はノルウェーに居住する船員であれば適用可。

年間予算(純賃金・雇用還付制度のみ):約 1,777百万NKr(約 247億円)。

○純賃金制度 (2002年導入、2008年改正)

○船員の所得税及び国民保険料等につき、1人あたり年198,000NKr(約 276万円)を上限として海運会社に還付される(NIS登録船舶は対象外)。

○雇用費用還付制度 (1993導入)

○NIS登録船舶の船員の総賃金の 9.3%、NOR登録船舶の船員の総賃金の 12.1%を海運会社が還付される。

○Tonnage Tax P26 ~27 参照

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Ⅱ.海運経営

国 名 主 な 海 運 強 化 策 関 連 事 項ド イ ツ ○ドイツ国際船舶登録

制度 (ISR/GIS) (1989年 5月~)

○配乗要件について、船長はドイツ国籍およびドイツの海技免状の保有(2006年からEU国籍およびEU国の免状でよい)。

○他の職員については、国籍要件はなく、ドイツの承認証を取得していなければならない。

○三航機以下の職員および部員について、一定数の外国人船員を出身国の賃金水準で雇用。

○船員の所得税軽減 (1999年 1月~)

○ 183日以上乗船している船員の所得税の 40%まで海運会社が留保可能。

 (当該期間を同一のドイツ海運会社(船主または用船者)に雇用されていること)

○約 1,200万 EURの所得税軽減(約13億円)。

○補助金制度 (2002年 1月~)

○海運会社が源泉徴収した税の約 40%相当を補助金として受給(EU/EEA諸国の国籍を有する船員に限定)。

○船員訓練のための補助金を含め5,700万ユーロ(約 63億円)。

○Tonnage Tax P25参照

フランス ○新たなフランス国際船舶登録制度

 RIF:French International Register 2005 年 5月 3日 法律採択 2007年 5月、 Keuguelen(ケルゲレン島)籍からRIFに移行

○船長と一等航海士を含む乗組員の 25%はフランス (または他のEUかEEA加盟国)国籍。残りの 75%の乗組員は他の国籍や地方の条件に基づいて採用。

○購入に際し、特別税の軽減により便益を得る船舶 (GIE fiscal:タックスリースによる船舶への資金調達スキーム)については、乗組員の 35%がフランスまたはEU、EEA加盟国籍であることが求められる。

○RIF登録船に年間 183日以上乗船する船員は、国籍を問わず所得税が免除される。

○RIF登録の船舶はいかなる場合においても国際労働機関(ILO)の法律文書に規定された最低条件を下回って運航することは許されない。

○ ITF(国際運輸労連)は、RIF登録船を便宜置籍船として分類したことによる影響が懸念されている。

○社会保険料の軽減 ○社会保険料の 2/3に当たる海運会社負担分を補助金によって補填(実質免除)。ただし自国籍船に乗り組む船員に限る。

○約 7,500万ユーロ(約 83億円)の補助金が予算措置として支払われている。

○近代化投資等補助金 ○コンテナ投資、船舶の改造、IT化、海運の生産性向上等に関する投資に対する助成。

○個別審査により支給。補助に伴う船舶の国内建造義務は 課されない。

○近海船への補助 ○運航コストの最大 30%を補助。 ○ 2004年予算:200万 EUR(2.2億円)。

○Tonnage Tax オランダの制度と概ね同様。

デンマーク ○デンマーク国際船舶登録制度(DIS)

 (1988年 7月~)

○配乗要件について、船長はデンマーク人でなければならない(但し、外国人がデンマークに永住かつSTCW条約の要件を満たす場合などの条件を満たせば例外が認められる)。

○他の職員の場合は、国籍要件はなくデンマークの海技免状以外でもEU域内在住者はその国の海技免状 (EU以外であってもデンマークが承認した国の海技免状)、またはSTCW条約を満たす海技免状を受有するもの。

○船長以外は外国人船員を出身国の賃金水準で雇用。(但し、実際は乗組員の 70%がデンマーク人)

○DIS船以外の船舶の場合は、デンマークの海技免状保有者のみ乗船 できる。

○ 2007 年 5月現在のDIS登録船:507隻、1,074 万D/W

○圧縮記帳制度 ○売船益の課税繰り延べ。

○船員の所得税免除・軽減

○DIS船に乗り組む船員の所得税は免除。船長以外は国籍を問わない。

○従来のデンマーク籍船に乗り組む船員には年56,900DKr(約 84万円)を上限とする所得控除。

○DIS船: 約 600百 万DKr( 約 89億円)の軽減。

○従来のデンマーク籍船:約 1百万DKr(約 15百万円)の軽減。

○Tonnage Tax P27参照

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Ⅱ.海運経営

国 名 主 な 海 運 強 化 策 関 連 事 項オランダ Tonnage Tax P24~25参照

○船員雇用促進措置 ○EU加盟国又はEEA加盟国の国籍を有するオランダ居住の船員の所得税、社会保障費について、賃金の 40%を上限に海運会社が留保可能。

○配乗要件の緩和 ○配乗要件として、船長はオランダ国籍、EU各国または二国間協定のある国の国籍に限られる。○さらにオランダ国籍以外の者が船長、機関長、一等航海士、一等機関士で乗組む場合、オランダ政府発行の資格証明が必要で国内法令試験の合格が求められる。○その他の職員の場合には、承認制度(EU、EEA諸国の資格認定は承認され、その他の国であれば調査を経て承認する)により承認された国の人で承認済み技能認定書を受有するもの。

E   U ○海運に対する国家補助のガイドライン 1997年 7月 5日発効

○トン数税を含む財務上の補助については、域内国籍との関連が証明される限り、加盟国域内で設立された海運会社が運航する商船隊全体に拡大(加盟国籍船への限定不可)。○加盟国登録船舶に雇用されているEU船員の社会保障費と所得税率を最大ゼロまで軽減可。○加盟国登録船舶に乗船するEU船員の帰国経費の補助可。○加盟国登録船舶で行われる訓練に対し補助可(訓練生は補助員)。

○EU加盟国は、本ガイドラインに定められる範囲内で、自国の海運政策を決定する。

○新ガイドラインに対応した各国による制度改正(船籍要件、適用対象船舶、適用対象業種等)が進められている。

○欧州委員会(EC)の海上輸送に対する国家補助に関する新ガイドライン

 (2003年 10月 10日採択、2004年 1月17日発効)

[新ガイドライン(2004年 1月 17日)の目的] 欧州共通の国家補助制度(トン数税制を含む)の確立、欧州船籍への登録・復帰の促進。

[トン数標準税制に係る要件]○トン数標準税制の適用を受けるEU各国船社の運航船舶は、EU/EEA国籍に登録しなければならない。

○船社が国家補助(トン数標準税制)による恩恵を受けるためには、延べ保有船腹量の最低 60%をEU/EEA登録船舶としなければならない。※従来は所有船(含む第二船籍、裸傭船):定期用船= 1:3~1:4となっており、自国籍船の比率のみ規定。

[加盟国に対する制度改正の提言]○各国における国家補助制度(トン数標準税制を含む)を 2005年 6月 30日までにECの新ガイドラインに適合するよう修正することを提言。

[各国における法制上の対応]○トン数標準税制の適用船社に対して、同税制の適用船舶にEU/EEA国籍への登録を義務付けるとともに、運航船舶に占めるEU/EEA籍船の比率を維持・増加させるよう、船籍要件を改定。

○但し、各国ともガイドラインに定められているEU/EEA籍船の割合や、EU/EEA籍船比率の維持・増加の遵守を厳格に求めている訳ではなく、適用除外規定を設けている。

○トン数標準税制導入国の全てが、ガイドラインの求める期限(2005年 6月 30日)までに法制上の対応を行っているわけではなく、まだ改正法が発効・施行されていない国や、別途発効条件が定められている国、特段改正を予定していない国もあり、国によってばらつきがみられる。

[ガイドラインの船籍要件の適用除外規定]①船社の運航船舶におけるEU/EEA籍船の割合が、既に保有船腹量の 60%に達している場合。

②船社の運航船舶におけるEU/EAA籍船の割合が、新ガイドライン発効時(2004年 1月 17日)もしくはトン数標準税制適用開始期に比べて、減少していない場合。

注)① 日本船主協会、運輸政策研究機構、㈶日本海事センター調べによる(2010 年 12 月現在把握している施策)。  ② 換算レートは、2010 年 12 月平均。英ポンド= 130.29 円、ノルウェークローネ(NKr)= 13.92 円、    ユーロ(EUR)= 110.19 円、デンマーククローネ(DKr)= 14.79 円、米ドル= 83.45 円、韓国ウォン(KRW)= 0.07 円

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Ⅱ.海運経営

国 名 主 な 海 運 強 化 策 関 連 事 項アメリカ ○MSP (Maritime

     Security      Program) (1996~2005年     会計年度)

○MSPは、有事の際に徴用できる自国籍船商船隊の維持に関する 1996 年のMaritime Security Act に基づき導入された制度。

○ 1996年会計年度から 10年間にわたり、毎年合計 1億ドル(約 83億円)を最高 47隻の米国籍船に支給。

 (1隻当たり年額:213万ドル=約 1.8億円)

○ 1996年会計年度で新規契約が打ち切られた運航差額補助(ODS: Operating Differential Subsidy)に代わる制度。

○新MSP (2006~2015年     会計年度)

○ 2003年のMaritime Security Act に基づき、上記の現行MSPの対象と予算を拡大する形で導入された制度。

○ 2004年 7月に発表された規則案によると、2006年会計年度から 10年にわたり、最高 60隻の米国籍船に以下の補助金を支給。

 2006~2008年会計年度     →合計 1.56億ドル(約 130億円)。      1隻あたり年額 260万ドル(約 2.2億円)。 2009~2011年会計年度     →合計 1.74億ドル(約 145億円)。      1隻あたり年額 290万ドル(約 2.4億円)。 2012~2015年会計年度     →合計 1.86億ドル(約 155億円)。      1隻あたり年額 310万ドル(約 2.6億円)。○ 2010年 3月現在、14 船社・60 隻が対象。

○新MSP の目的は、現行MSPと同じで、有事に徴用できる米国籍船の確保。

○配乗要件 ○配乗要件について、船員の 75%(船長含む)は米国人でなければならない。また、船長は米国人でなければならないが、それ以外の職種は国籍要件はない。

○その他の 25%は、米国人かグリーンカード(労働許可証)を保持していれば外国人でも良い。

○外国人船員も米国人と同額の賃金体系のためコスト削減には繋がらない。

○国防の観点から米国人船員の雇用を奨励。

○Tonnage Tax P28参照

韓  国 ○済州船舶登録特区制度(2002年 4月~)

○登録船舶の要件では、①自国船籍の国際船舶として登録された 500総トン以上の外航船またはBBCHP (Bare Boat Charter Hire Purchase:国籍取得条件付裸用船)として償還時に韓国籍を取得することを条件にした外国籍船、②登録港を済州道内の開港、とする。

○配乗要件は、外国人船員の配乗は原則として部員に限り 1隻あたり 6名まで。(但し、各船社の外国人船員数の合計が、保有船舶数に 1隻当りの配乗可能船員数 (6名)を乗じた数の範囲内であれば、船舶によっては 6名以上の配乗が認められる。)

○税制上の優遇措置について、登録船舶は①新造船または海外購入の場合は船価の 0.02%、②船籍変更の場合は 1隻当り 7,500ウォンの登録税のみを納入すればその他の諸税は全て免除される。

○BBCHP(Bare Boat Charter Hire Purchase:国籍取得条件付裸用船)は、船舶建造に際して外国銀行などから調達した借入金を全額償還したときに韓国籍を取得(所有権を便宜置籍から韓国へ移転)する条件として、①資金返済期間中の便宜置籍、②外貨建て資金による船舶建造を認める制度。

○BBCHPには、韓国籍船と同様に、韓国の法令(船員法等)が適用される。

○BBCHP は、実質的に便宜置籍船であるにもかかわらず、政府にとって当該船舶の船籍、所有権の所在を把握できることと、船社にとってもコスト軽減を図る便宜置籍と国際金融市場における低金利資金を活用することで資本コスト削減メリットがある。

○船舶投資会社制度 (2002年 5月~)

○同制度は韓国海運と外航商船隊を整備強化するために船舶金融市場の確立を目的とするもの。

○民間資本の導入を自由化するとともに民間投資家や各種金融機関に船舶投資のインセンティブを付与することで、船舶建造資金の安定的な供給源とするものである。

○投資家に対し、船舶投資会社から受け取る配当金所得に関する一部非課税措置の導入等、税制上のインセンティブを付与。

○投資資金の 50%以上を外国人から 調達している場合には、船舶を外国に登録することを許可し、外国人投資家の資金を誘導する効果がある。

○所得税軽減措置 ○船籍・国籍を問わず国外を航行する船舶で働く者であれば船員の資格を有さない者でも対象となり、課税所得から月額 150万 KRW(約 11万円)まで控除可能。

○Tonnage Tax P28参照

注)① 日本船主協会、運輸政策研究機構、㈶日本海事センター調べによる(2010 年 12 月現在把握している施策)。  ② 換算レートは、2010 年 12 月平均。英ポンド= 130.29 円、ノルウェークローネ(NKr)= 13.92 円、    ユーロ(EUR)= 110.19 円、デンマーククローネ(DKr)= 14.79 円、米ドル= 83.45 円、韓国ウォン(KRW)= 0.07 円

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国 名 制 度 の 概 要

注)日本船主協会調べによる(2010 年 12 月現在)。

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Ⅱ.海運経営

11.トン数標準税制一覧

●先進海運諸国が相次いで導入してきたトン数標準税制が、国際的な競争条件の均衡化を図る目的等から、2009 年 4 月より、わが国においても実施されている。 わが国の制度は対象が日本籍船に限定されている等、諸外国の制度と比べ、劣るものとなっている。●導入国:ギリシャ(1939 年)、オランダ(1996 年)、ノルウェー(1996 年)、ドイツ(1999 年)、英国(2000 年)、デンマーク(2001 年)、フィンランド(2002 年)、アイルランド(2002 年)、フランス(2003 年)、スペイン(2003 年)、ベルギー(2003 年)、米国(2004 年)、韓国(2005 年)、イタリア(2005 年)、インド(2005 年)、ポーランド(2006 年)、リトアニア(2007 年)、日本(2009 年)、キプロス(2010 年)【以上 19ヶ国(2010 年 12 月時点)】

日     本

①適用開始日:2009 年 4 月

②選択方式および拘束期間: ○強制ではなく、納税者が選択。 ○ 2009 年(or 2010 年)4月からの 5年間(5年間変更不可)。 ○ 5 年後、更に 5 年間適用可能。

③適用範囲(対象): ○日本籍船に係る所得のみ。

④みなし利益(1日当たり 100 純トン当たり):~ 1,000 純トン 120 円

1,001 ~ 10,000 純トン 90 円10,001 ~ 25,000 純トン 60 円25,001 純トン~ 30 円

※「(日本籍船に係る本来の所得)-(みなし利益により算出される所得)」の金額を所得控除(損金算入)できる。

⑤その他関連事項: ○対象事業者は船舶運航事業者(日本の国土交通省に届出・報告をしている事業者)のみ。 ○手続の概要:・国土交通大臣が「日本船舶および船員の確保に関する基本方針」を定め、国土交通省が基本方針に沿った認定基準(「日本籍船を 5年間で 2倍以上とすること」、「毎年度、日本籍船 1隻当たり 1名以上の日本人船員を訓練すること」、「毎年度、日本籍船 1隻当たり 4名以上の日本人船員を雇用していること」等)を定める。

・トン数税制を適用したい事業者は、基本方針および認定基準に沿った 5年計画を作成し国土交通大臣に申請。

・国土交通大臣による認定が行われ、認定された事業者は 5年間、トン数税制を適用できる(毎年度、結果を報告しなければならない)。

・5年後、引き続きトン数税制を適用したい事業者は、更なる 5年計画を作成し国土交通大臣に再認定を申請(5年間で止めることも可能)。

オ ラ ン ダ

①適用開始日:1996 年 1 月 1 日

②選択方式および拘束期間: ○強制ではなく、納税者が選択。 ○ 10 年間変更不可(10 年単位での選択となる)。 ○導入時の特別措置として、2年以内(1998 年まで)に申請すれば適用されるが、遡及適用されない。

③適用範囲(対象): ○トン数標準税制の対象所得運賃収入(所有船、定期用船、裸用船)、用船料収入(定期用船料、航海用船料)、船舶管理、船舶売却益(キャピタルゲイン)

 ○従来の要件(3倍ルール)は 2006 年 1 月 1 日で廃止。・定期用船及び他社のために管理している船舶も対象。(運航している所有船+共有船+裸用船の 3倍以内。超過すると定期用船または他社の管理船は全船対象外となる)

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Ⅱ.海運経営

国 名 制 度 の 概 要

注)日本船主協会調べによる(2010 年 12 月現在)。

オ ラ ン ダ

 ○適用範囲外の所得は通常の法人税。 ○トン数標準税制を選択しない会社  ①トン数標準税制の適格事業者であれば、年間 20%定額償却が認められる。  ②法人税(2010 年 1 月 1 日~)   法人所得 20 万ユーロ以下:20%       〃    超 :25.5%

④みなし利益(1日当たり 100 純トン当たり):~1,000 純トン EUR 0.91

1,001~10,000 純トン EUR 0.6810,001~25,000 純トン EUR 0.4525,001 純トン~ EUR 0.23

⑤その他条件等関連事項: ○ オランダの会社、主要な管理をオランダから行っている会社、あるいは、オランダにはないがオランダの支社等を通じて運営している企業が対象。

 <要件>  ・オランダの所得税又は法人税の納税義務者。  ・納税者が、客船又は貨物用の外航船舶を所有。  ・納税者が、自社船舶を事業の用に供していること。  ・ 船舶所有者のために船員全員の管理と船舶の技術的管理を全て行っている場合は所有していなくても

適用可。  ・EU又は EEA船籍である。

⑥ECガイドラインに対応した各国における制度改正状況: ○ 『2005 年その他財政措置法(海事財政一括法)』(OFM2005 :Other Fiscal Measures)が 2006 年 1 月から施行。

 ○ 定期用船の比率(3倍ルール)は廃止。 ○ 船籍要件をEU籍船のトン数シェアが 60%に達しているか、あるいは 2004 年 1 月 17 日以降シェアが低下していないこと。

 ○ 適用対象船舶   年間オペレーションの半分以上が外航輸送もしくは公海上で行われていくことを条件として、浚渫船、タグボート、ケーブル敷設船、調査船も対象。

ド イ ツ

①適用開始日:1999 年 1 月 1 日

②選択方式および拘束期間: ○強制ではなく、納税者が選択。 ○ 10 年間変更不可。(10 年単位での選択となる) ○導入時の特別措置として、3年以内(2001 年まで)に申請すれば適用されるが、遡及適用されない。

③適用範囲(対象): ○トン数標準税制の対象所得 ※ 1,2   運賃収入(所有船、定期用船、裸用船)、用船料収入(定期用船料、航海用船料)、船舶管理(ドイツにおいて船舶の管理)

   ※ 1 算出基礎となる対象船舶:国際運送に従事するドイツ登録船舶(私法上の権利関係の登録)に限定。(但し、ドイツ登録船舶以外の船舶に対しても 2年間は適用可能であり、この「2年間」は延長可)

   ※ 2 ドイツにおいて船舶の管理を行う船社が対象。

 ○ 3 倍ルール有り。  ドイツ登録船以外の定期用船をした船舶が、全体の 75%以下であること。 ○適用範囲外の所得は通常の法人税。

④みなし利益(1日当たり 100 純トン当たり):~1,000 純トン EUR 0.92

1,001~10,000 純トン EUR 0.6910,001~25,000 純トン EUR 0.4625,001 純トン~ EUR 0.23

⑤その他条件等関連事項: ○ 船舶会社はドイツでビジネスおよび企業運営をしなければならない。外国の船主は、ドイツ籍に船舶を登録し船舶の実質的管理をドイツで行う必要がある。

 ○ 最低 1隻のドイツ籍船の保有義務あり。

⑥EC ガイドラインに対応した各国における制度改正状況: ○ ECガイドライン発表後、特にこれに対応したドイツのトン数標準税制に関する変更は行われていな

い。非ドイツ登録の定期用船に対しても、所有船の 3倍以内であればトン数標準税制の適用が認められる。(3倍ルールは維持)

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Ⅱ.海運経営

国 名 制 度 の 概 要

注)日本船主協会調べによる(2010 年 12 月現在)。

イ ギ リ ス

①適用開始日:2000 年 1 月 1 日

②選択方式および拘束期間: ○強制ではなく、納税者が選択。(連結納税グループとしての選択) ○ 10 年単位での選択となる。 ○トン数標準税制を選んだ年の会計年度より適用。(2000 年 1 月 1 日以降)

③適用範囲(対象): ○トン数標準税制の対象所得 ※ 1   運賃収入(所有船、定期用船、裸用船)、用船料収入(定期用船料、航海用船料)、船舶管理(但し、自社の余剰スタッフを船舶管理事業に従事させた場合に限定)、船舶売却益

   ※ 1 適用船舶は遠洋航海に従事する(seagoing)100G/T以上の船舶に限定。

 ○ 3倍ルール有り。  定期用船の割合は、所有船+用船の合計を含めた全体の 75%以内という総量制限。

④みなし利益(1日当たり 100 純トン当たり):~1,000 純トン Stg 0.60

1,001~10,000 純トン Stg 0.4510,001~25,000 純トン Stg 0.3025,001 純トン~ Stg 0.15

⑤その他条件等関連事項: ○ トン数標準税制を選んだ船社は、毎年、雇用している職員 15 人につき1人を訓練する義務、または、資金供出(一人当たり月 500 ポンド)の義務がある。

 ○ 企業は法人税の対象となり、英国内で戦略的及び商業的に管理される適格船舶を運航していること。(チャーター船の割合には制限あり)

⑥ECガイドラインに対応した各国における制度改正状況 ○ 船籍要件:EU加盟国籍船のトン数のシェアが 60%に達しているか、あるいはトン数標準税制の適用開始時点から減少していないこと。

 ○ トン数標準税制の適用を受けるEU各国船社の運航船舶は、EU/EEA国籍に登録しなければならない。(除外規定あり)

 ○船舶リース規則   工場・機械・設備などのリースによる資金調達方式で、資本控除を利用できる課税について、他の資金調達方式の課税措置と一致させる制限規則がある。但し、トン税適用の海運会社に直接、またはトン税適用グループの 1社を経由して間接的にリースが行われる限り、長期的な資金調達が必要な船舶のリースには、上記の制限規則が適用されない。

ノルウェー

 ※右記は新制度  (2007.1~)の  概要

①適用開始日:1996 年 6 月~       2007 年 1 月~新トン数標準税制       (※新制度は旧制度の繰り延べ方式から標準的な絶対免税方式に変更)

②選択方式および拘束期間: ○強制適用ではなく、納税者が選択。 ○ 10 年単位での選択となる。 ○同じグループ企業に属するトン数標準税制選択可能会社の全てが同じ選択を行わなければならない。   (2009 年~)

③適用範囲(対象): ○トン数標準税制の対象所得  ・運賃収入(所有船、定期用船、裸用船)、用船料収入(定期用船料、航海用船料)、船舶管理、船舶売    却益(キャピタルゲイン)  ・トン数標準税制外のグループ関連会社に対する日々のテクニカルオペレーションやメンテナンスおよ   び戦略的・商業的マネージメント  ・貨物の積み下ろし、港湾地区での貨物や旅客の輸送、コンテナリース、旅客の乗降、door to door     transport など海上運送事業に密接に関係のある活動(但し、純粋な船舶管理会社は対象とならない)等 ○EU諸国と異なり所有船と用船の割合を定める必要はない。

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Ⅱ.海運経営

国 名 制 度 の 概 要

注)日本船主協会調べによる(2010 年 12 月現在)。

ノルウェー

 ※右記は新制度  (2007.1~)の  概要

④みなし利益(1日当たり 1000 純トン当たり):~1,000 純トン 無税

1,001~10,000 純トン Nkr 1810,001~25,000 純トン Nkr 1225,001 純トン~ Nkr 6

  *環境に考慮した船舶には上記税率の軽減措置あり

⑤その他条件等関連事項: ○ 旧制度から引き続き、適格海運会社は a separate Norwegian company(海運関連事業だけを行う会社)という要件がある。

 ○ 適格海運会社となるためにEU諸国モデルのように自国で戦略的および商業的マネージメントを行う必要はない。

デンマーク

①適用開始日:2001 年 1 月 1 日より遡及適用

②選択方式および拘束期間: ○強制ではなく、納税者が選択。 ○トン数標準税制と通常の法人税の何れを選択しても、10 年間は他の方式に変更不可。 ○原則としてグループ単位での選択。 ○選択できる期間は限定なし。

③適用範囲(対象): ○トン数標準税制の対象所得※ 1   運賃収入(所有船、定期用船、裸用船)、用船料収入(定期用船料、裸用船料※ 2、航海用船料)、船舶管理(EUガイドラインに沿ったもの)、貨物旅客運送およびその関連業務。船舶売却益(2007 年 6 月改正)プールマネジメント※ 3

   ※ 1  20GT 以上の定期用船が対象。船舶リースは海運事業とみなされない。   ※ 2  船腹過剰時、各船毎一度に限り、3年間まで。   ※ 3  プロダクトタンカーなどの船種をまとめて営業請負いや共通管理する効率的な経営形態。 ○定期用船が所有船+裸用船の 4倍を超えないこと。   ※ 2008 年に倍率を 4→ 10 倍に引き上げる法案が提出され、可決。現在欧州委員会の承認待ち。

④みなし利益(1日当たり 100 純トン当たり):~1,000 純トン DKK 8.97

1,001~10,000 純トン DKK 6.4410,001~25,000 純トン DKK 3.8525,001 純トン~ DKK 2.53

⑤その他条件等関連事項: ○ デンマークの会社、デンマーク国内に恒久的施設を有するEUの会社、またはデンマークにてマネジメントおよび納税を行っている全ての会社が対象。

⑥ECガイドラインに対応した各国における制度改正状況: 2005 年 5 月 26 日新法案可決(同 7月 1日発効) ○ 船籍要件の改定:EU加盟国籍船のトン数のシェアが 60%に達しているか、あるいは前事業年度期中に減少していないこと。

 ○ 適用対象業種の拡大:海運事業は、物資および乗客の海上輸送および関連活動(造船所、旅客ターミナル、コンテナ、乗船券販売所、大型フェリー・クルーズ船などの船内賃貸収入、その他関連事務所の運営と維持)。

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Ⅱ.海運経営

国 名 制 度 の 概 要

注)日本船主協会調べによる(2010 年 12 月現在)。

韓     国

①適用開始日:2005 年 1 月

②選択方式および拘束期間: ○強制ではなく、納税者が選択。  外航貨物運送事業及び外航旅客運送事業を営む企業のみが選択可能。 ○ 5年間変更不可。

③適用範囲(対象): ○トン数標準税制の対象所得※ 1  運賃収入(所有船、定期用船、裸用船)、用船料収入、船舶管理、船舶売却益(キャピタルゲイン)   ※ 1 「定期・不定期の外航貨物船」及び「定期・不定期の外航旅客船」   ※ 2  2 年未満の期間で用船した外国船舶の年間運航純トン数(NT)の合計が、当該企業の基準船舶

の年間運航NTの合計 5倍を超えない企業。      【 基準船舶:国際船舶登録法に基づく国際船舶で 、①所有船舶および国籍取得条件付裸用船。

②当該企業が 2年以上の用船期間で用船した船舶(但し、この船舶を再貸船した場合、同船舶は除外)。】

   ※ 3  所有船、裸用船及び 2年以上の定期用船等が、2年未満の短期用船に対し、20%以上であること。

 ○適用外の所得は通常の法人税。

④みなし利益(1日当たり 100 純トン当たり):~1,000 純トン W 1,400

1,001~10,000 純トン W 1,10010,001~25,000 純トン W  70025,001 純トン~ W  400

⑤その他条件等関連事項: ○ 韓国の会社、韓国の商法に依拠登録された海運企業として法人税の課税対象で、トン税の適用要件を満たす企業。

ア メ リ カ

①適用開始日:2004 年 10 月

②選択方式および拘束期間: ○強制ではなく、納税者が選択。 ○拘束期間はないが、途中で取りやめた場合、その 5年間選択できない。

③適用範囲(対象): ○トン数標準税制の対象所得 ※ 1~3   運賃収入(所有船、定期用船、裸用船)、用船料収入(定期用船料、裸用船料※ 4、航海用船料)、船舶管理、船舶売却益(キャピタルゲイン)

   ※ 1 国家運送に従事する米国籍船   ※ 2 自国籍船の保有義務(裸用船も可)として全体の 25%以上。   ※ 3 10,000 重量トン(DWT)であったが、2006 年 5 月より 6,000DWTに要件を緩和。   ※ 4  当該船舶が一時的に余剰となり、用船期間が 3年を超えない場合。または、最終用船先が結果

的に企業グループメンバーに再裸用船か定期用船している場合に限定。

 ○米国籍船については船員の 3/4以上を米国人とすることが必要(トン数標準税制の適用条件ではない)。

④みなし利益(1日当たり 100 純トン当たり):~25,000 純トン US$ 425,001 純トン~ US$ 2

⑤その他条件等関連事項: ○有事における徴用を条件として、米国籍船に対し国防省が補助を実施。

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Ⅱ.海運経営

12.日本と欧州主要国の船舶償却制度の比較

●欧州主要国は、市況変動の影響を受けやすい海運業の特殊性に鑑み、船舶償却制度をはじめ有利な税制措置を講じてきたが、近年は自国海運の競争力の更なる強化のためにトン数標準税制を導入している。また、船社がトン数標準税制を選択しない場合に利用することができる船舶償却制度を含む従来の税制は、各国において概ね維持されている。●わが国の償却制度は、船舶特別償却を利用してもなお主要海運国の償却制度に比べ依然不利な条件となっている。このため、特別償却制度は、外航船の国際競争力確保の観点から必要不可欠な制度である。

取得後 5年間の償却可能範囲と償却制度の概要

日  本タンカーは65%

60%

※図は外航環境低負荷外国籍船(一般貨物船)

●H23.4.1 以降に新規に取得する資産(船舶)については 200%定率法(償却率は(1/耐用年数)× 200%)を適用●タンカー(耐用年数 13 年、定率 15.4%、定額 7.7%)●一般貨物船(耐用年数 15 年、定率 13.3%、定額 6.7%)●外航環境低負荷船(3,000G/T 以上)特別償却 ・日本籍船:18%  ・外国籍船:16%●内航環境低負荷船(300G/T 以上)特別償却 ・16%(環境負荷低減に著しく資する船舶:18%)※上記はH23 年度税制改正大綱結果を踏まえたものとしている

フランス87%

●取得後 5年間 28.13% 以降 3年間 33.33%定率償却(耐用年数 8年)●事前減価償却制度あり●償却可能限度額 100%●2003 年よりトン数標準税制導入※図は事前償却を 33.33% としている。

オランダ100%(※)

●20%定額償却 (耐用年数は技術的に使用可能と見積もられる年数を基準に設定)●上記償却率はトン数標準税制の適格事業者が優遇される (トン数標準税制の適格事業者でない場合は 11.8%定率償却)●償却可能限度額は、経済耐用年数経過後の価額(残存価額)とする●1996 年よりトン数標準税制導入※残存価額を除いたものとしている。

ドイツ76%(※)

●24.9%定率償却 8.33%定額償却 (2006 年 12 月 31 日以前に取得した船舶)●16.66% 定率償却 8.33% 定額償却 (2007 年 12 月 31 日までに取得した船舶)●8.33% 定額償却 (2008 年 1 月 1 日以降に取得した船舶)●耐用年数は 12 年●償却可能限度額 100%●1999 年よりトン数標準税制導入※2010 年 12 月末時点で船齢 4年以上の船舶を対象。

注)日本船主協会調べによる(2010 年 12 月現在把握している概要)。

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Ⅱ.海運経営

13.タックスヘイブン対策税制

●現行のタックスヘイブン対策税制(昭和 53 年制定)は課税逃れを防ぐという本来の目的を超えた制度となっており、本税制が適用される海外子会社(特定外国子会社)の黒字(留保所得)は親会社の所得に合算される一方、子会社の赤字(欠損)の合算は認められていない。●親会社は不公正な税負担を強いられているため、早急な改善が必要である。

タックスヘイブン対策税制が適用される場合

合算所得の計算方法

①外国関係会社要件 子会社発行済株式の 50%超を日本法人(又は居住者)が直接・間接に保有 ②トリガー税率 子会社の本店(又は主たる事務所)のある国(又は地域)の税率が 20%以下

③納税義務者要件 親会社が上記①・②を満たした子会社発行済株式の 10%以上を直接・間接に保有

④ 上記①~③を満たした場合、適用除外基準(事業基準、実体基準、 管理支配基準、非関連者基準)の 4つの要件に照らし、適用対象かどうかを判定

※ 1.事業基準において業種が「船舶の貸付」であれば同税制の適用となる。※ 2. 適用除外基準の 4つの要件を満たした場合でも、資産性所得が存在する場合には一定基準のもと同

所得のみ合算される。

親会社所得 300、特定外国子会社A社所得 100・B社欠損 200 の場合、現行制度では、赤字(欠損)の合算は認められない。

注 1 ) 留保所得(=課税対象留保金額)    親会社への合算対象となる子会社の所得は次のように計算される。   ① 適用対象留保金額=(未処分所得+当期中に還付される法人所得税額)-(繰越欠損金の(7年)当期控

除額+当期中に納める法人所得額+当期配当額)   ② 課税対象留保金額=適用対象留保金額×持株比率(親会社による株式等の持ち分割合)注 2 ) 親会社の「直接保有」する会社とは「子会社」を指し、「間接所有」する会社とは「孫会社(又は曾孫会社以

下)」を指す。間接保有の持株比率計算例:50%子会社の 50%子会社(親会社からみた孫会社)の場合、50 ×50%= 25%。

親会社µ 特定外国子会社µ 親会社(合算後)µ

所得

所得

子会社の所得

のみ合算欠損300+100=400本社所得+子会社所得

所得

A社 A社所得

本社所得

欠損

B社

300100

300

100

200     

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Ⅲ.外航船員

1 .外航船員数の推移

●2009 年 10 月 1 日現在、外航船に乗船する日本人船員数は 2,384 人。前年比 237 人(9.0%)減少。●日本人船員には、単なる船舶運航要員にとどまらず、外国人船員の育成・指導に当たる役割とともに、陸上での船舶管理部門や企業経営を担う資質が必要とされている。

外航船員数の推移

年 配乗船隻数 外航日本人船員数 職 員 部 員1982 731 32,674 12,521 20,1531985 621 25,250 10,439 14,8111987 401 14,984 6,833 8,1511990 203 7,566 4,097 3,469

1995 269 8,384 5,962 2,4221996 251 7,622 5,528 2,0941997 230 6,845 5,100 1,7451998 215 6,234 4,740 1,4941999 192 5,554 4,212 1,3422000 159 5,030 3,659 1,3712001 139 4,233 3,129 1,1042002 141 3,880 2,837 1,0432003 134 3,336 2,629 7072004 126 3,008 2,373 6352005 115 2,628 2,156 4722006 108 2,650 2,108 5422007 - 2,649 2,119 5302008 - 2,621 1,906 7152009 - 2,384 1,838 546

注)① 1990 年以前は、旧外航労務協会および旧外航中小船主労務協会調べによる。1995 年~2005 年は国土交通省「船員統計」による。従って、1990 年以前の数値と 1995 年以降の数値には連続性がない。

  ② 2006 年以降の数値は、国土交通省海事局調べによる。(2007 年以降の配乗船隻数は未集計)

(人)µ

1982 1985 1987 1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

30,000

40,000

20,000

10,000

0

部員µ

職員µ20,153

14,811

8,151

12,521

10,439

6,833

2,094

5,528

1,745

5,100

1,494

4,740

1,342

4,212

1,371

3,659

1,104

3,129

1,043

2,837

635

2,373

2005

472

2,156

707

2,629

2006 2007 2008

542

2,108

530

2,119

715

1,906

2009

546

1,838

(年)µ

3,469

4,097

2,422

5,962

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Ⅲ.外航船員

2 .年齢・階層別の船員数

●2009 年 10 月 1 日現在の外航海運会社の年齢別職員数を見ると、25~60 歳台の 5年毎の人数は概ね 250~350 人規模に収束している。

注)① 国土交通省海事局調べによる(船員法第 5条に規定する船舶所有者からの報告に基づく)。  ② 本統計の対象となる船員とは、船員法第 1条に規定する船員(日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令に

定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員)である。

30

20

25

0 1,0000

2,832人µ

日本人船員 546人外国人船員2,286人

207人(7.3%)µ

319人(11.3%)µ

466人(16.5%)µ

551人(19.4%)µ

631人(22.3%)µ

8人(0.3%)µ

333人(11.8%)µ

(人)µ

(歳)µ

55

50

45

40

35

60

総計5,201人µ

1,000(人)µ

101人(4.3%)µ 56人(2.0%)µ

297人(12.5%)µ 136人(4.8%)µ

319人(13.5%)µ 125人(4.4%)µ

256人(10.8%)µ

236人(10.0%)µ

289人(12.2%)µ

278人(11.7%)µ

353人(14.9%)µ

240人(10.1%)µ

0人(0.0%)µ

2,369人µ

日本人船員1,838人外国人船員 531人

職  員 部  員

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Ⅳ.内航海運

1 .国内輸送機関別にみた貨物輸送の推移

● 2008 年度の内航貨物輸送量は、トン数ベースでは 3.8 億トンと国内輸送機関別輸送量の 全体に占める割合は 7.4%であるが、輸送量に輸送距離を乗じた輸送活動量(トンキロ)ベースでは 1,880 億トンキロと 33.7%に及び、内航海運が特に鉄鋼、石油、セメント等の産業基礎資材の長距離・大量輸送に適した輸送機関であることを示している。● 1トンの貨物を 1 km運ぶのに必要なエネルギー消費量は内航海運は、自家用自動車の約 1/20、営業用自動車の約 1/4であり、環境にやさしい輸送機関である。

年 度 輸 送 ト ン・ キ ロ(億トンキロ) 平 均 輸 送 距 離(km)内 航 自動車 鉄 道 航 空 合 計 内 航 自動車 鉄 道

1975 1,836 1,297 471 1.5 3,605 406 30 26150.9 % 36.0 % 13.1 % 0.04 % 100 %

1980 2,222 1,789 374 2.9 4,388 444 34 23050.6 % 40.8 % 8.5 % 0.07 % 100 %

1985 2,058 2,059 219 4.8 4,342 455 41 22747.4 % 47.5 % 5.1 % 0.11 % 100 %

1990 2,445 2,742 272 8.0 5,468 425 45 31444.7 % 50.2 % 5.0 % 0.15 % 100%

1995 2,383 2,946 251 9.2 5,580 434 49 32642.7 % 52.8 % 4.5 % 0.17 % 100 %

2000 2,417 3,131 221 10.8 5,780 450 54 37341.8 % 54.2 % 3.8 % 0.19% 100 %

2005 2,116 3,350 228 10.8 5,704 497 68 43537.1 % 58.7 % 4.0 % 0.19% 100 %

2006 2,078 3,465 232 10.9 5,787 499 70 44735.9 % 59.9% 4.0 % 0.19 % 100 %

2007 2,030 3,548 233 11.5 5,822 495 72 45934.9 % 60.9 % 4.0 % 0.20 % 100 %

2008 1,880 3,460 223 10.8 5,576 496 73 48133.7 % 62.1 % 4.0 % 0.20 % 100 %

注)① 日本内航海運組合総連合会「内航海運の活動」(平成 22 年度版)による。  ② 輸送トン・キロの各年度下段の%表示は、輸送機関別シェアである。

0

1,000

2,500

4,000

3,500

1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2006 2007 2008

(億トンキロ)

500

1,500

2,000

3,000

内航海運

自動車

鉄道

航空

(年度)

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Ⅳ.内航海運

2 .内航海運の企業規模

●内航海運の事業者の多くは小規模事業者であり、総事業者数のうち資本金 3億円未満の事業者と個人事業者が占める割合は 95.4%。●わが国の経済社会情勢に的確に対応しつつ企業基盤を充実させるには、構造改善対策の推進が必要。

資本金別にみた登録事業者数 (平成 22 年 3 月末現在)

区    分 個  人 1,000 万円未   満

1,000 万円以上5,000 万円未満

5,000 万円以上3 億円未満

3億円以上5億円未満 5億円以上 計

運 送 業 事業者数 22 129 365 112 26 47 701構成比% 3.1 18.4 52.1 16.0 3.7 6.7 100.0

船舶貸渡業 事業者数 181 671 743 54 25 12 1,686構成比% 10.7 39.8 44.1 3.2 1.5 0.7 100.0

合   計 事業者数 203 800 1,108 166 51 59 2,387構成比% 8.5 33.5 46.4 7.0 2.1 2.5 100.0

注)① 日本内航海運組合総連合会「内航海運の活動」(平成 22 年度版)による。  ② 運送業と船舶貸渡業を兼業している事業者があるため、合計が合わない。  ③ 平成 17 年 4 月 1 日に施行された改正内航海運業法では、許可制が登録へと規制緩和されたことにより、許可事業者

は登録事業者となった。なお、同時に内航運送業及び内航船舶貸渡業の事業区分も廃止された。

800

203

1,108

166

51 59

個人 1,000万

未満

5億以上 資本金(円)µ1,000万

5,000万

0

500

1,000

1,500

2,000

(社数)µ

5,000万

3億

3億

5億

資本金3億円以上µ

4.6%µ

資本金3億円未満µ

95.4%

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Ⅳ.内航海運

3 .内航海運暫定措置事業

●内航海運では、1966 年より、船舶の建造に際し一定の比率で既存船の解撤を求めるスクラップ・アンド・ビルド方式による「船腹調整事業」が行われてきた。●内航海運の更なる活性化を図るため、船腹調整事業を解消することとし、1998 年 5 月より「内航海運暫定措置事業」が実施されている。2009 年度には、解撤については、54 隻の解撤に対して 41 億 9,524 万円の交付金が認定された。また、建造については、2009 年度は貨物輸送船 50 隻、油送船 21 隻の建造が認定された。

内航海運暫定措置事業による解撤等交付金認定状況

年 度 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009隻数 667 145 192 334 251 41 7 2 19 7 26 54交付金額(億円) 574 95 118 260 141 32 2 1 16 4 20 42

内航海運暫定措置事業による建造船認定の実績(認定ベース)

年 度 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009貨物船(隻数) 25 35 72 49 38 58 51 16 88 83 67 50油送船(隻数) 6 10 24 38 15 38 22 17 38 37 31 21

内航海運暫定措置事業① 内航総連合会は、組合員が自己の所有する交付金対象船舶を解撤等する場合に解撤等交付金を交付する。平成 14 年度以降、暫定措置事業の適正な運用を確保するため、前年度における収支状況および当該年度の収支見通しを踏まえ、上・下半期毎の資金管理計画を作成し、同計画に基づいて交付金の認定・交付を行う。

② 交付金の交付のために必要な資金は、建造納付金、鉄道建設・運輸施設整備支援機構等からの借入金をもって充てられている。

③内航総連合会は、船舶建造者等が納付する納付金によって、金融機関等からの借入金を返済する。④船舶を建造等しようとする組合員は、新造船等の対象トン数に応じて内航総連合会に、建造等納付金を納付(納付金の一部に代えて、既存の自己所有船を解撤することも可)する。

⑤この事業は、収支が相償った時に終了する。

注)日本内航海運組合総連合会「内航海運の活動」(平成 22 年度版)による。

内航総連合会

暫定措置事業勘定[未決算勘定]

内航海運暫定措置事業

資金の融資及 び 返 済

交付金の交付

新たな船舶建造者

独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構

金融機関等

既存の自己所有 を解撤等 る者

内航海運暫定措置事業の概要

納付金の納付

船 す

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Ⅳ.内航海運

4 .内航燃料油価格の推移

●高いレベルで推移してきた原油価格が 2008 年秋以降大幅に下落し、燃料油価格は一時、2005 年レベル並となったが、2010 年 7~9 月期ではA重油 6万 4,200 円(対前年同期比+4,500 円、7%増)、C重油 4万 8,800 円(同+200 円、0.4%増)と値上がりの傾向を見せ始めており、再び燃料油高騰が懸念される。●内航船の運航コストの相当部分を占める重油価格の高騰は、海運業経営に深刻な影響を及ぼし、安全の確保や環境面への影響が懸念される。●安定的な輸送を維持するためには、燃料油価格の上昇分を運賃に反映させることが不可欠である。

注)① A・C重油は、日本内航海運組合総連合会資料による  ② WTI(West Texas Intermediate)アメリカが産出する代表的原油で世界の原油市況の指標   ③ 1BL(バレル)=約 0.159KL(キロリットル)

10.0 10

20.0 20

30.0 30

40.0 40

50.0 50

60.0 60

70.0 70

80.0 80

90.0 90

100.0 100

110.0 110

120.0 120

130.0 130

140.0 140

千円/ KL( A・C重油)

$/ BL(バレル)(WTI)

WTIA重油(千円/KL)

C重油(千円/KL)WT I($/BL)

A重油

C重油

96/4 97/4 98/4 99/4 00/4 01/4 02/4 03/4 04/4 05/4 06/4 07/4 08/4 (年)09/4 10/4

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年 海事産業の動き 日本と世界の動き

 [付録] 海 運 年 表(1) (社)日本船主協会 作成 

1945(昭和 20 年) ・総司令部、全日本船舶の移動を禁止(日本船舶は総司令部の管理下に) ・第 2次世界大戦終結・全日本海員組合結成・船舶運営会が商船管理委員会(CMMC)として認可

1946(昭和 21 年) ・政府、戦時補償交付の打ち切りを発表 ・日本国憲法公布・戦後初の総選挙実施

1947(昭和 22 年) ・日本海運協会解散、日本船主協会創立(海運の民間還元を実現) ・米ソの冷戦本格化・戦後初の船舶建造許可(第一次計画造船、復金融資・公団共有方式) ・労働基準法公布

1948(昭和 23 年) ・総司令部の司令により、大型タンカー9隻がペルシャ湾岸重油積み取りに出航(戦後初の遠洋不定期航海)

・第 1次中東戦争(~1949)

・日本船主協会、社団法人として設立認可1949(昭和 24 年) ・800 総トン未満鋼船民営還元(161 隻、7万 4,054 総トン) ・単一為替レート(1米ドル

= 360 円)の実施1950(昭和 25 年) ・海運民営還元実施、不定期船運航開始 ・中華人民共和国成立

・日本船のパナマ運河通航許可 ・朝鮮動乱勃発・日本船の北米諸港向け不定期船配船許可・大阪商船の南米定期航路開設許可(戦後初の遠洋定期航路)

1951(昭和 26 年) ・バンコク、インド、パキスタン、ニューヨーク、シアトル、ラングーン、カルカッタおよび韓国の各定期航路開設許可

・対日講和条約・日米安全保障条約調印

1952(昭和 27 年) ・日本郵船の欧州定期航路開設許可 ・日米行政協定調印・総司令部、わが国外航船の国旗掲揚、SCAJAP番号表示撤廃を許可・総司令部、日本商船管理権を日本に返還・海運造船合理化審議会令公布

1953(昭和 28 年) ・外航船舶建造融資利子補給法公布 ・日本初のテレビ放送開始・三井船舶、東廻り世界一周航路開始

1955(昭和 30 年) ・海運造船合理化審議会、定期船建造優先を打ち出した「今後の新造建造方策」を答申

・神武景気(~1956)

・運輸省、保有船腹 450 万総トンの船舶拡充 5ヵ年計画を発表1956(昭和 31 年) ・エジプトのスエズ運河国有化宣言からスエズ紛争がはじまり、運河通航

停止(1957 年 4 月、通航再開)・日本、国連加盟承認・第 2次中東戦争(スエズ紛争)・スエズ紛争により世界海運市況高騰

1957(昭和 32 年) ・日本船主協会、国際海運会議所(ICS)・国際海運連盟(ISF)加入 ・「スプートニク」打ち上げ

1958(昭和 33 年) ・ロイズ船級協会、1957 年世界造船の進水高実績で日本が第一位と発表 ・東京タワー完成・日本最初の鉱石専用船「新田丸」(照国海運)が竣工・日ソ定期航路民間協定調印

1960(昭和 35 年) ・政府、国民所得倍増計画の一環として昭和 45 年度に 1,335 万総トンの外航船腹が必要で、計画期間中に約 970 万トン建造する必要があるとの方針を決定

・国民所得倍増計画(高度経済成長政策)閣議決定

・新日米安保条約調印

1961(昭和 36 年) ・運輸省、外航船腹整備 5ヵ年計画を決定(昭和 40 年度までに 400 万総トン建造)

・ソ連、世界初の有人宇宙飛行に成功

1962(昭和 37 年) ・世界最大のタンカー(当時)「日章丸」(13 万重量トン、出光タンカー)進水

・米、キューバ海上封鎖宣言・綿紡、鉄鋼不況・英米ソ、部分的核実験禁止

1963(昭和 38 年) ・海運再建 2法(海運再建整備臨時措置法、利子補給法改正法)成立  条約に調印・海運企業整備計画審議会設置の政令公布 ・ケネディ大統領暗殺・海運業の再建整備に関する臨時措置法公布施行・日本郵船・三菱海運が合併契約調印・日本油槽船・日産汽船が合併契約調印、新社名「昭和海運」・山下汽船・新日本汽船が合併契約調印、新社名「山下新日本汽船」・日東商船・大同海運が合併契約調印、新社名「ジャパンライン」・大阪商船・三井船舶が合併契約調印、新社名「大阪商船三井船舶」・川崎汽船・飯野汽船が合併契約調印

1964(昭和 39 年) ・ニューヨーク航路運営会社発足 ・東京オリンピック開催・海運集約により 6社を中核体とする 6グループ発足・内航 2法(内航海運業法、内航海運組合法)成立

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年 海事産業の動き 日本と世界の動き

 [付録] 海 運 年 表(2)

1965(昭和 40 年) ・非集約船主会創立 ・戦後初の赤字国債発行・日本内航海運組合総連合会創立・世界最大のタンカー(当時)「東京丸」(15 万重量トン、東京タンカー)進水

・全日本海員組合、労働協約改定要求で長期スト(1966 年 1 月 30 日妥結)

1966(昭和 41 年) ・運輸省、国際海上コンテナ輸送体制整備計画策定 ・中国で文化大革命・運輸省の斡旋で海上コンテナ輸送運営体制決定 ・いざなぎ景気(~1970)

1967(昭和 42 年) ・中東戦争勃発に伴いスエズ運河閉鎖 ・第 3次中東戦争・北米太平洋岸コンテナ航路の第 1船として、マトソン社の改造コンテナ船が品川埠頭を出航

1968(昭和 43 年) ・日本初のコンテナ船「箱根丸」(日本郵船)、ロサンゼルスに向け東京港を出航

・ソ連とワルシャワ条約機構軍、チェコを制圧

1969(昭和 44 年) ・日本初のMゼロ船(機関室無人化船)鉱油兼用船「ジャパン・マグノリア」(9万 4,000 重量トン、ジャパンライン)竣工

・アポロ 11 号、月面着陸

・内航初のフルコンテナ船「樽前山丸」(2,750 総トン、商船三井近海)竣工(品川~苫小牧間を航海)

1971(昭和 46 年) ・世界最大のタンカー(当時)「日石丸」(37 万 2,400 重量トン、東京タンカー)進水

・米大統領が新経済政策(ドル防衛策)発表、東京外国為替市場でドル売、円買が殺到(ニクソン・ショック)

1972(昭和 47 年) ・全日本海員組合、労働協約改定要求で長期スト(外航は 4月 14 日、内航は 4月 15 日スト突入、7月 13 日スト解除。いわゆる「90 日スト」)

・あさま山荘事件

・ニューヨーク・コンテナ航路の邦船協調 5社による第 1船「東米丸」(山下新日本汽船)出航

・日本、中国と国交正常化

・世界最大のタンカー(当時)「グロブティック・トウキョウ」(48万 3,644重量トン)進水

1973(昭和 48 年) ・第 4次中東戦争・円の変動相場制移行

1974(昭和 49 年) ・国連定期船同盟行動憲章条約採択 ・第 1次オイルショック・オイルショックにより燃料油価格が高騰

1975(昭和 50 年) ・1975 年度以降の計画造船に対する利子補給制度廃止 ・ベトナム戦争終結・スエズ運河 8年ぶりに再開・世界最大のタンカー(当時)「日精丸」(48 万 4,337 重量トン、東京タンカー)竣工

・日ソ民間海運会議でシベリア・ランド・ブリッジ(SLB)への日本船参加が実現

・石油備蓄法成立1976(昭和 51 年) ・初の商用海事通信衛星「MARISAT」、大西洋上に打ち上げ ・ロッキード事件発覚

・通産・運輸両省、タンカーを利用した石油備蓄構想推進のため「タンカー備蓄問題検討専門委員会」を発足

・マラッカ・シンガポール海峡沿岸 3ヵ国、UKC(船底間隙)方式による大型タンカーの航行規制に合意

1977(昭和 52 年) ・海洋 2法(領海法、漁業水域暫定措置法)成立・国旗差別対抗法成立・運輸省、タンカーによる石油備蓄を推進する方針を決定

・米ソ、200 カイリ漁業専管水域を実施、200 カイリ時代へ

・通産・運輸両大臣、タンカーによる石油備蓄は、国家備蓄として推進することで合意

・マラッカ・シンガポール海峡沿岸 3ヵ国、同海峡通航分離方式を策定・新パナマ運河条約調印

・外貨準備高が史上最高の195 億 7,700 万 ド ル を 記録、黒字減らしのための対外経済政策を発表

1978(昭和 53 年) ・政府、仕組船買い戻しを含む国際収支円高対策を決定 ・日米防衛協力のための指針(ガイドライン)決定・石油公団法の成立により石油の国家備蓄が正式にスタート

・長崎県橘湾と硫黄島西方海域でのタンカー20 隻による石油備蓄を開始(1985 年末終了)

1979(昭和 54 年) ・35~37 次計画造船に対する利子補給復活(外航船舶緊急整備 3ヵ年計画) ・米中国交回復・UNCTAD第 5回総会(マニラ)が開催され、同盟コード条約、バルク貨物輸送問題、便宜置籍船問題等に関する決議を採択

・スリーマイル島原発事故・東京サミット開幕

・新パナマ運河条約発効、パナマ運河は 1999 年 12 月 31 日の全面返還まで「パナマ運河委員会」が管理

・第 2次オイルショック

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年 海事産業の動き 日本と世界の動き

1980(昭和 55 年) ・世界初の省エネ帆装商船「新愛徳丸」(1,600 重量トン)進水・日本船主協会は、日本船舶保険連盟に対しイラン・イラク戦争に伴う船舶戦争保険について緊急要望

・政府、総合エネルギー対策閣僚会議で、石油 7%消費節約案を決定

・スエズ運河拡張第 1期工事が完成、15 万トンのタンカーが満載で航行可能に

・イラン・イラク、全面戦争に突入

1981(昭和 56 年) ・外航二船主団体と全日本海員組合、ペルシャ湾内の北緯 29 度 30 分以北の海域への就航を見合わせることを確認

・日米貿易摩擦深刻化

1982(昭和 57 年) ・IMMARSAT、国際海事衛星通信サービスの提供を開始・インドネシア政府、丸太輸出の全面禁止を前提とした新木材政策を決定

・フォークランド紛争が勃発・終結

・第 3次国連海洋法会議第 11 会期を開催、「国連海洋法条約」を採択・政府、STCW条約を批准(1993 年 4 月 28 日発効)

・イスラエル、レバノン侵攻(第 5次中東戦争)

1983(昭和 58 年) ・政府、国連海洋法条約に署名 ・大韓航空機撃墜事件・日本初のLNG船「尾州丸」(7万重量トン、川崎汽船)就航・ロンドンの保険業界、船舶戦争保険の基本料率を一挙に 4倍引き上げ

1984(昭和 59 年) ・米国新海運法成立 ・グリコ・森永事件・海運造船合理化審議会は「今後の外航海運対策について」中間答申。船員問題が政策判断上の重要事項として議論されるとともに利子補給受給会社への諸規制の見直しを提案

1985(昭和 60 年) ・海運造船合理化審議会は「今後の外航海運対策について」答申。集約体制の強制の解除と北米定航スペースチャーター制の見直し

・プラザ合意・日航ジャンボ機墜落

1986(昭和 61 年) ・過剰船舶の解撤を促進する、特例外航船舶解撤促進臨時措置法成立・「特定不況業種、特定不況地域関係労働者の雇用安定に関する特別措置法」に基づく特定不況業種に一般外航海運業(油送船に限る)が指定(1988 年には一般外航海運業の全船種に拡大)

・スペースシャトル「チャレンジャー」爆発

・チェルノブイリ原発事故・ウルグアイラウンド開始・平成景気(~1991)

1987(昭和 62 年) ・国際競争力回復のため、世界で最も少数精鋭化された船(パイオニアシップ)の実現を目指すことで、官公労使が合意

・米ソ、中距離核戦略(INF)全廃条約に調印

・緊急雇用対策実施に伴う離職船員の受け皿機構発足

1988(昭和 63 年) ・海員の 1日あたりの労働時間を一律 8時間にする等、船員法を一部改正 ・青函トンネル開通・第 1回(再開)日韓船主協会会談、ソウルで開催・昭和海運、中国部門を除くコンテナ定期航路から全面撤退

・ソ連、アフガニスタンから撤退開始

・山下新日本汽船とジャパンラインの折半出資による定航会社「日本ライナーシステム」が業務開始

・イラン・イラク戦争停戦・リクルート疑惑

・外航二船主団体と全日本海員組合、PG就航船安全問題について協議しカーグ島への配船自粛など 3項目の規制を解除することで合意

1989(平成元年) ・日本初の本格的外航クルーズ客船「おせあにっくぐれいす」(昭和海運)はじめ次々に就航。「クルーズ元年」と言われる

・消費税導入・中国で天安門事件

・山下新日本汽船・ジャパンラインが合併、新社名「ナビックスライン」・外航海運労使、日本籍船への混乗導入問題を協議し、原則として新造船を対象に日本人船員 9人の配乗を合意

1990(平成 2年) ・海上安全船員教育審議会 船舶職員部会の 20 条問題小委員会、新たなマルシップ方式による日本籍混乗第 1・2船について承認

・イラク軍、クウェート侵攻・東西両ドイツが統一

・近海船主(6団体)と全日本海員組合、特例マルシップ混乗(日本人職員 6名配乗)を近海船全般に拡大することで合意

・地価がピークに達する

・米大統領、タンカーの二重構造義務付けを内容とするOil Pollution Act 1990(OPA 90)に署名

1991(平成 3年) ・第 1回日台船主協会会談、東京で開催 ・湾岸戦争が勃発・終結・日本郵船・日本ライナーシステムが合併、これに伴い邦船のコンテナ航路運営は当初の北米定航 6社体制から、3社体制へ

・ソビエト連邦が消滅・バブル不況(1991 半ば~)

1992(平成 4年) ・第 1回アジア船主フォーラム(ASF)、東京で開催 ・国連PKO協力法案成立

 [付録] 海 運 年 表(3)

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年 海事産業の動き 日本と世界の動き

1993(平成 5年) ・邦船 5社グループ、カタール液化ガス社(QLGC)と日本向け液化天然ガス(LNG)の海上輸送に合意

・55 年体制崩壊、非自民連立政権誕生(細川連立内閣)

・政府のコメ緊急輸入によるコメ輸送実施 ・ウルグアイラウンド終了

1994(平成 6年) ・政府、油濁 2条約(69 CLC/71 FC)を改正する 92 年議定書を批准 ・自・社・さ連立内閣誕生 (村山連立内閣)・国際海上人命安全条約(SOLAS)締約国会議をロンドンで開催、国

際安全管理コード(ISMコード)等を採択

1995(平成 7年) ・阪神・淡路大震災(1月 17 日)が発生、神戸港の機能停止 ・東京外為市場で一時 1米ドル= 79円 75銭(4月 19日)

・オウム真理教事件・祝日法改正(1996 年 7 月 20 日から「海の日」が 14 番目の国民の祝日に)・米国、アラスカ原油輸出解禁法成立

1996(平成 8年) ・欧州・北米航路におけるコンテナ船社の再編が世界規模で進行 ・小選挙区比例代表並立制・米国連邦海事委員会(FMC)が邦船 3社に課徴金を課す制裁案発表 ・住専の不良債権処理問題・ナホトカ号沈没、ダイヤモンド・グレース号原油流出事故 ・アジア通貨危機

1997(平成 9年) ・FMC制裁発動、邦船 3社が課徴金 150 万ドルを支払う ・拓銀経営破綻・カタールLNGプロジェクト第 1船「アル ズバーラ」(大阪商船三井船舶)が中部電力・川越基地に入港

・香港返還

1998(平成 10 年) ・内航海運船腹調整事業を解消し、内航海運暫定措置事業を導入 ・山一証券粉飾決算で廃業・国際船舶への日本人船・機長 2名配乗体制を可能とする船舶職員法改正 ・金融監督庁発足・日本郵船・昭和海運が合併・米国外航海運改革法(改正海運法 OSRA)成立

1999(平成 11 年) ・商船三井・ナビックスラインが合併 ・自・自・公連立内閣誕生(小渕連立内閣)・第 8回アジア船主フォーラム(ASF)東京で開催

・アロンドラ・レインボー号ハイジャック事件発生・エリカ号フランス沖で折損沈没、油濁事故発生

2000(平成 12 年) ・日本人船・機長 2名配乗体制の国際船舶が 3隻誕生

2001(平成 13 年) ・外航労務協会の業務を日本船主協会(外航労務部会)に移管 ・省庁再編により、国土交通省誕生

2002(平成 14 年) ・TAJIMA号事件発生・米国同時多発テロ事件(9.11)

・米国西岸諸港にて、大規模な港湾ストライキ発生 ・米英軍アフガニスタン攻撃・プレスティージ号スペイン沖で折損沈没、油濁事故発生 ・サッカー日韓ワールドカッ

プ開催・テロ防止対策に関するSOLAS条約(海上人命安全条約)が改正

2003(平成 15 年) ・国際海運会議所(ICS)と国際海運連盟(ISF)総会、兵庫県淡路島で開催(アジア初)

・TAJIMA号事件に端を発し、日本国外において日本国民が被害者となった犯罪に対処するための刑法の一部を改正する法律が施行

・イラク戦争・新型感染症(SARS)の流行

2004(平成 16 年) ・バラスト水管理条約が採択 ・EUが 25ヶ国に拡大・船舶と港湾施設の国際保安コード(ISPSコード)が発効 ・スマトラ沖大地震・インド

洋津波・海運市況の高騰等により、外航海運各社は好決算を達成・日本海運倶楽部、海事産業研究所が解散

2005(平成 17 年) ・改正油濁損害賠償保障法施行(3月) ・ロンドン、バリ島など大規模テロ相次ぐ・内航海運活性化 3法の施行(4月)

・堅調な海運市況を背景に外航海運各社は好業績を維持 ・ハリケーン「カトリーナ」が米国南部に大被害・水先制度の抜本改革について交通政策審議会が答申(11 月)

・燃料油の高騰が続く ・原油価格高騰(WTI 70 ドル突破)・欧州系コンテナ船社主導の国際M&Aが相次ぐ

・輸出入および港湾手続き簡素化のためのFAL条約を締結(11 月) ・中国が通貨人民元切上げ

2006(平成 18 年) ・水先制度の抜本改革の実現化に向けて改正水先法が成立 ・北朝鮮が地下核実験・ILO海事労働条約が採択される ・原油価格一時 78 ドル・第 15 回アジア船主フォーラム(ASF)軽井沢で開催・世界最大のコンテナ船「Emma Maersk」(11,000 TEU積、APモラー・マースク)竣工

 [付録] 海 運 年 表(4)

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年 海事産業の動き 日本と世界の動き

2007(平成 19 年) ・トン数標準税制の創設が平成 20 年度与党税制改正大綱に盛り込まれる ・欧州各国を中心に法人税率の引き上げ競争が加速

・減価償却制度、昭和 39 年以来の大改正

2008(平成 20 年) ・ソマリア周辺海域において海賊による襲撃事件が頻発 ・7月に原油価格過去最高値である 147 ドルを記録するも 12 月には 50 ドルを割る

・トン数標準税制導入のための海上運送法等の一部改正が実現・外国人全乗の日本籍船が誕生

・9月のいわゆる「リーマンショック」以降、世界経済が急激に減速、外航海運市況急落

2009(平成 21 年) ・ソマリア沖・アデン湾での海賊対処のため海上自衛隊護衛艦が派遣される(3月~)、海賊対処法も成立(6月)

・トン数標準税制が実施― 10 社認定・安全かつ環境上適切な解撤の実施に向け、シップリサイクル条約が香港にて採択

・16 年振りの政権交代、民主党・社民党・国民新党の3党による鳩山連立内閣が発足

2010(平成 22 年) ・国土交通省成長戦略会議が「国土交通省成長戦略」を公表。外航海運の国際競争力強化等が盛込まれる

・新和海運と日鉄海運が合併、NSユナイテッド海運発足・改正 STCW条約採択、2012 年 1 月より発効

・円が一時 80 円台まで急騰。約 15 年振りの円高水準で海運経営にも悪影響

・2011 年度よりわが国法人実効税率を 5%引下げることが決定

 [付録] 海 運 年 表(5)

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MEMO

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日 本 海 運 の 現 状

2011年1月

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2011年1月

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