京極:4条件メソッド in 精神科講演20131123
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非構成的評価 〜4条件メソッドについて〜
京極 真,Ph.D.,OTR,DP 吉備国際大学大学院保健科学研究科
E-‐mail: [email protected] Twi:er ID: MaKver2
非構成的評価
OBP2.0
実施 吟味 記述
4条件メソッド
4条件メソッド
(a)評価結果は首尾一貫した観点のもとで記述されているか (b)評価結果に記された事実(作業遂行の変化)は評価者によって実際に確認されたものか (c)評価結果の内容に対して「信頼できる」という確信が成り立たないぐらい事実が省かれ,あいまいな概念が使用されていないか (d)論理的に適正で明瞭であり,作業有能性に焦点を当てた判断になっているか
4条件吟味法
(a)評価結果を書き下ろす支店を明確に定める (b)観察と会話によって経験された事実(作業遂行の変化)を書く (c)事実は第三者が評価結果の内容に同意できるよう明確な概念を使って端的に示す (d)判断は作業有能性に焦点を当てつつも,飛躍したり,過剰にならないようにしながら示す
4条件記述法
4条件
作業療法評価
• 作業療法評価には構成的評価と非構成的評価がある
• 構成的評価とは – 実施手続きにしたがって,対象者の状態を数量
化する方法である – 例:作業機能障害の種類と評価(CAOD),ADOC,COPM,OSAなど
– 構成的評価の利点は周囲を納得させやすい,効果を示しやすい,などがある
非構成的評価とは?
• 自然な会話と観察を使って対象者を理解する評価法である
• 構成的評価ではできない,対象者の作業機能障害を質的に評価できる
• 自然な会話と観察とは – 日頃から何気なく目にしていることや,日常の何
気ないおしゃべりを通して,対象者の作業機能障害を理解していく
– 日々の実践を通して観たり聞いたり感じることすべて,が評価の機会になる
従来の非構成的評価の問題点
• 自然な観察と会話で行うため,作業療法士の主観に頼るから,作業療法士だけでなく、多職種も含めて周囲を納得させにくい
• 量的評価のほうが質的評価よりも価値があるという思い込みに阻まれやすい
非構成的評価の問題点を克服する 作業療法の新しいウェポン
OBP2.0
実施 吟味 記述
4条件メソッド
OBP2.0
• OBP2.0とは,作業療法士が作業療法の専門性を発揮しながら,多職種連携を行うための新理論である
• 作業療法のあらゆる領域を原理的に基礎づけた超メタ理論である
• OBP2.0は構成的評価だけでなく、非構成的評価の潜在力も引き出せる仕組みになっている
• OBP2.0プロジェクト代表は 寺岡睦 先生 連絡先 [email protected]
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寺岡睦,京極真:作業に根ざした実践と信念対立解明アプローチを統合した新作業療法理論の構築,OBP2.0とはは何か(修正後再査読中)
非構成的評価
実施 吟味 記述
4条件メソッド
非構成的評価の実施
• OBP2.0では,対象者の作業機能障害を理解するために,状況と関心を踏まえてあらゆる手段を使う
• 作業機能障害とは,生活行為(仕事,遊び,日課,休息)が適切にできない状態である
• OBP2.0における非構成的評価では,自然な会話と観察を活かして,作業機能障害とその種類(作業不均衡,作業疎外,作業剥奪,作業周縁化)の状態を明らかにしていく
作業機能障害の種類
作業不均衡
生活行為のバランスが崩れている状態
作業剥奪
外的要因によって生活行為が制限されている状態
作業疎外
生活行為に対して意味を見出していない状態
作業周縁化
周囲から意味のある生活行為を認めてもらえない状態
作業
機能障害
寺岡,京極,他:作業機能障害の種類と評価の試作版作成,総合リハビリテーション41(5),475-‐479,2013
作業機能障害の種類と非構成的評価
• 作業不均衡(OccupaTonal Imbarance) – 日々の生活行為のバランスが悪い状態である
• 非構成的評価の方法例 – 会話の場合:「普段どうやって過ごしています
か?」「毎日どんなことしてますか?」「この一週間何してましたか?」など
– 観察の場合:病棟やOT室,デイケア等の様子から日々の生活行為のパターンを整理,推察していく
作業機能障害の種類と非構成的評価
• 作業剥奪(OccupaTonal DeprivaTon) – 外的要因によって生活行為ができない状態である
• 非構成的評価の方法例 – 会話の場合:「機会がないからできないこととかあり
ますか?」「足らない道具,材料はありますか?」「それは周りのせいやんって思うことありますか?」など
– 観察の場合:病棟やOT室,デイケア等の様子から環境が変わればできるようになること,を整理,推察していく
作業機能障害の種類と非構成的評価
• 作業疎外(OccupaTonal AlienaTon) – 自分が原因で生活行為を統制できず,生活行為
に対して意味を見だせなくなった状態である
• 非構成的評価の方法例 – 会話の場合:「最近,調子どうですか?」「やりた
いことできてますか?」「やらなアカンこといろいろあると思いますけどそうゆうの大丈夫?」など
– 観察の場合:病棟やOT室,デイケア等の様子から心身の障害の影響で生活行為ができなくなっているところを整理,推察していく
作業機能障害の種類と非構成的評価
• 作業周縁化(OccupaTonal marginalizaTon) – 本人がやりたいこと,やるべきだと思っていること
と周囲の認識にギャップがあって生活行為ができなくなっている状態である
• 非構成的評価の方法例 – 会話の場合:「自分の思いと違うことはないです
か?」「周りの人とはうまいこといってるの?」「協力してもらえそう?」など
– 観察の場合:病棟やOT室,デイケア等の様子から対象者と周囲の生活行為に対する認識のギャップを整理,推察していく
全体像を把握する
• 作業機能障害の種類に関する非構成的評価を実施できたら,その全体像を把握する
• 全体像の把握は,作業機能障害の種類を整理し,その関係性や関連要因(人,環境,作業)の検討を行うとできる
• そして作業機能障害の解決に必要な作業療法アプローチを組み立てる
非構成的評価
実施 吟味 記述
4条件メソッド
4条件メソッド
(a)評価結果は首尾一貫した観点のもとで記述されているか (b)評価結果に記された事実(作業遂行の変化)は評価者によって実際に確認されたものか (c)評価結果の内容に対して「信頼できる」という確信が成り立たないぐらい事実が省かれ,あいまいな概念が使用されていないか (d)論理的に適正で明瞭であり,作業有能性に焦点を当てた判断になっているか
4条件吟味法
(a)評価結果を書き下ろす支店を明確に定める (b)観察と会話によって経験された事実(作業遂行の変化)を書く (c)事実は第三者が評価結果の内容に同意できるよう明確な概念を使って端的に示す (d)判断は作業有能性に焦点を当てつつも,飛躍したり,過剰にならないようにしながら示す
4条件記述法
4条件
4条件とは?
• 4条件 • 条件1・・・評価者の想定した暗黙の前提を,第三者が共有
しやすい.
• 条件2・・・提示された事実は面接や観察から直接得られたもので,作業遂行を通して変化が認められる.
• 条件3・・・事実の表記は省略が少なく,概念が明確である.
• 条件4・・・判断は作業有能性に焦点を当てており,論理的に適正で明瞭である.
• 4条件は「納得」の感度を支える • 非構成的評価でクライエントの変化を評価したら,基
本的に「いくつかの事実からクライエントの変化について判断を導く」という構造になる
納得の感度
• 納得の感度とは「これは確かだ!」と感じられることである
• 納得の感度は特定の条件下で成立する • 構成的評価は納得の感度が高い – 構成的評価の納得の感度を支える諸条件
• 統計学を使って研究開発されちるから,評価結果の信頼性,妥当性が確率論的に担保されている, • 現象の数量化によって主観の恣意的な思いこみを排除できる • これまで受けてきた教育から「量的研究=現象の客観化」と
いう知識がすりこまれている,など
納得の感度
• 非構成的評価の納得の感度は低い – 非構成的評価の納得の感度の低さを支える諸条
件 • 変化を示す事実が省略されている • 文章のまとまりが悪い • 概念が不明瞭である • 曖昧な印象を与える • 評価者の視点がわからない,など
• 逆に言えば,これらの諸条件を埋めるようにしていけば,非構成的評価の納得の感度を高めることができる
4条件メソッド
• つまり非構成的評価で対象者の作業機能障害を評価したときに,おおぜいのなかで「この評価結果ならクライエントは変化したと言える」という高い納得の感度が成立するような諸条件を明らかにし,それを満たすように評価結果を示していけばよいのではないか
• そういう発想のもとで研究開発されたのが「4条件メソッド」である
4条件とは?
• 4条件 • 条件1・・・評価者の想定した暗黙の前提を,第三
者が共有しやすい.
• 条件2・・・提示された事実は面接や観察から直接得られたもので,作業遂行を通して変化が認められる.
• 条件3・・・事実の表記は省略が少なく,概念が明確である.
• 条件4・・・判断は作業有能性に焦点を当てており,論理的に適正で明瞭である.
• 4条件は「納得」の感度を支える
条件1:評価者の想定した暗黙の前提を,第三者が共有しやすい
• 暗黙の前提とは評価者が自覚的・無自覚的に置いた特定の観点・視点である
• 暗黙の前提には評価者個人の知識や経験,クリニカル・リーズニングなどだけでなく,パラダイム,実践モデル,エビデンス,言外の直感やそのときの雰囲気なども含まれる
• 評価者が自身の観点・視点に対して無自覚の場合,条件1が満たされない評価結果が生じやすくなる
条件1:評価者の想定した暗黙の前提を,第三者が共有しやすい
• 暗黙の前提は「内省」によって自覚する • 内省のポイントは問いの立て方にある – 私がこの事実に注目した理由は何だろうか? – 私の判断の基準になったものは何だろうか? – 私の解釈の枠組みになったものは何だろうか? – 私の考察を支える枠組みは何だろうか? – 私の実践にはどのような慣習があるのだろうか? – 私はどのような非構成的評価の経験を積んできたか? – これまでの非構成的評価の経験から,私はどのような
知恵を身につけてきたのだろうか? など
条件1:評価者の想定した暗黙の前提を,第三者が共有しやすい
• 暗黙の前提を共有しやすくするコツ
– 評価者の立場(背景にある理論など)を明示すること.しかしこのテクニックは,暗黙の前提を構成したものが,すでに多くの人たちの間で共有されているときしか通じない
– 次のコツとしては,評価者の観点・視点を首尾一貫させて評価結果を記述すること.暗黙の前提が首尾一貫していると他人に受け取られるように,非構成的評価の評価結果を特定の観点から一貫して記述していく
条件1が欠けた評価結果の具体例
• 具体例 – クライエントは,気分障害を持つ前は一般企業に勤める
サラリーマンで,仕事一筋で生きてきた.しかし,気分障害になってからは何事に対しても意欲を持てないでいる.クライエントに作業療法プログラムを提供しても,かたくなに拒否してきた.しかし,クライエント自身がやりたいプログラムで実施していくことにしたところ,作業療法士に「孫に手紙を書きたいんだ」と打ち明けた.クライエントと作業療法士の関係が作られてきたと判断した.
• 先行研究では,対象となった作業療法士のうち約60%が,例3の内容に同意するのは難しいと判断している
• その理由として,上記の例は暗黙の前提が共有しにくいことが挙げられる
暗黙の前提の見抜き方
• 評価結果を分解し,文と文との関係を検討する – ①クライエントは,気分障害を持つ前は一般企業に
勤めるサラリーマンで,仕事一筋で生きてきた.
– ②しかし,気分障害になってからは何事に対しても意欲を持てないでいる.
– ③クライエントに作業療法プログラムを提供しても,かたくなに拒否してきた.
– ④しかし,クライエント自身がやりたいプログラムで実施していくことにしたところ,作業療法士に「孫に手紙を書きたいんだ」と打ち明けた.
– ⑤クライエントと作業療法士の関係が作られてきたと判断した.
条件2:提示された事実は面接や観察から直接得られたもので,作業遂行を通して変化が認められる
• 具体例 – 病棟における脳血管障害患者の基本的ADLは自立して
いた.作業療法士は家族に,退院指導のために使用する自宅家屋の見取り図を用意してもらった.作業療法士は,その見取り図を見ながら,病棟と同じように自宅でも基本的なADLが自立できるかどうかを検討した.その結果,作業療法士は,患者は自宅でも病棟と同様に,基本的ADLは自立して行えるだろうと判断した.
• この例は条件2が欠けている.先行研究でも役85%の対象者が確かな結果ではないと判定している.
条件2:提示された事実は面接や観察から直接得られたもので,作業遂行を通して変化が認められる
• これを分解して考えると・・・
– ①病棟における脳血管障害患者の基本的ADLは自立していた.
– ②作業療法士は家族に,退院指導のために使用する自宅家屋の見取り図を用意してもらった.
– ③作業療法士は,その見取り図を見ながら,病棟と同じように自宅でも基本的なADLが自立できるかどうかを検討した.
– ④その結果,作業療法士は,患者は自宅でも病棟と同様に,基本的ADLは自立して行えるだろうと判断した.
条件2:提示された事実は面接や観察から直接得られたもので,作業遂行を通して変化が認められる
• 条件2が意味すること – 示される事実は,評価者が観察と会話によって
実際に経験したものに限ること,を意味している – 変化を質的評価で示すなら言動(作業遂行)を通
して確認できる必要がある
– 他者からの伝聞や言動の変化が確認されない場合は信頼できる評価結果であるという確信の支えにはならない
条件3:事実の表記は省略が少なく,概念が明確である
• 具体例 – 作業療法室で,自分のいる場所を見つけることができ
ず,スタッフに助けを求めることが多かったが,自ら他患のいない席へ席を移動するなど見られ,自分の環境を整えられるようになってきたと判断した.
• 具体例の分解 – ①作業療法室で,自分のいる場所を見つけることがで
きず,
– ②スタッフに助けを求めることが多かったが,
– ③自ら他患のいない席へ席を移動するなど見られ,
– ④自分の環境を整えられるようになってきたと判断した
条件3:事実の表記は省略が少なく,概念が明確である
• 事実の表記の省略が少ないとは? – 事実の表記は多すぎても少なすぎても駄目
• 事実表記のポイント – 具体的に書く
• たとえば,例5の②の記述の場合,具体的にどのように助けを求めてきたのかを書くようにすればよい
– 事実と事実の間が飛躍しすぎないように書く • たとえば,例5の②と③の間で,スタッフに援助を求めたクラ
イエントに対して,作業療法士が「自分が『すごしやすい』と思える環境を見つけてみませんか」というように提案していたとしたら,そのことを「クライエントの訴えに対して,居心地の良い場所を探索するよう提案した」と書くようにすればよい
条件4:判断は作業有能性に焦点を当てており,論理的に適正で明瞭である
• 条件4の意味 – ①クライエントの仕事,日常生活,遊び,休息へ取り組
む状態に関する判断を示していること – ②判断は示された事実に対して,過剰であったり飛躍
したりしていないこと • 具体例 – 抑うつ状態にあるクライエントは,作業療法士が何かを
提案しても常に「できない」と言っていた.作業療法士がクライエントを誘い,OT室内を見学する機会を作ったところ,クライエントは籐細工に興味を示した.そこで作業療法士がクライエントに籐細工を勧めたところ,その提案に対しクライエントがうなずいた.クライエントの抑うつ状態が改善しはじめたと判断した.
条件4:判断は作業有能性に焦点を当てており,論理的に適正で明瞭である
• 分解に基づく検討 – ①抑うつ状態にあるクライエントは,作業療法士が何
かを提案しても常に「できない」と言っていた.
– ②作業療法士がクライエントを誘い,OT室内を見学する機会を作ったところ,クライエントは籐細工に興味を示した.
– ③そこで作業療法士がクライエントに籐細工を勧めたところ,その提案に対しクライエントがうなずいた.
– ④クライエントの抑うつ状態が改善しはじめたと判断した.
条件4:判断は作業有能性に焦点を当てており,論理的に適正で明瞭である
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京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
条件4:判断は作業有能性に焦点を当てており,論理的に適正で明瞭である
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京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件吟味法
• 4条件吟味法とは,非構成的評価でとらえた対象者の状態を端的に記述した評価結果に対し,4条件の観点から批判的な検討を加えることによって,内容の確かさを判断していく技術.
• 基本的に4条件吟味法は次に述べる4条件記述法に先行して遂行される.
4条件吟味法
• 4条件吟味法による吟味の指標 – ①評価結果は首尾一貫した観点のもとで記述されてい
るか – ②評価結果に記された事実(作業遂行の変化を含む)
は,評価者によって実際に確認されたものか – ③評価結果の内容に対して「信頼できる」という確信が
成り立たないぐらい事実が省かれ,あいまいな概念が使用されていないか
– ④論理的に適正で明瞭であり,作業有能性に焦点を当てた判断が示されているか,です.
4条件記述法
• 4条件記述法は,非構成的評価の評価結果の確かさが担保されるように,要点を絞って書くための技術
• 4条件記述法によって書く視点 – ①評価結果を書きおろす視点をしっかり定め – ②観察と面接によって経験された事実(作業遂行の変
化を含む)を書きおろし – ③その際,事実は第三者が評価結果の内容に同意で
きるよう,明確な概念を使って端的に示し – ④判断は作業有能性(生活の状態)に焦点を当てつつ
も,飛躍したり,過剰にならないよう注意しながら提示すること
4条件記述法
• 4条件記述法は,上記に示した四つの視点から評価結果を端的に記述することで,多くの人が「確かにクライエントは変化した!」と確信するような評価結果を示すことができる
• 実際,これまでの研究では,4条件をすべて満たすように意識しながら記述した非構成的評価の評価結果は,多くの対象者から内容に同意できるという判定を得ている.
4条件メソッドの練習問題 4条件吟味法
• ある日,脳卒中の患者が転院してきた.患者が以前入院していた病院からの報告書では,脳卒中のため右上肢に重度の障害があり,機能的な実用手として期待するのは困難であると書かれていた.しかし,実際に簡単な動作を行ってもらったところ,明らかな麻痺があるような動作は確認されなかった.それゆえ,作業療法士は,患者の右上肢は十分に機能的な実用手であると判断した
• Q1:確かな評価結果だと思う? 確かな評価結果ではない?(確かな評価結果とはいいがたい?)
• Q2:その理由は?
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件吟味法
• 片麻痺をもつ老年期の女性のクライエントは,「手工芸はやりたくない」と話していた.しかし,他のクライエントが料理を行う場面を案内したところ,楽しそうに見学し,「昔はよくやったのよ.子どもにクッキーやケーキをよく焼いてあげたわ」と活き活きとした表情で語った.作業療法士は,クライエントの上肢機能が麻痺によって低下していることが,手工芸をうまく行えない原因であろうと判断した.
• Q1:確かな評価結果だと思う? 確かな評価結果ではない?(確かな評価結果とはいいがたい?)
• Q2:その理由は?
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件吟味法
• 脳血管障害を持つクライエントの上肢機能を評価した結果,運動機能は良好での脳血管障害の影響はほとんどなかった.しかし,その一方で一部の機能では重篤な障害があることが明らかとなった.病棟ADLの評価では,立ち上がり,起き上がりといった基本動作は要監視レベルで行えていたが,入浴行為や排泄行為では解除が必要な様子であった.クライエントの予後は寝たきりであると判断した.
• Q1:確かな評価結果だと思う? 確かな評価結果ではない?(確かな評価結果とはいいがたい?)
• Q2:その理由は?
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件吟味法
• クライエントは,くも膜下出血になる前は茶道の先生をしていた.今回のクモ膜下出血の発症によって,「お茶はもうできない」と残念そうに話していた.作業療法士はクライエントの能力の状態に応じて茶道のやり方を段階づけ,茶道を行う機会を提供した.作業療法中に,作業療法士に「作法を教えたり,正座ができることがわかり,「家に帰ったらまたやる」と話すようになった.主体的な生活が再構築されたと判断した.
• Q1:確かな評価結果だと思う? 確かな評価結果ではない?(確かな評価結果とはいいがたい?)
• Q2:その理由は?
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件吟味法
• 右くも膜下出血で半側空間無視症状の強いクライエントは,以前から編み物を行うのが好きだったと語った.訓練に左手を用いた指編みで簡単な作品を作ることを導入したところ,手順を記憶するためにという理由で,自ら絵を描くようになった.その際,手指が見落としなく描けていた.作業療法士は,自発的に行った作業については,半側空間無視を代償できる可能性があると判断した.
• Q1:確かな評価結果だと思う? 確かな評価結果ではない?(確かな評価結果とはいいがたい?)
• Q2:その理由は? 京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件記述法
• 以下の文が読みやすくなるよう短い文に書きなおしてください. – 通常,クライエントは在宅生活において作業バラ
ンスを自己管理していくが,Aさんのように,一日を構成する作業が極端に少なく,ぼんやり過ごす以外にやることがない場合は,作業療法士と相談しながら生活の中に必要な作業を埋めこんでいくことが必要である.
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件記述法
• 以下の文は作業療法士が直接経験した事実ですか,それとも間接的に経験した事実ですか.もし後者なら前者と読めるように修正してください. • クライエントの家族は作業療法士に「家に帰って
もあの人(クライエント)は生活できない」と語った. • クライエントは作業療法で取り組んだ作品が完成
すると,作業療法士にとびきりの笑顔で「頑張ってよかった」と言った.
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件記述法
• 以下の文が論理的になるように加筆してください. – クライエントは病棟にいなかった.だから,作業療
法士はクライエントが売店にいると判断した – クライエントは作業中に援助を求めることが増え
た.クライエントは作業を難しく感じている可能性があると判断した
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの練習問題 4条件記述法
• 以下の文を読み,どう修正すれば4条件を満たせるかを検討し,修正してください. • 脳卒中を持つ患者の病院内における生活様式は,テ
レビを見る,リハビリテーションを行うのみで構成されていた.しかし,家族によれば,自宅へ退院した後,猫の世話をする,妻とともに近所を散歩するといった活動を行うようになった.また,看護師が訪問したときも,「やっぱり家のほうが好きなことできていいですね」と語ったという.作業療法士は,病院から自宅という環境の変化によって,患者は病人から家族の一員としての役割を取り戻しつつあると判断した.
京極真:作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック 4条件メソッド.誠信書房、2010
4条件メソッドの主著
• 4条件メソッドに関心をもたれた方は、ぜひ『作業療法士のための非構成的評価トレーニングブック』をお読みください
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