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学生実習 (生物化学実験 I 、 II、実験法:必修) 第3学年:月曜日〜金曜日の午後 【生物化学実験 I】 (Sセメスター) ◎ 分子生物学実験への入門: 遺伝子DNAの取り扱いの基礎 大腸菌の培養、大腸菌染色体やプラスミドのDNA調製、 制限酵素反応、薬剤耐性遺伝子のクローニング、など ◎ 生化学実験への入門: タンパク質化学の実験 タンパク質の定量、酵素反応速度論、単離精製、結晶化 電気泳動、一次構造の分析、など 【生物化学実験 II】 (Aセメスター) 生化学的な実験: X線結晶構造解析と分子設計、機器分析など 分子生物学的な実験細菌遺伝学、 線虫・マウス・ ゼブラフィッシュなどのモデル生物を用いた分子生物学 【生物化学実験法】 (Sセメスター月曜日) ◎実験の手技の解説、PC演習

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学生実習 (生物化学実験 I 、 II、実験法:必修)

第3学年:月曜日〜金曜日の午後

【生物化学実験 I】 (Sセメスター)◎ 分子生物学実験への入門: 遺伝子DNAの取り扱いの基礎

大腸菌の培養、大腸菌染色体やプラスミドのDNA調製、

制限酵素反応、薬剤耐性遺伝子のクローニング、など

◎ 生化学実験への入門: タンパク質化学の実験

タンパク質の定量、酵素反応速度論、単離精製、結晶化

電気泳動、一次構造の分析、など

【生物化学実験 II】 (Aセメスター)◎ 生化学的な実験: X線結晶構造解析と分子設計、機器分析など

◎ 分子生物学的な実験: 細菌遺伝学、 線虫・マウス・

ゼブラフィッシュなどのモデル生物を用いた分子生物学

【生物化学実験法】 (Sセメスター月曜日)◎実験の手技の解説、PC演習

1. 基本操作ピペットの操作法、カラム管の作成

2. 遺伝子DNAの取り扱いの基礎プラスミド分離超遠心によるDNAの精製制限酵素反応カナマイシン耐性遺伝子の単離ベクターとの結合大腸菌への形質転換

3年Sセメスター 生物化学実験(学生実習) I

2章

-31-

加えると沈殿を除きやすくなる.)*沈殿はまとめてオートクレーブした後に廃棄する.

9) 0.6倍量(約 12 mL)のイソプロピルアルコールを加え,よく混ぜ,室温で 20分間放置する.

10) 8,000 rpmで 20分間遠心(室温)し,上清を捨てて沈殿に 20 mLの 70%エタノールを加え

る.

11) 8,000 rpmで 10分間遠心(室温)し,上清を捨てて沈殿を風乾させる.

12) 沈殿を 2.2 mLの TEに懸濁したのち,2.5gの塩化セシウムを加え,よく混和する。

13) 20 µLの 10 mg/mL臭化エチジウム溶液を加え,よく混和する.

14) 5,000 rpmで遠心(室温)し、パスツールピペットを用いて泡を入れないように上清を超遠

心チューブへ移す.沈殿は医療用

廃棄物として捨てる.

15) 必要があれば、12)と等濃度の塩化

セシウムが溶けた TE を加えてチ

ューブを満たし、泡の混入に注意

しながら蓋をする(図 2-4).

16) 超遠心機で, 100,000 rpmで 4時

間 から一晩遠心(室温)する.

17) 蓋を外したのち,1 mL シリンジと

18 ゲージの注射針を用いて閉環状

DNAのバンドを抜き,1.5 mLチュー

ブに取る(図 2-5).

18) 等量の NaCl飽和ブタノールを加え,

よく振る(voltex).2000 rpmで 1分間

遠心し,上清を除く.この操作を溶液が完全に透明になるまで繰り返す.*上清には臭化エ

チジウムが含まれるので、廃液は一つにまとめて医療用廃棄物として捨てる.

19) 水層(下層, x µL)に対し,3倍量の水(3x µL)を加え混和する.

20) 10倍量のエタノール(10x µL)を加え,混合し,液体窒素で瞬間的に冷却する.

21) 8,000 rpmで 15分間遠心し,沈殿を 70%エタノールで洗浄したのち,風乾し,100-200 µLの

滅菌水に懸濁する.(うまくいけば、A260/A280 >1.8の DNAが 500 g以上取れる)

図 2-4

図 2-5

3. 蛋白質酵素の取り扱いの基礎未知試料の蛋白質定量酵素反応速度の測定イオン交換クロマトグラフィー精製したリゾチームの活性測定と結晶化SDSゲル電気泳動ウェスタンブロッティングによるタンパク質検出エドマン法によるアミノ酸配列の決定薄層クロマトグラフィー

3章

-48-

2) 十分に静置してゲルと上清とを分離させる(約 20 mLずつに分離する).下層のゲルを

捨てないように上清をピペットで丁寧に除いた後,ゲルと同体積の緩衝液 A を加えて良

く攪拌する.

この操作を 2 回繰

り返す.

3) 同時に図 3-2の

ようにカラムを組

み立てる.カラムの

洗浄を兼ねて緩衝

液 A をチューブ(a)

にセットし,コック

①および②を開い

て流し,きちんと流

れるかを確認する.

4) コック①を閉めてからカラムの蓋を開け,CM-Sephadexの混濁液の全量をカラム

(φ25 mm) に充填する.蓋を閉め,十分静置してカラムを沈殿させる.

5) 緩衝液 Aをチューブ(a)にセットし,コック①を開いて緩衝液 Aをカラムに流し,カラム

ベッドを落ち着かせる.このとき,流速が 1~1.5 mL/minとなるようにコック②を調節

する.

iii) イオン交換カラムクロマトグラフィ

1) 試料をチューブ(a)にセットして全量を流す.

2) 続けて緩衝液 Aをチューブ(a)から流す.約 50 mLごとにチューブ(b)より流れ出た液体を

少量分収し,OD280を測定する.OD280が 0.1以下になるまで続ける(100~200 mL).

3) 緩衝液 Aを流しつつ,チューブ(b)をフラクションコレクターにセットして試運転を行う.

1フラクションがおよそ 5 mLになるようにフラクション切り替え時間を設定する.

※ フラクション切り替え時間を無限大にセットしてから,フラクション用試験管に

5 mLの水を入れたものを隣に並べ,5 mL流出するのに掛かる時間を測定する.その

後フラクション切り替え時間を測定した時間にセットする.コック①を一旦閉め,

フラクションコレクターをリセットしてから次の操作へ進む.

4) カラム体積の 3倍の緩衝液 B (120 mL)を入れたビーカーをチューブ(a)にセットし,コッ

ク①を開いて溶出を開始すると同時に,フラクションコレクターを起動して溶出液をフ

ラクションに分ける.

5) カラムクロマトグラフィを行う前の試料(試料 2; 使い切らないように!)および溶出

した各フラクションのタンパク質濃度を Bradford 法を用いて定量し,それらの溶出パタ

ーンをプロットする.

図 3-2

3章

-52-

② 高濃度の溶液にする

③ 沈殿剤(塩,PEG,有機溶媒等)を加え過飽和にする

④ 小さな粒子が形成され結晶の核になる

⑤ 結晶が成長する

1) レザーバー(結晶化溶液)をエッペンドルフチューブに 12条件,1000 μLずつ用意する.

※PEG は粘度が高く混ざりにくいので,試薬を混ぜ終わったらボルテックスやピペッテ

ィングで混合する.条件 10~12は特に混ざりにくいので丁寧にピペッティングする.

条件 NaCl/PEG 4000 5M NaCl 50% PEG 4000 10 x緩衝液D MilliQ

1 0.5M/20% 100 400 50 450

2 0.5M/25% 100 500 50 350

3 0.5M/30% 100 600 50 250

4 0.75M/20% 150 400 50 400

5 0.75M/25% 150 500 50 300

6 0.75M/30% 150 600 50 200

7 1.0M/20% 200 400 50 350

8 1.0M/25% 200 500 50 250

9 1.0M/30% 200 600 50 150

NaCl/PEG 20000 5M NaCl 40% PEG 20000 10 x緩衝液D MilliQ

10 0.5M/18% 100 450 50 400

11 0.5M/24% 100 600 50 250

12 0.5M/30% 100 750 50 100

2) 結晶化プレートにレザーバーを 500 μL ずつ分注する.1条件につき 2箇所にとる.

3) 透析後の試料と 20 mg/mLの標準リゾチーム溶液 をそれぞれ 3 μLずつ結晶化プレートに

とる.

3年Sセメスター 生物化学実験(学生実習) I

4. マイクロアレイ実習-RNA抽出

-cDNA合成、蛍光ラベル

- ハイブリダイゼーション

-スキャニング、数値化、データ解析

5. プロテオミクス実習-細胞抽出液調製、精製、ゲル電気泳動

-バンド切り出し、プロテアーゼ消化

-ペプチドの回収・処理、スポッティング

-質量分析(MALDI-TOF-MS)

-データ解析

503.0 980.8 1458.6 1936.4 2414.2 2892.0

Mass (m/z)

0

1.7E+4

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

% In

ten

sity

Voyager Spec #1[BP = 568.3, 16561]

568.2620

927.6790

960.7508

673.5215

842.6807

650.1847515.4487

524.2633

1640.2349644.1659 1149.8362 1912.2759

1226.8309606.2094 855.2230550.2485 1017.7285

572.4241 2088.2200861.24141535.86321371.8213682.1410 887.1780 1138.7194508.3710 1716.11001552.8847

3年Sセメスター 生物化学実験(学生実習) I

6. シークエンス実習

-ゲノムDNAからショットガンライブラリーの作成

-シークエンス反応、シークエンサーの稼働

-データのコンピュータ処理

-新型シークエンサーの操作と見学

7. シミュレーション実習

① 微分方程式モデルの作製・解析

・基本的な生化学反応を微分方程式に書き下す練習

・作製した微分方程式モデルの解析

②システム特性の解析

・生化学反応の周波数特性

・生命現象の解析(神経活動電位、ポジティブフィードバック)

例:分子間相互作用

[ ] [ ] [ ]f

b

k

kA B AB

生化学反応式4 3( ) ( ) ( )m K k Na Na l l

dVC g n E V g m h E V g E V I

dt

神経細胞の発火モデル(Hodgkin-Huxleyモデル)

3年Sセメスター 生物化学実験(学生実習) I