テクニカル ノート - dell emc japan たemc カスタ マー サポートとvmax3...

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このテクニカル ノートには、以下のトピックに関する情報を掲載しています。 エグゼクティブ サマリー....................................................................... 4 対象読者 ......................................................................................... 6 概要 ................................................................................................... 6 リモート サポート ................................................................................. 7 管理モジュール監視ステーションを通じたサポート性 ........................ 8 RSA によって保護された SSC(セキュア サービス認証情報) .............. 8 エラーの検出 ................................................................................... 9 ブロック CRC エラーのチェック ........................................................... 9 データ整合性チェック ..................................................................... 10 ドライブのモニタリングと訂正 ......................................................... 10 物理メモリのエラー検出とエラー訂正 ............................................. 10 信頼できるコンポーネント ............................................................... 11 VMAX 3 コンポーネント レベルの冗長性 ................................................. 11 冗長エンジン コンポーネント ........................................................... 11 冗長ダイレクター ボード ................................................................. 12 MMCS(管理モジュール監視ステーション)と MM(管理モジュール)... 14 MMCS(管理モジュール監視ステーション) ...................................... 14 MM(管理モジュール) .................................................................... 15 フラッシュ I/O モジュール ............................................................... 16 フロントエンド I/O モジュール.......................................................... 16 EMC ® VMAX3 信頼性、可用性、保守性 P/N H13807-J リビジョン A03 2015 2 テクニカル ノート

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このテクニカル ノートには、以下のトピックに関する情報を掲載しています。

エグゼクティブ サマリー ....................................................................... 4

対象読者 ......................................................................................... 6

概要 ................................................................................................... 6

リモート サポート ................................................................................. 7

管理モジュール監視ステーションを通じたサポート性 ........................ 8

RSA によって保護された SSC(セキュア サービス認証情報) .............. 8

エラーの検出 ................................................................................... 9

ブロック CRC エラーのチェック ........................................................... 9

データ整合性チェック ..................................................................... 10

ドライブのモニタリングと訂正 ......................................................... 10

物理メモリのエラー検出とエラー訂正 ............................................. 10

信頼できるコンポーネント ............................................................... 11

VMAX3コンポーネント レベルの冗長性 ................................................. 11

冗長エンジン コンポーネント ........................................................... 11

冗長ダイレクター ボード ................................................................. 12

MMCS(管理モジュール監視ステーション)と MM(管理モジュール) ... 14

MMCS(管理モジュール監視ステーション) ...................................... 14

MM(管理モジュール) .................................................................... 15

フラッシュ I/O モジュール ............................................................... 16

フロントエンド I/O モジュール .......................................................... 16

EMC® VMAX3™

信頼性、可用性、保守性 P/N H13807-J リビジョン A03 2015 年 2 月

テクニカル ノート

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エグゼクティブ サマリー

バックエンド I/O モジュール ............................................................ 16

IB(InfiniBand)モジュール .............................................................. 17

共有物理メモリ .............................................................................. 17

グローバル メモリ テクノロジーの概要 ............................................ 17

物理ポート番号 .............................................................................. 17

論理ポート番号 .............................................................................. 18

チャネルのフロントエンド冗長性 ..................................................... 19

SAS のバックエンド冗長性 .............................................................. 20

冗長バックエンド ダイレクターの接続性 .......................................... 20

冗長ケーブル パス ......................................................................... 21

冗長ドライブ パス ........................................................................... 21

ポイント ツー ポイントのバックエンド ............................................... 21

DAE(ドライブ アレイ エンクロージャ) ............................................... 21

デュアル イニシエーター機能 ......................................................... 24

Dynamic Virtual Matrix ................................................................... 25

内部環境 Ethernet 接続性 ............................................................. 26

冗長電源サブシステム ................................................................... 27

バッテリー バックアップ ユニット モジュール .................................... 27

ヴォールティング ............................................................................ 28

ヴォールト トリガー ......................................................................... 28

電源をオフにする操作 ................................................................... 29

電源をオンにする操作 ................................................................... 29

データ保護の方法 ............................................................................... 30

RAID 1(ミラーリング) ...................................................................... 30

RAID 5 ........................................................................................... 31

RAID 6 ........................................................................................... 31

ローカル RAID ................................................................................ 31

シン プロビジョニング ..................................................................... 32

2 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

Page 3: テクニカル ノート - Dell EMC Japan たemc カスタ マー サポートとvmax3 システム内にあるmmcs 間の暗号化されたトンネルを通

エグゼクティブ サマリー

ドライブのスペアリング ................................................................... 33

延期サービス ................................................................................. 33

TimeFinder を使用したローカル レプリケーション ............................. 34

SRDF を使用したリモート レプリケーション ....................................... 35

D@RE(静止データ暗号化) ............................................................. 37

VMAX3コンポーネント レベルの保守性 ................................................. 38

無停止の HYPERMAX OS アップグレード ......................................... 39

点滅する青色のラック ライト ........................................................... 40

結論 ................................................................................................... 40

参考資料 ....................................................................................... 41

3 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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エグゼクティブ サマリー

エグゼクティブ サマリー

IT 産業は急速に成長し、変化を続けており、その焦点は主にクラウド コンピューティ ングやクラウド型消費モデルに集中しています。IT 企業は、準備された予算を調整

しながら、内外のお客様のストレージ ニーズに対応できるようにする必要があること

を認識しています。

VMAX3はこうしたニーズのすべてに対応できるプラットフォームです。ユーザーのスト

レージの消費方法を変えるシンプルな、サービス レベル ベースのプロビジョニング モデルを提供します。またバックエンド構成手順に注力することなく、その他の重要

な役割に専念できるようになります。

ストレージの消費を合理化することは重要ですが、VMAX3をパワフルなプラットフォ

ームにする考慮すべき機能は他にもあります。VMAX3は、冗長ハードウェア コンポ ーネントとインテリジェント ソフトウェア アーキテクチャにより、99.9999%の可用性 に近づく高可用性レベルと、極めて高いパフォーマンスを提供します。この組み合わ

せにより、システムの全体的な信頼性が高まります。また新しく革新的な方法でコン

ポーネントを活用することで、各システムの総所有コストを削減します。

ビジネス継続性を提供するために使用するデータのローカル/リモート レプリケー ションなどの重要な機能は、本番アクティビティに影響を及ぼすことなく、今まで以上

のデータ量に対応する必要があります。さらに、継続的に経済性を改善しながら、こ

うした課題がすべて最終的に満たされる必要があります。

VMAX3の重要な点は次のとおりです。

• サービス レベルに基づいたプロビジョニング:ストレージ消費者の要件は、容量

とパフォーマンスを中心に展開します。消費者にとってはニーズを満たすための

最適な容量と正しいパフォーマンス レベルが重要になります。サービス レベル ベースのプロビジョニングでは、ユーザーは事前定義されたサービス レベルを

選択し、ストレージをプロビジョニングして、必要なパフォーマンスを実現する機

会を得ます。バックエンドの構成にかかわるわずらわしさはありません。

• パフォーマンス:VMAX3で利用できる処理能力、メモリ、帯域幅によって、高レベ

ルの予測可能なパフォーマンスを実現します。これは、世界で最も要求度の高

いアプリケーションに必要な IOPS や MB/秒を満たすパフォーマンスが提供され

ることを意味しています。また VMAX3 では、一貫したアプリケーション レスポン

ス タイムを継続的に保証しながら、四半期末の処理やパフォーマンス集約的な

アド ホック クエリーなど、予測不能なワークロードによる I/O バーストを吸収す

ることができます。

4 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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エグゼクティブ サマリー

• 組み込み型情報中心型セキュリティ:VMAX3と統合型 RSA テクノロジーでは、 業界をリードする情報中心型セキュリティを提供し、ユーザー、インフラストラク

チャ、データを守ります。VMAX3セキュリティ機能はリスクを低減して情報を保護

します。組織は VMAX3システムとデバイスでアクティビティを認証、許可、監視

できます。

• Always-On 可用性(HA/RAS):VMAX3 ファミリーの RAS(信頼性、可用性、保守性) の機能により、Always-On 可用性を必要とするエンタープライズ環境の理想的な

プラットフォームとなっています。VMAX3ファミリーのアーキテクチャは、最も要求

が高いミッション クリティカルな環境で 99.9999%の可用性を実現します。このド

キュメントで説明される VMAX3アーキテクチャの冗長機能の多くは全体的なシス

テムの可用性を考慮しています。これには、バックエンド、キャッシュ メモリ、フロ

ントエンド、ファブリックでの冗長性とバックエンドのボリュームに与えられる RAID保護のタイプ、TimeFinder や SRDF(Symmetrix Remote Data Facility)などのロー

カル/リモート レプリケーション ソフトウェア機能が含まれます。また計算には、 故障が発生した、あるいは発生している FRU(フィールド交換可能ユニット)の交

換時間も含まれる場合があり、お客様のサービス レベル、さまざまな FRU の交

換頻度、ドライブの場合はホット スペア機能を考慮する場合もあります。

VMAX3による常時稼働の実現

VMAX3は、可用性、パフォーマンス、レプリケーション、拡張性、管理の観点でハイ

エンド ストレージへのお客様の期待を集めました。ハイエンドの可用性は単なる冗 長性ではなく、無停止の運用とアップグレード、そして「常にオンライン」状態である

ことを意味しています。ハイエンドのパフォーマンスを提供することで、予測の可否

にかかわらず、あらゆる状況ですべてのワークロードを処理できます。ハイエンド のレプリケーションにより、いつでもあらゆる量のデータをあらゆる距離に送信でき

ます。ハイエンドの拡張性とは、単なる容量ではなく、ビジネスがどのように変化し ても、いかなるサービス レベルやアプリケーションでもコスト パフォーマンスの高い

方法で処理する柔軟性を持つことを意味します。ハイエンドのストレージ管理により、

ストレージ アレイの監視だけでなく、プロビジョニングからビジネス継続性までビジ

5 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

Page 6: テクニカル ノート - Dell EMC Japan たemc カスタ マー サポートとvmax3 システム内にあるmmcs 間の暗号化されたトンネルを通

概要

ネスで期待されるサービス レベルの管理を実現します。先行機種と同様に、VMAX3

ではハイエンド ストレージの基準を新定義しました。

対象読者

このテクニカルノートは、VMAX3システムのコンポーネントとテクノロジーがどのよう

に信頼性と可用性の高いプラットフォームを提供するか理解する必要があるユーザ

ーを対象としています。また VMAX3システムの保守性についての詳細を確認したい

ユーザーも対象としています。このドキュメントは特に、VMAX3システムを使用する、

または使用する予定の EMC のお客様、セールス、現場のテクニカル スタッフを対象

としています。

概要

拘束力のあるSLA(Service Level Agreement)は、アプリケーション パフォーマ ンス、エンド ユーザー レスポンス タイム、システム可用性について、合意した 測定可能なサポート メトリックの実現をIT組織に確約します。ディスク ドライブ や電源の故障やコンポーネントが故障した場合、組織は妥協のない、最高レ

ベルのパフォーマンス、可用性、保守性の提供が求められます。

世界中のIT部門の役員は、ダウンタイムを時間や分で計測するだけでなく、 予想される売上の損失やセールス チャンスの逸失、顧客満足度の低下な どで計算しています。コンポーネントの故障に起因するオペレーショナル イン

パクトは、個別のアプリケーションとビジネスを推進するために情報可用性に

依存するユーザーに対し、完全に透過的である必要があります。

今日のミッション クリティカルな環境では、妥協のないレベルのサービスを保 証するハイエンド ストレージ ソリューションが必要になります。またそれを支援 するベンダーは、新しいテクノロジーに向けて品質の高いサポートと円滑な移

行パスを提供する必要があります。このソリューションには、データの可用性

に影響することのない、あらゆる障害の可能性に対応する堅牢なアーキテク

チャ設計を含む必要があります。

VMAX3シリーズは革新的な設計に基づいており、新しいシステムの信頼性、

可用性、保守性を向上させる主な強化機能が含まれています。VMAX3はクリ

ティカル アプリケーションや情報への無停止アクセスが要求される24時間 365日の環境にとって最適な選択となります。

このテクニカル ノートの目的は、VMAX3アーキテクチャ内の RAS(信頼性、可用性、 保守性)機能の概要を説明することです。

6 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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リモート サポート

リモート サポート

リモート サポートは EMC カスタマー サポートの重要かつ不可欠な役割になります。 各 VMAX3ユニットには、2 つの統合型 MMCS(Management Module Control Station)があり、VMAX3環境を常時監視します。MMCS は、ESRS(EMC セキュア リモート サポート)ゲートウェイへのネットワーク接続を通じて EMC カスタマー サポー

ト センターと通信できます。

VMAX3システムは MMCS を通じて、すべての I/O 動作のエラーや故障をアクティブ

に監視します。正常動作時にこれらのエラーを追跡することにより、エラー アクティ ビティのパターンを認識し、潜在的なハード故障を発生前に予測できます。この事前

対応型のエラー追跡機能では、故障が発生する前に疑わしいコンポーネントを隔離

(サービスから削除)することで、多くの場合コンポーネント障害を防げます。オートコ

ール機能により、VMAX3システムは障害が実際に発生する前に潜在的な問題を

EMC カスタマー サポートに自動通知できます。EMC のテクニカル サポート エンジニ

アはこうしたコールを処理し、地域のカスタマー サービス エンジニアを派遣してデー タへのアクセスを停止させることなくコンポーネントを交換できます。

リモート サポート機能を提供するために、VMAX3システムはオートコールを設定し、 潜在的な障害を EMC カスタマー サポートに警告します。認定 EMC テクニカル サポ

ート エンジニアはその他のトラブルシューティングや解決のためにリモートでシ ステム診断を実行できます。また、EMC 製品で着信接続可能な構成にすることで、 EMC カスタマー サポートはシステムにプロアクティブに接続し、必要な診断データを 収集したり、特定された問題に取り組むことができます。VMAX3システムの現状の connect-in サポート プログラムは、強力な認証機能、レイヤード アプリケーション セキュリティの最新デジタル キー交換テクノロジーを使用します。また EMC カスタ マー サポートと VMAX3システム内にある MMCS 間の暗号化されたトンネルを通 じて通話する一元化されたサポート インフラストラクチャを使用します。

EMC カスタマー サポートのスタッフがお客様のサイトでシステムへの接続を開始で きるようにするには、そのスタッフが個別に認証され、EMC カスタマー サポート チー

ムの適切なメンバーであることが認識される必要があります。現場ベースの担当者

は、お客様と顔見知りであっても、特定のお客様のアカウントに適切に関連付けら

れている必要があります。

接続サポート プログラムの設計で重要なことは、お客様の VMAX3 MMCS への接 続が EMC で特別に設計されたリモート サポート ネットワークの 1 つから発生してい

る必要があることです。これらの各 EMC サポート センター内では、必要なネットワー

クとセキュリティ インフラストラクチャは、call-EMC と call-device 機能の両方が有効

になるように構成されています。

7 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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リモート サポート

管理モジュール監視ステーションを通じたサポート性

旧世代の VMAX では、各システムにサービス プロセッサが 1 台あり、障害モニタリ

ングや EMC カスタマー サービスが提供するリモート接続とメンテナンスに使用され

ていました。VMAX3では、これが各システムの最初のエンジンにある 2 台の MMCS (管理モジュール監視ステーション)に拡張されました(ダイレクターにつき 1 台)。 各 MMCS はそれぞれのダイレクター ボードにある冗長電源で駆動します。

ダイレクター1 にある MMCS はプライマリ MMCS と呼ばれ、ダイレクター2 にある

MMCS はセカンダリ MMCS と呼ばれます。プライマリ MMCS は、通常稼働時にすべ

ての監視ステーション機能を提供し、セカンダリ MMCS は、この機能のサブセットを

提供します。プライマリ MMCS が故障すると、セカンダリ MMCS がセカンダリ状態に

昇進し、この状態の間、追加機能が使用可能になります。両方の MMCS がお客様

のネットワークに接続されると、そのシステムで EMC カスタマー サポートにエラーを

報告する冗長機能を使用できます。また EMC カスタマー サポートはシステムにリモ

ートで接続できるようになります。

MMCS は次のサポートと保守タスクに関与します。

• EMC カスタマー サポートによるトラブルシューティング

• 部品交換スクリプト

• コードのロードと構成、インストール スクリプト

• システムの稼働状態を監視する内部スケジューラ タスク

• エラー収集とジャーナル処理

• エラー報告とリモート接続性

MMCS とコンポーネント レベルの冗長性の詳細については、このドキュメントの

「MMCS(管理モジュール監視ステーション)」セクションを参照してください。

RSA によって保護された SSC(セキュア サービス認証情報)

セキュア サービス認証情報テクノロジーは、VMAX3デバイスでのサービス プロセッ

サ アクティビティにのみ適用され、ホストから開始された操作には適用されません。

このようなサービス認証情報には、ログインしているユーザー、そのユーザーが保

有する権限、認証情報の有効期間、symaudit ログで確認できるサービス担当者が

実行したアクションの監査が記載されます。これらの認証情報が VMAX3で確認され

ない場合、ユーザーは MMCS やその他の内部機能にログインできなくなります。

SSC では、オンサイトとリモートでの VMAX3へのログインの両方を保護します。

8 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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リモート サポート

一部のセキュリティ機能はお客様に対して透過的になります。このような機能には

EMC カスタマー サポートによるサービス アクセス認証と許可、SC(ユーザーID 情報) の制限アクセス(MMCS と EMC カスタマー サポートの内部機能)などがあります。 アクセスはホスト レベルだけでなくユーザー レベルでも定義できます。すべての

VMAX3ユーザーID 情報は VMAX3内で安全な情報格納のために暗号化されます。

MMCS ベースの機能では、認証済みのユーザーごとに Solutions Enabler アクセス

制御の設定を採用し、VMAX3や SRDF 接続システムなどの共有環境で所有していな

いデバイスの表示や制御を制限します。

エラーの検出

VMAX3では一式のエラー/整合性チェックを提供し、システム障害や停電が発生す

る場合にデータの整合性が維持されるようにします。VMAX3システムは次のデータ

整合性機能で設計されています。

• ブロック CRC エラーのチェック

• データ整合性チェック

• ドライブのモニタリングと訂正

• 物理的なメモリのエラー

ブロック CRC エラーのチェック

VMAX3アレイは次をサポートし、提供しています。

• トラック フォーマットの業界標準の T10 DIF(Data Integrity Field)ブロック

CRC(Cyclic Redundancy Code)。

オープン システムの場合、これによりホストが生成した DIF CRC がユーザー データとともに VMAX3アレイに格納され、エンド ツー エンドのデータ整合性

の確認に使用されます。

• アドレス/制御障害モードの保護機能を追加し、障害に対する保護レベルを

さらに強化。これらの保護機能は、T10 標準によってサポートされているユ

ーザー定義可能なブロックで定義される。

• ブロック CRC のアプリケーション タグや参照タグ部分の追加バイトでのアド

レスおよび書き込みステータス情報。

9 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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リモート サポート

データ整合性チェック

VMAX3アレイは、データの存続期間中、可能なすべての場所で、保持しているデー

タの整合性を検証します。データが VMAX3アレイに入力された時点から、データは

エラー検出メタデータによって継続的に保護されます。この保護メタデータは、デー

タが VMAX3サブシステム内で移動されるたびに、ハードウェアおよびソフトウェア メカニズムによってチェックされます。これにより VMAX3 アレイは、ハードウェアまた

はソフトウェア ヴォールトに対して、真のエンド ツー エンド整合性チェックと保護を提

供できます。

保護メタデータはデータ ストリームに追加され、期待されるデータの位置を示す情 報と、実際のデータ内容の CRC 表現が格納されています。保護メタデータに格納さ

れていることが期待される値は、データ ストリームとは別の領域に永続的に格納 されます。保護メタデータは、データがプロトコル チップ、内部バッファー、内部デー タ ファブリック エンドポイント、システム キャッシュ、システム ディスク間で移動され るときに、VMAX3アレイ内で移動されるデータの論理的な正確性を検証するために

使用されます。

ドライブのモニタリングと訂正

VMAX3アレイは、各ディスク データ転送の結果を検査し、アイドル時間にディスク 全体をプロアクティブにスキャンすることで、メディアの欠陥を監視します。ディスク

上のブロックに不良があることがわかると、ダイレクターによって次の処理が行わ れます。

1. 必要に応じて物理メモリ上にデータをリビルドします。

2. 欠陥があるブロックを、この目的のために予約されているディスク上の別の

領域に再マップします。

3. 物理メモリから、ディスク上の再マップしたブロックにデータを再度書き込み

ます。

ダイレクターでは、検出されたすべての不良ブロックの周囲をマップすることにより、

メディアの欠陥が回避されます。また、ディスク上で検出された各不良ブロックが追

跡されます。不良ブロックの数が事前定義された閾値を超えると、プライマリ MMCSはスペアリング動作を起動し、欠陥ドライブをリプレースしてから、EMC カスタマー サポートにコレクティブ アクションの手配をするよう自動的にアラートを送信します。

物理メモリのエラー検出とエラー訂正

VMAX3アレイで実行する HYPERMAX OS は単一ビットのエラーを修正し、単一ビット エラーが事前定義された閾値に達すると、エラー コードをレポートします。マルチ ビット エラーが発生すると、VMAX3アレイは、その物理メモリ セグメントを隔離し (サービスから削除し)、ミラー メモリ(データが書き込まれていない場合)または物 理ドライブからデータを取得します。万一、物理メモリの交換が必要になった場合、

10 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

VMAX3アレイは EMC サポートに通知し、交換を要求します。故障した FRU はその後、

故障解析のために EMC に送られます。

信頼できるコンポーネント

VMAX3システムでは、MTBF(平均故障間隔)が最小コンポーネント故障レートで数

十万から数百万時間あるコンポーネントを使用します。冗長性の高い設計により、

VMAX3システムはコンポーネント修復時にもオンラインで運用を継続できます。

定期的なシステム チェックではすべてのコンポーネントと HYPERMAX OS 5977 の 整合性をテストします。VMAX3システムでは、ホスト システムと EMC カスタマー サポ

ート センターにエラーと環境条件をレポートします。

VMAX3コンポーネント レベルの冗長性

ダイレクター ボード、グローバル メモリ、内部データ パス、電源、バッテリー バッ クアップ、すべての SAS バックエンド コンポーネントを含む VMAX3のすべての重 要なコンポーネントには完全な冗長性があります。次はそうしたコンポーネントそ れぞれの冗長性の概要になります。

冗長エンジン コンポーネント

エンジンは VMAX3システムの重要な構成ブロックになります。主に 2 個の冗長性の

あるダイレクター ボードで構成され、グローバル メモリ、フロントエンド接続、バック

エンド接続、内部ネットワーク通信コンポーネントを収容します。VMAX3シングル エンジン構成には完全な冗長性があります。

VMAX3システムはモデルによって異なるエンジン数をサポートします。次の表に は各 VMAX3モデルでサポートされるエンジン数を表示しています。

表 1:VMAX3モデルごとのサポートされるエンジン数

11 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 1:エンジンの前面ビュー

図 2:エンジンの背面ビュー

冗長ダイレクター ボード

前述のように各エンジンは 2 個のダイレクター ボードで構成されます。各ダイレク ター ボードには専用電源と冷却システムがあります。次の表は、ダイレクター内 のコンポーネント、数、目的の一覧です。

12 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

表 2:ダイレクターのコンポーネント

図 3:ダイレクター コンポーネントの前面ビュー

13 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 4:ダイレクター コンポーネントの背面ビュー

MMCS(管理モジュール監視ステーション)と MM(管理モジュール)

VMAX3システムには、MMCS(管理モジュール監視ステーション)と標準 MM(管理モ

ジュール)の 2 種の管理モジュールがあります。各 VMAX3システムの最初のエンジ

ンは各ダイレクターの MMCS に導入されます。後続のエンジン(エンジン 2~8)はそ

れぞれ MMCS の代わりに各ダイレクターの管理モジュールにより導入されます。

MMCS(管理モジュール監視ステーション)

MMCS は 1 つのモジュールで管理モジュールと監視ステーション(サービス プロセ ッサ)ハードウェアを統合します。電源や冷却装置、接続性の環境監視機能を提供

します。各 MMCS では、RS232 接続を経由してシステムの SPS(スタンバイ電源 装置)の 1 つを監視します。また各 MMCS は、内部通信と環境制御システムの一 部として VMAX3システムの両方の内部 Ethernet スイッチに接続されています。

内部通信と環境制御の詳細については、このドキュメントの「内部環境 Ethernet 接続性」セクションを参照してください。

また MMCS ではサポート機能も提供します。各 MMCS はお客様の LAN(ローカル エリア ネットワーク)に接続し、システムの監視と、EMC カスタマー サポート チーム

とのリモート接続を可能にします。プライマリ MMCS は VMAX3システムの KVM (キーボード/ビデオ/マウス)に接続します。セカンダリ MMCS には、バックアップ オプションとしてこれらの接続機能があります。また外部のラップトップや KVM ソ ースにも接続できます。

MMCS を通じたサポート性の詳細については、本書の「MMCS(管理モジュール監視

ステーション)を通じたサポート性」セクションを参照してください。

MMCS は、各ベイの前面と背面の青色 LED バーも制御します。これは EMC カスタマ

ー サポートによるシステム識別の目的に使用できます。詳細については、このドキ

ュメントの「システム識別点灯ベイ LED 機能」セクションを参照してください。

14 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 5:管理モジュール監視ステーションの接続性

MM(管理モジュール)

管理モジュールには MMCS の機能のサブセットがありますが、監視ステーション機

能は含まれていません。各管理モジュールは SPS へ RS232 で接続します。管理モ

ジュール A は Ethernet スイッチ A のみに接続し、管理モジュール B は Ethernet スイッチ B のみに接続します。MMCS のように、各管理モジュールは電源や冷却 装置、接続性の問題など環境上の問題の監視/レポート作成の役割を果たします。

15 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 6:管理モジュールの接続性

フラッシュ I/O モジュール

VMAX3フラッシュ I/O モジュールはヴォールティング シーケンス時に使用されます。 詳細については、このドキュメントの「ヴォールティング」セクションを参照してくだ さい。

フロントエンド I/O モジュール

VMAX3 フロントエンド I/O モジュールはチャネルの接続に使用されます。フロントエ

ンド I/O モジュールには複数のタイプがあり、さまざまなインターフェイスへの接続を

可能にします。このタイプには SAN、SRDF、eNAS(内蔵型 NAS)が含まれます。詳細

については、このドキュメントの「チャネルのフロントエンド冗長性 」セクションを参照

してください。

バックエンド I/O モジュール

VMAX3バックエンド I/O モジュールは、ダイレクター ボードをシステムのバックエンド に接続するために使用され、I/O をシステムのドライブまで下げることができます。

詳細については、このドキュメントの「SAS のバックエンド冗長性」セクションを参照し

てください。

16 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

IB(InfiniBand)モジュール

VMAX3 IB(InfiniBand)モジュールは、Dynamic Virtual Matrix の一部として MIBE (Matrix Interface Board Enclosure)への接続を提供します。詳細については、この ドキュメントの「Dynamic Virtual Matrix」セクションを参照してください。

共有物理メモリ

VMAX3では、アレイ内のあらゆるダイレクターからグローバル メモリにアクセスで きます。

• アレイがシングル エンジンの場合、物理メモリはエンジンの内部でペアにな ります。

• アレイが複数エンジンを搭載している場合、物理メモリはエンジン間でペア

になります。

二重書き込みテクノロジーはアレイによって維持されます。ダイレクターやメモリが

故障した場合、データは冗長なコピーから引き続き利用可能です。

グローバル メモリ テクノロジーの概要

グローバル メモリは、VMAX3アレイの非常に重要なコンポーネントです。すべての読 み取りと書き込み動作はグローバル メモリ経由で転送されます。VMAX3は、ホスト プロセッサとチャネル ダイレクター間の転送を可能にするので、物理ディスクが関 与する転送よりも各段に速い電子速度での処理ができます。VMAX3で使用する複

雑な統計プリフェッチ アルゴリズムは、VMAX3 アレイで近似条件まで調整可能です。 EMC のインテリジェントなアルゴリズムでは、キャッシュの決定を常に監視、評価、 最適化することで、自動的に作業負荷に合わせて調整します。

VMAX3アレイでは DDR3 DRAM テクノロジー(ダイレクターあたり 16 のスロット)を使 用し、VMAX3アレイをエンジンあたりのメモリ最大 2 TB、アレイあたり 16 TB に構成

できます。

物理ポート番号

VMAX3エンジンの物理ポート番号は、フロントエンドやバックエンド、ファブリック I/Oモジュールへのケーブルの接続方法を決定するために使用されます。各 VMAX3ダ

イレクター ボードの物理ポート番号は同じルールに従っています。次にルールの一 覧を示します。

• I/O モジュール スロットは左から右に 0~10 の番号が付く

• ポートが 4 個ある I/O モジュールは下から上に 0~3 の番号が付く

• ポートが 2 個ある I/O モジュールは下から上に 0~1 の番号が付く

17 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 7:物理ポート番号の付いたエンジンの背面ビュー

論理ポート番号

VMAX3エンジン内の論理ポート番号は、HYPERMAX OS が、フロントエンド、バック エンド、ファブリック ポートに接続されるものを解釈する方法を指定するために使用

されます。各 VMAX3ダイレクター ボードの論理ポート番号は同じルールに従ってい

ます。次にルールの一覧を示します。

• 32 個の論理ポートをサポート(ポート 0~31)

• 論理ポートは左から右、下から上に番号が付く

• ポート 0~3、20~23 は内部のヴォールト I/O モジュール専用

図 8:論理ポート番号の付いたエンジンの背面ビュー

18 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

チャネルのフロントエンド冗長性

チャネルの冗長性は、ホスト サーバー(ダイレクト チャネル)やファイバー チャネル スイッチ(SAN 接続)から VMAX3システムへの複数の接続を構成することで提供さ

れます。ファイバー チャネル スイッチを通じた SAN 接続性では、各 VMAX3ポートは

複数のホストの接続状態をサポートできるため、多数のホスト プラットフォームでス

トレージを統合できます。チャネル故障時に無停止のアクセスを確保するために、 複数の接続性が個々のダイレクター間で分散する必要があります。完全な冗長性

を提供するためには、サーバまたは SAN あたり最低 2 個の接続が必要です。

最も効率的に冗長性を確保するためには、フロントエンドのダイレクター ポートへの

ホスト接続性は物理コンポーネント間で分散する必要があります。

これはホストやクラスターを VMAX3に接続する際に推奨されます。

• 2~4 のフロントエンド パスは、マスキングとホストへのゾーンのポート グル ープに構成されます(シングル イニシエーター ゾーニングが推奨されます)。

• ケーブル接続オプションのアプローチの 1 つに、偶数番号のポートすべてを

ファブリック A に、奇数番号のポートすべてをファブリック B に接続する方法

があります。

• このアプローチを使用するシングル エンジン システムで、各ダイレクターで

両方の SAN ファブリックに展開する 2 個の I/O ポートを選択します。

例:ダイレクター1 と 2 の両方にあるポート 28 と 29。

• 複数エンジン システムでは、異なるエンジンに展開される少なくとも 2 個の

異なるのダイレクターで奇数ポートと偶数ポートが選択されると、パフォーマ

ンスへのロードが分散され、ファブリックの冗長性が確保されます。

例:ダイレクター1 と 3 のポート 28 と 29。

19 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 9:シングル エンジンの VMAX3環境における SAN の接続性

SAS のバックエンド冗長性

VMAX3アーキテクチャは 6 Gb/秒の SAS(シリアル接続 SCSI)のバックエンド設計を

採用し、高パフォーマンスと完全な冗長性を実現します。SAS は、個別のデバイスへ

のユニークなパスを持つコネクションレスのツリー構造を採用する信頼性の高いハ

イエンド プロトコルです。パスは、検出フェーズ中に構築されるルーティング テーブ

ルに格納され、I/O を希望するエンドポイントへ経路指定するために使用されます。

SAS バックエンド サブシステムは、物理ドライブに格納されたデータへの個別の冗

長性パスを提供し、コンポーネントの故障や交換(またはその両方)の際でも情報へ

のシームレスなアクセスを実現します。

次は、VMAX3バックエンド サブシステムの冗長コンポーネントの概要になります。

冗長バックエンド ダイレクターの接続性

同じエンジン内でダイレクターのペアを使用して各ドライブにアクセスします。ダイレ

クターの 1 個はドライブへのプライマリ物理パスに接続され、もう 1 個のダイレクタ

ーはドライブへのセカンダリ物理パスに接続されます。ダイレクターは 1 組の独立し

たバックエンド I/O モジュールと、グローバル メモリとドライブ間でデータを移動でき

るケーブル接続を通じて接続されます。各ダイレクターはプライマリやセカンダリ パスを通じてグローバル メモリに接続され、単一障害点の可能性を排除します。単一

障害点の詳細については、このドキュメントの「デュアル イニシエーター機能」セクシ

ョンを参照してください。

20 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

冗長ケーブル パス

各バックエンド I/O モジュールは、完全に独立したケーブル アセンブリを通じて関連 する LCC(リンク コントロール カード)と DAE(ドライブ アレイ エンクロージャ)のチェ

ーンに接続されます。各接続には 4 個のパスがあり、信頼性とスループットの向上

を実現します。

冗長ドライブ パス

各 SAS ドライブには完全に独立したパスを経由して接続されるポートが 2 個あり ます。VMAX3 アーキテクチャでは、これらのポートのそれぞれが個々のダイレクター、

ケーブル、LCC を通じて接続されます。

ポイント ツー ポイントのバックエンド

VMAX3システムは、各ドライブと独立した関係性を持つ SAS のコネクションレス、ポ

イント ツー ポイント ネットワークを採用しています。バックエンド コントローラーと各 ドライブ間のこの関係により、VMAX3は、ドライブの稼働状態を分析し、保守性を向

上させることができます。

SAS のコネクションレス、ポイント ツー ポイント ネットワークは、バックエンド I/O モジ ュールの SAS コントローラー、LCC の SAS エクスパンダー(VMAX DAE60 ICM/LCC と VMAX DAE120 LCC)で構成されています。これらの SAS ネットワークの制御ポイ ントにはネットワーク内で A 地点から B 地点にデータを移動するために必要なルー

ティング テーブルが含まれます。ルーティング テーブルは、SAS ネットワークが初期 化する際やトポロジーが変更する際の検出フェーズで構築されます。たとえば、トポ

ロジーの変更には、ドライブのプル/プラグ、ケーブルの接続/切断、LCC のプル/プラグを含むことができます。

DAE(ドライブ アレイ エンクロージャ)

VMAX3には 2 種の DAE(ドライブ アレイ エンクロージャ)を装備できます。VMAX DAE60 は 3.5 インチ ドライブと 3.5 インチ キャリアの 2.5 インチ ドライブをサポート

します。VMAX DAE120 は 2.5 インチ ドライブをサポートします。両方のタイプは単一

システムで混在させることができます。DAE は物理ドライブと LCC を収納します。

DAE コンポーネント

DAE60 は最大 60 台のドライブを収納できます。ICM(内部接続モジュール)と LCC(リンク コントロール カード)の両方を利用して物理ドライブとバックエンド I/O モジュ

ール間の通信機能を提供します。ICM は、バックエンド I/O モジュールへのケーブル

と拡張 DAE を含む残りのシステムをインターフェイス接続するエクスパンダーを備え

ています。LCC は、2 個のエクスパンダーを装備し、それぞれ ICM とドライブにインタ

ーフェイス接続します。LCC A は 60 台のドライブ セットに接続し、LCC B は同じドライ

ブの 2 番目のポートに接続します。LCC A と LCC B にある 2 個のドライブ エクスパン

21 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

ダーは 30 台のドライブに接続します。それぞれで最大合計 60 台のドライブが冗長

性のために各ドライブのデュアル ポートに接続します。

図 10:VMAX DAE60

DAE120 は、最大 120 台のドライブを搭載できます。各 LCC には 4 個のドライブ エクスパンダーがあります。ドライブ エクスパンダーはそれぞれ 30 台のドライブと接

続します。それぞれが 30 台のドライブに接続する 4 個のドライブ エクスパンダーに

より合計 120 台のドライブに接続できます。LCC A と LCC B は冗長性のために各ドラ

イブのデュアル ポートに接続します。

図 11:VMAX DAE120

DAE の故障ゾーン

VMAX3 DAE は、不測の電源関連障害に備えて、完全な故障ゾーン保護に対応す る設計になっています。両タイプの DAE には複数の故障ゾーンがあり、1 台の DAE 内に 4 個の仮想ドライブ エンクロージャを効果的に提供します。

22 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 12:DAE60 の故障ゾーン

23 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 13:DAE120 の故障ゾーン

デュアル イニシエーター機能

VMAX3システムのデュアル イニシエーター機能は、万一ドライブ管理ハードウェア

が故障した場合にデータの継続的な可用性を確保します。デュアル イニシエーター

ではドライブ故障時にデータの可用性を提供しません。ドライブは RAID グループに

構成されます。これにより、RAID グループがドライブを保護します。RAID の詳細につ

いては、このドキュメントの「データの保護方法」セクションを参照してください。

この機能は、両方のダイレクターがシングル エンジンにあり、DAE で冗長パスに接

続することで機能します。ダイレクターの 1 個は同じ DAE の LCC A と LCC B の両方

に接続できます。エンジンのもう 1 個のダイレクターはデュアル イニシエーターで、

LCC A と LCC B の反対側に接続できます。このケーブル接続スキームは可用性のた

めの完全な冗長性を提供します。

VMAX3システムの洗練されたフェンシング機構がバックエンド ダイレクターの故障 を検出した場合、システムはデュアル イニシエーターから完全に独立したパスを通 じて、無停止でドライブへの読み取りと書き込みを処理できます。

24 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

図 14:VMAX3の SAS のケーブル接続例

Dynamic Virtual Matrix

Dynamic Virtual Matrix では Infiniband(56 Gbps)テクノロジーを使用し、VMAX3シ ステムを通じてコントロール、メタデータ、ユーザー データを搬送します。このテク ノロジーはシステムにあるすべてのエンジンを接続して、パワフルな冗長性とパフォ

ーマンスを提供します。これにより、エンジンはリソースを共有したり、通信中に単一

のエンティティとして機能できるようになります。2 台以上のエンジンを搭載する

VMAX3システムでは、2 個の冗長 MIBE(Matrix Interface Board Enclosure)があり、

各ダイレクター ボードのファブリック I/O モジュールに接続します。Dynamic Virtual Matrix の目的は、すべてのエンジン間における通信の相互接続を確立することです。

つまりシングル エンジン システムでは Dynamic Virtual Matrix や MIBE が必要なくな

ります。

VMAX 100K と 200K プラットフォームは、2 個の 12 ポート MIBE と冗長性のある非

FRU 電源で構成されます。

図 15:VMAX 100K と 200K MIBE の前面ビュー

25 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

VMAX 400K プラットフォームは、2 個の 18 ポート MIBE、冗長性のあるホット プラグ

対応電源、交換可能なファンで構成されます。

図 16:VMAX 400K MIBE の前面(上部)と背面(底部)ビュー

内部環境 Ethernet 接続性

VMAX3システムでは 2 個の冗長 Ethernet スイッチを通じて環境情報を搬送します。 各 MMCS では両方の Ethernet スイッチに接続します。各管理モジュールは 1 つ のスイッチ(一方は偶数ダイレクター、他方は奇数ダイレクター)に接続します。これ

らは、下位レベルのシステム全体の通信、実行するアプリケーション ソフトウェアの

環境コントロール、監視、システムの診断を MMCS から提供します。

注:これらは Dynamic Virtual Matrix の一部である Infiniband MIBE から分離してい ます。

内部の Ethernet 接続性ネットワークはすべての重要なコンポーネントの環境イベン

トを監視しログに記録して、すべての運用上の問題をレポートします。重要なコンポ

ーネントにはダイレクター ボード、グローバル メモリ、電源、電源供給モジュール、 ファン、各種オン/オフ スイッチが含まれます。このネットワークの環境管理機能 では、各コンポーネントのローカル電圧を監視でき、最適な電力供給を確保します。

ダイレクター ボードとメモリの温度も継続的に監視されます。AC 主電源では次が 確認されます。

• AC の障害

• 補助への転送

• DC の障害

• DC 電源間の電流共有

• DC 出力電圧

• 過電圧状態の特定の通知

• 各 DC 電源からの電流

• 主要コネクタにわたる電圧低下

26 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

故障するコンポーネントを故障が発生する前に検出し、交換できます。

図 17:内部 Ethernet 接続性

冗長電源サブシステム

VMAX3にはモジュラー電源サブシステムがあり、処理を停止することなく、いずれか

のコンポーネントを現場で交換できるように冗長アーキテクチャになっています。

VMAX3の電源サブシステムには冗長性のための 2 つの電源領域があります。各電

源領域は、分離された AC 専用パワー ラインまたは AC 絶縁ラインに接続します。 領域の 1 つで AC 電源障害が発生すると、電源サブシステムはもう一方の電源領域

を通じて動作を継続します。VMAX3の電源モジュールの 1 つが故障すると、残りの

電源が継続してロードを共有します。VMAX3システムは故障を感知して環境エラー

としてレポートします。

バッテリー バックアップ ユニット モジュール

VMAX3ではバッテリー バックアップの目的で Li-Ion-SPS(リチウム イオン予備電源 ユニット)モジュールを活用するようになりました。これらは鉛酸 SPS モジュールより

も軽量で、寿命が長いのが特徴です。VMAX3ファミリー100K、200K、400K システム ベイは最大 6 個の Li-Ion-SPS モジュールを搭載できます。SPS モジュールの数と場 所は、システム ベイのタイプとアレイのエンジン数によって異なります。SPS 構成 には次のルールが適用されます。

• SPS 3A と 3B ではベイの最初(奇数)のエンジンにバックアップ電源を提供 します。これらがシステムに構成されている場合、両方の MIBE(Matrix Interface Board Enclosure)にもバックアップ電源を提供します。

• SPS 2A と 2B は、デュアル エンジン システム ベイの 2 番目(偶数)のエン ジンに電源供給し、すべてのデュアル エンジン システム ベイで必要になり

ます。

27 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

• SPS 1A と 1B は両方の MIBE と最初(奇数)のエンジンにバックアップ電源 を提供します。これらは、MIBE がある構成のみで必要になり、これにはデュ

アル エンジン構成とベイが 2 個以上のシングル エンジン構成が含まれます。

ヴォールティング

キャッシュ サイズが増大したため、すべてのアレイ データを永続状態に移動するた

めに必要な時間も増大しました。ヴォールティングでは、バッテリー電源に切り換え

る必要がある場合に、システムの電源をオフにするために必要な時間を制限します。

以前のプラットフォームとは違い、VMAX3プラットフォームはディスクにヴォールトし

ません。フラッシュ I/O モジュールと呼ばれる専用 I/O モジュールにヴォールトし、 ディスク領域を節約します。またフラッシュへのヴォールティングは、ヴォールティ ング プロセスの迅速化にもつながり、エンジン コンポーネントにプロセスを一元 化さ、ディスクへのバッテリー バックアップの必要性を排除します。また以前のシ ステムよりも全体的に密度の濃い構成を作成します。

ヴォールト トリガー

システムにヴォールトを要求する VMAX3システム状態変更はヴォールト トリガーと

呼ばれます。ヴォールト トリガーには、内部可用性トリガーと外部の可用性トリガー

の 2 タイプあります。

内部可用性トリガー

内部可用性トリガーは、コンポーネントが使用不可となったためにグローバル メモリ データが侵害された場合に起動します。コンポーネントが使用不可になると、システ

ムは NTV(Need to Vault)状態をトリガーし、ヴォールティングが起こります。内部トリ ガーは次の 3 つあります。

1. ヴォールト フラッシュの可用性 – フラッシュ I/O モジュールは通常の状態で

メタデータのストレージに使用されます。またヴォールティング プロセス中に

保存されるすべてのデータを格納します。フラッシュ I/O モジュールで利用

できる全体的なフラッシュ スペースが、グローバル メモリの N コピーと同じ

サイズになる場合、NTV プロセスがトリガーされます。これは、ヴォールト フラッシュ スペースがさらに少なくなる前に、すべてのデータを確実 に保存するためのものです。

2. GM(グローバル メモリ)の可用性 – ミラーされたダイレクター ペアのどれ かが、論理的または環境的に異常な場合、GM が利用不可となり、NTV がト

リガーされます。

3. ファブリックの可用性 – ファブリック スイッチの両方が環境的に異常 な場合、ファブリックが利用不可となり、NTV がトリガーされます。

28 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの冗長性

外部可用性トリガー

外部可用性トリガーは、グローバル メモリ データが侵害されていないが、ヴォール

ティングによりシステムの保存が向上すると判断された場合の環境でトリガーされ ます。この状況のヴォールティングは、ホスト アクティビティを停止するメカニズムと

して使用され、リカバリを簡単化し、データ消失の可能性をプロアクティブに防止す

る試みとして実行されます。外部トリガーは 2 つあります。

1. エンジン トリガー – 全部のエンジンが故障する場合、VMAX3システムがヴ ォールトします。

2. DAE トリガー – システムが DAE 全体または複数の DAE へのアクセスを失い、

アクセス ミスにより、構成済みの RAID メンバーがアクセス不能となった場合、

システムがヴォールトします。

電源をオフにする操作

VMAX3システムの電源がオフになる場合やオフラインに移行する場合、または環境

的な状態がヴォールト状況をトリガーする場合、ヴォールティング手続きが開始され

ます。電源がオフになる間や停電の間、最初に保存されるグローバル メモリの一部

が整合性のとれたイメージに到達します(書き込みはこれ以上ありません)。ダイレ

クターはその後グローバル メモリの適切なセクションをフラッシュ I/O モジュールに

書き込み、論理データのコピーを 2 つ保存します。BBU(バッテリー バックアップ ユニット)モジュールは、電源をオフにするプロセス中に最大 5 分間、システムへの電

源を維持します。

電源をオンにする操作

電源をオンにする間、データはグローバル メモリに再び書き込まれ、システムを リストアします。VMAX3システムの電源がオンになると、起動プログラムでは次を実

行します。

• ハードウェアと環境システムを初期化します。

• データの整合性を確認しながら、保存されたデータからグローバル メモリを

リストアします。これは電源オフ操作時に保存したグローバル メモリの各コ

ピーからセクションを取得し、グローバル メモリの完全な単一コピーに統合

することで達成します。保存した最初のコピーのセクションでデータの整合

性の問題がある場合、そのセクションはこのプロセス中に 2 番目のコピーか

ら抽出されます。

• クリーンアップ、データ構造の整合性を実行し、必要なグローバル メモリの データ構造を再初期化します。

29 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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データ保護の方法

起動プログラムの最後に、システムは通常の運用を再開します。この場合、BBU が

別のヴォールトを十分にサポートできるまで充電されている必要があります。安全 でない条件がある場合、システムの動作は再開されず、カスタマー サポートに連 絡し、診断と修復の必要性を伝えます。この状態で、カスタマー サポートは VMAX3

システムと通信できるようになり、通常の運用が再開しない理由を探します。

データ保護の方法

VMAX3システムにある標準機能は、従来の DASD よりも高いレベルのデータ可用性

を提供しますが、次のデータ保護オプションでは、さらに高いレベルのデータ復旧可

能性と可用性を確保します。

• RAID 1(ミラーリング)

• RAID 5

• RAID 6

• ローカル RAID

• シン プロビジョニング

• ドライブのスペアリング

• TimeFinder によるローカル レプリケーション

• SRDF(Symmetrix Remote Data Facility)でのリモート レプリケーション

これらのデータ保護オプション(ディスクのスペアリングを除く)は、物理ボリューム レベルで構成できるため、同じ VMAX3システム内の異なるデータセットには別の保

護レベルを適用できます。

RAID 1(ミラーリング)

RAID 1 構成では、各ドライブにデータのコピーがあるため、ほとんどのアプリケーシ ョンでより高いパフォーマンスを提供します。したがって、システムではいずれかの コピーから送信または受信することで、2 つの I/O 要求を同時に満たすことができ ます。ミラーされたボリュームでは、VMAX3 DMSP(ダイナミック ミラーリング サービス ポリシー)のためレスポンス タイムはさらに低くなります。DMSP は最大のパフォーマ

ンスを得るために読み取りに最適なディスクを自動的に決定します。また、VMAX3シ

ステムはミラーされたドライブのいずれのデータにもアクセスできるため、ミラーされ

たボリュームのレスポンス タイムは低くなります。

30 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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データ保護の方法

ミラーされた構成でも、ディスク障害が発生した場合に、データのもう 1 つの完全 なコピーが即座に利用可能になるため、より優れたパフォーマンスを提供します。 さらに、ミラーリングには 2 個のディスクのみが使用されるため、同じデータを含 む複数のドライブが故障する可能性が低くなります。

RAID 5

VMAX3ファミリーでは RAID 5 データ保護をサポートします。これは、RAID 5 セットの すべてのメンバー全体に循環パリティを適用する、業界標準の RAID 5 データ保護 テクニックの実装です。物理ドライブが故障した場合、RAID グループの残りのドライ

ブを読み取り、XOR 計算を実行して消失したデータを再構築します。

RAID 5 では、ドライブの故障に対しコスト パフォーマンスの高いデータ保護を提供し ます。最も要求の高い環境で、引き続き最大のパフォーマンスを得るためにミラーさ

れたストレージを引き続き採用しますが、RAID 5 構成は、価格がパフォーマンスより

も重要な情報ストレージにとって極めて魅力的な代替技術になります。

VMAX3では、次の 2 種類の RAID 5 構成が利用可能です。

• RAID 5(3+1) – データとパリティは 4 台のドライブでストライプされます (データ 3、パリティ 1)

• RAID 5(7+1) – データとパリティは 8 台のドライブでストライプされます (データ 7、パリティ 1)

RAID 6

RAID 1 や RAID 5 などの保護計画は、ミラーされたペアや RAID グループ内の物理ド

ライブ 1 台の故障からシステムを保護することができます。RAID 6 では RAID グルー

プ内で 2 台のドライブが故障する場合に、データの再構築機能をサポートします。

EMC の RAID 6 の実装では、2 種類のパリティを計算します。これは、同じ RAID グル

ープ内で 2 台のドライブが故障するシナリオであっても、データの再構築を可能に

するために重要です。水平パリティは RAID 5 パリティと同一で、RAID グループのす

べてのディスクにわたるデータから計算されます。対角パリティはデータ メンバーの

対角サブセットで計算されます。高いパフォーマンスを必要としないアプリケーション

では、RAID 6 が最高のデータ可用性を提供します。

ローカル RAID

ローカル RAID は VMAX3に導入された新しいコンセプトで、すべての VMAX3環境に

実装されます。ローカル RAID は RAID グループのすべてのメンバーを 1 台のエンジ

ンの背後に配置します。これによりデュアル イニシエーター フェイルオーバー/フェ

イルバック モデルをサポートしながら、バックエンド パフォーマンスが向上します。次

のメンバー分散ルールが RAID 構成に適用されます。

31 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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データ保護の方法

• 同じ RAID グループを同じディスクに配置することはできない

• ディスクはディスク グループに存在する

• 各ディスク グループは、1 つの RAID タイプのみをサポートする

• デフォルトではディスク タイプに対して 1 つのディスク グループが作成される

• 各ディスク グループは自身のスペア ディスクでプロビジョニングされる

パフォーマンスが向上のほかに、ローカル RAID に関連する次のようなその他のメリ

ットがあります。

• 直接/デイジー チェーンの DAE ケーブル接続において、クロス ベイ ケーブ

ル接続を排除する

• エンジン/ベイ レベルでの分散

• 連続または分散エンジン/ベイの任意の組み合わせによる新しいシステム

の構成やアップグレード

• システム ベイ 1 のどちら側にもエンジン/ベイが配置可能

• 業界で最も柔軟性の高いフロア計画能力

シン プロビジョニング

仮想プロビジョニングにより、物理的に使用される以上のストレージをホストに提示

することができ、共有の仮想プールから必要なストレージだけを割り当てることで、

容量使用率を高めることができます。また、仮想プロビジョニングは、自動ワイド ストライピングによりデータ レイアウトを容易にし、拡張に対応するために必要なス

テップを削減することで、ストレージ管理を簡略化します。

仮想プロビジョニングでは、仮想プロビジョニング済みデバイスと呼ばれる(またはシ

ン デバイスとも呼ばれる)ホストがアクセス可能なデバイス タイプを使用します。この

デバイスでは、デバイスが作成されてホストに提示された時点で、物理ストレージが

完全に割り当てられている必要はありません。仮想プロビジョニングされたデバイス

にドライブ スペースを提供するために使用する物理ストレージは、SRP(ストレージ リソース プール)と呼ばれる共有ストレージ プールから提供されます。SRP はデータ デバイスと呼ばれる内部デバイスを含む 1 つ以上のデータ プールで構成されます。 これらのデータ デバイスは、仮想プロビジョニング済みデバイスが使用する実際の

物理ストレージを提供するための専用デバイスです。

仮想プロビジョニング済みデバイスの一部に書き込みが行われると、VMAX3アレイ

はプールから最小限の物理ストレージを割り当て、書き込みターゲット エリアを含め

てそのストレージを仮想プロビジョニング済みデバイスの領域にマッピングします。

このストレージ アロケーション操作は、仮想プロビジョニング済みデバイス エクステ

32 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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データ保護の方法

ントと呼ばれるストレージの小規模なユニットで実行されます。エクステントは「チャ

ンク」と呼ばれる場合もあります。

仮想プロビジョニング済みデバイス エクステントのサイズは 1 トラック(128 KB)です。

仮想プロビジョニングされたデバイスで読み取りが実行されると、読み取られるデー

タは、仮想プロビジョニングされたデバイスがバインドされている SRP の適切なデー

タ デバイスから取得されます。マッピングされていない仮想プロビジョニング済みデ

バイスのエリアに対する読み取りでは、アロケーション操作はトリガーされません。

マッピングされていないブロックを読み取ると、各バイトがゼロであるブロックが返さ

れます。既存の仮想プロビジョニングされたデバイス、または将来的に仮想プロビジ

ョニングされるデバイスにサービスを提供するために、さらにストレージが必要にな

る場合、データ デバイスを SRP 内の既存の仮想プロビジョニングされたデータ プー

ルに追加できます。

VMAX3の仮想プロビジョニングにおける詳細については、「FAST(Fully Automated Storage Tiering™)での EMC® VMAX3サービス レベル プロビジョニング」テクニカル ノートを参照してください。

ドライブのスペアリング

HYPERMAX OS を実行する VMAX3システムは、Direct Sparing をサポートし、障害が 発生すているドライブをスぺアのドライブに自動的に交換します。VMAX3の Direct Sparing は RAID 6(14+2)を含むすべての保護タイプをサポートします。

従来の 2 つのスペアリング要素、ファイバー ループ上のヴォールト ドライブとドライ

ブの場所は VMAX3システムに適用されません。VMAX3システムはヴォールト ドライ

ブではなくエンジンのフラッシュ I/O モジュールにヴォールトします。HYPERMAX OSは、スペア ドライブを同じエンジン内のバックエンド ダイレクター間で動的に再配置

できます。

VMAX3における Direct Sparing の主な要素は、スペア ドライブ、障害が発生してい るドライブ、その他の RAID メンバーが配置されるディスク エンクロージャ内の電源

領域になります。RAID 1 と RAID 5 は電源領域あたり 1 つのメンバーのみを有するこ

とができ、RAID 6 では電源領域あたり 2 つのメンバーを有することができます。

HYPERMAX OS は、スペア ドライブで同じカテゴリー(優先、通常、非優先)を使用し ます。ディスク スペアリング スクリプトでは、次の表で説明する次のルールを使用し

て利用可能な最善のドライブを選択します。

延期サービス

Deferred Service(延期サービス)フラグを有効にすると、ダイレクト スペアリング操

作が発生した後にシステムのいずれかのドライブでスペアが利用できなくなる場合、

スペア ドライブが交換のために呼び出されます。これにより複数のドライブは同時

33 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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データ保護の方法

に交換されるので、お客様が EMC カスタマー サポートでドライブ交換の保守をスケ

ジュールする頻度が少なくなります。

ドライブのスペアリングの詳細については、「Drive Sparing in EMC® Symmetrix® VMAX3 Family Systems (EMC® Symmetrix® VMAX3 ファミリー システムのドライブ スペアリング)」ホワイト ペーパーを参照してください。

TimeFinder を使用したローカル レプリケーション

EMC TimeFinder®ソフトウェアは、バックアップ、意思決定支援、データ ウェアハウ

スの更新など、本番データへの並列アクセスを必要とする処理で利用可能な、ボリ

ュームのポイント イン タイム コピーを提供します。

以前の VMAX ファミリーが提供する複数の TimeFinder 製品には、それぞれに独 自の特徴と使用されるべき用途があります。これらの製品にはいくつかの類似点も

あり、主要な類似点として、スナップショットやクローン データを保持するために、 それぞれターゲット ボリュームが必要なことがあります。

HYPERMAX OS 5977 搭載 VMAX3の TimeFinder は、TimeFinder SnapVX を導入し、 以前の TimeFinder サービスの優れた面と組み合わせて、新しく使いやすい機能を 追加し、拡張性が向上しています。

SnapVX は、非常に低いインパクトのスナップショットとクローン作成機能を、VMAX3

データ ボリュームに提供します。SnapVX ではソース ボリュームあたり最大 256 の

スナップショットをサポートし、より少ないオーバーヘッドとシンプルな関連性追跡機

能でバージョンがトラッキングされます。ユーザーは名前を割り当ててスナップショッ

トを識別することができます。また、各スナップショットに自動有効期限日を設定する

オプションがあります。

SnapVX は、ストレージ グループの一貫したポイント イン タイム コピーを単一の操

作で管理する機能を提供します。ソース ボリュームごとに、最大で 1024 のターゲッ

ト ボリュームをリンクすることができ、ポインターまたはフル コピーでの読み取り/書き込みアクセスを提供します。

HYPERMAX OS の TimeFinder は、TimeFinder のミラー、スナップショット、クローン 作成、VP スナップ コマンド スクリプトに依存するユーザーに互換モードも提供し ます。これにより、ユーザーは SnapVX の新機能の活用方法を学びながら、既存の

スクリプトも使用できます。

TimeFinder SnapVX の詳細については、「EMC®VMAX3 Local Replication Suite」テク

ニカル ノートを参照してください。

34 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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データ保護の方法

SRDF を使用したリモート レプリケーション

EMC SRDF(Symmetrix Remote Data Facility)ソリューションでは、VMAX と VMAX3ア

レイ向けの災害復旧およびデータ移動ソリューションを提供しています。SRDF サー

ビスは、次の動作環境で提供されます。

• HYPERMAX OS 搭載の VMAX3 100K、200K、400K アレイ

• Enginuity 搭載の VMAX 10K、20K、40K アレイ

SRDF は、同じ部屋、同じ構内、または何千キロも離れた場所に配置されている 2 つ、

3 つ、または 4 つのアレイ間でデータをレプリケートします。

• SRDF/S(SRDF Synchronous)は、200 キロの距離範囲内にある複数のアレ

イで、リアルタイム コピーを維持します。本番ホストから、リモート アレイの

キャッシュへの書き込みがあった場合、この書き込みはローカル アレイによ

って確認されます。

• SRDF/A(SRDF Asynchronous)は、距離範囲の制限なく、複数のアレイで、

相互依存する書き込みの整合性コピーを維持します。本番ホストからの書

き込みは直ちにローカル アレイによって確認されるため、レプリケーション

がホストのパフォーマンスに影響を及ぼすことがありません。通常、リモート アレイのデータの遅れは、プライマリ サイトと比較してほんの数秒です。

SRDF 災害復旧ソリューションは、「アクティブなリモート」ミラーリングと相互依存する

書き込みのロジックにより、整合性のあるデータ コピーを作成します。相互依存する

書き込みの整合性は、アプリケーションをリモート ロケーションで再開するときにトラ

ンザクションの整合性を確保します。SRDF ソリューションは、さまざまな目標復旧時

点や目標復旧時間に合わせてカスタマイズできます。

SRDF を使用するだけでも、次を実行するためのソリューション一式を構築できます。

• 1 つ、2 つ、または 3 つのリモート アレイで、リアルタイム(SRDF/S)、または

相互依存書き込み整合(SRDF/A)のコピーを作成する。

• データを遠隔地に迅速に移動させる。

• データ消失ゼロのリカバリ、ビジネス継続性保護、災害後の再起動で、 3 サイトでの災害復旧を実現する。

SRDF と他の EMC 製品を統合し、次を実行するためのソリューション一式を構築でき

ます。

• データ消失ゼロとビジネス継続性保護で災害後に運用を再開する。

• クラスター環境で運用を再開する(たとえば、Microsoft Failover Cluster 搭載の Microsoft Cluster Server など)。

35 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

Page 36: テクニカル ノート - Dell EMC Japan たemc カスタ マー サポートとvmax3 システム内にあるmmcs 間の暗号化されたトンネルを通

データ保護の方法

• 代替のローカルまたはリモート サーバー上で再開動作を監視し、自動 化する。

• VMware 環境で再開動作を自動化する。

SRDF/Cascade と SRDF/Star のサポート:HYPERMAX OS 5977 の 2015 年度第 1 四 半期のサービス リリースで、SRDF/Cascade と SRDF/Star 構成のサポートを発表し ました。

SRDF/Cascade 構成は、3 サイトでのリモート レプリケーションを使用して、サイト B とサイト C の間での SRDF/A ミラーリングにより災害後の業務再開の柔軟性を高

めます。図 18 では SRDF/Cascade ソリューションの例を示しています。

図 18:SRDF/Cascade

SRDF/Star は、一般に災害復旧で最高のリカバリ性を実現するために使用されます。

SRDF/Star は、3 サイトで構成され、稼働を続けている 2 サイト間でデータを消失せ

ずに SRDF/A を再開することにより、リモート データ ミラーリングを継続し、災害後業

務再開機能を保持します。図 19 ではカスケードとコンカレント SRDF/Star ソリューシ

ョンの例を示します。

36 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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データ保護の方法

図 19:SRDF/Star

SRDF の詳細については、「EMC®VMAX3 Family with HYPERMAX OS Product Guide (HYPERMAX OS 搭載 EMC®VMAX3 ファミリー製品ガイド)」を参照してください。

D@RE(静止データ暗号化)

HYPERMAX OS 5977 の 2015 年度第 1 四半期サービス リリースで、バックエンド暗

号化をアレイ全体に追加してデータの機密性を保護する D@RE(静止データ暗号化)

へのサポートを発表しました。D@RE は、VMAX3 システムにハードウェア ベースの

アレイ上でのバックエンド暗号化を提供します。バックエンド暗号化は、ドライブがシ

ステムから取り外される際に、不正アクセスから情報を保護します。

D@RE は、XTS-AES 256 ビットの静止データ暗号化を採用したファイバー チャネル I/O モジュールを使用してバックエンドでの暗号化を提供します。これらの I/O モジュ

ールは、ドライブにデータを書き込んだり、ドライブからデータを読み取る際に、デー

タの暗号化/暗号化解除を実行します。データ ドライブ、スペア、プロビジョニングさ

れたボリュームのないドライブを含むすべての構成済みドライブが暗号化されます。

D@RE ではキー管理に RSA® Embedded Key Manager を採用しています。D@RE を

使用すると、キーは自己管理されるので、ボリューム スナップショットやリモート サイ

ト間でキーをレプリケートする必要がなくなります。RSA Embedded Key Manager は、

スペア ドライブを含むアレイの各ドライブに対して個別のユニークな DEK を提供し ます。

D@RE は、エンタープライズ ストレージのデータを保護することで、破棄、紛失、盗難

されたメディアにある機密データの露出の可能性を低減または排除します。データ

の暗号化に使用したキーが保護されている限り、暗号化されたデータが読み取られ

37 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

Page 38: テクニカル ノート - Dell EMC Japan たemc カスタ マー サポートとvmax3 システム内にあるmmcs 間の暗号化されたトンネルを通

VMAX3 コンポーネント レベルの保守性

ることはありません。メディアの物理的な除去に関連する脅威からの保護のほか、 メディアに以前保管されていたデータの保護に使用した暗号化キーを破棄するこ とで、メディアをすぐに再利用できます。

D@RE はすべての VMAX3 機能と互換性があり、サポートするローカル ドライブ タイ

プやボリューム エミュレーションの暗号化を可能にします。また、既存のアプリケー

ションやインフラストラクチャのパフォーマンスが低下したり、停止することなく強力な

暗号化を提供します。

D@RE の詳細については、「EMC® VMAX3 Data at Rest Encryption(EMC® VMAX3 D@RE(静止データ暗号化))」ホワイト ペーパーを参照してください。

VMAX3コンポーネント レベルの保守性

VMAX3システムは、少ない部品数のモジュラー設計を導入しており、故障が発生し

た場合に、停止することない部品の交換を可能にして保守性を向上させます。少な

い部品数により障害点を最小限に抑えます。

VMAX3システムには、主要コンポーネントの無停止交換の機能があり、次のコンポ

ーネントをシステムの電源がオンの状態で交換できます。

• エンジン コンポーネント:

o ダイレクター ボード

I/O モジュール

• ファイバー チャネル(フロントエンド)

• eNAS(内蔵型 NAS)

• SAS(バックエンド)

• フラッシュ(ヴォールト)

• 圧縮(SRDF 圧縮)

管理モジュール/管理モジュール監視ステーション

IB(InfiniBand)モジュール

電源装置

ファン

38 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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VMAX3 コンポーネント レベルの保守性

• DAE(ディスク アレイ エンクロージャ)コンポーネント:

o LCC(リンク コントロール カード)

o 電源装置

o SAS とフラッシュ ドライブ

o ファン

o SSC(システム ステータス カード)

• MIBE(Matrix Interface Board Enclosure)

o ファン(400K のみ)

o 電源(400K のみ)

• Ethernet スイッチ

• SPS(予備電源ユニット) - リチウム イオン バッテリー

• PDU(配電ユニット)

VMAX3システムは、コンポーネント レベルの完全な冗長性を提供し、システムをコン

ポーネントの故障から保護し、情報への継続的で無停止のアクセスを可能にします。

この無停止交換機能により、EMC カスタマー サポートのエンジニアは、次を行うことなく、新しいコンポーネントをインストールして、必要に応じて初期化し、オンラインに

できます。

• 影響のないボリュームへのアクセスを停止する

• VMAX3ユニットの電源をオフにする

• オペレーティング システムを停止する

• 影響のないチャネル パスをオフラインにする

• オフラインでデバイス(影響を受けるデバイス以外)を取り外す

無停止の HYPERMAX OS アップグレード

HYPERMAX OS の中間更新は EMC RCM(Remote Change Management)グループに

よってリモートで実行可能です。これらの更新では、パフォーマンス アルゴリズム、

エラー リカバリ、レポート テクニックの機能拡張、診断、HYPERMAX OS の修正を提

供します。また、HYPERMAX OS の新機能も提供します。オンラインでの HYPERMAX OS コードのロード中に、EMC RCM チームのメンバーは新しい HYPERMAX OS コード

を MMCS にダウンロードします。新しい HYPERMAX OS コードは、ダイレクター内の

39 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

Page 40: テクニカル ノート - Dell EMC Japan たemc カスタ マー サポートとvmax3 システム内にあるmmcs 間の暗号化されたトンネルを通

EEPROM エリアにロードされ、次のパラグラフで説明するようにコントロール ストアで

ホット ロードを要求されるまでアイドル状態を保ちます。

VMAX3システムでは、この機能を実行中にお客様のアクションを必要としません。 すべてのダイレクターはホスト プロセッサに対してオンライン状態のままになるた め、アプリケーション アクセスが維持されます。VMAX3システムはすべてのダイレク

ターがロードされるまで、各ダイレクターのハードウェア リソース内に実行可能な

HYPERMAX OS コードをロードします。実行可能な HYPERMAX OS コードがロードされ

たら、内部処理が同期され、新しいコードが使用可能になります。

点滅する青色のラック ライト

各 VMAX3ベイには前面と背面に青色の LED バーがあり、サービス アクティビティ中

に重要な機能を果たします。インストール、コンポーネントの交換、ケーブル接続の

確認などの手順では、適切な LED バーに信号を送信し、LED を点滅させて、EMC サ

ービス担当者を正しいベイに導きます。ベイ内の別のインジケーターLED と、MMCSのサービス手順で提供される詳細な指示で、サービス担当者を正しいコンポーネン

トに案内します。これは今日のデータセンターでは非常に重要な機能で、特に分散

されたベイ システムでは重要になります。

また、ベイの LED バーの状態は、Solutions Enabler コマンド「symcfg set –led」 とシステム ハードウェア メニューの[Unisphere for VMAX]を通じて変更も可能です。

各ライト バーは冗長電源の両方の電源領域に接続されています。ライト バーとケー

ブル接続は無停止で交換可能です。

結論

VMAX3はすでに傑出している VMAX 製品ラインのすべての側面を向上させるプラッ

トフォームです。これは冗長性の高いハードウェア コンポーネントのシステムであり、

非常に信頼性の高い環境を構築します。また、設置面積も縮小して、データセンタ

ーの二酸化炭素排出量と総所有コストの増加を最小限に抑えます。HYPERMAX OSの導入により、サービス レベルのプロビジョニングなどの新テクノロジーを通じてお

客様のエクスペリエンスが向上し、ストレージの管理が簡単になります。一方、ヴォ

ールティング、ディスク スペアリング、RAID などの概念の改善により、データの可用

性も向上します。VMAX3のローカルおよびリモート レプリケーション スイートでは、 システムの TimeFinder SnapVX や SRDF のそれぞれがシステムにより高いレベル の可用性ももたらします。VMAX3は保守性の面でも傑出しており、部品交換プロセ

スを迅速かつ簡易にします。

40 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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結論

VMAX3にはシステムの信頼性、可用性、保守性を向上させる重要な機能拡張が含

まれており、このことが VMAX3を、重要なアプリケーションと無停止の情報へのアク

セスを要求する 24 時間 365 日稼働する環境にとっての最適な選択肢にしています。

参考資料

次を含む、参照情報および製品ドキュメントについては、support.EMC.com を参照し

てください。

EMC®VMAX3 Local Replication Suite

HYPERMAX OS 搭載 EMC®VMAX3ファミリー製品ガイド

FAST(Fully Automated Storage Tiering™)での EMC® VMAX3サービス レベ

ル プロビジョニング)

41 EMC® VMAX3の信頼性、可用性、保守性

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結論

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ならびに製品についての商標は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。

製品ラインの最新規制のドキュメントについては、EMC オンライン サポートにアクセ

スしてください。

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