赤外線で見る宇宙の始め赤外線で見る宇宙の始め京都大学　理学部　　舞原　俊憲京都大学　理学部　　舞原　俊憲

　　まだよく分かっていない宇宙の謎とは　　　　　　なにか？

　キーワードは

ブラックホール？

銀河 NGC4697 の中心部の画像（ブラックホールの存在を示唆）

　　　　　　まだよく分かっていない宇宙の謎とは　　　　　　　　　　　　どんなこと？

　＊宇宙の重さを担っている物質は、普通の物質ではない 。それを、「ダークマター」と呼んでいるようだが、一体何ものなのか？

　＊宇宙はどのようなきっかけで膨張を始めたのか。これから宇宙の膨張はどうなっていくのか？

　＊宇宙の始め頃に、一体なぜ、どのようにして、星や銀河や巨大ブラックホールが生まれ、宇宙に存在するようになったのか？

　＊最近、 宇宙の膨張が加速していることがわかった。その原因は、ダークエネルギーと言われている。一体何者で、なぜ加速するのか？

　　　　　　　　　　　　　　　赤外線とは何か

　　　可視光に比べて 「波長の長い」 光の一種 　　特徴

　＊宇宙空間に存在しているチリのような微粒子による吸収が小さい。

　＊温度が低い天体を調べることができる 。

　＊宇宙の初めの頃に放射された光が、赤方偏移という効果のために、赤外線の波長になっても、観測ができる。

　　　　　　　　赤外線の効果　　　　　　　　　その１

約 ４秒角

　　　　　　　　　　　　　　　赤方偏移とは

　　宇宙は膨張しているので、遠方の天体ほど、早い速度で遠ざかる。

　「光のドプラー効果」のため、放射された時の波長より、長くなって地球に到達する。

　右図のように、宇宙膨張に引きずられて、波形が引き伸ばされると、解釈ですることもできる。

ビッグバン

第１世代の星形成

銀不規則小銀河／

巨大ブラックホール

の形成

クェーサー

の形成

現在の銀河宇宙

宇宙初期の元素合成

晴れた

宇宙

宇宙は何歳か？宇宙は何歳か？

宇宙が出来たのは、約宇宙が出来たのは、約１３０億年１３０億年前。前。

しかも、物質というものが何もない状態 しかも、物質というものが何もない状態 「無」「無」 から生まれた。から生まれた。（莫大な（莫大な「エネルギー」「エネルギー」が「が「小さなかたまり小さなかたまり」になっていた）」になっていた）

こうしてできた宇宙から、まず「水素ガス」と「ヘリウムガこうしてできた宇宙から、まず「水素ガス」と「ヘリウムガス」ス」

だけの宇宙ができる。だけの宇宙ができる。

その後、星が生まれて、その後、星が生まれて、酸素や炭素、鉄、亜鉛酸素や炭素、鉄、亜鉛などを作って生などを作って生命体のもとができる。鉄よりも重いものは、超新星の爆発命体のもとができる。鉄よりも重いものは、超新星の爆発の際に宇宙空間に放出され、やがて惑星になる。の際に宇宙空間に放出され、やがて惑星になる。

宇宙の誕生から太陽と地球の誕生まで宇宙の誕生から太陽と地球の誕生まで

　　　　　　　　「火の玉宇宙」「火の玉宇宙」 が出発点が出発点

＊＊宇宙は、物質も存在しない宇宙は、物質も存在しない、、「「エネルギーのかたまりエネルギーのかたまり」」だった。だった。＊その後、膨張して行くときに、＊その後、膨張して行くときに、「物質」「物質」 が生まれた。（約が生まれた。（約１３０１３０億年億年前）前）＊はじめは「物質」と言っても、水素とヘリウムだけだった。（最初の＊はじめは「物質」と言っても、水素とヘリウムだけだった。（最初の３分３分

間）間）　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓↓↓↓↓↓＊中性のガスで満たされた晴れた宇宙（宇宙が出来て、＊中性のガスで満たされた晴れた宇宙（宇宙が出来て、３０万年３０万年たった頃）たった頃）　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓↓↓↓↓↓　　　　　　　　　　　　「星と銀河の宇宙」が出来始める。「星と銀河の宇宙」が出来始める。＊初代の星が出来る。＊初代の星が出来る。（数億年（数億年たった頃たった頃？？）？？）＊星ができるようになって、星の中で炭素や酸素や鉄が作られて、現在の太＊星ができるようになって、星の中で炭素や酸素や鉄が作られて、現在の太

陽や地球ができた。（陽や地球ができた。（４６億年４６億年前）前）＊知的生物の文明発祥（数万～数十万年前）⇒高度科学技術（数十年前）＊知的生物の文明発祥（数万～数十万年前）⇒高度科学技術（数十年前）

第一世代の星の誕生？第一世代の星の誕生？

星は星は水素とヘリウムだけ水素とヘリウムだけの宇宙のなかで誕生。の宇宙のなかで誕生。

　　いつできたか？　　いつできたか？　　どのようにして生まれたのか？　　どのようにして生まれたのか？　　どんな星なのか？　　どんな星なのか？

　　これらはまだ何も分かっていない。　　これらはまだ何も分かっていない。（（大型望遠鏡、赤外線大型望遠鏡、赤外線観測装置観測装置が必要）が必要）

水素とヘリウムが集まって星になり、星の中心部分で、水素とヘリウムが集まって星になり、星の中心部分で、元素元素が製造が製造される。それは直ぐにされる。それは直ぐに超新星超新星になって、宇宙のガになって、宇宙のガスに色々な元素が混じるようになった。スに色々な元素が混じるようになった。

　　赤方偏移　“１０” の時代はもうすぐ

有力候補　　ガンマ線バースト天体

　　　　　　　　ハイパー超新星

　　　　　　　　初代のクェーサー

　　　　　　　　初代の種族ＩＩＩの星の星団

　　　　　　　　？？

宇宙の年表宇宙の年表

　　　　　　宇宙の誕生宇宙の誕生　　 (( 水素とヘリウムだけ）水素とヘリウムだけ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　初代の星の誕生初代の星の誕生　　　　　　（大きな重たい星なのですぐ爆発）　　　　　　（大きな重たい星なのですぐ爆発）　　　　　　（炭素や酸素が宇宙のガスに含まれるようになる）　　　　　　（炭素や酸素が宇宙のガスに含まれるようになる）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２代目の星の誕生　２代目の星の誕生　　　　　　　　　　　　　　（最初の銀河ができる）　　　　　　　　　　　　　　（最初の銀河ができる）　　　　　　　　　　　（炭素から鉄以上の重い元素が増えていく）　　　　　　　　　　　（炭素から鉄以上の重い元素が増えていく）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３代目か４代目に、太陽型の星の誕生３代目か４代目に、太陽型の星の誕生　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（惑星を伴った恒星）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（惑星を伴った恒星）　　　　　　　　　　　　　　　　　（生命体に必要な元素が増えている）　　　　　　　　　　　　　　　　　（生命体に必要な元素が増えている）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　現在の宇宙・太陽　現在の宇宙・太陽

系系　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（地球は生物進化のトップランナーか　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（地球は生物進化のトップランナーか

も）も）

人間は人間は星の子星の子

宇宙の始めの頃には、宇宙の始めの頃には、生命体をつくる元素生命体をつくる元素が無かった。が無かった。

炭素、酸素、カルシウム、鉄など炭素、酸素、カルシウム、鉄などは後からできてくる。は後からできてくる。

宇宙も星も生命も、実は始めは存在していなかったのに、宇宙も星も生命も、実は始めは存在していなかったのに、後から、だんだんとできてきたもの。後から、だんだんとできてきたもの。

　　　　生命体を作る主な元素：生命体を作る主な元素：炭素、窒素、酸素、カルシュ炭素、窒素、酸素、カルシュウムウム

　　のほか、のほか、 鉄、亜鉛や銅・コバルト鉄、亜鉛や銅・コバルトなどの重元素の役割が重要などの重元素の役割が重要　　　　　　ーー＞　新陳代謝（触媒作用）　　　　　　ーー＞　新陳代謝（触媒作用）

そして現在から未来そして現在から未来

宇宙の大きな枠組みが分かってきているが、宇宙の大きな枠組みが分かってきているが、でも、でも、　　まだ、最初に言ったように、どうしてもわからない未　　まだ、最初に言ったように、どうしてもわからない未

解明解明　　のことが沢山ある。　　のことが沢山ある。

そこで、そこで、　大型望遠鏡の時代（光、赤外線、電波など）　大型望遠鏡の時代（光、赤外線、電波など）　宇宙望遠鏡の時代（赤外線、Ｘ線、ガンマ線など）　宇宙望遠鏡の時代（赤外線、Ｘ線、ガンマ線など）　　特に、「光で見えるもの」だけではないものの観測が　　特に、「光で見えるもの」だけではないものの観測が

重要。重要。

我々もすばる望遠鏡を使って、宇宙の始まりの頃の出来事を探索する観測に着手しています。

すばるディープフィールドの観測

すばる望遠鏡とすばるディープフィールドすばる望遠鏡とすばるディープフィールド

宇宙の始めの頃の電波銀河はクェーサーか？宇宙の始めの頃の電波銀河はクェーサーか？

赤方偏移（ｚ）が、２．４の電波銀河の赤外線画像

　（Ｂ３　０７３１＋４３８）

＊上下方向には、「電離ガス」が円錐状に分布。

＊電波ジェットの方向と一致。

＊中心に点状の天体（クェーサーの「たまご」）

　⇒　クェーサーとしての活動を開始したところ。

　　

　　　　もっとも遠くの銀河を発見（２００１年４月）（すばる望遠鏡の赤外線観測と、ケック望遠鏡の分光器が協力して）

（ハワイ大学のチームと日本のチームの協力で）

＊　赤方偏移の値（ｚ）は、６．５６　　これはその時点でレコードホルダ。

＊　ケック望遠鏡の分光観測で、赤方偏移を測定。

＊　すばる望遠鏡で、星の生成率（１年間に約太陽４０個分程度）を推定。

＊　宇宙が出来てから、約７．８億年程度（／１３０億年）となる。

（実は、この銀河は、銀河団の背後にあって、重力レンズの効果で、増光しているために、詳しく観測できた。）

天文学は「ルーツ」の探求天文学は「ルーツ」の探求

　　

＠宇宙のルーツ（銀河や星）、＠宇宙のルーツ（銀河や星）、

　　＠物質のルーツ（素粒子）、　　＠物質のルーツ（素粒子）、

　　　　＠元素のルーツ（炭素や酸素や鉄）、　　　　＠元素のルーツ（炭素や酸素や鉄）、

　　　　　　＠生命のルーツ（有機物、アミノ酸、Ｄ　　　　　　＠生命のルーツ（有機物、アミノ酸、ＤＮＡなど）　ＮＡなど）　

現代は天文学の黄金時代現代は天文学の黄金時代これまでの天文学の発見の歴史のなかで、これまでの天文学の発見の歴史のなかで、現代現代という時代は、という時代は、最大の発見の時代最大の発見の時代

　　残された発見がまだ沢山ある　　残された発見がまだ沢山ある

　　例えば、宇宙は、どのようにして始まったのか？　　例えば、宇宙は、どのようにして始まったのか？

　　　　　　　　なぜ膨張し、しかも加速していくのか？　　　　　　　　なぜ膨張し、しかも加速していくのか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　今後、どうなっていくのか？　　　　　　　　今後、どうなっていくのか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　本当に見えない物質、ダークマターは存在して　　　　　　　　本当に見えない物質、ダークマターは存在して

いる？いる？　　　　　　　　よその星にも地球のような惑星はあるか？　　　　　　　　よその星にも地球のような惑星はあるか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　よその星にも生命が存在するのか？　　　　　　　　よその星にも生命が存在するのか？　　　　　　　　それらにも文明は発達しているのか？　　　　　　　　　それらにも文明は発達しているのか？　

　　お　し　ま　い