平成 27 年公認会計士試験 第Ⅱ回短答式試験 財務会計論...

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CPA平成 27 年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論 1 解答解説 CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず> 平成 27 年公認会計士試験 第Ⅱ回短答式試験 財務会計論【講評】 計算の講評 財務会計論・計算問題に関しては,個別問題(9問)に加えて,問題 23 以降,連結会計の総合問題 (4問)という形式で出題されました。 やや細かい論点も出題されているため,前回よりは点数が取りづらかったかと思われますが,ボリ ュームは少なかったため,時間をしっかり使って落ち着いて解くことが出来れば大きく失点すること はなかったかと思われます。 個別に見ていきますと,以下のような特徴が挙げられます。 1.個別問題のAランクについて 問題6(社債),問題8(株式会社会計),問題 14(リース会計),問題 21(減損会計),は基本問 題であり,比較的ストレートに問われていますので,確実に得点したい問題となります。そのため, 4問中3~4問は獲得したいです。 2.個別問題のBランクについて Bランクの問題の内,問題 18(企業結合会計)は,やや細かい論点が問われているものの,計算 自体は容易ですので,出来れば正答したいです。また,問題9(特殊商品売買),問題 11(個別キ ャッシュ・フロー計算書)については,やや計算量が多いですが,落ち着いて解けば難しくはない ため,どちらかは正答したいです。そのため,3問中1~2問は獲得したいです。 3.個別問題のCランクについて 問題 16(退職給付会計)は給付算定式基準の知識が問われており,やや応用的であること,問題 17(税効果会計)は引っかけのポイントが多く,正答を導くことがやや難しいことから,得点出来 なくても問題ありません。 4.総合問題について 連結会計の総合問題は,問題 23 (非支配株主持分)は確実に得点したいです。また,問題 24 (包 括利益),問題 25(利益剰余金),問題 26(営業活動によるキャッシュ・フロー)は,時間をかけれ ば得点することも出来ますが,得点出来なくても問題ないと思われます。そのため,4問中1問は 獲得したいです。 今後の計算問題の対策としては,仕訳や計算方法を暗記してしまうのではなく,あるべき結論(仕 訳を行った結果)の本質を理解する必要があるものと思われます。本質を理解さえすれば,どのよう な出題がなされたとしても,対応できる能力は身につくと考えられるためです。また,本質の理解は, 合格後においても求められる非常に大事な力でもあるため,この点を意識して学習を進めていただけ ればと思います。

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  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 1 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    平成 27年公認会計士試験 第Ⅱ回短答式試験 財務会計論【講評】

    ~ 計算の講評 ~

    財務会計論・計算問題に関しては,個別問題(9問)に加えて,問題 23以降,連結会計の総合問題

    (4問)という形式で出題されました。

    やや細かい論点も出題されているため,前回よりは点数が取りづらかったかと思われますが,ボリ

    ュームは少なかったため,時間をしっかり使って落ち着いて解くことが出来れば大きく失点すること

    はなかったかと思われます。

    個別に見ていきますと,以下のような特徴が挙げられます。

    1.個別問題のAランクについて

    問題6(社債),問題8(株式会社会計),問題 14(リース会計),問題 21(減損会計),は基本問

    題であり,比較的ストレートに問われていますので,確実に得点したい問題となります。そのため,

    4問中3~4問は獲得したいです。

    2.個別問題のBランクについて

    Bランクの問題の内,問題 18(企業結合会計)は,やや細かい論点が問われているものの,計算

    自体は容易ですので,出来れば正答したいです。また,問題9(特殊商品売買),問題 11(個別キ

    ャッシュ・フロー計算書)については,やや計算量が多いですが,落ち着いて解けば難しくはない

    ため,どちらかは正答したいです。そのため,3問中1~2問は獲得したいです。

    3.個別問題のCランクについて

    問題 16(退職給付会計)は給付算定式基準の知識が問われており,やや応用的であること,問題

    17(税効果会計)は引っかけのポイントが多く,正答を導くことがやや難しいことから,得点出来

    なくても問題ありません。

    4.総合問題について

    連結会計の総合問題は,問題 23(非支配株主持分)は確実に得点したいです。また,問題 24(包

    括利益),問題 25(利益剰余金),問題 26(営業活動によるキャッシュ・フロー)は,時間をかけれ

    ば得点することも出来ますが,得点出来なくても問題ないと思われます。そのため,4問中1問は

    獲得したいです。

    今後の計算問題の対策としては,仕訳や計算方法を暗記してしまうのではなく,あるべき結論(仕

    訳を行った結果)の本質を理解する必要があるものと思われます。本質を理解さえすれば,どのよう

    な出題がなされたとしても,対応できる能力は身につくと考えられるためです。また,本質の理解は,

    合格後においても求められる非常に大事な力でもあるため,この点を意識して学習を進めていただけ

    ればと思います。

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 2 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    ~ 理論の講評 ~

    財務会計論・理論問題に関しては,出題問数が前回(第Ⅰ回本試験)よりも1問増えたものの,比

    較的解答しやすい問題が多かったため,自信を持って解答できた方が多いのではないでしょうか。具

    体的な問題構成は,以下のとおりとなっております。

    ①会計基準等の規定の読み込みやその背景にある考え方を理解していれば,解答することが可能な

    問題(9問)

    問題1 問題3 問題4 問題5 問題7 問題 10 問題 13 問題 15 問題 22

    ②通常,受験生が時間をかけないような細かい内容の肢が含まれており,解答を出すことが若干難

    しい問題(4問)

    問題2 問題 12 問題 19 問題 20

    上記①については,基準等をしっかりと読みこんでいれば解答を導き出すことが容易な問題が多い

    ので,これらのうち最低でも8問は正答したいところです。問題によっては若干細かい内容の規定を

    含んでいる肢もありましたが,他の肢との組み合わせにより比較的容易に解答できたのではと思いま

    す。

    一方,上記②については,適用指針や財務諸表等規則など,非常に細かい内容の規定が含まれてい

    るため,解きにくい印象を持ったと思います。このうち2問正答できていれば問題ないかと思われま

    す。

    したがって,財務会計論・理論問題は,13問中9問~10問がボーダーラインになると思われます。

    本校では,短答対策講義や配布問題集,直前答練や模擬試験等を通じて十分に対策をとっていたため,

    本校の受験生であれば9~10問は確実に正答できているでしょう。

    近年の短答式試験において,財務会計論・理論問題については,会計基準等の基本的な知識が問わ

    れつつも,適用指針等の非常に細かな規定にまで踏み込んだ問題も出題されています。

    しかし,重箱の隅をつつくような非常に細かい論点にばかり手を出すことは得策ではありません。

    むしろ,落としてはいけない問題で確実に正答することをまず目標にして下さい。その際には,ただ

    闇雲に基準等の読み込みを行ったり問題集をたくさん解いたりするのではなく,「どうしてこのような

    会計処理が行われるのか?」という,その背景にある考え方を常に意識しながら学習することが,短

    答式試験ないしは論文式試験を突破するにあたって重要となります。

    思うように点数が伸びなかった方は,今までの学習方法を見直し,改善するように心がけて下さい。

    ボーダー:130点/200点

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 3 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    平成 27 年第Ⅱ回公認会計士試験

    短答式試験

    財務会計論・解答解説

    正解 1 (難易度:A)

    ア.○ (「財務会計の概念フレームワーク」第1章序文)

    イ.○ (「財務会計の概念フレームワーク」第3章3,(14))

    ウ.× 財務報告において提供される情報の中で,投資の成果を示す利益情報は基本的に

    過去の成果を表すが,企業価値評価の基礎となる将来キャッシュフローの予測に広

    く用いられている。(「財務会計の概念フレームワーク」第1章3)

    エ.× 概念フレームワークでは,市場価格(時価)を,優先的に適用すべき測定値とは

    考えていない。原始取得原価や未償却原価は,市場価格などによる測定が困難な場

    合に限って適用が許容される測定値として消極的に考えているわけではなく,積極

    的に並列させている。(「財務会計の概念フレームワーク」第4章 53)

    正解 2 (難易度:B)

    ア.○ (「財務諸表等規則」第1条第1項)

    イ.× 企業会計審議会により公表された企業会計の基準は,第1条第1項に規定する一

    般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当する。(「財務諸表等規則」第1条

    第2項)

    ウ.○ (「財務諸表等規則」第1条第3項)

    エ.× 本問の基準は,一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に優先して適用され

    る。(「財務諸表等規則」第1条第4項)

    正解 3 (難易度:A)

    ア.○ (「財務会計の概念フレームワーク」第4章9,10)

    イ.× 再調達原価は,購買市場と売却市場とが区別される場合における購買市場の時価

    に,購入に付随する費用を加算したものをいう。(「棚卸資産の評価に関する会計基

    準」5,6)

    ウ.× 資産から期待される将来キャッシュフローを単純に(割り引かずに)合計した

    金額は入金予定額であり,割引価値とは異なるものである。(「財務会計の概念フレ

    ームワーク」第4章 19,20,26)

    エ.○ (「金融商品に関する会計基準」6,「金融商品会計に関する実務指針」53)

    問題 1

    問題 2

    問題 3

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 4 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    正解 1 (難易度:A)

    ア.○ (「資産除去債務に関する会計基準」8)

    イ.○ (「研究開発費等に係る会計基準」四3,「研究開発費及びソフトウェアの会計処

    理に関する実務指針」11)

    ウ.× 賃貸を目的として保有されているにもかかわらず,一時的に借手が存在していな

    い不動産についても,賃貸等不動産として取り扱う。(「賃貸等不動産の時価等の開

    示に関する会計基準」6)

    エ.× 過去に定めた耐用年数がその時点での合理的な見積りに基づくものではない場合,

    見積り誤りであるため過去の誤謬に該当し,修正再表示を行う必要がある。(「会計上

    の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」21,55)

    正解 4 (難易度:A)

    ア.× 減価償却累計額を取得原価から直接控除し,その控除残高を当該資産の金額とし

    て表示することも,減価償却累計額を資産科目別または一括で注記することを条件

    に,認められている。(「財務諸表等規則」第 26条第1項)

    イ.○ 建設が完了して,営業の用に供した時点から減価償却計算が開始されるため,建

    設仮勘定については減価償却は行わない。

    ウ.○ (「連続意見書 第三」第一 四1)

    エ.× 有形固定資産の減価償却方法の変更は,会計方針の変更を会計上の見積りの変更

    と区別することが困難な場合に該当するため,会計上の見積りの変更と同様に取り

    扱い,遡及適用は行わない。(「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」19,

    20)

    正解 5 (難易度:A)

    1.X1年度の会計処理

    (1) 発行時(X1年4月1日)

    (借) 現 金 預 金 950,000 円 (貸) 社 債 950,000 円

    (注) 1,000,000 円(額面金額)×95%(払込価格)=950,000 円

    (2) 利払時(X2年3月 31日)

    (借) 社 債 利 息 36,290円 (貸) 社 債 16,290円

    (〃) 現 金 預 金 20,000円

    (注 1) 社債利息:950,000 円(帳簿価額)×3.82%(実効利子率)=36,290 円

    (注 2) 現金預金(クーポン利息)

    1,000,000円(額面金額)×2%(約定利子率)=20,000 円

    (注 3) 社債(償却原価法増加額):36,290 円-20,000 円=16,290 円

    (3) 抽選償還時(X2年3月 31日)

    (借) 社 債 200,000 円 (貸) 現 金 預 金 200,000 円

    問題 6

    問題 4

    問題 5

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 5 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    (4) X2年3月 31日の社債の帳簿価額

    950,000 円(払込価額)+16,290円(利払日)-200,000 円(抽選償還)=766,290円

    2.X2年度の会計処理

    (1) 利払時(X3年3月 31日)

    (借) 社 債 利 息 29,272円 (貸) 社 債 13,272円

    (〃) 現 金 預 金 16,000円

    (注 1) 社債利息(解答の金額)

    766,290 円(帳簿価額)×3.82%(実効利子率)≒29,272 円

    (注 2) 現金預金(クーポン利息)

    800,000 円(額面金額)×2%(約定利子率)=16,000 円

    (注 3) 社債(償却原価法増加額):29,272 円-16,000 円=13,272 円

    (2) 抽選償還時(X3年3月 31日)(参考)

    (借) 社 債 200,000 円 (貸) 現 金 預 金 200,000 円

    正解 6 (難易度:A)

    ア.× 費用又は損失の発生の可能性が低い場合,引当金を計上してはならない。(「企業

    会計原則」注 18)

    イ.× 原則的には貸倒引当金として処理しなければならず,例外的に債権金額または取

    得価額から直接減額することができるに過ぎない。(「金融商品に関する会計基準」

    注 10)

    ウ.○ (「退職給付に関する会計基準」13,27)

    エ.○ (「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職

    慰労引当金等に関する監査上の取扱い」1)

    正解 2 (難易度:A)

    1.期中取引

    (1) 自己株式の取得

    (借) 自 己 株 式 2,000,000円 (貸) 当 座 預 金 2,250,000円

    (〃) 支 払 手 数 料 250,000 円

    (注 1) 自己株式:1,000 株×2,000円(取得価格)=2,000,000円

    (注 2) 支払手数料:自己株式の取得に要した付随費用は営業外費用とする。

    (2) 準備金の減少

    (借) 資 本 準 備 金 1,250,000円 (貸) その他資本剰余金 1,250,000円

    (借) 利 益 準 備 金 750,000 円 (貸) 繰 越 利 益 剰 余 金 750,000 円

    問題 8

    問題 7

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 6 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    (3) 自己株式の処分

    (借) 当 座 預 金 1,250,000 (貸) 自 己 株 式 1,000,000円

    (〃) その他資本剰余金 250,000 円

    (注 1) 当座預金:500株×2,500円(処分価格)=1,250,000 円

    (注 2) 自己株式:500株×2,000円(取得価格)=1,000,000 円

    (注 3) その他資本剰余金

    1,250,000円(処分価額)-1,000,000 円(処分原価)=250,000 円

    (4) 自己株式の消却

    (借) その他資本剰余金 1,000,000円 (貸) 自 己 株 式 1,000,000円

    (注) 500 株×2,000 円(取得価格)=1,000,000円

    2.その他資本剰余金の期末残高(解答の金額)

    1,250,000円(準備金の減少)+250,000 円(処分)-1,000,000 円(消却)=500,000 円

    正解 1 (難易度:B)

    1.決算整理前残高試算表の金額

    (1) 試用未収金・試用仮売上

    9,000千円(前期試送分の期末残高)+27,000千円(当期試送分の期末残高)

    =36,000 千円

    (2) 試用品売上

    31,500千円(前期試送分の買取高)+162,000 千円(当期試送分の買取高)

    =193,500千円

    2.原価率の計算・試用販売の期末在庫

    (1) 原価率の計算の範囲

    委託販売は期末に一括して仕入勘定に振り替える方法によっているので,原価率の

    計算の範囲には含めない。よって,原価が決算整理前残高試算表の繰越商品勘定と仕

    入勘定に含まれている一般販売と試用販売(対照勘定法)が原価率の計算の範囲とな

    る。

    (2) 売価(分母)

    336,000 千円(一般売上)×1.2+193,500 千円(試用品売上)

    +36,000 千円(試用仮売上)=632,700千円

    (3) 原価(分子)

    48,000千円(整理前 T/Bの繰越商品)+394,800千円(整理前 T/Bの仕入)

    -21,000 千円(期末手許商品棚卸高)=421,800千円

    (4) 試用販売の原価率

    421,800 千円(原価)÷632,700千円(売価)=2/3

    (5) 試用販売の期末在庫

    36,000千円(整理前 T/Bの対照勘定)×2/3=24,000千円

    問題 9

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 7 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    3.売上高

    336,000 千円(一般売上)+162,000千円(積送品売上)+193,500 千円(試用品売上)

    =691,500千円

    4.売上原価

    (1) 期首商品棚卸高

    48,000千円(整理前 T/Bの繰越商品)+148,000千円(整理前 T/Bの積送品)

    -124,000千円(当期積送高)=72,000千円

    (2) 当期商品仕入高

    394,800 千円(整理前 T/Bの仕入)+124,000 千円(当期積送高)=518,800 千円

    (3) 期末商品棚卸高

    21,000千円(期末手許商品棚卸高)+18,000千円(期末積送品有高)

    +24,000 千円(試用販売の期末在庫)=63,000 千円

    (4) 売上原価

    72,000千円(期首商品棚卸高)+518,800千円(当期商品仕入高)

    -63,000 千円(期末商品棚卸高)=527,800 千円

    5.売上総利益(解答の金額)

    691,500 千円(売上高)-527,800 千円(売上原価)=163,700千円

    正解 5 (難易度:A)

    ア.× 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」では,表示方法は会計方針に

    は含めず別々に定義している。これは,表示方法をも包含して定義している企業会

    計原則における考え方とは異なるものである。(「会計上の変更及び誤謬の訂正に関

    する会計基準」4(1),36,37,「企業会計原則」注1-2)

    イ.○ (「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」33)

    ウ.× 誤謬には,意図的でない虚偽の表示のみならず意図的な虚偽の表示も含まれる。

    (「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」4(8),42)

    エ.○ (「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」19)

    正解 4 (難易度:B)

    1.営業活動によるキャッシュ・フローの各項目

    (1) 税引前当期純利益

    10,750千円(当期純利益)+6,950千円(法人税等)=17,700千円

    (2) 貸倒引当金の増加額

    580千円(期末残高)-460千円(期首残高)=120千円

    (3) 売上債権の増加額

    29,000千円(期末残高)-23,000 千円(期首残高)=6,000千円

    問題11

    問題10

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 8 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    (4) 棚卸資産の増加額

    15,600千円(期末残高)-12,000 千円(期首残高)=3,600千円

    (5) 仕入債務の増加額

    20,500千円(期末残高)-17,000 千円(期首残高)=3,500千円

    (6) 利息及び配当金の受取額

    1,070千円(損益計算書の受取配当金)

    (7) 利息の支払額

    870千円(損益計算書の支払利息)+350千円(期首の未払利息)

    -310千円(期末の未払利息)=910千円

    (8) 法人税等の支払額

    6,950千円(損益計算書の法人税等)+2,500 千円(期首の未払法人税等)

    -3,430 千円(期末の未払法人税等)=6,020 千円

    2.間接法による営業活動によるキャッシュ・フロー(解答の金額)

    キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計 算 書

    X1年4月1日~X2年3月 31日 (単位:千円)

    Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー

    税引前当期純利益 17,700

    減価償却費 1,680

    貸倒引当金の増加額 120

    受取配当金 △1,070

    支払利息 870

    投資有価証券売却益 △1,400

    売上債権の増加額 △6,000

    棚卸資産の増加額 △3,600

    仕入債務の増加額 3,500

    小計 11,800

    利息及び配当金の受取額 1,070

    利息の支払額 △910

    法人税等の支払額 △6,020

    営業活動によるキャッシュ・フロー 5,940

    正解 6 (難易度:C)

    ア.× 相殺表示に関する方針は毎期継続して適用するため,「毎期見直す必要がある」と

    いう記述は誤りである。(「金融商品会計に関する実務指針」140)

    イ.× 市場動向の推移を見ながら売却(転売)を行うことを目的として取得した有価証

    券(いわゆる純投資)の売却については,ある程度経常性が認められれば,売却損

    益を営業外損益に計上することが適当と考えているため,本文は誤っている。(「金

    融商品会計に関するQ&A」Q68)

    問題12

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 9 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    ウ.○ (「金融商品会計に関する実務指針」125)

    エ.○ (「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」4(4)

    ④)

    正解 2 (難易度:A)

    ア.○ (「ストック・オプション等に関する会計基準」2(7))

    イ.× 本問の場合,条件変更前から行われてきた費用計上を継続して行うことに加え,

    条件変更によるストック・オプション数の変動に見合う,ストック・オプションの

    公正な評価額の変動額を,以後,合理的な方法に基づき,残存期間にわたって計上

    する。(「ストック・オプション等に関する会計基準」11)

    ウ.○ (「ストック・オプション等に関する会計基準」24)

    エ.× 本問のような規定は存在しない。未公開企業であったとしても,取得した財貨又

    はサービスの取得価額は,対価として用いられた自社株式オプションの公正な評価

    額若しくは取得した財貨又はサービスの公正な評価額のうち,いずれかより高い信

    頼性をもって測定可能な評価額で算定する。(「ストック・オプション等に関する会

    計基準」14(2),66)

    正解 4 (難易度:A)

    1.リース資産の取得価額

    4.6%(追加借入利子率) < 5%(リース料総額の現在価値=見積現金購入価額となる利子率)

    ∴ 割引率は5%となるため、見積現金購入価額 4,861千円が取得原価となる。

    (参考)

    ① リース料総額の割引現在価値

    1,700千円(X1年4月1日支払)+1,700千円(X2年4月1日支払)÷(1+4.6%)

    +1,700 千円(X3年4月1日支払)÷(1+4.6%)2≒4,879千円

    ② リース資産の取得価額

    借手の見積現金購入価額 4,861千円がリース料総額の割引現在価値 4,879 千円を

    下回るので,見積現金購入価額をリース資産の取得価額とする。

    2.X1年度の会計処理

    (1) リース取引開始時(X1年4月1日)

    (借) リ ー ス 資 産 4,861千円 (貸) リ ー ス 債 務 4,861千円

    (2) リース料の支払(X1年4月1日)

    (借) リ ー ス 債 務 1,700千円 (貸) 現 金 預 金 1,700千円

    (3) 整理仕訳(X2年3月 31日)

    (借) 支 払 利 息 158千円 (貸) 未 払 支 払 利 息 158千円

    (借) 減 価 償 却 費 1,620千円 (貸) 減 価 償 却 累 計 額 1,620千円

    (注 1) リース債務の帳簿価額

    4,861 千円(開始時)-1,700千円(リース料支払)=3,161千円

    問題14

    問題13

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 10 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    (注 2) 支払利息:3,161 千円(リース債務)×5.0%(計算利子率)≒158千円

    (注 3) 減価償却費:4,861 千円(取得価額)÷3年(リース期間)≒1,620 千円

    3.諸負債の合計金額(解答の金額)

    3,161千円(リース債務)+158千円(未払支払利息)=3,319千円

    正解 6 (難易度:A)

    ア.× 年金資産については,本問の条件に加え,「積立超過分を除き,事業主への返還,

    事業主からの解約・目的外の払出し等が禁止されていること」という条件も満たな

    ければならない。(「退職給付に関する会計基準」7)

    イ.× 複数の退職給付制度を採用している場合において,1つの退職給付制度に係る年

    金資産が当該退職給付制度に係る退職給付債務を超えるときは,当該年金資産の超

    過額を他の退職給付制度に係る退職給付債務から控除してはならない。(「退職給付

    に関する会計基準」13,注1)

    ウ.○ (「退職給付に関する会計基準」24,注7)

    エ.○ (「退職給付に関する会計基準」25,注9,注 10)

    正解 5 (難易度:C)

    1.A社の退職給付見込額

    (1) 考え方

    最初の 10 年の各年に 10年以上 20年未満の退職一時金(800万円)を帰属させ,次の

    10 年の各年に,20 年以上の退職一時金(1,000 万円)を帰属させる。なお,入社 10 年

    以内に退職すると予想される従業員には,給付を帰属させない。

    (2) 退職給付見込額の当期発生額

    800万円(10年以上 20年未満の退職一時金)÷10年×95人(10年以上)=7,600万円

    2.B社の退職給付見込額

    (1) 考え方

    B社の退職給付制度の給付算定式の下では,勤務期間の後期における給付算定式に

    従った給付が,初期よりも著しい高い水準となる。この場合,勤務 20 年を超える期

    間の勤務は,重要な追加の退職給付を生じさせないため,勤務 20 年後に退職すると

    予想される従業員については,当該期間の給付が均等に生じるとみなした補正により

    各年に帰属させる。なお,入社 10 年以内に退職すると予想される従業員には,給付

    を帰属させない。

    (2) 退職給付見込額の当期発生額

    300万円(10年以上 20年未満の退職一時金)÷10年×24人(10年以上 20 年未満)

    +1,200 万円(20年以上の退職一時金)÷20年×48人(20年以上)=3,600 万円

    問題16

    問題15

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 11 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    正解 4 (難易度:C)

    1.繰延税金資産(固定資産)

    (1) 基本的考え方

    関連する資産・負債の分類に基づいて,表示区分を決定する。そのため,貸借対照

    表上,固定項目として計上される退職給付引当金,関係会社株式の一時差異に係る繰

    延税金資産(固定資産)が計上される。

    また,特定の資産・負債に関連しない税務上の繰越欠損金は1年基準に基づいて表

    示区分を決定するため,解消見込時期が1年超の一時差異に係る繰延税金資産(固定

    資産)が計上される。

    (2) 繰延税金資産

    {2,400百万円(退職給付引当金)+440百万円(関係会社株式)

    +240 百万円(税務上の繰越欠損金のうち1年超)}×35%(法定実効税率)

    =1,078 百万円

    2.繰延税金負債(固定負債)

    (1) 基本的考え方

    繰延税金負債の支払可能性については問題文で言及されていないため,すべての将

    来加算一時差異に係る繰延税金負債(固定負債)が計上される。

    (2) 繰延税金負債

    {60百万円(固定資産圧縮積立金)+280百万円(その他有価証券評価差額金)}

    ×35%(法定実効税率)=119百万円

    3.貸借対照表の固定資産の部に計上される繰延税金資産

    1,078百万円(繰延税金資産)-119百万円(繰延税金負債)=959百万円

    正解 1 (難易度:B)

    1.X1年度の取得原価の配分における暫定的な会計処理

    (借) 売 掛 金 2,000百万円 (貸) 負 債 3,000百万円

    (〃) た な 卸 資 産 2,000百万円 (〃) 払 込 資 本 6,000百万円

    (〃) 土 地 6,000百万円 (〃) 負ののれん発生益 1,000百万円

    (注 1) 土地:6,000 百万円(入手可能な合理的な情報としての評価額)

    (注 2) 負ののれん発生益

    6,000 百万円(取得原価)-7,000 百万円(取得原価の配分)=△1,000百万円

    問題17

    問題18

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 12 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    2.X2年度の取得原価の配分における暫定的な会計処理

    (1) 仮に土地の時価 4,000 百万円が入手できた場合のX1年度の仕訳

    ① 企業結合日(X1年7月1日)

    (借) 売 掛 金 2,000百万円 (貸) 負 債 3,000百万円

    (〃) た な 卸 資 産 2,000百万円 (〃) 払 込 資 本 6,000百万円

    (〃) 土 地 4,000百万円

    (〃) の れ ん 1,000百万円

    (注 1) 土地:4,000 百万円(土地の時価)

    (注 2) のれん

    6,000 百万円(取得原価)-5,000 百万円(取得原価の配分)=1,000 百万円

    ② のれん償却(X1年 12月 31日)

    (借) の れ ん 償 却 50百万円 (貸) の れ ん 50百万円

    (注) 1,000 百万円÷120ヶ月(償却期間)×6ヶ月=50百万円

    (2) X1年度の財務諸表を比較情報として表示するときの修正仕訳

    (借) 負ののれん発生益 1,000百万円 (貸) 土 地 2,000百万円

    (〃) の れ ん 950百万円

    (〃) の れ ん 償 却 50百万円

    (注 1) 土地

    6,000 百万円(入手可能な合理的な情報としての評価額)

    -4,000 百万円(土地の時価)=2,000 百万円

    (注 2) 負ののれん発生益(解答Aの金額)

    X1年度の暫定的な会計処理で計上した 1,000 百万円を取り消す。

    (注 3) のれん

    1,000 百万円(発生額)-50百万円(X1年度ののれん償却)=950 百万円

    (注 4) のれん償却(解答Bの金額)

    1,000 百万円÷120ヶ月(償却期間)×6ヶ月=50百万円

    正解 3 (難易度:B)

    ア.○ (「セグメント情報等の開示に関する会計基準」7)

    イ.× 本問の場合,その旨及びセグメント情報に与える影響を開示するのであって,当

    年度のセグメント情報を前年度の区分方法により作成した情報の開示は求められて

    いない。(「セグメント情報等の開示に関する会計基準」16)

    ウ.× 企業の最高経営意思決定機関は,取締役会,執行役員会議といった会議体である

    場合のみならず,最高経営責任者(CEO)又は最高執行責任者(COO)といっ

    た個人なども含まれる。(「セグメント情報等の開示に関する会計基準」6(2),63)

    エ.○ (「セグメント情報等の開示に関する会計基準」19,20)

    問題19

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 13 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    正解 6 (難易度:B)

    ア.× 一般債権の貸倒実績率等が前年度の財務諸表の作成において使用した貸倒実績率

    等と著しく変動していないと考えられる場合,四半期会計期間末において,前年度

    末の決算において算定した貸倒実績率等の合理的な基準を使用することができるに

    過ぎず,必ず使用するわけではない。(「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指

    針」3(1))

    イ.× 四半期会計期間に係る四半期キャッシュ・フロー計算書を開示する必要はない。

    (「四半期財務諸表に関する会計基準」7(3))

    ウ.○ (「金融商品に関する会計基準」22,「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指

    針」4)

    エ.○ (「四半期財務諸表に関する会計基準」25(5-2)①②)

    正解 5 (難易度:A)

    1.共用資産の帳簿価額の各資産グループへの配分

    (単位:百万円)

    A B C D 共用資産 合計

    配分前の帳簿価額 100 120 150 200 200 770

    共用資産の配分額 20 40 60 80 △200 ――

    配分後の帳簿価額 120 160 210 280 ―― 770

    2.各資産グループの減損損失

    (単位:百万円)

    A B C D

    配分後の帳簿価額(X) 120 160 210 280

    減損の兆候 あり なし あり あり

    割引前将来キャッシュ・フロー 130 ―― 190 210

    減損の認識の判定 認識しない ―― 認識する 認識する

    回収可能価額(Y) ―― ―― 150 150

    減損損失(X-Y) ―― ―― 60 130

    3.共用資産の減損損失

    (1) 資産グループC

    60百万円× 60百万円(共用資産の配分額)

    ≒17百万円 210百万円(配分後の帳簿価額)

    (2) 資産グループD

    130百万円× 80百万円(共用資産の配分額)

    ≒37百万円 280百万円(配分後の帳簿価額)

    4.減損損失計上後の共用資産の帳簿価額(解答の金額)

    200百万円-17百万円-37百万円=146百万円

    問題21

    問題20

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 14 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    正解 5 (難易度:A)

    ア.× 本問の取扱いが原則とされている。(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関

    する意見書」四2(7)②)

    イ.○ (「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」四2(7)①)

    ウ.× 本問の場合,共用資産に減損の兆候があるかどうかにかかわらず,その帳簿価額

    を各資産又は資産グループに配分する。(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に

    関する意見書」四2(7)②)

    エ.○ (「固定資産の減損に係る会計基準」二7,注8)

    問題22

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 15 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    正解 4(難易度:A)

    非支配株主持分:2,960百万円(問題23(非支配株主持分の金額)2.参照)

    正解 1(難易度:C)

    包括利益:5,144百万円(問題 24(包括利益の金額)5.参照)

    正解 1(難易度:C)

    利益剰余金:6,704 百万円(問題 25(利益剰余金の金額)3.参照)

    正解 1(難易度:C)

    営業活動によるキャッシュ・フロー:3,248百万円

    (問題 26(営業活動によるキャッシュ・フローの金額)4.参照)

    問題23(非支配株主持分の金額)

    1.タイムテーブル

    (注1) その他有価証券評価差額金

    X0年度末:4,000百万円(時価)-4,000百万円(B/S計上額)=0

    X1年度末:{3,500百万円(時価)-3,000百万円(B/S計上額)}×(1-40%)

    =300百万円

    (注2) 評価差額:{2,500百万円(時価)-2,000百万円(X0年度末)}×(1-40%)

    =300百万円

    2.解答の金額

    7,400百万円(資本合計)×40%(非支配株主持分割合)=2,960百万円

    問題23 問題26

    問題23

    問題24

    問題25

    問題26

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 16 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    問題24(包括利益の金額)

    1.P社の包括利益

    (1) その他の包括利益

    ① その他有価証券評価差額金

    X0年度末:{11,300百万円(時価)-10,000百万円(B/S計上額)}×(1-40%)

    =780百万円

    X1年度末:{10,800百万円(時価)-9,000百万円(B/S計上額)}×(1-40%)

    =1,080百万円

    ② その他の包括利益

    1,080百万円-780百万円=300百万円

    (2) 包括利益

    2,928百万円(当期純利益)+300百万円(その他の包括利益)=3,228百万円

    2.S社の包括利益

    (1) その他の包括利益

    300百万円(X1年度末その他有価証券評価差額金)

    -0百万円(X0年度末その他有価証券評価差額金)=300百万円

    (2) 包括利益

    2,100百万円(当期純利益)+300百万円(その他の包括利益)=2,400百万円

    3.個別の単純合算

    3,228百万円(P社包括利益)+2,400百万円(S社包括利益)=5,628百万円

    4.連結修正

    (1) のれんの償却

    ① 連結修正仕訳

    (借) の れ ん 償 却 額 64百万円 (貸) の れ ん 64百万円

    (注) 320百万円÷5年=64百万円

    ② 連結上の包括利益に与える影響

    △64百万円

    (2) 未実現利益

    ① 連結修正仕訳

    (借) 売 上 原 価 400百万円 (貸) 商 品 400百万円

    (借) 繰 延 税 金 資 産 160百万円 (貸) 法人税等調整額 160百万円

    (注1) 売上原価:2,000百万円(X1年度末S社商品)÷1.25×25%=400百万円

    (注2) 法人税等調整額:400百万円(未実現利益)×40%(法定実効税率)=160百万円

    ② 連結上の包括利益に与える影響

    400百万円(未実現利益)-160百万円(税効果)=△240百万円

    または,400百万円(未実現利益)×(1-40%)=△240百万円

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 17 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    (3) 剰余金の配当

    ① 連結修正仕訳

    (借) 受 取 配 当 金 180百万円 (貸) 配 当 金 300百万円

    (〃) 非 支 配 株 主 持 分 120百万円

    (注1) 受取配当金:300百万円×60%(親会社持分割合)=180百万円

    (注2) 非支配株主持分:300百万円×40%(非支配株主持分割合)=120百万円

    ② 連結上の包括利益に与える影響

    △180百万円

    5.解答の金額

    5,628百万円(個別の単純合算)-64百万円(のれん償却額)-240百万円(未実現利益)

    -180百万円(受取配当金)=5,144百万円

    問題25(利益剰余金の金額)

    1.利益剰余金期首残高

    3,000百万円(X0年度末P社利益剰余金)

    2.連結上の当期純利益

    (1) 連結修正

    問題24(包括利益の金額) 4.を参照

    (2) 当期純利益

    2,928百万円(P社)+2,100百万円(S社)×60%(親会社持分割合)

    -64百万円(のれん償却額)-240百万円(未実現利益)-180百万円(受取配当金)

    =3,704百万円

    3.解答の金額

    3,000百万円(期首残高)+3,704百万円(当期純利益)=6,704百万円

    問題26(営業活動によるキャッシュ・フローの金額)

    1.P社の個別キャッシュ・フロー計算書

    キャッシュ・フロー計算書

    X1/1/1~X1/12/31

    税引前当期純利益 4,880百万円 (注1)

    受取配当金 △180百万円

    受取利息 △400百万円

    支払利息 300百万円

    その他有価証券売却益 △250百万円

    その他有価証券評価損 150百万円

    売掛金の増加額 △1,000百万円 (注2)

    商品の増加額 △500百万円 (注2)

    買掛金の増加額 1,000百万円 (注2)

    小計 4,000百万円

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 18 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    利息及び配当金の受取額 580百万円 (注3)

    利息の支払額 △300百万円

    法人税等の支払額 △1,952百万円

    営業活動によるキャッシュ・フロー 2,328百万円

    (注1) 2,928百万円(当期純利益)+1,952百万円(法人税等)=4,880百万円

    (注2) 資産・負債の増減 (単位:百万円)

    X0年度末 X1年度末 増減額

    売掛金 3,500 4,500 △1,000

    商品 2,000 2,500 △500

    買掛金 3,000 4,000 1,000

    (注3) 180百万円(受取配当金)+400百万円(受取利息)=580百万円

    2.S社の個別キャッシュ・フロー計算書

    キャッシュ・フロー計算書

    X1/1/1~X1/12/31

    税引前当期純利益 3,500百万円 (注1)

    貸倒引当金の増加額 200百万円 (注2)

    受取利息 △300百万円

    支払利息 200百万円

    その他有価証券売却益 △100百万円

    売掛金の増加額 △1,500百万円 (注2)

    商品の増加額 △2,000百万円 (注2)

    買掛金の増加額 2,400百万円 (注2)

    小計 2,400百万円

    利息及び配当金の受取額 300百万円

    利息の支払額 △200百万円

    法人税等の支払額 △1,400百万円

    営業活動によるキャッシュ・フロー 1,100百万円

    (注1) 2,100百万円(当期純利益)+1,400百万円(法人税等)=4,880百万円

    (注2) 資産・負債の増減 (単位:百万円)

    X0年度末 X1年度末 増減額

    貸倒引当金 - △200 200

    売掛金 - 1,500 △1,500

    商品 - 2,000 △2,000

    買掛金 - 2,400 2,400

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 19 ― 解答解説

    CPA公認会計士講座 <無断転載を禁ず>

    3.連結修正

    (1) 剰余金の配当

    ① 修正仕訳

    (借) 利息及び配当金の受取額 180百万円 (貸) 配当金の支払額 300百万円

    (〃) 非支配株主への配当金の支払額 120百万円

    (注) 利息及び配当金の受取額:300百万円×60%(親会社持分割合)=180百万円

    ② 営業活動によるキャッシュ・フローへの影響額

    △180百万円

    (2) それ以外

    剰余金の配当以外(のれんの償却,未実現利益,債権債務の相殺)はキャッシュ・フロ

    ーに影響を与えないため,解答の算定上無視することができる。

    4.解答の金額

    2,328百万円(P社)+1,100百万円(S社)-180百万円(配当金)=3,248百万円

    連結修正仕訳(参考)

    1.評価差額の計上

    (借) 土 地 500百万円 (貸) 繰 延 税 金 負 債 200百万円

    (〃) 評 価 差 額 300百万円

    (注1) 土地:2,500百万円(時価)-2,000百万円(X0年度末)=500百万円

    (注2) 評価差額:500百万円×(1-40%)=200百万円

    2.投資と資本の相殺消去

    (借) 資 本 金 3,000百万円 (貸) S 社 株 式 3,500 百万円

    (〃) 利 益 剰 余 金 2,000百万円 (〃) 非支配株主持分 2,120 百万円

    (〃) 評 価 差 額 300百万円

    (〃) の れ ん 320百万円

    (注1) 非支配株主持分:5,300百万円(資本合計)×40%=2,120百万円

    (注2) のれん:3,500百万円(取得原価)-5,300百万円(資本合計)×60%=320百万円

    3.X1年度の連結修正仕訳

    (1) 利益・配当金の按分及びのれんの償却

    (借) 非支配株主に帰属する当期純損益 840百万円 (貸) 非支配株主持分 840百万円

    (借) 受 取 配 当 金 180百万円 (貸) 配 当 金 300百万円

    (〃) 非 支 配 株 主 持 分 120百万円

    (借) の れ ん 償 却 額 64百万円 (貸) の れ ん 64百万円

    (注1) 非支配株主に帰属する当期純損益:2,100百万円×40%=840百万円

    (注2) 受取配当金:300百万円×60%=180百万円

    (注3) のれん:320百万円÷5年=64百万円

  • CPA平成 27年第Ⅱ回-短答式試験-財務会計論

    ― 20 ― 解答解説

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    (2) 成果連結

    (借) 売 上 原 価 400百万円 (貸) 商 品 400百万円

    (借) 繰 延 税 金 資 産 160百万円 (貸) 法人税等調整額 160百万円

    (借) 買 掛 金 2,400百万円 (貸) 売 掛 金 2,400 百万円

    (注1) 売上原価:2,000百万円(X1年度末S社商品)÷1.25×25%=400百万円

    (注2) 法人税等調整額:400百万円(未実現利益)×40%(法定実効税率)=160百万円

    (注3) 買掛金:2,400百万円(X1年度末S社買掛金)