平成 26 年度医学部 救急・災害医学 卒業試験問題 - u-toyama.ac.jp ·...

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平成 26 年度医学部 救急・災害医学 卒業試験問題 2014.9.26 9 : 001100 ! 学籍番号は左詰めで記入・マークせよ ! 各設問には a から e までの 5 つの選択肢があるので、そのうち質 問に適した選択肢を選び答案用紙に記入すること。 ! 特に指示の無い設問に 2 つ以上解答した場合は誤りとする。 ! 複数の選択肢を選ぶ質問では、各設問に指示された数の解答のみ を選択すること。それ以上でもそれ以下でも誤りとする。

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平成 26 年度医学部 救急・災害医学 卒業試験問題

2014.9.26

9 : 00~11:00

! 学籍番号は左詰めで記入・マークせよ

! 各設問には a から e までの 5 つの選択肢があるので、そのうち質

問に適した選択肢を選び答案用紙に記入すること。

! 特に指示の無い設問に 2 つ以上解答した場合は誤りとする。

! 複数の選択肢を選ぶ質問では、各設問に指示された数の解答のみ

を選択すること。それ以上でもそれ以下でも誤りとする。

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1. 心肺停止となった成人に対して、研修医 2 人が胸骨圧迫とバッグバルブマスク人工呼吸によ

り効果的な心肺蘇生法を行っている。2 分間の人工呼吸の回数に も近いのはどれか。

a. 10 回

b. 20 回

c. 30 回

d. 40 回

e. 50 回

2. 中年の男性。駅の構内で研修医の目の前で突然倒れた。研修医は周囲の安全を確認後に

男性に呼びかけたが、反応がないため大声で駅員を呼び、救急車を要請し、自動体外式除細動

器 AED をすぐに持ってくるように指示した。呼吸を確認したが自発呼吸は認められない。日本蘇

生協議会ガイドライン 2010 に基づいて、この研修医がまず行うべきなのはどれか。

a. 気道を確保する。

b. 胸骨を圧迫する。

c. 人工呼吸をする。

d. 両下肢を挙上する。

e. 対光反射を観察する。

3. 小学生が野球をしていて打球が投手の胸を直撃し昏倒した。適切なものはどれか。

a. 心室細動が起きている可能性がある。

b. 小児では心臓しんとうはまれである。

c. 心筋虚血が 大の原因である。

d. AEDはいつも有効である。

e. 胸骨圧迫は禁忌である。

4. 日本蘇生協議会ガイドライン 2010 に基づいて、自動体外式除細動器〈AED〉によるショック

実施後に直ちに行うべきことはどれか。

a. 効果の確認をする。

b. 胸骨圧迫を再開する。

c. 呼びかけて意識の確認を行う。

d. 安全のために AED の電源を切る。

e. 呼気吹き込みによる人工呼吸を行う。

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5. 以下の中で除細動適応の心電図波形でないものはどれか 2 つ選べ。

a. 心静止

b. 心房細動

c. 心室細動

d. 無脈性心室頻拍

e. 無脈性電気活動

6. 路上で倒れている心肺機能停止成人患者において、蘇生率を向上させるために 「一次救命

処置」より 「119 番通報」 を優先する理由はどれか。

a. 除細動

b. 酸素投与

c. 気道確保

d. 静脈路確保

e. 心電図伝送

7. 心肺停止患者へのアドレナリン投与経路で適切なのはどれか。2 つ選べ

a. 皮 下

b. 筋肉内

c. 静脈内

d. 心腔内

e. 骨髄内

8. 静脈留置針による末静脈路の確保について正しいのはどれか。

a. 穿刺する部位は前腕の橈側遠位部を第一選択とする。

b. 針の先端をアルコール綿で消毒してから穿刺する。

c. 血液の流出を確認後に内針とカテーテル(外筒)とを数 mm 進める。

d. 外筒を抜去してから駆血帯を外す。

e. カテーテルを抜去した後は穿刺部位をよく揉む。

9.災害医療について正しいのはどれか。

a. 災害拠点病院は市町村が指定する。

b. トリアージは医師でなくても行うことができる。

c. 災害現場では医師は救急救命士の指揮下に入る。

d. 防災体制を整備する地域的単位を二次医療圏と呼ぶ。

e. 災害医療とは災害派遣医療チーム HDMATL の医療活動のことである。

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10. 高度救命救急センターで受け入れるべきなのはどれか。

a. 下肢の骨折

b. 肩関節脱臼

c. 急性虫垂炎

d. 重症広範囲熱傷

e. 十二指腸潰瘍穿孔

11. 救急医療について正しいのはどれか。

a. 救急救命士は知事が認定する資格である。

b. 救命救急センターは総務省消防庁が指定する。

c. 救急指定病院数は 近 10 年間で増加している。

d. 休日夜間急患センターの多くは地域医師会が協力している。

e. ドクターヘリを運用する都道府県数は 近 5 年間で減少している。

12.心臓機能停止の傷病者に対する救急救命士の特定行為はどれか。 3 つ選べ。

a. 気管挿管

b. アトロピン投与

c. 中心静脈路確保

d. アドレナリン投与

e. 乳酸リンゲル液輸液

13. 呼吸不全に対して気管挿管を行った。加圧によって胸郭は動くが、聴診で呼吸音が弱いと

感じられた。

気管チューブが気管内に挿入されているのを確認するのに も適切な指標はどれか。

a. 血 圧

b. 脈拍数

c. 気道内圧

d. 中心静脈圧

e. 呼気終末二酸化炭素濃度(ETCO2)

14. 人工呼吸器の設定で動脈血の二酸化炭素分圧を下げるのはどれか。

a. 換気回数を増やす。

b. 一回換気量を減らす。

c. 吸入酸素濃度を上げる。

d. 高気道内圧を下げる。

e. 持続的気道陽圧法 CPAP を適用する。

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15. 多臓器不全患者の集中治療で適用される持続的血液濾過透析(CHDF)について、カテーテ

ルを留置するために穿刺する部位で適切なのはどれか。

a. 腕頭静脈

b. 前腕皮静脈

c. 下大静脈

d. 大腿静脈

e. 大伏在静脈

16. 適切に管理され感染徴候のない中心静脈カテーテルの入替え時期について正しいのはどれ

か。

a. 48 時間ごと

b. 96 時間ごと

c. 1 週間ごと

d. 2 週間ごと

e. 定期的な入れ替えは不要

17. 平成 22 年改正後の臓器の移植に関する法律で、脳死時の臓器提供の意思が法律的に

有効でないのはどれか。

a. 運転免許証に記載しておく。

b. 医療保険の被保険者証に記載しておく。

c. 書面にせずにかかりつけ医に話しておく。

d. 日本臓器移植ネットワークに登録しておく。

e. 本人の意思が不明な場合に臓器提供の承諾書を家族から得る。

18. 重症外傷の Primary Survey の時に行うこととして誤っているのはどれか。2つ選べ。

a. 気道確保

b. FAST

c. CT 検査

d. 背面の観察

e. 胸部・骨盤単純X線ポータブル撮影

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19. 医師の対応として正しいのはどれか。

a. ナイフで刺された患者について警察に通報した。

b. 患者を診ずに家族と話しただけで処方箋を交付した。

c. 輸血を拒否している成人患者に予定手術で輸血した。

d. 患者の意識がなかったので、病状を患者の上司に説明した。

e. 患者の家族に依頼され、死亡診断書に虚偽の死因を記載した。

20. 胸腹部外傷の FAST におけるプローブの位置で誤っているのはどれか。1 つ選べ。

a. 1

b. 2

c. 3

d. 4

e. 5

21. 顔面・頚部外傷で も緊急度が高い症状を選べ

a. 複視

b. 喘鳴

c. 咬合不正

d. 鼻背変形

e. 聴力障害

22. 脱水を示唆する所見はどれか。

a. 徐脈

b. 腋窩の湿潤

c. 頸静脈の怒張

d. 両下腿の浮腫

e. 起立時の血圧低下

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23. 出血性ショックの症候でないものはどれか。

a. 徐脈

b. 意識混濁

c. 皮膚湿潤

d. 四肢冷感

e. 血圧低下

24. 全身性炎症反応症候群の診断基準を満たしているのはどれか。

a. 末梢血白血球数 6,000/mm3

b. 心拍数 70/分

c. 呼吸数 22/分

d. 尿量 40 ml/時

e. 体温 37.5 ℃

25. ショックを呈する病態で早期から中心静脈圧が上昇するのはどれか。 2 つ選べ。

a. 敗血症

b. 緊張性気胸

c. 食道静脈瘤破裂

d. 心タンポナーデ

e. アナフィラキシー

26. 圧挫〈挫滅〉症候群でみられるのはどれか。

a. 多尿

b. 発疹

c. ミオグロビン尿

d. 高ナトリウム血症

e. 溶血性尿毒症症候群〈HUS〉

27. イレウスで緊急手術の必要性を も示唆するのはどれか。

a. 間欠的な腹痛

b. 腹壁が板状硬

c. 金属性腸雑音の聴取

d. 胆汁の混ざった吐物

e. 腹部エックス線写真で複数の小腸ループ像

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28. 非クロストリジウム性ガス壊疽に関して正しいものはどれか、2つ選べ。

a. 高圧酸素療法は無効である。

b. 病変は深部筋層に浸潤することが多い。

c. 糖尿病や肝硬変を有する患者に多い。

d. クリンダマイシンと広域スペクトルのセフェムを併用する。

e. 創部から起炎菌を同定することは困難であり血液培養が必要である。

29. 創傷処置で正しいのはどれか。2 つ選べ。

a. 汚染創内はポピドンヨードで消毒する。

b. 四肢のイヌ咬創では一次縫合閉鎖を行わない。

c. 汚染創に対して、バンコマイシンを第一選択とする。

d. 創洗浄に水道水を用いても感染症発症率は上昇しない。

e. 指趾の伝達麻酔薬には 1%リドカイン(アドレナリン添加)を使用する。

30. 破傷風に関する文章で、誤っているのはどれか

a. 神経毒素は自律神経にも作用する。

b. 運動神経に作用して強直性痙攣を起こす。

c. 破傷風菌はグラム陽性偏性嫌気性桿菌である。

d. 破傷風菌は神経毒素と溶血毒素の両方を持つ。

e. マクロライドの大量投与療法が第一選択である。

31.災害時のトリアージについての文章で誤っているのはどれか。

a. タグは基本的には右手につけられる。

b. トリアージタグには個人情報は記載しない

c. 気道閉塞があるものは赤(Ⅰ 緊急)に区分される。

d. START式トリアージは一次トリアージの際に用いる。

e. トリアージにおける爪床圧迫再循環時間は2秒以内が正常である。

32. バイオテロリズムに使用される可能性が高い病原体はどれか、2 つ選べ

a. 炭疽菌

b. 破傷風菌

c. MRSA

d. デングウイルス

e. 天然痘ウイルス

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33. 乗用車とトラックとが衝突し 5 人が受傷した。搬送にはドクターヘリ 1 機、救急車 1 台、警

察車両 1 台しか使えず、それぞれ現場で待機している。近くの救急医療機関は陸路で 40 分の

距離にある。 ドクターヘリで搬送すべき患者はどれか。

a. 10 歳の男児。前額部から出血があり大声で泣いている。

b. 20 歳の女性。骨盤骨折がありショック状態で顔面蒼白である。

c. 30 歳の男性。開放創はなく泥酔状態で暴れ抑え切れない。

d. 40 歳の女性。右大腿骨骨折で痛がり手術が必要である。

e. 50 歳の男性。頸部轢断で頭部が体幹から分離している。

34. 急性期の虚血性脳血管障害の患者に t-PA(tissue plasminogen activator)治療を行う上で聴取

すべきことはどれか。2 つ選べ。

a. 発症の時刻

b. 終飲食の時刻

c. 高血圧症の既往

d. 歯科治療の既往

e. 頭蓋内出血の既往

35. 脳死判定の必須項目でないのはどれか。

a. 深昏睡

b. 平坦脳波

c. 脳幹反射の消失

d. 脊髄反射の消失

e. 自発呼吸の消失

36. 脳死または心停止後の腎移植の提供者(ドナー)候補として適切でないのはどれか。

a. 7 歳男児

b. HBs 抗原陽性

c. 原発性脳腫瘍

d. 血液型 AB 型 Rh(-)

e. 血清クレアチニン 0.8 mg/dl

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37. SIRS について正しいのはどれか

a. SIRS 診断項目の多寡と重症度は比例しない。

b. 敗血症では起炎菌が同定されている必要がある。

c. 感染以外の外科的侵襲、外傷、熱傷なども原因に含む。

d. SIRS は診断項目が3つ以上満たされている必要がある。

e. 敗血症の診断では SIRS 項目が一つ入っていることが必要である

38. アニオンギャップが増加した代謝性アシドーシスを呈する病態はどれか。2 つ選べ。

a. 敗血症

b. 高度下痢

c. メタノール中毒

d. 低アルブミン血症

e. クロール増加性アシドーシス

39. 偶発性低体温の症状として不適当なものはどれか?

a. 頻脈

b. J波

c. イレウス

d. 意識障害

e. 心室細動

40.環境による障害について正しいのはどれか。

a. 深部体温 44 ℃の熱中症は予後が悪い。

b. 減圧症は旅客機に搭乗することで改善する。

c. 凍傷では壊死部分のマッサージが有効である。

d. 高地脳浮腫では酸素吸入で登山続行が可能となる。

e. 全身被ばく後に下血を伴う急性放射線障害は予後が良い

41. 死亡診断書で記載する必要がないのはどれか。

a. 本 籍

b. 性別

c. 生年月日

d. 死因の種類

e. 死亡したところ

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42. 水様下痢が持続し乏尿となった若年男性の検査結果を示す。

血圧 86/52 mmHg。 血液所見:Ht 54 %。

血液生化学所見:尿素窒素 64 mg/dl、クレアチニン 2.8mg/dl、尿酸 8.4 mg/dl、Na138mEq/l、

K4.1mEq/l、Cl101mEq/l。

尿所見として予想されるのはどれか。

a. 尿比重 1.006

b. 尿蛋白 3+

c. 尿潜血 2+

d. 尿 Na 6 mEq/l

e. 尿 K 0 mEq/l

43. 72 歳の男性。散歩中に転倒し前頭部を打ったため心配になって来院した。10 年前から高

血圧症にて自宅近くの診療所に通院している。

転倒の原因を推論するための質問として有用性が低いのはどれか。

a. 「 近、食欲が増加しましたか」

b. 「 近、内服薬が変わりましたか」

c. 「転倒直前に動悸や胸痛はありましたか」

d. 「転倒直前に目の前が真っ暗になりましたか」

e. 「転倒直前に片側の手足の力が弱い感じはありましたか」

44. 高血圧と糖尿病で通院中の 75 歳男性に対する熱中症の説明として適切なのはどれか。

a. 「外出時に注意すれば大丈夫です」

b. 「ひどく汗をかくのが典型的です」

c. 「頭痛や悪心は自覚症状としてはまれです」

d. 「口渇感がなくても水分の補給が必要です」

e. 「スポーツドリンクを大量に補給すれば予防できます」

45. 心電図胸部誘導の電極に関して正しい組み合わせはどれか

a. V1 = 第 3 肋間

b. V2 = 黄色端子

c. V3 = 左鎖骨中線

d. V4 = 黒色端子

e. V5 = 中腋窩線

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46. 48 歳の男性。意識障害と右片麻痺のため搬入された。自発開眼はなく、呼びかけでも開眼

しないが、痛み刺激で開眼する。痛み刺激でうなり声をあげるが、意味のある発語はみられない。

また、痛み刺激で右上下肢は全く動きがみられないが、左上下肢は払いのける動作を示す。

Glasgow coma scale による評価の合計点として正しいのはどれか。

a. 3 点

b. 6 点

c. 9 点

d. 12 点

e. 15 点

47. 頭部外傷の経過表を示す。脳ヘルニアが疑われるのは①~⑤のどの時期か。

a. ① b. ② c. ③ d. ④ e. ⑤

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48. 3 歳の男児。右腕が動かないことを心配した母親に伴われて来院した。母親がつないでいる

児の右手を急に引っ張り上げた直後から、児は右上肢を下垂したまま動かさなくなったという。右

手指の自動運動は可能である。歩行に異常を認めない。

障害されている部位として も考えられるのはどれか。

a. 頸 椎

b. 鎖 骨

c. 肩関節

d. 肘関節

e. 手関節

49. 50 歳の男性。右下腹部痛を主訴に来院し、急性虫垂炎の診断で入院となった。末梢静脈路

を確保し、抗菌薬の点滴静注を開始したところ、気分不良を訴え意識を失った。直ちに応援の医

師と看護師とを呼んだ。

応援が来るまでに、まず行うべき対応として適切なのはどれか。

a. プロプラノロールの静脈内投与

b. アトロピンの筋肉内投与

c. 腹部超音波検査

d. 点滴の中止

e. 気管挿管

50. 成人男性の交通事故で救急患者受入の要請があった。事故現場到着時点での血圧は触診

で 80 mmHg とのことである。

救急外来で血管確保のために準備しておくべき留置針の太さ(G)で適切なのはどれか。

a. 14 G

b. 18 G

c. 24 G

d. 30 G

e. 34 G

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51. 54 歳の女性。眼の違和感、のどの灼熱感および強い咳を主訴に来院した。風呂場でカビと

汚れとを除去するために酸性洗剤をスプレーし、直後に次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする洗

剤をスプレーしたところ、眼の症状に続いてのどの症状が出現し、咳が止まらなくなったため救急

外来を受診した。意識は清明。脈拍 84/分、整。血圧 132/74 mmHg。流涙が著しい。眼球結膜に

充血を認める。

この患者の症状の原因物質として も考えられるのはどれか。

a. 塩 素

b. 硫化水素

c. 一酸化炭素

d. 二酸化硫黄

e. 二酸化窒素

52. 穿刺針による緊急気道確保を行う部位はどれか。 c

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53. 21 歳の男性。手指の震えを主訴に来院した。週に 3 日午前中、派遣先の大型塗料店で在

庫管理の仕事をしている。 4 日前、離島でダイビングをしている時、水深 21 m まで潜ってから浮

上する途中に、潜水の履歴から浮上の必要性や手順を計算するダイビングコンピュータから浮上

を停止するよう指示を受けた。その際、一旦浮上を停止した後インストラクターの指示に従い浮上

した。 2 日前もダイビングをした後、夕方ジェット旅客機に搭乗し帰宅した。帰路、天候が悪く機

体の揺れのため席から離れることができなかった。就寝時、右中指の近位指節間関節が少し痛

いのに気付いた。昨日も指先の感覚に違和感を覚えた。本日、字を書く時に指先が震えるため受

診した。

も適切な処置はどれか。

a. 生理食塩水輸液

b. 高圧酸素療法

c. 血栓溶解療法

d. 酸素投与

e. 経過観察

54. 20 歳の男性。意識障害のため搬入された。約 1 時間前に自殺目的で有機リン系殺虫剤

を約 500 ml 飲んだことが判明している。救急隊からの連絡によると、救急車内での意識レベル

は JCS Ⅲ -300。体温 36.0 ℃。脈拍 80 /分、整。血圧 110/72 mmHg 。呼吸数 10/分。

SpO2100 %(リザーバー付マスク 10 l/分 酸素投与下)。救急外来への搬入時に嘔吐し、尿失禁

と便失禁とがあり、有機溶媒臭が漂っている。

まず行うべき対応はどれか。

a. 除 染

b. 血圧測定

c. 拮抗薬投与

d. 制吐薬投与

e. 緊急血液透析

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55. 30 歳の男性。腹痛と下痢とを主訴に来院した。トレッキング旅行の途中で、自炊していたと

いう。2 日前に砂利道で転倒し、左母指と左示指とに挫創を生じた。昨日の夕食は、食事直前に

開けた缶詰の牛肉、自分で採取した山菜の炒め物、自分で釣った川魚の塩焼き、自分で作ったお

にぎり及び日本酒 1 合だったという。夕食の直後には異常はなかったが、約 4 時間後に急激に腹

痛と下痢とを発症した。発症後、約 3 時間経過して症状は徐々に改善しつつあるという。アレルギ

ー歴はない。

意識は清明。体温 37.0℃。脈拍 72/分、整。血圧 116/76 mmHg。呼吸数 14/分。

臍周囲に圧痛を認める。腸雑音は亢進している。腹膜刺激症状を認めない。

診断として も考えられるのはどれか。

a. 亜鉛中毒

b. 農薬中毒

c. アニサキス症

d. 細菌性食中毒

e. 急性アルコール中毒

56. 32 歳の男性。建築現場で作業中に約 10 m 転落し、搬入された。来院時、ネックカラーを

装着されバックボード上に全脊椎固定されており、意識レベルは JCSⅠ- 3 で右殿部の痛みがあ

るという。身長 178 cm、体重 70 kg。体温 36.4 ℃。脈拍 112 /分、整。血圧 90/50 mmHg。呼吸

数 24/分。SpO2 100 %(リザーバー付マスク 10 l/分 酸素投与下)。

気道は開通しており呼吸困難はない。皮膚は蒼白で冷汗を伴い、橈骨動脈の拍動は弱い。明ら

かな外出血はなく、右下肢は変形は明らかでないが左と比較すると短縮がある。顔面、頸部およ

び胸部に異常を認めない。超音波検査で心囊、両側の胸腔および腹腔に液体貯留を認めない。

胸部エックス線写真に異常を認めない。

次に行うべき単純エックス線撮影の部位はどれか。

a. 頭 部

b. 頸 椎

c. 腹 部

d. 骨 盤

e. 右足趾

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57. 38 歳の女性。発熱と咽頭痛とを主訴に来院した。10 日前に 38℃の発熱と咽頭痛のため自

宅近くの診療所を受診したところ、「風邪でしょう」と言われ、消炎鎮痛薬を処方され 7 日間内服し

た。一旦症状は軽快したものの、昨日から強い咽頭痛と 39℃の発熱とが出現した。血圧 110/80

mmHg。咽頭発赤と両側の桃腫大とを認める。呼吸音に異常を認めない。腹部に圧痛を認めない。

血液所見:赤血球 430 万、Hb 14.8 g/dl、Ht 45 %、白血球 1,100(桿状核好中球 6%、分葉核好中

球 12%、好酸球 5%、単球 6%、リンパ球 71 %)、血小板 25 万。

まず行うべき対応として適切なのはどれか。

a. 顆粒球輸血

b. 昇圧薬の投与

c. 副腎皮質ステロイドの投与

d. 同一の消炎鎮痛薬の再投与

e. 広域スペクトル抗菌薬の投与

58. 68 歳の男性。狭心症の定期受診のため来院した。待合室で冷汗と気分不快が出現し横に

なったところを、通りかかった研修医が発見した。胸痛と呼吸困難はない。

半年前に経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受け、抗血小板薬を内服している。 近食欲

がなく, 7 日前から大量の黒色軟便に気付いていたという。

診察時、意識レベルは JCSⅠ- 1 。脈拍 128/分(微弱)、整。血圧 82/50 mmHg。

呼吸数 24/分。SpO2 94 %(room air)。顔面蒼白で多量の冷汗を認める。眼瞼結膜は貧血様であ

る。心音と呼吸音とに異常を認めない。

初期対応として適切でないのはどれか。

a. 人を集める。

b. 酸素投与を行う。

c. 血液型を確認する。

d. ベラパミルを静脈内投与する。

e. 乳酸リンゲル液の点滴を開始する。

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16

59. 17 歳の男子。意識消失のため搬入された。昼食にうどんを食べた後、晴天の屋外で同級生

とサッカーをした。運動開始 30 分後、前胸部のかゆみを訴えた。その後、意識を失い倒れたため、

救急搬入された。3 か月前、スパゲッティを食べた後サッカーをしていたところ、程度は軽いものの

同様の症状があったという。夜食にうどんを食べても異常はなく、空腹時にサッカーをしても異常

はなかったという。意識は清明。喘鳴が強い。前胸部に膨疹を認める。脈拍 132/分、整。血圧

82/40mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 98 %(マスク 4 l/分酸素投与下)。

症状改善後の生活指導として適切なのはどれか。

a. 運動は屋内で行う。

b. 食直後の運動は避ける。

c. 準備運動を十分に行う。

d. 現時点での対応は必要ない。

e. 運動はサッカー以外の種目に変更する。

60. 70 歳の女性。左上腹部痛を主訴に来院した。昨夜、久しぶりに孫たちと遊んだり歌ったりし

て騒いだ。その 3 時間後から左上腹部に痛みを感じるようになった。診察室には前かがみの姿

勢で入ってきた。食事摂取は良好であり、悪心や嘔吐はなく便通も正常である。3 年前に脳梗塞

を発症し、その後アスピリンを内服している。

体温 36.5 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 140/90 mmHg。左上腹部に限局した圧痛を認めるが、反跳

痛はない。腹筋を緊張させると疼痛と圧痛とは増強する。腸雑音は正常である。

も考えられるのはどれか。

a. 急性膵炎

b. 腹壁血腫

c. 腸腰筋膿瘍

d. 虚血性大腸炎

e. 穿孔性胃潰瘍

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61. 46 歳の女性。入眠前に自殺目的でアセトアミノフェンと睡眠薬を大量に服用した。翌朝家人

が発見し、意識障害のため救急車で搬入された。血圧 125/68 mmHg、脈拍 60 回/分、SpO2 92%、

呼吸回数 9 回/分、体温 36.1 度、JCS 100 であった。

適切な対応を 2 つ選べ

a. 酸素投与

b. 胃洗浄

c. PAM 投与

d. 亜硝酸アミル吸入

e. アセチルシステインの投与

62. 自殺を図り意識のない患者に医学的侵襲を伴う処置が緊急に必要となった。患者の家族に

はまだ連絡がとれていない。医学的侵襲を拒絶するような患者の事前の確固たる意思表示は確

認できていない。

リスボン宣言に基づく対応として正しいのはどれか。

a. 患者家族の到着を待つ。

b. 直ちに処置を開始する。

c. 倫理委員会の判断を待つ。

d. 自殺企図の患者は処置しない。

e. 患者の事前の意思表示を確認するまで待つ。

63. 83 歳の男性。3 日前に転院してきた。1 か月前にオートバイと接触し、左大腿骨骨折と左橈

骨骨折とを受傷したが、順調に回復し、リハビリテーション目的で転院となった。転院直後から、夜

間せん妄が出現していた。本日、看護師が階段の踊り場で心肺停止状態となっている患者を発

見した。医師が死亡確認し検案したところ、頭部に出血を伴う皮膚損傷を認めた。

対応として適切なのはどれか。

a. 監察医に連絡する。

b. 保健所に届け出る。

c. 死亡診断書を作成する。

d. 所轄の警察署に届け出る。

e. 医療安全支援センターに届け出る。

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64. 32 歳の男性。上腹部痛のため搬入された。3 か月前の腹部超音波検査を含む健康診断で左

腎囊胞以外に異常はなかった。夕食後約 2 時間で、徐々に悪化する上腹部痛を自覚し、耐え難い

痛みとなったため救急車を要請した。飲酒は日本酒 3 合/日 を 10 年 間。意 識は清明。身 長

172 cm、体 重 78 kg。体 温 37.6 ℃。脈 拍 104/分、整。血圧 132/74 mmHg。SpO2 98 %(room

air)。腹部は平坦、心窩部に圧痛を認める。肝・脾を触知しない。

血液所見:赤血球 469 万, Hb 14.9 g/dl、Ht45%,白血球 16,300(桿状核好中球 8%、分葉核好中

球 64 %、好酸球 2%、単球 2%、リンパ球 24 %)、血小板 21 万。

血液生化学所見:血糖 120 mg/dl、アルブミン 3.9 g/dl、尿 素 窒 素 12 mg/dl、ク レアチニ ン

0.5 mg/dl、総 ビ リ ル ビン 0.9mg/dl、AST 28 IU/l、ALT 16 IU/l、LDH 925IU/(基準 176〜353)、

ALP 312IU/l(基準 115〜359)γ-GTP 56 IU/l (基準 8〜50)、ア ミラー ゼ 1,934 IU/l (基準 37〜

160)Na 136 mEq/l、K 4.4 mEq/l、Cl 100 mEq/l、Ca 7.4 mg/dl、CA19-9 12 U/ml(基準 37 以下)。

CRP 11 mg/dl。

動脈血ガス分析 room air:pH 7.34、PaCO2 29 Torr、PaO2 98 Torr、HCO3- 15 mEq/l。

絶食とし、輸液を開始した。

腹部造影 CT を下に示す。

次の対応として適切なのはどれか。

a. 輸 血

b. 胃管留置

c. 腹部血管造影

d. 上部消化管造影

e. 内視鏡的逆行性膵管造影

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次の文を読み、65、66 の問いに答えよ。

73 歳の男性。意識障害のため搬入された。

現病歴 : 今朝起きてこないので、妻が様子を見に行ったところ反応がなかったため救急車を要

請した。昨晩までは特に普段と変わらなかったという。

既往歴 : 20 年来の糖尿病と高血圧症でスルホニル尿素薬とアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉

阻害薬を服用中。

生活歴 : 71 歳の妻と 2 人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。

家族歴 : 父親が脳梗塞。

現 症 : 呼びかけに反応なく、痛み刺激に対して開眼はなく、はらいのける。身長 165 cm、体重

62 kg。体温 37.0 ℃。心拍数 98/分、整。血圧 102/70 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 100 %(マ

スク 3 l/分 酸素投与下)。

65. この患者の意識レベルは JCS でどれか。

a. Ⅱ-20

b. Ⅱ-30

c. Ⅲ-100

d. Ⅲ-200

e. Ⅲ-300

66. まず行うべき検査として適切なのはどれか。

a. 血糖測定

b. 頭部 MRI

c. 12 誘導心電図

d. 尿ケトン体測定

e. 動脈血ガス分析

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67. 5 名の患者の血液検査所見を示す。 意識が清明である可能性が も高いのはどれか。

ただし、他に血液検査所見の異常はないものとする。

Na 尿素窒素 血糖血 血漿浸透圧(基準 275~288)

(mEq/l) (mg/dl) (mg/dl) (mOsm/l)

a. 121 8 90 250

b. 123 22 540 284

c. 137 14 36 281

d. 149 28 486 335

e. 169 22 108 352

68. 42 歳の男性。呼吸困難のため搬入された。庭で木の伐採をしていたところ、蜂に刺された。

大丈夫と思い様子をみていたが、数分後に呼吸困難が出現し、救急車で搬送された。

意識レベルは JCSⅠ- 2 。脈拍 84/分、整。血圧 80/58 mmHg。

呼吸数 32/分。SpO2 93 %(リザーバー付マスク 10 l/分 酸素投与下)。

顔面は蒼白で口唇に浮腫を認める。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。吸気時

に喘鳴を聴取する。胸腹部、背部および四肢の皮膚に膨疹が多発している。

急速輸液とともにまず投与すべきなのはどれか。

a. リドカイン

b. アトロピン

c. アドレナリン

d. ヒドロコルチゾン

e. プロプラノロール

69. 40 歳の男性。仕事中、大量吐血して搬入された。意識は清明。体温 36.1℃。脈拍 120/分、

整。血圧 76/50mmHg。顔面蒼白。腹部は平坦、軟。上腹部に圧痛を認めるが、筋性防御は認

めない。血液所見:赤血球 260 万、Hb 8.4g/dl、Ht 26%、白血球 12,000、血小板 23 万。対応

として適切でないのはどれか。

a. 酸素投与

b. 静脈路確保

c. 尿カテーテル挿入

d. 上部消化管造影

e. 上部消化管内視鏡

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次の文を読み、70~72 の問いに答えよ。

60 歳の男性。オートバイで転倒したため搬入された。

現病歴 : 2 時間前、オートバイで走行中に転倒し大腿部を挟まれた。

既往歴 : 特記すべきことはない。

現 症 : 意識レベルは JCSⅠ- 3 。身長 160 cm、体重 60 kg。

体温 35.5 ℃。脈拍 120/分、整。血圧 80/50 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 98 %(リザーバー付

マスク 10 l/分 酸素投与下)。

表情は苦悶様で左大腿部の痛みを訴えている。顔面は蒼白で、皮膚は冷たく湿潤している。心音

と呼吸音とに異常を認めない。左大腿部に挫滅創と活動性外出血とを認め、骨が露出している。

濃い尿を少量認める。

検査所見 : 尿所見:比重 1.030、蛋白(-)、糖(-)。 血液所見:赤血球 250 万、Hb 7.0 g/dl、Ht

21 %、白血球 13,000 (桿状核好中球 6 %、分葉核好中球 70 %、単球 4 %、リンパ球

20 %)、血小板 4.5 万、PT 20 秒(基準 10~14)、APTT 50 秒(基準対照 32.2)。

血液生化学所見:総蛋白 5.0 g/dl、アルブミン 3.0 g/dl、尿素窒素 20 mg/dl、ク レ ア チ ニ ン

0.9 mg/dl、血 糖 120 mg/dl、Na 145 mEq/l、K 5.0 mEq/l、Cl 109 mEq/l。

下肢エックス線写真で左大腿骨骨折と左脛骨骨折とを認める。胸部エックス線写真と全身 CT で

下肢を除いて異常を認めない。 左大腿骨開放骨折に対し、赤血球濃厚液、新鮮凍結血漿および

濃厚血小板を準備し、止血、デブリドマン及び骨整復固定術が予定された。

急速輸液を行った。

70. 輸液の組成として適切なのはどれか。

Na+ K+ Cl- Lactate- 糖質

(mEq/l) (mEq/l) (mEq/l) (mEq/l) (%)

a. 130 4 109 28 0

b. 84 20 66 20 1.5

c. 40 35 40 20 10

d. 35 25 35 20 4.3

e. 0 0 0 0 5

71. も適切な麻酔法はどれか。

a. 全身麻酔

b. 局所麻酔

c. 硬膜外麻酔

d. 脊髄くも膜下麻酔

e. 全身麻酔と硬膜外麻酔の併用

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術後 2 日目、呼吸困難を訴えた。意識レベルは JCSⅡ-10。体温 38.0 ℃。脈拍 120/

分、整。血圧 120/80 mmHg。呼吸数 30/分。SpO2 85 %(room air)。眼瞼結膜と体幹皮膚に点

状出血を認める。両側の胸部で coarse crackles と wheezes とを聴取する。

心エコー検査で壁運動異常はなく、下大静脈の拡張もない。胸部エックス線写真を示す。

72. 病態として考えられるのはどれか。

a. 気 胸

b. 心不全

c. 気管支喘息

d. 脂肪塞栓症

e. 肺血栓塞栓症

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次の文を読み、73~74 の問いに答えよ。

65 歳の男性。頭部挫創を主訴に来院した。

現病歴 : 飲酒後、家の階段の下で倒れているところを帰宅した家族に発見された。

頭部に挫創を認めたため家族に付き添われて受診した。

既往歴 : 心房細動のためワルファリン内服中。

生活歴 : 定年退職後無職。

家族歴 : 特記すべきことはない。

現 症 : アルコール臭があるが意識は清明。ただし、本人は受傷時のことは覚えていない。脈拍

80/分、不整。血圧 150/90 mmHg。呼吸数 24/分。頭頂部やや後方に 3 cm の挫創があり出血を

認めた。身体の他の部位に創傷は認められなかった。

検査所見 : 頭部 CT では頭蓋骨骨折は認められず、後頭蓋窩にごくわずかな硬膜下血腫が認

められた。

73. この患者における頭蓋内病変の重症化を予測する上で、 も注意すべきなのはどれか。

a. 健 忘

b. 飲 酒

c. 年 齢

d. 創傷部位

e. ワルファリン内服

74. 挫創からの出血に対する止血や縫合に難渋していたところ、患者が突然嘔吐した。

その後、呼びかけにも痛み刺激にも反応しなくなった。急いで再度頭部 CT を撮影しようと CT

室に搬送し、撮影台に移乗し頭部を固定したところ呼吸が止まった。頸動脈は触知できた。 急変

後、 2 回目の CT の撮影に行く前にすべきであった処置はどれか。 2 つ選べ。

a. 吐物を吸引する。

b. 大量輸液を行う。

c. 制吐薬を投与する。

d. 経口気管挿管を行う。

e. リザーバー付マスクで酸素を投与する。

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75. 84 歳の男性。左膝の痛みと発熱とを主訴に来院した。一昨日に日帰りのバス旅行に参加し

た。昨日から左膝の痛みと 39 ℃の発熱とが出現した。本日は痛みのため歩行 が困 難に な

り 受 診 し た。

体温 37.7 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 148/82mmHg。呼吸数 14/分。左膝に腫脹、熱感および圧

痛を認める。血液所見:赤血球 405 万、Hb 13.0 g/dl、Ht 41 %、白血球 9,200、血小板 32 万。

血液生化学所見:尿素窒素 19 mg/dl、クレアチニン 0.9 mg/dl、尿酸 5.5 mg/dl、AST 28 IU/l、

ALT 26 IU/l、LD 258 IU/l 基準 176〜353、Na 140 mEq/l、K 4.5 mEq/l、Cl 104mEq/l。CRP 8.7

mg/dl。左膝関節エックス線写真を示す。

関節+刺液中に認められる結晶はどれか。

a. 尿酸ナトリウム

b. リン酸カルシウム

c. シュウ酸カルシウム

d. ピロリン酸カルシウム

e. ハイドロキシアパタイト

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次の文を読み、76、77 の問いに答えよ。

78 歳の男性。意識障害のため搬入された。

現病歴 : 7 日前から上腹部の鈍痛と 38.3 ℃の発熱とがみられていた。6 日前にかかりつけの

診療所を受診し、解熱薬を処方された。日前、症状が軽快したため、薬の内服を中止した。2 日前

から再び右上腹部痛を自覚し、37.6 ℃の発熱と全身倦怠感とがみられた。昨日から食欲低下と

悪寒とを伴うようになったため、中断していた解熱薬の内服を再開した。昨日の時点で、尿の色が

濃いことに気付いていた。本日、起床後に悪寒と悪心とが出現し、意識がもうろうとした状態となっ

た。家族の問いかけに対してつじつまの合わない返答がみられたため、家族が救急要請した。

既往歴 : 7 年前から高血圧症に対しアンジオテンシン変換酵素阻害薬を内服中。

3 年前に腹部超音波検査で 3、4 個の胆石を指摘された。

生活歴 : 喫煙は 15 本/日を 58 年間。飲酒は日本酒 2 合/日を 58 年間。

家族歴 : 父親が脳出血で死亡。

現 症 : 意識レベルは JCSⅡ- 10。身長 164 cm、体重 59 kg。体温 39.0 ℃。心拍数 112/分、

整。血圧 82/58 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 97 % (3l/分酸素投与下)。

眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆し、軟で、肝・脾を

触知しない。右季肋部を中心に圧痛を認める。

76. まず行うべき治療として適切なのはどれか。

a. アトロピンの静注

b. 新鮮凍結血漿の輸血

c. 乳酸リンゲル液の急速静注

d. アルブミン製剤の点滴静注

e. 分岐鎖アミノ酸製剤の点滴静注

77. この患者の循環状態の重症度を評価するための検査で適切なのはどれか。

a. 血糖測定

b. 血液培養検査

c. 動脈血乳酸値測定

d. 血清アルブミン測定

e. ヘパプラスチンテスト

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26

78. 74 歳の女性。右股関節部の運動痛と起立不能とを主訴に来院した。本日、自宅玄関の段差

につまずいて転倒し、動けないところを家族が発見し救急外来を受診した。昨日までは手押し車を

押して近所まで買い物に行くことが可能であった。意識は清明。右下肢以外の自動運動は可能で

ある。座位では疼痛は少ないが、右股関節を内外旋させると疼痛が強い。支えても立位をとること

はできない。四肢反射の亢進はなく、感覚障害を認めない。

両股関節エックス線写真を下に示す。

診断はどれか。

a. 恥骨骨折

b. 腸骨骨折

c. 股関節脱臼

d. 大腿骨近位部骨折

e. 大腿骨転子下骨折

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27

次の文を読み、79~81 の問いに答えよ。

34 歳の男性。熱傷のため搬入された。

現病歴 : 自宅で就寝中に火災が発生して熱傷を負い、救急車で搬送された。

既往歴 : 生来健康で、特記すべきことはない。

生活歴 : 喫煙は 20 本/日を 14 年間。飲酒は日本酒 3 合/日を 14 年間。

家族歴 : 特記すべきことはない。一人暮らし。

現 症 : 意識レベルは JCSⅡ-20。身長 173 cm、体重 60 kg。

体温 37.4 ℃。脈拍 136/分、整。血圧 84/62 mmHg。呼吸数 36/分。

SpO2 88 %(リザーバー付マスク 10 l/分 酸素投与下)。

頭髪は焦げ、両上肢と体幹の皮膚に熱傷を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。

口唇と鼻孔周囲とに煤の付着を認める。口腔と咽頭の粘膜は煤が付着し浮腫状である。両側の

胸部に coarse crackles を聴取し、吸気時に喘鳴を聴取する。四肢末 の脈拍は触知可能である。

熱傷深度と熱傷範囲を表した図を下に示す。

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28

検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血 2 +。血液所見:赤血球 561 万、Hb 17.7 g/dl、Ht

50 %、白血球 21,400、血小板 36 万。

血液生化学所見:Na 136 mEq/l、K 3.9 mEq/l、Cl 101 mEq/l。血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度

20 %(基準 1 以下)。

胸腹部の簡易超音波検査では、心囊液貯留を認めず、胸腔や腹腔に液体貯留を認めない。

79. 9 の法則で評価したこの患者の Burn Index はどれか。

a. 54

b. 45

c. 36

d. 27

e. 18

80. まず行う対応として適切なのはどれか。

a. 経管栄養

b. 気管挿管

c. 抗菌薬投与

d. 昇圧薬投与

e. 上肢の減張切開

81. Baxter の公式を用いた場合、この患者の受傷後 24 時間の乳酸リンゲル液の輸液量

の目安はどれか。

ただし、Baxter の公式では 初の 24 時間の輸液量を 4 (ml)×体重(kg)×熱傷面積

(%)とする。

a. 12,960 ml

b. 10,800 ml

c. 8,040 ml

d. 6,480 ml

e. 4,320 ml

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29

82. 78 歳の男性。本日の夕方、風呂から上がった直後から言葉がもつれ、家族に意思がうまく

伝えられなくなったため救急外来を受診した。脈拍 88/分、不整。血圧 120/80 mmHg。意識は清明

だが、口数が少なく、「頭は痛いですか」と尋ねると、口ごもるように「い、い」と答え、「さくら」の復唱

を指示すると「さ、た」と言う。「目を閉じてから左手を上げてください」と指示すると、間違いなく行う。

右口角の動きが不良だが、上下肢の麻痺は明らかではない。頭部 MRI を行った。

下に示す頭部 MRI の拡散強調像①〜⑤¬のうち、この患者の頭部 MRI として考えられるのは

どれか。

a. ①

b. ②

c. ③

d. ④

e. ⑤

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30

次の文を読み、83~85 の問いに答えよ。

25 歳の男性。意識消失発作を主訴に来院した。

現病歴:受診日の早朝、車を運転中に便意を自覚した。排便したかったが、我慢をして運転を続

けた。ガソリンスタンドに車を止めて、車外に一歩踏み出したところで、発汗を認めた。そして頭か

ら血が引いてゆく感じがして気が遠くなり、その場にゆっくりと倒れ込んだ。数秒後に意識は戻り、

怪我はなく、歩行することができた。

既往歴:特記すべきことはない。

現症:身長 170cm、体重 65kg。体温 36.5℃。呼吸数 14/分。脈拍 80/分、整。血圧 100/80mmHg。

眼瞼結膜に貧血はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的に異常所見を認めない。

83. この患者の診断に も有用なのはどれか。

a. 病歴

b. 頭部 CT

c. 身体診察

d. 血液検査

e. 胸部エックス線撮影

84. このような発作を起こしにくい状況はどれか。

a. 咳嗽

b. 排尿

c. 嘔吐

d. 運動

e. 疼痛

85. 今後にするべきことはどれか。

a. 脳波

b. 経過観察

c. 胸部X線撮影

d. 頭部単純CT

e. 24 時間連続心電図

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次の文を読み、86〜88 の問いに答えよ。

78 歳の男性。意識障害のため家族に伴われて来院した。

現病歴 :3 日前から発熱と黄色痰を伴う咳とが続いていたが、病院に行くのを嫌がっていた。いつ

もの時間に起きてこないため家族が部屋に様子をみに行ったところ、呼びかけに対する反応が悪

い患者を発見し、家族が乗用車で救急外来に連れてきた。

既往歴 : 43 歳から高血圧症で内服加療中。55 歳から糖尿病で内服加療中。

生活歴 : 長男家族と同居。

現 症 : 意識レベルは JCSⅡ- 10。体温 39.0 ℃。心拍数 118/分、整。血圧 84/42mmHg。呼吸

数 28/分。SpO2 90 % (room air) 。四肢末梢の皮膚は温かく、軽度の発赤を認める。刺激に対す

る上下肢の動きは良好である。左の背部下方に coarse crackles を聴取する。

86. この患者の病態として も考えられるのはどれか。

a. 閉塞性ショック

b. 心原性ショック

c. 敗血症性ショック

d. 神経原性ショック

e. 循環血液量減少性ショック

87. 検査所見 : 血液生化学所見:Na 144 mEq/l、K 4.5 mEq/l、Cl 108 mEq/l。

動脈血ガス分析 (自発呼吸、room air) :pH 7.21、PaCO2 26 Torr、PaO2 60Torr、HCO3- 10

mEq/l。

この患者の酸塩基平衡状態の診断として正しいのはどれか。

a. 呼吸性アルカローシス

b. 呼吸性アシドーシス

c. 代謝性アルカローシス

d. アニオンギャップ開大性の代謝性アシドーシス

e. アニオンギャップ非開大性の代謝性アシドーシス

88. 酸素投与、モニター装着および静脈路確保を行い、輸液を開始した。

現時点から数時間後までの治療の効果を判断するのに も適切な指標はどれか。

a. 体 温

b. 脈 圧

c. 心拍数

d. 時間尿量

e. 二酸化炭素分圧

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次の文を読み、89、90 の問いに答えよ。

55 歳の男性。仕事場で急に倒れ、意識障害のため搬入された。

現病歴 : 家族の話では、昨晩急に頭痛を訴え臥床し、夜間に数回嘔吐したという。今朝も頭痛と

悪心とを訴えていたが、通常通りの時間に出勤したという。仕事中に突然、意識を失い倒れたた

め、同僚が救急車を要請した。

既往歴 : 3 年前から高血圧を指摘されているがそのままにしていた。12 年前に胃癌の手術

生活歴 : 喫煙は 20 本/日を 35 年間。飲酒はビール 500 ml/日を 25 年間。

家族歴 : 父親が脳内出血のため 74 歳で死亡。

現 症 : 意識レベルは JCS Ⅲ-100、GCS 7。眼球の右方への共同偏位と項部硬直とを認める。

瞳孔径は右 6mm、左 3mm である。

脈拍 60/分、整。血圧 192/112 mmHg。過呼吸を認める。SpO2 100 % (マスク 4l/分酸素投与下)。

心電図で異常を認めない。

検査所見 : 血液所見:赤血球 488 万、Hb 15.3 g/dl、Ht 46 %、白血球 10,500、血小 板 21 万。

血液生化学所 見:血糖 132 mg/dl、HbA1c ;NGSP= 5.8 % (基準 4.6〜6.2)、総蛋白 7.8 g/dl、ア

ルブミン 4.8 g/dl、尿素窒素 15 mg/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、尿 酸 4.5 mg/dl、総ビリ ルビン

0.6 mg/dl、AST 16 IU/l、ALT 13 IU/l、LDH 195 IU/l(基 準 176〜353)、ALP 187 IU/l (基 準 115

〜359)、γ-GTP 17 IU/l(基準 8〜50)、CK 112 IU/l(基準 30〜140)、Na 139 mEq/l、K 3.8mEq/l、Cl

103 mEq/l。CRP 2.0 mg/dl。

89. 治療の緊急度を判定する上で重要なのはどれか。

a. 下顎反射

b. 対光反射

c. 輻輳反応

d. 膝蓋腱反射

e. Babinski 徴候

90. 頭部単純 CT を示す。

この CT でみられるのはどれか。

a. 動脈瘤

b. 塞栓子

c. 脳幹出血

d. 動静脈奇形

e. くも膜下出血

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次の文を読み、91〜93 の問いに答えよ。

82 歳の男性。意識消失のため搬入された。

現病歴 : 本日、ビールを飲みながら夕食をとった後、入浴のため食卓から立ち上がり歩

き始めたところ、突然意識を消失し倒れた。驚いた妻が駆けつけ大声で呼びかけたところ、

すぐに意識は清明となった。明らかな外傷やけいれんはなかったという。最近、椅子から

立ち上がる時にふわっとすることがよくあったという。

既往歴 : 高血圧症のためカルシウム拮抗薬を内服している。1 か月前から持病の腰痛症悪

化のため非ステロイド性抗炎症薬を内服している。

現 症 : 意識は清明。体温 36.8 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 132/68 mmHg。呼吸数 18/分。

SpO2 95 % (room air)。瞳孔径は両側 3mm で対光反射は正常である。

眼瞼結膜はやや蒼白である。眼球結膜に黄染を認めない。口腔内に出血を認めない。舌と

粘膜とに損傷を認めない。項部硬直を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。

咽頭に腫脹と発赤とを認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、

肝・脾を触知しない。腹部に圧痛を認めない。 四肢に浮腫、チアノーゼ、ばち指および皮

疹を認めない。心電図に異常を認めない。

91. 意識消失の原因として最も考えられるのはどれか。

a. 不整脈

b. てんかん

c. クモ膜下出血

d. 起立性低血圧

e. 迷走神経反射

92. 追加すべき診察はどれか。

a. 直腸指診

b. 指鼻試験

c. 棘突起叩打

d. Babinski 徴候

e. 上肢 Barré 試験

93. 追加した診察では異常を認めなかった。

意識消失の原因を診断するためにまず行うべき検査はどれか。

a. 脳 波

b. 頭部 CT

c. 心エコー検査

d. Holter 心電図

e. 立位での血圧測定

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94. 67 歳の男性。交通外傷で搬入された。車の運転中、電柱に衝突した。意識は清明。胸痛と

呼吸困難とを訴えている。脈拍 96/分、整。血圧 146/76 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 93 % (リザ

ーバー付マスク 10 l/分酸素投与下)。頸静脈の怒張を認めない。胸郭の奇異性運動を認める。

胸骨部に圧痛と皮下出血とを認める。血液所見:赤血球 384 万、Hb 11.2 g/dl、Ht 39 %、白血球

9,800、血小板 23 万。CK 57IU/l 基準(30〜140)。CRP 0.3 mg/dl。動脈血ガス分析 (自発呼吸、リ

ザーバー付マスク 10 l/分酸素投与下):pH 7.21、PaCO2 60 Torr、PaO2 80 Torr、HCO3- 23mEq/l。

胸部エックス線写真と胸部単純 CT とで気胸を認めない。

胸部単純 CT と胸郭 3D-CT とを下に示す。

まず行うべき処置はどれか。

a. 輸 血

b. 陽圧換気

c. ドパミンの投与

d. 心囊ドレナージ

e. 胸腔ドレナージ

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次の文を読み、95〜97 の問いに答えよ。

45 歳の男性。爆発事故現場で受傷したため搬入された。

現病歴 : 爆発によって崩落した建物の下敷きになり、4 時間後に救出された。

現 症 : 意識は清明。体温 37.6 ℃。脈拍 108/分、整。血圧 98/62 mmHg。呼吸数 24/分。

SpO2 100 % (4l/分酸素投与下)。両下肢と殿部とを中心に広範囲に点状出血を認める。右下肢に

運動麻痺と知覚障害とを認める。救急室の看護師から、尿が赤いとの報告を受けた。

95. この患者の尿所見でみられる可能性が高いのはどれか。

a. 血 尿

b. 乳び尿

c. 白血球尿

d. ヘモグロビン尿

e. ミオグロビン尿

96. 引き続き行われた検査の結果を示す。

血液所見:赤血球 402 万、Hb 12.0 g/dl、Ht 35 %、白血球 18,000、血小板 18 万。

血液生化学所見:総蛋白 5.6 g/dl、アルブミン 3.0 g/dl、尿素窒素 12 mg/dl、

クレアチニン 1.0 mg/dl、AST 335 IU/l、ALT 102 IU/l、LD 1,090 IU/l (基準 176〜353)、CK

36,000 IU/l (基準 30〜140)、Na 130 mEq/l、K 7.5 mEq/l、Cl 94 mEq/l、Ca 7.2 mg/dl。

動脈血ガス分析 (自発呼吸、4l/分酸素投与下): pH 7.30、PaCO2 25 Torr、PaO2 120 Torr、

HCO3 - 12 mEq/l。

緊急に対応する必要がある項目はどれか。

a. K

b. CK

c. LD

d. 総蛋白

e. 白血球

97. 損傷の種類はどれか。

a. 爆 傷

b. 脊髄損傷

c. 開放性損傷

d. 挫滅(圧挫)損傷

e. デグロービング損傷

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次の文を読み、98〜100 の問いに答えよ。

75 歳の男性。重症肺炎で入院中である。

現病歴 : 週前に肺炎と低酸素血症のため搬入された。救急室で気管挿管を施行され、集中治

療室に入院となった。

既往歴 : 53 歳から糖尿病で内服加療中。60 歳から高血圧症で内服加療中。

生活歴 : 長男夫婦と同居。妻が 3 年前に脳梗塞のため死亡。

家族歴 : 父親が糖尿病。

98. 入院後、人工呼吸器管理が長期にわたったため、本日気管切開術を行い、引き続き人工呼

吸器管理を行った。3 時間後にアラームが鳴ったため駆けつけると、人工呼吸器のモニターで気

道内圧が上昇しており、患者の頸静脈は怒張していた。

この時点で考えるべき病態はどれか。2 つ選べ。

a. 気道閉塞

b. 緊張性気胸

c. 肺血栓塞栓

d. 急性心筋梗塞

e. 心タンポナーデ

99. 直ちに気管内を吸引したところ、少量の白色痰が認められた。10 分後、血圧が 78/42

mmHg に低下した。左前胸部で呼吸音を聴取しない。現時点で認められる可能性が高い所見は

どれか。

a. 心膜摩擦音

b. wheezes

c. 気管の偏位

d. 腹部の膨隆

e. 下腿の浮腫

100. 心電図モニター波形上、心拍数 42/分。頸動脈の拍動を触知しない。

直ちに行うべき治療として適切なのはどれか。2 つ選べ。

a. 心囊穿刺

b. 胸骨圧迫

c. 胸腔穿刺

d. へパリンの投与

e. リドカインの投与