横浜市インフルエンザ流行情報 14¼ˆ77.9%) 1678人 (69.9%) 6人 (0.3%) 0 1000...

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《トピックス》 【警報発令中】患者報告数は、やや減少しています。 2017/2018 シーズン 2018 3 1 【概況】 横浜市全体の第 8 週(2 19 日~25 日)の定点 1 あたりの患者報告数は、 18.48 となり、第 7 週の 23.50 よりやや減少していますが、依然として流行警報 発令中であり、引き続き注意が必要です。 年齢別では、15 歳未満の報告はわずかに減少し 64.2%となり、一方で 60 以上の報告は全体の 6.9%と、わずかに増加しつつあります。また、学級閉鎖等 の報告件数はやや減少していますが、高齢者施設での集団発生報告は続いて います。市内基幹定点 2 からのインフルエンザ入院患者の報告は続いており、 10 歳未満と 70 歳代以上の報告が多いため、重症化には注意が必要です。 迅速診断キットの結果は、第 8 週で A 29.8B 69.9と、B 型が多く 報告されています。A 型については、第 6 週以降は AH1pdm が分離・検出され ておらず、一方、AH3 は今シーズン通じて分離・検出され続けています。 今後も引き続き、正しい手洗い 3 等や、咳が出る時のマスクの着用及び早期 受診などの対策 4 が重要です。 1 定点とは、定期的にインフルエンザ患者発生状況を報告していただいている医療機関(市内 153 所)のことで、そこから報告された患者数の平均値が定点あたりの患者報告数です。 2 基幹定点:患者を 300 人以上収容する病院(小児科医療と内科医療を提供しているもの)の中 から、地域ごとに指定された医療機関のことで、市内には 4 つの基幹定点があります。 3 横浜市保健所ホームページ(「正しい手洗い方法」および、掲示用ポスター「石けんで『手』を洗お う」をトップページに掲載しておりますので、是非ご活用ください) 4 市民向けインフルエンザ予防チラシ(横浜市) 市内流行状況:市全体の定点あたりの患者報告数は、第 8 週(2 19 日~25 日)で 18.48 なり、第 7 週の 23.50 からやや減少しました。流行警報は 10.00 を下回るまで解除されません。 横浜市インフルエンザ流行情報 14 横浜市衛生研究所 横浜市健康福祉局健康安全課 0 10 20 30 40 50 60 70 80 36 38 40 42 44 46 48 50 52 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 9121362012/13 2013/14 2014/15 2015/16 2016/17 2017/18

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《トピックス》

【警報発令中】患者報告数は、やや減少しています。

2017/2018 シーズン 2018 年 3 月 1 日

【概況】

横浜市全体の第 8 週(2 月 19 日~25 日)の定点※1あたりの患者報告数は、

18.48 となり、第 7 週の 23.50 よりやや減少していますが、依然として流行警報

発令中であり、引き続き注意が必要です。

年齢別では、15 歳未満の報告はわずかに減少し 64.2%となり、一方で 60 歳

以上の報告は全体の 6.9%と、わずかに増加しつつあります。また、学級閉鎖等

の報告件数はやや減少していますが、高齢者施設での集団発生報告は続いて

います。市内基幹定点※2からのインフルエンザ入院患者の報告は続いており、

10 歳未満と 70 歳代以上の報告が多いため、重症化には注意が必要です。

迅速診断キットの結果は、第 8 週で A 型 29.8%、B 型 69.9%と、B 型が多く

報告されています。A 型については、第 6 週以降は AH1pdm が分離・検出され

ておらず、一方、AH3 は今シーズン通じて分離・検出され続けています。

今後も引き続き、正しい手洗い※3等や、咳が出る時のマスクの着用及び早期

受診などの対策※4が重要です。 ※1 定点とは、定期的にインフルエンザ患者発生状況を報告していただいている医療機関(市内 153 か

所)のことで、そこから報告された患者数の平均値が定点あたりの患者報告数です。 ※2 基幹定点:患者を 300 人以上収容する病院(小児科医療と内科医療を提供しているもの)の中

から、地域ごとに指定された医療機関のことで、市内には 4 つの基幹定点があります。 ※3 横浜市保健所ホームページ(「正しい手洗い方法」および、掲示用ポスター「石けんで『手』を洗お

う」をトップページに掲載しておりますので、是非ご活用ください) ※4 市民向けインフルエンザ予防チラシ(横浜市)

1 市内流行状況:市全体の定点あたりの患者報告数は、第 8 週(2 月 19 日~25 日)で 18.48 と

なり、第 7週の 23.50からやや減少しました。流行警報は 10.00を下回るまで解除されません。

横浜市インフルエンザ流行情報 14 号 横浜市衛生研究所 / 横浜市健康福祉局健康安全課

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9月 12月 1月 3月 6月

2012/13

2013/14

2014/15

2015/16

2016/17

2017/18

2 地図で表した直近 3 週間の区別流行状況(塗り分けの数字は定点あたり報告数)

3 年齢層別集計:第8週の患者年齢構成は、15歳未満が全体の64.2%を占めていますが、第7

週以降わずかに減少しています。また、60 歳以上は全体の 6.9%となっており、わずかに増加

しつつあります。第7週以降、15歳未満が全体の占める割合は減少し、成人の占める割合が増

加しています。

第 3週にて、市内全体で定点あたり 30.00を超えたため、流行警報が発令されて

います。流行警報は、警報継続基準値(10.00)を下回るまで続きます。

第 8週までに、10.00を下回った区はまだありません。

≪市全体≫

第 8週 18.48

≪市全体≫

第 6週 48.15

≪市全体≫

第 7週 23.50

53.0%

53.1%

54.1%

48.8%

48.3%

21.3%

19.8%

17.8%

16.3%

15.9%

5.0%

4.3%

4.4%

4.9%

5.0%

2.8%

3.0%

3.0%

4.1%

4.5%

4.0%

4.6%

4.9%

5.4%

4.9%

6.0%

6.6%

6.2%

8.4%

8.9%

3.7%

3.9%

4.1%

5.5%

5.6%

2.5%

2.6%

2.8%

3.5%

3.5%

1.7%

2.1%

2.8%

3.2%

3.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

第4週

第5週

第6週

第7週

第8週

年齢層別患者割合

10歳未満 10~14歳 15~19歳 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上

= 0人~

= 20人~

= 10人~

= 15人~

= 5人~

青葉区

都筑区港北区

鶴見区緑区

神奈川区旭区

保土ケ谷区 西区

中区

泉区

戸塚区

港南区

磯子区

金沢区

栄区

瀬谷区

南区

= 25人~

= 30人以上

インフルエンザ 第6週

42.40

55.22

27.20

15.8657.50

53.00

44.13

37.90

37.14

39.25

43.00

71.67

50.10

59.57

44.64

59.50

76.43

61.43

= 0人~

= 20人~

= 10人~

= 15人~

= 5人~

青葉区

都筑区港北区

鶴見区緑区

神奈川区旭区

保土ケ谷区 西区

中区

泉区

戸塚区

港南区

磯子区

金沢区

栄区

瀬谷区

南区

= 25人~

= 30人以上

インフルエンザ 第7週

18.50

28.20

17.40

13.1429.88

17.75

26.63

14.50

15.43

24.00

20.08

34.00

21.18

36.25

19.82

27.50

36.57

30.00

= 0人~

= 20人~

= 10人~

= 15人~

= 5人~

青葉区

都筑区港北区

鶴見区緑区

神奈川区旭区

保土ケ谷区 西区

中区

泉区

戸塚区

港南区

磯子区

金沢区

栄区

瀬谷区

南区

= 25人~

= 30人以上

インフルエンザ 第8週

16.00

25.25

15.40

11.8621.50

13.00

16.50

16.90

13.29

17.13

23.92

25.71

13.36

20.57

14.36

18.33

25.29

26.43

保育所・

幼稚園

77件, 8.4%

小学校

703件, 76.4%

中学校

112件, 12.2%

高等学校

24件, 2.6%

その他

4件,0.4%

学級閉鎖等の施設の状況

(今シーズン)

4 市内学級閉鎖等状況:学級閉鎖等の報告は、第 8週で 34件(休校 1件、学年閉鎖 3件、学級

閉鎖 30 件)、患者報告数 363 人と、第 7 週と比べてやや減少しています。内訳は、保育所・幼

稚園 3 件、小学校 26 件、中学校 5 件です。

今シーズンの第 8週までの報告は累計 920件、患者数は延べ 16,989人で、施設の割合は、

保育所・幼稚園 8.4%、小学校 76.4%、中学校 12.2%、高等学校 2.6%、その他 0.4%となって

います。

5 入院サーベイランス:市内基幹定点医療機関※2におけるインフルエンザ入院患者は、第 8 週

は 11 人の報告があり、累計 286 人となりました。うち、10 歳未満は 46 人、70 歳代は 75 人、

80 歳以上は 102 人と、多くを占めています。

入院時の診療内容が把握されている事例で、ICU入室、人工呼吸器の使用、頭部CT検査、

脳波検査等が実施された重症肺炎やインフルエンザ脳症が疑われる入院患者は、第 8 週で

は報告はありませんでした(インフルエンザ脳症の発生届もありませんでした)。

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

0

50

100

150

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第46

第47

第48

第49

第50

第51

第52

第1週

第2週

第3週

第4週

第5週

第6週

第7週

第8週

学級閉鎖等の施設数と患者数の推移

保育所・幼稚園

小学校

中学校

高等学校

その他

患者数

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

14.00

第36週 第38週 第40週 第42週 第44週 第46週 第48週 第50週 第52週 第2週 第4週 第6週 第8週

(人) 基幹定点あたりの入院患者報告数の推移

2017/18

2016/17

0

20

40

60

80

100

120

10歳未満 10~14歳 15~19歳 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳以上

(延べ人数) 今シーズンの入院状況(年齢別)

1237人(69.4 %)

1131人(58.0%)

519人(43.5%)

1225人(40.8%)

2414人(33.2%)

2145人(25.1%)

2168人(24.2%)

1362人(21.3%)

696人(21.9%)

716人(29.8%)

1774人(59.1%)

4845人(66.6%)

6376人(74.7%)

6761人(75.6%)

5005人(78.4%)

2473人(77.9%) 1678人

(69.9%)

6人(0.3%)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

横浜市の患者定点医療機関における

迅速診断用キットによる型別の報告数(人)

A陽性 B陽性 A・B陽性

6 迅速キット結果:今シーズンの初めはA型が多く報告されてきましたが、第 50週頃より B型の

割合が増え始め、第 1週以降、B型が多く報告されています。第 8週の迅速キットの結果では、

A 型 29.8%、B 型 69.9%、A・B 型ともに陽性 0.3%となり、第 7 週と比べて A 型の割合がやや

増加しました。今シーズン累計は、A 型 33.2%、B 型 66.6%、A・B 型ともに陽性 0.2%となって

います。

7 市内病原体検出状況:市内では病原体定点※5からAH1pdm(48株)、AH3(42株)、B(山形系

統)(87 株)が分離・検出されており、B(山形系統)が多くを占めています。AH1pdm は第 6 週

以降は分離・検出されていませんが、AH3はシーズンを通じて一定数が分離・検出されていま

す。全国の分離・検出も同様の傾向と考えられます※6。

B 型ウイルスの流行が早期に始まっていることから、A 型ウイルスとの再感染や重複感染に

も注意が必要です※7。 ※5 病原体定点:採取した検体を衛生研究所に送付する医療機関で、市内に 17 か所あります。うち、イ

ンフルエンザについては 12 か所にて採取されています。 ※6 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数(国立感染症研究所、2018 年 2 月 23 日作成) ※7 2017/18 シーズンの山形系統の B 型インフルエンザ流行状況―横浜市 市内病原体定点からのインフルエンザウイルス分離・検出状況

(2018年 2月 28日現在)

33.2%

66.6%

0.2%今シーズン累計

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 1 2 3 4 5 6 7 8 9

分離・検出数

AH1pdm:48

AH3型:42

B型(山形系統):87

2017年 10月 11月 12月 2018年1月 2月 週数

48株27.1%

42株23.7%

87株49.2%

今シーズン累計

【お問い合わせ先】 横浜市衛生研究所感染症・疫学情報課 TEL 045(370)9237

横浜市健康福祉局健康安全課 TEL 045(671)2445

同等

50株50.5%

2倍42株

42.4%

4倍7株

7.1%

8 分離株の抗原性解析:市内で分離された株(細胞培養した 228 株、2 月 23 日現在)のワクチ

ン株との抗原性解析(HI 試験)を実施しました。ワクチン類似とされているのは 4 倍以内です。

あくまでもウサギの血清を使っているため参考値ですが、AH3 は、30 株のうち 26 株が 8 倍以

上で、AH1pdm(99 株)と B(山形系統)(99 株)は、すべて 4 倍以内となっています。

これは、AH1pdm および B(山形系統)の流行株は「国内ワクチン製造株に抗原性が類似し

ていた」、AH3の分離株の9割以上が「国内ワクチン製造株に対する抗血清との反応性低下が

認められ、ワクチン抗原と流行株の抗原性相違が推定される」とする国立感染症研究所の解

析※8と矛盾しないと考えられます。 ※8 インフルエンザウイルス流行株抗原性解析と遺伝子系統樹 2018 年 2 月 19 日(国立感染症研究所)

(参考値)市内で分離された株の抗原性解析

AH1pdm 抗原性解析(99 株) AH3 抗原性解析(30 株) B(山形系統)抗原性解析(99 株)

※参考リンク 近隣自治体の流行状況 ○神奈川県 ○川崎市 ○東京都

全国の流行状況 ○国立感染症研究所

同等 2倍 4倍 8倍 16倍 32倍以上

インフルエンザウイルスの

電子顕微鏡写真(6 万倍)

B 型(山形系統)

撮影:

横浜市衛生研究所

同等

26株26.3%

2倍65株

65.7%

4倍8株

8.1%

4倍4株

13.3%

8倍11株

36.7%16倍8株

26.7%

32倍以上

7株23.3%