zonotone2012/04/17 · 「famous blue raincoat/jennifer warnes」 (cypress) 44.1k...
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HiVi 98
こだわるオーディオファンから熱い視線
を送られているのが、ゾノトーンから登
場した7N・USB-
Shupreme1
だ。ゾノトーンは約5年前に誕生した新
鋭のブランドで、主宰者、前園俊彦氏は
20数年に渡ってオーディオケーブルの研
究に携わり、日本で初めて7Nのオーデ
ィオケーブルを製品化した人物でもある。
「ハイレゾ再生に代表されるように、
PCオーディオには大きな可能性があり
ます。ところが色々と調べていくと、潜
在能力をスポイルしている原因のひとつ
にケーブルがあることが分かりました。
導線の設計にしても、ノイズ対策にして
も、充分とは言えない。これはやりがい
があると感じたわけです」(前園氏)
「ケーブルづくりの要締は導体にあり」
という信念のもと、ゾノトーンがまず取
り組んだのが線材の見直しだ。カット&
トライで様々な組合せを検証した結果行
き着いたのが、不純物が1000万分の
1というプレミアム素材、7NCu(99・9
9999%)を中心に、純銀をコーティン
グしたハイヤーOFCと結晶境界のない
単結晶PCOCC。製品ではこれらの3
種類の線材を独自の黄金比でハイブリッ
ド化し、撚り線として仕上げているが、
このあたりにもオーディオケーブルの開
発で培った技術、ノウハウが存分に活か
されているという。
細く狭く、しかも信号線と電源線が
同居しているUSBケーブルでは、ノイ
↑本ケーブルはゾノトーンのUSBケーブル第二弾にして、同社最高峰のShupreme(シュプリーム)シリーズとして登場した。高純度7N導体を軸に、合計3種類の素材を組み合せたハイブリッド仕様の導体を、信号ラインと電源ラインの両者に適材適所で採用。受け側の角形端子には、独立したアースラインも確保している。ここを機器に接地させるか、させないか
(浮かした状態)でも音がかなり変化するのでうまく使いこなしたい
USB CABLEZonotone7N・USB-Shupreme1¥28,400(0.7m)¥33,200(1.2m)¥37,800(2.0m)●問合せ先:㈱前園サウンドラボ☎042(391)7544●端子はいずれもUSB TypeA-B仕様
音質と機能性の両面で、これまでの常
識を超える可能性を示したハイレゾファ
イル再生。クォリティと利便性を追求す
るのであれば、リンのDSのような専用
ネットワークプレーヤーによる再生がベ
ストだが、パソコンに収めたハイレゾファ
イルを、そのまま手軽に楽しみたいとい
う声は根強い。そこで脚光を集めている
のが、パソコンとUSB-
DACを直結
し高音質をめざすPCオーディオの存在
だ。最近はアンプ機能を装備したモデル
も数多く登場し、ハイレゾファイル再生
のファン拡大に貢献している。
これに連動してパソコンとDACをつ
なぐUSBケーブルへの関心も高まって
いる。通常のオーディオ機器に比べると、
パソコンはノイズ対策の意識が希薄で、
せっかくのハイレゾ音源もややもすると
その持ち味が引き出せない可能性もある。
このためUSBケーブルのノイズ遮断性
能が問われることになるわけだが、汎用
のケーブルにはそうした意識はほとんど
ない。
この問題に真正面から取り組み、音に
高品位ケーブルに賭ける、ゾノトーンの想い、そして最新USBケーブルの音とは?
Zonotone 藤原陽祐
99 HiVi
㈱前園サウンド ラボ代表取締役 社長前園俊彦
↑オルトフォン・ジャパン時代に高品位なケーブルを数多くプロデュースしてきた前園氏。氏は、自らの名前の一部を含むケーブルブランド「ゾノトーン」を2007年に設立した。今回は、同社の研究所で最新USBケーブルを中心に、音楽再生、オーディオ、そしてケーブルづくりにかける熱い想いをうかがった
ズ対策も重要課題となるが、ここでも独
自性に富んだ技術、工夫を積極的に投
入している。まず信号/電源の各ライン
を物理的に分離し、電源ラインについて
は特太(AWG22相当)とするという豪華
仕様。さらにそれぞれ独立した2重のシ
ールド層を設け、さらにその外側に全体
を覆うように特製スプリングによるシー
ルド層(グランドアース付き)を設けると
いうこだわりようだ。
「今回は色々なことにチャレンジして、
USBケーブルとして実用新案登録も取
得することができました。ただハイレゾ
音源を扱うUSBケーブルと言えども、
オーディオケーブルですから、最終的に
は実際に再生音を確認しながら仕上げ
再生ソフト「Famous Blue Raincoat/Jennifer Warnes」(Cypress) 44.1k㎐/16ビット/WAV ※CDリッピング「Kisses on the Bottom/ Paul McCartney」(Hear Music) 96k㎐/24ビット/FLAC ※HD Tracks「Abbey Road/The Beatles」(Apple Records) 44.1k㎐/24ビット/FLAC ※USBメモリー
リファレンス機器USB-DAC:エアーQB-9コントロールアンプ:デノン AVP-A1HDパワーアンプ:インテグラ RDA-7⊕ボルダー 850スピーカーシステム:ウエストレイク BBSM15⊕エラック 4PI2PLUS
ていきました。そうした意味でもこのS
hupreme1には、ゾノトーンの技術、
ノウハウが集約されていると言っていい
と思います」(前園氏)
実際、わが家のシステムでその音を聴
いてみたが、ふくよかで、力みのないサ
ウンドが実に心地よく、特にベース、バ
スドラムなどの低音の吹き上がりのよさ
が印象的だった。ハイレゾ音源でも、高
解像度を前面に打ち出すような聴かせ
方ではなく、音そのものの透明感、スト
レスを感じさせない空間の拡がりで明確
な優位性を感じさる。聴き手をフワッと
おおい包んでしまうような包容力を伴な
った上質なサウンド。やはり“音は人なり”
ということなのだろう。