znoナノロッドの構造制御に関する研究 素子化要素...
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自動車用フォースセンシング 体の動きをモニタリング
用途が拡大するフォースセンサー
sensor
本技術開発の目指すところ
【用途拡大への課題】従来型歪みセンサーに比べて□感度の向上□小型化□基体を選ばない装着
⇒
【取り組んできた技術開発】圧電,半導体ナノ構造体を電極で挟み込んだフォースセンサー○低次元ナノ構造体の作製と配列制御○ナノ構造体への電極形成○フレキシブル基板への適用
本技術開発で取り扱ったナノ構造体酸化亜鉛(ZnO)材料について
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c軸
a軸 b軸
•化学的に安定
•資源が豊富⇒安価
•人体に悪影響がない白色粉末材料
六方晶ウルツ型構造
Zn
O
•圧電性・透明導電性
蛍光特性・半導体性 など
⇒多様な機能
配向性ZnOナノロッドを用いた素子;開発状況
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配向性ZnOナノロッドの例(当研究室で合成)
名工大種村研究室他
発電体
ジョージア工科大
電子源 センサー
フォースセンサー@名工大・市川研究室
【利点】 vs バルク・薄膜・ナノ集合体
☆ナノロッドの一次元電導性を有効に使える☆比表面積の拡大
⇒ ガスセンシング☆機械的変形量の拡大
⇒ 印加フォースセンシング
配向性ZnOナノロッドを用いたフォースセンサー
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電極プローブ
フォース印加
ZnOナノロッド
ZnOシード層
ITO膜/ガラス基板
配向性ZnOナノロッドを用いたフォースセンサー概要図 フォース印加によるZnOナノロッドのピエゾ抵抗変化;
☆水熱合成による低温(<100℃)成長ZnOナノロッドを用いて,櫛形薄膜歪みセンサー並の感度(約150mV/N)得られている.
ZnOナノロッド・フォースセンサーの課題
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フォース印加実験の様子(上)と,用いた配向性ZnOナノロッド(下).
ZnOナノロッド;半導体性ZnOシード層;低抵抗半導体
フォース印加
センサー素子構造概略図
(1)プローブ電極とロッドが電気的・機械的に未接合
→ 再現性,S/Nの低下→ 機械的不安定性
(2)ナノロッドの成長が一方向→ フォースの印加方向が
一方向に限定
(3)基板が硬質材料に限定→ フレキシブル基材に不適
ZnOナノロッド素子化への取り組み
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(1)ナノロッドへの電極形成■紫外線レーザー光を用いた溶融プロセス
(2)ナノロッド配向性の制御■X字状ナノロッドの形成
(3)フレキシブル基材への対応■グラフェン上へのナノロッドの配向形成
(1)ナノロッドへの電極形成紫外線レーザー光を用いた溶融プロセス;技術の概要
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従来技術;金属膜の蒸着
金属を蒸着したZnOナノロッドの様子;(左)概念図,(右)Auを蒸着したときのナノロッドのSEM観察像.
★ナノロッド一本一本が金属膜でコートされてしまう.★さらに金属の蒸着量を増やすと,ナノロッド表面
には金属の塊が堆積されてしまう.
本技術;紫外線レーザー光を用いた溶融プロセス
金属膜 溶融層
溶融層
紫外線レーザーパルス光で溶融させたZnOナノロッド先端の様子;(左)概念図,(右)SEM観察像.
☆ナノロッド先端が溶け,連続的な溶融層が形成される.⇒溶融層上に電極膜を形成.
☆選択的に溶融 ⇒選択的な電極形成が可能
(2)ZnOナノロッド配向性の制御X字状ナノロッドの形成;技術の概要
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従来からの配向性ナノロッド
一般的な配向性ZnOナノロッド;(左)概念図,(右)SEM観察像.
★気相法で,a軸配向性の薄膜の作製例はあるが,ZnOはc軸方向に成長しやすい性質を持っており,一軸方向に配向した薄膜,もしくはナノロッドの成長しか報告されていない.
本技術;ナノロッドをX字状に形成
X字状に成長したZnOナノロッド;(左)概念図,(右)SEM観察像.
☆基板の結晶面,ZnOナノロッド形成用に基板に堆積するZnOシード層の膜厚,結晶性を制御することで,X字状の成長が得られる.
(1)ナノロッドへの電極形成紫外線レーザー光を用いた溶融プロセス;技術の説明
ZnOナノロッド
紫外線(UV)レーザーパルス光
UV光:
波長355nm,パルス幅8ns,10Hz@Nd:YAGレーザー
照射:
照射時間1s~(タイマー付きシャッターで制御)
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プロセスの概略
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0.25 J/cm2 0.38 J/cm2
レーザーパルス照射時間1sのときの結果
ナノロッドの先端が溶融して球状になっている.
さらにレーザー照射強度を上げる(エネルギー200→300mW)と溶融した球状部分が繋がっていく.
⇒溶融部分が面になるのでは?
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0.38 J/cm2 0.64 J/cm2
溶融層
断面斜視観察像
さらに照射強度を上げる(エネルギー300→500mW)と,連続的な溶融層(厚み数10nm)ができた.ナノロッド“茎”部分への溶融の影響は観られない.
【成果の現状】紫外線レーザーパルス光照射により,ZnOナノロッド先端に,厚み数10nmの溶融層を形成できた.
☆溶融層表面に金属膜を蒸着する,あるいは低抵抗ZnO膜を形成することで,下部電極とあわせてZnOナノロッド先端を挟み込む素子基本構造が成立できる.
☆ナノロッド-溶融層-電極層,それぞれの接合は良好と考えられるので,センサー特性におけるSN比の向上,良好な機械的接合性が期待できる.
☆レーザー照射は、局所的に行うことができるので,電極のパターン化が可能.☆溶融層上へもZnOナノロッドの配向成長ができており,三次元的なナノ構造作製が
期待できる.新規電子素子への応用も可能.
【課題】□フォースセンサーでの有効性を実証実験中.□ロッド密度など,電極用溶融層形成限界の確認.□ロッド-溶融層-電極層の電気的接合の最適化.
(1)ナノロッドへの電極形成紫外線レーザー光を用いた溶融プロセス;現状
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(2)ZnOナノロッド配向性の制御X字状ナノロッドの形成;技術の説明
開発への経緯
配向性ZnOナノロッドの作製工程(水熱合成)
基板 シード層
サファイア等の基板上にZnOシード層を形成
水熱合成法でZnOナノロッドを配向成長させる 通常のZnOナノロッド
(先鋭型ナノロッド)
偶然できた交差して成長するZnOナノロッド
ナノロッドの成長状態とシード層作製条件,基板の種類・表面状態の関係を調べた
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ZnOナノロッド作製実験
【ZnOシード層作製条件】
手法ターゲット基板基板温度スパッタガス高周波電力
高周波マグネトロンスパッタ法ZnO焼結体(100mmφ,5mmt)単結晶サファイア(A,C,R面)600℃Ar/O2=4/1,1Pa100W
【ナノロッド作製条件】
手法溶液
反応
水熱合成法Zn(NO3)2 0.1M,50mlNaOH 1.5M,50ml90℃,2h 京セラ社・製品カタログから
a(nm) c(nm)
ZnOサファイア
0.3250.476
0.5211.299
格子定数の比較
サファイアA面,C面上へのZnO結晶のc軸配向は知られている
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ZnOシード層厚を変化@R面
80nm 100nm 190nm
膜厚80nm以下では交差成長は観られない.c軸配向性も弱い.190nm以上になると,ナノロッドの太さが不均一になる.交差(X字状)成長が得られるシード層の膜厚に最適範囲がある.
ZnOナノロッド交差成長の考察
交差(X字状)成長したZnOナノロッドの傾斜膜角度は,ほぼ30°(左).R面サファイア基板上には,X線回折から確認されているようにZnOシード層はa軸配向性の結晶性であり,ZnOナノロッドはZnO実格子の“側面”から成長しているのではないかと考えられる(右図).
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【成果の現状】基板上のZnOシード層の形成パラメータを制御することで,R面サファイア基板上に互いに交差して成
長するX字状ZnOナノロッドを作製することができた.
フォースセンサーを想定した場合;☆ZnOナノロッドが一方向を向いて並ぶ,従来からのc軸配向性ナノロッドに比べ,
フォースの印加方向の多軸化が可能になる.☆ZnOナノロッドの長手方向へのフォース印加に比べて,フォース印加で発生する
ロッドの変形量を大きく取ることができ,センサー感度の向上が期待できる.
【課題】□フォースセンシングの有効性実証.□ロッド先端への電極形成とその最適化.□硬質のサファイア基板に限定,軟質基板への適用が必要.
(2)ZnOナノロッド配向性の制御X字状ナノロッドの形成;現状
ZnOナノロッド素子化への取り組み;まとめ
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【成果】(1)ナノロッドへの電極形成
紫外線レーザー光を用いた溶融プロセスからの電極形成(2)ナノロッド配向性の制御
X字状ナノロッドの形成
【想定される用途】○右図のようなフォースの印加方向を
多軸にとれる高感度なフォースセンサーの創成が期待される.
○他,ガスセンシング,流体センシング等への用途拡大も見込まれる.
フォース印加方向
実用化に向けた課題
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(1)ナノロッドへの電極形成
□ZnOロッド密度など,電極用溶融層形成限界の確認.□ZnOナノロッド-溶融層-電極層の電気的接合の最適化.
(2)ナノロッド配向性の制御□X字状ZnOナノロッド先端への電極形成とその最適化.
(3)フレキシブル基材への対応□電極としてのグラフェンの有効性を実証
□フォースセンサーとしての有効性実証.
企業への期待
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○応用への観点からの素子スペックの標準化.○レーザー溶融プロセスについては,波長,パルス幅など種々
レーザー条件を検討することで,より素子作製に適した条件を見出すことができると考えられる.レーザーをはじめとした溶融プロセス技術を保有する企業との共同研究も希望.
○本技術のフレキシブル基板への適用については,現在研究が進行しているが,実用化,量産化に必要な技術レベルを議論しての共同研究を希望したい.
本技術に関する知的財産権
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(1) 発明の名称 :ZnOナノロッドアレイへのレーザー溶融による電極形成方法
出願番号 :特願2013-263145
発明者 :市川 洋,廣芝伸哉
(2) 発明の名称 :X字状ZnOナノロッドおよびその製造方法
出願番号 :特願2014-002987
発明者 :市川 洋,廣芝伸哉
(3) 発明の名称 :グラフェンシート上ZnOナノロッドおよびその製造方法
出願番号 :特願2014-096012
発明者 :市川 洋,廣芝伸哉,奥村竜二
産学連携の経歴
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○主な共同研究
○大学発ベンチャー○JST事業
中部電力社(2006~2009年),ブラザー工業社(2009~2010年),タケダ社(2011年~),日本ガイシ社(2011年~)
(株)ティーセット(2011年)
「シーズ発掘試験」に採択(2009年度)