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1 東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 初澤研究室 題目:同時個別機械刺激が可能な細胞培養デバイス 分野:分析・診断デバイス 種別:平成26年度修士論文 概要:骨細胞など,力による刺激で分化する細胞の培養を 効率的に行うため,異なる力学的刺激を同じ プレート内で発生可能なデバイスを開発中です. 丈夫な骨細胞になるには 機械的刺激が必要 骨芽細胞 1.研究背景・目的 骨の再建手術 頭頸部癌による手術創 術前CT画像により作製した 3Dスキャホールド http://www.okayama- u.ac.jp/user/ohnccpky/infomation02.html http://www.kms.ac.jp/~keisei/guide/head_an d_neck_cancer.html in vitroで培養した 骨の直接移植 金属 アパタイト 骨芽細胞播種 3Dプリンタ 骨形成過程 間葉系幹細胞 骨前駆細胞 前骨芽細胞 骨芽細胞 骨細胞 2 Wolffの法則 『骨は加わる力に抵抗するのに最も適した構造を発達させる』 負荷がかかると,骨形成が促進されるが そのメカニズムは未解明である N. Rosenberg, Cytotechnology 39: 125–130, 2002. C. Frias, Composites Science and Technology 70 (2010) 1920–1925 PVDFを用いた骨芽細胞への機械的負荷 骨芽細胞への振動刺激モデル 1.研究背景・目的 In vitroで細胞に力学的刺激を与える研究が盛んに行われてきた 3 4 力学的刺激に対する細胞挙動が不明 所定形状までの培養に時間を要する 1.研究背景・目的

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Page 1: Wolffの法則 力学的刺激に対する細胞挙動が不明 所 …...3.結果 11 4 FG 3.改良型デバイス原理 12 PDMS 細胞播種部 従来 圧電素子 細胞への振動印加×

1

東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 初澤研究室

題目:同時個別機械刺激が可能な細胞培養デバイス

分野:分析・診断デバイス

種別:平成26年度修士論文

概要:骨細胞など,力による刺激で分化する細胞の培養を

効率的に行うため,異なる力学的刺激を同じ

プレート内で発生可能なデバイスを開発中です.

丈夫な骨細胞になるには機械的刺激が必要骨芽細胞

1.研究背景・目的

骨の再建手術

頭頸部癌による手術創

術前CT画像により作製した3Dスキャホールド

http://www.okayama-u.ac.jp/user/ohnccpky/infomation02.html

http://www.kms.ac.jp/~keisei/guide/head_and_neck_cancer.html

in vitroで培養した骨の直接移植

金属

アパタイト

骨芽細胞播種

3Dプリンタ

骨形成過程

間葉系幹細胞 骨前駆細胞 前骨芽細胞 骨芽細胞 骨細胞

2

Wolffの法則

『骨は加わる力に抵抗するのに最も適した構造を発達させる』

負荷がかかると,骨形成が促進されるがそのメカニズムは未解明である

N. Rosenberg, Cytotechnology 39: 125–130, 2002. C. Frias, Composites Science and Technology 70 (2010) 1920–1925

PVDFを用いた骨芽細胞への機械的負荷PVDFを用いた骨芽細胞への機械的負荷骨芽細胞への振動刺激モデル骨芽細胞への振動刺激モデル

1.研究背景・目的

In vitroで細胞に力学的刺激を与える研究が盛んに行われてきた

3 4

力学的刺激に対する細胞挙動が不明

所定形状までの培養に時間を要する

1.研究背景・目的

Page 2: Wolffの法則 力学的刺激に対する細胞挙動が不明 所 …...3.結果 11 4 FG 3.改良型デバイス原理 12 PDMS 細胞播種部 従来 圧電素子 細胞への振動印加×

52.実験

デバイス提案

最適な刺激条件を効率よく探索

多種類培養プレート 刺激条件1

刺激条件2

刺激条件3

1日目 2日目 3日目 ・・・

例)

順次細胞を剥がして逐次細胞数計測が可能なデバイス

圧電素子

デバイス概要

○ウェルごとに与える周波数を変えることができ,多種類同時比較を行える

○低周波(数百Hz)~高周波(数十kHz)の幅広い条件での加振が可能

○オートクレーブによる滅菌が可能

○小型・インキュベータ内で用いることができる

拡大図

6 well-plate

PC(Poly Carbonate)板

2.実験

特徴

6

PDMS

細胞播種部

圧電素子PC板

72.実験

デバイス作製

I. 12well-plateを鋳型とし,PDMSを1mmの厚さに

なるよう流し込み,1次硬化

II. 圧電素子を配置し,上からPDMSを17.5mmの

厚さになるよう流し込み,2次硬化

III. 圧電素子をPC板に配置し,上からPDMSを流し

込み固める12well-plate

Poly Carbonate

82.実験

PDMS

細胞播種部

圧電素子 PC板

完成したデバイス・実験系

インキュベータ内

FG

CO2インキュベータ

Page 3: Wolffの法則 力学的刺激に対する細胞挙動が不明 所 …...3.結果 11 4 FG 3.改良型デバイス原理 12 PDMS 細胞播種部 従来 圧電素子 細胞への振動印加×

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刺激培養群

FG

2.実験

コントロール

通常培養群

材料細胞 : MC3T3-E1(継代2~4代目)

培地 : α-MEM 10%FBS

細胞計測 : トリプシン+EDTA,位相差顕微鏡,

ノイバウェル血球計算盤 http://www.primarycell.com/hanbai/hone_kotsuga.html

マウス骨芽細胞株 MC3T3-E1

培養プレート : 6-well plate

播種密度 : 5.0 10 cell

加振周波数 : 4000 Hz, 方形波,

交流電圧 p-p 15V

細胞計測 : 3日間隔

培養プレート : 6-well plate

播種密度 : 5.0 10 cell

加振周波数 : 4000 Hz, 方形波,

交流電圧 p-p 15V

細胞計測 : 3日間隔

実験条件

103.結果

播種後12時間後

播種後6日後

113.結果

4

FG

123.改良型デバイス原理

PDMS

細胞播種部

圧電素子従来

細胞への振動印加 ×

細胞観察(位相差顕微鏡) ○

細胞接着 ○

(播種部wellplate)

圧電素子

細胞播種部

PDMS

改良

細胞への振動印加 ○

⇒圧電素子:低振幅高周波数

⇒リレー:大振幅低周波数

リレー

細胞播種部

PDMS

細胞観察 ×⇒細胞測定(血球計算盤)

⇒細胞形態観察(SEM)

細胞接着 △⇒接着実験にて確認

Page 4: Wolffの法則 力学的刺激に対する細胞挙動が不明 所 …...3.結果 11 4 FG 3.改良型デバイス原理 12 PDMS 細胞播種部 従来 圧電素子 細胞への振動印加×

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190 mm

50 mm30 mm

20 mm

190 mm

50 mm

振動子なし圧電素子 リレー

平面図

立体図

完成図

3.改良型デバイス原理 143.実験

ⅠPDMSへの細胞付着実験

Ⅱデバイスへの細胞播種実験

⇒PDMS細胞接着化法①PDMS表面のゼラチンコーティング

②酸素プラズマ処理によるPDMS表面の親水化

①細胞増殖期における細胞数測定

②細胞分化期におけるALP活性評価

圧電素子の振動子にバーストパルス波(duty比 10%)を採用

細胞播種実験

疎水性のため細胞が付着しにくい

3種類を比較

15

条件 周波数 電圧 振動子

① 振動1000 Hz,duty比10% p-p 15 V 圧電素子

② 50 Hz p-p 2V リレー

③ - - -

細胞分化期におけるALP活性評価

細胞:MC3T3-E1(継代2~5代目)

播種密度 : 5.0 10 cell

ALP計測 : 72時間後より7日間隔

細胞:MC3T3-E1(継代2~5代目)

播種密度 : 5.0 10 cell

ALP計測 : 72時間後より7日間隔

マイクロプレートリーダーで測定

通常群と比較し振動群にて高いALP活性値が得られた

分化期における細胞への刺激が分化を促進することを確認

デバイスの有用性を確認

4.実験結果 165.結論

結論

機械的刺激培養デバイスの提案・作製

ALP活性評価から,デバイスの有用性を確認

今後の課題

コンタミネーションの防止

デバイスの小型化

骨芽細胞分化条件の特定