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McKinsey Awards 2004 Peter F. Drucker 1939年、ファシズムの起源を分析した 『「経済人」の終わり』を刊行。43年、 ゼネラルモーターズにより同社のマネジ メントに関する研究を依頼され、これ は46年に上梓された『会社という概 念』(新訳『企業とは何か』)に結実 している。50年、ニューヨーク大学教 授に就任。54年、『現代の経営』を 発表。71年よりクレアモント大学院大 学教授。2005年11月11日、永眠(享 年95歳)。 元 クレアモント大学院大学 教授 ピーター F. ドラッカー Peter F. Drucker 2004年 マッキンゼー賞 金賞 What Makes an Effective Executive プロフェッショナル・マネジャーの 行動原理 有能な経営者たちは例外なく、8つのシンプルな法則に従って行動している。 有能にして業績に優れた経営者であるには、 いかなる行動様式が必要だろうか。 HBR, June 2004 /邦訳DHBR 2004年8月号 September 2010 Diamond Harvard Business Review 70

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2004

Peter F. Drucker1939年、ファシズムの起源を分析した『「経済人」の終わり』を刊行。43年、ゼネラルモーターズにより同社のマネジメントに関する研究を依頼され、これは46年に上梓された『会社という概念』(新訳『企業とは何か』)に結実している。50年、ニューヨーク大学教授に就任。54年、『現代の経営』を発表。71年よりクレアモント大学院大学教授。2005年11月11日、永眠(享年95歳)。

元 クレアモント大学院大学 教授

ピーター F. ドラッカーPeter F. Drucker

2004年マッキンゼー賞 金賞

What Makes an Effective Executive

プロフェッショナル・マネジャーの行動原理有能な経営者たちは例外なく、8つのシンプルな法則に従って行動している。有能にして業績に優れた経営者であるには、いかなる行動様式が必要だろうか。

HBR, June 2004 /邦訳DHBR 2004年8月号

September 2010 Diamond Harvard Business Review 70

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きない。

 トルーマンは一九四五年に大統領に就任し

た時、自分が何をしたいのかはよくわかって

いた。彼が望んだのは、第二次世界大戦のた

めに延期されていたフランクリン・ルーズベ

ルトのニュー・ディール政策に着手し、社会

経済改革を成し遂げることであった。

 しかしトルーマンは、何をしなければなら

ないかをみずからに問うた。外交問題が絶対

的な優先課題であることを悟ったトルーマン

は、さっそく一日の仕事を、国務長官と国防

長官による外交問題のレクチャーから始まる

スケジュールに組んだ。

 その結果、トルーマンはアメリカ史上最も

外交問題に長けた大統領となった。ヨーロッ

パとアジアの両地域で共産主義の拡大を防ぎ、

マーシャル・プランによってその後五〇年間

にわたる世界的な経済成長のきっかけをつく

ったのである。

「何をしなければならないか」という問いへ

の答えには、まず緊急課題が複数含まれてい

る。ただし有能な経営者は、これらすべてに

手を出したりはしない。彼らは、可能な限り

一つの仕事に集中する。一日の仕事のさなか

に気分転換することで最大限の力を出せるタ

イプの人間││少数派とはいえ、かなりの数

有能な経営者たる

八つの習慣

 有能な経営者は、今日に最も一般的に使わ

れている意味での「リーダー」である必要は

ない。

 たとえば、ハリー・トルーマンにはカリス

マ性のかけらもなかったし、私の六五年にわ

たるコンサルティング人生のなかで出会った

企業や非営利団体の一流CEOのなかには、

いわゆる典型的なリーダーとはいえない人た

ちが少なからず存在した。

 しかしながら彼らがそろって有能な経営者

であったのは、以下に挙げる八つの習慣を実

践していたからにほかならない。

1

「何をしなければならないのか」と

自問自答する

 最初の習慣は「何をしなければならないの

か」をおのれに問うことである。ただし、

「自分が何をしたいのか」を考えるのではな

い。何をしなければならないか自問して、真

剣に自答することが、マネジメントを成功の

域に至らせるカギとなる。この自問自答を怠

ると、いかに有能であってもその力を発揮で

に上る││ならば、二つの仕事を取り上げる。

 しかし私は、一度に三つ以上の仕事に取り

組んで、なおかつ能力をいかんなく発揮でき

る経営者にお目にかかったことはない。

 それゆえ有能な経営者は、何をしなければ

ならないのかを問うた後、優先順位を決め、

一貫してこれを守る。CEOにとっての優先

課題は、企業の使命を再検討することかもし

れない。部門長にとっての優先課題は、自部

門と本社との関係を再検討することかもしれ

ない。その他の仕事は、どれほど重要であろ

うと、また関心をそそるものであろうと、後

回しにする。

 さて、第一の最優先課題をやり遂げた後に、

そのまま二番目の優先課題に移るわけではな

い。優先順位を再考し、「いま何をしなけれ

ばならないのか」、いま一度自問するのだ。

それが、新たな優先順位へとつながる。

2

「当社にとって正しいことなのか」と問う

 有能な経営者の二番目の習慣は、この意思

決定や行動は「当社にとって正しいことなの

か」を問うことだ。これも、第一の習慣に劣

らず重要である。

 有能な経営者は、株主や株価、社員、そし

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2004て経営陣にとって正しいかどうかを考えたり

はしない。ただし、ある施策が功を奏するに

は、株主や従業員、経営陣の動きがカギを握

っており、彼らの支持や少なくとも了解が必

要であることはきちんと心得ている。

 また、資本コストはPER(株価収益率)

によって決まるため、株価は株主だけではな

く、企業にも大きな影響を与えることを理解

している。しかし同時に、企業にとって正し

くない決定は、どの株主にとっても正しくな

いものになることも承知している。

「当社にとって何が正しいのか」と問うたか

らといって、必ずしも正しい意思決定が下さ

れるというわけではない。いかに才能に恵ま

れた経営者もしょせん人間であり、間違いを

犯したり、偏見にとらわれたりすることはあ

る。この問いかけを怠れば、まず例外なく間

違った決定が導かれてしまう。

3アクション・プランを作成する

 経営者は実践者である。彼らは実行する。

彼らにとって知識とは、現実の行動へと姿を

変えない限り、無用の長物だ。ただし、行動

する前には、自分が進むべき針路を計画しな

ければならない。望むべき成果、予想される

制約事項、将来における軌道修正、チェック

を入れるタイミング、時間の使い方について

考える必要がある。

 経営者はまず、望むべき成果を具体化しな

ければならない。「今後一年半から二年の間

に、私はどのような貢献が期待されているの

だろうか。私は、どのような成果を目指して

努力すべきなのか。また、期限はいつまで

か」と問いかけるのだ。

 次に、足かせになりそうな制約事項につい

て検討する。ここでは「この行動方針は、倫

理にかなっているか。組織内で受け入れられ

るのか。合法的か。組織の使命、価値観、経

営方針に矛盾しないだろうか」を考える。答

えがイエスでも、しかるべき成果につながる

とは限らない。しかし、これらの問いへの答

えがノーであれば、間違った行動が導かれる

ばかりか、何の成果も得られないことは目に

見えている。

 アクション・プランは、公約というよりは、

意図するところの表明である。ただし、それ

にがんじがらめに縛られてはならない。むし

ろ頻繁に再検討したほうがよい。一つの成功

から必ず新たな機会が生まれるからだ。これ

は、いかなる失敗にも当てはまる。

 同じことが、事業環境の変化、市場の変化、

そして特に企業内の人々の変化についていえ

る。このような変化はどれも、計画の見直し

を迫る。したがって、計画書を作成する場合、

柔軟な対応が必要になることを見越しておく

べきだろう。

 さらに、アクション・プランでは、成果を

期待と照らし合わせてチェックする仕組みを

設けておく必要がある。有能な経営者はたい

てい、そのアクション・プランに二つのチェ

ック・ポイントを設定している。最初のチェ

ックは、計画期間の半ば、たとえば九カ月目

に行われる。二回目のチェックは、計画期間

の終わり頃、次のアクション・プランを策定

する前になる。

 最後に、アクション・プランは経営者の時

間管理の土台となるべきである。時間は、経

営者の最も希少かつ貴重な資源である。政府

機関であろうと、企業や非営利団体であろう

と、組織というものは本質的に時間を浪費す

る。経営者が自分の時間配分を決められない

ようでは、アクション・プランは画餅にすぎ

ない。

4意思決定に責任を負う

 決定を下す前に、まず、①実行責任者の名

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前、②期限、③その意思決定によって何らか

の影響を受ける人々の名前、④直接の影響を

受けるわけではないが、その意思決定につい

て知らせておくべき人々の名前、の四点につ

いて理解しておく必要がある。

 また、あらかじめ取り決めておいた時点で

決定を定期的に見直すことは、最初に慎重な

決定を下すことと等しく重要である。そうす

れば、不適切な決定であろうと、本当のダメ

ージを被る前に修正できる。このような見直

しは、意思決定がもたらす成果をはじめ、根

本的な前提に至るまで適用できる。

 そして、何より重要であり、しかもやっか

いな意思決定、すなわち人材の雇用と昇進に

関する意思決定にも見直しは欠かせない。

 人事上の意思決定に関する研究によれば、

人材の選択において本当にうまくいくのはわ

ずか三分の一であるという。残りの三分の一

はえてして、引き分け││成功でもなければ

まったくの失敗でもない││に終わる。最後

の三分の一は紛れもない失敗である。

 有能な経営者は、このことをよく理解して

いる。だから人事上の意思決定の成果は、六

〜九カ月後に詳しくチェックする。仮に望む

ような成果が得られていないとわかっても、

問題の人物の仕事ぶりが不十分だったと結論

※現在、本論文の邦訳全文(PDFファイル)をDHBRウェブサイトから無料でダウンロードいただけます。詳しくは6ページをご覧ください。

づけたりはしない。彼らは、自分自身こそ間

違いを犯したと判断する。経営が順調な企業

では、新しい仕事、とりわけ昇進後の新しい

仕事で失敗した人々が必ずしも責めを負うべ

きではないという考えが受け入れられている。

 経営者はまた、重要な仕事を任されている

にもかかわらず、いかんせん成果を上げられ

ない人をけっして黙認してはならない。これ

は社員や組織への義務である。

 十分な仕事ぶりを発揮できないことは、そ

の社員個人の落ち度ではないかもしれない。

しかし、それでもその仕事から外さなければ

ならない。ただしその際、新たな仕事で失敗

した人には、前と同じ地位と給与で前の仕事

に戻るという選択肢を与えるべきである。

 定期的な見直しは、自己啓発の実効的手段

としても使える。意思決定の成果を当初の期

待と照らし合わせれば、自分の強みやそれを

伸ばすべき領域、知識や情報が足りない領域

が明らかになる。また、どのような先入観を

抱いているかもわかる。

 自分が下した意思決定が成果につながらな

かったのは、その仕事に適材を配置しなかっ

たからであるという事実が判明する場合も多

い。最高の人材を最適の場所に配置すること

は重要ながらも難しい仕事である。しかし、

最高の人材はすでに超多忙なために、多くの

経営者はこの大事な仕事を脇に追いやってし

まうのだ。

 意思決定を計画的に見直すことで、経営者

は自分自身の弱み、とりわけ自分の能力が足

りない領域について把握することができる。

賢い経営者は、不得手な領域において意思決

定を下したり行動を起こしたりせず、だれか

別の人に任せる。だれにでも、このような不

得意領域はある。万能の天才などいない。

 最終的に判断を下すのは経営陣だけ、重要

なのは経営陣の決定だけだと思われたりして

いるようだが、これは危険な誤りだ。意思決

定という行為は、専門職として組織に貢献し

ている者やライン・マネジャーをはじめ、組

織のあらゆるレベルで見られる。

 知識集約型の組織では、このような一見低

いレベルの意思決定がきわめて重要となる。

知識労働者は、自分の専門分野、たとえば税

務会計については、社内のだれよりも詳しく

知っているはずで、彼らの意思決定は、組織

全体に影響を及ぼしかねない。

 優れた意思決定を下す能力は、どのレベル

においても欠かせない。知識集約型の組織で

は、このことを全員に理解させることが不可

欠である。

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ミュニケーションに責任を負う

 

有能な経営者は、自分が立てたアクショ

ン・プランや必要としている情報について周

知徹底を図る。

 具体的には、自分の計画を上司や部下、同

僚を含め、一緒に働く人たち全員に説明し、

意見を求めるということである。同時に、そ

の仕事をやり遂げるために入手しなければな

らない情報に関して、各人に理解してもらう

ように努める。

 部下から上司への情報の流れにはだれもが

注意を払う。しかし経営者は、同僚や上司か

ら得られる情報の必要性についても、等しく

注意を向けなければならない。

 我々はみな、組織を一つに束ねているのは

オーナーシップや命令ではなく、情報である

ことを知っている。それでいながら、あまり

にも多くの経営者が、情報やその流れは情報

の専門家、たとえば会計士などの仕事である

かのような態度を見せる。その結果、必要で

もなければ、使いこなすこともできない膨大

なデータが収集され、本当に必要な情報はわ

ずかにしか得られない。

 この問題を回避する最善の方法は、経営者

が必要な情報を洗い出し、その情報を求め、

手に入れるまで粘り強く諦めないことである。

6チャンスに焦点を当てる

 優れた経営者は、問題ではなくチャンスに

焦点を当てる。もちろん、問題に対応するこ

とも必要だ。うやむやにしてしまうわけには

いかない。ただし問題の決着はいかに必要で

あろうと、成果を生むことはない。ダメージ

を防ぐだけである。チャンスを利用してこそ

成果が生まれる。

 特に、有能な経営者は変化を脅威ではなく

チャンスと見る。変化を社内外にわたって体

系的に観察し、「どうすれば、この変化をチ

ャンスとして利用できるのか」と問いかける。

 有能な経営者はまた、問題がチャンスを押

しつぶしてしまわないように注意する。

 ほとんどの企業では、月次報告書の第一ペ

ージに主要な問題点が書き連ねられている。

むしろ、ここにはチャンスを書き出し、問題

は次のページで取り上げたほうが賢明といえ

る。よほどの大問題が発生していない限り、

経営会議では、チャンスを分析し、適切な対

策を立てた後で、問題について議論するのが

よい。

 人員配置も、チャンスに注力するうえで重

要な要素である。有能な経営者は、問題にで

はなくチャンスに最高の人材を投入する。

 チャンスを生かすような人員配置のために

は、半年に一度、経営陣全員に二つのリスト

を作成させるというのも一つの方法である。

一つのリストには企業全体のチャンスを、も

う一つには社内で最も成果を上げている人々

の名を列挙する。

 各自が作成したリストを持ち寄って検討し、

最終的にこれら二つのリストにまとめれば、

最高の人材と最高のチャンスの組み合わせが

一目でわかる。なお、日本の大企業や行政部

門では、この組み合わせ手法は重要な人事業

務に数えられており、日本企業の強みの一つ

になっている。

7会議を生産的に進行する

 マネジャー全般の労働時間に関するどの調

査からも、たとえジュニア・マネジャーや専

門職も、他の人と一緒に過ごす、つまり何ら

かの会議に出席している時間は一日の労働時

間の半分を超えていることがわかっている。

唯一の例外は、一握りの上席研究者である。

 相手が一人でも会議である。したがって有

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能な経営者であるには、会議の生産性を高め

なければならない。会議の生産性を高めるに

は、それ相応の自制が要求される。経営者は、

どのタイプの会議が適切なのかを決め、いっ

たん決めたならば、そのやり方を貫かなけれ

ばならない。

 また、当初の目的が達成され次第、会議を

解散することも大切である。優れた経営者は、

別の問題を新たに俎上に載せることはしない。

会議を概括したら解散を告げる。

 十分なフォローアップも、会議そのものに

劣らず重要である。私が知っている最も有能

な経営者、アルフレッド・スローン・ジュニ

アはこれの達人だった。スローンは一九二〇

年代から五〇年代までゼネラルモーターズを

指揮したが、その執務時間の大部分を会議に

費やしていた。

 会議の冒頭において、スローンはその目的

を宣言する。そして、耳を傾ける。メモはけ

っして取ることなく、発言もめったにしない。

口を開くのは、わかりにくい点をはっきりさ

せる時くらいだった。最後に内容をまとめ、

出席者にあいさつして、その場を離れる。

 それからすぐに出席者の一人に宛てて、議

論とその結論を要約する短いメモを書いた。

会議の席で決まった課題があれば、同じテー

マあるいは問題を調査するために再度会議を

開くことも含め、メモに詳細に書き留めた。

さらに最終期限と、その仕事を担当するマネ

ジャーについて明記し、メモのコピーを会議

の出席者全員に送った。

 このようなメモを通し、スローンは稀に見

る有能な経営者へと成長したのである。

 有能な経営者は、会議を生産的にできるか、

まったくの時間の無駄になるかのどちらか一

方であることを十分心得ているものだ。

8 「

私」ではなく「我々」の立場で

考え発言する

 最後に取り上げる習慣は、「私」ではなく

「我々」として考え、発言するということで

ある。有能な経営者ならば、最終責任は自分

が負うことをわきまえている。この種の責任

は、他人と連帯することも、委任することも

できない。

 そのための権限が与えられているのは、組

織の信頼を得ているからにすぎない。言い換

えれば、自分のニーズやチャンスを考える前

に、組織のニーズとチャンスを考えなければ

ならないということだ。簡単なことのように

聞こえるかもしれないが、実際はそうではな

い。しかし、きわめて厳格に守られる必要が

ある。

*   *   *

 有能な経営者は、その人格、強みや弱み、

価値観、信念において実に千差万別である。

その唯一の共通点は、正しいことをやり遂げ

ているということである。生まれつき有能な

人もいる。しかし、求められていることはあ

まりにも大きく、並外れた才能だけで満たす

ことは無理である。

 有能さとは修練の賜物である。そして、い

かなる修練もそうであるように、有能さは学

習することができるものであり、必ず身につ

けなければならないものなのだ。

*DHBR二〇〇四年八月号の抄録

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1.「見逃している大事な知識」に出会える

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