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2020.8.5

くらす幸せ、つづく安心。あなたと私で

2025 あしぬまビジョン~自分らしく生きることのできる、人間を大切にするまちづくり~

社会福祉法人 亀田郷芦沼会

2025 年に向けた亀田郷芦沼会の役割・2025 あしぬまビジョ

ンI. 亀田郷芦沼会の理念

II. 亀田郷芦沼会の発展

III. 社会保障のパラダイム・シフトが起きている 1.高齢者人口の見通しについて2.新潟県の高齢者の状況3.障がい者の人口と課題4.社会保障(福祉・医療)を取り巻くパラダイム・シフト

IV. 地域の人たちの意識と要望  ~まちづくりアンケートで見えてきたこと~ 1.目的2.調査方法3.回収結果4.アンケート結果から見えたこと

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V. 2025 あしぬまビジョン  1.私たちのめざす姿2.「2025 あしぬまビジョン」を支える人間観

VI. ビジョンを実現する道すじ  ~実行計画~

1.介護・障害福祉サービス・医療の報酬・計画の流れ

2.事業計画の主なテーマと重点事業

3.経営計画の主なテーマと重点事業

VII. 「 2025 あしぬまビジョン」でめざすもの

<巻末に資料・用語解説有り>

I. 亀田郷芦沼会の理念

① 私たちの歩みと、理念への結集社会福祉法人亀田郷芦沼会(設立認可 1980 年。)は、木戸病院を建設した新潟医療生

活協同組合(以下、新潟医療生協)の運動と、「住民がつくる特養建設運動」に大きな理解をいただいた川上喜八郎新潟市長のご尽力によって花開いたものです。

設立当初には様々な困難がありながらも利用者の立場に立った施設運営を展開し、住民の間に「特別養護老人ホームあしぬま荘(1981 年 9 月事業開始)」は信頼の輪を広げてきました。

また、福祉タウン構想を提案し、1997 年にはショートスティあしぬま 40 床の専用棟に知的障がい者授産施設が入る障がい者・高齢者複合施設を開設しました。その過程で「ほがらか福祉園」が合流します。

創立から40年。2025 年に向けて、私たちは、“人間を大切にすることがすべての根元である”の基本理念のもとに結集し、超高齢社会が直面する様々な地域課題、住民が安心して暮らせるように、活動拠点を広げ、地域福祉(介護・障がい)、健康、生きがい、仲間づくり、仕事づくり、命とくらしを守る運動に、さらに大きく取り組んでいきます。

② 基本となる価値観と亀田郷芦沼会がよって立つ基盤私たちの先達が大切にし、実践してきた『5つの協同の力』によって立ち、2025年

に達成していたい姿を明らかにします。私たちだけで達成するのではなく、地域の人々はもちろん、これまで築き上げてきた新潟医療生協との協同を大切にしながら、多様な社会資源(協同組合、福祉団体、NPO、民主団体、地域住民、市民など)とも結び、一つ一つを実現してゆきます。基本理念

 ◎「人間を大切にすることがすべての根元である」

新潟医療生協と亀田郷芦沼会が作りこんできた『5つの協同の力』

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1.地域まるごと健康づくりを実践する力2.セーフティネットとして働く力3.社会資源を組み合わせ創造する力4.共に支えあう共生の力5.「いのちとくらしの声」を束ねる運動の力

    

II. 亀田郷芦沼会の発展 亀田郷芦沼会は 1980 年(昭和 55 年)の認可設

立以降、1981 年特別養護老人ホームあしぬま荘から始まり、様々な事業を行ってまいりました。※① 法人の設立から 40 年間で、 19 事業 25 事業所 にまで拡大し、職員数は事業を開始した 37名から2018 年度には 400名を超えるまで増えました。

事業活動収入は 1981 年の 9千 8百万円から、1997 年度の新事業(認知症対応型デイサービス、ショートステイ単独型、ほがらか福祉園)や 2000 年、介護保険制度の開始。2013 年、風の笛事業開始などの契機を経て、2018 年度は 20億円を超えるまでになっています。

今後はこの「2025あしぬまビジョン」に基づき、地域における多様な福祉課題に対応しつつ、さらなる発展に繋げていきたいと考えます。※巻末資料①参照(亀田郷芦沼会の事業沿革)

Ⅲ.社会保障の 注1) パラダイム・シフトが起きている

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2025 年、さらには 20 40年を見据えた社会保障制度改革の動きが進んでいます。

少子・超高齢・多死社会における保健・医療・福祉体制の再構築は、私たちが立ち

向かっていくべき課題です。

一方、2020 年 4 月 16日には新型コロナウィルス感染拡大によって全国に緊急事

態宣言の発令がありました。最も医療が必要とされる公衆衛生の危機のもとで進行

する医療崩壊は、医療という公的部門が「市場原理」に委ねられ、国が担保すべき

公的支援を縮小・削減してきた結果ではないでしょうか。

個人の「自粛」や病院の「自己責任」に委ねるのではなく、逼迫した医療現場の

要求を土台にした意思決定プロセスを早急に構築し、医療・介護従事者が安心して

<2020.3 亀田郷芦沼会データ>

<2019.4.1 亀田郷芦沼会データ> <2018 年度亀田郷芦沼会データ>

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注1)パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、

  社会全体の価値観が劇的に変化することをいう。

1.高齢者人口の見通しについて

① 高齢化の国際的動向    先進諸国の高齢化率を比較してみると、2005 年には最も高い水準となりました

が、今後も高い水準を維持していくことが見込まれています。

② 我が国の総人口は、2018 年 10 月 1日現在、1億 2,644万人。高齢化率は 28.1%となりました。65歳以上の高齢者数は、「団塊の世代」が 75歳以上となる 2025 年には 3,677万人に達すると見込まれています。2042 年に 3,935万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推測されています。

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2025 年、さらには 20 40年を見据えた社会保障制度改革の動きが進んでいます。

少子・超高齢・多死社会における保健・医療・福祉体制の再構築は、私たちが立ち

向かっていくべき課題です。

一方、2020 年 4 月 16日には新型コロナウィルス感染拡大によって全国に緊急事

態宣言の発令がありました。最も医療が必要とされる公衆衛生の危機のもとで進行

する医療崩壊は、医療という公的部門が「市場原理」に委ねられ、国が担保すべき

公的支援を縮小・削減してきた結果ではないでしょうか。

個人の「自粛」や病院の「自己責任」に委ねるのではなく、逼迫した医療現場の

要求を土台にした意思決定プロセスを早急に構築し、医療・介護従事者が安心して

資料:内閣府―令和元年版高齢者白書より

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75歳以上の高齢者人口は 2054 年まで増加が続くものと見込まれています。

内閣府によると、65歳以上の高齢者のいる世帯数は、2017 年に 2,378万 7千世帯で全世帯(5,042万 5千世帯)の 47.2%となりました。また、夫婦のみの世帯が 3割と一番多く、単独世帯と合わせると半数を超える状況です。注目すべきは、65歳以上の単独世代は男女ともに増加傾向にあり、今後も増加がする見込みです。

④ 認知症有病率は、年齢が上がるにつれて上昇します。60歳代後半の 2.9%から 80歳代前半の 21.8%までは比較的ゆるやかにとどまっていますが、それ以後は急速に上昇しています。また、男女別に見ると、男性より女性の有病率の方が高い状況にあります。

また、65歳以上高齢者のうち、認知症高齢者が増加し、2025 年には、認知症有病者数は約 700万人(5 人に 1 人が認知症)になると推測されています。

5

65歳以上の一人暮らしの高齢者の動向

一人暮らしの者の 65歳以上人口に占める割合

資料:内閣府―令和元年版高齢者白書を一部改変

2018 年 2025 年 2045 年 2055 年

65歳以上高齢者

人口(割合)

3,558万人

(28.1%)

3,677万人

(30.0%)

3,920万人

(36.8%)

3,704万人

(38.0%)

75歳以上高齢者

人口(割合)

1,798万人

(14.2%)

2,180万人

(17.8%)

2,277万人

(21.4%)

2,446万人

(25.1%)

資料:内閣府―令和元年版高齢者白書より

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2.新潟県の高齢者の現状

2018 年 10 月 1日現在の新潟県における 65歳以上の人口は 712,667 人で、県総人口に占める割合(高齢化率)は 31.9%です。前述のとおり、全国は 28.1%であり、新潟県は全国を 3.8%上回っています。一方で 0~14歳の割合は 11.6%で過去最低となりました。また、死亡が出生を上回る「自然減少」は全県で 15,364 人に上り、減少幅も過去最大となっています。

① 65歳以上の人口割合の推移1975 年(昭和 50 年)の 9.6%から 2018 年 31.9%と上昇を続けており、依然高齢化が進行しています。

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高齢化の推移と将来推計―新潟県、全国

65歳以上の認知症高齢者の推定者と指定有病率(万人)

資料:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究(2014 年)を一部改変

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② 市町村における高齢化の状況(2018 年のデータ)阿賀町が高齢化率 48.4%で最も高く、以下粟島浦村の 43.4%、出雲崎町の42.0%と続いている。最も高齢化率の低いのは聖篭町で 25.7%、以下新潟市28.9%、弥彦村 30.3%と続いている。県内で新潟市は高齢化率の低いエリアです。

72018.10 新潟県福祉保健部福祉保健課「高齢者の現況」より

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③ 増加する高齢者世帯2018 年 10 月 1日現在、県内の高齢者世帯は 172,753世帯で全世帯の 20.4%を占めており、2010 年(平成 22 年)に比べて 32,770世帯が増加しています。その内訳をみると、単身高齢者世帯が 82,333世帯、高齢者夫婦世帯 81,427世帯、その他の高齢者世帯が 8,993世帯となっており、高齢者世帯全体が増加していることが分かります。

高齢者世帯数 世帯割合(%)

22 年 27 年 対 5 年前比 22 年 27 年 対 5 年前比

総数 139,983世帯

172,753世帯

+32,770世帯

16.7 20.4 +3.7

単身高齢者世帯

65,027世帯

82,333世帯

+17,306世帯

7.8 9.7 +1.9

高齢者夫婦世帯

69,401世帯

81,427世帯

+12,026世帯

8.3 9.6 +1.3

その他の

高齢者世帯

5,555世帯

8,993世帯

+ 3,378 世帯 0.7 1.1 +0.4

3.障がい者の人口と課題① 3区分の概数

障がい者数の概数は、身体障がい者が最も多く、次いで精神障がい者、知的障がい者の順となっている。人口千人当たりの人数でみると、身体障がい者は 34 人、精神障がい者は 31 人、知的障がい者は 9 人となる。国民のおよそ 7.4%が何らかの障がいを有していることになります。                         

② 施設入所・入院の状況身体障がい者における施設入所者の割合 1.7%、精神障がい者における入院患者の割合 8.0%に対して、知的障がいに者おける施設入所者の割合は 11.1%となっており、特に知的障がい者の施設入所割合が高い特徴があります。

 ③ 高齢化について在宅の身体障がい者の年齢階層別の内訳をみると、65歳以上が 72.6%であり、70歳以上に限っては 59.2%となっている。65歳以上の割合は、1970 年(昭和 45 年)には 3 割程度だったものが、2016 年には 7 割程度まで上昇しています。精神障がい者

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新潟県のホームページ「平成 30 年 高齢者の現況」より

<高齢者世帯の状況―新潟県>

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も同様に 65歳以上の者の割合が高い状況です。知的障がい者はそれに比べると、18歳未満の割合が高い一方で、65歳以上の割合が低いという特徴が有ります。

④ 家族支援障がい者のそばには、親、兄弟等、本人とともに暮らす家族の存在があります。こうした家族は、家庭環境、障がい者の世代によって、様々な悩みを持っていると思われます。家族自身が高齢になると、親亡き後が一番の心配事だと思われます。安心して子どもを託せる「終の棲家」が必要です。また、障がい者本人だけではなく、家族も孤立しないような状況を作っていくと同時に、支援制度や福祉サービスなどの必要な情報が届くように、介護保険制度と同じように、障がい児者の相談支援事業所が整備されています。介護保険のケアプラン以上に、様々な福祉サービスを活用して、ゆりかごから人生設計を立てる事ができます。

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⑤ 雇用について「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、事業主は常用労働者の 2.2%(法定雇用率)以上の障がい者を雇用することとされています。障がい者の雇用を進めることは、障がいの有無にかかわらず、働く意欲と能力を持っているならば、誰もが仕事を通して社会参加できる共生社会の実現と雇用の多様性に繋がります。制度発足より雇用者の大部分を構成していた身体障がい者においては高齢化に伴い生産年齢世代の減少が始まっています。一方で知的障がい者や精神障がい者の労働市場への参加は増加している状況が有ります。

⑥ 新潟市内の施設サービス等の状況■東区内の主な通所サービス   『2019 年度版 障がい者(児)福祉のしおり』より

サービス種別 事業所数 総定員数 芦沼会事業所数

芦沼会総定員

芦沼会定員占有率

生活介護 11 160 3 32 20%就労移行支援 3 26就労継続支援A型 3 40就労継続支援B型 18 350 2 50 14%児童発達支援  5(3) 52(32) 2(2) 22(22) 42%(69%)放課後等デイサービス  9(4) 92(42) 2(2) 22(22) 24%(52%)合計 49 720 9 126 18%

※児童発達支援、放課後等デイサービスの( )の数値は、重症心身障がい児者のことを示します。※重症心身障がい児者が利用できる事業所が新潟県、新潟市内でも非常に少ない状況です。他県、他市よりほがらか福祉園トゥインクルを利用するために、家族で引っ越しをしてきた方もいらっしゃいます。

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 ■新潟市内の入所施設  『2019 年度版 障がい者(児)福祉のしおり』より

地域 事業所数 知的障がい者総定員 身体障がい者総定員

北区 2 50 30江南区 2 50秋葉区 1 50西区 4 150 100西蒲区 1 50合計 10 250 230

※入所施設は地方に作る傾向があり、東区、中央区、南区にはありません。ここ数十年は、障がい者を地域で見守るという国の方針から、入所施設を作る事ができない状況にあり、選択肢が限られています。

■新潟市内のグループホーム  『2019 年度版 障がい者(児)福祉のしおり』より

地域 事業所数 総定員数 芦沼会

事業所数

芦沼会

総定員

芦沼会定員

占有率

東区 5 67 1 44 66%北区 6 64中央区 4 69江南区 3 22秋葉区 7 85南区 4 61西区 9 166西蒲区 2 15合計 40 549 1 44 8%

※東区内の通所サービスの定員が 576名、グループホームの定員が 67名。わずか 12%しかグループホームを利用できないで、在宅のままの方が 88%です。ほがらか福祉園、ワーカーズゆたかの定員が 60名、実利用者数 72名。グループホームぎんがの定員は 44名。61%の方を受け入れています。

4.社会保障(福祉・医療)を取り巻くパラダイム・シフト

① 2025 年に向けた福祉・医療の課題■我が国は、急激に高齢化が進行し、一人暮らしの高齢者や、高齢夫婦のみの世帯、認知症の高齢者等が急増しています。このような状況のなか、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、世界に例のない超高齢多死社会を迎え、その後も高齢化が進展すると推

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計されています。そのため、厚生労働省は2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供(※② 地域包括ケア システム)の構築を推進しています。※巻末資料②参照

■高齢化が進むなかで、高齢者の抱える健康問題も様変わりします。その一つは、生活習慣病であるがん・心疾患・脳卒中などの慢性疾患や認知症を抱える

高齢者が増加し、医療や介護の需要が増大していること。その二つは、複数の疾病や障がいを抱える患者の健康問題が、長期化するとともに複雑さを増していることが挙げられます。

人々の健康問題には、その発生において生物学的要因のみならず、生活を取り巻く自然環境要因、社会的要因、経済的要因などが影響しています。例えば、近年、不安定な雇用形態の増加などによる経済格差が健康格差につながっているとの指摘があります。その他に、親が仕事に出ている理由で夕食を一人で食べていたり、家庭の貧困のために就学援助を受けるなど、一人ぼっちで悩んでいる子どもの問題。乳幼児・児童・高齢者などへの虐待や災害被災者の健康問題なども、個人・家族への支援だけでなく、社会としての対応が求められる課題であるといえます。加えて、終息の目途が見えない新型コロナウィルスの感染拡大の問題。過去の歴史をみ

ると、数十年に一度、ウィルスによる世界的大流行を引き起こし、甚大な被害をもたらしています。また、4つの岩盤に囲まれている日本列島は地震多発地帯でもあります。新型コロナウィルス感染では、医療や介護を受ける側、提供する側も混乱し、体制の脆さが露呈しました。

この教訓を生かし、医療・福祉の専門家で話し合いながら、ウィルス感染症や災害が行った時に、対応できる地域づくりが必要と考えます。■また、疾病の治療、障がいの回復を完全には望めず、長年、それらと付き合わざるを得ない状況の中では、人々の「健康」についての価値観は変わりつつあります。疾病や障がいがあっても、その人らしい自立した生活を送り、最後まで尊厳を持って人生を全うすることが重要なテーマとなりました。そのため、健康問題の解決にあたっては、個人の「生活の質」がより重視されることになります。医学に基づく治療に加えて、健康意識・ライフスタイルや生活環境全般における発生要因の構造を見定めたうえで、生活を総合的に支援できる地域こそ、「超高齢社会のなかを、自分らしく老いる」ためには、とても必要なことになるでしょう。

② 生活を重視する保健・医療・福祉制度への転換■国は、2025年までに少子超高齢社会に対応した社会保障制度を構築するために、人々の働き方を含めた改革に着手しており、少子化対策、医療、介護、年金の4分野の改革も本格化してきました。医療・介護分野においては、高度急性期から在宅医療・介護までの一連のサービスを切れ目なく提供するために、効率的かつ質の高い医療提供体制と、地域包括ケアシステムの構築が図られています。

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地域包括ケアシステムでは、各地域において、住まい・医療・介護・予防・生活支援が身近な地域で包括的に確保される体制をめざしており、共助、公助だけでなく、自助、互助も重視されています。医療は、高度急性期から慢性期までの病床の機能分化や在宅医療を推進し、介護との連携や多職種協働を強化し、「病院完結型」から「地域完結型」を目指しています。■保健・医療・福祉の制度設計は、従来の疾病・回復を目的とする「医療モデル」優先から、生活の質に焦点をあて、疾病や障がいがあっても、地域の住まいで、自立してその人らしく暮らすことを支える「生活モデル」に大きくシフトしようとしています。■この流れは、療養の場を「医療機関から暮らしの場」へ移行しようとするものであり、超高齢社会における保健・医療・福祉制度の維持のみならず、どのような健康状態にあっても自分らしい生活を送りたいと願う人々の価値観にも符合します。■従って、超高齢社会においては健康寿命の延伸が重要であり、生活習慣病予防、重症化予防、介護予防など、予防の重要性が一段と増しています。■2016年の医療介護一括法の施行で、国の方針は「ときどき入院、ほぼ在宅」と言う方向を示しました。つまり、病院はこれ以上増やさない・入院期間も抑制する・病院は高度医療と急性期医療に限定するというものです。病院も在宅復帰率75%を達成しないと診療報酬が上がらないという時代。病院側は退院支援策をやらざるを得ない現状です。 病床数が増えない、施設看取りが少し増え、在宅看取りもやや増える。それでも、どこにも死に場所がない人は最大ピーク時で47万人と予想されています。これに加え、2025年には、認知症700万人時代になることが予測されています(高齢者の 5 人に1人が認知症)。2025年に向けて、どう「福祉と医療」に向き合うかが問題となります。

③ 高齢者医療の誤解 今後の人口減少に対応するため、健康寿命を伸ばすとともに高齢者からも支え手側に

なっていただくことが重要と言われています。重要なポイントであることは確かですが、政府の意図的な情報発信やこれを煽るマスコミの広告活動により、誤解が生じています。

その一つは、少子高齢化の進行により高齢者が増えるにもかかわらず、それを支える現役世代は減少する一方で、現役世代の負担は年々重くなり、20 年後には 1.4 人が 1 人の高齢者を支える「肩車型社会」に突入するというニュースです。   右の図はそれをイラストにしたものです。御神輿の上に乗っているのが 65歳以上の高齢者ですが、実は、働いている 65歳以上の人も含まれたデータで、支えられる人を正確に反映していないのです。全労働者一人が支える扶養人数で計算したものを厚生労働省が作成しており(下図)、実際はこの 100 年ほとんど変わっていないのです。政府はこの結果を伏せ、年金の支給年齢の引き上げと高齢者の医療費の自己負担増額を成功させました。この肩車型社会論は、高齢者の医療・福祉の貧困化のための宣伝と言っても良いのではないでしょうか。

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2019.3 新潟市健康寿命延伸計画(アクションプラン)より

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年を取れば、病気になる、入院する頻度は増えますし、高齢者が増えれば医療費が増えるのは当然と言えます。高齢者が増えることはそれだけ健全な国家であると誇って良いことなのに、政府は逆の宣伝をしているのです。政策を推し進めるために事実を隠した政府への不信感と情報過多の社会の中で、事実なのかを常に意識することが重要です。

〈高齢化をめぐる状況〉             〈いのちと暮らしへの不安〉

IV. 地域の人たちの意識と要望  ~まちづくりアンケートで見えてきたこと~

1.目的

東区で生活する皆さまが、今お住まいの地域についてどう感じておられるのか、どのような要望、ご意見をお持ちなのかといった住民ニーズを把握し、まちづくりの活動に反映していくことを目的としてアンケート調査を実施しました。

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○ 団塊世代の高齢化・重度化

○ 一人暮らし高齢者、夫婦のみ世帯の増加

○ 認知症高齢者の増加

〇 障がい者人口の増加と高齢化

○ 無縁・漂流社会

○社会保障の削減と、負担の増大

○格差社会と生活困窮者の増加

○経済至上主義(TPP など)と地域の営みの破

○原発再稼働への不安

○再び戦争する国へと駆り立てる動き

〇感染症の流行と災害

鈴木厚医師の「日本の医療を正しく理解してもらうために(2014 年)」より

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2.調査方法

項目 内容調査地域 新潟市東区(逢谷内、上木戸、下木戸、津島屋、中木戸、大形本町、

紫竹、竹尾、寺山、はなみずき、牡丹山、岡山、東中島、山木戸、その他)

調査対象者 新潟市東区在住の満 20歳以上の男女個人配布世帯 2956世帯配布・回収方法 主に戸建て住宅に手配りで配布、郵送回収配布・回収期間 2019 年9月2日(月)~2019 年10月18日(金)

3.回収結果

有効回収数:872票(有効回収率29.4%)

4.アンケート結果から見えたこと

配布 2956世帯に対して、902票(有効回収数 872票)と多くの方にご回答いただきました。有効回収率は 29.4%でした。特徴的なのは選択式だけでなく、自由記述の設問にも多くのご意見をいただいたことでした。これは、地域の方々の亀田郷芦沼会への大きな期待の現れと捉えています。これらの意見をもとに、今後の事業を考えていきたいと思います。

① 分析結果より

■ 健康寿命延長のために必要なことの設問について 「健康である」「まあまあ健康である」と回答した群はいずれも①適度な運動の実施、②孤食防止、③自己状態の把握、の順で大事と考えています。一方「健康でない」と考えている人たちは、①孤食防止、②適度な運動の実施、③自己状態の把握、の順になっており、「健康でない」と考えている人は、「孤食」と健康長寿の関係性が高いと考えていると思われます。また、「孤食」については、孤立しているという状況と食事の内容が貧しいという状況の両面を考慮して回答している可能性があります。

■ 運動習慣について

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70歳以上は、運動習慣があると自覚している方が多く、現役世代は運動の習慣が低いという結果でした。特に 40,50歳代での低さが見られました。高齢者は年代が上がるほど「週 2 回以上運動している」が多くなっています。

■ 相談相手の有無による傾向の違いについて 「健康でない」と回答した群は、相談相手がいない人が多い傾向にありました。「相談相手がいない」と回答した群では以下のような傾向が見られました。 ・近所との人間関係では、「道端で挨拶する程度」の人が多く、「家族構成を知らない」は、相談相手がある群より少ない傾向が有る。 ・地域活動に参加していない人が多い。 ・困った時の相談窓口を知らない人が多い。 ・災害時の助けあいができる環境がないと感じている。 ・買い物に「やや困っている」人が多い。

■ 老後に有ったら良いサービスについて 全世代を通して、外出の手伝いの回答割合は高くなっています。40~64歳では日常的

な家事支援、見守りや安否確認が高く、65歳以降は日常的な家事支援よりも配食サービスの支援、見守りや安否確認の回答が多く見られます。また、70歳を過ぎると自由な居場所づくりの割合も高くなっていますが、20代〜40代も高く、若い世代でも孤立感があると考えられます。■ 移動手段がなく、困っていると回答した方の地域分布について

地域別では、上木戸、逢谷内、はなみずき、竹尾、中木戸、下木戸の順で、移動手段で困っている人が多いという結果でした。中でも上木戸は 3 割以上の方が移動手段に困っていると回答されています。一方、岡山や大形本町、津島屋、牡丹山では移動手段の要望は低い結果でした。

■ 配食サービスが必要と回答した方の地域分布について 地域別では、山木戸、中木戸、津島屋、上木戸、逢谷内の順で配食サービスの要望が多く見られました。中でも山木戸は 3 割以上、中木戸も約 3 割の方が配食サービスを希望されていました。一方、岡山や紫竹では配食サービスの要望は著しく低い結果でした。

■ その他  ・移動で困っていると回答した方は、買い物で状況でも困っているという結果でした。 ・地域活動に参加していない人は、地域が安全だと思っていない人が多いという結果で

した。 ・東区に住みやすいと思っている人は、災害の助け合いができていると思っている人が多いという結果でした。

② 自由記述の回答より

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 「移動や買い物」「居場所づくり」「住宅サービス」に関して、多くのご意見をいただきました。以下に、その一部を掲載(原文のまま)しました。

 ■「移動や買い物」について  ・一週間のうち 2日しか家を出ることが出来ないので、不足になったとき買い物がで

きないこと。  ・車がなく、自転車のため雪や雨で行けないこともある。冬は重い買物袋もち、歩い

て腕が腱しょう炎になった。  ・親族の仕事が休みの時だけに限られる。足が思う様でない。

 ■「居場所づくり」  ・一人暮らしになったらいつでも話が出来る「お茶のみ場」があって、相談出来る人

が常にいてほしい。  ・健康な老人(80才以上)が集まりやすい場所、老人体操のようなものでなく茶話

会、お茶をのみ世間話をして気楽に過ごせる場所。最近、老人会に入会しない孤独老人が多いので…。

  ・子供たちが遊ぶ公園は出来ましたが、大人・高齢者の楽しめる場所がない。

 ■「住宅サービス」  ・高級有料老人ホームが多いと感じています。低額で利用できる場所があってほしい

と願います!!  ・最近、有料ホームが出来たが、安く入れる所がほしいです。  ・障害者のショートステイ、入所施設が少ないので、もっとできてほしいです。障害

の程度が重いとなかなか利用ができないのです。  ・障害者の入所施設が、老人のそれと同じく選択肢があると良いです(希望しま

す)。近くにあれば、入所させても安心ですし、面会も可能です。入所=放置したくありません。入所させることを心苦しく思いたくないです。※現状は、とても切なく入所させたくありません。

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V.2025あしぬまビジョン 

1.私たちのめざす姿

1 新潟市東区木戸・大形圏域(以下、木戸・大形圏域)に「地域むすびつきセンター」をつくり、多様な社会資源と結び、地域まるごとケア(人間を大切にする地域包括ケア)が確立されている。

2 高齢者や障がい者の介護、生活支援(働・食・住)、成年後見、エンディング、流通、理美容、保健医療などに総合的に取り組み、拠点のある地域ニーズに応じて事業を展開している。

3 当事者の思いを共有し、他者を理解する心を育む教育システムを確立させ、在宅を支えきるケア(看取り、24時間365日)、福祉制度のすき間を埋めるケア(トータルケア)が実践されている。

4 高齢者自身も社会課題の解決に取り組み(社会に支えられる存在から社会を支える存在へ)、子ども、若者、女性、高齢者、生活に困難を抱える方が、地域で支え合う共生社会を実現している。

5 事業拠点のある木戸・大形圏域で、注2)ひとりぼっちのいない地域、認知症高齢者が暮らせる地域をつくっている。

 注2)全ての住民が地域と何らかの関りを持ち、町内単位で顔の見える環境の実現。

6「地域のことは地域で決める」とする自立したまちづくりを進めるためにも、※③ F (食糧)・E(エネルギー)・C(ケア)の自給を進める地域づくりに取り組み、高齢者が主体となって社会的就労の場をうみだしている。

 ※巻末資料③参照

7 福祉を支える人を結ぶネットワークを構築し、福祉を支える人材を育成し、夢と希望をもって働ける職場をつくりだしている。                  

8 あしぬま荘の建て替えとはなみずき跡地活用を実現し、あしぬまケアタウン構想を推し進めている。

2.「2025 あしぬまビジョン」を支える人間観

 人間を大切にするということは、他人のことを思う気持ち、思う行動ができるということを意味します。いわゆる「恕(じょ)の精神」、相手の立場にたって物事を考えることと同じです。

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「相手の身になって考える優しさや思いやりの心」、これこそが日本人らしさだったはずですが、いつの間にか失われてしまっているような気がします。私たち社会福祉法人亀田郷芦沼会は基本理念に「人間を大切にすることがすべての根元である」と掲げています。 私たちの地域でも、最近の世相を反映して、生きづらさを訴える人が増えています。力を合わせて生きるということが難しくなっている社会情勢ですが、こうしたときだからこそ、「人間を大切にすることがすべての根元である」を基本理念とする私たちが、大いに地域の声をしっかり受け止め、地域の期待に応えてゆかねばならないと考えています。 

VI. ビジョンを実現する道すじ  ~実行計画~

1.介護・障害福祉サービス・医療の報酬・計画の流れ

国は、2025 年に向けて、医療・介護の一体改革を進めています。計画期間は、事業に大きな影響をあたえる介護報酬と障害福祉サービス報酬の改定(3 年ごと)、診療報酬の改定(2 年ごと)、新潟市の福祉、医療計画の節目を押さえて計画期間を設定します。大きな節目は、介護報酬と障害福祉サービス報酬、診療報酬の同時改定がなされる 2024 年です。また、福祉計画と医療計画の見直しが連動する 2021 年も、大きな節目となります。

報酬名/計画名 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025介護報酬

障害福祉サービス報酬

・介護・障害

報酬改定

・介護・障害・診療

報酬

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同時改定

診療報酬 ・診療報酬改定

・診療報酬改定

新潟市地域包括ケア計画

【新潟市高齢者保健福祉計

画・介護保険事業計画】

第7期 第8期 第9期

新潟市障がい者福祉計画 第 5期 次期障がい者福祉計画

新潟市障がい児福祉計画 第 1期 次期障がい児福祉計画

新潟市医療計画 現医療計画 次期医療計画

2.事業計画の主なテーマと重点事業について

2025 あしぬまビジョンの実現に向けて、2019 年~2025 年を 3期に区分し、中期計画を策定します。各計画期にテーマを定め、重点事業を展開していきます。

① 第1期からスタートするテーマ (2019~2021 年)「つながる福祉まちづくりに向けた取り組み」

地域住民や行政、民間企業など他団体とむすび、協同してまちづくりを行う。地域ニーズを積極的に掘り出し「あしぬまケアタウン構想」を推進します。

【重点事業】■新築移転に向けたニーズの把握 ・まちづくりアンケートの実施と分析 ・100 人会議の開催■移転地探しと跡地計画■あしぬまケアタウン構想実現に向けた資金計画 ・一坪運動の実現

・業務コンサルティングの活用と助言■診療所機能の見直し/拡充■亀田郷芦沼会後援会機能の拡充や地域への情報発信力の強化■生活支援 ・3あいシミュレート(行方不明者の捜索模擬訓練)開催  ⇒認知症の啓発や認知症サポーターの養成。 ・「地域むすびつきセンター おむすび」の開所  ⇒介護予防教室や大人の居場所づくり、出前講座をはじめ、多世代交流を促進する。 ・「コミュニティ・ワーク・コーディネーター(高齢者地域活動推進者)」の発掘と育成

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 ・「安心の場所づくり」の取り組みを継続する  ⇒高齢者の一人暮らしや夫婦世帯の安心と安全の確保。 ・ショートステイの受け入れ強化  ⇒障がい者が利用しやすい環境を整備する。当事者とその家族の生活を支援する。

② 第2期からスタートするテーマ(2022~2023 年) 「あしぬま荘建て替えの成功と地域包括ケアの確立」 懸案である「特養あしぬま荘の建て替え」を成功させ、跡地を含め地域の方が集う場所づくりを実現します。介護、住まい、予防・生活支援、保健医療が連携する地域包括ケアを新潟医療生協とともに進めます。

【重点事業】■「特別養護老人ホームあしぬま荘」の建て替えを成功させる 地域住民が気軽に訪れ、集うことのできる場所づくりをみんなの力で実現します ・ケアタウン内に出店を募り、地域住民もスムーズに利用できる店舗設計を検討する

(飲食店や理美容など)■高齢者、障がい者支援 ・障がい者グループホームの機能強化  ⇒高齢化、重度化への対応を図り、生活の安心を図る。特別養護老人ホームあしぬま

荘との合築などを含め、検討する。現存するグループホームでは住みづらくなっている方の支援につなげる。

   将来、一人暮らしを希望する方に一人暮らし応援グループホーム(サテライトグループホーム)を検討する。

 ・地域の強い要望に応えるため、重症心身障害児通所施設の拡充を検討する ・介護予防事業の強化(リハビリ事業に力を入れる) ・地域包括支援センター大形の開所■生活支援 ・サービス付き高齢者住宅 ・配食センター  ⇒法人内の事業所のほか、近隣の病院や福祉施設への配食、地域住民への宅配を行

う。あわせて簡単な買い物支援などの検討も行う。 ・移動支援サービス  ⇒法人内の車両(空き時間)などを利用して、通院の付き添い、買い物や余暇支援な

どを行う。新潟市地域生活支援事業を検討する。 ・永代供養の合祀墓  ⇒少子化や核家族化が進み、お墓を守る継承者がいないというお悩みをお持ちの方に

対応していく         

③ 第 3期からスタートするテーマ(2024~2025 年)「共生社会実現に向けた事業の総合化」

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“地域のことは地域で決める”をテーマに、事業の総合化を進め、障がい者や子ども、引きこもりの若者、生活に困った方々が、高齢者と共に支えあって暮らすことのできる人間を大切にするまちづくりを進めます。

【重点事業】■生活支援 ・地域の大家さんとの業務委託。地域の見守りなど生活支援の強化 ・農福連携  ⇒障がい事業分野などで、畑作業への人材派遣や共同商品の開発なども検討する。

・障がい者の雇用や活躍できる場の確保  ⇒農福連携とあわせて、クリーニング事業の実績を活かして、地域のクリーニング屋さ

んとして確立していきたい。併せて一人暮らしの方の見守り支援なども検討する。■教育 ・各職種に対する教育研修センターや福祉の学校、就業施設を検討する

3.経営計画の主なテーマと重点事業

地域のみなさんが輝き続けることができるよう、強い経営を実現します。働く人すべてが充実感とふさわしい対価を得られる経営を実現します。地域社会に、たゆまぬ展開をつづけるための体力のある経営を実現します。

①第1期からスタートするテーマ (2019~2021 年) 「業務力量の向上」、「効率化と正確性の向上」【重点事業】■業務力量の向上 ・役職員の経営力アップ、体制整備 ・責任を持てる予算作成と確実な執行 ・リスクマネジメントの視点と教育 ・組織風土の改革

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■効率化と正確性の向上 ・スピードアップと環境整備 ・数値指標設定と分析/改善 ・次期事業展開準備

②第2期からスタートするテーマ(2022~2023)「安定性と将来性」【重点事業】■安定経営の実現■将来投資に耐え得る経営■新規事業展開確立

③第 3期からスタートするテーマ(2024~2025 年)「地域力の向上」【重点事業】■多彩な事業と豊かな人材

<経営計画のイメージ> 

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地域への還元職員への還元 将来への投資

経営精度のアップ新規事業展開投資計画

管理レベルアップ効率化

力量アップリスクマネジメント向上

自立職員教育諸規定の整備理念の浸透

コンサルタントの導入スピードアップ  組織風土の改革

剰余の確保

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事業モデルの展開イメージ

VII. 「2025 あしぬまビジョン」でめざすもの

社会福祉法人に求められる大きな役割の一つに、「※④ 社会福祉制度のセーフティネット 機能」があります。社会福祉法人亀田郷芦沼会は、地域のセーフティネット機能を高め、地域に住んで良かったと言われるまちづくりの実現を推進していきます。この決意を形にすべく「2025 あしぬまビジョン」の策定を進めてきました。

“一人の困ったに気付き、たがいに支え助け合える仕組みづくり”、 “親と子の育ちを支えるまちづくり”など、今日、さまざまな生活問題をかかえている人びとが、介護医療の制度やサービスの他、老人会の活動や友人・近隣住民の見守りなど、手助けしてくれる資源を利用しながら、地域の中で、自分らしい暮らしを選択していける状態を作り上げていくことが求められています。これら要求の実現には、だれかれなく押し付けられるもの

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第 1期(2019~2021)

第 2期(2022~2023)

第 3期(2024~2025)

2025あしぬまビジョン

つながる福祉のまちづくり

1.在宅ケアを支えきるケア・看取り、24時間 365日、地域密着・多様な住まい

2.職員育成と職場つくり・職員の教育システム、キャリアアップの仕組み

3.地域包括ケア・信頼される地域包括ケアの実現

4.住民に愛される地域むすびつきセンター・住民主体のサロン普及(共生、生活支援)・いのちつなぎ隊、サークル、ケアする人のためのカ

フェ・働く・食・住のサポート・流通・成年後見、エンディング、理美容

5.命と暮らしを守る運動6.経営強化

国の動向○2015 介護保険改定①軽度外し②小規模デイ抑制③ 生活支援の充実④負担増○医療改革① かかりつけ医② 病床削減計画策定③国保の保険者を県に○認知症施策推進(オレンジプラン

2013~2017)① 認知症ケアパス○介護の人材不足

第 2期の情勢○医療介護費の本格的削減① 病床規制の実施② 医療計画 5 年→6 年(介護関連部分は 3 年で中間見直し)

共生社会の実現に向けた事業の総合化

障がい者、生活に困った方の支援・障がい者や生活に困った方のケア・働・食・住のサポート・専門能力をもった高齢者の参加

・利用者の立場に立ち、専門職としての知識・技術・意識を持ち、亀田郷芦沼会としての理念を現場で実現できる職員を育成します。

・職員が高い意識を持ち、働き続け、成長できる職場づくりに取り組みます。・自ら考え、自ら学び、自ら行動できる職員が育つ職場を作ります。・職員の専門職としての研鑽を法人として支援し、顧客満足度(CS)の向上につながる取り組

みを行います。・働きやすい職場、がんばりがいのある職場づくりをめざし、職員満足度(ES)の向上の取り

組みをすすめます。

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でなく、この地域に住む私たち住民が、地域にある一つ一つの「困りごと」「気がかりなこと」を自分ごととして取り組み、解決する力を持ってこそ、叶えることができるものと考えます。

「2025 あしぬまビジョン」は、住民が地域で行う福祉活動のための行動計画を住民自身と介護福祉の専門家がまとめあげたものです。だからこそ「2025 あしぬまビジョン」を実現するには、協同の力、地域の福祉力を向上させるかにあると思います。 そのためにも住民・当事者の「声」を聞く場を幅広く展開し、地域課題を発見・共有する中でこそ、「2025 あしぬまビジョン」を具現化する力が示されると思います。あくまでも地域ニーズに立って、制度の枠にとらわれずに柔軟に検討を行い、目的に応じて民間企業を含めた、多様な地域の主体と協同することが大切になると思います。 関係各位からのご指導ご鞭撻をお願いする次第であります。※巻末資料④参照※巻末資料⑤に補足資料有り

「資料・用語解説集」① 亀田郷芦沼会の事業沿革

1980年 社会福祉法人亀田郷芦沼会 認可

1981年 特別養護老人ホームあしぬま荘 事業開始

1991年 ヘルパー事業 開始

1992年 在宅介護支援センター 事業開始

ショートステイ併設型 事業開始

デイサービス 事業開始

1994年 訪問看護 事業開始

1997年 認知症対応型デイサービス 事業開始

ショートステイ単独型 事業開始

障がい者通所授産施設(ほがらか福祉園) 事業開始

1999年 障がい者グループホーム 事業開始

2005年 障がい者通所授産施設(ゆたか分場※後にワーカーズゆたか) 事業開始

2006年 新潟市地域包括支援センター木戸・大形 受託

2012年 重度心身障がい児者通所(ほがらか福祉園トゥインクル)事業開始

2013年 特別養護老人ホーム風の笛 事業開始

ショートステイ風の笛 事業開始

2014年 医療事業(風の笛クリニック) 事業開始

相談支援事業(ほがらか) 事業開始

2016年 小規模多機能ホーム 

認知症対応型グループホーム(ふもとの奏)事業開始

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2019年 ヘルパー事業

認知症対応デイサービス 事業廃止

2020年 地域貢献事業(地域むすびつきセンターおむすび) 事業開始

② 地域包括ケアシステムとは?地域包括ケアシステムとは、要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を最後

まで続けることができるように地域内で助け合う体制のことです。地域包括ケアシステムは、それぞれの地域の実情に合った医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される体制を目指しています。介護保険制度の枠内でだけ完結するものではなく、介護保険制度と医療保険制度の両分野から、高齢者を地域で支えていくものとなります。厚生労働省は、団塊の世代と呼ばれる人たちが、75歳以上の後期高齢者となる 2025 年を目途に、介護保険の保険者である市町村や都道府県などが中心となり、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて構築していくことを推進しています。

③FEC とは?経済評論家の内橋克人が東日本大震災の復興にあたって提言している構想で、「F」は

「Food(食糧)」、「E」は「Energy(自然・再生可能エネルギー)」、「C」は「Care(介護・ケア)」の頭文字です。太陽光、太陽熱、風力、小水力、木質バイオマスなど、自然にある再生エネルギーを活用して、農業や酪農、水産の再生によって食糧を自給し、同時にケア(介護、医療、教育など)についても地域でまかなうことです。

https://fec-net.jimdofree.com「自給圏ネットワーク」より

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厚生労働省ホームページより

2020.3.10 亀田郷芦沼会作成

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④ 社会福祉制度のセーフティネットとしての役割社会福祉法人は、古くから社会福祉事業の主たる担い手として活動している民間法人である。他の経営主体と比べ、福祉サービスのノウハウや経験、専門人材や施設・設備をより多く有している経営主体といえ、他の経営主体で担うことが必ずしも期待できない福祉サービスを積極的に実施・開発していく必要がある。

介護保険制度においては、地域包括ケアシステムの構築が目標とされ、介護サービスにとどまらない生活支援も含めた体制整備が提唱されている。社会福祉法人は、①地域包括ケアシステムの構築、②対応の難しい、ソーシャルワークの必要な人への対応、③新たなサービスの創造を積極的に行っていくなど、社会福祉制度と福祉サービスの提供主体、両方のセーフティネットとしての役割を果たしていく必要がある。

2014.7.4厚生労働省「社会福祉法人制度の在り方について」より

⑤補足資料   ~P33、Ⅵ.「2025 あしぬまビジョン」でめざすもの~  ◉まずは、住民の「必要」から出発する:先達は、住民のため、一緒になって運動することで事業を実現してきた。私たちには、先達に学んできた歴史がある。たとえ制度にない事業であっても、住民や地域社会が「必要」としているものには、継続して取り組む。住民や地域社会のニーズの変化に応じて、取り組みも変化していく。◉地域社会として支える力を高めるように働く:その際、社会福祉法人が単独で取り組むだけでなく、住民が地域で暮らし続けることを地域社会として支えることができるように、地域資源全体を強化していく視点や手法を用いる。◉制度の改善点を提案しながら、住民の地域での暮らしぶりを支える:介護保険等の制度事業のなかで、住民の「日常の暮らしぶり」にあわないもの、かえって住民の地域生活から遠ざけてしまうような要素があれば、国や自治体に提案し、制度のイノベーションを進める。あるいは、その隙間を埋めていく。

住民だれもが、最後までその人らしく、役割をもって地域で暮らし続けることができるよう

地域社会との相互関係の中で、互いの潜在力が引き出され、活用していく社会福祉法人亀田郷芦沼会作成資料

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