超越⽂法「vol.4⽇本語→⽇本語への変換」につい...
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超越⽂法「Vol.4 ⽇本語→⽇本語への変換」についての補⾜講義
「⽇本語→⽇本語への変換」は、英語とはかなり異なる⽇本語感覚を持っている私たちが必ず⾝につけなければならないスキルです。
「⽇本⼈の感覚で話す⽇本語」→「英語ネイティブの感覚で話す⽇本語」
この変換(翻訳)をする必要があるのですね。
英語ネイティブの感覚とはどういうものかというと、「誰が」「何を」を必ずはっきりさせます(ローコンテキスト⾔語)。
ちなみに、英語はローコンテキスト⾔語、⽇本語はハイコンテキスト⾔語という説明が何度かあったと思いますが、「コンテキスト」とは「背景」「状況」を意味します。(ローコンテキストとは背景情報への依存度が低いと⾔う意味で、ハイコンテキストはその反対です。)でも、この⽤語⾃体は別に覚えなくて⼤丈夫ですからね。
・英語は「誰が何をしたのかちゃんと⾔ってくれないと困るんだよね」という⾔語
・⽇本語は「全部⾔わなくても補って理解してよね。空気読んでよね」という⾔語
ということだけ理解してれば OK です!
例えば、⽇本語だったら異性に対して「好きです (//∇ //)」と⾔うだけで、ちゃんと伝わりますよね。でも、これが英語だと「は?誰が?誰を?」となるのです。
「『私があなたを好き』とかまどろっこしいこと⾔わんでも、こうやって⾯と向かって話しよんのに、そうに決まっとるじゃん!そこまで⾔わせんとってや!!」と、広島弁でキレたくなります。
英語に限らず、多くのヨーロッパ系の⾔語はそうです。これが⽇本語との⼤きな違いで、⽇本⼈学習者が最初に必ず⼾惑うところです。ここだけの話ですが、私も、未だに英語を話していて「あっ、⽬的語をつけるの忘れてた!」とかいうことが毎⽇のようにあります。
英語は、たとえ分かりきっていても「私は」とか「それを」とか絶対に⾔わないといけない⾔葉なのだ、と覚えておいてください。
さて、超越⽂法の Vol.4 のメールで、以下のように書いてありました。
ここがちょっと分かりにくいと感じた⽅がいるのではないかと思ったので、補⾜します。
<財布を盗まれた!という概念>
とは何かというと、下の写真のような状況です。
「概念」(=イメージ)なので、頭の中でそういう状況を認知したというだけです。
この時点では、英語でも⽇本語でもありません。
まだ、⾔葉になっていないのです。
<財布を盗まれた!という概念>
↓ 「⽇本語」というフィルター
「財布を盗まれた!」
↓ (1)「⽇本⼈の感覚の⽇本語→外国⼈の感覚の⽇本語」にするフィルター
「???????」
↓ (2)「⽇本語→英語」のフィルター
「???????」
で、ここで、⽇本⼈の私たちは⽇本語フィルターで⾔語化するのですね。
「財布を盗まれた!」と。
でも、この「財布を盗まれた!」は「⽇本⼈感覚の⽇本語」(私たちが普段しゃべっているそのままの⽇本語)なので、これを直接英語にするのではなく、「英語ネイティブの感覚の⽇本語」のフィルターにかけます。
英語は、「誰が」「何を」をはっきりさせたがる⾔語なので、ここは「誰かが私の財布を盗んだ!」という英語ネイティブの感覚の⽇本語に直します。
そして、この「誰かが私の財布を盗んだ!」という⽇本語を英語にする、ということです。
まとめますと、
という過程を経て英語を作る、ということになります。
↓ 「概念→⽇本語」のフィルター
「お財布盗まれた!」(※私たちが普段しゃべっているそのままの⽇本語)
↓ 「⽇本語→⽇本語」のフィルター
「誰かが私の財布を盗んだ!」(※ネイティブ感覚の⽇本語)
↓ 「⽇本語→英語」のフィルター
“Someone stole my wallet!”
「誰が?」「誰の?」「何
を?」をはっきりさせる
こう⾔うと、
「いやいやいや、そんなに3つもフィルター通してたら時間かかって仕⽅ないです!
英語は英語で考える癖をつけないといけないんじゃないですか?」
って反論する⼈がたくさんいると思います。
確かにそうなのです。
と、フィルター1個だけでいきなり英語に⾏けたらいいですよね。
でも、残念ながら、私たちが⽇本⼈である限り、そうはいかないのです。私も未だにこうやっていっぱいフィルターを通して英語を話しています。通訳の仕事をしていた時も、会議という限られた時間の中でも、いくつもフィルターを通しているのです。(私だけじゃなく、通訳歴20年以上の先輩も同じことしています。)
通訳なんて、概念から⼀瞬で英語が出てくるんだろうと⼀般の⼈は思うでしょうけど、頭の中でフィルターのあっちとこっちに⾔葉がものすごい勢いで⾏ったり来たりしているんです。
「英語がペラペラになる」=「フィルターを通さなくて良くなる」ではなく、「フィルターを通すスピードが早くなる」というだけです。
↓ 「概念→英語」のフィルター
“Someone stole my wallet!”
ただし、「概念→英語」のフィルター1枚だけで英語に直接⾏けるようになる⽅法がないわけじゃありません。それは、「特定の状況に何回も出合うことによって、概念と英語表現が直接結びつく」という体験をしたものついては、フィルター1枚で直接英語に⾏けるようになります。
どういうことか、具体的に説明します。
恋⼈や家族のことを愛おしいな〜と思ったとき、
ってフィルターをいっぱい通さないと “I love you” という英語に到達できない⼈は、ほとんどいないと思います。英語が苦⼿で中学⽣レベルすら怪しい⼈だって、「私はあなたを愛しています」なんていう⽇本語はすっ⾶ばして、すぐに I love you.という英語が出てくるはずです。
<愛おしいな〜という概念>
↓ 「概念→⽇本語」のフィルター
「だーい好き♡」(※私たちが普段しゃべっているそのままの⽇本語)
↓ 「⽇本⼈感覚の⽇本語→ネイティブ感覚の⽇本語」にするフィルター
「私はあなたを愛しています」(※ネイティブ感覚の⽇本語)
↓ 「⽇本語→英語」のフィルター
“I love you.”
つまり、あなたは以下が⾃然にできちゃっているわけです。
どうしてだか分かりますか?
それは、私たちが、今まで映画などいろんなところで「 I love you.」が使われるシーンを⾒てきたり、⼈によっては実際に⾔ったり⾔われたりしてきたからです。
何度もこの状況とフレーズに触れることによって、「こういう感情、こういう状況の時は I
love you って⾔うんだな〜」と⾔うことが、体に染み付いているのです。
このような状況になって初めて、「概念→英語」に直接⾏けるようになります。だから、あなたがいつもいつも財布を盗まれてしまう⼈だったら、いずれ「あっ!!」→ “Someone
stole my wallet!” に直接⾏けるようになります。イヤか。(笑)
「概念→英語」に直接⾏ける表現を増やすためには、いろんなシーンでよく使う英⽂をたくさん丸暗記するのが近道です。ただし、丸暗記ではどうしても数に限りがあるので、「⽇本語→⽇本語」のフィルターの移動を訓練で速くしていくことが⼤事です。具体的な訓練のやり⽅については、またいずれお話ししますね。
↓ 「概念→英語」のフィルター
“I love you.”
というわけで、今⽇の補⾜講義は以上です!
<以下は上級者向けですので、わからない⼈は無視してもらって⼤丈夫です!>
超越⽂法のこの号のメールは、Someone stole my wallet. という英語の⽅が受動態 (My wallet
was stolen.)より好ましいという意図で書かれたものではありません。また、過去形じゃなく現在完了では?というツッコミもあるかと思いますが、今回はあくまでも、「SVO で⽂章を作ることを基本に考えましょう」という意図で、時制の説明をすると話が脱線するので、単純化するためにあえて過去形を使っています。
受動態が必ず英語らしくない英語になるから使わない⽅がいいかというと、もちろんそんなことはありません。受動態は、「⾏為者」がわからない場合、あるいはあえて特定したくない場合には好んで使われます。
(1) Someone made a mistake.
(2) A mistake was made.
(1)は、間違いを犯した誰かを特定したい、あるいはその⼈を責めたいという意図が垣間⾒えます。
⼀⽅ (2)は、誰がやったにせよそういう間違いがあったという事実を述べるにとどめ、主眼は「誰がやったか」よりも「それについてどう対処する(した)か」にあります。
※いずれも、⽂脈にもよるので必ずそうだというわけではありません。
ご感想、また疑問やご質問(この号に限らず)があったら、何でもメールしてもらえたらと思います!