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減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」と モデルベース開発
-Model-based development for i-ELOOP-
MATLAB EXPO 2015, Oct, 16
マツダ株式会社 パワートレイン開発本部 電駆・PT制御部品開発部 第2制御部品開発グループ 小谷 和也
Contents
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1. i-ELOOPにおけるMBD開発環境 (1) はじめに (2) MBDについて (3) MBD開発環境構築の取組み 2. MBD開発環境の適用事例 (1) ハードウェアSpecの最適化 (2) デバイスの制御開発 (3) 発電制御の最適化
1-1. はじめに
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電気デバイスの採用は増えていく。 一方、2020年においても95%は内燃機関をベースとした動力源と予測される。
環境技術の採用拡大予測(~2020)
ビルディングブロック戦略
1-1. はじめに
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ビルディングブロック戦略
革新的なベース技術へ段階的に電気デバイスを組合せ、更なる環境性能向上を実現
1-1. はじめに
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i-ELOOPの位置づけ
i-ELOOPは捨てられているエネルギーを再利用してゆく技術である
1-1. はじめに
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i-ELOOP (Brake Energy Regeneration System)概要
i-ELOOPは可変電圧ALT、EDLC、DCDCを採用、より多くの減速エネルギを回生する
1-1. はじめに
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i-ELOOP (Brake Energy Regeneration System)概要
Battery
Electricalcomponents
Alternator
Regeneration
【Variable Voltage 12-25V】
【Conventional 12V】
Kinetic Energy
EDLC
DC-DCconvertor
減速エネルギによって発電を行い、その電力を蓄え、電装品で利用する
1-1. はじめに
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i-ELOOP (Brake Energy Regeneration System)概要
エンジンの動力(燃料)の約10%が発電(電装品)で消費している。
エンジンの動力の約10%が 発電に使われている!
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1-1. はじめに
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i-ELOOP (Brake Energy Regeneration System)概要
i-ELOOP 走行時はオルタネーター発電しなくてよいので燃費向上!
1-1. はじめに
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i-ELOOP (Brake Energy Regeneration System)概要
減速エネルギを回生することで、エンジンの出力を100%走りに利用できる。
1-1. はじめに
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i-ELOOPは2012年に導入後、順次拡大展開を進めている
i-ELOOP (Brake Energy Regeneration System)概要
1-2. MBDについて
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従来の自動車システム開発
後になるほど、必要な時間や費用は加速度的に増加 (エンジンや車両の試作、評価/評価設備、…)
製品開発でこのサイクルを回せるのは最大2回。
試作や評価にかかる期間はそれぞれ数ヶ月。
関わるエンジニアの数はン百人。
1台の試作車製作にかかる費用はン千万円以上。
実車評価まで進んでからやり直したのでは取り返しがつかない。
1-2. MBDについて
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自動車システム開発でのMBD
制御装置と制御対象の機能をモデル化して組み合わせ、シミュレーション 技術などを活用して開発する手法
実制御対象 (エンジンなど)
実ECU
機能保証 従来の開発の仕方 Real World
プラントモデル コントローラモデル
モデル化 モデル化
Virtual World 機能保証
Rapid-ECU
MILS, SILS, PILS
HILS
MBC
自動コード生成 (ACG)
MILS : Model-In-the-Loop Simulation SILS : Software-In-the-Loop Simulation PILS : Processor-In-the-Loop Simulation HILS : Hardware-In-the-Loop Simulation
1-2. MBDについて
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自動車システム開発でのMBD
Rapid-ECU
MILS
SILS
PILS
自動コード生成 (ACG)
HILS
HILS
MBC (Model-Based Calibration)
開発プロセスの各工程にモデルと手法を適用することで、全般に渡り、 開発の質と速度を上げることができる。
1-2. MBDについて
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i-ELOOPにおけるMBD適用の背景/目的
新規デバイスの開発
-可変電圧オルタネータ / EDLC / DCDCコンバータ
新規制御ストラテジーの開発
- 減速トルク制御 / デュアルストレージ制御 / 高効率発電制御
その上で、開発効率、品質の向上が必要
開発初期からモデルベース開発環境を利用し、 大幅なフロントローディングで開発を成功させる
フロントローディング
1-3. MBD開発環境構築の取組み
16 :Model :Selectable (Hardware or Model)
モデルベース開発環境概要
・エンジン、車両、トランスミッションなど主要な要素を含む仮想車両モデルであり、システム設計段階での燃費検討から、検証段階での制御パラメータ適合まで適用することが可能
Engine
Engine
Control
AT
Control
Body Trans-
mission
Test model
Vehicle model
i-ELOOP
System
BRAKE SHIFT ACCEL
Driver
Model
Road
Model
MILS/HILS
Selectable (Auto or Manual)
・同一モデルをHILSとMILSで利用可能
制御モデル(コントローラモデル)
アプリケーション層の全機能、およびプラット フォーム層の一部については、Simulinkと Stateflowで記述。
これにより、設計段階での検証が可能となった(MILS)。
また自動コード生成技術が適用でき、コントローラへ実装する までの期間が劇的に短縮した。
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1-3. MBD開発環境構築の取組み
モデル化
自動車には物理モデル化しやすい系としにくい系が共存しており、これらの組み合わせに工夫が必要。
また統計モデル化のためのデータ計測の効率化や、モデル(近似式)の精度/演算速度の両立が必要。
電圧
電気系 機械系 流体系 熱系 化学反応系
電流
インダクタンス
コンデンサ
抵抗
速度(角速度)
力(トルク)
ばね(剛性)
質量(イナーシャ)
圧力
流速
体積弾性係数
タンク容量
管路抵抗
温度
熱流速
-
熱容量
熱抵抗粘性抵抗
トランス てこ(ギヤ) 絞り -
操作量
制御量
濃度比、温度 温度、頻度因子
平衡状態
要素
-
-
-
-
-
-
-
-
反応開始&速度
物理モデル化しやすい
物理モデル化しにくい
(統計モデルで記述)
物理モデル化しやすい例
制御対象モデル(プラントモデル)~その1
制御開発におけるプラントモデル
1-3. MBD開発環境構築の取組み
モデル化
制御対象モデル(プラントモデル)~その2
モデル化対象 • エンジンやセンサ/アクチュエータ、補機
• トランスミッション
• 車両の走行抵抗、など
ハイブリッド構造 ~ 扱いやすさと精度を両立 • エンジンのシリンダ内挙動に
ついてはMBCで得た統計モデル (物理モデル化しにくい系)
• その他は物理モデル
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モデルベース開発の成否を握るのは「制御対象モデル(プラントモデル)」 今回はパワートレイン系制御の全ての領域で「使える」ものを目指した。
鉛バッテリ、DCDCコンバータ、…
+
battery
unitCurrent
LOAD1
LOAD2
dcdc
Buck
dummy
const
k=25
R=parameter?
resistorGND
GND1
A
current?
R=parameter?
resistor1
capacitor
+
GND2
A
current?
acsBus
p_generatep_cons? p_generatep_cons?
キャパシタバッテリ
DC/DC
コンバータ
電気
負荷1
電気
負荷2
1-3. MBD開発環境構築の取組み
モデル化
制御対象モデル(プラントモデル)~その3
カラクリ図による見える化
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1-3. MBD開発環境構築の取組み
モデル化
高速MILS
制御モデル/プラントモデルともCコード生成 ビルドして単一のシミュレータ化。
さらに並列処理化(マルチコアCPU対応)。
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モデル開発ツール
C言語
モデル モデル
エンジン制御
エンジン制御
エンジンエンジン制御
車体, タイヤ
車体, タイヤエンジン
エンジンデフ,
ドライブシャフト 車体, タイヤ
油圧回路
詳細モデル 簡易モデル
(用途に応じて使い分け)
高速MILS
自動コード生成
統合
モデル モデル
トランスミッション
トランスミッション
トランスミッション制御
トランスミッション制御
トランスミッション
アクセル, ブレーキ
エンジン回転数
車速
キー位置
個別の制御モデル設計段階でも容易にエンジンECU全体での機能検証ができるようになった。
1-3. MBD開発環境構築の取組み
シュミレーション環境
シミュレーション環境 各種HILSシステム
検証対象に応じ、複数のHILSシステムを構築 • エンジンHILS : エンジン制御システム検証用
• PT統合HILS : エンジン-ATとの協調制御検証用
• 電気系HILS : |-ELOOPシステム検証用
• HEV-HILS : SKYACTIV-HYBRIDシステム検証用
「動くテストシナリオ」を用いた、検証作業の自動化
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実機開発に移行する際のトラブルが激減した。 合わせて、他領域の技術者との協業が、早期から、かつ効率的
に進められるようになった。
エンジンHILS PT統合HILS
1-3. MBD開発環境構築の取組み
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1. i-ELOOPにおけるMBD開発環境 (1) はじめに (2) MBDについて (3) MBD開発環境構築の取組み 2. MBD開発環境の適用事例 (1) ハードウェアSpecの最適化 (2) 発電制御の最適化
2-1.ハードウェアSpecの最適化
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電力消費(JC08)
車両走行抵抗
パワートレイン抵抗
摩擦ブレーキ
約2200kJ
(車両
; C
/D セグメント
)
約 250kJ
回生エネルギ(JC08) 総減速エネルギ (JC08)
12V回生システム
(約 90kJ)
i-ELOOPは12Vシステムに比べ、より多くの減速エネルギを回生する必要がある
燃料削減効果 約3%-4%
Electrical components
LOAD Energy
目標回生エネルギ
回生エネルギ目標
2-1.ハードウェアSpecの最適化
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目標回生エネルギを得るには発電機5kW、EDLC 35kJ程度が適している
仕様最適化検討
※JC08は検討例であり、実際には複数条件で検討を実施
50
100
0 10
回生可能エネルギ回収率
(%
)
20
発電機出力(kW)
5kW~ 8kW~
80% 95%
要求発電機出力
50
100
0 20 蓄電装置容量(kJ)
40 60
35kJ~ 80kJ~
80% 95% 回生可能エネルギ回収率
(%
)
要求蓄電装置容量
発電機出力と回生可能エネルギの回収率の関係 蓄電装置容量と回生可能エネルギの回収率の関係
※JC08 ※JC08
目標回生エネルギ 目標回生エネルギ
2-1.ハードウェアSpecの最適化
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DC-DCconvertor
Alternator
EDLC Lead-acid Battery
Bottom of discharge
Top of charge
Estimated Regenerative Energy
Remove to Batteryfor Next Regeneration
モデルベースで検討を行った結果、鉛バッテリを利用してEDLCの充電量を制御することで、
EDLCの容量以上の回生エネルギを回生可能であることが分かった
次の減速で得られる回生エネルギの推定量に応じ、EDLCの電力を鉛バッテリに移し変える
デュアルストレージ制御を採用
デュアルストレージ制御
EDLCのサイズを小型化(25kJ)しつつ、目標回生エネルギを達成した
2-1.ハードウェアSpecの最適化
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Ve
hic
le
spe
ed
A
lte
rnat
or
curr
en
t
EDLC
vo
ltag
e
Dual storage behavior
デュアルストレージ制御により、様々な走行環境でより多くの回生エネルギえた
Stop&start
Estimate extra regenerative energy
SOC=100%
SOC=0%
The result of driving test
デュアルストレージの実作動結果
2-2.発電制御の最適化
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発電機効率
Demanded point byElectrical Equipments
Alternator power output(W)
Po
wer
gen
erat
ion
effi
cien
cy(%
)
Recommended Pointfor Generation
Power generation efficiencyis improved.
Engine Load (W)
QfB
QfA
Pw
<QfA
Pw
QfB
Pw
Good
power generation load
increased Fuel
increased Fuel
Engine combustion efficiencyis improved.
Rat
e o
f Fu
el
Co
nsu
mp
tio
n (
L/kW
h)
Qu
anti
ty o
f Fu
el
Co
nsu
mp
tio
n (
L/h
)
エンジン燃焼効率
減速頻度が低い場合、エンジン効率と発電機効率を考慮した高効率発電制御を行うことで
発電に要する燃料を最小化する
高効率発電制御
2-2.発電制御の最適化
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EDLC
_ SO
C(%
)
Full charge
High-efficiency Power Generation
Conventinonal power Generation
Engi
ne
fuel
(g)
Improve engine combustion efficiency
Improve power generation efficiency
time
maximum 6 %
Alt
orn
ato
rp
ow
er(w
)
高効率発電制御を行うことで、最大で6%程度の燃費改善効果が得られる
高効率発電制御
2-2.発電制御の最適化
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最適化検討
Vehicle speed
[km/L]
Engine Speed
[rpm]
Generation load
[Nm]
Fuel quantity
[L/h]
①Base
②
⑤
③ ④
⑥
Best value
改善効果
モデルベース開発環境を用いることで、机上での制御パラメータ最適化が可能となった
【高効率発電制御 発電パターン検討結果】
まとめ
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i-ELOOPの開発にあたって、開発初期からモデルベース開発環境を用いて、開発効率、品質の向上を図った。
⇒要求仕様検討段階で用いることで、ハードウェアとソフトウェアでの最適な機能配分を実現。また、要求仕様変化の影響度を迅速に確認することで品質を向上。
⇒検証、適合段階で用いることで、机上での制御パラメータ最適化が可能となった。結果、i-ELOOPに関する大半の制御パラメータを机上で設定することが可能となった。
Thank you for your attention
最終ページ