travel_08

高知県の西部、高知県高岡郡津野町不入山 (いらずやま=1,336m)の南東斜面、標高およ そ1,200m付近のうっそうと生い茂った樹木の 中、苔に覆われた大自然の岩肌を澄みきった清 水が流れ続ける。この静寂にみちた深山幽谷 を源に、300以上もの渓流や支流を集めて、や がて太平洋へと注ぎ込む196㎞に及ぶ水脈 は、四季折々の美しい大自然と流域に生きる数 多くの生命と暮らしを育み続けている。これが 日本最後の清流といわれる四万十川である。 そんな四万十川は遊びの宝庫。子どもだっ て、大人だって、何をしても絵になってしま う。今回は、そのとっておきの絵になる遊び 場を探ってみよう。 JR10 宿7高知県 四万十川周辺 四万十で川遊び 四万十・川の駅 カヌー館 DATA 0880-52-2121 四万十市西土佐用井1111-11 営業時間 8:30~17:00 四万十川中流域で川遊 びを楽しみたい方への情 報 拠 点 。館 内には土 産 物、喫茶・軽食コーナーや 珍しいカヌーを展 示した 資料室があります。気軽 に体験できるカヌー教室 は初心者でも安心。テン ト広場やコテージ、バンガ ローなどの宿泊施設も。 四万十市 22 西JR1000使19756 56 56 沿マンガ神社 平家が身を隠すため改名した地名ともいわれる半家(はげ)沈下橋 四万十川の源流地点には石碑が立っている ビューポイントからの遠景が美しい岩間沈下橋 四万十川の風物詩、屋形船 アユ漁 JROKトラベル 10 11

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Page 1: travel_08

高知県の西部、高知県高岡郡津野町不入山(いらずやま=1,336m)の南東斜面、標高およそ1,200m付近のうっそうと生い茂った樹木の中、苔に覆われた大自然の岩肌を澄みきった清水が流れ続ける。この静寂にみちた深山幽谷を源に、300以上もの渓流や支流を集めて、やがて太平洋へと注ぎ込む196㎞に及ぶ水脈は、四季折々の美しい大自然と流域に生きる数多くの生命と暮らしを育み続けている。これが日本最後の清流といわれる四万十川である。

そんな四万十川は遊びの宝庫。子どもだって、大人だって、何をしても絵になってしまう。今回は、そのとっておきの絵になる遊び場を探ってみよう。

 

JR江川崎駅から徒歩で10

分ほどのところに「四万十・川の

駅カヌー館」があり、中下流域の

情報や遊びの拠点になっている。

カヌーのレンタルからスクールま

で整備され、一見客も温かく迎

えてくれる。一旦カヌーに乗ると、

体裁などは誰も気にしていない。

後ろ向きだろうが、横流しだろ

うが、とにかく天然の遊園地状

態の渦中に自分がいることだけ

で嬉しくなってくる。

 

カヌー館にはバンガローやコ

テージもあり、夏の時季には何

も持たずともリーズナブルに宿

泊もできる。7カ所で乗り捨て

可能なレンタサイクルも、四万十

川を身近に楽しめるアイテムだ。

高知県 四万十川周辺

初心者も当たり前に

カヌーが楽しめる

四万十で川遊び

四万十・川の駅 カヌー館

D A T A☎ 0880-52-2121四万十市西土佐用井1111-11 営業時間 8:30~17:00

四万十川中流域で川遊びを楽しみたい方への情報拠点。館内には土産物、喫茶・軽食コーナーや珍しいカヌーを展示した資料室があります。気軽に体験できるカヌー教室は初心者でも安心。テント広場やコテージ、バンガローなどの宿泊施設も。

四万十市

 

四万十川自体が香川県人には想

像を絶する大河ではあるが、その四

万十川の代表的な風物詩が、沈下橋

と呼ばれるコンクリート製の渡しであ

る。欄干がなく、洪水になっても川底

に沈んで流失しない構造の橋で、何の

飾り気も変哲もないところにこそ、そ

の風土を垣間見ることができる。

四万十川本流には22本の沈下橋が架

かり、一つ一つ趣が異なることも風景の

楽しみ方のひとつである。

 

夏になると、地元の子供はもちろ

んのこと、県外からの旅行者も日に

焼けた童子に交じって川遊びに興じ、

あちこちから奇声があがる。とにかく

澄みきった水の冷たさが心地よくて、

思わず沈下橋からダイブしたくなる。

香川ではあり得ない川遊び 

中流域、下流域には数件の屋形船

遊覧を楽しませてくれる施設がある。

中には、四万十川の幸を船の中で食べ

させてくれるものもあり、船上で川面

を眺めながら食べる天然ウナギやアユ

料理は居酒屋風味とは幾味も違う。

中でもヤマトテナガエビの唐揚げは絶

品。思わず生つばを飲むほどビールが

欲しくなる香ばしさと歯ざわり、独特

の旨みがあとを引き、手が止まらない。

 

屋形船では四万十川ならではのアユ

漁やエビ、ウナギの漁も楽しめ、夏には

幻想的な火振り漁もある。季節によっ

ては、ホタルの乱舞と出くわすことも。

屋形船も四万十らしさ

 

四国西南地域は自然の宝庫。

でも、香川からはほど遠い所と

いうイメージを持っている方が

多いのではないだろうか。これ

が意外に遠くない。JRで行く

も、せっかくだから国策

1000円高速を使うもグッド。

 

香川から四万十川を攻略す

る場合、まずエリアをある程度

絞るのがベスト。拠点は須崎も

しくは中土佐町。源流のある津

野町、梼原町へは須崎から国道

197号を旧葉山村に、上中流

域となる四万十町へは国道56号

七子峠から旧大野見村へと向か

うルートと、56号窪川から大正

方面へ向かうルートがあり、河

口となる四万十市周辺はその

まま56号を太平洋に進むルート

になる。道中には四万十の幸が

楽しめる道の駅や公共施設、漫

画の神様が祀られた奇想天外

な「マンガ神社」や、太平洋沿い

にはクジラウォッチングや砂浜

美術館など

高知ならで

はの見る、食

べる、遊ぶス

ポットが点在

する。

マンガ神社

平家が身を隠すため改名した地名ともいわれる半家(はげ)沈下橋 四万十川の源流地点には石碑が立っている

ビューポイントからの遠景が美しい岩間沈下橋四万十川の風物詩、屋形船アユ漁

四万十川へは

JR、車どちらもOK

旅するオンナの情報交換

トラベル

1011

Page 2: travel_08

 

国道56号を須崎市から20分ほ

ど西へ走ると、中土佐町に絶品

のカツオのたたきを味わえる

「黒潮工房」がある。温泉宿「黒潮

本陣」に隣接する施設で、土佐の

一本釣りで有名な久礼漁港に水

揚げされた新鮮なカツオを藁で

焼き仕上げてくれる。たたきづ

くりの体験も可能だ。焼いたあ

と冷水で冷やさず、少し温かさ

をのこすのが中土佐流。

 

また、黒潮本陣には太平洋の

絶景を望める露天風呂もあり、

泊まるもよし。

▲自分で焼いた、できたての カツオのたたきはいかが?

新鮮なカツオづくしを満喫できます

四万十市

【予約・お問い合わせ】 四万十・川の駅 カヌー館☎ 0880-52-2121 四万十市西土佐用井1111-11営業時間 8:30~17:00

四万十川を支える美しい支流を散策するのに最適なマウンテンバイクのレンタサイクルです。流域7ヵ所のターミナルで乗り捨てが可能な便利さです。 料金 1 日    1,000円(当日の17時までに返却)   24時間以内1,500円(翌日の同じ時間までに返却)

JR予土線の土佐大正駅と十川駅、江川崎駅間を走る「清流しまんと号」と、窪川駅と宇和島駅間を走る「四万十トロッコ号」の2種類があります。運転日や料金等、事前にみどりの窓口などで問い合わせ・予約が必要です。【お問い合わせ】お近くのJR四国の駅みどりの窓口または旅行会社

四万十りんりんサイクル

トロッコ列車

 

JR四国が行楽シーズンに江川崎

駅と土佐大正駅の間で運転するト

ロッコ列車。これも四万十川の風物詩

のひとつ。大きく蛇行を繰り返す四

万十川に沿って、時速30㎞でコトコト

とトンネル抜けたり、橋りょうを渡っ

たり、パノラマカーの車窓からは四万

十川の大自然の風が通り抜けます。

眼下に清流を楽しむ

トロッコ列車も格別

あきついお トンボ自然公園

D A T A☎ 0880-37-4111 四万十市具同8055-5営業時間:9時~17時/月曜定休日 料金大人 840円、中高生 420円、4歳~小学生 310円

四万十市

月曜定休日

0円、

70種類以上のトンボが生息する世界で珍しい公園です。広大な敷地でトンボを探しながら散策できます。「あきつ」はトンボの古い呼び名、「いお」は魚(うお)がなまった言葉です。ザリガニ釣りの体験もできます。

 

四万十川流域にはいくつもの

温泉やおしゃれなホテル、コミュニ

ケーション優先の民宿がある。予

算の都合もあるけれど、素晴ら

しい大自然と触れるダイナミック

さは、多少は気ままに財布のひも

をといても、決してぜいたくとは

言われない。上流域の支流にある

「松葉川温泉」はじめ、渓流沿い

の「一の又渓谷温泉」や「十和温

泉」などは、日帰り入浴も楽しめ

る。カヌー館近くの「ホテル星羅

四万十」はおしゃれなプチホテル。

口屋内の民宿「舟母(せんば)」な

どは獲れたての四万十川の幸を

ダイナミックに料ってくれる。そ

れぞれの四万十流を提供してく

れるのも、この地域ならではの趣

かもしれない。

泊まりは気分次第

 

四万十川の味といえば、何といっ

ても清流の女王アユが有名ですが、

アメゴの塩焼きや刺身、姿寿司、ゴ

リの佃煮や卵とじ、ウナギのかば焼

きと、上流域から下流の汽水域ま

で魚介類の宝庫です。中でも、テナ

ガエビの塩焼きやから揚げ、スジア

オノリの天ぷらやアオサの佃煮の味

わいは絶品です。

四万十川の恵み

四万十川探検の前に

立ち寄ろう

江戸時代にすでに霊泉として知られた、松葉川温泉

開放感たっぷりのトロッコ列車マイコアカネ

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