su uma pu canis majoris superoutburstakazawa-hide.sakura.ne.jp/pu_cma2.pdfsu uma型矮新星pu canis...

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4. Analysis 6. Discussion 5. Results 観測データ 観測対象:系外惑星のトランジット、小惑星食、 食連星 、激変星、新星。 以下に船穂天文台の概観と観測装置を示す。 半自作FRP製 3.2mドーム ベランダ第2観測所 屋上観測所 1. Introduction SU UMa型矮新星PU Canis Majoris2009superoutburst期におけるCCD測光観測 激変星の一種である矮新星は、白色矮 (主星)と赤色矮星(伴星)から成る近接 連星系であり(Fig.1)、主星の周りには伴 星からの質量移動によって降着円盤が形 成されている。円盤を構成するガスが白 色矮星へ降着する際に、重力エネルギー の解放によってoutburst(増光)を起こし、 その増光幅は25等である。 観測は20091125から128日までの計9行った。フィルターはClear で行い、フレーム総数は 2317枚である。Table.1観測ログを示す。 AIP4Win V.2.1.8を使用し、一次処理を 行った後、aperture photometry(開口測光) による差測光を行った。 ②得られた測光データから光度曲線を作成し、 明瞭な光度曲線が得られた 11/25,28,30,12/1,3について、PDMを使用し superhumpの周期を算出。 O-C図を作成し、観測期間における superhump周期の変化を調べる。 References 観測施設: Fig.1: 矮新星のイメージ ○赤澤秀彦(倉敷市立川辺小学校) ,國富菜々絵,今村和義,能勢樹葉,田辺健茲(岡山理科大学),VSNET Collaboration team Light Curves PU CMaは、観測を開始した 11/25には約11.96等であり、その 後約0.08mag/dayで減光し、12/1 を境に約0.58mag/dayで急速に 減光した(Fig.3)12/8にはほとん ど静穏期の光度まで減光したと 思われる。 11/25には明瞭なsuperhump観測され、その後は短周期の変 動を示す複雑な形状の光度曲線 へと変化した(Fig.4)Fig.3 全体の光度曲線(2009/11/25-12/8) O-C diagram PDM Analysis Fig.4 日毎の光度曲線 Fig.5 位相平均した日毎の光度曲線 (2階ベランダ ) 赤色矮星 白色矮星 降着円盤 矮新星の中でもSU UMa型は、superoutburst(超増光)期の光度曲 線にsuperhumpと呼ばれる軌道周期よりも数%長い周期的な変動 が見られる。最近では、比較的軌道周期の短い矮新星の中に、 superhump周期が増加傾向を示す系があることが観測的に分かっ てきている。 (屋上ドーム内) Celestron C14, D=360mm, F11, SC ミカゲ210B E-ZEUS Celestron C11 D=280mm, F6.3, SC タカハシ160JP+E-ZEUS . (2階ベランダ) Celestron C8, D=200mm, F10, SC ビクセンGPD +SS2000PC Psh=0.05873(2)d 11/25 11/30 11/28 12/1 12/3 11/25 11/28 11/30 12/1 12/3 PDMで算出された観測期間内の平均のsuperhump周期は 0.05873(2)日となった(Fig.6)O-C図に2次曲線をフィットすると(Fig.7)、以下の式が得られた。 (屋上ドーム横) Meade LX200, D=200mm, F10, SC ミードLX200GPS HJD start * HJD end * Duration(hr) T exp(s) N ** 61.15701 61.31435 3.78 45 289 64.15146 64.30738 3.74 45 269 66.11142 66.32688 5.17 45 390 67.11487 67.32203 4.97 45 380 69.12126 69.32220 4.82 45 343 70.13483 70.26547 3.14 45 240 72.09054 72.17117 1.94 45 132 74.11775 74.24041 2.94 45 210 74.24276 74.28366 0.98 80 64 ** Number of frames. * HJD-2455100. Table.1 観測ログ(2009/11/25-12/8) CCD:SBIG ST-9XE Fig.6 superhump周期算出結果 Fig.2 測光フレームの一例(11/25)PU CMa(V)α =06h40m47.72s, δ =-24d23m14.5s 比較星1(C1)TYC6521-01283-1,V=11.21 比較星2(C2)TYC6508-01444-1,V=11.66 上式よりsuperhump周期変化率は cyclecount -1 となる。 Fig.7 PU CMaの観測期間におけるO-CHellier, C., Cataclysmic Variable Stars, Springer, 2001 ch.5-6 Kato, T., et al. 2009, PASJ, 61, S395-S616 Kato, T., et al. 2003, MNRAS, 339, 861-879 Patterson, J., et al. 2005, PASP, 117, 1204-1222 Thorstensen J. R., Fenton W. H., 2003, PASP, 115, 37 赤澤秀彦(船穂天文台), http://www.tamatele.ne.jp/~akazawa_hide/index.html Space-Art.co.uk, http://www.space-art.co.uk/index.php 2 3 2 5 10 ) 1 1 ( 3 1 10 ) 3 0 ( 6 0 10 ) 2 0 ( 5 0 . . . . . . E E C Ο 5 10 ) 3 8 ( 0 17 . . PU CMa1997年にROSATにより激変星として検出され、2000outburst期にSU UMa型矮新星であることが確認された。その後 2003年、2005年、2008年とsuperoutburstが検出されている。 2. Observations そして今回20091122日に,オーストラリアのR.Stubbingsによ 11.2等で増光が検出された(vsnet-aleart 11680) 。その直後、清田 誠一郎氏によりsuperoutburstであることが確認され(vsnet-aleart 11684)1125日より赤澤の自宅にある船穂天文台において、 CCDを用いた連続測光観測を行った。岡山理科大学(OUS)チーム は、赤澤のデータからsuperhump周期を求め、その周期変化を調べ たので報告する。 船穂天文台(Funao Astronomical Observatory) PU CMaの観測に使用した装置 移動式格納小屋 平均のsuperhump周期は0.05873(2)日となり、軌道周期が 0.05669(5)(Thorstensen & Fenton 2003)とすると、降着円盤の歳 差周期は1.634(2)日となり、またsuperhump周期超過は3.6%となる。 前回のsuperoutburst(2008)における周期超過2.3(Kato et al. 2009)と比較すると、大きな値を示したことが分かった。 観測期間におけるsuperhump周期変化率は正であり、過去の超増 光期(2005,2008)の報告(Kato et al. 2009)と同様の結果となった。 SU UMa型の中でも軌道周期が短い系の多くは superhump周期が 増加傾向を示すことが観測的に分かっており、PU CMaはその一員で あると考えられる。

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Page 1: SU UMa PU Canis Majoris superoutburstakazawa-hide.sakura.ne.jp/PU_CMa2.pdfSU UMa型矮新星PU Canis Majorisの 2009年superoutburst期におけるCCD測光観測 激変星の一種である矮新星は、白色矮

4. Analysis

6. Discussion

5. Results

②観測データ

観測対象:系外惑星のトランジット、小惑星食、食連星 、激変星、新星。

以下に船穂天文台の概観と観測装置を示す。

半自作FRP製3.2mドーム

ベランダ第2観測所

屋上観測所

1. Introduction

SU UMa型矮新星PU Canis Majorisの2009年superoutburst期におけるCCD測光観測

激変星の一種である矮新星は、白色矮星(主星)と赤色矮星(伴星)から成る近接連星系であり(Fig.1)、主星の周りには伴星からの質量移動によって降着円盤が形成されている。円盤を構成するガスが白色矮星へ降着する際に、重力エネルギーの解放によってoutburst(増光)を起こし、その増光幅は2~5等である。

観測は2009年11月25日から12月8日までの計9夜行った。フィルターはClear

で行い、フレーム総数は2317枚である。Table.1に観測ログを示す。

①AIP4Win V.2.1.8を使用し、一次処理を行った後、aperture photometry(開口測光)

による差測光を行った。②得られた測光データから光度曲線を作成し、明瞭な光度曲線が得られた11/25,28,30,12/1,3について、PDMを使用しsuperhumpの周期を算出。③ O-C図を作成し、観測期間におけるsuperhump周期の変化を調べる。

References

①観測施設:

Fig.1: 矮新星のイメージ

○赤澤秀彦(倉敷市立川辺小学校),國富菜々絵,今村和義,能勢樹葉,田辺健茲(岡山理科大学),他VSNET Collaboration team

① Light Curves

PU CMaは、観測を開始した11/25には約11.96等であり、その後約0.08mag/dayで減光し、12/1

を境に約0.58mag/dayで急速に減光した(Fig.3)。12/8にはほとんど静穏期の光度まで減光したと思われる。

11/25には明瞭なsuperhumpが観測され、その後は短周期の変動を示す複雑な形状の光度曲線へと変化した(Fig.4)。Fig.3 全体の光度曲線(2009/11/25-12/8)

③ O-C diagram② PDM Analysis

Fig.4 日毎の光度曲線 Fig.5 位相平均した日毎の光度曲線

(2階ベランダ )

赤色矮星

白色矮星

降着円盤

矮新星の中でもSU UMa型は、superoutburst(超増光)期の光度曲線にsuperhumpと呼ばれる軌道周期よりも数%長い周期的な変動が見られる。最近では、比較的軌道周期の短い矮新星の中に、superhump周期が増加傾向を示す系があることが観測的に分かってきている。

(屋上ドーム内)

Celestron C14,

D=360mm, F11, SC

ミカゲ210B E-ZEUS

Celestron C11

D=280mm, F6.3, SC

タカハシ160JP+E-ZEUS

.

(2階ベランダ)

Celestron C8,

D=200mm, F10, SC

ビクセンGPD

+SS2000PC

Psh=0.05873(2)d

11/25

11/30

11/28

12/1

12/3

11/25

11/28

11/30

12/1

12/3

PDMで算出された観測期間内の平均のsuperhump周期は0.05873(2)日となった(Fig.6)。

O-C図に2次曲線をフィットすると(Fig.7)、以下の式が得られた。

(屋上ドーム横)

Meade LX200,

D=200mm, F10, SC

ミードLX200GPS

HJD start* HJD end* Duration(hr) T exp(s) N**

61.15701 61.31435 3.78 45 28964.15146 64.30738 3.74 45 26966.11142 66.32688 5.17 45 39067.11487 67.32203 4.97 45 38069.12126 69.32220 4.82 45 34370.13483 70.26547 3.14 45 24072.09054 72.17117 1.94 45 13274.11775 74.24041 2.94 45 21074.24276 74.28366 0.98 80 64

** Number of frames.

* HJD-2455100.

Table.1 観測ログ(2009/11/25-12/8)

CCD:SBIG ST-9XE

Fig.6 superhump周期算出結果

Fig.2 測光フレームの一例(11/25)。PU CMa(V):α =06h40m47.72s, δ =-24d23m14.5s

比較星1(C1):TYC6521-01283-1,V=11.21

比較星2(C2):TYC6508-01444-1,V=11.66

上式よりsuperhump周期変化率は cyclecount-1となる。

Fig.7 PU CMaの観測期間におけるO-C図

Hellier, C., Cataclysmic Variable Stars, Springer, 2001 ch.5-6

Kato, T., et al. 2009, PASJ, 61, S395-S616

Kato, T., et al. 2003, MNRAS, 339, 861-879

Patterson, J., et al. 2005, PASP, 117, 1204-1222

Thorstensen J. R., Fenton W. H., 2003, PASP, 115, 37

赤澤秀彦(船穂天文台), http://www.tamatele.ne.jp/~akazawa_hide/index.html

Space-Art.co.uk, http://www.space-art.co.uk/index.php

2325 10)11(3110)30(6010)20(50 ...... EECΟ510)38(017 ..

PU CMaは1997年にROSATにより激変星として検出され、2000年のoutburst期にSU UMa型矮新星であることが確認された。その後2003年、2005年、2008年とsuperoutburstが検出されている。

2. Observations

そして今回2009年11月22日に,オーストラリアのR.Stubbingsにより11.2等で増光が検出された(vsnet-aleart 11680) 。その直後、清田誠一郎氏によりsuperoutburstであることが確認され(vsnet-aleart

11684)、11月25日より赤澤の自宅にある船穂天文台において、CCDを用いた連続測光観測を行った。岡山理科大学(OUS)チームは、赤澤のデータからsuperhump周期を求め、その周期変化を調べたので報告する。

船穂天文台(Funao Astronomical Observatory)

PU CMaの観測に使用した装置

移動式格納小屋

平均のsuperhump周期は0.05873(2)日となり、軌道周期が0.05669(5)日(Thorstensen & Fenton 2003)とすると、降着円盤の歳差周期は1.634(2)日となり、またsuperhump周期超過は3.6%となる。前回のsuperoutburst(2008年)における周期超過2.3%(Kato et al.

2009)と比較すると、大きな値を示したことが分かった。観測期間におけるsuperhump周期変化率は正であり、過去の超増光期(2005,2008)の報告(Kato et al. 2009)と同様の結果となった。SU UMa型の中でも軌道周期が短い系の多くは superhump周期が増加傾向を示すことが観測的に分かっており、PU CMaはその一員であると考えられる。