srws第四回文献の選択基準@滋賀医大
TRANSCRIPT
系統的レビュー研究計画書作成ワークショップ第四回 文献の選択基準
兵庫県立尼崎総合医療センター Hospital Care Research Unit
辻本 啓 / 片岡 裕貴
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このコースの目標
• 各参加者が興味を持つ臨床疑問を洗練した
上で、実施に足るレベルの系統的レビュー
の研究提案書を完成させる
SR & MA の全体像
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構造化された疑問
系統的な検索・データベースの選択
・検索式の作成・文献の選択基準
・事前登録
漠然とした疑問
選択文献を対象とした批判的吟味
・事前に規定した評価基準 (Risk of bias)
発表 結果の統合とまとめ(=meta-analysis)
第一回 第二 , 三 , 四回
第五回第六-八回第九回
前回の復習
Ovid の検索で$(= * )はどういう意味?
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今日の目標
• PRISMA フローチャートとは何か説明できる
• 文献の選択基準とは何か説明できる• 自分の RQ に基いて 研究デザイン、 P 、 I 、 C 、 O それぞれの定義を決めることができる
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ふるいにかける
第一回に出てきた論文から
第一回に出てきた論文からデータベースから出てきた論文
PubMed から CENTRAL から
Science Citation Index から医中誌から重複を除く
第一回に出てきた論文からデータベースから出てきた論文
PubMed から CENTRAL から
Science Citation Index から医中誌から重複を除く
タイトルとアブストラクトで抽出
第一回に出てきた論文からデータベースから出てきた論文
PubMed から CENTRAL から
Science Citation Index から医中誌から重複を除く
タイトルとアブストラクトで抽出本文も込みで抽出
該当論文
除外理由
たくさんの論文から間違いなく抽出するために
• 誰が選んでも同じになるような、 選択基準を決める!
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例えば
「白い動物」 を選ぶなら?
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例えば
「家畜」を選ぶなら?
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例えば
「かわいいこ」 を選ぶなら?
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タイトルとアブストラクトから抽出するために
• 誰が選んでも同じになるような、 選択基準を決める!→ 少し試しにやって、基準を追加
” 目が水平より 15° 以上つり上がったものをかわいくないとする“
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復習:検索式を決めるのは?
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検索式を決めるのは?
#1 健康状態を示す用語#2 介入、暴露を表す用語#3 研究デザインを限定する用語
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前回の RQ
P: 糖尿病患者I: 減量手術C: 手術しないO: 死亡
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例:前回の RQ から以下のように定義
P: 糖尿病患者 2 型糖尿病のみ(ステロイド糖尿病、 1型、クッシング病などは除く) 年齢は 18 歳以上 I: 減量手術 胃癌、胃十二指腸潰瘍への手術は除く 術式は限定しないC: 手術を受けない
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P について 決めておく一般的なこと
• その病態がどのように定義 /診断されるか
• その群を記述する際に重要な特徴• 年齢・性・人種などを規定するか• セッティング(院内、地域医療 etc )• 誰がその病態を診断するか• 除外したほうが良い患者群はいるか
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Cochrane Hancbook Capter 5 参照
介入 /比較について 決めておく一般的なこと
• 介入に多様性があるか(量 , 投与方法 , 施行者 , 頻度 , 期間 , タイミング etc. )
• 除外すべき種類の介入は有るか• 部分的にその介入を行っている場合の扱い• 他の介入と組み合わせられている場合の扱い
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Cochrane Hancbook Capter 5 参照
例: C の定義に関する注意
例:P 挿管されているI PPIありC PPI なし ←どこまで OK ?O ストレス潰瘍
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研究デザインは?
大雑把にRandomised controlled trial (介入研究)Observational study (観察研究)症例報告
該当論文がそれなりにありそうなら、RCT のみに限定
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Randomised trial の中でも
Individual randomization (よくある RCT )Cross over randomization (途中で介入とコントロールが入れ替わる)Cluster randomization (施設や病棟ごとのランダム化)Quasi-randomization (組み入れ順に交互に割り付けなど )
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解析の問題 (meta-analysis する際 )
• Cluster randomizationクラスター内での相関を考慮する解析→” お経がある”• Cross-over randomization入れ替わる前半のみ解析する場合が多い• Quasi-randomization最初から除外したり、除いた結果も感度分析として示す
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Observational study
Cohort studiesCase-control studiesCross-sectional studies
上記はほぼ同じ扱いで良い通常は、コントロールのない症例報告は入れない※診断精度に関する研究はこちらがメインになります
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どこまで入れるかどうやって決める? ざっくり
今回の WS としては、1− 2個 程度Individual randomizationの研究があれば
Individual randomizationCross over randomizationCluster randomizationまで含めるで OK
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※ いろいろな種類の研究をいれると解釈 / 解析の難易度があがっていく
Individual randomization がたくさんある場合
今回の WS としては、Individual randomization のみ含めるでOK
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1 つも Individual randomization の研究がない場合
• Individual randomization• Cross over randomization• Cluster randomization• Quasi-randomizationの研究も含めるObservational study は除外
と まずは書いてください。
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PECO の臨床疑問の場合
• Individual randomization• Cross over randomization• Cluster randomization• Quasi-randomization• Cohort studies• Case-control studies• Cross-sectional studiesまで含める比較のない Case series, Case report は除外すると まずは書いてください。
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※ 多くはメタアナリシスしないので、前述の解析の問題への対処は必要はありません
アウトカムはどうするの?
アウトカムごとに文献を選んでまとめる!
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http://www.guidelinedevelopment.org/handbook/images/image16.png
重要事項!
見たいアウトカムが(既知の)一次研究で測定されているかで文献の選択基準をつくることはほぼない
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※ 一次研究とは?:レビューに含まれる研究 (RCT など )のこと
しかし、アウトカムについても”ほとんど”は事前に決める
メイン・アウトカム多くても 7 つ臨床判断や推奨に関わるもの、患者にとって重要なもの (Summary of findings table に含める )
プライマリアウトカム多くても 3 つをメインアウトカムから選ぶ1 つ以上の desirable と undesirable なものを入れる
セカンダリ・アウトカムこちらはいくつでも OK介入の効果の説明や解釈に役立つものである必要がある
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Summary of findings table って?
結果の見せ方の一つ詳しくは また第 8 回で
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なんとなくわかった
具体的にどうすれば?
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再出
私がより遠くまで見渡せたとすれば、それは巨人の肩の上に乗ることによってです。
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先行研究の基準を参考に
こういった情報をまとめたもの
Study eligibility sheet
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Main Outcome は Summary of Findings table (SoF table) 参照
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※ プロトコルが古いコクランレビュー ( 実施に時間がかかった ) だと載っていないものもあります。
Primary と Secondary アウトカムはレビューの Methods にあります
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注意!
アウトカムの重要性を決めるのは非常に難しいです。今回は先行レビューを見るなど、“先人に学んで” つくってみましょう
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※ 学問的な方法論の正しさを求めるなら GRADE アプローチの参考文献(GRADE guidelines: 2 Framing the question and deciding on important outcomes) があります。
最終の論文ではこの文献選択の流れのシートも作ります
データベースから出てきた論文PubMed から CENTRAL から
Science Citation Index から医中誌から重複を除く
タイトルとアブストラクトで抽出本文も込みで抽出
該当論文
除外理由
= PRISMA フローチャートと言います。 Study flow diagram と言ったりもします。
ダブルチェックも実施する際に必要です
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今日の目標
• 文献の選択基準とは何か説明できる• PRISMA フローチャートとは何か説明で
きる• 自分の RQ に基いて 研究デザイン、 P 、 I 、 C 、 O それぞれの定義を決めることができる
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参考文献
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• Higgins JPT. & Green S (editors). Chapter 5: Defining the review question and developing criteria for including studies: Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions - version 5.1.0 [updated March 2011]. Cochrane Collaboration. 2011;1–11.
• Yamakawa K, Aihara M, Ogura H, Yuhara H, Hamasaki T, Shimazu T. Recombinant human soluble thrombomodulin in severe sepsis: a systematic review and meta-analysis. J Thromb Haemost. 2015
• Moher D, Liberati A, Tetzlaff J, Altman DG. Preferred reporting items for systematic reviews and meta-analyses: the PRISMA statement. PLoS Med . 2009 Jul 21;6(7):e1000097.
• Annane D, Bellissant E, Pe B, Briegel J, Keh D, Kupfer Y. Corticosteroids for treating sepsis ( Review ). 2015;(12).
• 相原守夫 『診療ガイドラインのためのGRADEシステム 第2版』• Guyatt G, Oxman AD, Akl EA, Kunz R, Vist G, Brozek J, et al. GRADE
guidelines: 1. Introduction - GRADE evidence profiles and summary of findings tables. J Clin Epidemiol. 2011;64(4):383–94.
• Guyatt GH, Oxman AD, Kunz R, Atkins D, Brozek J, Vist G, et al. GRADE guidelines: 2. Framing the question and deciding on important outcomes. J Clin Epidemiol. 2011;64(4):395–400.