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SmartLab粉末回折計簡易マニュアル (広角集中法D/teX) 簡易広角(集中法)D/teXパッケージ測定についての簡易マニュアルです。このパッケージの詳細については SmartLab Guidanceのヘルプから読めるpdfファイル「簡易広角(集中法)D/teXパッケージ測定」をご覧くだ さい。光学系の調整、精密な測定や応用測定等についてもヘルプを参照してください。ただこの装置につい ている Kα1モノクロメーターがこの時点では新しいものだったので、これらのマニュアルに反映されておら ず、読むときに注意する必要があります。不明な場合は神崎に尋ねてください。 管理者:神崎正美 (TEL 3971; [email protected]) 2010/04/08 (2017/01/03 最終更新) SmartLab本体 SmartLabの概要 Cu管球 (40kV, 30mA) Ge 111 入射モノクロメーター(Kα1) θ-θ型ゴニオメーター(試料は常に水平) 擬似集中法 (Bragg-Brentano)(標準)又は平行ビーム法 1次元検出器 (D/teX Ultra)(0次元シンチレーションカウンターも使えます)

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Page 1: SmartLab粉末回折計簡易マニュアル (広角集中 …masami/pdfs/smartlab-manJ.pdf(TEL 3971; mkanzaki@misasa.okayama-u.ac.jp) 2010/04/08 (2017/01/03 最終更新) SmartLab本体

SmartLab粉末回折計簡易マニュアル (広角集中法D/teX) 簡易広角(集中法)D/teXパッケージ測定についての簡易マニュアルです。このパッケージの詳細についてはSmartLab Guidanceのヘルプから読めるpdfファイル「簡易広角(集中法)D/teXパッケージ測定」をご覧ください。光学系の調整、精密な測定や応用測定等についてもヘルプを参照してください。ただこの装置についている Kα1モノクロメーターがこの時点では新しいものだったので、これらのマニュアルに反映されておらず、読むときに注意する必要があります。不明な場合は神崎に尋ねてください。 

管理者:神崎正美

(TEL 3971; [email protected])

2010/04/08 (2017/01/03 最終更新)

SmartLab本体

SmartLabの概要 Cu管球 (40kV, 30mA) Ge 111 入射モノクロメーター(Kα1) θ-θ型ゴニオメーター(試料は常に水平) 擬似集中法 (Bragg-Brentano)(標準)又は平行ビーム法 1次元検出器 (D/teX Ultra)(0次元シンチレーションカウンターも使えます)

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部屋の利用マナーが悪すぎる。装置や部屋を汚した場合に

は掃除すること。部屋でサンドペーパーを使うなどの汚染

するような作業は行わないこと。今後も改善されない場合

には、利用制限(神崎管理下での使用)を課す予定である

(2016/06/18) 注意:使用前にフィルムバッジを装着すること(厳密にはX線回折装置内が管理区域であ

るが、念のため)。

(以下で””で囲っているのは本体フロント面のスイッチなど、「」で囲っているのはPC上のオブ

ジェクト等)

使用方法 以下の3ステップは通常不要だが、起動しない時はこれらをチェックする。 1. 装置後部のブレーカーをON位置にする。 2. 前面のキースイッチ(“HV Enable”)を水平方向に。 3. キースイッチの左側の”I (POWER)”スイッチを押す。”Operate”ランプが点灯し、緑色になる。場合によってビープ音がして、”Door Lock”スイッチのランプが点滅する。この場合は”Door Lock”スイッチを一度押す。

通常はここからスタート 4. “Operate”ランプ(前面左下側)が緑色に点灯していることを確認。 5. 冷却水ユニット(PCの後ろ)前面のブレーカー(赤い丸部分)をON。LED表示は最初READYでその後、水温を表示する。

6. まだ起動していなければ、制御用PCを起動する。ログインではパスワードなし。 7. デスクトップ上の「SmartLab Guidance」アイコンをダブルクリック。 8. jpnまたはAdminでログイン。パスワードは現在設定していない。jpnでログインするとメニュー等は日本語になる。英語メニューが必要な場合はengとしてログインする。 なおユーザーにより、設定ファイルや調整時データが異なるので、常に同じユーザーで使う方がよい。

9. 初期設定等が始まる。これには数分かかる。 10. パッケージ測定フローバー(flow bar)の「スタートアップ...」ボタンをクリックして、スタートアップを始める。 「スタートアップ」のウィンドウで現れる。パッケージ測定フローバー自体が見当たらない場合は、タスクメニューから、「パッケージ測定」を選択する。

11. 「スタートアップ」のウィンドウで、前回使用からの間隔に応じて(ログノートを見る)、「XGの使用頻度」リストで、適当なものを選択する。「XG設定」リストは”現状維持”にする。

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「実行」ボタンをクリックすると、日付、時刻ボックスの値に関わらず、直ちにスタートアップを始め、冷却水が流れ始める。なお設定値は40kV, 30mAであり、この値でない時は、この値を設定する。自動的にエージングを行い、最終的に40kV, 30mAに設定される。「装置制御中」ウィンドウにエージングの待ち時間が出ているので、それまで待機する。数週間使ってなかったときには数時間かかる。終了すると「装置制御中」ウィンドウが消える。

12.本体頂上のランプはX線発生時に点灯する。またシャッターが開いている場合は、内部の管球付近の赤ランプが点灯する。

サンプル交換 13.“Door Lock”ボタンを押す。ビープ音が鳴り、PC上でドアを閉めるように促すウィンドウが開き、PC上で他の操作ができなくなる。

14.音が変化したら、ドアを開けて(両側に開く)、サンプルをステージに設置/交換する。標準のガラス製サンプルホルダー(古いものでも)や無反射石英板、シリコン板が使える。

15. ドアを確実に閉める。 再度“Door Lock”ボタンを押す。ビープ音は止み、メッセージウィンドウは消える。

16.内部で照明が必要なら、中央下側の”Lamp”ボタンを押す。 測定 17.パッケージ測定フローバーの上部から、「簡易広角(集中法)D/teX」を選択(「粉末定性・構造評価」フォルダーに折り込まれている場合はそのフォルダー左の+をクリック)。このパッケージの手続きのリストが下側のウィンドウに表示される(リガクのマニュアルではパートと呼ばれている)。最初の光学調整から行うと、検出器交換等が必要となるので、「Run」ボタンや「光学系調整」パート等はクリックせず、それらは飛ばして、4番目の「簡易広角測定(集中法)」パートを直接クリックする。間違って「光学系調整」等をクリックした場合は「キャンセル」ボタンをクリックして、戻る。

18.「簡易広角測定(集中法)」のウィンドウが現れる。ここでファイル名など設定する。 「おまかせ条件」でよければ、 試料の種類、ステップ、スピードを設定して、「実行」ボタンを押す。測定にかかる時間が左下側に示される。かなり高速なスキャン速度になっている。

19.測定条件をカスタマイズしたい場合、または「おまかせ条件」の具体的な測定条件が知りたい場合は、「条件をカスタマイズ」をチェックして、「カスタマイズ...」ボタンをクリックする。「カスタマイズ」ウィンドウが出てくるので、ここで スリット条件、測定条件を設定する。「推奨測定条件」ボタンをクリックすると、標準的な条件がセットされる。入射スリット(IS)の2/3˚

は前機種の1˚に相当する。ISとサンプル面照射幅の関係は、付図に示した。定量的な分析が必

要な場合は、低角側において照射幅がサンプル幅より大きくならないようなISを選択しなければならない。IS長手は試料に応じて設定する(通常10 mm)。これもサンプルにより変更するが、変更した場合は測定開始時にスリットの交換を要求されるので、それに従って交換する。RS1は4˚, PSAはNo_unit, RS2は13 mmに(D/teXの長さに対応)、アッテネーターはOpenにす

る。ソーラースリットは標準で5˚のものが入っているはずである。測定条件は、D/teXではス

キャンモードは連続のみ。標準的には5-90˚くらいの範囲で、0.02˚ステップ。スキャンスピー

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ドは測ってみて、満足する値を選ぶ。既に入射側で単色化しているので、ここでは単色化法は選択できない。回転ステージを使っている場合は回転速度を設定できる(単位の表示が間違っている、rpmである)。

20.条件を設定したら、「実行」ボタンをクリックする。注意:ここで光学素子交換のメッセージウィンドウがポップアップするので、「OK」ボタンをクリックする。実際には交換する必要はないが、クリックしないと測定が始まらない。隅に出てきた時にはクリックするのを忘れがちであるので注意。入射スリット幅を変えた時は、その交換のメッセージが出る。

21.測定途中結果が真ん中のウィンドウに表示される。いつまでも表示されなければ、光学素子交換メッセージが出たままになっていないかチェック。右クリックで拡大表示等ができる。なお1次元検出器の特性で、実際の測定が始まってからデータが最初に表示されるまでに少し時間がかかる。特にスキャンスピードが遅い場合は数分かかることがある。「装置制御中」ウィンドウで、測定の一時停止や中止を行うことができる。測定終了後は、「装置制御中」ウィンドウが消える。

22. 回折データの定性分析等はPDXLソフト(同PCに内蔵)を使う。データ測定中でも、測定済みのデータについては解析を行うことができる。現在、QualX2というフリーの定性分析ソフトもインストールしている。そのためにはまず回折データを.asc形式でセーブして、それを制御用PCにあるasc2datというアイコンにドラッグ&ドロップする。できた.datファイルをQualX2で読み込む。QualX2については別途マニュアルを用意している。なお、PDXLはライセンスの関係で自分のPCで動かすことはできないが、QualX2は個人のPCでも利用出来る(登録は必要)。

23.非常時には前面左下の非常停止ボタン”EMO”を押す。復帰させるにはボタンを時計回りに回転し、安全を確認した後に、ステップ1から始める。「SmartLab Guidance」も再起動する。

24.水冷装置は部屋内の空気で冷却しているので、部屋の温度が高い場合は、エアコンで設定温度を下げる。

測定の終了 25.フローバーの「シャットダウン」ボタンをクリックする。 26. リストボックスから「X線オフ」を選択し、「実行」ボタンをクリックする。電流、電圧が落ち、数分後に冷却水が止まる。注意:OKボタンをクリックしても実行しない。

27. 冷却水が停止したことを確認してから、「SmartLab Guidance」ソフトを終了する。 28.必要なら測定データをUSBメモリー等にコピーする。サンプルを取り出す。 29.SmartLab本体側は何もする必要がない。 30. 必要ならPCを停止する。 31. 冷却水ユニット前面のブレーカーをOFFにする(通常不要)。 32. ログノートに使用者、使用日時、時間等を記録する(読めるようにお願いします)。共同利用(研究所外の方は所属も書いてください。

33. サンプルは回収したか?USBメモリーを忘れていないか?

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メモ 1) ハードウエアエラーが立ち上げ時に出る場合は、一度SmartLab本体の電源を切って、再度このマニュアルの最初からスタートする。まだエラーが出るときは神崎まで連絡ください。

2) Kα1モノクロメーターを使っている時は、Kβは既にカットされているので、Ni箔Kβフィルターを使わないこと。

2) D/teXでは受光スリットがオープンであるため、低角側でのバックグラウンドが高くなる。異常に低角側のバックグラウンドが高い時は、ビームストッパーが引っ込んでないかチェック(調整後に引き出すのを忘れている可能性がある)。

3) 鉄等の重い元素を含んでいると蛍光X線によりバックグラウンドが上昇する。これを低減するにはD/teXの蛍光低減モードを使う。ピーク強度自体は数割弱くなるが、バックグラウンドが改善されるので、総合的なSNが改善される。「ユーテリティ」の「検出器調整D/teX」を選択し、「蛍光低減」を実行する。標準シリコン試料をホルダーに入れる必要がある。なお使用後は「標準」モードに戻すこと。

4) 回転ステージもあります。利用時は神崎に連絡してください。試料ステージの下図のものは交換する必要があります。リガクの標準のガラスホルダーは使えますが、古いもの、単結晶板は使えません。

5) QualX2を使った同定の場合、出てくる相の番号(7桁の数字)は、回折パターンを計算した時に使ったCODのデータベース番号と一致している。その構造についての情報は簡単に得ることができる。ウェブブラウザーで、http://www.crystallography.net/*******.cifでアクセスすれば(*******はその7桁の数字)、構造データ(cifファイル形式)をダウンロードできる。そのcifファイルを結晶構造3D表示ソフトVestaでオープンすれば、構造を眺めることができる。

6) Macユーザーの場合は、神崎のwikiページで、結晶構造の検索、ダウンロード、Vestaでの表示を自動的に行うPythonプログラムを公開しているので、それを利用できる。

標準の試料ステージ。上側の部分に試料ホルダーを水平に差し込む。

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SmartLab本体内部。左側が入射系、中央が試料ステージ、右側が測定系。管球(赤いランプの奥側)とCBOユニットの間にあるのが、 Kα1 用のモノクロメーター。右端のRigakuと書かれた箱がD/teX検出器。

定量的な測定をする場合は上図を見て、ビーム照射幅が試料内に収まるようにする