慶應sfcにおける遠隔授業と アンケート調査結果2020/06/05 ·...
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慶應SFCにおける遠隔授業とアンケート調査結果
慶應義塾大学 環境情報学部 准教授植原啓介
1
COVID-19へのSFCの対応
2
SFC2020春学期週表3/2 3/9 3/16 3/23 3/30 4/6 4/13 4/20 4/27 5/4 5/11ガイダンスをキ(ンパスでやらない前提でD
S
やTOEFL
の試験の検討
オンライン授業の可能性模索開始
16新学事⽇程決定
17おかしらメLル通信Vol.
6事件
19﹁可能な限りオンライン﹂・シラバス再⼊⼒開始・⽀援窓⼝設置
23教員向講習会実施︵11回実施︶・⽀援サイトオLプン
1新シラバス公開・6⽉10⽇までの全授業でのオンライン授業決定
8学⽣向講習会実施︵16回実施︶
1
23
30授業開始
26NII
シンポジウム
2﹁SFC
2020年度春学期授業の実施に係る基本⽅針﹂
11Zoom
提供開始
3
7教員向けアンケLトの実施︵1週間︶
12学⽣向けアンケLトの実施︵1週間︶
6学部⻑メ�セLジ
6教員向けSlack
の導⼊
28春学期を通してオンライン授業継続決定
7緊急事態宣⾔ 多くの国⽴⼤学が授業開始
オンライン授業をやるにあたっての議論•一部の学生が教室から受講、一部の学生がオンラインから受講することが想定され、3/17に「可能であれば、遠隔中継による授業も推奨します。ただし、教員は出張先等からではなく、教室から発信するようにしてください。通信環境が悪いところで行う場合、授業の質が確保できない恐れがあります。」という案内とともに「ぜひ具体的な提案をお願いします!」というメッセージがでたことによって活発な議論がおきた。•教室からの配信は、むしろ難しい。•リスクを避けるのではなく、リスクがあればそれをフォローするような体制を作るべき。• ICTが不得意な人にもきちんと配慮すべき。•基本的な支援体制は敷いた上で、やり方は教員の裁量に任せるべき。
4
窓口での運用の工夫• できる限りオンライン化してもらうよう努める。(3/19)• 対応: 急いで資料を作り、講習会も手厚くやる。結果5日で資料とサポートページを日英で作成。• 結果: 4/1のシラバス公開時点で3割程度が自主的にオンラインを選択• 質問を管理する。(3/19)• 対応: Google Spreadsheetで質問管理表をつくり、メンバーで共有する。• 結果:入力が面倒だが、非常に良く管理できた。• 窓口メンバーのコミュニケーションを良くする。(3/20)• 対応: 窓口メンバーのコミュニケーションにSlackを導入した。• 結果: 愚痴の言い合いも含めて、非常に良く機能した。• 問い合わせ数を減らす。(3/23)• 対応:本来は上の質問管理表をそのまま公開しようと考えていたが、個人が特定できる問い合わせが多かったので、別にサポートページを作った。
• 結果: 始めはうまく機能したが、更新が追いつかなかったり、情報が多くなると(ページ数が増えると)見てもらえなくなる。
• 問い合わせを定型化する。(4/2)• 対応: メールによる不定形な問い合わせを避け、Google Formsを使う。• 結果: Google Formsはあまり使ってもらえない。
5
SFCオンライン授業サポートページ
•各種アナウンス•講習会案内(学生・教員向け)•講習会資料(学生・教員向け)• FAQ
6
オンライン授業支援窓口問い合わせ件数
7
0
5
10
15
20
25
3⽉19⽇
3⽉20⽇
3⽉21⽇
3⽉22⽇
3⽉23⽇
3⽉24⽇
3⽉25⽇
3⽉26⽇
3⽉27⽇
3⽉28⽇
3⽉29⽇
3⽉30⽇
4⽉1⽇
4⽉2⽇
4⽉3⽇
4⽉4⽇
4⽉6⽇
4⽉7⽇
4⽉8⽇
4⽉9⽇
4⽉10⽇
4⽉11⽇
4⽉12⽇
4⽉13⽇
4⽉14⽇
4⽉15⽇
4⽉16⽇
4⽉17⽇
4⽉18⽇
4⽉19⽇
4⽉20⽇
4⽉21⽇
4⽉22⽇
4⽉23⽇
4⽉24⽇
4⽉25⽇
4⽉26⽇
4⽉27⽇
4⽉28⽇
4⽉29⽇
4⽉30⽇
5⽉1⽇
5⽉2⽇
5⽉3⽇
5⽉4⽇
5⽉5⽇
5⽉6⽇
5⽉7⽇
5⽉8⽇
5⽉10⽇
5⽉11⽇
5⽉12⽇
5⽉13⽇
5⽉14⽇
5⽉15⽇
5⽉16⽇
5⽉17⽇
5⽉18⽇
5⽉19⽇
5⽉20⽇
5⽉21⽇
5⽉22⽇
5⽉25⽇
3⽉ 4⽉ 5⽉
現在のSFCのオンライン授業•殆どの授業でライブのオンライン授業が行われている。(後半のアンケートを参照のこと)•ツールとしては、Webex Training、Webex Meeting、Zoomなどが使われている。•教員が会議を設定し、SFCのLMSであるSFC-SFSにて入室情報を提供。•一部オンデマンドのオンライン授業も行われている。•教員がそれぞれに工夫をして、より良いオンラインでの学びができるように知恵を絞っている。•5週間が経過し、学生も教員もオンライン授業に慣れてきたところである。
8
“SFC GO” (Going-well Online) : SFC遠隔体育アプリ⽬的: オンライン授業の状況においても、(1)学⽣の⼼⾝の体調を整え、(2)同時に学⽣同⼠の繋がりを醸成する「SFC体育1」の授業を実現するため概要: 各⾃がスマートフォンにSFC GOアプリをインストールし、「⽇常⽣活」や「運動セッション」のデータを記録。クラスでの共有・ふり返りを⾏います
データを⾒てふり返り
SFC GOアプリ(Android / iOS)(1)家事など⽇常⽣活中の
体の動きをスマホ内蔵センサでセンシングし、振り返れます
(3)アプリ利⽤ポイント・歩数換算などデータを楽しめます
(2)教員から出題される「課題」ごとの内容にそって、セッション形式の運動を記録し、提出します
課題毎のタイムライン上で提出物をお互いに⾒合い、クラス内でディスカッションできます
課題
セッション運動センシング
アプリ「SFC GO」は、オンライン授業導⼊にともない、SFC体育科教員および環境情報学部中澤仁研究室有志 (多くが学部⽣2年〜⼤学院⽣の有志、OB/OGも含む) によって、4⽉中旬より企画/設計/実装が⾏われているものです。5⽉中旬〜春学期期間中の実運⽤を⾏います。履修者の皆さんと同じ慶應SFCキャンパスで暮らす友⼈・先輩達が作っているシステムだとご理解いただき、「優しい⼼」で使っていただければ幸いです。
⽇常⽣活センシング
Instagramのようなタイムラインで課題提出物を⾒られる
運動中のセンサデータ詳細を確認できる。笑顔⾃撮りもoptionで追加可能。
SFC教員および学生へのアンケート結果教員: N=117 (非常勤教員を含む)学生: N=377
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アンケート実施概要教員向け•実施期間2020年5月7日(木)~13日(水)•対象総合政策学部、環境情報学部、政策・メディア研究科に所属する専任教員および春学期に授業を持つ非常勤教員•言語日本語および英語•回収数117件(回収率32%)
学生向け•実施期間2020年5月12日(火)~18日(月)•対象総合政策学部、環境情報学部、政策・メディア研究科に所属する学生•言語日本語および英語•回収数377件(回収率8%)
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以下、⻘いグラフが教員、オレンジのグラフが学⽣
Executive Summary•オンライン授業に対しては教員より学生の方が好意的。•オンライン授業に向いている授業と不向きの授業があり、大規模な授業ほどオンライン向き。• SFCにおいては殆どの科目がライブのオンライン授業を行っており、加えてオンデマンドや資料提供も行っている。•学生と教員間の意思疎通を不安視しているという意見が多い反面、チャットを使うことで普段よりコミュニケーションが活発になったという意見も多い。•教員、学生ともに、学生の通信環境を不安視している。•学生は友人とのコミュニケーションに苦慮している。•教員の約半数、学生の約7割が、平常時のオンライン授業の継続を希望している。
12
11 19 45 47 28 44 66 69 27 21
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
オンライン授業の感想(教員、学生)
13
好意的否定的
10 15 24 17 11 9 9 8 7 7
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
好意的否定的
どのようなスタイル?(教員)
その他•メールでのやり取り• Google SpreadsheetやGoogle Docを使ったディスカッション•書き込みレジュメの提供•アプリの使用
14
0 20 40 60 80 100 120
ライブ授業
録画提供
スライド提供
レクチャーノート提供
チャット
課題
⼈
どのようなツール? (教員)
その他•Discord、remo、slido、メール/メーリングリスト、LINE、Moodle
15
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
Webex TrainingWebex Meeting
Google DriveGoogle Hangouts Meet
Google ClassroomMicrosoft Teams
Microsoft OneDriveSlack
DropboxBox
ZoomSFC-SFS
keio.jpの授業⽀援
⼈
困っていることは? (教員)
その他•ツールの不安定さ、学生とのコミュニケーション、ゲストに対する対応、育児と仕事の両立
16
0 10 20 30 40 50 60 70
授業内容⾃分の通信環境⾃分の授業環境学⽣の通信環境学⽣の授業環境
意思疎通⾃分の体調費⽤負担
⼈
困っていることは?(学生)
17
0 50 100 150 200 250
授業の内容
授業外学習時間増
通信環境
受講環境
体調
意思疎通
友達
グループワーク
なし
困っていることは?(学生)•接続不良で欠席になるのが困る。•ノートをとっていると「注視していない」と判断され、成績に影響しないか不安。•教員の不慣れで授業が進まない。(操作、チャットに気づかないなど。)•せっかくのオンラインなので、繰り返し学習できるようにして欲しい。•受講場所(部屋)の確保が難しい。•ツールが安定しない。•オンライン授業を受けながらPCでノートを取るのが大変。•学生がミュートしないなど、不慣れが目立つ。•体育は広いところで体を動かしたいが、場所の確保が難しい。• PCの性能不足。(熱暴走など)•履修者選抜の倍率が高くなった。(事実としては少し高くなった。歩留まりも良い。)•遅れて終わる授業が多く、休み時間がなくなった。•メディアに行けず、調べ物が難しい。
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オンライン授業の良い点は?(教員)
その他• チャットなどが使えるのでコミュニケーションが活発になった。• 学生の私語が無くなってやりやすくなった。• スライドなどが学生の目の前で見せられる。• 録画がしやすい。• 教室サイズの制限がなくなった。
19
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
学習進度、参加状況の把握
授業運営の幅が広がった
キャンパスへの移動が無くなった
時間的制約が無くなった
授業の準備が楽
⼈
オンライン授業の良い点は?(教員、学生)
20
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
学習進度、参加状況の把握
授業運営の幅が広がった
キャンパスへの移動が無くなった
時間的制約が無くなった
授業の準備が楽
⼈
0 50 100 150 200 250 300 350
キャンパスへの移動が無くなった
時間制約約が無くなった
理解度が上がった
オンライン授業の良い点は?(学生)•周りに気を使わないですむ。集中力が上がる。•言語の授業で周りを気にすること無く発声してみることができる。•他キャンパスの授業を受けやすい。•チャットの方が質問・発言がしやすい。•授業の流れを遮らずにTA/SAに答えてもらえる。•交通費を節約できる。•通学時間を睡眠や予習復習に充てることができる。•地理的制約がないので働きながら受講できる。•昼食が取りやすい。• ICTに慣れることができる。•化粧やファッションを気にする必要がなくなった。
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どんな授業が良いと感じたか?(学生)•録画の提供•チャット、Slack、Twitter、LINE、挙手などのアイコンの活用•オンデマンド授業• YouTube Live•オンデマンドとリアルのハイブリッド•簡単なレポートでの出席•クロマキー合成を使った授業•細かく理解度を確認してくれる授業、ミニクイズの多用、ランダムな指名•顔出しのない授業•会議システムのホワイトボードを活用した授業•匿名での質問•完全匿名でのグループワーク(オンラインならでは)•こまめな休憩、体を動かす時間があるもの。
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授業毎の学習効果(教員、学生)
23
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
研究会⾔コミ
情報技術基礎ウェルネス⼩規模講義40〜70名70〜120名⼤規模講義
オンラインが良い 変わらない 対⾯が良い
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
研究会⾔コミ
情報技術基礎ウェルネス⼩規模講義40〜70名70〜120名⼤規模講義
オンラインが良い 変わらない 対⾯が良い
平常時のオンライン授業(教員、学生)
24
11 11 6 10 21 10 7 16 5 20
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
23 18 33 20 24 23 43 54 33 106
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
好意的否定的
どんなツールが必要?(教員)
その他• 講義のできる部屋、スタジオ、スタッフ• 学生が安心して受講できる環境(ネットワークを含む)• 海外の学生が教科書を買えるシステム• PC/タブレットなどのハードウェア
25
0 10 20 30 40 50 60 70
動画配信プラットフォーム動画視聴管理
アンケートCBT
CBT(IRT)チャット
ホワイトボード履修者名簿管理
課題提出管理ラーニングアナリティクス
⼈
平常時のオンライン授業について(教員)• SFCではもっと前から取り入れておくべきだった。時代に乗り遅れないように取り組むべき。•履修者の多いクラスや基盤科目はオンデマンドでしっかり作り込むと良い。•オンラインでしかできない授業もあるので積極的に作り込んでいくと良い。•補講などでオンラインが取り入れられると良い。•通信環境が整えば良い。•大学固有のシステムは必要なく、ありものを組み合わせて行けば良い。•調査を徹底し、環境やルール作りが必要。•教員の裁量にしてほしい。オプションとしてのオンラインはあり。•通信制の大学との違いを出していく必要がある。•授業の様子が外にもれないか不安。•オンラインは極力やめて欲しい。
26
まとめ
•否応なくオンライン授業を経験し、その可能性をすべての学生と教職員が知ることとなった。
•多用な生活、多用な学び。キャンパスは軸足。
•大学設置基準を満たす範囲で収束後の学びにどう繋げていくかが課題。
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