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画像処理におけるフィルタ処理 岡田 雄斗 廣安 知之 日和 悟 2016 11 10 IS Report No. 2016111001 Report Medical Information System Laboratory

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画像処理におけるフィルタ処理   

岡田 雄斗 廣安 知之 日和 悟   

2016年 11月 10日   

IS Report No. 2016111001   

ReportMedical Information  System Laboratory  

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Abstract

本稿では,画像よりにおいてよく用いられるフィルタ処理について,空間フィルタの概念と役割,そ

して様々な種類とその作成方法について述べる.

キーワード: 画像処理, フィルタ処理, 線形フィルタ, 平滑化, エッジ抽出, 鮮鋭化, 非線形フィルタ

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目 次

第 1章 序論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2

第 2章 フィルタ処理とは . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3

第 3章 線形フィルタ処理 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

3.1 平滑化 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

3.1.1 移動平均化フィルタ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

3.1.2 ガウシアンフィルタ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

3.2 エッジ抽出 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

3.2.1 微分フィルタ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

3.2.2 プリューウィットフィルタ. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8

3.2.3 ソーベルフィルタ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8

3.2.4 ラプラシアンフィルタ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8

3.3 鮮鋭化 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10

第 4章 非線形フィルタ処理 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

4.1 メディアンフィルタ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

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第 1章 序論

信号処理において,フィルタは,不要なコンポーネントや機能を信号から削除するプロセスである.

このフィルタは様々な分野で使用されているが,本稿では画像処理におけるフィルタ処理に関して述

べる.

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第 2章 フィルタ処理とは

画像処理におけるフィルタ処理は,空間フィルタリングと周波数フィルタリングに大別される.ロー

パスフィルタやハイパスフィルタ,ガボールフィルタなどは周波数フィルタに含まれる.また,空間

フィルタは線形フィルタと非線形フィルタに大別される.空間フィルタリングではフィルタ行列や,

オペレータと呼ばれる行列が用いられる 1, 2, 3, 4, 5) .本稿では空間フィルタリングについて述べる.

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第 3章 線形フィルタ処理

線形フィルタ処理では,畳み込みと呼ばれる概念が使用されている.畳み込みは数学的には,元の関

数と畳み込む関数との積分で表される.畳み込みの式を式 (3.1)に示す.

g(i, j) =w∑

n=−w

w∑m=−w

f(i+m, j + n)h(m,n) (3.1)

この畳み込みはディジタル信号では,掛け算と足し算のみで表すことが可能である.1次元におけ

る畳み込みの概念図を Fig. 3.1に示す.さらに Fig. 3.1における f ∗ gのそれぞれの値は式 (3.2)によ

り求められる.

b′ = ax+ by + cz

c′ = bx+ cy + dz

d′ = cx+ dy + ez

e′ = dx+ ey + fz

(3.2)

この畳み込みを 2次元に拡張した概念図を Fig. 3.2に示す.このフィルタは主に空間フィルタと呼

ばれ,周囲の画素を含めた領域内の画素値を用いて計算を行う.

本章では,この線形フィルタのうち,平滑化,エッジ抽出,鮮鋭化について述べる.

3.1 平滑化

平滑化とは,画像の輝度値を平らに滑らかにするための手法である.これにより,画像に含まれる

ノイズなどの不要な濃淡変動を軽減する,すなわちノイズを除去する働きを持つ.

3.1.1 移動平均化フィルタ

最も単純な平滑化フィルタの例をFig. 4.1(c)に示す.これは移動平均化フィルタと呼ばれ,注目画

素のその周辺の輝度値を用いて,輝度値を平均化し,その画素の輝度値とするフィルタである 1, 2, 3)

.Fig. 3.4(a)にそれぞれの移動平均化フィルタを掛けた結果を Fig. 3.4(b)と Fig. 3.4(c)に示す.こ

れらの画像より 3 × 3画素の平均化フィルタと比べて,5 × 5画素の平均化フィルタでは平滑化の効

果がより強くなっていることがわかる.

3.1.2 ガウシアンフィルタ

移動平均フィルタでは注目画素周辺の輝度値を単に平均した.しかし,一般的な画像では注目画素

に近い画素の輝度値は,注目画素の輝度値と近い場合が多い.それに対して,注目画素から遠くなれ

ばなるほど,注目画素の輝度値とは差が大きくなる場合が多い.そこで,この関係を考慮し,注目画

素に近いほど平均値を計算する際の重みを大きくし,遠くなるほど重みを小さくなるようにした平均

化フィルタを加重平均化フィルタと呼ぶ.さらに,その重みを式 (3.3)のようなガウス分布に近づけ

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3.1平滑化 第 3 章 線形フィルタ処理

Fig. 3.1 畳み込みの概念図(1次元)(参考文献 3) より自作)

Fig. 3.2 畳み込みの概念図(2次元)(参考文献 3) より自作)

(a) 3× 3画素 (b) 5× 5画素

Fig. 3.3 移動平均化フィルタの一例(参考文献 1) より自作)

たフィルタを,ガウシアンフィルタと呼ぶ 1, 2, 3) .ガウシアンフィルタの例を Fig. 3.5に示す.ま

た,Fig. 3.6(a)にそれぞれのガウシアンフィルタを掛けた結果を Fig. 3.6(b)と Fig. 3.6(c)に示す.

h(x, y) =1

2πσ2exp(−x2 + y2

2σ2) (3.3)

一般的に,ガウシアンフィルタのように中央に重みを付けた平滑化フィルタでは,移動平均化フィ

ルタにくらべ,見た目にあまり大きな変化はない.しかし Fig. 3.6のように,より滑らかで自然な平

滑化の効果を得ることが可能である.

さらに,本稿では詳しく記載しないが,ガウシアンフィルタには周波数フィルタの一種であるロー

パスフィルタと同じ効果がある.ローパスフィルタとは,画像における高周波成分を除去する働きを

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3.2エッジ抽出 第 3 章 線形フィルタ処理

(a) 入力画像 (b) 3× 3画素の結果 (c) 5× 5画素の結果

Fig. 3.4 移動平均化フィルタの適用例(自作)

(a) 3× 3画素 (b) 5× 5画素

Fig. 3.5 ガウシアンフィルタの一例(参考文献 1) より自作)

(a) 入力画像 (b) 3× 3画素の結果 (c) 5× 5画素の結果

Fig. 3.6 ガウシアンフィルタの適用例(自作)

持つフィルタである.

3.2 エッジ抽出

Fig. 3.7(a)の赤線の部分の輝度値の変化を Fig. 3.7(b)に示す.画像中に輪郭(エッジ)が存在す

る場合,Fig. 3.7のようにそのエッジ部分で画像の輝度値が急に変化する.この性質を利用し,エッ

ジ部分を取り出す手法をエッジ抽出という.この処理は,画像中から特徴や図形を検出するための前

処理としても利用される 1, 2, 3, 4, 5) .

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3.2エッジ抽出 第 3 章 線形フィルタ処理

(a) 入力画像 (b) 輝度値の変化

Fig. 3.7 エッジ部分の輝度値の変化(自作)

(a) 右隣との差分 (b) 左隣との差分 (c) 両隣の差分

Fig. 3.8 横方向の微分フィルタ(参考文献 1) より自作)

3.2.1 微分フィルタ

微分は数学的には式 (3.4)で表される.これをディジタル画像処理に置き換えると,式 (3.4)右辺

は注目画素とその隣接画素との差分を表す.しかし,その隣接画素を右側に取るか左側に取るかに

よって,差分値は異なる.そのため,微分フィルタには様々な種類が存在する.そのうち代表的なフィ

ルタが,Fig. 3.8である.Fig. 3.8(a)は注目画素とその右隣の画素との差を出力するフィルタ,Fig.

3.8(b)は注目画素とその左隣の画素との差を出力するフィルタ,そして Fig. 3.8(c)は注目画素の両隣

の差分の平均を微分地として出力するフィルタである.

f ′(x) = limh→∞

f(x+ h)− f(x)

h(3.4)

Fig. 3.10(a)に Fig. 3.8(b)のような微分フィルタをかけた画像を Fig. 3.10(b)に示す.Fig. 3.8(b)

のような微分フィルタは横方向の微分値を求めるフィルタとなっており,Fig. 3.10(b)のように縦方

向のエッジが強く抽出されていることが分かる.

横方向のエッジを抽出する場合は,Fig. 3.9のようなフィルタを使用する.Fig. 3.10(a)にFig. 3.9(c)

のような縦方向の微分フィルタをかけた画像を Fig. 3.10(c)に示す.Fig. 3.10(c)より,縦方向の微

分フィルタにより横方向のエッジが強く抽出されていることが分かる.

微分フィルタでは,式 (3.5)により縦方向の微分結果と横方向の微分結果を構成することで,あら

ゆる方向のエッジを抽出する.ここで∆xf(i, j)は横方向の差分,∆yf(i, j)は縦方向の差分を表し,

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3.2エッジ抽出 第 3 章 線形フィルタ処理

(a) 上隣との差分 (b) 下隣との差分 (c) 上下の差分

Fig. 3.9 縦方向の微分フィルタ(参考文献 1) より自作)

(∆xf(i, j),∆yf(i, j))は画素値の勾配を表す.√(∆xf(i, j))2 + (∆yf(i, j))2 (3.5)

式 (3.5)は勾配の大きさ(エッジ強度)を求める式である.これにより,Fig. 3.10(b)と Fig. 3.10(c)

を合成した画像が Fig. 3.10(d)である.

微分フィルタでは,画像の濃淡が急に変化するエッジ部分を抽出することが可能であるが,同時に

画像に含まれるノイズにおいても画素値が急に変化するために強調される傾向がある.そこで,ノイ

ズを抑えながらエッジを抽出するために考えられたのが,プリューウィットフィルタとソーベルフィ

ルタである.

3.2.2 プリューウィットフィルタ

プリューウィットフィルタは,微分フィルタに平滑化フィルタを掛け合わせたフィルタである.Fig.

3.13では,まず縦方向のエッジを抽出し,その後縦方向に関して平滑化を行っている.この右図のう

ち,簡単な整数値だけで表されるフィルタをプリューウィットフィルタと呼ぶ.同様に横方向のエッ

ジも抽出し,式 (3.5)によりエッジ強度を算出することでエッジ画像を作成する.Fig. 3.12(a)からプ

リューウィットフィルタによりエッジ抽出を行ったときの結果を Fig. 3.12(b)に示す.

3.2.3 ソーベルフィルタ

微分フィルタの後平滑化を行う際,中央に重み付けをした平滑化を行うフィルタをソーベルフィル

タと呼ぶ.ソーベルフィルタの流れを Fig. 3.13に示す.Fig. 3.13の右側の整数のみで表されたフィ

ルタがソーベルフィルタである.このフィルタはガウシアンフィルタと同様に,移動平均化フィルタ

に比べて滑らかな平滑化が可能である.Fig. 3.17(a)からソーベルフィルタによりエッジ抽出を行っ

たときの結果を Fig. 3.14(b)に示す.

3.2.4 ラプラシアンフィルタ

前項までに述べたフィルタは全て 1次微分のフィルタである.1次微分フィルタは,画素同士の輝

度の変化が大きい部分を抽出するためのフィルタである.ただし,変化が大きい部分がノイズである

可能性もあり,エッジだけを抽出するのは困難であった.そこで,隣り合った画素の輝度変化だけで

なく,周りに比べて変化の程度が大きい部位を抽出することで,ノイズの抽出を抑えようと考えられ

たフィルタが 2次微分フィルタである.

2次微分とは,微分を 2回繰り返すことであるため,ディジタル画像処理では,1次微分を 2回繰

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3.2エッジ抽出 第 3 章 線形フィルタ処理

(a) 入力画像 (b) 横方法の微分画像

(c) 縦方向の微分画像 (d) エッジ強度画像

Fig. 3.10 微分フィルタによる結果(自作)

Fig. 3.11 プリューウィットフィルタ(参考文献 3) より自作)

(a) 入力画像 (b) 出力画像

Fig. 3.12 プリューウィットフィルタによるエッジ抽出(自作)

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3.3鮮鋭化 第 3 章 線形フィルタ処理

Fig. 3.13 ソーベルフィルタ(参考文献 1) より自作)

(a) 入力画像 (b) 出力画像

Fig. 3.14 ソーベルフィルタによるエッジ抽出(自作)

り返せば得ることが可能である.Fig. 3.8のフィルタでは半画素ずれた位置の差分を取得しているが,

Fig. 3.8(a)と Fig. 3.8(b)のフィルタの出力の差を求めることで,注目画素の 2次微分を求めること

が可能である.Fig. 3.15(a)に横方向の 2次微分フィルタの作り方を示す.同様に Fig. 3.15(b)によ

り縦方向の 2次微分フィルタを得ることが可能である.

さらに,2次微分の値を用いて式 (3.6)により数学的にラプラシアンを求めることが可能である.

∆  =∂2

∂x2f(x, y) +

∂2

∂y2f(x, y) (3.6)

このラプラシアンはディジタル画像処理では,横方向の 2次微分の結果と縦方向の 2次微分の結果

を足し合わせることにより得ることが可能である.この一連の処理の流れを Fig. 3.17に示す.Fig.

3.17の右の行列がラプラシアンフィルタである.Fig. 3.17(a)にラプラシアンフィルタを掛けた時の

出力画像を Fig. 3.17(b)に示す.Fig. 3.17(b)より方向に依存しないエッジの抽出が可能であること

がわかる.

3.3 鮮鋭化

入力画像に対して平滑化処理を行い,その結果を入力画像から引くことにより,元の画像のエッジ

部分が取り出されたような画像を得ることが可能である.そしてその画像と入力画像を足し合わせ

ることにより,画像のエッジが強調された画像を得ることが可能である.このような処理は,アン

シャープマスキングと呼ばれる.

アンシャープマスキングを空間フィルタリングを利用して表した図を Fig. 3.18に示す.この一連

の処理によって作られる最後のフィルタを鮮鋭化フィルタと呼ぶ.鮮鋭化フィルタを使うことにより,

画像のぼやけた輪郭を強調することが可能である.鮮鋭化フィルタを掛けた時の出力画像をFig. 3.19

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3.3鮮鋭化 第 3 章 線形フィルタ処理

(a) 横方向の 2次微分フィルタ (b) 縦方向の 2次微分フィルタ

Fig. 3.15 2次微分フィルタ(参考文献 1) より自作)

Fig. 3.16 ラプラシアンフィルタ(参考文献 1) より自作)

(a) 入力画像 (b) 出力画像

Fig. 3.17 ラプラシアンフィルタによるエッジ抽出(自作)

に示す.Fig. 3.19より kの値が大きくなるにしたがって,鮮鋭化の度合いが増していることがわかる.

本節では平滑化の際,移動平均化フィルタを用いた.しかし,他の平滑化フィルタを用いることも

可能であり,画像処理においてはガウシアンフィルタがよく用いられる.

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3.3鮮鋭化 第 3 章 線形フィルタ処理

Fig. 3.18 鮮鋭化フィルタ(参考文献 1) より自作)

(a) 入力画像 (b) k = 1

(c) k = 4 (d) k = 9

Fig. 3.19 鮮鋭化フィルタによる結果(自作)

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第 4章 非線形フィルタ処理

前章のように,線形フィルタが単純な行列で表すことが可能であったのに対し,行列で表すことが不

可能なフィルタがある.これらを非線形フィルタと呼ぶ.本稿では非線形フィルタの中でもよく用い

られるメディアンフィルタについて述べる.

4.1 メディアンフィルタ

前章にて述べたフィルタは,基本的に画素値の平均を求めていたのに対し,平均値の代わりにある

領域内の中央値を出力するフィルタをメディアンフィルタと呼ぶ.メディアンフィルタは画像のノイ

ズ除去に用いられる.同じくノイズ除去に用いられる平均化フィルタに比べ,エッジ情報を保持する

ため,画像がぼやけにくいという特徴がある 1) .Fig. 4.1(a)にメディアンフィルタを掛けた出力結

果を Fig. 4.1(b),平均化フィルタを掛けた出力結果を Fig. 4.1(c)に示す.Fig. 4.1よりメディアン

フィルタではエッジ情報が保持されていることがわかる.

(a) 入力画像 (b) 平均化フィルタによる

結果

(c) メディアンフィルタに

よる結果

Fig. 4.1 メディアンフィルタの適用例(自作)

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参考文献

[1] 奥富正敏, ディジタル画像処理[改訂新版], 第 1版, 画像情報教育振興協会, 2015.

[2] 岡崎彰夫, はじめての画像処理, 第 2版, 森北出版, 2015.

[3] Akira, “イメージングソリューション,” http://imagingsolution.net/, 閲覧日:2016年 11月

30日.

[4] opencv devteam, “OpenCV Image filtering,” http://docs.opencv.org/3.0-last-rst/

modules/imgproc/doc/filtering.html#bilateralfilter, 閲覧日:2016年 11月 30日.

[5] scikit-image developmentteam, “scikit-image,” http://scikit-image.org/docs/dev/api/

skimage.filters.html, 閲覧日:2016年 11月 30日.

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