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株式会社タカラトミー(製造業) 当社は子どもが最大の顧客であり、少子高齢化は 重要な社会課題であると考えています。2 0 1 0年に 東京都が「『少子化打破』緊急対策事業」の一環として 実施した「働き方の改革『東京モデル』事業」の趣旨に 賛同し、モデル事業に応募したところ、当社の提案 が採択されました。そして、この事業で「東京モデ ル推進プロジェクト~WLBドリームプラン実現に 向けて~」の取組を進める中で、両立支援制度の整 備・拡充及び従業員の意識改革に向けた取組にも着 手しました。取組開始当初は、社内にワーク・ライフ・ バランスに対する意識の差や戸惑いもありましたが、 この取組は単なる福利厚生ではなく、当社の経営戦 略であることを繰り返し発信してきました。子ども たちに夢を届けるおもちゃ会社だからこそ、従業員 がいきいきと仕事に取り組むことができる職場環境 が必要であると考えています。 当社では、失効した年次有給休暇を、妊娠中の定 期検診や通院、体調不良等のために利用可能として います(失効有休は60日まで積立可能)。特に、育 児休業から復帰した後は、予防接種や子どもの病気 等もあり、なるべく年次有給休暇の日数を残してお けるようにという配慮から、2 0 0 7年に制度化しま した。また、育児短時間勤務制度は子どもが小学校 就学前までの期間、1日2時間まで勤務時間を短縮 することができます。 在宅勤務制度については、2 0 1 0年にトライアル を開始し、2 0 1 4年に正式に導入しました。正社員 を対象とし(入社1年未満の従業員は除く)、育児や 介護を理由として週1回利用可能です。また、フレッ クスタイム制度や裁量労働制度を設けているのでフ レキシブルな働き方が可能となっています。 さらに、有給休暇の取得促進を目的として、年次 有給休暇のうち5日を予め計画して取得するリフ レッシュ休暇制度や、従業員自身や家族の記念日に 取得できるアニバーサリー休暇制度を導入していま す。そのほか、年1回従業員の家族を招いてファミ リーデーを開催し、職場見学や仕事体験を実施して います。 育児休業取得後に復帰して働き続けることが当た り前の風土となり、育児休業から復帰の直後には短 時間勤務制度を利用するケースが増えました。多様 な勤務制度があるため、短時間勤務制度利用者のう ち約8割以上が1年以内にフルタイム勤務に戻って います。以前から従業員の定着率は高かったのです が、両立支援関連制度に取り組むことにより、一層 高くなりました。 両立支援の取組の結果として「くるみん認定」を受 けたことが、採用面では学生へのアピールやエント リー数の増加に繋がっていると感じています。 また、ファミリーデーは毎年非常に好評で2 0 1 6 年には208名の従業員と家族が参加しました。未就 学のお子さんには当社のおもちゃで遊んでいただき、 小学生からはおもちゃの商品企画をしてもらうこと により、職場体験をしていただいています。参加者 全員の社員証と名刺を作り、名刺交換も経験してい ます。ファミリーデーは、従業員のご家族に、職場 に対する理解を深めていただくとともに、従業員同 士がお互いの家庭状況を理解するきっかけになり、 働きやすく家族を大切にする職場の雰囲気づくりに 役立っています。 今後も引き続き女性の活躍を推進し、女性管理職 の登用や、育児をしながらキャリアアップできる環 境の整備に取り組んでいきたいと考えています。男 女問わず、育児の経験は当社の生業であるおもちゃ づくりに活かされるため、男性従業員の育児休業取 得や育児参画についても、推進していきたいと考え ています また、仕事と育児を支援する制度については整備 が進み、社内で浸透・定着していると感じていますが、 介護については、まだ関連制度の利用実績がほとん どなく、相談に乗ることができる経験者も少ない等 の課題があります。介護に関わる従業員は年々増え ることが見込まれるため、重要な課題であると考え ています。 子どもたちに夢を届けるおもちゃを 作るために、いきいきと働ける環境を 整備しています。 設   立: 1953年 本社所在地: 東京都葛飾区 事 業 内 容: 製造業(玩具等の企画・製造・ 販売) 従 業 員 数: 559名(うち女性178名) ※2016年3月31日現在 企業プロフィール 連結総務人事部  人事課 専門課長 中村 真樹さん 出産や育児の経験を 仕事に活かしていきたい 制度利用者の声 海外事業室 アジア戦略部 アジアマーケティング課 主任 渡邉 まゆみさん 妊娠中の通院や体調不良時等に失効した年次有給休暇を利用可能。 週1回、育児・介護を行う従業員を対象とした在宅勤務制度(入社1年未満の従業 員は除く)を導入。 夏休み期間に年1回ファミリーデーを実施。 特徴的な制度・取組など 私は、2 0 0 6年に入社後、6つの部署で企画やマーケティングを 経験し、2 0 1 3年1 2月に第1子を出産しました。妊娠期間中には、 通院時やつわりの際に、失効有給休暇を利用しました。そして、 産前・産後休業及び育児休業を取得後、2 0 1 5年4月から職場復帰 しています。復帰直後の2か月間は短時間勤務制度を利用し、その 後はフルタイムで働いています。現在第2子を妊娠中で、通院時や 体調不良の場合には第1子の妊娠中と同様、失効有給休暇を利用し ています。第1子の保育園行事や病気等で年次有給休暇を使うこと も多いため、妊娠中に失効有給休暇を取得できることは安心して 働き続けられるための良い制度だと実感しています。また、会社 全体でワーク・ライフ・バランス推進に取り組んでいるので、妊 娠中の従業員への配慮が浸透しており、休暇を取得しやすい雰囲 気もありがたいと感じています。さらに、急な子どもの病気等の 際には、在宅勤務制度を利用することにより、緊急を要する案件 にも対応することができるため、とても助かっています。 育児休業中は社外の友人と情報交換をする機会が多く、出産前 までは当たり前だと思っていた当社の両立支援制度や、温かい職 場の雰囲気に改めて感謝することがたくさんありました。育児休 業から復帰する際には、職場復帰セミナーに参加し、育児休業中 の人事制度の改定や育児と仕事を両立している先輩からのアドバ イスを聞くことができ、スムーズに職場復帰することができました。 また、そのセミナーで知り合った同じ時期に職場復帰するメンバー とのネットワークができたことも、その後、時間に制約がある中 での仕事の進め方や子育ての悩み等を気軽に相談できたりして、 とても心強いです。 今年のファミリーデーには、2歳の息子と参加しました。未就学 児はプレイランドでたくさんの当社のおもちゃで遊ばせてもらい、 大喜びだったので、「ママはこの会社で働いているんだぞ」と鼻が 高かったです。今後は出産や育児の経験を最大限に活かして、素 敵なおもちゃを作っていきたいと思います。 取組のきっかけ・経緯 出産や育児に配慮した取組・制度等 制度導入による効果等 今後の課題・展望等 妊娠中の定期検診は失効有給休暇を利用 育児の経験をおもちゃづくりに活かしたい 掲載年度:2016年度

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株式会社タカラトミー(製造業)

当社は子どもが最大の顧客であり、少子高齢化は重要な社会課題であると考えています。2010年に東京都が「『少子化打破』緊急対策事業」の一環として実施した「働き方の改革『東京モデル』事業」の趣旨に賛同し、モデル事業に応募したところ、当社の提案が採択されました。そして、この事業で「東京モデル推進プロジェクト~WLBドリームプラン実現に向けて~」の取組を進める中で、両立支援制度の整備・拡充及び従業員の意識改革に向けた取組にも着手しました。取組開始当初は、社内にワーク・ライフ・バランスに対する意識の差や戸惑いもありましたが、この取組は単なる福利厚生ではなく、当社の経営戦略であることを繰り返し発信してきました。子どもたちに夢を届けるおもちゃ会社だからこそ、従業員がいきいきと仕事に取り組むことができる職場環境が必要であると考えています。

当社では、失効した年次有給休暇を、妊娠中の定期検診や通院、体調不良等のために利用可能としています(失効有休は60日まで積立可能)。特に、育児休業から復帰した後は、予防接種や子どもの病気等もあり、なるべく年次有給休暇の日数を残しておけるようにという配慮から、2007年に制度化しました。また、育児短時間勤務制度は子どもが小学校就学前までの期間、1日2時間まで勤務時間を短縮

することができます。在宅勤務制度については、2010年にトライアルを開始し、2014年に正式に導入しました。正社員を対象とし(入社1年未満の従業員は除く)、育児や介護を理由として週1回利用可能です。また、フレックスタイム制度や裁量労働制度を設けているのでフレキシブルな働き方が可能となっています。さらに、有給休暇の取得促進を目的として、年次有給休暇のうち5日を予め計画して取得するリフレッシュ休暇制度や、従業員自身や家族の記念日に取得できるアニバーサリー休暇制度を導入しています。そのほか、年1回従業員の家族を招いてファミリーデーを開催し、職場見学や仕事体験を実施しています。

育児休業取得後に復帰して働き続けることが当たり前の風土となり、育児休業から復帰の直後には短時間勤務制度を利用するケースが増えました。多様な勤務制度があるため、短時間勤務制度利用者のうち約8割以上が1年以内にフルタイム勤務に戻っています。以前から従業員の定着率は高かったのですが、両立支援関連制度に取り組むことにより、一層高くなりました。両立支援の取組の結果として「くるみん認定」を受けたことが、採用面では学生へのアピールやエントリー数の増加に繋がっていると感じています。また、ファミリーデーは毎年非常に好評で2016

年には208名の従業員と家族が参加しました。未就学のお子さんには当社のおもちゃで遊んでいただき、小学生からはおもちゃの商品企画をしてもらうことにより、職場体験をしていただいています。参加者全員の社員証と名刺を作り、名刺交換も経験しています。ファミリーデーは、従業員のご家族に、職場に対する理解を深めていただくとともに、従業員同士がお互いの家庭状況を理解するきっかけになり、働きやすく家族を大切にする職場の雰囲気づくりに役立っています。

今後も引き続き女性の活躍を推進し、女性管理職の登用や、育児をしながらキャリアアップできる環境の整備に取り組んでいきたいと考えています。男女問わず、育児の経験は当社の生業であるおもちゃづくりに活かされるため、男性従業員の育児休業取得や育児参画についても、推進していきたいと考えていますまた、仕事と育児を支援する制度については整備が進み、社内で浸透・定着していると感じていますが、介護については、まだ関連制度の利用実績がほとんどなく、相談に乗ることができる経験者も少ない等の課題があります。介護に関わる従業員は年々増えることが見込まれるため、重要な課題であると考えています。

子どもたちに夢を届けるおもちゃを作るために、いきいきと働ける環境を整備しています。

設   立:�1953年本社所在地:�東京都葛飾区事業内容:�製造業(玩具等の企画・製造・

販売)従業員数:�559名(うち女性178名)�

※2016年3月31日現在

企業プロフィール

連結総務人事部 人事課 専門課長

中村 真樹さん

出産や育児の経験を仕事に活かしていきたい

制度利用者の声

海外事業室 アジア戦略部アジアマーケティング課 主任

渡邉 まゆみさん

●妊娠中の通院や体調不良時等に失効した年次有給休暇を利用可能。●週1回、育児・介護を行う従業員を対象とした在宅勤務制度(入社1年未満の従業員は除く)を導入。

●夏休み期間に年1回ファミリーデーを実施。

特徴的な制度・取組など

私は、2006年に入社後、6つの部署で企画やマーケティングを経験し、2013年12月に第1子を出産しました。妊娠期間中には、通院時やつわりの際に、失効有給休暇を利用しました。そして、産前・産後休業及び育児休業を取得後、2015年4月から職場復帰しています。復帰直後の2か月間は短時間勤務制度を利用し、その後はフルタイムで働いています。現在第2子を妊娠中で、通院時や体調不良の場合には第1子の妊娠中と同様、失効有給休暇を利用しています。第1子の保育園行事や病気等で年次有給休暇を使うことも多いため、妊娠中に失効有給休暇を取得できることは安心して働き続けられるための良い制度だと実感しています。また、会社全体でワーク・ライフ・バランス推進に取り組んでいるので、妊娠中の従業員への配慮が浸透しており、休暇を取得しやすい雰囲気もありがたいと感じています。さらに、急な子どもの病気等の際には、在宅勤務制度を利用することにより、緊急を要する案件にも対応することができるため、とても助かっています。

育児休業中は社外の友人と情報交換をする機会が多く、出産前までは当たり前だと思っていた当社の両立支援制度や、温かい職場の雰囲気に改めて感謝することがたくさんありました。育児休業から復帰する際には、職場復帰セミナーに参加し、育児休業中の人事制度の改定や育児と仕事を両立している先輩からのアドバイスを聞くことができ、スムーズに職場復帰することができました。また、そのセミナーで知り合った同じ時期に職場復帰するメンバーとのネットワークができたことも、その後、時間に制約がある中での仕事の進め方や子育ての悩み等を気軽に相談できたりして、とても心強いです。今年のファミリーデーには、2歳の息子と参加しました。未就学

児はプレイランドでたくさんの当社のおもちゃで遊ばせてもらい、大喜びだったので、「ママはこの会社で働いているんだぞ」と鼻が高かったです。今後は出産や育児の経験を最大限に活かして、素敵なおもちゃを作っていきたいと思います。

取組のきっかけ・経緯

出産や育児に配慮した取組・制度等

制度導入による効果等

今後の課題・展望等

妊娠中の定期検診は失効有給休暇を利用

育児の経験をおもちゃづくりに活かしたい

掲載年度:2016年度