未然防止型qcストーリーを活用して トラブル・事...

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第5714回QCサークル大会 QCサークル関東支部運営事例選抜大会 2015717PA - 1 未然防止型QCストーリーを活用して トラブル・事故を防ぐ 未然防止型QCストーリーを活用して トラブル・事故を防ぐ 中央大学理工学部 経営システム工学科 中條 武志 E-mail: [email protected] 第5714回QCサークル大会 QCサークル関東支部運営事例選抜大会 2015年7月17日 1 全てのスライドはhttp://www.indsys.chuo-u.ac.jp/~nakajo/QCC5714.pdf よりダウンロードできます。 0 22 44 66 88 110 件数 0 20 40 60 80 100 (%) 0 22 44 66 88 110 件数 0 20 40 60 80 100 (%) 最近のトラブル・事故を見ると 2 (a) 技術不良(技術が不足)が支配的 (b) 管理不良(技術はある)が支配的 再発防止 が重要 未然防止 が重要

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 1

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

中央大学理工学部

経営システム工学科

中條 武志

E-mail: [email protected]

第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日

1

全てのスライドはhttp://www.indsys.chuo-u.ac.jp/~nakajo/QCC5714.pdfよりダウンロードできます。

その他

原因A

原因B

原因C

原因D

原因E

原因F

原因G

原因H

0

22

44

66

88

110件数

0

20

40

60

80

100(%)

その他

原因B

原因A

原因D

原因C

原因E

原因F

原因H

原因G

0

22

44

66

88

110件数

0

20

40

60

80

100(%)

近のトラブル・事故を見ると

2

(a) 技術不良(技術が不足)が支配的 (b) 管理不良(技術はある)が支配的

再発防止が重要

未然防止が重要

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 2

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

講演の内容

1.未然防止の基本的な考え方

2.未然防止型QCストーリー

3.未然防止のための手法

4.未然防止の実践例

3

1.未然防止の基本的な考え方

4

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 3

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

個々の発生率が非常に低い。

あらゆるプロセス(作業、設備等)で起こる可能性がある。

発生したものをいくら対策してももぐらたたきにしかならない

なぜ未然防止が必要か

未然防止が必要

10-5

×

106

10

残ったモグラは?106 - 10=999990

5

実施にともなって発生すると考えられる問題を予め計画段階で洗い出し、それに対する修正や対策を講じておく。

未然防止(予防処置)とは

過去に経験した失敗の収集と類型化

+ 計画の事前の体系的な見直しと改善

同じ失敗を別の場所で繰り返し起こしている

6

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 4

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

未然防止(予防処置)とは

過去の失敗失敗モード

一覧表

プロセス(作業・設備など)

・・・

7

過去の有効な対策の活用

過去の有効な対策

プロセス(作業・設備など)

・・・

発想チェックリスト対策データベース

失敗 失敗

失敗失敗

8

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 5

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

3.未然防止型QCストーリー

9

未然防止型QCストーリー

1.テーマの選定2.現状の把握と目標の設定3.活動計画の策定4.改善機会の発見

過去の失敗の収集と類型化

起こりそうな失敗の洗い出し

5.対策の共有と水平展開対策案の作成(過去の有効な対策の活用)

対策案の評価・選定・実施

6.効果の確認7.標準化と管理の定着8.反省と今後の課題

10

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 6

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

1.テーマの選定

顧客(後工程)のニーズや職場の方針を理解する。

職場が提供している製品・サービス、行っている業務をリストアップした上で、トラブル・事故の危険性や量を点数付けする。

業務 トラブル・事故の危険性

量 総合評価(順位)

A製品の組立 中 大 2

B製品の組立 中 小 4

設備の始業前点検 大 中 1

○○不良の修正 大 小 3

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

11

2.現状の把握と目標の設定

事実を集め、現状を定量的に把握(管理不良か技術不良か、人の行動か設備の故障か、知識・スキル不足/意図的な不順守/意図しないエラーのいずれかなど)。

目標を設定(何を、いつまでに、どこまで改善するか)。

知識不足

17%

スキル不足

11%

意図的な不順守

22%

意図しないエ

ラー

50%

12

技術不良

10%

管理不良(人の

不適切な行動)

70%

管理不良

(設備故障

ほか)

20%

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 7

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

3.活動計画の策定

目標を達成するまでの大まかな活動の進め方(1.テーマの設定~8.反省と今後の課題)を、日程や担当とともに示す。

13

ステップ 〇月 〇月 〇月 〇月 〇月 担当

1.テーマの選定 全員

2.現状の把握と目標の設定 内海・高橋・川井

3.活動計画の策定 全員

4.改善機会の発見 山西・鎌田・田部井

5.対策の共有と水平展開 小村・大沢・会沢

6.効果の確認 内海・高橋・川井

7.標準化と管理の定着 本間・新開

8.反省と今後の課題 全員

4.改善機会の発見

過去の事故・トラブルの原因となった失敗を収集・整理し、失敗モード一覧表を作成する。

テーマとして取り上げたプロセスの設計・計画を、プロセスフロー図/機能ブロック図などを使って目に見える形に書き出し、検討のしやすい大きさのサブプロセス/サブコンポーネントに分解する。

FMEA(失敗モード影響分析)などを活用し、得られたサブプロセス/サブコンポーネントに失敗モード一覧表を適用し、起こりそうな失敗を洗い出す。

洗い出された失敗についてRPN(危険優先指数)などを求め、対策の必要な失敗を明確にする

14

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2015年7月17日 PA - 8

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

4.改善機会の発見

サブプロセス/

サブコンポーネント

失敗 影響 原因

失敗モード一覧表

① ・・・・② ・・・・③ ・・・・

起こったものではなく、起こりそうなものをすべてあげる。

15

5.対策の共有と水平展開

過去に成功した失敗防止対策を収集・整理し、対策発想チェックリストや対策事例集にまとめる。

対策の必要な失敗に対して対策発想チェックリストや対策事例集を適用し、対策案をできるだけ多く作成する。

対策分析表などを活用し、作成した対策案について、有効そうなものとそうでないものを振り分ける。

有効そうな対策案を組み合わせて 終的な案にまとめ、実施する。

16

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 9

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

6.効果の確認

対策を実施した後に、適切なデータを収集・分析し、その効果を確認する。

RPNなどを用いて効果を予想する。

0

10

20

30

40

50

60

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

トラブル・事故の件数 目標5件

N=250 N-250

48以上

15%

48未満32以上

20%

32未満16以上

15%

16未満

50%

48以上

0%

48未満32以上

5%32未満16以上

10%

16未満85%

(a) トラブル・事故の件数による効果の確認 (b) RPNによる効果の確認

17

7.標準化と管理の定着

他の人たちが学べるように活動のプロセスを文書化する、成果を発表する。

作業標準書や技術標準書、対策発想チェックリスト、対策事例集、失敗モード一覧表、FMEAなどに反映する。

対策が不十分なものは、継続的な監視・検討が必要なものとする。

18

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2015年7月17日 PA - 10

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

8.反省と今後の課題

活動を振り返り、今後の活動へ活かす。

活動を通したメンバーの能力向上・成長を評価する。

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ステップ 良かった点

悪かった点

今後の課題

1.テーマの選定 ・・・ ・・・ ・・・

2.現状の把握と目標の設定 ・・・ ・・・ ・・・

3.活動計画の策定 ・・・ ・・・ ・・・

4.改善機会の発見 ・・・ ・・・ ・・・

5.対策の共有と水平展開 ・・・ ・・・ ・・・

6.効果の確認 ・・・ ・・・ ・・・

7.標準化と管理の定着 ・・・ ・・・ ・・・

8.反省と今後の課題 ・・・ ・・・ ・・・

いつも行っている作業で散発的に発生する意図しないエラー

新しい状況で発生する不適切な行動(意図しないエラー、意図的な不遵守、知識・スキル不足)

やりにくい作業を改善する

危険な作業・場所を改善する

設備・機器の故障によるトラブル・事故を防ぐ

自然災害に対して備える

20

未然防止型が適用できる場合

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 11

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

QCストーリーの使い分け

取り組むテーマ?の対象は

過去に経験の?ある問題か

未然防止型1. テーマの選定

2. 現状の把握と目標の設定3. 活動計画の作成4. 改善機会の発見

5. 対策の共有と水平展開6. 効果の確認

7. 標準化と管理の定着8. 反省と今後の課題

課題達成型1. テーマの選定

2. 攻め所と目標の設定3. 活動計画の作成

4. 方策の立案5. 成功シナリオの追求と実施

6. 効果の確認7. 標準化と管理の定着8. 反省と今後の課題

問題解決型1. テーマの選定

2. 現状の把握と目標設定3. 活動計画の作成

4. 要因の解析5. 対策の検討と実施

6. 効果の確認7. 標準化と管理の定着8. 反省と今後の課題

要因や対策が?見えているか

テーマ

今までに経験のない仕事

要因や対策が見えている

従来から行ってきた仕事

要因や対策の検討がつかない

?目的は

過去に経験した問題の繰り返し

過去に経験の無い問題

新しい顧客価値の創造

失敗の防止

21

3.未然防止のための手法

22

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2015年7月17日 PA - 12

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

未然防止のための手法

1.失敗モード一覧表2.プロセスフロー図/

機能ブロック図3.FMEA(失敗モード影響分析)4.RPN(危険優先指数)5.対策発想チェックリスト6.対策事例集7.対策分析表

23

失敗モード一覧表の例(エラー防止)

①抜け

②回数の間違い

③順序の間違い

④実施時間の間違い

⑤不要な作業の実施

⑥選び間違い

⑦数え間違い・計算間違い

⑧見逃し

⑨認識間違い

⑩決定間違い

⑪動作位置・方向・量の間違い

⑫保持の間違い

⑬記入・入力の間違い

⑭不正確な動作

⑮不確実な保持

⑯不充分な回避

24

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 13

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

プロセスフロー図/機能ブロック図の例

ステップ: ステップ: ステップ: ステップ:

○○業務のプロセス

サブプロセス:

○○○○

○○○○

・・・

サブプロセス:

○○○○

○○○○

サブプロセス:

○○○○

○○○○

サブプロセス:

○○○○

○○○○

・・・

25

全体を3~5のステップに分ける

各ステップをサブプロセスに分ける

出庫作業のプロセスフロー図

部品番号入力

トレー番号表示

トレー

パレット

注1)部品番号を入力すると部品の入ったパレットが自動的に正面にくる

注2)一つのパレットには複数のトレーがのっている

26

1

ステップ 1

出庫箱と出庫伝票を取り、部品棚のところに移動する

ステップ 2

棚から部品を選び、出庫箱に入れる

ステップ 3

出庫箱を出庫棚まで持って行く

サブプロセス: サブプロセス: サブプロセス:

3a 出庫伝票を確認する(すべての部品に出庫済みマークが付いているかどうか)

3b. 出庫伝票の出庫者欄にサインする

3c. 出庫伝票を出庫箱に入れる

3d. 出庫箱を出庫棚まで持って行く

3e. 出庫箱を出庫棚の所定の位置に置く

1a 出庫計画表を見て、出庫すべき伝票 No.を調べる

1b. 出庫伝票を選ぶ 1c. 出庫伝票の No と出庫

計画表の No を照合する

1d. 出庫計画表の出庫者名の欄にサインする

1e. 出庫伝票を持って出庫箱の棚まで移動する

1f. 出庫箱を選ぶ 1g. 出庫伝票と出庫箱を

もって部品棚まで移動する

2a 出庫伝票の部品番号を端末に打ち込む

(該当パレットが自動的に手前に回ってくる)

2b. 端末に表示されるトレー番号(1,2,・・・)を見る

2c. パレットから該当する番号のトレーを選ぶ

2d. トレーの部品番号と出庫伝票の部品番号を照合する

2e. 出庫伝票に記されている数量を取り、出庫箱に入れる

2f. 出庫番号の該当部品欄に出庫済みマークを付ける

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 14

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)

手順1: 対象とするプロセス/設備をその流れに沿って

書き下し、サブプロセス/サブコンポーネントに

区分する。

手順2: サブプロセス/サブコンポーネント毎に「失敗モード

一覧表」を当てはめ、発生する可能性のある失敗を

列挙する。

手順3: 列挙した各々の失敗の発生の頻度・影響の厳しさ

などを評価し、対策が必要な失敗を絞り込む。

27

FMEAの例(エラー防止)

28

No サブプロセス エラー 影 響 発 生 原 因発生の可能性

影響の致命度

波及の防止度

RPN

1 部品番号を端末に入力する

番号欄の見間違い 欠品 1枚に複数部品が記載 2 3 2 12入力間違い 異品出庫 入力桁が多い 3 4 3 36

2 端末に表示されるトレー番号を見る

抜け 欠品 付随的作業 2 3 2 12違う番号を見る 異品出庫 1 4 3 12番号の見間違い 異品出庫 数字が小さい 2 4 3 24

3 パレットからトレーを取る

抜け 欠品 中断が入る場合がある 2 3 2 12パレット違い 異品出庫 複数のパレットがある 2 4 3 24トレー取り違い 異品出庫 トレー位置がよく見えない 3 4 3 36

4 トレーの部品番号を照合する

抜け 異品出庫 付随的作業 4 2 4 24相違に気づかない 異品出庫 桁数が多い 4 2 4 24

5 部品を取る 抜け 欠品 中断が入る場合がある 2 3 4 24数え間違い 員数不足/余り 1 3 4 12

6 出庫箱に入れる 一部入れ損なう 員数不足 1 3 4 127 出庫済み欄にマー

クを付ける抜け 重複出庫 付随的作業 2 3 4 24別の欄に付ける 重複出庫/欠品 1枚に複数部品が記載 1 3 4 12

8 トレーをもとに戻す

抜け 異品出庫 付随的作業 2 4 2 16別の場所に戻す 異品出庫 トレーが複数ある、動く 2 4 4 24

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 15

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

RPN(Risk Priority Number)発生度、致命度、検出度等を4~5段階で評点付けし、その積でリスクの大きさを見積もる。

発 生 度:失敗の発生頻度

致 命 度:失敗によって引き起こされる影響の大きさ

検 出 度:失敗が影響を起こさないよう取られている対策の程度

失敗 影響

発生度 致命度

検出度

29

対策 1

対策 2

対策 3

対策 N-1

対策 N

自分の経験に基づく対策

有効な対策

対策案を思い付かないのは

問題

30

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 16

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

対策発想チェックリストの例(エラー防止)

<排除>

作業を取り除けないか?

危険な物・性質を取り除けないか?

<代替化>

自動化できないか?

指示、基準、ガイド等の支援を与えられないか?

<容易化>

変化・相違を少なくできないか?

(標準化・単純化できないか、似たもの・関連するものをまとめられないか?)

変化・相違を明確にできないか?(色の利用、特殊な形にできないか?)

人間の能力に合ったものにできないか?

<異常検出>

異常な動作を検知できないか?

異常な動作が行えないようにできないか?

異常な物・状態を検知できないか?

<影響緩和>

影響が生じないよう作業を並列にできないか、物を冗長にできないか?

危険な状態にならないようにできないか?

危険な状態になっても損傷が発生しないよう保護を設けられないか?

31

適用例(トレーの取り間違い)

発想チェックリスト

対策案

自動化できないか

トレーの前にランプを取り付けて品名を入力すると対応するトレーのランプが点灯するようにする

変化・相違を明確にできないか

パレットのそれぞれのトレーに対応する位置に番号のラベルを貼る

異常な物・状態を検知できないか

トレーにチェック用の1桁の数字を付けるとともに品名を入力するとこの数字が表示されるようにしておき両者を確認する

物を冗長にできないか

品名が違う部品を出庫しても後工程で気付いた時にすぐに取り替えられるように、予備の部品を用意しておく

32

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 17

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

作業 ワイヤーによる製品吊り下げ作業

エラー きず防止用の当て木のし忘れ

改善の着眼

(原理)

当て木が必要となる工具の属性を取り除き、当て木をする作業そのものを

不要にする。(排除)

改善前:

改善後:

効果の確認: 費用:

実施時期: 組長 班長 課長 実施工程:

発案者:

登録番号

対策事例集(データベース)の例

33

メンバー

主張 理由

Aさん 対策1がよい

効果がある

Bさん 対策2がよい

コストが安い

Cさん 対策3がよい

継続が容易

1次元的な見方

対策 効果がある

コストが安い

継続が容易

対策1 3 1 1

対策2 2 3 2

対策3 1 2 3

対策案の評価・選定が難しいのは

声の大きさの勝負

多次元的な見方

論理的な評価

34

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 18

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

エラープルーフ化の対策案 効果 コスト 実施 SPN

トレーの前にランプを取り付けて品名を入力すると対応するトレーのランプが点灯する

3 1 3 9

パレットのそれぞれのトレーの対応する位置に番号のラベルを貼る

2 3 3 18

トレーにチェック用の1桁の数字を付けておき確認する

1 2 2 4

後工程に予備の部品を用意しておく

1 2 3 6

採用

対策分析表の例

35

エラープルーフ化の効果

2 0 0

1 5 0

1 0 0

5 0

01 0 1 1 1 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1

フ ー ル プ ル ー フ の 適 用

不良

率(

ppm)

出庫間違い(ppm

)

エラープルーフ化

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 19

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

4.未然防止活動の実践例

37

実践例1:電子機器の組立作業

一ロット数台を一人の作業者が組立てている

大部分の部品は台数分だけセット支給されるが、ネジ、ワッシャー、ラベル等の小物類については作業場所に部品箱が設置されている

作業標準書は一つ一つの手順が図示され、1冊のファイルとなっており、作業者はこれを見ながら組み立てる

終検査で発見される不良の55%がヒューマンエラーによるもの

38

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

2015年7月17日 PA - 20

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

改善機会の発見

注)約1時間の作業を約200の作業要素に分解。対策の必要なエラーモード約70が洗い出された。

39

No サブプロセス エラー 影 響 発 生 原 因発生の可能性

影響の致命度

検出の難しさ

RPN

1 部品Aを取る 抜け A欠品 1 4 2 82 部品箱から

ネジを取る抜け A欠品 類似作業の繰り返し 1 4 2 8選び間違い Aの緩み 種類不明確、標準書との対応が複雑 2 3 4 24

3 良否を確認する 抜け 外観不良 付随的作業、動作を伴なわない 2 2 3 124 部品箱から

スプリングを取る

抜け Aの緩み 類似作業の繰り返し、付随的作業 4 3 3 36選び間違い Aの緩み 種類不明確、標準書との対応が複雑 2 3 4 24

5 良否を確認する 抜け 外観不良 付随的作業、動作を伴なわない 2 2 3 126 ネジにスプリン

グを入れる抜け Aの緩み 実施結果が外観で不明、付随的作業 4 3 3 36

7 ネジで部品Aを本体に仮組みする

抜け A欠品 1 4 2 8位置の間違い Aの作動不良 1 4 2 8

8 電気ドライバーのトルク設定

抜け Aの緩み やったりやらなかったりする、付随的作業

2 3 3 18

9 電気ドライバーで本締めする

抜け Aの緩み 実施結果が外観で不明、類似作業の繰り返し

4 3 4 48

対策の作成と実施

40

エラー エラープルーフ化の方法a)ネジ・ワッシャー類の取り忘れ

b)ネジ・ワッシャー類の選び間違い

1)作業標準書に番号を記入して作業の順序を固定し、その順序に従ってネジ・ワッシャー類を配列する(共通化・集中化)

2)作業標準書の図及びそれと対応する現物(ネジ・ワッシャー類の箱)とに、同色同形のラベルを貼付する(共通化・集中化)

3)一台分のネジ・ワッシャー類を区分けされたパレットに用意し、作業終了後に余りの有無を確認する(異常検出)

〔このパレットに対して1)2)の対策を行った〕c)仮組みネジの本締め忘れ

4)外観上明らかに仮組みネジとわかる専用の治具を用いるようにし、仮組みネジで組立てた後一本一本普通のネジと交換して締め付けていくようにする(特別化・個別化)

5)電気ドライバーの使用回数をカウントし、それを基準値と比較して異常ならブザーを鳴らすようにする(異常検出)

d)締付トルクの不足

6)トルクドライバーを用いる(代替化)7)手順を締付けが行ないやすいように入れ替える(適合化)

e)ラベルの貼付間違い、位置ずれ

8)作業標準書の図に現物表示をする(共通化・集中化)9)位置決め用の専用貼付け治具を用いる(代替化)

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2015年7月17日 PA - 21

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

効果の確認

4 0 0

3 0 0

2 0 0

1 0 0

01 0 1 1 1 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0

表 9 の 5 ) の フ ー ル

プ ル ー フ の 適 用

表 9 の 1 ) ~ 4 ) 及 び

6 ) ~ 9 ) の フ ー ル プ

ル ー フ の 適 用

不良

率(

ppm)

表 12 の5)を除くフー

ルプルーフ化の適用

表 12 の5)のフールプ

ルーフ化の適用

エラープルーフ化a)~d)

エラープルーフ化e)

41

実践例2:大型機械の組立作業

板合わせ、骨組立、穴あけ、打鋲、部品の組付などを経て完成した製品は検査で確認され、問題があるものは修正・手直しとなる

一つのヒューマンエラーで大きな修正工数が発生したこと、上位方針の「損失コスト半減」を受けて、エラーに起因する不良の発生やそれにともなう修正工数の低減を改善活動のテーマに取り上げた。

1台ごとの修正工数のばらつきが大きい、「骨組立」の工程に活動を絞り込んだ

42

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2015年7月17日 PA - 22

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

エラーモード(作業ミスの種類) 影響度 骨組立工程の作業の流れ ①

1.治具を整備 ○ ○ ○ ○ 0 1

2.部品を確認 ○ ○ ○ 1 0

3.部品を棚から取り出す ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 4 2

4.作業台の上に集める ○ ○ 2 1

5.部品にラインを入れる ○ ○ ○ 3 1

6.工具を選ぶ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 2

7.穴をあけ、バリを取る ○ ○ ○ ◎ ◎ 4 1

8.取り付け位置を調べる ○ ○ ◎ ◎ 2 0

9.コンターを合わせる ○ ○ ○ 1 2

10.部品を治具にセット ○ ◎ ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ 4 2

11.ロケータを取り出す ○ ○ ○ 0 0

12.ロケータをセットし合わせる ○ ○ ○ ◎ ◎ ● ○ ○ ◎ ○ ● ○ 4 2

13.下穴を通す ○ ○ ○ ○ 2 2

14.ロケータ部の下穴あけ ○ ○ ○ ○ ○ 3 2

15.治具から外す ○ ○ ○ 2 1

16.治具上であけられない穴あけ ○ ○ ◎ ○ ○ 3 2

17.バリとり ○ ○ ○ 0 0

43

効果の確認

年間20~30件あった修正が年間1件になった

改善提案件数が急増した

実績

299 件

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1

400

300

100

200

目標 400 件

目標 130 件

改善提案件数

44

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2015年7月17日 PA - 23

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

実践例3:顧客対応の業務

開発・営業・生産管理を担当している。

日頃抱えている問題・課題を話し合いった結果、「受発注のトラブルを防ごう」というテーマに取り組むことになった。

過去に経験した失敗をみんなで出し合い、①標準を知っていたか、②標準通りに作業できるか、③標準を守るつもりだったかの3つの質問によって分けたところ、うっかりミスとスキル不足が全体の7割と多かった。

45

改善機会の発見

46

プロセス

サブプロ

セス起こしそう

な失敗影響 原因

発生度

重要度

検出度

リスク

お 客様から の注文を 受ける

お客様の受付内容を確認する

紛失 失注 中断 2 4 4 32見落とし 納期遅れ 忙しい 2 4 3 24見間違える 納期遅れ 時間がない 3 4 4 48

過去の実績を確認する

見落とし間違った情報をあたえる

勘違い 2 2 2 8

見間違え 無駄な工数かかる 忙しい 2 2 2 8

別張り一覧の確認をする

見落とし間違った情報をあたえる

一覧表が紛らわしい

2 2 2 8

見間違え 無駄な工数かかる認識不足

カタログ見間違い2 2 2 8

注)全部で起こしそうな失敗が42個あり、そのうち18点以上のものが20項目

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未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

47

サブプロセス 失敗 対策案

お客様の受付内容を確認する

紛失見落とし見間違える

FAXの一時保管場所、掲示場所を明確にする

受注処理確認集中タイムを設け、その時間に必ず確認する

第三者に確認してもらう

過去の実績を確認する

見落とし見間違える

過去の実績一覧表の作成と誰でもいつでも利用できる化(パソコンの共有フォルダに保存)

別張り一覧の確認をする

見落とし見間違える

別張り一覧表の作成と誰でもいつでも利用できる化(パソコンの共有フォルダに保存)

技術と確認をする

抜かす誤回答

実績のないものを確認しないで(予測で)回答することをしない。

上張り変更調整する

できない張地を回答

実績のないものを確認しないで(予測で)回答することをしない

在庫を確認する

数量数え間違い

データ上の在庫数と実在在庫の差異をなくす

対策案の作成

注)対策発想チェックリストを用いて22個の対策案を作成→5つの対策

48点以上

7%

36点以上

15%

18点以上

26%8点以上26%

8点未満26%

36点以上

7%

18点以上

21%

8点以上

31%

8点未満

41%N=44 N=44

効果の確認

(a) 対策前 (b) 対策後

48

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2015年7月17日 PA - 25

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

医薬品アレルギー情報の収集と使用

実践例4:医療職場の情報処理作業

49

1.アレルギー情報を収集する 3.入力された情報を使用する 2.情報をシステムへ入力する

サブプロセス

1a.看護師/薬剤師等が患者/家

族等からアレルギー情報を

得る

1b.アレルギー情報を文書化す

1c.カルテの表に付ける

サブプロセス

2a.入力するシステムを選ぶ

2b.アレルギー情報を入力する

2c.反応タイプを入力する

サブプロセス

3a.与薬する前に看護師がアレ

ルギーを確認する

3b.薬のオーダーごとに薬剤師

が確認する

改善機会の発見

50

サブプロセス エラー 影響 原因 発生度

致命度

検出度

RPN

2a.入力システムを選ぶ

2a1.間違ったシステムを選ぶ

間違った情報に基づく与薬

2a1a.システムに関する知識不足

4 4 2 32

2a2.入力を抜かす 間違った情報に基づく与薬

2a2a.中断2a2b.時間がない

4 4 4 64

2b.アレルギー情報を入力する

2b1.間違った/不統一

なアレルギー情報に気づかない

間違った情報に基づく与薬

2b1a.システム間の相互参照ができない

4 4 4 64

2b2.途中までしか入力しない

間違った情報に基づく与薬

2b2a.緊急事態による中断

4 4 4 64

2b3.入力すべきところにNAを入力する

間違った情報に基づく与薬

2b3a.NAが標準になっている

4 4 4 64

2b4.アレルギー一覧から選び間違える

間違った情報に基づく与薬

2b4a.アルファベット順に並んでいる

4 4 4 64

2b5.患者を間違える 間違った情報に基づく与薬

2b5a.似た名前の患者がいる

3 4 4 48

2c.反応タイプを入力する

2c1.反応タイプの入力を抜かす

患者・家族への再確認が必要となる

2c1a. 後の入力である 4 1 3 12

・・・ ・・・

注)9サブプロセスに対し、44エラーを列挙。RPNで対策の必要な36エラーを識別した。

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未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

対策案の作成エラー: 2b4.(アレルギー情報を入力する際に)アレルギー一覧から選び間違える

原理 質問 対策案

排除

エラーしやすい作業または危険な物を取り除けないか

ほかの病院のアレルギー情報を利用する

作業を自分自身で完結するようにできないか。

患者に自分で入力してもらう

・・・ ・・・

代替化

問題を解決するために、プロセスを自動化できないか

記入用紙をマークシート式にする

人による作業を支援するために予め行えることはないか

質問に対し、Yes、Noで答え、候補リストを絞り込む

・・・ ・・・

容易化

人による作業を容易にするために、類似の、誤解しやすいものを取り除けないか

大まかなカテゴリィを選び、次に細目を選ぶようにする

・・・ ・・・

・・・ ・・・

51

対策案の評価・選定エラー: 2b4.(アレルギー情報を入力する際に)アレルギー一覧から選び間違える

対策案 有効性 コスト 実施容易さ

SPN

ほかの病院のアレルギー情報を利用する

3 1 3 9

患者に自分で入力してもらう 1 3 1 3

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

記入用紙をマークシート式にする 2 2 2 8

質問に対してYes、Noで答え、候補リストを絞り込む

2 2 3 12

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

大まかなカテゴリィを選び、次に細目を選ぶようにする

3 2 3 18

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

注)対策すべきエラー36に対して151の対策を生成し、35を選定。

52

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2015年7月17日 PA - 27

未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

0

10

20

30

40

50

60

70

80

イン

シデ

ント

数効果の確認

医薬品アレルギーのインシデント数

53

実践例5:生産ライン故障の未然防止

54

工程 設備 機器 部位 故障発生度

影響度

安全度

合計

加工

ボイラー 脱気タンク 電磁弁 さび 2 1 1 2混合器 減圧レギュレータ バルブアッセンブリ 破損 2 4 1 8混合器 ブレード 羽 破損 2 4 1 8

混合器 クロススクリュー 電磁弁 破損 2 4 1 8ボイラー 脱気タンク 電磁弁 さび 2 1 1 2ボイラー 脱気タンク 電磁弁 さび 2 1 1 2ボイラー 蒸気配管 バイパス配管 腐食 2 1 1 2

混合器 温水入り口弁 モーター 破損 2 4 1 8混合器 ブレード Vベルト 摩耗 3 2 1 6

充填

現像材貯蔵 ドラム缶反転機 減速機 破損 2 3 1 6包装機 ベルト送り部 バキュームベルト 摩耗 4 3 1 12

梱包機 シリンダー センサー 破損 2 3 1 6包装機 ベルト送り部 バキュームベルト 摩耗 4 3 1 12梱包機 ブッシャー センサー 破損 2 4 1 8包装機 エンドール部 シーラー 汚れ 3 3 1 9

現像材貯蔵 ドラム缶反転機 減速機 破損 3 4 4 48

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未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

故障リスクの評価と対策

55

(a) 故障リスクの評価点 (b) 設備故障件数

0

1

2

3

4

5

6

5点以

下25%

6‐11点56%

12‐23点13%

24点以上6%

N=16

実践例6:危険な作業の改善

汎用自動加工機械を初めて導入。

今まで行ったことのない作業であるため、ヒューマンエラーによる事故が危ぶまれた。

作業の形態としては、3名の作業者が①材料の運搬・取付け・取外し、②治工具の交換、③機械の操作を実施。

56

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未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

改善機会の発見

57

No サブプロセスエラー

影 響 発生原因

発生頻度 影響致の命度

波及防止度 対策必の要性

可能性

異出常能検力

影和響度緩

1 吊具を取る 選び間違える ワーク落下、怪我 選択の対象となる物が多い

小 大 大 小 小

2 完成品に吊具を掛ける

忘れる ワーク落下、怪我 類似作業の繰り返しである

小 大 中 小 小

3 エンチングして確認する

忘れる ワーク落下、怪我 付随的な作業である

小 大 小 中 小

4 ワークのアンクランプボタンを押す

忘れる ワーク固定治具破損 小 中 小 中 小選び間違える ワーク固定治具破損 ボタンが多数ある 中 中 小 小 大

5 締金を外す 忘れる ワーク固定治具破損 類似作業の繰り返し、付随的作業

中 中 小 小 大

6 完成品を吊り上げコンベアまで運ぶ

壁にぶつける ワーク落下、怪我 中 大 小 小 大

7 「段取中」のスイッチを押す

忘れる 他の作業者の操作によりコンベアに巻き込まれる

付随的な作業である

中 大 中 小 大

8 他の作業者の有無を確認する

忘れる 他の作業者をコンベアに巻き込む

動作を伴なわない作業である

中 大 小 小 大

9 コンベアの駆動スイッチを押し完成品の置場を作る

長く押し過ぎる

前の完成品がコンベアの端から落ちる、破損

中 小 小 小 中

効果の確認

N = 5 36 N= 5 3 6

大(31)

中(145)

小(360) 小(483)

中(53)

(a) 対策前 (b) 対策後

58

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未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

未然防止型QCストーリーの聞きどころ「未然防止」が必要なことを、どのようにして気づいたか、上司に訴えたか。「同じ問題が別の場所で起こっている」ことを、データを用いてどのように把握したか。

過去の事故・トラブルの原因となったエラーをどのように収集し、似たものをどうまとめてどのような「失敗モード一覧表」を作ったか。

対象となる業務をどのように見える化し、検討のしやすい大きさに分けたか。また、いかに「系統的」に数多くのエラーを洗い出したか。

どのような基準を用いてリスクの点数付けを行い、どのような考えでいくつのものまでを要対策と判断したか。

過去に効果のあった対策をどのように収集し、どのように整理して「対策発想チェックリスト」や「対策データベース」を作ったか。これらを使ってどれだけ数多くの対策案を作ったか。

対策案をどのように評価・選定し、有効な対策に仕上げたか。多くの人の協力を得てどのような体制で実施したのか。

FMEAなどの新しい手法をどうやって学び、活用したか。

59

まとめ

近のトラブル・事故の大半は管理不良。失敗をいかに防ぐかがポイント。

失敗によるトラブル・事故を防ぐためには未然防止活動が必要。

未然防止活動とは、過去のトラブル・事故を類型化し、自分のプロセスに系統的に当てはめて起こりそうな失敗を洗い出し、事前に対策する活動。

未然防止活動のためのストーリーや手法をうまく活用することが大切。

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第5714回QCサークル大会QCサークル関東支部運営事例選抜大会

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未然防止型QCストーリーを活用してトラブル・事故を防ぐ

参考文献中條武志(2008):ヒューマンエラーによるトラブル・事故を防ぐ-トラブル・事故0を達成する方法を学ぼう-、「QCサークル」、No.558 ~No.563 。中條武志(2012):「未然防止型QCストーリーを活用しよう」、品質月間委員会。

中條武志ほか(2015):未然防止型QCストーリーを使いこなそう、「QCサークル」、No.647。

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