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このQ&Aは血清尿酸値が低いといわれた方、腎性低尿酸血症の方とご家族向けに作成された文
章であり、医療従事者向けに作成された「腎性低尿酸血症診療ガイドライン(第1版)」(2017
年4月公開)に基づいたものです。実際の診療は個々で異なりますので、主治医とよくご相談く
ださい。
健康診断で「血清尿酸値が低い」と言わ
れました。何が原因でしょうか?
とくに持病がなく、検査で血液中の尿酸
値(血清尿酸値)が2.0 mg/dl以下の場合には「腎性
低尿酸血症」の可能性があります。
? !
Q1
A1
「腎性低尿酸血症」とはどのようなもの
でしょうか?
遺伝的に腎臓から尿酸が排泄されやすく
なるため、血清尿酸値が著しく低くなった状態をい
います。
? !
Q2
A2
私は尿酸値が低いです。「腎性低尿酸血
症」かどうか、どうすれば分かりますか?
ガイドライン中の診断指針を使って診断
できます。お近くの一般内科で、血液検査と尿検査
を受けることによりほとんどの方で診断可能です。
? !
Q3
A3
「腎性低尿酸血症」の人は多いのでしょ
うか?
日本人に比較的多く、日本人男性の0.2%
(500人に1人)、女性の0.4% (250人に1人)が腎
性低尿酸血症だと推計されています。
? !
Q4
A4
遺伝子検査は必ず受ける必要があります
か?
必須ではありません。血液検査と尿検査
のみで診断は可能です。ただ、遺伝子検査では「1
型」か「2型」かといった詳しい診断ができます。
? !
Q6
A6
尿酸値が低くても特に自覚症状はありま
せんが、何が問題なのでしょうか?
通常は無症状でただちに体調を崩す心配
もありませんが、「運動後急性腎障害」や「尿路結
石」といった合併症が問題になることがあります。
? !
Q7
A7
私(患者)の親や子供も「腎性低尿酸血
症」でないか心配です。
ご家族にも診断指針を使って診断できま
すので、主治医にご相談ください。普段の尿酸値が
低くなければあまり心配はいりません。
? !
Q5
A5
腎性低尿酸血症診療ガイドライン(第1版)・解説
「腎性低尿酸血症」だと「運動後急性腎
障害」や「尿路結石」を発症する頻度は高いので
しょうか?
合併症としてこれらの病気を発症しやす
いことは知られていますが、その正確な頻度は明ら
かになっていません。
? !
Q8
A8
「運動後急性腎障害」の予防薬はありま
すか?
キサンチンオキシドレダクターゼ阻害薬
が有効との少数例の報告はありますが、医学的根拠
は十分ではありません。主治医との相談が必要です。
? !
Q11
A11
「腎性低尿酸血症」 で「運動後急性腎障
害」になったことがあります。運動部所属ですが、
運動はあきらめたほうが良いですか?
いいえ。運動前に痛み止めを飲まない、
水分を十分摂るなどの対策もあります。ガイドライ
ン付録の総合格闘家患者のコメントもご覧ください。
? !
Q10
A10
尿路結石になったことがあるのですが、
「腎性低尿酸血症」によるものでしょうか?
尿路結石の原因はさまざまですが、「腎
性低尿酸血症」を持つ人には尿路結石が合併しやす
いといわれています。
? !
Q12
A12
腎性低尿酸血症により起きる「尿路結
石」の治療法や予防法は、普通の結石症とは何か違
うのでしょうか?
通常の結石の治療法や予防法と同じです。
内服薬による結石溶解療法や、水分を多く摂取する
予防法などがあります。
? !
Q13
A13
腎性低尿酸血症診療ガイドライン(第1版)・解説
「運動後急性腎障害」とは、どんな病気
ですか?
短距離走などの無酸素運動後、数時間程
度で急激に腎臓の機能が悪くなる病気です。多くの
場合は2週間から1ヶ月程度で回復します。
? !
Q9
A9
腎性低尿酸血症の患者さんとご家族の方へ
「腎性低尿酸血症」は比較的日本人に多いとされる病気ですが、この病気の全国的
な認知度は、医療関係者を含めてまだまだ低いのが現状です。そのため、この「腎性
低尿酸血症診療ガイドライン」は、医療従事者を含めた啓発と、疾患像の更なる解明、
治療・予防法の研究や確立に繋げることを目的として、世界に先駆けて策定されまし
た。
本診療ガイドラインは、公益財団法人日本医療機能評価機構の医療情報サービス
Minds(Medical Information Network Distribution Service: マインズ)に準拠して作成さ
れたもので、できうる限りのエビデンス(医学的証拠)をもとに現時点での最善の対
処基準を示しています。その結果、『質の高い診療ガイドライン』と評価いただき
Mindsのホームページにも掲載されています。
しかし、本診療ガイドラインは絶対的な規則ではありませんし、全ての患者に一律
に適用できるものでもありません。診療ガイドラインはあくまでも『患者と医療者の
意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書』(福井次矢・山口
直人監修『Minds診療ガイドライン作成の手引き2014』医学書院.2014.3頁)ですの
で、腎性低尿酸血症の診断、治療及び予防等の方針を決める際には、主治医としっか
りとご相談の上、方針を決め診療を進めるようにしてください。
本診療ガイドラインの最後には、腎性低尿酸血症とうまく付き合いながら総合格闘
家を続けている方からもコメントをいただきました。その中にもありますように、患
者さんとそのご家族の方が、正しい知識とエビデンスをもとに本疾患と向き合い健康
的な生活を送ることができるよう、祈念いたします。
腎性低尿酸血症診療ガイドライン 作成委員一同