project for eradication of opium poppy cultivation … for eradication of opium poppy cultivation...

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巻頭言 新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。 早いもので、プロジェクトも半分以上が過ぎました。途中、治安悪化など想定外の事象に遭遇し、荒波 に揉まれていましたが、11 月の中間評価ミッションで総括を行い、後半に向けた方針と枠組みが固まり ました。 プロジェクトの枠組みは、これまで農家の生計向上に直接資する活動に軸足をおいてきました。治安 悪化による活動の制約から、今後は「モデル作り」と「政府職員の能力強化」が柱となります。また、新た なコンポーネントとして、政府職員の中から“麻薬撲滅に向けた代替開発のエキスパート”を育成する活 動が取り込まれました。 今年はプロジェクトも飛躍の年になるよう、心機一転、専門家・カウンターパート・スタッフが一丸とな って邁進していきます。皆様の御指導、ご助力を宜しくお願いします。(吉) 1. 活動ハイライト/出来事 7 7 シャン州政府チーフミニスター表敬 7 15 Khashi 村にて麻薬乱用防止のための啓蒙事業を開催。 8 2 2 回国内支援委員会 TV 会議への参加。 8 14-20 JICA OJT 職員(山中潤氏)受け入れ。 8 15-19 PBANRDDOA C/P を対象として合同研修(社会経済調査)実施(ラショー、モ デル村)。 8 30 Pinglon 村にて DOA-DAR-JICA の協働による作物病害に対する RRA(農村迅 速調査)及び IEC 教材を使った普及活動を実施。 9 1 Narhpot 村の小規模養殖池への稚魚放流式(DOF との協働)。 9 9 新日本製薬、日本財団来訪(ハトムギ栽培にかかる情報交換)。 9 23 Khashi Lisu 族協会の反麻薬啓蒙事業へ参加。 9 27 中村直子専門家(農村開発)着任。 10 4 Farmer Field Day DAR Naungmon 農場にて開催。ハトムギ、トウモロコシ試 験の展示。トウモロコシ病害虫にかかる IEC 研修の実施(モデル村農家約 40 名招聘) 10 10 6 PIC 会議及びタスクフォース会議開催。 10 17 中間評価ミッション対処方針 TV 会議(勉強会)。 10 20-21 コンニャク栽培技術研修の実施(DAR Naungmon 農場) 10 31 中間評価ミッション対処方針 TV 会議。 11 6-25 合同中間評価ミッション受け入れ。 6 2017 1 シャン州北部地域における麻薬撲滅に向けた農村開発プロジェクト Project for Eradication of Opium Poppy Cultivation and Rural Development in the Northern Part of Shan State 編集人: 今村

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巻頭言

新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。

早いもので、プロジェクトも半分以上が過ぎました。途中、治安悪化など想定外の事象に遭遇し、荒波

に揉まれていましたが、11 月の中間評価ミッションで総括を行い、後半に向けた方針と枠組みが固まり

ました。

プロジェクトの枠組みは、これまで農家の生計向上に直接資する活動に軸足をおいてきました。治安

悪化による活動の制約から、今後は「モデル作り」と「政府職員の能力強化」が柱となります。また、新た

なコンポーネントとして、政府職員の中から“麻薬撲滅に向けた代替開発のエキスパート”を育成する活

動が取り込まれました。

今年はプロジェクトも飛躍の年になるよう、心機一転、専門家・カウンターパート・スタッフが一丸とな

って邁進していきます。皆様の御指導、ご助力を宜しくお願いします。(吉)

1. 活動ハイライト/出来事

7 月 7 日 シャン州政府チーフミニスター表敬

7 月 15 日 Khashi 村にて麻薬乱用防止のための啓蒙事業を開催。

8 月 2 日 第 2 回国内支援委員会 TV 会議への参加。

8 月 14-20 日 JICA OJT 職員(山中潤氏)受け入れ。

8 月 15-19 日 PBANRD、DOA C/P を対象として合同研修(社会経済調査)実施(ラショー、モ

デル村)。

8 月 30 日 Pinglon 村にて DOA-DAR-JICA の協働による作物病害に対する RRA(農村迅

速調査)及び IEC 教材を使った普及活動を実施。

9 月 1 日 Narhpot 村の小規模養殖池への稚魚放流式(DOF との協働)。

9 月 9 日 新日本製薬、日本財団来訪(ハトムギ栽培にかかる情報交換)。

9 月 23 日 Khashi 村 Lisu 族協会の反麻薬啓蒙事業へ参加。

9 月 27 日 中村直子専門家(農村開発)着任。

10 月 4 日 Farmer Field Day を DAR Naungmon 農場にて開催。ハトムギ、トウモロコシ試

験の展示。トウモロコシ病害虫にかかる IEC 研修の実施(モデル村農家約 40

名招聘)

10 月 10 日 第 6 回 PIC 会議及びタスクフォース会議開催。

10 月 17 日 中間評価ミッション対処方針 TV 会議(勉強会)。

10 月 20-21 日 コンニャク栽培技術研修の実施(DAR Naungmon 農場)

10 月 31 日 中間評価ミッション対処方針 TV 会議。

11 月 6-25 日 合同中間評価ミッション受け入れ。

第 6 号 2017 年 1 月

シャン州北部地域における麻薬撲滅に向けた農村開発プロジェクト Project for Eradication of Opium Poppy Cultivation and Rural Development in the Northern Part of Shan State

編集人: 今村 甲

11 月 25 日 中間評価に係る Joint Coordinating Committee (JCC)会議開催。

11 月 28-30 日 ソーラーパネル配布計画実施。

12 月 18-25 日 運営指導ミッション(萩原専門家)来訪。

12 月 20 日 第 7 回 Project Implementing Committee (PIC)/Taskforce 会議開催

1 月 9 日 国境省フルタイム・カウンターパート(U Aung Soe)着任

1 月 15-16 日 JICA 農村開発部三次部長、大城職員、小林専門家来訪。

1. 全体活動

(1) チーフミニスター表敬(7 月 7 日)

3 月の政権交代に伴い、シャン州政府でも新たにチーフミニスター(首長)及び各大臣が任命されたた

め、JICA 事務所から三條次長、瀬戸所員が、

プロジェクトからプロジェクトマネジャー(U

Maung Maung Naing)、吉田がタウンジーを訪

問し、シャン州政府事務所で表敬を行いまし

た。新チーフミニスターは、ラショーの歯科医

だった方で、温厚そうな雰囲気でした。JICA

事業に対する謝意と、プロジェクト対象地域で

は無理せず安全第一で活動するようにとのコ

メントがありました。同席した大臣や行政官か

らは、若者の薬物乱用への支援を強化して欲

しいとの要請もなされました。(吉)

(2) Khashi 村での薬物防止キャンペーン(7 月 15 日)

モデル村の一つ Khashi 村は Lisu 族を中心とした 515 世帯の村です。この村の発展を妨げる問題とし

て若者の薬物乱用があります。ニーズ調査の際にも、村落区長から薬物対策の支援要請がありました。

そこで、まずはラショーのミャンマー警察(麻薬統制課)、総務局(GAD)、教育省と連携し、Khashi 村お

よび周辺村の小学校高学年、中学生220人を集め、薬物防止啓蒙のためのキャンペーンイベントを行い

ました 。

当プロジェクトはケシ撲滅支援を掲げていることもあり、生計向上部門で薬物対策活動として「薬物使

用者の社会復帰支援」、「若者に対する薬物使用防止に向けた啓蒙活動」を組み入れています。

薬物使用者のいる世帯は、薬物購入に家計が圧迫されている現状があり、薬物患者を減らす、防止す

ることは農家の生計向上にも資する活動です。(吉)

(3) JICA 新人 OJT

8 月 14 日から 20 日にかけて、JICA 本部の山中潤職員が、新人 OJT として、当プロジェクトに派遣さ

れました。高橋短期専門家(社会経済調査)の研修や現場でのインタビュー等に参加いただきました。新

人時代の良き思い出となってほしいです。(今)

(4) 第 6、7 回プロジェクト実施委員会 (PIC)及び Taskforce 会議開催

10 月 10 日、及び 12 月 20 日に、現場及びラショーレベルの関係者を招集して、第 6、7 回

PIC/Taskforce 会議を開催しました。第 6 回会議では、第 5 回 PIC 会議以降の活動を報告し、引き続き

開催されました Taskforce 会議にて今後の活動等が検討されました。第 7 回会議では、第 6 回会議以

降の活動報告、合同中間評価ミッションの結果を報告し、引き続き開催されました Taskforce 会議にて

今後の活動等が検討されました。(今)

(5) 合同中間評価ミッション

11 月 6 日から 25 日まで、農村開発部平知子課長を団長とする合同中間調査団員(4 名)が、ミャンマ

ー側の調査団員(4 名)と共に来訪されました。プロジェクト関係者へのインタビュー及び協議、活動現場

視察等を経て、以下の提言がなされました。①パイロット地域での活動から人材育成への変更(代替開

発トレーナーの育成)②コミュニティーインフラ③モデル村での活動のスケールアップ④PDM 及びプロジ

ェクトアプローチの変更⑤国境省からのフルタイム・カウンターパートの配置。

(6) 合同中間評価に係る Joint Coordinating Committee (JCC)会議開催

11 月 25 日に、ネピドーにて JCC 関係者を招集し、合同中間調査団の報告がなされました。上記調査

団としての提言に対し承認が得られ、合同調査団報告書及びミニッツ署名を取り付けました。シャン州政

府からは農業畜産大臣の Mr. Sai Lon Kyaw、JICA 事務所からは瀬戸典子所員、Mr. Tun Myint Thein が

出席されました。(今)

(7) 日本大使館松尾参事官、中澤所長、木村企画調査員来訪

12 月 5 日~6 日に、日本大使館松尾秀明参事官、

中澤慶一郎 JICA 所長、木村歩企画調査員らが、

ラショー総合病院竣工式に出席され、また、プロジ

ェクト事務所にもお越しいただき、プロジェクトの現

状をご説明し、寒いラショーならではの火鍋を囲み

ました。(今)

(8) 運営指導調査団訪問(12 月 18 日~24 日)

2017 年 3 月にチーフアドバイザー交替となります。後任の萩原知(さとる)氏が運営指導調査団として

訪緬しました。ラショーでは第 7 回 PIC 参加及びモデル村視察、ネピドーでは国境省、農業畜産灌漑省

(農業局、農業研究局)を表敬しました。萩原氏は 4 月に着任予定です。(吉)

(9) JICA 農村開発部三次部長、大城職員、小林専門家来訪

1月 15日~16日に、農村開発部三次啓都部長、小林健一郎専門家、大城華職員が来訪されました。タイト

なスケジュールにも拘らず、当プロジェクトをご視察いただき、現状活動報告、問題点等をお聞きいただきまし

た。(今)

(10) 着任挨拶

9 月 27 日に着任いたしました中村直子です。福山専門家の後任として、

農村開発(生計向上部門)を担当いたします。これまで、NGO や JICA で

の国際協力、内閣府での国際交流に従事してきました。ほかの日本人

専門家、カウンターパート、スタッフとともに、プロジェクト後半を盛り上げ

ていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!

(11) 国境省フルタイム・カウンターパート着任

合同中間評価団からの提言にもあり、かつ、プロジェクトからも強く要請し

ておりました国境省からのフルタイム・カウンターパート(Mr. Aung Soe :

Assistant Director)が、2017 年 1 月 9 日に配属されました。

民間人として国境省に入省して 17 年間の経歴を有し、当プロジェクト配属

直前は、シャン州東部Mong Yang支所で代表として配属されておりました。

国境省としてはフルタイム・カウンターパートをプロジェクトに配属するには、

課長代理級を配属しなければならないとの深慮のもと、時間がかかりまし

たが、このたびの配属となりました。(今)

2. 農業開発部門

(1) モデル村での活動

1) ピンロン村での作物調査(8 月 30 日)

モデル村のひとつであるピンロン村で、飼料用のトウモロコシに病気が発生しているという報告を受け

て、DAR ナンモン農場および DOA の病害虫担当のスタッフとともに調査に駆けつけました。トウモロコ

シには葉枯れ病の発生が確認されたため、対策を含めて農家に説明を行いました。幸い病気も広がっ

ていなかったため大きな被害にもなりませんでした。また、当日は7名ほどの村人が集まったので、視

聴覚教材を使い、トウモロコシや果樹の病害虫についてDOAスタッフによる簡単な講習会も行ないまし

た。後日、ナーポット村でもトウモロコシが枯れてしまう症状が発生したため、DAR ナンモン農場のスタ

ッフが調査に向かいましたが、こちらは除草剤の薬害であったことがわかりました。

現場で問題が発生したときに、農家のもとに足を運び、地元の DOA や DAR が協力して解決していく

経験の積み上げが、ニーズに合った行政サービスの提供ができる体制つくりにも直結すると考えてい

ます。(藤)

トウモロコシの症状を確認 代表的な病害虫の症状を説明

2) ナンモン地区モデル村定例会議(9 月 27 日)

ナンモン V/T(ビレッジトラクト)のモデル村4村とプロジェクトによる定例会が開催されました。プロジ

ェクトのモデル活動の目的を確認し、振り返りと予定について情報交換することにより、村のリーダーが

より主体的に活動に参加してくれることが期待できます。会議にはV/T地区リーダーも参加していただき

ました。道路の補修や豚飼育、ハトムギ・トウモロコシの試験栽培の現状などについて意見交換や報告

を行いました。(藤)

ナンモン地区村長会議 V/T リーダーを中心に集合写真

3) DAR ナンモン農場におけるファーマーズフィールドデイ(10 月 4 日)

「トウモロコシの品種比較栽培の様子を、刈り取りの前に農家に見てもらいたい」という農場長の発案

から、地区の農家に声をかけてファーマーズフィールドデイを開催しました。

午前中は DOA 病害虫部門のスタッフと農場スタッフによるプレゼンテーションが行われ、モデル村にお

けるトウモロコシの被害と原因について参加農家と情報を共有しました。午後は場内見学を行い、トウモ

ロコシの品種比較栽培圃場ではで品種の人気投票などを行いました。

モデル村を中心に 34 人の農家の参加があり農場の試験活動や地域の農場としての機能を身近に感じ

てもらえました。また、農場側も地域の農家ニーズについて情報交換をするよい機会になりました。(藤)

圃場の試験内容を説明する農場長 近隣農家が大勢参加

(2) ハトムギ栽培

昨年から試験栽培を開始したハトムギですが、今年はラショーのローカル品種について 3村のモデル

村で 6 人の農家による農家圃場試験が行われました。農場でも試験栽培が続けられ、DAR ナンモン農

場では種子生産も開始しました。10 月から 12 月にかけて収穫されたハトムギは新日本製薬さんにより

買取りも行われました。一部の農家のハトムギは乾燥が十分でなく、買取り場所で急きょ乾燥作業を行

うなどの場面もありましたが、無事に全量の買取りが終了しました。今年は特に地域の主要作物である

飼料用トウモロコシの価格が下落しているため(昨年比マイナス 30~40%)農家の関心も高まり、噂を聞

いた農家からの問い合わせもありました。試験場や農家圃場のトライアルの結果、マーケット情勢などを

分析して来年度に向けた戦略を関係者と打ち合わせていく予定です。(藤)

モデル村における農家圃場試験 業者による品質チェックをうける農家

(3) ラショーでの普及員研修

おおよそ毎月 1回のペースでカウンターパート向けの研修が開催されました。主な対象はDOAのタウ

ンシップ事務所のマネージャーおよびスタッフで、国境省 PBANRD のカウンターパートとの合同プログラ

ムも実施されました。(片)

1) 2016 年度第 2 回研修(7 月 10 日~12 日)

18 名が参加したこの研修は内容が盛りだくさんとなりました。前半は DAR の元次長、Dr. Aung Kyi を

招へいして「農業灌漑省による農家ニーズにもとづく普及方法」、「研究と普及の連携の重要性」につい

て講義をお願いしました。また Dr. Aung Kyi は害虫防除の専門家でもあることから総合防除についての

長年の蓄積の結果を披露いただきました。これら講義には DOA 職員のみならず DARの Naungmonおよ

び Kyaukme 農場、DOA の Kutkai および Nali 農場の農場長も参加しました。また翌日は Naungmon 農場

及び近隣のモデル村への視察を行いました。これにより研究開発と普及の連携が改善することが期待さ

れます。

左:Dr Aung Kyi の講義。長く大学で教鞭を取っていたので農業に対する熱い思いが伝わる。

右:第 2 日目の農家圃場視察(ピンロン村のパイナップル畑にて)。

さらに約 1 日半を使ってプロジェクト・サイクル・マネージメント(PCM)研修を行いました。6 月の第 1 回研

修で習ったPCM手法を普及計画に適用するため、前回のおさらいの後、各タウンシップの実際の課題を

選び PCM 演習を行いました。問題分析から Project Design Matrix(PDM)の一部作るところまでを行いま

した。

問題分析、目的分析のグループワーク グループごとの発表

2) 第 3 回研修:8 月、高橋先生による社会経済調査方法についての研修が行われました。

2015 年に引き続き、社会経済調査短期専門家として、高橋昭雄先生(東京大学東洋文化研究所、教

授)を招聘し、調査ガイドラインの作成、国境省/農業灌漑省職員に対する調査手法の研修を行ってい

ただきました。ミャンマー語堪能な高橋先生の講義はとても好評でした。(吉)

3) 第 4 回研修(9 月 5 日~7 日)

研修科目は 1)PCM の普及計画への適用と 2)工芸作物、主にコンニャクとハトムギの導入の 2 課題で、

DOA のタウンシップ事務所から 13名が参加しました。PCM 研修は 6 月に基礎を習い、7 月に各タウンシ

ップの課題を選んで実施しまた。今回はさらに問題分析、PDM、さらに Plan of Operation(PO)を作ること

を目指しました。結果として 7 つの DOA タウンシップ事務所から 11 のタイトルがあげられ、それぞれの

PDM と PO が成果品として出来上がりました。

問題分析のおさらい ラショー・タウンシップ事務所チーム

藤山専門家による工芸作物についての概論 栽培についての Naungmon 農場長の講義

4) 第 5 回研修(10 月 11 日~13 日)

15名が参加してコミュニティ開発プロセスの研修が行われました。講師はヤンゴンのCapacity Building

Initiative から派遣された専門のトレーナ。主な内容は、コミュニティとは何か、開発とは何か、参加とは

どういうことか、開発プロセス、コミュニティ・ファシリテーション、トラスト・ビルディングなどでした。参加

者は講義だけでなく演習やグループワークで理解と基礎的なスキルの習得に勤めました。

説得と納得、2 人一組でファシリテーションの演習 信頼醸成の体験:目隠しをされ何が起こるか分

からずに仲間を信頼して後ろに倒れる(乱

暴!)

説得の演習 PBANRD から 9 名、DOA から 6 名が参加した研修員

5) 第 6 回研修(10 月 20~21 日):松本満夫短期専門家によるコンニャクについての研修が行われま

した。

10 月 9 日から 10 月 29 日まで工芸作物の短期専門家として高知県立牧野植物園技術顧問の松本満

男専門家を招聘しました。松本専門家には調査の後、研修を開催するため、まず、DAR ナンモン農場の

農場長タンダー・ウインさん(チーフカウンターパート)にコンニャクの栽培、加工、普及方法について、研

修の教材作成を一緒に行うことを通じて知識と経験を移転してもらいました。研修は、初日は普及員と他

の3つの農場長を対象に、2 日目はプロジェクト対象地域のナムサンから関心のある農家を招き、ナンモ

ン農場で開催されました。講義はタンダー・ウイン農場長が行い、質疑応答で松本専門家が解説すると

いう形式で進められ、種イモの定植方法や乾燥イモのスライス方法などの実習も行われました。

山間地の林間栽培に適し、手間も比較的かからないコンニャク栽培は、第2、第3番目のキャッシュ・クロ

ップとしても参加したナムサンの農家から栽培支援への希望が示されました。同様に普及員からも品種

およびマーケット情報に強い関心が寄せられました。研究としてはほとんど取り組まれていないコンニャ

クですが、農場での栽培試験・品種試験などによる普及部門へのサポートにより、プロジェクトの代替作

物の候補として、その可能性を大きく広げることができると考えています。(藤)

ナンモン農場長による普及員への講義 お茶の産地ナムサンから 9 名の農家が参加

6) 第 7 回研修(12 月 21 日)

11 名が参加し、1)本邦研修の伝達、2)土壌pH メータの使い方についての 2 課題の研修が行われま

した。本邦研修は 2016 年 8月下旬から 9 月下旬の 2か月間、「農業普及計画および管理」コースにチー

フC/PのMr. Aung Zaw MoeとC/PのMr. Sai Than Aung(DOA Laukai District 所長) が参加しました。

今回の研修は、彼らが講師となり日本で習ったことを DOA のタウンシップ事務所長、スタッフ、DOA の農

場長に伝達するために行いました。Mr. Sai Than Aung は、日本での研修概要、日本の普及:経験と活動、

ミャンマーの普及とその改善について講義を行いました。Mr. Aung Zaw Moe は日本の農水省による普及

の指導システム、コミュニティ・ベースの営農のケース・スタディについて発表を行いました。

土壌pH メータの使用方法の研修は、配布するpH メータのミャンマー語マニュアルと土壌サンプルを用

意し分かり易く行われました。

See-Plan-Do-Check を説明する Mr. Sai Than Aung 簡易型土壌pH 計の使用方法説明

(4) タスクフォース会議

期間中に TFM が 2 回開催され、活動方針や詳細計画の検討が行われました。(片)

第 6 回タスクフォース会議(10 月 10 日)

農業開発部門は各農場の進捗状況の報告、さらに向こう 3 か月間の活動計画が報告されました。ま

た 9 月に開かれた第 4 回研修で作られた普及計画の PDM などについて、詳細計画を作るための説明

が専門家から行われました。

トウモロコシの被害株の説明をする Naungmon 農場長 専門家による普及計画の説明

第 7 回タスクフォース会議(12 月 20 日)

第 1 部は生計向上部門と合同で代替開発トレーナ育成についての説明が行われました。吉田チーフ

アドバイザーによる「代替開発(Alternative Development, AD)とは何か」に始まり、その歴史、麻薬撲滅

のフェーズと農民の置かれる状況、AD トレーナの育成の必要性、求められる資質、AD トレーナの研修

計画の説明が行われました。

第 2 部は農業開発部門の分科会で AD トレーナの人選を行いました。また PCM 研修で提案された普

及計画について、詳細計画の作り方についての打ち合わせを行いました。

TFM の合同会議での AD トレーナの説明 農業開発部門の分科会

3. 生計向上部門

(1) Narhpot 村での小規模養殖(9 月 1 日)

Narhpot村の 3つの池で、小規模養殖が始まりました。農家の庭先にある池は、農家自身の努力により

掘られました。商業用の養殖と比べると、池の規模は極端に小さく、20 ㎡から 30 ㎡となっています。ラシ

ョー市の水産局職員と協力し、魚を供与する前に、水漏れ防止の目的で、養殖池の底に牛糞と石灰をま

くとともに、実地研修を行いました。魚の種類は、農家と協議して決め、ティラピア 150匹、ソウギョ 200匹、

コイ 200 匹をそれぞれ供与しました。開始以来、Narhpot 村には、小規模養殖に関心を持つ近隣農家が

既に数回見学に来ており、農民間普及を期待しているところです。(中)

コイの養殖池 水産局の協力を得て、稚魚を調達

(2) 第 6 回タスクフォース会議(10 月 10 日)

今回のタスクフォース会議では、6 月に学習した PCM 手法の復習をした上で、問題分析を実践しました。

問題分析では、各々の職員が担当する地域における問題に焦点を当て、「収入が少ない」をスタート地

点として、分析を進めました。国境省の職員の間で、PCM 手法の考え方は徐々に浸透しつつあり、イン

フラ、農業、非農業分野を含めた包括的な分析ができました。次回は、この分析結果を実際の活動につ

なげていくために、計画書の作成方法を共有していきたいと思います。(中)

PCM 手法研修の復習 問題分析

(3) 第 7 回タスクフォース会議(12 月 20 日)

今回のタスクフォース会議では、11月 28日~30日のソーラーパネル配布時、中心的な役割を果たした

国境省ナムサン事務所の U Phone Myint による報告と、計画書の作成方法に関するワークショップを実

施しました。

報告においては、ロジ面で苦労したこと、村側及びプロジェクト側との緊密な連絡調整を行うことにより、

スムーズな配布ができたことが述べられました。

ワークショップでは、計画書に盛り込むべき内容について説明を行ったところ、パイロット地域の 1 つで

ある国境省クッカイ事務所の職員より、国内避難民の移住先の村に対する支援をお願いしたいとの要請

を受け、後日、計画書を受領しました。近い将来、詳細をつめて、支援を実現させたいと思います。(中)

ソーラーパネル配布の活動報告 計画書作成のワークショップ

(4) ソーラーパネル配布(11 月 28 日~30 日)

ナムサンより代表者 20 名(各村 2 名)を招へいし、10 村 50 世帯を対象としたソーラーパネルの配布を

行いました。今回の配布にあたっては、上述した国境省ナムサン事務所の U Phone Myint(プロジェクト

の元チーフ・カウンターパート)が窓口となり、村側とプロジェクト側との連絡調整を行いました。

招へい期間は、移動日を含め、11 月 28 日から 30 日までの 3 日間。初日に、ソーラーパネルの設置に

係る研修、2 日目に、オリエンテーション及び家計管理研修、ソーラーパネルの引き渡し式、国境省の管

轄する職業訓練校視察を行いました。

ソーラーパネルの設置により、暗くなってからの作業や家事、勉強が可能となります。今後、配布された

ソーラーパネルがどのように農家の生活改善に役立っているかモニタリングをしていく予定です。(中)

ソーラーパネル引き渡しの様子 家計管理研修の様子

2. 訪問者

日程 訪問者 訪問内容

7 月 22 日~9 月 11 日

8 月 14 日~20 日

9 月 9 日

10 月 9 日~29 日

11 月 6 日~11 月 25 日

12 月 5 日~6 日

12 月 18 日~25 日

1 月 15 日~16 日

高橋昭雄短期専門家

山中潤 JICA 職員

新日本製薬、日本財団

松本満夫短期専門家

平知子課長

清家政信専門員

今井裕明職員

望月昭宏コンサルタント

Mr. Soe Lwin(PBANRD)

Mr. Nay Win (DOA)

Mr. Hein Zaw Latt(PBANRD)

Mr. Tin Maung Oo(PBANRD)

大使館松尾秀明参事官、

中澤慶一郎 JICA 所長、

木村歩 JICA 企画調整員

萩原知氏(次期チーフアドバ

イザー)

農村開発部三次啓都部長

小林健一郎専門家

大城華職員

社会経済調査

JICA 新人職員 OJT

民間連携(ハトムギ)調査団

工芸作物:コンニャク

合同中間評価ミッション

ラショー総合病院竣工式及びプロジェクト視察

運営指導調査団

プロジェクト活動視察

3. ラショーにて(編集人のつぶやき)

ラショーは辺境地だなと実感することがよくあります。ある日のネピドー(首都)出張の記録です。

第 1 日目:ラショー出発(07:00)~第 1 回目休憩(09:30)~休憩後、出発(09:45)

第 2 回目休憩(昼食)(12:30)~休憩後、出発(13:00)~第 3 回目休憩(16:00)

休憩後、出発(16:15)~ネピドー到着(18:00)

第 2 日目:終日ネピドーにて関係機関との打ち合わせ

第 3 日目:JCC 会議(09:00~12:00)

昼食後、出発(14:00)~第 1 回目休憩(16:30)~休憩後、出発(16:45)

マンダレー到着(19:00)

第 4 日目:マンダレー出発(09:30)~第 1 回目休憩(11:00)~休憩後、出発(11:15)

第 2 回目休憩(昼食)(14:30)~休憩後、出発(15:00)~ラショー到着(17:30)

勤務地がヤンゴンやネピドーの専門家と、辺境地ラショーの専門家との生活・勤務環境の差(?)があ

ります。上記のように、当プロジェクトでは、ネピドー出張は 2 泊 3 日から 3 泊 4 日の行程が必要です。

残念ながらラショー⇔ネピドー間の飛行機はなく、陸路にて片道約 11 時間かけて移動し、公務終了が夕

方であれば、翌日再度 11 時間かけてラショーまで移動します。公務が午前中に終了できれば、午後に 4

~5 時間かけてマンダレーまで移動し、翌日 6~8 時間かけてラショーまで移動します。仮に、ネピドーの

公務が午前中に終了して、午後にヤンゴンへ移動し、滞在費を降ろしにバンコクへ行ったり、国内旅行を

実施しようとしても、公務の出張と、私的(自腹)旅行を組み合わせることができませんので、どうしても一

旦ラショーに戻り、ヤンゴンまで移動しなければなりません。ヤンゴンへの出張も同様で、ヤンゴンでの

公務が終了し、バンコクへの旅行や国内旅行を実施するには、一旦ラショーまで戻り、再度ヤンゴンまで

戻らなければなりません。ラショーとヤンゴンを往復すると(2 泊 3 日)、航空賃、ホテル代、レンターカー

代等で最低 500 ドルくらいかかります。ヤンゴンでの公務を出張扱いとせず、全ての経費を自己負担し、

私的旅行とすることも可能ですが、本来の公務時に事故等にあっても労災の対象とはなりません。ラショ

ー空港が、そのうち国際空港となるらしいという噂をどなたかご存じありませんか?(今)

【編集後記】

(吉)今年 3 月に任期満了にて帰国します。3 年間大変お世話になりました。プロジェクト後半は、新チー

フの萩原氏を中心にさらにパワーアップします。今後も御支援を宜しくお願いします。

(片)最近インターネットの速度が突然速くなることが。遅いのに慣れているので戸惑います。

(藤)いまこちらではソラマメが旬となっています。市場ではさやをはずして売っているのでたいへんラク

チンです。塩ゆでしてビールとともにいただくときはまさに至福の時。

(中)今回の赴任では、育休中の夫と 1 歳 8 か月になる娘を随伴しています。

(今)JICA 事業の一環として、奥地に前進し、任国の人達と同じような生活をする「青年海外協力隊員派

遣制度」があります。現地の人達と同じような住居に住み、現地の人達と同じ食事をし、現地に溶け

込む工夫をしながら、人格形成を構築することを目的としています。当プロジェクトの現場であるラ

ショーは、まさに協力隊員にとって最適の場と言えます。あっ、僕らはシニア隊員なんですね?

オーシャンプロジェクトの新しい仲間です。吉田チーフの家族です(ワン)

寝相がおちゃめなリャンリャンちゃん(♀) 頭が重たいズーズー君(♂)

名前は飼い主がつけてくれとらんとです(♂)

オーシャン通信第 6号 特別版

皆様 へ

プロジェクトにとって非常に大事なことを載せておりませんでした。

合同中間評価団からの提言にもあり、かつ、プロジェクトからも強く要請し

ておりました国境省からのフルタイムカウンターパート(Mr. Aung Soe :

Assistant Director)が、2017年 1月 9日に配属されました。

民間人として国境省に入省して 17 年間の経歴を有し、当プロジェクト配属

直前は、シャン州東部Mong Yang支所で代表として配属されておりました。

国境省としてはフルタイムカウンターパートをプロジェクトに配属するには、

課長代理級を配属しなければならないとの深慮のもと、時間がかかりまし

たが、このたびの配属となりました。(今村)